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図面 (19)

課題・解決手段

本発明は、ビタミンD受容体とCDPとの結合を検出する工程を含む、化合物スクリーニング方法に関する。骨形成作用が強く、副作用が少ない化合物を、in vitroでスクリーニングできる新規な方法、該スクリーニング方法により選択される骨芽細胞分化関与する化合物、該化合物を含む、ビタミンD受容体とCDPとの複合体によるビタミンD受容体を介する転写活性亢進に関与する疾患の治療薬、および該スクリーニング方法を行うためのキットを提供する。

概要

背景

1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(以下、1,25(OH)2D3または1,25D3という)または1α−ヒドロキシビタミンD3(以下、1α(OH)D3)などの活性型ビタミンD3誘導体は、既に骨粗鬆症などの代謝性骨疾患治療薬として広く臨床で使用されている。これらの活性型ビタミンD3誘導体はVDRを介して生理作用が発揮されることが知られている。VDRは、小腸、骨、腎臓副甲状腺などの組織に存在するのみならず、免役系細胞悪性腫瘍細胞を含む様々な細胞に存在しているため、活性型ビタミンD3誘導体は、(1)カルシウム骨代謝調節作用;(2)悪性腫瘍細胞、表皮細胞および上皮性細胞の増殖阻害;および(3)免疫系細胞に対する調節作用;などのような様々な生理活性を有することが知られている。
1,25(OH)2D3や1α(OH)D3などの活性型ビタミンD3誘導体は、動物実験において、実験条件によっては骨量に対して比較的強い骨量増加作用を示す。一方で、臨床では腰椎および大腿骨頚部骨密度の増加効果は弱い。骨密度を指標とした場合、活性型ビタミンD3誘導体投与群臨床投与量)はカルシウム単独投与群の効果を上回るが、ビスホスホネート投与群と比較すると骨量増加作用は弱い。しかし、骨量から予測される以上の骨折抑制効果が示された臨床成績報告されている。前述のような薬理作用を示すことから骨粗鬆症治療薬として長年用いられていた。しかしながら、活性型ビタミンD3誘導体投与による骨量増加作用のメカニズムは未だ明確ではない。
また、活性型ビタミンD3誘導体はin vitroにおいては、骨形成を担う骨芽細胞分化促進作用が知られている。しかしながら、この作用の分子生物学アプローチによる機序は明らかになっていない。
1,25(OH)2D3は、標的組織の1つである骨においては、osteopontin、osteocalcinといった骨芽細胞の分化マーカーとして知られる遺伝子発現誘導することが知られ、また、細胞培養系において骨芽細胞は1,25(OH)2D3の作用により分化することが知られている(非特許文献1)。さらに、1,25(OH)2D3は、他の標的器官として腸管や腎臓が知られるが、これらの臓器では骨芽細胞マーカー遺伝子発現せず、カルシウムの取り込みに関与するcalcium binding protein(calbindin)の遺伝子を誘導することが古くから知られており、組織によってその作用は異なっている。そのため、ビタミンD3誘導体は血中カルシウム上昇作用があり、臨床使用する場合、高カルシウム血症などの副作用が問題となる場合がある。よって、血中カルシウム上昇作用がないまたは弱い化合物スクリーニングできれば、副作用の少ない優れた代謝性骨疾患の治療薬の創出が可能となる。
VDRを介した転写活性化は一般にVDRと基本転写因子に加え、転写コファクターコアクチベーターコリプレッサ)が関与して起こることが知られている。VDR結合性の転写コファクターは既にいくつか知られているが、1,25(OH)2D3による骨芽細胞分化メカニズムを説明しうるコファクターは未だに発見されていない。このような組織特異的な遺伝子発現の制御が存在していることから、VDRに関連するコファクターの発現やリクルートメントが、組織によって異なっている可能性が考えられる。例えば、最近、ケラチノサイトの分化前後でVDRが形成する複合体が異なることが確認された(非特許文献2)。このようなVDRが形成する複合体の違いにより種々の細胞内でのVDRによる遺伝子発現調節機構の組織や細胞特異性が司られていることが示唆されている。しかしながら、骨芽細胞において、VDRが形成する複合体の分離・同定した結果は報告されていない。
一方、CDPに関しては、キイロショウジョウバエのCutホメオドメイン蛋白質哺乳類におけるホモログが数種の哺乳類から単離されており、ヒト(非特許文献3)、イヌ(非特許文献4)、マウス(非特許文献5)、ラット(非特許文献6)において、それぞれ、CDP(CCAAT Displacement Protein)、Clox(Cut−like homeobox)、Cux−1(Cut homeobox)、CDP−2とよばれる。また、ヒトCDPはCut−LIKE,1: CUTL1とも表記されることが知られている。
CDPは高等真核生物に存在する転写因子ファミリーに属し、細胞の増殖および分化の制御に関係する(非特許文献7)。キイロショウジョウバエにおいて、CDPのキイロショウジョウバエホモログであるCutの組織特異的なエンハンサー干渉する転移性インシュレーター配列絶縁体配列)の挿入に起因する多くの表現型が報告されている(非特許文献8)。それらの表現型は、(「cut翼」)、脚、外感覚器マルピーギ尿細管気管系、および中枢神経系中のいくつかの構造に現れることが知られている(非特許文献9)。マウスおよびニワトリがCux−1およびCux−2を有するように、ヒトは、2つのCDP/Cux遺伝子であるCDP−1およびCDP−2を有する(非特許文献10)。Cux−2は最初に神経組織中で発現されるが、Cux−1は殆どの組織に存在する(非特許文献10)。Cux−1ノックアウトマウスは、ねじれ髯、成長遅延上皮遅延した分化、改変した毛の濾胞形態形成オス生殖不能、並びにTおよびB細胞中の欠損を含む様々な器官における表現型を示す(非特許文献11)。小型のCux−1ノックアウトマウスと比べ、Cux−1を発現する遺伝子組み換えマウスは、CMVエンハンサー/プロモーターの制御下において、多臓器過形成および臓器肥大を示す(非特許文献12)。このように、ショウジョウバエおよびマウスにおける遺伝子実験は、CDP/Cux/Cut遺伝子が様々な組織の発達および恒常性において重要な役割を果たすことを示す。
組織培養系で、CDPの発現および活性化は細胞の増殖に関係し(非特許文献13)、その遺伝子発現の抑制は細胞の最終分化期において起こり(非特許文献14)、更に、マトリックス付着領域の調節に関与していることが知られている(非特許文献15)。CDP/Cux/Cutタンパク質は夫々、DNA結合性ドメインをもつ。全てのタンパク質は、少なくともCutホメオドメイン(HD)および3つのCut反復(CR1、CR2およびCR3)を含む。ホメオボックス遺伝子のcutスーパークラスは、3つのクラスに分割された:CUX、ONECUTおよびSATB(非特許文献16)。ショウジョウバエCut、ヒトCDPおよびマウスCux遺伝子は3つのCut反復を含み、各種においてもまた、1つのCut反復を含むONECUT遺伝子が存在する(非特許文献10)。SATB1は2つのCut反復様ドメインおよび多岐にわたるCut様ホメオドメインを含む(非特許文献17)。
個々のCut反復はそれら自身DNAと結合することできないが、もう一つのCut反復またはCutホメオドメインと協調してDNAと結合することができる(非特許文献18)。細胞内におけるCDP/CuxのDNA結合活性は2つ報告されている。CDP/Cux p200は、CR1CR2と同様に、一過性にDNAと結合し、CCAAT −置換活性をもつ(非特許文献10)。細胞周期のG1/Sの移行において、p200のタンパク質分解性の切断はCDP/Cux p110を産出し、それは、CR2CR3HDを含み、異なるDNA結合特異性およびキネティクスを示す(非特許文献19)。特に、p110はDNAと安定な相互作用を形成することができる。さらには、p110アイソフォームは、子宮平滑筋腫において、高レベルで発現される(非特許文献20)。
特許文献1には、新規のCDP/Cuxアイソフォーム、p75は、CDP/Cux座のイントロン20中で開始されるmRNAによりコードされることが発見されたことが記載されている。この新規なアイソフォームは、p200、p110およびp100CDP/Cuxアイソフォームのものとは別々のDNA結合性を示す。イントロン20中で開始されるmRNAの発現は、ある組織または細胞に制限されるが、その発現は、乳房腫瘍細胞株中および初期のヒトの乳房腫瘍中、並びに他の癌組織中で活性化される。このことから癌の検出のための診断および予後方法において有用な、切頭されたCCAAT −置換タンパク質/Cutホメオボックスのアイソフォーム(CDP/Cux)に対する抗体を供する。さらに、癌の検出のために、p75をコードするRNA転写物検出方法を供することが記載されている。また、CDP/Cuxは細胞種特異的、また、細胞分化段階特異的に免疫グロブリン重鎖イントロンエンハンサー(Eμ)のマトリックス結合領域に結合する転写因子と競合的に働き、そのエンハンサー活性を制御することが知られている(非特許文献21)。
しかし、これらの報告では、骨やビタミンD受容体との関わりにおけるCDPの機能に関しては何ら明らかとされていない。
国際公開第2004/045371号パンフレット
Matsumoto et al.,Bone Vol.12,27−32,(1991)
Oda A.et al.,Mol.Endocrinol.Vol.17,2329−2339,(2003)
Neufeld,E.J.,et al.(1992)Nat.Genet.1,50−55
Andres,V.,et al.(1992)Development,116,321−334
Valarche,I.,et al.(1993)Development,119,881−896
Yoon,S.O.,et al.(1994)J.Biol.Chem.269,18453−18462
Nepveu(2001)Gene 270:1−15
Jack,et al.(1991)Development 113:735−747
Jack,et al.(1991)supra
Neufeld,et al.(1992)supra
Ellis,et al.(2001)supra
Ledford,et al.(2002)Dev.Biol.245:157−171
Holthuis,et al.(1990)Science 247:1454−1457
Pattison,et al.(1997)J.Virol.71:2013−2022
Liu,et al.(1997)Mol.Cell.Biol.17:5275−5287
Burglin and Cassata(2002)Int.J.Dev.Biol.46:115−123
Dickinson,et al.(1997)J.Biol.Chem.272:11463−11470
Moon,et al.(2000)J.Biol.Chem.275:31325−31334
Moon,et al.(2001)Mol.Cell.Biol.21:6332−6345
Moon,et al.(2001)supra
Wang,et al.(1999)MOLECULAR AND CELLULAR BIOLOGY,.19:284−295

概要

本発明は、ビタミンD受容体とCDPとの結合を検出する工程を含む、化合物のスクリーニング方法に関する。骨形成作用が強く、副作用が少ない化合物を、in vitroでスクリーニングできる新規な方法、該スクリーニング方法により選択される骨芽細胞分化に関与する化合物、該化合物を含む、ビタミンD受容体とCDPとの複合体によるビタミンD受容体を介する転写活性亢進に関与する疾患の治療薬、および該スクリーニング方法を行うためのキットを提供する。

目的

前述の通り、臨床使用する目的で活性型ビタミンD3誘導体を創製する場合、カルシウム血症等の副作用がないまたは弱い誘導体をスクリーニングできる新規方法が望まれている。しかし、副作用が弱く、骨形成作用が強い誘導体かどうかを判断するには、実際に動物に誘導体を投与し、骨形成能と副作用である高カルシウム血症をどの程度引き起こすかを長期的な検討が必要であり、細胞評価系などで簡便に調べることができなかった。よって、骨形成作用が強く、副作用が少ない活性型ビタミンD3誘導体を、in vitroでスクリーニングできる新規な方法の提供が、本発明の目的の1つである。

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

試験化合物の存在による、ビタミンD受容体とCDPとの結合の存否を検出する工程を含む、該結合作用を有する化合物スクリーニング方法

請求項2

化合物が、ビタミンD受容体および/またはCDPに親和性を有する化合物である、請求項1のスクリーニング方法。

請求項3

ビタミンD受容体とCDPの両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行なう請求項1または2に記載のスクリーニング方法。

請求項4

ビタミンD受容体とCDPの両方を産生する細胞が、骨芽細胞様細胞である請求項3記載のスクリーニング方法。

請求項5

ビタミンD受容体およびCDPの少なくとも1つが精製された形態である、請求項1または2に記載のスクリーニング方法。

請求項6

試験化合物の存在による、ビタミンD受容体とCDPとの複合体による転写活性亢進を検出する工程を含む、該複合体による転写活性を亢進する化合物のスクリーニング方法。

請求項7

化合物が、ビタミンD受容体および/またはCDPに親和性を有する化合物である、請求項6のスクリーニング方法。

請求項8

ビタミンD受容体とCDPとの複合体による転写活性の亢進を検出する工程が、CDPを過剰発現させることにより、ビタミンD受容体を介する転写活性がさらに亢進されることを検出する工程からなる請求項6または7記載のスクリーニング方法。

請求項9

ビタミンD受容体とCDPとの複合体による転写活性の亢進を検出する工程が、ビタミンD受容体を過剰発現させることにより、CDPを介する転写活性がさらに亢進されることを検出する工程からなる請求項6または7記載のスクリーニング方法。

請求項10

ビタミンD受容体とCDPとの複合体による転写活性の亢進を、ビタミンD受容体およびCDPの両方を発現および/または産生する細胞において検出する請求項6〜9のいずれか1項記載のスクリーニング方法。

請求項11

ビタミンD受容体およびCDPの両方を発現および/または産生する細胞が、骨芽細胞様細胞である請求項10記載のスクリーニング方法。

請求項12

ビタミンD受容体およびCDPの両方を発現および/または産生する細胞が、ビタミンD受容体遺伝子およびCDP遺伝子のうち少なくとも1つ導入されたものである請求項10項記載のスクリーニング方法。

請求項13

ビタミンD受容体とCDPとの複合体による転写活性の亢進をレポーター遺伝子アッセイ系で測定する、請求項6〜12のいずれか1項記載のスクリーニング方法。

請求項14

ビタミンD受容体とCDPとの複合体による転写活性の亢進を、ビタミンD受容体標的遺伝子または骨芽細胞分化マーカー遺伝子の発現を指標として測定する、請求項6〜12のいずれか1項記載のスクリーニング方法。

請求項15

ビタミンD受容体標的遺伝子が、CYP24遺伝子であり、骨芽細胞の分化マーカーが、アルカリフォスファターゼ遺伝子、オステオカルシン遺伝子のいずれかから選択される、請求項14記載のスクリーニング方法。

請求項16

試験化合物が、ビタミンD誘導体である請求項1〜15のいずれか1項記載のスクリーニング方法。

請求項17

試験化合物が、骨芽細胞分化誘導する化合物である請求項1〜16のいずれか1項記載のスクリーニング方法。

請求項18

化合物が、動物において骨量増加作用を示す化合物である、請求項1〜17のいずれか1項記載のスクリーニング方法。

請求項19

(a)ビタミンD受容体認識配列およびレポーター遺伝子を含み、ビタミンD受容体を介する転写活性亢進を評価するためのベクター;ならびに(b)CDP認識配列およびレポーター遺伝子を含み、CDPを介する転写活性亢進を評価するためのベクターのうち少なくとも1つを含み、さらに(c)前記レポーター遺伝子の産物を検出するための試薬;を含む請求項6〜18のいずれか1項記載のスクリーニング方法を行うためのキット

請求項20

(a)ビタミンD受容体認識配列、CDP認識配列およびレポーター遺伝子を含み、ビタミンD受容体とCDPの複合体を介する転写活性亢進を評価するためのベクター;ならびに(b)前記レポーター遺伝子の産物を検出するための試薬;を含む請求項6〜18のいずれか1項記載のスクリーニング方法を行うためのキット。

技術分野

0001

本発明は、骨芽細胞分化関与する化合物スクリーニングするための新規な方法に関する。詳細には、本発明は、該化合物をスクリーニングするためのVDR(ビタミンD受容体)とCDP(CCAAT Displacement Protein)のin vitro使用に関する。

背景技術

0002

1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(以下、1,25(OH)2D3または1,25D3という)または1α−ヒドロキシビタミンD3(以下、1α(OH)D3)などの活性型ビタミンD3誘導体は、既に骨粗鬆症などの代謝性骨疾患治療薬として広く臨床で使用されている。これらの活性型ビタミンD3誘導体はVDRを介して生理作用が発揮されることが知られている。VDRは、小腸、骨、腎臓副甲状腺などの組織に存在するのみならず、免役系細胞悪性腫瘍細胞を含む様々な細胞に存在しているため、活性型ビタミンD3誘導体は、(1)カルシウム骨代謝調節作用;(2)悪性腫瘍細胞、表皮細胞および上皮性細胞の増殖阻害;および(3)免疫系細胞に対する調節作用;などのような様々な生理活性を有することが知られている。
1,25(OH)2D3や1α(OH)D3などの活性型ビタミンD3誘導体は、動物実験において、実験条件によっては骨量に対して比較的強い骨量増加作用を示す。一方で、臨床では腰椎および大腿骨頚部骨密度の増加効果は弱い。骨密度を指標とした場合、活性型ビタミンD3誘導体投与群臨床投与量)はカルシウム単独投与群の効果を上回るが、ビスホスホネート投与群と比較すると骨量増加作用は弱い。しかし、骨量から予測される以上の骨折抑制効果が示された臨床成績報告されている。前述のような薬理作用を示すことから骨粗鬆症治療薬として長年用いられていた。しかしながら、活性型ビタミンD3誘導体投与による骨量増加作用のメカニズムは未だ明確ではない。
また、活性型ビタミンD3誘導体はin vitroにおいては、骨形成を担う骨芽細胞分化促進作用が知られている。しかしながら、この作用の分子生物学アプローチによる機序は明らかになっていない。
1,25(OH)2D3は、標的組織の1つである骨においては、osteopontin、osteocalcinといった骨芽細胞の分化マーカーとして知られる遺伝子発現誘導することが知られ、また、細胞培養系において骨芽細胞は1,25(OH)2D3の作用により分化することが知られている(非特許文献1)。さらに、1,25(OH)2D3は、他の標的器官として腸管や腎臓が知られるが、これらの臓器では骨芽細胞マーカー遺伝子発現せず、カルシウムの取り込みに関与するcalcium binding protein(calbindin)の遺伝子を誘導することが古くから知られており、組織によってその作用は異なっている。そのため、ビタミンD3誘導体は血中カルシウム上昇作用があり、臨床使用する場合、高カルシウム血症などの副作用が問題となる場合がある。よって、血中カルシウム上昇作用がないまたは弱い化合物をスクリーニングできれば、副作用の少ない優れた代謝性骨疾患の治療薬の創出が可能となる。
VDRを介した転写活性化は一般にVDRと基本転写因子に加え、転写コファクターコアクチベーターコリプレッサ)が関与して起こることが知られている。VDR結合性の転写コファクターは既にいくつか知られているが、1,25(OH)2D3による骨芽細胞分化メカニズムを説明しうるコファクターは未だに発見されていない。このような組織特異的な遺伝子発現の制御が存在していることから、VDRに関連するコファクターの発現やリクルートメントが、組織によって異なっている可能性が考えられる。例えば、最近、ケラチノサイトの分化前後でVDRが形成する複合体が異なることが確認された(非特許文献2)。このようなVDRが形成する複合体の違いにより種々の細胞内でのVDRによる遺伝子発現調節機構の組織や細胞特異性が司られていることが示唆されている。しかしながら、骨芽細胞において、VDRが形成する複合体の分離・同定した結果は報告されていない。
一方、CDPに関しては、キイロショウジョウバエのCutホメオドメイン蛋白質哺乳類におけるホモログが数種の哺乳類から単離されており、ヒト(非特許文献3)、イヌ(非特許文献4)、マウス(非特許文献5)、ラット(非特許文献6)において、それぞれ、CDP(CCAAT Displacement Protein)、Clox(Cut−like homeobox)、Cux−1(Cut homeobox)、CDP−2とよばれる。また、ヒトCDPはCut−LIKE,1: CUTL1とも表記されることが知られている。
CDPは高等真核生物に存在する転写因子ファミリーに属し、細胞の増殖および分化の制御に関係する(非特許文献7)。キイロショウジョウバエにおいて、CDPのキイロショウジョウバエホモログであるCutの組織特異的なエンハンサー干渉する転移性インシュレーター配列絶縁体配列)の挿入に起因する多くの表現型が報告されている(非特許文献8)。それらの表現型は、(「cut翼」)、脚、外感覚器マルピーギ尿細管気管系、および中枢神経系中のいくつかの構造に現れることが知られている(非特許文献9)。マウスおよびニワトリがCux−1およびCux−2を有するように、ヒトは、2つのCDP/Cux遺伝子であるCDP−1およびCDP−2を有する(非特許文献10)。Cux−2は最初に神経組織中で発現されるが、Cux−1は殆どの組織に存在する(非特許文献10)。Cux−1ノックアウトマウスは、ねじれ髯、成長遅延上皮遅延した分化、改変した毛の濾胞形態形成オス生殖不能、並びにTおよびB細胞中の欠損を含む様々な器官における表現型を示す(非特許文献11)。小型のCux−1ノックアウトマウスと比べ、Cux−1を発現する遺伝子組み換えマウスは、CMVエンハンサー/プロモーターの制御下において、多臓器過形成および臓器肥大を示す(非特許文献12)。このように、ショウジョウバエおよびマウスにおける遺伝子実験は、CDP/Cux/Cut遺伝子が様々な組織の発達および恒常性において重要な役割を果たすことを示す。
組織培養系で、CDPの発現および活性化は細胞の増殖に関係し(非特許文献13)、その遺伝子発現の抑制は細胞の最終分化期において起こり(非特許文献14)、更に、マトリックス付着領域の調節に関与していることが知られている(非特許文献15)。CDP/Cux/Cutタンパク質は夫々、DNA結合性ドメインをもつ。全てのタンパク質は、少なくともCutホメオドメイン(HD)および3つのCut反復(CR1、CR2およびCR3)を含む。ホメオボックス遺伝子のcutスーパークラスは、3つのクラスに分割された:CUX、ONECUTおよびSATB(非特許文献16)。ショウジョウバエCut、ヒトCDPおよびマウスCux遺伝子は3つのCut反復を含み、各種においてもまた、1つのCut反復を含むONECUT遺伝子が存在する(非特許文献10)。SATB1は2つのCut反復様ドメインおよび多岐にわたるCut様ホメオドメインを含む(非特許文献17)。
個々のCut反復はそれら自身DNAと結合することできないが、もう一つのCut反復またはCutホメオドメインと協調してDNAと結合することができる(非特許文献18)。細胞内におけるCDP/CuxのDNA結合活性は2つ報告されている。CDP/Cux p200は、CR1CR2と同様に、一過性にDNAと結合し、CCAAT −置換活性をもつ(非特許文献10)。細胞周期のG1/Sの移行において、p200のタンパク質分解性の切断はCDP/Cux p110を産出し、それは、CR2CR3HDを含み、異なるDNA結合特異性およびキネティクスを示す(非特許文献19)。特に、p110はDNAと安定な相互作用を形成することができる。さらには、p110アイソフォームは、子宮平滑筋腫において、高レベルで発現される(非特許文献20)。
特許文献1には、新規のCDP/Cuxアイソフォーム、p75は、CDP/Cux座のイントロン20中で開始されるmRNAによりコードされることが発見されたことが記載されている。この新規なアイソフォームは、p200、p110およびp100CDP/Cuxアイソフォームのものとは別々のDNA結合性を示す。イントロン20中で開始されるmRNAの発現は、ある組織または細胞に制限されるが、その発現は、乳房腫瘍細胞株中および初期のヒトの乳房腫瘍中、並びに他の癌組織中で活性化される。このことから癌の検出のための診断および予後方法において有用な、切頭されたCCAAT −置換タンパク質/Cutホメオボックスのアイソフォーム(CDP/Cux)に対する抗体を供する。さらに、癌の検出のために、p75をコードするRNA転写物検出方法を供することが記載されている。また、CDP/Cuxは細胞種特異的、また、細胞分化段階特異的に免疫グロブリン重鎖イントロンエンハンサー(Eμ)のマトリックス結合領域に結合する転写因子と競合的に働き、そのエンハンサー活性を制御することが知られている(非特許文献21)。
しかし、これらの報告では、骨やビタミンD受容体との関わりにおけるCDPの機能に関しては何ら明らかとされていない。
国際公開第2004/045371号パンフレット
Matsumoto et al.,Bone Vol.12,27−32,(1991)
Oda A.et al.,Mol.Endocrinol.Vol.17,2329−2339,(2003)
Neufeld,E.J.,et al.(1992)Nat.Genet.1,50−55
Andres,V.,et al.(1992)Development,116,321−334
Valarche,I.,et al.(1993)Development,119,881−896
Yoon,S.O.,et al.(1994)J.Biol.Chem.269,18453−18462
Nepveu(2001)Gene 270:1−15
Jack,et al.(1991)Development 113:735−747
Jack,et al.(1991)supra
Neufeld,et al.(1992)supra
Ellis,et al.(2001)supra
Ledford,et al.(2002)Dev.Biol.245:157−171
Holthuis,et al.(1990)Science 247:1454−1457
Pattison,et al.(1997)J.Virol.71:2013−2022
Liu,et al.(1997)Mol.Cell.Biol.17:5275−5287
Burglin and Cassata(2002)Int.J.Dev.Biol.46:115−123
Dickinson,et al.(1997)J.Biol.Chem.272:11463−11470
Moon,et al.(2000)J.Biol.Chem.275:31325−31334
Moon,et al.(2001)Mol.Cell.Biol.21:6332−6345
Moon,et al.(2001)supra
Wang,et al.(1999)MOLECULAR AND CELLULAR BIOLOGY,.19:284−295

発明が解決しようとする課題

0003

前述の通り、臨床使用する目的で活性型ビタミンD3誘導体を創製する場合、カルシウム血症等の副作用がないまたは弱い誘導体をスクリーニングできる新規方法が望まれている。しかし、副作用が弱く、骨形成作用が強い誘導体かどうかを判断するには、実際に動物に誘導体を投与し、骨形成能と副作用である高カルシウム血症をどの程度引き起こすかを長期的な検討が必要であり、細胞評価系などで簡便に調べることができなかった。よって、骨形成作用が強く、副作用が少ない活性型ビタミンD3誘導体を、in vitroでスクリーニングできる新規な方法の提供が、本発明の目的の1つである。

課題を解決するための手段

0004

本発明者らは、HOS−TE85細胞が、1,25(OH)2D3存在下での培養により分化することを見出し、その一方、このような作用は骨芽細胞以外の子宮癌細胞であるHeLa細胞や、乳癌細胞であるMCF−7細胞では認められないことを見出した。そこで、HOS−TE85細胞内においてVDRが形成する複合体を探索したところ、VDRとリガンド依存的直接結合するCDPを同定し、リガンド依存的なVDRとCDPとの結合は、CDPの存在量の多い骨芽細胞で顕著であることを見出した。また、本発明者らは、VDRがCDPを過剰発現させることにより1,25(OH)2D3依存的に転写活性亢進すること、およびCDPが1,25(OH)2D3依存的に転写活性が亢進することを見出した。
本発明におけるスクリーニング方法の一つの形態としては、VDRとCDPとの結合に対する化合物の作用を指標にすることが挙げられる。
すなわち本発明は、試験化合物の存在による、VDRとCDPとの結合の存否を検出する工程を含む、該結合作用を有する化合物のスクリーニング方法に関する。
該化合物としては、VDRおよび/またはCDPに親和性を有する化合物があげられる。
該スクリーニング方法は、VDRとCDPの両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行なうことができ、また、VDRおよびCDPの少なくとも一つは精製された形態のものを使用することも可能である。
VDRとCDPの両方を産生する細胞としては、骨芽細胞様細胞等があげられ、また、VDR遺伝子およびCDP遺伝子のうち少なくとも1つが導入されて発現しているものであってもよい。
また本発明は、試験化合物の存在による、VDRとCDPとの複合体による転写活性の亢進を検出する工程を含む、VDRとCDPとの複合体による転写活性を亢進する化合物のスクリーニング方法に関する。
該化合物としては、VDRおよび/またはCDPに親和性を有する化合物があげられる。
VDRとCDPとの複合体による転写活性の亢進を検出する工程は、CDPを過剰発現させることにより、VDRを介する転写活性がさらに亢進されることを検出することにより、またはVDRを過剰発現させることにより、CDPを介する転写活性がさらに亢進されることを検出することにより行なうことができる。
VDRとCDPとの複合体による転写活性の亢進は、VDRおよびCDPの両方を発現および/または産生する細胞において検出することができる。
VDRおよびCDPの両方を発現および/または産生する細胞としては骨芽細胞様細胞等があげられる。
VDRおよびCDPの両方を発現および/または産生する細胞は、VDR遺伝子およびCDP遺伝子のうち少なくとも1つ導入されたものであってもよい。
前記スクリーニング方法は、CDPまたはVDRを介する転写活性の亢進をレポーター遺伝子アッセイ系で測定することができる。
VDRとCDPとの複合体による転写活性の亢進は、VDR標的遺伝子または骨芽細胞の分化マーカー遺伝子の発現を指標として測定することができる。ここで、VDR標的遺伝子の例としてはCYP24遺伝子などが、骨芽細胞の分化マーカー遺伝子の例としてはアルカリフォスファターゼ遺伝子、オステオカルシン遺伝子があげられる。
本発明のスクリーニング方法により取得される化合物の候補化合物としては、ビタミンD誘導体が例示される。
本発明のスクリーニング方法により取得される化合物は、骨芽細胞分化を誘導する化合物、動物において骨量増加作用を示す化合物として使用できる。
さらに本発明は、前記スクリーニング方法により選択される化合物に関する。
該化合物としては、ビタミンD誘導体が例示される。
さらに本発明は、前記化合物を含む、VDRとCDPとの複合体によるVDRを介する転写活性の亢進作用を有する疾患、骨芽細胞の分化を促進する効果を有する疾患、または骨量増加効果を有する疾患の治療薬にも関する。
疾患としては、たとえば代謝性骨疾患が挙げられる。
また代謝性骨疾患としては、骨粗鬆症があげられる。
さらに本発明は、(a)VDR認識配列およびレポーター遺伝子を含み、VDRを介する転写活性亢進を評価するためのベクター;および(b)CDP認識配列およびレポーター遺伝子を含み、CDPを介する転写活性亢進を評価するためのベクターのうち少なくとも1つを含み、さらに
(c)前記レポーター遺伝子の産物を検出するための試薬;を含む前記スクリーニング方法を行うためのキットにも関する。
また本発明は、(a)VDR認識配列、CDP認識配列およびレポーター遺伝子を含み、VDRとCDPの複合体を介する転写活性亢進を評価するためのベクター;および
(b)前記レポーター遺伝子の産物を検出するための試薬;を含む前記スクリーニング方法を行うためのキットにも関する。

図面の簡単な説明

0005

図1は、GSTレジンおよびGST−VDR(DEF)レジンのSDS−PAGE像を示す。
図2は、HOS細胞およびHeLa細胞の核抽出タンパク質を、1,25(OH)2D3非存在下および存在下においてGST−VDR(DEF)レジンと一晩混合した後の、レジン結合溶出タンパク質の銀染色像を示す。
図3は、HOS細胞およびHeLa細胞の核抽出タンパク質を、1,25(OH)2D3非存在下および存在下においてGST−VDR(DEF)レジンと一晩混合した後の、レジン溶出溶出タンパク質のウェスタンブロッティング像を示す。上段から抗CDP抗体、抗TRAP100抗体、および抗GST抗体を用いて得られた検出像である。
図4は、35SラベルCDPを、1,25(OH)2D3非存在下および存在下においてGST−VDR(DEF)レジンと共存させた後のSDS−PAGE像を、35Sで検出した結果を示す。
図5Aは、SaM−I細胞を各種濃度の1,25(OH)2D3存在下で培養した際の、リアルタイムRTPCR法による培養細胞のCDP遺伝子発現量の変動を示す。図5Aにおいて◇はビヒクル、●は10−7Mの1,25(OH)2D3、▲は10−8Mの1,25(OH)2D3、■は10−9Mの1,25(OH)2D3存在下での培養細胞での結果を示す。
図5Bは、SaM−I細胞を各種濃度の1,25(OH)2D3存在下で培養した際の、リアルタイムRT−PCR法による培養細胞のオステオカルシン遺伝子発現量の変動を示す。図5Bにおいて◇はビヒクル、●は10−7Mの1,25(OH)2D3、▲は10−8Mの1,25(OH)2D3、■は10−9Mの1,25(OH)2D3存在下での培養細胞での結果を示す。
図6Aは、1,25(OH)2D3存在下もしくは非存在下またはCDP存在下もしくは非存在下におけるプラスミドpM−VDR(DEF)によるVDR(DEF)を介する転写活性化能の評価結果を示す。
図6Bは、1,25(OH)2D3存在下もしくは非存在下またはCDP存在下もしくは非存在下におけるプラスミドpM−VP16によるVP16を介する転写活性化能の評価結果を示す。
図7Aは、pSPORT6−CDPを導入されたHOS細胞を各種濃度の1,25(OH)2D3存在下で培養した際の、培養細胞のCYP24遺伝子の発現量を示す。図7Aにおいて、mockとは、pSPORT6−CDPが導入されていないHOS細胞を、CDPとはpSPORT6−CDPが導入されたHOS細胞を示す。
図7Bは、pSPORT6−CDPを導入されたHOS細胞を各種濃度の1,25(OH)2D3存在下で培養した際の、培養細胞のアルカリフォスファターゼ(ALP)遺伝子の発現量を示す。図7Aにおいて、mockとは、pSPORT6−CDPが導入されていないHOS細胞を、CDPとはpSPORT6−CDPが導入されたHOS細胞を示す。
図7Cは、pSPORT6−CDPを導入されたHOS細胞を各種濃度の1,25(OH)2D3存在下で培養した際の、培養細胞のオステオカルシン遺伝子の発現量を示す。図7Aにおいて、mockとは、pSPORT6−CDPが導入されていないHOS細胞を、CDPとはpSPORT6−CDPが導入されたHOS細胞を示す。
図8Aは、1,25(OH)2D3存在下もしくは非存在下またはCDP存在下もしくは非存在下におけるCYP24遺伝子プロモーター転写活性化の評価結果を示す。
図8Bは、1,25(OH)2D3存在下もしくは非存在下またはCDP存在下もしくは非存在下におけるオステオカルシン遺伝子プロモーター転写活性化の評価結果を示す。
図9は、CDP、FLAG−VDRの両方またはCDPのみを導入されたHOS細胞を、1,25(OH)2D3存在下および非存在下で培養した際のCDPとFLAG−VDRの結合の存否を表すウェスタンブロッティング像を示す。上段から抗CDP抗体および抗FLAG抗体を用いて得られた検出像を示す。
図10は、CDP、FLAG−VDRの両方またはCDPのみを導入されたHOS細胞を、1,25(OH)2D3存在下および非存在下で培養した際のCDPとFLAG−VDRの結合の存否を表すウェスタンブロッティング像を示す。上段から抗CDP抗体および抗TRAP100抗体を用いて得られた検出像を示す。
図11は、GST−VDRと1,25(OH)2D3存在下で結合するタンパク質およびタンパク質複合体分画を示す。上段から抗CDP抗体、抗TRAP100抗体、および抗VDR抗体を用いて得られた検出像を示す。
図12は、GST−VDRと1,25(OH)2D3存在下で結合するタンパク質を抗CDP抗体で免疫沈降を行いCDPとVDRとの複合体をDRIP複合体と別個分取したことを示す。上段から抗CDP抗体、抗TRAP100抗体、および抗VDR抗体を用いて得られた検出像を示す。
図13は、各種濃度の1,25(OH)2D3で刺激された骨芽細胞様細胞(SaM−1)のアルカリフォスファターゼ染色による検出像を示す。上段はCDPを過剰発現させた群(Ad−CDP)、下段はCDPを過剰発現させていない、空のアデノウイルスを感染させた群(Ad−mock)の検出像を示す。

発明を実施するための最良の形態

0006

本発明は、試験化合物の存在による、VDRとCDPとの結合を検出する工程を含む、当該結合作用を有する化合物のスクリーニング方法に関する。本発明は、VDRとCDPがVDRリガンド依存的に結合するという発見に基づく。
かかるVDRリガンドの存在により、VDRとCDPは結合するため、本発明のスクリーニング系によって選択される化合物の一つの形態は、VDRリガンドが挙げられる。なお、本発明のスクリーニング方法の目的は、VDRとCDPとの結合を量的または速度論的に亢進する化合物の取得であるため、本発明のスクリーニング方法においてスクリーニングされる化合物としては、VDRおよび/またはCDPに親和性を有する化合物があげられる。また、本件明細書において、VDRおよび/またはCDPに親和性を有する化合物は、VDRリガンド、CDPリガンド、VDRとCDPとの結合を亢進する化合物、またはVDRとCDPとの複合体による転写活性を亢進する化合物とも言う。かかる化合物の候補化合物としては、例えば、ビタミンD誘導体があげられる。ビタミンD誘導体とは、エルゴカルシフェロールまたはコレカルシフェロール生物学的作用を示すステロイドをいう。なお、本発明のスクリーニング方法は、VDRとCDPとの結合を量的または速度論的に亢進する化合物、またはVDRとCDPとの複合体による転写活性を亢進する化合物を単離することを目的とするため、かかる化合物であればビタミンD誘導体に特に限定されるものではない。
本発明において、VDRとは哺乳類動物由来する核内タンパク質で、1,25(OH)2D3への結合活性を有するものをいう。そのようなVDRとしては、好ましくはヒト、マウス、ラットのVDRがあげられ、より好ましくはヒトのVDRがあげられる。これらのVDRのアミノ酸配列は、例えばヒトであればSwissprot Accession No.P11473、マウスであればSwissprot Accession No.P48281、ラットであればSwissprot Accession No.P13053に開示されている情報を参照することができる。また本発明においては少なくともVDRアミノ酸配列のビタミンD結合領域を含む配列を有し、DNA結合領域などを欠損したVDRも含まれる。このようなVDRの例としては、上述のSwissprot Accession No.P11473に開示されているヒトVDRのアミノ酸配列のうち、少なくともN末端から232番目アミノ酸から394番目のアミノ酸までのアミノ酸配列を含む配列よりなり、1,25(OH)2D3への結合を有するものが挙げられる。さらに、本発明におけるVDRには上述のVDRと他の機能を有するタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質も含まれる。そのようなものの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、GAL4−DNA結合ドメインタンパク質、VP16転写活性化ドメインタンパク質や蛍光タンパク質等とVDRの融合タンパク質があげられる。
一方、CDP(CCAAT Displacement Protein)は、骨芽細胞においてに、VDRとリガンド依存的に直接結合することが本発明において初めて見出されたタンパク質である。このような作用は、骨芽細胞以外の子宮癌細胞であるHeLa細胞や、乳癌細胞であるMCF−7細胞では認められなかった。また、CDPが骨芽細胞において存在量が多いことも、本発明において見出された。本発明におけるCDPとはキイロショウジョウバエのCut遺伝子に類似する哺乳類の核内タンパク質であり、CUTL1、CUX、CASP、COYl、Cloxとも呼ばれる。本発明におけるCDPは好ましくはヒト、マウス、ラットのCDPがあげられ、より好ましくはヒトのCDPがあげられる。これらのCDPのアミノ酸配列は、例えばヒトであればSwissprot Accession No.P39880、マウスであればSwissprot AccessionNo.P53564、ラットであればNCBI_REFSEQAccession No.XP_001070482に開示されている情報を参照することができる。またCDPの既知のアイソフォームやCDPの配列の一部においてアミノ酸の置換・欠損・挿入を行ったタンパク質も、それらがVDRリガンド存在下でVDRへの結合やVDRと複合体を形成して転写活性の亢進する機能を持つものは、本発明のCDPに含まれる。さらに、本発明におけるCDPには上述のCDPと他の機能を有するタンパク質・ペプチドとの融合タンパク質も含まれる。そのようなものの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、GAL4−DNA結合ドメインタンパク質、VP16転写活性化ドメインタンパク質や蛍光タンパク質等とVDRの融合タンパク質があげられる。
本発明のスクリーニング方法において用いられるVDRとCDPの組み合わせは、それぞれの配列が由来する種が異なってもかまわないが、好ましくは同じ種に由来する配列を含むVDRとCDPの組み合わせが用いられ、さらに好ましくはヒトのVDRとCDPの配列に由来するものの組み合わせが用いられる。
VDRとCDPを結合させるVDRリガンドは、骨芽細胞分化マーカーであるオステオカルシン遺伝子、アルカリフォスファターゼ遺伝子の発現をも亢進させることから、本発明のスクリーニング方法により、骨芽細胞分化に関与するVDRリガンドその他の化合物を取得することができる。さらには、該化合物は、骨芽細胞において存在量が多いCDPとVDRとの結合に関与するものであるため、本発明のスクリーニング方法により、高カルシウム血症等の副作用の少ない骨芽細胞選択的な化合物を取得することができる。
本発明のスクリーニング方法は、VDRとCDPの両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行なうことができる。すなわち、該細胞を試験化合物存在下で培養したり、該細胞の培地中に試験化合物を混合させたりすることにより、試験化合物を細胞に直接接触させてもよいし、該細胞を調製し、ライセート等の細胞調製物に試験化合物を混合させてもよい。このように、本発明のスクリーニング方法は、細胞を用いる細胞評価系、および細胞調製物等を用いる無細胞評価系など、in vitroで行なうことができる。
細胞の細胞調製物は、当業者であれば適宜調製することができる。本発明のスクリーニング方法で使用できる細胞調製物としては、例えば、核抽出タンパク質、細胞溶解液などがあげられる。細胞質タンパク質はリガンド存在下でのVDR結合タンパク質を精製する場合に狹雑タンパク質となるため、本発明のスクリーニング方法に用いる細胞調製物としては、特に、核抽出タンパク質が、スクリーニングの過程ノイズとなる細胞質中のタンパク質を減少させることができる点で好ましい。
本発明のスクリーニング方法に使用できるVDRとCDPの両方を産生する細胞としては、骨芽細胞様細胞等があげられる。また、ここでいう骨芽細胞様細胞とは、骨芽細胞の他、一般的な骨芽細胞マーカーを一つあるいは一つ以上発現する細胞をさし、骨芽細胞マーカーとしては、アルカリフォスファターゼ、オステオカルシン、骨シアロタンパク質などが含まれる。また、活性型ビタミンD3、副甲状腺ホルモンPTH)、アスコルビン酸、アスコルビン酸とベータグリセロリン酸による共刺激、及びBone Morphogenetic Protein(BMP)などの骨芽細胞への分化を誘導するとされる処理に応じて上記骨芽細胞マーカーを発現する細胞が含まれる。このような細胞としては、例えば、初代のヒト骨芽細胞、骨芽細胞、骨膜由来の骨芽細胞様細胞、骨肉腫細胞、ヒト幹細胞骨髄由来間葉系幹細胞などが挙げられ、入手可能な細胞株としては、例えば、HOS細胞(ATCCNo.L‐1543)、SaM−1細胞、SaoS−2(ATCC No.HTB‐85)、U−2 OS細胞(ATCC No.HTB‐96)、MG−63細胞(ATCC No.CRL−1427)、MC3T3−E1細胞(ATCC No.CRL‐2593)、C3H/10T1/2細胞(ATCC No.CCL‐226)、UMR−106細胞(ATCC No.CRL−1661)ST2細胞(独立行政法人理化学研究所 筑波研究所バイオリソースセンター細胞番号RCB0224)、ROS17/2.8(独立行政法人 理化学研究所 筑波研究所 バイオリソースセンター 細胞番号 RCB462)等があげられるが、これらに限定されない。なお、本発明のスクリーニングに使用される細胞は、VDRとCDPの両方を産生する細胞であれば良いため、例えば、VDR遺伝子およびCDP遺伝子を導入された細胞も使用することができる。
VDR遺伝子等の導入は、当業者であれば適宜選択し実施することができる。遺伝子導入方法としては、例えば、リポフェクション法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法などがあげられる。遺伝子導入される宿主細胞も、当業者であれば適宜選択し実施することができる。かかる宿主細胞としては、例えば、HOS細胞、SaM−1細胞、ジャーカット細胞、HeLa細胞、MCF−7細胞、HepG2、CaCO−2、SaOS、K562、CV−1、COS−1、COS−7、NIH3T3、L929、F9、MC−3T3−E1、PC−12、ROS17/2.8、CHO−K1、BHK−21などがあげられる。また上述の哺乳類に由来する細胞以外にも、出芽酵母細胞や分裂酵母細胞、大腸菌等の微生物など当業者で有れば適宜選択し、目的に応じた方法で遺伝子を導入して使用することができる。
本発明のスクリーニング方法において、VDRとCDPとの結合は、試験化合物がVDRとCDPの結合を量的または速度論的に亢進する作用により検出することができる。
VDRとCDPの結合を量的に解析する系としては、例えば、プルダウンアッセイ(Molecular AND CELLULARBIOLOGY,Oct.2004,p.8847−8861)や免疫沈降法(The Journal of Biological Chemistry VOL.276,ISSUE 31,28835−28841,August 3,2001)などの方法を用いることができる。例えばプルダウンアッセイにおいては実施例2で作製したGST−VDRと、ビタミンD誘導体やその他の化合物の存在下または非存在下で、精製されたまたはCDPを含有する細胞核抽出物などを反応させ、グルタチオン結合レジンを用いてGST−VDRを沈降させ、結合したCDPを実施例3に記載のウエスタンブロティングなどの方法で検出することによって、VDRと結合したCDPの量を検出することが可能である。
VDRとCDPの結合を速度論的に解析する系としては、例えば表面プラズモン共鳴法などを使う方法も挙げられる(The Journal of Biological Chemistry Vol.278,Issue 15,13271−13277,April 11,2003)。この方法では例えばBiacore(登録商標)(Biacore AB)タンパク質相互作用解析システムにおいてVDRをセンサーチップ上に固定化し、ビタミンD誘導体またはその他の被検化合物を反応後または共存させた状態で、精製されたCDPまたはCDPを含む細胞核抽出物を反応させたときに得られるシグナルから、VDRとCDPの間の結合速度解離速度やVDRに対するCDPの結合量などで測定することが可能である。速度論的な解析においては結合速度がより高いおよび/または解離速度が遅い作用を示す化合物は、VDRとCDPの結合をより促進する化合物として評価される。
その他のVDRとCDPの結合を検出するスクリーニング系の例としては、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法が挙げられる(THEJOURNALOF BIOLOGICALCHEMISTRY VOL.275,ISSUE 52,41114—41123,December 29,2000)。例えば、VDRとCDPをそれぞれgreen fluorescent protein(GFP)およびblue fluorescent protein(BFP)との融合タンパク質として発現させ、それらの融合タンパク質が存在する状態で、被検化合物を反応させた時のVDRとCDPの結合を検出できる。この場合、VDRとCDP間の結合が亢進した状態は融合タンパク質として発現しているBFPの励起波長(370—390nm付近)の励起光を当てたときのBFPの蛍光波長(435—485nM付近)の光強度の減少および/またはGFPの蛍光波長(515−555nM付近)の光高度の上昇を計測することによって測定することができる。また、VDR融合タンパク質とCDP融合タンパク質が存在している状態で、被検化合物を反応させてからの時間経過でのBFPの蛍光波長における光強度の減少および/またはGFPの蛍光波長での光強度の上昇を測定することによって、VDRとCDPの結合の速度を測定することも可能である。さらに、細胞内でVDR蛍光タンパク質およびCDP融合タンパク質を発現させ、被検化合物を反応させたときに、蛍光顕微鏡を用いて観察することによって、細胞内の局所、例えば核内においてのVDRとCDPとの結合を観察することも可能であり、イメージアナライザーなどとの組み合わせによって、その蛍光強度増減を測定することも可能である。
VDRとCDPの結合を量的に解析する系においては、VDRとCDPの両方を産生する細胞または該細胞の細胞調製物を用いて行なうことが可能であるが、VDRおよびCDPの少なくともいずれかが精製されたものを用いることも可能である。精製されたVDRまたはCDPを調製するための製造方法としては、VDRまたはCDPのタンパク質をコードする遺伝子を適宜発現用ベクター内にそれらのタンパク質が発現するのに適した形状で組み込んだベクターを作製し、動物細胞植物細胞昆虫細胞酵母、大腸菌等の微生物などのいずれかに導入した形質転換体を作成して、その形質転換体を培養することによって製造することが例示できる。また、製造方法としては、インビトロ翻訳反応系に代表される無細胞系タンパク質合成による方法が挙げられ、例えばVDRまたはCDPタンパク質をコードする遺伝子の5’上流転写調節を制御する配列、好ましくはSP6プロモーター、T3プロモーター、T7プロモーター等を付加し、その遺伝子を細胞内もしくはインビトロにおいて転写することでVDRまたはCDPタンパク質をコードするRNA分子を作成し、小麦胚芽、大腸菌、網状赤血球などから調製されたインビトロ転写反応用の細胞抽出物を用いることで行うことができる(澤崎等蛋白質・核酸酵素2003年 48巻 p549−554)。このような形質転換体または無細胞系タンパク合成により生産されたVDRまたはCDPは、所望によりその物理学的性質化学的性質等を利用した各種の分離操作[日本生化学会編 「生化学データブックII」第1版第1刷、株式会社東京化学同人 1980年6月23日発行p1175〜1259;Arakawa等 バイオケミストリー(Biochemistry)(USA)1986年12月16日発行25巻25号p8274〜8277(1986);ラングレイ(Langley)等 ヨーロピアン・ジャーナルオブ・バイオケミストリー(Europian Journal of Biochemistry)(Germany)1987年3月2日発行 163巻2号 p313〜321等参照]により分離、精製できる。該方法としては、具体的には例えば通常の再構成処理、タンパク質沈澱剤による処理(塩析法)、遠心分離浸透圧ショック法、超音波破砕限外ろ過ゲルろ過吸着クロマトグラフィーイオン交換クロマトグラフィーアフィニティークロマトグラフィー高速液体クロマトグラフィーHPLC)等の各種液体クロマトグラフィー透析法、これらの組合わせ等を例示できる。前記ポリペプチドとのアフィニティーを利用する精製には、たとえば、前述の前記ポリペプチドと結合する抗体を用いることができ、該ポリペプチドと該抗体との脱着により行うことができる。
またその他の精製されたVDRまたはCDPを調製する方法の例としては、VDRまたはCDPがアフィニティータグを融合した形になるように形質転換体または無細胞系タンパク合成で産生させ、該VDRまたはCDPを分離、精製することによっても行なうことができる。このようなアフィニティータグが融合して形でVDRまたはCDPを発現させれば、このタグを利用するアフィニティー精製を実施することが可能である。該アフィニティータグとしては、Glutathione−S−Transferase(GST)、ポリヒスチジンタグ(Hisタグ、シスク(Sisk)等 ジャーナル・オブ・ヴァイロロジー(Journal of Virology)(USA)1994年2月発行 68巻2号 p766〜775)およびFLAGタグ(ホップ(Hopp)等バイオテクノロジー(Biotechnology)1988年発行 6巻 p1204〜1210)があげられる。この方法において、GSTを融合したGST融合タンパク質の場合は、グルタチオン固定化担体を用いることによって、GSTと該グルタチオン結合担体との吸着・脱着反応を用いて精製でき、Hisタグ融合タンパク質の場合には、金属イオンキレート担体を用いることによってHisタグと該金属イオンキレート担体との吸着・脱着反応を用いて精製でき、FLAGタグ融合タンパク質の場合には、抗FLAGタグ抗体の結合した担体を用いることによって、FLAGタグと該抗体の結合した担体との吸着・脱着反応を用いて精製することができる。
上記のスクリーニング系においては、被検化合物によるVDRとCDPの結合の程度を量的または速度論的な数値として比較することに加えて、被検化合物が存在しない場合または1,25(OH)2D3などを標準化合物として用いた場合での数値との相対値として比較することも可能である。
また、上記のスクリーニング系によって選別された候補化合物は、骨芽細胞の分化や正常非ヒト動物病態動物モデルでの骨形成能を指標にして、該化合物の骨形成への作用を検証することができる。例えば、実施例7に示したようにHOS細胞などの骨芽細胞系の細胞に、候補化合物を反応させたときに、その骨芽細胞分化マーカー(アルカリフォスファターゼ、オステオカルシン等)の遺伝子またはタンパク質の発現を指標にして、その候補化合物の骨量増加作用を検証できる。また動物での候補化合物の効果の検証については、正常非ヒト動物や卵巣摘出動物などの病態モデル動物に投与して、その動物における骨密度(BMD)やMicroCT・組織標本での骨組織の解析などを行うことで、候補化合物の骨量増加など活性を検証することが可能である(Jpn.J.Pharmacol.VOL.89,p.255−266 2002)。
また本発明は、試験化合物の存在による、VDRとCDPとの複合体による転写活性の亢進を検出する工程を含む、VDRとCDPとの複合体による転写活性を亢進する化合物のスクリーニング方法に関する。本発明は、VDRを介する転写活性およびCDPを介する転写活性が、VDRリガンド依存的に亢進するという発見に基づく。かかるVDRリガンドの存在により、VDRを介する転写活性またはCDPを介する転写活性が亢進されるため、本発明のスクリーニング系によって選択される化合物の一つの形態としては、VDRリガンドを挙げることができる。なお、本発明のスクリーニング方法の目的は、VDRとCDPとの複合体による転写活性を亢進する化合物の取得であるため、本発明のスクリーニング方法においてスクリーニングされる化合物としては、VDRリガンドのほか、CDPに親和性を有する化合物も含まれる。
本件明細書において、「VDRとCDPとの複合体による転写活性」とは、VDRとCDPとが結合して複合体が形成されることにより特異的に生じる転写活性をいい、具体的には骨芽細胞において見られる転写活性をいう。VDRとCDPとの複合体形成は、骨芽細胞以外の子宮癌細胞であるHeLa細胞や、乳癌細胞であるMCF−7細胞では認められず、骨芽細胞において見出された事象であるため、かかる複合体による転写活性は、骨芽細胞分化を促す一方、血中カルシウム上昇作用は弱いことが期待される。
また、VDRとCDPとの複合体による転写活性の亢進を検出する工程は、CDPを過剰発現させることにより、VDRを介する転写活性がさらに亢進されることを検出することにより、またはVDRを過剰発現させることにより、CDPを介する転写活性がさらに亢進されることを検出することにより行なうことができる。
本件明細書において、「VDRを介する転写活性」とは、VDRが活性化することにより生じるVDR認識配列の転写等が挙げられるが、VDRとCDPとが結合して複合体が形成されることにより特異的に生じる転写活性である限り、特に限定されない。かかるVDR認識配列を含むDNA領域の転写を評価することにより、VDRを介する転写活性が亢進されたかどうか評価することができる。また、VDRを介する転写活性は、人為的に、VDRのうちDNA結合活性以外の受容体機能に必要なVDR(DEF領域)(以下、VDR(DEF)と略称する場合もある。)を残し、それ以外のVDRのDNA結合領域等を、GAL4 DNA結合ドメイン等の実験室的に用いられる転写調節遺伝子に置換することにより、後述するレポーター遺伝子アッセイ系で測定することもできる。かかるレポーター遺伝子アッセイ系によると、VDR、CDPまたは試験化合物それぞれにより生じ得るノイズとなる反応を減少し得る点で好ましい。またその他の方法として、哺乳類細胞でのTwo−hybridアッセイ法(THE JOURNALOF BIOLOGICAL CHEMISTRY,VOL.274,ISSUE 45,32376−32381,November 5,1999)や酵母細胞でのTwo−hybridアッセイ法(Molecular Endocrinology VOL.11,No.3,p366−378,1997)などの方法から、当業者であれば適宜選択して転写活性を指標としたスクリーニング系を構築することが可能である。
本件明細書において、「CDPを介する転写活性」とは、CDPが活性化することにより生じるCDP認識配列の転写等が挙げられるが、VDRとCDPとが結合して複合体が形成されることにより特異的に生じる転写活性である限り、特に限定されない。かかるCDP認識配列を含むDNA領域の転写を評価することにより、CDPを介する転写活性が亢進されたかどうか評価することができる。CDPを介する転写活性は、前述のVDRを介する転写活性と同様、レポーター遺伝子アッセイ系等により測定することができる。
CDPを過剰発現させることによりVDRを介する転写活性を亢進させるVDRリガンドは、骨芽細胞分化マーカーであるオステオカルシン遺伝子、アルカリフォスファターゼ遺伝子の発現をも亢進させることから、本発明のスクリーニング方法により、骨芽細胞分化に関与するVDRリガンドを取得することができる。さらには、該VDRリガンドは、骨芽細胞において存在量が多いCDPとVDRとの結合に関与するものであるため、本発明のスクリーニング方法により、骨形成作用が強く、高カルシウム血症等の副作用の少ない骨芽細胞選択的なVDRリガンドを取得することができる。
本発明のスクリーニング方法は、VDRおよびCDPの両方を発現および/または産生する細胞を使用して行なうことができる。かかるVDRおよびCDPの両方を発現および/または産生する細胞としては、前述の骨芽細胞様細胞等があげられる。なお、本発明のスクリーニングに使用される細胞は、VDRおよびCDPの両方を発現および/または産生する細胞であれば良いため、例えば、VDR遺伝子およびCDP遺伝子のうち少なくとも1つ導入された細胞も使用することができる。
さらに、本発明のスクリーニング方法は、前述の通り、VDRとCDPとの複合体による転写活性の亢進を、レポーター遺伝子アッセイ系で測定することができる。レポーター遺伝子とは、プロモーターやエンハンサーの転写活性などを調べるためにDNAへ組み込まれる目印用の遺伝子であり、その発現量を測定できる遺伝子であれば特に限定されず、一般的には検出が簡単で定量化可能なものが好ましい。かかるレポーター遺伝子としては、例えば、ルシフェラーゼ遺伝子CATクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)遺伝子、β−Gal(β−ガラクトシダーゼ)遺伝子、hGH分泌型ヒト成長ホルモン)遺伝子、SEAP(ヒト分泌型アルカリフォスファターゼ)遺伝子、GFP(グリーンフルオレッセントタンパク質)遺伝子およびGUS(β−グルクロニダーゼ)遺伝子などがあげられる。
レポーター遺伝子を使用するアッセイは、当業者であれば適宜実施することができる。例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を使用するアッセイは、細胞抽出液基質酸素を与えて発光反応を起こさせ、発光度合いを測定してルシフェラーゼの発現量を評価することにより、CDPを介する転写活性またはVDRを介する転写活性の亢進を評価することができる。
VDRとCDPとの複合体による転写活性の亢進は、VDR標的遺伝子または骨芽細胞の分化マーカー遺伝子の発現を指標として測定することができる。VDR標的遺伝子としてはCYP24遺伝子などがあげられる。VDR標的遺伝子の発現の亢進が検出された場合には、VDRが活性化されVDRを介する転写活性が亢進されたと判断できる。骨芽細胞の分化マーカー遺伝子としては、アルカリフォスファターゼ遺伝子、オステオカルシン遺伝子などがあげられる。骨芽細胞の分化マーカー遺伝子の発現の亢進が検出された場合には、VDRが活性化されVDRを介する転写活性が亢進された結果、またはCDPが活性化されCDPを介する転写活性が亢進された結果、もしくはVDRとCDPとの複合体によりVDRもしくはCDPを介する転写活性が亢進された結果、骨芽細胞分化が誘導されたと判断できる。
また、上記のスクリーニング系によって選別された候補化合物は、骨芽細胞の分化や正常非ヒト動物や病態動物モデルでの骨形成能を指標にして、該化合物の骨形成への作用を検証することができる。例えば、実施例7に示したようにHOS細胞などの骨芽細胞系の細胞に、候補化合物を反応させたときに、その骨芽細胞分化マーカー(アルカリフォスファターゼ、オステオカルシン等)の遺伝子またはタンパク質の発現を指標にして、その候補化合物の骨量増加作用を検証できる。また動物での候補化合物の効果の検証については、正常非ヒト動物や卵巣摘出動物などの病態モデル動物に投与して、その動物における骨密度(BMD)やMicroCT・組織標本での骨組織の解析などを行うことで、候補化合物の骨量増加など活性を検証することが可能である(Jpn.J.Pharmacol.VOL.89,p.255−266 2002)。
前記スクリーニング方法によれば、前述の通り、骨芽細胞分化に関与する化合物および/または高カルシウム血症等の副作用の少ない骨芽細胞選択的な化合物の取得が期待できる。また、当該化合物が、動物において骨量増加作用を示すものであればより好ましい。
さらに本発明は、前記スクリーニング方法により選択される化合物、例えば、VDRおよび/もしくはCDPに親和性を有する化合物、VDRとCDPとの結合を量的または速度論的に亢進する化合物、またはVDRとCDPとの複合体による転写活性を亢進する化合物に関する。かかる化合物としては、例えば、VDRリガンド、VDRに親和性を有する化合物、CDPリガンド、またはCDPに親和性を有する化合物などがあげられる。具体的には、かかる化合物としては、例えばビタミンD誘導体があげられるが、VDRとCDPとの結合を量的または速度論的に亢進する化合物、またはVDRとCDPとの複合体による転写活性を亢進する化合物であればこれに限定されるものではない。
さらに本発明は、前記化合物を含む、VDRとCDPとの複合体によるVDRを介する転写活性の亢進に関与する疾患の治療薬にも関する。該CDPの結合によるVDRを介する転写活性の亢進に関与する疾患としては、たとえば代謝性骨疾患、異常な細胞分化および/または細胞増殖によって特徴付けられる疾患、座瘡脱毛症アルツハイマー病自己免疫性糖尿病骨折治癒乳癌前立腺癌大腸癌、脳膠細胞腫、骨肉腫、黒色腫骨髄線維症原発性副甲状腺機能亢進症I型糖尿病、宿主対移植片反応移植片対宿主反応移植組織拒絶ステロイド誘発性皮膚萎縮体液性高カルシウム血症、誘導性糖尿病、白血病狼瘡多発性硬化症皮脂分泌不足骨軟化症、骨粗鬆症、皮膚の弾力(firmness)不足、皮膚の保湿(hydration)不足、乾癬性(phoriatic)関節炎乾癬腎不全腎性骨ジストロフィー強皮症自己免疫慢性皮膚疾患円板状および全身性エリテマトーデス関節リウマチ等があげられる。また、前記スクリーニング方法により、骨芽細胞分化に関与する化合物および/または高カルシウム血症等の副作用の少ない骨芽細胞選択的な化合物の取得が期待できため、中でも、骨芽細胞の分化を促進する効果を有する疾患、または骨量増加効果を有する疾患の治療薬として有用である。かかる対象疾患としては、代謝性骨疾患があげられる。代謝性骨疾患としては、骨粗鬆症、骨パジェット病、骨軟化症、腫瘍性骨軟化症大理石病、腎性骨異栄養症等があげられる。本発明のスクリーニング方法により取得される化合物は、骨芽細胞分化に関与する化合物および/または高カルシウム血症等の副作用の少ない骨芽細胞選択的な化合物であることが期待できるため、特に、骨粗鬆症の治療薬として有用である。
さらに本発明は、(a)VDR認識配列およびレポーター遺伝子を含み、VDRを介する転写活性亢進を評価するためのベクター;ならびに
(b)CDP認識配列およびレポーター遺伝子を含み、CDPを介する転写活性亢進を評価するためのベクターのうち少なくとも1つを含み、さらに
(c)前記レポーター遺伝子の産物を検出するための試薬;を含む前記スクリーニング方法を行うためのキットにも関する。該キットにより、簡便に前記スクリーニングを行なうことができる。また、該キットには、VDRおよびCDPの両方を転写する細胞を含ませてもよい。
また別の形態のキットとしては、(a)VDR認識配列、CDP認識配列およびレポーター遺伝子を含み、VDRとCDPの複合体を介する転写活性亢進を評価するためのベクター;ならびに
(b)前記レポーター遺伝子の産物を検出するための試薬;を含む前記スクリーニング方法を行うためのキットに関する。高等生物におけるゲノム上での遺伝子転写調節領域においては、複数の転写制御因子認識部位を含んでおり、それらの組み合わせによって遺伝子転写の制御がなされている。そのため、VDR認識部位を持つVDR認識配列とCDP認識配列の両者を含有する調節領域にレポーター遺伝子を結合させたベクターも、VDRとCDPの複合体による転写活性の測定にもちいることができる。
前記VDR認識配列とは、VDRリガンドの作用特異的にVDRが結合するDNA配列を言い、より好ましくはVDRとCDPの複合体においてVDRが結合する配列をさす。このようなVDR認識部位の配列としては、ヒトCYP24のプロモーター/エンハンサー領域に存在する2つのVDR認識配列:GCAGTCAGCGAGGGCGおよびGGAGTTACCGGGTGTG(Chen KS et al.Biochem.Biophys.Acta.1263:1−9(1995))や、ヒトオステオカルシンプロモーターにおけるVDR認識配列:CCGGGTGAACGGGGGCA(Ozono K et al.J.Biol.Chem.(1990)265:21881−21888)/TTTGGTGACTCACCGGGTGA(Morrison NA et al.Science(1989)265:21881−21888)/TTTGGTGACTCACCGGGTGAACGGGGGCA(Schrader M et al.J.Biol.Chem.(1994)269:5501−5504)などの塩基配列を含むものが例示される(配列中下線部分はVDRが結合するのに重要とされる部分)。但し、VDR認識配列とは、VDRリガンドの作用特異的にVDRが結合するDNA配列を言い、より好ましくはVDRとCDPの複合体が結合する配列であれば上記に例示に限定されるものではなく、当業者であれば適宜それらの部分配列の組み合わせや一部の変異塩基の導入、また他の配列などを選択することも可能である(Vitamin D,2nd Edition,Feldman,Pike,Glorieux(eds.),p313−325)。
また前記のCDP認識配列とは、CDPが特異的に結合するDNA配列であり、好ましくはVDRとCDPの複合体においてCDPが結合する領域をいう。このような配列としては、CCAATまたはCCGATとCAATまたはCGATとの組み合わせからなるいわゆるCCAATボックスや、ATCGATなどの塩基配列を含むものが例示されるが、これに限定されるものではなく、当業者であれば適宜それらの部分配列の組み合わせや一部の変異塩基の導入、また他の配列などを選択することも可能である(Alain Nepveu. Gene VOL.270,2001,p1−15)。かかるCDP認識配列を含むDNA領域の転写を評価することにより、CDPを介する転写活性が亢進されたかどうか評価することができる。
「前記レポーター遺伝子の産物を検出するための試薬」としては、レポーター産物を検出するための基質、細胞固定液、細胞溶解液、試料希釈するための緩衝液などのうちから必要なものが選択される。レポーター遺伝子として、例えば、ルシフェラーゼ遺伝子、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)遺伝子、β−Gal(β−ガラクトシダーゼ)遺伝子、SEAP(ヒト分泌型アルカリフォスファターゼ)遺伝子、およびGUS(β−グルクロニダーゼ)遺伝子を用いた場合には、レポーター産物を検出するための基質とはそれぞれの酵素と反応する基質をさし、それぞれの酵素についての基質は試薬メーカーから提供されているものを用いることができる。この場合、レポーター遺伝子の発現誘導の程度は基質の反応によって計測されるが、それは基質の種類に応じて放射能、発色、蛍光、発光などのパラメーターで測定することが可能である。またレポーター遺伝子の発現による産物がタンパク質の場合には、EIA法ELISA法などの免疫学的測定によっても計測が可能であり、そのための試薬については当業者であれば適宜選択して含めることが可能である。さらにレポーター遺伝子の発現を転写産物であるmRNAで測定することも可能であり、そのためのプライマープローブ競合プローブなどの試薬については当業者であれば適宜選択して含めることが可能である。
そのほか、本発明のキットには、付加的な要素として陽性対照陰性対照反応容器光学的解析のためのフィルター、アッセイプロトコルを記載した指示書などを適宜含めることができる。これらの要素は必要に応じて予め混合しておくこともできる。また、必要に応じて、保存剤防腐剤を各要素に加えることができる。
なお、当該スクリーニングを行うキットとしては、哺乳類細胞でのOne−hybridシステム、Two−hybridシステムや酵母のTwo−hybridシステムなどの方法も考えられ、当業者であればそれらの選択されたスクリーニング方法に適した形のキットを構築することができる。

0007

次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)融合VDRによるタンパク質複合体精製
まず、ベイトタンパク質であるGST−VDRを大腸菌内に発現させた。Kitagawaら,Cell,Vol.113,905−917,2003の報告に用いられたラットVDR配列のうちリガンド結合領域が組み込まれたpGEX4T−1(アマシャムバイオサイエンス社製)もしくは、ヒトVDRのリガンド結合領域(DEF領域)(VDRのドメイン構造についてはJ.Wesley Pike et al.The Vitamin D Receptor.(2005)Vitamin D,2nd Edition,Feldman,Pike,Glorieux(eds.),167−191に解説されている。)をコードするDNA配列が組み込まれたpGEX4T−1ベクターのうどちらか一方をトランスフォームされた大腸菌(DH5alpha株)を37℃、2LのLB培地により振盪機にて120回転で培養し、600nmでの吸光度が0.4−0.5になった時点で0.1mM isopropyl−1−thio−β−D−galactopyranoside(IPTG)を添加し、27℃にて3時間120回転で振盪機にて培養することでGST−VDRタンパク質発現を誘導した。その後、遠心分離などの方法で菌体を集菌し、100mLのPBS(−)を加えよく細胞を懸濁し、ソニケーションを行い、20%トライトンX−100/PBS(−)を溶液量の20分の1量加え、4℃で穏やかに30分間転倒混和することにより細胞を破砕し、4℃、1000xg程度で、5分間の遠心分離の後、上清可溶性画分にGST−VDRを得ることができる。この溶液をPBS(−)で少なくとも3回洗浄したGlutathione Sepharose 4B(ファルマシアバイオサイエンス)とともに4℃で一晩転倒混和した後、PBS(−)約5mLで5回洗浄することでGST−VDRタンパクがGlutathione Sepharose 4Bに結合したレジン以下、「GST−VDRレジン」を作成した。比較としてVDRが融合していないGSTのみ発現をするベクターをもちいて同様の操作をすることによりGSTレジンも作成した。これらレジンに5マイクロリットルに対して水で2倍希釈した、SDSサンプルバッファ(TrisSDS β−ME サンプルバッファ、第一化学薬品製、品番301780)を5マイクロリットル加え、98℃の水浴にて2分間過熱し、結合しているタンパク質を還元条件下にSDS−PAGE(SDS−ポリアクリルアミドゲル泳動)を行い、クマシーブリリアンブルー(CBB)染色を施してタンパク質を可視化した像を図1に示した。レーン2に約26kDaのGSTタンパク質、レーン3に約60kDaのGST−VDRタンパク質を検出し、GST−VDRレジンが作製できた。レーン1には分子量マーカーを泳動している。
[実施例2] GST−VDR(DEF)への結合タンパク質の精製と同定
Dignam JD.らNucleic Acids Research,1983,Vol.11,No.5 1475−1489に記載されている方法に従って、ヒト骨芽細胞株であるHOS細胞(ATCCより購入した。品番CRL−1543)から、核抽出タンパク質を調製した。得られた核抽出タンパク質はバッファD(20mMHEES、10%グリセロール、0.15M KCl、0.2mMEDTA、0.5mMPMSF、0.01%2−メルカプトエタノール(pH=7.9))に溶解している。この核抽出タンパク質を、VDRのリガンドである1,25(OH)2D3非存在下および存在下においてGST−VDRレジンと1時間ないし一晩混合した後、GST−VDRレジンを洗浄し、特異的な結合タンパク質のみがGST−VDRレジンに結合している状態とした。このGST−VDRレジンに15mM濃度還元型グルタチオン溶液(pH=8.0)によりレジンに結合しているタンパク質を溶出した。実施例1と同様に溶出されたタンパク質を還元条件下にSDS−PAGEを行い、その後、ゲルを銀染色(SilverQuestTM Silver StainingKit:Invitrogen社を用いた)を施した結果を図2に示す。レーン3のリガンド存在下でのみ検出される、または、レーン2よりも強く検出されるタンパク質バンドがリガンド存在下に特異的にVDRに結合するタンパク質であり、これらのバンド切り出し、DTTによる還元ヨードアセタミドによるアルキル化を行い、ゲル内でトリプシン消化した後、ペプチドをゲル内から溶出し、ペプチド溶液をa−cyano−4−hydroxycinnamic acidと混合してultraflexTM(ブルカー・ダルトニクス社)付属ターゲットスポットし、業者指定の方法により質量分析し、ペプチドマスフィンガープリント法により解析することによりCCAAT Displacement Protein(CDP)を同定した。VDRにCDPが結合することはこれまでに知られていない。
[実施例3]ウェスタンブロッティングによるCDPの検出
実施例2の溶出液の一部を還元条件下SDS−PAGEを行いPVDFメンブレンミリポア社、品番IPVH304F0)にブロットし、常法に従って検出した。一次抗体はanti−CDP(M−222)rabbit polyclonalIgG(SantaCruzBiotechnology社、品番sc−13024)、rabbit polyclonal IgG(SantaCruzBiotech)を用い、2次抗体はHRP標識したanti‐rabbitIgG(アマシャムバイオサイエンス社、品番NA934V)をもちいた。検出にはECLPlus(GEヘルスケアバイオサイエンス社、品番RPN2132)を用いた。結果を図3に示した。CDPのバンドはリガンド非存在下であるレーン3には殆ど検出されないが、リガンドが存在するレーン4ではCDPのバンドは強く検出されている。また、比較対照として骨芽細胞ではない子宮癌由来細胞であるHeLa細胞の核抽出タンパク質を同様に得てリガンド存在下にGST−VDRと混合し、還元型グルタチオンで結合タンパク質を溶出したものをレーン5で泳動している。レーン5ではCDPのバンドが見られないことから、CDPのリガンド存在下のGST−VDRへの結合は骨芽細胞特異的であることが示された。一方でGST−VDRと直接結合しないが、既にリガンド存在下にGST−VDRに複合体(DRIP複合体)を形成して結合する因子の一つとしてTRAP100が知られている(Rachezら、Genes & Development,1998,12,1787−1800)。そこでTRAP100を同様に1次抗体としてanti−TRAP100 goat IgG(C−16)(SantaCruzBiotechnology社、品番sc−5338)を用いて、2次抗体としてanti−goatIgG HRP(DAKO社、品番P0449)を用いウェスタンブロッティングにより検出したところ、レーン4、5において、HOS細胞(レーン4)においてもHeLa細胞から調製した核抽出タンパク質を用いた場合(レーン5)においてもリガンドが存在している条件であればTRAP100を確認できた。これらことから、TRAP100のようなタンパク質は細胞によらずにGST−VDRにリガンド依存的に複合体を形成して結合することが示された。レーン1とレーン7にHOS細胞とHeLa細胞の核抽出タンパク質を泳動している。この比較より、CDPタンパク質の核抽出タンパク質中の存在量自体がHOS細胞の方が、HeLa細胞よりも多いことが示された。
[実施例4] GST−pulldownアッセイによるCDPとVDRの直接の結合性
TnT SP6 Coupled Reticulocyte Lysate System(Promega社、品番L4600)を用いて1.5mLチューブ内で35S標識されたCDPタンパク質を合成した。テンプレートDNAはpSPORT6ベクター(Invitrogen社)のSP6プロモーター下流のマルチクローニングサイト内にCDPをコードする配列(GenBankAcc.BC066592)が挿入されているものをOpenbiosystem社から購入(品番EHS1001−7516597)して用いた(pSPORT6−CDP)。GSTまたは、GST−VDR結合したグルタチオンセファロース4Bレジン25uLと、35S標識されたCDPタンパク質とをNET−N+バッファー(50mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、5mM EDTA、0.5%NP40)中に1,25(OH)2D3 10−6M存在、非存在下、4℃条件下1時間混和した。レジンを遠心分離し、上清を除去し、NET−N+バッファーにてレジンを3回洗浄した。得られたレジンにSDSサンプルバッファーを加え、還元条件下での10%変性アクリルアミドゲルによるSDS−PAGEに供した。ゲルを乾燥し、バイオイメージングアナライザー(富士フィルム社、品名BAS1500)により35S標識CDPを検出した。その結果を図4に示す。GSTタンパク質のみが結合したレジン(レーン2)、及びリガンドが存在していない条件でのGST−VDR(DEF)レジンには35S標識CDPは結合がみられず(レーン3)、リガンドが存在している条件下にのみ35S標識CDPを検出した(レーン4)。このことから、CDPはリガンド依存的にVDRに結合することが示された。
[実施例5] CDPの骨芽細胞分化過程での遺伝子発現
ヒト骨膜由来細胞であるSaM−I細胞(Koshihara Y et al.(1987)Biochem Biophys Res Commun 145:651−7,Koshihara Y et al.(1989)In Vitro Cell Dev Biol 25:37−43,Togari A et al.(1997)Neurosci Lett 233:125−8)を28日間、Minimum Essential Medium Alpha Medium(Invitrogen社、品番12571−071)、10%胎仔血清カナマイシン0.1mg/mL、2mM α−glycerophosphate(東京化成工業、品番G0096)、各種濃度の1,25(OH)2D3存在下及び非存在下にて、2〜3日に一度培地を交換しながら培養した。28日目の最終分化(石灰化)するまでの間、培養4日目、7日目、14日目、28日目に細胞を回収し、RNeasyMiniKit(QIAGEN社、品番74104)により総RNAを抽出し、OmmniscriptRTKit(QIAGEN社、品番205110)によりcDNAを合成した。cDNAとSYBR GreenPCRMaster Mix(Applied Biosystems社製、品番4367659)と各種遺伝子の増幅に適したプライマーオリゴを混合し骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ、オステオカルシンとCDP、及び普遍的に発現しているハウスキーピング遺伝子として知られるベーターアクチンの遺伝子発現の変動をGeneAmp 5700 Sequence Detection System(Applied Biosystems社製)または、ABIPRISM7000 Sequence Detection System(Applied Biosystems社製)を用いてリアルタイムRT−PCRにより検討した。各種遺伝子に相補的なオリゴは一般的な方法により設計し、シグマジェノシス社により合成した。結果をベータアクチンの発現量に対する相対値で示した。オステオカルシン、CDPのCT値(検出の増幅閾値に達した時のサイクル番号)はΔΔCT法により、ヒトのベータアクチン(Applied Biosystems社製)発現量に対して標準化した。相対的発現量の値は、式:2−(対象とする遺伝子のΔΔCT−ベータアクチンΔΔCT)により計算した。
図5に示すように骨芽細胞分化マーカーであるオステオカルシン遺伝子発現(図5B)と同様にCDPの遺伝子発現が亢進していることを示している(図5A)。この事からCDPは1,25(OH)2D3刺激による骨芽細胞分化に関与をしていることが示唆された。
[実施例6] CDPによるVDRを介した骨芽細胞選択的な転写活性化への影響
CDPの発現がVDRリガンド依存的転写活性化を増加させるかどうかを測定するため、一過性トランスフェクションによるデュアルルシフェラーゼアッセイを行った。デュアルルシフェラーゼアッセイに用いたレポーターベクターはルシフェラーゼ遺伝子の上流に17merのUAS配列を5回繰り返した配列を組み込んだpGL3ベクターを構築した。pGL3ベクターはpromega社から購入した。更に、ヒトVDRリガンド結合領域(DEF領域)をコードするDNA配列または、ヘルペスウイルス転写活性化因子であるVP−16の転写活性化ドメインをコードするDNA配列をGAL4DNA結合ドメイン(GAL4DBD)を有するpMベクター(CLONTECH Laboratories,Inc.製)に挿入し、プラスミドpM−VDR(DEF)、及び、pM−VP16を構築した。CDPタンパク質を細胞内で発現させるための発現ベクターは実施例4で使用したpSPORT6−CDPを用いた。アッセイに用いるHOS細胞は10%FBSを含むDMEM培地(Invitrogen社、品番1185−092)で培養し、2日あるいは3日ごとに継代した。培養の条件は37℃、5%CO2とした。アッセイ時のHOS細胞の培養には、10%DCC−FBS(チャコール処理したFBS)を含むフェノールレッド不含のDMEM培地(Invitrogen社、品番 11054−020)を使用した。HOS細胞を48穴プレートに8×104cells/0.25mL/ウエル密度となる計算で細胞懸濁液を調製し、Lipofectamin2000(Invitrogen社、品番11668−019)試薬を用いてレポーターベクター、各種pMベクター、発現ベクター等をトランスフェクションするための混合液を調製し、それを細胞懸濁液に混合し、細胞を1ウェルあたり0.25mLづつ撒きこみ、2時間後にVehicle(エタノール)もしくは1,25(OH)2D3(10−8M)を含む10%DCC−FBS(チャコール処理したFBS)を含むフェノールレッド不含のDMEM培地と交換した。24時間後に培地を取り除き、PBS(−)で一度洗浄した後、Dual−Luciferase Reporter Assay System(Promega社、品番E1980)に従って、ルミノメータベルトルドジャパン社製、品名 MicroLumat LB 96V)によりルシフェラーゼ活性を測定した。結果はホタルルシフェラーゼ活性/レニラルシフェラーゼ活性の値をFoldactivationとしてあらわした。図6AではpM−VDRによる転写活性化は1,25(OH)2D3(10−8M)存在下に亢進しており、その活性をCDPが発現されると更に亢進することを示している。それに対して、図6BではpM−VP16による転写活性化は1,25(OH)2D3(10−8M)の存在に関係なく、また、CDPの発現によっても影響を受けていない。この結果より、CDPの転写活性化はVDRに対して選択性があることを示している。
[実施例7] CDPによるHOS細胞の骨芽細胞分化への影響
CDPをHOS細胞に発現させると1,25(OH)2D3による骨芽細胞分化を誘導することを検討するため、HOS細胞にpSPORT6−CDPをLipofectamin2000試薬(Invitrogen社)を用いて遺伝子導入し、細胞がコンフルエントになり、24時間経過した後、Minimum Essential Medium Alpha Medium、10%牛胎仔血清、50ug/mLアスコルビン酸、各種濃度の1,25(OH)2D3または、Vehicle(エタノール)存在下培養した。3日後に細胞を回収し、RNeasy Mini kit(QIAGEN、品番74104)にて総RNAを抽出した。SuperScriptIII RT(Invitrogen社、18080−044)によりoligo dT primerを用いて逆転写反応を行い、リアルタイムRT−PCR法(Applied Biosystems社製GeneAmp 7000)にて各種遺伝子発現量を測定した。各遺伝子発現量はハウスキーピング遺伝子であるGAPDHにて補正し、GAPDHと、夫々の遺伝子発現量の相対値を示した。計算式は実施例5と同様にして行った。 CDPを導入した群については1,25(OH)2D3刺激によるCYP24(図7A)の他、骨芽細胞分化マーカーとして知られるアルカリフォスファターゼ(ALP)(図7B)、オステオカルシン(図7C)の遺伝子発現が亢進した。このことから、CDPは1,25(OH)2D3刺激による骨芽細胞分化を亢進する事が示唆された。
[実施例8] CDPによるVDRを介したVDR標的遺伝子発現への影響
CDPの発現がVDRリガンド依存的転写活性化を増加させるかどうかを測定するため、一過性トランスフェクションによるデュアルルシフェラーゼアッセイを実施例6と同様にして行った。デュアルルシフェラーゼアッセイに用いたレポーターベクターはルシフェラーゼ遺伝子の上流にヒトCYP24遺伝子プロモーター部分の配列または、ヒトオステオカルシン遺伝子プロモーター部分の配列を組み込んだpGL4ベクターを構築した。pGL4ベクターはpromega社から購入した。更に、ヒトVDRの4〜427アミノ酸残基の領域をコードするDNA配列をコードするDNA配列をpTracerCMV2ベクター(Invitrogen社)に挿入しヒトVDR発現プラスミドを構築した。CDPタンパク質を細胞内で発現させるための発現ベクターは実施例4で使用したpSPORT6−CDPを用いた。アッセイに用いるHOS細胞は10%FBSを含むDMEM培地で培養し、2日あるいは3日ごとに継代した。培養の条件は37℃、5%CO2とした。アッセイ時のHOS細胞の培養には、10%DCC−FBS(チャコール処理したFBS)を含むフェノールレッド不含のDMEM培地を使用した。HOS細胞を48穴プレートに8×104cells/0.25mL/ウエルの密度となる計算で細胞懸濁液を調製し、Lipofectamin2000(Invitrogen社)試薬を用いてレポーターベクター、各種発現ベクター等をトランスフェクションするための混合液を調製し、それを細胞懸濁液に混合し、細胞を1ウェルあたり0.25mLづつ撒きこみ、2時間後にVehicle(エタノール)もしくは1,25(OH)2D3(10−8M)を含む10%DCC−FBS(チャコール処理したFBS)を含むフェノールレッド不含のDMEM培地と交換した。24時間後に培地を取り除き、PBS(−)で一度洗浄した後、Dual−Luciferase Assay kit(Promega社)に従って、ルミノメータ(ベルトールド社)によりルシフェラーゼ活性を測定した。結果はホタルルシフェラーゼ活性/レニラルシフェラーゼ活性の値を「転写活性化」として表した。図8AではヒトCYP24プロモーターのVDRを介した転写活性化は1,25(OH)2D3(10−8M)存在下に亢進しており、その活性をCDPが発現されると更に亢進することを示している。同様に、図8Bではヒトオステオカルシンプロモーターの転写活性化は1,25(OH)2D3(10−8M)存在下に亢進しており、その活性をCDPが発現されると更に亢進することを示している。この結果より、天然のVDR標的遺伝子であるCYP24やオステオカルシンのプロモーターにおいてもVDRを介した転写活性化を亢進することを示している。ただし、図8BではVDR発現ベクターを遺伝子導入せずにHOS細胞内に存在するVDRを用いてアッセイしている。
[実施例9] HOS細胞内でのVDRとCDPのリガンド依存的な結合
CDPが実際の細胞内で1,25(OH)2D3存在下にVDRと結合しているかどうかを検討するため、まず、ヒトVDRをコードするDNA配列のN末にFLAGタグ配列をコードするDNA配列をつなぎ合せたDNA配列をpcDNA3ベクター(Invitrogen社)に挿入しFLAG−ヒトVDR(FLAG−hVDR)発現プラスミドを構築した。HOS細胞にpSPORT6−CDP、FLAG−hVDRを両方もしくは片方のみのプラスミドをLipofectamin2000試薬(Invitrogen社)を用いて遺伝子導入し(各発現プラスミドを遺伝子導入したサンプルには図9中に「+」、遺伝子導入していないサンプルには「−」で示している。)、24時間経過した後、各種濃度の1,25(OH)2D3または、Vehicle(エタノール)を含み、10%FBSを含むDMEM存在下24時間培養した。その後、細胞をPBSで洗浄し、スクレーパーでかきとり、遠心機にて細胞を集めた。更に、細胞をTNEバッファ(20mMHEPES(pH7.9)、150mM NaCl、1%NP40、1mM EDTA)にて溶解し、4℃条件下、15000xgで30分間遠心分離し上清を細胞溶解液とした。この細胞溶解液に抗FLAG(登録商標)M2レジン(SIGMA社製、品番A2220)を添加し、1,25(OH)2D3存在下および非存在下に3時間、4℃条件下に混合した。その後、レジンをTNEバッファで3回洗浄し、レジンにSDSサンプルバッファを添加しSDS−PAGEに供した。SDS−PAGEとウェスタンブロッティング方法は実施例3と同様に行った。得られたサンプルをSDS−PAGEし、ウェスタンブロッティングにてCDP及びFLAG−VDRを検出した。なお、FLAGペプチドに対する一次抗体はSIGMA社製、抗FLAGウサギIgG(品番F7425)を用いた。CDPタンパク質の検出には抗CDPヤギIgG(C−20)(SantaCruzBiotechnology製、品番 sc−6327)を用いた。結果を図9に示した。レーン1〜3の「Input」は抗FLAG抗体レジンと混合する前の細胞溶解液をそのままSDS−PAGEに供したものであり、レーン4〜6の「IP:FLAG」は抗FLAG抗体レジンと混合することで、FLAG−VDRをFLAG−VDRに結合しているタンパク質とともに免疫沈降することで得られたタンパク質を、SDS−PAGE及びウェスタンブロッティングに供した結果を表している。レーン6ではCDPタンパク質のバンドを検出したが、レーン5では殆ど検出できない。一方、FLAG−VDRはレーン5,6とも同様に検出している。すなわち1,25(OH)2D3が存在しているレーン6ではFLAG−VDRとCDPが結合し、複合体として免疫沈降されているが、1,25(OH)2D3が存在しないレーン5ではFLAG−VDRとCDPの複合体が形成せずにFALG−VDRが免疫沈降されたことを示す。
[実施例10] CDPのHOS細胞特異的なVDRとの結合
実施例2、3と同様にして、Caco−2細胞から核抽出タンパク質を得て、CDPとVDRがリガンド依存的に結合するかどうかを検討した結果を図10に示す。比較としてHOS細胞由来の核抽出タンパク質を用いて検討した。「Input」はGST−VDRレジンと混合する前の核抽出タンパク質をそのままSDS−PAGEに供したレーンを示す。Caco−2由来核抽出タンパク質は、1,25(OH)2D3(10−6M)非存在下及び存在下にGST−VDRと一晩4℃条件下で混合したのちレジンをバッファーDで洗浄し、還元型グルタチオンで溶出し、SDS−PAGEし、ウェスタンブロッティングにてCDPおよびTRAP100を検出した。ただし、HOS細胞由来核抽出タンパク質は、1,25(OH)2D3(10−6M)存在下にGST−VDRと一晩4℃条件下で混合した。ウェスタンブロッティングの結果を図10に示す。レーン1よりCaco−2細胞においてもCDPは発現していることがわかる。また、レーン2、3から1,25(OH)2D3存在下にVDRへ複合体を形成して結合する既知因子TRAP100はGST−VDRへ結合しているにもかかわらず、CDPは結合していないことを示している。一方でHOS細胞由来核抽出タンパク質を用いたレーン4では、リガンド存在下にCDPがGST−VDRへ結合している。このことは、CDPは骨芽細胞特異的にVDRと1,25(OH)2D3存在下に結合することを示している。
[実施例11] CDP−VDR複合体のDRIP複合体との分離
HOS核抽出タンパク質溶液を用いて、1,25(OH)2D3存在下に形成されたGST−VDRとCDPの複合体と、既によく知られるVDRタンパク質複合体であるDRIP複合体の各々の分子量を検討するために、GST−VDRと複合体を形成したサンプルをグリセロール密度勾配遠心法を用いてサイズ分画した。まず、実施例2,3と同様に1,25(OH)2D3(10−6M)存在下に形成された複合体を還元型グルタチオンで溶出し、バッファーDの組成の中のグリセロール濃度が20〜50%の濃度勾配を持つバッファ10mLが入った遠心管日立工機製、品名 13PAチューブ)の最上部に重層し、16時間、4℃、38,000回転、RPS−40T480ローター(日立工機製)を用いて遠心した(日立工機社製CP70Gまたは、CP100MX)。遠心分離後、上層から300マイクロリッターずつ回収し、分画した。夫々の溶液を等量の20%トリクロロ酢酸アセトンを加え、10分間氷浴静置し、4℃、15000xg程度にて30分間遠心することによりタンパク質を沈殿させ上清を除き、氷冷したエタノールにて沈殿を洗浄した後、乾燥させ、SDSサンプルバッファに溶解した。これをSDS−PAGEを行い、上記と同様にしてウェスタンブロッティングによりCDP、TRAP100、及びVDRタンパク質を検出した。VDRの検出には一次抗体として、抗VDR(C−20)ウサギIgG(SantaCruzBiotechnology社、品番sc−1008)を用い、二次抗体として抗ウサギIgG HRP(アマシャムバイオサイエンス社、品番 NA934A)を用いた。検出はECL plus試薬(GEヘルスケアバイオサイエンス社、品番RPN2132)を用いた。結果を図11に示す。「Input」は分画する前のGST−VDRの1,25(OH)2D3存在下に結合するタンパク質の還元型グルタチオン溶出液を示す。画分の番号は小さいものからグリセロール密度の低い部分の分画であり、画分の番号が大きい画分(下層)よりも小さい分子量のタンパク質複合体が分画される。ここで用いた20〜50%グリセロール密度勾配遠心法では予備検討の結果より第5画分付近に150kDa、第8画分付近に760kDaのタンパク質が分画されることがわかっている。結果を図11に示した。既知のリガンド依存的なVDR複合体であるDRIP複合体のコンポーネントであるTRAP100は第10画分から第22画分まで検出されており少なくとも1MDa程度の複合体を形成していることが示唆される。実際DRIP複合体は1MDa程度の大きさの複合体を形成することが知られている。一方でCDPは第4画分から第8画分まで検出されている。約150〜200kDaの分子量のタンパク質が分画されると予想できる第4、5画分に出現したCDPは何も複合体を取っていないものと考えられるが、第6〜8画分に分画されるCDPは約300から760kDaの複合体を形成していることを示唆している。また、VDRはいずれの画分にも検出できるためCDPおよびDRIP複合体に含まれていることがわかる。これらのことは、CDPとVDRが形成する複合体は、DRIP複合体とは別個の新規なタンパク質複合体であることを示している。
また、上記グリセロール密度勾配遠心法に供する前の、GST−VDRレジンに結合したリガンド存在下でVDRに結合しているタンパク質複合体の還元型グルタチオン溶出液400マイクロリットルに、抗CDPヤギIgG(C−20)(SantacruzBiotechnology製、品番 sc−6327)を加えて2時間、4℃条件下に混合し、ProteinG Sepharose 4 FastFlow(以下ProteinGレジン)(GEヘルスケアバイオサイエンス社、品番17−0618−01)を添加し、さらに2時間、4℃条件下に混和した。その後、ProteinGレジンを遠心により集め、フロースルーを回収した。ProteinGレジンは4回バッファーDで洗浄し、SDSサンプルバッファを加えてProteinGレジンに結合したタンパク質をSDS−PAGE及びウェスタンブロッティングに供した。CDPに結合していないタンパク質であるフロースルーにもSDSサンプルバッファを加えてウェスタンブロッティングに供した。結果を図12に示した。図中レーン1の「Input」は、抗CDP抗体を加える前の、GST−VDRと1,25(OH)2D3存在下に結合するタンパク質の還元型グルタチオン溶出液サンプルを示す。レーン2では抗CDP抗体により免疫沈降したタンパク質が泳動されており、CDPが検出されているが、TRAP100は検出されない。一方でレーン3のフロースルー(FT)にはCDPは検出されないが、TRAP100は検出される。また、レーン1〜3を通してVDRは検出される。これらのことから、CDP−VDR複合体は、TRAP100が含まれる既知のDRIP複合体とは別個の複合体であることが示された。
[実施例12]ヒト骨膜由来細胞の骨芽細胞分化系におけるCDPの作用
CDPを哺乳動物において過剰発現させるためのアデノウイルスをAdeno−X Expression System 2[Clontech Laboratories Inc.(USA)]に従って作製した。あわせて、比較としてCDPを発現しないアデノウイルスも作製した(Ad−mock)。
SaM−1細胞はMinimum Essential Medium(MEM)Alpha Medium(Invitrogen社、品番12571−071)、10%牛胎仔血清、カナマイシン0.1mg/mL含有培地増殖用培地)にて培養した。この細胞を24ウェルのマルチウェルプレート播種し培養した。細胞が80%程度コンフルエントになった時点でウイルスを含む増殖用培地に交換し一晩培養して細胞をウイルスに感染させた後、ウイルスを含まない増殖用培地に交換した。CDPを過剰発現させるウイルスを感染させた場合を(Ad−CDP)、CDPを過剰発現させないウイルスを感染させた場合を、Ad−mockとして示した(図13)。更に一晩培養した後、Vehicleもしくは1,25(OH)2D3(10−8〜−7M)を含む分化用の培地(増殖用培地に2mM α‐Glycerophosphate(東京化成工業、品番G0096)を含有する培地)に培地を交換し、2日おきに培地を交換しながら7日間培養した。7日目培養後にアルカリフォスファターゼ染色を行った。Ad−CDP群およびAd−mock群はともに、1,25(OH)2D3刺激により青色に染色されたアルカリフォスファターゼ陽性細胞数が増加した。また、Ad−CDP群における、1,25(OH)2D3刺激によるアルカリフォスファターゼ陽性細胞数の増加は、より顕著であった。このことは、CDPの過剰発現により、1,25(OH)2D3刺激の作用が骨芽細胞分化過程においても亢進することを示唆している。
なお、SaM−1細胞に限らず、その他の骨芽細胞様細胞においても同様に本実施例を行うことができる。

0008

本発明によって、骨芽細胞分化に関与するVDRリガンドをスクリーニングするための新規な方法が提供される。例えば、これを用いて骨芽細胞選択的な活性の強い試験化合物を選択し、副作用である血中カルシウム上昇作用を軽減あるいは消失させ骨芽細胞選択的にVDRリガンド作用を示す治療薬を早期に創製することを可能とする。
本発明によれば、in vitroで、骨芽細胞分化に関与するVDRリガンドをスクリーニングするための新規な方法が提供される。さらに、本発明のスクリーニング方法で得られる化合物は骨芽細胞での作用が顕著であることから、骨形成作用が強く、高カルシウム血症等の副作用が少ない化合物をスクリーニングするための新規な方法が提供される。
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