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技術 チトクロムcを測定することによる肺傷害検査方法および検査キット

出願人 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
発明者 桑野和善青山宗夫
出願日 2007年6月14日 (12年5ヶ月経過) 出願番号 2008-521247
公開日 2009年11月12日 (10年0ヶ月経過) 公開番号 WO2007-145274
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 簡易検査 正常値上限 早期治癒 肺疾患患者 肺真菌症 上昇値 検査所 エスクロ
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重要な関連分野

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図面 (5)

課題・解決手段

間質性肺疾患などにおける傷害検査方法、及び、肺傷害を伴う肺疾患の検査方法を提供する。気管支肺胞洗浄液中のチトクロムc濃度を測定することにより間質性肺疾患などにおける肺傷害の検査が可能となる。また、肺傷害を伴う肺疾患を検査できる。

概要

背景

肺疾患には、肺癌縦隔腫瘍呼吸器感染症肺炎抗酸菌症,肺真菌症)、慢性閉塞性肺疾患間質性肺疾患間質性肺炎)、急性呼吸窮迫(促迫)症候群(ARDS)、気管支喘息アレルギー性肺疾患、自然気胸サルコイドーシス気管支拡張症肺血栓塞栓症睡眠時無呼吸症候群外来簡易検査)等があり、さまざまな診断方法がある。特に、間質性肺疾患は、肺胞の壁(間質)に炎症がおきる疾患を総称するもので、その中でも繊維化を起こしやすい疾患を特に間質性肺炎と呼んでいる。間質性肺炎は、肺胞の形も不規則になって、肺全体が少し固くなっていく。その結果、肺のふくらみが悪くなり肺活量がおちると同時に、酸素吸収効率も悪くなってゆき、息苦しくなったり、が出たりして、さらに進行すると、 肺は線維性成分の固まりとなり、この部分での肺としての機能が失われる。この間質性肺炎には、特発性肺線維症非特異性間質性肺炎、急性間質性肺炎特発性器質化肺炎剥離性間質性肺炎呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患、リンパ球性間質性肺炎等の疾患があるが、肺胞細胞傷害の程度により、治療方法を変えることが疾患の早期治癒に重要である。

急性呼吸窮迫症候群は、ショック肺とも呼ばれ、さまざまな原因によって引き起こされる急性の呼吸困難重症低酸素血症、肺損傷の総称をいう。肺の間質や肺胞腔に水分と細胞浸潤がみられ、酸素化(血液中に酸素を取り込むこと)が損なわれる症状が見られる。その本体は、血管内皮細胞が損なわれて血管の透過性が進み、その結果もたらされる急性肺水腫と考えられている。

ところが、現在、肺傷害(肺胞細胞の傷害)の程度を容易に検査する方法がなく、特に間質性肺疾患や急性呼吸窮迫症候群において、肺傷害を表すマーカーが望まれている。

一方、チトクロムcは、ミトコンドリアにおける電子伝達系の重要な蛋白質として知られているが、細胞アポトーシス引き金となる刺激に曝され、アポトーシスの状態になると、ミトコンドリアにあったチトクロムcが急速にサイトゾルへと放出されることが報告されている(非特許文献1)。そしてサイトゾルのチトクロムcは、アポトーシスのキーファクターであるカスパーゼ(caspase)-3の活性化に関与し、チトクロムcの増加が、アポトーシス進行と関係することが報告されている(非特許文献2)。

チトクロムcを測定することにより種々の診断を行うことが知られている(特許文献1−2)。
国際公開01/35093号パンフレット
特開2003−028860号
Dinsdale D. et al., American J. Pathol. 155:607-18, 1999
Medina V. et al., Cancer Research 57:3697-707, 1999

概要

間質性肺疾患などにおける肺傷害の検査方法、及び、肺傷害を伴う肺疾患の検査方法を提供する。気管支肺胞洗浄液中のチトクロムc濃度を測定することにより間質性肺疾患などにおける肺傷害の検査が可能となる。また、肺傷害を伴う肺疾患を検査できる。

目的

ところが、現在、肺傷害(肺胞細胞の傷害)の程度を容易に検査する方法がなく、特に間質性肺疾患や急性呼吸窮迫症候群において、肺傷害を表すマーカーが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

肺疾患における傷害検査方法であって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量することにより肺傷害を検査することを特徴とする方法。

請求項2

肺傷害が間質性肺疾患における肺傷害である、請求項1記載の方法。

請求項3

肺傷害が急性呼吸窮迫症候群における肺傷害である、請求項1記載の方法。

請求項4

定量が免疫化学的方法による請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

以下の工程を含む請求項4記載の方法。(1)採取した体液中のチトクロムcを免疫化学的方法により定量する工程(2)定量した結果、正常値と比較して高値のときに肺傷害と判定する工程

請求項6

免疫化学的方法が抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応による方法である、請求項4又は5に記載の方法。

請求項7

抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域緩衝液中で行う、請求項6記載の方法。

請求項8

酸性領域がpH3.0からpH6.0である、請求項7記載の方法。

請求項9

体液を含む溶液が気管支肺胞洗浄液である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

肺傷害検査用キットであって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量するための試薬を含むことを特徴とするキット

請求項11

肺傷害が間質性肺疾患における肺傷害である、請求項10記載のキット。

請求項12

肺傷害が急性呼吸窮迫症候群における肺傷害である、請求項10記載のキット。

請求項13

定量が免疫化学的方法による請求項10〜12のいずれか1項に記載のキット。

請求項14

免疫化学的方法が抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応による方法である、請求項13に記載のキット。

請求項15

抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域の緩衝液中で行うための緩衝液を含む、請求項14記載のキット。

請求項16

酸性領域がpH3.0からpH6.0である、請求項15記載のキット。

請求項17

体液を含む溶液が気管支肺胞洗浄液である請求項10〜16のいずれか1項に記載のキット。

請求項18

肺傷害を伴う肺疾患を検査する方法であって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量することにより肺傷害を伴う肺疾患を検査することを特徴とする方法。

請求項19

肺疾患が間質性肺疾患である、請求項18記載の方法。

請求項20

肺疾患が急性呼吸窮迫症候群である、請求項18記載の方法。

請求項21

定量が免疫化学的方法による請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。

請求項22

以下の工程を含む請求項21に記載の方法。(1)採取した体液中のチトクロムcを免疫化学的方法により定量する工程(2)定量した結果、正常値と比較して高値のときに肺傷害を伴う肺疾患と判定する工程

請求項23

免疫化学的方法が抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応による方法である、請求項21又は22記載の方法。

請求項24

抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域の緩衝液中で行う、請求項23記載の方法。

請求項25

酸性領域がpH3.0からpH6.0である、請求項24記載の方法。

請求項26

体液を含む溶液が気管支肺胞洗浄液である請求項18〜25のいずれか1項に記載の方法。

請求項27

肺傷害を伴う肺疾患の検査用キットであって、採取した気管支肺胞洗浄液中のチトクロムcを定量するための試薬を含むことを特徴とするキット。

請求項28

肺疾患が間質性肺疾患である、請求項27記載のキット。

請求項29

肺疾患が急性呼吸窮迫症候群である、請求項27記載のキット。

請求項30

定量が免疫化学的方法による請求項27〜29のいずれか1項に記載のキット。

請求項31

免疫化学的方法が抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応による方法である、請求項30記載のキット。

請求項32

抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域の緩衝液中で行うための緩衝液を含む、請求項31記載のキット。

請求項33

酸性領域がpH3.0からpH6.0である、請求項32記載のキット。

請求項34

体液を含む溶液が気管支肺胞洗浄液である請求項27〜33のいずれか1項に記載のキット。

技術分野

0001

本発明は、肺疾患における傷害検査方法および検査キットに関する。さらに詳しくは、間質性肺疾患または急性呼吸窮迫症候群等の肺疾患における肺傷害の検査方法および検査キットに関する。また、肺傷害を伴う肺疾患の検査方法及び検査キットに関する。

背景技術

0002

肺疾患には、肺癌縦隔腫瘍呼吸器感染症肺炎,肺抗酸菌症,肺真菌症)、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患(間質性肺炎)、急性呼吸窮迫(促迫)症候群(ARDS)、気管支喘息アレルギー性肺疾患、自然気胸サルコイドーシス気管支拡張症肺血栓塞栓症睡眠時無呼吸症候群外来簡易検査)等があり、さまざまな診断方法がある。特に、間質性肺疾患は、肺胞の壁(間質)に炎症がおきる疾患を総称するもので、その中でも繊維化を起こしやすい疾患を特に間質性肺炎と呼んでいる。間質性肺炎は、肺胞の形も不規則になって、肺全体が少し固くなっていく。その結果、肺のふくらみが悪くなり肺活量がおちると同時に、酸素吸収効率も悪くなってゆき、息苦しくなったり、が出たりして、さらに進行すると、 肺は線維性成分の固まりとなり、この部分での肺としての機能が失われる。この間質性肺炎には、特発性肺線維症非特異性間質性肺炎、急性間質性肺炎特発性器質化肺炎剥離性間質性肺炎呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患、リンパ球性間質性肺炎等の疾患があるが、肺胞細胞の傷害の程度により、治療方法を変えることが疾患の早期治癒に重要である。

0003

急性呼吸窮迫症候群は、ショック肺とも呼ばれ、さまざまな原因によって引き起こされる急性の呼吸困難重症低酸素血症、肺損傷の総称をいう。肺の間質や肺胞腔に水分と細胞浸潤がみられ、酸素化(血液中に酸素を取り込むこと)が損なわれる症状が見られる。その本体は、血管内皮細胞が損なわれて血管の透過性が進み、その結果もたらされる急性肺水腫と考えられている。

0004

ところが、現在、肺傷害(肺胞細胞の傷害)の程度を容易に検査する方法がなく、特に間質性肺疾患や急性呼吸窮迫症候群において、肺傷害を表すマーカーが望まれている。

0005

一方、チトクロムcは、ミトコンドリアにおける電子伝達系の重要な蛋白質として知られているが、細胞アポトーシス引き金となる刺激に曝され、アポトーシスの状態になると、ミトコンドリアにあったチトクロムcが急速にサイトゾルへと放出されることが報告されている(非特許文献1)。そしてサイトゾルのチトクロムcは、アポトーシスのキーファクターであるカスパーゼ(caspase)-3の活性化に関与し、チトクロムcの増加が、アポトーシス進行と関係することが報告されている(非特許文献2)。

0006

チトクロムcを測定することにより種々の診断を行うことが知られている(特許文献1−2)。
国際公開01/35093号パンフレット
特開2003−028860号
Dinsdale D. et al., American J. Pathol. 155:607-18, 1999
Medina V. et al., Cancer Research 57:3697-707, 1999

0007

本発明の課題は、肺傷害(肺胞細胞の傷害)の検査方法および検査キットを提供することである。

0008

また、他の課題は、肺傷害を伴う肺疾患、特に間質性肺疾患や急性呼吸窮迫症候群の検査方法および検査キットを提供することである。

0009

本発明者らは、肺胞細胞の傷害にアポトーシスが関与していると予測し、研究を行った結果、気管支肺洗浄液中の、アポトーシス関連タンパクであるチトクロムcを測定することにより肺胞細胞の傷害を検査できることを見出し、発明を完成するに至った。

0010

すなわち本発明は、以下に関する。
[1]肺疾患における肺傷害の検査方法であって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量することにより肺傷害を検査することを特徴とする方法。
[2] 肺傷害が間質性肺疾患における肺傷害である、項1記載の方法。
[3] 肺傷害が急性呼吸窮迫症候群における肺傷害である、項1記載の方法。
[4] 定量が免疫化学的方法による項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
[5] 以下の工程を含む項4記載の方法。
(1)採取した体液中のチトクロムcを免疫化学的方法により定量する工程
(2)定量した結果、正常値と比較して高値のときに肺傷害と判定する工程
[6] 免疫化学的方法が抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応による方法である、項4又は5に記載の方法。
[7] 抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域緩衝液中で行う、項6記載の方法。
[8] 酸性領域がpH3.0からpH6.0である、項7記載の方法。
[9] 体液を含む溶液が気管支肺胞洗浄液である項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

0011

[10]肺傷害検査用キットであって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量するための試薬を含むことを特徴とするキット
[11] 肺傷害が間質性肺疾患における肺傷害である、項10記載のキット。
[12] 肺傷害が急性呼吸窮迫症候群における肺傷害である、項10記載のキット。
[13] 定量が免疫化学的方法による項10〜12のいずれか1項に記載のキット。
[14] 免疫化学的方法が抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応による方法である、項13に記載のキット。
[15] 抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域の緩衝液中で行うための緩衝液を含む、項14記載のキット。
[16] 酸性領域がpH3.0からpH6.0である、項15記載のキット。
[17] 体液を含む溶液が気管支肺胞洗浄液である項10〜16のいずれか1項に記載のキット。

0012

[18]肺傷害を伴う肺疾患を検査する方法であって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量することにより肺傷害を伴う肺疾患を検査することを特徴とする方法。
[19] 肺疾患が間質性肺疾患である、項18記載の方法。
[20] 肺疾患が急性呼吸窮迫症候群である、項18記載の方法。
[21] 定量が免疫化学的方法による項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
[22] 以下の工程を含む項21に記載の方法。
(1)採取した体液中のチトクロムcを免疫化学的方法により定量する工程
(2)定量した結果、正常値と比較して高値のときに肺傷害を伴う肺疾患と判定する工程
[23] 免疫化学的方法が抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応による方法である、項21又は22記載の方法。
[24] 抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域の緩衝液中で行う、項23記載の方法。
[25] 酸性領域がpH3.0からpH6.0である、項24記載の方法。
[26] 体液を含む溶液が気管支肺胞洗浄液である項18〜25のいずれか1項に記載の方法。

0013

[27]肺傷害を伴う肺疾患の検査用キットであって、採取した気管支肺胞洗浄液中のチトクロムcを定量するための試薬を含むことを特徴とするキット。
[28] 肺疾患が間質性肺疾患である、項27記載のキット。
[29] 肺疾患が急性呼吸窮迫症候群である、項27記載のキット。
[30] 定量が免疫化学的方法による項27〜29のいずれか1項に記載のキット。
[31] 免疫化学的方法が抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応による方法である、項30記載のキット。
[32] 抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域の緩衝液中で行うための緩衝液を含む、項31記載のキット。
[33] 酸性領域がpH3.0からpH6.0である、項32記載のキット。
[34]体液を含む溶液が気管支肺胞洗浄液である項27〜33のいずれか1項に記載のキット。

図面の簡単な説明

0014

肺疾患患者の気管支肺胞洗浄液に含まれるチトクロムcの定量結果を示す(マンホイットニー順位和検定(Mann-Whitney U-test)による疾患群間における有意差も合わせて示す)。ARDS:急性呼吸窮迫(促迫)症候群、IPF:特発性肺線維症、NSIP:非特異的間質性肺炎、COP持続性器質化肺炎、CVD-IP:膠原病由来の間質性肺炎、HP:過敏性肺炎、SA:サルコイドーシス
肺疾患患者の気管支肺胞洗浄液に含まれるチトクロムcの定量結果を示す(分散分析(one wayANOVA)および多重比較(post hoc analysis)による疾患群間における有意差もあわせて示す)。ARDS:急性呼吸窮迫(促迫)症候群、IPF:特発性肺線維症、NSIP:非特異的間質性肺炎、COP:持続性器質化肺炎、CVD-IP:膠原病由来の間質性肺炎、HP:過敏性肺炎、SA:サルコイドーシス
図2の結果を、ARDS群以外の間質性肺炎の各疾患の差を示したものである。
モデル動物で気管支肺胞洗浄液中のチトクロムc量を測定した結果を示す。
特発性肺線維症患者血清中チトクロムc量を測定した結果を示す。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の検査方法は、肺傷害の検査方法であって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量することにより肺傷害を検査することを特徴とする。

0016

本発明において、肺傷害とは、肺胞細胞の傷害を意味する。肺疾患は、その種類により、肺傷害が現れる段階が異なるが、肺傷害を伴う場合が多い。従って、本発明は、肺傷害を伴う疾患、すなわち、肺傷害が現れる段階にある肺疾患の検査方法も提供する。進行段階により肺傷害の程度が異なる肺疾患であれば、本発明により肺疾患における段階が検査できる。

0017

ここで、肺疾患とは、肺癌,縦隔腫瘍,呼吸器感染症(肺炎,肺抗酸菌症,肺真菌症),慢性閉塞性肺疾患,間質性肺疾患(間質性肺炎),気管支喘息・アレルギー性肺疾患,自然気胸,サルコイドーシス,気管支拡張症,肺血栓塞栓症,睡眠時無呼吸症候群(外来簡易検査)等をいう。好ましくは、間質性肺疾患および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)であり、特に好ましくは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。

0018

本発明の検査方法は、肺傷害が早い段階から現れる肺疾患や、肺傷害の有無による段階の判定が重要な肺疾患に適用することが好ましい。

0019

採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを測定する方法としては、免疫化学的方法、電気泳動による方法、クロマトグラフィーによる方法等が考えられる。電気泳動による方法としては、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行ってチトクロムcをバンドとして検出する方法、キャピラリー電気泳動ピークとして検出する方法等がある。また、クロマトグラフィーによる方法としては、高速液体クロマトグラフィーでピークとして検出する方法等がある。場合によっては感度を上げるために、蛍光標識することも許される。

0020

体液を含む溶液としては、気管支肺胞洗浄液が挙げられるが、その他の体液(血液、血清血漿若しくは脳脊髄液等)を含む溶液であってもよい。ここで、体液を含む溶液は、体液そのものであってもよい。
気管支肺胞洗浄液は、通常の方法により採取されたものを用いることができる。

0021

チトクロムcを測定する方法としては、感度及び簡便性から免疫化学的方法が好ましい。ここで免疫化学的方法とは、チトクロムcに対する抗体を用いて、チトクロムcを定量する方法である。免疫化学的方法としては、チトクロムcを標識する競合法、抗体を標識するサンドイッチ法、抗体コートしたビーズ凝集を観察するラテックスビーズ法等、様々な方法があるが、チトクロムcに対する抗体を用いた方法であれば、本発明の好ましい態様に含まれる。抗体はモノクローナル抗体でも、ポリクローナル抗体でも良い。また標識する方法にも、放射性同位元素による標識、電気化学発光する化合物による標識、蛍光標識、酵素標識ビオチン標識等、様々な方法があるが、本発明はこれらの例に限られるものではない。

0022

本発明に使用される抗チトクロムc抗体は、チトクロムc(断片を含む)を検出できる抗体であれば特に制限はなく、ポリクローナル抗血清)でもモノクローナル抗体でもよい。

0023

本発明で言うポリクローナル抗体(抗血清)あるいはモノクローナル抗体は、既存の一般的な製造方法によって製造することができ、モノクローナル抗体は、抗体産生細胞自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)からハイブリドーマを調製し(ネイチャー(Nature)、第256巻、第495〜第497頁、1975年)、該ハイブリドーマをクローン化し、哺乳動物の免疫に用いた抗原に対して特異的親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを選択することによって製造することができる。

0024

またモノクローナル抗体の場合には、IgGIgMIgAIgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有するモノクローナル抗体をも包含する。好ましくは、IgGまたはIgMである。

0025

さらに、本発明における抗体には、抗体のフラグメントも含まれるものであり、この「抗体のフラグメント」とは、前述のようなモノクローナル抗体の一部分の領域を意味し、具体的にはF(ab')2 、Fab'、Fab 、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv(disulphide stabilised Fv)あるいはdAb(single domain antibody)などを意味する(エキスパートオピニオンオンテラピューティックパテンツ(Exp. Opin. Ther. Patents),第6巻,第5号,第441〜456頁,1996年)。

0026

本発明の方法では、好ましくは酸性領域で抗チトクロムc抗体とチトクロムcとを反応させる。本願明細書でいう酸性領域とは、抗体とチトクロムcの結合に影響を与える体液中の妨害物質の影響が減弱するpH領域である。pHを低下させることにより妨害物質の影響を減弱させることができるが、同時に抗体とチトクロムcの結合も弱くなるため、本発明の免疫化学的な測定におけるpHは、通常には、以下の条件を満たすpHに決められる。

0027

1.緩衝液中で10ng/mL、好ましくは1ng/mLのチトクロムcが定量可能な測定感度が得られる。
2.体液存在下での添加回収試験における回収率が70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上得られる。

0028

妨害物質の影響および抗体とチトクロムcの結合に及ぼすpHの効果は用いる抗体により異なるため、当該免疫化学的方法に用いるpHは、抗体毎に最適なpHを決めることができる。好ましくは、pH7以下、さらに好ましくはpH3.0〜pH6.0、特に好ましくはpH3.5〜pH5、その中でもさらに好ましくはpH3.5〜pH4.5である。

0029

以下に、免疫化学的な測定におけるpHを決める方法を具体的に示すが、pHを決める方法は、これに限定されるものではない。

0030

1.測定感度へのpHの影響
BSA等の適当な蛋白質、NaCl等の適当な塩類、必要により適当な界面活性剤を含むpH3〜pH7.5の緩衝液に、チトクロムcを1〜1000ng/mLに希釈する。当該免疫化学的な測定法が2ステップサンドイッチ法の場合、希釈したチトクロムcを固相化した抗チトクロムc抗体を反応させ、洗浄後、標識した抗チトクロムc抗体を加えて標識物質に対応した活性、放射性標識であれば放射活性、酵素標識であれば酵素活性により標識物質を検出する。

0031

また、当該免疫化学的な測定法が1ステップサンドイッチ法の場合、希釈したチトクロムcと固相化した抗チトクロムc抗体、標識した抗チトクロムc抗体を加えて反応させ、標識物質に対応した活性、放射性標識であれば放射活性、酵素標識であれば酵素活性により標識物質を検出する。

0032

10ng/mL、好ましくは1ng/mLのチトクロムcを含む検体から得られるシグナルが、チトクロムcを含まない緩衝液のみの検体のシグナルと比較して充分に強ければ、当該pHは免疫化学的測定法に用いる緩衝液のpHの候補として挙げられる。

0033

2.添加回収へのpHの影響
免疫化学的測定法に用いる検体(例えば、気管支肺胞洗浄液)に、既知量のチトクロムcを添加する。チトクロムcを添加した検体、及び添加しなかった検体中のチトクロムc量を、当該免疫化学的な方法により測定し、理論値に対する測定値比率を回収率とする。

0034

回収率は、添加したチトクロムc量をA、チトクロムc未添加検体中のチトクロムc測定値をB、チトクロムc添加検体中のチトクロムc測定値をCとして、
(1)測定値(C)/理論値(AとBの加重平均)、
(2)チトクロムc添加による測定値の上昇値(C−B)/添加量(A)、
の何れでも計算できる。

0035

回収率が70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上の場合、当該pHは免疫化学的測定法に用いる緩衝液のpHの候補として挙げられる。

0036

当該免疫化学的な方法に用いる緩衝液のpHは1.測定感度へのpHの影響、2.添加回収へのpHの影響を案して決定する。緩衝液の種類は、酸性条件に調整し得る緩衝液であれば特に制限されないが、例えばクエン酸リン酸緩衝液などが挙げられる。

0037

また、免疫化学的なチトクロムcの測定に当たり、酸性領域の緩衝液を用いる方法は、固相化した抗体と検体中のチトクロムcとを反応させる第1反応のみならず、第1反応で妨害物質が除去しきれなかった時に、第2反応(チトクロムcと標識抗体を反応させる工程)に用いても有効である。
本態様の方法は、第1反応で酸性領域の緩衝液を用いる方法に限られるものではない。

0038

本態様の方法では、通常には、酸性条件で抗チトクロムc抗体とチトクロムcとを反応させた後に、チトクロムcの検出を行う。検出は、好ましくは洗浄を行った後、例えば、標識された2次抗体を反応させ、標識に応じた検出法により、検出する方法が挙げられる。例えば、ビオチン標識された2次抗体を用いる場合は、さらに、アビジン標識されたペルオキシダーゼアルカリフォスファターゼなどの酵素を反応させた後、該酵素の基質を用いて発光又は発色により検出することができる。また、酵素標識された2次抗体、蛍光標識された2次抗体、ルテニウム標識された2次抗体などを用いてもよい。

0039

チトクロムcを測定する免疫化学的方法の例としては、例えば下記の参考例に記載した方法で調製したルテニウム錯体標識抗チトクロムc抗体を用いる方法が挙げられる。

0040

さらに本発明は、肺傷害検査用キットであって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量するための試薬を含むことを特徴とするキット、及び、肺傷害を伴う肺疾患検査用キットであって、採取した体液を含む溶液中のチトクロムcを定量するための試薬を含むことを特徴とするキットに関する。本発明のキットは、好ましくは、体液を含む溶液中のチトクロムcを免疫化学的に測定するための試薬、通常には、チトクロムc抗体を含む。本発明のキットは、さらに好ましくは、抗チトクロムc抗体とチトクロムcの反応を酸性領域の緩衝液中で行うことを特徴とするキットである。例えば、キット付属使用説明書に、酸性条件でチトクロムcと抗チトクロムc抗体の反応を行う旨が記載されたキットが挙げられる。また、酸性に調整した反応用緩衝液を含むキットでもよい。本発明のキットは抗チトクロムc抗体の他に、2次抗体、チトクロムc標準液希釈液洗浄液検出用の基質などを含むものでもよい。

0041

本発明の検査キットは、通常には、体液を含む溶液中のチトクロムcをチトクロムcに対する抗体を用いて定量するための試薬を含む。この態様の試薬は、例えば、抗体として抗チトクロムc抗体を用いる以外は、通常のサンドイッチ法に用いられる試薬と同様の構成でよい。その一例としてサンドイッチ法によりチトクロムcを測定する検査試薬は、例えば1)抗チトクロムc抗体コートカップ、抗チトクロムc抗体コートビーズなどの抗チトクロムc抗体コート固相、2)標識抗チトクロムc抗体、3)既知濃度のチトクロムc標準溶液、4)希釈液、5)洗浄液、を含有する試薬である。更に酵素標識であれば、6)発色基質、7)反応停止液が含まれてもよい。

0042

チトクロムcの定量結果を指標として用いることにより、肺傷害の程度が検査される。例えばチトクロムcの定量値が正常値と比較して高値であるときに、肺傷害と判定することができる。また、正常値上限カットオフ値)を設定し(例えば、コントロール群の濃度の平均値+標準偏差の2倍)、それとの比較で肺傷害の有無を判定してもよい。肺傷害を伴う肺疾患の検査も肺傷害の程度の検査と同様に行うことができる。

0043

以下に、具体的な例をもって本発明を示すが、本発明はこれに限られるものではない。%は、特記しない限り質量%である。

0044

[参考例1]抗チトクロムcモノクローナル抗体の作製
トチクロムc(R&D Systems社)110μg/100μLと65 mMリン酸緩衝液pH 7.5に溶解した2 mg/mLオブアルブミン55μLを混合して、そこへ65 mMリン酸緩衝液pH 7.5で希釈した1 mMグルタルアルデヒド42μLを加え、室温で2時間撹拌した。次に、0.15 M NaClで4℃において48時間透析し、等量のFCAとの混合物を作製し、BALB/Cマウス腹腔に0.1 mL免疫した。2週間おきに合計3回同様に免疫した。3回目の免疫の2週間後、マウスに生理食塩水に溶解したヒトチトクロムc50μg/100μLを尾静脈より静注した。3日後マウスから脾臓摘出して、常法に従い、脾臓リンパ球ポリエチレングリコール法によりミエローマ細胞P3X63 Ag8U.1と細胞融合した。ヒトチトクロムcを抗原としてスクリーニングを行い、ヒトチトクロムcに対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ(clone:27G9)を樹立した。

0045

樹立したハイブリドーマをエスクロSF-B培地(三光純薬社)で培養して増殖させ、BALB/Cマウス腹腔に接種した。1週間後、腹水を採取した。採取した腹水からプロテインAを用いてIgGを精製し、抗チトクロムc抗体(27G9抗体)を得た。

0046

[参考例2]抗チトクロムc抗体固相化ビーズの作製
抗チトクロムcモノクローナル抗体(clone:2B5F8(R&D Systems社))を、0.15M NaClを含む0.1 M酢酸緩衝液(pH 4.2)で透析し、OD280 nmが0.56になるよう0.15M NaClを含む0.1 M酢酸緩衝液(pH 4.2)で希釈した。希釈した抗体1.67 mLを、あらかじめ磁石を用いて0.15M NaClを含む0.1 M酢酸緩衝液(pH 4.2)3 mLで3回洗浄したビーズ(Dynabeads(登録商標) M-450 Epoxy, Dynal社)3.36 mL分と混合し、室温で17時間撹拌した。次にビーズをブロッキングバッファー(50 mM Tris・HCl, 1%BSA, 0.15 M NaCl, 0.1% NaN3, pH7.5)3 mLで懸濁し、室温で7時間撹拌してビーズをブロッキングした。ブロッキングされたビーズを150mM Tris・HCl, 1% BSA, 0.3%トレハロース, 0.03容量% Tween 20, 0.3% NaN3,EDTA, pH7.5、3 mLで3回洗浄し、150mM Tris・HCl,3% BSA, 0.3% トレハロース, 0.03容量% Tween 20, 75μg/mLマウスIgG, 0.3% NaN3, pH7.5、12.5mLに懸濁した。これを使用時に濃度を調整して測定に用いた。

0047

[参考例3]ルテニウム錯体標識抗チトクロムc抗体の作製
参考例1で作製した抗チトクロムcモノクローナル抗体(27G9抗体)をPBSで透析し、抗体濃度を0.5 mg/mLから2 mg/mLの範囲に調製した。抗体1 mLにジメチルスルホキシドに10mg/mL濃度で溶解したルテニウム錯体(ruthenium(II) tris(bipyridyl)-N-hydroxysuccinimide, IGEN Corp. USA)を12.2μL加え室温で30分撹拌した。次に2 Mグリシンを50μL加え、室温で10分撹拌した。それを、PBS-3(10 mMリン酸カリウム, 0.15M NaCl, 0.05% NaN3, pH 6)であらかじめ平衡化したSephadex G-25(GEヘルスケアバイオサイエンス社)カラム(1.5 cmφ x 30 cm)にアプライしてPBS-3で溶出し、1 mLでフラクション分取した。各フラクションのOD280 nmを測定し、第1ピークのフラクションを集め、ルテニウム錯体標識抗チトクロムc抗体とした。抗体濃度をMicro BCA protein Assay kit(PIERCE社)を用いて測定した。

0048

[参考例4]ヒトチトクロムc標準抗原の調製
チトクロムc標準抗原は、ヒトチトクロムc(R&D Systems社)を5%BSA、0.15 M NaCl, 0.1% NaN3を含む0.15 Mリン酸ナトリウム緩衝液pH 7.4で3000 ng/mL, 1000 ng/mL, 100 ng/mL, 10 ng/mL, 5 ng/mLに希釈して作製した。

0049

[実施例1]
急性呼吸窮迫(促迫)症候群、特発性肺線維症、非特異的間質性肺炎、持続性器質化肺炎、膠原病由来の間質性肺炎、過敏性肺炎、および、サルコイドーシスの患者、ならびに、健常者から気管支肺胞洗浄液を採取した。気管支肺胞洗浄液の採取方法は、1990年に厚生省特定疾患研究班により作成されたガイドラインに沿った。すなわち、滅菌生理食塩水150mLで気管支肺胞を洗浄し、回収した洗浄液をガーゼで漉して粘液を除去し、気管支肺胞洗浄液とした。

0050

検体希釈液(0.15M NaCl, 15mMEDTA, 2% Lipidure(登録商標)-BL802 (日本油脂社), 2% Lipidure(登録商標)-BL405 (日本油脂社), 0.1% NaN3を含む0.1Mこはく酸緩衝液, pH4.0)をピコルミTM8220用反応管(三光純薬社)に200μL入れ、次に検体を20μL注入した。

0051

以下の測定は、電気化学発光酵素免疫測定機ピコルミTM8220(三光純薬社)を用いて行った。

0052

反応管に、1%BSA, 0.3%スクロース, 0.01 容量% Tween 20, 0.1% NaN3を含む0.15 MPBS, pH 7.5でビーズ濃度1mg/mLに調整した抗チトクロムc抗体固相化ビーズ25μLを加えて9分反応させ、ピコルミBF洗浄液(三光純薬社)350μLで2回洗浄後、1% BSA, 0.3%スクロース, 0.01 容量% Tween 20, 0.1% NaN3を含む0.15 M PBS, pH 7.5で0.5−1μg/mLに調整したルテニウム錯体標識抗チトクロムc抗体200μLを加えて9分反応させた。ピコルミBF洗浄液350μLで2回洗浄後、ピコルミ発光電解液(三光純薬社)を300μL加えて発光カウント値計測した。

0053

横軸にヒトチトクロムc標準抗原濃度、縦軸にヒトチトクロムc標準抗原のカウント値をプロットして標準曲線を描き、その標準曲線を基に、気管支肺洗浄液の発光カウント値からそれぞれに含まれるチトクロムc量を算出し、マンホイットニー順位和検定(Mann-Whitney U-test)により疾患群間における有意差を検討した。

0054

その結果を図1に示す。図1によれば、非特異的間質性肺炎(NSIP)やコントロール(CONTROL)にはチトクロムc量の上昇が全く見られず、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、特発性肺線維症(IPF)、持続性器質化肺炎(COP)、膠原病由来の間質性肺炎(CVD-IP)、過敏性肺炎(HP)、サルコイドーシス(SA)ではチトクロムc量の上昇が見られた。特に急性呼吸窮迫症候群はチトクロムc量の上昇が顕著に見られた。チトクロムc量の上昇が見られない疾患は肺傷害を伴わない疾患であるか、又は、本実施例において気管支肺胞洗浄液を採取した患者では肺傷害が生じる段階に達していないと考えられる。

0055

次に、症例の疾患分類を詳細に検討した結果、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)1例を過敏性肺炎(HP)に、特発性肺線維症(IPF)1例を急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に変更した。更に、有意差検定の方法を分散分析(one wayANOVA)および多重比較(post hoc analysis)に変更して検討した。

0056

その結果を図2および図3に示す。図2および図3によれば、非特異的間質性肺炎(NSIP)、持続性器質化肺炎(COP)およびコントロール(CONTROL)にはチトクロムc量の上昇が全く見られず、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、特発性肺線維症(IPF)、膠原病由来の間質性肺炎(CVD-IP)、過敏性肺炎(HP)、サルコイドーシス(SA)ではチトクロムc量の上昇が見られた(p<0.05)。特に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)はチトクロムc量の上昇が顕著に見られた(p<0.0001)。チトクロムc量の上昇が見られない疾患は肺傷害を伴わない疾患であるか、又は、本実施例において気管支肺胞洗浄液を採取した患者では肺傷害が生じる段階に達していないと考えられる。

0057

[実施例2]
肺傷害の程度とチトクロムc量との関係をマウス実験動物モデルにおいて説明する。
ブレオマイシン(BLM)誘発肺傷害動物モデルは、ヒト急性肺傷害・特発性間質性肺炎のモデルとして広く使われている(Adamson IY. et al., American J. Pathol. 77:185-197, 1974)。7〜8週齢のC57BL/6雄性マウスフェノバルビタールナトリウムシェリングプラウ社)を腹腔内に投与して麻酔し、体重1kgあたり、滅菌生理食塩水に溶解した3.0Uのブレオマイシン(日本化薬社)を気管内投与して、肺傷害動物モデルを作製した。ブレオマイシン非投与群、投与後7日群、投与後14日群について、滅菌生理食塩水1mLで2回気管支肺胞内を洗浄して気管支肺胞洗浄液を採取した。気管支肺胞洗浄液中のチトクロムc量を測定した結果を図4に示す。

0058

以上のことより、チトクロムcを測定することにより、肺傷害の程度が評価でき、また、肺傷害を伴う肺疾患、特に急性呼吸窮迫症候群を検査できることが示された。

0059

[実施例3]
特発性肺線維症(IPF)患者の血清中チトクロムc量を測定した。
検体希釈液(0.15M塩化ナトリウム, 15mMEDTA, 2% Lipidure(登録商標)-BL802 (日本油脂社), 2% Lipidure(登録商標)-BL405 (日本油脂社), 0.1% NaN3を含む0.1Mこはく酸緩衝液, pH4.0)をピコルミTM8220用反応管(三光純薬社)に200μL入れ、次に血清を20μL注入した。

0060

以下の測定は、電気化学発光酵素免疫測定機ピコルミTM8220(三光純薬社)を用いて行った。

0061

反応管に、1%BSA, 0.3%トレハロース, 10mMEDTA, 0.15M塩化ナトリウム, 0.01 容量% Tween 20, 0.1% NaN3を含む50mM Tris・HCl, pH 7.5でビーズ濃度1mg/mLに調整した抗チトクロムc抗体固相化ビーズ25μLを加えて9分反応させ、ピコルミBF洗浄液(三光純薬社)350μLで2回洗浄後、1% BSA, 0.3%トレハロース, 0.15M 塩化ナトリウム, 0.01 容量% Tween 20, 0.1% NaN3を含む50 mM Tris・HCl, pH 7.5で0.5−1μg/mLに調整したルテニウム錯体標識抗チトクロムc抗体200μLを加えて9分反応させた。ピコルミBF洗浄液350μLで2回洗浄後、ピコルミ発光電解液(三光純薬社)を300μL加えて発光カウント値を計測した。

0062

横軸にヒトチトクロムc標準抗原濃度、縦軸にヒトチトクロムc標準抗原のカウント値をプロットして標準曲線を描き、その標準曲線を基に、気管支肺洗浄液の発光カウント値からそれぞれに含まれるチトクロムc量を算出した。

0063

その結果を表1及び図5に示した。表1に血清を採取した日、最初の採取日からの日数、及びそれぞれのチトクロムc量を示した。疾患は臨床所見検査所見により進行していることを確認し、チトクロムc量もそれに応じて上昇し、特に重篤肺障害を伴った死亡例では、著明な高値を呈することが解った。

0064

0065

以上のことより、チトクロムcを測定することにより、肺傷害の程度が評価でき、また、肺傷害を伴う肺疾患を検査できることが示された。

0066

本発明によれば、肺傷害(肺胞細胞の傷害)の程度を容易に検査することができる。また、肺傷害を伴う肺疾患、特に間質性肺疾患や急性呼吸窮迫症候群の検査を行うことができる。

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