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技術 廃水の処理方法

出願人 旭化成ケミカルズ株式会社
発明者 岡村大祐橋本知孝
出願日 2007年2月19日 (13年9ヶ月経過) 出願番号 2008-501696
公開日 2009年7月16日 (11年4ヶ月経過) 公開番号 WO2007-097269
状態 特許登録済
技術分野 半透膜を用いた分離 活性汚泥処理
主要キーワード 接着固定層 塩基性液体 豆腐工場 製糖工場 振動効果 近似線 引き抜き量 滅菌槽
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年7月16日)のものです。
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図面 (10)

課題・解決手段

本発明は、微生物を含む活性汚泥を収容した活性汚泥槽有機性廃水を流入させる流入工程と、前記活性汚泥槽にて前記有機性廃水を生物的に処理し、該活性汚泥槽に設置した分離膜装置によって処理液固液分離する分離工程と、を含む廃水処理方法であって、前記分離工程において、前記活性汚泥の水相中の糖濃度を一定範囲内に維持することを特徴とする廃水処理方法である。本発明の方法によれば、生物由来ポリマ−が膜表面に付着することにより有効膜面積が減少するリスクを適切に評価し、膜ろ過抵抗の上昇を防ぎながら効率よく廃水を処理することができる。

概要

背景

廃水処理方法の一つとして、活性汚泥槽に膜カ−トリッジを浸漬し、ろ過により活性汚泥処理液とに固液分離を行う膜分離活性汚泥法がある。この方法は活性汚泥濃度(Mixed Liquor Suspended Solid、以下MLSSという。)を5000から20000mg/lと極めて高くして固液分離を行うことができる。このため、活性汚泥槽の容積を小さくできたり、あるいは活性汚泥槽内での反応時間を短縮することができるという利点を有する。また膜によってろ過を行うため、処理水中に浮遊物質(Suspended Solid、以下SSということがある。)が混入しない。そのため、最終沈殿槽が不要であり、処理施設敷地面積を減らすことができる。また、活性汚泥の沈降性良否にかかわらずろ過ができるため、活性汚泥の管理も軽減される。膜分離活性汚泥法は、このように多くのメリットがあり、近年急速に普及している。

膜カ−トリッジには平膜中空糸膜が用いられている。特に中空糸膜は、膜自身の強度が高いため、有機性廃水から混入する夾雑物との接触による膜表面へのダメ−ジが少なく、長期間の使用に耐えることができる。更に、ろ過方向とは逆方向にろ過水等の媒体噴出させて膜表面の付着物を除去する逆洗を行うことができるという利点も有する。しかしながら、活性汚泥や活性汚泥中の微生物が代謝して生成される生物由来ポリマ−が膜面に付着することによって有効な膜面積が減少し、ろ過効率が低下する。このため、度々逆洗を行う必要があり、長期間の安定なろ過ができないという問題がある。

このような問題に対して、例えば特開2000−157846号公報(特許文献1)には、中空糸膜カ−トリッジの下部から空気等による曝気を行う方法が開示されている。この方法では、膜の振動効果と上方への気泡の移動による撹拌効果によって、膜表面および膜間に付着した活性汚泥凝集物原水から持ち込まれる夾雑物が剥離され、それらが蓄積するのを防ぐことができる。具体的には、例えば中空糸膜カ−トリッジの下部に下部リングを設置し、かつ下部リング側接着固定層に複数の貫通穴を設け、カ−トリッジ下部からの曝気により下部リング内に空気溜まりを形成することで、複数の貫通穴より均等に気泡を発生させている。

しかしながら、有機性廃水中有機物濃度の変動が激しい場合や、酸化剤、酸性液体および塩基性液体などが活性汚泥槽内に流入した場合、微生物が異常な量の代謝産物(生物由来ポリマ−という)を体外に排出することがある。生物由来ポリマ−が異常に高濃度の状態が続くと、もはや曝気では膜外表面に付着した生物由来ポリマ−を十分に剥離できず、膜ろ過抵抗が上昇してしまう。

一方、特開2005−40747号公報(特許文献2)には、生物処理槽曝気槽)中の生物由来ポリマ−量を測定し、生物処理槽における生物由来ポリマ−量を適時に低減させて膜面に過剰なポリマ−が付着することを防止しようとする方法が開示されている。この方法では、生物由来ポリマ−量としてCOD(chemical oxygen demand)値を求め、代用している。しかしながら、COD値には膜の細孔を素通りできる有機物の値も含まれる。そのため、生物由来ポリマ−の付着による膜面積減少のリスクを実際より過大に評価してしまい、生物由来ポリマ−を必要以上に低減させる作業が伴うことになり、廃水処理作業効率を低下させる可能性があった。

さらに、特開2002−1333号公報(特許文献3)には、生物処理槽内に存在する高分子有機化合物からなるろ過性阻害成分を減少させる方法が開示されている。この方法では、ろ過阻害成分を凝集剤を加えてからろ材よって分離するか、あるいは遠心分離を行ってろ過性阻害成分を廃棄している。そのため、非常に手間のかかる方法であった。
特開2000−157846号公報
特開2005−40747号公報
特開2002−1333号公報

概要

本発明は、微生物を含む活性汚泥を収容した活性汚泥槽に有機性廃水を流入させる流入工程と、前記活性汚泥槽にて前記有機性廃水を生物的に処理し、該活性汚泥槽に設置した分離膜装置によって処理液を固液分離する分離工程と、を含む廃水処理方法であって、前記分離工程において、前記活性汚泥の水相中の糖濃度を一定範囲内に維持することを特徴とする廃水処理方法である。本発明の方法によれば、生物由来ポリマ−が膜表面に付着することにより有効膜面積が減少するリスクを適切に評価し、膜ろ過抵抗の上昇を防ぎながら効率よく廃水を処理することができる。

目的

そこで、本発明は、生物由来ポリマ−の付着による膜面積の減少リスクを適切に評価し、膜ろ過抵抗の上昇を防いで効率よく廃水を処理する方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
3件

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請求項1

微生物を含む活性汚泥を収容した活性汚泥槽有機性廃水を流入させる流入工程と、前記活性汚泥槽にて前記有機性廃水を生物的に処理し、該活性汚泥槽に設置した分離膜装置によって処理液固液分離する分離工程と、を含む廃水処理方法であって、前記分離工程において、前記活性汚泥の水相中の糖濃度設定値内に維持することを特徴とする廃水処理方法

請求項2

前記糖濃度はウロン酸濃度であることを特徴とする、請求項1に記載の廃水処理方法。

請求項3

前記分離工程において、該糖濃度が前記範囲内に維持されるように、前記活性汚泥槽中の活性汚泥の量に対する有機物量増減させることを特徴とする請求項1または2に記載の廃水処理方法。

請求項4

前記活性汚泥量に対する有機物量の増減を、前記活性汚泥槽に流入させる有機性廃水量、もしくは、前記活性汚泥槽に流入させる有機性廃水量と分離膜装置によって固液分離されたろ過液の活性汚泥槽外への排出量を増減させることによって行うことを特徴とする請求項3に記載の廃水処理方法。

請求項5

前記活性汚泥量に対する有機物量の増減を、活性汚泥濃度および/または活性汚泥体積を増減させることによって行うことを特徴とする請求項3に記載の廃水処理方法。

請求項6

前記糖濃度の設定値は分離膜装置のろ過Flux値に応じて決定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の廃水処理方法。

請求項7

前記活性汚泥の水相中の糖濃度は、前記活性汚泥を前記分離膜装置の分離膜より大きな孔径を有するろ材によってろ過し、得られたろ液中の糖濃度を測定することによって求めることを特徴とする請求項1、2、3、6のいずれかに記載の廃水処理方法。

技術分野

0001

本発明は、有機性廃水膜分離活性汚泥法によって処理する方法に関する。

背景技術

0002

廃水処理方法の一つとして、活性汚泥槽に膜カ−トリッジを浸漬し、ろ過により活性汚泥処理液とに固液分離を行う膜分離活性汚泥法がある。この方法は活性汚泥濃度(Mixed Liquor Suspended Solid、以下MLSSという。)を5000から20000mg/lと極めて高くして固液分離を行うことができる。このため、活性汚泥槽の容積を小さくできたり、あるいは活性汚泥槽内での反応時間を短縮することができるという利点を有する。また膜によってろ過を行うため、処理水中に浮遊物質(Suspended Solid、以下SSということがある。)が混入しない。そのため、最終沈殿槽が不要であり、処理施設敷地面積を減らすことができる。また、活性汚泥の沈降性良否にかかわらずろ過ができるため、活性汚泥の管理も軽減される。膜分離活性汚泥法は、このように多くのメリットがあり、近年急速に普及している。

0003

膜カ−トリッジには平膜中空糸膜が用いられている。特に中空糸膜は、膜自身の強度が高いため、有機性廃水から混入する夾雑物との接触による膜表面へのダメ−ジが少なく、長期間の使用に耐えることができる。更に、ろ過方向とは逆方向にろ過水等の媒体噴出させて膜表面の付着物を除去する逆洗を行うことができるという利点も有する。しかしながら、活性汚泥や活性汚泥中の微生物が代謝して生成される生物由来ポリマ−が膜面に付着することによって有効な膜面積が減少し、ろ過効率が低下する。このため、度々逆洗を行う必要があり、長期間の安定なろ過ができないという問題がある。

0004

このような問題に対して、例えば特開2000−157846号公報(特許文献1)には、中空糸膜カ−トリッジの下部から空気等による曝気を行う方法が開示されている。この方法では、膜の振動効果と上方への気泡の移動による撹拌効果によって、膜表面および膜間に付着した活性汚泥凝集物原水から持ち込まれる夾雑物が剥離され、それらが蓄積するのを防ぐことができる。具体的には、例えば中空糸膜カ−トリッジの下部に下部リングを設置し、かつ下部リング側接着固定層に複数の貫通穴を設け、カ−トリッジ下部からの曝気により下部リング内に空気溜まりを形成することで、複数の貫通穴より均等に気泡を発生させている。

0005

しかしながら、有機性廃水中有機物濃度の変動が激しい場合や、酸化剤、酸性液体および塩基性液体などが活性汚泥槽内に流入した場合、微生物が異常な量の代謝産物(生物由来ポリマ−という)を体外に排出することがある。生物由来ポリマ−が異常に高濃度の状態が続くと、もはや曝気では膜外表面に付着した生物由来ポリマ−を十分に剥離できず、膜ろ過抵抗が上昇してしまう。

0006

一方、特開2005−40747号公報(特許文献2)には、生物処理槽曝気槽)中の生物由来ポリマ−量を測定し、生物処理槽における生物由来ポリマ−量を適時に低減させて膜面に過剰なポリマ−が付着することを防止しようとする方法が開示されている。この方法では、生物由来ポリマ−量としてCOD(chemical oxygen demand)値を求め、代用している。しかしながら、COD値には膜の細孔を素通りできる有機物の値も含まれる。そのため、生物由来ポリマ−の付着による膜面積減少のリスクを実際より過大に評価してしまい、生物由来ポリマ−を必要以上に低減させる作業が伴うことになり、廃水処理作業効率を低下させる可能性があった。

0007

さらに、特開2002−1333号公報(特許文献3)には、生物処理槽内に存在する高分子有機化合物からなるろ過性阻害成分を減少させる方法が開示されている。この方法では、ろ過阻害成分を凝集剤を加えてからろ材よって分離するか、あるいは遠心分離を行ってろ過性阻害成分を廃棄している。そのため、非常に手間のかかる方法であった。
特開2000−157846号公報
特開2005−40747号公報
特開2002−1333号公報

発明が解決しようとする課題

0008

そこで、本発明は、生物由来ポリマ−の付着による膜面積の減少リスクを適切に評価し、膜ろ過抵抗の上昇を防いで効率よく廃水を処理する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは鋭意検討の結果、膜外表面に付着してろ過を阻害する物質が糖、その中でもウロン酸を主成分とする分子量数十万から数百万の生物由来ポリマ−であることを見出した。また、活性汚泥量に対する有機物量増減すると、活性汚泥の水相中の生物由来ポリマ−も制御できることを見出した。即ち、本発明に係る廃水処理方法は、以下のとおりである。
<1>微生物を含む活性汚泥を収容した活性汚泥槽に有機性廃水を流入させる流入工程と、
前記活性汚泥槽にて前記有機性廃水を生物的に処理し、該活性汚泥槽に設置した分離膜装置によって処理液を固液分離する分離工程と、を含む廃水の処理方法であって、
前記分離工程において、前記活性汚泥の水相中の糖濃度設定値内に維持することを特徴とする廃水処理方法。
<2>前記糖濃度はウロン酸濃度であることを特徴とする、上記1に記載の廃水処理方法。
<3>前記分離工程において、該糖濃度が前記範囲内に維持されるように、前記活性汚泥槽中の活性汚泥の量に対する有機物量を増減させることを特徴とする上記1または2に記載の廃水処理方法。
<4>前記活性汚泥量に対する有機物量の増減を、前記活性汚泥槽に流入させる有機性廃水量、もしくは、前記活性汚泥槽に流入させる有機性廃水量と分離膜装置によって固液分離されたろ過液の活性汚泥槽外への排出量を増減させることによって行うことを特徴とする上記3に記載の廃水処理方法。
<5>前記活性汚泥量に対する有機物量の増減を、活性汚泥濃度および/または活性汚泥体積を増減させることによって行うことを特徴とする上記3に記載の廃水処理方法。
<6>前記糖濃度の設定値は分離膜装置のろ過Flux値に応じて決定されることを特徴とする、上記1または2に記載の廃水処理方法。
<7>前記活性汚泥の水相中の糖濃度は、前記活性汚泥を前記分離膜装置の分離膜より大きな孔径を有するろ材によってろ過し、得られたろ液中の糖濃度を測定することによって求めることを特徴とする上記1、2、3、6のいずれかに記載の廃水処理方法。

発明の効果

0010

本発明に係る廃水処理方法によれば、活性汚泥槽中の糖濃度および/またはウロン酸濃度をモニタ−することによって、膜の目詰まりの原因となる生物由来ポリマ−の量を把握し、糖濃度および/またはウロン酸濃度が高くなってきた場合には、BOD−SS負荷を低下させることにより分離膜の目詰まりを防ぎ、固液分離を長時間安定して行うことができる。一方、糖濃度および/またはウロン酸濃度が設定値よりはるかに低い場合は、糖濃度および/またはウロン酸濃度が設定値近くに上昇するまでBOD−SS負荷を上昇させることもできる。これにより、廃水処理作業の効率を上げることが可能である。

図面の簡単な説明

0011

本発明の廃水処理方法を行う系の一例を示すブロック図である。
活性汚泥のろ紙ろ過液中の糖濃度と膜ろ過抵抗との関係である。
活性汚泥中のCOD差値と膜ろ過抵抗との関係である。
活性汚泥のろ紙ろ過液中のウロン酸濃度と糖濃度との関係である。
活性汚泥のろ紙ろ過液のGPCチャ−トである。
活性汚泥のろ紙ろ過液を膜ろ過した後のGPCチャ−トである。
活性汚泥の水相中のBOD−SS負荷と糖濃度との関係である。
実施例1における膜間差圧、糖濃度および流入廃水量の経時変化を示す図である。
実施例2における膜間差圧、糖濃度および流入廃水量の経時変化を示す図である。

符号の説明

0012

1有機性廃水
前処理設備
流量調整槽
4活性汚泥槽(曝気槽)
中空糸膜型分離膜装置
スカ−ト
ブロワ
吸引ポンプ
9ろ過液
10滅菌槽
11処理水
12汚泥引き抜きポンプ

発明を実施するための最良の形態

0013

本発明の廃水処理方法は、微生物を含む活性汚泥を収容した活性汚泥槽に有機性廃水を流入させる流入工程、および、この活性汚泥槽で生物的に処理した処理液を、活性汚泥槽に設置した分離膜装置によって処理液を固液分離する分離工程とからなる。

0014

流入工程には、活性汚泥槽に流入させる有機性廃水から夾雑物を取り除く前処理設備や活性汚泥槽に流入させる有機性廃水の流量を調節する流量調節槽などがある。また分離工程には、生物的に廃水を処理する活性汚泥槽および、処理された液を固液分離する膜分離装置、ろ液を引き抜くための吸引ポンプなどがある。

0015

流入工程では、大きな固形分などをおおまかに除去した有機性廃水を、一定の流量で活性汚泥槽に流量調整しながら活性汚泥槽に送り込む。この活性汚泥槽では、活性汚泥中の微生物によって有機性廃水中の有機物(BOD成分)が分解される。活性汚泥槽の大きさおよび有機性廃水の活性汚泥槽での滞留時間は、有機性廃水の排水量や、その廃水中の有機物濃度に応じて決定される。また、活性汚泥槽中の活性汚泥濃度は5〜15g/L程度に設定することができる。分離工程では、活性汚泥槽中の活性汚泥と有機性廃水とを分離膜装置によって固液分離を行う。活性汚泥槽に設置された浸漬型分離膜装置は、分離膜と集水部とから構成され、さらにスカ−トが設置される。このスカ−トへブロワ−から気体送り込んで前記膜を揺動させ、また前記膜面に水流をあててせん断力を与えることにより、目づまりを防いでいる。分離膜装置の集水部は吸引ポンプに配管され、吸引ポンプによって膜の内面と外面に圧力勾配が発生し固液分離が達成される。

0016

分離膜に用いられる膜カ−トリッジには、平膜、中空糸膜など公知の分離膜を用いることができる。中でも、中空糸膜は膜自身の強度が高く、有機性廃水中の夾雑物との接触から膜表面に受けるダメ−ジが少なく、長期間の使用に耐えることができる点で好ましい。またろ過膜は、ろ過方向とは逆方向にろ過水等を噴出させることにより膜表面の付着物を除去することにより、逆洗を行うこともできる。分離膜装置は、活性汚泥槽内に浸漬して設置するだけでなく、活性汚泥槽に接続して設置してもよい。したがって本方法は、浸漬型の膜分離活性汚泥法だけでなく、分離膜装置を活性汚泥槽とは別の槽へ設ける場合や、加圧型の分離膜装置の場合でも適用できる。これらの方法の場合は、活性汚泥槽と分離膜装置の間で活性汚泥を循環させ、濃縮液は活性汚泥槽へ戻す。分離膜は必要に応じて複数系列としてもよい。複数系列とすることにより、分離膜の系列毎に分離作業を行ったり分離作業を止めたりすることもできるので、廃水処理スピ−ドの調整ができる。

0017

上記の廃水処理方法に用いる処理に用いる装置としては、例えば、図1に示される装置が挙げられる。

0018

まず、活性汚泥槽内に流入する有機性廃水1は、前処理設備2で夾雑物が除去された後に流量調整槽3に一旦貯留され、流量調整槽3から一定の流量で活性汚泥槽(曝気槽)4に供給される。

0019

活性汚泥槽4では、槽に入れられた活性汚泥中の微生物によって有機性廃水1中の有機物(BOD成分)が分解除去される。活性汚泥槽4における活性汚泥混合液の固液分離は槽内に浸漬された分離膜装置5で行う。分離膜装置5の下部にはスカ−ト6およびブロワ−7が設置されておりこのスカ−トへブロワ−から気体が送り込まれる。分離膜装置5で処理されたろ液9は、吸引ポンプ8で吸引されて、必要に応じて滅菌槽10で消毒後、処理水11として放流される。活性汚泥槽4において、微生物はBOD成分を分解するとともに代謝産物を体外に放出する。この微生物の代謝産物である糖やタンパク質を主成分とする生物由来ポリマ−は、特に活性汚泥槽へ有機物が過剰に流入した場合や、流入水中の有機物濃度の変動が激しい場合には、酸化剤、酸性液体および塩基性液体などが活性汚泥槽内に流入すると生物由来ポリマ−が著しく体外に排出され分離膜の目詰まりを促進させる。本発明では、活性汚泥槽4に収容された活性汚泥の水相中の糖濃度好ましくは、ウロン酸濃度を測定することにより、生物由来ポリマ−によって分離膜が目詰まりするリスクを適当に評価することが可能となる。

0020

本発明の方法で処理することにより効果が得られる廃水には、食品工場廃水、製糖工場廃水、洗剤工場廃水スタ−チ工場廃水、豆腐工場廃水などが挙げられ、BODが100mg/L以上である廃水である場合に、より有効である。

0021

本発明では、活性汚泥の水相中の糖濃度を設定値内に維持する必要がある。ここで、上記糖濃度の設定値の上限は、100mg/L以下とする必要がある。この値を超えた場合、分離膜へ生物由来ポリマ−や活性汚泥が膜への目詰まりが顕著になり、ろ過圧力が高くなる。好ましくは80mg/L以下、より好ましくは50mg/L以下、最も好ましくは、約30mg/Lである。

0022

糖濃度は低ければ低いほど膜への目詰まりは生じにくい点で好ましいといえるが、廃水処理能力はそれに応じて低くなる。廃水処理能力と目詰まりのバランスを考慮した上では、糖濃度の下限は5mg/Lとする必要があり、10mg/Lとすることが好ましく、約20mg/Lがより好ましい。

0023

さらに糖濃度に代えてウロン酸濃度を前記設定値内に維持すると、膜の目づまりリスクをさらに正確に把握できる点で好ましくい。特に、活性汚泥槽へ流入する有機性廃水が糖を多く含む廃水である場合に、目づまり物質の指標として糖濃度を用いると、生物由来ポリマ−である糖に加えて、有機性廃水由来の糖も測定してしまうため、目づまり物質の量を過大評価してしまう可能性がある。こういった場合にはウロン酸濃度を測定すれば、より正確に目づまりを評価することができる。ウロン酸濃度のより好ましい上限は、50mg/L以下、より好ましくは30mg/L以下、さらに好ましくは20mg/L以下、最も好ましくは10mg/Lである。ウロン酸濃度の好ましい下限は、3mg/L以上、より好ましくは5mg/L以上である。

0024

さらには、各濃度はろ過Fluxに応じて決定するのが好ましい。本発明においてろ過Fluxは0.1〜1.0m/Dとするのが一般的であり、0.4〜0.8m/Dとするのが、効率的に廃水処理できる点から好ましい。この場合の糖濃度の目安として以下のような範囲とすると最も好ましい。
分離膜装置のろ過Fluxを0.2m/Dとしたときは、80mg/L以下
分離膜装置のろ過Fluxを0.4m/Dとしたときは、50mg/L以下
分離膜装置のろ過Fluxを0.6m/Dとしたときは、30mg/L以下
分離膜装置のろ過Fluxを0.8m/Dとしたときは、10mg/L以下
尚、0.6m/Dのろ過Fluxとは、0.6m3のろ過液を、1m2のろ過面積当たり24時間で通過させる運転を意味する。

0025

糖濃度の測定方法は特に限定されないが例えば、フェノ−ル硫酸法によって測定され、グルコ−スで作製した検量線によって決定する方法が挙げられる。

0026

糖濃度および/またはウロン酸濃度を測定する場合には活性汚泥を、ろ紙など、分離膜装置の分離膜より大きな孔径を有するろ材によってろ過して汚泥ろ液を得てから、測定することが好ましい。この操作によって、活性汚泥中の浮遊物のみがろ材に捕捉され、糖成分はろ紙を通過する。したがってそのろ液中の糖濃度および/またはウロン酸濃度を測定すれば膜の目詰まり物質となる生物由来ポリマ−の濃度をより正確に測定することができる。

0027

ろ材の孔径は、分離膜装置に備えられた分離膜孔径の好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上である。また、分離膜装置に備えられた分離膜の孔径の約100倍以下を上限とすることが好ましく、ろ材の孔径の上限は10μmであることがより好ましい。さらに、親水性素材の方が糖成分の吸着が少ないので好ましい。このようなろ材としては、例えば、セルロ−スを素材とするろ紙を用いることができる。

0028

ウロン酸濃度は、NELLBLUMENKRANTZ,GUSTAV ASBOE−HANSEN著「New Method for Quantitative Determination of Uronic Acid」ANALYTICAL BIOCHEMISTRY54巻、484〜489貢(1973年発行)に記載の方法に従い、ポリウロン酸の一つであるポリガラクツロン酸を用いて作成した検量線により測定することができる。具体的には下記の手順で行えばよい。
1)0.5mLの汚泥ろ液および既知濃度のポリガラクツロン酸水溶液試験管にとり、各々に3.0mLの0.0125MのNa2B4O7濃硫酸溶液を加える。
2)1)の各液をよくふって、沸騰湯浴中で5分間温め、その後氷水中で20分間冷やす
3)2)の各液に50μLの0.15%m−ヒドロキシジフェニルの0.5%NaOH溶液を加える。
4)3)の各液をよく撹拌した後5分放置し、これらの520nm吸光度を測定し、既知濃度のポリガラクツロン酸水溶液の値と汚泥ろ液の値とを比較して濃度を求める。

0029

糖濃度および/またはウロン酸濃度の経時的変化は、例えば、数時間〜数日に1回等、糖濃度および/またはウロン酸濃度を定期的に測定することによって求めることができる。
定期的な糖濃度および/またはウロン酸濃度の測定により、糖濃度および/またはウロン酸濃度すなわち生物由来ポリマ−の濃度が高くなったことを知ることができ、膜が目詰まりを起こす前に対策を打つことができる。糖濃度および/またはウロン酸濃度を常時監視しておき、規定範囲内に調整することが最も好ましい。

0030

活性汚泥の水相中の糖濃度および/またはウロン酸濃度が設定値内に入るようにするには、例えば活性汚泥槽中の活性汚泥の量に対する有機物量[kg]を増減させる方法が挙げられる。これはBOD−SS負荷と呼ばれ、前記有機物量の指標として、1日あたりに活性汚泥槽に流入するBOD[kg/day]が用いられる
発明者らは、BOD−SS負荷が活性汚泥の水相中の糖濃度および/またはウロン酸濃度と深いかかわりがあることを見いだした。BOD−SS負荷が高いということは、微生物の量に対してえさとなる有機物がより多く存在するという状況である。こうした状況になると、微生物は代謝を活発に行うようになり、目詰まり物質となる生物由来ポリマ−、即ち糖を過剰に排出するようになる。逆に微生物は飢餓状態に置かれると代謝活動縮減し、生物由来ポリマ−を排出しなくなる。さらに、微生物が糖を消費すると考えられるため糖濃度はより低くなる。

0031

従って、糖濃度および/またはウロン酸濃度が高くなったときは、BOD−SS負荷を下げ、糖濃度および/またはウロン酸濃度が低くなったときには、BOD−SS負荷を上げればよい。その結果、生物由来ポリマ−の膜への付着を防ぐことができ、膜が目詰まりを起こすことなく安定に固液分離を継続することができる。

0032

BOD−SS負荷の増減方法としては、活性汚泥槽内中の有機物量を増減させればよい。具体的な方法として次の方法が挙げられる。例えば、(1)活性汚泥槽内に流入する有機性廃水の量を増減させる方法、(2)活性汚泥槽内に流入する有機性廃水の量と分離膜装置によって固液分離されたろ過液の活性汚泥槽外排出量を増減させる方法;(3)ろ過Fluxを増減させる方法などが挙げられる。

0033

尚、有機物量を増減させる方法は上述の方法に限定されず、次のような方法も考えられる。例えば、固形の有機物をろ材を用いて分離することにより有機性廃水から有機物量を除去する方法;余剰汚泥引き抜き量を減らして活性汚泥濃度を上昇させる方法、すなわち、余剰汚泥引き抜き量を制御することによって活性汚泥濃度を増減させる方法;活性汚泥槽の液面高さを低くしてそこに存在する活性汚泥量を減らす方法、すなわち、活性汚泥槽の液面を制御することによって活性汚泥容積を制御し活性汚泥量を増減させる方法;活性汚泥槽に水を加える方法などが考えられる。

0034

この中でも、活性汚泥槽内に流入する有機性廃水の量を増減させる方法が最も簡便であり、好ましい。具体的には、活性汚泥槽内に流入する有機性廃水の量を減じることにより、糖濃度および/またはウロン酸濃度を低下させることができる。一方、糖濃度および/またはウロン酸濃度が設定値より低い場合は、活性汚泥槽内に流入する有機性廃水量を増加させることにより、糖濃度および/またはウロン酸濃度を上昇させることができる。こうすることによって、分離膜の目詰まりを防ぎつつ、廃水処理の効率を上げることができる。

0035

活性汚泥槽内に流入する有機性廃水の増減量とBOD−SS負荷の増減量は、処理しようとする有機性廃水毎に決める必要がある。例えば、活性汚泥槽内に流入する有機性廃水量を例えば半分に減らした場合、すなわち、BOD−SS負荷を半分に減らした場合に、糖濃度および/またはウロン酸濃度がどの程度変化するかの傾向を把握する。得られた傾向に基づいて有機性排水量をどの程度増減するかを決定する。

0036

具体的な有機性廃水の増減量は、活性汚泥槽の大きさや活性汚泥の種類などによってケ−スバイケ−スであるが、例えば糖濃度および/またはウロン酸濃度が上昇した場合、目安として、BOD−SS負荷を0.02kg−BOD/(kg・day)まで下げれば、糖濃度および/またはウロン酸濃度は1週間程度で元の濃度の半分程度まで低下させることができる。

0037

上述のように糖類、タンパク質および核酸といった生物由来ポリマ−の中でも、分離膜表面に付着して目詰まりを生じさせるのは、主として糖、特にウロン酸を主成分とするポリマ−である。従って、本発明のように糖濃度および/またはウロン酸濃度を設定値内に維持することによって、生物由来ポリマ−が膜表面に付着して膜ろ過抵抗が上昇するのを防ぐことができる。分離膜は、いずれ目づまりを起こし洗浄することが必要になるが、本発明の方法を用いれば、その頻度を最小限に抑えることが可能になる。また、糖濃度および/またはウロン酸濃度を用いて膜面積減少リスクを評価するので、分離膜を通過できる生物由来ポリマ−も検出してリスクを過大評価してしまうことを回避できる。従って、生物由来ポリマ−の分離膜への付着の防止を必要十分な程度で行って、廃水処理の作業効率が低下することを防ぐこともできる。

0038

本発明の実施例を以下に説明するが、これらの実施例に本発明が限定されるものではない。

0039

(分離膜に付着する生物由来ポリマ−の特定)
以下の方法により,製糖工場と洗剤工場から排出された有機性廃水を膜分離活性汚泥法により処理した場合に、分離膜に目詰まりする物質を特定した。

0040

まず有機性廃水を含む活性汚泥を、1μmの孔径を有するろ紙(アドバンテック社、セルロ−ス製、5C(商品名))でろ過し、得られたろ液(以下、汚泥ろ液と呼ぶ)を、0.1μmの孔径を有する中空糸膜(旭化成ケミカルズ社製、PVDF製、膜面積0.02m2、有効膜長さ15cm、内径外径:0.6/1.2mm)で、9分間ろ過、1分間逆洗を1サイクルとして7サイクル行った。

0041

ろ過抵抗Rcは、下記式(I)のような関係がある。上記の膜ろ過実験の結果得られた値(膜間差圧、粘度、Flux)をプロットして、Pn/(μJ)とnとの関係を近似線を描き、その傾きからRcを求めた。

Pn/(μJ)=n×Rc………(I)
式(I)において、nはろ過サイクル数、Pnはnサイクル目の膜間差圧の平均値[Pa]、μは水の粘度[Pa・s]、JはFlux[m/D]を表す。

ろ液中の糖濃度は、フェノ−ル硫酸法によって測定した。検量線の作成にはグルコ−スを用いて濃度を決定した。その結果、図2に示されるように、算出されたろ過抵抗値と、ろ液中の糖濃度とが比例関係にあることがわかった。

0042

一方、ウロン酸濃度については、上述の「New Method for Quantitative Determination of Uronic Acid」ANALYTICAL BIOCHEMISTRY54巻、484〜489貢(1973年発行)の方法に従い、以下の手順でポリガラクツロン酸濃度を求めた。具体的には下記の手順で行った。
1)0.5mLの汚泥ろ液および既知濃度のポリガラクツロン酸水溶液を試験管にとり、各々に3.0mLの0.0125MのNa2B4O7濃硫酸溶液を加えた。
2)1)の各液をよくふって、沸騰湯浴中で5分間温め、その後氷水中で20分間冷やした。
3)2)の各液に50μLの0.15%m−ヒドロキシジフェニルの0.5%NaOH溶液を加えた。
4)3)の各液をよく撹拌した後5分放置し、これらの520nm吸光度を測定し、既知濃度のポリガラクツロン酸水溶液の値と汚泥ろ液の値とを比較して濃度を求めた。

0043

その結果、図4に示されるように、上記汚泥ろ液中の糖濃度は、糖の一種であるウロン酸濃度とおおよそ比例関係にあることがわかった。

0044

さらに、膜ろ過前の液および膜ろ過後のろ液について、高速液体クロマトグラフィ−により分子量分布を測定した結果を、それぞれ図5および図6に示す。図5および図6横軸は、分子量が既知である種々のPVAを高速クロマトグラフィ−にかけ、出力される保持時間と分子量との関係を求め、この関係を用いて横軸に表される保持時間を分子量に換算して記載した。図に示すように、図5中、分子量が数十万から数百万の部分に存在するピ−クの高さが、図6では小さくなっており、膜ろ過によりこの分子量を有する物質が減少していることがわかった。

0045

以上の結果から、膜分離活性汚泥法における膜の目詰まり物質は、糖を主成分とする分子量が数十万から数百万のウロン酸含有ポリマ−であると推定できる。

0046

また汚泥ろ液に、ポリガラクツロン酸を40mg/L、60mg/L、80mg/L、100mg/Lの4種類の濃度で溶かした液を用いてろ過抵抗を測定した。その結果、図2に示すようにポリガラクツロン酸を溶かした液の方が活性汚泥ろ紙ろ液の傾きよりも大きいことがわかった。すなわち、糖の中でもウロン酸が多く含まれた液の方がろ過抵抗が大きいことがわかった。

0047

一方、特開2005−40747号公報(特許文献2)の方法に従い、活性汚泥を上記と同じろ紙でろ過し、得られたろ液のCODと、このろ過液をさらに上記の中空糸膜を用いてろ過したろ液のCODとの差を求めてCOD差値とし、図3にプロットした。COD差値の中には、膜を通過できる成分に基づく値も含まれるため、ろ過抵抗値において糖濃度と比較するとCOD差値を採用した方が誤差が大きいことがわかった。

0048

従って、活性汚泥の水相中の糖濃度、より好ましくはウロン酸濃度を測定すれば、生物由来ポリマ−の中でも分離膜表面に付着する物質の量を正確に評価することになることが確認された。

0049

(糖濃度が制御できることの確認)
以下の方法により、BOD−SS負荷を増減することによって、活性汚泥の水相中の糖濃度が制御できることを確認した。

0050

まず、製糖工場廃水、洗剤工場廃水、及び豆腐工場廃水の3種類の有機性廃水を図1に示した工程により、連続運転膜分離活性汚泥処理を行った。これらの廃水を水で薄めることにより、BOD−SSの値を変化させ、種々のBOD−SS負荷における活性汚泥の水相中の糖濃度およびウロン酸濃度を測定した。糖濃度は、活性汚泥をろ紙(アドバンテック社、セルロ−ス製、5C(商品名))でろ過した液をフェノ−ル硫酸法によって測定し、グルコ−スで作製した検量線により求めた。また、ウロン酸濃度は上述したのと同様の手順で、ポリガラクツロン酸の検量線により求めた。分離膜として上記と同じ中空糸膜を用いて膜分離処理をおこなった。

0051

得られた結果を図7に示す。活性汚泥槽中のBOD−SS負荷が高いときは糖濃度およびウロン酸濃度も高くなり、逆にBOD−SS負荷を低く設定すると糖濃度およびウロン酸濃度が低くなった。

0052

上より、BOD−SS負荷を制御するという極めて簡易な工程によって、糖濃度およびウロン酸濃度を設定値内に維持するよう制御できることが確認された。
(実施例1および比較例1)
図1に示した工程で、BODが750mg/Lの製糖工場の廃水を、連続運転で膜分離活性汚泥法により処理した。この廃水中の糖濃度およびウロン酸濃度はそれぞれ、60mg/Lおよび0mg/Lであった。

0053

分離膜装置5として、孔径0.1μmの精密ろ過中空糸膜をモジュ−ル化した分離膜装置(旭化成ケミカルズ社製、PVDF製、膜面積0.015m2、有効膜長さ15cm、内径/外径:0.6/1.2mm)を、有効容積10Lの活性汚泥槽4に浸漬させた。活性汚泥槽中のMLSS濃度は10g/Lで一定とし、活性汚泥槽4における廃水の滞留時間は18時間とした。処理開始時のろ過圧力は4kPaであった。活性汚泥の液量は常に一定とし、分離膜装置5は同膜面積で2系列に分け、いずれもろ過Fluxは0.6m/Dに設定し、ろ液は全量活性汚泥槽4外に排出した。活性汚泥槽4の水相中の糖濃度は上限が50mg/L、下限が20mg/Lとなるように設定することとした。また、ウロン酸濃度は、上限を18mg/L、下限を5mg/Lとした。膜への曝気は、空気を膜モジュ−ルの下部から200L/hの流量で送気した。

0054

なお、糖濃度は、活性汚泥をろ紙(孔径1μm;アドバンテック社、セルロ−ス製 5C)でろ過した液をフェノ−ル硫酸法によって測定し、グルコ−スで作製した検量線により求めた。また、ウロン酸濃度は上述したのと同様の手順で、ポリガラクツロン酸の検量線により求めた。

0055

1日に1回、活性汚泥の水相中の糖濃度およびウロン酸濃度を測定した結果を図8に示す。運転開始から約1週間を経過すると活性汚泥の水相中の糖濃度およびウロン酸濃度が急激に上昇し、11日目には糖濃度およびウロン酸濃度がそれぞれ、50mg/Lおよび20mg/Lとなった。そこで、分離膜装置5の1系列分を停止することによってろ過液の活性汚泥槽外への排出量および、活性汚泥槽への流入廃水量を半分に減じたところ、糖濃度およびウロン酸濃度を、それぞれ20mg/Lおよび5mg/Lにまで低下させることができた。この後も1系列分で運転をつづけたが、図8に示されるように、膜間差圧は急上昇することなく安定に運転することができた。

0056

実施例1と同じの廃水を、実施例1と同じ系を用いて処理した。処理開始後20日を経過すると、糖濃度が80mg/L、ウロン酸濃度が35mg/Lになったがそのまま処理を続けた。すると、ろ過圧力が25kPaを超え、分離膜の洗浄が必要となった。
(実施例2)
図1に示した工程で、BODが250mg/Lの製糖工場の廃水を、連続運転で膜分離活性汚泥法により処理した。この廃水中の糖濃度およびウロン酸濃度はそれぞれ、30mg/Lおよび0mg/Lであった。分離膜装置5として、孔径0.1μmの精密ろ過中空糸膜をモジュ−ル化した分離膜装置(旭化成ケミカルズ社、PVDF製、膜面積0.015m2、有効膜長さ15cm、内径/外径:0.6/1.2mm)を有効容積10Lの活性汚泥槽に浸漬させた。MLSS濃度は10g/Lで一定とし、活性汚泥槽4における廃水の滞留時間は18時間とした。処理開始時のろ過圧力は4kPaであった。活性汚泥の液量は常に一定とし、1系列の分離膜装置を設置し、ろ過Fluxは0.6m/Dに設定し、ろ液は全量活性汚泥槽4外に排出した。活性汚泥槽4の水相中の糖濃度は上限が70mg/L、下限が10mg/Lとなるように設定することとした。また、ウロン酸濃度は、上限が20mg/L、下限を5mg/Lとした。膜への曝気は、空気を膜モジュ−ルの下部から200L/hの流量で送気した。

0057

糖濃度は上述したのと同様に、活性汚泥をろ紙(孔径1μm;アドバンテック社、セルロ−ス製、5C)でろ過した液をフェノ−ル硫酸法によって測定し、グルコ−スで作製した検量線により求めた。また、ウロン酸濃度も上記と同様の手順で、ポリガラクツロン酸の検量線により求めた。

0058

1日に1回、活性汚泥の水相中の糖濃度およびウロン酸濃度を測定した結果を図9に示す。運転開始から約1週間を経過しても活性汚泥の水相中の糖濃度およびウロン酸濃度はそれぞれ5mg/Lおよび2mg/L程度であり、設定値をはるかに下回るものであった。そこで、運転開始から8日目に、分離膜装置の膜面積をそれまでの2倍に増設して、活性汚泥槽への流入廃水量を2倍に増やした。その後、糖濃度およびウロン酸濃度は、それぞれ20mg/Lおよび7mg/Lまで上昇したが、それ以上になることはなかった。このように流入廃水量を2倍に増やしても、膜間差圧は急上昇させることなく安定に運転することができた。
(実施例3)
図1に示した工程で、BODが750mg/Lのスタ−チ工場の廃水を、連続運転で膜分離活性汚泥法により処理した。この廃水中の糖濃度およびウロン酸濃度はそれぞれ、800mg/Lおよび0mg/Lであった。この廃水中の糖濃度は約800mg/Lであった。分離膜として実施例2と同じ分離膜装置を浸漬させた。MLSS濃度は10g/Lで一定とし、活性汚泥槽における製糖工場廃水の滞留時間は18時間とした。活性汚泥の量は常に一定とし、1系列の分離膜装置を設置し、ろ過Fluxは0.6m/Dに設定し、ろ液は全量活性汚泥槽4外に排出した。膜への曝気は、空気を膜モジュ−ルの下部から200L/hの流量で送気した。

0059

糖濃度は、活性汚泥をろ紙(孔径1μm;アドバンテック製5C)でろ過した液をフェノ−ル硫酸法によって測定し、グルコ−スで作製した検量線により求めた。また、ウロン酸濃度は上述したのと同様の手順で、ポリガラクツロン酸の検量線により求めた。

0060

初期ろ過圧力は5kPaであった。運転開始25日目には糖濃度がグルコ−ス換算で80mg/Lであったが、ウロン酸濃度を測定すると、ポリガラクツロン酸換算で17mg/Lであった。膜間差圧も上昇せず、初期が10kPaに対し、運転25日目で13kPaであった。このようにウロン酸濃度を測定した方がより正確に目づまりを予測できることがわかった。
(実施例4)
実施例1で処理したのと同じ廃水を、実施例1と同様の方法で処理した。なお、分離膜装置5として、孔径0.1μmの精密ろ過中空糸膜をモジュ−ル化した分離膜装置(旭化成ケミカルズ社製、PVDF製、膜面積0.022m2、有効膜長さ15cm、内径/外径:0.6/1.2mm)を用いた。

0061

各実施例において、1日に1回、活性汚泥の水相中のウロン酸濃度および糖濃度を測定し、そのときのウロン酸濃度において、膜ろ過圧力が運転開始から20日経っても、初期圧力からの上昇が10kPa以内であるときのろ過Flux値を求めた。表1に結果を示す。

0062

0063

この実験結果から、ウロン酸濃度とFlux値のもっとも良い条件が下記のとおりであることがわかった。
分離膜装置のろ過Fluxを0.8m/Dとしたときは、10mg/L以下
分離膜装置のろ過Fluxを0.6m/Dとしたときは、20mg/L以下
分離膜装置のろ過Fluxを0.4m/Dとしたときは、30mg/L以下

0064

本発明は、生物由来ポリマ−が膜表面に付着することにより有効膜面積が減少するリスクを適切に評価し、膜ろ過抵抗の上昇を防ぎながら効率よく廃水を処理する方法を提供する。従って、各種工場廃水などの再生処理に有効に用いることができる。

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