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技術 骨補填剤の製造方法,骨補填剤及び3次元細胞培養担体,クロマトグラフィー用分離担体

出願人 国立大学法人東京大学国立研究開発法人産業技術総合研究所株式会社ネクスト21ガウス株式会社
発明者 鄭雄一寺岡啓鈴木茂樹清水康太郎高根勝久
出願日 2007年2月13日 (12年1ヶ月経過) 出願番号 2008-500414
公開日 2009年7月2日 (9年8ヶ月経過) 公開番号 WO2007-094134
状態 未査定
技術分野 医療用材料 クロマトグラフィによる材料の調査、分析 酵素,微生物の固定化,処理
主要キーワード カルシウム系物質 間隙構造 テトラポッド形状 射出体 パーテイ ショートモールド TiNコーティング テトラポッド状
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

骨補填剤新規製造方法を提供する。上記課題は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料を混練するための混練工程と;前記混練工程で得られた混練物を用いて,金型を有する射出成形機を用いた射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための成形工程と;前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダを取り除き脱脂体を得るための脱バインダ脱脂)工程と;前記脱バインダ工程後の脱脂体を加熱し,焼結焼結体を得るための焼結工程と;を含む骨補填剤の製造方法などによって解決される。図6

概要

背景

従来,事故治療のために骨の一部を欠損した場合,例えば欠損部に骨組織置換される骨補填剤充填することにより,欠損した骨が再生することを促進していた。このような骨補填剤の原料として,ハイドロキシアパタイトやβ−TCPなどのリン酸カルシウム系物質や,ポリ乳酸などの生分解性プラスチックなどが用いられていた。

特開2004−97259号公報(特許文献1)には,いわゆるテトラポッド登録商標)の形状をした骨補填剤(骨固定材)が開示されている(例えば,同公報の図1〜図3)。そして,テトラポッド(登録商標)形状の骨補填剤を製造する方法として,割型を用いて溶融成形する方法(同公報の段落[0014]及び段落[0025])が開示されている。しかしながら,このような割型を用いた溶融成形によって製造された骨補填剤は,必ずしも十分な強度を有さない。また,リン酸カルシウム系物質や,生体分解性ポリマーを溶融成形により製造した場合は,得られる骨補填剤の寸法精度や成形密度が不ぞろいになるという問題がある。また,得られる骨補填剤の表面状態がばらばらであるという問題がある。また,同公報に記載の方法では,量産に向かないという問題もある。

特開平11−206871号公報には,ポリ乳酸やハイドロキシアパタイトを用いて,射出成形した後に一軸延伸などをすることによりロッド状又はシート状の骨補填剤を製造する方法が開示されている(同公報の段落[0018])。ただし,得られる骨補填剤は,ポリ乳酸などの高分子か,又はそのような高分子とリン酸カルシウム系物質の混合物である。また,同公報の実施例では,押出し成形によってシート状の骨補填剤を製造している(同公報の段落[0023])。押出し成形では,例えばテトラポッド状のような複雑な形状を有する骨補填剤を製造することができない。

また,粉末射出成形法は,金属やセラミックスを製造するために用いられていた。しかし,粉末射出成形法は,バインダなどとして生体親和性に乏しいものを用いているので,生体内埋没させ,しかも積極的に生体内で置換されるようなものを粉末射出成形法で成形するという発想はなかった。また,骨補填剤は,生体内で置換されやすいものとする必要があるので,単にカルシウム系物質などの粉末を用いて粉末射出成形法により骨補填剤を成形しても,好ましい骨補填剤を得ることができない。
特開2004−97259号公報
特開平11−206871号公報

概要

骨補填剤の新規製造方法を提供する。上記課題は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料を混練するための混練工程と;前記混練工程で得られた混練物を用いて,金型を有する射出成形機を用いた射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための成形工程と;前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダを取り除き脱脂体を得るための脱バインダ脱脂)工程と;前記脱バインダ工程後の脱脂体を加熱し,焼結焼結体を得るための焼結工程と;を含む骨補填剤の製造方法などによって解決される。

目的

本発明は,骨補填剤を製造するための新たな方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料を混練するための混練工程と;前記混練工程で得られた混練物を用いて,金型を有する射出成形機を用いた射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための成形工程と;前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダを取り除き脱脂体を得るための脱バインダ脱脂)工程と;前記脱バインダ工程後の脱脂体を加熱し,焼結焼結体を得るための焼結工程と;を含む骨補填剤の製造方法。

請求項2

前記カルシウム系物質は,リン酸カルシウム系物質又は炭酸カルシウム系物質のいずれか又は両方を含む請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項3

前記カルシウム系物質は,リン酸カルシウム系物質を含み,前記リン酸カルシウム系物質が,水酸アパタイト炭酸アパタイトフッ素アパタイト塩素アパタイト,β−TCP,α−TCP,メタリン酸カルシウムリン酸四カルシウムリン酸水素カルシウムリン酸八カルシウムリン酸二水素カルシウムピロリン酸カルシウム,それらの塩,又はそれら又はそれらの溶媒和物のうちいずれか1種又は2種以上である,請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項4

前記バインダが,(メタアクリル系樹脂ロウ滑剤,及び滑剤を含む請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項5

前記バインダが,ロウ滑剤を含み,前記ロウ滑剤が,融点が40℃〜100℃のワックスを含む請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項6

前記バインダが,(メタ)アクリル系樹脂,エチレン酢酸ビニル共重合体パラフィンワックスステアリン酸及びジブチルフタレートを含み,前記混練工程では,前記(メタ)アクリル系樹脂及び前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を混練機投入し,混練しつつ前記原材料,前記パラフィンワックス及び前記ステアリン酸を混練機へ投入し,混練しつつ前記ジブチルフタレートを混練機へ投入する,請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項7

前記“カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料”は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダの他にガラス成分を含む,請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項8

前記“カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料”は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダの他に塩分又は糖分を含む,請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項9

前記骨補填剤は,複数の突起部を有する形状であり,前記金型は,材料を注入するための注入口が設けられる固定側金型と,材料を注入する際は前記固定側金型と接触するが,成形後は前記固定側金型から離れる可動側金型とを有し,前記固定側金型は,前記複数の突起部のうちある突起部の先端部から射出成形用の材料が注入されるように,前記注入口を前記先端部に位置するようにし,前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面が端面から中心方向へ向かうにしたがって注入口方向へ傾斜する傾斜面を有し,前記可動側金型は所定のくさびを設けるためのへこみ部を有する請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項10

前記くさびの高さは,1μm〜1×102μmである請求項9に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項11

前記可動側金型は,深さが1μm〜2×10μmである1又は複数の溝を有する請求項9に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項12

前記骨補填剤は,4つの突起部を有する形状であり,前記可動側金型側には,突起部の内側に位置するように突き出しピンを配置する請求項9に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項13

前記骨補填剤は,複数の突起部を有する形状であり,前記金型は,固定側金型と,材料を注入する際は前記固定側金型と接触するが,成形後は前記固定側金型から離れる可動側金型とを有し,射出成形用の材料が注入される注入口を前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面に位置するようにし,前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面が端面から中心方向へ向かうにしたがって前記骨補填剤の中心方向へ傾斜する傾斜面を有し,前記可動側金型は所定のくさびを設けるための溝を有する,請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項14

前記脱バインダ工程は,110℃〜300℃の第一の維持期間に達成するまでの間,1℃/時間〜3×102℃/時間で昇温する昇温工程を含む,請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項15

前記焼結工程で得られた焼結体に薬剤含浸又は塗布する工程を含む請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項16

前記焼結工程で得られた焼結体に薬剤を含浸又は塗布する工程を含み,前記薬剤として,骨・軟骨形成促進剤軟骨形成促進因子を含む),関節疾患治療剤,骨・軟骨疾患予防・治療剤,骨再生剤骨吸収抑制物質血管新生促進剤抗菌剤抗生物質又は抗癌剤の1種又は2種以上を用いる請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項17

前記焼結工程で得られた焼結体に接着性付与剤を含浸又は塗布する工程を含む,請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項18

前記焼結工程で得られた焼結体に接着性付与剤を含浸又は塗布する工程を含み,前記接着性付与剤がトロンビンである,請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項19

請求項1に記載の骨補填剤の製造方法に従って複数の骨補填剤を製造し,2種類の接着性付与剤を含有する組成物を用意し,ある骨補填剤群に第1の組成物を含浸又は塗布して第1の骨補填剤群とし,ある骨補填剤群に第2の組成物を含浸又は塗布して第2の骨補填剤群とし,前記第1の骨補填剤群と前記第2の骨補填剤群を含む骨補填剤群を骨補填剤として用い,前記第1の組成物は,下記一般式(I)又は(II)で示される化合物か,下記一般式(III)で示される繰返し単位を3〜8個含む化合物を1種又は2種以上含有する第1の化合物,及び第1の希釈剤(又は担体)を具備し,前記第2の組成物は,下記一般式(I) 又は(II)で示される化合物か,下記一般式(III)で示される繰返し単位を3〜8個含む化合物を1種又は2種以上含有する第2の化合物,及び第2の希釈剤を具備する請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。X1−(OCH2CH2)n−X2(I)(式(I)中,X1及びX2は同一又は異なり,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す。)を示し,nは,80〜1000の整数を示す。)(式(II)中,XII-1〜XII-4は,それぞれ同一又は異なり,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)を示し,nII-1〜nII-4は,それぞれ同一又は異なり,20〜250の整数を示す。)(式(III)中,XIIIは,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS,-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す。)を示し,nIIIは10〜150の整数を示す。)。

請求項20

前記第1の化合物は,一般式(I)又は(II)において,X1,X2,又はXII-1〜XII-4が,それぞれ同一又は異なり,-NOCOR1-R2又は-R1NH2である化合物を1種又は2種以上含有し,前記第2の化合物は,一般式(I)又は(II)において,X1,X2,又はXII-1〜XII-4が,それぞれ同一又は異なり,-COR1COONHS,-R1SH又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)である化合物を1種又は2種以上含有する請求項19に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項21

前記骨補填剤は,正四面体の中心から各頂点へ向けた方向に伸びる4つの突起部を有する形状である請求項1に記載の骨補填剤の製造方法。

請求項22

表面に薬剤が含浸又は塗布された複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤。

請求項23

表面に接着性付与剤が含浸,塗布又は粉体混合された複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤。

請求項24

複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤を含む3次元細胞培養担体

請求項25

前記骨補填剤は,その表面に薬剤又は接着性付与剤が含浸,塗布又は粉体混合された骨補填剤である請求項24に記載の3次元細胞培養担体。

請求項26

複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤を含むクロマトグラフィー用分離担体

技術分野

0001

本発明は,粉末射出成形法を応用した骨補填剤,骨補填剤及び3次元細胞培養担体の製造方法などに関する。より詳しく説明すると,本発明は,粉末射出成形法を応用した,複数の突起部を有する微小な骨補填剤の製造方法,骨補填剤及び3次元細胞培養担体などに関する。

背景技術

0002

従来,事故治療のために骨の一部を欠損した場合,例えば欠損部に骨組織置換される骨補填剤を充填することにより,欠損した骨が再生することを促進していた。このような骨補填剤の原料として,ハイドロキシアパタイトやβ−TCPなどのリン酸カルシウム系物質や,ポリ乳酸などの生分解性プラスチックなどが用いられていた。

0003

特開2004−97259号公報(特許文献1)には,いわゆるテトラポッド登録商標)の形状をした骨補填剤(骨固定材)が開示されている(例えば,同公報の図1図3)。そして,テトラポッド(登録商標)形状の骨補填剤を製造する方法として,割型を用いて溶融成形する方法(同公報の段落[0014]及び段落[0025])が開示されている。しかしながら,このような割型を用いた溶融成形によって製造された骨補填剤は,必ずしも十分な強度を有さない。また,リン酸カルシウム系物質や,生体分解性ポリマーを溶融成形により製造した場合は,得られる骨補填剤の寸法精度や成形密度が不ぞろいになるという問題がある。また,得られる骨補填剤の表面状態がばらばらであるという問題がある。また,同公報に記載の方法では,量産に向かないという問題もある。

0004

特開平11−206871号公報には,ポリ乳酸やハイドロキシアパタイトを用いて,射出成形した後に一軸延伸などをすることによりロッド状又はシート状の骨補填剤を製造する方法が開示されている(同公報の段落[0018])。ただし,得られる骨補填剤は,ポリ乳酸などの高分子か,又はそのような高分子とリン酸カルシウム系物質の混合物である。また,同公報の実施例では,押出し成形によってシート状の骨補填剤を製造している(同公報の段落[0023])。押出し成形では,例えばテトラポッド状のような複雑な形状を有する骨補填剤を製造することができない。

0005

また,粉末射出成形法は,金属やセラミックスを製造するために用いられていた。しかし,粉末射出成形法は,バインダなどとして生体親和性に乏しいものを用いているので,生体内埋没させ,しかも積極的に生体内で置換されるようなものを粉末射出成形法で成形するという発想はなかった。また,骨補填剤は,生体内で置換されやすいものとする必要があるので,単にカルシウム系物質などの粉末を用いて粉末射出成形法により骨補填剤を成形しても,好ましい骨補填剤を得ることができない。
特開2004−97259号公報
特開平11−206871号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は,骨補填剤を製造するための新たな方法を提供することを目的とする。

0007

本発明は,形状や密度のばらつきが少ない骨補填剤の製造方法を提供することを目的とする。

0008

本発明は,射出成形時などにおいて,金型から離しやすい骨補填剤の製造方法を提供することを目的とする。

0009

本発明は,所定の強度を有する骨補填剤,及びそのような骨補填剤の製造方法を提供することを目的とする。

0010

本発明は,所定の薬理効果を得ることができる骨補填剤,及びそのような骨補填剤の製造方法を提供することを目的とする。

0011

細胞培養は,これまで2次元的にしか行われていなかった。本発明は,そのような概念を覆し,3次元的に細胞を培養できる担体を提供することを目的とする。

0012

本発明は,上記のような骨補填剤のこれまでに考えられていなかった利用態様を提供することを目的とする。具体的には,3次元細胞培養担体や,クロマトグラフィー用分離担体などの用途を提供する。

課題を解決するための手段

0013

通常の方法に基づいて,微小かつ複雑な形状を有する骨補填剤を粉末射出成形法により得ようとしても,例えば,固定側金型成形体が固着するなどしてうまく製造することはできない。本発明では,好ましい物性を有する骨補填剤を,好ましくは量産できるように製造するため,様々な工夫を行い完成されたものである。本発明は,基本的には,金属やセラミックスを製造するために用いられていた粉末射出成形法を,原料粉末としてリン酸カルシウム系物質などのカルシウム系物質を用いるものに適応させて,様々な工夫をこめて用いることにより,ひとつひとつの表面積や密度にばらつきが少なく,骨補填剤として適切な硬度などの物性をそろえた骨補填剤を製造できるという知見に基づくものである。このように,ひとつひとつの骨補填剤の表面積や密度が均一なので,骨補填剤に薬剤を含有させた場合であっても,適切な量の薬剤を投与できることとなる。さらには,大きさが均一なので,それぞれの骨補填剤の強度を維持しつつも,全体として適切な空隙率を得ることができることとなる。また,所定の創作をこめた金型を用いることや,所定の原料を用いることで,成形体が固定側金型に付着する事態を効果的に防止できるという知見に基づくものである。

0014

本発明の骨補填剤の製造方法は,基本的には,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料を混練するための混練工程と;前記混練工程で得られた混練物を用いて,金型を有する射出成形機を用いた射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための成形工程と;前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダを取り除き脱脂体を得るための脱バインダ脱脂)工程と;前記脱バインダ工程後の脱脂体を加熱し,焼結焼結体を得るための焼結工程と;を含む骨補填剤の製造方法などに関する。

0015

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の製造方法は,カルシウム系物質として,リン酸カルシウム系物質又は炭酸カルシウム系物質のいずれか又は両方を含むものがあげられ前記リン酸カルシウム系物質として,水酸アパタイト炭酸アパタイトフッ素アパタイト塩素アパタイト,β−TCP,α−TCP,メタリン酸カルシウムリン酸四カルシウムリン酸水素カルシウムリン酸八カルシウムリン酸二水素カルシウムピロリン酸カルシウム,それらの塩,又はそれら又はそれらの溶媒和物のうちいずれか1種又は2種以上である,ものがあげられる。これらを用いることで,骨細胞と効果的に置き換わり,骨再生に寄与する骨補填剤を提供できる。

0016

本発明の製造方法により得られる骨補填剤は,一般的に微小であり,骨補填剤としての適切な物性を得る必要がある。そこで,本発明の骨補填剤の製造方法の好ましい側面は,原料に加えるバインダの種類や量を特定のものとすることにより,好ましい骨補填剤を得るものである。具体的には,前記バインダが,(メタアクリル系樹脂ロウ滑剤,及び滑剤を含む上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法があげられる。また,バインダが,ロウ滑剤を含み,前記ロウ滑剤が,融点が40℃〜100℃のワックスを含む請求項1に記載の骨補填剤の製造方法があげられる。ロウ滑剤として融点の低いものを用いるので,金型からとりやすくなり,効果的に骨補填剤を製造できることとなる。本発明の好ましい態様は,前記バインダが,(メタ)アクリル系樹脂,エチレン酢酸ビニル共重合体パラフィンワックスステアリン酸及びジブチルフタレートを含み,前記混練工程では,前記(メタ)アクリル系樹脂及び前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を混練機投入し,混練しつつ前記原材料,前記パラフィンワックス及び前記ステアリン酸を混練機へ投入し,混練しつつ前記ジブチルフタレートを混練機へ投入する,上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。骨補填剤を製造することは容易ではないが,このように特定の樹脂を用いることで最適な骨補填剤を製造できる。

0017

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の製造方法は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダの他にガラス成分を含む,上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。骨補填剤の強度を制御できることは骨補填剤の応用を広げることとなる。そして,ガラス成分を含むので,強度の高い骨補填剤を得ることができる。

0018

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の製造方法は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダの他に塩分又は糖分(好ましくは塩分)を含む,上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。本発明の骨補填剤は,骨細胞などの細胞を生体内又は生体外インビトロ)で培養することが予定されるので,できる限り細胞が付着しやすいものが望ましい。そして,塩分又は糖分を含んだ原料を用いて骨補填剤を製造すれば,後に水などに浸すことで塩分又は糖分を取り除き,多孔質の骨補填剤を得ることができる。すると,塩分又は糖分が抜けた部分が孔となり細胞の培養に好ましい物理的形状を得ることができることとなる。

0019

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の製造方法は,前記骨補填剤は,複数(たとえば4つ以上)の突起部を有する形状であり,前記金型は,材料(例えば,混練物など)を注入するための注入口が設けられる固定側金型と,材料を注入する際は前記固定側金型と接触するが,成形後は前記固定側金型から離れる可動側金型とを有し,前記固定側金型は,前記複数の突起部のうちある突起部の先端部から射出成形用の材料が注入されるように,前記注入口を前記先端部に位置するようにし,前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面が端面から中心方向へ向かうにしたがって注入口方向へ傾斜する傾斜面を有し,前記可動側金型は所定のくさびを設けるためのへこみ部を有する上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。骨補填剤を製造することは困難をともなう。当業者であれば,射出成形をするのであれば,突起部ごとに成形してそれらを組み合わせる製造方法を考える。しかし,本発明の骨補填剤は,微小であり,各突起部を別々に製造して,それらを組み合わせることは困難である。そこで,射出成形時の金型を工夫することで,1回の射出成形で複数の突起部を有する射出体を得ることができるというものである。たとえば,前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面が端面から中心方向へ向かうにしたがって注入口方向へ傾斜する傾斜面を有するような三次元的なあわせ面を有する金型を考案することで,固定側金型から成形体をとりやすいものとした。たとえば,あわせ面が平面な半割金型では,固定側金型に成形体が残る可能性が高くなり,そのような場合,成形体を金型から取り除くことは困難となる。そして,金型に詰まった成形体をきれいに取り除くのは困難であった。しかしながら,上記の金型では,あわせ面に傾斜をつけることで,固定側金型に成形体が残る可能性を低くした。

0020

本発明に用いられる好ましい態様は,くさびの高さが,1μm〜1×102μmである。成形体が固定側金型に取り残されると,骨補填剤を製造できなくなる。このくさびの部分が,可動側金型へのくさびの役割をするので,金型を取り外した際に固定側金型に成形体がとり残される事態を防止できる。

0021

本発明に用いられる好ましい態様は,前記可動側金型は,深さが1μm〜2×10μmである1又は複数の溝を有する前記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。成形体が固定側金型に取り残されると,骨補填剤を製造できなくなる。この溝の部分が,可動側金型部分の表面積を増やすことになるので,金型を取り外した際に固定側金型に成形体がとり残される事態を防止できる。

0022

本発明に用いられる好ましい態様は,前記骨補填剤は,4つの突起部を有する形状であり(好ましくは4つの突起が正四面体の各頂点の方向へ延びるいわゆるテトラポッド状である),前記可動側金型側には,突起部の内側に位置するように突き出しピンを配置する上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。金型から取り外すことは射出成形では非常に重要である。この態様では,突起部の内側に位置するように(ひとつの突起部の先端の反対方向から,中心やそのひとつの突起部の先端方向に向けて移動するように)突き出しピンを配置するので,効果的に成形体を取り外すことができる。

0023

本発明に用いられる好ましい態様は,前記骨補填剤は,複数の突起部を有する形状であり,前記金型は,固定側金型と,材料を注入する際は前記固定側金型と接触するが,成形後は前記固定側金型から離れる可動側金型とを有し,射出成形用の材料が注入される注入口を前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面に位置するようにし,前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面が端面から中心方向へ向かうにしたがって前記骨補填剤の中心方向へ傾斜する傾斜面を有し,前記可動側金型は所定のくさびを設けるための溝を有する,上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。射出成形時の金型を工夫することで,1回の射出成形で複数の突起部を有する射出体を得ることができるというものである。

0024

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の製造方法は,前記脱バインダ工程は,110℃〜300℃の第一の維持期間に達成するまでの間,1℃/時間〜3×102℃/時間(好ましくは10℃/時間〜2×102℃/時間)で昇温する昇温工程を含む,前記に記載の骨補填剤の製造方法である。脱バインダ工程は,たとえば,バインダに含まれる樹脂の熱分解温度に応じて,複数段階の昇温時間と維持期間を有する。このように多段階に温度を上げて脱バインダを行うので,熱分解温度が低い樹脂から効果的に熱分解させることができ,効果的に脱バインダを行うことができる。そして,特に熱分解温度の低い樹脂を効果的に熱分解させることで,焼結性を上げることができる。本発明では,上記のように温度を上げるので,効果的に熱分解温度の低い樹脂を熱分解させることができる。

0025

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の製造方法は,前記焼結工程で得られた焼結体に薬剤を含浸又は塗布する工程を含む上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。また,本発明の好ましい態様は,前記薬剤として,骨・軟骨形成促進剤軟骨形成促進因子を含む),関節疾患治療剤,骨・軟骨疾患予防・治療剤,骨再生剤骨吸収抑制物質血管新生促進剤抗菌剤抗生物質又は抗癌剤の1種又は2種以上を用いる上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。従来骨補填剤は,単に欠損部などに投与して骨を再生することしか意図されていなかった。本発明の骨補填剤では,その骨補填剤に薬剤を塗布することで,骨の再生を予防するほか,感染などを予防することができるというものである。すなわち,本発明は,表面に薬剤が含浸又は塗布された複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤をも提供する。

0026

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の製造方法は,前記焼結工程で得られた焼結体に接着性付与剤を含浸又は塗布する工程を含む,上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。前記接着性付与剤としてトロンビンがあげられる。また,本発明のある実施態様は,上記に記載の骨補填剤の製造方法に従って複数の骨補填剤(または焼結体)を製造し,2種類の接着性付与剤を含有する組成物を用意し,ある骨補填剤群に第1の組成物を含浸又は塗布して第1の骨補填剤群とし,ある骨補填剤群に第2の組成物を含浸又は塗布して第2の骨補填剤群とし,前記第1の骨補填剤群と前記第2の骨補填剤群を含む骨補填剤群を骨補填剤として用い,前記第1の組成物は,下記一般式(I) 又は(II)で示される化合物か,下記一般式(III)で示される繰返し単位を3〜8個含む化合物を1種又は2種以上含有する第1の化合物,及び第1の希釈剤(又は担体)を具備し,前記第2の組成物は,下記一般式(I) 又は(II)で示される化合物か,下記一般式(III)で示される繰返し単位を3〜8個含む化合物を1種又は2種以上含有する第2の化合物,及び第2の希釈剤を具備する請求項1に記載の骨補填剤の製造方法である。X1−(OCH2CH2)n−X2 (I)
(式(I)中,X1及びX2は同一又は異なり,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)を示し,nは,80〜1000の整数を示す。)

0027

0028

(式(II)中,XII-1〜XII-4は,それぞれ同一又は異なり,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)を示し,nII-1〜nII-4は,それぞれ同一又は異なり,20〜250の整数を示す。)

0029

0030

(式(III)中,XIIIは,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS,-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す。)を示し,nIIIは10〜150の整数を示す。)。

0031

上記のさらに好ましい態様は,前記第1の化合物は,一般式(I)又は(II)において,X1,X2,又はXII-1〜XII-4が,それぞれ同一又は異なり,-NOCOR1-R2又は-R1NH2である化合物を1種又は2種以上含有し,前記第2の化合物は,一般式(I)又は(II)において,X1,X2,又はXII-1〜XII-4が,それぞれ同一又は異なり,-COR1COONHS,-R1SH又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)である化合物を1種又は2種以上含有する骨補填剤の製造方法である。

0032

骨補填剤は,生体に投与されることが意図される。そして,生体内で,複数の骨補填剤が結合しあって,立体構造を維持することが望ましい。従来の骨補填剤では,立体構図崩れやすく,従って,強度に乏しいものであった。しかし,上記のような接着性付与剤を用いることで,骨補填剤同士の接着性や骨への接着性を高めて,立体構造を維持できることとなる。また,接着性付与剤が熱で変性しにくいものの場合は,原料粉末に接着性付与剤を混ぜておき接着性付与剤が粉体混合された骨補填剤を得てもよい(このような場合,骨補填剤の表面にも接着性付与剤が存在するほか,表面が骨と置換され新たに現れる表面にも接着性付与剤が存在するので接着性を維持できることとなる)。また,接着性付与剤は,成形体又は焼結体の表面に粉状のまま散布してもよい。さらに,複数の骨補填剤と粉末の接着性付与剤とを混合し適宜攪拌することにより粉体混合し,これにより骨補填剤の表面に接着性付与剤を付着させてもよい。すなわち,本発明は,表面に接着性付与剤が含浸,塗布又は粉体混合された複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤をも提供する。

0033

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の製造方法は,前記複数の突起部を有する骨補填剤は,正四面体の中心から各頂点へ向けた方向に伸びる4つの突起部を有する形状である前記に記載の骨補填剤の製造方法である。このような形状を有する骨補填剤であれば,好ましい連通孔などを形成でき,細胞などを容易に培養できることとなる。

0034

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の利用方法は,複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する上記いずれかの骨補填剤を含む3次元細胞培養担体である。この3次元細胞培養担体の好ましい態様は,前記骨補填剤は,その表面に薬剤又は接着性付与剤が含浸,塗布又は粉体混合された骨補填剤である3次元細胞培養担体である。従来,細胞培養は,シャーレ内など2次元的に培養することのみが意図されていた,本発明によれば,効果的に3次元で細胞をインビトロ培養できることとなる。

0035

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の利用方法は,複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤を含むクロマトグラフィー用分離担体である。後述の試験例で実証されたとおり,本発明の骨補填剤は,好ましい吸着性などを有するものであり,さらにその吸着性は,骨補填剤の空隙などを調整することにより制御できる。したがって,複数の骨補填剤を,クロマトグラフィー用の分離担体として用いることができる。

発明の効果

0036

本発明によれば,骨補填剤を製造するに当たり,原料粉末としてリン酸カルシウム系物質を用いるものに適応させた粉末射出成形法を用いたので,形状の精度が高く,体積のばらつきが少ない骨補填剤の製造方法を提供できる。

0037

本発明によれば,バインダとして所定のワックスを含むものを用いたので,金型から離しやすい骨補填剤の製造方法を提供できる。

0038

本発明によれば,実施例で実証されたとおり,所定の強度を有する骨補填剤,及びそのような骨補填剤の製造方法を提供できる。

0039

さらに,本発明の骨補填剤は,成形体の表面などに薬剤を塗布することで,所定の薬理効果を有する薬剤として機能しうるので,本発明によれば,所定の薬理効果を得ることができる骨補填剤,及びそのような骨補填剤の製造方法を提供できる。

0040

細胞培養は,これまで2次元的にしか行われていなかったが,本発明によれば,後述の実施例で実証されたとおり,そのような概念を覆し,複数の骨補填剤を効果的に用いることで3次元的に細胞を培養できる担体を提供できる。

0041

本発明は,上記のような骨補填剤のこれまでに考えられていなかった利用態様を提として3次元細胞培養担体や,クロマトグラフィー用分離担体などの用途を提供できる。

図面の簡単な説明

0042

図1は,本発明の骨補填剤の製造方法において用いられる金型の例を示す概念図である。
図2は,テトラポッド形状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図2(A)は,側面図,図2(B)は上面図,図2(C)は斜視図を示す。
図3は,頭切テトラポッド形状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図3(A)及び図3(B)は,側面図を示し,図3(C)は上面図を示し,図3(D)は斜視図を示す。
図4は,3つの突起部を有する骨補填剤の例を説明するための概念図である。図4(A)は斜視図を示し,図4(B)は上面から見た図を示す。
図5は,半球状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図5(A)は斜視図を示し,図5(B)は下面から見た図を示す。
図6は,下面に1または複数のくりぬきを有する骨補填剤の例を説明するための概念図である。図6(A)は斜視図を示し,図6(B)は下面から見た図を示す。
図7は,双頭状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図7(A)は斜視図を示し,図7(B)及び図7(C)は側面図を示す。
図8は,胴体部に突起部を有する骨補填剤の例を説明するための概念図である。図8(A)は斜視図を示し,図8(B)は側面図を示す。
図9は,十字状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図9(A)は斜視図を示し,図9(B)は上面図を示し,図9(C)は側面図を示し,図9(D)は底面図を示す。
図10は,略平面状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図10(A)は斜視図を示し,図10(B)は上面図を示し,図10(C)は側面図を示す。
図11は,平面の一端または両端に突起部を有数する骨補填剤の例を説明するための概念図である。
図12は,傾斜する上面を有数する骨補填剤の例を説明するための概念図である。図12(A)は斜視図を示し,図12(B)は側面図を示す。
図13は,骨補填剤のCADによる設計図である。
図14は,実施例1で得られた骨補填剤の図面に替わる写真である。
図15は,実施例1で得られた骨補填剤の図面に替わる電子顕微鏡写真である。
図16は,実施例1で得られた骨補填剤が集積化したものの図面に替わる電子顕微鏡写真である。
図17は,実施例1で得られた骨補填剤の焼結温度曲げ強度の関係である。
図18は,実施例1で得られた骨補填剤と,既存の人工骨製品集合した様子を示す図面に替わるマイクロX線によるCT画像である。図18(A)は,本発明の骨補填剤が集合した様子を示し,図18(B)は従来の人工骨顆粒が集合した様子を示す。図18(C)は,本発明の骨補填剤がクライオチューブ内で充填された様子を示す。図18(D)は,既存の人工骨製品がクライオチューブ内で充填された様子を示す。
図19は,骨補填剤の細胞接着性を確認するための図面に替わる写真である。図19(A)は培養細胞がないものの4日間培養後の写真を示し,図19(B)は骨芽系細胞株MC3T3を平面培養し4日間培養後の写真を示し,図19(C)は培養細胞がないものの6日間培養後にアルカリフォスターゼ(ALP)染色したものの写真を示し,図19(D)は骨芽系細胞株MC3T3を平面培養し6日間培養後にアルカリフォスターゼ染色したものの写真を示し,図19(E)は培養細胞がないものの10日間培養後にアルカリフォスターゼ染色したものの写真を示し,図19(F)は骨芽系細胞株MC3T3を平面培養し10日間培養後にアルカリフォスターゼ染色したものの写真を示す。

符号の説明

0043

1金型の溝を合わせた形状
2注入口に対応する部分
3 あわせ面
4くさび
11骨補填剤
12突起部
13 先端部
21穴部
22 くりぬき部
23 骨補填剤の厚さ
31胴体部
32 頭部
33 頭部
42足部
43 テーブル部

発明を実施するための最良の形態

0044

[骨補填剤の製造方法]
以下,本発明の骨補填剤の製造方法について説明する。本発明の骨補填剤の製造方法は,基本的には,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料を混練するための混練工程と;前記混練工程で得られた混練物を用いて,金型を有する射出成形機を用いた射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための成形工程と;前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダを取り除き脱脂体を得るための脱バインダ(脱脂)工程と;前記脱バインダ工程後の脱脂体を加熱し,焼結し焼結体を得るための焼結工程とを含む突起部を有する骨補填剤の製造方法である。なお,成形体の後処理を行うための後処理工程など公知の工程を適宜含んでもよい。

0045

本発明の骨補填剤の製造方法によって得られた骨補填剤は,ひとつひとつの骨補填剤の大きさが均一なので,骨補填剤に薬剤を含有させた場合であっても,適切な量の薬剤を投与できることとなる。さらには,密度が均一でありしかも大きさを制御できるので,それぞれの骨補填剤の強度を維持しつつも,複数の骨補填剤を投与した場合に適切な空隙率を得ることができることとなる。以下,骨補填剤の製造方法の各工程について説明する。

0046

[混練工程]
混練工程は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料を混練するための工程である。原料として,粉末の原料を用いることが好ましい。混練工程では,原料粉末とバインダなどの副素材とを混ぜ,射出成形に適した状態のものとする。

0047

[原料粉末の種類]
原料粉末として,カルシウム系の物質があげられる。前記カルシウム系物質は,リン酸カルシウム系物質,炭酸カルシウム系物質,乳酸カルシウム及びグルコン酸カルシウムがあげられ,これらの中ではリン酸カルシウム系物質又は炭酸カルシウム系物質が好ましい。原料粉末としてのリン酸カルシウム系物質を,より具体的に説明すると,水酸アパタイト,炭酸アパタイト,フッ素アパタイト,塩素アパタイト,β−TCP,α−TCP,メタリン酸カルシウム,リン酸四カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸水素カルシウムリン酸二水素カルシウム,ピロリン酸カルシウム,それらの塩,又はそれら又はそれらの溶媒和物二水和物などのいずれか1種または2種以上があげられ,これらの中ではβ−TCP,又は水酸アパタイトが好ましい。また,炭酸カルシウム系物質として,炭酸カルシウム及び炭酸水素カルシウムがあげられ,これらの中では炭酸カルシウムが好ましい。ただし,原料粉末は,これらに特に限定されず,骨補填剤の原料として用いられる公知のものを適宜用いることができる。

0048

[原料粉末の大きさ]
原料粉末は,小さすぎると多くのバインダが必要となり,得られる骨補填剤の物性が悪くなる。一方,原料粉末が大きすぎると,成形機スクリューシリンダとの隙間に入り込んで噛む場合や,焼結が進まない場合がある。本発明では,基本的には粉末射出成形を行うが,金属を原料粉末とするものでは必ずしも無い。よって,実験を行った結果,原料粉末の大きさは,例えば,0.01μm〜100μm(0.01μm以上100μm以下。以下同様。)があげられ,好ましくは0.1μm〜20μmである。通常の粉末冶金では,例えば,100μm程度の大きさの粉末を用いる。例えば,特開2004-97259号公報(上記特許文献1)では,粒径が150μm以下の水酸アパタイト粉を用いている(同公報の段落[0025])。しかし,本発明では,原料粉末をバインダと混合し,混練したものの流動性をよくし,焼結後の密度を向上させるために比較的小さい粒径を有する粉末を用いることが好ましい。一方,本発明によって製造される骨補填剤は,ある程度の強度が要求されるものの,生体内に埋め込んだ場合に破骨細胞などにより侵食されることが想定される。そのような観点からは,粉末の大きさをあえて0.1μm〜50μm,好ましくは0.5μm〜10μmとしてもよい。

0049

[副素材]
混練工程では,バインダなどの原材料以外の材料(1又は複数種類の化合物)を,原材料に混ぜる。このようなバインダとして, (メタ)アクリル系樹脂,ロウ滑剤,(好ましくは(メタ)アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂),及び滑剤を含むものがあげられる。メタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂として,メタクリル樹脂又はアクリル樹脂があげられ,具体的にはn−ブチルメタクリレート又はメチルメタクリレート重合体,又はn−ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートの共重合体があげられる。メタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂の分子量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,重量平均分子量で1×103〜1×105があげられる。バインダにおけるメタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂の含有量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,1重量%〜50重量%があげられる。

0050

ロウ滑剤として,融点が40℃〜100℃のワックスがあげられ,好ましくは40℃〜70℃である。このような融点を有するワックスとして,例えば,公知のパラフィンワックスを適宜用いることができる。このような融点を有するワックスを用いることで,射出成形時に成形体を金型からはずしやすくすることができる。また,融点が,60℃〜65℃であるロウ滑剤を用いれば,金型をそれほど冷却せずに成形体を取り出すことができるので,より好ましい。

0051

ロウ滑剤の例として,流動パラフィンスクワレンスクワランなどの炭化水素油オレイン酸トール油,及びイソステアリン酸などの高級脂肪酸ラウリルアルコールオレイルアルコールイソステアリルアルコール,及びオクチルドデカノールなどの高級アルコール;,メチルポリシロキサンメチルフェニルポリシロキサンメチルハイドロジェンポリシロキサン,及びデカメチルポリシロキサンなどのシリコーン油ミリスチン酸イソプロピルパルミチン酸イソプロピルラウリン酸ヘキシルオレイン酸オレイル,オレイン酸デシルミリスチン酸オクチルドデシルジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,フタル酸ジエチル,及びフタル酸ジブチルなどのエステルアボカド油ツバキ油タートル油,マカデミアナッツ油トウモロコシ油ゴマ油,パーシック油,小麦胚芽油サザンカ油,ヒマシ油アマニ油サフラワー油綿実油エノ油大豆油落花生油実油,カヤ油コメヌカ油ホホバ油,キョーニン油,オリーブ油カロット油,グレーシード油ナタネ油,ツバキ油,ホホバ油,卵黄油ラノリン油及びミンク油などの動植物油類;及びグリセリンジグリセリントリグリセリントリオタン酸グリセリン,及びトリイソパルミチン酸グリセリンなどのグリセリンの1種又は2種以上があげられる。なお, ロウ滑剤の融点は,これらの原料の分子量や組成比を適宜調整することにより調整できる。

0052

ロウ滑剤の分子量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,重量平均分子量で1×102〜1×106があげられる。バインダにおけるロウ滑剤の含有量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,1重量%〜50重量%があげられる。

0053

熱可塑性樹脂として,ポリアセタール樹脂,(メタ)アクリル樹脂,ポリオレフィン樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合体,又はポリビニルブチラールのうちいずれか1種又は2種以上を用いることができる。ただし,本発明では,熱可塑性樹脂として(メタ)アクリル樹脂と(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂を有するものが好ましい。これらの中では,エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。

0054

熱可塑性樹脂の分子量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,重量平均分子量で1×103〜1×105があげられる。バインダにおけるロウ滑剤の含有量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,1重量%〜50重量%があげられる。

0055

滑剤(ロウ滑剤以外の滑剤)として,ステアリン酸,ステアリン酸の塩,ステアリン酸又はその塩の水和物,C1−C5アルキルステアリン酸(C1−C5アルキルは炭素数が1〜5のアルキル基を示す。以下同様である);又はこれらのいずれかと,ポリエチレングリコール又はポリグリセンがあげられる。滑剤含有量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,0.5重量%〜15重量%があげられる。これら滑剤を用いるので,成形体を金型から容易に取り出すことができる。なお,滑剤は,分散剤として機能してもよい。

0056

そのほかバインダを構成する化合物として,フタル酸エステル類があげられる。フタル酸エステル類は,生体への危険性が報告されているが,本発明の好ましい態様では,バインダをほぼ完全に熱分解させるので,このような生体親和性に乏しい化合物をもバインダに含めることができる。このようなフタル酸エステル類として,ジブチルフタレートなどのC1−C5アルキルフタレートがあげられる。後述する実施例で実証されたように,このようなフタル酸エステル類をあえて用いることで,より好ましい物性を有する骨補填剤を得ることができた。

0057

フタル酸エステル類の分子量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,重量平均分子量で1×104〜1×107があげられる。フタル酸エステル類は,揮発性に乏しいものが好ましい。バインダにおけるフタル酸エステル類の含有量は,特に限定されず,得られる骨補填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,0重量%〜20重量%があげられ,好ましくは0.5重量%〜15重量%である。

0058

[バインダの添加量]
バインダは,後の脱バインダ工程などで,熱分解することなどにより除去される。すなわち,バインダが存在した部分は,基本的には空隙となる。よって,原材料に加えるバインダの量を制御することで,得られる骨補填剤の空隙率や強度を調整できる。ただし,一般的には,バインダは,原材料の粒子間を埋めるに十分なだけの量が必要とされる。なぜなら,バインダの添加量が少なければ,適切な流動性を得ることができず,ショートモールドウェルドなどの成形欠陥や,得られる成形体の形状や密度がばらつく原因となる。よって,バインダの添加量として,原材料の重量を100重量部としたとき,バインダの添加量として,10重量部〜100重量部があげられ,20重量部〜50重量部でもよい。原材料とバインダにおけるバインダの配合割合は,25容積%〜70容積%があげられ,好ましくは30容積%〜55容積%であり,さらに好ましくは35容積%〜45容積%である。

0059

[ガラス成分の添加]
本発明の骨補填剤の製造方法の好ましい態様は,“カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料”に,ガラス成分を含む骨補填剤の製造方法である。ガラス成分として,二酸化ケイ素を主成分とする石英ガラス;B2O3を5重量%〜20重量%含有するホウケイ酸ガラス;鉛を5重量%〜40重量%含有する鉛ガラスカリウムを5重量%〜30重量%含有するカリウムガラス;フッ化ナトリウムフッ化アルミニウム,及びフッ化ストロンチウムを含むフルオロアルミノシリケートガラス;又はそれらのガラスに,ホウ酸酸化ランタン酸化ガドリニウム酸化ニオブ酸化ジルコニウム,又はバリウムの1種又は2種以上を適宜混入したもの;を適宜用いることができる。ガラス成分をあえて加えることで,焼結体の焼結性をあえて低めて,微小なクラックや孔を入れることができ,その結果細胞を培養するために好ましい骨補填剤を得ることができる。一方,ガラス成分は,骨補填剤の強度を高めるので,クラックや孔を生じても,好ましい強度を有する骨補填剤を得ることができると考えられる。ガラス成分として,チタンチタン合金コバルトクロム合金ステンレスアルミナジルコニアを用いてもよいし,それらの適量を適宜混合してもよい。アパタイト(Ca10(PO4)6O)などのリン酸カルシウム系結晶やCaO−SiO2−MgO−P2O5系結晶化ガラスなどのリン酸カルシウム系結晶化ガラスを適宜用いてもよい。

0060

ガラス成分の添加量は,要求される骨補填剤の物性に応じて適宜調整すればよいが,例えば,原材料の重量を100重量部としたとき,ガラス成分の添加量として,1重量部〜20重量部があげられ,2重量部〜10重量部でもよい。混練材におけるガラス成分の配合割合は,1容積%〜20容積%があげられ,好ましくは2容積%〜10容積%であり,さらに好ましくは3容積%〜10容積%である。

0061

[塩分又は糖分の添加]
本発明の骨補填剤の製造方法の好ましい態様は,“カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダを含む材料”に,塩分又は糖分(好ましくは塩分)を含む,骨補填剤の製造方法である。このような塩分又は糖分を含めば,焼結体の焼結性をあえて低めて,微小なクラックや孔を入れることができ,その結果細胞を培養するために好ましい骨補填剤を得ることができる。また,骨補填剤を得た後に,水などに浸漬することで,塩分又は糖分を除去し,多孔質な骨補填剤を得ることができるので,細胞を培養するために好ましい骨補填剤を得ることができる。塩分又は糖分は,公知の塩分又は糖分を適宜用いることができる。塩分として,水などで溶解し,バインダが熱分解される温度で熱分解されないもの,特に無機塩が好ましく,具体的には,塩化ナトリウム塩化カリウム塩化カルシウム,又は炭酸カルシウム,があげられる。糖分として,ショ糖ブドウ糖果糖など公知の糖分を適宜用いることができる。なお,塩分又は糖分とは別に,もしくは塩分又は糖分とともに熱分解性成分を適宜含むものは本発明の好ましい態様である。熱分解性成分とは,混合工程では,熱分解しないが,成形工程や焼結工程,又は成形工程や焼結工程における加熱温度よりも高い温度において熱分解する成分を意味する。そのような熱分解成分を適宜含有すれば,成形中,焼結中,焼結後のいずれかの段階で熱分解されるので,適切な空隙を有する骨補填剤を得ることができる。

0062

塩分又は糖分の添加量は,要求される骨補填剤の物性に応じて適宜調整すればよいが,例えば,原材料の重量を100重量部としたとき,塩分又は糖分の添加量として,1重量部〜20重量部があげられ,2重量部〜10重量部でもよい。混練材における塩分又は糖分の配合割合は,1容積%〜30容積%があげられ,好ましくは2容積%〜20容積%であり,さらに好ましくは3容積%〜10容積%である。なお,熱分解性成分を添加する場合も塩分又は糖分と同様の量を添加すればよい。

0063

[混練]
混練工程では,上記した原料粉末とバインダなどとを混合する。これにより射出成形用の材料であるコンパウンドを得る。原料粉末が均一に混合されていなければ,成形体の形状寸法が悪くなるなどの問題が生ずる。特に,本発明の製造方法により得られる骨補填剤は,薬物の投与量を一定にする観点から,一つ一つの形状が一定であることが望ましいので,できるだけ原料を均一に混合することが望ましい。

0064

混練工程における温度は,バインダの種類などに応じて適宜調整すればよいが,温度が低いと混ざらないし,温度が高いとバインダが熱分解してしまうので,110℃〜240℃があげられ,好ましくは130℃〜190℃であり,より好ましくは140℃〜160℃である。

0065

混練工程における時間は,原料を均一に混練するためには長時間を必要とし,時間が長すぎれば混練中にバインダが熱分解することがあるため,バインダの種類などに応じて適宜調整すればよいが,30分〜5時間があげられ,45分〜1.5時間でもよい。

0066

混練工程における混練機として,例えば,加圧式ニーダー,一軸又は二軸押出ニーダーを適宜使用できる。本発明により得られる骨補填剤は,移植に用いることが考えれる医療機器であるから,混練機の羽根が磨耗して不純物が混入する事態を避けることが好ましい。このような観点から,混練機の羽根は高硬度の高いものを用いることが望ましく,TiNコーテイングなどの表面保護層が形成されるように表面処理が施されている羽根を用いることが好ましい。

0067

混練工程は,例えば以下のようにすればよい。あらかじめ設定した温度にニーダーを加熱した後,融点が高いバインダをはじめに混練機へ投入する。バインダの溶融が進んだ後に原料粉末を投入する。その後,融点が低いバインダと原料粉末とをともに混練機へ投入し,1/2容積量〜4/5容積量の原料を投入した後,DBP(ジブチルフタレート)などの低揮発分を投入し,その後,残りの原材料を投入する。このように,高融点のバインダ(高粘性)と原料粉末をはじめに混練することで,粉末の凝集を分散させる効果を得ることができた。

0068

具体的には,(メタ)アクリル系樹脂及び前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を混練機へ投入し,混練しつつ前記原材料,前記パラフィンワックス及び前記ステアリン酸を混練機へ投入し,混練しつつ前記ジブチルフタレートを混練機へ投入するものがあげられる。このように混練を行うことで,射出成形用の材料であるコンパウンドを得ることができる。

0069

ただし,本発明では,得られる骨補填剤が,将来的には骨と置き換わるものであるから,あえて成形品に微小なクラックを入れて,骨と置き換わることを促進してもよい。そのような観点からは,例えば,混練時間を15分〜30分としてもよく,混練温度を80℃〜100℃としてもよい。

0070

[成形工程]
成形工程は,射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための工程である。骨補填剤は,正四面体の中心から各頂点へ向けた方向に伸びる4つの突起部を有する形状が好ましいので,以下このような骨補填剤を製造するための金型の例を説明する。図1は,本発明の骨補填剤の製造方法において用いられる金型の例を示す概念図である。図中1は,金型の溝を合わせた形状を示し,2は注入口に対応する部分を示し,3はあわせ面を示し,4はくさびを示す。前記金型は,材料を注入するための注入口(ゲート)が設けられる固定側金型と,材料を注入する際は前記固定側と接触するが,成形後は前記固定側から離れる可動側金型とを有するものがあげられる。そして,前記金型は,前記突起部のひとつの先端部が材料を注入するための注入口に位置するようにし,あわせ面(パーテイング面)が残りの3つの突起部に位置するようにし,前記残りの3つの突起部の内側に突き出しピン(エジェクタピン)を配置するものがあげられる。残りの3つの突起部の内側とは,図1(A)の下方から符号2の方に向かう方向を意味する。

0071

前記骨補填剤は,複数(たとえば4つ以上)の突起部を有する形状であり,前記金型は,材料を注入するための注入口が設けられる固定側金型と,材料を注入する際は前記固定側金型と接触するが,成形後は前記固定側金型から離れる可動側金型とを有し,前記固定側金型は,前記複数の突起部のうちある突起部の先端部から射出成形用の材料が注入されるように,前記注入口を前記先端部に位置するようにし,前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面が端面から中心方向へ向かうにしたがって注入口方向へ傾斜する傾斜面を有し,前記可動側金型は所定のくさびを設けるためのへこみ部を有する上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。図1に示されるように,突起部に対応する部位に設けられるあわせ面は,水平ではなく中心に近づくにつれ注入口方向へ傾斜している。

0072

骨補填剤を1回の成形で製造することは困難をともなう。当業者であれば,射出成形をするのであれば,突起部ごとに成形してそれらを組み合わせる製造方法を考える。しかし,本発明の骨補填剤は,微小であり,各突起部を別々に製造して,それらを組み合わせることは困難である。そこで,射出成形時の金型を工夫することで,1回の射出成形で複数の突起部を有する射出体を得ることができるというものである。たとえば,前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面が端面から中心方向へ向かうにしたがって注入口方向へ傾斜する傾斜面を有するような三次元的なあわせ面を有する金型を考案することで,固定側金型から成形体をとりやすいものとした。たとえば,あわせ面が平面な半割金型では,固定側金型に成形体が残る可能性が高くなり,そのような場合,成形体を金型から取り除くことは困難となる。そして,金型に詰まった成形体をきれいに取り除くのは困難であった。しかしながら,上記の金型では,あわせ面に傾斜をつけることで,固定側金型に成形体が残る可能性を低くした。

0073

本発明に用いられる金型の好ましい態様は,くさび(4)の高さが,1μm〜1××102μm(好ましくは5μm〜2×10μm,又は5μm〜1×10μm)である。くさびの形状は,くさびとしての機能を奏するものであれば,特に限定されるものではなく,公知の形状を採用できる。図1では,くさびの数は3つ設けられるが(各突起部の先端に対応する部位にある),くさびの数や位置は特に限定されず,突起部の先端部以外の部分(例えば,突起部の胴体部)に設けられてもよい。成形体が固定側金型に取り残されると,骨補填剤を製造できなくなる。このくさびの部分が,可動側金型へのくさびの役割をするので,金型を取り外した際に固定型金型に成形体がとり残される事態を防止できる。

0074

本発明に用いられる金型の好ましい態様は,前記可動側金型は,深さが1μm〜2×10μm(好ましくは5μm〜1×10μm)である1又は複数の溝(好ましくは平行な溝,又はスパイラル状の溝)を有する前記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。成形体が固定側金型に取り残されると,骨補填剤を製造できなくなる。この溝の部分が,可動側金型部分の表面積を増やすことになるので,金型を取り外した際に固定型金型に成形体がとり残される事態を防止できる。前記溝は,例えば,突起部の胴体部分に設けられるものがあげられる。

0075

本発明に用いられる好ましい態様は,前記骨補填剤は,4つの突起部を有する形状であり,前記可動側金型側には,突起部の内側に位置するように突き出しピンを配置する上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。金型から取り外すことは射出成形では非常に重要である。この態様では,突起部の内側に位置するように(ひとつの突起部の先端の反対方向から,中心やそのひとつの突起部の先端方向に向けて移動するように)突き出しピンを配置するので,効果的に成形体を取り外すことができる。

0076

本発明に用いられる好ましい態様は,前記骨補填剤は,複数の突起部を有する形状であり,前記金型は,固定側金型と,材料を注入する際は前記固定側金型と接触するが,成形後は前記固定側金型から離れる可動側金型とを有し,射出成形用の材料が注入される注入口を前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面に位置するようにし,前記固定側金型と前記可動側金型とのあわせ面が端面から中心方向へ向かうにしたがって前記骨補填剤の中心方向へ傾斜する傾斜面を有し,前記可動側金型は所定のくさびを設けるための溝を有する,上記いずれかに記載の骨補填剤の製造方法である。射出成形時の金型を工夫することで,1回の射出成形で複数の突起部を有する成形体を得ることができるというものである。

0077

成形工程では,好ましくは射出成形機を用いて射出成形を行う。射出成形機は,特に限定されず公知の射出成形機を適宜用いることができる。射出成形機として,縦型又は横型高圧式,中圧式又は低圧式;プランジャ式又はスクリュー式などがあげられる,ただし,このリン酸カルシウム系物質を用いて微小な突起部を有する骨補填剤を製造するためには,横型でスクリュー式(好ましくは高圧式)の射出成形機を好ましく用いることができる。ただし,スクリュー・シリンダが磨耗するなどして生ずる不純物が成形体へ混入すると,通常の成形体であれば,特に問題とならないが,本発明の骨補填剤は生体内に投与されることが意図されているので問題が生ずるおそれがある。そこで,スクリューの表面に,TiNコーティング層などの磨耗保護層を設けることが好ましい。

0078

[脱バインダ工程]
脱バインダ工程は,前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダを取り除き脱脂体を得るための工程である。脱バインダ工程は,脱脂工程ともよばれる。この脱バインダ工程で,バインダを十分に取り除いておかなければ,後の焼結工程で,成形体に亀裂が生じる場合や,ふくれが生ずる場合がある。脱脂工程では,変形やクラックなどの欠陥を発生させずに脱バインダを完了することが期待される。バインダを除去するための方法には,昇華法,自然乾燥法,溶剤抽出法及び加熱脱脂法などがあげられ,好ましくは加熱脱脂法である。加熱脱脂法には,大気雰囲気減圧雰囲気加圧雰囲気,及びガス雰囲気で行う方法などがあるが,好ましくは大気雰囲気下で加熱して脱脂を行うものである。脱脂炉に,成形体を投入する際は,好ましくはセラミックスセッター(多孔質,緻密質)に載せる。成形体が大きい場合(肉厚が厚い),アルミナなどの多孔質であるセッターが好ましい。また,セッターの汚れや,加熱によるセッター材質から来る成分が不純物にならないように配慮することが望ましい。

0079

脱バインダ工程は,たとえば,バインダに含まれる樹脂の熱分解温度に応じて,複数段階の昇温時間と維持期間を有する。そして,特に熱分解温度の低い樹脂を効果的に熱分解させることで焼結性を上げることができる。本発明では,上記のように温度を上げるので,効果的に熱分解温度の低い樹脂を熱分解させることができる。本発明の好ましい態様では,骨補填剤が生体内に投与されるにもかかわらず,生体親和性に優れない化合物をバインダに含めてもよい。そのような化合物は特に融点が低いバインダであることが多い。そこで,昇温工程では,融点が低いバインダを確実に蒸発させるため,比較的緩やかに温度をあげることが好ましく,具体的には,110℃〜300℃の第一の維持期間に達成するまでの間(好ましくは230℃〜250℃に達するまでの間),1℃/時間〜3×102℃/時間で昇温するものがあげられ,好ましくは1×10℃/時間〜2×102℃/時間で昇温するものであり,さらに好ましくは2×10℃/時間〜5×10℃/時間で昇温するものであり,3×10℃/時間〜4×10℃/時間で昇温するものであってもよい。維持工程は,例えば2×10分〜5時間があげられ,好ましくは3×10分〜2時間である。

0080

[焼結工程]
焼結工程は,脱バインダ工程後の成形体を加熱するための工程である。例えば,特開2004-97259号公報(上記特許文献1)では,1250℃で1時間焼結している(同公報の段落[0025])。しかし,本発明の好ましい態様では,大気雰囲気から最高温度9×102℃〜1.1×103℃まで加熱する。これは,例えば,α−TCPなどの原材料を用いた場合に,効果的にβ−TCPに変換するためである。高温の維持時間は,例えば,5×10−1時間〜3時間があげられる。なお,焼結工程には,昇温工程(及び維持工程)後に,通常冷却工程をともなう。冷却工程は,公知の冷却方法を適宜用いればよい。冷却時間を含んだ焼結時間は,例えば6時間〜5×10時間があげられ,好ましくは1×10時間〜3×10時間である。成形温度として1×102℃〜1.5×102℃があげられる。また,金型温度として,1×10℃〜3×10℃があげられる。

0081

[後処理工程]
後処理工程は,焼結後の成形体の後処理を行うための任意の工程である。具体的には,エジェクタピン跡をきれいにすることや,成形体を洗浄するものがあげられる。

0082

原料粉末の他に,公知の薬剤を添加するものは,本発明の好ましい態様である。このようにすれば,本発明により製造される骨補填剤の体積はほぼ一様なので,骨補填剤は適切な薬剤の担体として機能する。このように添加される薬剤は,高温にしても活性を損なわないものが好ましい。

0083

[薬剤の含浸又は塗布]
製造された骨補填剤(又は,焼結工程後に得られた焼結体)に,適宜薬剤を含浸又は塗布するものは,本発明の別の好ましい実施態様である。薬剤の塗布方法として,薬剤を公知の薬学的に許容される希釈剤(溶媒)に溶解させて医薬組成物を得て,その医薬組成物を用いて浸漬塗布スプレー塗布,又はスピンコート塗布するものがあげられる。これらの中では,浸漬塗布が好ましい。薬剤を浸漬塗布すると薬剤が骨補填剤の表面又は内部に含浸することとなる。すなわち,本発明では,所定の薬剤を含浸又は塗布した骨補填剤をも提供できる。

0084

本発明の骨補填剤の好ましい態様は,前記薬剤として,骨・軟骨形成促進剤(軟骨形成促進因子を含む),関節疾患治療剤,骨・軟骨疾患予防・治療剤,骨再生剤,骨吸収抑制物質,血管新生促進剤,抗菌剤,抗生物質又は抗癌剤を具備する上記に記載の骨補填剤である。本発明の骨補填剤の好ましい態様は,前記薬剤として,下記式(I)で示されるチエノインダゾール誘導体を具備する,上記に記載の骨補填剤である。式(I)で示されるチエノインダゾール誘導体(4,5-ジヒロドロ−1−メチル-1H−チエノ[3,4−g]インダゾール誘導体)は,例えば,特開2002-356419号公報に記載の方法に従って製造できる。なお,薬剤は,所定の薬効を得るための有効量が,本発明の骨補填剤に含まれることが望ましい。すわなち,本発明では,公知の薬剤を用いることができるので,薬剤が特定の用途に有効に機能するために必要な量(有効量)を投与できることとなるように,その薬剤の含有量を適宜調整すればよい。

0085

(式(I)中,RIは,カルボキシアミド基(-CH(NH2)(CO2H)),-CH(NH2)(SO3H),-CH(NH2)(SO2NHRII),-CH(NH2)(PO(NH2)OH),及び-CH(NH2)(PO(ORII)OH)があげられ(ただし,式中RIIは炭素数が1〜5の直鎖アルキル基を示す。),これらの中でもっとも好ましいものは, カルボキシアミド基である。)

0086

[骨・軟骨形成促進剤]
骨・軟骨形成促進剤は,骨又は軟骨の形成を促進できる剤であれば公知の剤を適宜利用できる。具体的な,軟骨形成促進剤として,国際公開公報2002年087620号に開示される,2-[1-(2,2-ジエトキシ-エチル)-3-(3-p-トリル-ウレジド)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-3-イル]-N-p-トリル-アセトアミド(2-[1-(2,2-Diethoxy-ethyl) -3-(3-p-tolyl-ureido) -2,3-dihydro-1H-indol-3-yl]-N-p-tolyl-acetamide)があげられる。軟骨形成促進剤として,骨形成促進因子があげられる。骨形成促進因子は,一般にBMP(Bonemorphogenetic protein)と称され,このBMPは未分化間葉系細胞細胞外から作用し,その遺伝形質軟骨細胞骨芽細胞へと分化させ,軟骨誘導骨誘導する物質である。骨形成促進因子として,BMP1〜13があげられる。本発明において薬剤としてBMPを用いる場合のBMPは,遺伝子組み換えあるいはDunn骨肉腫から分離,精製して得られたもの(Takaoka,K.,BiomedicalResearch,2(5)466-471(1981))のいずれでもよく,公知の製造方法により得ることができる。

0088

[骨・軟骨疾患予防・治療剤]
骨・軟骨疾患予防・治療剤として,例えば,プロスタグランジンA誘導体ビタミンD誘導体ビタミンK2誘導体,エイコサペンタエン酸誘導体,ベンジルホスホン酸ビスホスホン酸誘導体,性ホルモン誘導体,フェノールスルフォフタレイン誘導体,ベンゾチオピランまたはベンゾチエピン誘導体,チエノインダゾール誘導体,メナテトレノン誘導体,ヘリオキサンチン誘導体などの非ペプチド性骨形成促進作用物質,難溶性ペプチド性骨形成促進物質のいずれか1種又は2種以上の混合物があげられる。これらはいずれも公知の方法により得ることができる。骨・軟骨疾患予防剤は,骨・軟骨疾患に罹患する事態を予防する剤又は骨・軟骨疾患が発症する事態を防止する剤のいずれか又は両方があげられる。

0089

[骨再生剤]
骨再生剤として,カルモジュリンアクチノマイシンDサイクロスポリンA硫酸グルコサミン塩酸グルコサミン骨髄エキスリン酸カルシウム乳酸グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体多血小板血漿,又はヒト骨髄間葉細胞のいずれか1種又は2種以上の混合物があげられる。これらはいずれも公知の方法により得ることができる。

0090

[骨吸収抑制物質]
骨吸収抑制物質として,エストロゲン剤カルシトニン及びビスホスホネートのいずれか1種又は2種以上の混合物があげられる。これらはいずれも公知の方法により得ることができる。

0091

[血管新生促進剤]
血管新生促進剤として,インジゴカルミン,4−[N−メチル−N−(2−フェニルエチルアミノ]−1−(3,5−ジメチル−4−プロピオニルアミノベンゾイルピペリジン,4-(5H-7,8,9,10-テトラヒドロ-5,7,7,10,10-ペンタメチルベンゾ[e]ナフト[2,3-b][1,4]ジアゼピン-13-イル)安息香酸,活性化プロテインCウロテンシンII様ペプチド化合物,繊維芽細胞成長因子(FGF)(塩基性FGF及び酸性FGFを含む),血管内皮細胞成長因子VEGF)(血小板由来が好ましい。),肝細胞成長因子HGF),アンギオポエチン(アンギオポエチン−1及びアンギオポエチン−2を含む。),血小板由来成長因子(PDGF),インシュリン様成長因子(IGF),又は胎児平滑筋ミオシン重鎖SMemb)の1種又は2種以上の混合物があげられる。これらの中では,繊維芽細胞成長因子が好ましい(Hockel,M.et
al.,Arch.Surg.,No.128,p.423, 1993)。繊維芽細胞成長因子として,塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)が好ましく,より具体的には,トラフェルミン(遺伝子組み換え)があげられる。すなわち,本発明の骨補填剤の好ましい態様のひとつは,前記薬剤として,トラフェルミン,その塩,その溶媒和物又はそのプロドラッグを具備する,上記に記載の骨補填剤である。“その塩”は,トラフェルミンの塩を意味し,具体的な塩は,先に説明した塩と同様である。“その溶媒和物”は,トラフェルミンの溶媒和物を意味し,具体的な溶媒和物は,先に説明した溶媒和物と同様である。“そのプロドラッグ”は,トラフェルミンのプロドラッグを意味し,投与後,生体内などでトラフェルミン,その電離物(イオン)又はその塩などに替わる剤を意味する。具体的には,アミノ基などの保護基を有しており,生体内で保護基が外れて,トラフェルミンと同様の機能を有するものがあげられる。

0092

[抗菌剤又は抗生物質]
抗菌剤又は抗生物質として,公知の抗菌剤や抗生物質を適宜用いることができる。具体的な抗菌剤又は抗生物質として,スルファセタミド(sulfacetamide),スルファメチゾール(sufamethizol),スルファジミジン(sulfadimidine),スルファメラジン(sulfamerazine),スルファジアジン(sulfadiazine)などのサルファ剤クロラムフェニコール(chloramphenicol:CP),チアムフェニコール(tiamphenicol),などのクロラムフェニコール系抗菌剤;オフロキサシン(ofloxacin:OFLX)シプロフロキサシン(ciprofloxacin:CPFX),エンロフロキサシン(enrofloxacin),ロメフロキサシン(lomefloxacin:LFLX),ルフロサシン(rufloxacin),レボフロキサシン(levofloxacin:LVFX),フレロキサシン(fleroxacin:FLRX),ナジフロキサシン(nadifloxacin:NDFX),ノルフロキサシン(norfloxacin:NFLX),スパフロキサシン(sparfloxacin:SPFX),などのキノロン系抗菌剤フシジン酸(fusidic acid:FA);フサファンギン(fusafungine);フォスフォマイシン(fosfomycin:FOM);ムピロシン(mupirocin:MUP);ブロデモプリム(brodimoprim);ジリスマイシン(dirithromycin);ベンジルペニシリン(benzylpenicillin:PCG),ペニシリンGプロカイン(ペニシリンG プロカイン塩、penicillin G procaine),ベンジルペニシリン・ベンザチン(ベンジルペニシリンベンザチン塩,benzathine penicillin),フェノキシメチルペニシリン(phenoxymethylpenicillin|;Penicillin V),メチシリン(methicillin),アンピシリン(ampicillin:ABPC),クロキサシリン(cloxacillin:MCIPC),カルベニシリン(carbenicillin),ピヴァンピシリン(pivampicillin:PVPC),アモキシシリンAMPC),タランピシリン(talampicillin:TAPC),バカンピシリン(bacampicillin:BAPC),チカルシリン(ticarcillin:TIPC),アゾシリン(azlocillin),メズロシリン(mezlocillin),ピブメシリナム(pivmecillinam:PMPC),ピペラシリン(piperacillin:PIPC),アモキシシリン-クラブラン酸(amoxicillin:AMPC/clavulanic-acid:CVA;co-amoxiclav)),アパラシリン(apalcillin),テモシリン(temocillin),チカルシリン-クラブラン酸(ticarcillin/clavulanic acid:CVA),アンピシリン-スルバクタム(ampicillin:ABPC/sulbactam:SBT),スルタミシリン(sultamicillin:SBTPC),ピペラシリン-タゾバクタム(piperacillin:PIPC/tazobactam:TAZ),などのペニシリン系抗生物質ストレプトマイシン(streptomycin:SM)などのストレプトマイシン系抗生物質;クロロテトラサイクリン(chlortetracycline),オーレオマイシン(aureomycin),クロラムフェニコール(chloramphenicol:CP),オキシテトラサイクリン(oxytetracycline:OTC),デメチルクロルテトラサイクリン(demethylchlortetracycline、、デメクロサイクリン、レダマイシン®),ライムサイクリン(lymecycline),ドキシサイクリン(doxycycline:DOXY),ミノサイクリン(minocycline:MINO),などのテトラサイクリン系抗生物質ネオマイシン(neomycin),スペクチノマイシン(spectinomycin:SPCM),ゲンタマイシン(gentamycin:GM),トブラマイシン(tobramycin:TOB),アミカシン(amikacin:AMK),ミクロノマイシン(micronomicin:MCR),イセパシン(isepamicin:ISP),アルベカシン(arbekacin:ABK),などのアミノグリコシド系抗生物質エリスロマイシン(erythromycin:EM),スピラマイシン(spiramycin:SPM),ロキシスロマイシン(roxithromycin:RXM),アジスロマイシン(azithromycin:AZM),ミデカマイシン(midecamycin:MDM),クラリスロマイシン(clarithromycin:CAM),などのマクロライド系抗生物質バンコマイシン(vancomycin:VCM),テイコプラニン(teicoplanin:TEIC),などのグリコペプチド系抗生物質コリスチン(colistin:CL)などのポリペプチド系抗生物質バージニアマイシン(virginiamycin),プリスチナマイシン(pristinamycin)などのストレプトグラミン系抗生物質;クリンダマイシン(clindamycin:CLDM),などのリンコマイシン系抗生物質セファレキシン(cephalexin:CEX),セファゾリン(cefazolin:CEZ),セフラジン(cefradine:CED),セファドロキシル(cefadroxil:CDX),セファマンドール(cefamandole:CMD),セフロキシム(cefuroxime:CXM),セファクロル(cefaclor:CCL),セフォタキシム(cefotaxime:CTX),セフスロジン(cefsulodin:CFS),セフペラゾン(cefperazone),セフォチアム(cefotiam:CTM),セフトリアキソン(ceftriaxone:CTRX)セフメノキシム(cefmenoxime:CMX),セフタジジム(ceftazidime:CAZ),セフトロシム(ceftiroxime),セフォニシド(cefonicid),セフピラミド(cefpiramide:CPM),セフォペラゾン−スルバクタム(cefoperazone:CPZ/sulbactam:SBT),セフポドキシム(cefpodoxime:CPDX),セフォジジム(cefozidime),セフジニル(cefdinir:CFDN),セフェタメト(cefetamet:CEMT),セフェピロム(cefpirome:CPR),セフェプロジル(cefprozil),セフェティフェン(ceftibufen),セフェピム(cefepime:CFPM),などのセファロスポリン系抗生物質セフォキシチン(cefoxitin:CFX),セフメタゾール(cefmetazole:CMZ),セフォテタン(cefotetan:CTT),などのセファマイシン系抗生物質;ラタモキセフ(latamoxef:LMOX),フロモキセフ(flomoxef:FMOX),などのオキサセフェム系抗生物質イミペネム-シラスタチン(imipenem:IPM/cilastatin:CS;チエナム®)などのカルバペネム系抗生物質アズトレオナム(aztreonam:AZT)などのモノバクタム系抗生物質;ロラカルベフ(loracarbef:LCBF)などのカルバセフェム系抗生物質;パニネム-ペタミプロン(panipenem:PAPM/betamipron:BP),などのカルバペネム系抗生物質;リスロマイシン(telithromycin:TEL)などのケトライド系抗生物質のうち,1種又は2種以上を適宜混合したものがあげられる。

0093

[抗癌剤]
抗癌剤は,癌を治療又は予防するための医薬である。抗癌剤として公知の抗癌剤を適宜用いることができる。具体的には,OK−432(商品ピシバニール)などの抗癌溶連菌製剤;クレスチンレンチナン,レンチナン,シゾフィラン,ソニフィランなどの抗癌多糖体マイトマイシンC(商品名マイトマイシン他),アクチノマイシンD(商品名コスゲン),塩酸ブレオマイシン(商品名ブレオ),硫酸ブレオマイシン(商品名ブレオS),塩酸ダウノルビシン(商品名ダウノマイシン),塩酸ドキソルビシン(商品名アドリアシン),ネオカルチノスタチン(商品名ネオカルチノスタチン),塩酸アクラルビシン(商品名アクシノン),又は塩酸エビルビシン(商品名ファモルビシン)などの抗癌抗生物質;ビンブラスチンのような有糸分裂阻害剤;シス−プラチン,カルボプラチン及びシクロホスファミドのようなアルキル化剤;例えば5−フルオロウラシルシトシンアラビノシド及びオキシ尿素(hydroxyurea),N−{5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル}−L−グルタミン酸のような抗代謝剤アドリアマイシンブレオマイシンのような層間抗生物質;例えばアスパラギナーゼのような酵素エトポシドのようなトポイソメラーゼ阻害剤インターフェロンのような生物的反応修飾剤;“NOLVADEX"(タモキシフェン)のような抗エストロゲン剤,“CASODEX"のような抗アンドロゲン物質フルオロウラシルテガフール,テガフール・ウラシル,及びメトトレキサートのような代謝拮抗剤ビンクリスチンのような植物アルカロイド;マイトマイシンC,アクチノマイシンD,塩酸ブレオマイシン,硫酸ブレオマイシン,塩酸ダウノルビシン,塩酸ドキソルビシン,ネオカルチノスタチン,塩酸アクラルビシン,アクラシノン,及び塩酸エピルビシンのような抗癌抗生物質;シクロトリホスファゼン白金錯体複合体シスプラチン−白金錯体複合体のような白金錯体があげられる。

0094

なお,本発明の骨補填剤は,生体内において骨と置き換わることを促進することが期待されるので,特定のポリペプチド又は遺伝子を含む薬剤が骨補填剤に含浸又は表面に塗布されていてもよい。そのようなポリペプチド又は遺伝子として,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),血小板分化増殖因子(PDGF),インスリンインスリン様増殖因子(IGF),肝細胞増殖因子(HGF),グリア誘導神経栄養因子GDNF),神経栄養因子(NF),ホルモン,サイトカイン骨形成因子(BMP),トランスフォーミング増殖因子(TGF),血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などがあげられる。これらのなかでは,血管新生および/または骨形成を促す増殖因子が好ましい。そのような増殖因子としては,例えば骨形成因子(BMP),骨増殖因子(BGF),血管内皮細胞増殖因子(VEGF)およびトランスフォーミング増殖因子(TGF)があげられる。具体的には,特許3713290号に開示されるカルポニン遺伝子などがあげられる。遺伝子は,骨補填剤中に,遺伝子治療に有効な量含まれていればよい。遺伝子は,そのまま(ネイキッド),ミセル状,又はウィルスベクターなどの公知のベクター形質転換された組換えベクターの形で含まれればよい。また,薬剤は,公知の遺伝子の抗体であってもよい。

0095

遺伝子は,通常の方法に従い,公知の配列を基に調整することができる。例えば,骨芽細胞からRNAを抽出し,公知の配列を元にプライマーを作製し,PCR法クローニングすることにより目的とする遺伝子のcDNAが調整できる。また,市販のものを購入して用いても良い。

0096

本発明の骨補填剤の好ましい態様は,安定化剤を含む上記に記載の骨補填剤である。安定化剤として,ポリマーなどに用いられる公知の安定化剤,特に薬学的に許容される安定化剤を適宜用いることができる。なお,本発明の骨補填剤は,主に生体内において長期間にわたって強度が維持される。そして,生体内には,プロテアーゼなどの酵素が存在するので,骨補填剤が早期に分解される事態が想定される。そこで,本発明の好ましい態様では,安定化剤として,プロテアーゼインヒビターなどの阻害剤を含ませるものがあげられる。このような阻害剤として,公知の酵素阻害剤を適宜用いることができる。具体的な,プロテアーゼインヒビターとして,4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルフォニルフルオライドアプロチニン(Aprotinin),べステイン(Bestain),カルパインインヒビターI,カルパインインヒビターII,シモステイン(Chymostain),3,4-ジククロロイソクマイン(3,4-Dichloroisocoumain),E-64,EDTA,EGTA,ラクタシスチン(Lactacystin),ロイペプチン(Leupeptin),MG-115,MG-132,ペプステインA(PepstainA),フェニルメチルスルフォニルフルオライド,プロテアソームインヒビターI,p−トルエンスルフォニル−L−リシンクロロメチルケトン,p−トルエンスルフォニル−L−フェニルアラニンクロロメチルケトン,又はチロシンインヒビターのいずれか1種または2種以上があげられる。これらのプロテアーゼインヒビターは,市販されており,これらのプロテアーゼインヒビターの阻害濃度も公知である。本発明の骨補填剤によって形成される化合物の好ましい態様は,生体内で長期間維持し,薬剤に対して徐放性を有するものである。したがって,本発明の骨補填剤は,好ましくは,上記のプロテアーゼインヒビターの1回当りの投与量の2倍〜100倍の量を含むものであり,より好ましくは2倍〜50倍の量を含むものである。プロテアーゼインヒビターの具体的な量は,用いるプロテアーゼインヒビターの種類などによっても異なるが,プロテアーゼインヒビターとして有効に機能する量(有効量)含まれることが好ましく,一般的に,骨補填剤1g当たり,0.1μg〜0.5mg含まれるものがあげられ,1μg〜0.1mg含まれるものでもよく,10μg〜0.1mg含まれるものであってもよい。具体的な投与量は,骨補填剤を投与する部位の容積にほぼ比例して増大することとなる。

0097

[接着性付与剤]
製造された骨補填剤(又は,焼結工程後に得られた焼結体)に,適宜接着性付与剤を含浸又は塗布するものは,本発明の別の好ましい実施態様である。また,接着性付与剤が熱で変性しにくいものの場合は,原料粉末に接着性付与剤を混ぜておき接着性付与剤が粉体混合された骨補填剤を得てもよい(このような場合,骨補填剤の表面にも接着性付与剤が存在するほか,表面が骨と置換され新たに現れる表面にも接着性付与剤が存在するので接着性を維持できることとなる)。また,接着性付与剤は,成形体又は焼結体の表面に粉状のまま散布してもよい。さらに,複数の骨補填剤と粉末の接着性付与剤とを混合し適宜攪拌することにより粉体混合し,これにより骨補填剤の表面に接着性付与剤を付着させてもよい。接着性付与剤は,前記の薬剤とともに含浸又は塗布されてもよいし,接着性付与剤のみが含浸又は塗布されてもよい。接着性付与剤は,骨補填剤同士の接着凝集性を高めるための剤であり,好ましくは接着性付与剤のみでは高い接着性を有しないが,生体内において体細胞などと接触することで接着凝集性が高くなる物質が好ましい。具体的な,接着性付与剤として,トロンビンがあげられる。トロンビンは,血液を固まりやすくする酵素の一種である。トロンビンの生体内での働きは,血液を固める血液凝固物質であるフィブリンを作り出すことである。トロンビンにより生成されたフィブリンによって,血液が固まりやすくなる。よって,接着性付与剤としてトロンビンを用いれば,骨補填剤表面の接着凝集性が高まり,これによって骨補填剤同士が固定され,骨補填剤全体としての強度が高まることとなる。トロンビンは,上記の薬剤と同様の量を上記の薬剤と同様にして含浸又は塗布させることができる。

0098

なお,2種類の接着性付与剤を含有する組成物を用意し,ある骨補填剤群に第1の組成物を含浸又は塗布して第1の骨補填剤群とし,ある骨補填剤群に第2の組成物を含浸又は塗布して第2の骨補填剤群とし,前記第1の骨補填剤群と前記第2の骨補填剤群を含む骨補填剤群を骨補填剤として用いることは,本発明の好ましい実施態様である。前記第1の組成物は,下記一般式(I) 又は(II)で示される化合物か,下記一般式(III)で示される繰返し単位を3〜8個含む化合物を1種又は2種以上含有する第1の化合物,及び第1の希釈剤(又は担体)を具備し,前記第2の組成物は,下記一般式(I) 又は(II)で示される化合物か,下記一般式(III)で示される繰返し単位を3〜8個含む化合物を1種又は2種以上含有する第2の化合物,及び第2の希釈剤を具備するものがあげられる。

0099

X1−(OCH2CH2)n−X2 (I)
(式(I)中,X1及びX2は同一又は異なり,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)を示し,nは,80〜1000の整数を示す。)

0100

0101

(式(II)中,XII-1〜XII-4は,それぞれ同一又は異なり,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)を示し,nII-1〜nII-4は,それぞれ同一又は異なり,20〜250の整数を示す。)

0102

0103

(式(III)中,XIIIは,-R1COONHS(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-COR1COONHS,-NOCOR1- R2(R1は,C1-C7アルキレン基を示し,R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。),-R1SH(R1は,C1-C7アルキレン基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す。)を示し,nIIIは10〜150の整数を示す。)。

0104

一般式(I)で示される化合物は,式(I)において,X1及びX2は同一又は異なり,-R1COONHS,-COR1COONHS,-NOCOR1- R2(R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2,-R1SH又は-CO2PhNO2を示し,nは,80〜1000の整数を示す化合物である。一般式(I)において,X1及びX2は,好ましくは同一である。一般式(I)において,R1は,C1-C7アルキレン基を示し,好ましくはC1-C5アルキレン基であり,より好ましくはC1-C2アルキレン基又はC5アルキレン基である。一般式(I)において,Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示し,好ましくはp-フェニレン基である。一般式(I)において,nは,80〜1000の整数を示し,好ましくは100〜500である。

0105

一般式(II)で示される化合物は,式(II)において,XII-1〜XII-4は,それぞれ同一又は異なり,-R1COONHS,-COR1COONHS,-NOCOR1- R2(R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2,-R1SH又は-CO2PhNO2を示し,nII-1〜nII-4は,それぞれ同一又は異なり,20〜250の整数を示す。一般式(II)において,XII-1〜XII-4は,好ましくは全て同一である。一般式(II)において,R1は,C1-C7アルキレン基を示し,好ましくはC1-C5アルキレン基であり,より好ましくはC1-C2アルキレン基又はC5アルキレン基である。一般式(II)において,Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示し,好ましくはp-フェニレン基である。一般式(II)において,nII-1〜nII-4は,好ましくは全てが同一である。一般式(II)において,nII-1〜nII-4は,20〜250の整数を示し,好ましくは40〜200の整数である。

0106

一般式(III)で示される繰り返し単位を有する化合物は,式(III)において,XIIIは,-R1COONHS,-COR1COONHS,-NOCOR1- R2(R2は,マレイミド基を示す。),-R1NH2,-R1SH又は-CO2PhNO2を示し,nIIIは10〜150の整数を示す。)。一般式(III)において,R1は,C1-C7アルキレン基を示し,好ましくはC1-C5アルキレン基であり,より好ましくはC1-C2アルキレン基又はC5アルキレン基である。一般式(III)において,Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示し,好ましくはp-フェニレン基である。一般式(III)で示される繰り返し単位を有する化合物の繰返し単位の数は,3〜5が好ましく,4であるものがより好ましい。また,一般式(III)で示される化合物の末端にも,一般式(III)のXIIIで示される官能基を有するものが好ましい。より具体的には,両末端に,式XIII-(OCH2CH2)nIII-O-CH2-CH(-O-(CH2CH2O)nIII-XIII)-CH2-で示される基及び式XIII-(OCH2CH2)nIII-O-CH2-CH(-O-(CH2CH2O)nIII-XIII)-CH2-O-で示される基を有するものが好ましい。

0107

本発明の接着性付与剤の好ましい態様は,前記第1の化合物は,一般式(I)又は(II)において,X1,X2,又はXII-1〜XII-4が,それぞれ同一又は異なり,-NOCOR1-R2又は-R1NH2である化合物を1種又は2種以上含有し,前記第2の化合物は,一般式(I)又は(II)において,X1,X2,又はXII-1〜XII-4が,それぞれ同一又は異なり,-COR1COONHS,-R1SH又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)である化合物を1種又は2種以上含有する上記に記載の接着性付与剤である。

0108

第1の組成物に混合される第1の化合物は,官能基として,-NOCOR1-R2又は-R1NH2である化合物(特に官能基が-R1NH2である化合物)を用いることが好ましい。また,第2の化合物として,第1の化合物と混合されることにより架橋反応が迅速に行われ,最終的に得られる化合物が所定の強度(弾力性)及び形状安定性を有するものであることが好ましい。また,第1の化合物と第2の化合物との組み合わせとして,得られる化合物が特定の立体構造を形成することで,包含する薬剤を適切な量だけ放出し続ける化合物となるものが望ましい。そのような観点から,第2の組成物に混合される第2の化合物は,官能基として-COR1COONHS,-R1SH又は-CO2PhNO2(Phは,o-,m-又はp-フェニレン基を示す)を有する化合物(特に官能基が-COR1COONHSである化合物)が好ましい。また,第1の化合物及び第2の化合物とも一般式(II)で示される化合物が好ましい。第1の化合物の官能基及び第2の化合物の官能基の組み合わせとして,プロピルアミン基とスクシンイミジル基の組み合わせが好ましい。

0109

本発明の接着性付与剤の好ましい別の態様は,前記第1の化合物は,一般式(I)又は(II)において,X1,X2,又はXII-1〜XII-4が,それぞれ同一又は異なり,-NOCOR1-R2(R1は,C1-C5アルキル基を示す。)又は-R1NH2(R1は,C1-C5アルキル基を示す。)である化合物を1種又は2種以上含有し,前記第2の化合物は,一般式(I)又は(II)において,X1,X2,又はXII-1〜XII-4が,それぞれ同一又は異なり,-COR1COONHS,-R1SH(R1は,C1-C5アルキル基を示す。)又は-CO2PhNO2(Phは,p-フェニレン基を示す) である化合物を1種又は2種以上含有するものである。

0110

化合物を構成する化合物の分子量は,特に限定されないが,分子量(数平均分子量)が,3×103〜4×104である化合物(化合物)を用いても良好な化合物を得ることができ,分子量が1×104〜3×104の化合物を含む化合物を用いればより良好な化合物を得ることができる。

0111

化合物の濃度は,特に限定されないが,化合物を構成する化合物の濃度が,第1の組成物又は第2の組成物において,それぞれ5mM〜20mMの範囲のものである。そのような濃度の化合物を用いれば,特に良好な化合物を作成できる。また,化合物の濃度が,各組成物において6mM〜30mMの場合に,特に有効な化合物を得ることができることが推測される。

0112

一般式(I) 又は(II)で示される化合物及び,一般式(III)で示される繰返し単位を3〜8個含む化合物は,市販されている他,公知の合成方法により合成することができる。

0113

一般式(I) 又は(II)で示される化合物及び,一般式(III)で示される繰返し単位を3〜8個含む化合物は,それぞれ,その塩,又はその溶媒和物であってもよい。

0114

“その塩”とは,上記化合物の塩,特に薬学的に許容される上記化合物の塩を意味する。本明細書において“薬学的に許容される”とは,受容者に有害でないことを意味する。本発明のポリリン酸は,常法に従って塩にすることができる。その塩としては,例えば,ナトリウム塩カリウム塩リチウム塩などのアルカリ金属塩カルシウム塩マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩アルミニウム塩鉄塩亜鉛塩銅塩ニッケル塩コバルト塩などの金属塩アンモニウム塩などの無機塩;t-オクチルアミン塩,ジベンジルアミン塩モルホリン塩,グルコサミン塩フェニルグリシンアルキルエステル塩,エチレンジアミン塩N-メチルグルカミン塩,グアニジン塩ジエチルアミン塩,トリエチルアミン塩ジシクロヘキシルアミン塩,N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩,クロロプロカイン塩,プロカイン塩,ジエタノールアミン塩,N-ベンジル-N-フェネチルアミン塩,ピペラジン塩,テトラメチルアンモニウム塩,トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩などの有機塩などのアミン塩;があげられる。これらのうちで,ポリリン酸の塩として,アルカリ金属塩が好ましく,ナトリウム塩がより好ましい。本明細書において,“その塩”には,無水塩のみならず含水塩が含まれても良い。これらの塩は,例えば,生体内などで電離して上記の化合物と同様に機能する。

0115

“その溶媒和物”とは,上記化合物の溶媒和物を意味する。溶媒和物として,水和物があげられる。また,本発明の剤は,大気中に放置したり,再結晶することにより,水分を吸収し,吸着水が付いたり,水和物となる場合がある。そのような溶媒和物を形成する場合も,“その溶媒和物”に含む。これらの溶媒和物は,生体内などで電離して上記の化合物と同様に機能する。

0116

本発明の接着性付与剤の好ましい態様は,希釈剤として,公知の薬学的に許容される希釈剤を用いるものである。具体的な希釈剤として,水,リン酸緩衝液クエン酸緩衝液リン酸緩衝生理食塩水,又は生理食塩液のいずれか1種又は2種以上の混合液からなる溶媒を用いるものがあげられる。

0117

希釈剤(又は溶媒)の酸性度は,特に限定されないが, pH3〜pH11があげられ,後述の実施例4などで実証されたとおり,得られる化合物の強度をある程度高めるために好ましくはpH5〜pH10であり,より好ましくはpH6〜pH9であり,さらに好ましくはpH7〜pH8である。希釈剤のモル濃度(M)は,特に限定されないが, 1mM〜1Mがあげられ,後述の実施例5などで実証されたとおり,得られる化合物の強度をある程度高めるために好ましくは5mM〜300mMであり,より好ましくは10mM〜200mMであり,さらに好ましくは15mM〜100mMである。

0118

本発明の接着性付与剤の好ましい態様は,前記第1の組成物,及び前記第2の組成物のいずれか又は両方は,安定化剤を含む上記に記載の接着性付与剤である。安定化剤として,ポリマーなどに用いられる公知の安定化剤,特に薬学的に許容される安定化剤を適宜用いることができる。なお,本発明の接着性付与剤によって得られる化合物は,主に生体内において長期間にわたって強度が維持されることが期待される。そして,生体内には,プロテアーゼなどの酵素が存在するので,化合物が分解される事態が想定される。そこで,本発明の好ましい態様では,安定化剤として,プロテアーゼインヒビターなどの阻害剤を含ませるものがあげられる。このような阻害剤として,公知の酵素阻害剤を適宜用いることができる。具体的な,プロテアーゼインヒビターとして,4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルフォニルフルオライド,アプロチニン(Aprotinin),べステイン(Bestain),カルパインインヒビターI,カルパインインヒビターII,シモステイン(Chymostain),3,4-ジククロロイソクマイン(3,4-Dichloroisocoumain),E-64,EDTA,EGTA,ラクタシスチン(Lactacystin),ロイペプチン(Leupeptin),MG-115,MG-132,ペプステインA(PepstainA),フェニルメチルスルフォニルフルオライド,プロテアソームインヒビターI,p−トルエンスルフォニル−L−リシンクロロメチルケトン,p−トルエンスルフォニル−L−フェニルアラニンクロロメチルケトン,又はチロシンインヒビターのいずれか1種または2種以上があげられる。これらのプロテアーゼインヒビターは,市販されており,これらのプロテアーゼインヒビターの阻害濃度も公知である。本発明の接着性付与剤によって形成される化合物の好ましい態様は,生体内で長期間維持し,薬剤に対して徐放性を有するものである。したがって,本発明の接着性付与剤は,好ましくは,上記のプロテアーゼインヒビターの1回当りの投与量の2倍〜100倍の量を含むものであり,より好ましくは2倍〜50倍の量を含むものである。プロテアーゼインヒビターの具体的な量は,用いるプロテアーゼインヒビターの種類などによっても異なるが,プロテアーゼインヒビターとして有効に機能する量(有効量)含まれることが好ましく,一般的に,接着性付与剤1mL当たり,0.1μg〜0.5mg含まれるものがあげられ,1μg〜0.1mg含まれるものでもよく,10μg〜0.1mg含まれるものであってもよい。

0119

なお,上記の接着性付与剤と薬剤とをともに用いた場合,接着性付与剤によって構成される化合物が薬剤を取り込み,適切な放出性を与えることで,徐放性を有する骨補填剤としても機能しうる。そして,接着性付与剤の構成を制御するのみならず,添加する安定化剤の量を制御することで,化合物の分解性を制御でき,これによって薬剤の放出性を調整できる。すなわち,本発明は,接着性付与剤に添加する安定化剤の量を制御することによる薬剤の放出性を制御する方法をも提供できる。

0120

なお,骨補填剤の表面に被覆層が設けられるものは,本発明の好ましい態様である。このような被覆層の厚さは適宜調整すればよいが,たとえば1μm〜5×10μmがあげられる。そして,被覆層には,たとえば,親水性の基を有し,生体親和性に優れた化合物が含有される。親水性の基として,OH基COOH基,NH3 基,CO3 基,SO3 H基などがあげられ,被覆層が特に自然骨に含まれるアパタイト(Ca10(PO4 )6 (OH)2 )の親水基と同じOH基を有している化合物を含有することは,骨との馴染みが良く,骨再生反応が促進されるため好ましい。水ガラス(Na2O・SiO2・nH2O)に塩酸,硝酸硫酸などの酸水溶液を攪拌しながら混合し,適当な粘度を示すようになった時点で骨補填剤を浸漬し,引き上げ,更に水に浸漬してNa+イオンを溶出することによって,骨補填剤表面にシリカゲル層を形成できる。ケイ素(又はチタン)のアルコキシドであるテトラメトキシシランチタネート),テトラエトキシシラン(チタネート),テトラプロキシシラン(チタネート)、テトライソプロポキシシラン(チタネート)又はテトラブトキシシラン(チタネート)のアルコール溶液に,触媒として塩酸,硝酸,硫酸,酢酸などの酸水溶液又はアンモニアを含む水を適宜混合し,ケイ素(チタン)のアルコキシドの加水分解重合反応を進行させ,適当な粘度を示すようになった段階で骨補填剤を浸漬し,引き上げることにより,骨補填剤の表面にシリカゲル層(チタニアゲル層)を形成してもよい。

0121

[骨補填剤]
上記のようにして得られた骨補填剤は,寸法精度が高く,ばらつきが少ない。また,欠陥品が少なく,量産することができる。本発明の骨補填剤は,好ましくは複数の突起部を有する形状であり,より好ましくは,複数の突起部が線対称面対称,又は空間的に対称となるように配置されたものである。骨補填剤の好ましい具体的な形状として,テトラポッド状(正四面体の中心から各頂点へ向けた方向に伸びる4つの突起部を有する形状),又は正n面体(n=6,8,12など)の中心から各頂点へ向けた方向に伸びるn個の突起部を有する形状のものである。骨補填剤の大きさ(骨補填剤を収容できる球の直径の大きさ)として,1×10−2mm〜5mmがあげられ,好ましくは5×10−2mm〜3mmであり,さらに好ましくは1×10−1mm〜2mmであり,より好ましくは2×10−1mm〜1.5mmである。さらに,所定の薬剤をその表面に塗布した骨補填剤を用いれば,所定の疾患を有効に治療できるほか,適切な投与量を与えることができる。以下,図面を用いて,本発明の骨補填剤の好ましい形状を説明する。

0122

図2は,テトラポッド形状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図2(A)は,側面図,図2(B)は上面図,図2(C)は斜視図を示す。なお,図中,“Fig.”は“図”を意味する(以下同様である)。図2に示される骨補填剤(11)は,テトラポッド状(正四面体の中心から各頂点へ向けた方向に伸びる4つの突起部(12)を有する形状)の骨補填剤である。なお,各突起部(12)の先端部(13)はテーパーが設けられており滑らかな形状とされているものが好ましい(以下同様である)。図2に示されるように,各突起部(12)は,実質的に同一の形状を有するものがあげられるが,そのひとつまたは二つが小さい形状であっても構わない。また,各突起部は,先端部(13)に近づくほど細くなる円錐台状の形状を有するものであるものがあげられる。各突起部の先端は,半球状とされるものであってもよい(以下同様である)。

0123

図3は,頭切テトラポッド形状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図3(A)及び図3(B)は,側面図を示し,図3(C)は上面図を示し,図3(D)は斜視図を示す。この態様に係る骨補填剤は,図2に示すテトラポッド状の骨補填剤の突起部のひとつを途中から切断した形状を有する骨補填剤に関する。すなわち,正四面体の中心から各頂点へ向けた方向に伸びる3つの突起部と,残りの一頂点へ向けた他の突起部より短い突起部を有する骨補填剤である。このような形状を有するので,複数の骨補填剤を用いた場合に連通孔の大きさをテトラポッド状の物に比べて少なくでき,骨補填剤全体の強度を高めることができる。

0124

図4は,3つの突起部を有する骨補填剤の例を説明するための概念図である。図4(A)は斜視図を示し,図4(B)は上面から見た図を示す。例えば,正四面体の稜線を形成する位置に突起部を有しているものがあげられる。そして,各突起部の先端は,半球状とされるものがあげられる。この態様に係る骨補填剤は,複数の骨補填剤が互に絡み合うので,強固な結合を有する骨補填剤を形成できる。

0125

図5は,半球状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図5(A)は斜視図を示し,図5(B)は下面から見た図を示す。この態様に係る骨補填剤は,図5(A)に示されるように,半球の頂点部分から下方へ抜けた穴部(21)を有するものが好ましい。このような穴部を有するので,複数の骨補填剤が集まった場合に,効果的に細胞が浸透できる連通孔を形成できることとなる。穴部の形状は特に限定されないが,図5(A)に示されるように円柱状のくりぬきであることが好ましい。半球の半径をrとしたときに,この円柱状のくりぬきにおける円の半径として,r/10〜2r/3があげられ,r/5〜r/2が好ましい。この程度のくりぬきであれば,骨補填剤の強度を維持しつつ好ましい穴を形成できることとなる。この態様に係る骨補填剤は,更に下面にくりぬき部(22)が設けられるものが望ましい。そして,骨補填剤の厚さ(23)として,r/20〜r/3があげられ,r/10〜r/4が好ましい。

0126

図6は,下面に1または複数のくりぬきを有する骨補填剤の例を説明するための概念図である。図6(A)は斜視図を示し,図6(B)は下面から見た図を示す。この態様に係る骨補填剤は,半球の下面に,半割り円柱状のくりぬきを1つ又は複数有するものの例である。半球の下面と,半割り円柱の半割り面(底面でも上面でもない平面部分)は,同じ平面を構成するものが好ましい。このような半割り面のくりぬき部(24)を有するので,骨補填剤の強度を保ちつつ,穴を設けることができ,細胞を培養等するために好ましい物性を与えることができる。なお,図6に記載する骨補填剤は,図5に記載する骨補填剤の構成を適宜採用できる。さらに,下面に設けられる半割り円柱状のくりぬきにおける円の半径としてr/10〜2r/3があげられ,r/5〜r/2が好ましい。

0127

図7は,双頭状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図7(A)は斜視図を示し,図7(B)及び図7(C)は側面図を示す。この態様に係る骨補填剤は,胴体部(31)の両端に,2つの頭部(32,33)を具備する形状である。このような形状を有するので,複数の骨補填剤を用いた場合に,強固に絡み合い,また連通孔の大きさを適切なものとすることができ,骨補填剤全体の強度を高めることができる。なお,図7では,頭部と胴部がT字状となるものの例をあげたが,頭部の形状は十字状のものであってもよく,更に多数の突起が所定の角度ごとに設けられるものであってもよい。また,図7では,2つの頭部が90度ずれているものの例をあげたが,2つの頭部のなす角は,45度でもよいし,0度でもよいし,30度でもよい。

0128

図8は,胴体部に突起部を有する骨補填剤の例を説明するための概念図である。図8(A)は斜視図を示し,図8(B)は側面図を示す。この態様に係る骨補填剤は,図7に示される骨補填剤の胴体部(31)にさらに胴体部を貫く突起部を有するものである。このような形状を有するので,複数の骨補填剤を用いた場合に,強固に絡み合い,また連通孔の大きさを適切なものとすることができ,骨補填剤全体の強度を高めることができる。この態様にかかる骨補填剤は,図7の説明においてした構成を適宜採用できる。

0129

図9は,十字状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図9(A)は斜視図を示し,図9(B)は上面図を示し,図9(C)は側面図を示し,図9(D)は底面図を示す。この態様に係る骨補填剤は,図9(C)及び図9(D)に示されるように,十字の先端の底面部分にそれぞれ足部を有しており,十字の中央の下部には空隙が設けられるものが好ましい。このような形状を有するので,連通孔の大きさを適切なものとすることができる。

0130

図10は,略平面状の骨補填剤の例を説明するための概念図である。図10(A)は斜視図を示し,図10(B)は上面図を示し,図10(C)は側面図を示す。この態様に係る骨補填剤は,中央に穴部を有し,側面にも溝部を有する。このような形状を有するので,連通孔の大きさを適切なものとすることができる。

0131

図11は,平面の一端または両端に突起部を有数する骨補填剤の例を説明するための概念図である。この態様に係る骨補填剤は,扁平な胴体部の端部に,突起部を有するので,単に積み重ねることができない。このような形状を有するので,連通孔の大きさを適切なものとすることができる。また,この態様にかかる骨補填剤は,好ましくは図11に示されるように胴体部にへこみ部分を有する。やはり,このような形状を有するので,連通孔の大きさを適切なものとすることができる。

0132

図12は,傾斜する上面を有数する骨補填剤の例を説明するための概念図である。図12(A)は斜視図を示し,図12(B)は側面図を示す。図12に示すとおり,この態様に係る骨補填剤は,足部(42)と,前記足部(42)に搭載されたテーブル部(43)とを具備し,足部(42)の底面と,テーブル部(43)の上面とは傾斜する構造を有するものである。このような形状を有するので,この態様に係る骨補填剤は,傾斜する上面を有するので単に積み重ねることができない。これにより,連通孔を確保することができる。

0133

[骨補填剤の使用方法
本発明の製造方法により製造された骨補填剤は,骨欠損部位骨粗鬆症部位又は骨延長部位に注入する。また,骨欠損部位などの骨の間隙に骨補填剤を充填する他,所定の薬剤の担体として利用されうる。このようにすれば,骨関連の疾患のみならず,さまざまな疾患の治療又は予防に用いることができる。

0134

[インビトロで用いられる3次元細胞培養担体]
次に,本発明の好ましい側面に係る3次元細胞培養担体について説明する。3次元細胞培養担体は,基本的には,上記した骨補填剤を適宜用いるものである。すなわち,本発明の3次元細胞培養担体は,複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤を含む3次元細胞培養担体である。後述する実施例で実証されたとおり,本発明の骨補填剤は,好ましい空隙を有しており,その結果培養細胞がそれぞれの骨補填剤を昇るので,3次元的に細胞を培養できることとなる。すなわち,本発明によれば,骨補填剤を応用したインビトロ細胞培養システムをも提供できることとなる。

0135

なお,3次元細胞培養担体は,上記いずれかに記載の骨補填剤を複数用いるものが好ましい。3次元細胞培養担体の高さは,得ようとする細胞の量などに応じて適宜調整すればよいが,1μm以上1m以下があげられ,好ましくは3μm以上10cm以下であり,さらに好ましくは10μm以上5cm以下であり,さらに好ましくは50μm以上1cm以下である。

0136

骨補填剤を多孔質にすると効果的に細胞を昇らせることができるので,骨補填剤としては,例えば,上記の塩分を適宜含むものが好ましい。原料に塩化ナトリウムなどの塩成分を混入し,焼結後に焼結体を水につけて塩を溶解させることで多孔質な骨補填剤を得ることができる。また,焼結性を悪くすることで微小な亀裂などを設けると,細胞を骨補填剤の内部に取り込むことができるので,細胞を好ましく培養できることとなる。焼結性を悪くするためには,例えば,焼結温度を低める,原料粉末の大きさを大きくするものがあげられる。

0137

本発明の3次元細胞培養担体の好ましい態様は,骨補填剤の表面に薬剤又は接着性付与剤が含浸又は塗布された3次元細胞培養担体である。特に骨補填剤の表面に接着性付与剤が含浸又は塗布された3次元細胞培養担体は,長期間骨補填剤群が好ましい立体構造を維持し続けるので,効果的に細胞を培養し続けることができることとなる。ここで用いられる接着性付与剤は,上記に説明した接着性付与剤と同様のものを同様にして用いることができる。例えば,培養された細胞は,生体内に投与されることもありうるが,上記した接着性付与剤は,生体親和性に優れるので,培養された細胞をそのまま生体内に投与しても危険性が少ないこととなる。

0138

ある側面にかかる本発明の骨補填剤の利用方法は,複数の突起部を有し,カルシウム系物質を有する骨補填剤を含むクロマトグラフィー用分離担体である。後述の試験例で実証されたとおり,本発明の骨補填剤は,好ましい吸着性などを有するものであり,さらにその吸着性は,骨補填剤の空隙などを調整することにより制御できる。したがって,複数の骨補填剤を,クロマトグラフィー用の分離担体として用いることができる。具体的なクロマトグラフィーの利用方法として,適量の骨補填剤をクロマトグラフィー用のカラムに充填し,カラムに溶液を注入すればよい。

0139

以下,実施例を用いて,本発明の骨補填剤の製造方法を具体的に説明する。しかしながら,本発明は,実施例に限定されることなく,当業者が考えうる様々な変形例を含むものである。

0140

(1)混練工程
原料粉末として,α—TCP(太平化学産業製,粒径10μm)を用いた。バインダは,原料粉末100重量部に対して24重量部となるように配合した。バインダとして,エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリブチルメタクリレート,パラフィンワックス,ジブチルフタレート及びステアリン酸が30:30:30:5:5の重量比の配合割合で用いた。300cc加圧式ニーダーを,150℃に加熱し,融点が高いバインダから融点が低いバインダの順序で投入し,投入完了後60分間混練して冷却した。得られた混練物を,セラミックス製のポットミル粉砕して成形用の材料(コンパウンド又はペレット)とした。

0141

(2)成形工程
金型は,CADを用いて骨補填剤のイメージを形成した後にそのCADイメージに従って製造した。図13は,骨補填剤のCADによる設計図である。金型はSKD11焼入れ材料を使用し,12個取りのものを用いた。金型は,4箇所の突起部のうち,1つの端面をゲート口とし,残り3箇所の突起部の中央ラインに固定側と可動側の金型パーテイング面を変形パートとして,3箇所の突起部の内側にエジェクタピンを配置する構造のものを用いた。射出成形機として,型締力12トン横型のものを用いた。射出圧力初期設定値を12GPaとした。また,成形機シリンダの温度を130℃とし,金型温度を20℃とした。

0142

(3)脱バインダ工程
大気脱脂炉にて,大気雰囲気下最高温度1000℃まで加熱し,1時間保持後に炉冷した。脱バインダ工程は,冷却時間を含んで18時間であった。セッターとして,90%アルミナ(気孔率20%)を用いた。

0143

(4)焼結工程
大気雰囲気から最高温度1000℃まで加熱し,1時間保持して冷却した。冷却時間を含み焼結時間は18時間であった。セッターは,脱バインダ工程のものをそのまま用いた。 得られた骨補填剤の曲げ強度は,6.1MPa(n数=18)であった。得られた骨補填剤を図14図16に示す。図14は,実施例1で得られた骨補填剤の図面に替わる写真である。図15は,実施例1で得られた骨補填剤の図面に替わる電子顕微鏡写真である。図16は,実施例1で得られた骨補填剤が集積化したものの図面に替わる電子顕微鏡写真である。

0144

[試験例1]
−骨補填剤の焼結温度と曲げ強度の検証−
骨補填剤を製造する際の焼結温度を変化させて複数種類の骨補填剤を製造し,JISのR1601に従って,得られた骨補填剤の曲げ強度を検証した。その結果を図17に示す。図17は,実施例1で得られた骨補填剤の焼結温度と曲げ強度の関係である。図17から,焼結温度が高いほど,得られる骨補填剤の曲げ強度が高くなることがわかる。また,焼結温度を制御することで得られる骨補填剤の曲げ強度を制御できることがわかる。さらに,本発明によれば,曲げ強度が,2MPa〜10MPa(好ましくは4MPa〜9MPa,さらに好ましくは6MPa〜9MPa)という強度を有する骨補填剤を得ることができることがわかる。

0145

[試験例2]
−骨補填剤の生体内での充填状況の検証−
骨補填剤は,複数の骨補填剤が生体内で適切な連通孔を形成し,その連通孔に生体細胞侵入することで,骨再生が促進される。したがって,骨補填剤は,生体内に投与された場合に,適切な連通孔を形成するものが好ましい。そこで,本試験例では,本発明による骨補填剤が生体内でどのように集合するかについて検証した。なお,比較のために,既存の人工骨顆粒が集合するかについても検証した。この人工骨顆粒は,ブロック状の骨補填剤(オリンパスオスフェリオン)を顆粒状に粉砕したものである。具体的には,本発明の骨補填剤,及び既存人工骨顆粒を2mlクライオチューブ内で集積した際に構築される空隙構造をマイクロX線CTにより確認した。その結果を図18に示す。図18は,実施例1で得られた骨補填剤と,既存の人工骨製品が集合した様子を示す図面に替わるマイクロX線によるCT画像である。図18(A)は,本発明の骨補填剤が集合した様子を示し,図18(B)は従来の人工骨顆粒が集合した様子を示す。図18(C)は,本発明の骨補填剤がクライオチューブ内で充填された様子を示す。図18(D)は,既存の人工骨製品がクライオチューブ内で充填された様子を示す。

0146

図18(A)から,本発明の骨補填剤は,集積時にポッド自己組織化的にポッドの継ぎ目落ち着く傾向があることがわかる。その結果,集積した骨補填剤がお互いの移動を制限しあっている。また,上記のような集積状態が奏する空隙構造は,好ましい連通孔を形成することがわかる。また,空隙構造は,骨補填剤のポット長さ及び角度を反映するので,ポット長さ又は角度を調整することで,空間構造を調整できることがわかる。よって,本発明の骨補填剤は,形態保持性に優れるのみならず,骨伝導空間を任意に構築できるといえる。さらに,骨補填剤の密度は,CT画像に関してほぼ均一であった。

0147

一方,図18(B)に示されるとおり,人工骨顆粒は,集積時の粒子間距離のばらつきが大きく,空隙構造の再現性と形態保持性に問題があると考えられる。特に,新鮮創傷等の液性成分富む領域に,人工骨顆粒が埋入された場合,液状化現象により,粒子間隙構造が破綻する可能性が高いと考えられる。従って,人工骨顆粒を用いても,治療効果が得られない可能性が高い。人工骨顆粒は,顆粒の間隙構造よりも,顆粒に内在する数百ミクロン気泡が存在する。そして,人工顆粒は,生体内でその気泡に細胞などが入り込むと考えられる。しかし,気泡の形状は,均一ではなく,骨形成を促進するためには必ずしも好ましい形状ではない。よって,この点からも,人工骨顆粒では,望ましい骨再生効果を得ることはできないと考えられる。また,既存の人工骨顆粒には,低密度部位が存在し,密度が均一ではない。

0148

図18(C)に示されるとおり,本発明の骨補填剤は,クライオチューブ内部の筒形状にそって充填されており,充填性に優れることがわかる。一方,図18(D)に示されるとおり,既存の人工骨製品は,クライオチューブ内部の筒形状に沿って充填されておらず,充填不良箇所(ボイド)を生ずることがわかる(図18(D)の矢印を参照)。このようなボイドは,人工骨細胞などが埋入する際の安定性を破綻させる基点となる。すなわち,本発明の骨補填剤は,複数の充填剤が集まった際に,適切な大きさの穴や連通孔が形成されることが望ましいが,充填不良箇所のように余りに大きな穴が形成されることは好ましくない。よって,本発明の骨補填剤は,複数が投与された場合に,好ましい骨補填剤として機能することがわかる。

0149

[試験例3]
−骨補填剤の3次元細胞培養系としての検証−
骨芽系細胞株MC3T3(MC3T3−E1 (マウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞株))を,平面培養し,コンフルエントになったところで,実施例1で得られた骨補填剤ユニットをその上におき,培養を継続し経時的に顕微鏡で観察した。細胞培養は,ダルベッコイーグル改変培地(DEM培地)に10%FBS及び1%ペニシリン−ストレプトマイシンを添加したものを培地として用いた。培地は,4日に一度変えた。一方,対象のため,細胞株を添加していないものにも骨補填剤をおき,観察を行った。また,6,10日目でアルカリフォスターゼ(ALP)染色を施し,骨芽細胞を染色した。本骨補填剤が良好な細胞接着性を有することが確認できた。その結果を図19に示す。

0150

図19は,骨補填剤の細胞接着性を確認するための図面に替わる写真である。図19(A)は培養細胞がないものの4日間培養後の写真を示し,図19(B)は骨芽系細胞株MC3T3を平面培養し4日間培養後の写真を示し,図19(C)は培養細胞がないものの6日間培養後にアルカリフォスターゼ(ALP)染色したものの写真を示し,図19(D)は骨芽系細胞株MC3T3を平面培養し6日間培養後にアルカリフォスターゼ染色したものの写真を示し,図19(E)は培養細胞がないものの10日間培養後にアルカリフォスターゼ染色したものの写真を示し,図19(F)は骨芽系細胞株MC3T3を平面培養し10日間培養後にアルカリフォスターゼ染色したものの写真を示す。

0151

図19(A)及び図19(B)から,細胞の無しでは骨補填剤の表面には何も付着していないが,細胞の上で骨補填剤を培養した方では,表面に細胞が付着することが分かる。また,図19(D)に示す6日間培養したものをALP染色を施した写真から,骨芽細胞が骨補填剤の側部の勾配を昇る状況が確認できる。図19(F)から,10日間細胞培養した骨補填剤は骨補填剤の表面全体に細胞が付着していることがわかる。したがって,本発明の骨補填剤は,3次元培養担体としても有効であることがわかる。

0152

本発明の製造方法により製造された骨補填剤は,骨欠損部位,骨粗鬆症部位又は骨延長部位に注入し,又は骨欠損部位などの骨の間隙に充填する他,所定の薬剤の担体として利用されうる。よって,本発明の骨補填剤は,医薬産業などの分野で利用される。

0153

また,本発明の3次元培養担体は,これまで2次元でしか細胞培養が行われていなかったが,そのような概念を覆し,3次元的に細胞を培養できる担体を提供できるので,細胞培養を用いる医薬・バイオ産業の分野で利用されうる。

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