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課題・解決手段

α型サイアロン結晶母体とする、輝度が高く、輝度の温度変化が小さい蛍光体を提供する。所定の窒素酸素含有組成を持つα型サイアロン結晶を母体として、A元素(Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Yb)を固溶させた無機化合物を主成分として含有する。Euなどを添加した組成では、従来の橙色あるいは黄色サイアロン蛍光体より短波長での発光を示し、黄緑色の蛍光体として優れている。さらに、化学的定性に優れるため、励起源に曝された場合でも輝度が特に低下することなく、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用される有用な蛍光体を提供する。

概要

背景

蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオードLED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線紫外線電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、長期間の使用中に蛍光体の輝度が低下するという問題があり、輝度低下のない蛍光体が求められている。

防災照明若しくは信号灯などの信頼性が要求される分野、車載照明携帯電話バックライトのように小型軽量化が望まれる分野、また、行き先案内板のように視認性が必要とされる分野などには、白色LEDが用いられてきている。この白色LEDの発光色、すなわち白色光は光の混色により得られるものであり、発光源である波長430〜480nmの青色LEDが発する青色光と、蛍光体が発する黄色光とが混合したものである。このような白色LEDに適当な蛍光体は、発光源である前記の青色LEDチップの表面に微量配置される。したがって、この用途には青色LEDの照射で黄色光を発光する蛍光体が求められている。さらに、デバイスを使う使用環境温度変化による発光色の変動を小さくする観点から、蛍光体においても温度変化による発光輝度の変動が小さい材料が求められている。

青色LEDの照射で黄色光を発光する材料としては、酸化物であるガーネット((Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce、以下YAG:Ceと記す)が知られている。この蛍光体は、Y・Al−ガーネットのY位置を一部Gdで、Al位置を一部Gaで置換すると同時に、光学活性イオンであるCe3+をドープしたものである(非特許文献1)。この蛍光体は高効率な蛍光体として知られているが、温度が上昇すると発光輝度が低下するため、白色LEDなどに用いる場合はデバイスの発光色が温度により変動するという問題がある。

発光の温度変動が小さい黄色蛍光体としてα型サイアロン母体結晶とする蛍光体が提案されている。α型サイアロンは、α型のSi3N4結晶格子間にLi、Ca、Mg、Yまたはランタニド金属侵入し、侵入型固溶体を形成した結晶である。α型Si3N4の結晶構造単位格子間には直径約0.1nmの大きな空間が2個ある。その空間に金属が固溶するとその構造が安定化される。従って金属元素Mを含有するα型サイアロンの一般式は、
Mx(Si12−(m+n)Alm+n)(OnN16−n)
で示される。ここで、xはα型Si3N4単位格子に含まれるMの原子数である。また、m値はα型Si3N4構造のSi−N結合を置換するAl−N結合の数に相当するもので、m=δx(ただし、δは金属Mの価数)の関係にある。n値はSi−N結合を置換するAl−O結合の数である。この格子置換と金属の侵入型固溶によって電気的に中性が保たれる。α−サイアロンでは金属−窒素の結合が主であり、窒素含有率が高い固溶体である。

α型サイアロンの格子間に固溶する安定化金属の一部を、光学的に活性である金属イオンで置換すると蛍光体となることはこの出願前において公知である(非特許文献2〜4)。また、Ca−α−サイアロンを母材とし、Eu2+をドープした蛍光材料は、紫−青の波長領域の可視光を当てると黄色の発光をする材料となることも公知である(特許文献1、2)。

この材料は、青色LEDを励起光として照射するとその補色である黄色光を発光し、両方の光の混合によって白色LED用の蛍光体として使用できることが分かった(特許文献3)。しかしながら、これらの材料ではEu2+のα型サイアロン格子への固溶量が少なく、発光強度が十分ではないという問題が残っている。さらに、Eu2+をドープしたCa−α−サイアロンでは、450から500nmの青色光で励起されて550から600nmの黄色の光を発する蛍光体となることが報告されている。しかしながら、最も発光効率が良い組成ではその発光波長が585から600nmとなるため、450から470nmの光を放つ青色LEDを励起源とする白色LEDにおいては、混合された色が色温度が3000K程度の電球色となり、通常の照明に用いられる色温度が5000Kから6500Kの白色、昼白色、昼光色の発色は困難であった。

α型サイアロンを母体結晶とする蛍光体に関して、固溶金属や固溶量を調整する研究がなされている(特許文献4)。その中で、組成制御によって発光ピーク波長が580nmから604nmの範囲で変化することが報告されているが、585nm未満の波長に制御すると発光強度が低下するため実用上の使用が困難である問題があった。すなわち、Euを発光中心とするα型サイアロンにおいて、より短波長の発光を示す黄緑色の蛍光体が求められていた。

照明装置の従来技術として、青色発光ダイオード素子と青色吸収黄色発光蛍光体との組み合わせによる白色発光ダイオードが公知であり、各種照明用途に実用化されている。その代表例としては、特許第2900928号公報「発光ダイオード」(特許文献5)、特許第2927279号公報(特許文献6)「発光ダイオード」、特許第3364229号公報(特許文献7)「波長変換注型材料及びその製造方法並びに発光素子」などが例示される。これらの発光ダイオードで、特によく用いられている蛍光体は一般式(Y、Gd)3(Al、Ga)5O12:Ce3+で表される、セリウム付活したイットリウムアルミニウム・ガーネット系(YAG:Ce)蛍光体である。

しかしながら、青色発光ダイオード素子とYAG:Ce系蛍光体とから成る白色発光ダイオードは、温度が上昇すると蛍光体の発光輝度が低下するため、点灯後の時間の経過とともにデバイスが暖められると青色光と黄色光のバランスが悪化して発光色が変動するという問題があった。

このような背景から、Eu2+をドープしたCa−α−サイアロンよりも短波長の黄緑色で発光し、YAG:Ce系蛍光体よりも輝度の温度変化が小さい蛍光体が求められていた。

特開2002−363554号公報
特開2003−336059号公報
特開2004−186278号公報
特開2004−67837号公報
特許第2900928号公報
特許第2927279号公報
特許第3364229号公報
向井、中、“白色および紫外LED”、応用物理68、 152−55(1998).
J.W.H.van Krevel、“On new rare−earth doped M−Si−Al−O−N materials luminescence properties and oxidation resistance、”学位論文、ISBN 90−386−2711−4、Eindhoven Technische Universiteit Eindhoven、2000年.
J. W. H. van Krevel et al. “Long wavelength Ca3+ emission in Y−Si−O−N materials”, J. Alloys and Compounds, 268, 272−277(1998))
J. W. H. van Krevel et al、 “Luminescence properties of terbium−,cerium−,or europium− dopedα−sialon materials,” J. Solid State Chem. 165, 19−24 (2002).
R.J.Xie et al,”Preparation and Luminescence spectra of calcium− and rare−earth (R=Eu, Tb and Pr) ?codoped α−SiAlON ceramics”, J. Am. Ceram.Soc. 85, 1229−1234 (2002).

概要

α型サイアロン結晶を母体とする、輝度が高く、輝度の温度変化が小さい蛍光体を提供する。所定の窒素/酸素含有量組成を持つα型サイアロン結晶を母体として、A元素(Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Yb)を固溶させた無機化合物を主成分として含有する。Euなどを添加した組成では、従来の橙色あるいは黄色サイアロン蛍光体より短波長での発光を示し、黄緑色の蛍光体として優れている。さらに、化学的定性に優れるため、励起源に曝された場合でも輝度が特に低下することなく、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用される有用な蛍光体を提供する。

目的

本発明はこのような要望応えようとするものであり、目的のひとつは、従来のCa−αサイアロンを初めとする希土類付活サイアロン蛍光体より短波長の黄緑色に発光し高い輝度を有し、かつ、発光輝度の温度変化が小さく化学的に安定な無機蛍光体を提供することにある。本発明のもうひとつの目的として、係る蛍光体を用いた温度変化が小さい照明器具および耐久性に優れる画像表示装置発光器具を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

少なくともA元素(ただし、Aは、Mn、Ce、Pr,Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)と、M元素(ただし、Mは、Li、Na、Mg、Ca、Y、La、Gd、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)と、Siと、Alと、酸素と、窒素とを含有し、一般式、(Mx、Ay)(Si12−(m+n)Alm+n)(OnN16−n) ・・・・・・(1)m=δM×x+δA×y・・・・・・・・・・・・・・・(2)で示されるα型サイアロン結晶(ただし、xはサイアロン単位格子中のMの固溶量、yはサイアロン単位格子中のA元素の固溶量、nはサイアロン単位格子中の酸素の含有量を表す。)におけるパラメータxとyとnが、0.2≦x≦2.4・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)0.001≦y≦0.4・・・・・・・・・・・・・・・(4)0.5×m<n≦4・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)の範囲の値である組成式で示されるα型サイアロン結晶を主成分とする、蛍光体

請求項2

前記パラメータnが、0.6×m≦n≦2・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)の範囲の値である、請求項1項に記載の蛍光体。

請求項3

M元素がCaであり、A元素がEuであり、励起源照射することにより波長530nmから585nmの範囲の波長にピークを持つ蛍光を発する、請求項1項または2項に記載の蛍光体。

請求項4

M元素がCaであり、A元素がEuであり、パラメータmとnが、0.6≦m≦1.4・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)0.8≦n≦2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8)の範囲の値であり、励起源を照射することにより波長560nmから575nmの範囲の波長にピークを持つ蛍光を発する、請求項1項から3項のいずれかに記載の蛍光体。

請求項5

励起源が100nm以上500nm以下の波長を持つ紫外線または可視光である、請求項1項から4項のいずれかに記載の蛍光体。

請求項6

励起源が照射されたとき発光する色がCIE色度座標上の(x、y)値で、0.3≦x≦0.5・・・・・・・・・・・・・・・・(9)0.46≦y≦0.6・・・・・・・・・・・・・・・(10)以上の条件を満たす、請求項1項から5項のいずれかに記載の蛍光体。

請求項7

短軸径0.5μm以上で、アスペクト比が3以上の形態のサイアロン一次粒子を含む、請求項1項から6項のいずれかに記載の蛍光体。

請求項8

前記α型サイアロン結晶以外の他の結晶相あるいはアモルファス相をさらに含み、前記α型サイアロン結晶の含有量は10質量%以上である、請求項1項に記載の蛍光体。

請求項9

前記α型サイアロン結晶の含有量は50質量%以上である、請求項8項に記載の蛍光体。

請求項10

前記他の結晶相あるいはアモルファス相が導電性を持つ無機物質である、請求項8項または9項に記載の蛍光体。

請求項11

少なくともMの酸化物(ただし、Mは、Li、Na、Mg、Ca、Y、La、Gd、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)と、Aの酸化物(ただし、Aは、Mn、Ce、Pr,Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムと、酸化ケイ素または酸化アルミニウムとを含む原料混合物を、窒素雰囲気中において1500℃以上2200℃以下の温度範囲焼成する焼成工程を含む、請求項1項から10項のいずれかに記載の蛍光体を製造する、蛍光体の製造方法。

請求項12

発光光源と蛍光体から構成される照明器具において、該蛍光体は、少なくとも請求項1項から10項のいずれかに記載の蛍光体を含む、照明器具。

請求項13

前記発光光源が、330〜500nmの波長の光を発する発光ダイオードLED)、レーザダイオード(LD)、有機EL素子、または無機EL素子を含む、請求項12項に記載の照明器具。

請求項14

前記発光光源が330〜420nmの波長の光を発するLEDまたはLDであり、請求項1項から10項のいずれかに記載の蛍光体と、330〜420nmの励起光により450nm〜500nmの波長に発光ピークを持つ青色蛍光体と、330〜420nmの励起光により600nm〜700nmの波長に発光ピークを持つ赤色蛍光体とを用いることにより、青色光緑色光赤色光を混合して白色光を発する、請求項12項または13項に記載の照明器具。

請求項15

前記発光光源が430〜480nmの波長の青色光を発するLEDまたはLDであり、励起光源の青色光と前記蛍光体の黄色光とを混合して白色光を発する、請求項12項または13項に記載の照明器具。

請求項16

前記発光光源が430〜480nmの波長の青色光を発するLEDまたはLDであり、前記蛍光体と、430〜480nmの励起光により580nm〜700nmの波長に発光ピークを持つ橙ないし赤色蛍光体(以下「第2の蛍光体」という)とを用いることにより、励起光源の青色光と、前記蛍光体の黄色光と該第2の蛍光体の橙ないし赤色光を混合して白色光を発する、請求項12項または13項に記載の照明器具。

請求項17

前記第2の蛍光体がEuを付活したCaAlSiN3である、請求項16項に記載の照明器具。

請求項18

前記第2の蛍光体がEuを付活したCa−αサイアロンである、請求項16項に記載の照明器具。

請求項19

少なくとも請求項1項から10項のいずれかに記載の蛍光体と、該蛍光体の励起源とを含む画像表示装置

請求項20

前記励起源が、電子線、電場真空紫外線、または紫外線である、請求項19項に記載の画像表示装置。

請求項21

蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)のいずれかを含む、請求項19項または20項に記載の画像表示装置。

技術分野

0001

本発明は、無機化合物主体とする蛍光体とその製造方法および用途に関する。さらに詳細には、該用途は、該蛍光体の有する性質、すなわち530nmから585nmの長波長蛍光発光する特性を利用した照明器具画像表示装置発光器具に関する。

背景技術

0002

蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオードLED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線紫外線電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、長期間の使用中に蛍光体の輝度が低下するという問題があり、輝度低下のない蛍光体が求められている。

0003

防災照明若しくは信号灯などの信頼性が要求される分野、車載照明携帯電話バックライトのように小型軽量化が望まれる分野、また、行き先案内板のように視認性が必要とされる分野などには、白色LEDが用いられてきている。この白色LEDの発光色、すなわち白色光は光の混色により得られるものであり、発光源である波長430〜480nmの青色LEDが発する青色光と、蛍光体が発する黄色光とが混合したものである。このような白色LEDに適当な蛍光体は、発光源である前記の青色LEDチップの表面に微量配置される。したがって、この用途には青色LEDの照射で黄色光を発光する蛍光体が求められている。さらに、デバイスを使う使用環境温度変化による発光色の変動を小さくする観点から、蛍光体においても温度変化による発光輝度の変動が小さい材料が求められている。

0004

青色LEDの照射で黄色光を発光する材料としては、酸化物であるガーネット((Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce、以下YAG:Ceと記す)が知られている。この蛍光体は、Y・Al−ガーネットのY位置を一部Gdで、Al位置を一部Gaで置換すると同時に、光学活性イオンであるCe3+をドープしたものである(非特許文献1)。この蛍光体は高効率な蛍光体として知られているが、温度が上昇すると発光輝度が低下するため、白色LEDなどに用いる場合はデバイスの発光色が温度により変動するという問題がある。

0005

発光の温度変動が小さい黄色蛍光体としてα型サイアロン母体結晶とする蛍光体が提案されている。α型サイアロンは、α型のSi3N4結晶格子間にLi、Ca、Mg、Yまたはランタニド金属侵入し、侵入型固溶体を形成した結晶である。α型Si3N4の結晶構造単位格子間には直径約0.1nmの大きな空間が2個ある。その空間に金属が固溶するとその構造が安定化される。従って金属元素Mを含有するα型サイアロンの一般式は、
Mx(Si12−(m+n)Alm+n)(OnN16−n)
で示される。ここで、xはα型Si3N4単位格子に含まれるMの原子数である。また、m値はα型Si3N4構造のSi−N結合を置換するAl−N結合の数に相当するもので、m=δx(ただし、δは金属Mの価数)の関係にある。n値はSi−N結合を置換するAl−O結合の数である。この格子置換と金属の侵入型固溶によって電気的に中性が保たれる。α−サイアロンでは金属−窒素の結合が主であり、窒素含有率が高い固溶体である。

0006

α型サイアロンの格子間に固溶する安定化金属の一部を、光学的に活性である金属イオンで置換すると蛍光体となることはこの出願前において公知である(非特許文献2〜4)。また、Ca−α−サイアロンを母材とし、Eu2+をドープした蛍光材料は、紫−青の波長領域の可視光を当てると黄色の発光をする材料となることも公知である(特許文献1、2)。

0007

この材料は、青色LEDを励起光として照射するとその補色である黄色光を発光し、両方の光の混合によって白色LED用の蛍光体として使用できることが分かった(特許文献3)。しかしながら、これらの材料ではEu2+のα型サイアロン格子への固溶量が少なく、発光強度が十分ではないという問題が残っている。さらに、Eu2+をドープしたCa−α−サイアロンでは、450から500nmの青色光で励起されて550から600nmの黄色の光を発する蛍光体となることが報告されている。しかしながら、最も発光効率が良い組成ではその発光波長が585から600nmとなるため、450から470nmの光を放つ青色LEDを励起源とする白色LEDにおいては、混合された色が色温度が3000K程度の電球色となり、通常の照明に用いられる色温度が5000Kから6500Kの白色、昼白色、昼光色の発色は困難であった。

0008

α型サイアロンを母体結晶とする蛍光体に関して、固溶金属や固溶量を調整する研究がなされている(特許文献4)。その中で、組成制御によって発光ピーク波長が580nmから604nmの範囲で変化することが報告されているが、585nm未満の波長に制御すると発光強度が低下するため実用上の使用が困難である問題があった。すなわち、Euを発光中心とするα型サイアロンにおいて、より短波長の発光を示す黄緑色の蛍光体が求められていた。

0009

照明装置の従来技術として、青色発光ダイオード素子と青色吸収黄色発光蛍光体との組み合わせによる白色発光ダイオードが公知であり、各種照明用途に実用化されている。その代表例としては、特許第2900928号公報「発光ダイオード」(特許文献5)、特許第2927279号公報(特許文献6)「発光ダイオード」、特許第3364229号公報(特許文献7)「波長変換注型材料及びその製造方法並びに発光素子」などが例示される。これらの発光ダイオードで、特によく用いられている蛍光体は一般式(Y、Gd)3(Al、Ga)5O12:Ce3+で表される、セリウム付活したイットリウムアルミニウム・ガーネット系(YAG:Ce)蛍光体である。

0010

しかしながら、青色発光ダイオード素子とYAG:Ce系蛍光体とから成る白色発光ダイオードは、温度が上昇すると蛍光体の発光輝度が低下するため、点灯後の時間の経過とともにデバイスが暖められると青色光と黄色光のバランスが悪化して発光色が変動するという問題があった。

0011

このような背景から、Eu2+をドープしたCa−α−サイアロンよりも短波長の黄緑色で発光し、YAG:Ce系蛍光体よりも輝度の温度変化が小さい蛍光体が求められていた。

0012

特開2002−363554号公報
特開2003−336059号公報
特開2004−186278号公報
特開2004−67837号公報
特許第2900928号公報
特許第2927279号公報
特許第3364229号公報
向井、中、“白色および紫外LED”、応用物理68、 152−55(1998).
J.W.H.van Krevel、“On new rare−earth doped M−Si−Al−O−N materials luminescence properties and oxidation resistance、”学位論文、ISBN 90−386−2711−4、Eindhoven Technische Universiteit Eindhoven、2000年.
J. W. H. van Krevel et al. “Long wavelength Ca3+ emission in Y−Si−O−N materials”, J. Alloys and Compounds, 268, 272−277(1998))
J. W. H. van Krevel et al、 “Luminescence properties of terbium−,cerium−,or europium− dopedα−sialon materials,” J. Solid State Chem. 165, 19−24 (2002).
R.J.Xie et al,”Preparation and Luminescence spectra of calcium− and rare−earth (R=Eu, Tb and Pr) ?codoped α−SiAlON ceramics”, J. Am. Ceram.Soc. 85, 1229−1234 (2002).

発明が解決しようとする課題

0013

本発明はこのような要望応えようとするものであり、目的のひとつは、従来のCa−αサイアロンを初めとする希土類付活サイアロン蛍光体より短波長の黄緑色に発光し高い輝度を有し、かつ、発光輝度の温度変化が小さく化学的に安定な無機蛍光体を提供することにある。本発明のもうひとつの目的として、係る蛍光体を用いた温度変化が小さい照明器具および耐久性に優れる画像表示装置の発光器具を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らにおいては、かかる状況の下で、α型サイアロン結晶を母体とする蛍光体について酸素と窒素の含有量について詳細な研究を行い、特定の組成を持つα型サイアロン結晶を母体として、これに、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybなどの光学活性な金属を付活した蛍光体が輝度の温度変化が小さく、また従来報告されている窒化物酸窒化物を母体結晶とする蛍光体よりも高輝度の蛍光を発することを見いだした。また、特定の金属を固溶させた特定の組成では、より短波長の黄緑色の発光を示すことを見いだした。

0015

すなわち、αサイアロンの安定化元素であるM元素(ただし、Mは、Li、Na、Mg、Ca、Y、La、Gd、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)と、発光イオンとなるA元素(ただし、Aは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)とを含有するα型サイアロンを主体とする無機化合物について鋭意研究を重ねた結果、特定の組成の結晶は高輝度で温度変動が小さい蛍光体となることを見出した。中でも、Euを付活した無機化合物は、従来報告されているαサイアロン蛍光体よりも短波長の黄緑色に発光し、しかも発光強度も高い蛍光体となることを見出した。

0016

さらに、この蛍光体を用いることにより、高い発光効率を有し温度変動が小さい白色発光ダイオードや鮮やかな発色の画像表示装置が得られることを見いだした。

0017

本発明の蛍光体は、非特許文献2の第11章に記載されているCa1.47Eu0.03Si9Al3N16などのサイアロンとはまったく異なる組成を持つ結晶を母体とする新規な蛍光体である。

0018

一般に、発光中心元素AとしてMnや希土類元素無機母体結晶に付活した蛍光体は、A元素の周り電子状態により発光色と輝度が変化する。例えば、2価のEuを発光中心とするも蛍光体では、母体結晶を換えることにより、青色、緑色、黄色、赤色の発光が報告されている。すなわち、似た組成であっても母体の結晶構造やAが取り込まれる結晶構造中の配位環境や構成元素を換えると発光色や輝度はまったく違ったものとなり、異なる蛍光体と見なされる。本発明では従来報告されている窒化物や酸窒化物およびサイアロン組成とはまったく異なる組成を母体としており、このような組成物を母体とする蛍光体は従来報告はない。しかも、本発明の組成を母体とする蛍光体は従来の結晶を母体とするものより輝度が高く、特定の組成では黄緑色発光を呈する。

0019

本発明者は、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、以下(1)〜(10)に記載する構成を講ずることによって特定波長領域で高い輝度の発光現象を示す蛍光体を提供することに成功した。また、(11)に示す製造方法を提供することに成功した。さらに、この蛍光体を使用し、(12)〜(20)に記載する構成を講ずることによって優れた特性を有する照明器具、画像表示装置を提供することにも成功した。以下(1)〜(20)に具体的に述べる。

0020

(1) 少なくともA元素(ただし、Aは、Mn、Ce、Pr,Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)と、M元素(ただし、Mは、Li、Na、Mg、Ca、Y、La、Gd、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)と、Siと、Alと、酸素と、窒素とを含有し、一般式、
(Mx、Ay)(Si12−(m+n)Alm+n)(OnN16−n) ・・・・・・(1)
m = δM×x + δA×y ・・・・・・・・・・・・・・・(2)
で示されるα型サイアロン結晶(ただし、xはサイアロン単位格子中のMの固溶量、yはサイアロン単位格子中のA元素の固溶量、nはサイアロン単位格子中の酸素の含有量を表す。)におけるパラメータxとyとnが、
0.2 ≦ x ≦ 2.4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
0.001 ≦ y ≦ 0.4 ・・・・・・・・・・・・・・・(4)
0.5×m < n ≦ 4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
の範囲の値である組成式で示されるα型サイアロン結晶を主成分とする、蛍光体。

0021

(2) 前記パラメータnが、
0.6×m ≦ n ≦ 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
の範囲の値である、上記(1)に記載の蛍光体。

0022

(3) M元素がCaであり、A元素がEuであり、励起源を照射することにより波長530nmから585nmの範囲の波長にピークを持つ蛍光を発する、上記(1)または(2)に記載の蛍光体。

0023

(4) M元素がCaであり、A元素がEuであり、パラメータmとnが、
0.6 ≦ m ≦ 1.4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
0.8 ≦ n ≦ 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8)
の範囲の値であり、励起源を照射することにより波長560nmから575nmの範囲の波長にピークを持つ蛍光を発する、上記(1)から(3)のいずれかに記載の蛍光体。

0024

(5)励起源が100nm以上500nm以下の波長を持つ紫外線または可視光である、上記(1)から(4)のいずれかに記載の蛍光体。

0025

(6)励起源が照射されたとき発光する色がCIE色度座標上の(x、y)値で、
0.3 ≦ x ≦ 0.5 ・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
0.46 ≦ y ≦ 0.6 ・・・・・・・・・・・・・・・(10)
以上の条件を満たす、上記(1)から(5)のいずれかに記載の蛍光体。

0026

(7)短軸径0.5μm以上で、アスペクト比が3以上の形態のサイアロン一次粒子を含む、上記(1)から(6)のいずれかに記載の蛍光体。

0027

(8)前記α型サイアロン結晶以外の他の結晶相あるいはアモルファス相をさらに含み、前記α型サイアロン結晶の含有量は10質量%以上である、上記(1)に記載の蛍光体。

0028

(9) 前記α型サイアロン結晶の含有量は50質量%以上である、上記(8)に記載の蛍光体。

0029

(10) 前記他の結晶相あるいはアモルファス相が導電性を持つ無機物質である、上記(8)または(9)に記載の蛍光体。

0030

(11) 少なくともMの酸化物(ただし、Mは、Li、Na、Mg、Ca、Y、La、Gd、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)と、Aの酸化物(ただし、Aは、Mn、Ce、Pr,Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムと、酸化ケイ素または酸化アルミニウムとを含む原料混合物を、窒素雰囲気中において1500℃以上2200℃以下の温度範囲焼成する焼成工程を含む、上記(1)から(10)のいずれかに記載の蛍光体を製造する、蛍光体の製造方法。

0031

(12)発光光源と蛍光体から構成される照明器具において、該蛍光体は、少なくとも上記(1)から(10)のいずれかに記載の蛍光体を含む、照明器具。

0032

(13) 前記発光光源が、330〜500nmの波長の光を発する発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、有機EL素子、または無機EL素子を含む、上記(12)に記載の照明器具。

0033

(14) 前記発光光源が330〜420nmの波長の光を発するLEDまたはLDであり、請求項1項から10項のいずれかに記載の蛍光体と、330〜420nmの励起光により450nm〜500nmの波長に発光ピークを持つ青色蛍光体と、330〜420nmの励起光により600nm〜700nmの波長に発光ピークを持つ赤色蛍光体とを用いることにより、青色光と緑色光赤色光を混合して白色光を発する、上記(12)または(13)に記載の照明器具。

0034

(15) 前記発光光源が430〜480nmの波長の青色光を発するLEDまたはLDであり、励起光源の青色光と前記蛍光体の黄色光とを混合して白色光を発する、上記(12)または(13)に記載の照明器具。

0035

(16) 前記発光光源が430〜480nmの波長の青色光を発するLEDまたはLDであり、前記蛍光体と、430〜480nmの励起光により580nm〜700nmの波長に発光ピークを持つ橙ないし赤色蛍光体(以下「第2の蛍光体」という)とを用いることにより、励起光源の青色光と、前記蛍光体の黄色光と該第2の蛍光体の橙ないし赤色光を混合して白色光を発する、上記(12)または(13)に記載の照明器具。

0036

(17) 前記第2の蛍光体がEuを付活したCaAlSiN3である、上記(16)に記載の照明器具。

0037

(18) 前記第2の蛍光体がEuを付活したCa−αサイアロンである、上記(16)に記載の照明器具。

0038

(19) 少なくとも上記(1)から(10)のいずれかに記載の蛍光体と、該蛍光体の励起源とを含む画像表示装置。

0039

(20) 前記励起源が、電子線、電場、真空紫外線、または紫外線である、上記(19)に記載の画像表示装置。

0040

(21)蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)のいずれかを含む、上記(19)または(20)に記載の画像表示装置。

0041

本発明の蛍光体は、特定の窒素/酸素含有量組成を持つα型サイアロン結晶を母体として、A元素(Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Yb)を固溶させた無機化合物を主成分として含有していることにより、輝度が高く、輝度の温度変化が小さい特長がある。さらに、Euなどを添加した特定の組成では、従来の橙色あるいは黄色サイアロン蛍光体より短波長での発光を示し、黄緑色の蛍光体として優れている。さらに、化学的安定性に優れるため、励起源に曝された場合でも輝度が特に低下することなく、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用される有用な蛍光体を提供するものである。

図面の簡単な説明

0042

実施例のm値とn値を示す図。
蛍光体(実施例)の発光強度を示す図。
蛍光体(実施例)の発光波長を示す図。
蛍光体(実施例71)の粒子形態を示す図。
蛍光体(比較例1)の粒子形態を示す図。
蛍光体(実施例29)の発光および励起スペクトルを示す図。
蛍光体(比較例2)の発光および励起スペクトルを示す図。
本発明による照明器具(砲弾LED照明器具)の概略図。
本発明による照明器具(基板実装型LED照明器具)の概略図。
本発明による画像表示装置(プラズマディスプレイパネル)の概略図。

符号の説明

0043

砲弾型発光ダイオードランプ
2、3リードワイヤ
発光ダイオード素子
ボンディングワイヤ
6、8樹脂
7蛍光体。
21基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ
22、23 リードワイヤ。
24 発光ダイオード素子。
25 ボンディングワイヤ。
26、28 樹脂。
27 蛍光体。
29アルミナセラミックス基板
30側面部材
31赤色蛍光体。
32緑色蛍光体
33青色蛍光体。
34、35、36紫外線発光セル
37、38、39、40電極
41、42誘電体層
43 保護層。
44、45ガラス基板

発明を実施するための最良の形態

0044

以下、本発明を詳しく説明する。本発明の蛍光体は、少なくともαサイアロンを安定化させるM元素と、付活元素Aと、Siと、Alと、酸素と、窒素とを含有する組成物であり、α型サイアロン結晶を主成分とする。代表的な構成元素としては、Aは、Mn、Ce、Pr,Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素を、Mは、Li、Na、Mg、Ca、Y、La、Gd、Luから選ばれる1種または2種以上の元素を挙げることができる。A元素は、励起源のエネルギーを受けて蛍光を発する発光中心の働きをし、添加元素により発光色が異なるので、波長400nmから700nmの範囲の波長の発光色の中で、用途による所望の色が得られるように、添加元素を選定すると良い。中でも、Euを添加したものは、波長530nmから580nmの範囲の波長にピークを有する黄緑色の発色をするため、青色LEDと組み合わせて白色LEDを構成する場合には特に適している。M元素は、サイアロン格子中に固溶して、結晶構造を安定させる働きをし、光学的に不活性な元素から選ばれる。

0045

A元素とM元素を含有する、α型サイアロン結晶は、一般式
(Mx、Ay)(Si12−(m+n)Alm+n)(OnN16−n)
で示される。パラメータmはxおよびyによって決まる値であり、
m = δM×x + δA×y
の関係にある。ここで、δMはM元素の価数であり、例えば、Liは1、MgやCaは2、YやLaは3である。

0046

本発明では、式中のパラメータx、yは、
0.2 ≦ x ≦ 2.4
0.001 ≦ y ≦ 0.4
0.5×m < n ≦ 4
の範囲の値をとる。xはサイアロンの単位格子中に固溶するM原子の数であり、xが0.2より小さいとαサイアロン結晶が安定化せずにβサイアロンとなるため、発光色の変化や輝度の低下が起こる。2.4より多いとα型サイアロン以外の結晶相が析出するため発光輝度が低下する。yはサイアロンの単位格子中に固溶する付活元素であるA原子の数であり、yが0.001より小さいと光学活性イオンが少なすぎるため輝度が低く、0.4より大きいとA原子間の相互作用による濃度消光が起こり輝度が低下する。

0047

パラメータnは、α型Si3N4構造への酸素の置換型固溶量に関する値であり、単位格子中に含まれる酸素原子の数を表す。なお、単位格子中に含まれる酸素原子と窒素原子の合計は16個であるため、単位格子中に含まれる窒素原子の数は16−n個となる。

0048

Mが1価の場合、出発原料として、Li2Oを使用する場合は、x個のLiを結晶格子に導入すると0.5×x個のOが導入される。このように、Mを含む出発原料として酸化物を用いると、0.5×δM×x個の酸素が導入される。ここで、δMはMイオンの価数である。すなわち、Si3N4とAlNとMの酸化物を出発原料とするαサイアロンにおいては、
n=0.5×δM×x=0.5×m
の関係にある。

0049

本発明においては、結晶格子中のnの量に着目し、従来蛍光体の母体結晶として合成されてきたn=0.5×mの組成よりも酸素含有量が高い組成とすることによって、発光波長の低波長化と高輝度化を達成できることを見いだした。すなわち、n値を、
0.5×m < n ≦ 4
の範囲の値とする組成範囲において、発光波長の低波長化と高輝度化を達成できることを見いだした。n値が0.5×m以下の場合、結晶格子中の酸素量が少ないため、発光波長が長波長化する傾向がある。n値が4より大きいとα−サイアロン以外の結晶相の割合が多くなるため、発光強度が低下するおそれがある。

0050

サイアロン格子中の酸素量を増やすことにより短波長化と輝度向上が達成される理由は、次のように考えられる。Euを付活したサイアロン蛍光体では、励起光を吸収したEu2+イオンが5d軌道から4f軌道遷移するときに蛍光を発する。従って、発光の色はEu2+イオンのエネルギー準位により決まる。サイアロン中の酸素量を増加させるとEu2+イオンを取り囲む酸素と窒素の割合が変化して、共有結合性が低下することにより遷移間のエネルギー差が増大して、短波長化する。また、発光強度の向上は、酸素量が増大することにより、高温での合成時に大量の液相が生成して反応性が向上することにより、結晶性にすぐれた大きな粒子が生成することが理由と考えられる。

0051

本発明の中で、短軸径0.5μm以上で、アスペクト比が3以上の形態のサイアロン一次粒子を含むものは特に発光強度が高い。この一次粒子が単結晶であるとさらに発光強度が高くなる。ここで、アスペクト比とは扁平率のことであり、短軸に対する長軸の長さで定義される。このような形態は、nが大きい、すなわち液相生成量が多い状態で、高温で長時間反応させることにより達成できる。反応時間は24時間以上が好ましい。

0052

上記のn値の中でも、特に発光強度が高い組成は、
0.6×m ≦ n ≦ 2
の範囲の値である。

0053

出発原料のAl源としてのAlNの一部をAl2O3としたり、Si源としてのSi3N4の一部をSiO2とすることによりn値を大きくすることができる。

0054

Caを含むα−サイアロンにEuを付活させた蛍光体の発光強度が高いので、MにCaをAにEuを含むものは高輝度蛍光体となり得る。なかでもMがCaでAがEuであるものは、530nmから585nmの範囲の波長にピークを持つ蛍光を発するため、LED用途にはより好ましい。

0055

なかでも、M元素がCaであり、A元素がEuであり、パラメータmとnが、
0.6 ≦ m ≦ 1.4
0.8 ≦ n ≦ 2
の範囲の値である蛍光体は、励起源を照射することにより波長560nmから575nmの範囲の波長にピークを持つ蛍光を発するため、青色LEDを励起源とする白色LED用途には特に好ましい。

0056

励起源としては、100nm以上500nm以下の波長を持つ光(真空紫外線、紫外線、または可視光)や、電子線、X線中性子などの放射線を挙げることができる。さらに、電場による励起(無機EL素子)に用いることもできる。

0057

本発明の蛍光体を粉体として用いる場合は、樹脂への分散性や粉体の流動性などの点から平均粒径が0.1μm以上50μm以下が好ましい。なかでも、5μm以上10μm以下の粒径が操作性に優れている。また、粉体を5μm以上10μm以下の範囲粒径の単結晶粒子とすることにより、より発光輝度が向上する。

0058

発光輝度が高い蛍光体を得るには、α型サイアロン結晶に含まれる不純物は極力少ない方が好ましい。特に、Fe、Co、Ni不純物元素が多く含まれると発光が阻害されるので、これらの元素の合計が500ppm以下となるように、原料粉末の選定および合成工程の制御を行うとよい。

0059

本発明では、蛍光発光の点からは、α型サイアロン結晶は、高純度で極力多く含むこと、できれば単相から構成されていることが望ましいが、特性が低下しない範囲で他の結晶相あるいはアモルファス相との混合物から構成することもできる。この場合、α型サイアロン結晶の含有量が10質量%以上であることが高い輝度を得るために望ましい。さらに好ましくは50質量%以上で輝度が著しく向上する。本発明において主成分とする範囲は、α型サイアロン結晶の含有量が少なくとも10質量%以上である。α型サイアロン結晶の含有量はX線回折を行い、リートベルト法多相解析により求めることができる。簡易的には、X線回折結果を用いて、α型サイアロン結晶と他の結晶の最強線の高さの比から含有量を求めることができる。

0060

本発明の蛍光体を電子線で励起する用途に使用する場合は、導電性を持つ無機物質を混合することにより蛍光体に導電性を付与することができる。導電性を持つ無機物質としては、Zn、Al、Ga、In、Snから選ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物、酸窒化物、または窒化物、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。

0061

本発明の蛍光体は波長530nmから585nmの範囲の特定の色に発色するが、他の色との混合が必要な場合は、必要に応じてこれらの色を発色する無機蛍光体を混合することができる。

0062

以上のようにして得られる本発明の蛍光体は、通常の酸化物蛍光体や既存のサイアロン蛍光体と比べて、電子線やX線、および紫外線から可視光の幅広励起範囲を持つこと、波長530nmから585nmの範囲の発光をすること、特に特定の組成では波長530nmから580nmの範囲の黄緑色を呈することが特徴であり、CIE色度座標上の(x、y)の値で、
0.3 ≦ x ≦ 0.5
0.46 ≦ y ≦ 0.6
の範囲の黄緑色の発光を示す。以上の発光特性により、照明器具、画像表示装置に好適である。これに加えて、温度変化による発光輝度の変動が小さく、酸化雰囲気および水分環境下での長期間の安定性にも優れている。

0063

本発明の蛍光体は製造方法を規定しないが、下記の方法で輝度が高い蛍光体を製造することができる。

0064

少なくともMの酸化物(ただし、Mは、Li、Na、Mg、Ca、Y、La、Gd、Luから選ばれる1種または2種以上の元素)と、Aの酸化物(ただし、Aは、Mn、Ce、Pr,Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)と、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムと、酸化ケイ素または酸化アルミニウムとを含む原料混合物を、窒素雰囲気中において1500℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することにより、高輝度蛍光体が得られる。

0065

Ca、Eu、Si、Al、O、Nを含有する蛍光体を合成する場合は、窒化ケイ素と、窒化アルミニウムと、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素と、焼成により酸化カルシウムとなる化合物添加量はCaO換算)と、酸化ユーロピウムまたは焼成により酸化ユーロピウムとなる化合物(添加量はEuO換算)との混合物を出発原料とするのがよい。

0066

焼成は、窒素雰囲気が0.1MPa以上100MPa以下の圧力範囲ガス雰囲気を用いると、安定なα型サイアロンが生成し易く、高輝度の蛍光体が得られ易い。0.1MPaより低いガス圧力では、焼成温度が高い条件では原料の窒化ケイ素が分解し易くなる。100MPaより高いガス圧力は、高コストになり工業生産上好ましくない。

0067

上記の金属化合物混合粉末は、嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で焼成するとよい。嵩密度とは粉末体積充填率であり、一定容器充填したときの粉末の質量と容器の容積の比を金属化合物の理論密度で割った値である。容器としては、金属化合物との反応性が低いことから、窒化ホウ素焼結体が適している。

0068

嵩密度を40%以下の状態に保持したまま焼成するのは、表面欠陥が少ない結晶を合成し易いからである。即ち、原料粉末の周りに自由な空間がある状態で焼成すると、反応生成物によって結晶成長する際に、結晶同士の接触が少なくなるため、表面欠陥が少ない結晶を合成することが出来ると考えられる。

0069

次に、得られた金属化合物の混合物を窒素を含有する不活性雰囲気中において1200℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することにより蛍光体を合成する。焼成に用いる炉は、焼成温度が高温であり焼成雰囲気が窒素を含有する不活性雰囲気であることから、金属抵抗加熱方式または黒鉛抵抗加熱方式であり、炉の高温部の材料として炭素を用いた電気炉が好適である。焼成の手法は、常圧焼結法ガス圧焼結法などの外部から機械的な加圧を施さない焼結手法が、嵩密度を高く保ったまま焼成するために好ましい。

0070

焼成して得られた粉体凝集体が固く固着している場合は、例えばボールミルジェットミル等の工業的に通常用いられる粉砕機により粉砕する。粉砕は平均粒径50μm以下となるまで施す。特に好ましくは平均粒径0.1μm以上5μm以下である。平均粒径が50μmを超えると粉体の流動性と樹脂への分散性が悪くなり、発光素子と組み合わせて発光装置を形成する際に部位により発光強度が不均一になり易くなる。0.1μm以下となると、蛍光体粉体表面の欠陥量が多くなるため蛍光体の組成によっては発光強度が低下するおそれがある。

0071

焼成後の蛍光体粉末、あるいは粉砕処理後の蛍光体粉末、もしくは粒度調整後の蛍光体粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理すると粉砕時などに表面に導入された欠陥が減少して輝度が向上する。

0072

焼成後に生成物を水または酸の水溶液からなる溶剤洗浄することにより、生成物に含まれるガラス相第二相、または不純物相の含有量を低減させることができ、輝度が向上する。この場合、酸は、硫酸塩酸硝酸フッ化水素酸有機酸単体または混合物から選ぶことができ、なかでもフッ化水素酸と硫酸の混合物を用いると不純物の除去効果が大きい。

0073

以上説明したように、本発明の蛍光体は、従来のサイアロン蛍光体より高い輝度を示し、励起源に曝された場合における蛍光体の輝度の低下が少ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに適しており、中でも青色LEDと組み合わせた白色LED用途に好適な蛍光体である。

0074

本発明の照明器具は、少なくとも発光光源と本発明の蛍光体を用いて構成される。照明器具としては、LED照明器具、EL照明器具蛍光ランプなどがある。LED照明器具では、本発明の蛍光体を用いて、特開平5−152609号公報、特開平7−99345号公報、特許第2927279号公報などに記載されているような公知の方法により製造することができる。この場合、発光光源は330〜500nmの波長の光を発するものが望ましく、中でも330〜420nmの紫外(または紫)LED発光素子または420〜480nmの青色LED発光素子が好ましい。

0075

これらのLED発光素子としては、GaNやInGaNなどの窒化物半導体からなるものがあり、組成を調整することにより、所定の波長の光を発する発光光源となり得る。

0076

照明器具において本発明の蛍光体を単独で使用する方法の他に、他の発光特性を持つ蛍光体と併用することによって、所望の色を発する照明器具を構成することができる。この一例として、330〜420nmの紫外LED発光素子とこの波長で励起され450nm以上500nm以下の波長に発光する青色蛍光体と、本発明の黄緑色蛍光体と、330〜420nmの励起光により600nm〜700nmの赤色蛍光体とを用いることにより、青色光と緑色光と赤色光を混合して白色光を発する照明器具がある。このような青色蛍光体としてはBaMgAl10O17:Euを、赤色蛍光体としては、Euを付活したCaAlSiN3を挙げることができる。

0077

別の手法として、430〜480nmの波長の青色光を発するLED発光素子と本発明の蛍光体との組み合わせがある。この構成では、LEDが発する青色光が蛍光体に照射されると、黄色の光が発せられ、これとLED自身の青色光が混合されて白色光を発する照明器具がある。

0078

別の手法として、430〜480nmの波長の青色光を発するLED発光素子と本発明の蛍光体と、430〜480nmの励起光により580nm〜700nmの波長に発光ピークを持つ橙ないし赤色蛍光体とを用いることにより、励起光源の青色光と、蛍光体の黄色光と蛍光体の橙ないし赤色光を混合して白色光を発する照明器具がある。赤色蛍光体としては、Euを付活したCaAlSiN3を、橙色蛍光体としてはがEuを付活したCa−αサイアロンを挙げることができる。

0079

本発明の画像表示装置は少なくも励起源と本発明の蛍光体で構成され、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDまたはSED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)などがある。本発明の蛍光体は、100〜190nmの真空紫外線、190〜380nmの紫外線、電子線などの励起で発光することが確認されており、これらの励起源と本発明の蛍光体との組み合わせで、上記のような画像表示装置を構成することができる。

0080

次に本発明を以下に示す実施例によってさらに詳しく説明するが、これはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示したものであって、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。

0081

[実施例1〜70]
CaとEuを含有するα型サイアロンにおいて、設計パラメータx、y、m、n値、およびCaxEuySiaAlbOcNd材料組成におけるx、y、a、b、c、d値(表1−1、表1−2、表2−1、表2−2)となる組成を検討した。実施例1〜70の設計組成のパラメータを、それぞれ、表1−1、表1−2、表2−1、表2−2に示す。組成のm値とn値を図1に示す。これらの設計に基づいて、表3−1と表3−2の設計組成を得るべく、炭酸カルシウム粉末と、酸化ユーロピウム粉末と、窒化ケイ素粉末と、窒化アルミニウム粉末と、酸化アルミニウム粉末とを、表4−1と表4−2の組成で混合した。ここで、表4−1と表4−2は、実施例1〜70の混合組成を示している。混合に用いた原料粉末は、炭酸カルシウム(CaCO3;高純度科学研究所製)粉末と、酸化ユーロピウム(Eu2O3;純度99.9%、信越化学工業(株)製)と、比表面積11.2m2/gの粒度の、酸素含有量1.29重量%、α型含有量95%の窒化ケイ素粉末(宇部興産(株)製のSN−E10グレード)と、比表面積3.3m2/gの粒度の、酸素含有量0.85重量%の窒化アルミニウム粉末((株)トクヤマ製のFグレード)と、比表面積13.6m2/gの粒度の酸化アルミニウム粉末(大明化学工業(株)製タイミクロングレード)である。これらの粉末を表4−1,4−2の混合組成となるように量し、大気中でメノウ乳棒乳鉢を用いて10分間混合を行なった後に、得られた混合物を、500μmのふるいを通して窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて、るつぼに粉末を充填した。粉体の嵩密度は約25%〜30%であった。

0082

混合粉末が入ったるつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.5MPaとし、毎時500℃で1700℃まで昇温し、その温度で2時間保持して行った。

0083

次に、合成した化合物をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定を行った。その結果、未反応のSi3N4、AlN、Al2O3、CaCO3、CaO、EuO、Eu2O3は検出されず、全ての実施例でα型サイアロンが60%以上含まれていることが確認された。

0084

焼成後、この得られた焼成体粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製のるつぼと乳鉢を用いて手で粉砕し、30μmの目のふるいを通した。粒度分布を測定したところ、平均粒径は7〜12μmであった。

0085

なお、本明細書において、平均粒径とは、以下のように定義される。粒子径は、沈降法による測定においては沈降速度が等価な球の直径として、レーザ散乱法においては散乱特性が等価な球の直径として定義される。また、粒子径の分布を粒度(粒径)分布という。粒径分布において、ある粒子径より大きい質量の総和が、全粉体のそれの50%を占める場合の粒子径が、平均粒径D50として定義される。この定義および用語は、いずれも当業者において周知であり、例えば、JISZ8901「試験用粉体及び試験用粒子」、または、粉体工学会編「粉体の基礎物性」(ISBN4−526−05544−1)の第1章等諸文献に記載されている。本発明においては、分散剤としてヘキサメタクリ酸ナトリウムを添加した水に試料を分散させ、レーザ散乱式の測定装置を使用して、粒子径に対する体積換算積算頻度分布を測定した。なお、体積換算と重量換算の分布は等しい。この積算(累積)頻度分布における50%に相当する粒子径を求めて、平均粒径D50とした。以下、本明細書において、平均粒径は、上述のレーザ散乱法による粒度分布測定手段によって測定した粒度分布の中央価(D50)に基づくことに留意されたい。平均粒径を求める手段については、上述以外にも多様な手段が開発され、現在も続いている現状にあり、測定値に若干の違いが生じることもあり得るが、平均粒径それ自体の意味、意義は明確であり、必ずしも上記手段に限定されないことを理解されたい。

0086

これらの粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、黄緑色から黄色に発光することを確認した。この粉末の発光スペクトルおよび励起スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定した結果を表5−1,5−2、図2図3に示す。表5−1,5−2は、実施例1〜70の励起および発光スペクトルのピーク波長ピーク強度を示している。全ての例において、300nm〜450nmの波長の紫外線、紫光、青色光で効率よく励起されて、波長530nmから585nmの範囲の波長にピークを持つ黄緑色の蛍光を発する蛍光体が得られた。なおカウント値は測定装置や条件によって変化するため単位は任意単位である。すなわち、同一条件で測定した本実施例および比較例内でしか比較できない。

0087

[実施例71と比較例1]
実施例29(m=1、n=1.8)と同一組成原料粉末混合物を実施例と同じ工程で調製し、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.5MPaとし、毎時500℃で1700℃まで昇温し、1700℃で24時間保持して合成を行った。次に、合成した化合物をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定を行い、α型サイアロンの生成を確認した。

0088

合成した蛍光体粉末の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図4に示すように、3μm程度の長さの結晶面が発達した単結晶粒子から構成される一次粒子であることが確認された。実際の蛍光体はこの一次粒子が凝集した形態として得られた。比較のために、m=1、n=0.5の組成のサイアロン((Ca0.4625Eu0.0375)Si10.5Al1.5O0.5N15.5)組成を実施例71と同一の条件で焼成した試料(比較例1)のSEM写真図5に示す。n値が小さいため焼成中に生成する液相量が小さく、粒成長が不十分で粒子が小さいことが確認された。この蛍光体の発光スペクトルの最大強度は5100カウントである。すなわち、m値が小さい組成においてもn値を大きくすることにより液相生成量が多くなり、結晶成長が促進された結果、蛍光体の発光強度が向上した。

0089

粉砕した粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、黄緑色の発光を確認した。この粉末の発光スペクトルおよび励起スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定した結果を図6に示す。励起スペクトルのピーク波長は445nmであることが分かった。これらの励起により、574nmの範囲の波長にピークを持つ黄緑色の蛍光を発する蛍光体が得られた。この蛍光体は、250nmから500nmの幅広い励起光で励起することができ、中でも405nmの紫LEDの波長や450nmの青色LEDの波長における励起強度が高いことが特徴である。蛍光の色度は、x=0.47、y=0.52であり、黄緑色であった。

0090

[比較例2]
実施例と同じ原料粉末を用いて、m=3、n=0のパラメータで表される、Euを付活したCa−α−サイアロン
(Ca1.3875、Eu0.1125)(Si9Al3)(O0N15)
を合成すべく、Ca3N2粉末(セラック製純度99%)と、金属Euをアンモニア気流中600℃で窒化して合成したEuN粉末(実験室合成品)と、実施例と同じSi3N4粉末と、実施例と同じAlN粉末とを、
Ca3N2:EuN:Si3N4:AlN=
7.03:1.71:45.63:45.63(モル%)
Ca3N2:EuN:Si3N4:AlN=
10.87:2.96:66.69:19.49(質量%)
の混合組成で、酸素および水分が1ppm以下のグローブボックス中で原料を混合し、実施例と同様の工程で蛍光体を合成した。X線回折によれば、合成物は、α型サイアロンが検出され、それ以外の結晶相は検出されなかった。この粉末について、蛍光分光光度計を用いて測定した、励起スペクトルと発光スペクトルを図7に示す。蛍光体の発光波長は604nm、発光強度は6209であった。比較例の組成は、本発明の組成範囲の外にあり、組成が不適切であるため、得られた蛍光体の発光波長が本発明より長波長であった。蛍光の色度は、x=0.55、y=0.45であり、橙色であった。

0091

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次ぎに、本発明の窒化物からなる蛍光体を用いた照明器具について説明する。

0102

[実施例72]
図8に示すいわゆる砲弾型白色発光ダイオードランプ(1)を製作した。2本のリードワイヤ(2、3)があり、そのうち1本(2)には、凹部があり、青色発光ダイオード素子(4)が載置されている。青色発光ダイオード素子(4)の下部電極と凹部の底面とが導電性ペーストによって電気的に接続されており、上部電極ともう1本のリードワイヤ(3)とが金細線(5)によって電気的に接続されている。蛍光体は実施例71で作製した蛍光体である。蛍光体(7)が樹脂に分散され、発光ダイオード素子(4)近傍に実装されている。この蛍光体を分散した第一の樹脂(6)は、透明であり、青色発光ダイオード素子(4)の全体を被覆している。凹部を含むリードワイヤの先端部、青色発光ダイオード素子、蛍光体を分散した第一の樹脂は、透明な第二の樹脂(8)によって封止されている。透明な第二の樹脂(8)は全体が略円柱形状であり、その先端部がレンズ形状の曲面となっていて、砲弾型と通称されている。

0103

本実施例では、実施例71の蛍光体粉末を37重量%の濃度でエポキシ樹脂に混ぜ、これをディスペンサを用いて適量滴下して、蛍光体(7)を分散した第一の樹脂(6)を形成した。得られた色度はx=0.34、y=0.34であり、白色であった。

0104

[実施例73]
基板実装用チップ型白色発光ダイオードランプ(21)を製作した。構図図9に示す。可視光線反射率の高い白色のアルミナセラミックス基板(29)に2本のリードワイヤ(22、23)が固定されており、それらワイヤ片端基板のほぼ中央部に位置しもう方端はそれぞれ外部に出ていて電気基板への実装時ははんだづけされる電極となっている。リードワイヤのうち1本(22)は、その片端に、基板中央部となるように青色発光ダイオード素子(24)が載置され固定されている。青色発光ダイオード素子(24)の下部電極と下方のリードワイヤとは導電性ペーストによって電気的に接続されており、上部電極ともう1本のリードワイヤ(23)とが金細線(25)によって電気的に接続されている。

0105

第一の樹脂(26)と蛍光体(27)を混合したものが、発光ダイオード素子近傍に実装されている。この蛍光体を分散した第一の樹脂は、透明であり、青色発光ダイオード素子(24)の全体を被覆している。また、セラミック基板上には中央部に穴の開いた形状である壁面部材(30)が固定されている。壁面部材(30)は、その中央部が青色発光ダイオード素子(24)および蛍光体(27)を分散させた第一の樹脂(26)がおさまるための穴となっていて、中央に面した部分は斜面となっている。この斜面は光を前方に取り出すための反射面であって、その斜面の曲面形は光の反射方向を考慮して決定される。また、少なくとも反射面を構成する面は白色または金属光沢を持った可視光線反射率の高い面となっている。本実施例では、該壁面部材を白色のシリコーン樹脂(30)によって構成した。壁面部材の中央部の穴は、チップ型発光ダイオードランプの最終形状としては凹部を形成するが、ここには青色発光ダイオード素子(24)および蛍光体(27)を分散させた第一の樹脂(26)のすべてを封止するようにして透明な第二の樹脂(28)を充填している。本実施例では、第一の樹脂(26)と第二の樹脂(28)とには同一のエポキシ樹脂を用いた。蛍光体の添加割合、達成された色度等は、第一の実施例と略同一である。

0106

次ぎに、本発明の蛍光体を用いた画像表示装置の設計例について説明する。

0107

[実施例74]
図10は、画像表示装置としてのプラズマディスプレイパネルの原理的概略図である。赤色蛍光体(CaAlSiN3:Eu2+)(31)と本発明の実施例71の緑色蛍光体(32)および青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)(33)がそれぞれのセル(34、35、36)の内面に塗布されている。セル(34、35、36)は、誘電体層(41)と電極(37、38、39)とが付与されたガラス基板(44)上に位置する。電極(37、38、39、40)に通電するとセル中でXe放電により真空紫外線が発生し、これにより蛍光体が励起されて、赤、緑、青の可視光を発し、この光が保護層(43)、誘電体層(42)、ガラス基板(45)を介して外側から観察され、画像表示として機能する。

0108

本発明の窒化物蛍光体は、従来のサイアロンや酸窒化物蛍光体より短い波長での発光を示し、黄緑色の蛍光体として優れ、さらに励起源に曝された場合の蛍光体の輝度の低下が少ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用される窒化物蛍光体である。今後、各種表示装置における材料設計において、大いに活用され、産業発展に寄与することが期待できる。

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