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技術 導電性高分子用ドーパント溶液、導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液、導電性組成物および固体電解コンデンサ

出願人 テイカ株式会社株式会社トーキン
発明者 杉原良介
出願日 2006年2月3日 (15年3ヶ月経過) 出願番号 2007-502650
公開日 2008年6月26日 (12年10ヶ月経過) 公開番号 WO2006-085601
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物 ポリオキシメチレン、炭素-炭素結合重合体 含窒素連結基の形式による高分子化合物一般 電解コンデンサのセパレータ等 電解コンデンサ 導電材料 電線ケーブルの製造(1)
主要キーワード 高反応効率 初期表面抵抗値 帯電防止シート リード端子付き ドーパント溶液 有機溶媒液 エチレンジオキシチオフェン溶液 誘電体被膜
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課題・解決手段

本発明は、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸アルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種を40質量%以上の濃度で含有している導電性高分子用ドーパント溶液、上記ドーパントを構成する有機塩酸化剤としての過硫酸有機塩との混合物を有する導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液、該酸化剤兼ドーパント溶液を用いて得られる導電性高分子を含む導電性組成物、および該導電性組成物を固体電解質として用いて構成した固体電解コンデンサに関するものであり、上記導電性組成物は導電率が高く、また固体電解コンデンサは長期信頼性が高い。

概要

背景

導電性高分子固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、二酸化マンガンを固体電解質として用いた従来の固体電解コンデンサに比べて、ESR等価直列抵抗)が低く、信頼性が優れているなど、種々の特性が優れていることから、急速な勢いで市場が拡大している。
上記導電性高分子の製造は、一般に、化学酸化重合法で行われており、例えば、酸化剤兼ドーパントとしてパラトルエンスルホン酸鉄などの有機スルホン酸遷移金属塩を用い、チオフェンまたはその誘導体などのモノマー重合させることによって行われている(特開平10−50558号公報、特開2000−106331号公報)。
しかしながら、これらの方法は、大量生産に向いているものの、酸化剤として用いた遷移金属が導電性高分子内に残るという問題があった。そこで、遷移金属を取り除くため、洗浄工程を入れたとしても、遷移金属は完全に取り除きにくいという性質があり、遷移金属が導電性高分子中に残った場合の遷移金属の導電性高分子に与える影響や、それを固体電解質として用いた固体電解コンデンサへの影響を払拭し、導電性高分子の安定性や固体電解コンデンサの長期信頼性をより一層高めたいという要望があった。そのため、酸化剤として遷移金属塩以外のもの、例えば、過酸化物を酸化剤として用いることが提案されているが、チオフェンまたはその誘導体をモノマーとして用いた場合は、遷移金属塩に比べて反応効率が非常に悪かったり、得られた導電性高分子の導電率が非常に悪いという問題があった。

概要

本発明は、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸アルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種を40質量%以上の濃度で含有している導電性高分子用ドーパント溶液、上記ドーパントを構成する有機塩と酸化剤としての過硫酸有機塩との混合物を有する導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液、該酸化剤兼ドーパント溶液を用いて得られる導電性高分子を含む導電性組成物、および該導電性組成物を固体電解質として用いて構成した固体電解コンデンサに関するものであり、上記導電性組成物は導電率が高く、また固体電解コンデンサは長期信頼性が高い。

目的

本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、導電率が高い導電性組成物を提供し、導電性組成物を固体電解質として用いて長期信頼性の高い固体電解コンデンサを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
5件
牽制数
9件

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請求項1

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸アルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種が40質量%以上の濃度で溶解していることを特徴とする導電性高分子用ドーパント溶液

請求項2

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種が70質量%以上の濃度で溶解している請求項1に記載の導電性高分子用ドーパント溶液。

請求項3

乳化剤を含有している請求項1または2に記載の導電性高分子用ドーパント溶液。

請求項4

上記乳化剤が、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミンオキサイドである請求項3に記載の導電性高分子用ドーパント溶液。

請求項5

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩を構成するアルキルアミンのアルキル基は、炭素数が1〜12である請求項1〜4のいずれかに記載の導電性高分子用ドーパント溶液。

請求項6

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のイミダゾール塩を構成するイミダゾールは、その2位または4位が、炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基置換されている請求項1〜4のいずれかに記載の導電性高分子用ドーパント溶液。

請求項7

pHが1以上である請求項1〜6のいずれかに記載の導電性高分子用ドーパント溶液。

請求項8

pHが4以上である請求項7に記載の導電性高分子用ドーパント溶液。

請求項9

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸のイミダゾール塩として、フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール、フェノールスルホン酸4−メチルイミダゾール、クレゾールスルホン酸2−メチルイミダゾールまたはクレゾールスルホン酸4−メチルイミダゾールを含有する請求項1〜8のいずれかに記載の導電性高分子用ドーパント溶液。

請求項10

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩と過硫酸有機塩との混合物である酸化剤兼ドーパントが溶解しており、かつOH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種:1モルに対して、過硫酸有機塩:0.3〜2.0モルであることを特徴とする導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液

請求項11

請求項1〜8のいずれかに記載のドーパント溶液に、過硫酸有機塩を溶解させてなるものである請求項10に記載の導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液。

請求項12

上記酸化剤兼ドーパントの濃度が40質量%以上である請求項10または11に記載の導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液。

請求項13

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸のイミダゾール塩として、フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール、フェノールスルホン酸4−メチルイミダゾール、クレゾールスルホン酸2−メチルイミダゾールまたはクレゾールスルホン酸4−メチルイミダゾールを含有する請求項10〜12のいずれかに記載の導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液。

請求項14

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種と過硫酸有機塩との混合物を酸化剤兼ドーパントとして、チオフェンまたはその誘導体ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー重合させて得られたことを特徴とする導電性組成物

請求項15

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩を構成するアルキルアミンのアルキル基が、炭素数1〜12である請求項14に記載の導電性組成物。

請求項16

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のイミダゾール塩を構成するイミダゾールは、その2位または4位が、炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基で置換されている請求項14または15に記載の導電性組成物。

請求項17

過硫酸有機塩が、過硫酸アンモニウムである請求項14〜16のいずれかに記載の導電性組成物。

請求項18

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種と過硫酸有機塩との混合物からなる酸化剤兼ドーパントの存在下で、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合させて導電性組成物を製造することを特徴とする導電性組成物の製造方法。

請求項19

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種と過硫酸有機塩との混合物からなる酸化剤兼ドーパントを溶液状にし、その酸化剤兼ドーパントの溶液の存在下で、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合させて導電性組成物を製造することを特徴とする導電性組成物の製造方法。

請求項20

酸化剤兼ドーパントの溶液の濃度が、25質量%以上である請求項19に記載の導電性組成物の製造方法。

請求項21

酸化剤兼ドーパントの溶液の濃度が30質量%以上で、かつpHが1以上である請求項19に記載の導電性組成物の製造方法。

請求項22

酸化剤兼ドーパントの溶液のpHが4以上である請求項21に記載の導電性組成物の製造方法。

請求項23

酸化剤兼ドーパントの溶液の濃度が、55質量%以上である請求項21または22に記載の導電性組成物の製造方法。

請求項24

酸化剤兼ドーパントの溶液に乳化剤を添加している請求項19〜23のいずれかに記載の導電性組成物の製造方法。

請求項25

上記乳化剤は、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキルアミンオキサイドである請求項24に記載の導電性組成物の製造方法。

請求項26

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種と過硫酸有機塩との混合物を酸化剤兼ドーパントとして、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合させて得られた導電性組成物を固体電解質として構成したことを特徴とする固体電解コンデンサ

請求項27

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩を構成するアルキルアミンのアルキル基が、炭素数1〜12である請求項26に記載の固体電解コンデンサ。

請求項28

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のイミダゾール塩を構成するイミダゾールは、その2位または4位が、炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基で置換されている請求項26に記載の固体電解コンデンサ。

請求項29

過硫酸有機塩が、過硫酸アンモニウムである請求項26〜28のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。

請求項30

固体電解質として用いられている導電性高分子におけるドーパント構成モノマーとの比率モル比で1:0.1〜1:3である請求項26に記載の固体電解コンデンサ。

請求項31

OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種と過硫酸有機塩との混合物からなる酸化剤兼ドーパントの溶液の存在下で、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合させ、得られた導電性組成物を固体電解質として固体電解コンデンサを構成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。

請求項32

酸化剤兼ドーパントの溶液の濃度が25質量%以上である請求項31に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

請求項33

固体電解コンデンサがアルミニウム固体電解コンデンサであって、酸化剤兼ドーパントの溶液の濃度が30質量%以上で、かつpHが1以上である請求項31に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

請求項34

酸化剤兼ドーパントの溶液のpHが4以上である請求項33に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

請求項35

固体電解コンデンサがアルミニウム固体電解コンデンサであって、酸化剤兼ドーパントの溶液の濃度が55質量%以上である請求項33または34に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

請求項36

酸化剤兼ドーパントの溶液に乳化剤を添加している請求項31〜35のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。

請求項37

上記乳化剤が、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキルアミンオキサイドである請求項36に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

請求項38

コンデンサ素子をチオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーと酸化剤兼ドーパントの溶液とに交互に浸漬することを特徴とする請求項31〜37のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、導電性高分子用ドーパント溶液、そのドーパント酸化剤とを含む酸化剤兼ドーパント溶液、その酸化剤兼ドーパント溶液を用いて合成される導電性高分子を含む導電性組成物および上記導電性組成物を固体電解質として用いた固体電解コンデンサに関するものである。

背景技術

0002

導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、二酸化マンガンを固体電解質として用いた従来の固体電解コンデンサに比べて、ESR等価直列抵抗)が低く、信頼性が優れているなど、種々の特性が優れていることから、急速な勢いで市場が拡大している。
上記導電性高分子の製造は、一般に、化学酸化重合法で行われており、例えば、酸化剤兼ドーパントとしてパラトルエンスルホン酸鉄などの有機スルホン酸遷移金属塩を用い、チオフェンまたはその誘導体などのモノマー重合させることによって行われている(特開平10−50558号公報、特開2000−106331号公報)。
しかしながら、これらの方法は、大量生産に向いているものの、酸化剤として用いた遷移金属が導電性高分子内に残るという問題があった。そこで、遷移金属を取り除くため、洗浄工程を入れたとしても、遷移金属は完全に取り除きにくいという性質があり、遷移金属が導電性高分子中に残った場合の遷移金属の導電性高分子に与える影響や、それを固体電解質として用いた固体電解コンデンサへの影響を払拭し、導電性高分子の安定性や固体電解コンデンサの長期信頼性をより一層高めたいという要望があった。そのため、酸化剤として遷移金属塩以外のもの、例えば、過酸化物を酸化剤として用いることが提案されているが、チオフェンまたはその誘導体をモノマーとして用いた場合は、遷移金属塩に比べて反応効率が非常に悪かったり、得られた導電性高分子の導電率が非常に悪いという問題があった。

0003

本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、導電率が高い導電性組成物を提供し、導電性組成物を固体電解質として用いて長期信頼性の高い固体電解コンデンサを提供することを目的とし、また、上記導電率が高い導電性組成物を高反応効率で提供することができる酸化剤兼ドーパント溶液および上記酸化剤兼ドーパント溶液を構成するためのドーパント溶液を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸アルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種をドーパントとし、そのドーパントを構成する上記有機塩過硫酸有機塩との混合物を酸化剤兼ドーパントとして、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体などの複素環状構造のモノマーを重合させて導電性高分子を含む導電性組成物を得ること、およびその導電性組成物を固体電解質として用いて固体電解コンデンサを構成することによって、達成することができる。
すなわち、本発明は、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種が40質量%以上の濃度で溶解していることを特徴とする導電性高分子用ドーパント溶液に関するものである。
また、本発明は、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩と過硫酸有機塩との混合物である酸化剤兼ドーパントが溶解しており、かつOH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種:1モルに対して、過硫酸有機塩:0.3〜2.0モルであることを特徴とする導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液に関するものである。
さらに、本発明は、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種と過硫酸有機塩との混合物を酸化剤兼ドーパントとして、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合させて得られた導電性高分子を含むことを特徴とする導電性組成物に関するものである。
加えて、本発明は、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種と過硫酸有機塩との混合物を酸化剤兼ドーパントとして、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合させて得られた導電性高分子を含む導電性組成物を固体電解質として用いて構成したことを特徴とする固体電解コンデンサに関するものである。
本発明の導電性組成物は、その主成分が上記特定の酸化剤兼ドーパントの酸化剤部分の有する酸化作用により酸化重合し、そのドーパントを取り込んで導電性を有するようになったチオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体で構成されているが、本発明において、導電性高分子とせず、導電性組成物としているのは、上記酸化剤兼ドーパントが金属塩を含んでいないので、未反応分反応残渣が若干含まれていても、それらが上記ドーパントを取り込んで重合したチオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体に悪影響を及ぼすことなく、導電性高分子とほぼ同様の特性を有し、導電性高分子とほぼ同様の用途に使用できるので、精製してそれらの未反応分や反応残渣を除去することなく、それらを含んだままで構成されていてもよいという意味である。つまり、本発明の導電性組成物とは、その主成分となる導電性高分子(上記特定のドーパントを取り込んで重合したチオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体)のみで構成されているもののみならず、その導電性高分子と共に上記の未反応分や反応残渣を若干含んで構成されているものも含む概念である。
上記本発明の導電性組成物は、導電率が高く、貯蔵による導電率の低下が少ない。また、その導電性組成物を固体電解質として用いて構成した固体電解コンデンサは、貯蔵による特性低下が少なく、長期信頼性が高い。また、本発明の酸化剤兼ドーパント溶液によれば、高反応効率で、上記の導電性組成物を提供することができ、本発明のドーパント溶液によれば、上記酸化剤兼ドーパント溶液を構成することができる。
すなわち、本発明では、導電性組成物を得るにあたって、その酸化剤兼ドーパントとして特定の有機スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩と過硫酸有機塩との混合物を用いていて、酸化剤兼ドーパント中に導電性高分子の劣化加速させる原因となる金属塩を含まず、また、用いる酸化剤兼ドーパントの溶解度が高く、高濃度の酸化剤兼ドーパントの存在下でチオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合を行うことができるので、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを効率よく重合させることができ、したがって、反応効率が高く、かつ導電率が高い導電性組成物を提供することができる。また、その導電性組成物を固体電解質として用いることによって、従来より長期信頼性の高い固体電解コンデンサを提供することができる。
本発明の導電性組成物は、導電率が高く、かつ金属塩を含まないので、従来の導電性組成物に見られたような金属塩による急速な劣化が生じないことから、主として、固体電解コンデンサの固体電解質に用いられるが、それ以外にも、それらの特性を生かして、例えば、帯電防止シート帯電防止塗料帯電防止樹脂などの帯電防止剤耐腐食用塗料の耐腐食剤などに好適に用いることができる。

発明を実施するための最良の形態

0004

本発明の導電性高分子用ドーパント溶液は、本発明の導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液を構成するためのものであり、その成分として、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種を用いる。
OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸としては、例えば、フェノールスルホン酸フェノールジスルホン酸クレゾールスルホン酸カテコールスルホン酸、ドデシルフェノールスルホン酸、スルホサリチル酸ナフトールスルホン酸ナフトールジスルホン酸、ナフトールトリスルホン酸などが挙げられる。そして、そのベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩を構成するアルキルアミンとしては、炭素数1〜12のアルキル基を有するものが好ましく、その好適な具体例としては、例えば、メチルアミンエチルアミンプロピルアミンブチルアミンオクチルアミンドデシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンなどが挙げられる。
また、ベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のイミダゾール塩を構成するイミダゾールとしては、イミダゾールそのものやイミダゾール環上の水素原子の一部が、炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基置換されているものが好ましい。すなわち、本発明でいう「OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のイミダゾール塩」とは、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸とイミダゾールで構成される塩のみならず、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸とイミダゾール誘導体(例えば、上記の、イミダゾール環上の水素原子の一部がアルキル基やフェニル基で置換されたイミダゾール誘導体)で構成される塩も含む概念である。
なお、ベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のイミダゾール塩を構成するイミダゾールが、炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基で置換されている場合には、安価に製造でき生産性が良好な点で、イミダゾール環の2位または4位が置換されていることがより好ましい。
ベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のイミダゾール塩を構成するイミダゾールの好適な具体例としては、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−ウンデシルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールなどが挙げられ、特にイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールが好ましい。
上記ドーパント溶液の溶媒としては、通常、水でよいが、エタノールなどの水親和性有機溶媒を50体積%程度以下含んだ水性液でもよい。
OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種の、ドーパント溶液中の濃度としては、40質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましい。このような高濃度のドーパント溶液であれば、高反応効率で上記導電性が優れた導電性組成物を提供できる高濃度の酸化剤兼ドーパント溶液(この本発明の酸化剤兼ドーパント水溶液については、後に詳述する)を構成することができる。なお、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種の、ドーパント溶液中の濃度の上限は、例えば、90質量%であることが好ましい。
上記ドーパント溶液のpHは、1以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。アルミニウム固体電解コンデンサに用いる導電性組成物の生成の際には、酸化剤兼ドーパント溶液のpHを1以上にして、アルミニウム固体電解コンデンサに係るコンデンサ素子誘電体層の溶解を抑制することが好ましいが(詳しくは後述する)、ドーパント溶液のpHを1以上とすることで、アルミニウム固体電解コンデンサ用の導電性組成物の生成にも好適な酸化剤兼ドーパント溶液を容易に提供できるようになる。そして、このドーパント溶液のpHは、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。
また、上記ドーパント溶液には乳化剤を添加しておくことが好ましい。これは、乳化剤を添加しておくことによって、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合反応をより均一に進行させることができる酸化剤兼ドーパント溶液を構成できるからである。上記乳化剤としては、種々のものを用いることができるが、特にアルキルアミンオキサイドが好ましい。このアルキルアミンオキサイドは、たとえ導電性組成物中に残ったとしても、導電性組成物の導電率を大きく低下させたり、その導電性組成物を固体電解コンデンサの固体電解質として用いた場合に、該コンデンサの機能を著しく低下させるようなことはない。そして、上記アルキルアミンオキサイドにおけるアルキル基は炭素数が1〜20のものが好ましい。また、上記モノマーの重合反応が進行すると、それに伴って反応系のpHが低下するが、上記アルキルアミンオキサイドはそのようなpHの低下を抑制する作用も有している。
本発明の導電性高分子用酸化剤兼ドーパント溶液は、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩と過硫酸有機塩との混合物である酸化剤兼ドーパントが溶解しているものである。
上記酸化剤兼ドーパント溶液に係るOH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩や、溶媒は、上記ドーパント溶液と同じものが適用できる。
また、酸化剤兼ドーパント溶液に係る過硫酸有機塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム過硫酸アルキルアミン塩、過硫酸イミダゾール塩などが挙げられる。そして、そのアルキルアミン塩やイミダゾール塩に関しては、上記特定のベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩やイミダゾール塩に関して説明したものと同様のものが好ましい。
上記酸化剤兼ドーパント溶液におけるOH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩と過硫酸有機塩との混合比率としては、OH基およびスルホン酸基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩:1モルに対し、過硫酸有機塩:0.3モル以上、好ましくは0.4モル以上であって、2.0モル以下、好ましくは1.5モル以下である。過硫酸有機塩の混合比率が、上記比率より多い場合には、上記特定の有機スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩の比率が少なくなるため、ドーパントとして硫酸イオンが多くなってしまい、得られる導電性組成物の導電率が低くなって、耐熱性も悪くなる傾向がある。また、過硫酸有機塩の混合比率が、上記比率より少ない場合は、高分子が得られにくくなる傾向がある。
本発明において、酸化剤兼ドーパントとして用いる上記特定の有機スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩と過硫酸有機塩との混合物中の有機スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩は、主として、ドーパントとしての役割を果たし、過硫酸有機塩は、主として、酸化剤としての役割を果たしているが、それらにおける有機スルホン酸、過硫酸とも、有機塩を用いていて、金属塩を含まないので、従来の導電性高分子に見られたような金属塩による導電性高分子の劣化が少ない。そして、上記有機スルホン酸としてOH基を1つ以上有することを要件としているのは、OH基が重合反応を促進させ、かつ得られる導電性組成物の導電率の向上に寄与していると考えられるからである。その理由については、現在のところ必ずしも明確ではないが、OH基のプロトンが重合反応を速やかに進行させ、かつドーパントとしてポリマー中に取り込まれやすくするためではないかと考えられる。また、上記有機スルホン酸としてスルホン酸基を1つ以上有することを要件としているのは、導電性を付与するためのドーパントとして必須の要件であるからであり、また、上記ベンゼン骨格またはナフタレン骨格を有するものとしているのは、有機スルホン酸がベンゼン骨格やナフタレン骨格を有することによって、得られる導電性組成物の耐熱性を高めることができるからである。
本発明の酸化剤兼ドーパント溶液は、上記ベンゼン骨格スルホン酸としてフェノールスルホン酸を例に挙げ、アルキルアミンとしてブチルアミンを例に挙げ、過硫酸有機塩として過硫酸アンモニウムを例に挙げて説明すると、例えば、次のようにして得ることができる。まず、フェノールスルホン酸の水溶液にブチルアミンを添加し、pHを調整する。その後、遊離フェノールを除くため、蒸留するか、または活性炭濾過を行うことによって、フェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(すなわち、本発明の導電性高分子用ドーパント溶液)を得ることができる。そして、例えば、別途固形の過硫酸アンモニウムを水に溶解させた溶液と、上記フェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(本発明の導電性高分子用ドーパント溶液)とを混合することによって本発明の酸化剤兼ドーパント溶液を得ることができる。
本発明の導電性組成物は、モノマーとして、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを用いるが、そのチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンなどが挙げられ、ピロールの誘導体としては、例えば、3,4−アルキルピロール、3,4−アルコキシピロールなどが挙げられ、アニリンの誘導体としては、例えば、2−アルキルアニリン、2−アルコキシアニリンなどが挙げられる。そして、それらのアルキル基やアルコキシ基の炭素数としては1〜16が好ましい。
上記モノマーの重合にあたって、液状のものはそのまま使用できるが、重合反応をよりスムーズに進行させるには、上記モノマーを、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールブタノールアセトンアセトニトリルなどの有機溶媒で希釈して溶液(有機溶媒液)状にしておくことが好ましい。
上記モノマーの重合時の態様としては、導電性組成物の使用形態によっては異なる態様を採ることが好ましく、例えば、導電性組成物をフィルム状などに形成し、それを導電性組成物の応用機器に組み込む場合は、どのような態様を採用してもよいが、導電性組成物を固体電解コンデンサの固体電解質として用いる場合は、固体電解コンデンサの製造工程中で酸化剤兼ドーパントの溶液の存在下で上記モノマーを重合させることが好ましい。
上記モノマーの重合態様としては、例えば、(1)上記OH基およびスルホン基をそれぞれ1つ以上有するベンゼン骨格スルホン酸またはナフタレン骨格スルホン酸のアルキルアミン塩もしくはイミダゾール塩から選ばれる少なくとも1種と過硫酸有機塩との混合物からなる酸化剤兼ドーパントの溶液を乾燥し、それに上記モノマーあるいはその有機溶媒液を接触させて上記モノマーを重合させる方法、(2)上記酸化剤兼ドーパント溶液と上記モノマーあるいはその溶液とを混合して上記モノマーを重合させる方法、(3)上記モノマーあるいはその有機溶媒液を先にコンデンサ素子の微細な孔に染み込ませた後、そのコンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬して、上記モノマーを重合させる方法、あるいはその逆にコンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液に浸漬してコンデンサ素子の微細な孔に染み込ませた後、そのコンデンサ素子を上記モノマーあるいはその有機溶媒液に浸漬して、上記モノマーを重合させる方法、などが挙げられる。さらに、コンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液と上記モノマーあるいはその有機溶媒液に交互に浸漬して、上記モノマーを重合させてもよい。その際、コンデンサ素子を酸化剤兼ドーパント溶液、上記モノマーあるいはその有機溶媒液のいずれを先に浸漬してもよい。
次に、これら重合態様(1)〜(3)をより具体的に示す。
重合態様(1)
酸化剤兼ドーパント溶液をプレート上に垂らし、0〜50℃、さらに好ましくは10〜30℃の温度で、表面が乾燥するまで(10分間以上)放置する。上記モノマーを濃度が10〜100質量%、さらに好ましくは20〜40質量%になるよう有機溶媒で希釈した液(有機溶媒液)を滴下し、0〜50℃、さらに好ましくは10〜30℃の温度で、表面が乾燥するまで(5分間以上)放置した後、あるいは上記モノマーの有機溶媒液を滴下直後に、0〜120℃、さらに好ましくは30〜70℃の温度で、プレート表面の色が完全に黒く変色するまで(10分から1日、さらに好ましくは10分〜2時間)上記モノマーの重合を行う。
重合態様(2)
乳化剤としてアルキルアミンオキサイドを用い(具体的には、例えば35質量%ジメチルラウリルアミンオキサイド水溶液を用いる)、この乳化剤を酸化剤兼ドーパント溶液に対して、質量比で、酸化剤兼ドーパント溶液:乳化剤=100:20〜100:0.01、好ましくは100:10〜10:0.05の割合で混合し、その溶液に対し、質量基準で、2〜50%、さらに好ましくは10〜30%のチオフェンまたはその誘導体を混ぜ合わせる。30秒〜30分間、さらに好ましくは5分〜20分間混合した後、その混合液にコンデンサ素子を浸漬する。10秒〜300秒後、さらに好ましくは30秒〜120秒後にコンデンサ素子を液中から引き出し、0〜50℃、さらに好ましくは10〜30℃の温度で、30分〜180分放置した後、または引き出した直後に、50℃〜200℃の温度で、10分〜1日間放置して上記モノマーの重合を行う。
重合態様(3)
上記モノマーを濃度が5〜100質量%、さらに好ましくは10〜40質量%になるよう有機溶媒で希釈した液(有機溶媒液)にタンタル焼結体を浸漬し、10秒〜300秒、さらに好ましくは20秒〜120秒後にタンタル焼結体を上記モノマーの溶液(上記モノマーの有機溶媒液)中から取り出し、10〜60℃、さらに好ましくは10〜30℃の温度で溶媒がある程度蒸発するまで、1分〜60分、さらに好ましくは1分〜10分放置する。その後、あらかじめ用意しておいた酸化剤兼ドーパント溶液と乳化剤としての20%ドデシルアミンオキサイド溶液とを質量比で100:10〜100:0.01、さらに好ましくは100:5〜100:0.1で混合した混合液に上記タンタル焼結体を浸漬し、10秒〜300秒、さらに好ましくは10秒〜60秒後に上記タンタル焼結体を上記混合液中から取り出し、0〜50℃、さらに好ましくは10〜30℃の温度で、表面が乾燥するまで(5分間以上)放置した後、あるいは上記モノマーの有機溶媒液を滴下直後に、0〜120℃、さらに好ましくは30〜70℃の温度で、10分から1日、さらに好ましくは10分〜2時間放置して上記モノマーの重合を行う。
本発明の酸化剤兼ドーパント溶液を用いて得られる上記本発明の導電性組成物は、例えば、タンタル固体電解コンデンサニオブ固体電解コンデンサ、アルミニウム固体電解コンデンサなどの固体電解コンデンサの固体電解質として好適に用いられるが、本発明の導電性組成物を固体電解コンデンサの固体電解質として用いる場合、前記のように、固体電解コンデンサの製造工程中で上記モノマーの重合を行うことが好ましい。その際、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度は、導電性組成物の生成効率、つまり、上記モノマーの重合時の反応効率に影響を及ぼし、ひいては固体電解コンデンサの製造効率や特性などに影響を及ぼす。よって、酸化剤兼ドーパント溶液中の酸化剤兼ドーパント濃度としては、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、55質量%以上にすることがさらに好ましく、また、いずれの場合も、濃度を80質量%以下にすることが好ましい。
すなわち、酸化剤兼ドーパントの濃度が25質量%より低い場合は、上記モノマーの重合反応が進行しにくく、反応効率が非常に悪くなるが、25質量%以上では、重合反応が進行しやすくなり、30質量%以上、より好ましくは40質量%以上になると、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデンサ、アルミニウム固体電解コンデンサなどの製造効率や特性面のいずれも満足すべき結果が得られるようになり、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度を55質量%以上にすると、ESRが低く、かつ静電容量が高いなど、特性面でもより満足すべきコンデンサが得られるようになる。ただし、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度が80質量%より高くなると、かえって特性が低下する傾向がある。本発明の酸化剤兼ドーパント溶液は、上記のような高濃度にすることができ、それが導電性組成物の生成効率、ひいては固体電解コンデンサの製造効率や特性を向上させることになる。
また、酸化剤兼ドーパント溶液のpHも、特にアルミニウム固体電解コンデンサに関しては、重要であり、pHが1未満では、誘電体層が溶解されて、優れた特性が出なくなるおそれがあるので、酸化剤兼ドーパント溶液のpHは、1以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。ただし、タンタル固体電解コンデンサやニオブ固体電解コンデンサなどは、誘電体層の耐酸性が強いため、pHが1未満でもさしつかえない。ちなみに、これまでの固体電解コンデンサの製造にあたって用いられてきた有機スルホン酸鉄塩の場合、pHは0.5程度であり、アルミニウム固体電解コンデンサの製造に際しては必ずしも適していない。
上記モノマーの重合反応が進むにつれて、反応系のpHは低くなるが、酸化剤兼ドーパント溶液に、ドーパント溶液の乳化剤として上述したアルキルアミンオキサイドを添加している場合(例えば、この乳化剤を含有するドーパント溶液を用いて酸化剤兼ドーパント溶液を構成した場合)、このアルキルアミンオキサイドがpHの低下を抑制する作用があり、反応を均一に進行させるという作用に加えて、この面でも効果がある。
以上、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度に関して、特に固体電解コンデンサを製造する場合について説明してきたが、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度は、導電性組成物を製造する場合も重要であり、その酸化剤兼ドーパント溶液中の酸化剤兼ドーパント濃度としては、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、55質量%以上がさらに好ましく、また、80質量%以下が好ましい。そして、固体電解コンデンサの製造に際しても、これまで説明してきたように、酸化剤兼ドーパント溶液の存在下で上記モノマーを重合させる場合だけでなく、酸化剤兼ドーパント溶液を一旦乾燥して、それに上記モノマーを接触させて、上記モノマーを重合させてもよい。また、このように、一旦乾燥して上記モノマーに接触させる場合にも、酸化剤兼ドーパント溶液の濃度は高いほど好ましく、その濃度としては、前記同様に25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、55質量%以上がさらに好ましく、また、80質量%以下が好ましい。
なお、本発明の固体電解コンデンサは、上記本発明の導電性組成物を固体電解質として有していればよく、その他の構成については、従来公知の固体電解コンデンサで採用されている構成と同様のものが採用できる。
本発明の固体電解コンデンサにおいては、固体電解質として使用されている導電性高分子のドーパントと構成モノマー(チオフェンまたは誘導体、ピロールまたはその誘導体およびアニリンまたはその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマー)との比率をモル比で1:1〜1:3の範囲にすることができる。
Systhetic Metals,101,561−564(1999),K.E.Aasmundtveutによれば、パラトルエンスルホン酸第2鉄(III)を酸化剤兼ドーパントとして用いて3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合させ、洗浄、乾燥して得られた導電性高分子を分析すると、ドーパントであるパラトルエンスルホン酸のS(硫黄)と構成モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンのS(硫黄)の比率は、それらの仕込み比にかかわらず、モル比で1:4になると報じられている。すなわち、ドーパント:構成モノマーの比率がモル比で1:4である。
これに対して、本発明の固体電解コンデンサにおいては、例えば、後記の実施例13〜15に示すように、ドーパントのS(硫黄)と構成モノマーのS(硫黄)との比率をモル比で1:1〜1:3の範囲内におさめることができる。そして、この構成モノマーに対するドーパントの比率を高くすることができることも、得られる導電性高分子の導電率を向上させることに寄与しているものと考えられる。つまり、本発明の酸化剤兼ドーパントを用いた場合、パラトルエンスルホン酸第2鉄(III)を酸化剤兼ドーパントとして用いた場合に比べて、得られる導電性高分子のドーパントのモノマーに対する比率を高くすることができ、これが得られる導電性高分子の導電率を高くさせることに寄与しているものと考えられる。

0005

つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例などにおいて、溶液、希釈液、分散液などの濃度を示す%は、特にその単位を付記しないかぎり、質量%である。
〔導電性組成物での評価〕
実施例1
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)3.58mlと濃度が45%の過硫酸アンモニウム水溶液3.58mlを密栓付きバイアルに入れ、混合した後、その混合液のうちの150μlを3cm×4cmのセラミックプレート上に滴下し、室温下30分間放置した。次いで、その上に、濃度が25%の3,4−エチレンジオキシチオフェン溶液エタノール溶媒液)を100μl滴下し、5分間室温で放置した後、70℃で30分間重合反応を行った。セラミックプレート上に形成されたポリエチレンジオキシチオフェンを大過剰の水で洗浄した後、50℃で1時間、150℃で1時間加熱して乾燥した。なお、フェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液と過硫酸アンモニウム水溶液の混合液中の比率は、フェノールスルホン酸ブチルアミン1モルに対し、過硫酸アンモニウム0.65モルであった。
実施例2
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が45%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、フェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液と過硫酸アンモニウム水溶液の混合液中の比率は、フェノールスルホン酸ブチルアミン1モルに対し、過硫酸アンモニウム1.4モルであった。
実施例3
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が75%のクレゾールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、クレゾールスルホン酸ブチルアミン水溶液と過硫酸アンモニウム水溶液の混合液中の比率は、クレゾールスルホン酸ブチルアミン1モルに対し、過硫酸アンモニウム0.69モルであった。
実施例4
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が75%のフェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール水溶液と過硫酸アンモニウム水溶液の混合液中の比率は、フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール1モルに対し、過硫酸アンモニウム0.67モルであった。
実施例5
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が75%のフェノールスルホン酸4−メチルイミダゾール水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、フェノールスルホン酸4−メチルイミダゾール水溶液と過硫酸アンモニウム水溶液の混合液中の比率は、フェノールスルホン酸4−メチルイミダゾール1モルに対し、過硫酸アンモニウム0.67モルであった。
実施例6
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が75%のフェノールスルホン酸メチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、フェノールスルホン酸メチルアミン水溶液と過硫酸アンモニウム水溶液の混合液中の比率は、フェノールスルホン酸メチルアミン1モルに対し、過硫酸アンモニウム0.54モルであった。
比較例1
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が75%のスルホフタル酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
比較例2
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が45%のパラトルエンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
比較例3
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が60%のメトキシベンゼンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
比較例4
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が60%のエチルベンゼンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
比較例5
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が45%のブチルナフタレンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
比較例6
フェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液と過硫酸アンモニウム水溶液との混合物からなる酸化剤兼ドーパント溶液7.16mlに代えて、濃度が40%のパラトルエンスルホン酸第2鉄溶液(ブタノール溶液)7.16mlを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
上記のように実施例1〜6および比較例1〜6でセラミックプレート上に形成したポリエチレンジオキシチオフェン膜に、1.5トン(t)の荷重をかけたまま5分間静置し、膜厚を均等にした後、それらのポリエチレンジオキシチオフェンの表面抵抗を室温(約25℃)下でJIS K 7194に準じて4探針方式の電導度測定器〔三菱化学MCP−T600(商品名)〕により測定した。その結果を表1に示す。なお、測定は、各試料とも、5点ずつについて行い、表1に示す数値はその5点の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。ただし、比較例1の場合は膜の形成ができなかったので、表面抵抗の測定ができなかった。
また、上記表面抵抗を測定後の実施例1〜6および比較例2〜6のポリエチレンジオキシチオフェン膜をそのセラミックプレートと共に150℃の恒温槽中に静置し、100時間貯蔵後に上記プレートを取り出し、そのポリエチレンジオキシチオフェン膜の表面抵抗を前記と同様に測定し、その測定結果に基づき貯蔵による表面抵抗の増加率を調べた。その結果も表1に示す。なお、この表面抵抗の増加率は、貯蔵後の表面抵抗値初期表面抵抗値(すなわち、貯蔵前の表面抵抗値)で割りパーセント(%)で示したものである。その表面抵抗の増加率を算出するための式は次の通りである。




表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜6は、比較例2〜5に比べて、初期表面抵抗が小さく、導電率が高いことを示していた。また、実施例1〜6は、比較例6に比べて、貯蔵による表面抵抗の増加率が少なく、貯蔵による導電率の低下が少ないことを示していた。なお、実施例1〜6では、表面が緻密な(綺麗な)ポリエチレンジオキシチオフェン膜が形成されていたが、比較例1〜5では、表面がまばらな膜しか形成できなかった。これは、実施例1〜6で用いた酸化剤兼ドーパントが、比較例1〜5で用いた酸化剤兼ドーパントより、ポリエチレンジオキシチオフェンを生成させる反応効率が高いことによるものと考えられる。なお、比較例6でも、膜の形態こそ実施例1〜6の場合と同様に緻密な膜が形成されていたが、前記のように、比較例6は、貯蔵による表面抵抗の増加率が高く、実施例1〜6に比べて、実用性欠けていた。
次に、アルミニウム固体電解コンデンサでの評価を示す。
実施例7
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行って誘電体層を形成した陽極リード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して、コンデンサ素子を作製した。
次に、濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)3.58mlと濃度が45%の過硫酸アンモニウム水溶液3.58mlと濃度が35%ジメチルラウリルアミンオキサイド水溶液0.26mlと3,4−エチレンジオキシチオフェン2mlとを密栓付きバイアルに入れて、混合した。10分間混合した後、その中に素早くコンデンサ素子を浸漬した。1分後に引き出し、室温で1時間重合を行い、その後、40℃で20分間、70℃で30分間、130℃で1時間、180℃で20分間加熱して重合を完結させた後、アルミニウム外装ケースに入れ、封止した。その後、130℃で25Vの定格電圧をかけながらエージングを行って、アルミニウム固体電解コンデンサを作製した。なお、上記の重合に用いた混合液中のフェノールスルホン酸ブチルアミンと過硫酸アンモニウムの比率は、フェノールスルホン酸ブチルアミン1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.65モルであった。
実施例8
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が75%フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。なお、重合に用いた混合液中のフェノールスルホン酸2−メチルイミダゾールと過硫酸アンモニウムの比率は、フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.67モルであった。
実施例9
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液3.58mlに代えて、濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)2.58mlと濃度が75%の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン水溶液(pH5)1mlを用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。なお、重合に用いた混合液中のフェノールスルホン酸ブチルアミンと過硫酸アンモニウムの比率は、フェノールスルホン酸ブチルアミン1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.80モルであった。
実施例10
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が75%のクレゾールスルホン酸2−メチルイミダゾール水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。なお、重合に用いた混合液中のクレゾールスルホン酸2−メチルイミダゾールと過硫酸アンモニウムの比率は、クレゾールスルホン酸2−メチルイミダゾール1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.69モルであった。
実施例11
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が75%のフェノールスルホン酸4−メチルイミダゾール水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。なお、重合に用いた混合液中のフェノールスルホン酸4−メチルイミダゾールと過硫酸アンモニウムの比率は、フェノールスルホン酸4−メチルイミダゾール1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.67モルであった。
実施例12
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が75%のフェノールスルホン酸メチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。なお、重合に用いた混合液中のフェノールスルホン酸メチルアミンと過硫酸アンモニウムの比率は、フェノールスルホン酸メチルアミン1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.54モルであった。
比較例7
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が75%のスルホフタル酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。
比較例8
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が65%のメトキシベンゼンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。
比較例9
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が45%のパラトルエンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。
比較例10
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が60%のナフタレンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。
比較例11
濃度が75%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液に代えて、濃度が75%のナフタレンスルホン酸水溶液を用いた以外は、すべて実施例7と同様の操作を行った。
比較例12
濃度が40%のパラトルエンスルホン酸第2鉄溶液(ブタノール溶液)と3,4−エチレンジオキシチオフェンとの質量比4:1で混合し、10秒間激しく振った後、素早くアルミニウム固体電解コンデンサ素子含浸させた以外は、実施例7と同様の操作を行った。
比較例13
3,4−エチレンジオキシチオフェン以外のすべての試薬の濃度を2倍希釈した溶液を用いて室温で1時間重合を行うところまで、実施例7と同様の操作を行った。さらにもう1度この操作を繰り返した後、40℃で20分、70℃で30分、130℃で1時間、180℃で20分加熱重合して重合を完結させた後、実施例7と同様の操作でアルミニウム固体電解コンデンサを作製した。
比較例14
3,4−エチレンジオキシチオフェンを1mlにした以外は、比較例13と同様の操作を行った。
上記のようにして作製した実施例7〜12および比較例7〜14のアルミニウム固体電解コンデンサについて、その静電容量、ESR(等価直列抵抗)および漏れ電流を測定し、また、漏れ電流不良の発生の有無を調べた。その結果を表2に示す。なお、静電容量、ESRおよび漏れ電流の測定方法や漏れ電流不良の発生の有無の試験方法は次に示す通りである。
静電容量:
HELETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃、120Hzで静電容量を測定した。
ESR:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃、100kHzでESRを測定した。
漏れ電流:
アルミニウム固体電解コンデンサに、25℃で25Vの定格電圧を60秒間印加した後、デジタルオシロスコープにて漏れ電流を測定した。
漏れ電流不良の発生:
上記漏れ電流の場合と同様に漏れ電流を測定し、漏れ電流が83μA以上のものは漏れ電流不良が発生していると判断した。
なお、測定は、各試料とも、30個ずつについて行い、静電容量、ESRおよび漏れ電流に関して表2に示す数値は、その30個の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。また、この漏れ電流不良の発生の有無を調べた結果の表2への表示にあたっては、試験に供した全コンデンサ個数分母に示し、漏れ電流不良の発生があったコンデンサ個数を分子に示す態様で表示する。ただし、漏れ電流値に関しては、漏れ電流不良が発生しなかったものについての平均値である。



表2に示すように、実施例7〜12のアルミニウム固体電解コンデンサは、比較例7〜11、13、14のアルミニウム固体電解コンデンサに比べて、静電容量が大きく、かつESRが小さく、また、比較例12のアルミニウム固体電解コンデンサに比べて、漏れ電流が少なく、漏れ電流不良の発生が少なかった。
また、表2に示す結果から明らかなように、比較例7〜11、13、14のアルミニウム固体電解コンデンサは、静電容量が小さく、かつ、ESRが大きすぎ、コンデンサとして使用するのに必要な特性を有していなかった。また、比較例12のコンデンサは、静電容量やESRを見るかぎりでは、実施例7〜12のアルミニウム固体電解コンデンサと同等の特性を有するものの、漏れ電流不良の発生が多く、また、漏れ電流不良が発生しなかったものでも、漏れ電流が実施例7〜12のアルミニウム固体電解コンデンサに比べて大きく、実用性に欠けていた。
つぎに、上記実施例7〜10および比較例12のアルミニウム固体電解コンデンサ中からそれぞれ無作為に選んだ20個ずつのコンデンサを105℃で、1000時間貯蔵後に前記と同様に静電容量、ESR、漏れ電流を測定し、かつ漏れ電流不良の発生の有無を調べた。その結果を表3に示す。なお、表3に示す静電容量、ESRおよび漏れ電流の値は、それぞれ20個の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。



表2に示す結果と表3に示す結果との対比から明らかなように、実施例7〜10のアルミニウム固体電解コンデンサは、貯蔵による静電容量の低下やESRの増加が少なく、漏れ電流の増加も少なく、漏れ電流不良の発生もなく、貯蔵による特性の低下が少なく、長期信頼性が高いことを示していた。これに対して、比較例12のアルミニウム固体電解コンデンサは、貯蔵によるESRや漏れ電流の増加が実施例7〜10のアルミニウム固体電解コンデンサに比べて大きく、また、漏れ電流不良の発生も認められ、長期信頼性に欠けることを示していた。
つぎに、タンタル固体電解コンデンサでの評価について示す。
〔タンタル固体電解コンデンサでの評価〕
実施例13
タンタル焼結体を、濃度が0.1%のリン酸水溶液に浸漬した状態で、20Vの電圧を印加することによって化成処理を行い、タンタル焼結体の表面に誘電体被膜を形成した。次に、濃度が35%の3,4−エチレンジオキシチオフェン溶液(エタノール溶液)にタンタル焼結体を浸漬し、1分後に取り出し、5分間放置した。その後、あらかじめ用意しておいた濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)と濃度が30%の過硫酸アンモニウム水溶液と濃度が20%のドデシルアミンオキサイド水溶液を200:200:1の質量比で混合した混合物からなる乳化剤入りの酸化剤兼ドーパント溶液中に浸漬し、30秒間後に取り出し、室温で10分間放置した後、70℃で10分間加熱して、重合を行った。その後、純水中に上記タンタル焼結体を浸漬し、30分間放置した後、取り出して70℃で30分間乾燥させた。この操作を10回繰り返した後、カーボンペースト銀ペーストポリエチレンジオキシチオフェン層を覆ってタンタル固体電解コンデンサを作製した。なお、酸化剤兼ドーパント溶液中のフェノールスルホン酸ブチルアミンと過硫酸アンモニウムとの比率は、フェノールスルホン酸ブチルアミン1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.65モルであった。
実施例14
濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が50%のフェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール水溶液(pH5)を用いた以外は、すべて実施例13と同様の操作を行った。なお、酸化剤兼ドーパント溶液中のフェノールスルホン酸2−メチルイミダゾールと過硫酸アンモニウムとの比率は、フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.67モルであった。
実施例15
濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が50%のフェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール水溶液(pH5)と濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)とを質量比7:3で混合した混合水溶液を用いた以外は、すべて実施例13と同様の操作を行った。なお、酸化剤兼ドーパント溶液中のフェノールスルホン酸2−メチルイミダゾールおよびフェノールスルホン酸ブチルアミンと過硫酸アンモニウムとの比率は、フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾールとフェノールスルホン酸ブチルアミンの合計1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.67モルであった。
実施例16
濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が70%のフェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール水溶液(pH5)を用い、濃度が30%の過硫酸アンモニウム水溶液に代えて、濃度が45%の過硫酸アンモニウム水溶液を用い、繰り返し回数を10回から8回に代えた以外は、実施例13と同様の操作を行った。なお、酸化剤兼ドーパント溶液中のフェノールスルホン酸2−メチルイミダゾールと過硫酸アンモニウムとの比率は、フェノールスルホン酸2−メチルイミダゾール1モルに対して、過硫酸アンモニウム0.67モルであった。
比較例15
濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が50%のスルホフタル酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用い、重合回数を18回とした以外は、実施例13と同様の操作を行った。
比較例16
濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が50%のメトキシベンゼンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用い、重合回数を18回とした以外は、実施例13と同様の操作を行った。
比較例17
濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)に代えて、濃度が45%のパラトルエンスルホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)を用い、重合回数を18回とした以外は、実施例13と同様の操作を行った。
比較例18
実施例13における酸化剤兼ドーパント溶液に代えて、濃度が35%のパラトルエンスルホン酸第2鉄溶液(エタノール溶液)を用いた以外は、実施例13と同様の操作を行った。
上記のようにして作製した実施例13〜16および比較例15〜18のタンタル固体電解コンデンサについて、前記実施例7と同様に静電容量およびESRを測定した。その結果を表4に示す。なお、測定は、各試料とも、20個ずつについて行い、表4に示す数値は、その20個の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。



表4に示すように、実施例13〜16のタンタル固体電解コンデンサは、比較例15〜17のタンタル固体電解コンデンサに比べて、静電容量が大きく、かつESRが小さく、タンタル固体電解コンデンサとして優れた特性を有していた。これに対して、比較例15〜17のタンタル固体電解コンデンサは、実施例13〜16のタンタル固体電解コンデンサに比べて、特にESRが大きく、コンデンサとしての適性を欠いていた。なお、比較例18のタンタル固体電解コンデンサは、静電容量やESRの測定結果を見る限りでは、実施例13〜16のタンタル固体電解コンデンサに比べて遜色はないものの、次に示すように、高温で貯蔵した場合のESRの増加が大きく、貯蔵特性に問題点を有していた。また、比較例15〜17では、用いた酸化剤兼ドーパントの反応効率が悪いため、重合を18回も繰り返さなければならなかった。
つぎに、上記実施例13〜15および比較例18のタンタル固体電解コンデンサからそれぞれ無作為に選んだ20個ずつのタンタル固体電解コンデンサを125℃で200時間貯蔵した後、前記と同様に静電容量およびESRを測定した。その結果を表5に示す。なお、表5に示す数値は、それぞれ20個の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。



表4に示す結果と表5に示す結果との対比から明らかなように、実施例13〜15のタンタル固体電解コンデンサは、高温での貯蔵による静電容量の低下やESRの増加が少なく、貯蔵による特性の低下が少なく、長期信頼性が高いことを示していた。これに対して、比較例18のタンタル固体電解コンデンサは、特に貯蔵によるESRの増加が大きく、貯蔵特性に問題点を有し、長期信頼性に欠けることを示していた。
つぎに、上記実施例13〜15のタンタル固体電解コンデンサを分解し、固体電解質として使用されている導電性高分子(ドーパントを取り込んで重合して導電性を有するようになった3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合体)層がむき出しになった状態のコンデンサ素子をそれぞれESCA(光電子分光法)でドーパントのS(硫黄)と構成モノマーの3,4−エチレンジオキシチオフェンのS(硫黄)とを測定した。測定はそれぞれのコンデンサについて5個ずつ行い、その平均値を算出し、ドーパントのSとモノマーのSとのモル比率を求めた。その結果を表6に示す。



前記のように、Systhetic Metals,101,561−564(1999),K.E.Aasmundtveutによれば、パラトルエンスルホン酸第2鉄(III)を酸化剤兼ドーパントとして用いて3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合させ、洗浄、乾燥して得られた導電性高分子を分析すると、ドーパントであるパラトルエンスルホン酸のS(硫黄)と構成モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンのS(硫黄)との比率は、両者の仕込比のいかんにかかわらず、モル比で1:4であると報じられている。つまり、ドーパント:モノマーの比率がモル比で1:4である。
これに対して、本発明の実施例13〜15により得られたコンデンサの導電性高分子におけるドーパントと構成モノマーとの比率は、表6に示すように、モル比で1.0:1.2〜1.0:2.3の範囲にあり、本発明の酸化剤兼ドーパントを用いた方が、パラトルエンスルホン酸第2鉄と酸化剤兼ドーパントとして用いた場合より、モノマーに対するドーパントのモル比率が高くなっている。なお、上記実施例13〜15のタンタル固体電解コンデンサの導電性高分子におけるドーパントは、アンモニア水溶液脱ドープした後、LC−MS(液体クロマトグラフィーマススペクトル、商品名JMS−T100LC、日本電子社製)で測定したところ、硫酸とフェノールスルホン酸が検出された。

0006

以上説明したように、本発明によれば、導電率が高い導電性組成物を提供することができる。また、その導電性組成物を固体電解質として用いて長期信頼性の高い固体電解コンデンサを提供することができる。また、本発明の酸化剤兼ドーパント溶液によれば、上記本発明の導電性組成物を高反応効率で提供することができ、本発明のドーパント溶液によれば、上記本発明の酸化剤兼ドーパント溶液を構成することができる。

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