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技術 過敏性腸症候群の治療薬

出願人 アステラス製薬株式会社
発明者 阿久沢忍伊東洋行渡辺俊博山田弘美
出願日 2006年2月7日 (15年4ヶ月経過) 出願番号 2007-502598
公開日 2008年6月26日 (12年11ヶ月経過) 公開番号 WO2006-085510
状態 特許登録済
技術分野 有機低分子化合物及びその製造 テトラゾ-ル系化合物 第4族元素を含む化合物及びその製造 1,3-ジアゾール系化合物 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 フラン系化合物 ピラン系化合物 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 非環式または炭素環式化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性 2個以上の酸素原子を含む複素環式化合物 トリアゾール系化合物 チアゾール系化合物 硫黄原子を含む複素環式化合物
主要キーワード 含酸素飽和 セロトニン量 治療用組合せ エルゴリン誘導体 排便量 ストレス負荷後 拘束ケージ 液体シンチレータ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題・解決手段

本発明は、5-HT2B及び5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する、5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とするIBS治療薬に関する。 本発明の医薬組成物は、5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗剤、又は5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物を、各々単独で用いた場合と比較して良好な薬理作用を示したことから、IBSの治療効果に優れ、かつ、既存のIBSの治療薬に見られる副作用を低減させた薬剤として有用である。

概要

背景

過敏性腸症候群(以下、IBSと略す)は、大腸小腸運動分泌が過剰になり、便通異常(下痢便秘)と腹痛、腹満感などの症状を慢性的に繰り返す疾患である。IBSはその症状により下痢型、便秘型、下痢と便秘の交替型に分類される。これらの症状に対して十分な効果と安全性を有する薬剤の開発が望まれており、研究が進められている。
その中で、5-HTセロトニン)の調節薬がIBSの治療薬として注目されている。 5-HTはモノアミン神経伝達物質であり、5-HT受容体を介して様々な生理的作用発現する。IBSの病態と血中のセロトニン量との間に因果関係があることが指摘されている。例えば、下痢型IBSの患者では食後の血中5-HT濃度の上昇が起こり、これが病態に深く関わることを指摘した文献がある(Gut (1998) 42, 42-46)。日本では臨床段階であるが、欧米では既にセロトニン受容体拮抗薬あるいはセロトニン受容体作動薬が使われている。下痢型の治療薬としては、アロセトロン(5-HT3受容体拮抗薬)が臨床に用いられている。しかしながら、当該化合物には虚血性大腸炎や便秘等の副作用報告されている。また、便秘型の治療薬としては、欧米ではテガセロッド(5-HT4受容体作動薬)が臨床で用いられているが、副作用も報告されている(Am. J. Gastroenterology (2000) 95, 2698-2709、Am. J. Gastroenterology (2003) 98, 750-758)。
近年、他の5-HT受容体サブタイプ薬理学的研究も進められている(Drugs, (2001) 61(3), 317-332)。5-HT受容体は5-HT1から5-HT7の7つのファミリーに分類され、さらに、5-HT2受容体は5-HT2A、5-HT2B及び5-HT2Cの三種類のサブタイプが知られている(Pharmacol. Rev. (1994) 46, 157-203)。5-HT2B受容体及び5-HT7受容体に関しては、当該受容体と消化管での役割について指摘した文献がある。例えば、5-HT2B受容体はヒト回腸縦走筋局在し、5-HT2B受容体拮抗化合物は5-HTによる収縮を抑制する (Br. J. Pharmacol. (1995) 114, 1525-1527)、ヒト結腸に局在する5-HT2B受容体は電気刺激時5-HT誘発収縮に関与し、5-HT2B受容体拮抗化合物が抑制する (Br. J. Pharmacol. (2002) 135 1144-1151)との報告がある。
また、5-HT7受容体はモルモット小腸(Eur. J. Pharmacol. (1995)280, 243-250)およびラット小腸に存在し (Life Science (2001) 69, 2467-2475)、モルモット回腸の蠕動運動に関与する(Br. J. Pharmacol. (2003) 138, 1210-1214 )との報告がある。

電気刺激によるヒト腸管組織の収縮を5-HT2B選択的拮抗化合物が抑制したことが報告されている(特許文献1)。当該文献には、5-HT2B拮抗化合物がIBSに有用であるとの記載がある。セロトニン刺激によるラット腸管組織の収縮を5-HT2B選択的拮抗化合物が抑制したとの報告がある(特許文献2)。当該文献には、5-HT2B拮抗化合物が機能的腸障害治療に有用であるとの記載がある。
一方、5-HT7選択的拮抗化合物が5-HTP誘発マウス排便モデル、及びマウス酢酸ライジングモデルにおいて効果を示したことが報告されている(特許文献3)。当該文献には、5-HT7拮抗化合物が下痢型過敏性腸症候群の治療及び予防に有用であるとの記載がある。
以上のような報告はあるが、現段階では、5-HT2B受容体拮抗化合物又は5-HT7受容体拮抗化合物として臨床で効果が確認されたものはない。
また、5-HT2B受容体選択的な拮抗化合物及び5-HT7受容体選択的な拮抗化合物を併用して、あるいは両作用を併有する化合物を用いて、尿失禁を治療する方法に係る特許が公開されている(特許文献4)。
しかしながら、5-HT2B受容体選択的拮抗化合物と5-HT7選択的拮抗化合物とを組み合わせて、あるいは両作用を併有する化合物を用いて、IBS治療に適用することを開示する報告はない。
5-HT6受容体及び/又は5-HT7受容体のリガンドとして有用な5-ハロトリプタミン誘導体に係る特許出願が公開されており、当該公報の20頁には、5-HT2B、5-HT6及び5-HT7の3受容体に親和性を有する化合物が開示されている(特許文献5)。当該公報には、当該化合物の適応症としてセロトニンの受容体の関与する様々な疾患が挙げられており、その中に過敏性腸疾患との記載がある。しかしながら、当該公報には、過敏性腸疾患に有効であることを示す具体的な薬理学的データの開示は無い。

国際公開第02/056010号パンフレット
特表平9−510216号公報
国際公開第04/014428号パンフレット
米国特許第6440988号明細書
国際公開第03/000252号パンフレット

概要

本発明は、5-HT2B及び5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する、5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とするIBSの治療薬に関する。 本発明の医薬組成物は、5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗剤、又は5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物を、各々単独で用いた場合と比較して良好な薬理作用を示したことから、IBSの治療効果に優れ、かつ、既存のIBSの治療薬に見られる副作用を低減させた薬剤として有用である。

目的

本発明の課題は、IBSの優れた治療効果を有し、既存の薬剤にみられる副作用を低減させたIBSの治療薬を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とする、過敏性腸症候群治療薬

請求項2

5-HT2B及び5-HT7受容体に対する結合親和性が、各々α1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2c、5-HT3、5-HT4及び5-HT6受容体に対して、いずれも100倍以上である、請求の範囲1記載の過敏性腸症候群の治療薬。

請求項3

選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤が、5-HT2B及び5-HT7受容体の両方に選択的な結合親和性を有する5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗化合物を含有するものである、請求項1記載の過敏性腸症候群の治療薬。

請求項4

5-HT2B及び5-HT7受容体の両方に選択的な結合親和性を有する5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗化合物が、下記一般式(I)で示されるフルオレン誘導体またはその塩である、請求項3記載の過敏性腸症候群の治療薬。(式中の記号は以下の意味を示す。R1及びR2:同一又は互いに異なって、-R0、低級アルケニル、低級アルキニルハロゲン、-OH、-O-R0、-O-CO-R0、-NH2、-NR6-R0、-CN、-NO2、-CHO、-CONH2、-CO-NR6-R0、-CO2H、-CO2-R0、-CO-R0、-NR6-CO-R0、-NR6-CO2-R0、-O-CO-NR6-R0、-SH、-S(O)p-R0、-S(O)2-NH2、-S(O)2-NR6-R0、-NR6-S(O)2-R0、-R00-O-CO-R0、-R00-NR6-R0、-R00-CN、-R00-CONH2、-R00-CO-NR6-R0、-R00-CO2H、-R00-CO2-R0、-R00-CO-R0、-R00-NR6-CO-R0、-R00-NR6-CO2-R0、-R00-O-CO-NR6-R0、シクロアルキル又は含窒素飽和テロ環。ここに当該含窒素飽和へテロ環は、低級アルキル、-OH、-O-R0、-NH2、-NR6-R0及びオキソ(=O)からなる群より選択される1〜2個の置換基置換されていてもよい; R0:同一若しくは互いに異なって、-OH、-O-C1-4アルキル、-NH2、-NR6-C1-4アルキル及びハロゲンからなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよい低級アルキル;R6:同一若しくは互いに異なって、低級アルキル又はH;R00:同一若しくは互いに異なって、低級アルキレン;p:0、1又は2;n:0、1又は2;m:0又は1;R7及びR8:同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-OH、-O-R0、-NH2、-NR6-R0、-NR6-CO-R0、-O-R00-OH、-O-R00-O-R0、シクロアルキル、含酸素飽和へテロ環、或いはR7及びR8が一体となって、オキソ(=O)、=N-OH、=N-OR0及びテトラヒドロラニリデンからなる群より選択される基を形成してもよく、或いはR7及びR8が一体となって、-O-、-S(O)p-、-NR6-及び-CONR6-からなる群より選択される1〜2個の基で中断されていてもよい低級アルキレンを形成し、それらが結合するC原子とともに3〜8員環を形成してもよい;Z:-NH-; R3:-H又はR0;及びR4及びR5:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-CO2-R0、-CO-R0、或いはR4及びR5が一体となって二価基を形成し、R4及びR5が結合している-N-C-Z-基とともに5員ヘテロ環を形成してもよく、このときZは更に、-O-又はS-であってもよく、当該5員環は低級アルキル、-OH、-O-R0、-NH2、-NR6-R0、及びオキソ(=O)からなる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。)

請求項5

R3が-H又はR0であり、かつ、R4及びR5が-H又はR0であるフルオレン誘導体またはその塩を有効成分とする、請求の範囲4記載の過敏性腸症候群の治療薬。

請求項6

R3、R4及びR5がいずれも-Hであるフルオレン誘導体またはその塩を有効成分とする、請求の範囲4記載の過敏性腸症候群の治療薬。

請求項7

R7及びR8が同一若しくは互いに異なって、-H、-R0、-OH、-O-R0、-O-R00-OH又は-O-R00-O-R0であるか、R7及びR8が一体となりオキソ基であるフルオレン誘導体またはその塩を有効成分とする、請求の範囲6記載の過敏性腸症候群の治療薬。

請求項8

R7及びR8が一体となって、「-O-、-S(O)p-、-NR6-及び-CONR6-からなる群より選択される1〜2個の2価基で中断されていてもよい低級アルキレン」を形成し、それらが結合するC原子とともに3〜8員環を形成するフルオレン誘導体またはその塩を有効成分とする、請求の範囲6記載の過敏性腸症候群の治療薬。

請求項9

N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド、9-クロロ-N-(ジアミノメチレン)-9H-フルオレン-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-(ヒドロキシイミノ)-5-(ヒドロキシメチル)-9H-フルオレン-2-カルボキサミド、8-クロロ-N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミド(光学活性体A)、N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミド(光学活性体B)、N-(ジアミノメチレン)スピロ[1,3-ジチオラン-2,9'-フルオレン]-2'-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-4',5'-ジヒドロ-3'H-スピロ[フルオレン-9,2'-フラン]-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-4',5'-ジヒドロ-3'H-スピロ[フルオレン-9,2'-フラン]-2-カルボキサミド(光学活性体A)、N-(ジアミノメチレン)-4',5'-ジヒドロ-3'H-スピロ[フルオレン-9,2'-フラン]-2-カルボキサミド(光学活性体B)、N-(ジアミノメチレン)スピロ[シクロプロパン-1,9'-フルオレン]-2'-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-メトキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-エチル-9-メトキシ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミド(光学活性体A)、N-(ジアミノメチレン)-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミド(光学活性体B)、N-(ジアミノメチレン)-5'-フルオロスピロ[1,3-ジチオラン-2,9'-フルオレン]-2'-カルボキサミド、及び、N-(ジアミノメチレン)-5-フルオロ-9-メトキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミドからなる群から選択されるフルオレン誘導体またはその塩を有効成分とする、請求の範囲4記載の過敏性腸症候群の治療薬。

請求項10

選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤が、a) 第一成分として5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物と、b) 第二成分として5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物を含有するものである、請求項1記載の過敏性腸症候群の治療薬。

請求項11

a) 第一製剤として5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物を有効成分とする製剤、及び、b) 第二製剤として5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物を有効成分とする製剤からなる組合せ物であって、該第一及び第二製剤は同時にもしくは別々に投与されるものである過敏性腸症候群の治療用組合せ物。

請求項12

過敏性腸症候群の治療薬の製造のための、選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤の使用。

請求項13

選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とする過敏性腸症候群の治療薬の製造のための、「5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物」の使用。

請求項14

選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とする過敏性腸症候群の治療薬の製造のための、「5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物」の使用。

請求項15

選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤の有効量を患者に投与することを含む、過敏性腸症候群の治療方法

技術分野

0001

本発明は過敏性腸症候群治療薬として有用な医薬組成物に関する。

背景技術

0002

過敏性腸症候群(以下、IBSと略す)は、大腸小腸運動分泌が過剰になり、便通異常(下痢便秘)と腹痛、腹満感などの症状を慢性的に繰り返す疾患である。IBSはその症状により下痢型、便秘型、下痢と便秘の交替型に分類される。これらの症状に対して十分な効果と安全性を有する薬剤の開発が望まれており、研究が進められている。
その中で、5-HTセロトニン)の調節薬がIBSの治療薬として注目されている。 5-HTはモノアミン神経伝達物質であり、5-HT受容体を介して様々な生理的作用発現する。IBSの病態と血中のセロトニン量との間に因果関係があることが指摘されている。例えば、下痢型IBSの患者では食後の血中5-HT濃度の上昇が起こり、これが病態に深く関わることを指摘した文献がある(Gut (1998) 42, 42-46)。日本では臨床段階であるが、欧米では既にセロトニン受容体拮抗薬あるいはセロトニン受容体作動薬が使われている。下痢型の治療薬としては、アロセトロン(5-HT3受容体拮抗薬)が臨床に用いられている。しかしながら、当該化合物には虚血性大腸炎や便秘等の副作用報告されている。また、便秘型の治療薬としては、欧米ではテガセロッド(5-HT4受容体作動薬)が臨床で用いられているが、副作用も報告されている(Am. J. Gastroenterology (2000) 95, 2698-2709、Am. J. Gastroenterology (2003) 98, 750-758)。
近年、他の5-HT受容体サブタイプ薬理学的研究も進められている(Drugs, (2001) 61(3), 317-332)。5-HT受容体は5-HT1から5-HT7の7つのファミリーに分類され、さらに、5-HT2受容体は5-HT2A、5-HT2B及び5-HT2Cの三種類のサブタイプが知られている(Pharmacol. Rev. (1994) 46, 157-203)。5-HT2B受容体及び5-HT7受容体に関しては、当該受容体と消化管での役割について指摘した文献がある。例えば、5-HT2B受容体はヒト回腸縦走筋局在し、5-HT2B受容体拮抗化合物は5-HTによる収縮を抑制する (Br. J. Pharmacol. (1995) 114, 1525-1527)、ヒト結腸に局在する5-HT2B受容体は電気刺激時5-HT誘発収縮に関与し、5-HT2B受容体拮抗化合物が抑制する (Br. J. Pharmacol. (2002) 135 1144-1151)との報告がある。
また、5-HT7受容体はモルモット小腸(Eur. J. Pharmacol. (1995)280, 243-250)およびラット小腸に存在し (Life Science (2001) 69, 2467-2475)、モルモット回腸の蠕動運動に関与する(Br. J. Pharmacol. (2003) 138, 1210-1214 )との報告がある。

0003

電気刺激によるヒト腸管組織の収縮を5-HT2B選択的拮抗化合物が抑制したことが報告されている(特許文献1)。当該文献には、5-HT2B拮抗化合物がIBSに有用であるとの記載がある。セロトニン刺激によるラット腸管組織の収縮を5-HT2B選択的拮抗化合物が抑制したとの報告がある(特許文献2)。当該文献には、5-HT2B拮抗化合物が機能的腸障害治療に有用であるとの記載がある。
一方、5-HT7選択的拮抗化合物が5-HTP誘発マウス排便モデル、及びマウス酢酸ライジングモデルにおいて効果を示したことが報告されている(特許文献3)。当該文献には、5-HT7拮抗化合物が下痢型過敏性腸症候群の治療及び予防に有用であるとの記載がある。
以上のような報告はあるが、現段階では、5-HT2B受容体拮抗化合物又は5-HT7受容体拮抗化合物として臨床で効果が確認されたものはない。
また、5-HT2B受容体選択的な拮抗化合物及び5-HT7受容体選択的な拮抗化合物を併用して、あるいは両作用を併有する化合物を用いて、尿失禁を治療する方法に係る特許が公開されている(特許文献4)。
しかしながら、5-HT2B受容体選択的拮抗化合物と5-HT7選択的拮抗化合物とを組み合わせて、あるいは両作用を併有する化合物を用いて、IBS治療に適用することを開示する報告はない。
5-HT6受容体及び/又は5-HT7受容体のリガンドとして有用な5-ハロトリプタミン誘導体に係る特許出願が公開されており、当該公報の20頁には、5-HT2B、5-HT6及び5-HT7の3受容体に親和性を有する化合物が開示されている(特許文献5)。当該公報には、当該化合物の適応症としてセロトニンの受容体の関与する様々な疾患が挙げられており、その中に過敏性腸疾患との記載がある。しかしながら、当該公報には、過敏性腸疾患に有効であることを示す具体的な薬理学的データの開示は無い。

0004

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特表平9−510216号公報
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米国特許第6440988号明細書
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発明が解決しようとする課題

0005

本発明の課題は、IBSの優れた治療効果を有し、既存の薬剤にみられる副作用を低減させたIBSの治療薬を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明者等は、5-HT受容体サブタイプの拮抗剤とIBSの治療効果との関係につき鋭意検討した結果、多数のサブタイプの中でも特に5-HT2B受容体及び5-HT7受容体が重要であること、また、それらの選択的拮抗化合物を同時に使用した場合に、単独で用いた場合では認められない強力な病態改善作用を示すこと、更に、選択的な5-HT2B受容体及び5-HT7受容体拮抗作用を併有する化合物を用いても同様の効果が確認できること、を知見して本発明を完成させた。本発明の医薬は、5-HT2B受容体及び5-HT7受容体に対して同時かつ選択的に拮抗作用を有する点を特徴としており、一方の受容体拮抗剤の併用であっても、両拮抗作用を併有する二重拮抗剤であっても構わない。このような受容体拮抗作用の特徴を有する薬剤が、IBSの治療に有用であることは、本発明において初めて確認された事実である。
即ち、本発明は、選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とするIBSの治療薬に関する。
更に詳しくは、以下の態様である選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とするIBSの治療薬に関する。
(1)選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤が、5-HT2B及び5-HT7受容体の両方に選択的な結合親和性を有する5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗化合物を含有するものである、IBSの治療薬、
(2)選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤が、a) 第一成分として5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物と、b) 第二成分として5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物を含有するものである、IBSの治療薬、及び、
(3)a) 第一製剤として5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物を有効成分とする製剤、及び、b) 第二製剤として5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物を有効成分とする製剤からなる組合せ物であって、該第一及び第二製剤は同時にもしくは別々に投与されるものであるIBSの治療用組合せ物、
に関する。

0007

また、本発明は、上記(1)記載の「5-HT2B及び5-HT7受容体の両方に選択的な結合親和性を有する5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗化合物」が、下記一般式(I)で示されるフルオレン誘導体またはその塩である、IBSの治療薬に関する。



(式中の記号は以下の意味を示す。
R1及びR2:同一又は互いに異なって、-R0、低級アルケニル、低級アルキニルハロゲン、-OH、-O-R0、-O-CO-R0、-NH2、-NR6-R0、-CN、-NO2、-CHO、-CONH2、-CO-NR6-R0、-CO2H、-CO2-R0、-CO-R0、-NR6-CO-R0、-NR6-CO2-R0、-O-CO-NR6-R0、-SH、-S(O)p-R0、-S(O)2-NH2、-S(O)2-NR6-R0、-NR6-S(O)2-R0、-R00-O-CO-R0、-R00-NR6-R0、-R00-CN、-R00-CONH2、-R00-CO-NR6-R0、-R00-CO2H、-R00-CO2-R0、-R00-CO-R0、-R00-NR6-CO-R0、-R00-NR6-CO2-R0、-R00-O-CO-NR6-R0、シクロアルキル又は含窒素飽和テロ環。ここに当該含窒素飽和へテロ環は、低級アルキル、-OH、-O-R0、-NH2、-NR6-R0及びオキソ(=O)からなる群より選択される1〜2個の置換基置換されていてもよい;
R0:同一若しくは互いに異なって、-OH、-O-C1-4アルキル、-NH2、-NR6-C1-4アルキル及びハロゲンからなる群より選択される1以上の置換基で置換されていてもよい低級アルキル;
R6:同一若しくは互いに異なって、低級アルキル又はH;
R00:同一若しくは互いに異なって、低級アルキレン
p:0、1又は2;
n:0、1又は2;
m:0又は1;
R7及びR8:同一又は互いに異なって、-H、-R0、ハロゲン、-OH、-O-R0、-NH2、-NR6-R0、-NR6-CO-R0、-O-R00-OH、-O-R00-O-R0、シクロアルキル、含酸素飽和へテロ環、或いはR7及びR8が一体となって、オキソ(=O)、=N-OH、=N-OR0及びテトラヒドロラニリデンからなる群より選択される基を形成してもよく、或いはR7及びR8が一体となって、-O-、-S(O)p-、-NR6-及び-CONR6-からなる群より選択される1〜2個の基で中断されていてもよい低級アルキレンを形成し、それらが結合するC原子とともに3〜8員環を形成してもよい;
Z:-NH-;
R3:-H又はR0;及び
R4及びR5:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-CO2-R0、-CO-R0、或いはR4及びR5が一体となって二価基を形成し、R4及びR5が結合している-N-C-Z-基とともに5員ヘテロ環を形成してもよく、このときZは更に、-O-又はS-であってもよく、当該5員環は低級アルキル、-OH、-O-R0、-NH2、-NR6-R0、及びオキソ(=O)からなる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。以下同様。)

0008

更に、本発明は以下の態様をも包含する。
〔1〕IBSの治療薬の製造のための、選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤の使用。
〔2〕選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とするIBSの治療薬の製造のための、「5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物」の使用。
〔3〕選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とするIBSの治療薬の製造のための、「5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物」の使用。
〔4〕選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤の有効量を患者に投与することを含むIBSの治療方法
〔5〕5-HT2B選択的受容体拮抗化合物を有効成分とする製剤と5-HT7選択的受容体拮抗化合物を有効成分とする製剤からなる組み合わせ物を、同時にもしくは別々に患者に投与することを特徴とするIBSの治療方法。
〔6〕「5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物」を有効成分とする、IBSの治療のために「5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物」の投与を受けている患者に対するIBSの治療効果増強剤
〔7〕「5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物」を有効成分とする、IBSの治療のために「5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物」の投与を受けている患者に対するIBSの治療効果増強剤。

発明の効果

0009

本発明医薬の有効成分は、5-HT2B及び5-HT7受容体の両方の機能を阻害することにより、一方の受容体の選択的拮抗剤では成し得ない優れたIBSの治療効果を発揮する。更に、5-HT2B及び5-HT7受容体以外の受容体拮抗に起因する広範な副作用も低減されることから、効果の優れる安全性の高いIBSの治療薬として有用である。

図面の簡単な説明

0010

実施例1のラット拘束ストレス便排出モデルにおいて、RS-127445投与時の排便個数を測定した結果を示すグラフである。1、3、10mg/kgの各投与群非投与群と比較して有意差は認められなかった(N=10)。
実施例1のラット拘束ストレス便排出モデルにおいて、SB-269970投与時の排便個数を測定した結果を示すグラフである。1、3、10mg/kgの各投与群は非投与群と比較して有意差は認められなかった(N=10)。
実施例1のラット拘束ストレス便排出モデルにおいて、RS-127445及びSB-269970同時投与時の排便個数を測定した結果を示すグラフである。統計的検定ダネット法により行った。グラフ中、*は有意水準5%で有意であることを、**は1%で有意であることを、***は0.1%で有意であることを各々示す(N=10)。
実施例1のラット拘束ストレス便排出モデルにおいて、製造例3の化合物投与時の排便個数を測定した結果を示すグラフである。統計的検定はダネット法により行った。グラフ中、***は有意水準0.1%で有意であることを示す(N=10)。

発明を実施するための最良の形態

0011

以下、本発明について詳述する。
「拮抗剤」とは作動薬に対し拮抗的に作用してその作用を減弱させる薬剤をいう。本発明において、「5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤」とは、作動薬であるセロトニンと拮抗的に作用して5-HT2B及び5-HT7受容体の双方を介した作用を同時に減弱させる薬剤を意味し、両拮抗作用を併有する化合物を有効成分とする薬剤、及び、5-HT2B受容体拮抗作用を有する化合物と5-HT7受容体拮抗作用を有する化合物の両方を有効成分とする合剤を包含する。
「結合親和性」とは受容体の一部に結合することができる能力を意味し、この評価は、後記の試験例のようにin vitroの受容体結合試験によって算出されるKi値、場合により同じ条件下で行われた受容体結合試験におけるIC50値を比較することにより行う。なお、受容体の結合試験において、一定の濃度で十分な阻害作用を示さずIC50値を算出できない場合には、その化合物のIC50値を当該濃度以上とみなすことがある。
「5-HT2B受容体拮抗化合物」、「5-HT7受容体拮抗化合物」及び「5-HT2B及び5-HT7受容体の二重拮抗化合物」として好ましくは、それぞれ選択的に結合する受容体への結合親和性を表すKi値が1μM以下、より好ましくは0.5μM以下、更に好ましくは、0.1μM以下、特に好ましくは、0.05μM以下である拮抗化合物である。

0012

ある受容体への結合親和性が他の受容体と比較して「選択的」であるとは、当該受容体への結合親和性が「他の受容体」への結合親和性と比較して高い事を意味する。本発明において「選択的」とは、当該受容体への結合親和性を示すKi値若しくはIC50値が、「他の受容体」のそれと比較して10分の1以下である場合を指し、より好ましくはこの値が50分の1以下、更に好ましくは100分の1以下、より更に好ましくは500分の1以下、特に好ましくは1000分の1以下である。
ここに、「他の受容体」としては、既存の非選択的セロトニン拮抗剤において報告される他の受容体であって、殊に好ましくない作用に関与する受容体である。
従って、具体的な「5-HT2B受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT2B受容体拮抗化合物(以下、5-HT2B選択的拮抗化合物と略記する)」としては、α1、M1及びD2受容体と比べて5-HT2B選択的な化合物であり、好ましくはα1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT3、5-HT4、5-HT6及び5-HT7受容体と、より好ましくはα1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2c、5-HT3、5-HT4、5-HT6及び5-HT7受容体と比べて5-HT2B選択的な化合物である。
「5-HT7受容体に選択的な結合親和性を有する5-HT7受容体拮抗化合物(以下、5-HT7選択的拮抗化合物と略記する)」としては、α1、M1及びD2受容体と比べて5-HT7選択的な化合物であり、好ましくはα1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT2B、5-HT3、5-HT4及び5-HT6受容体と、より好ましくはα1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2c、5-HT3、5-HT4及び5-HT6受容体と比べて5-HT7選択的な化合物である。
「5-HT2B及び5-HT7受容体への両方に選択的な結合親和性を有する5-HT2B及び5-HT7受容体の二重拮抗化合物(以下、5-HT2B及び5-HT7選択的二重拮抗化合物と略記する)」としては、α1、M1及びD2受容体と比べて5-HT2B及び5-HT7選択的な化合物であり、好ましくはα1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT3、5-HT4及び5-HT6受容体と、より好ましくはα1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2c、5-HT3、5-HT4及び5-HT6受容体と比べて5-HT2B及び5-HT7選択的な化合物である。
また、本発明の「選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤」としては、α1、M1及びD2受容体、好ましくはα1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT3、5-HT4及び5-HT6受容体、より好ましくはα1、M1、D2、5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2c、5-HT3、5-HT4及び5-HT6受容体に対して、5-HT2B及び5-HT7受容体に対する結合親和性(Ki値若しくはIC50値)が、10分の1以下、より好ましくは50分の1以下、更に好ましくは100分の1以下、より更に好ましくは500分の1以下、特に好ましくは1000分の1以下である、5-HT2B選択的拮抗化合物と5-HT7選択的拮抗化合物の合剤若しくは5-HT2B及び5-HT7選択的二重拮抗化合物を有効成分とする5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤である。

0013

本発明における「5-HT2B選択的拮抗化合物」、「5-HT7選択的拮抗化合物」、及び「5-HT2B及び5-HT7選択的二重拮抗化合物」は、後記参考例に示すような方法で受容体親和性を大量の化合物についてスクリーニングすることにより、容易に見出すことができる化合物である。このような評価においては、HTS(ハイスループットスクリーニング)法が常套的かつ効率的な手段として用いられる。また、スクリーニングに用いることのできる被検化合物として、新規合成化合物、市販品又はケミカルライブラリ登録されている種々の活性については不明の公知化合物、コンビナトリアルケミストリー技術によって得られた化合物群を用いることができる。また、微生物培養上清や、植物、海洋生物由来天然成分動物組織抽出物なども用いることができる。さらに、スクリーニングで見いだされた化合物を化学的に修飾した化合物も用いることができる。
例えば、本発明における「5-HT2B選択的拮抗化合物」は、後記参考例1及び3に記載の受容体親和性スクリーニング法、あるいはこれに類似する方法を実施することにより、見出すことができる。具体的な化合物としては、例えば、既知の5-HT2B選択的拮抗化合物である、RS-127445(British Journal of Pharmacology (1999) 127,1075-1082)、LY-266097(J. Serotonin Res. (1996) 3, 131)、SB-200646(J. Med. Chem.(1993) 36, 1104)、SB-204741(J. Med. Chem. (1995) 38, 855)、SB-206553(J. Med. Chem. (1996) 39, 2773)、SB-215505(British J. Pharm (2004) 142, 1332-1342)、SB-221284(9th RSC-SCIMedicinal Chemistry Symposium (1997) P1 (Poster), 7 Sep)、EGIS-7625(Cardiovascular Drugs and Therapy (2003) 17, 427-434、PGN-1164(Digestive Disease Week ASGE Annual Meeting, orlando (2003) Abs T-1797)、PRX-08066(Daily Drug News. com (Daily Essentials) Dec 5 (2005))、4-(チオ若しくはセレノキサンテン-9-イリデン)ピペリジン又はアクリジン誘導体(WO2003035646、US2003166672)、2-オキサゾールアミン誘導体(WO2003068226)、2-チアゾールアミン誘導体(WO2003068227)等が挙げられるが、5-HT2B受容体選択的である化合物であればこの限りではない。中でも好ましくは、前記のRS-127445、LY-266097、SB-204741、SB-215505、SB-206553、EGIS-7625、PGN-1164、4-(チオ若しくはセレノキサンテン-9-イリデン)ピペリジン又はアクリジン誘導体、2-オキサゾールアミン誘導体(WO2003068226)、及び2-チアゾールアミン誘導体である。
本発明における「5-HT7選択的拮抗化合物」は、例えば、後記参考例2及び3に記載の受容体親和性スクリーニング法、あるいはこれに類似する方法を実施することにより、見出すことができる。具体的な化合物としては、例えば、既知の5-HT7選択的拮抗化合物であるDR-4004(J. Med. Chem. (1999) 42, 533)、SB-258719(J. Med. Chem. (1998) 41, 654-657)、SB-258741(J. Med. Chem. (2000) 43, 342-345)、SB-269970(J. Med. Chem. (2000) 43, 342-345)、SB-656104(Bioorg.Med.Chem.Lett. (2002) 12, 3341-3344)、SB-691673(Bioorg.Med.Chem.Lett. (2003) 13, 1055-1058)、アミノトリアゾール誘導体(Bioorg.Med.Chem.Lett. (2004) 14, 4245-4248)、アミノテトラリン誘導体(J.Med.Chem. (2004) 47, 3927-3930)、アミノクロマン誘導体(J.Med.Chem. (2004) 47, 3927-3930)、11-フェニルアポモルフィン誘導体(J.Med.Chem. (2001) 44, 1337-1340)、エルゴリン誘導体(WO9632944)、テトラヒドロベンゾインドール誘導体(Bioorg.Med.Chem.Lett. (2002) 12, 2549-2552)、アミノアルキルピロリジン誘導体(WO200236560)、アミドウレア誘導体(WO200236554)、スルホン誘導体(US20040229864)、スルホンアミド誘導体(WO2005005387)等が挙げられるが、同様に5-HT7受容体選択的である化合物であればこの限りではない。中でも好ましくは、前記のDR-4004、SB-258719、SB-258741、SB-269970、SB-656104、SB-691673、アミノトリアゾール誘導体、アミノテトラリン誘導体、11-フェニルアポモルフィン誘導体、テトラヒドロベンゾインドール誘導体)、アミノアルキルピロリジン誘導体、アミドウレア誘導体、スルホン誘導体である。

0014

また、本発明における「5-HT2B及び5-HT7選択的二重拮抗化合物」は、例えば、後記参考例1乃至3に記載の受容体親和性スクリーニング法を逐次実施することにより見出すことができる。好ましくは、前記式(I)で示される化合物またはその塩であり、特に好ましくは以下の化合物またはその塩である。
(i) R3が-H又はR0であり、かつ、R4及びR5が-H又はR0である化合物、より好ましくはR3、R4及びR5がいずれも-Hである化合物。
(ii) nが1であり、かつ、R1が-OH、-O-C1-4アルキル、-NR6-C1-4アルキル及びハロゲンからなる群より選択される基で置換された低級アルキル、又はハロゲン、-OH、-O-R0、-NH2、-CN、-CHO、-NO2である化合物、或いはnが0である化合物。
(iii) mが0である化合物、又はmが1であり、かつR2が-R0若しくはハロゲンである化合物。
(iv) R7及びR8が同一若しくは互いに異なって、-H、-R0、-OH、-O-R0、-O-R00-OH又は-O-R00-O-R0であるか、R7及びR8が一体となりオキソ基である化合物。ここに、R0としてはC1-3アルキルが、R00としてはC1-3アルキレンがそれぞれ好ましい。
(v)R7及びR8が一体となって「-O-、-S(O)p-、-NR6-及び-CONR6-からなる群より選択される1〜2個の2価基で中断されていてもよい低級アルキレン」を形成し、それらが結合するC原子とともに3〜8員環を形成する化合物。

0015

明細書中の一般式の定義において「低級」なる用語は、特に断らない限り、炭素数が1〜6(以後、C1-6と略す)の直鎖又は分枝状の炭素鎖を意味する。従って「低級アルキル」としては、炭素数C1-6のアルキルであり、メチルエチルプロピルイソプロピルブチルイソブチル、tert-ブチルが好ましい。
「低級アルケニル」としては、C2-6のアルケニル基であり、好ましくはビニルアリル、1-プロペニルイソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル及び3-ブテニル基である。「低級アルキニル」としては、C2-6のアルキニル基であり、好ましくは、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル及び1-メチル-2-プロピニル基である。
「低級アルキレン」としては、好ましくはメチレンエチレントリメチレンテトラメチレン等の直鎖状のアルキレン、及びメチルメチレン等の分枝状のアルキレンである。メチレン、エチレン及びトリメチレンが特に好ましい。
「ハロゲン」とは、F、Cl、Br又はIを示す。
「シクロアルキル」としては、架橋を有していてもよいC3-10のシクロアルキル基であり、好ましくはシクロプロピルシクロペンチルシクロヘキシル及びアダマンチル基である。
「含窒素飽和へテロ環」としては、1つのN原子を含み、更にN、S及びOからなるヘテロ原子を1つ含んでいてもよい5〜8員飽和若しくは一部不飽和の単環へテロ環であり、好ましくは、ピロリジニルピペリジニルピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びテトラヒドロピリジル基である。
「含酸素飽和へテロ環」としては、1つのO原子を含み、更にN原子を1つ含んでいてもよい5〜8員飽和若しくは一部不飽和の単環へテロ環であり、好ましくは、テトラヒドロフラニルテトラヒドロピラニルジヒドロピラニル及びモルホリニル基である。

0016

「置換されていてもよい」とは、「無置換」或いは「同一又は異なる置換基を1〜5個有していること」を示す。
例えば、「ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル」とは、前記の低級アルキルに加え、1個以上のハロゲンで置換された低級アルキルであり、好ましくは、1〜5個のFを有するC1-2のアルキルであり、より好ましくはフルオロメチルジフルオロメチルトリフルオロメチルである。
「-O-、-S(O)p-、-NR6-及び-CONR6-からなる群より選択される1〜2個の2価基で中断されていてもよい低級アルキレン」とは、低級アルキレン、或いは低級アルキレンの途中又は末端に-O-、-S(O)p-、-NR6-及び-CONR6-からなる群より選択される基が1個又は2個が挿入された基を表す。例えば、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)3-O-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、-(CH2)2-S(O)-(CH2)2-、-(CH2)2-N(CH3)-(CH2)2-、-O-(CH2)2-O-、-S-(CH2)2-S-、-CH2-S-CH2-、又はCH2CONHCH2-等の基が挙げられ、好ましくは-(CH2)4-、-S-(CH2)2-S-、-(CH2)2-O-(CH2)2-、又は-(CH2)3-O-である。

0018

本発明医薬の有効成分である化合物には、幾何異性体互変異性体が存在する場合がある。例えば、前記式(I)で示される化合物中、R3が-Hである化合物においては以下の互変異性体が存在する。



本発明医薬の有効成分は、このような互変異性体の一方、あるいは混合物を包含する。また、不斉炭素原子に基づく異性体が存在する場合、本発明医薬の有効成分はこれら光学異性体の混合物や単離されたものを包含する。また、置換基の種類によっては、N−オキシドを形成する場合もあり、これらのN−オキシド体も包含する。更に、各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形物質をも包含する。
なお、本発明医薬の有効成分である化合物には、生体内において代謝されて式(I)で示される化合物又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。このプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157-2161(1985)に記載されている基や廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163-198に記載されている基が挙げられる。

0019

以下、本発明医薬の有効成分である化合物につき、代表的な製造法を説明する。5-HT2B選択的拮抗化合物及び5-HT7選択的拮抗化合物は、例えば下記文献を参照して製造することができる。
(5-HT2B選択的拮抗化合物) RS-127445(British Journal of Pharmacology (1999) 127,1075-1082)、LY-266097(J. Serotonin Res. (1996) 3, 131)、SB-200646(J. Med. Chem.(1993) 36, 1104)、SB-204741(J. Med. Chem. (1995) 38, 855)、SB-206553(J. Med. Chem. (1996) 39, 2773)、EGIS-7625(Cardiovascular Drugs and Therapy (2003) 17, 427-434、4-(チオ若しくはセレノキサンテン-9-イリデン)ピペリジン又はアクリジン誘導体(WO2003035646、US2003166672)、2-オキサゾールアミン誘導体(WO2003068226)、2-チアゾールアミン誘導体(WO2003068227)。
(5-HT7選択的拮抗化合物) DR-4004(J. Med. Chem. (1999) 42, 533)、SB-258719(J. Med. Chem. (1998) 41, 654-657)、SB-258741(J. Med. Chem. (2000) 43, 342-345)、SB-269970(J. Med. Chem. (2000) 43, 342-345)、SB-656104(Bioorg.Med.Chem.Lett. (2002) 12, 3341-3344)、SB-691673(Bioorg.Med.Chem.Lett. (2003) 13, 1055-1058)、アミノトリアゾール誘導体(Bioorg.Med.Chem.Lett. (2004) 14, 4245-4248)、アミノテトラリン誘導体(J.Med.Chem. (2004) 47, 3927-3930)、アミノクロマン誘導体(J.Med.Chem. (2004) 47, 3927-3930)、11-フェニルアポモルフィン誘導体(J.Med.Chem. (2001) 44, 1337-1340)、エルゴリン誘導体(WO9632944)、テトラヒドロベンゾインドール誘導体(Bioorg.Med.Chem.Lett. (2002) 12, 2549-2552)、アミノアルキルピロリジン誘導体(WO200236560)、アミドウレア誘導体(WO200236554)、スルホン誘導体(US20040229864)、スルホンアミド誘導体(WO2005005387)。

0020

(製造法)
本発明医薬の有効成分である化合物及びその塩は、その基本骨格或いは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基で保護、又は当該官能基に容易に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基カルボニル基カルボキシル基等であり、それらの保護基としては例えばグリーン(T. W. Greene)及びウッツ(P. G. M. Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年、John Wiley & Sons)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行った後、必要に応じて保護基を除去、或いは所望の基に転化することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、本発明医薬の有効成分である化合物のプロドラッグは上記保護基と同様、原料乃至中間体の段階で特定の基を導入、或いは得られた化合物を用い反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化アミド化脱水等、当業者により公知の方法を適用することにより行うことができる。

0021

また、式(I)で示される化合物の代表的な製造法を説明する。
(第一製法



(式中、L1は-OH若しくは-O-低級アルキル、又はハロゲン、-O-メタンスルホニル若しくは-0-p-トルエンスルホニル等の脱離基を示す。)
式(I)で示される化合物(以下、化合物(I)と略す)は、カルボン酸又はその反応性誘導体である(1)で示される化合物とアミン誘導体(2)とを、アミド化反応に付すことにより製造できる。
原料化合物(1)において、L1がOHである遊離カルボン酸を用いる場合には、化合物(1)とアミン誘導体(2)とを縮合剤の存在下で脱水縮合させる方法が用いられる。この場合、縮合剤としては、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(WSC)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートHBTU)、ジフェニルリン酸アジドDPPA)、オキシ塩化リン等、場合によっては、更に添加剤(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)又は1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等)を用いることが好ましい。
反応は化合物(1)とアミン誘導体(2)とを等量若しくは一方を過剰量用いて、また、縮合剤をカルボン酸に対して等量若しくは過剰量用いて行われる。ベンゼントルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテルテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン若しくはジメトキシエタンDME)等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミドDMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチルアセトニトリル又は水等の反応に不活性な溶媒中、或いはそれらの混合液中で、冷却下〜加熱下、好ましくは、−20℃〜60℃で行うことができる。
原料化合物(1)において、L1が脱離基である化合物、すなわち、カルボン酸の反応性誘導体を用いる場合には、化合物(1)とアミン誘導体(2)とを等量或いは一方を過剰量用いて、前記の遊離カルボン酸を用いる場合と同様の条件で反応を行えばよい。ここで用いられるカルボン酸の反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物(酸クロリド又は酸ブロミド等)、酸無水物クロ炭酸フェニル、p-トルエンスルホン酸、又はイソ吉草酸等との混合酸無水物或いは対称酸無水物)、活性エステルニトロ基もしくはフッ素原子等の電子吸引基で置換していてもよいフェノール、HOBt、HONSu等を用いて調製できるエステル)、低級アルキルエステル等が挙げられ、いずれもカルボン酸より当業者に自明な反応を用いて製造することができる。反応性誘導体の種類によっては、塩基トリエチルアミンジイソプロピルエチルアミンN-メチルモルホリンピリジン若しくは4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン等の有機塩基類、又は炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等)の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。ピリジンは溶媒を兼ねることもできる。尚、反応性誘導体として低級アルキルエステルを用いる場合には、反応を室温下〜加熱還流下で行うことが好ましい。
(第二製法)

0022

化合物(I)中、-CR7R8-が-CH(OH)-で表される化合物(Ib)は、当該部位がカルボニル基である化合物(Ia)を還元反応に付すことにより製造することができる。
反応は、化合物(Ia)を等量若しくは過剰量の還元剤で処理することにより行われる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム若しくはジイソブチルアルミウムヒドリド等のヒドリド還元剤、又はRichard C. Larock著、「Comprehensive Organic Transformations」 (1989年、VCH Publishers, Inc.)記載の還元剤が用いられる。反応は、芳香族炭化水素類、エーテル類、DMF、DMSO、アルコール類メタノールエタノール等)又は水、或いはこれらの混合物を溶媒として、冷却下〜加熱下、好ましくは−20℃〜室温で行う。
化合物(I)が種々の側鎖や置換基を有する場合、これらの化合物は当業者に自明の方法又は公知の製造法、或いはその変法を適用することによっても製造することができる。例えば化合物(I)を原料として、以下の反応を置換基R1、R7及びR8の変換に適用することにより、化合物(I)の一部を製造することができる。
化合物(I)中、R7及びR8が一緒になって=N-OR0を表すものは、当該部位がオキソ基である化合物(Ia)とNH2-OR0とを脱水縮合させることにより製造できる。
化合物(I)中、R7若しくはR8の一つがハロゲンであるものは、当該部位が-CH(OH)-である化合物(Ib)をハロゲン化反応に付すことにより製造できる。
化合物(I)中、R1が-NH2であるものは、当該部位が-NO2である化合物を還元反応に付すことにより製造できる。

0023

(原料化合物の製造)
上記製造法における原料化合物(1)は、公知の方法を利用して製造する事ができる。



(式中、Q及びUはいずれか一方が-Br、-Cl、-I又はO-SO2-CF3であり、他方が-B(OH)2又はB(O-低級アルキル)2を示す。R10は低級アルキル又はベンジル等の保護基を示す。)
式(1)中、R7及びR8が一緒になってオキソ基であり、L1が水酸基である化合物(1a)は上記の反応経路により製造する事ができる。
経路中、特にカップリング反応はSynth. Commun., 11, 513-519(1981)、Synlett, 6, 829-831(2000)、又はChem. Lett., 1405-1408(1989)記載の方法により実施することができる。環化反応は、分子フリーデルクラフツ反応の常法を用いればよく、例えばJ. Am. Chem. Soc., 63, 1948(1941)に記載の方法が挙げられる。酸化反応は、酸化銀二クロム酸ピリジニウム若しくは亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を用い、DMF、メタノール若しくは水等の溶媒中又はそれらの混合液中で、室温〜加熱下で行うことができる。

0024

(式中、R11及びR12は置換されていてもよい低級アルキル、又はR11及びR12が一体となって-O-或いは-NR6-で中断されていてもよい低級アルキレンを表す。)
式(1)中、R7及びR8の少なくとも一方がアルキル基である化合物(1b)は、J. Am. Chem. Soc., 63, 1948(1941)記載の方法を参考にして得られるフルオレン(14)の芳香環ブロモ化し、これをシアノ基とした後、カルボキシル基へ変換するより製造することができる。ここで、ブロモ化反応はH.Becher著「Orgnikum」p189, 1973、シアノ化反応はJ. Org. Chem., 26, 2522(1961)に記載の方法に従って用いて行えばよい。

0025

(式中、R13及びR14は低級アルキル、R15は低級アルキル又は二つのR15が一体となって低級アルキレンを、Mはリチウムイオン又はマグネシウムイオン等の有機金属試薬の対陽イオンを、Eは-O-又はS-を、L2はハロゲン、-O-メタンスルホニル又は0-p-トルエンスルホニル等の脱離基を、Halはハロゲンを示す。)
原料化合物(1)中、R7及びR8の少なくとも一方に各種の置換基を有する化合物は、9-ケト体(1c)よりアルキル化エーテル化ケタール化アミノ化還元或いはハロゲン化の各反応を用いて、またはこれらを組み合わせて容易に製造することが可能である。
特に、アルキル化はグリニヤール試薬有機リチウム試薬又は有機セリウム試薬等の有機金属試薬を用いて行うことができる。化合物(1d)より(1e)を製造するエーテル化においては、水素化ナトリウム水素化カリウム、カリウム-tert-ブトキシド若しくは酸化銀等の塩基の存在下、アルキル化剤としてR14-L2を用いて行われる。また、本アルキル化は、R14-OHを用いて酸性条件下で実施する場合があり、p-トルエンスルホン酸等の酸触媒硝酸鉄、又は過塩素酸鉄等のルイス酸を用いて、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン又はキシレン等の溶媒中、室温〜加熱下で行われる。
上記反応経路において、原料化合物(1c)の代わりにカルボキシル体(1a)を用いても、アルキル化、アミノ化及び還元の各反応を行うことができる。また、(1c)〜(1k)の各化合物については、-COOR10基の脱保護により対応するカルボキシル体へと導くことができる。

0026

このようにして製造された化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用して常法により単離できる。例えば光学異性体は、ラセミ化合物光学活性な有機酸(酒石酸等)とのジアステレオマー塩に導いた後に分別再結晶する方法、或いはキラル充填材を用いたカラムクロマトグラフィー等の手法により、各々分離精製することができる。また、光学活性化合物は適切な光学活性化合物を原料として用いることにより製造することもできる。尚、ジアステレオマーの混合物についても、分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離することができる。

0027

本発明の「IBSの治療用組合せ物」において、「組合せ物」とは、それぞれの成分が独立した製剤であって、併用療法に用いることができるものを意味し、それぞれを組合せて包装したもの(例えばキット等の形態)、又は併用投与用にそれぞれが独立して販売されるものであってもよい。ここに、「同時に」とは、第一製剤と第二製剤を一緒に投与することを意味し、「別々に」とは、第一製剤と第二製剤を同一若しくは異なる投与経路で、同一若しくは異なる投与頻度若しくは投与間隔で、別々に投与することを意味する。好ましくは、各製剤のバイオアベイラビリティー、安定性等を考慮し、それぞれの製剤に適した製剤処方、投与経路、投与頻度等の投与条件下にて、同時に若しくは別々に投与される。第一製剤及び第二製剤の有効成分の持続時間が同程度である場合には、これらを同時に、又は前後1時間以内に投与することが好ましい。同時に投与する場合には、別々に製剤化したものを使用時に希釈剤などを用いて混合して投与してもよい。
キットとしては、5-HT2B選択的拮抗化合物を含有する第一製剤と5-HT7選択的拮抗化合物を含有する第二製剤を含み、所望によりプラセボ剤等のそれぞれの投与時期に合わせた投与を容易にする追加的な製剤や表示部材を含んでいてもよい包装品が挙げられる。

0028

本発明における選択的な5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗剤を有効成分とするIBSの治療薬、並びに、本発明の組合せ物を構成する前記第一製剤若しくは第二製剤は、当分野において通常用いられている薬剤用担体賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤丸剤カプセル剤顆粒剤散剤液剤等による経口投与、又は、静注筋注等の注射剤軟膏剤硬膏剤クリーム剤ゼリー剤パップ剤噴霧剤ローション剤点眼剤眼軟膏等の外用剤坐剤吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な賦形剤、例えば乳糖マンニトールブドウ糖ヒドロキシプロピルセルロース微結晶セルロースデンプンポリビニルピロリドンメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤カルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は溶性若しくは腸溶性コーティング剤被膜してもよい。

0029

経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤シロップ剤エリキシル剤等を包含し、一般的に用いられる不活性な溶剤、例えば精製水、エタノール等を用いることができる。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤湿潤剤懸濁化剤のような補助剤甘味剤矯味剤芳香剤防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤を包含する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコールポリエチレングリコールオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤分散剤安定化剤、溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。

0030

本発明のIBSの治療薬が、第一成分の「5-HT2B選択的拮抗化合物」及び第二成分の「5-HT7選択的拮抗化合物」を含有してなる拮抗剤の場合、各々の化合物の配合量は、各々単剤として処方した場合の臨床有効量の範囲において、患者個々の症状に応じて適宜決定される。
また、本発明のIBSの治療薬が、5-HT2B及び5-HT7選択的二重拮抗化合物を含有してなる拮抗剤である場合は、その1日の投与量は、通常、経口投与の場合、体重当たり約0.001から50mg/kg、好ましくは0.01〜30mg/kg、更に好ましくは、0.05〜10mg/kgが、静脈投与される場合、1日の投与量は、体重当たり約0.0001から10mg/kg、好ましくは0.001〜1.0mg/kgがそれぞれ適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
本発明の組合せ物を構成する前記第一製剤若しくは第二製剤における各々の有効成分である化合物の投与量は、各々単剤として処方した場合の臨床有効量の範囲において、患者個々の症状に応じて適宜決定される。

0031

(製造例)
以下製造例に、本発明医薬の有効成分である式(I)で示される化合物の製造方法を具体的に説明する。なお、原料化合物の製造方法を製造参考例として示す。
製造参考例1-a
4-ブロモイソフタル酸ジエチルエステルと2-メチルフェニルボロン酸炭酸ナトリウムテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムとを、トルエン−エタノール−水中で加熱下反応させることにより、ジエチル2'-メチルビフェニル-2,4-ジカルボキシラートを得た。FAB-MS : 313 (M+H)+。
製造参考例1-b
ジエチル 2'-メチルビフェニル-2,4-ジカルボキシラートのエタノール溶液を、1M水酸化ナトリウム水溶液で処理することにより、2'-メチルビフェニル-2,4-ジカルボン酸を得た。FAB-MS : 257 (M+H)+。
製造参考例1-c
2'-メチルビフェニル-2,4-ジカルボン酸をポリリン酸中で、加熱することにより、5-メチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボン酸を得た。FAB-MS : 239 (M+H)+。
製造参考例2
3'-メチルビフェニル-2,4-ジカルボン酸を製造参考例1-cと同様に処理した後、得られた固体濃硫酸存在下、エタノール中で加熱することによりエステル化を行った。反応を処理した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、エチル6-メチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラート[FAB-MS : 267 (M+H)+]、及びエチル 8-メチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラート[FAB-MS : 267 (M+H)+]を、各々得た。

0032

製造参考例3
エチル4-ブロモ-2-クロロ安息香酸及び2-ホルミルフェニルボロン酸より、製造参考例1-aと同様にしてエチル 3-クロロ-2'-ホルミルビフェニル-4-カルボキシラートを製造した。FAB-MS : 288 (M)+。
エチル 3-クロロ-2'-ホルミルビフェニル-4-カルボキシラートと過塩素酸ナトリウムリン酸二水素ナトリウム2-メチル-2-ブテンとを、tert-ブタノール−アセトニトリル−水中で室温で反応させることにより、3'-クロロ-4'-(エトキシカルボニル)ビフェニル-2-カルボン酸を得た。FAB-MS : 305 (M+H)+。
以後は製造参考例1-c及び製造参考例2と同様にしてエチル 1-クロロ-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラート[FAB-MS : 287 (M+H)+]、及びエチル 3-クロロ-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラート [FAB-MS : 287 (M+H)+]を、各々製造した。
製造参考例4-a
9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボン酸とメチルリチウムとをTHF中で、-20℃〜0℃で反応させることにより、9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボン酸を得た。FAB-MS : 239 (M-H)-。
製造参考例4-b
9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボン酸と炭酸水素ナトリウム、ヨウ化メチルとをDMF中で、室温で反応させることにより、メチル 9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 255 (M+H)+。
製造参考例4-c
メチル 9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキシラートと硝酸鉄とをメタノール中で、加熱下反応させることにより、メチル 9-メトキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 269 (M+H)+。

0033

製造参考例5
メチル9-ヒドロキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキシラートと水素化ナトリウム、メトキシメチルクロリドとをDMF中、室温で反応させることにより、メチル 9-メトキシメトキシ-9-メチル-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 298 (M)+。
製造参考例6-a
THF中、3-クロロプロパン-1-オールメチルマグネシウムブロミドを作用させ、マグネシウムオキシドとした後、金属マグネシウムを作用させグリニヤール試薬(ClMg(CH2)3OMgBr)を調製した。これを製造参考例4-aと同様にして9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボン酸と反応させた後、得られた9-ヒドロキシ-9-ヒドキシプロピル-9H-フルオレン-2-カルボン酸を、製造参考例4-bと同様にヨウ化メチルと反応させることにより、メチル 9-ヒドロキシ-9-ヒドキシプロピル-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 297 (M-H)-。
製造参考例6-b
メチル 9-ヒドロキシ-9-ヒドキシプロピル-9H-フルオレン-2-カルボキシラートをp-トルエンスルホン酸存在下で、トルエン中加熱下反応させることにより、メチル 4’,5’-ジヒドロ-3’H-スピロ[フルオレン-9,2’-フラン]-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 281 (M+H)+。
製造参考例7-a
メチル 8-メチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートとN-ブロモスクシンイミド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルとを四塩化炭素中で、加熱下反応させることにより、メチル 8-ブロモメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。EI-MS : 330 (M)+、332 (M+2)+。
製造参考例7-b
メチル 8-ブロモメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートとジメチルアミン(2M、メタノール溶液)、炭酸カリウムとをTHF中、室温で反応させることにより、メチル 8-ジメチルアミノメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 296 (M+H)+。

0034

製造参考例8-a
メチル8-ブロモメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートと酢酸カリウムとをDMF中、室温で反応させることにより、メチル 8-アセトキシメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 311 (M+H)+。
製造参考例8-b
メチル 8-アセトキシメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートと炭酸カリウムとをメタノール−THF中、室温で反応させることにより、メチル 8-ヒドロキシメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 269 (M+H)+。
製造参考例8-c
メチル 8-ヒドロキシメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートとヨウ化メチル、酸化銀とをアセトニトリル中、加熱下反応させることにより、メチル 8-メトキシメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 283 (M+H)+。
製造参考例9
メチル 9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートと水素化ホウ素ナトリウムとをメタノール中、室温で反応させてカルボニル基を還元した後、得られた化合物と三フッ化ジエチルアミノ硫黄とを塩化メチレン中で、室温で反応させることにより、メチル 9-フルオロ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 243 (M+H)+。
製造参考例10
プロピル9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートとエチレングリコール、p-トルエンスルホン酸とをベンゼン中で、加熱下反応させることにより、プロピルスピロ[1,3-ジオキソラン-2,9’-フルオレン]-2’-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 311 (M+H)+。

0035

製造参考例11
プロピル9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートとオルト蟻酸メチルアセチルクロリドとをメタノール中で、室温で反応させることにより、プロピル 9,9-ジメトキシ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 313 (M+H)+。
製造参考例12
5-フルオロ-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボン酸と1,2-エタンジチオール三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体とを酢酸中で、加熱下反応させることにより、5’-フルオロスピロ[1,3-ジチオラン-2,9’-フルオレン]-2’-カルボン酸を得た。ESI-MS : 317 (M-H)-。
製造参考例13-a
メチル9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートとヒドロキシルアミン塩酸塩とをピリジン中で、室温で反応させることにより、メチル (9EZ)-9-ヒドロキシイミノ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 254 (M+H)+。
製造参考例13-b
メチル (9EZ)-9-ヒドロキシイミノ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートをジオキサン中、水素ガス雰囲気下、10%パラジウム炭素無水酢酸で処理することにより、メチル 9-アセチルアミノ-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 282 (M+H)+。

0036

製造参考例14-a
2-ブロモビフェニルn-ブチルリチウム(1.58M、ヘキサン溶液)とをTHF中で-78℃で反応させた後、シクロペンタノンのTHF溶液を加え、室温で反応させることにより、1-ビフェニル-2-イルシクロペンタノールを得た。EI-MS : 238 (M)+。
製造参考例14-b
1-ビフェニル-2-イルシクロペンタノールを蟻酸中で、加熱下反応させることにより、スピロ[シクロペンタン-1,9’-フルオレン]を得た。EI-MS : 220 (M)+。
製造参考例14-c
スピロ[シクロペンタン-1,9’-フルオレン]を用い、J. Am. Chem. Soc., 80, 4327(1958)記載の方法で、ブロム化を行うことにより、2’-ブロモスピロ[シクロペンタン-1,9’-フルオレン]を得た。EI-MS : 298(M)+、300 (M+2)+。
製造参考例14-d
2’-ブロモスピロ[シクロペンタン-1,9’-フルオレン]と青酸銅とをDMF中で、加熱下反応させることにより、スピロ[シクロペンタン-1,9’-フルオレン]-2’-カルボニトリルを得た。ESI-MS : 246 (M+H)+。
製造参考例14-e
スピロ[シクロペンタン-1,9’-フルオレン]-2’-カルボニトリルのエタノール溶液を8M水酸化カリウム水溶液と、加熱下反応させることにより、スピロ[シクロペンタン-1,9’-フルオレン]-2’-カルボン酸を得た。ESI-MS : 263 (M+H)+。

0037

製造参考例15
2-ブロモ-4'-メチルビフェニルとテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンを原料として製造参考例14-a同様に反応を行い、4-(4'-メチルビフェニル-2-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール[EI-MS : 268 (M)+]を得た後、製造参考例14-bと同様にして2-メチル-2’,3’,5’,6’-テトラヒドロスピロ[フルオレン-9,4’-ピラン][ESI-MS : 251 (M+H)+]を製造した。これと過マンガン酸カリウムとをピリジン−水中で、加熱下反応させ、得られた粗精製物を硫酸存在下、メタノール中で、加熱下反応させることにより、メチル 2’,3’,5’,6’-テトラヒドロスピロ[フルオレン-9,4’-ピラン]-2’-カルボキシラートを得た。ESI-MS : 295 (M+H)+。
製造参考例16-a
9H-フルオレン-9,9-ジイルジメタノールとメタンスルホニルクロリド、トリエチルアミンとを塩化メチレン中で、室温で反応させることにより、9H-フルオレン-9,9-ジイルジメチレンジメタンスルホナートを得た。EI-MS : 382 (M)+。
製造参考例16-b
9H-フルオレン-9,9-ジイルジメチレン ジメタンスルホナートとヨウ化ナトリウムとをヘキサメチルリン酸トリアミド中で、加熱下反応させることにより、9,9-ビス(ヨードメチル)-9H-フルオレンを得た。これをエタノール中、加熱下、亜鉛で処理することにより、スピロ[シクロプロパン-1,9’-フルオレン]を得た(EI-MS : 192 (M)+)。以後は製造参考例14-c〜14-eと同様にしてスピロ[シクロプロパン-1,9’-フルオレン]-2’-カルボン酸を製造した。ESI-MS : 235 (M-H)-。

0038

製造参考例17-a
2-ブロモ-9H-フルオレン及び[(2-クロロエトキシ)メチル]ベンゼンとを、tert-ブトキシカリウム存在下、DMSO中で加熱下反応させることにより、9,9-ビス[2-(ベンジルオキシ)エチル]-2-ブロモ-9H-フルオレンを得た。FAB-MS : 535 (M+Na)+, 537 (M+2+Na)+。
製造参考例17-b
9,9-ビス[2-(ベンジルオキシ)エチル]-2-ブロモ-9H-フルオレンのブロモ基を、製造参考例14-dと同様のシアノ化し、引き続き製造参考例14-eと同様の加水分解反応によりカルボキシル基へと変換し、更にヨウ化エチルを用いて製造参考例4-bと同様のエステル化反応を行うことにより、エチル 9,9-ビス[2-(ベンジルオキシ)エチル]-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 507 (M+H)+。
製造参考例17-c
エチル 9,9-ビス[2-(ベンジルオキシ)エチル]-9H-フルオレン-2-カルボキシラートとパラジウム炭素とを水素ガス雰囲気下、メタノール中で、室温で反応させることにより、エチル 9,9-ビス(2-ヒドロキシエチル)-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た(FAB-MS : 327 (M+H)+)。得られた化合物とp-トルエンスルホニルクロリドとを、トリエチルアミン存在下、塩化メチレン中、室温で反応させた後、得られた化合物とメチルアミン(40%メタノール溶液)を、炭酸カリウム存在下、ジオキサン中で、加熱下反応させることにより、メチル 1’-メチルスピロ[フルオレン-9,4’-ピペリジン]-2-カルボキシラートを得た。APCI : 308 (M+H)+。

0039

製造参考例18-a
メチル9H-フルオレン-2-カルボキシラート及びパラホルムアルデヒドとを、ナトリウムエトキシド存在下、DMSO中で室温で反応させることにより、メチル 9,9-ビス(ヒドロキシメチル)-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 284 (M)+。
製造参考例18-b
メチル 9,9-ビス(ヒドロキシメチル)-9H-フルオレン-2-カルボキシラートとtert-ブチルジメチルシリルクロリドを、ピリジン中で室温で反応させることにより、メチル 9,9-ビス({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-9H-フルオレン-2-カルボキシラートを得た。FAB-MS : 513 (M+H)+。
製造参考例19
4-テトラヒドロ-2H-ピラニルマグネシウムクロリド(4-クロロテトラヒドロ-2H-ピランとマグネシウムから調製)と9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボン酸から製造参考例4-aと同様にして製造した9-ヒドロキシ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-フルオレン-2-カルボン酸[FAB-MS : 309 (M-H)-]とトリエチルシラントリフルオロ酢酸中で室温で反応させることにより、9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-フルオレン-2-カルボン酸を得た。FAB-MS : 291 (M-H)-。
製造参考例20
9-ヒドロキシ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-フルオレン-2-カルボン酸と6M塩酸とをジオキサン中で加熱下反応させることにより、9-(テトラヒドロ-4H-ピラン-4-イリデン)-9H-フルオレン-2-カルボン酸を得た。FAB-MS : 294 (M)+。

0040

製造参考例21-a
2-フルオロ-6-ニトロフェニルトリフルオロメタンスルホナートと4-メチルフェニルホウ酸から製造参考例1-aと同様に反応を行い2-フルオロ-4’-メチル-6-ニトロビフェニル[FAB-MS : 232 (M+H)+]を得、このニトロ基を接触還元し(6-フルオロ-4’-メチルビフェニル-2-イル)アミン[EI-MS : 201 (M)+]へと導き、さらにザンドマイヤー反応を行い、2-ブロモ-6-フルオロ-4’-メチルビフェニルを得た。EI-MS : 266 (M)+, 268 (M+2)+。
製造参考例21-b
2-ブロモ-6-フルオロ-4’-メチルビフェニルとテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オンとをt-ブチルリチウム(1.48M、ペンタン溶液)を用いて製造参考例14-aと同様に反応を行ない、4-(6-フルオロ-4’-メチルビフェニル-2-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール[EI-MS : 286 (M)+]を得、更に製造参考例14-bと同様に反応を行ない、5-フルオロ-2-メチル-2’,3’,5’,6’-テトラヒドロスピロ[フルオレン-9,4’-ピラン]を得た。FAB-MS : 268 (M)+。
製造参考例21-c
5-フルオロ-2-メチル-2’,3’,5’,6’-テトラヒドロスピロ[フルオレン-9,4’-ピラン]、N-ブロモスクシンイミド及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを四塩化炭素中で加熱下反応させ、得られた粗精製物をアセトン−水中で硝酸銀と反応させることにより、5-フルオロ-2’,3’,5’,6’-テトラヒドロスピロ[フルオレン-9,4’-ピラン]-2-カルボアルデヒド[FAB-MS : 283 (M+H)+]を得た。更にこの化合物を、過塩素酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及び2-メチル-2-ブテンと、tert-ブタノール−アセトニトリル−水の混合溶媒中、室温で反応させることにより、5-フルオロ-2’,3’,5’,6’-テトラヒドロスピロ[フルオレン-9,4’-ピラン]-2-カルボン酸を得た。FAB-MS : 299 (M+H)+。
以上の製造参考例と同様にして製造参考例22〜111の化合物を製造した。それらの構造式物理学的性状を後記表1〜6に示す。

0041

製造例1
5-フルオロ-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボン酸400 mgのDMF20ml溶液に、CDI 402 mgを加え、50℃にて1時間攪拌した。室温まで放冷後、グアニジン炭酸塩743 mgを加え、室温で終夜攪拌した。溶媒を留去後、水を加え、析出した固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロマトレックス(登録商標)、メタノール/クロロホルム)で精製することにより、N-(ジアミノメチレン)-5-フルオロ-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド434 mgを黄色固体として得た。
製造例2
9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボン酸3.35 gのジメチルホルムアミド(DMF) 60 ml溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール2.67 gを加え、室温にて2.25時間攪拌した。この溶液をグアニジン塩酸塩7.16 gのDMF 20 ml溶液に水素化ナトリウム3.00 gを加え、室温にて1.5時間攪拌した溶液に氷冷下にて加え、室温にて1.5時間攪拌した。溶媒を留去後、水、酢酸エチルを加え、析出した固体をメタノールで洗浄することにより、N-(ジアミノメチレン)-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド3.00 gを黄色固体として得た。
製造例3
N-(ジアミノメチレン)-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド400 mgのメタノール溶液10 mlに、水素化ホウ素ナトリウム110 mgを加え、室温で1時間攪拌した。溶媒を留去後、クロロホルム、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、析出した固体をエタノール30 mlに溶解し、4M塩化水素酢酸エチル溶液0.2 mlを加え、室温で1.5時間攪拌した。生じた固体を濾取し、N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド塩酸塩380 mgを白色固体として得た。

0042

製造例4
N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド480 mgの塩化メチレン懸濁液20 mlに、チオニルクロリド1.0 gを加え、室温で30分間攪拌した。溶媒を留去後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、メタノール/クロロホルム)で精製することにより、9-クロロ-N-(ジアミノメチレン)-9H-フルオレン-2-カルボキサミド155 mgを得た。
製造例5
製造例1と同様にして製造したtert-ブチル(2-{[(ジアミノメチレン)アミノ]カルボニル}-9H-フルオレン-9-イル)カルバマート170 mgのメタノール溶液10 mlに、4M塩化水素−酢酸エチル溶液2 mlを加え、60℃で20分間攪拌した。そのまま熱時濾過し、得られた固体を熱エタノールで洗浄することにより、9-アミノ-N-(ジアミノメチレン)-9H-フルオレン-2-カルボキサミド2塩酸塩83 mgを得た。
製造例6
N-(ジアミノメチレン)-9,9-ビス({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-9H-フルオレン-2-カルボキサミド490 mgのメタノール溶液5 mlに、4M 塩化水素−メタノール溶液1 mlを加え、室温で2時間攪拌した。溶媒を留去し、酢酸エチルで洗浄し、N-(ジアミノメチレン)-9,9-ビス(ヒドロキシメチル)-9H-フルオレン-2-カルボキサミド塩酸塩250 mgを得た。

0043

製造例7
N-(ジアミノメチレン)-8-ヒドロキシメチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド55 mgのピリジン溶液3 mlに、ヒドロキシルアミン塩酸塩20 mgを加え、室温で10時間攪拌した。溶媒を留去後、水−エタノールを加え、析出した固体をクロマトレックス(メタノール/クロロホルム)で精製することにより、(9EZ)-N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシイミノ-8-ヒドロキシメチル-9H-フルオレン-2-カルボキサミド14 mgを白色固体として得た。
製造例8
N-(ジアミノメチレン)-9-ヒドロキシ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド470 mgのDMF溶液8 mlに、(2R)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-メチルブタン酸420 mg、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド400 mg 4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン22 mgを加え、室温で終夜攪拌した。溶媒を留去後、クロロホルム、飽和重曹水を加え不溶物を除去し、有機層飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、メタノール/クロロホルム)で精製した。得られた化合物270 mgをエタノール10 mlに溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル溶液2 mlを加え、40℃で終夜攪拌した。溶媒を留去後、2-プロパノールから再結晶を行うことにより、9-ヒドロキシ-N-[(2EZ,4S)-4-イソプロピル-5-オキソイミダゾリン-2-イリデン-9H-フルオレン-2-カルボキサミド塩酸塩30 mgを得た。
製造例9
グアニジン塩酸塩1.38gのDMF8ml溶液にナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28%)2.99 mlを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にエチル 6-メチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキシラート350 mgのDMF 4 ml溶液を加え、100℃にて3時間攪拌した。室温まで放冷し、溶媒を留去後、メタノール、水、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、析出した固体をメタノール5 mlで洗浄し、N-(ジアミノメチレン)-6-メチル-9-オキソ-9H-フルオレン-2-カルボキサミド215 mgを黄色固体として得た。

0044

以上の製造例と同様にして製造例10〜110の化合物を製造した。それらの構造式と物理学的性状を後記表7〜18に示す。また、後記表19及び表20の化合物は前記製造例や製造参考例に記載の方法とほぼ同様にして、或いはそれらの方法より当業者に自明な若干の変法を適用することにより、容易に製造することができる。
尚、後記表中の製造例56a及び56b、60a及び60b、78a及び78bの6化合物は、ラセミ体として製造した製造例56、60及び77の各化合物を光学活性カラムを用いて分割することにより製造した。以下に使用カラム及び移動相として用いた溶媒を示す。
製造例56a及び56b
使用カラム:CHIRALPAK AD-H、移動相:メタノール/ジエチルアミン
製造例60a及び60b
使用カラム:CHIRALPAK OJ、移動相:エタノール/ジエチルアミン。
製造例78a及び78b
使用カラム:CHIRALPAK AD-H、移動相:ヘキサン/エタノール/トリエチルアミン。

0045

製造例111
2-アミノ-4-(4-フルオロナフト-1-イル)-6-イソプロピルピリミジン(以下RS-127445と略記する)を国際公開第97/44326号公報記載の方法により、また(R)-3-(2-(2-(4-メチルピペリジン-1-イル)エチル)ピロリジン-1-スルホニル)フェノール(以下SB-269970と略記する)を国際公開第97/48681号公報記載の方法により、それぞれ製造した。

0046

表中の記号は以下の意味を有する。置換基の前の数字は置換位置を示す。
Me:メチル、Et:エチル、Bu:ノルマルブチル、REx:製造参考例番号、Ex:製造例番号、Cmp:化合物番号、RSyn及びSyn:製造法(数字は同様に製造した製造参考例番号及び製造例番号を示す。)、Str:構造式、Sal:塩(無記載:フリー体;HCl:塩酸塩;数字は酸成分のモル比を示し、例えば、2HClは二塩酸塩を意味する。)、Dat:物理化学的性状(FAB:FAB-MS、ESI:ESI-MS、EI:EI-MS、NMR核磁気共鳴スペクトル(DMSO-d6,TMS内部標準)の代表的なピークのδ値。
尚、表中の置換基に「*」を付記した化合物は、当該置換基の結合した炭素不斉に基づく光学異性体を分離した片方の異性体であることを示す。また、表中に示す以下の記号は高速液体クロマトグラフィーによる分析条件を示す。Proc.A:(カラム:CHIRALPAK AD-H[0.46 cm I.D. x25 cm]、移動相、メタノール/ジエチルアミン=100/0.1、流速:0.5 ml/min、温度:20℃、波長:260 nM)、Proc.B:(カラム:CHIRALPAK OJ[0.46 cm I.D. x25 cm]、移動相、エタノール/ジエチルアミン=100/0.1、流速:0.3 ml/min、温度:40℃、波長:264 nM)、Proc.C:(カラム:CHIRALPAK AD-H [0.46 cm I.D. x25 cm]、移動相、ヘキサン/エタノール/トリエチルアミン=50/50/0.05、流速:1.0 ml/min、温度:25℃、波長:257 nM)。

0047

0048

0049

0050

0051

0052

0053

0054

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0056

0057

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0059

0060

0061

0062

0063

0064

0065

0066

0067

以下、実施例により、本発明のIBSの治療薬の薬理作用を説明する。また、受容体親和性の試験結果を参考例に示す。

0068

参考例15-HT2B受容体結合実験
(i)膜標品調製
ヒト5-HT2B受容体発現細胞は文献(FEBSLetters (1994) 342, 85-90)に従って作製した。遺伝子導入細胞HEK293-ENBA細胞を用いた。
培養したヒト5-HT2B受容体発現HEK293-EBNA細胞をPBS(-)で洗浄した。PBS(-)存在下スクレーパーで細胞を剥がし、遠心処理(1,000 rpm, 10 min, 4 ℃)により細胞を回収した。5 mM Tris-HCl (pH 7.4)緩衝液存在下Polytron (PTA10-TS)でホモジナイズし、遠心処理(40,000 x g, 10 min, 4℃)した。50 mM Tris-HCl (pH 7.4)緩衝液存在下ホモジナイザーで懸濁させた。遠心処理(40,000 x g, 10 min, 4℃)を行い、50 mM Tris-HCl (pH 7.4)中に懸濁し、-80℃で保存した。
(ii) 受容体結合実験
50 mM Tris-HCl, 4 mM CaCl2 (pH 7.4)緩衝液、ヒト5-HT2B受容体発現HEK293-EBNA細胞膜標品ラジオリガンド[3H]Mesulergine (3.1 TBq/mmol;)を含む総量500μlを25℃で1時間インキュベーションした。化合物は100%DMSOに溶解し、各濃度に希釈した。非特異的結合は、1μM ritanserin存在下での結合量とし、全結合量から、非特異的結合量を差し引いたものを特異的結合量とした。50 mM Tris-HCl 緩衝液 (pH 7.4) 4 mLを加えて、GF/Bグラスフィルター減圧濾過し、フィルターを同じ緩衝液で洗浄(4 mL x 3)した。グラスフィルターを5 mLの液体シンチレータ(Aquasol-2)に浸し、液体シンチレーションカウンター放射能量を測定した。受容体結合を50%阻害する化合物濃度、IC50値は、SAS(ver. 6.11)を用いて非線形回帰分析により求め、受容体に対する親和性を表すKi値は、Cheng & Prussoffの式; Ki=IC50/(1+[L]/[Kd]) ([L]: リガンド濃度、[Kd]:解離定数)を用いて算出した。
前記製造例3の化合物は1.8 nMのKi値を示した。また、製造例4、7、8、34、38、56、56a、56b、59、60、60a、60b、63、71、72、77、78a、78b、85及び87の化合物は0.1〜350nMのKi値を示した。

0069

参考例25-HT7受容体結合実験
(i)膜標品調製
ヒト5-HT7受容体発現細胞は文献(J. Biol. Chem. (1993) 268, 31, 23422-23426, Br. J. Phaemacol. (1997) 122, 126-132)に従って作製した。遺伝子導入細胞にCHO細胞を用いた。
培養したヒト5-HT7受容体発現CHO細胞をPBS(-)で洗浄した。PBS(-)存在下スクレーパーで細胞を剥がし、遠心処理(1,000 rpm, 10 min, 4 ℃)により細胞を回収した。5 mM Tris-HCl (pH 7.4)緩衝液存在下Polytron (PTA10-TS)でホモジナイズし、遠心処理(40,000 x g, 10 min, 4℃)した。50 mM Tris-HCl (pH 7.4)緩衝液存在下ホモジナイザーで懸濁させた。遠心処理(40,000 x g, 10 min, 4℃)を行い、50 mM Tris-HCl (pH 7.4)中に懸濁し、-80℃で保存した。
(ii) 受容体結合実験
50 mM Tris-HCl, 4 mM CaCl2 (pH 7.4)緩衝液、ヒト5-HT7受容体発現CHO細胞膜標品、ラジオリガンド[3H]5-HT (3.40 TBq/mmol)を含む総量500μlを25℃で1時間インキュベーションした。化合物は100%DMSOに溶解し、各濃度に希釈した。非特異的結合は、10μM metergoline存在下での結合量とし、全結合量から、非特異的結合量を差し引いたものを特異的結合量とした。50 mM Tris-HCl 緩衝液 (pH 7.4) 4 mLを加えて、GF/Bグラスフィルターで減圧濾過し、フィルターを同じ緩衝液で洗浄(4 mL x 3)した。グラスフィルターを5 mLの液体シンチレータ(Aquasol-2)に浸し、液体シンチレーションカウンターで放射能量を測定した。受容体結合を50%阻害する化合物濃度、IC50値は、SAS(ver. 6.11)を用いて非線形回帰分析により求め、受容体に対する親和性を表すKi値は、Cheng & Prussoffの式; Ki=IC50/(1+[L]/[Kd]) ([L]: リガンド濃度、[Kd]:解離定数)を用いて算出した。
前記製造例3の化合物は17.6 nMのKi値を示した。また、製造例4、7、8、34、38、56、56a、56b、59、60、60a、60b、63、71、72、77、78a、78b、85及び87の化合物は0.4〜310nMのKi値を示した。

0070

参考例3 他の受容体に対する親和性
製造例3の化合物の5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2C、5-HT3、5-HT4、5-HT6、α1、M1及びD2受容体への親和性を、公知の手法(Journal of Neurochemistry (1986) 47, 529-540; Molecular Pharmacology (1982) 21, 301-314; European Journal of Pharmacology (1985) 106, 539-546; Journal of Pharmacology Experimental Therapy (1992) 263 ,1127-1132; British Jouurnal of Pharmacology (1993) 109, 618-624; Molecular Pharmacology (1993) 43, 320-327; Molecular Pharmacology (1989) 35, 324-330; Cellular Molecular Neurobiology (1988) 8, 181-191; European Journal of Pharmacology (1988) 173, 177-182)を用いて確認した。その結果、本化合物のIC50値は5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2c、5-HT3、5-HT4、5-HT6、α1、M1及びD2の各受容体について全て1μM以上であった。また、前記製造例56、59、60、71、72、77及び85の化合物についてα1、M1及びD2の各受容体への親和性を上記の手法を用いて確認した結果、これらの化合物の5-HT2B及び5-HT7受容体選択性は、α1、M1及びD2受容体に比べ100倍以上であった。
以上の結果より、本製造例化合物は5-HT2B及び5-HT7受容体の両方に選択的な結合親和性を有する5-HT2B及び5-HT7受容体二重拮抗化合物であった。
なお、下記実施例1に記載したRS-127445及びSB-269970の各受容体への親和性は公知であり、RS-127445に関しては、例えばBritish Journal of Pharmacology (1999) 127, 1075-1082より、当該化合物の5-HT2B受容体へのpKiは9.5であり、5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2c、5-HT3、5-HT6、5-HT7、α1、M1及びD2受容体等と比べて1000倍以上5-HT2B受容体選択的であることが報告されている。また、SB-269970に関しては、例えばJ. Med. Chem. (2000) 43, 342-345により、当該化合物の5-HT7受容体へのpKiは8.9であり、5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2c、5-HT4、5-HT6、α1、及びD2受容体等と比べて250倍以上5-HT7受容体選択的であることが報告されている。

0071

実施例1拘束ストレス負荷時の便排出に対する被験化合物抑制効果
本発明医薬のIBS治療効果は、ラットに拘束ストレスを負荷し、排便量を測定する試験法を用いて評価した(J. Pharmacol. Exp. Ther. (1992) 261, 297-303参照)。本試験は下痢型IBS治療薬である5-HT3受容体アンタゴニストが有効性を示すことが知られている動物モデルである。
試験法
雄性ウィスターラット(体重250-320g、各群10匹)に被験薬を投与し、30分後に拘束ストレスを負荷した。拘束ストレス負荷には拘束ケージ(KN-468、幅265mm×縦95mm×高さ200mm、夏目製作所、東京)を用い、ストレス負荷後1時間の排便個数を数えた。
各化合物の投与時及び非投与時において測定した排便個数の値を図1図4に示す。いずれも横軸は化合物の投与量を、縦軸は1時間あたりの排便個数を示す。コントロールとはストレス非負荷時の排便個数、すなわち基準値を示す。
図1に示すように、5-HT2B選択的拮抗化合物であるRS-127445は、10mg/kgの投与量を経口投与(以下p.o.と略)した場合でも便排出の抑制作用を示さなかった。
また、図2に示すように、5-HT7選択的拮抗化合物であるSB-269970もまた、10mg/kg(p.o.)の投与量でも便排出の抑制作用を示さなかった。
いずれの化合物も、参考例3に記載したように、強力な受容体親和性を有するにもかかわらず、10mg/kg投与においても全く抑制作用を示していない。
一方、図3に示すように、RS-127445及びSB-269970の両化合物を同時に投与した場合、相乗的な効果が得られることが分った。すなわち、図1及び図2に示されるように、RS-127445及びSB-269970は、各々単独では10mg/kg(p.o.)でも作用を示さなかったが、両化合物を同時に投与した場合、1mg/kg(p.o.)の投与量から有意な抑制作用を示すことが明らかとなった。
この効果は選択的に5-HT2B受容体拮抗作用と5-HT7受容体拮抗作用を併有する製造例3の化合物を用いても同様であり、図4に示すように本化合物は3mg/kgの投与量を腹腔内投与(以下i.p.と略)した場合に有意な抑制作用を示した。
また、製造例60bの化合物は、3mg/kg(p.o.)の投与量で、製造例3と同等程度の抑制作用を示した。
以上の結果より、5-HT2B受容体選択的拮抗化合物及び5-HT7受容体選択的拮抗化合物は、単独では十分な薬理作用を発現しないことが確認された。また、5-HT2B受容体拮抗作用を有する医薬及び5-HT7受容体拮抗作用を有する医薬の併用、並びに両作用を併せ持つ医薬は、一方の選択的受容体拮抗剤では成し得ない優れたIBSの治療効果を発揮するものであることが示された。

0072

本発明のIBS治療薬は、5-HT2B及び5-HT7受容体の機能を同時に阻害することにより、優れたIBSの治療効果を発揮するものであり、また、既存薬に報告される5-HT2B及び5-HT7受容体以外の受容体拮抗に起因する副作用が低減されることから、効果に優れる安全性の高いIBS治療薬として有用である。

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