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技術 通信装置、記憶媒体、集積回路および通信システム

出願人 パナソニック株式会社
発明者 高垣景一横田博史古門健岡崎芳紀ザビルサラウッディンムハマドサリム
出願日 2005年11月22日 (14年1ヶ月経過) 出願番号 2006-550623
公開日 2008年6月12日 (11年6ヶ月経過) 公開番号 WO2006-070542
状態 未査定
技術分野 広域データ交換
主要キーワード 対処装置 上書きフラグ 適用環境 経路変更後 ポート番 ファイル転送データ 送信制御データ 送信プロトコル処理
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、QoS制御可能な通信装置、および通信ステムを提供することを目的とする。本発明のQoS制御部121有する第1IP電話機などの装置114が、低優先度通信を行っているPCなどの装置111に第1送信制御データを送信する。第1送信制御データは、低優先度通信の通信経路を変更するためのデータを含み、第1送信制御データを受信したPC111は、以降低優先度通信を第1IP電話機などの装置114経由で行うようになり、第1QoS制御部121において優先度制御が可能となる。本発明はARPやICMPなど広く用いられているプロトコルを利用するため、制御データを受信する装置111は本発明に特有のプロトコルを持つ必要がない。

概要

背景

近年、多くの職場家庭などにおいてブロードバンドインターネット接続が利用されている。現在の家庭における代表的なインターネット接続構成を図32に示す。ユーザは第1ISP(インターネットサービスプロバイダ)3と契約し、購入(もしくはISPからレンタル)した第1ルータ12を第1家庭1内に設置する。そして、その第1ルータ12に、PC(Personal Computer)11などのインターネット2に接続したい装置を接続する。

この環境においてPC11がインターネットに公開されているサーバ13と通信するときには、第1ルータ12、アクセス回線6、第1ISP3、インターネット2等を経由することになる。なお現状、アクセス回線としてはADSL回線下り:1Mbps〜50Mbps程度、上り:512Kbps〜5Mbps程度(非特許文献1参照))が広く普及している。また、家庭内LANにおける伝送媒体としてはEthernet(登録商標)(双方向100Mbps)が一般的に利用されている。また、ここで述べた第1ルータ12はインターネット側にADSLモデム機能や、LAN(家庭内)側にハブ機能などを必要に応じて含んでいる場合もあるが、ここでは単にルータと呼ぶこととする。

また、ここ数年IP電話IPテレビ電話など、インターネットで利用されているIP(インターネットプロトコル)を利用してリアルタイム通信を行うアプリケーションが普及していきている。例えば、企業においてはIPセントレックスIP電話システム、家庭においてはADSLや光ファイバーなどによるブロードバンドインターネット接続を利用したIP電話の利用などがそれにあたる。

しかし、IPは基本的に品質保証する機能を持たないため、リアルタイム通信を行う場合に、通信帯域が十分でなかったり、他の通信の影響などを受けたりするとサービス品質(QoS:Quality of Service)が低下する可能性がある。

例えば、図32の環境に単純にIP電話機を接続する構成である図33を例に考えた場合、QoSの低下が発生するおそれがある。以下では、その仕組みについて説明する。

図33では、第1ルータ12のLAN側に第1IP電話機14を接続している。この構成で第1IP電話機14と別の第2家庭4内に存在する第2IP電話機17との間で通信を行うときには、第1ルータ12、第1ISP3、インターネット2、および第2家庭4側の第2ISP5、第2ルータ16を経由することになる。

ここで、図33のような環境でPC−サーバ間通信31を行うのと同時にIP電話通信32を行う場合を考えると、両方の通信が第1ルータ12および第1ISP3を経由することになる。以下では、このときの第1ルータ12の処理について説明し、そこで発生する現象によりIP電話のQoSが低下することを述べる。

図34は図33における第1ルータ12の内部の詳細構造(特にLAN側からアクセス回線側へのデータ転送に関係する部分のみ)を模式的に示したものである。なお、図34における第1家庭1より外での構成は図33と同じである。

はじめに、IP電話−IP電話間の通信32のみが存在するときの動作について述べる。まず、第1IP電話機14は音声データをIPパケットとしてLAN回線7に送出する。次に第1ルータ12は、このパケットを受信すると、一旦受信バッファ21にデータを蓄える。そして、送信処理部22が受信バッファ21の先頭にあるデータを処理し、アクセス回線6へ送出する。第1IP電話機14が送出する音声データの送信量は約64Kbps(ITU−T G.711の場合)程度であり、下位レイヤにおけるプロトコルオーバヘッドを考慮してもその2倍以内である。よって、ADSLの上り回線速度(512Kbps〜)には達しないため、受信バッファ21には多くのデータが蓄積されることはなく、受信したデータを即座にアクセス回線6へ送出することができる。このため、IP電話通信のQoSは確保される。

次に、IP電話−IP電話間の通信32に加えてPC−サーバ間の通信31が同時に行われている場合の第1ルータ12の処理を考える。例えば、PC−サーバ間の通信31がファイル転送であるとすると、PC11はファイル転送をできるだけ高速に行おうとするため、大量のデータを一気にLAN回線7に送信する。LAN回線7の転送速度(100Mbps)は、ADSLの上り回線速度(最大5Mbps程度)に比べて非常に高速である。そのため、第1ルータ12の受信バッファ21には多くのデータが一気に蓄積される。送信処理部22は受信バッファ21に蓄積されたデータを先頭に存在するデータから順にアクセス回線6へ送出していく。このような状況下においては、以下のような(現象1)〜(現象3)をはじめとする現象が発生する
(現象1)IP電話通信のデータが受信バッファ21に蓄えられてからアクセス回線6へ送出されるまでの遅延時間が長くなる。

(現象2)IP電話通信のデータが受信バッファ21に蓄えられるときに、受信バッファ21にどれだけのデータが蓄えられているかがタイミングによって異なり、その結果遅延時間のゆらぎジッタ)が発生する。

(現象3)IP電話通信のデータが第1ルータ12に到着したときに受信バッファ21に空きがないと、到着したIP電話通信のデータが破棄され、データの損失が発生する。

上記のような現象が発生すると、受信側において音声を正常に再生するタイミングにデータの到着が間に合わなくなり、音声が途切れたり音質が低下したりする。

そこで、非特許文献2では、上記のような現象が発生することによるIP電話通信のQoS低下を起こさせないことを可能とする構成での、家庭向けIP電話サービスが開示されている。図35は、IP電話機としての機能(音声データ変換部22等)とともに、専用ルータ60を利用し、アナログ電話機70と専用ルータ60とをアナログ回線73で接続する構成を示す。このような構成の場合には、専用ルータ60において、次のような処理を行うことでIP電話のQoSを向上することができる。

まず、アナログ電話機70からのアナログデータは音声データ変換部25で変換され、IP電話通信の音声データとして利用される。ここで、PC11からのファイル転送データは、受信バッファ23に蓄積され、音声データ変換部25で変換されたIP電話通信のための音声データは、音声データバッファ24に蓄えられる。次に、送信処理部22は、音声データバッファ部24に音声データが蓄積されている場合は、そのデータを優先的にADSL上り回線であるアクセス回線6に送信する。一方、送信処理部22は、受信バッファ23に蓄積されているファイル転送データを、音声データバッファ24に音声データ
が蓄積されていない場合にのみアクセス回線6に送信する。このようにすることで、音声データは音声データバッファ24において長時間待たされることはなく、また音声データが損失することもない。このようにしてIP電話通信のQoSを向上することができる。

ただし、上記の制御を行なった場合でもさらに以下の現象4の発生により、IP電話通信のQoSが低下する可能性がある。

(現象4)IP電話通信のための音声データパケットが、ファイル転送データがアクセス回線に送信されている間に音声データバッファ24に到着すると、音声データパケットの送信はファイル転送データ送信完了まで行われない。その結果、音声データの遅延や遅延揺らぎが発生する。

以下、現象4について図35および図36を用いて詳細に説明する。図36はルータからのデータ送信期間を説明するための説明図である。図36には、ルータへのファイル転送データの到着タイミングと、音声データ発生のタイミングと、アクセス回線6への各データの送信期間とが図示されており、横軸は時間を表す。まず、音声データが音声データバッファ24に蓄積されておらず、ファイル転送データのみが受信バッファ23に蓄積されている状態を考える。この状態は、例えば、それぞれのバッファ23及び24にデータが全く存在しない状態で図36におけるファイル転送データの到着2501が起こった場合に起こる。上記の制御によれば、まず、最初にバッファ23に到着したファイル転送データがアクセス回線6に送信され始める。図36のように、ファイル転送データの送信が終了するまでの間に第1音声データ2502が発生したとする。第1音声データは、ファイル転送データが完全にアクセス回線6に送出され終わるまで、音声データバッファ24に蓄積されたままとなる。よって、第1音声データの待ち時間2511が発生する。この待ち時間は最大で“ファイル転送データ送信にかかる時間=ファイル転送データのパケットサイズビット)/アクセス回線速度”で計算される値となる。この待ち時間が遅延時間や遅延時間のゆらぎ(ジッタ)の原因となりIP電話通信のQoSを低下させる。

なお、ファイル転送データは一般的にTCP(Transmission Control Protocol)を利用して転送されるため、1パケットあたり1500バイ
程度のサイズとなることが多い。例えばアクセス回線の速度が512Kbpsとすると、1パケット送信にかかる時間は約23ミリ秒となる。非特許文献3では、総務省が規定するIP電話の品質基準について述べられており、その中で通話品質固定電話並みであるとするクラスAの基準として、エンドトゥエンド遅延を100ミリ秒以下と規定していることから考えると、前述の23ミリ秒という遅延はIP電話通信のQoSの低下につながるといえる。

このような現象4に起因する音声通信データの待ち時間を減少させ、QoSを向上させるために、例えば特許文献1では、ルータ装置音声通信およびPCによる通信のデータをインターネットなどの外部ネットワークに転送する装置であり、図35での専用ルータ60に相当する)が、PCによる通信データをアクセス回線に転送する前にIPフラグメント断片化)を行なっている。このように、ファイル転送データをフラグメントすることにより、パケットサイズが小さくなる。よって、パケットサイズが小さくなったファイル転送データとファイル転送データとの間に音声データを割りこませることで、音声データの待ち時間を小さくすることができる。

また、特許文献2には、IP電話通信などのリアルタイム通信のQoS制御を実現するために、帯域などのネットワークリソース通信開始前に予め確保する方法が開示されている。これにより現象1〜現象3に起因するリアルタイム通信のQoS低下を防ぐことができる。特許文献2においては、リアルタイム通信を中継する各ルータが、そのルータを経由する各フローと各フローに割り当てられる帯域との対応を管理する帯域管理テーブルを持ち、その帯域管理テーブルに基いて帯域制御を行う。ここで、各フローには、リアルタイム通信、および非リアルタイム通信を含む任意のフローが含まれ、それぞれはIPヘッダ送信元アドレス宛先アドレスにより識別される。また、各ルータの帯域管理テーブルを集中管理するためのサーバ装置別途存在し、リアルタイム通信を行う通信機器からの要求に応じて、サーバ装置が各ルータの帯域管理テーブルの設定を行う。
特開2001−53805号公報特開2003−60691号公報ADSL回線提供業者e−accessのサービス一覧<http://www.eaccess.net/service/47miri/index.html>、検索日2004年9月10日IP電話サービスYahoo!BBサービス利用時の接続構成図<http://bbpromo.yahoo.co.jp/promotion/service/bbphone/simple_guide.html>、検索日2004年9月10日「IPネットワーク技術に関する研究会報告書<http://www.soumu.go.jp/s−news/2002/020222_3.html>、検索日2005年1月13日

概要

本発明は、QoS制御可能な通信装置、および通信システムを提供することを目的とする。本発明のQoS制御部121有する第1IP電話機などの装置114が、低優先度通信を行っているPCなどの装置111に第1送信制御データを送信する。第1送信制御データは、低優先度通信の通信経路を変更するためのデータを含み、第1送信制御データを受信したPC111は、以降低優先度通信を第1IP電話機などの装置114経由で行うようになり、第1QoS制御部121において優先度制御が可能となる。本発明はARPやICMPなど広く用いられているプロトコルを利用するため、制御データを受信する装置111は本発明に特有のプロトコルを持つ必要がない。

目的

本発明は、QoS制御可能な通信装置、および通信システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

優先度が異なる複数の通信が行われるネットワークを介して通信を行う通信装置の1つであり、前記優先度に応じて通信を制御する通信装置であって、各通信の優先度に関する優先度情報を保持する優先度情報保持手段と、前記優先度情報に基づいて、低優先度通信通信経路を変更するための第1制御データを生成し、前記低優先度通信を行う低優先度通信装置または前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に前記第1制御データを送信する経路変更制御手段と、を含むことを特徴とする、通信装置。

請求項2

前記経路変更制御手段は、前記第1制御データに含まれる前記低優先度通信の通信経路の宛先を、送信不可能なアドレスに変更することを特徴とする、請求項1に記載の通信装置。

請求項3

前記経路変更制御手段は、前記第1制御データに含まれる前記低優先度通信の通信経路の宛先を、前記優先度に応じて通信を制御する通信装置のアドレスに変更し、前記低優先度通信装置から前記ネットワークへの送信データの出力を制御する通信制御手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の通信装置。

請求項4

前記通信制御手段は、少なくとも1の受信データの送信先が自装置であるか否か、かつ前記受信データが前記低優先度装置からの低優先度通信データであるか否かを解析する解析手段と、前記解析手段による解析結果に応じて、送信先が自装置以外である低優先度通信データよりも、高優先度通信データを優先的に選択してその送信先に送信するように制御する選択手段とを有することを特徴とする、請求項3に記載の通信装置。

請求項5

前記通信制御手段は、前記解析手段による解析の結果として、送信先が自装置以外である低優先度通信データの送信元アドレスを自装置のアドレスに、前記低優先度通信データの宛先アドレスを経路変更前の低優先度通信装置から送信された低優先度通信データの元の宛先アドレスに書き換えるアドレス書換処理を行う調整手段をさらに有し、前記調整手段は、前記アドレス書換処理後の低優先度通信データを前記選択手段に送信することを特徴とする、請求項4に記載の通信装置。

請求項6

前記解析手段による解析の結果として、宛先が自装置である受信データを処理する上位層処理部をさらに含み、前記解析手段は、前記受信データの宛先が自装置であるかどうかを、前記受信データのIPヘッダを解析し宛先が自装置のIPアドレスであるかどうかにより判断し、前記受信データの宛先が自装置である場合には前記上位層処理部に前記受信データを送信し、宛先が自装置以外の場合は、前記選択手段に前記受信データを送信することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。

請求項7

前記通信制御手段をハードウェアにより実現することを特徴とする、請求項3に記載の通信装置。

請求項8

前記通信制御手段は、前記低優先度通信データの一部または全部を破棄する調整手段をさらに有し、前記調整手段は、一部または全部が破棄された後の低優先度通信データを前記選択手段に送信することを特徴とする、請求項4に記載の通信装置。

請求項9

前記通信制御手段は、前記低優先度通信の通信レートを調整するための第1調整処理を行う調整手段をさらに有し、前記調整手段は、前記第1調整処理後の低優先度通信データを前記選択手段に送信することを特徴とする、請求項4に記載の通信装置。

請求項10

前記調整手段は、TCPヘッダウィンドウフィールドの値を調整することで送信レートを調整することを特徴とする、請求項9に記載の通信装置。

請求項11

前記低優先度通信データを蓄積するための蓄積手段をさらに有し、前記調整手段は、前記低優先度通信データがTCPデータパケットもしくはTCPのACKパケットであった場合に、前記低優先度通信データを、前記蓄積手段を用いて一定時間蓄積した後、前記選択手段に送信することを特徴とする、請求項9に記載の通信装置。

請求項12

前記通信制御手段は、前記低優先度通信装置からの送信データを第1の分割方法を用いて複数のデータに分割する調整手段をさらに有し、前記調整手段は、前記第1の分割方法を用いて複数に分割されたデータを、前記選択手段に送信することを特徴とする、請求項4に記載の通信装置。

請求項13

前記第1の分割方法は、IPフラグメントに分割することを特徴とする、請求項12に記載の通信装置。

請求項14

前記通信制御手段は、前記低優先度通信装置から受信した通信データに基づいて、前記低優先度通信装置から前記低優先度通信装置の相手先の通信装置への通信データもしくは前記低優先度通信装置の相手先の通信装置から前記低優先度通信装置への通信データのサイズを制御するための第3制御データを生成し、前記低優先度通信装置もしくは前記相手先の通信装置に送信する調整手段をさらに有することを特徴とする、請求項4に記載の通信装置。

請求項15

前記第3制御データはTCPのSYNパケットであり、前記調整手段は、受信したSYNパケットに含まれるMSS値を所望の値に変更したSYNパケットを生成することを特徴とする、請求項14に記載の通信装置。

請求項16

前記第3制御データはICMP宛先到達不能要断片化パケットであり、前記調整手段は、それ以前に低優先度通信装置から送信されたパケットに含まれるデータの一部を含み、また所望のMTU値を含んだICMP宛先到達不能要断片化パケットを生成することを特徴とする、請求項14に記載の通信装置。

請求項17

前記経路変更制御手段は、前記第1制御データにおいて、前記低優先度通信の通信経路の宛先を前記自装置のアドレスに変更し、かつ、前記優先度情報に基づいて高優先度通信の通信経路を変更するための第2制御データを生成し、前記第2制御データにおける前記高優先度通信の通信経路の宛先を前記自装置のアドレスに変更して前記高優先度通信装置に前記第2制御データ送信することを特徴とする、請求項1に記載の通信装置。

請求項18

前記経路変更制御手段が送信する第1制御データは、ARP要求パケットARP応答パケット、ICMP経路変更パケット及びICMPv6近隣探索パケットのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の通信装置。

請求項19

前記高優先度通信装置によるネットワークを介した通信が行われているかどうかを検出する検出手段をさらに含み、前記経路変更制御手段は、前記高優先度通信装置による通信が行われている場合にのみ前記低優先度通信装置または中継装置に前記第1制御データを送信することを特徴とする、請求項1に記載の通信装置。

請求項20

高優先度通信の品質を保持するために設定されたQoS値を保持するQoS値保持手段をさらに有し、前記検出手段は、さらに高優先度通信の品質を示す値を算出し、前記算出された品質を示す値と前記QoS値とを比較し、前記算出された品質を示す値が前記QoS値よりも小さい場合は、前記経路変更制御手段は、前記第1制御データを前記低優先度通信装置または前記中継装置に送信することを特徴とする、請求項19に記載の通信装置。

請求項21

ネットワークを介して行われる優先度が異なる複数の通信において、前記優先度に応じて通信を制御する制御装置が実行する優先制御プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、各通信の優先度に関する優先度情報を保持する優先度情報保持手段及び、前記優先度情報に基づいて、低優先度通信の通信経路を変更するための第1制御データを生成し、前記低優先度通信を行う低優先度通信装置または前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に前記第1制御データを送信する経路変更制御手段としてコンピュータを機能させる優先制御プログラムを記録したことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。

請求項22

優先度が異なる複数の通信が行われるネットワークにおいて、前記優先度に応じて通信を制御する集積回路であって、各通信の優先度に関する優先度情報を保持する優先度情報保持手段と、前記優先度情報に基づいて、低優先度通信の通信経路を変更するための第1制御データを生成し、前記低優先度通信を行う低優先度通信装置または前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に前記第1制御データを送信する経路変更制御手段と、を含むことを特徴とする集積回路。

請求項23

通信の優先度に応じて通信を制御する通信装置と優先度が異なる複数の通信装置とが接続されている通信システムにおいて、前記優先度に応じて通信を制御する通信装置は、各通信の優先度に関する優先度情報を保持する優先度情報保持手段と、前記優先度情報に基づいて、優先度が低い低優先度通信の通信経路を変更するための第1制御データを生成し、前記低優先度通信を行う低優先度通信装置または前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に前記第1制御データを送信する経路変更制御手段とを含み、前記低優先度通信装置または、前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置は、前記優先度に応じて通信を制御する通信装置から前記第1制御データを受信し、前記低優先度通信の通信経路を変更することを特徴とする、通信システム。

技術分野

0001

本発明は、QoS制御可能な通信装置記憶媒体集積回路および通信ステムに関する。

背景技術

0002

近年、多くの職場家庭などにおいてブロードバンドインターネット接続が利用されている。現在の家庭における代表的なインターネット接続構成を図32に示す。ユーザは第1ISP(インターネットサービスプロバイダ)3と契約し、購入(もしくはISPからレンタル)した第1ルータ12を第1家庭1内に設置する。そして、その第1ルータ12に、PC(Personal Computer)11などのインターネット2に接続したい装置を接続する。

0003

この環境においてPC11がインターネットに公開されているサーバ13と通信するときには、第1ルータ12、アクセス回線6、第1ISP3、インターネット2等を経由することになる。なお現状、アクセス回線としてはADSL回線下り:1Mbps〜50Mbps程度、上り:512Kbps〜5Mbps程度(非特許文献1参照))が広く普及している。また、家庭内LANにおける伝送媒体としてはEthernet(登録商標)(双方向100Mbps)が一般的に利用されている。また、ここで述べた第1ルータ12はインターネット側にADSLモデム機能や、LAN(家庭内)側にハブ機能などを必要に応じて含んでいる場合もあるが、ここでは単にルータと呼ぶこととする。

0004

また、ここ数年IP電話IPテレビ電話など、インターネットで利用されているIP(インターネットプロトコル)を利用してリアルタイム通信を行うアプリケーションが普及していきている。例えば、企業においてはIPセントレックスIP電話システム、家庭においてはADSLや光ファイバーなどによるブロードバンドインターネット接続を利用したIP電話の利用などがそれにあたる。

0005

しかし、IPは基本的に品質保証する機能を持たないため、リアルタイム通信を行う場合に、通信帯域が十分でなかったり、他の通信の影響などを受けたりするとサービス品質(QoS:Quality of Service)が低下する可能性がある。

0006

例えば、図32の環境に単純にIP電話機を接続する構成である図33を例に考えた場合、QoSの低下が発生するおそれがある。以下では、その仕組みについて説明する。

0007

図33では、第1ルータ12のLAN側に第1IP電話機14を接続している。この構成で第1IP電話機14と別の第2家庭4内に存在する第2IP電話機17との間で通信を行うときには、第1ルータ12、第1ISP3、インターネット2、および第2家庭4側の第2ISP5、第2ルータ16を経由することになる。

0008

ここで、図33のような環境でPC−サーバ間通信31を行うのと同時にIP電話通信32を行う場合を考えると、両方の通信が第1ルータ12および第1ISP3を経由することになる。以下では、このときの第1ルータ12の処理について説明し、そこで発生する現象によりIP電話のQoSが低下することを述べる。

0009

図34図33における第1ルータ12の内部の詳細構造(特にLAN側からアクセス回線側へのデータ転送に関係する部分のみ)を模式的に示したものである。なお、図34における第1家庭1より外での構成は図33と同じである。

0010

はじめに、IP電話−IP電話間の通信32のみが存在するときの動作について述べる。まず、第1IP電話機14は音声データをIPパケットとしてLAN回線7に送出する。次に第1ルータ12は、このパケットを受信すると、一旦受信バッファ21にデータを蓄える。そして、送信処理部22が受信バッファ21の先頭にあるデータを処理し、アクセス回線6へ送出する。第1IP電話機14が送出する音声データの送信量は約64Kbps(ITU−T G.711の場合)程度であり、下位レイヤにおけるプロトコルオーバヘッドを考慮してもその2倍以内である。よって、ADSLの上り回線速度(512Kbps〜)には達しないため、受信バッファ21には多くのデータが蓄積されることはなく、受信したデータを即座にアクセス回線6へ送出することができる。このため、IP電話通信のQoSは確保される。

0011

次に、IP電話−IP電話間の通信32に加えてPC−サーバ間の通信31が同時に行われている場合の第1ルータ12の処理を考える。例えば、PC−サーバ間の通信31がファイル転送であるとすると、PC11はファイル転送をできるだけ高速に行おうとするため、大量のデータを一気にLAN回線7に送信する。LAN回線7の転送速度(100Mbps)は、ADSLの上り回線速度(最大5Mbps程度)に比べて非常に高速である。そのため、第1ルータ12の受信バッファ21には多くのデータが一気に蓄積される。送信処理部22は受信バッファ21に蓄積されたデータを先頭に存在するデータから順にアクセス回線6へ送出していく。このような状況下においては、以下のような(現象1)〜(現象3)をはじめとする現象が発生する
(現象1)IP電話通信のデータが受信バッファ21に蓄えられてからアクセス回線6へ送出されるまでの遅延時間が長くなる。

0012

(現象2)IP電話通信のデータが受信バッファ21に蓄えられるときに、受信バッファ21にどれだけのデータが蓄えられているかがタイミングによって異なり、その結果遅延時間のゆらぎジッタ)が発生する。

0013

(現象3)IP電話通信のデータが第1ルータ12に到着したときに受信バッファ21に空きがないと、到着したIP電話通信のデータが破棄され、データの損失が発生する。

0014

上記のような現象が発生すると、受信側において音声を正常に再生するタイミングにデータの到着が間に合わなくなり、音声が途切れたり音質が低下したりする。

0015

そこで、非特許文献2では、上記のような現象が発生することによるIP電話通信のQoS低下を起こさせないことを可能とする構成での、家庭向けIP電話サービスが開示されている。図35は、IP電話機としての機能(音声データ変換部22等)とともに、専用ルータ60を利用し、アナログ電話機70と専用ルータ60とをアナログ回線73で接続する構成を示す。このような構成の場合には、専用ルータ60において、次のような処理を行うことでIP電話のQoSを向上することができる。

0016

まず、アナログ電話機70からのアナログデータは音声データ変換部25で変換され、IP電話通信の音声データとして利用される。ここで、PC11からのファイル転送データは、受信バッファ23に蓄積され、音声データ変換部25で変換されたIP電話通信のための音声データは、音声データバッファ24に蓄えられる。次に、送信処理部22は、音声データバッファ部24に音声データが蓄積されている場合は、そのデータを優先的にADSL上り回線であるアクセス回線6に送信する。一方、送信処理部22は、受信バッファ23に蓄積されているファイル転送データを、音声データバッファ24に音声データ
が蓄積されていない場合にのみアクセス回線6に送信する。このようにすることで、音声データは音声データバッファ24において長時間待たされることはなく、また音声データが損失することもない。このようにしてIP電話通信のQoSを向上することができる。

0017

ただし、上記の制御を行なった場合でもさらに以下の現象4の発生により、IP電話通信のQoSが低下する可能性がある。

0018

(現象4)IP電話通信のための音声データパケットが、ファイル転送データがアクセス回線に送信されている間に音声データバッファ24に到着すると、音声データパケットの送信はファイル転送データ送信完了まで行われない。その結果、音声データの遅延や遅延揺らぎが発生する。

0019

以下、現象4について図35および図36を用いて詳細に説明する。図36はルータからのデータ送信期間を説明するための説明図である。図36には、ルータへのファイル転送データの到着タイミングと、音声データ発生のタイミングと、アクセス回線6への各データの送信期間とが図示されており、横軸は時間を表す。まず、音声データが音声データバッファ24に蓄積されておらず、ファイル転送データのみが受信バッファ23に蓄積されている状態を考える。この状態は、例えば、それぞれのバッファ23及び24にデータが全く存在しない状態で図36におけるファイル転送データの到着2501が起こった場合に起こる。上記の制御によれば、まず、最初にバッファ23に到着したファイル転送データがアクセス回線6に送信され始める。図36のように、ファイル転送データの送信が終了するまでの間に第1音声データ2502が発生したとする。第1音声データは、ファイル転送データが完全にアクセス回線6に送出され終わるまで、音声データバッファ24に蓄積されたままとなる。よって、第1音声データの待ち時間2511が発生する。この待ち時間は最大で“ファイル転送データ送信にかかる時間=ファイル転送データのパケットサイズビット)/アクセス回線速度”で計算される値となる。この待ち時間が遅延時間や遅延時間のゆらぎ(ジッタ)の原因となりIP電話通信のQoSを低下させる。

0020

なお、ファイル転送データは一般的にTCP(Transmission Control Protocol)を利用して転送されるため、1パケットあたり1500バイ
程度のサイズとなることが多い。例えばアクセス回線の速度が512Kbpsとすると、1パケット送信にかかる時間は約23ミリ秒となる。非特許文献3では、総務省が規定するIP電話の品質基準について述べられており、その中で通話品質固定電話並みであるとするクラスAの基準として、エンドトゥエンド遅延を100ミリ秒以下と規定していることから考えると、前述の23ミリ秒という遅延はIP電話通信のQoSの低下につながるといえる。

0021

このような現象4に起因する音声通信データの待ち時間を減少させ、QoSを向上させるために、例えば特許文献1では、ルータ装置音声通信およびPCによる通信のデータをインターネットなどの外部ネットワークに転送する装置であり、図35での専用ルータ60に相当する)が、PCによる通信データをアクセス回線に転送する前にIPフラグメント断片化)を行なっている。このように、ファイル転送データをフラグメントすることにより、パケットサイズが小さくなる。よって、パケットサイズが小さくなったファイル転送データとファイル転送データとの間に音声データを割りこませることで、音声データの待ち時間を小さくすることができる。

0022

また、特許文献2には、IP電話通信などのリアルタイム通信のQoS制御を実現するために、帯域などのネットワークリソース通信開始前に予め確保する方法が開示されている。これにより現象1〜現象3に起因するリアルタイム通信のQoS低下を防ぐことができる。特許文献2においては、リアルタイム通信を中継する各ルータが、そのルータを経由する各フローと各フローに割り当てられる帯域との対応を管理する帯域管理テーブルを持ち、その帯域管理テーブルに基いて帯域制御を行う。ここで、各フローには、リアルタイム通信、および非リアルタイム通信を含む任意のフローが含まれ、それぞれはIPヘッダ送信元アドレス宛先アドレスにより識別される。また、各ルータの帯域管理テーブルを集中管理するためのサーバ装置別途存在し、リアルタイム通信を行う通信機器からの要求に応じて、サーバ装置が各ルータの帯域管理テーブルの設定を行う。
特開2001−53805号公報特開2003−60691号公報ADSL回線提供業者e−accessのサービス一覧<http://www.eaccess.net/service/47miri/index.html>、検索日2004年9月10日IP電話サービスYahoo!BBサービス利用時の接続構成図<http://bbpromo.yahoo.co.jp/promotion/service/bbphone/simple_guide.html>、検索日2004年9月10日「IPネットワーク技術に関する研究会報告書<http://www.soumu.go.jp/s−news/2002/020222_3.html>、検索日2005年1月13日

0023

しかし、非特許文献2におけるIP電話サービスを利用したり、特許文献1に記載の方法を利用したりすることでQoSの低下を防ぐ場合には、アナログ電話機70の出力が入力されたり、特許文献1に記載のフラグメント機能を持っていたりする専用ルータにより制御する必要があり、専用ルータの設置という構成に縛られユーザの自由度が少ない。さらに、非特許文献2に記載のIP電話サービスを利用するためには、特定のISPに加入し、新たに専用のルータ60を購入するかもしくは月額料金支払いレンタルする必要があった。よって、IP電話サービスを利用できないISPに加入して図32のような構成でインターネット接続を利用していたユーザにとっては、IP電話を利用するために、ISPの切り替え時の初期費用やルータの買い替え費用などが発生してしまうという問題が発生する。また、ISPを切り替えることにより、以前加入していたISPでのみ提供されていたサービス、例えばホスティングサービスウィルスチェックサービスなどが享受できなくなったり、メールアドレスが変更されたりするなどの問題も発生する。

0024

また、特許文献2に記載のQoS制御を実現する方法を適用するには、インターネット上のルータから家庭内のルータ、IP電話機も含めてシステムとして協調して動作する必要がある。そのため、家庭においてIP電話機を利用するためにこのようなシステムの変更を行うことは非現実的である。

0025

そこで、本発明は、QoS制御可能な通信装置、および通信システムを提供することを目的とする。

0026

上記課題を解決するために、本願請求項1は、優先度が異なる複数の通信が行われるネットワークを介して通信を行う通信装置の1つであり、前記優先度に応じて通信を制御する通信装置であって、各通信の優先度に関する優先度情報を保持する優先度情報保持手段と、前記優先度情報に基づいて、低優先度通信通信経路を変更するための第1制御データを生成し、前記低優先度通信を行う低優先度通信装置または前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に前記第1制御データを送信する経路変更制御手段と、を含むことを特徴とする通信装置を提供する。

0027

低優先度通信を行う低優先度通信装置は、優先度に応じて通信を制御する通信装置(以下、優先制御を行う通信装置)から低優先度通信の通信経路を変更するための第1制御データを受信し、第1制御データに基づいて通信経路を変更する。よって、高優先度通信の通信と低優先度通信の通信とが輻輳する場合、低優先度通信の通信経路が変更されることで高優先度通信の通信経路を優先的に確保することができる。このように、優先制御を行う通信装置は、通信機能に加えて優先度に応じた通信の制御を行うことができる。よって、優先度に応じた通信の制御が行われていない家庭内LANなどに前述の優先制御を行う通信装置を接続することで、優先制御を行う通信装置を用いてネットワークを介した通信を行いつつ、高優先度通信のQoSを確保することができる。そのため、QoSを確保するために、優先度に応じた通信の制御を行う別途の専用ルータを設ける必要がない。よって、ユーザは既存のルータやシステム構成を変更する必要がなく、また任意のプロバイダに加入しIP電話などのリアルタイム通信を高品質に行うことができる。また、QoS確保が可能な優先制御を行う通信装置を設けるだけで、低優先度通信装置、高優先度通信装置及び中継装置などを含むシステム全体の変更を行うことなく高優先度通信装置のQoSを確保することができる。

0028

高優先度通信を行う高優先度通信装置としては、例えば電話通信などのリアルタイム性を要求されるIP電話機など挙げられる。また、低優先度通信装置としては、例えばファイル転送などを行う端末などが挙げられる。よって、優先制御を行う通信装置を用いてIP電話機のQoSを確保することにより、リアルタイム性を維持することができる。

0029

なお、低優先度通信装置に第1制御データを送信する場合は、低優先度通信装置から相手先の通信装置への通信経路を変更することができる。また、中継装置に第1制御データを送信する場合は、相手先の通信装置から低優先度通信装置への通信経路を変更することができる。

0030

本願第2発明は、第1発明において、前記経路変更制御手段は、前記第1制御データにおいて、前記低優先度通信の通信経路の宛先を送信不可能なアドレスに変更することを特徴とする通信装置を提供する。

0031

低優先度通信の通信経路の宛先を送信不可能なアドレスに変更することで、低優先度通信装置は、送信データを送信不可能なアドレスに送信する。よって、低優先度通信装置から送信される送信データが破棄されるため、高優先度通信の通信と低優先度通信の通信とが輻輳する場合であっても高優先度通信を行う通信経路を優先的に確保することができる。

0032

本願第3発明は、第1発明において、前記経路変更制御手段は、前記第1制御データに含まれる前記低優先度通信の通信経路の宛先を、前記優先度に応じて通信を制御する通信装置のアドレスに変更し、前記低優先度通信装置から前記ネットワークへの送信データの出力を制御する通信制御手段をさらに含むことを特徴とする通信装置を提供する。

0033

低優先度通信の通信経路の宛先を、優先制御を行う通信装置に変更することで、低優先度通信装置からの送信データは、優先制御を行う通信装置に送信される。そして、優先制御を行う通信装置は、例えば低優先度通信装置からの送信データのネットワークへの出力を制限するように調整する。これにより、高優先度通信の通信と低優先度通信の通信とが輻輳する場合であっても高優先度通信の通信経路を優先的に確保することができる。

0034

本願第4発明は、第3発明において、前記通信制御手段は、少なくとも1の受信データの送信先が自装置であるか否か、かつ前記受信データが前記低優先度装置からの低優先度通信データであるか否かを解析する解析手段と、前記解析手段による解析結果に応じて、送信先が自装置以外である低優先度通信データよりも、高優先度通信データを優先的に選択してその送信先に送信するように制御する選択手段とを有することを特徴とする通信装置を提供する。

0035

なお、受信データのあて先が自装置であるか否かに基づいて中継の必要があるか否かが判断可能である。これらの解析手段、選択手段により、高優先度通信の通信と低優先度通信の通信とが輻輳する場合であっても高優先度通信の通信経路を優先的に確保することができる。

0036

ここで、相手先の通信装置に送信する送信データを生成する送信データ生成部をさらに含み、前記送信データが高優先度通信データである場合、選択手段は送信データを優先的に送信するように選択する。これにより、通信装置自身高優先度の送信データを他の通信装置に送信する場合には、中継の必要な低優先度通信データよりも自身の高優先度の送信データを優先的に送信することができる。また、選択手段は、受信する複数の受信データの中のうち高優先度通信データを優先的に送信するように選択する。これにより、通信装置が複数の通信装置から複数の受信データを受信して、他の通信装置に中継する必要がある場合、これらの受信データのうち最も高優先度の受信データを優先的に送信することができる。

0037

本願第5発明は、第4発明において、前記通信制御手段は、前記解析手段による解析の結果として、送信先が自装置以外である低優先度通信データの送信元アドレスを自装置のアドレスに、前記低優先度通信データの宛先アドレスを経路変更前の低優先度通信装置から送信された低優先度通信データの元の宛先アドレスに書き換えるアドレス書換処理を行う調整手段をさらに有し、前記調整手段は、前記アドレス書換処理後の低優先度通信データを前記選択手段に送信することを特徴とする通信装置を提供する。

0038

アドレスを書き換えることによって中継やループバックを行うネットワーク装置として稼動し、適切にトラヒックの中継やループバックができる。

0039

本願第6発明は、第4発明において、前記解析手段による解析の結果として、宛先が自装置である受信データを処理する上位層処理部をさらに含み、前記解析手段は、前記受信データの宛先が自装置であるかどうかを、前記受信データのIPヘッダを解析し宛先が自装置のIPアドレスであるかどうかにより判断し、前記受信データの宛先が自装置である場合には前記上位層処理部に前記受信データを送信し、宛先が自装置以外の場合は、前記選択手段に前記受信データを送信することを特徴とする請求項4に記載の通信装置を提供する。

0040

Ethernet(登録商標)レベル迂回をさせるフレームに対してIPレベルで解析することで中継やループバックができる。また、優先制御装置自分宛てに届く他装置宛てのフレームに関して、割り込み処理を含めて一切処理をすることがなくなるため、通信に係る余分な処理が不要になる。

0041

本願第7発明は、第3発明において、前記通信制御手段をハードウェアにより実現することを特徴とする通信装置を提供する。

0042

他装置宛てのフレームの中継や優先制御に係る処理をハードウェアで処理することができ、自端末アプリケーション送受信に必要な能力のCPUであれば、高価なCPUを使わなくても優先制御を行うことができる。

0043

本願第8発明は、第4発明において、前記通信制御手段は、前記低優先度通信データの一部または全部を破棄する調整手段をさらに有し、前記調整手段は、一部または全部が破棄された後の低優先度通信データを前記選択手段に送信することを特徴とする通信装置を提供する。

0044

優先制御を行う通信装置の調整手段が、低優先度通信装置からの送信データを破棄することにより、高優先度通信の通信と低優先度通信の通信とが輻輳する場合であっても高優先度通信を行う通信経路を優先的に確保することができる。

0045

本願第9発明は、第4発明において、前記通信制御手段は、前記低優先度通信の通信レートを調整するための第1調整処理を行う調整手段をさらに有し、前記調整手段は、前記第1調整処理後の低優先度通信データを前記選択手段に送信することを特徴とする、通信装置を提供する。

0046

低優先度通信装置から受信した送信データの送信レートを調整することで、低優先度通信装置の相手先の通信装置からの送信レートや相手先から低優先度通信装置への送信レートを調整することができる。よって、高優先度通信の通信と低優先度通信の通信とが輻輳する場合には、送信レートを下げるように調整することで低優先度通信装置から相手先への送信量や相手先から低優先度通信装置からの送信量を減少させ、高優先度通信を行う通信経路を優先的に確保することができる。

0047

本願第10発明は、第9発明において、前記調整手段は、TCPヘッダウィンドウフィールドの値を調整することで送信レートを調整することを特徴とする通信装置を提供する。

0048

低優先度通信装置のTCPフロー制御を調整することで、高優先度通信を行う通信経路を優先的に確保することができる。

0049

本願第11発明は、第9発明において、前記低優先度通信データを蓄積するための蓄積手段をさらに有し、前記調整手段は、前記低優先度通信データがTCPデータパケットもしくはTCPのACKパケットであった場合に、前記低優先度通信データを、前記蓄積手段を用いて一定時間蓄積した後、前記選択手段に渡すことを特徴とする通信装置を提供する。

0050

低優先度通信装置のTCPフロー制御を調整することで、高優先度通信を行う通信経路を優先的に確保することができる。

0051

本願第12発明は、第4発明において、前記通信制御手段は、前記低優先度通信装置からの送信データを第1の分割方法を用いて複数のデータに分割する調整手段をさらに有し、前記調整手段は、前記第1の分割方法を用いて複数に分割されたデータを、前記選択手段に送信することを特徴とする、通信装置を提供する。

0052

優先制御を行う通信装置の調整手段が、低優先度通信装置からの送信データを分割することにより、低優先度通信のデータ転送中に到着する高優先度通信のデータが長時間待たされることを防ぐことができる。よって、高優先度通信のQoSを向上することができる。

0053

本願第13発明は、第12発明において、前記第1の分割方法は、IPフラグメントに分割することを特徴とする通信装置を提供する。

0054

IPフラグメント受信機能は通常のIP通信装置が有している機能であるため、他の装置に特別な機能を要求することなく高優先度通信のQoSを向上することができる。

0055

本願第14発明は、第4発明において、前記通信制御手段は、前記低優先度通信装置から受信した通信データに基づいて、前記低優先度通信装置から前記低優先度通信装置の相手先の通信装置への通信データもしくは前記低優先度通信装置の相手先の通信装置から前記低優先度通信装置への通信データ、のサイズを制御するための第3制御データを生成し、前記低優先度通信装置もしくは前記相手先の通信装置に送信する調整手段をさらに有することを特徴とする通信装置を提供する。

0056

また、前記調整手段は、前記低優先度通信装置の相手先の通信装置から受信した通信データに基づいて、前記低優先度通信装置から前記相手先の通信装置への通信データのサイズを制御するための第4制御データを生成し、前記低優先度通信装置に送信しても良い。

0057

このように、低優先度通信装置から相手先の通信装置への送信レートや相手先から低優先度通信装置への送信データサイズを調整することにより、通信装置において低優先度通信のデータ転送中に到着する高優先度通信のデータが長時間待たされることを防ぐことができ、高優先度通信のQoSを向上することができる。

0058

本願第15発明は、第14発明において、前記第3制御データはTCPのSYNパケットであり、前記調整手段は、受信したSYNパケットに含まれるMSS値を所望の値に変更したSYNパケットを生成することを特徴とする通信装置を提供する。

0059

MSS値を変更することにより送信データのサイズを小さくすることができる。このようなSYNパケットでのMSSオプションによるMSS調整機能は、通常のIP通信装置が有している機能である。そのため、他の装置に特別な機能を要求することなく高優先度通信のQoSを向上することができる。

0060

本願第16発明は、第14発明において、前記第3制御データはICMP宛先到達不能要断片化パケットであり、前記調整手段は、それ以前に低優先度通信装置から送信されたパケットに含まれるデータの一部を含み、また所望のMTU値を含んだICMP宛先到達不能要断片化パケットを生成することを特徴とする通信装置を提供する。

0061

宛先到達不能要断片化パケットを受信した低優先度通信装置は、受信したパケットに含まれるMTU値によって以降のパケットサイズを決定する。高優先度通信装置の調整手段により、低優先度通信装置のMTU値が変更されることで、低優先度通信装置からの送信データのサイズを小さくすることができる。このようなICMP宛先到達不能要断片化パケットを受信したときのMTU調整機能は、通常のIP通信装置が有している機能であるため、他の装置に特別な機能を要求することなく高優先度通信のQoSを向上することができる。

0062

本願第17発明は、第1発明において、前記経路変更制御手段は、前記第1制御データにおいて、前記低優先度通信の通信経路の宛先を前記自装置のアドレスに変更し、かつ、前記優先度情報に基づいて高優先度通信の通信経路を変更するための第2制御データを生成し、前記第2制御データにおける前記高優先度通信の通信経路の宛先を前記自装置のアドレスに変更して前記高優先度通信装置に前記第2制御データ送信することを特徴とする通信装置を提供する。

0063

優先制御を行う通信装置は、低優先度通信装置のみならず高優先度通信装置からの通信を受信することで、高優先度通信と低優先度通信の輻輳状態を的確に把握することができる。そして、把握した輻輳状態及び優先度情報に基づいて、輻輳している場合には、高優先度通信装置からのデータを低優先度通信装置からのデータよりも優先してネットワークに出力する。よって、高優先度通信の通信経路を優先的に確保することができる。

0064

本願第18発明は、第1発明において、前記経路変更制御手段が送信する第1制御データは、ARP要求パケットARP応答パケット、ICMP経路変更パケット及びICMPv6近隣探索パケットのいずれかであることを特徴とする通信装置を提供する。

0065

ARP要求及びARP応答の仕組みは、ほぼ多くのIP対応の装置に実装されている。よって、既存のARP要求及びARP応答を利用して低優先度通信の通信経路を変更するための第1制御データを生成することができる。同様に、ICMP経路変更の仕組みもまたほぼ多くのIP対応の装置に実装されている。また、ICMPv6近隣探索パケットの仕組みは、多くのIPv6機器に実装されている。よって、既存の仕組みを利用して、高優先度通信の通信と低優先度通信の通信とが輻輳する場合において、高優先度通信の通信経路を優先的に確保することができる。

0066

本願第19発明は、第1発明において、前記高優先度通信装置によるネットワークを介した通信が行われているかどうかを検出する検出手段をさらに含み、前記経路変更制御手段は、前記高優先度通信装置による通信が行われている場合にのみ前記低優先度通信装置または中継装置に前記第1制御データを送信することを特徴とする通信装置を提供する。

0067

高優先度通信の有無に応じて低優先度通信の通信経路を変更することで、必要な期間のみ高優先度通信の通信経路を確保することができ、それ以外の期間における低優先度通信への影響をなくすことができる。

0068

本願第20発明は、第19発明において、高優先度通信の品質を保持するために設定されたQoS値を保持するQoS値保持手段をさらに有し、前記検出手段は、さらに高優先度通信の品質を示す値を算出し、前記算出された品質を示す値と前記QoS値とを比較し、前記算出された品質を示す値が前記QoS値よりも小さい場合は、前記経路変更制御手段は、前記第1制御データを前記低優先度通信装置または前記中継装置に送信することを特徴とする通信装置を提供する。

0069

高優先度通信の品質の低下に応じて低優先度通信の通信経路を変更することで、必要な期間のみ高優先度通信の通信経路を確保することができ、それ以外の期間における低優先度通信への影響をなくすことができる。

0070

本願第21発明は、ネットワークを介して行われる優先度が異なる複数の通信において、前記優先度に応じて通信を制御する制御装置が実行する優先制御プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、各通信の優先度に関する優先度情報を保持する優先度情報保持手段及び、前記優先度情報に基づいて、低優先度通信の通信経路を変更するための第1制御データを生成し、前記低優先度通信を行う低優先度通信装置または前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に前記第1制御データを送信する経路変更制御手段としてコンピュータを機能させる優先制御プログラムを記録したことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。優先制御プログラムが記載された記録媒体を用いることで、本願第1発明と同様の作用効果を有する。

0071

本願第22発明は、優先度が異なる複数の通信が行われるネットワークにおいて、前記優先度に応じて通信を制御する集積回路であって、各通信の優先度に関する優先度情報を保持する優先度情報保持手段と、前記優先度情報に基づいて、低優先度通信の通信経路を変更するための第1制御データを生成し、前記低優先度通信を行う低優先度通信装置または前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に前記第1制御データを送信する経路変更制御手段と、を含むことを特徴とする集積回路を提供する。上記集積回路は、本願第1発明と同様の作用効果を有する。

0072

本願第23発明は、通信の優先度に応じて通信を制御する通信装置と優先度が異なる複数の通信装置とが接続されている通信システムにおいて、前記優先度に応じて通信を制御する通信装置は、各通信の優先度に関する優先度情報を保持する優先度情報保持手段と、前記優先度情報に基づいて、優先度が低い低優先度通信の通信経路を変更するための第1制御データを生成し、前記低優先度通信を行う低優先度通信装置または前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に前記第1制御データを送信する経路変更制御手段とを含み、前記低優先度通信装置または、前記ネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置は、前記優先度に応じて通信を制御する通信装置から前記第1制御データを受信し、前記低優先度通信の通信経路を変更することを特徴とする、通信システムを提供する。上記通信システムは、本願第1発明と同様の作用効果を有する。

0073

本発明によれば、低優先度通信の通信経路を変更することにより、例えばリアルタイム通信など高いQoSを要求される高優先度通信を優先するような制御を行いその通信品質を確保することができる。

図面の簡単な説明

0074

第1の実施形態におけるネットワーク構成図。第1の実施形態におけるQoS制御部および第1IP電話機のブロック図。ARP要求/ARP応答のデータフォーマット。ARP要求を利用した場合のQoS制御手順におけるデータの流れ。ARP要求を利用した場合のQoS制御手順における処理およびデータの流れ。ARP要求を利用した場合の経路変更制御部におけるQoS制御処理フロー制御対象装置ARPテーブル(1)。制御対象装置のARPテーブル(2)。制御対象装置のARPテーブル(3)。各装置のIPアドレス、MACアドレス一覧表。本発明の通信装置の設置位置、および本発明の通信装置が独立したLAN端末である場合の経路変更制御後の通信の流れ。QoS制御装置近隣要請パケット及び近隣通知パケットのフォーマット。ICMP経路変更パケットのフォーマット。ICMP経路変更パケットを利用した場合のQoS制御手順におけるデータの流れ。ICMP経路変更パケットを利用した場合のQoS制御手順における処理およびデータの流れ。制御対象装置のルーティングテーブル(1)。制御対象装置のルーティングテーブル(2)。第2の実施形態におけるネットワーク構成図。第2の実施形態におけるQoS制御部およびIP電話機のブロック図。経路変更制御後に詳細制御を行う場合の処理およびデータの流れ。制御対象装置のARPテーブル。制御対象装置のルーティングテーブル。Ethernet(登録商標)フレームおよびIPパケットのフォーマット。低優先度通信パケット中継処理における受信処理のフローチャート。低優先度通信パケット中継処理における送信処理のフローチャート。パケット中継処理における詳細動作(全二重、バッファありの場合)。パケット中継処理における詳細動作(全二重、バッファなしの場合)。パケット中継処理における詳細動作(半二重の場合)。経路変更制御後に詳細制御においてIPフラグメントを行なう場合の処理およびデータの流れ。MSSオプション付きのTCPSYNパケットのフォーマット。経路変更制御後に詳細制御においてTCPのSYNパケットのMSS値を変更する場合の処理およびデータの流れ。ICMP宛先到達不能要断片化パケットのフォーマット。経路変更制御後に詳細制御においてICMP宛先到達不能要断片化パケット送信する場合の処理およびデータの流れ。現状の家庭内LANのネットワークの構成図(IP電話なし)。図27のネットワークにIP電話機を追加した場合のネットワーク構成図。図28のルータの内部構造図。従来例におけるネットワークの構成図およびルータの内部構造。低優先度通信のパケットサイズが大きい場合に、項優先度通信データが待たされる現象の説明図。

発明を実施するための最良の形態

0075

(第1実施形態例)
以下本発明の第1実施形態例について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態例に係るネットワーク構成図である。図1では、第1家庭101内に存在する第1ルータ112のLAN側にPC111および第1IP電話機114などの通信装置が接続されており家庭内LANを形成している。また、この家庭内LANは、アクセス回線106および第1ISP103を経由してインターネット102に接続されている。また、別の第2家庭104にも第2ルータ116が存在し、そのLAN側には第2IP電話機117が接続されている。この第2家庭104の家庭内LANは、第2ISP105を経由してインターネット102に接続されている。

0076

また図1では、第1家庭101内のPC111とインターネット102上のサーバ113との間でファイル転送131(以下、PC−サーバ間の通信131)を、第1家庭101内の第1IP電話機114と第2家庭104内の第2IP電話機117との間でインターネット102を利用したIP電話通信132(以下、IP電話−IP電話間の通信132)を行っている。ここで、IP電話−IP電話間の通信132はリアルタイム性が必要とされる通信であり、優先度の高い高優先度通信である。一方、PC−サーバ間の通信131は優先度の低い低優先度通信である。また、第1IP電話機114は高優先度通信装置であり、PC111は低優先度通信装置である。

0077

また、図1においては、第1IP電話機114の一機能部としてQoS制御部621を設け、QoS制御部621によりQoSを制御している。

0078

さらに、図1の第1IP電話機114およびQoS制御部621内の内部構成を、図2を用いてより詳細に説明する。図2は、第1IP電話機114およびQoS制御部621内の内部構成図である。図2のように、QoS制御部621は、優先度情報保持部841と経路変更制御部842を含む。優先度情報保持部841は、通信の優先度に関する優先度情報を保持する。優先度情報とは、どの通信が優先度の高い通信であるかを区別するための情報である。経路変更制御部842は、低優先度通信の通信経路を変更するための経路変更制御データを生成し、低優先度通信を行うPC111またはネットワークを介して他の通信装置間で行われる低優先度通信を中継する中継装置に経路変更制御データを送信する。また、経路変更制御部842は、第1IP電話機114内の通信処理部123を介してLAN回線107からのデータの受信や、LAN回線107へのデータの送信を行うことができる。また、第1IP電話機114内のIP電話アプリ122は、ユーザからの音声入力を受信し、IP電話通信の音声データを生成し、TCP/IP処理部124および通信処理部123を介してLAN回線107に送信する。

0079

以下、第1実施形態例の通信装置である第1IP電話機114が、低優先度通信(図1のPC−サーバ間の通信131)の経路を変更することにより低優先度通信を中断させ、高優先度通信(図1のIP電話−IP電話間の通信132)のQoSを確保する手順について述べる。

0080

まず、QoS制御処理の全体の流れを説明することによりQoS制御処理の概要を説明し、次にQoS制御処理の詳細手順について説明する。

0081

<QoS制御処理の全体の流れ>
本発明の第1実施形態例におけるQoS制御処理はおおまかには以下の手順で実施される。

0082

まず、QoS制御処理が行われる前の状態として、図1のネットワークにおいて低優先度通信(PC−サーバ間の通信131)のみが行われているとする。その後、高優先度通信(IP電話−IP電話間の通信132)が開始されるときに、QoS制御部621において以下の制御が行われる。以下では、図2を参照しながら説明する。

0083

(1)手順1
優先度情報保持部841は、低優先度通信及び高優先度通信を区別するための優先度情報を保持しており、これを経路変更制御部842に通知する(S851)。ここで、第1IP電話機114は高優先度通信を行う高優先度通信装置として設定され、PC111は低優先度通信を行う低優先度通信装置として設定されている。

0084

(2)手順2
経路変更制御部842は、経路変更のための経路変更制御データを生成するのに必要な
例えば、IPアドレスなどの情報を取得する(S852)。なお、経路変更制御部842により取得する情報は経路変更方法により異なる。

0085

経路変更制御部842は、ここで取得した情報と手順1により得られる情報とから経路変更のための経路変更制御データを生成し、経路変更の制御対象装置である、低優先度通信を終端するPC111に対して経路変更制御データを送信する(S853)。

0086

通信処理部123は、この経路変更制御データをLAN回線107に送出する。経路変更制御データには、低優先度通信装置であるPC111から出力されるデータの変更後の宛先に関する情報を含んでいる。本実施形態例では、変更後の宛先として、LAN内に存在しないアドレス、例えばIPアドレスもしくはMACアドレスなどを指定する。

0087

(3)手順3
低優先度通信装置であり制御対象装置であるPC111は、経路変更制御データを受信し、以降の低優先度通信のデータの通信経路を変更する。

0088

(4)手順4
手順3により通信経路を変更すると、PC111は、存在しないアドレスにデータを送信する。これにより、低優先度通信は何らかの処理によって通信経路が元に戻るまで中断される。つまり、低優先度通信であるPC−サーバ間の通信131で発生するPC111からのデータが第1ルータ112以外に送信され、低優先度通信が中断する。よって、第1ルータ112は、高優先度通信であるIP電話−IP電話間の通信132で発生する第1IP電話機114からの音声データのみを受信することとなる。そのため、第1ルータ112において高優先度通信と低優先度通信との輻輳が発生しない。このように、高優先度通信と低優先度通信とが輻輳する場合、低優先度通信の通信経路が変更されることで高優先度通信の通信経路を優先的に確保し、高優先度通信のQoSを確保することができる。このようなQoS制御処理の機能を有する通信装置を、優先度に応じた通信の制御が行われていない家庭内LANなどに接続することで、QoS制御の機能を有する通信装置を用いてネットワークを介した通信を行いつつ、高優先度通信のQoSを確保することができる。そのため、がQoSを確保するために、優先度に応じた通信の制御を行う別途の専用ルータを設ける必要がない。よって、ユーザは既存のルータやシステム構成を変更する必要がなく、また任意のプロバイダに加入しIP電話などのリアルタイム通信を高品質に行うことができる。また、QoS確保可能な第1IP電話機114を設けるだけで、低優先度通信装置であるPC111やルータなどを含むシステム全体の変更を行うことなく高優先度通信のQoSを確保することができる。

0089

なお、必ずしも本手順実施前に低優先度通信が開始されている必要はなく、高優先度通信開始後に低優先度通信が開始された場合でも、本手順が実施後は、低優先度通信が中断され、高優先度通信のQoSを確保できる。

0090

<QoS制御処理の詳細手順>
次に、上記手順を実施した場合の詳しい手順を、<QoS制御処理の全体の流れ>の手順1〜手順4について以下に述べる。なお、経路変更を行う方法はいくつかあるが、ここではARP要求(リクエスト)を利用するものとする。なお、この方法は通信処理部123がEthernet(登録商標)のプロトコルに従って動作する場合のみ利用可能である。

0091

まず、以下で説明する手順の理解のために、ARP(Address Resolution Protocol)について説明する。ARPはEthernet(登録商標)においてIPアドレスとMACアドレス(ネットワークI/Fハードウェアに固有のアドレス)との対応をLAN内で通信する装置の間で互いに通知し合うためのプロトコルである。Ethernet(登録商標)上でIP通信を行う場合は、通常各装置が5分に1回程度ARP要求(通信相手のIPアドレスを指定)をブロードキャストEthernet(登録商標)フレームとして送信し、それを受信した各装置は指定されたIPアドレスが自身のものであった場合、ユニキャストEthernet(登録商標)フレームとしてARP応答を返送する。

0092

図3は、RFC826において定義されているARP要求、ARP応答のプロトコルフォーマットである。フィールド911の部分は、ここでは詳細を示さないが、このデータがARP要求かARP応答かを示すフィールドなど各種フィールドなどを含んでいる。また、ARP要求およびARP応答には、送信元の通信装置に関する送信元MACアドレス912及び送信元IPアドレス913と、相手先の通信装置に関する宛先MACアドレス914及び宛先IPアドレス915の情報とが含まれている。そのため、ARP要求またはARP応答を受信することにより、お互いのIPアドレスに対するMACアドレスを知ることができる。互いに通信を行うことにより交換されたIPアドレスとMACアドレスとの対応関係は、それぞれの通信装置が持つARPテーブルにおいて管理される。そして、各通信装置は、パケット送信時には、送信するパケットの宛先IPアドレスをキーにそのARPテーブルを検索し、送信するフレームの宛先MACアドレスを決定する。なお、FCS(Frame Check Sequense)916はイーサネット(登録商標)フレームが破損していないかをチェックするために付与される情報である。

0093

以下、ARP要求を利用した場合のQoS制御処理の詳細手順を上記(1)手順1〜(4)手順4それぞれについて、図1図8を用いて説明する。図4はARP要求を利用した場合のQoS制御処理におけるデータの全体の流れを示す模式図であり、やりとりされる各データ1061、1062、1063が、ネットワーク上でどのように移動しているかを示している。図5はARP要求を利用した場合のQoS制御処理における全体処理およびデータの流れの一例であり、QoS制御処理における各データのやりとりおよび第1IP電話機114における経路変更制御データの生成処理の時系列を示している。図6はARP要求を利用した場合の経路変更制御部における経路変更制御データ生成処理の一例であり、図7A〜7Cは制御対象装置であるPC11のARPテーブル1021の一例であり、以下の手順においてARPテーブル1021が随時更新されていく様子を示す。図8は各装置のIPアドレス、MACアドレス一覧表であり、PC111、第1ルータ112、サーバ113、第1IP電話機114のMACアドレスおよびIPアドレスを示すとともに、LAN内に存在しないアドレスについても、架空の装置115のアドレスとして定義している。

0094

(1)手順1
手順1では図2を参照して説明する。まず、本実施形態例では、自装置である第1IP電話機114の行うIP電話通信が高優先度通信であり、LAN内から第1ルータ112を経由してインターネット2へ向かう通信は全て低優先度通信であるとして、本発明のQoS制御部621は動作するものとする。このとき、図2の優先度情報保持部841は既定の情報として、ARP要求による経路変更制御に必要なIP_ルータの値を持つ。ここで、IP_ルータとは、図8に示すように、PC111及び第1IP電話機114からのネットワーク2への通信を中継する第1ルータ112のIPアドレスである。なお、この情報は既定の情報でなく、ユーザインタフェースから入力されてもよいし、ネットワークを利用して何らかの手順で取得してもよい。

0095

次に優先度情報保持部841はこのIP_ルータを、低優先度通信に関する情報として経路変更制御部842に通知する(図2のS851参照)。なお、同時に後述のステップS1302において、PC111のIPアドレスかチェックするために、IP_PCを通知しても良い。

0096

(2)手順2
手順2以降では図4図8を参照して説明する。

0097

ステップS1201:次に、低優先度通信を終端するLAN内の装置であるPC111は、図5のS1201に示すように、サーバ113と通信するために最初に経由する第1ルータ112のIPアドレスであるIP_ルータを宛先IPアドレス915として、ブロードキャストARP要求1061を送信する。このとき、PC111のARPテーブルは、図7Aのテーブル1171である。

0098

以降、QoS制御部内の経路変更制御部842は、S1202の経路変更制御データ生成処理を行う。この処理の詳細については図6のフローチャートおよび、図5のデータ1061,1062、図2のブロック図を参照しながら説明する。また、ARP要求/応答のフィールドに関しては図3に示す通りである。

0099

(S1202内の処理)
ステップS1301:まず、経路変更制御部842は、図6のS1301に示すように、PC111からのARP要求1061(図5の1061)を通信処理部123を経由して受信する。これにより、図2のS852における経路変更処理のための入力情報を受信する。

0100

ステップS1302:次に、経路変更制御部842は、PC111から受信したARP要求1061の送信元IPアドレスが、制御対象装置のIPアドレスかどうかをチェックする。ここで、第1IP電話機114が高優先度通信装置であり、第1IP電話機114以外の第1ルータ112を経由して通信を行う通信装置は、低優先度通信装置であるため、送信元IPアドレスがIP_ルータ以外であるかをチェックする。ARP要求1061の送信元であるPC111の送信元IPアドレス913は、図8に示すようにIP_PCであるため、この条件を満たす。

0101

ステップS1303〜S1305:次に、経路変更制御部842は、PC111からのARP要求1061の宛先IPアドレス915が、IP_ルータかどうかをチェックする(S1303)。ARP要求1061の宛先IPアドレス915はIP_ルータであるため、一定時間待機する(S1304)。その後、経路変更制御部842は、図5に示すユニキャストのARP要求1062である、経路変更制御データを生成し、通信処理部123を介して制御対象装置であるPC111に送信する(S1305)。ここで指定する宛先IPアドレス915、送信元アドレス913は、受信したARP要求1061の宛先IPアドレス915と送信元IPアドレス913を入れ替えたものである。また、送信元MACアドレス912には、図4に示す架空の装置115のMACアドレスであるMAC_Noneを設定する。ここで、架空の装置115のMACアドレスは、LAN内に存在する装置のMACアドレスと異なる任意のMACアドレスである。

0102

ステップS1203、S1204:再び、図5を用いて経路変更制御データ生成処理処理(S1202)以外の処理について説明する。経路変更制御データ生成処理(S1202)で第1IP電話機114一定時間待っている間に、第1ルータ112は、受信したARP要求1061に対して通常のARP応答1063を送信する(S1203)。これを受信したPC111のARPテーブルは、図7Bのテーブル1172のように更新される(S1207)。

0103

なお、図には示していないが、経路変更制御部842が、制御対処装置以外の装置、例えば第1ルータ112からブロードキャストのARP要求を受信した場合、経路変更制御データ生成処理(S1202)内の上記ステップS1302において、送信元IPアドレスが制御対象装置でないことがチェックされる(S1302)。ただし、予め優先度情報保持部841は、制御対象装置のIPアドレスを経路変更制御部842に通知する必要がある。この場合、第1IP電話機114の経路変更制御部842は、経路変更制御データを生成することなく、何も応答を返さないため、第1ルータ112から送信されるデータの経路が変更されることはない。

0104

(3)手順3
ステップS1205:経路変更制御データ1062を受信した制御対象装置であるPC111は、この経路変更制御データ1062に基づいてAPRテーブルを更新する(S1205)。このときのAPRテーブルの状態は、図7Cのテーブル1173のようになっており、IP_ルータに対応するMACアドレスとしてLAN内に存在しないMACアドレスであるMAC_Noneが登録されている。

0105

なお、一定時間待つ処理(図6のS1304)を行った理由は、この処理が行われなかった場合、PC111に経路変更制御データ1062、ルータからのARP応答1063の順でデータが到着し、PC111のARPテーブル1021が最終的に図7Bのテーブル1172のようになってしまい、結果として経路を変更できない可能性があるためである。

0106

(4)手順4
ステップS1206:この結果、PC111のARPテーブル1021は、図11のテーブル1173のようになる。以降、PC111が低優先度通信データを送信しようとすると、MAC_None(架空の装置115のMACアドレス)を宛先とした通信データ1064(図4参照)を送信する。ここで、架空の装置115は実際には存在しないため、この通信データ1064はどの装置にも受信されずに破棄される。したがって、経路変更後は、低優先度通信であるPC−サーバ間の通信131は中断されることになる。

0107

なお、制御対象装置であるPC111のARPテーブルを元に戻すような経路変更制御データ1062として復帰制御データを送信することもできる。このとき、復帰制御データにおいては、送信元MACアドレスをMAC_ルータに変更する。なお、この場合、上記手順1のS851において、優先度情報保持部841が経路変更制御部842に通知する、低優先度通信に関する情報としてMAC_ルータも必要となる。また、再び制御対象装置であるPC111がARP要求をブロードキャストで送信したときには、経路変更制御データを送信しないようにしたりするなどの方法により、中断された低優先度通信を再開させることもできる。

0108

さらに、中断と再開の間隔を調整することにより低優先度通信の通信量を調整することも可能である。例えば、PC111における低優先度通信がTCPで行われているとすると、中断後に再開したときにはTCPのフロー制御により低優先度通信の送信レートは徐々に上がっていき一定時間後に再び輻輳を発生させる。そのため、再び輻輳が起こるまでの時間を動的に測定し、次回は輻輳が発生する直前のタイミングで再度中断するといった送信レートの制御を行うことができる。また、中断と再開の処理を複数回繰り返す場合は、2回目以降は上記手順3を省略してもよい。

0109

さらに、高優先度通信終了時には、制御対象装置であるPC111のARPテーブルを上記のような方法で元に戻すことにより、高優先度通信終了後は経路変更前の通信経路に戻し、低優先度通信であるPC−サーバ間の通信131を継続させることもできる。

0110

なお、輻輳の発生する回線であるアクセス回線106の転送速度が分かっていれば、その値から高優先度通信のQoSを確保するためにどのような間隔で中断と再開を行えばよいかを決定することもできる。このときの、アクセス回線106転送速度と中断・再開の間隔の間の関係式は例えば実験を行うことなどにより求めることができる。

0111

なお、経路変更制御データ1062としてブロードキャストのARP要求を利用することも可能である。しかし、その場合、そのARP要求を受信した他のホストが、同じIPアドレスを持つ通信装置が複数あると判断し、正常に通信を継続できない可能性がある。また、経路変更制御データ1062としてARP応答1063を利用することもできる。しかし、制御対象装置がARP要求1062送信後にARP応答1063を受信すると一定期間別のARP応答を受信しない、すなわち複数のARP応答が到着すると前者が有効となる実装もある。さらに、ARP応答1063を常に受け付ける、すなわち複数のARP応答が到着すると後者が有効となる実装もある。そのため、第1ルータ112が応答するARP応答1063が到着する前後両方に到着するように、本発明の経路変更制御部842が複数のARP要求、つまり経路変更制御データ1062を送信するなどの処理が必要となる可能性がある。

0112

また、ここでは制御対象装置が低優先度通信を終端する装置であるPC111の場合、すなわちアクセス回線106の上り方向の通信の経路を変更する場合について説明した。しかし、制御対象装置が低優先度通信を中継する装置である第1ルータ112の場合、すなわちアクセス回線106の下り方向の経路を変更する場合についても、ほぼ同様の手順で実施することができる。すなわち、図6のS1302において送信元IPアドレスが制御対象装置かどうかを判定する際に、送信元IPアドレスが第1ルータ112のIPアドレスである場合に制御を行うようにする。そして、図6のS1303において宛先IPアドレスが第1ルータ112かどうかを判定する代わりに、宛先IPアドレスが第1ルータ112でない場合に制御を行うようにすればよい。つまり、宛先IPアドレスは、第1ルータ112ではないその他の通信端末のIPアドレスである。このように、下りの経路を変更することにより、例えばTCPのようにフロー制御が行なわれている場合、データパケットがPC111に到着しなくなり、PC111はサーバにACKパケットを送信せず、サーバはPCからACKパケットを受信できないため、サーバは新しいパケットを送信できないようになる。よって、サーバからPC111へのデータ送信レートを下げることができる。また、低優先度通信を終端する装置、中継する装置の両方を制御対象装置とする場合は、S1302、S1303を行わずに必ず経路変更制御データを送信すればよい。

0113

以上のような構成により、第1実施形態例では次のような作用効果を得ることができる。優先制御を行う通信装置が経路変更制御データを生成し送信することで、高優先度通信の通信と低優先度通信の通信とが輻輳する場合、低優先度通信の通信経路が変更される。よって高優先度通信の通信経路を優先的に確保することができる。このように、優先制御を行う通信装置は、通信機能に加えて優先度に応じた通信の制御を行うことができる。よって、優先度に応じた通信の制御が行われていない家庭内LANなどに前述の優先制御を行う通信装置を接続することで、優先制御を行う通信装置を用いてネットワークを介した通信を行いつつ、高優先度通信のQoSを確保することができる。そのため、QoSを確保するために、優先度に応じた通信の制御を行う別途の専用ルータを設ける必要がない。よって、ユーザは既存のルータやシステム構成を変更する必要がなく、また任意のプロバイダに加入しIP電話などのリアルタイム通信を高品質に行うことができる。また、QoS確保が可能な優先制御を行う通信装置を設けるだけで、低優先度通信装置、高優先度通信装置及び中継装置などを含むシステム全体の変更を行うことなく高優先度通信装置のQoSを確保することができる。

0114

高優先度通信を行う高優先度通信装置としては、例えば電話通信などのリアルタイム性を要求されるIP電話機など挙げられる。また、低優先度通信装置としては、例えばファイル転送などを行う端末などが挙げられる。よって、優先制御を行う通信装置を用いてIP電話機のQoSを確保することにより、リアルタイム性を維持することができる。

0115

なお、低優先度通信装置に第1制御データを送信する場合は、低優先度通信装置から相手先の通信装置への通信経路を変更することができる。また、中継装置に第1制御データを送信する場合は、相手先の通信装置から低優先度通信装置への通信経路を変更することができる。

0116

以下、本実施の形態に関する補足事項を、各節(<適用環境>、<設置位置>、<経路変更方法>、および<経路変更のタイミング>)で説明する。

0117

<適用環境>
ここまでは本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114が適用できる環境の例として、図1ネットワーク構成を用いて説明したが、本発明はより一般的なネットワーク構成に対して適用可能である。

0118

どのようなネットワーク構成に適用できるかについて説明する前に、ここで、図1の構成で発生するQoSの問題がどのような手順で発生するかについて、簡単にまとめる。

0119

発生手順1.第1家庭101内の第1IP電話機114と第2家庭104内の第2IP電話機117との間で行われるIP電話−IP電話間の通信132と、PC111とサーバ113の間のPC−サーバ間の通信131が同時に行われる。

0120

発生手順2.アクセス回線106がLAN回線107より低速でありその中継点となる第1ルータ112において通信が競合し輻輳が発生する。

0121

発生手順3.第1ルータ112において優先制御が行われないために、IP電話通信のQoSが低下する。

0122

上記の状況は、一般的には以下のように言い換えることができる。

0123

発生手順1.高優先度の通信と低優先度の通信が同時に行われる。

0124

発生手順2.高速な回線から低速な回線へ中継する装置で輻輳が発生する。

0125

発生手順3.中継装置において優先制御が行われないために、高優先度通信のQoSが低下する。

0126

本発明はこのような状況であれば一般的に利用可能である。すなわち、上記では、本発明のQoS制御部621を有する通信装置としてIP電話機を例として挙げたが、通信装置はPCやサーバ、IP電話機に限る必要はなく、DVDレコーダIPテレビ電話機などでもよい。また、低速な回線はADSLの上り回線に限る必要はなく、無線LAN回線や、電灯線などでもよい。また、インターネットに接続する環境に限る必要はなく、家庭内LANや企業内LAN、地域IPネットワークなどに閉じたネットワーク環境において、複数の通信が同時に行われている場合にも適用できる。

0127

<設置位置>
また、ここまでは、本発明が図1における第1IP電話機114内のQoS制御部621として実装されているとして説明したが、図9に示すようにその他の位置に設置されてもかまわない。図9においては、本発明の通信装置本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114およびその機能を持つQoS制御部1581〜1585が様々な位置に配置されていることを除いては図1と同じネットワーク構成であるので詳細については説明を省略する。

0128

図9に示すように、QoS制御部621は、家庭内LANに接続されていればIP電話機と独立して設置することも可能である。すなわち、上述のQoS制御部621を有するQoS制御装置1583を、第1ルータ112のLAN側に接続された一端末として設けても良い。QoS制御装置1583は、図10に示すようにQoS制御部621のみを機能部として持つ単一の装置である。また、QoS制御装置1585、1582を、第1ルータ112に接続された各装置111及び114と第1ルータ112との間に接続してもよい。ただし、第1ルータ112と他の装置111、114との間に接続する場合は、QoS制御装置1585、1582は、第1ルータ112と他の装置111、114の間の通信を中継するブリッジ、第2層であるデータリンク層における中継機として動作する。

0129

また、図1では第1IP電話機114内のQoS制御部621として実装され、QoS制御処理を行う場合の例を示したが、図9のようにPC111や第1ルータ112内に同様のQoS制御部1584、1581が存在してもかまわない。

0130

なお、本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114を家庭内LAN以外の場所に設置して効果を発揮する場合もあるが、それについては以降の関連する部分(<経路変更方法>内の経路変更制御データがDNS回答パケットの場合の説明)で述べることとする。

0131

<経路変更方法>
また、ここまでは、<QoS制御処理の全体の流れ>の手順1〜手順4としてARP要求/ARP応答を利用した場合の手順について説明したが、その他の方法として、ICMPv6近隣探索パケットを利用する方法、ICMP経路変更(リダイレクト)パケットもしくはICMPv6経路変更(リダイレクト)パケットを利用する方法、DNS回答パケットを利用する方法、DHCPもしくはDHCPv6パケットを利用する方法、PCにソフトウェアインストールする方法などがある。以下ではこれらを利用した場合の手順について説明する。ただし、本発明において利用する経路変更の方法をこれらに制限するものではなく任意の方法を用いてよい。

0132

〔ICMPv6近隣探索パケットを利用した場合〕
ここでは経路変更のための経路変更制御データとしてICMPv6近隣探索パケットを利用する場合の手順について説明する。

0133

まず、ICMPv6近隣探索パケットの機能について簡単に説明する。IPv6(Internet Protocol Version 6)における近隣探索(Neighbour Discovery)はRFC2461に規定されており、基本的にはIPv4(Internet Protocol Version 4)におけるARPと同様の機能を提供する。すなわち、Ethernet(登録商標)においてIPv6アドレスとMACアドレス(ネットワークI/Fハードウェアに固有のアドレス)との対応をLAN内で通信する装置の間で互いに通知し合うためのプロトコルである。ICMPv6近隣探索パケットには、IPv4でのARP要求に対応する近隣要請(Neighbour Silicitation)メッセージ、IPv4でのARP応答に対応する近隣通知(Neighbour Advertisement)メッセージなどがある。

0134

経路変更制御データとして近隣通知パケットを利用する場合の制御シーケンスやパケットの流れは、図4図5等に示す経路変更制御データがARP要求の場合と、以下を除いて同じであるためここでは詳細については省略する。

0135

変更点1.ARP要求1061、1062が近隣要請パケットに変わること。

0136

変更点2.ARP応答1063が近隣通知パケットに変わること。

0137

変更点3.ARPテーブルがNDキャッシュテーブルに変わること。

0138

なお、変更点1、2に関しては、パケットフォーマットも変更する必要があるため、近隣要請、近隣通知パケットのメッセージフォーマットおよび、ARP要求・応答の送信元MACアドレス(図3の912)、送信元IPアドレス913、宛先MACアドレス914、宛先IPアドレス915が近隣要請、近隣通知パケットにおけるどのフィールドと対応するかを簡単に説明する。図11は、近隣要請パケット及び近隣通知パケットのフォーマットを簡易的に表したものである。まず、図11の近隣要請パケットの対照送信元MACアドレス9201、対象IPアドレス924、対象MACアドレス925及び宛先IPアドレス9212は、それぞれ図3のARP要求における送信元MACアドレス912、送信元IPアドレス913、宛先MACアドレス914及び宛先IPアドレス915に対応する。また、図11の近隣通知パケットの始点MACアドレス945、送信元IPアドレス9411、宛先MACアドレス9402及び対象IPアドレス944は、それぞれ図3のARP応答における送信元MACアドレス912、送信元IPアドレス913、宛先MACアドレス914及び宛先IPアドレス915に対応する。なお、近隣通知パケットを経路変更制御データとして用いる際には、より確実に制御対象装置のNDキャッシュを書き換えるために、ICMPv6ヘッダ942中に存在する上書きフラグ943を有効にしておくことが望ましい。

0139

なお、経路変更制御データとしてARP応答パケットを利用できるのと同様に、近隣要請パケットを利用することもできる。図11に示すように、近隣要請パケットのフォーマットも近隣通知パケットと同様であり、ARP要求と対応している。また、ICMPv6近隣探索パケットの一種として、ルータ通知(Router Advertisement)パケットがあり、これを経路変更制御データとして利用することもできる。ルータ通知パケットは、ルータが、制御対象装置であるホストに対して、自身がデフォルトゲートウェイであることを伝えるためのメッセージである。これを受信した制御対象装置であるホストは、ルーティングテーブルにそのルータ通知パケットの送信元であるIPアドレスをデフォルトゲートウェイのIPアドレスとして登録する。また、その有効時間はルータ通知パケットの「ルータ有効時間」フィールドに設定された値となる。このようにルータ通知パケットを経路変更制御データとして利用する場合は、この「ルータ有効時間」フィールドの値を0に設定したパケットを用いる。このとき、そのルータ通知パケットを受信したホストは、そのルータ通知パケットの送信元IPアドレスがデフォルトゲートウェイでなくなったと解釈し、ルーティングテーブルからそのエントリを削除する。これにより、以降制御対象装置はパケットを送信できなくなる。

0140

なお、この状態でさらに「ルータ有効時間」フィールドが0でない値で、送信元IPアドレスとして任意のIPアドレスを設定したルータ通知パケットを経路変更制御データとして制御対象装置に送信すると、以降制御対象装置にその設定されたIPアドレスがデフォルトゲートウェイであると認識させることができる。

0141

〔ICMP経路変更パケットを利用した場合〕
ここでは経路変更のための経路変更制御データとしてICMP経路変更パケットを利用する場合の手順(手順1.〜手順4)について説明する。

0142

まず、ICMP経路変更パケットの機能について簡単に説明する。通常IPにおける経路制御は各装置の持つルーティングテーブルを参照することで行われる。ルーティングテーブルにはLAN外のネットワークにIPパケットを送信する際に最初に経由するルータ(これをゲートウェイと呼ぶ)のアドレスが設定されている。ICMP経路変更パケットを経路変更制御データとして利用すると、制御対象装置のルーティングテーブルのゲートウェイアドレスを書き換えることができ、これにより低優先度通信の経路を変更することができる。図12にICMP経路変更パケットのパケットフォーマットを示す。以下、図1のネットワークにおいて、ICMP経路変更パケットを利用した場合の経路変更手順について、図1図2図12に加え図13〜図15を用いて説明する。図13は、ICMP経路変更パケットを利用した場合のQoS制御手順におけるデータの流れを示す模式図であり、やりとりされる各データ1661、1662が、ネットワーク上でどのように移動しているかを示す。図14は、ICMP経路変更パケットを利用した場合のQoS制御手順における処理およびデータの流れの一例であり、本手順における各データのやりとりおよび第1IP電話機114におけるQoS制御処理の時系列を示している。図15A図15Bは、制御対象装置のルーティングテーブルであり、以下の手順においてPC111のルーティングテーブル1621が随時更新されていく様子を示す。また、以下の手順ではPC111、第1ルータ112、サーバ113、第1IP電話機114、架空の装置115のMACアドレスおよびIPアドレスは、図8に定義するとおりである。

0143

(1)手順1
手順1では図2を参照して説明する。まず、本実施の形態では、自装置である第1IP電話機114の行うIP電話通信が高優先度通信であり、LAN内から第1ルータ112を経由してインターネットへ向かう通信は全て低優先度通信であるとして、本発明のQoS制御部621は動作するものとする。このとき、図2の優先度情報保持部841は既定の情報として、ICMP経路変更パケットによる経路変更制御に必要なIP_ルータの値および制御対象装置のIPアドレスとしてのIP_PCの値を持つ。ここで、IP_ルータとは、図8に示すように、PC111及び第1IP電話機114からのネットワーク2への通信を中継する第1ルータ112のIPアドレスである。なお、この情報は既定の情報でなく、ユーザインタフェースから入力されてもよいし、ネットワークを利用して何らかの手順で取得してもよい。

0144

次に優先度情報保持部841はこのIP_ルータおよびIP_PCを低優先度通信に関する情報として経路変更制御部842に通知する(図2のS851)。なお、制御対象装置のIPアドレスはここに含めずに、下記の手順2.として制御対象装置が送信するブロードキャストARP要求から取得してもよい。

0145

(2)手順2
手順2以降では図13及び14を参照して説明する。ただし、ICMP経路変更パケットのフォーマットに関しては図12を参照する。

0146

ステップS1701:第1IP電話機114の経路変更制御部842は、経路変更制御データ1661としてICMP経路変更パケットを送信する。この際、ICMP経路変更パケットのIPヘッダ931の送信元アドレスはIP_ルータ、宛先アドレスはIP_PCとする。また、ルータのIPアドレス933として、架空の装置のIPアドレスであるIP_Noneを指定する。ここで、架空の装置のIPアドレスとは、家庭内LAN内に存在する装置のIPアドレスとは異なる任意のアドレスである。

0147

(3)手順3
経路変更制御データ1661を受信する前のPC111のルーティングテーブルは、図15Aのテーブル1871のようになっている。図1のサーバ113宛のパケットを転送するゲートウェイのIPアドレスとしてIP_ルータが設定されている。

0148

ステップS1702:ここで、PC111は経路変更制御データ1661を受信すると、自身のルーティングテーブルを更新する。このときルーティングテーブルは図15Bのテーブル1872のようになり、サーバ113宛のパケットの転送先として架空のIPアドレスIP_Noneが対応づけられる。

0149

(4)手順4
ステップS1703:以上の処理により、PC111がサーバ113宛に通信データを送信するときには、架空の装置のIPアドレスをゲートウェイとして低優先度通信のデータを送信しようとする。

0150

ステップS1704:このとき、実際にデータを送信するためには、PC111は架空のIPアドレスIP_Noneに対するMACアドレスを知る必要があるため、ブロードキャストのARP要求1662を送信する。しかし、指定されている宛先IPアドレス915を持つ装置は存在しないため、ARP要求1662は破棄されてしまう。結果として、PC111は低優先度通信のデータを送信することができなくなり、経路変更後のPC−サーバ間の通信は中断される。

0151

なお、制御対象装置であるPC111のルーティングテーブルを元に戻すような経路変更制御データとして復帰制御データを送信することで、中断された低優先度通信を再開させることもできる。さらに、中断と再開の間隔を調整することにより低優先度通信の通信量を調整することも可能である。また、中断と再開の処理を複数回繰り返す場合は、2回目以降は上記手順1を省略してもよい。なお、輻輳の発生する回線である図1に示すアクセス回線106の転送速度が分かっていれば、その値から高優先度通信のQoSを確保するためにどのような間隔で中断と再開を行えばよいかを決定することもできる。このときの、アクセス回線106転送速度と中断・再開の間隔の間の関係式は例えば実験を行うことなどにより求めることができる。

0152

さらに、高優先度通信終了時には、制御対象装置のルーティングテーブルを上記のような方法で元に戻すことにより、高優先度通信終了後は経路変更前の通信経路に戻し、低優先度通信であるPC−サーバ間の通信131を継続させることもできる。

0153

なお、上述のICMP経路変更パケットはIPv4ネットワークのみで利用可能であるが、IPv6ネットワークにおいては同様の効果を発揮するICMPv6経路変更パケットが利用可能である。経路変更制御データとしてICMPv6経路変更パケットを利用した場合の処理については、上述のICMP経路変更パケットを利用する場合と同様であるため詳細についてはここでは省略する。

0154

〔DNS回答パケットを利用した場合〕
ここでは経路変更のための経路変更制御データとしてDNS回答パケットを利用する場合の手順(手順1.〜手順4)について説明する。

0155

まず、DNS(Domain Name System)について簡単に説明する。DNSはFQDN(Fully Qualified Domain Name)と呼ばれる名前形式(例:www.panasonic.co.jp)で示されたホスト名から、対応するIPアドレスを知るための機能である。

0156

通信アプリケーションはDNSを利用するためにFQDNを含めたDNS問い合わせパケットDNSサーバに対して送信する。それに対しDNSサーバから送信される、DNS回答パケット(問い合わせたFQDNに対応するIPアドレスを含む)を受信し、以降、そのIPアドレスに対して通信を行う。

0157

以下DNS回答パケットを利用した場合の経路変更手順について図1図2図8を用いて簡単に説明する。図1図2の関係および図8については既に説明したとおりである。

0158

(1)手順1.
手順1では図2を参照して説明する。まず、本実施の形態では、自装置である第1IP電話機114の行うIP電話通信が高優先度通信であり、LAN内から第1ルータ112を経由してインターネット2へ向かう通信は全て低優先度通信であるとして、本発明のQoS制御部621は動作するものとする。このとき、図2の優先度情報保持部841は既定の情報として、DNS回答パケットによる経路変更制御に必要なIP_ルータの値およびMAC_ルータの値を持つ。なお、この情報は既定の情報でなく、ユーザインタフェースから入力されてもよいし、ネットワークを利用して何らかの手順で取得してもよい。

0159

次に優先度情報保持部841はこのIPルータとMAC_ルータを、低優先度通信に関する情報として経路変更制御部842に通知する(図2のS851参照)。

0160

(2)手順2
ここでは一旦ARP要求/ARP応答/ICMP経路変更パケットの場合に用いた方法を応用し、DNS問い合わせパケットの宛先を変更し、本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114へ向ける。低優先度の通信に関する情報として獲得したIP_ルータはここで用いる。

0161

第1IP電話機114は、DSN問い合わせパケットを受信し、そこで含まれるFQDNなどDNS回答パケット作成に必要な各種情報を記憶する。なお、ARP要求/ARP応答/ICMP経路変更パケットにより変更した経路は以降の任意のタイミングで戻してよい。

0162

第1IP電話機114の経路変更制御部842は、経路変更制御データとしてDNS回答パケットを制御対象装置であるPC111に対して送信する。この際、DNS問い合わせパケットに含まれるFQNDに対応する架空の装置のIPドレスであるIP_None(図8参照)を設定する。なお、この経路変更制御データの送信元IPアドレス、宛先IPアドレスは、DNS問い合わせパケットの送信元IPアドレス、宛先IPアドレスを入れ替えたものである。また、送信元MACアドレスには、低優先度通信に関する情報として獲得したIP_ルータを設定する。

0163

(3)手順3.
経路変更制御データを受信した制御対象装置であるPC111は、以降存在しないIPアドレスを宛先として低優先度通信のデータを送信する。

0164

(4)手順4.
しかし、通信経路上のいずれかのルータで宛先ホストが存在しないことが検出され、PC111に対してICMP宛先到達不能メッセージが送信される。これを受信したPC111はエラーを検出し、通常は通信アプリケーションが通信を中断する。

0165

なお、<設置位置>では、制御対象装置であるPC111と本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114は、同じLAN内に存在する必要があると述べた。しかし、経路変更制御データとしてDNS回答パケットを利用する場合は、必ずしも制御対象装置と本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114が同一LAN内に存在する必要はない。このため、制御対象装置は低優先度通信を行う両端の装置のいずれであってもよい。また、本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114が存在する場所は、制御対象装置とIP通信が可能なところであればどこでもよい。

0166

なお、上述のDNS回答パケットはIPv4においてもIPv6においても利用可能である。

0167

〔DHCP、DHCPv6を利用した場合〕
次に、DHCP、DHCPv6を利用した場合について説明する。DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)は、クライアントであるホストのIPアドレスや利用するデフォルトゲートウェイ、DNSサーバなどの情報をサーバから取得するためのプロトコルでありIPv4のネットワークで利用可能である。DHCPではクライアントがサーバを検出するためのメッセージ交換を行った後、検出されたサーバに対して、DHCPREQEST(DHCP要求)パケットを送信し、これに応答してサーバから送信されるDHCPACK(DHCP応答)パケット(前述した情報を含む)を受信することで、クライアントの設定を行う。

0168

また、DHCPv6はIPv6で利用可能なプロトコルでありDHCPとほぼ同様の機能を提供する。ただし、DHCPv6ではデフォルトゲートウェイの設定を行うことができない点でDHCPと異なる。また、DHCPでは必ずクライアントからの要求に対してサーバが応答する形で処理が行われるのに対し、DHCPv6ではサーバ側から設定の上書きを行うためのRECONFIGURE(再設定)パケットを利用可能である。

0169

これらのプロトコルにおけるDHCPACKパケットやRECONFIGUREパケットを経路変更制御データとして利用することにより、制御対象装置のデフォルトゲートウェイを変更し、前述のICMP経路変更パケットを利用した場合と同様の効果を得たり、制御対象の参照するDNSサーバを変更することにより、前述のDNS回答パケットを利用した場合のARP要求などによる事前の経路変更方法と同様の効果を得ることができる。

0170

なお、DHCPはRFC2131に、DHCPv6はRFC3315に規定されている。

0171

〔PC上のソフトウェアを利用した場合〕
ここでは経路変更の制御をPCにインストールするソフトウェアを利用して行う場合の手順(手順1.〜手順4)について説明する。

0172

制御対象装置がPCなどの汎用コンピュータであった場合、そこにソフトウェアをインストールすることで制御対象装置の送信するデータの経路を変更することができる。なお、本手順が始まる前にPCへのソフトウェアのインストールは完了しているものとする。以下では図1図2図12を用いてその手順を説明する。図1図2の関係および図12については既に説明したとおりである。

0173

(1)手順1
本方法では、優先度情報保持部841から経路変更制御部842に低優先度通信に関する情報を通知する手順1は不要である。

0174

(2)手順2.
QoS制御部の経路変更制御部842は、経路変更制御データとして、PC111にインストールしたソフトウェアが認識できる特殊なパケットをブロードキャストで送信する。なお、制御対象装置であるPC111のアドレス(IP_PCもしくはMAC_PC)が事前に分かっている場合はユニキャストでもよい。経路変更制御データの中には転送先となるアドレスの情報として、存在しないアドレスを設定する。なお、転送先アドレスが事前に分かっている場合は、PCのソフトウェアに予め登録しておいてもよい。

0175

(3)手順3
経路変更制御データを受信した制御対象装置であるPC111は、予めインストールしたソフトウェアの処理により、自身のARPテーブルやルーティングテーブルを書き換えたり、通信データの宛先MACアドレスやIPアドレスを何らかの方法で書き換えたりする。

0176

(4)手順4
以降PC111は、存在しないMACアドレスやIPアドレスを宛先として低優先度通信のデータを送信するようになり、この結果、PC−サーバ間の低優先度通信は中断される。

0177

なお、制御対象装置のデータ転送先を元に戻すような経路変更制御データを送信することで、中断された低優先度通信を再開させることもできる。さらに、中断と再開の間隔を調整することにより低優先度通信の通信量を調整することも可能である。

0178

さらに、高優先度通信終了時には、制御対象装置のARPテーブルを上記のような方法で元に戻すことにより、高優先度通信終了後は経路変更前の通信経路に戻し、低優先度通信であるPC−サーバ間の通信131を継続させることもできる。

0179

<経路変更のタイミング>
ここまでは、経路を変更するタイミングとして高優先度通信開始時に経路を変更する、経路をもどすタイミングは高優先度通信終了時としていたが、本発明ではこれらに限る必要はない。以下では経路変更のタイミングについて説明する。

0180

制御対象装置に経路変更制御データを送信可能なタイミングは、経路変更制御データによって異なる。例えば、経路変更制御データがARP要求の場合は、制御対象装置が一度ARP要求を送信した後であれば任意のタイミングで経路変更制御データを送信可能である。しかし、経路変更制御データがDNS回答パケットの場合は、制御対象装置がDNS問い合わせパケットを送信した後、DNS回答パケットの受信待ち処理がタイムアウトによりDNS回答パケットを受信できなくなるまでの間に、本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114からの経路変更制御データを受信しなければならない。

0181

経路変更制御データを送信可能なタイミングは経路変更制御データによって異なるが、以下に、受信した経路変更制御データに基づいて通信経路を変更するタイミングとその効果について説明する。ただし、これは本発明を適用するタイミングを以下のものに限定するものではなく、任意のタイミングで行ってよい。

0182

まず、低優先度通信の通信経路を通常の通信経路から別の通信経路へ変更するタイミングとしては、以下が考えられる。

0183

タイミング1.低優先度通信の通信経路を変更するタイミングは、本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114の電源起動時もしくは本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114を家庭内LANに接続するタイミング、もしくはそれ以降最初に実施、つまりARP要求パケットを受信して処理が開始できるタイミングである。この場合、永続的に経路を変更させることが可能で、実装が容易である。

0184

タイミング2.低優先度通信の通信経路を変更するタイミングは、高優先度通信が開始されるタイミングである。この場合、通信が競合する可能性のある期間のみ通信経路を変更することができるため、低優先度通信が通信経路を変更されることによる影響を小さくすることができる。

0185

タイミング3.低優先度通信の通信経路を変更するタイミングは、高優先度通信の品質が低下したタイミングである。この場合、制御は複雑になるが、通信経路が変更されている期間を前述のタイミング2.よりさらに短くすることができる。なお、品質低下判断基準は、高優先度通信の品質に関する情報(遅延、ジッタ、パケット損失率など)の統計情報などから決定される。本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114が高優先度通信の品質に関する情報を取得する方法としては、高優先度通信を終端する装置において品質情報収集し、その情報を含んだパケットを第1IP電話機114に対して送信させる方法が簡単である。さらに、高優先度通信を終端する装置にQoS制御部が存在する場合には、装置内で品質情報を受け渡すこともできる。

0186

次に一旦変更された通信経路をもとに戻すタイミングとしては以下が考えられる。

0187

タイミング1.通信経路をもとに戻すタイミングは、本発明のQoS制御部621を有する第1IP電話機114のシャットダウン処理時、再起動時である。この場合、第1IP電話機114が制御できない期間は低優先度通信への影響をなくすことができる。

0188

タイミング2.通信経路をもとに戻すタイミングは、高優先度通信が終了するタイミングである。この場合、通信が競合する可能性のある期間のみ経路を変更させることができるため、低優先度通信が経路を変更されることによる影響を小さくすることができる。

0189

タイミング3.通信経路をもとに戻すタイミングは、低優先度通信の通信量が減少したなどの理由により、通信経路を戻しても高優先度通信の品質が確保されると判断されたタイミングである。この場合制御は複雑になるが、通信経路が変更されている期間を前述の2.よりさらに短くすることができる。なお、経路を戻しても高優先度通信の品質が確保されるかどうかの判断基準は、高優先度通信の品質に関する情報(遅延、ジッタ、パケット損失率など)の統計情報などから決定される。第1IP電話機114が高優先度通信の品質に関する情報を取得する方法としては、高優先度通信を終端する装置において品質情報を収集し、その情報を含んだパケットを第1IP電話機114に対して送信させる方法が簡単である。さらに、高優先度通信を終端する装置にQoS制御部が存在する場合には、装置内で品質情報を受け渡すこともできる。

0190

なお、特許請求の範囲の優先度情報保持手段は優先度情報保持部841に相当し、特許請求の範囲の経路変更制御手段は経路変更制御部842に相当する。

0191

(第2の実施形態)
次に、本発明の第2実施形態例について、図面を参照しながら説明する。図16は、第2実施形態例に係るネットワーク構成図である。図16では、第1家庭101内に存在する第1ルータ112のLAN側にPC111および第1IP電話機114が接続されており家庭内LANを形成している。また、この家庭内LANはアクセス回線106および第1ISP103を経由してインターネット102に接続されている。また、別の第2家庭104にも第2ルータ116が存在し、そのLAN側には第2IP電話機117が接続されている。この第2家庭104の家庭内LANは第2ISP105を経由してインターネット102に接続されている。

0192

また図16では、第1家庭101内のPC111とインターネット102上のサーバ113との間でファイル転送131(以下、PC−サーバ間の通信131)を、第1家庭101内の第1IP電話機114と第2家庭104内の第2IP電話機117との間でインターネット102を利用したIP電話通信132(以下、IP電話−IP電話間の通信132)を行っている。

0193

また、図16ではQoS制御部121がIP電話機114の一機能部として実装されている。図16のIP電話機114およびQoS制御部121内の内部構成をより詳細に示したのが図17である。図17のように、QoS制御部121は、優先度情報保持部841と経路変更制御部842、及び通信制御部120からなる。また、通信制御部120は、低優先度通信装置からネットワークへの送信データの出力を制御しており、解析部127、選択部128および調整部126を含む。経路変更制御部842はIP電話機114内の通信処理部123を介してLAN回線107からのデータの受信や、LAN回線107へのデータの送信を行うことができる。なお、ここでは通信処理部123はEthernet(登録商標)のプロトコルに従うものとする。すなわち、通信処理部123はPHY部172およびEtherMAC部171からなるものとする。また、IP電話の音声データは、音声データ生成部122で生成され、通信処理部123を介して、LAN回線107へ送信される。ここで、IP電話−IP電話間の通信132はリアルタイム性が必要とされる通信であり、優先度の高い高優先度通信である。一方、PC−サーバ間の通信131は優先度の低い低優先度通信である。また、第1IP電話機114は高優先度通信装置であり、PC111は低優先度通信装置である。

0194

なお、本実施形態の第1の実施形態との違いは、次の通りである。第1の実施形態では経路を変更した際に、制御変更対象装置に対して存在しないアドレスを宛先と認識させることによって低優先度通信を中断させていたのに対し、第2の実施形態では制御変更対象装置に対してQoS制御部121を持つ第1IP電話機114のアドレスを宛先と認識させることによって、一旦QoS制御部121が低優先度の通信データを受信する。つまり、第1の実施形態では、QoS制御部は通信経路を変更するだけであったのに対し、第2の実施形態ではさらに、QoS制御部121は解析部127、選択部128および調整部126を備え、受信した低優先度通信のデータに対してより詳細な制御を行う。

0195

以下、第2の実施形態において、本発明のQoS制御部121を有する第1IP電話機114が、図16に示すように、低優先度であるPC−サーバ間の通信131の通信経路を第1IP電話機114経由133に変更し、第1IP電話機114において詳細なQoS制御を行うことにより、高優先度通信のQoSを確保する手順について述べる。以下、まず<QoS制御処理の全体の流れ>において本発明のQoS制御処理の概要を述べ、次に<QoS制御処理の詳細手順>において各手順の詳細について述べる。

0196

<QoS制御の全体の流れ>
第2の実施形態におけるQoS制御処理はおおまかには以下の手順で実施される。

0197

まず、QoS制御処理が行われる前の状態として、図16のネットワークにおいて低優先度通信(PC−サーバ間の通信131)のみが行われているとする。その後、高優先度通信(IP電話−IP電話間の通信132)が開始されるときに、QoS制御部121において以下の制御が行われる。以下では、図17を参照しながら説明する。

0198

(1)手順1
優先度情報保持部841は、低優先度通信及び高優先度通信を区別するための優先度情報を保持しており、これを経路変更制御部842に通知する(S851)。ここで、第1IP電話機114は高優先度通信を行う高優先度通信装置として設定され、PC111は低優先度通信を行う低優先度通信装置として設定されている。

0199

(2)手順2
経路変更制御部842は、経路変更のための経路変更制御データを生成するのに必要な例えば、IPアドレスなどの情報を取得する(S852)。ここで収集する情報は、経路変更方法により異なる。

0200

経路変更制御部842はここで取得した情報と、手順1により得られる情報とから経路変更制御データを生成し、経路変更の制御対象装置である、低優先度通信を終端もしくは中継するPC111に対して経路変更のための経路変更制御データを送信する(S853)。

0201

通信処理部123は、この経路変更制御データをLAN回線107に送出する。経路変更制御データには、低優先度通信装置であるPC111から出力されるデータの変更後の宛先に関する情報を含んでいる。本実施の形態では、本発明のQoS制御部121を有する第1IP電話機114自身のアドレスを変更後の宛先とする。

0202

(3)手順3
低優先度通信装置であり、制御対象装置であるPC111は、経路変更制御データを受信し、以降の低優先度通信のデータを変更された通信経路、すなわちQoS制御部121を有する通信装置である第1IP電話機114を経由する経路に送信する。

0203

(4)手順4
QoS制御部121は、通信処理部123を経由して低優先度通信のデータを受信し(S1951)、解析部127、調整部126、選択部128などにおいて低優先度通信のデータに対して何らかの処理を行い、その後正しい宛先へ転送する(S1952)。このときの低優先度通信の通信経路は、図16における、経路変更後のPC−サーバ間の通信133となる。

0204

<QoS制御の詳細手順>
次に上記手順を実施した場合の詳しい手順を実施した場合の詳しい手順を、<QoS制御処理の全体の流れ>の手順1〜手順4に関して、図16に加え、図17図20を用いて以下に説明する。図17は、第2実施形態例におけるQoS制御部およびIP電話機のブロック図であり、本手順における各データのやりとりおよび第1IP電話機114における処理の時系列を示している。図18は、経路変更制御後に詳細制御を行う場合の処理およびデータの流れの一例である。図19及び図20は、PC111のARPテーブルおよびルーティングテーブルが随時更新されていく様子を示す。

0205

以下、処理の流れに沿って説明する。

0206

(1)手順1
手順1では図17を参照して説明する。まず、本実施形態例では、自装置である第1IP電話機114の行うIP電話通信が高優先度通信であり、LAN内から第1ルータ112を経由してインターネット2へ向かう通信は全て低優先度通信であるとして、本発明のQoS制御部621は動作するものとする。このとき、図17の優先度情報保持部841は既定の情報として、ARP要求による経路変更制御に必要なIP_ルータの値を持つ。

0207

次に優先度情報保持部841はこのIP_ルータを、低優先度通信に関する情報として経路変更制御部842に通知する(図17のS851参照)
(2)手順2
ステップS1401:次に、低優先度通信を終端するLAN内の装置であるPC111は、図5のS1201と同様に、サーバ113と通信するために最初に経由する第1ルータ112のIPアドレスであるIP_ルータを宛先IPアドレス915として、ブロードキャストARP要求1061を送信する。

0208

なお、ICMP経路変更パケットを受信した後のPC111のルーティングテーブルは、図20のテーブル1873に示す通りになる。また、上記の違いは、経路変更制御データがARP要求/ARP応答/ICMP経路変更パケット/DNS回答パケット/PC上のソフトウェアが認識可能な特殊パケットのいずれを利用するかによらないため、本実施形態では<経路変更方法>に関する説明を省略する。

0209

以降、QoS制御部内の経路変更制御部842は、S1402の経路変更制御データ生成処理を行う。経路変更制御データで設定する通信経路の変更先のアドレスが第1実施形態例と異なるのみで、その他の処理の詳細については第1実施形態例の図13のフローチャートと同様であるので説明を省略する。ここで指定する宛先IPアドレス915、送信元アドレス913は、受信したARP要求1061の宛先IPアドレス915と送信元IPアドレス913を入れ替えたものである。また、送信元MACアドレス912には、QoS制御部121を有する第1IP電話機114のMACアドレスであるMAC_QoSを設定する。

0210

(3)手順3
ステップS1405:経路変更制御データ1062を受信した制御対象装置であるPC111は、この経路変更制御データ1062に基づいてAPRテーブルを更新する。このときのAPRテーブルの状態は、図19のテーブル1174のようになっており、IP_ルータに対応するMACアドレスとして、QoS制御部121を有する第1IP電話機114のMACアドレスであるMAC_QoSが登録されている。

0211

(4)手順4
ステップS1406:次に、PC111が通信データの送信処理を行う。このとき、既に手順3において低優先度通信の経路がQoS制御部を持つ第1IP電話機114に変更されているため、その通信データ2061は第1IP電話機114に送信される。

0212

第1IP電話機114は、その通信データ2061を受信し、詳細制御(S2001)を行い送信する。以下に、受信処理および送信処理(詳細制御含む)の一例について図17および図21図22図23を参照しながら説明する。

0213

〔受信処理〕
第1IP電話機114に迂回してきたEthernet(登録商標)フレーム(図21(a))は、PHY部172を経由してEthernet(登録商標)MAC部171で、そのフレームが抽出される。Ethernet(登録商標)MAC部171では、抽出したフレームの宛先アドレス(DA)、送信元アドレス(SA)、タイプ、ペイロードデータ、をQoS制御部121内の解析部127に送る。

0214

解析部127では、図22に示す動作をする。すなわち、Ethernet(登録商標)MAC部171からEthernet(登録商標)フレーム(DA、SA、タイプ、データ)を受け取る(図22のS601)と、そのタイプ領域から該フレームにIPプロトコルパケットが格納されているかどうか調べる。タイプの値が、0x0800ならこれはIPプロトコルであり、自装置(第1IP電話機114)が受けとる候補となる(S602)。次いで、S603で示すように、Ethernet(登録商標)フレーム(図21(b))内のIPヘッダ(図21(c))から宛先IPアドレスを調べ、それが受信対象であるかどうか判断する。受信対象ならば、フレームは上位の処理部であるTCP/IP処理部124へ送る(S604)。S602においてIPプロトコルで無いものや、S603において自分宛で無いものは、調整部126に書き込まれ(S605)、調整部126によって、フレームのDAとSAが書き換えられる(S605)。具体的な書き換える内容については、後述する。なお、調整部126は、フレームを蓄積可能な蓄積部を有している。また、蓄積部は調整部126に含まれている必要は無く、調整部126とは独立に設けられていても良い。

0215

TCP/IP処理部124では、解析部127から受け取ったEthernet(登録商標)フレームに対してTCP/IPプロトコル処理を行い、IP電話アプリ122などの適切な端末アプリケーションに伝える。

0216

〔送信処理〕
IP電話アプリ122からの送出データは、上位の処理部であるTCP/IP処理部124によって送信プロトコル処理が施されてEthernet(登録商標)フレームが構成され、QoS制御部121内の選択部128に送出の要求が出される。

0217

選択部128では、図23に示す動作をする。すなわち、TCP/IP処理部124からの送出要求があると(S701)、該フレームは読み出されて(S702)、Ethernet(登録商標)MAC部171へ送信される(S705)。一方、TCP/IP処理部124からの要求が無い場合には(S701)、次いで調整部126からの送信要求が無いかチェックする(S703)(なお、経路変更制御部からの制御データパケット送信要求などがあれば、調整部126からの送信と同様に扱われる)。調整部126からの送信要求があれば、調整部126からフレームが読み込まれ(S704)、Ethernet(登録商標)MAC部171へ送信される(S705)。フレーム送信が終われば(S705)、再びTCP/IP処理部124からの送信要求が無いかどうかのチェックを行う(S701)。

0218

送信すべきフレームを受け取ったEthernet(登録商標)MAC部171は、FCS(フレームチェックシーケンス)を付与するなどMAC処理を行って伝送路へPHY部172経由でフレームを送出する。

0219

特に、これら解析部と調整部と選択部の各部をハードウェアで実現することにより、端末アプリケーションやTCP/IP処理を実行するCPUは、自装置宛てではないフレームを処理することが避けられるため、PC111の送受信フレームに影響されることがなくなる。

0220

いまここに、PC111からサーバ113宛に送出するフレームに対して、以上のように動作する第1IP電話機114がどのように作用して優先制御が行われるのかを説明する。

0221

まず、上述したように、PC111からサーバ113宛のEthernet(登録商標)フレームは、第1IP電話機114経由となる。その場合、PC111から送出されるEthernet(登録商標)フレームは、当初は第1ルータ112のMACアドレスを宛先アドレスとして送っていたが、経路変更によりARPテーブル等が書き換えられた後は第1IP電話機114のMACアドレスが宛先アドレスとなる。但し、通信相手であるサーバ113には変りがないので、宛先IPアドレスはサーバ113のIPアドレスのままである。

0222

PC111から送出されるEthernet(登録商標)フレームは宛先MACアドレスが第1IP電話機114であるため、第1IP電話機114に迂回されて届くことになる。第1IP電話機114においては、該フレームの宛先IPアドレスは自分でなくサーバ113であるので、解析部127では図5を使って上述したように調整部126に対して書き込むことになる。即ち、宛先MACアドレスは第1IP電話機114に設定されているが、上位プロトコルの宛先IPアドレスは本来の宛先であるサーバ113のIPアドレスが設定されている。このため、PC111からサーバ113宛に送出されたが、ARPテーブルの書き換えによって第1IP電話機に迂回してサーバ113に送出されるEthernet(登録商標)フレームと、第1IP電話機114自身を宛先とするEthernet(登録商標)フレームとを解析部127において区別することが出来る。また、調整部126では格納されたフレームの宛先MACアドレスであるDAを第1ルータ112のMACアドレスに(図18に示すように中継されたパケットは一旦ルータへ転送された後(S2002)、サーバ113へ転送されるため(S2003))、また送出元MACアドレスであるSAを自分のMACアドレスに書き換える。調整部126に格納されたPC111の送出フレームは、選択部128において図6を使って上述したように選択多重される。このときに、第1IP電話機114のIP電話アプリからの送出フレームがあれば、それを優先して選択送出することになるため、第1IP電話機114において自送出フレーム(音声データ)を、PC111送出フレームに対して優先することになる。

0223

図24、35、36を用いて、第1IP電話機114からの送出フレーム(自送出フレーム)とPC111からの受け取った中継フレームの、選択部における到着(送出要求)と送出(読み出し)の関係を示す。これらは、ここまで説明してきた送受信、中継処理の詳細な動作(調整部126がバッファを持つかどうかや、LAN回線107が全二重か半二重かによって異なる)を説明するためのものである。

0224

まず、図24は、調整部126がバッファを持ち、LAN回線107が全二重の場合である。

0225

(a)と(e)の場合:中継フレームが到着したときに自送出フレームが無く、中継フレームの送出が完了したときにも自送出フレームが無い場合は、そのまま中継される。

0226

(b)の場合:中継フレームが到着したときに自送出フレームが無かったが、中継フレームを送出しているときに自送出フレームの送出要求が発生した場合は、中継フレームの送出が時刻t3で完了すると、たとえ調整部126から次の中継フレームの送信要求があったとしても、すぐに自送出フレームが送出され、時刻t4で送出完了となる。

0227

(c)と(d)の場合:自送出フレームを送信している間に、中継フレームが到着した場合であり、中継フレームは自送出フレームの送出完了次第(時刻t2)、中継フレームを送出始める。調整部126におけるバッファの大きさとしては、フレームが格納できるだけの大きさを想定しているため、自送出フレームの送出中に中継フレームを待たせることができる。

0228

一方、調整部126におけるバッファのサイズが小さい、例えばエラスティックメモリ相当なら、図25に示すように、自送出フレームを送出中に中継フレームが到着した場合(同図8の(c)(d))には、該中継フレームは廃棄されることになる。

0229

また、調整部126におけるバッファはフレームを格納できる容量を有し、伝送路が半二重の場合には、図26に示すような送出タイミングになる。すなわち、半二重伝送路であるから、受信中には送出できないことになる。

0230

(a)の場合:自送出フレームは中継フレームを送出完了するまで送出できない。

0231

(b)の場合:中継フレームは到着完了ではあるが、自送出フレームがあるため、まず自送出フレームを送出し終わってから、中継フレームを送出する。

0232

(c)の場合:自送出フレームを送出中のため、該タイミングで中継フレームを受信できない。中継フレームは(d)のタイミングの到着となる。

0233

(d)と(e)の場合:中継フレームが到着したとき、自送出フレームが無いため、中継フレームの受信が完了次第、送出する。

0234

なお、ここまでの説明では選択部128は、TCP/IP処理部124からの高優先度通信の送信要求がない場合にのみ低優先度通信の通信データ2062を送信しているが、高優先度通信のデータの有無にかかわらず、常に一定時間経過後にバッファから低優先度通信装置の送信データを取り出してネットワークに出力しても良い。このように常に一定時間経過後に低優先度通信をネットワークに出力することで、高優先度通信の有無にかかわらず高優先度通信のQoSを確保するための制御を行うことができる。

0235

<経路変更後の詳細制御>
なお、ここまでは本発明のQoS制御部121を有する第1IP電話機114で行う詳細制御が、図30で専用ルータが行っているような優先制御であるとして説明したが、その他一般によく知られる優先制御手法のいずれを用いてもかまわない。

0236

ただし、このような高優先度通信データ、低優先度通信の間の優先制御が行えたのは、図16では本発明が高優先度通信の終端装置である第1IP電話機114の一機能部であったためである。第1IP電話機114が、高優先度通信の終端装置と同一の機器でなかった場合、例えば前述の図9の1583の位置などの場合は、これまでに述べたさまざまな経路変更方法を用いて、高優先度通信の経路も第1IP電話機114を経由するように変更した後に、高優先度通信と低優先度通信の間の優先制御を選択部128において行えばよい。なお、このときの高優先度通信、低優先度通信の通信経路はそれぞれ前述の図9の経路変更後のIP電話−IP電話間の通信1531、および経路変更後のPC−サーバ間の通信133のようになる。また、この場合、選択部128は、低優先度通信と高優先度通信を区別するための優先度情報として、低優先度通信、もしくは高優先度通信データを特徴付けるIPアドレスやトランスポートレイヤプロトコル(TCPやUDP)、ポート番号などの情報を優先度情報保持部841から選択部128に渡す必要がある(S1953)。なお、優先度情報保持部841が持つこれらの情報は、既定の値であってもよいし、ユーザインタフェースから入力されたものであったものでもよいし、ネットワークを利用した何らかの手段により獲得してもよい。

0237

また、QoS制御部121を有する、上記第1IP電話機114を一例とする本発明の通信装置が高優先度通信の終端装置と異なる装置であっても高優先度通信の経路を変更せずに行える詳細制御も存在する。これらの場合には調整部126、は解析部127から受け取った低優先度通信を直接、選択部128に渡すのではなく一旦調整部126に渡し、調整部126から返ってきたデータを選択部に渡すように動作する。また、これらの場合には、選択部128は優先制御を行う必要はなく受け取ったデータを順に送信すればよい。

0238

以下にはこのような場合の詳細制御の例をいくつか述べるが、これら一部は調整部126において処理を行うものである。

0239

1.本発明の通信装置の調整部126は低優先度通信のパケットの一部または全部を破棄する。

0240

2.本発明の通信装置の調整部126は、低優先度通信がTCP(Transmission Control Protocol)であった場合、TCPヘッダに存在するウィンドウフィールドの値をより小さな値に書き換え、本来のそのパケットの宛先へ転送する。本来の宛先である装置は、このパケットを受信するとTCPの一般的なフロー制御により、以降データ送信レート(ウィンドウサイズ)を下げる。前述のようにすることで、宛先である装置は低優先度通信装置への送信データの送信レートを制御するが、逆に低優先度通信装置から相手先の通信装置への送信レートを制御するデータを生成し、低優先度通信装置に送信しても良い。

0241

3.本発明の通信装置の調整部126は、低優先度通信がTCP(Transmission Control Protocol)であった場合、Ack(Acknowledgment:受信確認応答)パケットのTCPヘッダに含まれるシーケンス番号を持つAckパケットを一つもしくは複数生成し、本来のそのパケットの宛先へ転送する。本来の宛先である装置は、これらの複数のAckパケットを受信すると、TCPのフロー制御により、以降データ送信レート(ウィンドウサイズ)が下げる。

0242

4.本発明の調整部126は、低優先度通信がTCP(Transmission Control Protocol)であった場合、受信してから本来の宛先へ転送するまで一定時間遅延させる。このときTCPのフロー制御により次のパケットを送信するタイミングも同様に遅延していくため、以降データ送信レートが下がる。

0243

5.本発明の通信装置の経路変更制御部842は、高優先度通信の品質を保持するために設定されたQoS値を保持するQoS値保持部(図示せず)をさらに有していても良い。そして、経路変更制御部842は、さらに高優先度通信の品質を示す値を通信のトラフィック量に基づいて算出し、その算出された品質を示す値と前記QoS値とを比較する。ここで、算出された品質を示す値がQoS値よりも小さい場合は、経路変更制御データを送信する。よって、高優先度通信の品質の低下に応じて低優先度通信の通信経路を変更することで、必要な期間のみ高優先度通信の通信経路を確保することができ、それ以外の期間における低優先度通信への影響をなくすことができる。なお、高優先度通信の品質を示す値は、トラフィック量の他、電話に使用されるアプリケーションや音質を表す値などからも取得することができる。

0244

<パケットサイズの変更制御
また、経路変更後の詳細制御において、ここまで述べた優先制御に加えて低優先度通信のパケットサイズを小さくするための処理を行なうことによって、よりIP電話通信のQoSを向上させることができる。

0245

低優先度通信のパケットサイズが大きい場合にIP電話通信のQoSが低下する現象については、「背景技術」において現象4として既に説明したためここでは説明を省略する。

0246

低優先度通信のパケットサイズを小さくする方法は大別して、(1)QoS制御装置が、受信した低優先度通信のパケットを分割して送信する方法、(2)低優先度通信装置(例えばPC111など)が、自装置が送信するパケットのサイズそのものを小さくする方法、の2種類があるが、以下ではそれぞれの方法についていくつか例をあげて説明する。

0247

(1)QoS制御装置が受信した低優先度通信のパケットを調整部126において分割(フラグメント)して送信する方法
QoS制御装置が受信した低優先度通信のパケットを分割して送信する方法としては、IPフラグメント処理を行なうのが最も簡単である。通常ルータによるIPフラグメントは、ルータが転送するパケットのサイズがアクセス回線のMTU(Maximum Transfer Unit)を超えている場合に、そのパケットをMTU以下のサイズの複数のパケットに分割するためのものである。しかし、ここではアクセス回線のMTU値にかかわらず、例えば1500バイト(IPヘッダ20バイトを引いたIPデータのサイズは1480バイトとなる)のパケットを300バイト(IPデータサイズは280バイト)の複数のパケットに分割するなどを行なう。これにより、フラグメントされた各パケットがアクセス回線に送信されるのにかかる時間(音声データがルータにおいて待たされる時間の最大値)は、300/1500=5分の1となる。よって、IP電話通信の遅延時間の増大やゆらぎを抑えることができる。

0248

ここでIPフラグメントが発生した場合のパケットの流れを、図27を用いて簡単に説明する。まず、PC111は通常通り1500バイトのデータパケット2601を送信する。ここで、上述の通り、低優先度通信であるPC111の通信経路の宛先は、高優先度通信である第1IP電話機114に変更されている。PC111からのデータパケット2601を受信した本発明の第1IP電話機114のQoS制御部121は、まずIPフラグメント処理を行なう。そして、QoS制御部121は、分割した複数のデータパケット2611〜2616をサーバ113に送信する。なお、フラグメントされた各データパケット2611〜2616には、通常のIPフラグメントと同様に、元のデータパケット2601における各データパケットの位置関係を示す値が、IPヘッダのフラグメントオフセットフィールドに設定される。つまり、各データパケットに含まれるデータの先頭が、元のデータパケット2601のデータの先頭から数えてどの位置にあるかを示す値が設定される。また、最後のフラグメントパケット2616以外のフラグメントパケットでは、後続のフラグメントパケットが存在することを示すモアフラグメントフラグが設定される。

0249

なお、本発明におけるデータの分割方法は任意のものを用いてよく、IPフラグメントに限定するものではない。例えばIPフラグメントによる分割以外にも、一連のIPパケットからTCPのデータストリームを取り出し、再度そのデータを適当なサイズに区切りそれぞれをIPパケットとして送出する方法、データリンク層において一つのIPパケットを複数のデータ列に分割する方法なども可能である(Ethernet(登録商標)においてはプロトコル上この方法は利用できないが、今後このような方法が可能なデータリンクプロトコルが規定された場合に利用可能となる)。

0250

また、IPヘッダのフラグメント禁止ビットがセットされている場合や、IPv6でのIPフラグメントに関する規定では、中継装置におけるフラグメントを行なうことは禁止されている。しかし、これらの規定に反してIPフラグメントを行なっても正常に通信を継続することは可能であり、本発明はこれらのパケットに対するIPフラグメントを行なう場合も含むものである。

0251

(2)低優先度通信の送信元装置が送信するパケットのサイズを小さくする方法
低優先度通信の送信元が送信する時点でのパケットサイズを小さくする方法として、TCPのSYNパケットに含まれるMSS(Maximum Segment Size)を変更する方法や、ICMP宛先到達不能要断片化(Destination Unreachable Fragment Needed)パケットを利用して低優先度通信装置のMTU(Maximum Transfer Unit)を変更する方法などがある。ただし、本発明はこれらの方法に限るものではない。

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