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技術 心疾患診断システム

出願人 公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
発明者 上村和紀神谷厚範杉町勝砂川賢二
出願日 2004年11月18日 (16年3ヶ月経過) 出願番号 2006-544732
公開日 2008年5月29日 (12年8ヶ月経過) 公開番号 WO2006-054342
状態 特許登録済
技術分野 その他の診断装置 脈拍・心拍・血圧・血流の測定
主要キーワード 計測数値 平衡理論 循環システム内 静脈還流量 複数個体 能力レベル 入力数値 右心房圧
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年5月29日)のものです。
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図面 (9)

課題・解決手段

患者血行動態解析することにより、心疾患の異常をきたす原因を正確に診断することを可能にする心疾患診断システムの提供を目的とする。 この心疾患診断システムは、患者の心拍出量値と、左心房圧値及び/又は右心房圧値を入力する入力手段2と、入力された前記心拍出量値及び前記左心房圧値又は右心房圧値から、左心機能値又は右心機能値を算出する第1算出手段31と、前記第1算出手段31で算出される左心機能値及び/又は右心機能値を表示する表示手段4とからなることを特徴とする。

概要

背景

心疾患急性期に於ける専門医による緊急治療が極めて有効であることが知られている。ところが、心疾患に対応することのできる専門医は、医師全体の僅か3%に過ぎず、充分にその対応を行うことができるものではなかった。
このため、一般医であっても、専門医と同程度の心疾患に対応する能力レベル習得しておく必要が生じている。
しかしながら、一般医が、上記専門医と同程度の能力レベルに到達することは極めて容易ならざることであり、一般医の行う心疾患に対応する能力レベルを専門医の能力レベルまで高めるための心疾患診断ステムの開発が望まれている。

上記する如き問題点を解決するための心疾患診断システムとして、特許文献1に開示される超音波診断装置創出されている。この特許文献1に開示される超音波診断装置は、血管径とその変化速度を測定することにより、心疾患の診断を行うことを目的としている。しかしながら、特許文献1に記載されるような超音波装置は、装置自体が大型の装置となるため高額な費用を有すること等の問題点から容易に導入することができず、また心臓固有機能血管抵抗・有効循環血液量という、循環システム内の内部構造に関する評価が不可能であり、上記する如き問題を解決するに至らなかった。

一方、1950年代ガイトン(Guyton)らによって、心拍出量曲線静脈還流量曲線等を利用する基本的循環平衡理論確立され、この循環平衡理論を利用して心疾患の治療に役立てようとする研究が進んでいる(非特許文献1)。
しかしながら、ガイトンによる基本的循環平衡理論では、体循環の間での血液の移動が考慮されておらず、予後を左右する左心房圧肺動脈楔入圧)の予測が不可能であった。このため、正確な治療を行うことができない問題点を有していた。

また、心拍出量、左心房圧、血圧心拍数等を測定して血行動態異常を表示することのできる装置は、従来多数存在している。しかしながら、血行動態異常の数値を表示しても、この血行動態異常が心機能に原因があるのか、有効循環血液量に原因があるのかを判断するような循環システムの内部構造診断をする装置は創出されていないのが現状であった。
このため、上記する如き血行動態異常の数値が計測されたとしても、循環システム内のどこに異常があるのかについての診断は専門医各自の推測で行われており、明確な基準がないのが現状であった。

特開2002−17728号公報
Guyton AC.著 「Determination of cardiac output by equating venous return curves with cardiac response curves」 Physiol Rev 35:123-129,1955

概要

患者の血行動態を解析することにより、心疾患の異常をきたす原因を正確に診断することを可能にする心疾患診断システムの提供を目的とする。 この心疾患診断システムは、患者の心拍出量値と、左心房圧値及び/又は右心房圧値を入力する入力手段2と、入力された前記心拍出量値及び前記左心房圧値又は右心房圧値から、左心機能値又は右心機能値を算出する第1算出手段31と、前記第1算出手段31で算出される左心機能値及び/又は右心機能値を表示する表示手段4とからなることを特徴とする。

目的

しかしながら、一般医が、上記専門医と同程度の能力レベルに到達することは極めて容易ならざることであり、一般医の行う心疾患に対応する能力レベルを専門医の能力レベルまで高めるための心疾患診断システムの開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

患者心拍出量値と、左心房圧値及び/又は右心房圧値を入力する入力手段2と、入力された前記心拍出量値及び前記左心房圧値又は右心房圧値から、左心機能値又は右心機能値を算出する第1算出手段31と、前記第1算出手段31で算出される左心機能値及び/又は右心機能値を表示する表示手段4とからなる心疾患診断ステム

請求項2

前記第1算出手段31が、前記入力手段2から入力される心拍出量値と、左心房圧値及び/又は右心房圧値から、(数1)及び/又は(数2)を利用して、前記左心機能値及び/又は右心機能値を算出することを特徴とする請求項1記載の心疾患診断システム。

請求項3

患者の心拍出量値、左心房圧値及び右心房圧値を入力する入力手段2と、入力された前記心拍出量値、前記左心房圧値及び右心房圧値から、有効循環血液量値を算出する第2算出手段32と、前記第2算出手段32で算出される有効循環血液量値を表示する表示手段4とからなる心疾患診断システム。

請求項4

前記第2算出手段32が、前記入力手段2から入力される心拍出量値と、左心房圧値及び右心房圧値から(数3)を利用して、前記有効循環血液量値を算出することを特徴とする請求項3記載の心疾患診断システム。

請求項5

患者の心拍出量値、右心房圧値と血圧値を入力する入力手段2と、入力された前記心拍出量値、前記右心房圧値と前記血圧値から、血管抵抗値を算出する第3算出手段33と、前記第3算出手段33で算出される血管抵抗値を表示する表示手段4とからなる心疾患診断システム。

請求項6

前記第3算出手段33が、前記入力手段2から入力される心拍出量値、右心房圧値と血圧値から(数4)を利用して、前記血管抵抗値を算出することを特徴とする請求項5記載の心疾患診断システム。

請求項7

請求項1、請求項3と請求項5に記載されるシステム1の内から、2又は3のシステムが組み合わされることを特徴とする心疾患診断システム。

請求項8

前記表示手段4が、前記各算出手段31、32、33から算出される各数値時系列的に連続して表示することを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の心疾患診断システム。

請求項9

前記心拍出量が、スワン-ガンツ=カテーテルにより計測される又は動脈血圧波形拡張期時定数から算出されていることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の心疾患診断システム。

請求項10

前記左心房圧値は、カテーテルにより直接計測されている又はスワン-ガンツ=カテーテルによる肺動脈楔入圧又は肺動脈圧拡張期圧値から連続推定することにより算出されていることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の心疾患診断システム。

技術分野

0001

本発明は、心疾患診断ステムに関し、より詳しくは、患者血行動態解析することにより、心疾患の異常をきたす原因を正確に診断することを可能にする心疾患診断システムに関する。

背景技術

0002

心疾患は急性期に於ける専門医による緊急治療が極めて有効であることが知られている。ところが、心疾患に対応することのできる専門医は、医師全体の僅か3%に過ぎず、充分にその対応を行うことができるものではなかった。
このため、一般医であっても、専門医と同程度の心疾患に対応する能力レベル習得しておく必要が生じている。
しかしながら、一般医が、上記専門医と同程度の能力レベルに到達することは極めて容易ならざることであり、一般医の行う心疾患に対応する能力レベルを専門医の能力レベルまで高めるための心疾患診断システムの開発が望まれている。

0003

上記する如き問題点を解決するための心疾患診断システムとして、特許文献1に開示される超音波診断装置創出されている。この特許文献1に開示される超音波診断装置は、血管径とその変化速度を測定することにより、心疾患の診断を行うことを目的としている。しかしながら、特許文献1に記載されるような超音波装置は、装置自体が大型の装置となるため高額な費用を有すること等の問題点から容易に導入することができず、また心臓固有機能血管抵抗・有効循環血液量という、循環システム内の内部構造に関する評価が不可能であり、上記する如き問題を解決するに至らなかった。

0004

一方、1950年代ガイトン(Guyton)らによって、心拍出量曲線静脈還流量曲線等を利用する基本的循環平衡理論確立され、この循環平衡理論を利用して心疾患の治療に役立てようとする研究が進んでいる(非特許文献1)。
しかしながら、ガイトンによる基本的循環平衡理論では、体循環の間での血液の移動が考慮されておらず、予後を左右する左心房圧肺動脈楔入圧)の予測が不可能であった。このため、正確な治療を行うことができない問題点を有していた。

0005

また、心拍出量、左心房圧、血圧心拍数等を測定して血行動態異常を表示することのできる装置は、従来多数存在している。しかしながら、血行動態異常の数値を表示しても、この血行動態異常が心機能に原因があるのか、有効循環血液量に原因があるのかを判断するような循環システムの内部構造診断をする装置は創出されていないのが現状であった。
このため、上記する如き血行動態異常の数値が計測されたとしても、循環システム内のどこに異常があるのかについての診断は専門医各自の推測で行われており、明確な基準がないのが現状であった。

0006

特開2002−17728号公報
Guyton AC.著 「Determination of cardiac output by equating venous return curves with cardiac response curves」 Physiol Rev 35:123-129,1955

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、患者の血行動態(血圧、心拍出量、右心房圧と左心房圧)を解析することにより、心機能、有効循環血液量や血管抵抗を算出して、心疾患の異常をきたす原因を正確に診断することを可能にする心疾患診断システムに関する。

課題を解決するための手段

0008

請求項1記載の発明は、患者の心拍出量値と、左心房圧値及び/又は右心房圧値を入力する入力手段2と、入力された前記心拍出量値及び前記左心房圧値又は右心房圧値から、左心機能値又は右心機能値を算出する第1算出手段31と、前記第1算出手段31で算出される左心機能値及び/又は右心機能値を表示する表示手段4とからなる心疾患診断システムを提供する。
請求項2記載の発明は、前記第1算出手段31が、前記入力手段2から入力される心拍出量値と、左心房圧値及び/又は右心房圧値から、(数1)及び/又は(数2)を利用して、前記左心機能値及び/又は右心機能値を算出することを特徴とする請求項1記載の心疾患診断システムを提供する。

0009

0010

0011

請求項3記載の発明は、患者の心拍出量値、左心房圧値及び右心房圧値を入力する入力手段2と、入力された前記心拍出量値、前記左心房圧値及び右心房圧値から、有効循環血液量値を算出する第2算出手段32と、前記第2算出手段32で算出される有効循環血液量値を表示する表示手段4とからなる心疾患診断システムを提供する。
請求項4記載の発明は、前記第2算出手段32が、前記入力手段2から入力される心拍出量値と、左心房圧値及び右心房圧値から(数3)を利用して、前記有効循環血液量値を算出することを特徴とする請求項3記載の心疾患診断システムを提供する。

0012

0013

請求項5記載の発明は、入力された前記心拍出量値、前記右心房圧値と前記血圧値から、血管抵抗値を算出する第3算出手段33と、前記第3算出手段33で算出される血管抵抗値を表示する表示手段4とからなる心疾患診断システムを提供する。
請求項6記載の発明は、前記第3算出手段33が、前記入力手段2から入力される心拍出量値、右心房圧値と血圧値から(数4)を利用して、前記血管抵抗値を算出することを特徴とする請求項5記載の心疾患診断システムを提供する。

0014

0015

請求項7記載の発明は、請求項1、請求項3と請求項5に記載されるシステム1の内から、2又は3のシステムが組み合わされることを特徴とする心疾患診断システムを提供する。
請求項8記載の発明は、前記表示手段4が、前記各算出手段31、32、33から算出される各数値を時系列的に連続して表示することを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の心疾患診断システムを提供する。
請求項9記載の発明は、前記心拍出量が、スワン-ガンツ=カテーテルにより計測される又は動脈血圧波形拡張期時定数から算出されていることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の心疾患診断システムを提供する。
請求項10記載の発明は、前記左心房圧値は、カテーテルにより直接計測されている又はスワン-ガンツ=カテーテルによる肺動脈楔入圧又は肺動脈圧拡張期圧値から連続推定することにより算出されていることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の心疾患診断システムを提供する。
これらの発明を提供することによって、上記課題を悉く解決する。

発明の効果

0016

請求項1記載の発明によって、心拍出量と左心房圧及び/又は右心房圧を入力値とすることにより、患者の左心機能及び/又は右心機能を、左心機能値及び/又は右心機能値として算出することができるので、患者の心臓の機能を具体的な数値を利用して表現することができる心疾患診断システムを提供する。
このように、左右の心機能を具体的な数値表現することにより、一般医でも容易に患者の左右の心機能に対する診断を行うことができる。
請求項2記載の発明によって、(数1)及び(数2)を利用することにより、より詳細に且つ明確に心機能の算出を行うことができるとともに、A乃至Dの定数を適宜に変更することによって、多種多様な患者に応じて算出される心機能値を補正して算出することができる心疾患診断システムを提供する。
このように算出される心機能値を、患者に応じて補正することができるのでより正確な患者の心機能を算出することができる。

0017

請求項3記載の発明によって、心拍出量と左心房圧と右心房圧を入力値とすることにより、患者の有効循環血液量を、有効循環血液量値として算出することができるので、患者の体内を流れる有効循環血液量を具体的な数値を利用して表現することができる心疾患診断システムを提供する。
このように、有効循環血液量を具体的な数値表現することにより、一般医でも容易に患者の有効循環血液量の診断を行うことができる。
請求項4記載の発明によって、(数3)を利用することにより、より詳細に且つ明確に有効循環血液量の算出を行うことができるとともに、E乃至Gの定数を適宜に変更することによって、多種多様な患者に応じて算出される有効循環血液量を補正して算出することができる心疾患診断システムを提供する。
このように算出される有効循環血液量値を、患者に応じて補正することができるのでより正確な患者の有効循環血液量を算出することができる。

0018

請求項5記載の発明によって、心拍出量、右心房圧と血圧を入力値とすることにより、患者の血管抵抗を、血管抵抗値として算出することができるので、患者の血管抵抗を具体的な数値を利用して表現することができる心疾患診断システムを提供する。
このように、血管抵抗を具体的な数値表現することにより、一般医でも容易に患者の血管抵抗の診断を行うことができる。
請求項6記載の発明によって、(数4)を利用することにより、より詳細に且つ明確に血管抵抗値の算出を行うことができる心疾患診断システムを提供する。

0019

請求項7記載の発明によって、心拍出量、右心房圧及び/又は左心房圧、血圧から、患者の左心機能及び/又は右心機能、有効循環血液量と血管抵抗等を算出することができる心疾患診断システムを提供することができる。
このように、患者の左心機能及び/又は右心機能、有効循環血液量と血管抵抗を具体的な数値として表示することができるので、一般医であっても容易に診断を行うことができる。
請求項8記載の発明によって、左心機能及び/又は右心機能、有効循環血液量と血管抵抗の各数値を時系列的に連続して表示することができるので、時系列的な変化を見逃すことなく確実に患者を診断することができる心疾患診断システムを提供する。
請求項9及び10記載の発明によって、心拍出量が、スワン-ガンツ=カテーテルにより計測される又は動脈血圧波形の拡張期時定数から算出され、左心房圧値がカテーテルにより直接計測されている又はスワン-ガンツ=カテーテルによる肺動脈楔入圧又は肺動脈圧の拡張期圧値から連続推定することにより算出されているので、極めて精度の高い心疾患診断システムを提供することができる。

発明を実施するための最良の形態

0020

本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明に係る心疾患診断システムの概略構成図である。図2は、心臓の概略図を示しており、本発明に係る心疾患診断システム(1)は、この図2に示される心拍出量値、左心房圧値及び右心房圧値と、血圧値(図示せず)を利用する。
本発明に係る心疾患診断システム(1)を利用することにより、血行動態の異常(心拍出量の低下(末梢循環不全)、左心房圧の増加(肺うっ血)や血圧上昇や低下)の原因が、左心機能あるいは右心機能にあるのか、有効循環血液量の異常にあるのか、血管抵抗にあるのかについて診断することができる。
本発明に係る心疾患診断システム(1)は、入力手段(2)と、算出手段(3)と表示手段(4)を備えてなる。

0021

入力手段(2)は、患者から計測される血行動態の数値(数値データ)を後述する算出手段(3)へ入力する。この入力手段(2)が入力する血行動態の数値は、血圧値、心拍出量値、右心房圧値と左心房圧値が設定されている。
この入力手段(2)は、算出手段(3)に数値データを入力することができれば特に限定されるものではなく、実際に計測された数値を、本心疾患診断システム(1)を使用する使用者が入力するキーボード等の入力装置を採用することもできるし、患者の血行動態を計測して、直接的に算出手段(3)へ入力を行う計測装置を採用することできる。
この入力手段(2)が入力する血行動態の数値データは血圧値、心拍出量値、右心房圧値と左心房圧値であるが、夫々従来の計測装置を利用することができる。このような計測装置は、特に限定されるものではないが、血圧値は末梢動脈(例えば、橈骨動脈)内にカテーテルを留置して計測することができ、心拍出量値、左心房圧値と右心房圧値はスワンガンツ・カテーテルを利用して計測することができる。また心拍出量値は動脈血圧波形の拡張期時定数から計測することもできる。

0022

本発明に係る心疾患診断システム(1)は、連続的に患者を診断するために、各数値を連続的な数値として計測して使用する。このとき、血圧値と右心房圧値は連続的に計測することができるが、従来、左心房圧値と心拍出量値は連続的に計測することができないとされている。
このため、左心房圧値は、肺動脈圧の拡張期圧値から連続推定することによって左心房圧値を連続的に推定する方法を採用することによって、連続的な数値として利用する。
この左心房圧値は、肺動脈圧の拡張期圧値と線形関係を有していることが解っているので、複数個体の平均的相関関係に基づき肺動脈拡張期圧から左心房圧値を算出することができる。尚、この肺動脈圧の拡張期圧値を利用して左心房圧値を算出する場合、心拍数の変化に従って、肺動脈圧の拡張期圧値と左心房圧値の相関関係(線形関係)が変化するので、複数個体における平均的相関関係を心拍数で補正することができるようにしておくことが好ましい。
また、心拍出量値は、末梢血圧波形の拡張期時定数から推定する方法を採用することによって、連続的な数値として利用する。
この心拍出量値は、従来公知の方法を採用することができ、例えば、末梢の血圧波形の拡張期時定数を利用して算出することができる。

0023

算出手段(3)は、入力手段(2)より入力される血行動態値を所定方法により演算する。この算出手段(3)は、第1算出手段(31)、第2算出手段(32)と第3算出手段(33)から構成されている。この算出手段(3)は、一つの演算ユニットとして第1乃至第3算出手段(31〜33)の演算を行うように設定されてもよいし、第1乃至第3算出手段(31〜33)の演算を夫々行う三つの演算ユニットから構成されてもよい。

0024

第1算出手段(31)は、入力手段(2)より入力される心拍出量値と左心房圧値から、左心機能値を算出する。又は、入力手段(2)により入力される心拍出量値と右心房圧値から、右心機能を算出する。この第1算出手段(31)は、上記する左心機能値と右心機能値を夫々算出することができるように設定してもよいし、左心機能値又は右心機能値のいずれかを算出するように設定してもよい。

0025

この第1算出手段(31)が行う左心機能値を算出する方法は、入力手段(2)により入力される心拍出量値と左心房圧値を利用して、下記(数5)にこれらの数値を代入することにより、左心機能値を算出することができる。
この式(数5)中のA及びBは定数値(定数)であり、患者に応じて適宜変更することのできる数値である。この定数は、予め使用者によって設定されている数値であり、患者に応じて変更することができるので、患者に応じて調整することで算出される左心機能値を補正することができる。

0026

0027

上記する数式を利用する場合には、下記の(数6)の如き数式を変換しておき、入力手段(2)から入力される数値から左心機能値を算出するように設定しておくことが好ましい。このように変換した数式を利用することによって、迅速に演算処理を行うことができるからである。

0028

0029

第1算出手段(31)は、上記の如く、左心機能値を算出することができ、同様に下記の(数7)を利用して右心機能値を算出することができる。右心機能値を算出する場合には、心拍出量値と右心房圧値を利用し、(数7)に代入して算出する。
この場合も、第1算出手段(31)には、(数7)を変換した(数8)を用意しておき、入力手段(2)から入力される数値から右心機能値を算出するように設定しておくことが好ましい。
尚、この(数7)及び(数8)の式中のC及びDは定数値(定数)であり、患者に応じて適宜変更することのできる数値である。この定数は、予め使用者によって設定されている数値であり、患者に応じて変更することができるので、患者に応じて調整することで算出される右心機能値を補正することができる。

0030

0031

0032

この第1算出手段(31)は左心機能値及び右心機能値を算出するが、どちらの心機能値も心拍出量値を利用して算出することができるので、図3に示される如く、「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値を3軸とする3次元座標で表現することができる。
このように、「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値を3軸とする3次元座標で表現することにより、心拍出量の変化を表示する心拍出量曲線を表示することができる。この心拍出量曲線を表示することにより、患者の左心機能と右心機能を統合的に目視することができるようになり、極めて容易に診断を行うことができる。
尚、図3には、正常な場合の心拍出量曲線(a)と障害を受けた心臓の心拍出量曲線(b)が示されており、(a)の心拍出量曲線よりも(b)の心拍出量曲線の方が、左右の心機能を統合した機能が低いことを容易に把握することができる。このように、一空間内に正常心拍出量曲線と測定心拍出量曲線を指示することによって容易に診断を行うこともできる。

0033

算出手段(3)は、第2算出手段(32)を有している。
この第2算出手段(32)は、心拍出量値、左心房圧値及び右心房圧値から、有効循環血液量値を算出する。
この第2算出手段(32)が有効循環血液量値を算出する方法は、入力手段(2)により入力される心拍出量値、左心房圧値と右心房圧値を利用して、下記(数9)にこれらの数値を代入することにより、有効循環血液量値を算出することができる。
この式(数9)中のE、F及びGは定数値(定数)であり、患者に応じて適宜変更することのできる数値である。この定数は、予め使用者によって設定されている数値であり、患者に応じて変更することができるので、患者に応じて調整することで算出される有効循環血液量値を補正することができる。

0034

0035

上記する数式(数9)を利用する場合には、下記の(数10)の如き数式を変換しておき、入力手段(2)から入力される数値から有効循環血液量値を算出するように設定しておくことが好ましい。このように変換した数式を利用することによって、迅速に演算処理を行うことができるからである。

0036

0037

この第2算出手段(32)は、心拍出量値、右心房圧値と左心房圧値を利用して算出するが、図4に示される如く、「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値を3軸とする3次元座標で表現することができる。この場合、「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値の3変数を取り扱うことになるので、図4で示す如く、3次元内に存在する平面(静脈還流平面)を形成することになる。
この平面は、「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値の3変数と、定数(E、FとG)から形成されている。この平面の傾きは異なる個体間、または同一の個体内で一定とみなしても差し支えないことがわかっている。
したがって、この静脈還流平面は、傾きが一定であるので、算出される有効循環血液量値によって、平面の高さが決定されることになる。
このように、「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値を3軸とする3次元座標で表現することにより、有効循環血液量を静脈還流平面として表示することができ、患者の有効循環血液量(静脈還流平面)を目視することができるようになり、極めて容易に診断を行うことができる。
尚、図4には、正常な場合の静脈還流平面(c)と有効循環血液量が増加した静脈還流平面(d)が示されており、(c)のよりも(d)の静脈還流平面の方が、高さが高くなることが示されている。このように、一空間内に正常静脈還流平面と計測静脈還流平面を指示することによって容易に診断を行うこともできる。

0038

算出手段(3)は、第3算出手段(33)を有している。
この第3算出手段(33)は、心拍出量値、右心房圧値と血圧値から、血管抵抗値を算出する。
この第3算出手段(33)が血管抵抗値を算出する方法は、入力手段(2)により入力される心拍出量値、右心房圧値と血圧値を利用して、下記(数11)にこれらの数値を代入することにより、血管抵抗値を算出することができる。
この式(数11)中のHは定数値(定数)であり、患者に応じて適宜変更することのできる数値である。この定数は、予め使用者によって設定されている数値であり、患者に応じて変更することができるので、患者に応じて調整することで算出される血管抵抗値を補正することができる。

0039

0040

図5は、「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値を3軸とする3次元座標内に、心拍出量曲線(e)と静脈還流平面(f)を同時に表示する場合の一実施例を示している。
図5において、心拍出量曲線(e)と静脈還流平面(f)との交点から個体の「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値が決定される。もしその個体の「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値が異常で、それらを何らかの正常な値に改善させるときには、その正常値に対応する3次元座標内の目標点を規定する。そしてその目標点において心拍出量曲線(e)と静脈還流平面(f)が交差するよう、個体の心拍出量曲線(e)と静脈還流平面(f)を、各々投薬を行い制御する。これにより最終的に「心拍出量」値、「左心房圧」値と「右心房圧」値を正常な目標値に到達させることが出来る。

0041

表示手段(4)は、入力手段(2)からの入力される入力数値(心拍出量値、左心房圧値、右心房圧値、血圧値)と、上記する第1乃至第3算出手段(31〜33)で求められる算出数値を表示する出力装置である。
この表示手段(4)は、各算出手段(31〜33)で算出される算出数値(心機能値、有効循環血液量値と血管抵抗値)を表示する。本発明に係る心疾患診断システム(1)は、上記する如く、入力数値を患者から連続的に計測することが可能であるので、各算出手段(31〜33)によって連続的に算出数値を算出することができ、このため、表示手段(4)によって時系列的に連続する折れ線グラフ表示させることが好ましい。
このように、時系列的に連続する折れ線グラフ表示することにより、時系列的な変化を目視して確認することができるので、容易にその変化を把握することができる。
以上が本発明に係る心疾患診断システム(1)の構成である。

0042

次に、本発明に係る心疾患診断システム(1)の動作について説明する。
図6は、本発明に係る心疾患診断システムを利用する場合のフローチャートを示す。
本発明に係る心疾患診断システム(1)は、上記する如く、実際の使用の場合に於いて定数A乃至Gの設定が必要であるが、ここでは省略する。
まず、患者の血圧値、心拍出量値、右心房圧値と左心房圧値を計測する(S1)。
このとき、患者には、スワンガンツ・カテーテルを装着させることによって、これらの数値を計測するが、他の装置を利用しても構わない。
次に、計測された血圧値、心拍出量値、右心房圧値と左心房圧値は、夫々、入力手段(2)によって算出手段(3)へ入力される。
入力手段(2)によりこれらの計測数値が入力されると、算出手段(3)により左心機能値、右心機能値、有効循環血液量値と血管抵抗値が算出される。具体的には、第1算出手段(31)に心拍出量値と左心房圧値が入力されると、左心機能値が算出される。更に、第1算出手段(31)に心拍出量値と右心房圧値が入力されると、右心機能値が算出される(S2)。
第2算出手段(32)に心拍出量値、左心房圧値及び右心房圧値が入力されると、有効循環血液量値が算出される(S3)。
第3算出手段(33)に心拍出量値、右心房圧値と血圧値が入力されると、血管抵抗値が算出される(S4)。
尚、これらの心拍出量値、左心房圧値、右心房圧値と血圧値が計測される毎に連続して第1乃至第3算出手段(31〜33)が夫々左心機能値、右心機能値、有効循環血液量値と血管抵抗値を算出する。

0043

算出手段(3)により各算出数値(左心機能値、右心機能値、有効循環血液量値と血管抵抗値)が算出されると、これらの算出数値は表示手段(4)に送られる。表示手段(4)に送られた算出数値は、夫々に時系列的に連続する折れ線グラフ表示される(S5)。
各算出数値(左心機能値、右心機能値、有効循環血液量値と血管抵抗値)が折れ線グラフとして、表示手段(4)で表示されるので、観察者はそのグラフ移行具合所定閾値と比することによって患者の心機能、有効循環血液量と血管抵抗を目視して連続的に把握することができるので、確実に患者の診断を行うことができる。
特に、患者の心機能、有効循環血液量と血管抵抗の数値が具体的に表示されるので、患者の病態の原因を確実に把握することができ、極めて適切で且つ迅速に対処することができる。
尚、表示手段(4)に表示される左心機能値、右心機能値、有効循環血液量値と血管抵抗値の各正常値を閾値として表示することによって、算出数値が正常値の範囲内であるか否かを容易に判断することもできる。

試験例1

0044

次に、本発明に係る心疾患診断システム(1)の試験を行った結果を示す。
この試験例に於いて、本発明に係る心疾患診断システム(1)に使用される数式(上記する(数5)乃至(数11))が正確であるか否かを検討する。
この試験例では、7匹を使用してこれらの数式の有効性を検討した。
まず、(数5)及び(数6)で示される定数Aと定数Bについて検討する。これら定数A及び定数Bは、犬の左心機能値算出のための定数を示している。
下記の(表1)で示される如く、定数A及び定数Bは、犬の場合であれば、「A=2.03」、「B=0.80」を使用することができることが確認される。

0045

0046

次に、(数7)及び(数8)で示される定数Cと定数Dについて検討する。これら定数C及び定数Dは、犬の右心機能値算出のための定数を示している。
下記の(表2)で示される如く、定数C及び定数Dは、犬の場合であれば、「C=1.0」、「D=0.88」を使用することができることが確認される。
尚、これら「定数C」と「定数D」は、上記7つの測定値線形回帰し、実用するに至り補正を行って求めた数値である。

0047

0048

次いで、(数9)及び(数10)で示される定数E、定数Fと定数Gについて検討する。これら定数E、定数Fと定数Gは、犬の有効循環血液量算出のための定数を示している。
下記の(表3)で示される如く、定数E、定数Fと定数Gは、犬の場合であれば、「E=0.129」、「F=19.61」、「G=3.49」を使用することができることが確認される。

0049

0050

このようにして、定数A乃至定数Gが夫々初期設定されることになる。つまり、犬を被験者(患者)とする場合であれば、(数5)乃至(数10)の定数A乃至定数Gは、「A=2.03」、「B=0.80」、「C=1.0」、「D=0.88」、「E=0.129」、「F=19.61」、「G=3.49」と設定されることになる。また(数11)の定数Hは犬においてはShoukasらの報告に従い「H=0」と設定した(例えば、Shoukas AA.著 「Carotid sinus baroreceptor reflex control and epinephrine. Influence on capacitive and resistive properties of the total pulmonary vascular bed of the dog.」Circ Res 51: 95-101, 1982.を参照されたい)。尚、これらの定数は、犬の場合に有効であり、他の動物(人間を含む)の場合は他の定数が初期設定されることになる。
これらの定数を使用した場合に於いて、図7で示される如き犬の心筋梗塞時の血行動態異常の推移が示される場合であれば、図8で示される如き有効循環血液量、左心機能、右心機能と血管抵抗が示されることになる。このように心拍出量、左心房圧(肺動脈楔入圧)、右心房圧と血圧の夫々の数値を経時的に得ることができれば(図7参照)、図8で示す如く、定量的に数値化して連続的に表示することができる。
また、図9には、本発明により算出される心拍出量曲線を示す図であり、(a)は左心房圧と右心房圧を軸に規定する場合、(b)は左心房圧と心拍出量を軸に規定する場合、(c)は右心房圧と心拍出量を軸に規定する場合を示している。
このように、本発明は極めて高い精度で診断を行うことができるとともに、一般医でも容易に目視して診断を行うことができる。

図面の簡単な説明

0051

本発明に係る心疾患診断システムの概略構成図である。
心臓の概略図を示す。
心拍出量、左心房圧、右心房圧の3次元座標表示に於ける心拍出量曲線の一実施例を示す。
心拍出量、左心房圧、右心房圧の3次元座標表示に於ける静脈還流平面の一実施例を示す。
心拍出量、左心房圧、右心房圧の3次元座標表示に於ける心拍出量曲線と静脈還流平面の一実施例を示す。
本発明に係る心疾患診断システムを利用する場合のフローチャートを示す。
犬の心筋梗塞時の血行動態異常の推移を示す。
本発明に係る心疾患診断システムを図7の場合に於いて使用した際の表示結果を示す。
本発明に係る心疾患診断システムを、図7の場合に於いて使用した際の心拍出量曲線を示し、(a)は左心房圧と右心房圧を軸に規定する場合、(b)は左心房圧と心拍出量を軸に規定する場合、(c)は右心房圧と心拍出量を軸に規定する場合を示す。

符号の説明

0052

1・・・・心疾患診断システム
2・・・・入力手段
31・・・第1算出手段
32・・・第2算出手段
33・・・第3算出手段
4・・・・表示手段

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