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課題・解決手段

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルを複数配設して形成された超音波送受面を備える静電容量型超音波トランスデューサは、前記振動子セルの共振周波数に基づいて該振動子セルが配設されている。

概要

背景

体腔内に超音波放射し、そのエコー信号から体内の状態を画像化して診断する超音波診断法が普及している。この超音波診断法に用いられる機材の1つに超音波内視鏡装置がある。超音波内視鏡装置は、体腔内へ挿入する挿入部の先端に超音波トランスデューサが取り付けてあり、このトランスデューサ電気信号を超音波に変換し体腔内へ放射したり、また体腔内で反射した超音波を受信して電気信号に変換したりするものである。

超音波トランスデューサは、例えば円板状とした凹状の超音波放射面と平坦な背面、すなわち、プラノコンケーブ構造を備えるものがある(例えば、特許文献1、特許文献2。)。凹状の超音波放射面の構造をさらに説明すると、中央の厚みを最小として外周に向かって厚みが大きくなる構造をとっている。

超音波トランスデューサの構成要素の1つに、超音波と電気信号とを相互変換を可能とする圧電素子がある。この圧電素子からは、圧電素子の各厚みに応答して異なる超音波周波数が発生する。すなわち、超音波周波数は圧電素子の厚みに反比例するので、圧電素子が厚い部分では低周波数の超音波が発生し、薄い部分では高周波数の超音波が発生する。

したがって、プラノコンケーブ構造をとることにより、円板状とした凹状の超音波放射面を有する超音波トランスデューサでは、中央で最も高い超音波周波数が発生し、外周に向かって低くなる。

このように相違する周波数を発生させるのは、周波数の高低により得られる画像の分解能等が異なるからである。高周波では、表面からその近傍において高い分解能の画像情報を得ることができるが、深部での減衰を生じやすい。低周波では、分解能は高周波の場合と比較して低下するが、減衰が生じにくく、深部も観察することができる。よって、このような高周波と低周波とを合成すると、近傍から遠方に対して、比較的分解能のよい超音波画像を得ることができる。

また、近年、パラメトリックアレイを用いた超音波画像処理装置の1つに、パラメトリック音源法を用いた超音波画像処理方法及び超音波画像処理装置に関し、エコーの減衰を少なくすることができるパラメトリック音源法を用いた超音波画像処理装置が開示されている(例えば、特許文献3。)。

この特許文献3では、次のことを開示している。中心周波数に一定幅の周波数の振幅変調をかけた振幅変調波若しくは2つの周波数成分をもつ超音波を超音波プローブから被検体に向けて送波することにより、被検体内では組織非線形性に基づく差の周波数の成分を持つエコーを発生する。差の周波数成分のエコーは、基本周波数よりも低くなるので、被検体を通過する際に生じる信号強度の減衰ははるかに小さくなる。

ここで、パラメトリックアレイとは、異なる周波数の音波相互間の差音を取ったとき、この差音と同じ周波数の音波と比べて、ビームパターンが鋭くなるような音源をいう。そして、このパラメトリックアレイを用いて得られた音響特性(パラメトリック特性)に基づく効果をパラメトリック効果という。

近年、シリコンマイクマシニング技術を用いてシリコン半導体基板を加工した静電容量型超音波トランスデューサ(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer(以下、c−MUTと称する))が注目を集めている。これは、マイクロマシンMEMS:Micro Electro−Mechanical System 、超小型電気的・機械複合体)と総称される素子の1つである。

MEMS素子は、シリコン基板ガラス基板等の基板上に微細構造体として形成されており、機械的駆動力を出力する駆動体と、駆動体を駆動する駆動機構と、駆動機構を制御する半導体集積回路等とを電気的に、更には機械的に結合させた素子である。MEMS素子の基本的な特徴は、機械的構造として構成されている駆動体が素子の一部に組み込まれていることであって、駆動体の駆動は、電極間クーロン引力などを応用して電気的に行われる。

静電容量型超音波トランスデューサ(c−MUT)は、2つの平面状の電極が向かい立った素子であり、その間には空洞(キャビティ)があり、DCバイアス重畳させてAC信号を送ると、そのうちの一方の電極を含んだ層(メンブレン)が調和的に振動して、超音波を発生させるものである。
特開2003−299195号公報
特許第3478874号公報
特開平8−80300号公報

概要

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルを複数配設して形成された超音波送受面を備える静電容量型超音波トランスデューサは、前記振動子セルの共振周波数に基づいて該振動子セルが配設されている。

目的

プラノコンケーブ構造の特徴的な機能は、周辺部から低周波超音波信号、中心部から高周波超音波信号を送信し、双方の超音波による合成音場が近距離(高周波)から遠距離(低周波)まで均一な音場を形成することである

効果

実績

技術文献被引用数
5件
牽制数
7件

この技術が所属する分野

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請求項1

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルを複数配設して形成された超音波送受面を備える静電容量型超音波トランスデューサにおいて、前記振動子セルの共振周波数に基づいて該振動子セルが配設されていることを特徴とする静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項2

前記振動子セルはシリコン基板に形成されており、前記メンブレンにおける前記第2の電極と対向する側の表面に電気的絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項3

前記振動子セルは、前記超音波送受面の中心から外周へ向かって、前記共振周波数が低下していくように配設されることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項4

前記振動子セルの共振周波数は、前記メンブレンの幅または面積に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項5

前記超音波送受面は、凹面または平面のいずれかを有することを特徴とする請求項1に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項6

前記凹面は、略球面又は略円柱形状面であることを特徴とする請求項5に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項7

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと該第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数から構成される振動子エレメントが複数配設される静電容量型超音波トランスデューサにおいて、前記各振動子エレメント放射する超音波周波数に基づいて、該振動子エレメントが配設されていることを特徴とする静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項8

前記振動子エレメントは、相対的に低い周波数を放射する該エレメントほど、より外側に配設されることを特徴とする請求項7に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項9

前記各振動子エレメントの駆動タイミングを制御して、該各振動子エレメントから放射される超音波を、焦点を形成するように集束させることを特徴とする請求項7に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項10

請求項1に記載の静電容量型超音波トランスデューサを備えた超音波内視鏡装置。

請求項11

請求項7に記載の静電容量型超音波トランスデューサを備えた超音波内視鏡装置。

請求項12

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数から形成される振動子サブエレメントの複数から形成される振動子エレメントを複数備える静電容量型超音波トランスデューサであって、当該各振動子サブエレメントは、相異なる周波数成分の超音波を放射する第1及び第2の振動子サブエレメントのいずれかであり、該振動子サブエレメント内の振動子セルは同一の共振周波数を有し、前記振動子エレメントが配設されて超音波送受面が形成されていることを特徴とする静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項13

前記超音波送受面を形成している各振動子エレメントでは、前記第1及び第2の振動子サブエレメントが交互に配設されて形成されていることを特徴とする請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項14

前記振動子セルはシリコン基板に形成されており、前記メンブレンの表面において、前記第2の電極と対向する側の表面に電気的絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項15

前記振動子セルの共振周波数は、前記メンブレンの幅または面積に基づいて設定されることを特徴とする請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項16

前記第1及び第2の振動子サブエレメントより放射される超音波の差周波数は、該各振動子サブエレメントから放射される超音波の周波数の略1/10であることを特徴とする請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項17

前記振動子サブエレメントは、超音波の走査方向に対して垂直方向に配設されることを特徴とする請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項18

前記超音波送受面は、超音波送信時には、前記各振動子セルから超音波を送信し、超音波受信時には、前記送信された超音波の周波数の差の周波数成分の超音波に共振するように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項19

前記第1及び第2の振動子サブエレメントは、超音波を発生させる面積が等しく、かつ同心円状に交互に配設されることを特徴とする請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項20

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数から形成される振動子エレメントを複数備える静電容量型超音波トランスデューサであって、前記各振動子エレメントは、相違する周波数成分の超音波を放射する第1及び第2の前記振動子セルから形成され、前記各振動子エレメントから放射される超音波は、前記第1及び第2の振動子セルから放射される超音波に基づく差周波超音波であり、前記各振動子エレメントの駆動タイミングを制御して、前記差周波超音波群の焦点を形成するように集束させることを特徴とする静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項21

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルを複数備える静電容量型超音波トランスデューサであって、前記各振動子セルは、相異なる周波数成分の超音波を放射する第1及び第2の振動子セルのいずれかであり、該第1及び第2の振動子セルはそれぞれ異なる共振周波数を有し、該第1及び第2の振動子セルは、交互に配設させて超音波送受面を形成していることを特徴とする静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項22

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数を備える静電容量型超音波トランスデューサであって、当該静電容量型超音波トランスデューサは、異なる周波数成分の超音波を放射する少なくとも3種類の前記振動子セルを、各振動子セルから放射される超音波に基づく差周波超音波が発生するように配設されて形成された超音波送受面を有することを特徴とする静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項23

前記振動子セルは、超音波の走査方向に対して垂直方向に配設されることを特徴とする請求項22に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項24

前記超音波送受面は、超音波送信時には、前記各振動子セルから超音波を送信し、超音波受信時には、前記送信された超音波の周波数の差の周波数成分の超音波のうち少なくとも2つに共振するように構成されたことを特徴とする請求項22に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項25

第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数から形成される振動子サブエレメントの複数から形成される振動子エレメントを複数備える静電容量型超音波トランスデューサであって、当該静電容量型超音波トランスデューサは、異なる周波数成分の超音波を放射する少なくとも3種類の前記振動子サブエレメントを、該各振動子サブエレメントから放射される超音波に基づく差周波超音波が発生するように配設されて形成された超音波送受面を有することを特徴とする静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項26

前記振動子サブエレメントは、超音波の走査方向に対して垂直方向に配設されることを特徴とする請求項25に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項27

前記超音波送受面は、超音波送信時には、前記各振動子サブエレメントから超音波を送信し、超音波受信時には、前記送信された超音波の周波数の差の周波数成分の超音波のうち少なくとも2つに共振するように構成されたことを特徴とする請求項25に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項28

前記3種の振動子サブエレメントから得られる3種類の差音屈曲振動子基本振動周波数及びその奇数倍の周波数に対応するように該振動子サブエレメントが構造化されていることを特徴とする請求項25に記載の静電容量型超音波トランスデューサ。

請求項29

請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサを備えた超音波内視鏡装置。

請求項30

請求項12に記載の静電容量型超音波トランスデューサを備えた超音波内視鏡装置。

請求項31

請求項20に記載の静電容量型超音波トランスデューサを備えた超音波内視鏡装置。

請求項32

請求項21に記載の静電容量型超音波トランスデューサを備えた超音波内視鏡装置。

請求項33

請求項22に記載の静電容量型超音波トランスデューサを備えた超音波内視鏡装置。

請求項34

請求項25に記載の静電容量型超音波トランスデューサを備えた超音波内視鏡装置。

技術分野

0001

本発明は、シリコンマイクマシニング技術を用いてシリコン半導体基板を加工した静電容量型超音波トランスデューサに関する。

背景技術

0002

体腔内に超音波放射し、そのエコー信号から体内の状態を画像化して診断する超音波診断法が普及している。この超音波診断法に用いられる機材の1つに超音波内視鏡装置がある。超音波内視鏡装置は、体腔内へ挿入する挿入部の先端に超音波トランスデューサが取り付けてあり、このトランスデューサ電気信号を超音波に変換し体腔内へ放射したり、また体腔内で反射した超音波を受信して電気信号に変換したりするものである。

0003

超音波トランスデューサは、例えば円板状とした凹状の超音波放射面と平坦な背面、すなわち、プラノコンケーブ構造を備えるものがある(例えば、特許文献1、特許文献2。)。凹状の超音波放射面の構造をさらに説明すると、中央の厚みを最小として外周に向かって厚みが大きくなる構造をとっている。

0004

超音波トランスデューサの構成要素の1つに、超音波と電気信号とを相互変換を可能とする圧電素子がある。この圧電素子からは、圧電素子の各厚みに応答して異なる超音波周波数が発生する。すなわち、超音波周波数は圧電素子の厚みに反比例するので、圧電素子が厚い部分では低周波数の超音波が発生し、薄い部分では高周波数の超音波が発生する。

0005

したがって、プラノコンケーブ構造をとることにより、円板状とした凹状の超音波放射面を有する超音波トランスデューサでは、中央で最も高い超音波周波数が発生し、外周に向かって低くなる。

0006

このように相違する周波数を発生させるのは、周波数の高低により得られる画像の分解能等が異なるからである。高周波では、表面からその近傍において高い分解能の画像情報を得ることができるが、深部での減衰を生じやすい。低周波では、分解能は高周波の場合と比較して低下するが、減衰が生じにくく、深部も観察することができる。よって、このような高周波と低周波とを合成すると、近傍から遠方に対して、比較的分解能のよい超音波画像を得ることができる。

0007

また、近年、パラメトリックアレイを用いた超音波画像処理装置の1つに、パラメトリック音源法を用いた超音波画像処理方法及び超音波画像処理装置に関し、エコーの減衰を少なくすることができるパラメトリック音源法を用いた超音波画像処理装置が開示されている(例えば、特許文献3。)。

0008

この特許文献3では、次のことを開示している。中心周波数に一定幅の周波数の振幅変調をかけた振幅変調波若しくは2つの周波数成分をもつ超音波を超音波プローブから被検体に向けて送波することにより、被検体内では組織非線形性に基づく差の周波数の成分を持つエコーを発生する。差の周波数成分のエコーは、基本周波数よりも低くなるので、被検体を通過する際に生じる信号強度の減衰ははるかに小さくなる。

0009

ここで、パラメトリックアレイとは、異なる周波数の音波相互間の差音を取ったとき、この差音と同じ周波数の音波と比べて、ビームパターンが鋭くなるような音源をいう。そして、このパラメトリックアレイを用いて得られた音響特性(パラメトリック特性)に基づく効果をパラメトリック効果という。

0010

近年、シリコンマイクロマシーニング技術を用いてシリコン半導体基板を加工した静電容量型超音波トランスデューサ(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer(以下、c−MUTと称する))が注目を集めている。これは、マイクロマシンMEMS:Micro Electro−Mechanical System 、超小型電気的・機械複合体)と総称される素子の1つである。

0011

MEMS素子は、シリコン基板ガラス基板等の基板上に微細構造体として形成されており、機械的駆動力を出力する駆動体と、駆動体を駆動する駆動機構と、駆動機構を制御する半導体集積回路等とを電気的に、更には機械的に結合させた素子である。MEMS素子の基本的な特徴は、機械的構造として構成されている駆動体が素子の一部に組み込まれていることであって、駆動体の駆動は、電極間クーロン引力などを応用して電気的に行われる。

0012

静電容量型超音波トランスデューサ(c−MUT)は、2つの平面状の電極が向かい立った素子であり、その間には空洞(キャビティ)があり、DCバイアス重畳させてAC信号を送ると、そのうちの一方の電極を含んだ層(メンブレン)が調和的に振動して、超音波を発生させるものである。
特開2003−299195号公報
特許第3478874号公報
特開平8−80300号公報

0013

本発明にかかる、第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルを複数配設して形成された超音波送受面を備える静電容量型超音波トランスデューサは、前記振動子セルの共振周波数に基づいて該振動子セルが配設されている。

0014

また、本発明にかかる、第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと該第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数から構成される振動子エレメントが複数配設される静電容量型超音波トランスデューサは、前記各振動子エレメントが放射する超音波の周波数に基づいて、該振動子エレメントが配設されている。

0015

また、本発明にかかる、第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数から形成される振動子サブエレメントの複数から形成される振動子エレメントを複数備える静電容量型超音波トランスデューサは、当該各振動子サブエレメントは、相異なる周波数成分の超音波を放射する第1及び第2の振動子サブエレメントのいずれかであり、該振動子サブエレメント内の振動子セルは同一の共振周波数を有し、前記振動子エレメントが配設されて超音波送受面が形成されている。

0016

また、本発明にかかる、第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数から形成される振動子エレメントを複数備える静電容量型超音波トランスデューサは、前記各振動子エレメントは、相違する周波数成分の超音波を放射する第1及び第2の前記振動子セルから形成され、前記各振動子エレメントから放射される超音波は、前記第1及び第2の振動子セルから放射される超音波に基づく差周波超音波であり、前記各振動子エレメントの駆動タイミングを制御して、前記差周波超音波群焦点を形成するように集束させる。

0017

また、本発明にかかる、第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルを複数備える静電容量型超音波トランスデューサは、前記各振動子セルは、相異なる周波数成分の超音波を放射する第1及び第2の振動子セルのいずれかであり、該第1及び第2の振動子セルはそれぞれ異なる共振周波数を有し、該第1及び第2の振動子セルは、交互に配設させて超音波送受面を形成している。

0018

また、本発明にかかる、第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数を備える静電容量型超音波トランスデューサは、当該静電容量型超音波トランスデューサは、異なる周波数成分の超音波を放射する少なくとも3種類の前記振動子セルを、各振動子セルから放射される超音波に基づく差周波超音波が発生するように配設されて形成された超音波送受面を有する。

0019

また、本発明にかかる、第1の電極と該第1の電極を支持する支持膜とからなるメンブレンと、前記第1の電極に対向し所定の間隔を空けて配置される第2の電極とからなる振動子セルの複数から形成される振動子サブエレメントの複数から形成される振動子エレメントを複数備える静電容量型超音波トランスデューサは、当該静電容量型超音波トランスデューサは、異なる周波数成分の超音波を放射する少なくとも3種類の前記振動子サブエレメントを、該各振動子サブエレメントから放射される超音波に基づく差周波超音波が発生するように配設されて形成された超音波送受面を有する。

図面の簡単な説明

0020

第1の実施形態における静電容量型超音波トランスデューサの基本構成を示す図である。
図1破線で囲まれた部分10の拡大図である。
第1の実施形態における超音波振動子エレメント1の製造方法を示す図である。
図1のエレメントを歪曲させて、エレメント表面全体から放射される周波数の異なる超音波が焦点を結ぶようにした静電容量型超音波トランスデューサを示す図である。
第2の実施形態におけるセル形状バリエーションの一例を示す図である。
第3の実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニット及び各エレメントに入力される駆動パルス入力タイミングを示す図である。
第3の実施形態における子エレメント51の上面を示す図である。
図7のエレメントを切断線A1−A2で切断した場合の断面図である。
第3の実施形態における超音波の合成波面を示す図である。
第4の実施形態におけるc−MUTの駆動部を示す図である。
第4の実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニットを示す図である。
第4の実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのエレメント及びサブエレメントを示す図である。
サブエレメント123の一部(破線で囲まれた部分124)を拡大した図である。
図13のサブエレメント123を切断線A1−A2で切断した場合の断面図である。
第4の実施形態におけるユニット120側面(図11のユニット120を右方向または左方向からの観察した側面)から観察した超音波の送受信の様子を示す図である。
第5の実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニット140の一例(その1)を示す図である。
第5の実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニット140の一例(その2)を示す図である。
第6の実施形態における静電容量型超音波トランスデューサを示す図である。
第7の実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニット及び各エレメントに入力される駆動パルスの入力タイミングを示す図である。
第7の実施形態における子エレメント151の上面を示す図である。
エレメント181が放射する周波数成分を示す図である。
図20のエレメントを切断線A1−A2で切断した場合の断面図である。
第7の実施形態における超音波の合成波面を示す図である。
第8の実施形態におけるエレメントを示す図である。
第8の実施形態における受信信号の検知に関する説明図(その1)である。
第8の実施形態における受信信号の検知に関する説明図(その2)である。
第8の実施形態をセル単位で行った場合の一例を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

0021

<第1の実施形態>
本実施形態では、中央部からは高周波を放射して、外周へ向かうほど低周波を放射する静電容量型超音波トランスデューサについて説明する。

0022

図1は、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサ(c−MUT)の基本構造であって、c−MUTの全体断面図を示す。この図1に示すc−MUTの単位を振動子エレメント(以下では単にエレメントという)1という。c−MUTには、シリコン基板2の表面に複数の凹部がある。この1単位を振動子セル(以下では単にセルという)10という。各セル10に蓋をするようにメンブレン9がシリコン基板2の上面に被さっている。

0023

メンブレン9は、端部がメンブレン支持部11で固定された振動膜である。メンブレン9は、上部電極7とメンブレン基底膜14と高誘電率酸化物層8とからなる薄膜である。メンブレン基底膜14は、上部電極を支持するためのものである。なお、メンブレン基底膜14として、高誘電率酸化物層8を用いても良い。

0024

また、シリコン基板2の背面には、絶縁膜3が設けられている。この絶縁膜3の一部には背面電極パッドコンタクトパッド)4が設けられている。シリコン基板2の両端には、インターコネクトビアホール6がある。各インターコネクトビアホールの一方の端(シリコン基板の背面側)にはコンタクトパッド5が設けられている。

0025

図2は、図1の破線で囲まれた部分を拡大したものである。したがって、複数のセルから1つのエレメントが構成される。セル10は、各セル10の両端にあるメンブレン支持部11によりメンブレン9を支持している。

0026

また、メンブレン支持部11間におけるシリコン基板2の表面(凹部の底部分)には下部電極12が配設されている。キャビティ(空洞部)13は、メンブレン9とメンブレン支持部11と下部電極12とで囲まれた空間のことをいう。キャビティ(または電極)の幅はW(この幅に対応するメンブレンの幅をメンブレン幅ともいう)、メンブレン9の厚さはtm、上部電極7と下部電極12との間隔はtで表される。

0027

それでは、図1及び図2を参照しながら、さらに、静電容量型超音波トランスデューサの構成について説明する。まず、シリコン基板2の表面にエッチング処理を行い、複数の凹部を形成する。具体的には、シリコン基板2の表面に支持部11となる物質、例えば、SiN(窒化ケイ素)を通常の成膜方法を用い、パターン成膜し、複数の凹部を形成する。なお、支持部11となる物質は、SiNでなくとも良く、SiO2など絶縁性の高い物質であればよい。

0028

この凹部はメンブレン支持部11により仕切られた構造となる。この凹部の底に下部電極12を配設する。インターコネクトビアホール6は、シリコン基板2の表面から裏面にかけてシリコン基板を貫通させて設けた導電チャネルである。

0029

キャビティ13の形成方法犠牲層エッチングを用い、支持部11はSiN,SiO2などの絶縁材料を用いる。この形成方法は、後述する図3で説明する。

0030

インターコネクトビアホール6の端(シリコン基板2の背面側)には、コンタクトパッド5が設けられている。コンタクトパッド5は、上部電極7についてのシリコン基板2の背面側の端子となる。

0031

シリコン基板2の背面には絶縁膜3(例えば、SiO2)が形成されており、その一部にはコンタクトパッド4が設けられている。このコンタクトパッド4は、下部電極12に対する導通端子であり、シリコン基板2は抵抗値が小さいシリコン材料を用いているので、このコンタクトパッド4を通して、下部電極12と導通することができる。

0032

絶縁膜3は、コンタクトパッド4とコンタクトパッド5とを絶縁するためのものである。そして、接合後には、コンタクトパッド4とコンタクトパッド5とを通して、それぞれ上部電極7と下部電極12とにシリコン基板2の背面側から電圧をかけることができる。

0033

このようにすることで、上部電極7はエレメント毎にインターコネクトビアホール6を経て、パッド電極へ導かれているが、抵抗の小さなシリコン基板2とは絶縁される。一方、下部電極12とコンタクトパッド4とは、抵抗の小さなシリコン基板2を通して導通しているので、両コンタクトパッドは絶縁されていることになり、信号が短絡することは起きない。

0034

なお、コンタクトパッド4,5は、集積回路化されたパルサー回路チャージアンプ回路入出力部(コンタクトパッド)にはんだバンプ等を用いて接合できるような配置になっている。

0035

図3は、本実施形態における超音波振動子エレメント1の製造方法を説明する。図3(A)に示すように、シリコン基板81の上面にSiO2やSiN等の絶縁層82を形成する。なお、この膜を高誘電率膜にしてもよい。次に、図3(B)に示すように、この絶縁層82の上に下部電極83を形成する。

0036

次に、図3(C)に示すように、空洞部等を形成するために犠牲になる(換言すると後で除去される一時的な層としての)犠牲層84を形成する。この犠牲層84は、エッチング等で除去し易い、例えばポリシリコンで形成される。

0037

次に、図3(D)に示すように、犠牲層84における空洞部を形成する部分の上にマスクレジスト膜)85を2次元的に配列させるように形成する。図3では、例えば、左右方向の断面で示しているが、紙面に垂直な方向も同様の配列でマスク85が形成される。

0038

そして、各空洞部の周囲(のメンブレン支持部となる部分)86にはマスク85を形成しないようにする。

0039

次に、図3(E)に示すように、エッチング処理により、マスク85をしていない部分の犠牲層84を除去して、メンブレン支持部形成用の凹部87を形成する。

0040

次に、図3(F)に示すように、マスク85を除去する。なお、86及び87は、最終的に支柱となる部分である。そして、次の図3(G)に示すように、凹部87内を充填してメンブレン支持部を形成すると共に、犠牲層84の上面を覆うようにメンブレン基材(SiN,SiO2等)を用い、メンブレン膜となる膜88を形成する。

0041

次に、図3(H)に示すように、この膜88から下の犠牲層84に届く犠牲層逃げ孔89を形成する。そして、エッチング等により、犠牲層84を除去する。そして、犠牲層84を除去して空洞部90を形成し、その上から孔69を塞ぐようにメンブレン層(犠牲層逃げ孔封止膜)91を形成する。このメンブレン層91は、SiN,SiO2を用いることができる。なお、この膜を高誘電率膜にしてもよい。このメンブレン層91の上に上部電極92を形成すると図3(I)となる。

0042

図3(A)から図3(I)に示す工程を行うことにより、1層目の超音波振動子エレメント1aの上に図3(C)から図3(I)に示す工程を繰り返すことにより、2層目の超音波振動子エレメント1b(不図示)を形成することができる。

0043

次に、c−MUT1の動作について説明する。上部電極7と下部電極12の一対の電極に電圧をかけることで電極間が引っ張り合い、電圧を0に戻すと元に戻る。この振動動作によって超音波が発生し、上部電極の上方向に超音波が放射される。

0044

このとき、図1に示すように、本実施形態では、各セルの幅に相違がある。図1の中央の破線を対象線として、左右対称構造になっており、さらに中央から両端に向かうに従って、セルの幅が広がっていく。したがって、メンブレン幅Wも10a<10b<10c<10d<10eの関係になっている。これについて以下に説明する。

0045

各セルより発生する超音波の中心周波数fresは、以下の式(1)で表される。

0046

fres=(π/2)×(tm/W2)×(E/12ρ)1/2 ・・・(1)
(tm:メンブレンの厚さ、W:メンブレン幅、E:ヤング率、ρ:密度
これより、メンブレン幅Wを大きくするほど、fresは、小さくなる。すなわち、1セル当たりのメンブレン幅を大きくするほど、低周波を得ることができる。したがって、10a<10b<10c<10d<10eとなる様に1セル当たりのメンブレン幅Wを徐々に大きくすることにより、中央のセルから発生する超音波の中心周波数fresが最も高く(高周波)、両端に向かうに従って、中心周波数fresが小さく(低周波)になっていく。なお、メンブレンの厚さを変化させてfresを調製してもよい。

0047

また、上部電極7に高誘電率酸化物膜8を形成することで、各セルから発生する超音波の強度を大きくすることができる。高誘電率酸化物層8は、上部電極7と下部電極12と間に働く静電引力を向上させるために形成された層である。上部電極7と下部電極12と印加する電圧を制御することで上部電極7と下部電極12が振動し、超音波を発生させる。よって、上部電極7と下部電極12の間に働く静電引力が強いほど、より振動は強くなる。そこで、この静電引力を強めることについて検討する。以下の式(2)は、上部電極7と下部電極12との間に働く静電引力Fattを表す。

0048

Fatt=−(1/2)×εr×(W2/t2)×V2 ・・・(2)
(εr:比誘電率、W:メンブレン幅、t:電極間距離、V:電圧)
この式より、t、W2、Vが一定であるならば、比誘電率が高いほど、電極間に働く静電引力Fattは大きくなることが分かる。よって、上部電極7と下部電極12との間に比誘電率の大きい物質を介在させることで、静電引力Fattを大きくすることができ、その役割を担うのがまさに高誘電率酸化物層8である。

0049

よって、高誘電率酸化物層8には、比誘電率の高い材料を用いる。そこで、本実施形態では、高誘電率酸化物層8として、例えば、チタン酸バリウムBaTiO3(εr:1200)、チタン酸ストロンチウムSrTiO3(εr:332)、チタン酸バリウム・ストロンチウム(εr:バリウムとストロンチウムのイオン比率に応じてチタン酸バリウムとチタン酸ストロンチウムの中間的な値を示す)、酸化タンタル(εr:27.9)、五酸化タンタル(εr:27)、酸化ニオブ安定化五酸化タンタル(εr:27)、酸化アルミニウム、または酸化チタンTiO2(εr:100)等の高誘電率を有する材料を用いる。

0050

さらに、エレメントについて説明をする。エレメント内の各セルは、共振周波数を持っている。共振周波数とは、式(1)に従う、即ち構造パラメータに依存する周波数である。その共振周波数では、そうでない周波数領域に比較して、振動振幅が大きくなるという特徴がある。また、その周波数を含む広帯域の信号で駆動すると優先的にその周波数で高い効率の振動を行うという特徴がある。

0051

上記より、エレメントの中央部からは高周波の超音波が放射され、両端へ向かうほど低周波の超音波が放射される。そして、これらの周波数の異なる超音波が焦点を結ぶようにする。これについては、図4で説明する。

0052

図4は、図1のエレメントを歪曲させて、エレメント表面全体から放射される超音波が焦点を結ぶようにしたものである。まず、図1のエレメント1のメンブレン9の表面にフレキシブルプリント基板FPC)20を接合する。次に、このエレメント1を機械的作用により図4のように歪曲させるため、歪曲処理の前に、絶縁膜3からメンブレン支持部11に渡って、シリコン基板2に切れ目を入れ、これを各セル間について行う。そうすると、各セルは、隣接するセルとは切り離され、メンブレン9で相互に支持された状態になり、容易に歪曲させることができる。

0053

次に、図4に示すように、エレメントの中央が凹形状になるように歪曲させる。歪曲させる場合には、予め焦点距離を設定し、その焦点距離でエレメント表面から放射された超音波が焦点を結ぶように調整する。歪曲後、この形状を維持するために、上記の切れ目のために生じた溝に溝埋め剤21を充填させる。その後、切れ目を入れた面(絶縁膜3)の表面に背面電極22を形成する。このようにして、図4の歪曲形状を実現することができる。

0054

次に、図4に示したc−MUTの動作について説明する。駆動部30は、c−MUTを駆動させるためのデバイスであり、接地配線31、信号配線32、グランド33,37,38、DCバイアス電源34、RF電源35、及びDC遮断コンデンサ36,39から構成される。

0055

上部電極7は、接地配線31を通してグランド33で接地されている。信号配線32は、駆動部で生成された駆動信号をc−MUT1に伝達するためのものである。

0056

RF電源35は、駆動信号を生成するための高周波交流電源である。また、c−MUT1を駆動させるための駆動信号には、RF電源35から供給される交流電圧成分(Vrf)だけでなく、DCバイアス電源34から供給される直流電圧成分(Vbias)が必要である。このようにして、生成した駆動信号が、DC遮断コンデンサ36及び信号配線32を通して、背面電極22に伝達される。また、DCバイアス電源34、RF電源35の一端はそれぞれ、グランド37,38で接地されている。

0057

DC遮断コンデンサ36,39は、DCバイアス電源34からの直流電流チャージアンプやRF電源35へ流れるのを遮断するためのものである。

0058

駆動部30を駆動させると、駆動信号がc−MUTへ伝達され、各セルのメンブレンが振動することにより、各セルより超音波が放射される。図4に示すように、c−MUTの中央のセルからは高周波の超音波F1が放射され、その周辺のセルからは低周波の超音波F2が放射され、このc−MUTの表面が形成するカーブの成す円の中心でこれらの超音波ビームが焦点を結ぶ。

0059

このように、焦点を構成することによって、超音波ビームのビーム幅を絞ることが可能になる。超音波ビームのビーム幅は超音波画像の空間分解能に関係するので、超音波の深達度に問題がない範囲でなるべく絞ることが好ましい。

0060

また、このようにc−MUTの表面を湾曲させることで、上記したプラノコンケーブ構造がもたらす機能と同等の機能を有することができる。プラノコンケーブ構造の特徴的な機能は、周辺部から低周波超音波信号、中心部から高周波超音波信号を送信し、双方の超音波による合成音場が近距離(高周波)から遠距離(低周波)まで均一な音場を形成することである。出来るだけ遠方まで超音波を伝播させて、高深達度を得るには、遠距離に関係する低周波超音波信号の感度を上げることが有効となる。

0061

高周波成分が近距離の音場に関係するのは、高周波超音波を送信する領域が中心部近傍なので、開口が小さくなり、焦点を近点に結び、低周波成分が遠距離の音場に関係するのは、低周波超音波を送信する領域が周辺部近傍なので、実質開口が大きくなり、焦点を遠点に結ぶということがあるからである。よって、本実施形態におけるc−MUTもこのような機能を有することとなる。

0062

なお、本実施形態において、複数の振動子セルが有する共振周波数が、複数の周波数帯分布するように構成されている。複数の「周波数帯に分布する」とは、本実施形態における振動エレメントにおいて、外縁部に低周波(帯)、中心部に高周波(帯)、即ち、複数の周波数帯を持つ(=分布する)ように構成されることをいう。このとき、その共振周波数を持った振動子エレメントには同じ周波数帯域の駆動信号を印加する。このようにすることで、エレメント上に分布した各セルより効率よく超音波ビームを放射することができる。

0063

なお、セルの共振周波数を決定する構造パラメータは、式(1)より、メンブレンの幅、長さ、又は直径(セルが円形の場合)である。また、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサの超音波送受面は凹面であるが、この凹面は例えば球面でもよいし、またはシリンドリカル面でもよい。また、本実施形態において、高周波とは他方の超音波(低周波)に対して相対的に周波数の高い超音波を示し、低周波とは他方の超音波(高周波)に対して相対的に周波数の低い超音波を示す。

0064

上より、従来、超音波トランスデューサでは、電気信号を超音波に変換させる圧電素子として、例えばセラミック圧電材PZTジルコン酸チタン酸鉛)が使用されてきた。しかしながら、これらをプラノコンケーブ構造へ加工することは容易ではなく、さらに、電極を歪曲させて配設することはなおさら容易ではなかった。しかしながら、シリコンマイクロマシーニング技術を用いてシリコン半導体基板を加工した静電容量型超音波トランスデューサを歪曲させて、エレメントの中央から高い周波数の超音波を、エレメントの両端に向かって徐々に周波数の低い超音波を放射させることにより、近傍から遠方に対して、比較的分解能のよい超音波画像を得ることができる。

0065

また、従来プラノコンケーブ構造で実現していた機能を容易に実現することができる。また、このような静電容量型超音波トランスデューサの製造は、従来の圧電素子をプラノコンケーブ構造にする場合に比べて、容易である。

0066

<第2の実施形態>
本実施形態では、様々な開口形状のセルをエレメント内に形成して、エレメント中央部より高周波を放射し、その周辺より低周波を放射する場合について説明する。

0067

図5は、本実施形態におけるエレメントの上面を示す。図5(a)は、楕円形状のエレメント40に楕円形状のセル41を複数形成したものである。セル面積は、エレメント40の中央のセルが最も小さく、これの周囲に徐々に大きいセルが複数形成され、エレメント外周に近づくほど、セル面積は大きくなっている。

0068

上記したように、メンブレン幅Wを変化させることにより、W2に反比例して周波数を変化させることができる(式(1)参照)ので、面積の小さいセルをエレメントの中央に形成し、その周囲に面積の大きいセルを形成し、外周に近づくに従って徐々に大きくなるようなセルを複数形成することで、エレメント中央からは高周波が放射され、その周辺方向に向かうに従いより低い低周波が放射される。

0069

図5(b),(c),(d)は、セル形状のバリエーションの一例を示す。図(a)では、楕円形状のセルを用いたが、これに限定されない。すなわち、セル形状は、例えば、四角形図5(b)参照)でもよいし、六角形図5(c)参照)(例えば、ハニカム形状)でもよいし、円(図5(d)参照)でもよい。また、エレメントの形状についても楕円に限定されず、例えば、四角形でもよいし、六角形でもよいし、円でもよい。

0070

以上より、同心円状(または同心楕円状)にセルを配列し、さらに外周に向かうにしたがってセルの面積を大きくすることで、よりエレメントの外周へ向かうほど低周波が放射され、中心へ向かうほど高周波が放射されるので、近傍から遠方に対して、比較的分解能のよい超音波画像を得ることができる。

0071

<第3の実施形態>
本実施形態では、複数のエレメントを配列して、その中央のエレメントより高周波を放射し、その中央のエレメントから離れるに従ってより低周波を放射する静電容量型超音波トランスデューサであって、超音波送受面を物理的に湾曲させずに、電気的制御により、第1の実施形態と同様の効果を奏する静電容量型超音波トランスデューサについて説明する。

0072

図6は、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニットを示す。基板54には複数のエレメント51(本実施形態では、9つのエレメント51a,51b,51c,51d,51e,51d,51c,51b,51a)が配設されている。本実施形態では、このエレメント51の集合をユニット50という。

0073

図7は、本実施形態におけるエレメント51の上面図を示す。エレメント51には、4×4個の正方形形状のセル60が形成されている。これら16個のセルはすべて同様の構造をしているので、同じ周波数の超音波が放射される。各セル60の上部中央には上部電極61が設けられており、隣接するセルの上部電極61とはインターコネクト電極62で接続されている。また、エレメント51の中央部には、インターコネクトビアホール63が形成されている。

0074

図8は、図7のエレメントを切断線A1−A2で切断した場合の断面図である。同図において、エレメント51の断面は、絶縁膜70、コンタクトパッド電極71,72,下部電極73、シリコン基板74、キャビティ75、メンブレン76から構成される。

0075

メンブレン76は、上部電極77及びメンブレン基底膜(さらに高誘電率物質層を含んでも良い)から構成される。上部電極77は、上記の各セル上にある上部電極61とインターコネクト電極62とから構成される。キャビティ75の幅(セル単位の電極幅)はWで表される。これらの各部の機能については第1の実施形態と同様である。

0076

さて、図6に戻って本実施形態で実現するユニット50の動作について説明する。まず、各エレメントには、52で表される駆動パルスが入力される。但し、本来はDCパルスが重畳したパルスが駆動パルス52として用いられるが、ここでは重畳する前のRFパルスのみの表示としている。同図の駆動パルス52は、時間に対しての振幅を表している。各エレメントに入力される駆動パルスには遅延時間を設けてあり、エレメント51a,51b,51c,51d,51eの順で所定の間隔をあけて駆動パルスが入力される。なお、各エレメントには、図4説明したような駆動部をそれぞれ有しており、この駆動部に駆動パルスが入力される。また、駆動パルスは不図示の超音波内視鏡装置の制御部より送信される。

0077

このように遅延時間を設けて駆動パスルをエレメントに入力すると、エレメントから放射される超音波にも時間差が生じる。すなわち、早く駆動したエレメント51aからはその分早く超音波が放射され、エレメント51b,51c,51d,51eになるにしたがって、遅延して駆動するので、その分遅く超音波が放射される。なお、本実施形態では、図6に示すように駆動パルスを遅延させて入力する。

0078

なお、エレメント51a,51b,51c,51d,51eになるに従って、高い周波数の超音波が放射されるようになっている。具体的には、上記したように、エレメント51を構成するセルのメンブレン幅Wを変化させることで、周波数の高低を構成している(式(1)参照)。なお、上記の式(1)より、メンブレンの厚さを変えて周波数を変化させてもよい。

0079

図9は、本実施形態における超音波の合成波面81を示す。電子走査法において、各振動子エレメント51a,51b,51c,51d,51eに入力される駆動パルスの入力タイミングを制御することにより、超音波の焦点位置を走査することができる。図6で説明したように、各振動子エレメントへの駆動パルス印加のタイミングを相対的に遅延させれば、合成波面81が得られ、遅延時間の設定に対応した位置で集束する超音波ビームが得られる。これにより、第1の実施形態で実現したことと同様の効果を得ることができる。

0080

なお、遅延時間を変化させることで、合成波面を変化させることができ、それにより合成波面の円弧の形状が変化して、その収束する中心位置(焦点)も変わるので、焦点を自在に走査するセクタ走査も可能となる。

0081

以上より、エレメントを駆動させる駆動パルスのタイミングをずらす(駆動パルスの入力のタイミングに位相差を設ける)ことにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、エレメントの中央から高い周波数の超音波を、エレメントの両端に向かって徐々に周波数の低い超音波を放射させることにより、近傍から遠方に対して、比較的分解能のよい超音波画像を得ることができる。また、従来プラノコンケーブ構造で実現していた機能を容易に実現することができる。

0082

さらに、第1の実施形態に比べ、湾曲させる必要がなく、駆動パルスの制御のみで同様の機能を実現することができ、製造コスト面でも利点がある。

0083

<第4の実施形態>
本実施形態では、それぞれ周波数の異なる超音波を発生する2種類の音源を交互に配列した静電容量型超音波トランスデューサについて説明する。

0084

図10は、本実施形態におけるc−MUTの駆動部を示す。まず、エレメント101のメンブレンの表面にフレキシブルプリント基板(FPC)118を設け、絶縁膜の表面に背面電極119を設ける。駆動部117は、c−MUT1を駆動させるためのデバイスであり、接地配線117a、信号配線117b、グランド117c,117g,117h、DCバイアス電源117d、RF電源117e、及びDC遮断コンデンサ117f,117iから構成される。

0085

上部電極107は、接地配線117aを通してグランド117cで接地されている。信号配線117bは、駆動部117で生成された駆動信号をc−MUT101に伝達するためのものである。

0086

RF電源117eは、駆動信号を生成するための交流電源である。また、c−MUT101を駆動させるための駆動信号には、RF電源117eから供給される交流電圧成分(Vrf)だけでなく、DCバイアス電源117dから供給される直流電圧成分(Vbias)が必要である。このようにして、生成した駆動信号が、DC遮断コンデンサ117f及び信号配線117bを通して、背面電極119に伝達される。また、DCバイアス電源117d、RF電源117eの一端はそれぞれ、グランド117g,117hで接地されている。

0087

DC遮断コンデンサ117f,117iは、DCバイアス電源117dからの直流電流がチャージアンプやRF電源117eへ流れるのを遮断するためのものである。

0088

駆動部117を駆動させると、駆動信号がc−MUTへ伝達され、各セルのメンブレンが振動することにより、各セルより超音波が放射される。

0089

以上が、c−MUT101の基本的な説明である。次に、本実施形態におけるパラメトリックアレイを用いた静電容量型超音波トランスデューサについて説明する。

0090

図11は、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニットを示す。シリコン静電容量型超音波トランスデューサのユニット120とは、シリコン基板121上に複数のエレメント122を配設した構成単位をいう。このエレメント122は、さらに2つの振動子サブエレメント(以下、単にサブエレメントという)123a,123bから構成されている。なお、図1で説明したエレメントがここでいうサブエレメント123に相当する。

0091

図12は、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのエレメント及びサブエレメントを示す。上記のように、エレメント122は、2つのサブエレメント123(123a,123b)から構成されている。サブエレメント123a,123bは、相互に相違する周波数の超音波を放射する。

0092

図13は、サブエレメント123の一部(破線で囲まれた部分124)を拡大した図である。サブエレメント123には、複数のセル127が形成されている。セル127はすべて同様の構造をしているので、同じ周波数の超音波が放射される。各セル127の上部中央には上部電極125が設けられており、隣接するセル127の上部電極125とはインターコネクト電極126で接続されている。

0093

図14は、図13のサブエレメント123を切断線A1−A2で切断した場合の断面図である。同図において、サブエレメント123の断面は、主に、絶縁膜134、メンブレン135(メンブレン135には上部電極132も含まれる)、メンブレン支持部133、下部電極136、シリコン基板130、キャビティ131から構成される。なお、さらに詳細の構成要素は、図1及び図2で示しているので、図14では省略している。

0094

メンブレン135は、上部電極132及びメンブレン基底膜(さらに高誘電率物質層を含んでも良い)から構成される。上部電極132は、上記の各セル127上にある上部電極125とインターコネクト電極126とから構成される。キャビティ131の幅(セル単位のメンブレン幅)はWで表される。これらの各部の機能については図1及び図2で説明したものと同様である。

0095

図15は、本実施形態におけるユニット120側面(図11のユニット120を右方向または左方向からの観察した側面)から観察した超音波の送受信の様子を示す。図15(a)は送信時を示し、図15(b)は受信時を示す。同図において、ユニット120は、サブエレメント123a,123b、シリコン基板121、屈曲振動支持スペーサー142、第2シリコン基板141、第2シリコン基板支持部140、電極143a,143bからなる。

0096

サブエレメント123a,123bはシリコン基板121上で支持されている。シリコン基板121と第2シリコン基板141との間には、所定の空間を設ける屈曲振動支持スペーサー142が取り付けてある。また、シリコン基板121と第2シリコン基板141とが対向するそれぞれの面上に電極143a,143bが設けられている。

0097

図15(a)において、サブエレメント123a,123bは、それぞれ異なる周波数d1,d2の超音波を放射する。本実施形態では、例えば、d1<d2の関係にあるとする。サブエレメント123aからは周波数成分d1の超音波が放射され、サブエレメント123bからは周波数成分d2の超音波が放射されるとする。このとき、各サブエレメント123の各セル127より、それぞれ超音波が放射される。異なる周波数の超音波を放射させるには、上記の式(1)より、各セルのメンブレンの幅Wを変更すればよい。また、メンブレンの厚さtmを変更するようにしてもよい。

0098

周波数成分d1,d2の超音波が同方向に放射されると、それらの差音(差周波信号d2−d1)が生じる。この差音は、周波数が低いために遠方まで充分に伝播する。また、差音の音響特性としては、この差音と同じ周波数の音波と比べて、ビームパターンが鋭くなるので、空間に対しての指向性が向上し、空間分解能が向上する(通常、低周波の場合にはビームパターンは広がり空間分解能が低下する)。また、サイドローブ解析範囲内では現れないので、超音波画像のノイズを抑制することができ、超音波画像の質を向上させることができる。

0099

図15(b)は、図15(a)で生じた差周波信号d2−d1が体腔内で反射され、その反射波を受信している様子を示している。すなわち、受信時には、エレメント123及びシリコン基板121自体が屈曲振動子となる。145は受信超音波振動を示し、146は受信超音波振動145による屈曲共振振動を示す。反射波が帰ってとエレメント123表面全体にその音圧がかかり、それにより受信超音波振動145がエレメント123全体に発生する。

0100

そうすると、該受信超音波振動145は、エレメント123及びシリコン基板121に屈曲共振振動146をもたらす。具体的には、互いに向き合う面に設けられた電極143a,143bが、屈曲変形に伴って電極間距離が変化し、電極間静電容量が変化し、受信電圧が変化する。この読み取った電圧変化に基づいて、エコー画像が形成される。

0101

また、シリコン基板121は屈曲振動可能なほどの薄膜である。メンブレンの厚さが数μm、キャビティの深さも同じ程度であり、Si基板の厚さが50μmとしても合計で60μm以下である。この程度の厚みであれば、容易に大きく屈曲変形することができる。

0102

なお、エレメント単位で駆動している(すなわち、エレメント単位で超音波を放射している)ので、各エレメントを構成するサブエレメントは同時に駆動している。すなわち、エレベーション方向(走査方向(例えば、右から左へ走査する方向)に対して垂直方向)にあるサブエレメントは同時に駆動する。また、エレメント単位で駆動して、リニア走査やセクタ走査を行うことができる。また、高周波と低周波を放射する面積はユニットにおいて、等しくなるように形成されている。また、エレベーション方向の中心線を仮に設けたとき、その中心線を境界として両側にサブエレメントが分離配置されている。

0103

なお、図15(b)において、上記の通り、エレメント123及びシリコン基板121自体が屈曲振動子となり、屈曲振動支持スペーサー142が振動の節点となっているので、この位置を調整することにより、この屈曲振動子の共振周波数特性を調整することができる。すなわち、発生した差音の周波数に応じて、この位置を調整することにより、最適な振動振幅が得られるので、その分、エコー画像の感度がよくなる。また、本実施形態において、高周波とは他方の超音波(低周波)に対して相対的に周波数の高い超音波を示し、低周波とは他方の超音波(高周波)に対して相対的に周波数の低い超音波を示す。

0104

なお、パラメトリックを超音波診断に利用する目的は、低周波の差信号が、低周波だから遠方まで超音波が伝播する、という一般的な特徴とともに低周波でありながら、超音波ビーム幅が小さいという非線形効果ならではの特徴を持っているからである。したがって、近接したMHz程度の周波数成分を持つ2つの信号から、低周波の差信号(パラメトリック信号)を発生させることが必要である。

0105

このとき、近接したMHz程度の周波数成分を持つ2つの信号とは、差信号の周波数が元の周波数の1/10程度が目安である。それより低いと深さ方向の分解能が極端に悪くなり、またそれより高いと遠方まで伝播するという効果が低減する。しかしながら、この目安は絶対的な条件ではなく、例えば、f0=f2—f1=f1(f2=2f1)とした先行技術もある(例えば、特許文献3)。

0106

以上より、パラメトリックアレイを用いた超音波トランスデューサにおいて、シリコンマイクロマシーニング技術を用いてシリコン半導体基板を加工した静電容量型超音波トランスデューサを用いることにより、より小型化を図ることができる。

0107

<第5の実施形態>
本実施形態では、第4の実施形態よりさらにパラメトリック効果を向上させた静電容量型超音波トランスデューサについて説明する。

0108

図16は、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニット150の一例(その1)を示す。図11では隣接するエレメントの配列の向きは同方向であったが、図16では隣接するエレメント123の配列の向きを反対にしている。このように相違する2つの周波数を放射するエレメント123を交互に配列することで、2つの周波数成分が混ざり易くなり、よりパラメトリック効果を得ることができる。

0109

図17は、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニット160の一例(その2)を示す。図17では、エレメントが2種類4つのサブエレメント123(123a、123bが交互に組み合わさっている。)から構成されている。そして隣接するエレメント123相互間においても、サブエレメント123a、123bが交互に組み合わさっている。このようにすることで、図16よりもさらに、2つの周波数成分が混ざり易くなり、よりパラメトリック効果を得ることができる。なお、さらに、細分化してサブエレメント123a、123bが交互を配設することにより、より高いパラメトリック効果を得ることができる。

0110

なお、図16及び図17において高周波と低周波を放射する面積はユニットにおいて、等しくなるように形成されている。また、本実施形態においてサブエレメントの形状は長方形であるが、これに限定されず、例えば正方形でも円でも六角形でもよい。

0111

<第6の実施形態>
本実施形態では、静電容量型超音波トランスデューサの開口が円形であり、2つの近接した共振周波数を有するセルが、円の等面積分割境界線を境にして、同心円状に交互に分離配置した構造を有する静電容量型超音波トランスデューサについて説明する。

0112

図18は、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサを示す。図18(a)は、静電容量型超音波トランスデューサのユニット170の上面図であり、図18(b)は側面図(超音波送信時)であり、図18(c)は側面図(超音波受信時)である。図18(a)において、静電容量型超音波トランスデューサ170は、高い周波数成分を有する超音波を放射するエレメント172と低い周波数成分を有する超音波を放射するエレメント171の2つのエレメントから構成される。

0113

図18(b)において、エレメント171,172は、それぞれ異なる周波数e1,e2の超音波を放射する。本実施形態では、例えば、e1<e2の関係にあるとする。エレメント172からは周波数成分e1の超音波が放射され、エレメント171からは周波数成分e2の超音波が放射されるとする。このとき、各エレメント内の各セルより、それぞれ超音波が放射される。異なる周波数の超音波を放射させるには、上記の式(1)より、各セルのメンブレンの幅Wを変更すればよい。また、メンブレンの厚さtmを変更するようにしてもよい。

0114

周波数成分e1,e2の超音波が同方向に放射されると、第4の実施形態で述べたように、それらの差音(差周波信号e2−e1)が生じる。この差音は、周波数が低いことから遠方まで充分に伝播する。また、差音の音響特性としては、この差音と同じ周波数の音波と比べて、ビームパターンが鋭くなるので、空間に対しての指向性が向上し、空間分解能が向上する(通常、低周波の場合にはビームパターンは広がり空間分解能が低下する)。また、サイドローブが解析範囲内では現れないので、超音波画像のノイズを抑制することができ、超音波画像の質を向上させることができる。

0115

図18(c)は、図18(b)で生じた差周波信号e2−e1が体腔内で反射され、その反射波を受信している様子を示している。すなわち、受信時には、ユニット170自体が屈曲振動子となる。175は受信超音波振動を示し、174は受信超音波振動175による屈曲振動を示す。反射波が帰ってとユニット表面全体にその音圧がかかり、それにより受信超音波振動175がユニット170に発生する。そうすると、ユニット170は屈曲共振振動174をし、その反射波による受信超音波振動175を吸収し、その受信超音波振動175が電気信号に変換されるようになっている。なお、図18は、図15と同様にサブエレメント、シリコン基板、屈曲振動支持スペーサー、第2シリコン基板、第2シリコン基板支持部、電極から構成されているが、ここでは、省略している。

0116

なお、ユニット単位で駆動しているので、ユニットを構成するエレメント171,172は同時に駆動し、複数のユニットを用いて駆動制御することでリニア走査やセクタ走査を行うことができる。また、高周波と低周波を放射する面積はユニット内において、等しくなるように形成されている。また、図18では、高い周波数成分を有する超音波を放射するエレメント72と低い周波数成分を有する超音波を放射するエレメント171の2つのエレメントから構成されるユニットを用いたが、これらのエレメントが交互に同心円状に何重に配列していてもよい。

0117

<第7の実施形態>
本実施形態では、パラメトリックアレイを用いて生じた複数の差音を合成して集束させた超音波ビームを生成する静電容量型超音波トランスデューサについて説明する。

0118

図19は、本実施形態における静電容量型超音波トランスデューサのユニットを示す。基板184には複数のエレメント181(本実施形態では、9つのエレメント181a,181b,181c,181d,181e,181d,181c,181b,81a)が配設されている。本実施形態では、このエレメント181の集合をユニット180という。

0119

図20は、本実施形態におけるエレメント181の上面図を示す。エレメント181には、外周側に12個の正方形形状のセル190が形成され、その内側には正方形形状のセル194が形成されている。同図に示すように、セル190の面積の方がセル194の面積より大きいので、上記の式(1)より、セル190からは低い周波数成分の超音波が放射され、セル194からは高い周波数の超音波が放射される。

0120

セル191とセル194とは、面積が異なるのみで共に同様の構造をしている。各セル191,194の上部中央には上部電極191が設けられており、隣接するセルの上部電極191とはインターコネクト電極192で接続されている。また、エレメント181の中央部には、インターコネクトビアホール193が形成されている。

0121

図21は、エレメント181が放射する周波数成分を示す。同図より、2つの振幅のピークP1,P2が見られる。ピークP1の周波数はg1(<g2)であり、セル190から放射された超音波である。また、ピークP2の周波数はg2(>g1)であり、セル194から放射された超音波である。

0122

図22は、図20のエレメント181を切断線B1−B2で切断した場合の断面図である。同図において、エレメント181の断面は、絶縁膜200、コンタクトパッド電極201,202,下部電極203、シリコン基板204、キャビティ205、メンブレン206、上部電極207、メンブレン支持部208から構成される。

0123

メンブレン206は、上部電極207及びメンブレン基底膜(さらに高誘電率物質層を含んでも良い)から構成される。上部電極207は、上記の各セル上にある上部電極191とインターコネクト電極192とから構成される。メンブレン支持部208は、メンブレン206を支持するためのものであり、SiNまたはSiO2など絶縁性の高い物質で構成されている。キャビティ205の幅(セル単位の電極幅)はWで表される。これらの各部の機能については第4の実施形態と同様である。

0124

また、W1はセル190のメンブレン幅を示し、W2はセル194のメンブレン幅を示し、W1>W2の関係になっている。なお、エレメント180において、セル190群の面積の総和とセル194群の面積の総和はほぼ等しくなるように形成されている(図20では、説明のためにセル190とセル194の相対的な大きさを誇張して示している)。

0125

このようにエレメントを構成することで、高周波と低周波が同方向に放射されるので、それらの差音が生じ、パラメトリック効果を得ることができる。

0126

さて、図19に戻って本実施形態で実現するユニット180の動作について説明する。まず、各エレメントには、182で表される駆動パルスが入力される。同図の駆動パルスは、時間に対しての振幅を表している。各エレメントに入力される駆動パルスには遅延時間を設けてあり、エレメント181a,181b,181c,181d,181eの順で所定の間隔をあけて駆動パルスが入力される。なお、各エレメントには、図10で説明したような駆動部をそれぞれ有しており、この駆動部に駆動パルスが入力される。また、駆動パルスは不図示の超音波内視鏡装置の制御部より送信される。

0127

このように遅延時間を設けて駆動パスルをエレメントに入力させると、エレメントから放射される超音波にも時間差が生じる。すなわち、早く駆動したエレメント181aからはその分早く放射され、エレメント181b,181c,181d,181eになるにしたがって、遅延して駆動するので、その分遅く超音波が放射される。

0128

図23は、本実施形態における超音波の合成波面181を示す。電子走査法において、各振動子エレメント181a,181b,181c,181d,181eに入力される駆動パルスの入力タイミングを制御することにより、超音波の波面を合成することができる。図19で説明したように、駆動パルスを円弧状に遅延させれば、各セルから放射された超音波210の波面は相互に干渉しあって、波面は凹状(合成波面211)となり任意の位置で集束する超音波ビームを制御できるようになる。そうすると、全体としては、円弧形状の合成波面211が生じる。このような合成波面が生じると、合成された超音波212はこの円弧の中心213を焦点として集束するようになる。これにより、第4の実施形態で実現したことと同様の効果を得ることができる。

0129

なお、遅延時間を変更することで、合成波面を変化させることができ、それにより合成波面の円弧の形状が変化して、その収束する中心位置(焦点)も変わるので、焦点を自在に走査することができる。すなわち、セクタ走査が可能となる。

0130

以上より、エレメントを駆動させる駆動パルスのタイミングを放物線的に遅延させることにより、各エレメントから放射させる超音波を合成して集束させ、セクタ走査を行うことができる。また、各エレメントから放射された超音波はパラメトリックアレイを用いて得た差音であるので、通常のセクタ走査よりも空間分解能がよく、高画質の超音波画像を得ることができる。

0131

<第8の実施形態>
本実施形態では、少なくとも3つの異なる近接した共振周波数を有するサブエレメントを用いる場合について説明する。

0132

図24は、本実施形態におけるエレメント220を示す。同図において、3つのサブエレメント221,222,223があり、それぞれのサブエレメントから周波数f1,f2,f3の超音波が放射される(f1<f2<f3)。

0133

この場合、差周波信号がf2−f1、f3−f2、f3−f1の3種類が発生するので、帯域の広い差周波信号が発生する。つまり、同じパラメトリック信号でもこれら3種類はそれぞれ帯域が異なっているので、帯域が広くなる。このような周波数特性をもつパラメトリック信号に対して逆フーリエ変換を行い、時間軸に対するパスル特性を見てみると、パルス幅が短くなる。このパルス幅が短くなるということは、深さ方向の分解能が向上することを示している。

0134

さて、第4の実施形態において、図15に示した構成では周波数成分d1を持った超音波と、周波数成分d2を持った超音波とで、周波数成分d2−d1パラメトリック信号を対象物内で発生し、このエコー信号を周波数成分d2−d1に共振周波数を有した屈曲振動子で受信した。差周波信号d2−d1が1つだけならばこの構成でよいが、本実施形態のように送信信号がf1,f2,f3の場合には、差周波信号がf2−f1、f3−f2、f3−f1の3種類が発生する。

0135

したがって、受信信号(反射波)の検出も、これら3種類の周波数に対応させる必要がある。そこで、以下に2パターンの受信について説明する。

0136

図25は、本実施形態における受信信号の検知に関する説明図(その1)を示す。図25(a)は、屈曲振動子としてのエレメント220の側面方向の屈曲振動を示す。ここで、共振振動は、応答感度は小さくなるが、必ずその整数倍高次共振(Overtone)を持っている。したがって周波数f1,f2,f3(f1<f2<f3)を、例えば、f2−f1=f0としたら、f3−f2=2f0、f3−f1=3f0となるように選ぶ。この場合の構造は、基本的に図15と同様であり、エレメントが節点230で支持されている。このようにすることで、図25(b)に示すように、f0,2f0,3f0で屈曲共振する(狭帯域屈曲共振)。

0137

図26は、本実施形態における受信信号の検知に関する説明図(その2)を示す。図26(a)は、屈曲振動子としてのエレメント220の側面方向の屈曲振動を示す。図26(a)のような基本構造では、エレメント220の周辺を支持し周波数f0の屈曲共振に強制的に機械的なダンピングをかけ、広帯域振動にする。このようにすることで、図26(b)に示すように、f2−f1,f3−f2,f3−f1の広帯域で屈曲共振する(広帯域屈曲共振)。

0138

なお、本実施形態では3つの異なる近接した共振周波数を有するサブエレメントを用いたが、これに限らず、図27に示すように、さらに複数の異なる近接した共振周波数を有するセル241,242,243(240は、エレメントを表す)を用いても良い。また、3つの異なる近接した共振周波数を有するエレメントの配設順は、周波数の昇順降順で配設するのが好ましいが、これに限定されず、用途によっては、ランダム並び順でもよい。

0139

本実施形態によると、複数種類のパラメトリック信号、すなわち、広帯域の周波数信号送受することができる。

0140

以上より、本発明では、静電容量型超音波トランスデューサを用いることにより、近傍から遠方に対して、分解能のよい超音波画像を容易に得ることができる。

0141

また、本発明を用いることにより、パラメトリック特性を有する静電容量型超音波トランスデューサは、シリコンマイクロマシーニング技術を用いてシリコン半導体基板を加工して製造することができるので、小型化を可能にする。

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