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技術 レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害モデル動物

出願人 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明者 角谷寛
出願日 2005年5月25日 (14年8ヶ月経過) 出願番号 2006-513897
公開日 2008年7月31日 (11年6ヶ月経過) 公開番号 WO2005-115134
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 透析機器 溶媒吸収 レストレスレッグス症候群 発表会 尿中成分 過伸展 原因不明 濃縮カラム
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年7月31日)のものです。
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図面 (3)

課題・解決手段

本発明は、レストレスレッグス症候群周期性四肢運動障害モデル動物を提供する。レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害に罹患していると判断された腎不全患者末梢血液採取し、その血漿成分マウス腹腔内に投与したところ、このマウスはこれら疾患に特有行動を顕著に示し、疾患モデルマウスとして利用できることが分かった。本発明のモデル動物は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の原因物質の同定、並びに、これら疾患の診断法および治療法の開発・評価に利用可能である。

概要

背景

レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome(略称RLS)。「むずむず脚症候群」とも呼ばれる。)は、一般の数%の人が罹患している頻度の高い疾患である。具体的な症状としては、足を動かしたいという強い衝動に駆られ、しばしば足がむずむずする、虫がはう様な等と表現される感覚を伴う、じっとしている時に特に起こり、足を動かすと症状が若干緩和される、夕方から夜にかけて特に横になると悪化し、睡眠障害を伴う、といった諸症状を挙げることができる。原因不明であり、患者の63−92%に家族歴が認められるという報告がある。カフェイン抗うつ剤増悪することが多いともいわれている。

また、レストレスレッグス症候群の80−90%が周期性四肢運動障害併発している。レストレスレッグス症候群は、上述のように夜間の入時に脚のむずむずした違和感があってそのために入眠困難を来す睡眠異常の症状を呈するが、他方、周期性四肢運動障害の症状は、睡眠中に5−90秒周期四肢運動を繰り返し、しばらくその運動が続いたり、止まったりするというものである。レストレスレッグス症候群と周期性四肢運動障害とは合併して起こる割合が高いことから、これら二つの疾患は単一の原因で起こっている可能性が高い。

レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害は、腎不全患者妊婦に特に多く、腎不全透析患者の1/3以上にレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状が認められる(腎不全患者におけるレストレスレッグス症候群の研究結果について、下記の非特許文献1参照。)

岡 靖哲・小池茂文・山本勝徳・角谷・井上雄一「腎不全透析患者におけるRestless Legs症候群の検討」不眠研究会第19回研究発表会プログラム抄録集32頁

概要

本発明は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物を提供する。レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害に罹患していると判断された腎不全患者の末梢血液採取し、その血漿成分マウス腹腔内に投与したところ、このマウスはこれら疾患に特有行動を顕著に示し、疾患モデルマウスとして利用できることが分かった。本発明のモデル動物は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の原因物質の同定、並びに、これら疾患の診断法および治療法の開発・評価に利用可能である。

目的

本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、その目的は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物およびその作出方法、並びに、同モデル動物を利用してこれら疾患の原因物質を同定する方法などを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害の症状を呈する患者から採取した血液中血漿成分あるいは尿中の成分を投与することにより、レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害のモデル動物作出する方法。

請求項2

腹腔内に血漿成分あるいは尿中の成分を投与する、請求項1記載のモデル動物作出方法

請求項3

請求項1又は2記載の方法により作出された、レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害のモデル動物。

請求項4

マウスである、請求項3記載のモデル動物。

請求項5

請求項3又は4記載のモデル動物を利用して、レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害の原因物質を同定する方法。

請求項6

請求項3又は4記載のモデル動物を利用して、あるいは当該モデル動物を利用して同定された原因物質を標的として、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の診断法または治療法を開発する方法。

技術分野

0001

本発明は、レストレスレッグス症候群周期性四肢運動障害モデル動物およびその作出方法、並びに、同モデル動物を利用してこれら疾患の原因物質を同定する方法などに関するものである。

背景技術

0002

レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome(略称RLS)。「むずむず脚症候群」とも呼ばれる。)は、一般の数%の人が罹患している頻度の高い疾患である。具体的な症状としては、足を動かしたいという強い衝動に駆られ、しばしば足がむずむずする、虫がはう様な等と表現される感覚を伴う、じっとしている時に特に起こり、足を動かすと症状が若干緩和される、夕方から夜にかけて特に横になると悪化し、睡眠障害を伴う、といった諸症状を挙げることができる。原因不明であり、患者の63−92%に家族歴が認められるという報告がある。カフェイン抗うつ剤増悪することが多いともいわれている。

0003

また、レストレスレッグス症候群の80−90%が周期性四肢運動障害を併発している。レストレスレッグス症候群は、上述のように夜間の入時に脚のむずむずした違和感があってそのために入眠困難を来す睡眠異常の症状を呈するが、他方、周期性四肢運動障害の症状は、睡眠中に5−90秒周期四肢運動を繰り返し、しばらくその運動が続いたり、止まったりするというものである。レストレスレッグス症候群と周期性四肢運動障害とは合併して起こる割合が高いことから、これら二つの疾患は単一の原因で起こっている可能性が高い。

0004

レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害は、腎不全患者妊婦に特に多く、腎不全透析患者の1/3以上にレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状が認められる(腎不全患者におけるレストレスレッグス症候群の研究結果について、下記の非特許文献1参照。)

0005

岡 靖哲・小池茂文・山本勝徳・角谷・井上雄一「腎不全透析患者におけるRestless Legs症候群の検討」不眠研究会第19回研究発表会プログラム抄録集32頁

発明が解決しようとする課題

0006

腎不全透析患者の多くが睡眠障害を訴えており、そのためにQOL(Quality of Life)が著しく障害されている。その主な原因が、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害である。したがって、このような腎不全患者のためにも、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の原因物質を早急に同定し、その客観的診断法および治療法を早期に開発する必要がある。そのためには、まずレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物を作出し、このモデル動物を利用して原因物質の同定および診断法・治療法の開発・評価を進めることが非常に有効である。

0007

また、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害は、頻度の高い睡眠障害であると共に、社会的に大きな問題となっているADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠陥多動性障害)等との関連が疑われている疾患でもある。レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物を作出することによって、このような関連疾患の診断法および治療法の開発・評価に利用できる可能性がある。

0008

本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、その目的は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物およびその作出方法、並びに、同モデル動物を利用してこれら疾患の原因物質を同定する方法などを提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、上述のようにレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害は腎不全患者と妊婦に特に多く認められることから、腎不全では腎臓からの排泄低下、妊娠中代謝産物の過剰生産により発症するとの仮説を立て、この仮説をもとに患者から採取した末梢血液の一部を実験動物投与したところ、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状を呈し、これらの疾患を非常に良く再現する疾患モデル動物の作出に成功し、本発明を完成させるに至った。

0010

即ち、本発明は、産業上および医療医学上有用な、下記A)〜F)の発明を包含するものである。
A)レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害の症状を呈する患者から採取した血液中血漿成分あるいは尿中の成分を投与することにより、レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害のモデル動物を作出する方法。
腎機能が正常なレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害患者の尿中にも、血漿成分中の原因物質と同じ物質またはその代謝物が含まれている可能性が非常に高い。したがって、患者の血漿成分のみならず、尿中の成分を投与した場合にも同様の症状を示すことができると考えられる。
B)腹腔内に血漿成分あるいは尿中の成分を投与する、上記A)記載のモデル動物作出方法。
C) 上記A)又B)記載の方法により作出された、レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害のモデル動物。
D)マウスである、上記C)記載のモデル動物。
E) 上記C)又はD)記載のモデル動物を利用して、レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害の原因物質を同定する方法。
F) 上記C)又はD)記載のモデル動物を利用して、あるいは当該モデル動物を利用して同定された原因物質を標的として、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の診断法または治療法を開発する方法。

発明の効果

0011

本発明のモデル動物は、はじめて得られたレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物であり、容易に作製できる上、このモデル動物を利用してこれら疾患の原因物質の同定および診断法・治療法の開発・評価を進めることが可能である。

0012

本発明の具体的な利用については後述するが、患者から採取した血液(または尿)成分中の原因物質の同定、候補物質が原因物質であることの確認、原因物質の除去による新たな治療法の開発、このような治療効果をもつ新たな透析機器の開発、試料中の原因物質の測定・定量化による新たな診断法・診断ツールの開発、候補物質の治療効果の確認、ADHD等の関連疾患の診断法および治療法の開発・評価、など広範囲に利用することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明に係るモデルマウス、その他実験に使用した各マウスの行動観察結果をまとめたグラフである。
本発明に係るモデルマウスの行動の様子を撮影し、その画像の一部を対照のマウスと比較して示す図である。
レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害をもつが、腎機能は正常な患者の血漿成分をマウスに投与した場合にも、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状を呈したことを示すグラフである。

発明を実施するための最良の形態

0014

以下、本発明の具体的態様等について更に詳しく説明する。
〔1〕本発明のモデル動物とその作製方法
本発明のモデル動物は、前述のように、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状を呈する患者から採取した血液中の血漿成分あるいは尿中の成分を投与することにより得られた、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物である。

0015

本発明者は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害が腎不全患者に多く、透析(特に長時間)にて改善する場合があることに着目し、腎臓から排泄されるべき物質の蓄積が原因であるとの仮説を立てた。そこで、患者から血液を採取し、これを実験動物に投与することにより、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状を再現できるのではないかと考えた。

0016

上記推論を確かめるため、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害に罹患していると判断された腎不全患者の末梢血液を採取し、その血漿成分をマウス腹腔内に投与したところ、これら疾患に特徴的な行動をとることが明らかになった。他方、この行動は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害を発症していない者の血漿を投与した場合には認められなかった。したがって、患者の末梢血液中にこれら疾患の原因物質が存在すること、並びに、その生理活性はマウス等の実験動物を用いて判定できることが明らかになった。

0017

このように、本発明のモデル動物は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状を呈し、はじめて得られたこれら疾患のモデル動物である。このモデル動物を利用することによって、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害およびその関連疾患の原因物質の同定を目指すことがはじめて可能になる。

0018

以下、本発明のモデル動物の作製方法についてさらに詳しく説明する。
(1)血漿成分の調製方法
まず、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状を呈する1人又は複数人の患者から末梢血液を採血する。採血方法は特に限定されるものではなく、たとえば後述の実施例に示すように、抗凝固剤の入った採血管を使用して採血する方法が挙げられる。採血後、遠心分離などによって分画し、赤血球白血球といった細胞成分を取り除く。得られた血漿成分は、使用時までフリーザーなどに凍結保存しておく。なお、分画の程度は厳密なものでなくてもよく、血漿成分中に血小板などの細胞成分が含まれていてもよい。

0019

(2)投与量と投与方法
対象動物に投与する血漿成分の量は、使用する実験動物の種類、その体重・大きさ、投与方法、発症に必要な量および過剰投与することによる他の不所望の影響などの諸要素を考慮して決定するとよい。たとえば、実験動物に成体マウスを使用する場合は、投与量0.1−2.0mL程度が目安となる。

0020

投与方法としては、腹腔内投与のほか、静脈内投与筋肉内投与皮下投与などの非経口投与による投与方法が好ましい。また、投与量を多くする場合などは、複数回に分けて投与してもよい。

0021

患者からの尿を投与する場合には、必要に応じて分画した上、濃縮することが好ましい。濃縮は、濃縮カラム遠心式限外ろ過ゲルろ過クロマトグラフィー溶媒吸収濃縮、遠心濃縮機などによって行うことができる。また、尿の投与量および投与方法は、血漿成分の場合と同様に行うことができる。

0022

(3)対象動物
モデル動物の対象となる動物種は、実験動物として利用可能なものであれば特に限定されるものではなく、たとえば、ウシブタヒツジヤギウサギイヌネコモルモットハムスター、マウス、ラットなどの哺乳動物を挙げることができる。これらのうち、実験動物として入手容易でよく使用されるマウス、ラットなどの齧歯目は好ましい動物種である。後述の実施例では、マウスの腹腔内に患者から採取した血液中の血漿成分を投与することにより、本発明のモデルマウスを作製した。

0023

(4)原因物質の同定方法
本発明のモデル動物は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の原因物質の同定に利用することができる。

0024

たとえば、患者から採取した血液を様々な方法で分画してこれらを実験動物に投与し、発症の有無、症状の程度などを比較検討することによって原因物質の含まれている画分、さらには原因物質を同定することができる。また、このような方法(あるいは他の方法)により得られた、原因物質と目される物質を実験動物に投与し、発症の有無、症状の程度などを観察することによって原因物質を更に詳しく解析することができる。本発明のモデル動物は、このような研究解析において対照動物として利用することができる。また、本発明のモデル動物の血液中などにおける候補原因物質の含有量を対照動物と比較検討することによって、原因物質の同定に利用することができる。

0025

ここで、原因物質の同定方法の一例について説明すると、患者の血漿成分(または尿中成分)を、遠心限外ろ過ユニットあるいはゲルろ過を用いた分子量による分画、逆相カラムクロマトグラフィー疎水性クロマトグラフィーによる疎水性による分画、イオン交換クロマトグラフィー等電点クロマトグラフィーによる荷電による分画、アフィニティークロマトグラフィーによる親和性による分画等により分画する。その後、どの分画に原因物質があるのかをマウス等の実験動物を用いて確認する。そして、健常者由来患者由来活性分画について、一次元あるいは二次元電気泳動を行い、量(濃度)の差のあるバンドあるいはスポット(二次元電気泳動の際)について、質量分析を行って原因物質を同定する方法が考えられる。

0026

レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の原因物質が同定されれば、これら疾患の診断法および治療法の開発に利用できる。

0027

たとえば、腎不全透析患者の多くにレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状が認められるが、人工透析時に同時に原因物質を除去することで大きな治療効果が期待できる。本発明は、このような治療効果をもつ新たな透析機器の開発に利用することができる。もちろん、治療薬開発の段階で本発明のモデル動物を利用することが可能であり、たとえば候補物質を本発明のモデル動物に投与し、症状改善の有無を調べることによってその治療効果を評価する場合などに利用できる。

0028

診断法の開発として、たとえば、被験者の血液中などにおける原因物質の量を測定し定量化するキットを開発すれば、これら疾患の新たな客観的診断法を提供することができる。従来、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の診断は、主観的症状による診断であり、客観的診断法の開発が望まれていたが、本発明は、このような客観的診断法の開発・評価、新たな診断ツールの開発・評価に利用できる。

0029

また、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害は、学校教育の場などで社会的に大きな問題となっているADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠陥多動性障害)等との関連が疑われている疾患でもある。レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物を作出し、その原因物質を同定することによって、このような関連疾患の診断法および治療法の開発・評価に利用できる可能性がある。

0030

〔2〕本発明のモデル動物の作製例(実施例)
以下、本発明のモデル動物として、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害モデルマウスを作製した実施例について説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。

0031

〔モデルマウス作製の具体的実験手順
まず、腎不全透析患者であって、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状を示し、「RLS+」と判断された患者の末梢血液を採取した。具体的には、抗凝固剤として3.8%クエン酸ナトリウム緩衝液の入った4.5ml用採血管を使用して、患者から採血した。また、コントロールとして、健常者、および、腎不全透析患者であって、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状を示さない「RLS−」の患者からも採血を行った。

0032

採血後、採血管を直ぐに上に運び、3,500回転/分×10分間の遠心分離を行った後、その上澄み(血漿成分)を他の容器分注して凍結保存した。凍結保存には、−80℃フリーザー、又はドライアイスを使用した。

0033

そして、一旦凍結保存された上記血漿成分を解凍し、これをそのまま、あるいは、さらに分画後その上澄みをマウスの腹腔内(IP)に投与した。分画方法としては、遠心限外ろ過ユニットあるいはゲルろ過を用いた分子量による分画、逆相カラムクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーによる疎水性による分画、イオン交換クロマトグラフィー・等電点クロマトグラフィーによる荷電による分画、アフィニティークロマトグラフィーによる親和性による分画等を挙げることができる。血漿成分は、(1)透析患者で「RLS+」と判断された患者からの血漿成分、(2)透析患者で「RLS−」と判断された患者からの血漿成分、(3)健常者からの血漿成分、のいずれかをマウスに投与した。血漿成分の投与量は、0.1〜2.0mLである。さらにコントロールとして、別のマウス群には、生理食塩水生食)あるいは緩衝液(Buffer)を腹腔内投与した。腹腔内投与は、エーテルあるいはバルビツレートによる麻酔下に行った。

0034

また、このようにマウスの腹腔内に血漿成分などを投与する前よりビデオにてマウスの行動の様子を撮影し、投与後も引き続き約1時間程度にわたってマウスの行動の様子を撮影した。そして、得られた映像をもとに、各マウスにおいて腹腔内投与から10−20分後の10分間に下肢過伸展した回数カウントした。

0035

〔モデルマウスの行動観察結果〕
図1は、各マウスの行動観察結果をまとめたグラフであり、縦軸は上記10分間に下肢が過伸展した回数、グラフ中の丸・四角記号は各マウス個体の結果を示す。同図に示すように、生理食塩水(生食)あるいは緩衝液(Buffer)を投与したマウスでは、観察中に下肢を過伸展することはなく、行動の変化は認められなかった。また、健常者の血漿成分を投与したマウス、および、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のない(RLS−)透析患者の血漿成分を投与したマウスにおいても、行動の変化は殆ど認められなかった。

0036

これに対して、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害をもつ(RLS+)透析患者の血漿成分を投与したマウスでは、下肢を過伸展させる回数が顕著に多くなり、行動の変化が著名に認められた。

0037

また、(RLS+)透析患者の血漿成分からアルブミンを除去したサンプルも投与したが、この場合にもマウス下肢を過伸展させる活性が認められた(図中「Alb除去後」参照)。

0038

図2は、上記(RLS+)透析患者の血漿成分を投与したマウスの行動の様子を撮影し、その画像の一部を図中右側に示すと共に、対照のマウス(健常者の血漿成分を投与したマウス)を撮影した画像を図中左側に比較して示したものである。(RLS+)患者の血漿成分を投与したマウスでは、じっとうずくまる、背筋を伸ばし下肢を過伸展させる、ピクピクという動きを示す、といった行動・動作が認められ、これらの行動・動作は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の症状と非常に近似するものであった。したがって、当該マウスは、これら疾患のモデルマウスとして利用できるものである。

0039

さらに、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害であるが、腎機能は正常な患者の血漿成分をマウスに投与した場合についても検討した。その結果を図3に示す。

0040

図3のグラフ中、菱型・四角の記号は各マウス個体の結果であり、菱型の記号は腎機能が正常な健常者(RLSなし)、四角の記号はレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害であるが、腎機能は正常な患者(RLSあり)、の血漿成分をそれぞれマウスに腹腔内投与した結果である。グラフの横軸は睡眠中の周期性四肢運動の回数(回数/睡眠時間)、縦軸は図1と同様に10分間に下肢が過伸展した回数、を示す。

0041

図3に示すように、腎機能が正常なレストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害患者の血漿成分をマウスに投与した場合にも、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害の特徴的な行動が観察された。さらに、同一症例において、採血時期、実験日時にかかわらず、高い再現性が認められた(実験数はn=6である)。これらの結果は、腎機能が正常なレストレスレッグス症候群/周期性四肢運動障害患者の血漿内にも原因物質が存在することを示すものである。

0042

今回の実験結果では、レストレスレッグ症候群/周期性四肢運動障害患者のうち、腎不全患者の血漿成分よりも腎機能が正常な患者の血漿成分を投与したほうが、マウスの特徴的な行動は強く現われた。このようにして作出した疾患モデルマウスは、レストレスレッグス症候群患者の大部分を占める、周期性四肢運動障害を伴う症例の診断法および治療法の開発に有用である。

0043

以上のように、本発明は、レストレスレッグス症候群・周期性四肢運動障害のモデル動物に関するものであり、これら疾患の原因物質の同定および診断・治療法の開発・評価に利用できるほか、前述したとおり、産業上種々の有用性を有するものである。

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