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技術 表面改質アルミニウム缶及びその製造方法

出願人 麒麟麦酒株式会社
発明者 白倉昌山崎照之吉村憲保
出願日 2003年5月27日 (16年5ヶ月経過) 出願番号 2004-509548
公開日 2005年9月29日 (14年1ヶ月経過) 公開番号 WO2003-101844
状態 特許登録済
技術分野 二以上の構成要素からなる剛性容器 剛性または準剛性容器の細部 物理蒸着 CVD
主要キーワード 耐変形強度 リン化処理 耐穿孔性 マグネシウム添加量 ピンホール発生率 元素含有比 最外表層 硬質被膜形成
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課題・解決手段

本発明は、肉厚の薄いアルミニウム材からなるアルミニウム缶固有の問題であるピンホール発生率を低減させることを目的とする。このとき、現存缶製造設備をほとんど変更することなく、DI加工にも全く影響を及ばさずに表面改質アルミニウム缶を製造することを目的とする。本発明の表面改質アルミニウム缶は、2ピースアルミニウム缶の胴部のアルミニウム材肉厚が65〜200μmで、前記胴部の外表層のほぼ全面が窒素炭素酸素ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を1〜50atom%含有する表面硬化層であることを特徴とする。

概要

背景

概要

本発明は、肉厚の薄いアルミニウム材からなるアルミニウム缶固有の問題であるピンホール発生率を低減させることを目的とする。このとき、現存缶製造設備をほとんど変更することなく、DI加工にも全く影響を及ばさずに表面改質アルミニウム缶を製造することを目的とする。本発明の表面改質アルミニウム缶は、2ピースアルミニウム缶の胴部のアルミニウム材肉厚が65〜200μmで、前記胴部の外表層のほぼ全面が窒素炭素酸素ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を1〜50atom%含有する表面硬化層であることを特徴とする。

目的

本発明は、肉厚の薄いアルミニウム材からなるアルミニウム缶の固有の問題であるピンホール発生を防止するために、ピンホールが発生しやすい缶胴部の外表層のほぼ全面を表面硬化層にするか或いは缶胴部の外表面のほぼ全面に硬質被膜を形成することで、ピンホール発生率を低減させることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

ピースアルミニウム缶胴部アルミニウム材肉厚が65〜200μmで、前記胴部の外表層のほぼ全面が窒素炭素酸素ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を1〜50atom%含有する表面硬化層であることを特徴とする表面改質アルミニウム缶。

請求項2

2ピースアルミニウム缶の胴部のアルミニウム材肉厚が65〜200μmで、前記胴部の外表面のほぼ全面に硬質被膜を形成したことを特徴とする表面改質アルミニウム缶。

請求項3

前記表面硬化層又は前記硬質被膜は、0.1〜30μmの厚さに形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の表面改質アルミニウム缶。

請求項4

前記表面硬化層は、前記胴部の外表面からアルミニウム材内部に向かって、請求項1記載の元素の元素含有比率が低くなる傾斜組成に形成させたことを特徴とする請求項1又は3記載の表面改質アルミニウム缶。

請求項5

2ピースアルミニウム缶の製造方法において、アルミニウム平板から底付缶胴成形して該底付缶胴を洗浄した後、前記底付缶胴を該底付缶胴の中心軸で回転させながら、窒素、炭素、酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を含有するプラズマ化した原料ガスにて、前記胴部の外表層のほぼ全面を前記各元素のうち少なくとも1種類を1〜50atom%含有する表面硬化層に形成することを特徴とする表面改質アルミニウム缶の製造方法。

請求項6

請求項5において、前記底付缶胴を洗浄した後、前記底付缶胴を真空槽投入して、前記プラズマ化した原料ガスにて、前記胴部の外表層のほぼ全面を減圧下で前記表面硬化層に形成することを特徴とする請求項5記載の表面改質アルミニウム缶の製造方法。

請求項7

2ピースアルミニウム缶の製造方法において、アルミニウム平板から底付缶胴を成形して該底付缶胴を洗浄した後、プラズマCVD化学的気相成長法)若しくはPVD(物理的気相成長法)により、前記底付缶胴の胴部外表面のほぼ全面に硬質被膜を形成することを特徴とする表面改質アルミニウム缶の製造方法。

技術分野
本発明は、耐穿孔性に優れた表面処理アルミニウム及びその製造方法に関する。
背景技術
アルミニウム缶胴部板厚の増加なしに強度向上させる従来技術として以下の2種類がある。
(1)缶胴部の形状の工夫:缶胴を垂直方向多面体として耐変形強度の増加を図る。また、缶胴に凹凸模様ダイアカット等)やビード円周上にグルーブ加工を施し、耐変形性の向上を図る。
(2)缶を異種材料被覆する方法:アルミ材プラスチックフィルムラミネートしてから缶に加工する(タルク缶技術)。また、缶にフィルム等を被覆する(シュリンクラベル)。
以上の従来技術は、いずれも缶材料そのものを強度向上させるものではなく、その強度向上効果副次的で微小なものにとどまっている。特に耐穿孔性(耐ピンホール性)向上に効果的な表面硬度の増加は望めないものであった。
一方、缶材料そのものの剛性硬度を増加させることは、アルミ合金組成変更(マグネシウム添加量を増加させる等)で可能であるが、このような合金はDI(DRAW AND WALLIRONING、絞りしごき)加工が困難となるため缶材として使用不可能であった。
発明の開示
アルミニウム缶、特に飲料用アルミニウム缶コストダウンのための軽量化が進んでおり、DI加工により缶胴部の肉厚は、100ミクロン程度になっている。これにともないアルミニウム缶入り飲料が消費されるまでの過程で、鋭利突起を有する物体と接触した場合にピンホールと呼ばれる小孔を缶胴部に生じる事故発生頻度の上昇が生じている。ピンホールの生成は内容物が漏れることにより商品価値がなくなる重大欠陥であるため、缶胴部の強度を上げて孔の発生を低減することが求められている。
缶胴部強度向上の課題として、(1)肉厚は薄いままとして材料コストの増加がないようにすること、(2)材料コストより相当に低い処理コストで済むものであること、(3)リサイクルシステム観点からアルミニウム材料を使用すること、(4)強度向上がピンホール低減(耐突き刺し強度向上)に結びつくものであること、が挙げられる。
本発明は、肉厚の薄いアルミニウム材からなるアルミニウム缶の固有の問題であるピンホール発生を防止するために、ピンホールが発生しやすい缶胴部の外表層のほぼ全面を表面硬化層にするか或いは缶胴部の外表面のほぼ全面に硬質被膜を形成することで、ピンホール発生率を低減させることを目的とする。
従来、金属製品表面を表面硬化させる方法として、熱拡散表面処理法(数百度以上の高温下で炭化水素等を接触維持して表面層炭素量を増加させる浸炭処理、同様にアンモニアガス中で窒素化する方法)、イオン窒化法低圧下で窒素−水素混合ガスグロー放電させ表面層を窒素化する方法)が行われている。これらは金属部品耐磨耗性向上を目的としており、高温(数百度)で数時間の処理を要するものであった(表面硬化層は、数10ミクロン以上)。
一方最近は、イオン注入技術(イオン加速して真空低温化で金属に固溶させる)による表面硬化も試みられるようになってきている。
本発明は、これら表面処理技術を缶胴表面に応用し、低温・高速経済的に表面硬度を増加させて耐穿孔性を向上させることを課題としている。
ここで、表面硬化層若しくは硬質被膜を形成する場合には、缶胴部の肉厚が65〜200μmと薄くするために、表面硬化層若しくは硬質被膜の厚さをどのぐらいに形成するかが課題となる。
さらに本発明では、表面硬化層をいわゆる傾斜組成層とすることで、基材であるアルミニウムと表面硬化層との密着性の向上と缶胴部の外表面の硬化を同時に満たすことを目的としている。
また、本発明の目的は、2ピースアルミニウム缶の製造工程において、缶成形後に缶胴部の表面硬度を増加させる目的で表面硬化層を形成することによりピンホール発生率を低減させたアルミニウム缶を製造することを課題とする。このとき、現存缶製造設備をほとんど変更することなく、DI加工にも全く影響を及ばさずに表面硬化層を形成することが重要である。缶製造設備やDI加工に影響を及ぼすと甚大なコスト上昇をもたらすからである。
ここで、本発明では、常圧プラズマ若しくは減圧プラズマにより原料ガスプラズマ化して表面硬化層を形成することを課題としている。
本発明の目的は、2ピースアルミニウム缶の製造工程において、缶成形後に缶胴部の表面硬度を増加させる目的でプラズマCVD化学的気相成長法)若しくはPVD(物理的気相成長法)により、底付缶胴の胴部に硬質被膜を形成することによりピンホール発生率を低減させたアルミニウム缶を製造することを課題とする。表面硬化層の形成と同じく現存の缶製造設備をほとんど変更することなく、DI加工にも全く影響を及ばさずに表面硬化層を形成することを課題とする。
本発明の表面改質アルミニウム缶は、2ピースアルミニウム缶の胴部のアルミニウム材肉厚が65〜200μmで、前記胴部の外表層のほぼ全面が窒素、炭素、酸素ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を1〜50atom%含有する表面硬化層であることを特徴とする。
請求項1記載の表面改質アルミニウム缶は、2ピースアルミニウム缶の胴部のアルミニウム材肉厚が65〜200μmで、前記胴部の外表面のほぼ全面に硬質被膜を形成することが好ましい。
請求項1又は2記載の表面改質アルミニウム缶では、前記表面硬化層又は前記硬質被膜は、0.1〜30μmの厚さに形成することが好ましい。
請求項1又は3記載の表面改質アルミニウム缶では、前記表面硬化層は、前記胴部の外表面からアルミニウム材内部に向かって、請求項1記載の元素の元素含有比率が低くなる傾斜組成に形成することが好ましい。
本発明に係る表面改質アルミニウム缶の製造方法は、2ピースアルミニウム缶の製造方法において、アルミニウム平板から底付缶胴を成形して該底付缶胴を洗浄した後、前記底付缶胴を該底付缶胴の中心軸で回転させながら、窒素、炭素、酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を含有するプラズマ化した原料ガスにて、前記胴部の外表層のほぼ全面を前記各元素のうち少なくとも1種類を1〜50atom%含有する表面硬化層に形成することを特徴とする。
請求項5において、前記底付缶胴を洗浄した後、前記底付缶胴を真空槽投入して、前記プラズマ化した原料ガスにて、前記胴部の外表層のほぼ全面を減圧下で前記表面硬化層に形成することが好ましい。
本発明に係る表面改質アルミニウム缶の製造方法は、2ピースアルミニウム缶の製造方法において、アルミニウム平板から底付缶胴を成形して該底付缶胴を洗浄した後、プラズマCVD(化学的気相成長法)若しくはPVD(物理的気相成長法)により、前記底付缶胴の胴部外表面のほぼ全面に硬質被膜を形成することを特徴とする。
本発明のアルミニウム缶は、ピンホールが発生しやすい缶胴部の外表層のほぼ全面に表面硬化層か或いは硬質被膜を形成したので、肉厚の薄いアルミニウム材からなるアルミニウム缶の固有の問題であるピンホール発生率を低減させることができた。ここで、本発明は、低温・高速で経済的に表面硬度を増加させて耐穿孔性を向上させたものである。ここで、表面硬化層若しくは硬質被膜の厚みを規定することにより、缶胴部の肉厚が65〜200μmと薄くても強度及び密着性を確保しつつ上記生産上の経済性を満たしている。さらに本発明では、表面硬化層を傾斜組成層とすることで、基材であるアルミニウムと表面硬化層との密着性と缶胴部の外表面の硬化を同時に満たしている。
本発明のアルミニウム表面改質缶は、表面硬化層又は硬質被膜を形成したので耐穿孔性を向上させることができるが、これに伴い、所定の耐穿孔性を得るために厚くしていた胴部のアルミニウム材肉厚を、表面硬化層又は硬質被膜を形成しない場合と比較して、低減することが可能である。このアルミニウム材の肉厚低減により、表面硬化層又は硬質被膜を形成するためのコスト増を吸収することができる。
また、本発明の製造方法は、イオン注入技術、拡散浸透技術、常圧プラズマ若しくは減圧プラズマの技術、或いはCVD若しくはPVDを駆使して、上記の表面改質したアルミニウム缶を現存の缶製造設備をほとんど変更することなく、DI加工にも全く影響を及ばさずに表面硬化層を形成することができた。
発明を実施するための最良の形態
[実施例]
(表面硬化層を有するアルミニウム缶)
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
本発明の表面改質アルミニウム缶の一形態は、2ピースアルミニウム缶の胴部のアルミニウム材肉厚が65〜200μmで、胴部の外表層のほぼ全面が窒素、炭素、酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を1〜50atom%含有する表面硬化層であることを特徴とする。
缶、特に飲料用缶は、材質によりアルミニウム缶とスチール缶の二つに大別される。本発明において缶をアルミニウム缶に限定したのは、アルミニウム缶についてピンホール発生による事故が頻繁に発生するからである。アルミニウム缶はスチール缶よりも缶胴部の耐穿孔性が小さいため、強度向上が求められる。
また、缶は2ピース缶と3ピース缶に大別される。3ピース缶とは缶胴及び天地蓋部分の計3片よりなる缶体である。これに対して2ピース缶とは底部のついた缶胴体と開口部を備えた蓋部の2片からなる缶体で、平板からの抜抜加工、深絞り加工及びしごき加工などの組み合わせ加工によって底付缶胴を形成するものである。一般的に3ピース缶の胴部は2ピース缶の胴部の材肉厚よりもかなり厚い平板を円筒状に湾曲させて形成する。したがって、アルミニウム製3ピース缶は存在するものの、胴部の材肉厚が厚いために2ピース缶ほど耐穿孔性を要求されない。したがって、本発明では耐穿孔性が強く求められている2ピースアルミニウム缶について缶胴外表面の表面強度の向上を試みるものである。
胴部のアルミニウム材肉厚を65〜200μmとしたのは、65μm未満ではアルミニウム缶自体の強度が弱くなるため、実用性のあるアルミニウム缶を製造できないからである。一方、200μmを超えると缶胴のアルミニウム材自体の強度が確保されるため、表面処理をほどこさなくてもピンホール問題が少なくなるからである。
ここで、胴部のアルミニウム材肉厚は、容量と深い関係にある。例えば、飲料用缶であれば、胴部のアルミニウム材肉厚を350ml缶や500ml缶では65〜110μm、1リットル缶では120〜155μm、1.5リットル缶では140〜180μm、2リットル缶では150〜190μm、3リットル缶では160〜200μmにすることが好ましい。上記以外の容量においては、容器容量に対してこれらの肉厚値を外挿して適宜求めることができる。
缶胴の厚さは、通常90〜120ミクロンの範囲にあり、缶の耐穿孔性を向上せしめるためには缶胴の表面硬度をもとの硬度の2倍以上、望ましくは4倍以上が必要である。すなわち、マイクロビッカース硬度Hv30〜60(未処理)をHv60〜120、好ましくはHv120〜240とすることが望ましい。
胴部の外表層のほぼ全面を表面硬化層にしたのは、この部位においてピンホールが発生しやすいからである。2ピース缶の蓋部は、通常、蓋材の肉厚が胴材の肉厚よりも大きい上にアルミニウムに硬化剤としてマグネシウム元素が添加されているため、蓋部でピンホール事故が起こることはまれである。一方、缶底は耐圧のために缶内面に向けて凹部形状となっている。従ってピンホール発生の原因となる鋭部の突き当たりの可能性が少ないため、底部でピンホール事故が起こることはまれである。さらに、ピンホール発生の原因となるのは外部からの衝撃であるので、缶胴の外表面を硬化する必要があるため、胴部の外表層のほぼ全面を表面硬化層とするわけである。
ここで、本発明でいう表面硬化層とは、イオン注入硬化層拡散硬化層の二つに分類される。
イオン注入硬化層は、プラズマ法で形成し、例えばグロー放電等により発生したイオンをイオン加速器で加速して真空、低温下で金属に固溶させることで形成する。例えば窒素ガス水素ガスをグロー放電により生じたグロー中に導入すると、N+、NH+等の正イオンが生じる。このイオンが缶胴外表面のアルミニウム材に衝突するとアルミニウム材の表面がイオン窒化プラズマ窒化)され、窒化アルミニウムが缶胴の外表層に形成される。このとき、アルミニウムが全て窒化アルミニウムへ反応しない場合でも表面が硬化される。また、メタンプロパンを水素ガスやアルゴンガスキャリアガスとしてグロー中に導入すると、プラズマ浸炭によりアルミニウム材の表面が炭化され、炭化アルミニウムが缶胴の外表層に形成される。これにより、アルミニウムが全て炭化アルミニウムへ反応しない場合でも表面が硬化される。イオン窒素やプラズマ浸炭の他に酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素を注入することが可能であり、また、これら元素を複数、イオン注入することも可能である。
一方、拡散硬化層は、拡散浸透処理によって形成する。拡散浸透処理とは、拡散元素によって定まる所定温度以上で被処理物体と拡散元素を含んだ処理剤を接触させ、一定時間処理するものである。拡散元素の濃度差により、高濃度側から低濃度側に拡散する。拡散浸透処理には、拡散元素によって、浸炭処理、窒化処理浸炭窒化軟窒化)処理、酸化処理酸窒化処理、酸炭窒化処理硼化処理水素化処理又はリン化処理がある。缶胴部の外表面において、アルミニウム材に対してこれらの拡散処理を施すことで、窒素、炭素、酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を含有した拡散硬化層を缶胴部の外表層に形成する。また、処理剤の形態から固体法、液体法及び気体法に大別される。なお、気体法において、グロー中にこの気体を導入するとグロー中の電位差によりイオン化イオン加速がされるので前述のプラズマ法と同義となる。
表面硬化層は、PVDと同じ原理により、ジルコニウムチタン等を金属イオン源として缶胴を負電圧とすることにより、金属イオンをアルミニウムに打ち込み、所定のイオンを缶胴アルミ合金に固溶させてもよい。
さらに本発明では、表面硬化層は、胴部の外表面からアルミニウム材内部に向かって、上記元素の元素含有比率が低くなる傾斜組成に形成させることが好ましい。表面に近いほど硬度が高くなり且つ傾斜組成としたことで表面硬化層の密着が強くなり、剥れにくくなる。なお、表面硬化層は、イオン注入又は拡散浸透による製法原理から傾斜組成になりやすい。
本発明では、低温・高速で表面硬化層を形成することが好ましいため、プラズマ法により窒素、炭素、酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類をイオン注入ないしは拡散浸透させることが好ましい。このような表面硬化層は、表面層のアルミ結晶格子欠陥部分充填又は表面層のアルミ結晶粒中に存在する転位の移動をこれらの元素の存在が障害となって妨害することでアルミ結晶のすべり変形性をなくして硬度をあげるために形成する。またさらに硬度を上げるには、アルミ結晶から、窒化アルミ結晶、炭化アルミ結晶又は酸化アルミ結晶を所定厚さで形成させることが効果的である。
ところで、アルミニウム缶の底付胴部を形成するに際して使用するアルミニウム板は、腐食防止のためにマンガン元素が添加されている。このマンガンと含有させる窒素、炭素、酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素との間で反応を起こさせて、表面硬化層として窒化マンガン、炭化マンガン等の化合物を形成させてもよい。
表面硬化層として、窒素、炭素、酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を1〜50atom%含有させるのは、1atom%未満では表面硬化の効果が充分でなく、50atom%を超えると、胴部が脆くなるからである。
たとえば窒素化の場合は、最外表層において窒素原子含量が1%以上望ましくは5%以上が必要となる。
また表面硬化層の厚さは、硬度によるが0.1〜30μmの厚さに形成することが好ましい。望ましくは4〜10μmが硬度向上効果を得るに必要である。0.1μm未満では充分な表面強度を得ることができず、30μmを超えると缶がもろくなる。
(表面硬化層を有するアルミニウム缶の製造方法)
次に2ピースアルミニウム缶の製造方法において、表面硬化層を形成するときの表面改質アルミニウム缶の製造方法を説明する。まず、アルミニウム平板から底付缶胴を成形して底付缶胴を洗浄する。底付缶胴の成形時に、油等が缶の外表面に付着するので脱脂を行なう。洗浄工程としては、例えば温水で洗い(プリンス工程)、硫酸活性剤を含む無機酸系洗浄剤を60〜80℃にして洗い(プレウオッシュ工程)、再度、硫酸・活性剤を含む無機酸系洗浄剤を60〜80℃にして洗い(ウオッシュ工程)、最後に水道水水洗いを行なう。
次に、底付缶胴を底付缶胴の中心軸で回転させながら、窒素、炭素、酸素、ホウ素、水素又はリンの各元素のうち少なくとも1種類を含有するプラズマ化した原料ガスを胴部の外表層のほぼ全面に接触させる。常圧プラズマ法により、グロー中に原料ガスを投入しても良いし、原料ガスをプラズマ化してから吹き付けても良い。例えば図1に示すように、缶胴を缶円筒軸を中心に回転させるとともに、缶胴に接するように設けた高周波電源10とプラズマ発生手段1によりプラズマを発生させ、水素−窒素系ガスをプラズマ化させる。缶胴4は正負電圧調整手段3により負電圧として、缶胴とプラズマ発生手段との間で電位差を発生させて、イオン化したN+やNH+をスパッタリング効果により缶胴部の外表面のほぼ全面に衝突させる。このイオン衝撃により胴部のアルミニウム材内部に窒素元素が注入され、表面硬化層が形成される。なお、イオンの電荷を調整するためにグロー放電が発生しない程度の強度でプラズマをかけても良い。このとき、注入された窒素は、アルミニウム結晶粒中の転位移動の防止を図る。或いはアルミニウム表面はイオン窒化され、窒化アルミニウムがアルミニウム結晶粒中の転位移動の防止を図る。この現象により、胴部の外表層のほぼ全面が硬化される。イオンの加速は、イオン加速器で行なっても良い。その後、缶の印刷工程、ネックインフランジ加工、検缶を経てアルミニウム缶を製造する。
また、図2に示すように、大気圧プラズマ発生手段、プラズマ発生手段、イオン加速手段若しくはマイクロ波発生手段と、平行平板電極を有する原料ガスプラズマ化手段とを一体化したプラズマ原料ガス供給手段9を使用して、平行平板電極間に原料ガスを供給して原料ガスをプラズマ化し、プラズマ原料ガス供給手段9に設けたプラズマジェット出口11から缶円筒軸を中心に回転する底付缶胴4の胴部全体にわたってプラズマ化した原料ガスを吹き付けても良い。この場合においても、缶胴とプラズマ原料ガス供給手段9との電位差により、スパッタリング効果が得られる。
上記の工程を経ることで、図3に示した如く、缶胴4の外表面に表面硬化層13が形成される。この表面硬化層13は図4部分拡大図を示したように、缶胴4の表面から材内部に向かって窒素等の拡散元素が拡散している。そして、缶胴4の表面を最高元素濃度として、材内部に向かって元素濃度が小さくなるように傾斜組成とすることが好ましい。
この表面硬化層形成速度は、硬化の程度や層の厚さにより異なるが、経済的に層形成するためには、成膜時間を120秒以下、望ましくは30秒以下とすることが好ましい。
洗浄工程を経た後、底付缶胴を真空槽に投入して、プラズマ化した原料ガスにて、胴部の外表層のほぼ全面に減圧下で表面硬化層を形成しても良い。真空槽に投入することにより、減圧プラズマ法となり、低温における成膜速度上昇が可能である。
(硬質被膜を有するアルミニウム缶)
本発明の表面改質アルミニウム缶は、別形態として、2ピースアルミニウム缶の胴部のアルミニウム材肉厚が65〜200μmで、胴部の外表面のほぼ全面に硬質被膜を形成しても良い。ここで、胴部の外表面のほぼ全面に硬質被膜を形成するのであるが、缶材、材肉厚、被膜部位、硬度等の特性は、表面硬化層を形成する場合で説明した通りのことが同様に当てはまる。プラズマCVDにより成膜する場合には、原料ガスをプラズマ化させて、酸化チタン酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等を硬質被膜として缶胴表面に所定厚さに形成する。PVDにより成膜する場合には、ジルコニウム、チタン等を金属イオン源として缶胴を負電圧とすることにより、缶胴表面に硬質被膜を所定厚さに形成しても良い。
硬質被膜の厚さは、硬度によるが0.1〜30μmの厚さに形成することが好ましい。望ましくは1〜5μmが硬度向上効果を得るに必要である。0.1μm未満では充分な表面強度を得ることができず、30μmを超えると剥離の恐れがあるからである。
(硬質被膜を有するアルミニウム缶の製造方法)
次に2ピースアルミニウム缶の製造方法において、硬質被膜を形成するときの表面改質アルミニウム缶の製造方法を説明する。洗浄工程については上述の洗浄工程と同様である。洗浄後、缶胴外表面にプラズマCVDにより成膜する場合には、例えばチタンテトラ−iso−プロポキシド又はジルコニウムテトラ−t−ブトキシド等の金属アルコキシド塩化チタン塩化ジルコニウム又は塩化アルミニウム等の金属塩化物である原料ガスをプラズマ化させて、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等の硬質被膜を缶胴表面に所定厚さに形成する。なお、イオンの電荷を調整するためにグロー放電が発生しない程度の強度でプラズマをかけても良い。一方、PVDにより成膜する場合には、ジルコニウム、チタン等を金属イオン源として缶胴を負電圧とすることにより、缶胴表面に硬質被膜を所定厚さに形成しても良い。この硬質被膜形成に要する成膜時間は、膜厚等で異なるが経済的に膜形成するために、120秒以下、望ましくは30秒以下とすることが好ましい。その後、缶の印刷工程、ネックインフランジ加工、検缶を経てアルミニウム缶を製造する。
上記の工程を経ることで、図5に示した如く,缶胴4の外表面に硬質被膜12が形成される。
(PVD成膜法により形成した窒化アルミニウム膜による表面改質の検討)
硬質被膜として、窒化アルミニウム膜をPVD成膜法によりアルミニウム缶の缶胴表面に形成した。スパッタリングターゲット金属アルミニウムとし、窒素雰囲気中で成膜を行なった。サンプル▲1▼では窒化アルミニウム膜の膜厚を600nm、サンプル▲2▼では窒化アルミニウム膜の膜厚を1300nmとした。また被膜していないアルミニウム缶をコントロールとした。
サンプル圧子先端径が2.25mm(2.25R)の針状圧子を缶胴表面に対して垂直方向に圧入したときの突き刺し強度を測定した。評価はコントロールとの対比で行なった。測定機器は、オートグラフ島津製作所製、AG−10kND)を用いた。結果を図6に示した。
サンプル▲1▼では対コントロール向上比143%、サンプル▲2▼では対コントロール向上比149%であった。すなわち、突き刺し強度は硬質被膜を形成することで40〜50%向上し、耐穿孔性(耐ピンホール性)向上に効果的であった。
なお、サンプル▲1▼と▲2▼との比較によると、突き刺し強度の膜厚依存性はなかった。
本発明において、プラズマを発生させるためのエネルギー源としては、高周波電源若しくはマイクロ波電源が例示できる。
本発明では、硬質被膜を胴部外表面のアルミニウム材の上に直接成膜する方法を示したが、硬質被膜とアルミニウム材との剥離を防止するためにこれらの間に密着層を設けても良い。
なお、表面硬化層若しくは硬質被膜を形成した後、缶表面に潤滑性を付与する目的で、潤滑油膜を形成させても良い。
本発明の製造方法は、上記の通り洗浄工程後に表面硬化層若しくは硬質被膜を形成するので、現存の缶製造設備をほとんど変更することなく、DI加工にも全く影響を及ばさずに表面硬化層を形成することができる。
本発明は、アルミニウム缶の用途に限定されるものではないが、特に飲料用缶として適している。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の表面改質アルミニウム缶の表面処理を施す装置の一形態を示す概念図である。
図2は、本発明の表面改質アルミニウム缶の表面処理を施す装置の別形態を示す概念図である。
図3は、表面硬化層を形成した表面改質アルミニウム缶の底付缶胴の縦断面を示す概念図である。
図4は、図3におけるA−A’部分拡大図である。
図5は、硬質被膜を形成した表面改質アルミニウム缶の底付缶胴の縦断面を示す概念図である。
図6は、窒化アルミニウム膜を缶胴表面に形成したときの表面改質アルミニウム缶と未処理のアルミニウム缶との突き刺し強度の比較を表すグラフである。
符号の意味は次の通りである。1は大気圧プラズマ発生手段、プラズマ発生手段、イオン加速手段若しくはマイクロ波発生手段、2はプラズマ放電、3は正負電圧調整手段、4は底付缶胴、5は表面硬化層若しくは硬質被膜、6は原料発生源、7は原料供給手段、8は原料供給管、9はプラズマ原料ガス供給手段、10は高周波電源若しくはマイクロ波発生装置、11はプラズマジェット出口、12は硬質被膜、13は表面硬化層、である。

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