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課題・解決手段

サイクリンンEとアンドロゲン受容体との相互作用によりアンドロゲン受容体が活性化される新たな作用機序が見出された。この活性化は既存の抗アンドロゲン剤抵抗性であり、アンドロゲン受容体のリガンドに依存的な活性化と非依存的な活性化の両者が関与していた。本発明は、サイクリンEを用いた抗アンドロゲン剤のスクリーニング方法を提供する。上記の知見を基にして、新たな抗アンドロゲン剤のスクリーニングが可能となる。本発明の抗アンドロゲン剤は、既存の抗アンドロゲン剤に抵抗性となった病態に対しても有効に作用することが期待され、これまで限界があった抗アンドロゲン剤による疾患治療に新たな可能性を開くものである。

概要

背景

概要

サイクリンンEとアンドロゲン受容体との相互作用によりアンドロゲン受容体が活性化される新たな作用機序が見出された。この活性化は既存の抗アンドロゲン剤抵抗性であり、アンドロゲン受容体のリガンドに依存的な活性化と非依存的な活性化の両者が関与していた。本発明は、サイクリンEを用いた抗アンドロゲン剤のスクリーニング方法を提供する。上記の知見を基にして、新たな抗アンドロゲン剤のスクリーニングが可能となる。本発明の抗アンドロゲン剤は、既存の抗アンドロゲン剤に抵抗性となった病態に対しても有効に作用することが期待され、これまで限界があった抗アンドロゲン剤による疾患治療に新たな可能性を開くものである。

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請求項1

サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用阻害する化合物スクリーニング方法であって、(a)被検試料存在下、サイクリンEとアンドロゲン受容体とを接触させる工程(b)該サイクリンEと該アンドロゲン受容体との結合を検出する工程、および(c)被検試料非存在下で検出した場合(対照)と比較して、該結合を低下させる化合物を選択する工程、を含む方法。

請求項2

サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物のスクリーニング方法であって、(a)サイクリンEを発現するベクター、アンドロゲン受容体を発現するベクター、およびアンドロゲン受容体応答配列の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合されたベクターが導入された細胞に、被検試料を接触させる工程、(b)該細胞におけるレポーター活性を検出する工程、および(c)被検試料を接触させない場合と比較して、該レポーター活性を低下させる化合物を選択する工程、を含む方法。

請求項3

サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物若しくはその薬学上許容しうる塩またはそれらのプロドラッグ

請求項4

請求項1または2に記載の方法により単離しうる、請求項3に記載の化合物若しくはその薬学上許容しうる塩またはそれらのプロドラッグ。

請求項5

請求項3または4に記載の化合物若しくはその薬学上許容しうる塩またはそれらのプロドラッグを有効成分とする医薬組成物

請求項6

抗アンドロゲン剤である、請求項5に記載の医薬組成物。

請求項7

前立腺癌前立腺肥大症男性型脱毛症性的早熟尋常性座瘡脂漏症及び多毛症から選択される疾患の予防または治療のための、請求項5または6に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用阻害する化合物スクリーニング方法、並びに該スクリーニングにより単離し得る化合物およびその医薬用途に関する。

背景技術

0002

アンドロゲンは、前立腺肥大症男性型脱毛症性的早熟尋常性座瘡脂漏症及び多毛症と深く関わっていることが知られてきている。またアンドロゲンは、男性の癌による主要な死因の一つである前立腺癌発症と進行に重要な役割を果たしている(Parker,S.L.et al.,CA Cancer J.Clin.46,5−27(1996))。前立腺癌は、初期にはアンドロゲン感受性で、転移性疾患に対する標準的な治療法として広く用いられるアンドロゲン除去療法(W.J.Catalona,N.Engl.J.Med.331,996(1994))によく反応する。

0003

抗アンドロゲン剤、すなわちアンドロゲン受容体のアンタゴニストとしては、例えば、酢酸シプロテロン酢酸クロルマジノンフルタミドビカルタミドなどが用いられている。酢酸シプロテロンは、十代の人の座瘡の進行や禿頭の発生を抑制することが知られている。また、酢酸シプロテロンは、女性においては、男性化脱毛症治療に用いられている。フルタミド、ビカルタミドは、前立腺癌治療薬として使用されている。

0004

これらの抗アンドロゲン剤を用いたホルモン除去療法は、前立腺癌における薬物治療を始めとする多くの例で奏効し、有効な治療剤の一つとなっているが、問題点の一つとして、抗アンドロゲン剤が奏効しても2年から5年後にはほとんどの場合再発症してしまうこと、つまり抗アンドロゲン剤抵抗性になってしまうことが知られている。ホルモン除去療法に対するこの抵抗性の基礎となる分子メカニズムは未だほとんどわかっていない。

0005

アンドロゲンおよびエストロゲンは、それぞれ核受容体スーパーファミリーに属するアンドロゲン受容体およびエストロゲン受容体を通じて、それぞれホルモン応答性の前立腺癌および乳癌の増殖を調節する(Mangelsdorf,D.J.et al.,Cell 83,835−839(1995))。アンドロゲン受容体遺伝子の変異は、転移性ホルモン非依存性前立腺癌において報告されており(Taplin,M.−E.et al.,N.Engl.J.Med.332,1393−1398(1995))、これが、ホルモン環境に対するアンドロゲン受容体の反応の変化の原因となっている可能性がある。しかし、これは比較的まれな事象であって、ほとんどの前立腺腫瘍の内分秘療法に対する適応的変化を説明するための一般的な手がかりとはならない。SCIマウスに対して外科試料移入した最近の実験から、アンドロゲン非依存性転移性腫瘍が、異なる宿主においてホルモン反応性回復することができることが示されたが(Klein,K.A.et al.,Nat.Med.3,402−408(1997))、このことは、核におけるアンドロゲン受容体機能の制御には、アンドロゲン受容体そのものではなく、外因性細胞因子(群)が関与していることを示唆している。

0006

アンドロゲンの細胞分裂誘発シグナルは、最終的に細胞周期機構に対して影響を及ぼすと考えられている。細胞周期のG1からS期への進行の間に、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)群の一連協調した活性化が起こるが、それらの活性はサイクリンサブユニットによって正の調節を受け、Cdk阻害因子によって負の調節を受ける(Hartwell,L.H.& Kastan,M.B.,Science 266,1821−1828(1994);Sherr,C.J.,Science 274,1672−1677(1996);Hunter,T.& Pines,J.,Cell 79,573(1994))。エストロゲン(Prall,O.W.et al.,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.65,169−174(1998);Planas−Siva,M.D.& Weinberg,R.A.,Mol Cell.Biol.17,4059−4069(1997))およびアンドロゲン(Lu,S.et al.,Cancer Res.57,4511−4516(1997);Menjo,M.et al.,Oncogene 17,2619−2627(1998);Kokontis,J.M.et al.,Mol.Endocrinol.12,941−953(1998))は、サイクリンおよび/またはCdk阻害因子の発現を制御することによってCdk活性を調節し、それによってG1からS期への移行刺激する。さらに、ERがサイクリンD1に直接結合するという証拠が得られている(Zwijsen,R.M.L.et al.,Cell 88,405−415(1997);Neuman,E.et al.,Mol.Cell.Biol.17,5338−5347(1997))。乳癌ではサイクリンD1遺伝子の過剰発現増幅が頻繁に見られることを考慮すると(Buckley,M.F.et al.,Oncogene 8,2127−2133(1993);Keyomarsi,K.& Pardee,A.B.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,1112−1116(1993))、サイクリンD1は、乳房腫瘍におけるエストロゲン受容体のCdk非依存的活性化に何らかの役割を果たしていることが示唆される。しかし、アンドロゲン受容体が細胞周期機構の要素に直接結合するか否か、そしてこの相互作用が前立腺癌におけるアンドロゲン受容体の転写活性をどのように制御するかに関しては、ほとんど知られていない。

発明の開示

0007

本発明は、細胞周期機構の成分であるサイクリンEがアンドロゲン受容体に結合し、その転写活性を増強するという本発明者等により得られた知見に基づくものである。

0008

より詳しくは、本発明は、サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物をスクリーニングする方法を提供する。さらに、本発明は、該スクリーニングにより単離し得る化合物およびその医薬用途、特に前立腺癌を含むアンドロゲンが関与する疾患の予防や治療のための新規な抗アンドロゲン剤としての用途を提供する。

0009

上記のように、アンドロゲンは、前立腺癌の増殖に重要な役割を果たしているが、抗アンドロゲン療法に対する耐性の基礎となる分子メカニズムについては依然として判明していない。そこで、本発明者等は、アンドロゲン受容体(「AR」と略す)と細胞周期機構の要素であるサイクリンとの物理的および機能的相互作用の検討を行なった。

0010

まず、AR陰性細胞にてARとサイクリンを一過的に発現させ、ARの活性に及ぼすサイクリンの効果を調べた。その結果、サイクリンE(特表平7−502164号公報)が、ARのリガンド非依存的転写活性とリガンド依存的転写活性の両方を増強し、これらが抗アンドアロゲン剤である5−ヒドロキシフタルイミドによって十分に阻害されていないことを突きとめた(図1)。サイクリンEがARのABドメインC末端部位に直接結合することを見出した(図3)。さらに、本発明者等は、共免疫沈降およびGSTプルダウンアッセイによって、サイクリンEが、Cdk2やホルモンの結合とは無関係に、ARのABドメインに直接結合することを見出した(データー省略)。これらの結果は、サイクリンEがARのコアクチベーターとして機能すること、そして腫瘍におけるサイクリンEの異常な発現によって、アンドロゲン除去療法の際でもAR機能持続的な活性化が起こる可能性があることを示唆するものである。即ち、サイクリンEによるARの不適当な活性化が、ホルモン除去療法の際の前立腺癌の抵抗性発症の根底にある可能性を示唆している。

0011

従って、ARとサイクリンEとの相互作用を阻害する化合物の提供により、前立腺癌を含むアンドロゲンが関与する疾患の予防や治療における新規かつ魅力的な治療戦略が提供されると考えられる。

0012

本発明は、このような新規な治療戦略のための薬剤としての応用が期待される、サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物をスクリーニングするための方法、並びに該スクリーニングにより単離し得る化合物およびその医薬用途を提供するものである。

0013

より詳しくは、本発明は、
(1)サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物のスクリーニング方法であって、

0014

(a)被検試料存在下、サイクリンEとアンドロゲン受容体とを接触させる工程

0015

(b)該サイクリンEと該アンドロゲン受容体との結合を検出する工程、および

0016

(c)被検試料非存在下で検出した場合(対照)と比較して、該結合を低下させる化合物を選択する工程、を含む方法、
(2)サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物のスクリーニング方法であって、

0017

(a)サイクリンEを発現するベクター、アンドロゲン受容体を発現するベクター、およびアンドロゲン受容体応答配列の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合されたベクターが導入された細胞に、被検試料を接触させる工程、

0018

(b)該細胞におけるレポーター活性を検出する工程、および

0019

(c)被検試料を接触させない場合と比較して、該レポーター活性を低下させ、る化合物を選択する工程、を含む方法、
(3)サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物若しくはその薬学上許容しうる塩またはそれらのプロドラッグ
(4)(1)または(2)に記載の方法により単離しうる、(3)に記載の化合物若しくはその薬学上許容しうる塩またはそれらのプロドラッグ、
(5)(3)または(4)に記載の化合物若しくはその薬学上許容しうる塩またはそれらのプロドラッグを有効成分とする医薬組成物
(6)抗アンドロゲン剤である、(5)に記載の医薬組成物、
(7)前立腺癌、前立腺肥大症、男性型脱毛症、性的早熱、尋常性座瘡、脂漏症及び多毛症から選択される疾患の予防または治療のための、(5)または(6)に記載の医薬組成物、を提供するものである。

0020

本発明は、サイクリンEとARとの相互作用を阻害する化合物のスクリーニング方法を提供する。本発明のスクリーニング方法の1つの態様は、サイクリンEとARとの結合活性の阻害を指標とした方法である。この方法の1つの態様は、(a)被検試料存在下、サイクリンEとアンドロゲン受容体とを接触させる工程、(b)該サイクリンEと該アンドロゲン受容体との結合を検出する工程、および、(c)被検試料非存在下で検出した場合(対照)と比較して、該結合を低下させる化合物を選択する工程、を含む。

0021

このスクリーニングに用いられるサイクリンEおよびARは組換えタンパク質であっても、天然由来タンパク質であってもよい。また、「サイクリンE」としては、サイクリンEの完全な蛋白質に限られず、ARとの結合活性を有する限りその部分ペプチドが含まれる。また、「AR」としては、完全な蛋白質に限られず、サイクリンEとの結合活性を有する限りその部分ペプチドが含まれる。例えば、ARのABドメインは、サイクリンEと直接結合することが示されたことから、ARのABドメインを含むペプチドは、このスクリーニングに好適に利用し得る。サイクリンEのABドメイン(1から544位のアミノ酸残基)およびEFドメイン(624から918位のアミノ酸残基)については、文献(Doesburg,P.et al.,Biochemistry 36,1052−1064(1997)、Elizabeth,L.et al.,J.Biol.Chem.270,29983−29990(1995))参照のこと。

0022

本発明において「接触」および「結合」には、直接的「接触」および「結合」のみならず、間接的な「接触」および「結合」も含まれる。例えば、サイクリンE部分ペプチドが、他の蛋白質因子を介してARと間接的に結合する場合でも、該部分ペプチドを用いてこのスクリーニングを行うことは可能である。

0023

サイクリンEやARは、後述するスクリーニングの手法に応じて、例えば、担体に結合させた形態や他の蛋白質との融合蛋白質として用られる。

0024

被検試料としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物細胞培養上清発酵微生物産生物海洋生物抽出物植物抽出物、精製または粗精製タンパク質、ペプチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物天然化合物、遺伝子ライブラリーが挙げられる。サイクリンEとARとの接触は、後述するスクリーニングの手法に応じてインビトロで行なうこともできるし、またインビボで行なうこともできる。

0025

以下に具体的なスクリーニングの手法について例示する。

0026

本発明のスクリーニングは、例えばプルダウンアッセイにより行なうことができる。被検試料の存在下または非存在下、サイクリンEとARとを接触させ、両者の複合体をサイクリンEまたはARに対する抗体などで回収し、その結合を測定する。蛋白質は上記のように他のペプチドや蛋白質との融合蛋白質とすることができる。サイクリンEまたはARの抗体を用いる場合は、複合体をProtein A SepharoseやProtein G Sepharoseを用いて沈降させることができる。また、サイクリンEまたはARを、例えば、GSTなどのエピトープとの融合タンパク質として調製した場合には、グルタチオン−Sepharose 4Bなどのこれらエピトープに特異的に結合する物質を利用して、サイクリンEまたはARに対する抗体を利用した場合と同様に、複合体を回収することができる。

0027

サイクリンEまたはARは、適宜標識してもよい。標識方法としては、ビオチンアビジン結合性を利用する方法、サイクリンE、AR又はこれらに融合したペプチド又はポリペプチド(例えばGSTなど)に特異的に結合する抗体を利用する方法、ラジオアイソトープを利用する方法又は蛍光を利用する方法等が挙げられる。

0028

プルダウンアッセイにおいては精製したサイクリンEとARとを用いてインビトロでこれら蛋白質を接触させることもできるが、インビボにおいて接触させることも可能である。

0029

インビボ法においては、例えば、外来性のサイクリンEおよびARを発現するベクターを細胞に導入し、該細胞に被検試料を接触させて、その後、該細胞の溶解物を調製する。この溶解物に対し、サイクリンEまたはARに対する抗体などを接触させて、形成された複合体の沈降を行なう。

0030

外来性のサイクリンEおよびARを発現するベクターが導入された細胞ではなく、内因性のサイクリンEとアンドロゲン受容体とを発現する細胞を用いて、これに被検試料を接触させ、同様に解析を行なうことも可能である。

0031

また、本発明のスクリーニングは、例えば、アフィニティクロマトグラフィーを用いて行うことができる。例えば、サイクリンEまたはARの一方をアフィニティーカラムの担体に固定し他方の蛋白質をカラムに流して結合させる。ここに被検試料を適用し、サイクリンEとARの結合を阻害する化合物を検索する。カラムの代わりにマイクロプレート上などに蛋白質を固定してスクリーニングを行ってもよい。

0032

本発明において、結合した化合物を検出又は測定する手段として表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを使用することもできる。表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーはサイクリンEとARとの間の相互作用を標識することなく、表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である(例えばBIAcore、Pharmacia製)。したがって、BIAcore等のバイオセンサーを用いることによりサイクリンEとARとの結合を評価することが可能である。

0033

また、2−ハイブリッドシステム(Fields,S.and Sternglanz,R.,Trends.Genet.10,286−292(1994);Dalton,S.and Treisman,R.,Characterization ofSAP−1,a protein recruited by serum response factor to the c−fos serum response element.,Cell 68,597−612(1992);「MATCHMAKER Two−Hybrid System」,「Mammalian MATCHMAKER Two−Hybrid Assay Kit」,「MATCHMAKER One−Hybrid System」(いずれもClontech社製)、「HybriZAPTwo−Hybrid Vector System」(Stratagene社製))を用いて本発明のスクリーニングを行うことも可能である。例えば酵母の2−ハイブリッドシステムにおいては、サイクリンEまたはARの一方をSRFDNA結合領域またはGAL4 DNA結合領域など、特定のDNA配列に結合するペプチドと融合させ、他方の蛋白質をVP16またはGAL4転写活性化領域などの転写活性化ペプチドと融合させ、それぞれを酵母細胞中で発現させる。被検試料非存在下では、サイクリンEとARの結合によりレポーター遺伝子が活性化され、陽性クローンが確認できる。被検試料存在下で同様の試験を行い、レポーター遺伝子の発現を低下させる化合物を選択する。2−ハイブリッドシステムにおいて用いられるレポーター遺伝子としては、例えば、HIS3遺伝子の他、Ade2遺伝子、LacZ遺伝子、CAT遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、PAI−1(Plasminogen activator inhibitor typel)遺伝子等が挙げられるが、これらに制限されない。2−ハイブリッドシステムは、酵母細胞に限らず、実施例に記載のような哺乳動物細胞を用いて行うことも好適である。

0034

スクリーニングに用いるサイクリンE、ARとしては、両者が結合活性を示す限り特に制限はない。例えば、ARのABドメインは、サイクリンEと直接結合することが示されたことから、ARのABドメインを含むペプチドは好ましい一例である。哺乳動物細胞としては、例えば、COS細胞HeLa細胞CHO細胞、MDAH041細胞などを用いることができるが、用いられる細胞に特に条件はなく、他の多くの細胞が対象になり得る。

0035

スクリーニングの結果、被検試料を接触または導入しない場合(対照)と比較して、被検化合物によりレポーター遺伝子の発現が有意に低下すれば、用いた被検化合物はサイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物の候補となる。

0036

また、本発明のスクリーニングにおいては、スクリーニングの効率を高めるためにレポーター系を用いることも可能である。即ち、本発明のサイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物のスクリーニングの他の態様は、(a)サイクリンEを発現するベクター、アンドロゲン受容体を発現するベクター、およびアンドロゲン受容体応答配列の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合されたベクターが導入された細胞に、被検試料を接触させる工程、(b)該細胞におけるレポーター活性を検出する工程、および(c)被検試料を接触させない場合と比較して、該レポーター活性を低下させる化合物を選択する工程、を含む方法により実施することができる。

0037

サイクリンEの発現ベクター、およびアンドロゲン受容体の発現ベクターは、例えば、サイクリンE遺伝子およびアンドロゲン受容体遺伝子等をpSG5やpcDNA3などの哺乳動物発現ベクターに挿入することにより作製することが可能である。また、アンドロゲン受容体応答配列の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合されたベクターの構築は、AREまたはHREをレポーター遺伝子の組込まれた発現ベクターに挿入することにより行うことができる。ARE配列としては、例えば、AR/GR/PR/MRに共通する配列である「5’−AGAACANNNTGTTCT−3’」(配列番号:1)を用いることができる。また、レポーター遺伝子としては、例えば、CAT遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などが挙げられるがこれらに制限されない。スクリーニングに用いられる細胞としては、例えばCOS7細胞、COS1細胞、HeLa細胞、MDAH041細胞、PC−3細胞、LNCaP細胞、DU−145細胞などが挙げられる。

0038

レポーター遺伝子の発現の測定の結果、被検試料を接触または導入しない場合(対照)と比較して、被検試料の接触または導入により検出されたレポーター活性が有意に低下すれば、用いた被検化合物はサイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物の候補となる。本発明のスクリーニング系は、既存のアンドロゲン阻害剤に抵抗性を有するAR活性化に対する阻害剤をスクリーニングすることを可能にする。

0039

上記した本発明のスクリーニングにより、サイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する活性を有する化合物を単離することができる。本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物の構造の一部を、付加、欠失及び/又は置換により変換される物質も、本発明のスクリーニングにより得られる化合物に含まれる。

0040

サイクリンEとARとの相互作用を阻害する化合物は、抗アンドロゲン剤の候補となり、例えば、前立腺癌、前立腺肥大症、男性型脱毛症、性的早熟、尋常性座瘡、脂漏症及び多毛症を含むARが関与する各種疾患の治療への応用が期待される。また、該化合物を予め投与しておけば、前立腺癌、前立腺肥大症、男性型脱毛症、性的早熟、尋常性座瘡、脂漏症及び多毛症等の疾患を予防したり、または遅延させることが期待できるので、これらの疾患の予防への応用も期待できる。

0041

スクリーニングにより得られた化合物が、抗アンドロゲン効果を有するか否かの評価は、実施例に記載したようなAR遺伝子を用いたレポーターアッセイに加え、例えば、以下の測定法を必要に応じて適宜組み合わせることによって、さらに詳細に測定することができる。
ラットでのin vivo実験によるアンタゴニスト作用の測定法>

0042

去勢ラットにテストステロンジヒドロテストステロンを投与すると前立腺、及び精嚢重量が増加する。テストステロンやジヒドロテストステロンによる前立腺、及び精嚢腺の重量増加作用を被検化合物が抑制するか否かを検討することにより、被検化合物のアンタゴニスト作用を調べることができる。測定にあたっては、文献(J.Med.Chem.41:623−639,1998)や文献(基礎と臨床29(4):877−885,1995)等を参考にできる。

0043

本発明のサイクリンEとARとの相互作用を阻害する化合物またはその薬学上許容しうる塩あるいはそれらのプロドラッグをヒトや哺乳動物等、例えばマウス、ラット、モルモットウサギニワトリネコイヌヒツジブタウシサルマントヒヒチンパンジー医薬として使用する場合には、これら化合物自体を直接患者に投与する以外に、公知の製剤学的方法により製剤化して投与を行うことも可能である。本発明のサイクリンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物を有効成分とする医薬組成物は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤カプセル剤エリキシル剤マイクロカプセル剤として経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒体、具体的には、滅菌水生理食塩水植物油乳化剤懸濁剤界面活性剤、安定剤、香味剤賦形剤ベヒクル防腐剤結合剤などと適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態混和することによって製剤化することが考えられる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。

0044

錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えばゼラチンコーンスターチトラガントガムアラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖乳糖又はサッカリンのような甘味剤ペパーミントアカモノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。

0045

注射用水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノールポリアルコール、例えばプロピレングリコールポリエチレングリコール非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50と併用してもよい。

0046

油性液としてはゴマ油大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジルベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液酢酸ナトリウム緩衝液無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例えばベンジルアルコール、フェノール酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプル充填させる。

0047

かかる製剤中のサイクリンEとARとの相互作用を阻害する化合物の含有量は、その剤型によって異なるが、一般に5〜100重量%の濃度で含有していることが望ましい。

0048

患者への投与は、例えば、動脈内注射静脈内注射皮下注射などのほか、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法により行いうる。投与量は、患者の体重や年齢投与方法などにより変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。また、該化合物がDNAによりコードされうるものであれば、該DNAを遺伝子治療用ベクターに組込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。投与量、投与方法は、患者の体重や年齢、症状などにより変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。

0049

本発明のサイクリンEとARとの相互作用を阻害する化合物またはその薬学上許容しうる塩あるいはそれらのプロドラッグの投与量は、対象とする人間をはじめとする温血動物の種類、症状の軽重医師診断などに応じて、広範囲に変えることができるが、一般に有効成分として、1日あたり1μg〜500mg/kg、好ましくは1日あたり20μg〜100mg/kgである。また、上記投与量は1日〜1ヶ月あたり1回または数回に、まとめて又は分けて投与することができ、症状の軽重、医師の判断により適宜変更することができる。

発明を実施するための最良の形態

0050

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本明細書で参照された文献は全て本明細書の一部として組み込まれる。

0051

[実施例1]サイクリンEはアンドロゲン受容体(AR)の転写活性を増強する

0052

ARと細胞周期制御因子との間に機能的なクロストークが存在するか否かを調べるために、AR陰性ヒト繊維芽細胞MDAH041細胞(Nakanishi M.et al.(1995)EMBO J.14:555−563)にAR発現ベクター、ARE−CATリポーター構築物、およびサイクリンD1、サイクリンE、またはサイクリンAをコードする発現ベクターで共トランスフェクトし、AREを介したARのトランス活性化機能を、そのリガンドであるジヒドロテストステロン(DHT)の非存在下または存在下で測定する実験を以下のように行った。

0053

全長ヒトサイクリンE、サイクリンD1、およびサイクリンAをpcDNA3ベクターに挿入した。全長のヒトAR、エストロゲン受容体α(ERα)、グルココルチコイド受容体(GR)およびプロゲステロン受容体(PR)を哺乳動物発現ベクターであるpSG5、pSG1、pKCR2およびpSG5にそれぞれ挿入した。リポーター構築物pARE2tk−CAT、pGRE−tk−CAT、pPRE−tk−CAT、およびpBL−CAT8+/EREは既に記述されている(Tsai,S.Y.et al.(1989)Cell 57:443−448)。

0054

HeLa細胞及びMDAH041細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ改変イーグル培地DMEM)で維持した。トランスフェクションの24時間前、培地を5%活性炭処理FBSを含むフェノール・レッド不含DMEM培地交換した。リン酸カルシウム沈殿技法を用いて、細胞をARE−CATリポーター構築物(pARE2tk−CAT)8μg、β−ガラクトシダーゼ発現ベクター(トランスフェクション効率を調べる内部対照として)3μg、AR発現ベクター1μg、そしてサイクリンE、サイクリンD1、またはサイクリンA発現ベクター8μgをトランスフェクトした。トランスフェクションの18時間後、細胞をリン酸緩衝生理食塩液PBS)ですすいで、リガンドまたは溶媒を含む新鮮な培地に再度交換した。場合により、リガンド(テストステロンまたはジヒドロテストステロン(DHT))を添加した。18時間後、細胞を回収してCATおよびβ−ガラクトシダーゼ活性をアッセイした。CAT活性はβ−ガラクトシダーゼ活性で補正した(図1)。後述(図2a)の実験では、AR発現ベクターの代わりにGR発現ベクターまたはPR発現ベクターを用い、リガンドにはそれぞれデキサメタゾンまたはプロゲステロンを用いた。このとき、リポータープラスミドには、GRに対してはpGRE−tk−CAT、PRに対してはpPRE−tk−CATを用いた。また、ER発現ベクター、およびリポータープラスミドとしてpBL−CAT8+/EREを用いて、エストロゲン(17β−エストラジオール;10−8M)の効果も調べた。

0055

図1aは、サイクリンEはDHTによるARの転写活性を増強し、その効果はサイクリンEの発現ベクターに用量依存的であることを示す。サイクリンEはARの共トランスフェクションがなければ、AREを介した転写を増加させなかった(データ省略)ことから、サイクリンEはARを介して作用することが示唆される。サイクリンAではこの作用はなく、サイクリンD1ではAR転写活性がわずかに抑制されたことから、この作用はサイクリンEに特異的であることが判明した(図1b)。これらの実験では、AR蛋白質のレベルはサイクリンEの過剰発現によって増加されなかったことから(データ省略)、サイクリンEによるARの機能の増加は、ARの発現レベルを変化させた結果によるものではないことが示唆される。Cdk2をコードする発現ベクターをサイクリンEと組み合わせて加えても、AREを介した転写はさらには増強されなかった(データ省略)ことは、サイクリンEとCdk2との複合体形成は必要でなく、サイクリンE/Cdk2複合体よりもむしろ遊離のサイクリンEがARの活性化に関与しているという考えと一致する。

0056

重要なことは、ARE−CATリポータ構築物のDHTによる活性化は、抗アンドロゲン剤である5−ヒドロキシフルタミド(5−OH−F)によって完全に阻止されるのに対し、サイクリンEを共トランスフェクションすると、5−OH−Fの1000モル過剰量によってもAR機能は完全には抑制されず、かなりのCAT活性が残った(図1b)。

0057

グルココルチコイド受容体(GR)およびプロゲステロン受容体(PR)は、ARと同じDNA配列を介して作用することが知られている(Cato,A.et al.EMBO J.7:1403−1440(1988))。しかし、サイクリンEは、それぞれデキサメサゾンまたはプロゲステロンに応答するGRまたはPRを介した転写活性を増強することができなかったことから、サイクリンEによるAREを介した転写増強は、ARシグナル伝達に特異的であることが判明した(図1b)。ヒトのエストロゲン受容体α(ERα)を導入したMDAH041細胞は、17β−エストラジオール(E2)に反応してCAT活性を増強した(図1c)。サイクリンEはエストロゲンにより誘導されるEREを介したERの転写活性能には影響を及ぼさなかった。このとき、サイクリンD1は、既に報告されているように(文献Zwijsen,R.M.et al.,Cell 88:405−15,1997;Neuman,E.et al.,Mol.Cell.Biol.17:5338−47,1997)、ERαの機能を増加させた(図1c)。図1に示した結果は、HeLa細胞を用いた場合でも同様に認められた(データ省略)。

0058

[実施例2]サイクリンEは主にARのAF−1機能を活性化する

0059

ERと同様に、ARは2つの転写活性化機能、すなわち、リガンド非依存的活性化ドメイン(AF−1)およびリガンド依存的活性化ドメイン(AF−2)を有し、それらはそれぞれアミノ末端のAB領域およびカルボキシ末端のリガンド結合EFドメインに存在する(Langley,E.et al.(1995)J.Biol.Chem.270:29983−29990、Doesburg,P.et al.(1997)Biochemistry 36:1052−1064)。サイクリンEと相互作用し、転写活性を増強させるARのドメインを特定するために、ARのAB領域またはEF領域のいずれかをGAL4DNA結合ドメイン(DBD)と融合させ、VP16−サイクリンE融合蛋白またはサイクリンE単独との機能的相互作用を、GAL−4依存的リポーターによる哺乳動物細胞の2ハイブリッド系で調べた。

0060

哺乳動物細胞の2ハイブリッドアッセイにおいては、GAL4−AR(AB)およびGAL4−AR(EF)をpMベクターに、そしてVP16−サイクリンEをpVP16ベクター(クロンテックラボラトリーズ・インク)にそれぞれ構築した(ABドメイン:1−554アミノ酸残基、EFドメイン:624−918アミノ酸残基)。17M2−G−CATおよび17M5−TATA−CATリポータープラスミドはそれぞれ、グロブリンプロモーター上流に位置する2つのGAL4 17M結合部位およびアデノウイルス−2−主要後期プロモーター最小プロモーター領域を含む。

0061

アッセイには、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で維持したHeLa細胞およびMDAH041細胞を用いた。HeLa細胞またはMDAH041細胞を、GAL4−AR(AB)またはGAL4−AR(EF)発現ベクター2μg、VP16−サイクリンE4μg、そして17M2−G−CATリポーター遺伝子8μgによって共トランスフェクトし、ジヒドロテストステロン(10−8M)の非存在下または存在下で培養した。CATアッセイは上記のように実施した。

0062

図2aに示すように、GAL4−AR(AB)単独では、リガンドが存在しなくとも、そのAF1機能のために恒常的な活性を示し、GAL4−AR(AB)をVP16−サイクリンE(データー省略)あるいはサイクリンE(図2a)と共トランスフェクトすると、CAT活性はさらに増加した。

0063

しかしながら、DHT存在下においてAR(EF)とサイクリンEとの間には有意な相互作用は認められなかった(図2a)。サイクリンE単独、あるいはGAL4DBDとの融合蛋白で転写の刺激が可能である(図2b)ことは、サイクリンEは単にARのABドメインと相互作用するのみならず、ARのコファクターとして機能することを示唆する。

0064

[実施例3]サイクリンEはARのABドメインに直接結合する

0065

インビボでのサイクリンEとARとの物理的会合の証拠を得るために、AR陰性MDAH041細胞に、AR単独、あるいは、AR+サイクリンE、サイクリンD1、またはサイクリンAをコードする発現ベクターをトランスフェクトした。サイクリン複合体を各々のサイクリンサブユニットに対して特異的な抗体で免疫沈降させた後、抗AR抗体を用いたウェスタンブロットによって、サイクリンに結合したARを検出した。

0066

まずMDAH041細胞に、サイクリンE、および全長AR、ARのABドメイン、またはARのEFドメインをコードする発現ベクターをトランスフェクトし、テストステロンの非存在下または存在下で培養した。150mM NaCl、2.5mM EGTA、1mMEDTA、0.1%ツイーン20、10%グリセロール、50mMHEES、pH8.0およびプロテアーゼ阻害剤ロイペプチン2μg/ml、PMSF 100μg/ml、アプロチニン2μg/ml、およびトリプシン阻害剤20μg/ml)を含むIP緩衝液中で細胞を溶解した。ブラッドフォード法(バイオラッド・ラボラトリーズ、リッチモンド、CA)によって、細胞溶解物蛋白濃度をアッセイし、等量の蛋白を免疫沈降またはウェスタンブロット分析に用いた。

0067

免疫沈降は、細胞溶解物を抗サイクリンE抗体(サンタクルズ・バイオテクノロジー社)と共にインキュベートして、その後プロテインAアガロースビーズベーリンガーマンハイム社、マンハイム、ドイツ)と4℃でインキュベートして行った。1時間後、軽く遠心してビーズを回収し、レムリ緩衝液中で煮沸した。試料を10%SDSポリアクリルアミドゲル上で分離してニトロセルロース膜に移した。5%ミルクおよび0.1%ツイーン20を含むPBSでブロッキングを行った後、ヒトARに対するポリクローナル抗体(サンタクルズ・バイオテクノロジー社)およびペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgGによって、蛋白を検出した。ブロットを0.1%ツイーン20を含むPBSで洗浄して、増強ケミルミネッセンスECL)反応(アマシャム社)によって現像した。

0068

図3aに示すように、細胞を全長のARおよびサイクリンE発現ベクターで共トランスフェクトすると、抗サイクリンE免疫沈降物においてARの強いバンドが検出され、これはDHT処理によってバンドの幅の広がりが観察された。AR単独でトランスフェクトした細胞からの抗サイクリンE免疫沈降物でも、ARのかすかなバンドを検出したが、これはおそらく内因性サイクリンEと、トランスフェクトしたARとの会合を反映している。この場合も、DHTによる処理によってARのバンドの幅が広がり、これはARのリン酸化による可能性が高い(Prall,O.W.et al.,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.65,169−174(1998);Blok,L.J.et al.,Endocr.Res.3,197−219(1996))。これらのトランスフェクタントにおいて、AR蛋白の発現レベルは同等であったため(データー省略)、サイクリンEの過剰発現によってARレベルが増加し、それによってAREを介した転写が刺激された可能性は除外される。抗サイクリンAまたは抗サイクリンD1免疫沈降物では、DHTの有無にかかわらずARは検出されないことから(データ省略)、ARの結合はインビボにおいてもサイクリンEに特異的であることが示された。

0069

インビボでARのどの領域がサイクリンEと物理的に相互作用するかに関して手がかりを得るために、MDAH041細胞を、サイクリンE発現ベクターと、ARのN−末端AB領域またはC末端EF領域の発現ベクターのいずれかとを共トランスフェクトし、抗サイクリンE免疫沈降物に対し、それぞれARのN−末端領域またはC−末端領域に特異的な抗体を用いて、各々のAR断片の共沈降を評価した。ARのN−末端AB領域(アミノ酸1〜554位)およびC末端EF領域(アミノ酸624〜918位)をpGEX(4T−1)ベクターにクローニングして実験に用いた。

0070

図3bに示すように、ARのABドメインはサイクリンEと共免疫沈降したが、ARのEFドメインは共沈降せず(図3c)、このことは、サイクリンEがリガンド結合とは無関係にARのAB領域に主に結合することを示している。

0071

最後に、サイクリンEがAR(AB)に直接結合するか否か、もしそうだとすればAR(AB)のどの領域かをGSTプル・ダウンアッセイにより調べた。

0072

GST蛋白、GST−AR(AB)融合蛋白質、およびABドメインの一部を様々に欠失させたミュータントとGSTとの融合タンパク質を大腸菌で産生させ、先に記述したように(Nakanishi,M.et al.(1995)EMBO J.14:555−563、Hashimoto,Y.et al.(1998)J.Biol.Chem.273:16544−16550;Yanagisawa,J.et al.Science 283,1317−1321(1999))、グルタチオン・セファロース・ビーズ(ファルマシア社)を用いて精製した。

0073

サイクリンE蛋白質はインビトロで[35S]メチオニン存在下で網状赤血球ライセート系(プロメガ社)によって翻訳した。ラベルされたサイクリンE蛋白は、GST、GST融合AR(AB)あるいはその部分アミノ酸欠失ミュータントと1時間インキュベートし、その混合物グルタチオンビーズを加え更に1時間インキュベートした。結合した蛋白質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析し、オートラジオグラフィーにより検出した。

0074

GST−AR(AB)蛋白質または種々の欠失ミュータント蛋白質(図4a中の”del13”〜”del15”および”del62”〜”del82”)をインビトロで翻訳されたサイクリンEと混合した。

0075

GSTプル・ダウンアッセイによって、サイクリンEはARのABドメインに直接結合するが(図4c)、ARのEFドメインにはほとんど結合しないことが明らかになった(データ省略)。サイクリンEはAR(AB)のN末端部分の欠失ミュータント蛋白であるdel62、del72、del82には結合するが、C末端部分の欠失ミュータント蛋白であるdel13、del14、del15には結合しない(図4c)ことから、サイクリンE結合ドメイン領域はAR(AB)のC末端部分であることが示唆された。

0076

予め形成させたサイクリンE/Cdk2複合体は、ARのABドメインまたはEFドメインに結合しなかった。サイクリンD1もサイクリンAも、ARとの結合は認識できるほどではなかった(データ省略)。

0077

AR(AB)の欠失ミュータント蛋白の転写能をサイクリンEの発現ベクターの存在下あるいは非存在下で一過性の発現系でCATアッセイにより検討した。その結果、インビトロの結合活性と同様の結果が得られ(図4c)、サイクリンEはAR(AB)のN末端部分の欠失ミュータント蛋白であるdel62、del72、del82の転写活性を増強し、C末端部分の欠失ミュータント蛋白であるdel13、del14、del15の転写活性はサイクリンEの発現に応答せず、CAT活性の増加反応は認められなかった(図4a,黒いバー)。特に、AR(AB)の418から566番目の領域のアミノ酸を除くと(del13)、サイクリンEによる転写増加能は著しく減弱した(図4a)。これらの結果から、AR(AB)のC末端部分(アミノ酸418から566番目)へのサイクリンEの結合がARのAF−1機能を増強するために不可欠であることが示唆される。また、全長のARからサイクリンE結合領域と転写活性ドメインを共に除去すると(del E図4b)、DHTによるARの転写活性のみならず、DHT存在下におけるサイクリンEによるARの転写活性の増加が完全に抑制された(図4b)。
産業上の利用の可能性

0078

本発明により、サイクリンンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害することによる抗アンドロゲン剤の新たな作用機序が見出され、これを基にした抗アンドロゲン剤のスクリーニング方法が提供された。本発明のサイクリンンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物は、既存の抗アンドロゲン剤に抵抗性となるようなアンドロゲン受容体の活性化をも抑制することが期待される。従って本発明は、これまで限界があった抗アンドロゲン剤による疾患治療に新たな可能性を開くものである。

0079

本発明のサイクリンンEとアンドロゲン受容体との相互作用を阻害する化合物は、例えば、前立腺癌、前立腺肥大症、男性型脱毛症、性的早熟、尋常性座瘡、脂漏症及び多毛症等の疾患の治療剤として有用な医薬組成物となることが期待される。また、該化合物を予め投与しておけば、前立腺癌、前立腺肥大症、男性型脱毛症、性的早熟、尋常性座瘡、脂漏症及び多毛症等の疾患の発生を防ぐか遅延させることが期待できるので、これらの疾患の予防剤となることも期待できる。

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