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技術 リチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物およびその利用

出願人 日本ゼオン株式会社
発明者 山本陽久中山昭
出願日 2000年1月21日 (20年1ヶ月経過) 出願番号 2000-596613
公開日 2002年5月28日 (17年8ヶ月経過) 公開番号 WO2000-045452
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード シート状導電体 pH計 無機アンモニウム化合物 ニトリル基含有化合物 エステルモノマー由来 エチレンシアンヒドリン 多官能エチレン性不飽和モノマー 有機分散媒中
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この項目の情報は公開日時点(2002年5月28日)のものです。
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図面 (1)

課題・解決手段

リチウムイオン二次電池用電極の製造に用いられるバインダー組成物であって、(1)モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー由来構造単位aと、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー由来の構造単位bおよび共役ジエンモノマー由来の構造単位cの中から選ばれた少なくとも一種の構造単位とを有し、(2)構造単位a/(構造単位b+構造単位c)=99〜60/1〜40(重量比)、(3)構造単位a、bおよびcの合計が全構造単位に対して80重量%以上であり、(4)モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位を実質的に有さないポリマー粒子が、(5)常圧における沸点が80℃〜350℃での有機分散媒中に分散しているバインダー組成物。このバインダー組成物を用いて製造される電極を具えたリチウムイオン二次電池は、高温における容量が高く、かつ高温における充放電特性に優れている。

概要

背景

概要

リチウムイオン二次電池用電極の製造に用いられるバインダー組成物であって、(1)モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー由来構造単位aと、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー由来の構造単位bおよび共役ジエンモノマー由来の構造単位cの中から選ばれた少なくとも一種の構造単位とを有し、(2)構造単位a/(構造単位b+構造単位c)=99〜60/1〜40(重量比)、(3)構造単位a、bおよびcの合計が全構造単位に対して80重量%以上であり、(4)モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位を実質的に有さないポリマー粒子が、(5)常圧における沸点が80℃〜350℃での有機分散媒中に分散しているバインダー組成物。このバインダー組成物を用いて製造される電極を具えたリチウムイオン二次電池は、高温における容量が高く、かつ高温における充放電特性に優れている。

目的

効果

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請求項1

(1)モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー由来構造単位(a)と、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー由来の構造単位(b)および共役ジエンモノマー由来の構造単位(c)の中から選ばれた少くとも一種の構造単位とを有し、(2)構造単位(a)/(構造単位(b)+構造単位(c))=99〜60/1〜40((a)+(b)+(c)=100としたときの重量比)、(3)構造単位(a)、構造単位(b)および構造単位(c)の合計が全構造単位に対して80重量%以上である(4)モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位を実質的に有さないポリマー粒子が、(5)常圧における沸点が80℃〜350℃の有機分散媒中に分散していることを特徴とするリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物

請求項2

ポリマー粒子が、下記の電解液に対する不溶分として算出されるゲル含量が50〜100%である請求の範囲第1項記載のリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物。電解液:プロピレンカーボネートエチレンカーボネートジエチルカーボネートジメチルカーボネートメチルエチルカーボネート=20/20/20/20/20(20℃での体積比)の組成を有する混合溶媒にLiPF6が1モルリットルの割合で溶解している溶液

請求項3

バインダー組成物中のポリマー粒子含有量が、組成物重量に基づき、0.2〜80重量%である請求の範囲第1項または第2項に記載のリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物。

請求項4

ポリマー粒子が、ニトリル基を有するモノマーに由来する構造単位を実質的に含まない請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物。

請求項5

構造単位(a)を与えるモノエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマーが、アルコール残基中にアルキル基または置換アルキル基を有するアクリル酸メタクリル酸およびクロトン酸の中から選ばれた少なくと一種のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸エステルである請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物。

請求項6

構造単位(b)を与えるモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸の中から選ばれたモノエチレン性不飽和モノカルボン酸、ならびにマレイン酸フマル酸シトラコン酸メサコン酸グルタコン酸およびイタコン酸の中から選ばれたモノエチレン性不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物の中から選ばれた少なくとも一種である請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物。

請求項7

構造単位(c)を与える共役ジエンモノマーが、1,3−ブタジエン、1,3−および2,3−ペンタジエンイソプレン、1,3−および2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、および1,3−ヘプタジエンの中から選ばれた少なくとも一種である請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物。

請求項8

ポリマー粒子が、さらに、多官能エチレン性不飽和モノマー由来の構造単位(d)を、全構造単位に対して0.1〜20重量%含有する請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物。

請求項9

ポリマー粒子が、該有機溶媒に対する不溶分として算出されるゲル含量が50〜100%である請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物。

請求項10

請求の範囲第1項〜第9項のいずれかに記載のバインダー組成物と活物質とを含有するリチウムイオン二次電池電極用スラリー

請求項11

請求の範囲第10項に記載のスラリーを用いて製造されるリチウムイオン二次電池用電極

請求項12

該スラリーを厚さ0.001〜0.5mmのシート状導電体塗布乾燥したものである請求の範囲第11項に記載のリチウムイオン二次電池用電極。

請求項13

請求の範囲第11項または第12項の電極を用いて製造されるリチウムイオン二次電池

技術分野

0001

本発明はリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物およびその利用に関する。

背景技術

0002

近年、ノート型パソコン携帯電話、PDAなどの携帯端末の普及が著しい。そしてこれらの電源に用いられている二次電池には、リチウムイオン二次電池が多用されてきている。

0003

ところで、こうした携帯端末は、小型化、薄型化、軽量化、高性能化が急速に進んでいる。これに伴い、リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ということがある)に対しても同様の要求がされるとともに、さらに低コスト化が強く求められている。

0004

従来よりリチウムイオン二次電池用電極(以下、単に「電極」ということがある)用バインダーとしてポリビニリデンフルオライド(以下、「PVDF」という)が工業的に多用されているが、電池の高性能化に関して今日の要求レベルには十分な対応ができていない。これは、その結着性の低さに起因するものと考えられる。

0005

そこで、より高性能な電池を求めて、PVDFに替わるバインダーの開発が盛んに行われ、特にエチレン性不飽和カルボン酸エステルなどの極性基を有するモノマーを用いて製造されたポリマー集電体活物質との結着性に優れている点で広く研究されている。例えば、エチレン性炭化水素モノマー由来の単位を40重量%以上含有するエチレン性不飽和カルボン酸エステルとエチレン性炭化水素エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物とを重合して得られるポリマー(特開平6−223833号公報)や、エチレン性炭化水素モノマー由来の単位を40重量%以上含有するエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマーとエチレン性炭化水素モノマーとエチレン性不飽和ジカルボン酸(またはエステル)モノマーとを重合して得られるポリマー(特開平6−325766号公報)などのエチレン性炭化水素モノマー由来の構造単位を有するポリマーをバインダーとすることが提案されている。このほか、少なくともアクリル酸またはメタクリル酸エステルアクリロニトリルおよび酸成分を有するビニルモノマーを共重合して得られるポリマー(特開平8−287915号公報)、メタクリル酸メチルブタジエンゴム(特開平4−255670号公報)なとのポリマーも用いることが提案されている。このようなバインダーを用いて電池の正極や負極を製造すると、活物質と集電体との結着性や活物質同士の結着性がPVDFより良好なため、優れた電池性能、特に、良好な充放電サイクル特性と高い容量を得ることができる。また、これらのバインダーは、PVDFと比較して、使用量が少量でよいことから、軽量化が可能であり、ポリマーが安価であることと相俟って低コスト化が可能である。このため、これらのポリマーは優れたバインダーとして期待されている。

0006

一方、携帯端末が普及し発達するにつれ、様々な条件、特に50℃以上の高温条件などでの使用や保管がなされるようになっている。ところが、既に工業生産されているPVDFをバインダーとして製造された電極を用いたリチウムイオン二次電池は、20〜25℃の室温条件での充放電サイクル特性に比較して、50℃以上の高温条件では、この充放電サイクル特性が極端に低下する。そこで、電池材料電池製造方法電池構造などを改良することで高温での電池特性を確保する研究が進められているものの、まだ十分ではなく、電極製造に用いられるバインダーの改良が必要となってきている。

0007

本発明者らの検討によると、上述したPVDFに替わるポリマーをバインダーに用いて製造された電極を用いた電池は、確かに室温での充放電サイクル特性には優れているものの、エチレン性炭化水素モノマー由来の構造単位が多すぎたり、ニトリル基が多く存在しているポリマーでは、50℃以上での充放電サイクル特性が大幅に低下することが判明した。

0008

ところで、国際公開WO98/14519号公報において、トルエンに対する不溶分として算出されるゲル含量が50%以上のポリマーを常圧での沸点が80℃以上である有機分散媒中に分散させてなるポリマー分散組成物バインダー組成物として用いることが提案されている。このバインダー組成物は、有機溶液の形態のバインダー組成物と比較して集電体と活物質、活物質同士の結着性が優れているばかりでなく、充放電サイクル特性がより優れている。しかし、我々のさらなる研究の結果、当該公報に具体的に開示されている芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位を含むポリマーの分散組成物をバインダーとして用いる場合、得られる電池は常温での使用においては高い充放電サイクル特性を保持するものの、50℃以上の高温条件下での使用では高い充放電サイクル特性を維持することが困難であることが判った。

発明の開示

0009

本発明者らは、高温での充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を得るべく鋭意研究した結果、電極用バインダー組成物として、特定なポリマー粒子を特定の有機分散媒に分散したものを用いると、電池の高温での充放電サイクル特性が向上することを見いだし、本発明を完成するに到った。

0010

かくして本発明によれば、第一の発明として、
(1)モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー由来の構造単位(a)と、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー由来の構造単位(b)および共役ジエンモノマー由来の構造単位(c)の中から選ばれた少くとも一種の構造単位とを有し、
(2)構造単位(a)/(構造単位(b)+構造単位(c))=99〜60/1〜40((a)+(b)+(c)=100としたときの重量比)、
(3)構造単位(a)、構造単位(b)および構造単位(c)の合計が全構造単位に対して80重量%以上である、
(4)モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位を実質的に有さないポリマー粒子が、
(5)常圧における沸点が80℃以上350℃以下の有機分散媒中に分散している
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池電極用バインダー組成物が提供される。

0011

さらに、第二の発明として、当該バインダー組成物と活物質とを含有するリチウムイオン二次電池電極用スラリー(以下、「スラリー」ということがある)が提供され、

0012

第三の発明として、当該スラリーを用いて製造されたリチウムイオン二次電池用電極が提供され、さらに、

0013

第四の発明として当該電極を用いて製造されるリチウムイオン二次電池が提供される。

発明を実施するための最良の形態

0014

以下に本発明を詳述する。
1.バインダー組成物

0015

本発明のバインダー組成物は、特定のポリマー粒子が、常圧における沸点が80℃〜350℃の有機分散媒中に分散されているポリマー粒子分散液であり、組成物中のポリマー粒子含量は、組成物重量に基づき、通常0.2〜80重量%、好ましくは0.5〜70重量%、より好ましくは0.5〜60重量%である。
(ポリマー粒子)

0016

本発明で用いられるポリマー粒子は、モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー由来の構造単位(a)(以下、「構造単位a」ということがある)とモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー由来の構造単位(b)(以下、「構造単位b」ということがある)および/または共役ジエンモノマー由来の構造単位(c)(以下、「構造単位c」ということがある)とを有し、モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位を実質的に有さないものであり、構造単位a、bおよびcの合計の割合が、ポリマーの全構造単位中80重量%以上のものである。

0017

ここで「モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー」とは、芳香族環を有するモノエチレン性炭化水素モノマーを指し、その具体例としては、スチレン、o−、m−、およびp−メチルスチレンα−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−、m−、およびp−エチルスチレン、ビニールナフタレンなどが挙げられる。「モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位を実質的に有さない」とは、モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位が、ポリマーの全構造単位に対して5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であることを意味し、この構造単位を全く含まないものが最も好ましい。

0018

本発明に係わるポリマー粒子中の構造単位aと構造単位bおよびcとの割合a/(b+c)((a)+(b)+(c)=100としたときの重量比)は、99〜60/1〜40、好ましくは99〜65/1〜35であり、より好ましくは98〜70/2〜30である。また、構造単位a、構造単位bおよび構造単位cの合計が全単位に対して80重量%以上、好ましくは90重量%以上である。ポリマー中各構造単位が上記の要件充足すれば高温でも良好な電池性能が得られる。

0019

さらに、モノエチレン性芳香族炭化水素モノマー由来の構造単位と同様の定義で、ニトリル基を有するモノマーに由来する構造単位をも実質的に含まないものが、高温でのより安定した充放電サイクル特性を与える点で好ましい。ニトリル基含有モノマーの具体例としては、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどのニトリル基含有モノエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。

0020

モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー由来の構造単位(a)を与えるモノマーとしては、例えば、アルコール残基中にアルキル基または置換アルキル基を有するアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステルなどのモノエチレン性不飽和モノカルボン酸エステルが挙げられる。これらのモノエチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルまたは置換アルキルエステルモノマーの具体例としては、アクリル酸メチルアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピルアクリル酸n−ブチルアクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシルアクリル酸2−エチルヘキシルアクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルメタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチルメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシルメタクリル酸ヒドロキシプロピルメタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸イソブチル、クロトン酸n−アミル、クロトン酸イソアミル、クロトン酸n−ヘキシル、クロトン酸2−エチルヘキシル、クロトン酸ヒドロキシプロピルなどのクロトン酸エステル;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有メタクリル酸エステル;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートなどのアルコキシ基含有メタクリル酸エステル;などのモノエチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルまたは置換アルキルエステルが挙げられる。また、アルコール残基中にリン酸残基スルホン酸残基ホウ酸残基などの置換基をもつアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなども挙げられる。これらのモノエチレン性不飽和モノカルボン酸エステルの中でも、アルコール残基中に炭素数1〜12、好ましくは2〜8のアルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステルが特に好ましい例として挙げられる。

0021

モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー由来の構造単位(b)を与えるモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などの不飽和モノカルボン酸モノマー;ならびに、マレイン酸フマル酸シトラコン酸メサコン酸グルタコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸モノマーおよびその酸無水物などが挙げられる。これらの中でもアクリル酸、メタクリル酸などのモノエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましい。

0022

共役ジエンモノマー由来の構造単位(c)を与えるモノマーの具体例としては、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエンなどが挙げられる。

0023

上記モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマー、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーおよび共役ジエンモノマーは、それぞれ、単独でまたは二種以上を組み合せて用いることができる。

0024

本発明においては、ポリマー粒子は構造単位bと構造単位cの何れが一方を含んでいても、両方を含んでいても良く、構造単位bと構造単位cの両方を重量比で1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは30/70〜80/20の割合で含むポリマーは結着性が特に優れ、好ましい。

0025

上述したポリマー粒子のなかでも、上記構造単位a、bおよびc以外に、多官能エチレン性不飽和モノマー由来の構造単位(d)(以下、「構造単位d」という)を有するポリマー粒子は、特に好ましい。このような構造単位dを与えるモノマーとしては、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物エチレンジグリコールジメタクリレートジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリル酸エステルトリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリル酸エステル;ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートなどのジアクリル酸エステル;トリメチロールプロパントリアクリレートなどのトリアクリル酸エステル;などの架橋性モノマーが挙げられる。構造単位dは、全構造単位に対して20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合でポリマー粒子中に存在させることができる。これらの中でも構造単位dが0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上の割合で存在すると、安定した高温での充放電サイクル特性が得られるので好ましい。

0026

これら以外の構造単位として、上記以外のモノエチレン性不飽和化合物由来の構造単位などがポリマー粒子中に全構造単位に対して15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下程度の割合で存在してもよい。

0027

本発明で用いるポリマー粒子の共重合組成の具体例を以下に例示するが、これらは未架橋ポリマー粒子でも架橋ポリマー粒子であってもよいが、架橋ポリマー粒子が耐電解液性などに優れる傾向がみられるので好ましい。

0028

アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/アクリル酸共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/アクリル酸共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/アクリル酸共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/アクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/アクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/アクリル酸/ポリエチレングリコールジアクリレート共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸/ジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/メタクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イタコン酸共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/マレイン酸共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/イタコン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル/メタクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/アクリル酸共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/メタクリル酸共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/メタクリル酸共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/メタクリル酸共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/メタクリル酸/ポリエチレングリコールジアクリレート共重合体、アクリル酸ブチル/メタクリル酸/ジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/クロトン酸共重合体、アクリル酸ブチル/クロトン酸共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/クロトン酸共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/クロトン酸共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/クロトン酸共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/クロトン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/クロトン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/クロトン酸/ポリエチレングリコールジアクリレート共重合体、アクリル酸ブチル/クロトン酸/トリメチロールプロパントリアクリレート共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/マレイン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸エチル/マレイン酸共重合体、アクリル酸ブチル/マレイン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イタコン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/1,3−ブタジエン/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/1,3−ブタジエン共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/1,3−ブタジエン共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/1,3−ブタジエン/ポリエチレングリコールジアクリレート共重合体、アクリル酸ブチル/1,3−ブタジエン/ジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/1,3−ブタジエン/メタクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/1,3−ブタジエン/マレイン酸共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/1,3−ブタジエン/マレイン酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸エチル/イソプレン共重合体、アクリル酸ブチル/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イソプレン/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/イソプレン共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/イソプレン共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/イソプレン共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/イソプレン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/イソプレン/ポリエチレングリコールジアクリレート共重合体、アクリル酸ブチル/イソプレン/ジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/エチレングリコールジメタクリレート/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/アクリル酸/ポリエチレングリコールジアクリレート/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸/ジビニルベンゼン/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/メタクリル酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/マレイン酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イタコン酸/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/メタクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/マレイン酸/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/イタコン酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸エチル/メタクリル酸/イソプレン共重合体、アクリル酸ブチル/メタクリル酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸/エチレングリコールジメタクリレート/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/アクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/メタクリル酸/イソプレン共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/メタクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/メタクリル酸/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/メタクリル酸/ポリエチレングリコールジアクリレート/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/メタクリル酸/ジビニルベンゼン/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/クロトン酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/クロトン酸/1,3−ブタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸/エチレングリコールジメタクリレート/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/クロトン酸/イソプレン共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/クロトン酸/1,3−ブタジエン共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/クロトン酸/イソプレン共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/クロトン酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/クロトン酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/クロトン酸/ポリエチレングリコールジアクリレート/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/クロトン酸/トリメチロールプロパントリアクリレート/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/マレイン酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸エチル/マレイン酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/マレイン酸/1,3−ブタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イタコン酸/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸エチル/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/イソプレン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イソプレン/エチレングリコールジメタクリレート共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/1,3−ペンタジエン共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/1,3−ペンタジエン共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/1,3−ペンタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/1,3−ペンタジエン/ポリエチレングリコールジアクリレート共重合体、アクリル酸ブチル/1,3−ペンタジエン/ジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/エチレングリコールジメタクリレート/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸ヒドロキシプロピル/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸ジエチルアミノエチル/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、クロトン酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/クロトン酸エチル/アクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/アクリル酸/ポリエチレングリコールジアクリレート/1,3−ブタジエン/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸/ジビニルベンゼン/1,3−ブタジエン/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/メタクリル酸/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/マレイン酸/1,3−ペンタジエン共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル/イタコン酸/1,3−ペンタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/メタクリル酸/1,3−ブタジエン/1,3−ペンタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸/マレイン酸/1,3−ペンタジエン共重合体、メタクリル酸2−エチルヘキシル/イタコン酸/イソプレン/1,3−ペンタジエン共重合体などが挙げられる。

0029

本発明のバインダー組成物においては、上述した特定のポリマーが粒子の形状で特定の有機分散媒中に分散されている。このような分散体を得る方法は特に制限されないが、製造効率の良さなどから、通常の方法によってポリマー粒子が水に分散されたラテックスを製造した後、ラテックス中の水を後に詳述する特定の有機分散媒に置換する方法が好ましい。置換方法としては、ラテックスに有機分散媒を加えた後、分散媒中の水分を蒸留法分別濾過法、分散媒相転換法などにより除去する方法などが挙げられるが、特に残存水分が3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下まで除去すると、極めて優れた初期電池容量向上効果が得られる。その機構はまだ明らかにはなっていないが、電池電極用スラリー中に水分があると、集電体にスラリーを塗布乾燥して電極を得る工程において、水分の乾燥が不十分となりやすいことに起因すると考えられる。

0030

ラテックスの製造方法は特に制限されず、乳化重合法懸濁重合法によって製造することができる。例えば、「実験化学講座」第28巻、(日本化学会編、丸善(株)発行)に記載された方法、すなわち、攪拌機および加熱装置付きの密閉容器に水、分散剤乳化剤架橋剤などの添加剤開始剤およびモノマーを所定の組成になるように加え、攪拌してモノマーなどを水に分散または乳化させ、攪拌しながら温度を上昇させるなどの方法で重合を開始させる方法などによって、ポリマー粒子が水に分散したラテックスを得ることができる。または、有機分散媒を用いる分散重合法によって直接本発明のバインダー組成物を製造することもできる。

0031

乳化剤や分散剤は、通常の乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などに用いられるものでよく、具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのベンゼンスルホン酸塩ラウリル硫酸ナトリウムテトラドデシル硫酸ナトリウムアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物などのアルキル硫酸塩ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩などのエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩アルキルエーテルリン酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などの非イオン性乳化剤などが例示され、これらは単独でも2種類以上を併用して用いてもよい。乳化剤や分散剤の添加量は任意に設定でき、モノマー総量100重量部に対して通常0.01〜10重量部程度であるが、重合条件によっては分散剤を使用しなくてもよい。

0032

このほか、分子量調整剤などの添加剤を使用できる。分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタンn−ドデシルメルカプタンn−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前、または重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、モノマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。

0033

重合開始剤は、通常の乳化重合分散重合、懸濁重合で用いられるものでよく、例えば、過硫酸カリウム過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩過酸化水素ベンゾイルパーオキサイドクメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物などがあり、これらは単独で、または酸性亜硫酸ナトリウムチオ硫酸ナトリウムアスコルビン酸などのような還元剤と併用したレドックス系重合開始剤として用いられ、また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアペンタノイック酸)などのアゾ化合物;2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパンジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N,−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどのアミジン化合物;などを使用することもでき、これらは単独でまたは2種類以上を組合せて用いることができる。重合開始剤の使用量は、モノマー総重量100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。

0034

重合温度および重合時間は、重合法や使用する重合開始剤の種類などにより任意に選択できるが、通常約30〜200℃であり、重合時間は0.5〜30時間程度である。アミン類などの添加剤を重合助剤として用いることもできる。

0035

さらにこれらの方法によって得られるラテックスは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)水酸化物アンモニア無機アンモニウム化合物(NH4Clなど)、有機アミン化合物エタノールアミンジエチルアミンなど)などが溶解している塩基性水溶液を加えてpH5〜10、好ましくは5〜9の範囲になるように調製してもよい。なかでも、アルカリ金属水酸化物を用いると集電体と活物質との結着性(ピール強度)の点で好ましい。

0036

なお、ここでpHは、次の条件で測定される。

0037

装置:HM−12P(東亜電波工業社製)

0038

測定温度:25℃

0039

検液量:100ml

0040

pH計の電源を入れ、30分程度安定化させる。検出部は、純水で3回以上洗い、きれいな脱脂綿で拭っておく。標準液による校正は、1点校正によって行う。pH6.86の中性リン酸塩標準液に電極を浸し、2、3度振り動かして気泡を取り除く。10分間静置した後、測定値読み取り、校正を行う。校正が終了したら、電極を純水で3回以上洗浄し、きれいな脱脂綿で拭っておく。この後、電極を被検液に浸し、2、3度振り動かして気泡を取り除く。10分間静置した後、pH表示値を読み取る。

0041

上述したポリマー粒子を分散させる有機分散媒は、常圧での沸点が80〜350℃以下、好ましくは100℃以上300℃以下、より好ましくは120℃以上280℃以下のものであり、その具体例としては以下のものが挙げられる。化合物名の後に記載された( )内の数字は常圧での沸点(単位は℃)であり、小数点以下は四捨五入または切り捨てされた値である。なお、沸点に幅がある場合は下限が80℃以上であることを確認して上限を記載した。

0042

炭化水素類ヘプタン(98)、n−オクタン(125)、イソオクタン(117)、n−ノナン(150)、デカン(174)、デカリン(194)、α−ピネン(156)、β−ピネン(163)、δ−ピネン(161)、1−クロオクタン(182)、1,2−ジクロロエタン(83)、クロロデカン(223)テトラクロロエチレン(121)、シクロヘキサン(81)、シクロヘプタン(118)、メチルシクロペンタン(101)、クロロシクロヘキサン(144)、シクロヘキセン(83)、シクロヘプテン(115)、ベンゼン(80)、トルエン(111)、o−キシレン(144)、m−キシレン(139)、p−キシレン(138)、スチレン(145)、クロロベンゼン(132)、o−クロロトルエン(159)、m−クロロトルエン(162)、p−クロロトルエン(162)、エチルベンゼン(136)、プロピルベンゼン(159)、ジイソプロペニルベンゼン(231)、ブチルベンゼン(183)、イソブチルベンゼン(173)、n−アミルベンゼン(202)、クメン(152)など。

0043

アルコール類1−プロパノール(97)、2−プロパノール(82)、1−ブタノール(117)、t−ブタノール(83)、1−ペンタノール(138)、2−ペンタノール(119)、3−ペンタノール(116)、1−ヘキサノール(157)、2−ヘキサノール(139)、3−ヘキサノール(135)、1−オクタノール(195)、2−オクタノール(179)、ベンジルアルコール(205)、4−t−ブチルカテコール(285)、シクロペンタノール(141),グリセリン(290)など。

0044

ケトン類エチルメチルケトン(80)、2−ペンタノン(102)、2−ヘキサノン(127)、3−ヘキサノン(125)、シクロペンタノン(131)、シクロヘキサノン(156)、シクロヘプタノン(180)、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(168)、イソホロン(215)など。
エーテル類:プロピルエーテル(91)、ブチルエーテル(142)、イソブチルエーテル(123)、n−アミルエーテル(188)、イソアミルエーテル(173)、メチルn−アミルエーテル(100)、エチルブチルエーテル(92)、エチルイソブチルエーテル(81)、エチルn−アミルエーテル(120)、エチルイソアミルエーテル(112)、フェネノール(170)、1,3−ジオキサン(106)、1,4−ジオキサン(101)など。

0045

エステル類ギ酸プロピル(82)、ギ酸ブチル(107)、ギ酸ペンチル(132)、酢酸イソプロピル(89)、酢酸n−プロピル(101)、酢酸n−ブチル(126)、酢酸s−ブチル(112)、酢酸t−ブチル(98)、乳酸メチル(144)、乳酸エチル(154)、乳酸ブチル(187)、安息香酸メチル(200)、安息香酸エチル(213)など。

0046

アミン類:o−トルイジン(200)、m−トルイジン(203)、p−トルイジン(200)、ジメチルアニリン(194)、ピペリジン(105)など。アミド類:N,N−ジメチルホルムアミド(153)、N−メチルピロリドン(202)、N,N−ジメチルアセトアミド(194)など。

0047

含硫黄化合物類:ジメチルスルホキシド(189)など。

0048

ニトリル基含有化合物類:ラクトニトリル(184)、エチレンシアンヒドリン(220)、アジニトリル(295)など。

0049

含酸素複素環化合物フルフラール(162)など。

0050

含窒素複素環化合物類:ピリジン(116)、ピロール(130)、ピロリジン(88)など。

0051

セロソルブアセテート類:エチルセロソルブアセテート(192)など。
グリコール類エチレングリコール(198)、ジエチレングリコール(186)プロピレングリコール(188)など。

0053

ラクトン類γ−ブチロラクトン(206)、γ−バレロラクトン(207)、γ−カプロラクトン(216)など。

0054

ラクタム類:β−ブチロラクタム(245)、δ−バレロラクタム(256)など。

0055

本発明において用いる構造単位aとb及びcとを少なくとも有する上述したポリマー粒子は、上述したモノマー組成の範囲で製造される2種以上のポリマーからなる複合ポリマー粒子であってもよい。より具体的には、複合ポリマー粒子は、例えば、ある1種以上のモノマー成分を常法により重合し、引き続き、他の1種以上のモノマー成分を添加し、常法により重合させる方法(二段重合法)などによって得ることができる。

0056

複合ポリマー粒子は異形構造をとるが、この異形構造とは、通常ラテックスの分野でコアシェル構造複合構造局在構造、だるま状構造、いいだこ状構造、ラズベリー状構造などと言われる構造(「接着」34巻1号第13〜23頁記載、特に第17頁記載の図6参照)である。

0057

本発明のバインダー組成物は、ポリマー粒子が電解液に溶解し難いことが重要である。このため、バインダー組成物中のポリマ一粒子は、対電解液ゲル含量(以下、「ゲル含量」G1という)が、50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下であることが望ましい。ここでG1は、プロピレンカーボネートエチレンカーボネートジエチルカーボネートジメチルカーボネートメチルエチルカーボネート=20/20/20/20/20(20℃での体積比)の組成を有する混合溶媒にLiPF6が1モルリットルの割合で溶解している溶液である電解液に対するポリマー粒子の不溶分として算出される値である。

0058

ゲル含量G1は、バインダー組成物を、約0.1mm厚のポリマー膜ができるようにガラス板に塗布した後、120℃で24時間風乾し、さらに120℃、24時間真空乾燥させて得られるポリマー膜の重量(D1)と、この膜をその100重量倍量の電解液に70℃で74時間浸漬した後、200メッシュのふるいで濾過して、ふるい上に残留した不溶分を120℃、24時間真空乾燥させたものの重量(D2)について測定し、次式に従って算出した値である。

0059

ゲル含量G1(%)=(D2/D1)×100

0060

一方で、本発明のバインダー組成物においては、ポリマーが粒子の形状で存在していることが重要である。ポリマー粒子の存在は透過型電子顕微鏡法によって確認できる。バインダー組成物を構成する有機分散媒に対するポリマー粒子のゲル含量は、50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下であることが、60℃での高温充放電サイクル特性上からも高温初期放電容量の点からも望ましい。このゲル含量は、対有機分散媒ゲル含量(以下、「ゲル含量G2」という)であり、バインダー組成物を形成している有機分散媒に対するポリマー粒子の不溶分で表される。

0061

ゲル含量G2は、上記ゲル含量G1の算出方法において得られるポリマー膜の重量D1と、この膜をその100重量倍量の有機分散媒(バインダー組成物の調製に用いた有機分散媒と同じ分散媒)に30℃で24時間浸漬した後、200メッシュのふるいで濾過して、ふるい上に残留した不溶分を120℃、24時間真空乾燥させたものの重量(D3)について測定し、次式に従って算出した値である。

0062

ゲル含量G2(%)=(D3/D1)×100

0063

また、本発明においてはバインダー組成物に、後述する電池電極用スラリーの塗料性を向上させる粘度調整剤流動化剤などの添加剤を併用することができる。これらの添加剤としては、カルボキシメチルセルロースメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマーおよびこれらのアンモニウム塩およびアルカリ金属塩ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩ポリビニルアルコールポリエチレンオキシドポリビニルピロリドン、アクリル酸またはアクリル酸塩ビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸またはマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールポリカルボン酸、エチレン−ビニルアルコール共重合体酢酸ビニル重合体などの水溶性ポリマーなどが挙げられる。これらの添加剤の使用割合は、必要に応じて自由に選択することができる。

0064

さらに、本発明のバインダー組成物には、上述したポリマー以外のポリマー(以下、「その他のポリマー」という)が溶存または粒子状で含まれていてもよい。これらのポリマー添加剤の量は、ポリマー粒子1重量部に対して5重量部以下が好ましい。
2.電池電極用スラリー

0065

本発明のバインダー組成物に、後述する活物質や添加剤を混合して本発明のスラリーを調製する。
(活物質)

0066

活物質は、通常のリチウムイオン二次電池で使用されるものであれば、いずれであっても用いることができる。

0067

負極活物質としては、アモルファスカーボングラファイト天然黒鉛MCMB、ピッチ系炭素繊維などの炭素質材料ポリアセンなどの導電性高分子;AxMyOz(但し、Aはアルカリ金属または遷移金属、MはCo、Ni、Al、Sn、Mnなどの遷移金属から選択された少なくとも一種、Oは酸素原子を表し、x、y、zはそれぞれ1.10≧x≧0.05、4.00≧y≧0.85、5.00≧z≧1.5の範囲の数である。)で表される複合金属酸化物やその他の金属酸化物;などが例示される。

0068

正極活物質としては、通常のリチウムイオン二次電池で使用されるものであれば特に制限されず、例えばTiS2、TiS3、非晶質MoS3、Cu2V2O3、非晶質V2O−P2O5、MoO3、V2O5、V6O13などの遷移金属酸化物やLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4などのリチウム含有複合金属酸化物などが例示される。さらに、ポリアセチレンポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子など有機系化合物を用いることもできる。

0069

本発明の電池電極用スラリー中の活物質の量は特に制限されないが、通常、ポリマー粒子(バインダー組成物中の固形分)に対して重量基準で1〜1,000倍、好ましくは2〜500倍、より好ましくは3〜500倍、とりわけ好ましくは5〜300倍になるように配合する。活物質量が少なすぎると、集電体に形成された活物質層に不活性な部分が多くなり、電極としての機能が不十分になることがある。また、活物質量が多すぎると活物質が集電体に十分固定されず脱落しやすくなる。なお、電極用スラリーに分散媒である水を追加して集電体に塗布しやすい濃度に調節して使用することもできる。
(添加剤)

0070

必要に応じて、本発明のスラリーにはバインダー組成物に添加したのと同じ粘度調整剤や流動化剤を添加してもよく、また、グラファイト、活性炭などのカーボン金属粉のような導電材などを、本発明の目的を阻害しない範囲で添加することができる。
3.リチウムイオン二次電池電極

0071

本発明の電極は、上記本発明のスラリーを金属箔などの集電体に塗布し、乾燥して集電体表面に活物質を固定することで製造される。本発明の電極は、正極、負極の何れであってもよい。

0072

集電体は、導電性材料からなるものであれば特に制限されないが、通常、鉄、銅、アルミニウムニッケルステンレスなどの金属製のものを用いる。形状も特に制限されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものを用いる。

0073

スラリーの集電体への塗布方法も特に制限されない。例えば、ドクターブレード法ディップ法リバースロール法、ダイレクトロール法グラビア法、エクストルージョン法、浸漬、ハケ塗りなどによって塗布される。塗布する量も特に制限されないが、有機分散媒を乾燥などの方法によって除去した後に形成される活物質層の厚さが通常0.005〜5mm、好ましくは0.01〜2mmになる程度の量である。乾燥方法も特に制限されず、例えば温風熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線電子線などの照射による乾燥が挙げられる。乾燥条件は、通常は応力集中が起こって活物質層に亀裂が入ったり、活物質層が集電体から剥離しない程度の速度範囲の中で、できるだけ早く有機分散媒が除去できるように調整する。

0074

さらに、乾燥後の集電体をプレスすることにより電極を安定させてもよい。プレス方法は、金型プレスロールプレスなどの方法が挙げられる。
4.リチウムイオン二次電池

0075

本発明のリチウムイオン二次電池は、電解液や本発明のリチウムイオン二次電池用電極を含み、必要に応じてセパレーターなどの部品を用いて、常法に従って製造されるものである。例えば、次の製造方法が挙げられる。すなわち、正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせ、電池形状に応じて巻く、折るなどして、電池容器に入れ、電解液を注入して封口する。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型円筒型角形、扁平型など何れであってもよい。

0076

電解液は通常、リチウムイオン二次電池用に用いられるものであればいずれでもよく、負極活物質、正極活物質の種類に応じて電池としての機能を発揮するものを選択すればよい。

0077

電解質としては、例えば、従来より公知のリチウム塩がいずれも使用でき、LiClO4、LiBF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiB10Cl10、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、CF3SO3Li、CH3SO3Li、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、低級脂肪酸カルボン酸リチウムなどが挙げられる。

0078

これらの電解質を溶解させる溶媒電解液溶媒)は通常用いられるものであれば特に限定されるものではないが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチルラクトンなどのラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタンジエチルエーテル、2−エトキシエタンテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソランなどのオキソラン類アセトニトリルニトロメタンなどの含窒素化合物類;ギ酸メチル酢酸メチル酢酸エチル酢酸ブチルプロピオン酸メチルプロピオン酸エチルなどの有機酸エステル類リン酸トリエステル炭酸ジメチル炭酸ジエチル炭酸ジプロピルのような炭酸ジエステルなどの無機酸エステル類;ジグライム類;トリグライム類;スルホラン類;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンナフタスルトンなどのスルトン類;などの単独もしくは二種以上の混合溶媒が使用できる。

0079

以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例における部および%は、特に断りがない限り重量基準である。

0080

実施例および比較例中の電極および電池の評価は以下の方法にて行った。
折り曲げ:電極を幅3cm×長さ9cmに切り、長さ方向の真ん中(端から4.5cmのところ)を直径1mmのステンレス棒支えにして180°折り曲げたときの折り曲げ部分の塗膜の状態を、10枚の電極片について評価し、10枚全てにひび割れまたは剥がれが全く生じていない場合をA、1枚以上に1箇所以上のひび割れまたは剥がれが生じた場合をBとして、二段階法によって評価した。
ピール強度:電極を上記と同様に切り、これにテープセロテープ:ニチバン製、JIS Z1522に規定)を貼り付けて電極を固定し、テープを一気に剥離したときの強度(g/cm)を各10回づつ測定し、その平均値を求めた。高温初期放電容量:後述の高温充放電サイクル特性測定時に測定される3サイクル目放電容量である。
高温充放電サイクル特性:下記の方法で製造したコイン型電池を用いて65℃雰囲気下、負極試験(実施例1〜4、比較例1〜2)は、正極を金属リチウムとして0Vから1.2Vまで、正極試験(実施例5〜8、比較例3〜4)は、負極を金属リチウムとして3Vから4.2Vまで、0.1Cの定電流法によって3サイクル目の放電容量(単位=mAh/g(活物質当たり))と50サイクル目の放電容量(単位=mAh/g(活物質当たり))を測定し、3サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を百分率で算出した値であり、この値が大きいほど容量減が少なく、良い結果である。

0081

コイン型電池の製造は、正極スラリーアルミニウム箔(厚さ20μm)に、また負極スラリー銅箔(厚さ18μm)にそれぞれドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃、15分間乾燥機で乾燥した後、さらに真空乾燥機にて5mmHg、120℃で2時間減圧乾燥した後、2軸のロールプレスによって活物質密度が正極3.2g/cm3、負極1.3g/cm3となるように圧縮した。この電極を直径15mmの円形切り抜き、直径18mm、厚さ25μmの円形ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレーターを介在させて、互いに活物質が対向し、外装容器底面に正極のアルミニウム箔または金属リチウムが接触するように配置し、さらに負極の銅箔または金属リチウム上にエキスパンドメタルを入れ、ポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介させて外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶封止して、直径20mm、厚さ約2mmのコイン型電池を製造した。電解液はLiPF6の1モル/リットルプロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート/メチルエチルカーボネート=20/20/20/20/20(20℃での体積比)溶液を用いた。
(実施例1)

0082

アクリル酸2−エチルヘキシル82部、アクリル酸5部、ブタジエン10部、エチレングリコールジメタクリレート3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部および過硫酸カリウム0.3部に水250部を加え、重合缶にて温度60℃、8時間重合した。次いで室温まで冷却した後、10%アンモニア水溶液を加えてpH6に調整し、pH調整ラテックスを得た。

0083

次いで、このpH調整されたラテックスに、有機分散媒としてN−メチルピロリドン(以下、「NMP」ということがある)を加えた後、アスピレーターを用いた減圧下、80℃水浴の条件でエバポレーターにて、水分が800ppmになるまで蒸発留去させ、ポリマー粒子(固形分)が13%のNMP分散液を得た。ポリマー粒子分で2部に相当分のNMP分散液、エチレン−ビニルアルコール共重合体2部、天然黒鉛96部にさらにNMPを加えて撹拌し、固形分濃度が42%のスラリーを調製した。ここで得られたスラリーを用いて上述の方法により負極電極を得た。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表1に示す。(実施例2)

0084

用いるモノマーなどを表1記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして重合を行った。同様に冷却後、5%水酸化リチウム水溶液を加えてpH7に調整し、pH調整ラテックスを得た。

0085

このpH調整ラテックスを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリマー粒子のNMP分散液を調製し、負極電極を製造した。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表1に示す。
(実施例3)

0086

用いるモノマーなどを表1記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして重合を行った。同様に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整し、pH調整ラテックスを得た。

0087

このpH調整ラテックスを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリマー粒子のNMP分散液を調製し、負極電極を製造した。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表1に示す。
(実施例4)

0088

用いるモノマーなどを表1記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして重合を行った。同様に冷却後、5%水酸化カリウム水溶液を加えてpH8に調整し、pH調整ラテックスを得た。

0089

このpH調整ラテックスを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリマー粒子のNMP分散液を調製し、負極電極を製造した。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表1に示す。
(比較例1)

0090

用いるモノマーなどを表1記載のとおりに変更したこと以外は実施例2と同様にして重合を行った。同様に冷却後、10%アンモニア水溶液を加えてpH7に調整し、pH調整ラテックスを得た。

0091

このpH調整ラテックスを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリマー粒子のNMP分散液を調製し、負極電極を製造した。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表1に示す。
(比較例2)

0092

用いるモノマーなどを表1記載のとおりに変更したこと以外は実施例2と同様にして重合を行った。同様に冷却後、10%アンモニア水溶液を加えてpH7に調整し、pH調整ラテックスを得た。

0093

このpH調整ラテックスを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリマー粒子のNMP分散液を調製し、負極電極を製造した。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表1に示す。
(実施例5)

0094

実施例1で得られたポリマー粒子のNMP分散液を固形分1.5部、エチレン−ビニルアルコール共重合体1.5部、活物質として天然黒鉛の代わりにコバルト酸リチウムを92部および導電剤としてカーボンブラック5部とを混合し、固形分が55%となるようにさらにNMPを添加して、撹拌機にて均一なスラリーを得た。得られたスラリーを用いて上述の方法によって正極電極を作成した。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表2に示す。
(実施例6)

0095

実施例2で得られたポリマー粒子のNMP分散液を用いたこと以外は実施例5と同様にして正極電極を得た。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表2に示す。
(実施例7)

0096

実施例3で得られたポリマー粒子のNMP分散液を用いたこと以外は実施例5と同様にして正極電極を得た。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表2に示す。
(実施例8)

0097

実施例4で得られたポリマー粒子のNMP分散液を用いたこと以外は実施例5と同様にして正極電極を得た。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表2に示す。
(比較例3)

0098

比較例1で用いたポリマー粒子のNMP分散液を用いたこと以外は実施例5と同様にして正極電極を得た。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表2に示す。
(比較例4)

0099

比較例2で用いたポリマー粒子のNMP分散液を用いたこと以外は実施例5と同様にして正極電極を得た。ポリマーのゲル含量および電極、電池の評価結果を表2に示す。

0100

以上の結果から、ポリマー粒子の構造単位aと、構造単位bおよび/または構造単位cとが前記の特定の比率であり、かつこれらの単位の合計が80%以上である場合に高温時の電池特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られることが判った。
産業上の利用可能性

0101

本発明のバインダー組成物をリチウムイオン二次電池の電極製造に用いると65℃の高温での充放電サイクル特性に優れ、さらに集電体との結着性にも優れたリチウムイオン二次電池を製造することができる。

0102

従って、上記リチウムイオン二次電池は、ノート型パソコンおよび携帯電話、PDAなどの携帯端末の電源として有用であって、高性能化、小型化、薄型化、軽量化などが進んだ製品が得られる。

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