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課題・解決手段
概要
背景
概要
本発明は、茶ポリフェノールを含有することを特徴とする抗クラミジア剤およびクラミジア感染症の治療に有効な量の茶ポリフェノールを含む組成物を患者の患部に投与することを特徴とするクラミジア感染症の予防または治療方法に関するものである。本発明で用いる茶ポリフェノールは、天然物である茶の成分である。茶は、古来より飲料として広く使用されており、安全性については全く問題がない。そのため、茶ポリフェノールも人体に対して有害な副作用がなく、かつ耐性株が出現する心配がないものである。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 3件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
請求項2
茶ポリフェノールが、(+)−カテキン、(−)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(+)−エピガロカテキン、(+)−ガロカテキンガレート、(+)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピカテキン、(−)−エピカテキンガレート、(−)−カテキンガレート、(−)−エピガロカテキン、(−)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、テアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB、テアフラビンジガレート及び遊離型テアフラビンよりなる群から選ばれた少なくとも1種のものである請求の範囲第1項記載の抗クラミジア剤。
請求項3
請求項4
請求項5
請求項6
組成物中の茶ポリフェノール濃度が、液状、乳液状等の形態で使用する場合には、0.2〜50mg/mlであり、クリーム、ペースト、ゲル、軟膏等の形態で使用する場合には、0.2〜200mg/gである請求の範囲第4項記載の予防または治療方法。
技術分野
背景技術
0003
宿主細胞外での存在型である感染性小体は食作用によって宿主細胞の液胞内に
入り、網様構造体と呼ばれる粒子に転換する。この網様構造体は、分裂によって
数を増やし、感染後期に感染性小体に成熟する。
0004
クラミジアは、トラコーマや封入体結膜炎(クラミジア・トラコマティス、Ch
lamydia trachomatis)、オウム病(クラミジア・シッタシ、C.psittaci)の病原
体として、また小児における肺炎、咽頭炎、気管支炎、副鼻腔炎、中耳炎(クラ
ミジア・ニューモニア、C.pneumoniae)等の病原体として知られている。また、
クラミジア・トラコマティスは、世界的に流行している性感染症の主な病原微生
物である。
0005
クラミジア感染症、特にクラミジア・トラコマティス(C.trachomatis)感染
症の治療には、通常抗生物質の経口投与が行われている。この場合に使用される
抗生物質としては、テトラサイクリン系のdoxycycline,mynocycline、マクロラ
イド系のclarithromycin、ニューキノロン系のofloxacin,tosufloxacin,sparf
loxacinなどがあり、治療のためには
通常、2週間程度の経口投与が行われる。しかし、抗生物質による治療の場合、
副作用の問題があることから、テトラサイクリン系やニューキノロン系の薬剤は
妊婦に投与することができない。また、抗生物質の投与には薬剤耐性株の出現と
いう危険が常に存在する。
0007
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意研究を行った結果、茶に含ま
れる茶ポリフェノールが、クラミジア属細菌に対して顕著な増殖阻害活性を有し
ていることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
0008
本発明で用いる茶は、古来より飲料として広く使用されており、安全性につい
ては全く問題がないものである。
発明の開示
0009
本発明は、茶ポリフェノールを含有することを特徴とする抗クラミジア剤であ
る。
発明を実施するための最良の形態
0012
飲用茶葉にはその製法の違いにより様々な種類があり、例えば紅茶、プアール
茶などの発酵茶、ウーロン茶、包種茶などの半発酵茶、緑茶な
どの不発酵茶並びにこれらの混合物がある。本発明では、これらのいずれも使用
することができる。
0013
本発明に用いる茶ポリフェノールとしては、該茶ポリフェノールを含有する茶
自体や、上記の茶から水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒などにより抽出して得
た抽出物、あるいはこれらの混合物等がある。また、茶抽出物を、有機溶媒分画
や吸着樹脂を用いたクロマトグラフィーにより所望の程度に精製して得られる茶
ポリフェノール高含有物を用いることもできる。これらの方法についつては、特
公平1-44234号公報、同2-12474号公報、同2-22755号公報、特開平4-20589号公報
、同5-260907号公報、同8-109178号公報などに記載されている。
0014
このようにして得られた茶抽出物や茶ポリフェノール高含有物に含まれる茶ポ
リフェノールとしては、具体的にはカテキン類、すなわち(+)−カテキン、(
−)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(+)−エピガロカテキン、(+)−
ガロカテキンガレート、(+)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピカテ
キン、(−)−エピカテキンガレート、(−)−カテキンガレート、(−)−エ
ピガロカテキン、(−)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキンガレート、
(−)−ガロカテキンガレートなど、テアフラビン類、すなわちテアフラビンモ
ノガレートA、テアフラビンモノガレートB、テアフラビンジガレート、遊離型
テアフラビンなどが含まれ、これらを単独もしくは組み合わせて用いる。
0015
また、上記の茶ポリフェノールは市販品を入手することもでき、例えばカテキ
ン類を主成分とするものとして、商品名:ポリフェノン60(三井農林株式会社
製、茶ポリフェノール含量60%以上)、商品名:ポリフェノン30(三井農林
株式会社製、茶ポリフェノール含量30%以上)、商品名:ポリフェノン70S
(三井農林株式会社製、茶ポリフェノール含量70%以上)、商品名:ポリフェ
ノンE(三井農林株式会
社製、茶ポリフェノール含量80%以上)等がある。また、テアフラビン類を主
成分とするものとして、商品名:ポリフェノン TF(三井農林株式会社製、組
成:テアフラビン16.8%,テアフラビンモノガレートA 19.5%,テ
アフラビンモノガレートB 16.1%,テアフラビンジガレート31.4%
)等がある。
0016
本発明の抗クラミジア剤は、クラミジア・トラコマティスの他、クラミジア・
ニューモニア、クラミジア・シッタシ、クラミジア・ペコラム(C.pecorum)など
のクラミジア属細菌に適用される。
0017
本発明において、上記茶ポリフェノールを使用する際には、適当な溶解化剤、
懸濁化剤、基剤などと組み合わせてクリーム状、ペースト状、ゲル状、乳液状、
液状等の組成物として用いる。例えば、茶ポリフェノールおよび/または茶ポリ
フェノール含有素材を精製水、生理食塩水、含水エタノールなどに溶解および/
または懸濁し、気道粘膜などの患部に噴霧および/または塗布することができる
。トラコーマや封入体結膜炎などには、茶ポリフェノールを精製水や緩衝液等に
溶解して点眼薬として使用したり、軟膏基剤に混和して眼軟膏として使用するこ
とができる。また、茶ポリフェノールをクリーム、ペースト、ゲル、軟膏等に混
和し、子宮頸管上皮などの患部に塗布することも可能である。
0018
本発明におけるクリーム、ペースト、ゲル、軟膏の基剤としては、例えば白色
ワセリン、黄色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、セレシン
等の炭化水素;ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレ
イン酸、リノール酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、オレイルアルコー
ル、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ラノリンアルコール等の脂肪酸高
級アルコール;セスキオレイン酸ソルビタン、ミリスチン酸イソプロピル、パル
ミチン酸イソプロピル、モノステアリン酸グリセリン等の脂肪酸エステル;ミツ
ロウ、サ
ラシミツロウ、ラノリン等のロウ;アボカド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油
、ダイズ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、卵黄油、牛脂、豚油等
の油脂;アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、デキストリ
ン、ゼラチン、カラギーナン、セラック、ロジン、カゼイン、カルボキシメチル
セルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナト
リウム、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポ
リアクリル酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、ラウロマクロゴール、ポ
リアミド樹脂、シリコン油等の高分子化合物の中から1種類または2種類以上を
適宜選択して用いることができる。
0019
また、上記の製剤には、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム
、乳酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;ベント
ナイト、カオリン、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機物;パラオキシ安息香酸メチ
ル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息
香酸ブチル等の安定化剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クエン
酸、クエン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸、ホウ酸等の防腐剤;ポリオキシ
エチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤並びに既知の経皮吸収促進剤などを必要に
応じて添加することができる。
0020
これらの場合、薬剤中の茶ポリフェノールの濃度は、患者の症状、年齢、使用
部位、使用方法などにより異なり、特に限定されないが、通常は液状、乳液状等
の形態で使用する場合には、0.2〜50mg/mL好ましくは1.6〜10m
g/mlである。また、クリーム、ペースト、ゲル、軟膏等の形態で使用する場
合には、薬剤中の茶ポリフェノールの濃度は0.2〜200mg/g、好ましく
は10〜100mg/gであ
る。
0021
本発明の抗クラミジア剤を使用する場合、クラミジアの特殊な増殖サイクルと
再発予防を考慮して、治療をある程度の期間、例えば2〜4週間程度継続するこ
とが望ましい。その間の使用頻度は、患者の症状、使用部位、使用方法、用いる
茶ポリフェノールの濃度等の要因によって異なるが、1日に1〜10回程度の使
用を毎日継続することも可能である。
0022
本発明の抗クラミジア剤の有効成分である茶ポリフェノールは、安全性が非常
に高いことから、予防的に使用することもできる。
0023
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって
制限されるものではない。
実施例1
0024
被検クラミジアとしてクラミジア・トラコマティス株を用い、104個の封入
体を形成するクラミジアを、各種濃度の茶ポリフェノール(商品名:ポリフェノ
ン70S、三井農林(株)製、カテキン含量:(−)−エピガロカテキン18
.3%、(−)−エピカテキン8.6%、(−)−エピガロカテキンガレート
0025
35.9%、(−)−エピカテキンガレート11.2%、(−)−ガロカテ
キンガレート3.5%)を含むSPG(sucrose phosphate glutamate)液中で
37℃にて30分、60分または90分インキュベートした。なお、対照として
茶ポリフェノールを含まないSPG液中で同様にしてクラミジアをインキュベー
トした。
0026
インキュベート終了後、各溶液を単層培養したHeLa229細胞に接種し、
1500rpmで60分間遠心吸着させた。その後、接種液を取り除き、クラミ
ジア培養液(1μg/mlサイクロヘキシミド含有イーグル最小必須培養液)を
加え、37℃で72時間培養した。培養終了
後、培養液を除去し、メタノールにて固定したのち、フルオレセインイソチオシ
アネート(FITC)標識抗クラミジア・トラコマティスモノクローナル抗体に
て染色し、クラミジア・トラコマティスの封入体数を計測した。
0027
結果を第1表に示した。なお、表中には、各処理における封入体数を、対照の
封入体数に対する相対値で示した。表から明らかなように、茶ポリフェノールを
0.2mg/ml添加して30分間インキュベートした場合を除けば、いずれの
処理区でもクラミジア・トラコマティス封入体数が減少した。特に、90分間イ
ンキュベートした場合には、茶ポリフェノールを1.6mg/ml以上添加する
と、クラミジア・トラコマティスの発育が完全に阻止された。
実施例2
0028
被検クラミジアとしてクラミジア・トラコマティス株を用い、104個の封入
体を形成するクラミジアを、各種濃度の(−)−エピカテキンガレートまたは(
−)−エピガロカテキンガレートを含むSPG液中で37℃にて90分間インキ
ュベートした。
0029
インキュベート終了後、各溶液を単層培養したHela229細胞に接種し、
1500rpmで60分間遠心吸着させた。その後、接種液を
取り除き、クラミジア培養液(1μg/mlサイクロヘキシミド含有イーグル最
小必須培養液)を加え、37℃で72時間培養した。培養終了後、培養液を除去
し、メタノールにて固定したのち、FITC標識抗クラミジア・トラコマティス
モノクローナル抗体にて染色し、クラミジア・トラコマティスの封入体数を計測
した。
0030
その結果、(−)−エピカテキンガレートおよび(−)−エピガロカテキンガ
レートは、それそれ0.8mg/ml、1.6mg/mlの濃度でクラミジア・
トラコマティスの発育を完全に阻止することがわかった。
実施例3
0031
以下の各処方により、抗クラミジア剤を作成した。なお、茶ポリフェノールと
して使用した「ポリフェノンE」の組成分析値は下記の通りである。
0032
「ポリフェノンE」の組成
(−)−エピガロカテキン12%
(−)−エピカテキン9%
(−)−エピガロカテキンガレート53%
(−)−ガロカテキンガレート6%
(−)−エピカテキンガレート4%
産業上の利用可能性
0033
本発明により、クラミジア感染症に対して有効、かつ安全性が高い予防、治療
薬が提供される。この薬剤は、副作用がない上に、抗生物質を投与する場合とは
異なり、耐性株が出現する心配がない。
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