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技術 ポリエステル繊維及びそれを用いた布帛

出願人 旭化成株式会社
発明者 加藤仁一郎藤本克宏石渕哲子
出願日 1998年9月3日 (21年5ヶ月経過) 出願番号 1999-516612
公開日 2000年6月27日 (19年7ヶ月経過) 公開番号 WO1999-011845
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 商品性能 商品展開 保温領域 布帛物 判断指標 ピング周期 三角型 使用可能領域
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年6月27日)のものです。
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課題・解決手段

少なくとも90重量%以上のポリトリメチレンテレフタレートから構成される極限粘度0.4〜2のポリエステル繊維において、リン元素量として10〜250ppmに相当するリン化合物を含み、更に3重量%以下の環状ダイマーを含み、前記のポリトリメチレンテレフタレートが共重合されたビス(3−ヒドロキシプロピルエーテルを2重量%以下含み、更に繊維の複屈折率が0.03以上であることを特徴とするポリエステル繊維を開示する。このポリエステル繊維は、白度溶融定性紡糸安定性の改良されたポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物溶融紡糸によって得られる、白度、強度に優れたポリトリメチレンテレフタレート系繊維であり、加工性が良好で、ストレッチ繊維等と混用することにより、各種衣製品等に汎用のポリエステル繊維、ナイロン繊維では得られない機能を付与した布帛を提供することができる。

概要

背景

概要

少なくとも90重量%以上のポリトリメチレンテレフタレートから構成される極限粘度0.4〜2のポリエステル繊維において、リン元素量として10〜250ppmに相当するリン化合物を含み、更に3重量%以下の環状ダイマーを含み、前記のポリトリメチレンテレフタレートが共重合されたビス(3−ヒドロキシプロピルエーテルを2重量%以下含み、更に繊維の複屈折率が0.03以上であることを特徴とするポリエステル繊維を開示する。このポリエステル繊維は、白度溶融定性紡糸安定性の改良されたポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物溶融紡糸によって得られる、白度、強度に優れたポリトリメチレンテレフタレート系繊維であり、加工性が良好で、ストレッチ繊維等と混用することにより、各種衣製品等に汎用のポリエステル繊維、ナイロン繊維では得られない機能を付与した布帛を提供することができる。

目的

効果

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請求項1

下記の(1)〜(5)の条件を満たす、極限粘度が0.4〜2のポリエステル繊維(1)90重量%以上がポリトリメチレンテレフタレートから構成されること(2)リン元素量として10〜250ppmに相当するリン化合物を含むこと(3)3重量%以下の環状ダイマーを含むこと(4)2重量%以下のビス(3−ヒドロキシプロピルエーテルを含んでいて、かつポリトリメチレンテレフタレートに共重合されていること(5)複屈折率が0.03以上であること。

請求項2

重縮合触媒として用いられる金属元素モル数に対するリン化合物のリン元素のモル数の割合が、0.4〜3であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維。

請求項3

リン化合物が、O=P(OR1)(OR2)(OR3)なるホスフェートまたは、P(OR4)(OR5)(OR6)なるホスファイトであることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル繊維。

請求項1

、R2、R3、R4、R5、R6は異種または同種であり、水素原子、または炭素数1〜8までの有機基アルカリ金属アルカリ土類金属から選ばれたものである。

請求項4

5〜200ppmのコバルト元素量に相当するコバルト化合物が更に含有されることを特徴とする請求項1〜3記載のポリエステル繊維。

請求項5

コバルト化合物が酢酸コバルト蟻酸コバルト炭酸コバルトコバルトアセチルアセトネート硫酸コバルトから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載のポリエステル繊維。

請求項6

共重合されたビス(3−ヒドロキシプロピル)エーテルが0.4〜1重量%であることを特徴とする請求項1〜5記載のポリエステル繊維。

請求項7

ヒンダードフェノール系酸化防止剤を1重量%以下含有することを特徴とする請求項1〜6記載のポリエステル繊維。

請求項8

極限粘度が0.81〜2であり、環状ダイマー量が2重量%以下であることを特徴とする請求項1〜7記載のポリエステル繊維。

請求項9

請求項1〜9記載のポリエステル繊維を全部または一部に使用した布帛

技術分野

0001

本発明は、白度、安定性に優れ高強度発現が容易なポリエステル繊維及びそれ
を用いた布帛係り、詳しくは、白度、紡糸安定性に優れ、溶融状態での分子
低下が大幅に抑制されたポリトリメチレンテレフタレート樹脂を用いて製造され
る白度、強度の優れたポリエステル繊維及びそれを用いた布帛に関する。

背景技術

0002

ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、低弾性率から由来するソフトな風合
い、優れた弾性回復性、易染性といったナイロン繊維に類似した性質と、ウォ
シュアンドウエアー性、寸法安定性、耐黄変性といったポリエチレンテレフタ
ート繊維に類似した性質を併せ持つ画期的な繊維であり、その特徴を生かして、
衣料カーペット等への応用が進められつつある。

0003

ポリトリメチレンテレフタレートは、化学構造的に類似するポリエチレンテレ
フタレートポリブチレンテレフタレートと同様の方法で重合できる。すなわち
、まず、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級
アルコールジエステルと、トリメチレングリコール(または、1,3−プロパン
ジオールともいう)とを、無触媒、あるいは金属カルボン酸塩チタンアルコ
サイド有機酸等の触媒存在下、式(1)で示されるエステル交換反応を加熱し
ながら行い、その後、式(2)で示される重縮合反応を、チタンアルコキサイド
アンチモン酸化物等の触媒を用いて減
圧下で行うことができる。

0004

ROOCφCOOR + HOCH2CH2CH2OH →
HOCH2CH2CH2OOCφCOOCH2CH2CH2OH + ROH ・・・式(1)

0005

(R:-Hまたは-CH3、φ:パラ結合するベンゼン環

0006

HOCH2CH2CH2OOCφCOOCH2CH2CH2OH →
(OCH2CH2CH2OOCφCO)n ・・・式(2)

0007

しかしながら、ポリトリメチレンテレフタレートの重合は、ポリエチレンテレ
フタレートやポリブチレンテレフタレートとは異なって技術的に様々な困難さを
伴い、未だ解決されていない課題がある。すなわち、この技術課題は概ね白度、
紡糸安定性および溶融安定性の3つの問題に集約できる。

0008

白度に関する問題とは、重合段階ポリマーが黄色く着色するために、得られ
た繊維や布帛も着色し、商品性能が損なわれることである。ポリトリメチレン
レフタレート繊維のソフトな風合いや、優れた弾性回復性、イージーケア特性を
生かせる分野として、特にインナーウエアパンテイストキングスポーツ
エア、アウターウエア等が有望である。これらの分野に商品展開するためには繊
維の白度が十分高く、そのために淡色から濃色のあらゆる色がきれいに発色する
ことが必要となる。しかしながら、ポリトリメチレンテレフタレートは重合段階
で着色しやすく、仮に白度が劣り着色したポリマーを用いて繊維や布帛を製造し
ても、染色した繊維製品発色は鮮明さ失われ、商品性が著しく損なわれることに
なる。

0009

紡糸安定性に関する問題とは、ポリマーに含まれる不純物が多く、それらが紡
糸安定性に悪影響を及ぼすことである。すなわちポリトリメチレンテレフタレー
トの重合過程では、環状ダイマー、その他の環状、線状オリゴマー等の含有量
多く、それらが紡糸時に紡口周り析出し、糸切れや紡口を掃除する頻度(ワイ
ピング周期
いう)が高くなるという問題がある。とりわけ、環状ダイマーの量が多く、上記
の問題の主原因となっている。

0010

溶融安定性に関する問題とは、溶融したポリマーの熱安定性が乏しく、分子量
が低下したり、ポリマーが着色したりすることである。特に、分子量の低下が起
こりやすいということは、ポリマーの段階で分子量を高くしておいても溶融紡糸
の段階で分子量が低下してしまうことを意味する。このような現象が起こると、
繊維の強度を高めることが困難になり、布帛製品引き裂き強度や破裂強度の低
下といった商品の基本性能に悪影響を及ぼす。

0011

これらの3つの技術課題を完全に解決できれば、白度に優れ、工業的に生産
易い、十分な強度を持つポリトリメチレンテレフタレート繊維が得られるものの
、これまでの公知技術ではこれらの要件を全て満足するポリトリメチレンテレフ
タレート及び、それを用いた繊維は知られていなかった。

0012

ポリトリメチレンテレフタレートの白度や紡糸性を向上させる方法としては、
いくつかの公知技術が知られている。

0013

例えば、特開平5−262862号公報には、白度を向上させるために、重合
触媒として錫触媒を用いる技術が開示されている。しかしながら、本発明者らの
検討によれば、錫触媒を用いると重合速度は非常に速いが、白度は触媒としてチ
タンアルコキシドを用いたときよりもむしろ悪くなった。また、エステル交換
媒として酢酸亜鉛重縮合触媒として錫触媒を用いているが、このような組み合
わせで固相重合を行わずに溶融重合のみ行うと、環状ダイマー量が3重量%を越
えるので、紡糸安定性はよくない。また、この引例の実施例では重合中にトリ
シルホスフェートを最大500ppmを共存させている。このような長鎖を持つ
化合物を共存させると、染色段階で泡が出たり、染色斑を起こしやすくなるとい
った欠点を有
する。更に、錫触媒やトリデシルホスフェートを用いると、得られる繊維の強度
が低く、3.5g/d以上の強度を発現することは困難であった。

0014

また、白度を向上させるために、エステル交換反応触媒としてチタン触媒、重
縮合触媒としてアンチモン触媒を用いることが提案されている(ケミカルファ
イバーインターナシナル第45巻、263〜264頁、1996年)。こ
の文献では副生成物の発生についても触れられており、ポリトリメチレンテレフ
タレートにはオリゴマーが場合によっては3%以上含有され、これらの不純物が
紡糸工程や染色工程で問題になることが示されている。しかしながら、本発明者
らの検討によれば、アンチモン触媒を用いると重合速度が遅くなり、そのために
ポリマーが高温で曝される時間が長くなってむしろ白度は低下する。またこの方
法は、オリゴマー量の削減、ポリマーの溶融安定性の向上について、具体的な示
唆したものではない。

0015

特開平8−311177号公報には、紡糸工程で紡糸口金面やその付近に生成
する白粉を少なくし、糸切れを抑制するために、常法で得たポリトリメチレンテ
レフタレートを減圧下、190〜200℃程度で固相重合を行うことで、極限
度が0.9以上、b値(チップの黄色み判断指標)が10以下、オリゴマー含
有率が1重量%以下のポリトリメチレンテレフタレート樹脂が得られることにつ
いて記載れている。この公報記載の実施例を参照すると、リン化合物コバルト
化合物を用いないで、テレフタル酸と1,3−プロパンジオールを無触媒でエス
テル交換させ、その後テトラブチルチタネートチタンブトキシド)を添加し、
極限粘度0.70のプレポリマーを調製後、固相重合して極限粘度1.02のポ
リマーを得ている。しかしながら、このようなポリマーは溶融すると、急激に熱
分解して、分子量が低下する。従って、この方法で得た高重合度のポリマーは、
紡糸段階で生じる粘度低下のために十分な強度をもつ繊維にはならない。

0016

国際出願(WO)9823662号公報には、空気中で加熱されたときに発生
するアクロレイン量を低下させるために、ヒンダードフェノール部分で末端封鎖
されたポリトリメチレンテレフタレート及びその製造方法が開示されている。こ
の公知例では、テレフタル酸、トリメチレングリコール、ヒンダードフェノール
部分を有するエステル形成単官能ジカルボン酸トリフェニルホスファイト
安定剤存在下、高圧下でエステル交換反応を行い、その後重縮合反応させてポリ
マーを得ている。しかしながら、ここで用いるトリフェニルホスファイト系安定
剤は、高温の真空下で行う重縮合反応過程で部分的に昇華し、得られるポリマー
中のリン元素量が著しく低減してしまう。従って、得られるポリマーは溶融安定
性が低く、強度の高い繊維を得ることが困難となる。またこの公知公報には、ポ
リマーの溶融安定性が繊維の強度に与える問題について、示唆する記載がない。
この公知公報中、ビス(3−ヒドロキシプロピルエーテルがポリマーに約4モ
ル%(2重量%を越える)含まれることが記載されているが、このようなポリマ
ーは、耐熱性耐光性が著しく低いものであるから、衣料用繊維の製造に用いる
ことができない。更に、この公知技術は、エステル交換反応を高圧下で行う技術
であるから、、工業的には高圧に耐える大がかりな設備が必要となり、経済的に
不利な技術である。

0017

特開平9−195142号公報には、テレフタル酸と1,3−プロパンジオ
ルをエステル交換の後、250℃で重縮合を経て得られた極限粘度0.92のポ
トリメチレンテレフタレートを用いた繊維が開示されており、実施例には、強
度5.2g/d、伸度41
%の繊維が複合糸芯糸として用いる例が記載されている。しかしながら、この
公知技術を用いて、ポリマーの白度、溶融安定性の問題を克服して、実用レベル
の強度を持つ繊維を安定して工業的に製造することが困難である。なぜならば仮
に、このような強度を持つ繊維を得ることができても、重縮合温度が250℃と
低いためにこのポリマーは3重量%以上の環状ダイマーを含むことになり、毛羽
や糸切れが多くなり、均質性の低い糸となってしまうからである。

発明の開示

0018

本発明の目的は、白度の高い強度の優れたポリトリメチレンテレフタレート繊
維を提供することにある。

0019

本発明のもう一つの目的は、紡糸安定性に優れたポリトリメチレンテレフタレ
ートを用いた白度、強度の優れたポリエステル繊維を提供することである。本発
明の更にもう一つの目的は、鮮麗に染まる強度の優れたポリトリメチレンテレフ
タレート繊維を提供することにある。

0020

本発明者らは、それ自体白度に優れ、溶融紡糸段階での着色が少なく、かつ高
強度の繊維が得られ易いポリトリメチレンテレフタレートの製造方法を得るべく
種々検討した結果、リン化合物の存在下の重合条件を最適化することで白度や紡
糸安定性、溶融安定性に好ましくない影響を及ぼす不純物の量を低下させること
成功し、かくして得られるポリマーの溶融紡糸等の繊維を製造するプロセス条
件の委細を検討することよって、本発明の前記目的を達成した。

0021

すなわち本発明は、下記の(1)〜(5)の条件を満たす、極限粘度が0.4
〜2のポリエステル繊維である。

0022

(1)90重量%以上がポリトリメチレンテレフタレートから構成されること

0023

(2)リン元素量として10〜250ppmに相当するリン化合物を含むこと

0024

(3)3重量%以下の環状ダイマーを含むこと

0025

(4)2重量%以下のビス(3−ヒドロキシプロピル)エーテルを含んでいて
、かつポリトリメチレンテレフタレートに共重合されていること

0026

(5)複屈折率が0.03以上であること。

0027

本発明のポリエステル繊維は、繊維の重量に対して90重量%以上がポリトリ
メチレンテレフタレートから構成されるポリエステル繊維である。

0028

ここでポリトリメチレンテレフタレートとは、テレフタル酸を酸成分とトリメ
レングリコール(1,3−プロパンジオールともいう)をジオール成分とした
ポリエステルである。このポリトリメチレンテレフタレートは、繊維重量に対し
10重量%以下で他の共重合成分を含有してもいてもよい。このような共重合成
分として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル
酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3,5−ジカル
ボンベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸
ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸ベン
スルホン酸トリブチルメチルホスホニウム塩、2,6−ジカルボン酸ナフタ
ン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、2,6−ジカルボン酸ナフタ
レン−4−スルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸ベン
ゼンスルホン酸アンモニウム塩、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタメチ
レングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコールヘプタメチレングリコー
ル、オクタ
チレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シク
ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロ
キサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、シュウ酸マロン
酸、コハク酸グルタル酸アジピン酸ヘプタン二酸オクタン二酸、セバシ
ン酸、ドデカン二酸、2−メチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸フマル酸
マレイン酸イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等のエステル
形成性モノマーが挙げられる。

0029

本発明のポリエステル繊維の極限粘度[η](固有粘度ともいう)は、0.4
〜2.0であることが必要である。極限粘度が0.4未満の場合は、ポリマーの
重合度が低すぎるため、得られる繊維の強度が低くなる他、紡糸性が不安定とな
る。逆に極限粘度が2.0を越える場合は、溶融粘度が高すぎるので、ギアポン
プでの計量がスムーズに行われなくなり、吐出不良等で紡糸性が低下する。更に
好ましい極限粘度は、0.6〜1.5、特に好ましくは0.6〜1.4である。

0030

本発明のポリエステル繊維は、10〜250ppmのリン元素量に相当するリ
ン化合物を含有していることが必要である。モノマーが重合から衣料製品になる
までには、溶融重合、固相重合、高温でのチップ乾燥、溶融紡糸、精練、熱セッ
ト、染色等の工程を経るが、リン化合物はこれらの各段階段階での着色防止、溶
融安定性の向上に非常に大きな効果を発揮する。

0031

以下、リン化合物に関して詳細に説明する。

0032

ポリトリメチレンテレフタレートは、一般的によく衣料用に用い
られるポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートとは異なり、
とりわけ溶融重合、乾燥や溶融紡糸で黄色く着色しやすい。リン化合物はこれら
の着色の抑制に特に有効である。

0033

また、ポリトリメチレンテレフタレートは溶融安定性が低いために紡糸時に重
合度が低下しやすく、仮に極限粘度の高い原料ポリマー樹脂組成物(以下単に
原料という)を用いて紡糸をしても、この重合度低下によって得られた繊維の強
度がそれほど高くならないといった欠点を有する。リン化合物はこの粘度低下に
対しても大きな抑制効果を示す。

0034

リン化合物としては有機リン化合物が好ましく、特に着色防止、溶融安定性の
効果が優れ、紡糸性に悪影響を及ぼさないリン化合物としては、O=P(OR1
)(OR2)(OR3)なるホスフェートまたは、P(OR4)(OR5)(OR6
)なるホスファイトがある。更に、ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6は異
種または同種であり、水素原子、または炭素数1〜8までの有機基アルカリ
属、アルカリ土類金属から選ばれたものが好ましい。R1、R2、R2、R4、R5
、R6が炭素数が9以上の有機基では、染色段階で泡が出たり、そのためか染色
を起こしや易くなったり、強度が高くなりにくいといった欠点を有する。これ
らのR1、R2、R3、R4、R5、R6のうち、リン化合物の一つのアルコキシ基
水素原子または、炭素数が1〜8のアルキル基であることが好ましい。これは、
これらのアルコキシ基はトリメチレングリコールとエステル交換して、ポリマー
中に分散しやすい形態となるからである。分子オーダーで分散したこのようなリ
ン化合物は、特に着色防止、溶融安定性向上の効果が高い。これに対し、R1、
R2、R3、R4、R5、R6が全てフェノキシ基あるいは、そのベンゼン環上の水
素原子の一部、もしくは全部が置換された基は、トリ
メチレングリコールとエステル交換しにくいために、分子オーダーで分散しにく
くなったり、あるいは昇華性を有するために重合中に系外へ飛散して着色防止、
溶融安定性向上の効果が低くなる傾向がある。従って、リン化合物の少なくとも
1つのアルコキシ基は水素原子、または炭素数1〜8までのアルキル基、アル
リ金属、またはアルカリ土類金属であることが好ましい。また、リン化合物とし
ては、P(OR4)(OR5)(OR6)なるホスファイトは若干重合を阻害する
傾向にあるため、特にO=P(OR1)(OR2)(OR3)なるホスフェートの
使用が好ましい。

0035

これらのリン化合物の好ましい具体例としては、リン酸トリメチルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフ
ェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチル
ホスフェート、トリオクチルホスフェートジメチルエチルホスフェート、ジメ
チルホスフェート、メチルホスフェート、3−ヒドロキシプロピルホスフェート
、ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフェート、トリス(3−ヒドロキシプロ
ピル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート亜リン酸、トリメチルホスフ
イトトリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリブチルホス
ファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチ
ルホスファイト、トリオクチルホスファイト、ジメチルエチルホスファイト、ジ
メチルホスファイト、メチルホスファイト、3−ヒドロキシプロピルホスファ
ト、ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスファイト、トリス(3−ヒドロキシプ
ロピル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、リン酸ナトリウム、リン酸
カリウム、リン酸マグネシウムリン酸カルシウムリン酸ジメチルナトリウム
、リン酸メチルジナトリウム等が挙げられ、着色防止、溶融安定性の効果が優れ
、重合を妨げる能力が低いという観点からリン酸、トリメチルホスフェート、ト
エチルホスフェート、トリプロピルホスフェートが特に好ましい。

0036

繊維中に含まれるリン化合物の量は、繊維中に含まれるリン元素重量分率
以て示すことができ、その範囲は、10〜250ppmであることが必要である
。10ppm未満では着色防止、粘度低下抑制の効果が十分に発揮されず、25
0ppmを越えると、これらの効果は十分に得られるものの、重合触媒が部分的
失活するために溶融重合や固相重合が進行しにくくなる。好ましいリン元素の
重量分率は、35〜150ppm、更に好ましくは50〜120ppmである。

0037

なお、詳細は後述するが、ポリトリメチレンテレフタレートの重合においては
、重縮合触媒としてチタンブトキシド、チタンイソプロポキシドのようなチタン
アルコキシドや三酸化アンチモン等の金属触媒を用いる。重縮合触媒として用い
金属化合物中の金属元素の種類としては、その活性の高さからチタン、スズ、
アンチモンが用いられる。本発明で用いるリン化合物は、これらの重縮合触媒と
反応して重合時間が若干長くなる場合がある。そこで、重合時間が長くなること
を抑制し、かつ着色防止、溶融安定性の向上を達成するためには、重縮合触媒と
して用いる金属元素のモル数に対するリン化合物のリン元素のモル数との割合を
好ましくは0.4〜3、特に好ましくは0.55〜2に設定するのがよい。

0038

本発明のポリエステル繊維は、コバルト化合物をリン化合物と併用することが
特に好ましく、その併用により溶融重合、乾燥や溶融紡糸での着色を著しく少な
くする相乗効果がある。コバルト化合物としては、酢酸コバルト蟻酸コバルト
炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート硫酸コバルト塩化コバルト
、臭化コバ
ト、水酸化コバルト硝酸コバルト、炭酸コバルト等が挙げられ、無水物であっ
ても、水和物であってもよい。これらのコバルト化合物の内、特に好ましくは、
着色防止効果が優れている観点から、酢酸コバルト、蟻酸コバルト、炭酸コバル
ト、コバルトアセチルアセトネート、硫酸コバルトである。

0039

本発明のポリエステル繊維中に含まれるコバルト化合物の量としては、繊維中
に含まれるコバルト元素の重量分率を以て示すことができ、その範囲としては5
〜200ppmであることが好ましい。5ppm未満では着色防止効果が十分に
発揮されず、200ppmを越えると、ポリマーが青く着色したり、黒みを帯び
たりする。好ましくは、10〜150ppm、更に好ましくは10〜100pp
mである。

0040

本発明のポリエステル繊維に含まれる環状ダイマーの量は、繊維重量に対して
3重量%以下であることが必要である。ここで述べる環状ダイマーとは、トリメ
チレンテレフタレート単位が環状につながったダイマーである。この環状ダイ
ーが3重量%よりも多く原料に含まれると、紡糸時に紡口の周り、油剤ノズル
ガイドに析出し、ワイピング周期が短くなる他、酷い場合には毛羽や糸切れが発
生する。2週間以上の長時間紡糸を安定に行うためには、環状ダイマーは、2重
量%以下、更に好ましくは1重量%以下に維持することが望まれる。

0041

本発明のポリエステル繊維に含まれるビス(3−ヒドロキシプロピル)エーテ
ル(HOCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OH:以下、BPEと略記)は、繊
維の重量に対して2重量%以下であることが必要である。BPEは、重合過程で
以下の式に示すようにトリメチレングリコールが2量化して生成して、そのまま
ポリトリメチレンテレフタレート中に共重合される。BPEの生成量は、
重合触媒、添加剤重合温度、重合時間、トリメチレングリコールの量に依存す
る。
2HOCH2CH2CH2OH→HOCH2CH2CH2OCH2CH2CH2OH

0042

共重合されたBPEは、エーテル単位を有するので、繊維の熱安定性や耐光性
を低下させる。BPEの量が2重量%を超すと、原料の溶融安定性が著しく低下
してその結果、繊維が着色したり、繊維の強度が低下し易くなる。

0043

しかしながら、BPEは繊維に悪影響のみを及ぼすのではなく、BPEの量が
増えると、得られた繊維の分散染料に対する染色性が向上することがわかった。
特に、BPEの量が0.5〜1重量%の範囲であると、溶融安定性や耐光性の大
きく低下なしに、繊維は常圧可染性を示す。繊維が常圧可染性を示すということ
は、例えば、100℃以上の温度で染色すると劣化が生じる他の繊維、例えば、
ポリウレタン繊維ウールアセテート繊維等と混用した複合布帛の常圧染
色が可能になり、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の使用可能領域を広げる
ことになる。なお、おおよそ4%owf以下の染料濃度の場合にはこの効果は顕
著である。これらのことから、本発明のポリエステル繊維に含まれるBPEは、
好ましくは1重量%以下であり、更に好ましくは0.4〜1重量%である。

0044

本発明のポリエステル繊維には必要に応じて、各種の添加剤、例えば、艶消し
剤、熱安定剤消泡剤整色剤難燃剤酸化防止剤紫外線吸収剤赤外線
収剤結晶核剤増白剤などを共重合、または混合してもよい。

0045

特に、本発明のポリエステル繊維の溶融紡糸時の粘度低下を抑制したり、紡糸
前の乾燥や熱処理時に、剌激臭の強いアクロレインやアリルアルコール等の熱分
解によって生成する低分子量物の副生を抑えるためには、ヒンダードフェノール
系酸化防止剤を添加するこ
とも好ましい。このようなヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、公知の
ものを使用してよく、例示するならばぺンタエリスリトール−テトラエキス[3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート]、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル
)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシベンジルベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−
tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ]−
1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]
ウンデカン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6
ジメチルベンゼンイソフタル酸トリエチルグリコール−ビス[3−(3−
tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,
6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
フェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−エチレン−ビス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]を例示しうる。中でもペンタエリスリトール−テトラエキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げら
れる。この場合、ヒンダードフェノール系酸化安定剤はポリトリメチレンテレフ
タレートに結合していてもよく、単に繊維中に分散していてもよい。ヒンダード
フェノール系酸化安定剤の添加量としては、繊維重量に対して、1重量%以下で
あることが好ましい。添加量が1重量%を超えると着色する場合があることと、
1重量%以上添加しても溶融安定性を向上させる能力が飽和するからである。ヒ
ンダードフェノール系酸化安定剤の添加
量は、好ましくは0.02〜0.5重量%である。

0046

更に、白度を向上させるためには増白剤を用いてもよく、例えば、イースト
ン社のイーストブライトや、特開平5−262862号公報に記載されているホ
スタパーム顔料が挙げられる。用いる増白剤の量としては、繊維の重量に対して
増白効果染色物発色性の観点から0.5重量%以下が好ましい。

0047

本発明で用いられる原料の製造方法については特に制限はないが、好ましい方
法には大別して以下の2つの方法がある。

0048

第一の方法は、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルコール
ジエステルとトリメチレングリコールを用いる方法である。

0049

すなわちテレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルコールジエス
テルとトリメチレングリコールを200〜240℃の温度で反応させてエステル
交換させ、その後少なくとも1torr以下、好ましくは0.5torr以下の
減圧下、250〜290℃、好ましくは260〜280℃で重縮合反応させて目
的とするポリマーを得る。ここで重縮合反応温度は特に重要であり、温度が高く
なると反応速度は速くなるが、着色しやすくなる。逆に260℃よりも低い温度
で重合すると、環状ダイマー量が増えてしまう。従って、反応速度と環状ダイマ
ー量をよくバランスさせて反応温度を選択することが好ましい。好ましい重縮合
温度は、260〜280℃である。

0050

テレフタル酸の低級アルコールジエステルとトリメチレングリコールエステル
交換触媒の仕込み時のモル比は、1:1.3〜1:4、好ましくは1:1.5〜
1:2.5である。1:1.3よりもトリメチレングリコールが少なければ、反
応時間が著しく長くなって原料が着色してしまう。1:4よりもトリメチレング
リコールの量
が多いものになると、BPEの生成量が2重量%よりも多くなってしまう。

0051

エステル交換触媒は必ず用いることが必要であり、好ましい例としては例えば
酢酸カルシウム酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸チタン等が挙げられる。
エステル交換触媒の添加量は、用いるテレフタル酸ジエステルに対して、好まし
くは0.02〜0.1重量%である。なお、酢酸マンガンもエステル交換触媒と
して作用するが、環状ダイマー量が3重量%を越えるために、後述するように環
状ダイマーの生成量を低減させる目的で、固相重合を行わない場合には、酢酸マ
ガンの使用は避けるべきである。

0052

重縮合触媒は必ず用いることが必要であり、例えば、チタンテトラブトキシド
チタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド、酢酸アン
チモン、三酸化アンチモン等が挙げられるが、反応速度が速く、環状ダイマー量
が少ない点でチタンテトラブトキシドが特に好ましい。重縮合触媒の添加量は、
用いるテレフタル酸ジエステルに対して、好ましくは0.03〜0.1重量%で
ある。

0053

第一の方法により、原料の極限粘度は、0.4から0.8程度まで到達させる
ことができる。また、環状ダイマー量は通常2〜3重量%、BPEの量は0.2
重量%以下である。

0054

第二の方法は、テレフタル酸とトリメチレングリコールを用いる方法である。

0055

すなわちテレフタル酸とトリメチレングリコールを200〜240℃の温度で
反応させてエステル交換させ、その後少なくとも1torr以下、好ましくは0
.5torr以下の減圧下、250〜290℃、特に好ましくは第一の方法と同
じ理由から260〜280℃で重縮合反応させて目的とする原料を得る。この場
合、エステル
交換反応を円滑に進めるために、反応開始の段階で、エステル交換反応物である
テレフタル酸ビス(3−ヒドロキシプロピル)を5〜50重量%添加して、反応
を均一に行う方法も反応速度を速める観点から好ましい。

0056

テレフタル酸とトリメチレングリコールエステル交換触媒の仕込み時のモル比
は、1:1.3〜1:4、好ましくは1:1.5〜1:2.1である。1:1.
3よりもトリメチレングリコールが少なければ、反応時間が著しく長くなって原
料が着色してしまう。また1:4よりもトリメチレングリコールの量が大きくな
ると、BPEの生成量が2重量%よりも多くなってしまう。

0057

第二の方法では、テレフタル酸から遊離するプロトンがエステル交換触媒とし
て働くために、エステル交換触媒は必ずしも必要ではないが、反応速度を速める
ためには用いることが好ましい。好ましい例としては例えば、チタンテトラブト
キシドやチタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド等が
挙げられる。エステル交換触媒量としては、用いるテレフタル酸に対して好まし
くは0.02〜0.1重量%である。

0058

重縮合触媒は必ず用いることが必要であり、例えば、チタンテトラブトキシド
やチタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド、酢酸アン
チモン、三酸化アンチモン等が例として挙げられるが、反応速度が速く、環状ダ
イマー量が少ない点でチタンテトラブトキシドが特に好ましい。重縮合触媒量と
しては、用いるテレフタル酸に対して好ましくは0.03〜0.1重量%である

0059

こうして第二の方法で得られた原料の極限粘度は、0.4〜0.8程度まで到
達させることができる。また、環状ダイマー量は通常2〜3重量%、BPE量は
0.5〜1.0重量%である。従って、
得られる繊維の染色性を高めるためには、原料にテレフタル酸を用いるのがよい

0060

なお、本発明に用いるリン化合物やコバルト化合物又、ヒンダードフェノール
系酸化防止剤や増白剤等は、上記2つの方法のいずれの場合においても、重合の
どの段階で添加してもよく一気にあるいは数回に分けて添加してもよいが、リン
化合物の添加は、エステル交換反応終了後以降がエステル交換反応を阻害するこ
となく着色を最も抑えられる点で好ましい。なお、重合中の内容物の温度が用い
るリン化合物の沸点よりも高くなる場合は、そのまま添加すると、蒸発して所定
の量を添加することができなくなる。このような場合は、一度トリメチレングリ
コールに少なくとも50℃以上の温度で溶解させ、一度トリメチレングリコール
と反応させて沸点を高めてから添加する方法が特に好ましい。このような方法を
用いることで、所望するリン元素量を原料に付与することが可能となる。また、
コバルト化合物については、エステル交換触媒としても働くことができるので、
エステル交換反応前に添加するのが好ましい。

0061

以上説明した二つの方法で得られた原料は本発明のポリエステル繊維を製造す
るために必要なものであるが、これらの方法では、得られる原料や繊維の極限粘
度を0.81以上に高めることは困難となる。例えば、極限粘度を上げるために
反応温度を高くしたりすると、熱分解が起こり粘度が上がらなくなってしまう場
合がある。

0062

0.81以上の極限粘度を達成する方法として、好ましい方法は固相重合を用
いることである。固相重合を用いると2.0までも極限粘度を高めることが可能
となる。固相重合はチップ、粉、繊維状、板状、ブロック状にした原料を窒素
アルゴン等の不活性ガスの存在下、あるいは100torr以下、好ましくは1
0torr以下の減圧下で170〜220℃、3〜48時間程度行うことができ
る。固相重合を行う利点としては、極限粘度を上げることができる他、環状ダイ
マーは昇華性を有しているので固相重合中に環状ダイマーが原料から抜け出すの
で、樹脂組成物中の環状ダイマーの量を2重量%以下、好ましくは1重量%以下
にすることができる。この場合、固相重合前に、環状ダイマー量が3重量%を越
える樹脂組成物であっても、固相重合後には環状ダイマー量を3重量%以下にす
ることも可能となる。

0063

従って、溶融重合と固相重合を組み合わせることで、本発明のポリエステル繊
維の製造に最も好ましい原料を製造することが可能となる。

0064

本発明のポリエステル繊維の形態は、長繊維短繊維のいずれであってもよく
、また長繊維の場合、マルチフィラメントモノフィラメントのいずれであって
もよい。また、本発明の繊維を少なくとも一部に用いて不織布を構成してもよい
。不織布の製法としては例えば、スパンボンド法スパンレース法メルトブロ
ー法、フラッシュ紡糸法等が挙げられる。繊維の構造についても特に制限はなく
通常法で得られる未延伸糸、通常法、直延法、高速紡糸法等で得られる延伸糸
仮撚り加工等に用いる半延伸糸(いわゆるPOY)、各種加工糸等、通常の合
成繊維で使用される構造のものは全て含むことができる。また、総デニールとし
ても特に制限はなく、5〜1000d、衣料用に用いる時は特に5〜200dが
好ましい。単糸デニールも特に制限はないが、好ましくは0.0001〜10d
である。また断面形状についても、丸型、三角型、扁平型、星型、w型等、特に
制限はなく、中実であっても中空であってもよい。

0065

本発明のポリエステル繊維の複屈折率は0.03以上であることが必要である
。複屈折率は、繊維中におけるポリマー鎖繊維軸方向への配向を示すパラメー
ターである。複屈折率が0.03未満で
あると、得られた繊維のポリマー鎖の配向が不足しポリマー鎖が動きやすい状態
のまま存在するので、常温付近に保存しても繊維の物性が経時的に変化すること
を見いだした。繊維をこのような構造変化のし易い状態で布帛にしても染色性や
布帛物性が保存状態で変化するために、染色斑や物性斑を起こし易い布帛となっ
てしまう。このような繊維構造の変化をなくすためには、繊維の複屈折率は好ま
しくは0.05以上、更に好ましくは0.06〜0.20である。また繊維の複
屈折率が0.03〜0.06の繊維は、更に延伸を加えながら、撚り掛けたり
仮撚することにより、バルキー性ストレッチ特性を持つ加工糸を提供すること
もできる。

0066

以下、本発明のポリエステル繊維の力学物性について説明する。

0067

例えば、本発明のポリエステル繊維が延伸糸である場合、強度は極限粘度と延
倍率によっても異なるが通常3.5g/d以上である。特に、強度に関する本
発明の最大の特徴は、原料ポリマーの溶融安定性が十分に高められているために
、極限粘度を高めても溶融段階分子量低下が起こりにくく、高い強度を繊維に
発現させることが可能となることである。従って、本発明のポリエステル繊維で
は、例えば極限粘度が0.7程度で4g/d以上、極限粘度が1以上になれば、
5g/d以上、場合によっては6g/dの強度を発現することも可能となる。な
お、この場合の繊維の伸度は、25〜50%程度である。

0068

弾性率は本発明のポリエステル繊維の大きな特徴であり、20〜30g/d程
度と極めて小さい値を示す。繊維の弾性率が小さいということは、布帛製品が極
めてソフトな風合いを示すということに繋がる。更に、弾性回復性が極めて優れ
るというのも本発明のポリエステル繊維の大きな特徴である。繊維を15%程度
まで伸長しても本発明のポリエステル繊維は、ほぼ100%元の長さに戻り、2
0%伸長でも80%を越える弾性回復率を示す。従って、本発明のポリエステル
繊維を布帛にすると、適切な強さを持ちながら、ソフトな風合いで、かつストレ
ッチ性のよい布帛の提供が可能になる。

0069

本発明のポリエステル繊維の製造方法について、延伸糸を例に以下説明する。

0070

本発明のポリエステル繊維は、少なくとも100ppm、好ましくは50pp
m以下の水分量にまで乾燥させた原料を押出機等を用いて溶融させ、その後溶融
した原料を紡口より押出した後に巻き取り、次いで延伸を行うことにより製造す
ることができる。ここで巻き取った後に延伸を行うとは、紡糸を行った後にボビ
ン等に巻き取り、この糸を別の装置を用いて延伸する、いわゆる通常法や紡口よ
り押し出された樹脂組成物が完全に冷却固化した後、一定の速度で回転している
第一ロールに数回以上巻き付けられることにより、ロール前後での張力が全く伝
わらないようにし、第一ロールと第一ロールの次に設置してある第二ロールとの
間で延伸を行うような、紡糸−延伸工程を直結したいわゆる直延法をいう。

0071

以下、通常法について例を挙げて説明する。

0072

本発明において、原料を溶融紡糸する際の紡糸温度は240〜320℃、好ま
しくは240〜300℃、更に好ましくは240〜280℃の範囲が適当である
。紡糸温度が240℃未満では、温度が低過ぎて安定した溶融状態になり難く、
得られた繊維の斑が大きくなり、また満足し得る強度、伸度を示さなくなる。ま
た、紡糸温度が320℃を越えると熱分解が激しくなり、得られた糸は着色し、
また満足し得る強度、伸度を示さなくなる。

0073

糸の巻き取り速度は、特に制限がないが、通常3500m/分以下、好ましく
は2500m/分以下、更に好ましくは2000m/分以下で巻き取る。巻取
度が3500m/分を超えると、巻き取
る前に繊維の結晶化が進み過ぎ、延伸行程延伸倍率を上げることができないの
で、分子を配向させることができず、十分な糸強度や弾性回復率の繊維を得るこ
とができなかったり、巻き糸体の捲き締まりが起こり、ボビン等が巻取機より抜
けなくなってしまったりする。延伸時の延伸倍率は、2〜4倍、好ましくは2.
2〜3.7倍、更に好ましくは、2.2〜3.1倍がよい。このような延伸処理
と後述する熱処理を組み合わせることにより、繊維の複屈折率を0.03以上に
することができる。延伸倍率が2倍以下では、延伸により十分にポリマー分子
配向させることができず、得られた繊維の弾性回復率が低いものとなってしまう
。また延伸倍率が4倍以上では糸切れが激しく、安定して延伸を行うことができ
ない。

0074

延伸の際の温度は、延伸ゾーンでは30〜80℃、好ましくは35〜70℃、
更に好ましくは40℃〜65℃が良い。延伸ゾーンの温度が30℃未満では延伸
の際に糸切れが多発し、連続して繊維を得ることができない。また80℃を越え
ると延伸ロールなどの加熱ゾーン対する繊維の滑り性が悪化するため単糸切れ
多発し、毛羽だらけの糸になってしまう。また、ポリマーどうしがすり抜けてし
まうために、繊維に十分な配向がかからなくなり繊維の弾性回復率が低下する。

0075

繊維構造の経時変化を避けるために、延伸後の熱処理を行う必要がある。この
熱処理は90〜200℃であり、好ましくは100〜190℃、更に好ましくは
110〜180℃で行うのがよい。熱処理温度が90℃未満では織維の結晶化が
十分に起こらず、繊維の弾性回復性が低下する。また、200℃より高い延伸温
度では、繊維が熱処理ゾーン切れてしまい延伸することができない。

0076

以下、直延法の例を挙げて説明する。

0077

紡口より押出した溶融マルチフィラメントを紡口直下に設けた3
0〜200℃の雰囲気温度に保持した長さ2〜80cmの保温領域を通過させて
急激な冷却を抑制した後、この溶融マルチフィラメントを急冷して固体マルチ
ラメントに変え、40〜70℃に加熱した第一ロールで300〜3000m/
分で巻き付け、次に巻き取ることなく120〜160℃に加熱した第二ロールに
巻き付け、第一ロールと第一ロールより速度を速めた第二ロールの間で1.5〜
3倍に延伸した後、第二ロールよりも低速で巻き取り機を用いて巻き取る。紡糸
過程で必要に応じて、交絡処理を行ってもよい。紡糸速度300〜3000m/
分で一度巻き取った未延伸糸を上記の第一ロール、第二ロールを通して巻き取る
こともできる。

0078

通常法と同様に、直延法でもポリマーの溶融押し出しを行い、紡口から押し出
された溶融マルチフィラメントを直ちに急冷させず、紡口直下に設けた30〜2
00℃の雰囲気温度に保持した長さ2〜80cmの保温領域を通過させて急激な
冷却を抑制した後、この溶融マルチフィラメントを急冷して固体マルチフィラメ
ントに変えて続く延伸工程に供することが極めて好ましい。この保温領域を通過
させることで、ポリマーを急冷による繊維中の微細な結晶や極度に配向した非晶
部分の生成を抑制し、延伸工程で延伸され易い非晶構造を形成させることができ
、その結果、本発明で必要な繊維物性を達成できる。ポリトリメチレンテレフタ
レートは、例えば、ポリエチレンテレフタレートといったポリエステルに比較し
て遥かに速い結晶化速度を有しているので、このような徐冷を行うことは、微細
な結晶や極度に配向した非晶部分の形成を抑制する上で極めて有効な方法である
。紡口直下の雰囲気温度が30℃未満では急冷となり、延伸倍率を上げにくくな
り、200℃以上では糸切れが起こりやすくなる。よって、保温領域の温度は4
0〜200℃が好ましく、更に好ましくは50〜150℃である。また、この保
温領域の長さ
は5〜30cmが好ましい。

0079

糸の紡糸速度については、第一ロールの巻き付け速度は300〜4000m/
分である。紡糸速度が300m/分未満では、紡糸安定性は優れるが、生産性
大きく低下する。また、4000m/分を超えると、巻き取る前に非晶部の配向
や部分的な結晶化が進み、延伸行程で繊維の延伸倍率を上げることができないた
めに、分子を配向させることができず、繊維に十分な糸強度を発現させることが
できにくい。紡糸速度は、好ましくは1500〜2700m/分である。

0080

巻き取り機の速度は、第二ロールよりも低くすることが繊維の非晶部分の配向
緩和を起こさせるのに必要で、これによりポリトリメチレンテレフタレート繊維
の大きな収縮が弱められる他、非晶部分がルーズとなり染料入りやすい構造と
なって染色性が若干向上する。リラックス比(巻き取り速度/第二ロール速度
は、0.95〜0.99程度、好ましくは0.95〜0.98である。

0081

第二ロールの速度は、延伸倍率によって決定され、通常600〜6000m/
分である。第一ロールと第二ロール間での延伸倍率は、1.3〜3倍、好ましく
は2〜2.7倍がよい。このような延伸処理と後述する熱処理を組み合わせるこ
とにより、繊維の複屈折率を0.03以上にすることができる。延伸倍率が1.
3倍以下では、延伸により十分にポリマーを配向させることができず、得られた
繊維の強度や弾性回復率が低いものとなってしまう。延伸倍率が3倍以上では毛
羽の発生が激しく、安定して延伸を行うことができない。第一ロールの温度は、
40〜70℃であり、この範囲で延伸しやすい状況を作り出すことができる。第
一にロールの温度は、好ましくは50〜60℃である。第二ロールで熱セット
行うが、ロール温度は120〜160℃である。第二ロール温度が120℃未満
では熱安定性の乏しい、熱変形、経時変化し易い繊維となる他、染色における発
色性が低下する。また、第二ロール温度が160℃以上では毛羽や糸切れが発生
し安定に紡糸することができない。第二ロールの温度は、好ましくは120〜1
50℃である。

0082

以上のようにして得られたポリエステル繊維は、単独使い、または布帛の一部
に使用することで、ソフト性ストレッチ性、染色における発色性が優れた布帛
となる。布帛の一部に使用する場合の他の繊維としては特に制限はないが、特に
ポリウレタン弾性繊維のようなストレッチ繊維、セルロース繊維、ウール、絹、
アセテート繊維等の繊維と混用することで、公知の合成繊維化学繊維を用いた
混用布帛では得られないソフト感やストレッチ性といった特徴を発揮させること
ができる。

0083

本発明において、布帛とは織編物をいう。本発明の布帛は上記の混用布帛をも
含め、用いるポリエステル繊維の形態、製編織方法については特に制限はなく、
公知の方法を用いることができる。例えば、経糸または緯糸に用いる平織物、リ
バーシブル織物等の織物、トリコットラッセル等の編物などが挙げられ、その
他交撚、合糸交絡を施してもよい。

0084

本発明の布帛は、混用布帛も含め、染色されていてもよく、例えば製編織後、
常法により精練、プレセット、染色、ファイナルセットの過程を経て染色するこ
とができる。また、必要に応じて、精練後、染色前に常法によりアルカリ減量
理することができる。

0085

精練は40〜98℃の温度範囲で行うことができる。特にストレッチ繊維との
混用の場合には、リラックスさせながら精練することが弾性を向上させるのでよ
り好ましい。

0086

染色前後の熱セットは一方あるいは両方共省略することも可能であるが、布帛
の形態安定性、染色性を向上させるためには両方行う
ことが好ましい。熱セットの温度としては、120〜210℃の温度、好ましく
は140〜180℃であり、熱セット時間としては10秒〜5分、好ましくは、
20秒〜3分である。

0087

染色はキャリアーを用いることなく、70〜150℃、好ましくは、90〜1
20℃、特に好ましくは90〜100℃の温度で行うことができる。均染染色を
に行うためには、酢酸や水酸化ナトリウム等を用いて染料に応じたpHに調整す
ると同時に、界面活性剤から構成された分散剤を使用することは特に好ましい。

0088

染色後、布帛には公知の方法によりソーピングまたは還元洗浄が適用される。
これらの方法は公知の方法でよく、例えば、炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウム
等のアルカリ水溶液中で、ハイドロサルファイトナトリウム等の還元剤を用いて
処理することができる。
発明の実施の最良の形態

0089

以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、言うまでもなく本発明
は実施例などにより何ら限定されるものでない。尚、実施例中の主な測定値は以
下の方法で測定した。

0090

(1)原料及び繊維の極限粘度の測定

0091

極限粘度[η]は、オストワルド粘度管を用い、35℃、o−クロロフェノ
ルを用いて比粘度ηspと濃度C(g/100ミリリットル)の比ηsp/Cを
濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求めた。
[η]=lim(ηsp/C)
C→0

0092

(2)原料及び繊維中のリン元素量、コバルト元素量、重縮合触媒として用い
金属元素量、X値の測定

0093

リン元素量、コバルト元素量、チタン等の重縮合触媒として用い
る金属元素量は、高周波プラズマ発光分光分析機種:IRIS−APサーモ
ジャールアッシュ社製)を用いて測定した。分析試料は以下のようにして作成
した。三角フラスコに0.5gの試料と15ミリリットルの濃硫酸を加え、15
0℃のホットプレート上で3時間、350℃のホットプレート上で2時間分解
せた。冷却後、過酸化水素水を5ミリリットル加え、酸化分解した後、その液を
5ミリリットルまで濃縮し、濃塩酸/水(1:1)の水溶液を5ミリリットル加
え、更に水を40ミリリットル加えて分析試料とした。X値は、重縮合触媒とし
て用いる金属元素のモル数に対するリン化合物のリン元素のモル数の割合(=リ
ン化合物のリン元素のモル数/重縮合触媒として用いる金属元素のモル数)を示
す。

0094

(3)原料及び繊維の着色度(黄色み)の測定

0095

微細化した原料または、繊維の場合は6枚重ねた一口編地(28G、天竺)を
用い、カラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測色した。b値は黄色
みと青みを示すものであり、0から数値が大きくなるにつれて黄色みが増す。逆
に、0から数値が小さくなると青みが増す。0に近づくほど無色であることを示
す。

0096

(4)原料及び繊維の融点の測定

0097

セイコー電子社製DSCを用い、20℃/minの昇温速度で100ミリリッ
トル/minの窒素気流下中で測定した。ここでは、融解ピークピーク値
融点とした。

0098

(5)原料及び繊維中の環状ダイマー量の測定

0099

樹脂組成物または繊維0.3gを計り取り、ヘキサフルオロイソプロパノール
5ミリリットルとクロロホルム5ミリリットルの混合物に加え室温で溶解した。
完全に溶解した後、クロロホルムを5ミリリットル加え、更に約80ミリリット
ルのアセトニトリルを加えた。この時、不溶物が析出するがこれをろ別し、その
ろ液をすべて
300ミリリットルのフラスコに移してアセトニトリルを追加し、総量200ミ
リットルの透明な溶液を得た。

0100

この溶液を高速液体クロマトグラフィーを用いて分析し、環状ダイマー量を測
定した。カラムはμBond asphere 15μ C−18−100A
3.9×190mm(ウォーターズ社製)を用い、移動相としては、水/アセト
ニトリル容量比30/70)を用い、検出器には紫外線242nmの波長を用
いた。温度は45℃、流量は1.5ミリリットル/minであった。

0101

(6)原料及び繊維中のBPEの定量の測定

0102

微細化した原料または繊維2gを2Nの水酸化カリウムメタノール溶液25
ミリリットルに加え、還流下、4時間掛けて加溶媒分解し、このメタノール溶液
を用いてガスクロマトグラフィーにより定量した。カラムはDURABOND
DB−WA×0.25mm×30m(0.25μm)を用い、ヘリウム100ミ
リリットル/minを流しながら、150から230℃まで20℃/minの昇
温速度で測定した。

0103

(7)紡糸方法毛羽率の測定

0104

原料を乾燥後、押出温度270℃で溶融させ、紡口口金(36孔、0.23m
m)を通し、1500m/minの紡糸速度で溶融紡糸し、未延伸糸を巻き取っ
た。次に、この未延伸糸をホットロール55℃、ホットプレート140℃を通し
、2.4倍延伸を行った。得られた織維の繊度フィラメント数は、50d/3
6fに設定した。毛羽率は500gバーンを1000本取り、その中で表面に出
た毛羽があるものを数え、その数を1000で割った数値に100を掛けてを毛
羽率とした。

0105

(8)原料の溶融粘度保持率の測定

0106

(7)の方法で得られた未延伸糸の極限粘度を用いた原料の極限
粘度で除した数値に100を掛けた数値を溶融粘度保持率とした。

0107

(9)繊維の力学物性(強度、伸度、弾性率)の測定

0108

繊維の各種力学物性は、JIS−L−1013に準じて測定した。

0109

(10)弾性回復率の測定

0110

繊維をチャック間距離20cmで引っ張り試験機に取り付け、伸長率20%ま
で引っ張り速度20cm/minで伸長し1分間放置した。その後、再び同じ速
度で収縮させ、応力歪み曲線を描く。収縮中、応力がゼロになった時の伸度を
残留伸度(A)とする。弾性回復率は以下の式に従って求めた。

0111

弾性回復率=(20−A)/20×100(%)

0112

(11)複屈折率の測定

0113

繊維便覧・原料編−P969(第5刷〔1978〕丸善株式会社)光学顕微鏡
コンペンセーターを用いて、繊維の表面に観察されるリターデーションから求
めた。
実施例1

0114

テレフタル酸ジメチル(以下、DMTと略記する)25000重量部、トリメ
チレングリコール21553重量部に酢酸カルシウムと酢酸コバルト4水和塩
7:1混合物を0.1重量%/DMT(この単位は、DMTに対する重量比を表
す)加えて、常圧下、ヒーター温度240℃で4時間エステル交換した。次に、
チタンテトラブトキシドを0.1重量%/DMT、トリメチルホスフェートを0
.05重量%/DMTを加え、270℃、0.2torrで3時間重縮合した。
得られた樹脂組成物は、ポリトリメチレンテレフタレートを97重量%含む樹脂
組成物であった。得られた樹脂組成物の物性を表1に、又得られた繊維の物性を
表2に示す。この樹脂組成
物を溶融紡糸して得られた繊維は、白度に優れ、毛羽率が低く、紡糸段階での粘
度低下は小さいものであった。
実施例2及び3

0115

酢酸コバルト、トリメチルホスフェートの量を変えて、実施例1を繰り返した
。得られた樹脂組成物は、ポリトリメチレンテレフタレートを97重量%含む樹
脂組成物であった。得られた樹脂組成物の物性を表1に、又得られた繊維の物性
を表2に示す。

0116

この樹脂組成物を用いて得られた繊維は、白度に優れ、毛羽率が低く、紡糸段
階での粘度低下は小さいものであった。
実施例4

0117

エステル交換触媒として、酢酸カルシウムと酢酸コバルト4水和塩の7:1混
合物を理論ポリマー量の0.1重量%加え、重合温度250℃、重合時間を2時
間にして、実施例1と同様の実験を行った。得られた樹脂組成物は、ポリトリメ
チレンテレフタレートを97重量%含む樹脂組成物であった。得られた樹脂組成
物の物性を表1に、又得られた繊維の物性を表2に示す。

0118

この樹脂組成物の溶融紡糸を行った結果、白度に優れ、毛羽率が低い糸が得ら
れた。紡糸段階での粘度低下は小さいものであった。
実施例5

0119

テレフタル酸(以下、TPAと略記する)1300重量部、トリメチレングリ
コール1369重量部、酢酸コバルト0.01重量%/TPAのスラリーを、常
圧下、ヒーター温度240℃でエステル交換した。次に、チタンテトラブトキシ
ドを0.1重量%/DMT、トリメチルホスフェートを0.05重量%/TPA
を加え、270℃、0.2torrで3時間重縮合した。得られた樹脂組成物は
、ポリトリメチレンテレフタレートを97重量%含む樹脂組成物であった。

0120

得られた樹脂組成物の物性を表1に、又得られた繊維の物性を表2に示す。

0121

この樹脂組成物を溶融紡糸した結果、白度に優れた繊維が得られ、紡糸安定性
は毛羽率が低く良好で、紡糸段階での粘度低下は小さいものであった。
実施例6

0122

酢酸コバルト4水和塩の代わりに炭酸コバルト、トリメチルホスフェートの代
わりにトリブチルホスフェートを用い添加量を変えて、実施例5を繰り返した。
得られた樹脂組成物は、ポリトリメチレンテレフタレートを97重量%含む樹脂
組成物であった。得られた樹脂組成物の物性を表1に、又得られた繊維の物性を
表2に示す。

0123

この樹脂組成物を紡糸して得られた繊維は、白度に優れ、毛羽率が低く、紡糸
段階での粘度低下は小さいものであった。
実施例7

0124

トリメチルホスフェートの代わりに、トリブチルホスファイトを用い、酢酸コ
バルトを用いずに実施例5を繰り返した。得られたポリマーは、ポリトリメチレ
ンテレフタレートを97重量%含む樹脂組成物であった。

0125

得られた樹脂組成物の物性を表1に、又得られた繊維の物性を表2に示す。

0126

この樹脂組成物を用いて得られた繊維は、白度に優れ、毛羽率が低く、紡糸段
階での粘度低下は小さいものであった。
実施例8

0127

実施例1の樹脂組成物を窒素気流下、215℃、5時間固相重合した。得られ
た樹脂組成物は、ポリトリメチレンテレフタレートを98重量%含む樹脂組成物
で、環状ダイマー量は0.9%と大幅に減少したものであった。また、粘度の増
大を反映して、繊維の強度
が高くなった。
参考例1

0128

実施例1で得た繊維の1口編地(28G、天竺)を180℃、30秒熱セット
し、その後、ダイアニックブラックHG−FSダイスタージャパン社製、分
散染料)4%owfを用い、pH5でディスパーTL(明成化学社製)1g/リ
ットル存在下、浴比1:30で、98℃で1時間染色した。

0129

染料吸尽率は53%であり、染色物を63℃で27時間フェードメーター中に
置いて耐光性を調べたが、退色はなかった。これに対し、実施例6で得た繊維を
用いて同じような実験を行ったところ、染料吸尽率は84%であり、耐光性テス
トでも退色はなかった。
比較例1

0130

エステル交換触媒としてチタンテトラブトキシド0.1重量%/DMT、エス
テル交換触媒としてチタンテトラブトキシド0.1重量%/DMTを用い、トリ
メチルホスファイトと酢酸コバルトを用いずに、実施例1を繰り返した。得られ
た樹脂組成物は、ポリトリメチレンテレフタレートを97重量%含む樹脂組成物
であったが、着色が激しく、また溶融安定性が低かったため強度が低い糸しか得
られなかった。
比較例2

0131

重縮合温度を250℃に下げて、トリメチルホスファイトと酢酸コバルトを用
いずに、実施例1を繰り返した。得られた樹脂組成物は、ポリトリメチレンテレ
フタレートを95重量%含む樹脂組成物であったが、着色の著しいものであった
。また溶融安定性が低いため強度が低い糸しか得られなかった。更に、環状ダイ
マー量が3重量%を越えたため、毛羽率が高くなった。
比較例3

0132

比較例1で得られた樹脂組成物を窒素気流下、215℃、5時間固相重合し、
極限粘度1.1の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物は、ポリトリメチレンテレ
フタレートを97重量%含む樹脂組成物であった。

0133

この樹脂組成物を用いて紡糸したところ、粘度保持率は64%まで低下し、強
度3.5g/d、伸度35%の力学物性しか発現しなかった。
比較例4

0134

実施例1において、トリメチレングリコールの使用量を8倍に増やして実験を
行った。得られた樹脂組成物のBPE量は、2.1重量%であった。この樹脂組
成物は、ポリトリメチレンテレフタレートを96重量%含む樹脂組成物であった

0135

この樹脂組成物を用いて繊維化し、参考例1と同様にして染色後、フェード
ーターで耐光テストを行ったところ、染色物の退色が認められた。これに対し、
実施例1の繊維の染色物では退色は認められなかった。
比較例5

0136

TPA300重量部、トリメチレングリコール1369重量部、酢酸コバルト
0.01重量%/TPAのスラリーを、常圧下、ヒータ温度240℃でエステル
交換した。次に、ブチル錫酸を0.1重量%/DMT、トリデシルホスファイト
を0.05重量%/TPAを加え、270℃、0.2torrで3時間重縮合し
た。得られた樹脂組成物のb値は14と黄色く着色しており、環状ダイマー量は
3.4重量%であった。この樹脂組成物は、ポリトリメチレンテレフタレートを
96重量%含む樹脂組成物であった。

0137

この樹脂組成物を用いて得られた繊維は、黄色く着色しており、環状ダイマー
量が多いため毛羽率が0.9と高かった。
実施例9

0138

エステル交換反応終了後、ペンタエリスリトール−テトラエキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノ
クス1010、チバスシャリティーケミカル社製)を0.07重量%/TP
A加えた以外は、実施例6を繰り返した。この樹脂組成物は、ポリトリメチレン
テレフタレートを96重量%含む樹脂組成物であった。このポリマーの粘度保持
率は98%まで向上した。この樹脂組成物を3mm角カットし、130℃で6
時間、空気中で加熱して、生成したアクロレインとアリルアルコールをドライア
イスメタノール浴中捕捉した。この時のアクロレイン、アリルアルコールの
生成量は1gの樹脂組成物の1hr当り、各々0.15mg、0.20mgであ
った。これに対し、実施例1の樹脂組成物のアクロレイン、アリルアルコールの
生成量は各々0.51mg、0.82mgであった。
実施例10

0139

実施例1で得た繊維をカットし、39mmした。実施例2と同様にして得た2
0d/2fのフィラメントを芯とし、この短繊維がに配列されたフィラメント
混率が11重量%の複合糸を得た。該複合糸を経糸(織密度146本/25.4
mm)、緯糸(織密度77本/25.4mm)に用いて平織物に製織し、参考例
1と同様な染色方法で95℃で染色を行った。

0140

得られた布帛は濃色に染まっており、発色性に優れたものであった。また、得
られた布帛はソフトで、軽ストレッチ性があり、張り、反発性に優れたもの
であった。
実施例11

0141

実施例1と同様にして得た75d/36fのポリエステル繊維を経糸、緯糸に
用いて、平織物を作成した。この平織物を常法により
精練しその後、180℃、30秒のプレセット後、キャリヤーを用いずに分散染
料を用いて染色を行った。分散染料はカヤロンポリエステルブルー3RSF(日
本化薬社製)5%owf、分散剤はディスパーTL(明成化学社製)を1g/リ
ットル使用し、pHを5に調整し染色を行った。、浴比1:50で110℃、1
時間染色を行った。染色後、グラアップP(三洋化成社製、非イオン性界面活
性剤)1g/リットル、浴比1:50で80℃、10分間ソーピングした。染色
後、常法により仕上げを行った。

0142

得られた染色物は均一に染色されており、従来では見られないソフトな良好な
風合いの染色織物であった。
実施例12

0143

実施例1のポリエステル繊維と210デニールのポリウレタン系ストレッチ繊
維ロイカ(旭化成工業製)を用いて天竺組織経編地を28Gで編成した。この
経編地のループ長はポリエステル繊維が1080mm/480コース、ストレッ
チ繊維が112mm/480コースとし、打ち込み密度を90コース/25.4
、ポリエステル繊維の混率は75.5%に設定した。

0144

得られた生機を90℃、2分間リラックス精練し、160℃、1分間乾熱セッ
トを施した。ダイアニックスブラックBG−FS(ダイスタージャパン社製分散
染料)を8%owf、染色助剤であるニッカサソルト1200を0.5g/リ
ットルの存在下、酢酸でpHを6に調整して、浴比1:30で95℃、60分間
染色を行った。

0145

得られた染色編地物は、ソフトでストレッチ感に富み、発色性に優れかつ張り
、腰がある風合いを示した。
比較例6

0146

実施例1で得た樹脂組成物を用いて、270℃で押出し、36孔
0.23mmの紡口口金を経て、そのまま1600m/minで巻 き取った。
その後40℃で熱処理して75d/36fの繊維を得た。得られた繊維の複屈折
率は0.024であった。得られた繊維を5kg巻き取り、倉庫に保存してたら
糸が経時変化し縮んでしまった。この糸を用いて編成した一口編地(28G、天
竺)を染色したところ、縮みの激しい部分が染色斑として残った。
実施例13

0147

実施例1で得た樹脂組成物を用いて、270℃で押し出し、36孔、0.23
mmの紡口口金を経て3500m/minで巻き取った。得られた50d/36
fの繊維(POY)の複屈折率は0.058であった。得られた繊維は、倉庫に
保存しても経時変化は生じていなかった。得られた繊維を160℃で加熱しなが
ら、1.4倍に延伸し通常の延伸仮撚条件3500T/mで仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸は、ストレッチ性、バルキー性に優れていた。
比較例7

0148

トリメチルホスフェートを0.05重量%用いる代りに、トリス(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.05重量%用いて実施例1を繰り返
した。

0149

得られた樹脂組成物は極限粘度0.74であり、ポリトリメチレンテレフタレ
ートを96重量%含み、リン元素量は5ppm、環状ダイマー量は3.1重量%
、BPEの量は、0.07重量%であった。

0150

この樹脂組成物を用いて紡糸したところ、粘度保持率は84%であり、強度3
.8g/d、伸度33%であった。また、繊維中のリン元素量は4ppmであり
、環状ダイマー量は3.2重量%、BPEの量は、0.09重量%であった。
産業上の利用可能性

0151

本発明のポリエステル繊維は、白度、紡糸安定性、溶融安定性の優れたポリト
リメチレンテレフタレート樹脂組成物よりなる白度、強度に優れるポリエステル
繊維であって、高い溶融安定性と紡糸段階での重合度低下が起こりにくいポリト
リメチレンテレフタレート樹脂組成物を溶融紡糸して工業的に有利に製造するこ
とができる。

0152

本発明のポリトリメチレンテレフタレート繊維は、加工性にが良好で、インナ
ウエア、アウターウエア、スポーツウエア水着、パンテイストキング、裏地
等に代表される衣料製品やカーペット、芯地フロキー等の資材製品において
汎用のポリエステル繊維、ナイロン繊維では得られない機能を付与した編織物
等布帛を製造することができる。

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