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技術 細胞組成物

出願人 タカラバイオ株式会社
発明者 浅田起代蔵小西治子小山信人加藤郁之進
出願日 1997年6月30日 (23年4ヶ月経過) 出願番号 1998-505035
公開日 1999年9月21日 (21年2ヶ月経過) 公開番号 WO1998-001537
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理
主要キーワード 本エンド メチルエステル化度 海藻粉 加圧熱処理 かくはん速度 着色性物質 限外ろ過器 含有粉体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年9月21日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題・解決手段

癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を使用して細胞組成物中の癌細胞を選択的に除去し、癌細胞を含有しない細胞組成物を提供する。

概要

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請求項1

癌細胞が実質的に除去された、造血幹細胞を含有する細胞組成物

請求項2

癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を使用して癌細胞を選択的に除去した請求項1記載の細胞組成物。

請求項3

アポトーシス誘発剤が硫酸化多糖および/またはその分解物を含有する誘発剤である請求項2記載の細胞組成物。

請求項4

硫酸化多糖がフコイダンまたはデキストラン硫酸である請求項3記載の細胞組成物。

請求項5

アポトーシス誘発剤がウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはその分解物を含有する誘発剤である請求項2記載の細胞組成物。

請求項6

アポトーシス誘発剤が式:ID=000003HE=034 WI=065 LX=0735 LY=1320で表される4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オンを含有する誘発剤である請求項2記載の細胞組成物。

請求項7

癌細胞が実質的に除去された、造血幹細胞を含有する細胞組成物を取得する方法であって、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を使用して細胞組成物中の癌細胞を選択的に除去する工程を含んでなる方法。

請求項8

アポトーシス誘発剤が硫酸化多糖および/またはその分解物を含有する誘発剤である請求項7記載の方法。

請求項9

硫酸化多糖がフコイダンまたはデキストラン硫酸である請求項8記載の方法。

請求項10

アポトーシス誘発剤がウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはその分解物を含有する誘発剤である請求項7記載の方法。

請求項11

アポトーシス誘発剤が式:ID=000004HE=034 WI=067 LX=0725 LY=0385で表される4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オンを含有する誘発剤である請求項7記載の方法。

請求項12

癌細胞が実質的に除去された造血幹細胞を含有する細胞組成物であって、該造血幹細胞が、外来遺伝子を導入されている細胞組成物。

請求項13

癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を使用して癌細胞を選択的に除去した請求項12記載の細胞組成物。

--

0001

発明の属する技術分野

0002

本発明は、細胞組成物、さらに詳しくは、純化した造血幹細胞組成物に関す
る。

0003

従来の技術

0004

細胞生物学の進歩により、種々の細胞生理学的性質ならびにその機能が明ら
かにされるにつれ、細胞そのものを医療目的に使用する方法が開発されてきた。
例えば、癌の治療法である化学療法放射線照射は正常な細胞、特に、骨髄細胞
に致命的な障害を与える場合があるが、その危険性を低減するために治療前に採
取しておいた骨髄細胞を治療後に戻してやる自己骨髄移植という方法がある。ま
た、近年、遺伝子治療法として、標的細胞に、目的の外来遺伝子を導入し、標的
細胞の形質転換を行う技術が発展している。例えば、骨髄細胞に多剤耐性遺伝子
を導入すれば、骨髄細胞が多剤耐性を獲得し、従来、重篤な骨髄細胞毒性のため
に使用できなかった薬剤を用いた癌治療が可能になる。

0005

発明の目的

0006

このように、適当な細胞を含む組成物、あるいは適当な修飾を施した細胞を含
む組成物は医療分野において極めて重要である。しかしながら、これらの標的細
胞組成物中に癌細胞が混在していた場合には、十分な治療効果は得られない。特
に、上記のような多剤耐性遺伝子の導入が癌細胞の混
在する細胞組成物に対して行われた場合には、癌細胞自体も多剤耐性を獲得する
結果となり、目的の癌治療に逆効果となる。

0007

本発明の目的は、遺伝子治療に好適な、癌細胞が実質的に除去された標的細胞
組成物およびその取得方法を提供することにある。

0008

発明の概略

0009

本発明者らは、癌細胞に特異的にアポトーシスを誘発するアポトーシス誘発剤
を使用することにより、造血幹細胞組成物中に混在する癌細胞のみが特異的に除
去されること、このアポトーシス誘発剤処理後の造血幹細胞に、目的の外来遺伝
子を導入することによって、安全性の確立された遺伝子治療が可能であることを
見出し、本発明を完成するに至った。

0010

すなわち、本発明の第1の態様は、癌細胞が実質上除去された、造血幹細胞を
含有する細胞組成物、ことに、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を用いて癌
細胞を実質的に除去した造血幹細胞を含有する細胞組成物であり、代表例として
、当該造血幹細胞を含有する緩衝液が挙げられる。

0011

造血幹細胞の含有量は特に限定するものではなく、組成物の使用目的によって
決定される。また、緩衝液中には、他の造血細胞ストローマ細胞等が含有され
ていてもよく、造血幹細胞培養基質、造血幹細胞増殖因子幹細胞分化因子、造
幹細胞保護剤等を含有してもよい。

0012

本発明の第2の態様は、癌細胞が実質上除去された、造血幹細胞を含有する細
胞組成物を取得する方法であって、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を使用
して細胞組成物中の癌細胞を選択的に除去する工程を含んでなる方法である。

0013

本発明の第3の態様は、癌細胞が実質上除去された、造血幹細胞を含有する細
胞組成物であって、該造血幹細胞が外来遺伝子を導入されている細
胞組成物、ことに、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を用いて癌細胞を実質
的に除去した、外来遺伝子を導入した造血幹細胞を含有する細胞組成物である。

0014

アポトシスは、壊死とは異なる細胞死の一様式で、形態学的には、核の凝縮
、細胞縮小空胞化、細胞表面の平滑化、細胞の断片化等を経て起こり、プログ
ラム細胞死の代表的な様式である(日経バイオテク編、日経バイオ最新用語辞典
、第4版、第21〜22頁)。

0015

本発明によれば、アポトーシス誘発剤を使用して、癌細胞に遺伝子導入を行う
という危険なしに、外来遺伝子を導入した目的の細胞を安全に宿主移入するこ
とができる。

0016

発明の詳細な説明

0017

本発明において使用されるアポトーシス誘発剤は、癌細胞特異的アポトーシス
誘発作用を有するものであれば、特に限定するものではなく、正常細胞と癌細胞
を使用することによって、その選択性を特定することができる。例えば、硫酸化
多糖および/またはその分解物を含有するアポトーシス誘発剤、ウロン酸および
/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはその分解物を含有す
るアポトーシス誘発剤、式(1):
で表される4,5−ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オンを含有する誘
発剤が挙げられる。

0018

アポトーシス誘発剤は、公知の方法で、それ自体または公知の医薬用担体と組
み合わせて製剤化されていてもよい。医薬用担体は、剤形に応じて適宜選択する
ことができ、例えば、固体製剤の場合は、乳糖白糖マンニットデンプン
カルボキシメチルセルロース無機塩糖が使用できる。上記製剤を、細胞組成物
に溶解または添加することにより、アポトーシス誘発剤と細胞とを接触させるこ
とができる。

0019

本発明に使用される硫酸化多糖としては、例えば、フコイダンデキストラン
硫酸等が例示される。

0020

フコイダンとは、分子中にフコース硫酸を含有する多糖であり、特に限定はな
いが、例えば、褐藻植物ナマコ等に含有されている(左右田徳郎監修、江上不
二夫編集、共立出版株式会社、昭和30年12月15日発刊、多糖類化学、第3
19頁、第321頁)。なお、褐藻植物由来フコース硫酸含有多糖はフコイ
ン、フコイジンフカンと通称され、いくつかの分子種があることが知られてい
るが、本明細書では、フコイダンは、これらを包含するものとする。また、本発
明にはフコイダンの分解物も使用することができる。

0021

本発明において使用するフコイダンとしては、フコイダン含有物より得られる
フコイダン含有抽出液、該抽出液よりの精製物を使用することができる。フコイ
ダン含有抽出液の調製方法、抽出液からの精製方法は公知の方法で行えばよく、
特に限定するものではない。

0022

また、フコイダン分解物とは、フコイダンを酵素化学的方法、化学的方法、物
理学的方法で分解して得られるものであり、公知の酵素化学的方法、化学的方法
物理学的方法を使用することができる。

0023

フコイダンを含有する褐藻植物としては、例えば、山田幸雄序、川宗吉著、
保育社、昭和52年発刊の原色日本海藻図鑑、第22〜52頁に記載の褐藻植物
があり、例えば、ヒバマタ(Fucus evanescens)、ガゴメ昆布(Kjellmaniella c
rassifolia)、マ昆布(Laminaria japonica)、ワカメ(Undaria pinnatifida)等
を使用し、フコイダンを調製することができる。

0024

フコイダンを含有するナマコとしては、例えば、特開平4−91027号公報
記載のナマコがあり、例えば、マナマコ(Stichopus japonicus)、ニセクロナマ
コ(Holothuria leucospilota)等を使用することができ、該公報記載の方法にて
、フコイダンを調製することができる。

0025

フコイダンを含有する褐藻植物、ナマコ等は乾燥後、粉砕処理を行うことによ
り、フコイダン含有粉体を調製することができる。

0026

さらに、フコイダン含有粉体から熱水抽出希酸抽出を行うことによってフコ
イダン含有抽出液を調製することができる。

0027

フコイダン含有率を高めるための抽出物精製手段としては、塩化カルシウム
酢酸バリウム等を用いたフコイダンの分画方法塩化セチルピリジニウム等の酸
性多糖凝集剤を用いたフコイダンの分画方法、塩類の存在下で酸性多糖凝集剤を
用いるフコイダンの分画方法、ゲルろ過イオン交換クロマトグラフィー等があ
り、必要に応じこれらを組合せて、精製を行うことができる。

0028

フコイダンの分解方法としては、フコイダン分解酵素を使用する方法、酸分解
を行う方法、超音波処理を行う方法等フコイダン分解方法として公知の方法を使
用することができ、分解物の精製は上記方法にて行えばよい。

0029

フコイダンは硫酸基を分子中に有しており、該基は種々の塩基と反応し
塩を形成する。フコイダン、その分解物は塩になった状態が安定であり、通常、
ナトリウムおよび/またはカリウム等の塩の形態で単離される。これらの物質
塩はダウエックス50W等の陽イオン交換樹脂で処理することによって遊離の硫
酸基を有するフコイダンおよびその分解物に導くことが可能である。また、これ
らは、さらに必要に応じ、公知慣用塩交換を行い、所望の種々の塩に交換する
ことができる。フコイダン、それらの分解物の塩としては、薬学的に許容される
塩が用いられ、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩カルシウム
マグネシウムバリウム等のアルカリ土類金属塩ピリジニウム等の有機塩基
との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。

0030

フコイダンの分子種の中にはフコースを主成分とする一群と、ウロン酸を数%
含み構成糖にフコースやマンノースを多く含む一群の分子種がある。以下、本明
細書においてはウロン酸を実質的に含まない方をフコイダン−Fと称し、ウロン
酸を含むフコイダンをフコイダン−Uと称し、両者の混合物を単にフコイダンと
記載する。

0031

本発明においてはフコイダン−Fとフコイダン−Uをそれぞれ単独で用いても
良く、また併用して用いても良い。

0032

すなわち、本発明において使用するアポトーシス誘発剤は、例えば、実施例1
に記載のように調製した下記理化学的性質のフコイダン−Uを含有する。
(1)構成糖:フコース、マンノース、ガラクトース主体とし、ウロン酸を含
有する。
(2)フラボバクテリウム(Flavobacterium)sp.SA−0082(FERM BP-54
02)の生産するフコイダン分解酵素により低分子化する。

0033

また、本発明で使用するアポトーシス誘発剤は、例えば、実施例2に記
載のように調製した下記理化学的性質のフコイダン−Fを含有する。
(1)構成糖:フコースを主体とし、ウロン酸を実質的に含有しない。
(2)フラボバクテリウム(Flavobacterium)sp.SA−0082(FERM BP-54
02)の生産するフコダイン分解酵素により実質上低分子化されない。

0034

フコイダンをフコイダン分解性微生物、例えば、上記フコイダン分解酵素生
産性のフラボバクテリウムsp.SA−0082により処理することにより、フコ
イダンの微生物分解物を調製することができる。

0035

また、上記フコイダン−Uをフコイダン分解酵素、例えば、フラバクテリウ
ムsp.SA−0082の生産するフコイダン分解酵素で処理することにより、フ
コイダン−Uの酵素分解物を調製することができる。また、これらの分解物より
、各々の分解物の分子量分画物を調製することができる。

0036

なお、一般にフコイダンは酸やアルカリに対して弱いため、酸性溶液アル
性溶液を使用する場合、低分子化が進行し易い。加熱温度、時間、pH等を調
整することにより、任意の分解物を調製することができ、例えば、ゲルろ過処理
分子量分画膜処理等により、分解物の平均分子量、分子量分布等を調整するこ
とができる。また、フコイダンの分子量および糖組成はフコイダンの原料収穫
期、該原料の乾燥方法、該原料の保存方法により異なり、また、フコイダンの抽
出時の加熱条件、pH条件等により異なる。例えば、酸によりフコイダンは加水
分解され、アルカリ条件下ではウロン酸のβ−脱離により、低分子化が進行する
。したがって、本明細書に記載したフコイダン−U、フコイダン−Fの場合にお
いても、その分子量、分子量分布はその1例にすぎず、フコイダンの処理条件
より、その分子量、分子量分布は容易に変化させ得る。例えば、弱アルカリ性

00℃、1時間加熱し、脱塩に際し、ポアサイズ300の分子ふるい膜を使用す
れば、分子量分布1000から1万程度のフコイダン、フコイダン−U、フコイ
ダン−F等が調製できる。使用する条件によって任意の分子量、分子量分布のフ
コイダンを調製でき、本発明において、これらのフコイダンを含有するアポト
シス誘発剤を使用することができる。

0037

フコイダンまたはその分解物を癌細胞の培養液に1μg/ml以上の濃度で添
加すれば、添加後1日から数日で癌細胞はアポトーシスを起こし、フコイダン、
その分解物が強いアポトーシス誘発作用を有することが確認される。なお、これ
らの物質は正常細胞にはアポトーシスを誘発せず、毒性も示さない。特に、食用
褐藻植物、ナマコ由来のフコイダン、その分解物は天然由来物質であり、安全性
が高く、マウス経口投与を行っても毒性は認められない。

0038

フコイダンをアポトーシス誘発剤として使用する場合は、フコイダンおよび/
またはその分解物を公知の医薬用担体と組合せ製剤化して、所望の細胞と接触さ
せればよい。

0039

デキストラン硫酸は、微生物、例えば、ロイコノストック・メッセンテロイデ
ス(Leuconostoc mesenteroides)によって生産されるα−1,6結合したD−
グルコピラノースポリマーであるデキストランの硫酸エステルであり、本発明
においては市販のデキストラン硫酸を使用することができる。

0040

デキストラン硫酸またはその加熱処理物を癌細胞の培養液に添加すると、添加
後1日から数日で癌細胞はアポトーシスを起こし、デキストラン硫酸およびその
加熱処理物がアポトーシス誘発作用を有することが確認される。これをアポトー
シス誘発剤として使用する場合には、公知の医薬用担体と組合せ製剤化して、所
望の細胞と接触させればよい。

0041

また、本発明で使用するウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖
化合物とは、分子中にウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する多糖、
オリゴ糖単糖より選択される糖化合物であり、アポトーシス誘発性を有すれば
特に限定するものではない。

0042

分子内にウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する多糖としては例え
ペクチンペクチン酸アルギン酸ヒアルロン酸等が挙げられる。

0043

分子内にウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有するオリゴ糖としては
、上記多糖由来のオリゴ糖が例示され、公知の方法により製造することができる
。また合成法により合成されるオリゴ糖も本発明に包含されるものである。

0044

ウロン酸またはウロン酸誘導体としては、ガラクツロン酸グルクロン酸、マ
ンヌロン酸、これらのラクトン、これらのエステル、例えば、メチルエステル
およびこれらのアミドが例示され、公知の方法により製造することができる。

0045

本発明に使用するアポトーシス誘発性を有する、ウロン酸および/またはウロ
酸誘導体を含有する糖化合物は、ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含
有する糖化合物を原料とし製造することができる。その原料の起源、製造方法に
関して特に限定するものではないが、例えば、ウロン酸および/またはウロン酸
誘導体を構成成分とする多糖、例えば、ペクチン、ペクチン酸を原料として使用
することができる。また、該糖化合物の製造においてはその方法は問わないが、
例えば、原料物質よりの化学的酵素的物理的な単独または組合わせての製造
方法が挙げられる。

0046

本発明に使用する糖化合物の製造における化学的な処理方法としては、例えば
、室温〜200℃で数秒〜数時間、好ましくは、50〜130℃で
数秒〜60分処理すれば良く、ペクチンの場合、例えば、pH6.8、95℃で
数分〜数十分処理することによりβ−脱離反応が生じ、235nm付近吸光度
が増大した不飽和ウロン酸および/または不飽和ウロン酸誘導体を有する糖化
物が得られる。本発明の糖化合物はウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含
有する多糖類のβ−脱離反応により生成する非還元末端に不飽和ウロン酸および
/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物が含まれる。

0047

本発明に使用する糖化合物の製造における酵素学的な処理方法としては、ウロ
ン酸および/またはウロン酸誘導体含有多糖加水分解酵素によるウロン酸および
/またはウロン酸誘導体含有多糖の公知の分解が挙げられる。また、ウロン酸お
よび/またはウロン酸誘導体含有多糖リアーゼによるウロン酸および/またはウ
ロン酸誘導体含有多糖の公知の分解が挙げられる。例えば、ペクチン、ペクチン
酸の場合、各々、公知のペクチンリアーゼ(EC4.2.2.10)、ペクチン
酸リアーゼ(EC4.2.2.2)、エキソポリガラクツロン酸リアーゼ(EC
4.2.2.9)で分解することによって、非還元末端に4−デオキシ−L−ス
レオヘキサ−4−エノピラノシル・ウロネートまたはそのメチルエステルを有
する本発明に使用する糖化合物が得られる。また、ヒアルロン酸の場合はヒアル
ロン酸リアーゼ(EC4.2.2.1)、アルギン酸の場合はアルギン酸リア
ゼ(EC4.2.2.3)が使用される。

0048

本発明に使用する糖化合物の製造における物理的な処理方法としては、近赤外
線、赤外線マイクロ波、超音波処理等が挙げられ、例えば、ペクチンおよび/
またはペクチン酸をpH中性またはアルカリ性溶液中に入れ、温度は適宜、室
温以上で、適宜還元下、例えば、アスコルビン酸存在下で、時間は1秒以上、好
ましくは5秒〜1時間の超音波処理をし、振動
エネルギーを与えることが挙げられる。なお、超音波以外にもマイクロ波、近赤
外線、赤外線等の照射も有効で、これらを組合せ照射しても良い。照射は連続的
に行っても良く、断続的に行っても良い。

0049

本発明に使用するアポトーシス誘発性を有する、ウロン酸および/またはウロ
ン酸誘導体を含有する糖化合物の分解物とは、ウロン酸および/またはウロン酸
誘導体を含有する糖化合物を原料とし製造することができる。該分解物の製造に
おいてはその方法は問わないが、例えば、原料物質よりの化学的、酵素的、物理
的な単独または組合わせての製造方法が挙げられる。

0050

本発明において使用する上記分解物としては、例えば、ウロン酸および/また
はウロン酸誘導体を含有する糖化合物の加熱処理物がある。

0051

本発明に使用する上記加熱処理物の製造における加熱処理方法としては、糖化
合物を、例えば、60〜350℃で数秒〜数日、好ましくは80〜150℃で数
分〜数日加熱処理すればアポトーシス誘発性を有する加熱処理物が得られる。

0052

糖化合物として使用されるペクチンとしては特に限定されるものではなく、例
えば、柑橘類果皮およびリンゴ果実より抽出される高分子の多糖類を使用す
ることができる。工業的なペクチン製造の原料はフルーツで、レモンライム
の柑橘類の搾汁粕(主として内果皮)が用いられるほか、リンゴの搾汁粕も用い
られている。搾汁粕には主として不溶性プロトペクチンが含まれており、製造
の段階でこれを可溶化(抽出)し、ペクチンを調製する。可溶化は酸性温水
熱水で抽出することにより行うことができ、抽出時の温度、pH、時間条件を原
料に合せコントロールすることにより、分子量やエステル化度の一定なペクチン
を高収量で製造することができる。抽出液は遠心分離やろ過によって精製し、濃
縮後アルコール
添加してペクチンを沈殿させ回収することができる。沈殿は乾燥、粉砕後、所定
の乾燥ペクチンを調製することができる。

0053

ペクチンの主構造は、部分的にメチル化されたガラクツロン酸のポリマーであ
る。カルボキシル基メチルエステル化されたり、フリーの酸のままか、あるい
アンモニウム塩化カリウム塩化、またはナトリウム塩化されている。ペクチ
ンはメチルエステル化度DM度:全カルボキシル基に対するメトキシル基の割
合)によって、DM度の高いHMペクチンおよびDM度の低いLMペクチンに分
類され〔吉積智司ほか編、(株)光琳発行、新食品開発用素材便覧、第114〜
119頁(1991)〕、本発明においては市販の食品添加物ペクチン〔外山章
夫編、食品と科学社発行、天然物便覧、第12版、第138頁(1993)〕、
市販のHMペクチン、LMペクチン等(前出の新食品開発用素材便覧)を使用す
ることができる。

0054

本発明にはペクチン、ペクチン酸の分解物も使用することができる。ペクチン
の分解方法としては酸処理アルカリ処理等の化学的に分解する方法、超音波処
理、熱処理加圧処理加圧熱処理など物理的に分解する方法、あるいは酵素的
に分解する方法等が挙げられる。

0055

本発明において使用するウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖
化合物および/またはその分解物とはその薬学的に許容される塩を包含する。

0056

アポトーシス誘発剤として使用するには、ウロン酸および/またはウロン酸誘
導体を含有する糖化合物および/またはその分解物を公知の医薬用担体と組合せ
製剤化すれば良い。

0057

ウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/またはそ
の分解物を癌細胞の培養液に添加すれば、添加後1日から数日で癌
細胞がアポトーシスを起こす。また、正常細胞に対しては毒性を示さない。

0058

本発明のウロン酸および/またはウロン酸誘導体を含有する糖化合物および/
またはその分解物は天然由来物質であり、マウスに経口投与、非経口投与を行っ
ても毒性は認められない。

0059

本発明に使用するアポトーシス誘発活性を有する式(1)で表される4,5−
ジヒドロキシ−2−シクロペンテン−1−オン(以下、単にシクロペンテノン
称す)は化学合成法カーボハイドレートリサーチ(Carbohydrat
e Res.)、第247巻、第217〜222頁(1993)、ヘルベチカ
キミカアクタ(Helvetica Chimica Acta)、第55巻
、第2838〜2844頁(1972)]で合成することができ、そのトランス
体、シス体も本発明に使用することができる。

0060

また、D−グルクロン酸の水溶液を121℃で4時間加熱処理することにより
、加熱処理物中にシクロペンテノンが生成される。この加熱物中のシクロペンテ
ノンを溶媒で抽出し、抽出物を濃縮する。ついで、この濃縮物シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで分離し、溶出するシクロペンテノン画分を濃縮し、濃縮
物からシクロペンテノンをクロロホルムで抽出し、抽出濃縮物順相カラムクロ
マトグラフィーを行うことにより、精製シクロペンテノンを得ることができる。

0061

シクロペンテノンの物性を下記に示す。なお、シクロペンテノンの質量分析
DX302質量分析計日本電子社製)を用いて行った。また、重クロロホルム
溶媒を用いたNMRスペクトルの測定はJNM−A500(日本電子社製)を用
いた。比旋光度DIP−370型旋光計(日本分光社製)、UV吸収スペクト
ルはUV−2500分光光度計島津製作所社製)
赤外吸収スペクトル(IR)はFTIR−8000赤外分光光度計(島津製作
所社製)をそれぞれ用い、測定した。

0062

MS m/z 115[M+H]+

0063

1H−NMR(CDCl3)

0064

δ4.20(1H,d,J=2.4Hz,H−5)、4.83(1H,
m,H−4)、6.30(1H,dd,J=1.2,6.1Hz,H−2)
、7.48(1H,dd,J=2.1,6.1Hz,H−3)

0065

ただし、1H−NMRの化学シフト値はCHCl3の化学シフト値を7.26p
pmとして表した。

0066

旋光度:[α]D20 0°(c 1.3、水)

0067

IR(KBr法):3400、1715、1630、1115、1060、1
025cm-1に吸収を有する。

0068

UV:λmax215nm(水)

0069

シクロペンテノンをアポトーシス誘発剤として使用するには、シクロペンテノ
ンを公知の医薬用担体と組合せ製剤化すれば良い。

0070

シクロペンテノンを癌細胞の培養液に添加すれば、添加後1日から数日で癌細
胞がアポトーシスを起こす。また、正常細胞に対しては毒性を示さない。

0071

本発明に使用するシクロペンテノンはマウスに毒性を示さない。

0072

造血幹細胞は、1個の細胞から赤血球顆粒球血小板リンパ球などの成熟
血液細胞作出能力多分化能)を有するとともに、自己複製能を持つ細胞で
ある。

0073

造血幹細胞は(1)造血幹細胞を欠く宿主の造血系再生、(2)薬物の投与
または放射線照射等の治療に先立って疾病宿主より骨髄を取り出し
て調製した造血幹細胞を、治療後の宿主に再移植する治療、(3)種々の造血
胞の生産、(4)自系造血幹細胞への遺伝子導入による疾病の治療等に用途を有
する。

0074

造血幹細胞を得るには、骨髄または他の造血源中の細胞集団中から多能性の造
血幹細胞を単離、調製する必要がある。まず、骨髄細胞は骨髄源、例えば、腸骨
脛骨大腿骨脊椎または他の骨腔(bone cavity)から得ることができる
。造血幹細胞の他の入手源は胚卵黄包、胎児肝臓胎児および成体脾臓、成体
末梢血液および臍帯血をはじめとする血液を包含する。

0075

造血幹細胞の単離、組成物の調製方法としては公知のいずれの方法も使用する
ことができるが、現在最も簡便で効率の良い造血幹細胞組成物の調製方法は、特
開平7−313150号公報に記載の造血幹細胞の調製方法であり、該公報に記
載の方法によりヒト造血幹細胞の実質上均質な組成物を調製することができる。
例えば、抗体で被覆した磁性ビーズを用いる磁気分離アフィニティークロマト
グラフィー、モノクローナル抗体の使用等により、所望の細胞を含む画分を得、
これを蛍光活性化セルソーターによりさらに分けて、所望の細胞を得、緩衝剤
地に懸濁する。

0076

単離された、造血幹細胞を含有する組成物はその目的に応じ使用することがで
きるが、該組成物中に癌細胞が混入していれば、その使用方法によっては種々の
問題が生じうる。

0077

かくして、本発明では、癌細胞に特異的なアポトーシス誘発剤を使用すること
によって、造血幹細胞組成物中に混在する癌細胞のみを消滅させることに成功
たものである。

0078

本発明に使用するアポトーシス誘発剤は、癌細胞にアポトーシスを誘発させ、
癌細胞のみを消滅させる濃度で使用することができる。アポトーシ
ス誘発剤は造血幹細胞の培養液中に添加すればよく、また、造血幹細胞組成物の
調製時のいずれかの工程において添加すればよいが、調製後の造血幹細胞組成物
に添加するのがもっとも効率が良い。

0079

本発明の細胞組成物は、このようにして得られた造血幹細胞を含有する組成物
で、自体公知の方法によって製造でき、造血幹細胞の含有量は特に限定するもの
ではなく、組成物の使用目的によって決定される。また、他の造血細胞、ストロ
ーマ細胞等が含有されていてもよく、造血幹細胞培養基質、造血幹細胞増殖因子
、増殖幹細胞分化因子、造血幹細胞保護剤等を含有してもよい。

0080

本発明によれば、現在癌細胞の除去された造血幹細胞組成物の調製がもっとも
困難なマルチプルミエローマ(multiple myeloma)患者末梢血ブラッド(
Blood)、第86巻、第381〜389頁(1995)]からも、癌細胞が検出
されない、すなわち、癌細胞が実質上除去された造血幹細胞組成物を調製するこ
とができる。

0081

調製した造血幹細胞は公知の方法、例えば、上記、特開平7−313150号
公報に記載の方法により増殖させることができる。例えば、ストローマ細胞との
共存培養や、維持因子を含有する培地等で増殖させることができる。

0082

造血幹細胞は遺伝子導入の標的細胞とすることができる。遺伝子の標的細胞へ
導入方法は公知の方法に従って行うことができるが、造血幹細胞等の標的細胞
への遺伝子導入方法としては、1995年に国際公開されたWO 95/262
00号公報に記載の方法が最も効率のよい方法である。

0083

本発明において標的細胞に導入される遺伝子、すなわち、外来遺伝子は、細胞
への導入が望まれる任意の遺伝子とすることができる。例えば、外来遺伝子は、
疾患に関連しているアデノシンデアミナーゼ(adenosine deam
inase;ADA)のようなタンパク質アンチセンス核酸もしくはリボザイム
たはフォルスプライマー(例えば、1990年11月15日に公開されたWO
90/13641号参照)、細胞内抗体(例えば、1994年2月3日に公開さ
れたWO 94/02610号参照)、増殖因子等をコードするものでよい。

0084

このような外来遺伝子は、これらの遺伝子の発現を制御するのに適当なプロモ
ーター、典型的には外来プロモーターの制御下に導入することができる。また、
必要に応じてプロモーター以外の発現制御因子、例えば、ターミネーター配列
エンハンサー配列を付加してもよい。

0085

造血幹細胞への遺伝子導入は、例えば、レトロウイルスベクターを使用して実
施することができる。該ベクターは、遺伝子を導入された細胞の選択が容易とな
るように、抗生物質耐性遺伝子のようなマーカー遺伝子を含有することができる
。本発明に使用することができる代表的なベクターには、例えば、N2/ZipT
KNEO(TKNEO)ベクター(力価: NIH 3T3 細胞で1×105G41
8r cfu/ml)、ZipPGK−hADAベクターおよびZipPGK−mADAベク
ター等が含まれ、これらは全てモリッツ(Moritz)ら[ジャーナルオブエク
スペメンタル メディシン(J.Exp.Med.)、第178巻、第529頁(19
93)]によって報告されている。

0086

TKNEOベクターは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(thymidin
e kinase)プロモーターによって発現されるネオマイシンホスホトランスフェラ
ーゼ(neomycin phosphotransferase)遺伝子を保持している。このベクターを
用いて遺伝子を導入された細胞は、該遺伝子によって付与されるネオマイシン耐
性を利用して選択することができる。ZipPGK−hADAベクターでは、ヒト
ADA(「hADA」)cDNAはヒト
ホスホグリセレートキナーゼ(human phosphoglycerate kinase;PGK)プロ
モーターによって発現される。このベクターは発現可能な遺伝子としては該遺伝
子しか含有しておらず、選択に利用できるマーカー遺伝子を有していない。Zip
PGK−mADA(PGK−mADA)ベクターは、ヒトADA cDNAがマ
ウスADA(「mADA」)cDNAで置き換えられていることを除いて、Zip
PGK−hADAベクターと同一である。これらのウイルスベクターや他のウイ
ルスベクターの性質およびそれらベクターの製造方法は良く知られており、それ
らの選択および使用は、本明細書の開示により当業者が適宜選択する範囲内にあ
る。

0087

このように遺伝子を導入した造血幹細胞の組成物は遺伝病の治療に使用するこ
とができる。造血細胞に関連する遺伝病は、該疾患の原因である遺伝子の欠損
あるいはその異常を補完しうる遺伝子を有する自己、または同種異系由来の造血
幹細胞組成物を患者に移植することにより治療することができる。

0088

例えば、β−サラセミア(β−thalasemia;地中海貧血)、鎌状赤血球貧血
ADA欠乏症リコンビナーゼ(recombinase)欠乏症、リコンビナーゼ調節遺
伝子欠乏症等の疾患は、原因である遺伝子が特定されており、造血幹細胞の遺伝
子上に正常な野生型遺伝子相同もしくはランダム組換えにより導入したうえ
、これを患者に移植して治療を行うことができる。

0089

また、同種異系の造血幹細胞移植の場合には、遺伝子に異常のない、正常な造
血幹細胞が治療に用いられる。

0090

遺伝子治療の他の適応薬物耐性遺伝子の導入によって正常造血幹細胞に薬物
耐性を付与し、通常は危険と考えられる高濃度薬物を用いた治療を可能とするこ
とである。特に、本発明により得られる、癌細胞が実質的に除去された造血幹
胞組成物に抗癌剤に対する薬物耐性遺伝子、例えば、
多剤耐性遺伝子を導入することにより、高濃度の該抗癌剤を用いた治療が可能で
ある。

0091

造血系に関連するもの以外の疾患であっても、該疾患がホルモン酵素、サイ
トカイン、増殖因子等の特定の分泌タンパク質の欠損に関するものであれば造血
幹細胞を用いて治療することができる。問題のタンパク質をコードする遺伝子を
適切なプロモーターの制御下において造血幹細胞に導入することにより、欠損タ
ンパク質の誘導発現を行うことができる。このタンパク質の発現は、かかるタン
パク質を正常に発現する細胞型とは異なる細胞型による発現であっても、天然
おける発現と同様の作用が得られるように制御することが可能である。

0092

上記のように遺伝子の欠損や異常を補完する他、リボザイム、アンチセンス
酸等をコードする遺伝子やその他の適当な遺伝子を挿入することにより、細胞で
の特定の遺伝子産物の発現を制御したり、または病気、特に血液系の疾患へのか
かり易さを抑制することも可能である。

0093

例えば、HIVHTLV−I、HTLV−II等の血液性病原体に対しては
、造血幹細胞を遺伝子的に修飾し、造血幹細胞または造血幹細胞から分化させた
細胞中において上記病原体の増殖を防止するアンチセンス核酸もしくはリボザイ
ムを発現させることができる。

0094

また、別法として、T細胞に属する細胞から細胞表面の受容体のうちの特定の
分子を除去する事もできる。すなわち、相同組換えによる該受容体遺伝子の修飾
、または該受容体遺伝子の発現を妨げるようなアンチセンス核酸もしくはリボザ
イムを用いて特定の受容体の発現を抑制しうる。

0095

得られた遺伝子導入造血幹細胞組成物は細胞移植におけるレシピエントとなる
脊椎動物に、例えば、静脈内投与によって、慣用的に導入することができる。レ
ピエントは好ましくはドナー自身であるが、同種異系移植
であってもよく、特に臍帯血液細胞を移植に使用する場合には後者である。

0096

本発明に開示の癌細胞選択性を有するアポトーシス誘発剤を使用することによ
り、遺伝子導入の標的細胞組成物中の癌細胞を選択的に除去することができる。
遺伝子導入の標的細胞は、特に限定されないが、例えば、幹細胞(stem cells)
、造血細胞、プライモデイアルジャームセル(primordial germ cell)、
細胞、卵原細胞卵子精母細胞精子、CD34+細胞、C−kit+細胞、リ
ンパ球、B細胞、T細胞、骨髄系細胞等から選択される細胞が挙げられる。これ
らの細胞を含む細胞組成物はそれぞれ公知の方法により調製することができる。

0097

さらに、標的細胞として、胚性幹細胞、プライモデイアルジャームセル、卵
母細胞、卵原細胞、卵子、精母細胞、精子等を使用すれば、簡便に形質転換脊椎
動物を作成することができる。

0098

以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら
の記載に何ら限定されるものではない。なお、実施例における%は重量%を意味
する。

0099

実施例1

0100

(1)ガゴメ昆布を十分乾燥後、2kgを自由粉砕機M−2型(奈良機械製作
所製)により粉砕し、得られた乾燥粉末を9リットルの80%エタノールに懸濁
し80℃、2時間処理した。処理後ろ紙によりろ過し残渣を得た。この残渣に対
して上記エタノール洗浄、ろ過という操作を3回繰り返しエタノール洗浄残渣を
得た。この残渣を36リットルの0.2M酢酸カルシウム溶液に懸濁後、95℃
、2時間処理し、ろ過した。残渣を4リットルの0.2M酢酸カルシウム溶液で
洗浄し、ガゴメ昆布のフコイダン抽出液36リットルを得た。

0101

このろ液を排除分子量10万の限外ろ過膜を装着した限外ろ過器により
2リットルに濃縮し、つぎに、終濃度が1.5Mとなるように塩化ナトリウム
添加し5%の塩化セチルピリジニウムをこれ以上沈殿が生じなくなるまで添加し
た。生じた沈殿を遠心分離により除去した。得られた上清限外ろ過により1リ
トルに濃縮し、4リットルのエタノールを添加し、生じた沈殿を遠心分離によ
り集めた。この沈殿に100mlの4M塩化ナトリウムを添加し、よく攪拌後、
エタノールを80%となるように添加し、攪拌後、遠心分離により沈殿を得た。
この沈殿を80%エタノール中に懸濁し遠心分離する操作を、上清中の260n
mの吸光度がなくなるまで繰り返した。この沈殿を2Mの塩化ナトリウム2リッ
トルに溶解し、不溶物を遠心分離により除去後、50mlのDEAEセルロ
ァインA−800(生化学工業社製)を添加し、撹拌後、加えた樹脂をろ過によ
り除去した。ろ液を2Mの塩化ナトリウムで平衡化したDEAE−セルロファイ
ンA−800カラムにかけ非吸着分を排除分子量10万以下のホロファイバー
備えた限外ろ過装置で限外ろ過し、着色性物質および塩化ナトリウムを完全に除
去後、遠心分離およびろ過により不溶性物質を除去し、凍結乾燥し、フコイダン
−Uを調製した。凍結乾燥フコイダン−Uの重量は15gであった。

0102

得られたフコイダン−Uの分子量をセファクリルS−500を用いたゲルろ過
法により求めたところ、約19万を中心とした分子量分布を示した。

0103

(2)上記のフコイダン−Uおよび下記実施例2で調製したフコイダン−Fの
塩化ナトリウム濃度における、過剰量の塩化セチルピリジニウム存在下におけ
沈殿形成性を図1に示す。

0104

図1縦軸は沈殿形成率(%)を示し、横軸は塩化ナトリウム濃度(M)を示
す。図中、実線および白丸は本発明のフコイダン−Uの各塩化ナトリウム濃度で
の沈殿形成率を示し、図中、点線および白三角はフコイダン−
Fの各塩化ナトリウム濃度(M)での沈殿形成率を示す。

0105

沈殿形成率の測定は、溶液温度37℃にて、以下のように行った。

0106

フコイダン−Uおよびフコイダン−Fをそれぞれ2%の濃度で水および4Mの
塩化ナトリウムに溶解し、これらを様々な割合で混合することにより様々な濃度
の塩化ナトリウムに溶解したフコイダン−Uおよびフコイダン−F溶液を各12
5μlずつ調製した。つぎに、塩化セチルピリジニウムを2.5%の濃度で水お
よび4Mの塩化ナトリウムに溶解し、それらを混合することにより様々な濃度の
塩化ナトリウムに溶解した1.25%の塩化セチルピリジニウム溶液を調製した

0107

水に溶解している2%のフコイダン−Uおよびフコイダン−Fを1.25%の
塩化セチルピリジニウムで完全に沈殿させるには容量で3.2倍必要であった。
そこで、各濃度の塩化ナトリウムに溶解した2%のフコイダン−Uおよびフコイ
ダン−Fの各125μlに対して各々の濃度の塩化ナトリウムに溶解した塩化
チルピリジニウム溶液を400μl添加後、十分攪拌し、30分放置後、遠心
離し上清中の糖含量フェノール−硫酸法[アナリティカルケミストリー(An
alytical Chemistry)、第28巻、第350頁(1956)]により測定し、各
塩化ナトリウム濃度下での各フコイダンの沈殿形成率を算出した。

0108

(3)上記のフコイダン−Uの成分を以下に示す方法で分析した。

0109

まず、ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー(Journal of Biolog
ical Chemistry)、第175巻、第595頁(1948)の記載に従いフコース
量を定量した。

0110

得られたフコイダン−Uの乾燥標品を1規定の塩酸に0.5%の濃度で溶解し
、110℃で2時間処理し、構成単糖加水分解した。グライタッグ(GlycoT
AGTM)およびグライコタッグ リージェントキット(GlycoT
AGTMReagent Kit)(共に宝酒造社製)を用いて加水分解して得られた単糖の還
元性末端ピリジル−(2)−アミノ化(PA化)し、HPLCにより構成糖の
比率を調べた。

0111

つぎに、アナリティカルバイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、
第4巻、第330頁(1962)の記載に従いウロン酸量を定量した。

0112

また、バイオケミカルジャーナル(Biochemical Journal)、第84巻、第1
06頁(1962)の記載に従い硫酸含量を定量した。

0113

以上の結果、フコイダン−Uの構成糖はフコース、マンノース、ガラクトース
グルコースラムノースキシロース、ウロン酸であった。

0114

その他の中性糖は実質的に含有されていなかった。また、主要成分のフコース
:マンノース:ガラクトース:ウロン酸:硫酸基はモル比で約10:7:4:5
:20であった。

0115

(4)フコイダン−Uの構造は以下のようにして決定した。

0116

(4)−1 精製したフコイダン−Uに下記エンド型フコイダン分解酵素を作
用させ分解物の精製を行った。

0117

すなわち、1%のフコイダン−U溶液16mlと、50mMのリン酸緩衝液
pH8.0)12mlと4Mの塩化ナトリウム4mlと32mU/mlの下記エ
ンド型フコイダン分解酵素溶液8mlを混合し、25℃で48時間反応させた。
反応の進行と共に230nmの吸光度が増加することを確認し、本酵素によりフ
コイダン−Uが分解されていることが判明した。

0118

この反応液マイクロアシライザーG3(旭化成社製)により脱塩後、DEA
E−セファロースFFファルマシア社製)により3つの画分(a)、(b)、
および(c)に分離精製した。

0119

なお、このエンド型フコイダン分解酵素は以下の方法により調製される。

0120

該エンド型フコイダン分解酵素の生産に用いる菌株としては、該エンド型フコ
イダン分解酵素生産能を有する菌株であればいかなる菌株でもよいが、具体例と
しては例えば、フラボバクテリウム(Flavobacterium)sp.SA−0082株(
FERM BP−5402)が挙げられる。

0121

本菌株は青森県の海水中より新たに検索して得た菌株で、この菌株は Flavoba
cterium sp.SA−0082と表示され、平成7年3月29日(原寄託日)より
ブタペスト条約の下、日本国県つくば市東1丁目1番3号の工業技術院
工学工業技術研究所にFERM BP−5402の受託番号で寄託されている

0122

本菌株の培地に加える栄養源は使用する菌株が利用し、エンド型フコイダン分
解酵素を生産するものであればよく、炭素源としては例えばフコイダン、海藻粉
末、アルギン酸、フコース、グルコース、マンニトールグリセロールサッカ
ロースマルトースラクトース、デンプン等が利用でき、窒素源としては、酵
エキスペプトンカザミノ酸コーンスティープリカー肉エキス脱脂
豆、硫安塩化アンモニウム等が適当である。その他にナトリウム塩リン酸塩
、カリウム塩、マグネシウム塩亜鉛塩等の無機質、および金属塩類を加えても
よい。

0123

本エンド型フコイダン分解酵素の生産菌を培養するにあたり、生産量は培養条
件により変動するが、一般に培養温度は15℃〜30℃、培地のpHは5〜9が
よく、5〜72時間の通気撹拌培養で本エンド型フコイダン分解酵素の生産量は
最高に達する。培養条件は使用する菌株、培地組成等に応じ、本エンド型フコイ
ダン分解酵素の生産量が最大になるように設定するのは当然のことである。

0124

本エンド型フコイダン分解酵素は菌体中にも培養物上清中にも存在する。

0125

上記のフラボバクテリウムsp.SA−0082株を適当な培地で培養し、その
菌体を集め、通常用いられる細胞破壊手段、例えば、超音波処理などで菌体を破
砕すると無細胞抽出液が得られる。

0126

ついで、この抽出液から通常用いられる精製手段により精製酵素標品を得るこ
とができる。例えば、塩析イオン交換カラムクロマト、疎水結合カラムクロマ
ト、ゲルろ過等により精製を行い、他のフコイダン分解酵素を含まない純化され
た本エンド型フコイダン分解酵素を得ることができる。

0127

また、上記の培養液から菌体を除去した培養液上清中にも本酵素(菌体外酵素
)が大量に存在するので、菌体内酵素と同様の精製手段により精製することがで
きる。

0128

エンド型フコイダン分解酵素の精製例を示す。

0129

フラボバクテリウムsp.SA−0082(FERM BP−5402)をグル
コース0.25%、ペプトン1.0%、酵母エキス0.05%を含む人工海水
ジャマリンラボラトリー製)pH7.5からなる培地600mlを分注して殺菌
した(120℃、20分)2リットルの三角フラスコ接種し、24℃で24時
間培養して種培養液とした。グルコース0.25%、ペプトン1.0%、酵母
キス0.05%、及び消泡剤信越化学工業製KM70)0.01%を含む人工
海水(ジャマリンラボラトリー製)pH7.5からなる培地20リットルを30
リットル容のジャーファーメンターに入れ120℃で20分殺菌した。冷却後、
上記の種培養液600mlを接種し、24℃で24時間、毎分10リットルの通
気量と毎分125回転のかくはん速度の条件で培養した。培養終了後、培養液を
遠心分離して菌体を得た。

0130

この菌体を、200mMの塩化ナトリウムを含む20mMの酢酸リン酸緩衝
液(pH7.5)に懸濁し、超音波破砕後、遠心分離して菌体抽出
液を得た。この菌体抽出液中の本発明のエンド型フコイダン分解酵素の活性を測
定したところ、培地1ml中に5mUの活性が検出された。なお、活性測定につ
いては後に記載する。

0131

本抽出液に、終濃度が90%飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、撹拌
溶解後、遠心分離し、沈殿を上記菌体抽出液と同じ緩衝液に懸濁して、50mM
の塩化ナトリウムを含む20mMの酢酸−リン酸緩衝液(pH7.5)で十分透
析した。透析により生じた沈殿を遠心分離により除去後、あらかじめ50mMの
塩化ナトリウムを含む20mMの酢酸−リン酸緩衝液(pH7.5)で平衡化し
たDEAE−セファロースFFのカラムに吸着させ、吸着物を同緩衝液にて十分
洗浄後、50mMから600mMの塩化ナトリウムの直線濃度勾配により溶出さ
せ、活性画分を集めた。つぎに、この活性画分に終濃度が4Mとなるように塩化
ナトリウムを加え、あらかじめ4Mの塩化ナトリウムを含む20mMのリン酸
衝液(pH8.0)で平衡化したフェニルセファロースCL−4B(ファルマ
ア社製)のカラムに吸着させ、吸着物を同緩衝液で十分洗浄後、4Mから1Mの
塩化ナトリウムの直線濃度勾配により溶出させ、活性画分を集めた。つぎに、こ
の活性画分を限外ろ過器で濃縮後、あらかじめ50mM塩化ナトリウムを含む1
0mMリン酸緩衝液で平衡化したセファクリルS−300(ファルマシア社製
)でゲルろ過を行い活性画分を集めた。この酵素の分子量をセファクリル S−
300の保持時間から求めたところ約46万であった。次にこの活性画分に25
mMの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7)で透析した。こ
酵素液を、あらかじめ250mMの塩化ナトリウムを含む10mMのリン酸緩
衝液(pH7)で平衡化したモノ(Mono)Q HR5/5(ファルマシア社製)
のカラムに吸着させ、吸着物を同緩衝液で十分洗浄後、250mMから450m
Mの塩化ナトリウムの
直線濃度勾配により溶出させ、活性画分を集め、精製酵素を得た。以上の精製工
程を表1に示す。なお、タンパク質の定量は、酵素液の280nmの吸光度を測
定することにより行う。その際1mg/mlのタンパク質溶液の吸光度を1.0
として計算する。

0132

本酵素の活性測定は下記のように行う。

0133

2.5%のガゴメ昆布由来のフコイダン溶液50μlと、10μlの本酵素と
、60μlの667mM塩化ナトリウムを含む83mMリン酸緩衝液pH7.5
を混合し、37℃、3時間反応させた後、反応液105μlと水2mlを混合、
撹拌し、その230nmにおける吸光度(AT)を測定する。対照として、本酵
素の代りに、本酵素を溶解している上記緩衝液のみを用いて同様の条件により反
応させたもの、およびフコイダン溶液の代りに水のみを用いて反応を行ったもの
を用意し、それぞれ同様に吸光度を測定する(AB1およびAB2)。

0134

1単位の酵素は、上記反応系において1分間に1μmolのマンノースとウロ
ン酸の間のグリコシド結合を脱離的に切断する酵素量とする。切断された結合の
定量は、脱離反応の際に生じた不飽和ウロン酸のミリモル分子吸光係数を5.5
として計算し行う。なお、酵素の活性は式:

0135

(AT−AB1−AB2)×2.105×120/5.5×105×

0136

0.01×180=U/ml
式中、
2.105は吸光度を測定するサンプルの液量(ml)、
120は酵素反応液の液量(μl)、
5.5は不飽和ウロン酸の230nmにおけるミリモル分子吸光係数(/mM)

105は希釈に用いる反応液の液量(μl)、
0.01は酵素液量(ml)、
180は反応時間(分)
である。

0137

なお、基質のガゴメ昆布由来のフコイダンはつぎのように調製した。

0138

乾燥ガゴメ昆布を自由粉砕機M−2型により粉砕し、10倍量の85%メタ
ール中で70℃、2時間処理後、ろ過し、残渣を10倍量のメタノール中で70
℃、2時間処理し、ろ過する。残渣に20倍量の水を加え、100℃、3時間処
理しろ過により抽出液を得る。抽出液の塩濃度を400mMの塩化ナトリウム溶
液と同じにした後、セチルピリジニウムクロリドをこれ以上沈殿が生じなくなる
まで添加し、遠心分離する。その沈殿を、エタノールで十分洗浄し、セチルピリ
ジニウムクロリドが完全に除去できたら、限外ろ過器(ろ過膜の排除分子量10
万)(アミコン社製)により脱塩及び低分子物質の除去を行い、この際生じた沈
殿を遠心分離によ
り除去する。この上清を凍結乾燥して精製ガゴメ昆布フコイダンを得る。

0139

(4)−2 上記のエンド型フコイダン分解酵素は、複合多糖中に存在するD
−マンノースとD−グルクロン酸の間のα1→4結合を脱離的に分解する酵素で
あり、フコイダンに作用させると、以下の式(2)、(3)および(4)の式で
表される構造を有するオリゴ糖を生成する。

0140

そこで、上記のDEAE−セファロースFFで分離精製した3つの画分(a)
、(b)および(c)をそれぞれ一部だけグライコタッグおよびグライコタッグ

0141

リージェントキットを用いて還元性末端を、ピリジル−(2)−アミノ化(
PA化)し、各PA化糖(PA−a)、(PA−b)および(PA−c)を得た
。(PA−a)、(PA−b)および(PA−c)をHPLCにより分析し、上
記の式(2)、(3)および(4)の構
造式で表される3種のオリゴ糖のPA化物との相違性を調べた。

0142

なお、HPLCの条件は下記によった。

0143

(ア)分子量分画カラムを用いたHPLC分析

0144

装置:L−6200型(日立製作所製)

0145

カラム:SHODEX SB−803(4.6×250mm)
(昭和電工社製)

0146

溶離液:0.2M塩化ナトリウム:ジメチルスルホキシド=9:1

0147

検出:蛍光検出器F−1150(日立製作所製)にて励起波長320nm、

0148

蛍光波長400nmで検出

0149

流速:1ml/分

0150

カラム温度:50℃

0151

(イ)逆相カラムを用いたHPLC分析

0152

装置:L−6200型(日立製作所製)

0153

カラム:L−カラム(4.6×250mm)[(財)化学薬品検査協会]

0154

溶離液:50mM酢酸−トリエチルアミン(pH5.5)

0155

検出:蛍光検出器F−1150(日立製作所製)にて励起波長320nm、

0156

蛍光波長400nmで検出

0157

流速:1ml/分

0158

カラム温度:40℃

0159

上記2種のHPLC分析の結果、フコイダン−Uを上記エンド型フコイダン分
解酵素で分解して得られた3種のオリゴ糖と上記の式(2)、(3)および(4
)の構造式で表される3種のオリゴ糖は同一のものであった。

0160

したがって(a)は、還元末端残基であるD−マンノースに不飽和D−
グルクロン酸と、硫酸基が結合したL−フコースが結合した構造を持ち、(b)
は硫酸基が結合した還元末端残基であるD−マンノースに不飽和D−グルクロン
酸と、2個の硫酸基が結合したL−フコースが結合した構造を持ち、(c)は還
元末端残基であるD−マンノースにD−グルクロン酸と、硫酸基が結合したL−
フコースが結合し、そのD−グルクロン酸にD−マンノースが結合し、さらにそ
のD−マンノースに不飽和D−グルクロン酸と、硫酸基が結合したL−フコース
が結合した構造を持つ。

0161

上より、得られたフコイダン−Uは、D−グルクロン酸とD−マンノースが
交互に結合した構造を持ち、少なくとも1つ以上のD−マンノースにL−フコー
スが結合している構造を有する。

0162

また、式:
の構造式で表される部分構造を有する(ただし、式中の少なくとも1つのアルコ
ール性水酸基硫酸エステル化しており、またnは1以上の整数を表す)。

0163

以上このフコイダン−Uに上記のエンド型フコイダン分解酵素を作用させると
上記の化2、化3および化4の構造式で表されるオリゴ糖を生じた。

0164

このフコイダン−Uの凍結乾燥物の比旋光度を高速高感度旋光計SEPA−
300(堀場製作所製)により測定したところ、−53.6度であった。

0165

実施例2

0166

(1)ガゴメ昆布を十分乾燥後、2kgを自由粉砕機M−2型により粉砕し、
得られた乾燥粉末を9リットルの80%エタノールに懸濁し80℃、2時間処理
した。処理後ろ紙によりろ過し残渣を得た。この残渣に対して上記エタノール洗
浄、ろ過という操作を3回繰り返しエタノール洗浄残渣を得た。この残渣を36
リットルの0.2M酢酸カルシウムに懸濁後、95℃、2時間処理し、ろ過した
。残渣を4リットルの0.2M酢酸カルシウムで洗浄し、ガゴメ昆布のフコイダ
ン抽出液36リットルを得た。

0167

得られたろ液に5%の塩化セチルピリジニウムをそれ以上沈殿が生じなくなる
まで添加し、遠心分離により沈殿を集めた。この沈殿を3リットルの0.4M塩
化ナトリウムに懸濁後遠心分離し、洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返した後
沈殿に1リットルの4M塩化ナトリウムを添加し、よく撹拌後、エタノールを8
0%となるように添加し、攪拌後、遠心分離により沈澱を得た。この沈殿を80
%エタノール中に懸濁し遠心分離する操作を、上清中の260nmの吸光度をが
なくなるまで繰り返した。この沈殿を2M塩化ナトリウム3リットルに溶解し、
不溶物を遠心分離により除去後、100mlのDEAE−セルロファインA−8
00を添加し、攪拌後、加えた樹脂をろ過により除去した。ろ液を2M塩化ナト
リウムで平衡化したDEAE−セルロファインA−800カラムにかけ、非吸着
分を排
除分子量10万以下のホロファイバーを備えた限外ろ過装置で限外ろ過し、着色
性物質及び塩化ナトリウムを完全に除去後、遠心分離およびろ過により不溶性物
質を除去し、凍結乾燥し、フコイダンを調製した。

0168

該凍結乾燥フコイダンの重量は90gであった。

0169

このフコイダンの凍結乾燥物を7g量し、0.2Mの塩化カルシウムに溶解
した。次に、4000mlのDEAE−セファロースFFのカラムを0.2Mの
塩化カルシウムで平衡化した。0.2Mの塩化カルシウムに溶解したフコース硫
酸含有多糖混合物をDEAE−セファロースFFのカラムにかけ、0.2Mの塩
化カルシウムで十分洗浄し、つぎに、0〜4Mの塩化ナトリウムの直線濃度勾配
で溶出させた。溶出画分のうち、塩化ナトリウム濃度が0.05〜0.8Mの画
分を集め透析により脱塩後凍結乾燥し、実質的にフコイダン−Fと分離されたフ
コイダン−Uを2.1g得た。

0170

また、上記溶出画分のうち、塩化ナトリウム濃度が0.9〜1.5Mの画分を
集め透析により脱塩後凍結乾燥し、実質的にフコイダン−Uと分離されたフコイ
ダン−Fを4.7g得た。

0171

上記のフコイダン−Fの分子量をセファクリルS−500を用いたゲルろ過法
により求めたところ、約19万を中心とした分子量分布を示した。

0172

(2)フコイダン−Fの成分を実施例1に記載の方法に準じ分析した。

0173

このフコイダン−Fの構成糖はフコース、ガラクトースで、そのモル比は約1
0:1であった。ウロン酸およびその他の中性糖は実質的に含有されていなかっ
た。また、フコースと硫酸基のモル比は約1:2であった。

0174

1%のフコイダン−F溶液16mlと、50mMのリン酸緩衝液(pH8.0
)12mlと4Mの塩化ナトリウム4mlと32mU/mlの実施例1−(3)
に記載のエンド型フコイダン分解酵素溶液8mlを混合し、
25℃で48時間反応させた。反応による分解物の生成は認められなかった。

0175

このフコイダン−Fの凍結乾燥物の比旋光度を高速・高感度旋光計SEPA−
300(堀場製作所製)により測定したところ、−135度であった。

0176

実施例3

0177

(1)56℃、30分間処理した牛胎児血清(JRHバイオサイエンス社製)
を10%含むRPMI1640培地(キフコ社製)にて37℃で培養したミエロ
ーマ細胞(P3X63Ag8:ATCCTIB−9)を牛胎児血清を10%含
むRPMI1640培地にて1×104個/1.8mlとなるように懸濁した。
それぞれの懸濁液1.8mlに対し、5、10、20mg/mlとなるように1
00mMの塩化ナトリウムを含む50mMHEPES緩衝液(pH7.2)に
溶解し、120℃、20分間加熱処理をした実施例1記載のフコイダン−U、実
施例2記載のフコイダン−Fを0.2ml添加し、37℃、5%CO2存在下で
92時間培養した。

0178

培養した細胞を顕微鏡で観察し、増殖の程度および細胞の形態を調べた。この
結果フコイダン−Uまたはフコイダン−Fを添加したミエローマ細胞は細胞縮小
及び細胞核断片化等のアポトーシスの特徴を示した。試料無添加の対照のミエロ
ーマ細胞は細胞数が約70倍に増加したが、フコイダン−Uまたはフコイダン−
Fを添加したミエローマ細胞は死滅し、これら2種のフコイダンは強いアポトー
シス誘発作用を示した。なお、培養開始後経時的に、生細胞数を「組織培養の技
術(第2版)」出版、日本組織培養学会編(1990年)記載の方法(第2
6〜28頁)に従って計測した。すなわち、トリパンブルー染色された細胞を血
計算板上で計数し、生細胞数を求めた。

0179

結果を図2図3に示す。図2図3は培養時間と生細胞数の関係を示す図で
あり、横軸は培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図3図2の縦軸の
スケールを拡大したものである。図2図3中×印は試料無添加対照(C)、白
丸はフコイダン−Uを0.5mg/ml添加、白三角はフコイダン−Uを1mg
/ml添加、白四角はフコイダン−Uを2mg/ml添加、黒丸はフコイダン−
Fを0.5mg/ml添加、黒三角はフコイダン−Fを1mg/ml添加、黒四
角はフコイダン−Fを2mg/ml添加したことを示す。

0180

(2)56℃、30分間処理した牛胎児血清(JRHバイオサイエンス社)を
10%含むRPMI1640培地(ギブコ社製)にて37℃で培養したヒト前骨
白血病細胞HL−60(ATCCCCL−240)をASF104培地(
味の素社製)にて5×104個/900μlとなるように懸濁し、FALCON
社製6ウェルプレート上の各ウェルに4.5mlずつ分注した。それぞれの懸濁
液に対し、実施例1記載のフコイダン−U、及び実施例2記載のフコイダン−F
を10mg/mlとなるように120mMの塩化ナトリウムを含む30mM H
EPES緩衝液(pH7)に溶解し、フィルターろ過処理したものを0.5ml
添加し、37℃、5%CO2存在下で培養した。なお、対照として上記緩衝液の
みを同量添加し同様に培養した。培養開始16時間後と40時間後の生細胞数を
上記同様の方法で計測した。

0181

得られた結果を図4に示す。すなわち、図4はHL−60細胞の培養液にフコ
イダン−Uまたはフコイダン−Fを1mg/mlとなるように添加したときの培
養時間と培養液中の生細胞数の関係を表す図であり、横軸は培養時間、縦軸は培
養液中の生細胞数を示す。図4中の培地に添加したフコイダンの種類は白丸がフ
コイダン−U、黒丸がフコイダン−Fであるこ
とを示す。なお、対照(試料無添加)の培養液中の生細胞数は培養16時間後で
7×104個/ml、40時間後で1.4×105個/mlであった。

0182

この結果HL−60細胞はフコイダン−Uおよびフコイダン−Fによりアポト
ーシスを誘発され細胞増殖速度が抑制されることが判明した。

0183

また、フコイダン−U、フコイダン−Fを10mg/mlとなるように120
mMの塩化ナトリウムを含む30mMHEPES緩衝液(pH7)に溶解し、
121℃、20分間オートクレーブ処理したもののアポトーシス誘発作用を上記
方法に準じ測定し、同様の結果を得た。

0184

(3)6〜8週齢のマウス(C3H/HeJ)に150mg/kgの5−フル
ロウシル(5−FU、アムレスコ社製)を腹腔内投与し、その2日後に大腿
骨および脛骨を摘出して骨髄を採取した。得られた骨髄をフィコールハイパ
(Ficoll Hypaque密度1.0875g/ml、ファルマシア社製)を用いた密
度勾配遠心分離に供し、低密度単核細胞画分を調製してこれをマウス骨髄細胞と
した。

0185

マウス骨髄細胞は実施例1記載のフコイダン−U、または実施例2記載のフコ
イダン−Fの存在下、または非存在下で液体培養した。すなわち、20%
血清、100単位/ml組換えヒトインターロイキン−6(rhIL−6、アム
ジェン社製)、100ng/ml組換えマウス幹細胞因子(rmSCF、アムジェ
ン社製)、50単位/mlのペニシリンおよび50μg/mlのストレプトマイシン
を含有するα−MEM(ギブコ社製)中に1×106個/mlの細胞密度で上記
のマウス骨髄細胞を添加し、更にフコイダン−Uまたはフコイダン−Fを1mg
/mlの濃度で添加した。これを5% CO2中、37℃で48時間インキュベー
トした。

0186

インキュベート終了後、非接着細胞デカンテーションによって、またプレー
トに接着した細胞は細胞解離緩衝液(CDB、酵素を含まない、ギ
ブコ社製)を使用してそれぞれ採集し、これらを合わせて細胞数を計数した。採
集した細胞はHPP−CFC(High Proliferative Potential-Colony Forming
Cells、高増殖能コロニー形成細胞アッセイに供した。

0187

HPP−CFCアッセイはブラッドレー(Bradley)等の方法[Aust.J.Exp
.Biol.Med.Sci.、第44巻、第287〜293頁(1966年)]に従って
行った。培地には1%/0.66%重層軟寒天培地を使用し、1ウエルあたりに
5×104個の感染細胞を添加し、10% CO2中、37℃で13日間インキュ
ベートした。インキュベーション終了後、出現したコロニー倒立顕微鏡で観察
し、HPP−CFC由来の高密度コロニー(径0.5mm以上)を計数した。

0188

その結果を図5に示す。すなわち図5はフコイダンと高密度コロニー数の関係
を示す図であり、横軸に使用したフコイダンおよびフコイダン無添加の対照を、
縦軸に高密度コロニー数を示す。図5に示されるように、形成される高密度コロ
ニーの数に関して、フコイダン−Uまたはフコイダン−Fを培地中に添加した場
合と対照との間に有意差は認められなかった。

0189

実施例4

0190

56℃、30分間処理した牛胎児血清(JRHバイオサイエンス社製)を10
%含むRPMI1640培地(ギブコ社製)にて37℃で培養したミエローマ細
胞(P3X63Ag8U.1:ATCCCRL−1597)を、牛胎児血清を
10%含むRPMI1640培地にて2.5×105個/4.5mlとなるよう
に懸濁した。それぞれの懸濁液4.5mlに対し、10mg/mlとなるように
120mMの塩化ナトリウムを含む50mMHEPES緩衝液(pH7.0)
に溶解し、フィルター滅菌したデキストラン硫酸[オンコー(Oncor)社製
、分子量50万]を0.5ml添加し、37℃、5%CO2存在下で60時間培
養した。

0191

培養した細胞を顕微鏡で観察し、増殖の程度および細胞の形態を調べた。この
結果デキストラン硫酸を添加したミエローマ細胞は細胞縮小および細胞核断片化
等のアポトーシスの特徴を示した。試料無添加の対照のミエローマ細胞は細胞数
が約20倍に増加したが、デキストラン硫酸を添加したミエローマ細胞は死滅し
、デキストラン硫酸は強いアポトーシス誘発作用を示した。なお、培養開始後経
時的に、生細胞数をトリパンブルー染色によって計数した。

0192

結果を図6に示す。図6は培養時間と生細胞数の関係を示す図であり、横軸は
培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図6中、白四角は試料無添加(対
照)、白丸はデキストラン硫酸1mg/ml添加を示す。

0193

つぎに、10mg/mlとなるように120mMの塩化ナトリウムを含む50
mMHEPES緩衝液(pH7.0)に溶解し、120℃、20分間加熱処理
したデキストラン硫酸[オンコー(Oncor)社製、分子量50万]を用い、
上記方法に準じそのアポトーシス誘発作用を測定した。

0194

結果を図7に示す。図7は培養時間と生細胞数の関係を示す図であり、横軸は
培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図7中、白四角は試料無添加(対
照)、黒丸は加熱処理デキストラン硫酸1mg/ml添加を示す。加熱処理デキ
トラン硫酸においても強いアポトーシス誘発作用が認められた。

0195

実施例5

0196

市販のレモン製ペクチンを120mM塩化ナトリウムを含む50mMHE
ES緩衝液(pH7.0)に10mg/mlとなるように溶解するとpH5.0
であった。これを121℃、30分間加熱処理したものの紫外部吸収スペクトル
を測定すると、加熱処理物では235nm付近の吸光度が増大していた。

0197

これらの試料を1N水酸化ナトリウムでpH7.0に調整し、アポトーシス誘
発活性を実施例3−(2)の方法に従って測定した。

0198

その結果を図8に示す。ペクチン加熱処理物は顕著なアポトーシス誘発活性を
示した。すなわち、図8はHL−60細胞の培養液にペクチンの加熱処理物溶液
を1mg/mlとなるように添加したときの培養時間と培養液中の生細胞数の関
係を示す図であり、横軸は培養時間、縦軸は培養液中の生細胞数を示す。図8
において白四角は試料無添加(対照)、白菱形はペクチン加熱処理物添加をそれ
ぞれ示す。

0199

実施例6

0200

(1)10gのD−グルクロン酸(シグマ社製 G 5269)を1リットル
の水に溶解し、121℃で4時間加熱した後約10mlになるまで減圧下濃縮
た。これに酢酸ブチル:酢酸:水=3:2:2混合液上層40mlを加えて混
合後、遠心によって得た上清を減圧下約10mlまで濃縮した。

0201

上記抽出液をカラムクロマトグラフィー用シリカゲルBW−300SP(2×
28cm、富士シリシア化学社製)に供し、酢酸ブチル:酢酸:水=3:2:2
の上層を溶離液としてコンプレッサーで0.2kg/cm2に加圧し、毎分5m
lの流速で分離を行った。1画分当り10mlになるように分画し、各画分の一
部をとって薄層クロマトグラフィーで分析したところ61番から80番までの画
分に高純度のシクロペンテノンが含まれていた。これらの画分を集めて減圧下濃
縮した後40mlのクロロホルムで抽出し、抽出液を減圧下濃縮することによっ
て約100mgのシクロペンテノンを得た。

0202

この画分をパルパックタイプS(PALPAK TypeS)カラム(宝酒造社製)を用
いた順相HPLCで分離し、215nmの紫外線吸収で検出したとこ
ろ、純度は98%であった。

0203

(2)臍帯血管内皮細胞であるHUVEC細胞初代培養、クロネティクス(C
lonetics)社製、CC−2517)を1回継代後、常法に従い凍結保存したもの
解凍し、リン酸緩衝食塩水(宝酒造社製)で2回洗浄後、10%牛胎児血清を
含むRPMI1640培地に1×105個/mlとなるように懸濁した。この細
胞懸濁液を96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに90μlずつ分注し、
10、20、50、100、200、500、又は1000μMシクロペンテノ
ン水溶液、あるいは対照として水を10μl添加した。5%CO2存在下37℃
で48時間培養した後、5mg/mlの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2
イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドMTT;シグマ社製)
リン酸緩衝食塩水溶液10μlを加えて更に4時間培養を続けた後、顕微鏡で細
胞の生育状態を観察した。また、0.04N塩酸含有2−プロパノール100μ
lを加えてよく撹拌し、590nmにおける吸光度を測定した。シクロペンテノ
添加区分の590nmにおける吸光度の、水を加えて培養した対照区分の59
0nmにおける吸光度に対する比を計算し、アポトーシス誘発作用を細胞増殖
制活性で測定した。

0204

HL−60細胞に関しても同様の操作を行った。ただし、本細胞は10%牛胎
児血清を含むRPMI1640培地で継代培養したものを用いた。

0205

その結果、シクロペンテノンは正常細胞であるHUVEC細胞に対するよりも
癌細胞株であるHL−60細胞に対して強い細胞増殖抑制活性をもっていた。

0206

その結果を図9に示す。すなわち、図9はシクロペンテノン添加量最終濃度
)と細胞増殖の度合いの関係を示す図であり、図9において横軸はシクロペンテ
ノン濃度(最終濃度、μM)を、縦軸は各濃度のシクロペン
テノン添加区分の590nmにおける吸光度の、水添加区分の590nmにおけ
る吸光度に対する比(%)を示す。また、図中、白丸はHUVECを用いた場合
、黒丸はHL−60を用いた場合の結果を示す。また顕微鏡観察下の細胞の生育
と590nmにおける吸光度は平行関係にあった。

0207

(3)線維芽細胞であるNIH/3T3細胞(ATCCCRL−1658)
常法通りトリプシンで分散させた後、5×104個/mlになるように10%
牛血清含有ダルベッコ改変イーグル培地に懸濁し、96穴マイクロタイタープレ
ートのウェルに90μlずつ分注した。15.6、31.3、62.5、125
、250、500または1000μMシクロペンテノン水溶液、あるいは対照と
して水10μlを添加し、5%CO2存在下37℃で48時間培養した。5mg
/mlMTTリン酸緩衝食塩水溶液10μlを加えて、さらに4時間培養を続
けた後、顕微鏡で細胞の生育状態を観察し、アポトーシス誘発作用を細胞増殖抑
制活性で測定した。

0208

HL−60細胞についても同様の操作を行った。ただし、本細胞は10%牛胎
児血清含有RPMI1640培地で培養した。

0209

その結果、NIH/3T3細胞では終濃度25μMシクロペンテノン添加区分
で細胞の増殖が見られず、終濃度12.5μMシクロペンテノン添加区分では対
照の水添加区分と同様の細胞増殖が見られた。

0210

これに対して、HL−60細胞では終濃度6.25μMシクロペンテノン添加
区分において細胞増殖が見られず、大部分の細胞が死滅していた。よって、シク
ロペンテノンは非癌細胞株であるNIH/3T3よりも癌細胞株であるHL−6
0に対して選択的に細胞増殖抑制作用と殺細胞作用を示すことが明らかになった

0211

実施例7

0212

フコイダン−UのHUVEC、HL−60に対する作用

0213

HUVEC細胞を1回継代後、常法に従い凍結保存したものを解凍し、リン酸
緩衝食塩水で2回洗浄後、10%牛胎児血清と0.1%牛脳抽出液を含むEBM
培地(三光純薬社製)に1×105個/mlとなるように懸濁した。この細胞懸
濁液を12穴マイクロタイタープレートの各ウェルに900μlずつ分注し、1
0mg/mlのフコイダン−U水溶液、あるいは対照として生理食塩水を100
μl添加した。5% CO2存在下37℃で24時間又は48時間培養した後、
細胞をトリプシン処理して集め、トリパンブルーで染色して生細胞数と死細胞数
を測定し、生細胞率を算出することによりアポトーシス誘発作用を測定した。

0214

HL−60細胞に関しても同様の操作を行った。但し、本細胞は10%牛胎児
血清を含むRPMI1640培地で継代培養したものを用い、トリプシン処理は
行わなかった。

0215

その結果、HUVEC細胞に終濃度1mg/mlのフコイダン−Uを添加した
区分では対照の生理食塩水添加区分と同様の生細胞率が見られたのに対して、H
L−60細胞に終濃度1mg/mlのフコイダン−Uを添加した区分では対照の
生理食塩水添加区分と比較して明らかな生細胞率の低下が見られた。よって、フ
コイダン−Uは癌細胞特異的にアポトーシスを誘発し、生細胞率を低下させるこ
とが明らかになった。

0216

その結果を図10および図11に示す。すなわち、図10は培養時間とHUV
EC細胞の生細胞率の関係を示す図であり、横軸は培養時間(時間)、縦軸は生
細胞率(%)を示す。図10において黒丸はフコイダン−U添加を、白丸は生理
食塩水添加(対照)を示す。なお、フコイダン−U添加時の生細胞率と生理食塩
水添加時の生細胞率はほぼ同一の値を示したため図10において黒丸と白丸がほ
ぼ重なる結果となった。また、図11は培養時間とHL−60細胞の生細胞率の
関係を示す図であり、横軸は培養時
間(時間)、縦軸は生細胞率(%)を示す。図11において黒丸はフコイダン−
U添加を、白丸は生理食塩水添加(対照)を示す。

0217

以上記載したごとく、本発明により、実質的に癌細胞を含有しない造血幹細胞
組成物が提供される。該組成物に外来遺伝子を導入し、宿主に移入れば、癌細胞
に遺伝子導入を行うという危険が無く、安全な宿主への造血肝細胞の移入を行う
ことができる。本発明により、遺伝子導入の標的細胞組成物中の癌細胞の除去を
行うことができ、遺伝子導入の安全性が確立される。

図面の簡単な説明

0218

図1は、フコイダン−UおよびFの沈殿形成性を示すグラフである。

0219

図2は、フコイダン−UおよびF存在下の培養時間と生細胞数の関係を示すグ
ラフである。

0220

図3は、図2の縦軸のスケールを拡大したグラフである。

0221

図4は、HL−60細胞の培養時間と生細胞数の関係を示すグラフである。

0222

図5は、フコイダンと高密度コロニー数の関係を示すグラフである。

0223

図6は、デキストラン硫酸存在下の培養時間と生細胞数の関係を示すグラフで
ある。

0224

図7は、加熱デキストラン硫酸存在下の培養時間と生細胞数の関係を示すグラ
フである。

0225

図8は、ペクチン加熱処理物存在下の培養時間と生細胞数の関係を示すグラフ
である。

0226

図9は、シクロペンテノン添加量と、細胞増殖の関係を示すグラフである。

0227

図10は、HUVEC細胞の培養時間と生細胞率の関係を示すグラフである。

0228

図11は、HL−60細胞の培養時間と生細胞率の関係を示すグラフである。

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