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技術 抗ヒト可溶性フィブリン抗体、ハイブリドーマ及び免疫学的測定法

出願人 株式会社三菱化学ヤトロン
発明者 徐吉夫河野功犬塚貴美子伊藤由美子
出願日 1994年11月1日 (25年6ヶ月経過) 出願番号 1995-513123
公開日 1996年2月27日 (24年2ヶ月経過) 公開番号 WO1995-012617
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 回収試験 目視的 フィブリン分解物 乾燥重 モノマー状態 フィブリノーゲンγ 健常人群 尿素処理
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図面 (5)

課題・解決手段

ヒト可溶性フィブリンと反応し、ヒトフィブリノーゲンとは反応しないモノクローナル抗体、そのモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ、及び前記モノクローナル抗体を用いるヒト可溶性フィブリンの測定方法を記載する。血漿試料の前処理を行わなくても、血漿中のフィブリノーゲン、フィブリノーゲンのプラスミン分解物フィブリンフラグメント、並びに安定化フィブリンのプラスミン分解物の干渉を受けることなく、患者血漿中の可溶性フィブリン量を特異的に、簡便かつ迅速に、凝集法及びEIA法により測定することができる。

概要

背景

概要

ヒト可溶性フィブリンと反応し、ヒトフィブリノーゲンとは反応しないモノクローナル抗体、そのモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ、及び前記モノクローナル抗体を用いるヒト可溶性フィブリンの測定方法を記載する。血漿試料の前処理を行わなくても、血漿中のフィブリノーゲン、フィブリノーゲンのプラスミン分解物フィブリンフラグメント、並びに安定化フィブリンのプラスミン分解物の干渉を受けることなく、患者血漿中の可溶性フィブリン量を特異的に、簡便かつ迅速に、凝集法及びEIA法により測定することができる。

目的

効果

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請求項1

請求項2

デスAABBフィブリン又はデスAAフィブリンがフィブリノーゲンと結合したフィブリン・フィブリノーゲン複合体が形成される際にフィブリン分子内に新たに出現するネオアンチジェンと反応し、ヒトフィブリノーゲンとは反応しない、請求項1に記載のモノクローナル抗体。

請求項3

尿素処理のデスAABBフィブリン、尿素処理の安定化フィブリンのプラスミン分解物、及び尿素処理のフィリンフラグメントと特異的に反応するが、尿素処理のフィブリノーゲン、尿素処理のフィブリノーゲンプラスミン分解物、尿素処理のデスAAフィブリン及び尿素処理のデスBBフィブリンと反応しない、請求項1に記載のモノクロール抗体。

請求項4

フィブリノーゲンAα鎖アミノ酸配列17−26のペプチド及びフィブリノーゲンBβ鎖のアミノ酸配列15−24のペプチドによって、尿素処理のデスAABBフィブリンとの反応が阻害されない請求項3に記載のモノクローナル抗体。

請求項5

フィブリノーゲンγ鎖のアミノ酸配列312−324のペプチドによって、尿素処理のデスAABBフィブリンとの反応が阻害されない請求項3の記載のモノクローナル抗体。

請求項6

尿素処理のデスAAフィブリン、尿素処理のデスAABBフィブリン、尿素処理の安定化フィブリンのプラスミン分解物、及び尿素処理のフィブリンフラグメントと特異的に反応するが、尿素処理のフィブリノーゲン、尿素処理のフィブリノーゲンのプラスミン分解物、及び尿素処理のデスBBフィブリンと反応しない、請求項1に記載のモノクローナル抗体。

請求項7

フィブリノーゲンAα鎖のアミノ酸配列17−26のペプチド及びフィブリノーゲンBβ鎖のアミノ酸配列15−24のペプチドによって尿素処理のデスAAフィブリン及びデスAABBフィブリンとの反応が阻害されない請求項6に記載のモノクローナル抗体。

請求項8

フィブリノーゲンγ鎖のアミノ酸配列312−324のペプチドによって尿素処理のデスAAフィブリン及びデスAABBフィブリンとの反応が阻害されない請求項6に記載のモノクローナル抗体。

請求項9

請求項1に記載のモノクローナル抗体を分泌することを特徴とするハイブリドーマ

請求項10

不溶性担体固定化された、請求項1に記載のモノクローナル抗体と、被検試料とを接触させ、凝集反応を観察することを特徴とする、ヒト可溶性フィブリンの測定方法

請求項11

請求項3及び請求項6に記載のモノクローナル抗体少なくとも1種を用いる請求項10に記載の測定方法。

請求項12

請求項1に記載のモノクローナル抗体を第1抗体として不溶性担体に固定し、この固定化された第1抗体と被検試料とを接触させ、続いて請求項1に記載の同種又は別種のモノクローナル抗体に標識を付してなる第2抗体と接触させ、前記の固定化第1抗体−ヒト可溶性フィブリンと結合した前記第2抗体又は前記の固定化第1抗体−ヒト可溶性フィブリンと結合しなかった前記第2抗体の前記標識からの信号を検出することを特徴とする、ヒト可溶性フィブリンの免疫学的測定方法

請求項13

第1抗体として請求項3又は請求項6に記載のモノクローナル抗体を使用し、第2抗体として請求項6又は請求項3に記載のモノクローナル抗体を使用する、請求項12に記載の免疫学的測定方法。

請求項14

生体試料中の可溶性フィブリンを請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法によって検出することからなる播種性血管内凝固症候群診断方法

技術分野

0001

本発明は、ヒト可溶性フィブリンと特異的に反応するが、ヒトフィブリノーゲ
ンとは反応しないモノクローナル抗体、そのモノクローナル抗体を分泌するハイ
ブリドーマ、及びそのモノクローナル抗体を用いた可溶性フィブリンの免疫学的
測定方法に関する。本発明の免疫学的測定方法によれば、血漿検体チオシアン
酸ナトリウム(KSCN)等のタンパク変性剤で前処理することなく、血漿中に
存在する可溶性フィブリンを迅速かつ正確に、しかも検体中に共存するフィブリ
ノーゲン、各種フィブリノーゲンフラグメント、各種フィブリンフラグメント及
び安定化フィブリンの各種プラスミン分解物とは反応せず、かつそれらの阻害
受けずに特異的に再現性良く、免疫学的に測定することができる。なお、本明細
書において「ヒト可溶性フィブリン」とは、デスAABBフィブリン又はデスA
Aフィブリンがフィブリノーゲンと結合したフィブリン・フィブリノーゲン複合
体を意味する。

背景技術

0002

トロンビンは、血液中に通常存在するフィブリノーゲンに作用して、連続的に
α鎖フィブリノペプチドA及びBβ鎖のフィブリノペプチドBを遊離させ、
それぞれモノマーI型フィブリン(デスAAフィブリン)及びモノマーのII型
フィブリン(デスAABBフィブリン)を形成する。これらのフィブリンは、あ
る濃度まで血中のフィブリノーゲンと結合して可溶性フィブリンとして血液中に
存在することができる。しかし、濃度が高くなるにつれて、モノマーのフィブリ
ンが重合してフィブリン凝固物を形成する。従って、フィブリン凝固物形成(血
栓形成)を早期に予測し、血管中血液凝固形成(血栓形成)を防止する処置
至急に行うためには、血液中の可溶性フィブリンを早期に検出することが望まし
い。そうした可溶性フィブリンの検出は、フィブリノーゲンと反応しないで可溶
性フィブリンに対して反応性を示す抗体を利用することにより達成される。

0003

この目的のため、フィブリンに特異的な抗体の調製が報告されている。例えば
カドリック(Kudryk)等〔Macromolecular Immun
ology,89−94(1984)〕は、フィブリンアミノ末端ブロムシア
ン処理
断片を免疫源として用いて誘導され、フィブリンβ鎖のアミノ末端に結合する単
クローン性抗体を報告している。また、ヒュイ(Hui)等〔Hybridom
a5,215−222(1985)〕は、フィブリンβ鎖アミノ末端のペプチド
を免疫することにより得られる抗体を報告している。しかし、この抗体はフィブ
リノペプチドBが開裂した後に遊離するフィブリンβ鎖のアミノ末端のみを識別
し、従ってフィブリンI(デスAAフィブリン)の検出には使用することができ
ないという欠点を有していた。

0004

欧州特許出願第152,612号明細書及び特開昭60−158353号公報
は、フィブリノペプチドA開裂により生じるα鎖の新アミノ末端からのペプチド
を免疫源として使用して動物を免疫することにより誘導される抗体を用いて、フ
ィブリンを測定する方法(EIA法)を記載している。しかし、このフィブリン
α鎖のアミノ末端は、血液中では大量に存在するフィブリノーゲンあるいは他の
フィブリンと結合することにより隠蔽されているため、前記の抗体は血中の複合
型フィブリンと反応することができない。従って、それを克服するために高濃度
チオシアン酸ナトリウムで前処理し、複合体フィブリンをモノマー型フィブリ
ンに可溶化してから測定する必要がある〔Blood Coagulation

0005

and Fibrinolysis,4,97−102(1993)〕。更に
、この抗体は、同じ抗原決定基を有するフィブリンのプラスミン分解物、並びに
フィブリンフラグメントX、Y、D及びEと反応するという欠点もあった。

0006

更に、国際公開WO第8801514号公報は、ヒトのフィブリンを免疫源と
して発現したモノクローナル抗体を記載している。しかし、この抗体は、フィブ
リンフラグメントD、X及びY、並びにフィブリノーゲンA鎖とも反応するので
、到底フィブリン特異的抗体とは言えるものでもない。また、特開平2−281
97号公報〔オランダ国特許出願第31,8801227号に相当〕は、フィブ
リノーゲンのAα鎖の連鎖111−207のアミノ酸配列からなるペプチドと反
応するモノクローナル抗体を記載している。このモノクローナル抗体は、フィブ
リノーゲンに反応せず、フィブリンに特異的に反応する。すなわち、フィブリン
I型(デスAAフィブリン)及びII型(デスAABBフィブリン)の両者に反応
する。しかし、この抗体もD−ダイマー、Degta、及びフィブリノーゲンA
鎖と反応し、前記のフィブリン特異的ということはできない。更に、前記抗体を
用いてフィブリン測定系を構
築する場合に、プラスミンによるフィブリン分解物の影響を免れることができな
い。

発明の開示

0007

本発明者は、可溶性フィブリンを簡便に、正確にそして再現性よく測定する方
法を開発すべく鋭意研究した結果、デスAABBフィブリン又はデスAAフィブ
リンがフィブリノーゲンと結合したフィブリン・フィブリノーゲン複合体、すな
わちヒト可溶性フィブリンが形成される際にフィブリン分子内に新たに出現する
ネオアンチジェンと反応し、ヒトフィブリノーゲンとは反応しないモノクロ
ナル抗体を見出し、これらのモノクローナル抗体の1種あるいは2種の組合せを
用いると、血漿中の可溶性フィブリンをチオシアン酸カリウム(KSCN)等の
タンパク変性剤で前処理することなく、迅速にかつ正確に、しかも検体中に共存
するフィブリノーゲン、各種フィブリノーゲンフラグメント(X、Y、D、E)
、各種フィブリンフラグメント(X、Y、D、E)及び安定化フィブリンの各種
プラスミン分解物の妨害を受けずに、特異的に測定することができることを見出
した。従って、本発明の目的は、前記の新規モノクローナル抗体、そのモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマ及びそのモノクローナル抗体を用いる免疫
学的定量方法を提供することにある。

0008

本発明は、ヒト可溶性フィブリンと反応し、ヒトフィブリノーゲンとは反応し
ないモノクローナル抗体に関する。

0009

また、本発明は、前記のモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマにも関
する。

0010

更に、本発明は、不溶性担体固定化された前記モノクローナル抗体と被検試
料とを接触させ、凝集反応を観察することを特徴とする、ヒト可溶性フィブリン
の測定方法に関する。

0011

更にまた、本発明は、前記モノクローナル抗体を第1抗体として不溶性担体に
固定し、この固定化された第1抗体と被検試料とを接触させ、続いて前記の同種
又は別種のモノクローナル抗体に標識を付してなる第2抗体と接触させ、前記の
固定化第1抗体−ヒト可溶性フィブリンと結合した前記第2抗体又は前記の固定
化第1抗体−ヒト可溶性フィブリンと結合しなかった前記第2抗体の前記標識か
らの信号を検出することを特徴とする、ヒト可溶性フィブリンの免疫学的測定
法にも関する。

0012

更にまた、本発明は、生体試料中の可溶性フィブリンを前記の免疫学的測定方
法によって検出することからなるDIC播種性血管内凝固症候群)の診断方法
にも関する。

図面の簡単な説明

0013

図1は、実施例7で行った、健常人血漿とDIC患者血漿の可溶性フィブリン
を測定した結果を示すグラフである。

0014

図2は、実施例8で行ったEIA法による検量線を示すグラフである。

0015

図3は、実施例9で行った、酢酸可溶化フィブリンモノマーを添加した正常血
漿のセファアクリルS−300カラムによる分子篩クロマトグラフィーの結果を
示すグラフである。

0016

図4は、フィブリンモノマーがフィブリンノーゲンと結合し、フィブリン・フ
ィブリノーゲン複合体を形成する際に、Eドメインに出現する新しいエピトープ
を模式的に示す説明図である。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下、本発明をモノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び免疫学的測定方法の
順に説明する。

0018

本発明のモノクローナル抗体及びハイブリドーマは、例えば、ヒト可溶性フィ
ブリンを免疫源として用いて調製することができる。免疫原として用いるヒト可
溶性フィブリンは、例えば、Remo Largo等の方法〔Blood、47
、991−1002、(1976)〕に従って調製することができる。すなわち
、フィブリノーゲンを生理食塩水に溶解する。この生理食塩水には、フィブリノ
ーゲン標品に微量混在している血液凝固因子(特にXIII因子)の阻害剤(例え
ば、EDTA)を存在させるのが好ましい。続いて、フィブリノーゲン溶液にト
ロンビンを添加し、約37℃で約90分間保温するとフィブリンクロットが生成
される。フィブリンクロットを分離し、洗浄してから尿素溶液に溶解する。不溶
解物を例えば遠心分離で除去し、精製フィブリンモノマーを得ることができる。
この精製された尿素可溶化フィブリンモノマーを免疫原又は免疫学的測定法の標
準品として使用することができる。

0019

また、前記のトロンビンを添加した後に生じたフィブリンクロットを酢酸緩衝
液〔例えば、50mM酢酸緩衝液(pH4.6)〕で溶解透析し、酢酸緩衝液可
溶化フィブリンモノマーを調製し、免疫学的測定法の標準品として使用すること
ができる。

0020

次に、精製した尿素可溶化ヒトフィブリンモノマー免疫原溶液を用いて哺乳動
物(例えば、マウスラットウサギヤギ又はウマ)をインビボ免疫法によ
り免疫する。具体的には、例えば、精製した尿素可溶化ヒトフィブリンモノマー
免疫原溶液を等量のフロインド氏完全アジュバンド又は不完全アジュバンドと乳
化するまで混合する。この混合液を、例えばマウスの皮下に投与する(第1回免
疫)。以後、2〜4週間の間隔で同様の操作を行い、数回免疫する。最終免疫か
ら数日後に脾臓無菌的に取り出し、ステンレススチールメッシュ等で押しつぶ
して脾臓細胞を調製し、細胞融合工程に用いる。

0021

細胞融合のもう一方の親細胞であるミエローマ細胞骨髄腫細胞)としては、
各種の公知の細胞株、例えば、p3(p3/×63−Ag8)〔Nature,256,495
-497(1975)〕、p3−U1〔Current Topics in Microbiology and Immunology,
81;l-7(1978)〕、NS−1〔Eur.J.Immunol.,6;511-519(1976)〕、MPC−11
〔Cell,8;405-415(1976)〕、SP2/0〔Nature,276;269-270(1978)〕、FO〔
J.Immunol.Meth.,35;1-21(1980)〕、×63.6.55.3〔J.Immunol.,123;15
48-1550(1979)〕、S194〔J.Exp.Med.,148;313-323(1978)〕、又はラットに
おけるR210〔Nature,277;131-133(1979)〕等を使用することができる。

0022

免疫脾臓細胞とミエローマ細胞との細胞融合は通常の方法で行うことができ、
例えば、公知の融合促進剤ポリエチレングリコール又はセンダイウイルス等)
を用い、場合により補助剤ジメチルスルホキシド等)を用いることもできる。
免疫脾臓細胞とミエローマ細胞との使用比率も常法と同様でよく、例えば、ミエ
ローマ細胞に対して脾臓細胞を約1〜10倍程度の量で用いる。融合用培地とし
ては、例えば、40%(w/v)ポリエチレングリコールを含むダルベッコ改変
イーグル培地DMEM)を用いることができる。融合は、前記の培地内で免疫
脾臓細胞とミエローマ細胞とをよく混合することによって行う。

0023

続いて、選別用培地(例えば、HAT培地)を用いてハイブリドーマ以外の細
胞を除去し、ハイブリドーマ培養上清抗体産生の有無を、例えばELISA法
によっ
て測定し、目的とするハイブリドーマを分離する。こうして得られた、本発明の
目的とする前記モノクローナル抗体を分泌する本発明のハイブリドーマは、通常
の培地で継代培養することができ、また液体窒素等の中で容易に長期間保存する
ことができる。

0024

また、前記のハイブリドーマを培養する培地としては、ハイブリドーマの培養
に適した任意の培地を用いることができ、好適にはDMEMにウシ胎児血清、L
グルタミン、L−ピルビン酸及び抗生物質ペニシリンGストレプトマイ
ン)を含む培地が用いられる。前記のハイブリドーマの培地は、イン・ビトロ
場合には例えば培地中で5%CO2濃度及び37℃で約3日間、またイン・ビボ
例えばマウスの腹腔中で培養する場合には約14日間実施するのが好ましい。

0025

本発明のハイブリドーマを常法によって培養した培養液から、あるいは本発明
のハイブリドーマを投与した適当な哺乳動物(例えばマウス又はラット)の腹水
から、目的とする本発明のモノクローナルを分離し精製することができる。この
ようにして製造された培養液又はマウスの腹水からモノクローナル抗体を分離、
精製する場合にはタンパク質の単離、精製に一般的に用いられる方法を用いるこ
とが可能である。そのような方法としては硫安塩析イオン交換クロマトグラフ
ィー、分子篩ゲルを用いるカラムクロマトグラフィープロテインA結合多糖類
を用いる親和性カラムクロマトグラフィー、透析、凍結乾燥の方法等がある。

0026

こうして得られた本発明のモノクローナル抗体は、ヒト可溶性フィブリンと反
応し、ヒトフィブリノーゲンとは反応しない。また、デスAABBフィブリン又
はデスAAフィブリンがフィブリノーゲンと結合したフィブリン・フィブリノー
ゲン複合体、すなわち、ヒト可溶性フィブリンが形成される際にフィブリン分子
内に新たに出現するネオ・アンチジェンと反応し、ヒトフィブリノーゲンとは反
応しない。

0027

本発明の好ましいモノクローナル抗体は、
(1)尿素処理した(すなわち尿素可溶化)デスAABBフィブリン、尿素処理
安定化フィブリンのプラスミン分解物及び尿素処理フィブリンフラグメント(
例えば、X、Y及びE)と特異的に反応し、フィブリノーゲン、尿素処理フィブ
リノーゲンプラスミン分解物(例えば、X分画、Y分画、D分画及びE分画)、
尿素処理デスAAフィブリン及び尿素処理デスBBフィブリンと反応しないモノ
クローナル抗体〔以下、モノクローナル抗体(1)と称することがある〕、特に
は後記実施例に記
載のモノクローナル抗体FMNo.43−1、及び
(2)尿素処理デスAAフィブリン、尿素処理デスAABBフィブリン、尿素処
理安定化フィブリンのプラスミン分解物及び尿素処理フィブリンフラグメント(
例えば、X、Y及びE)と特異的に反応し、フィブリノーゲン、尿素処理フィブ
リノーゲンプラスミン分解物(例えば、X分画、Y分画、D分画及びE分画)、
及びデスBBフィブリンと反応しないモノクローナル抗体〔以下、モノクローナ
ル抗体(2)と称することがある〕、特には後記実施例に記載のモノクローナル
抗体FM No.59−1である。

0028

前記尿素処理とは、各抗原を一般的に約3M以上の濃度の尿素液で溶解させる
ことを意味する。

0029

従って、本発明のハイブリドーマは、ヒト可溶性フィブリンと反応し、ヒトフ
ィブリノーゲンとは反応しないモノクローナル抗体を分泌産生するハイブリド
マ、特に、デスAABBフィブリン又はデスAAフィブリンがフィブリノーゲン
と結合したフィブリン・フィブリノーゲン複合体、すなわち、ヒト可溶性フィブ
リンが形成される際にフィブリン分子内に新たに出現するネオ・アンチジェンと
反応し、ヒトフィブリノーゲンとは反応しないモノクローナル抗体を分泌産生す
るハイブリドーマである。好ましいハイブリドーマは、前記のモノクローナル抗
体(1)又は(2)を分泌産生するハイブリドーマである。

0030

本発明による前記の抗可溶性フィブリンモノクローナル抗体、特に前記のモノ
クローナル抗体(1)及び(2)の少なくとも1種を、不溶性担体に固定化させ
、そのモノクローナル抗体と被検試料とを接触させると、被検試料中のフィブリ
ノーゲン、フィブリノーゲンのプラスミン分解物(例えば、X分画、Y分画、D
分画及びE分画)、フィブリンフラグメント(例えば、X、Y、D及びE)、安
定化フィブリンのプラスミン分解物及びデスBBフィブリンとは凝集反応を起こ
さず、可溶性フィブリンとの間でのみ凝集反応を起こさせることができるので、
免疫学的定量試薬としても有用である。

0031

更に、本発明による前記の抗可溶性フィブリンモノクローナル抗体、特に前記
のモノクローナル抗体(1)及び(2)の少なくとも1種を第1抗体として不溶
性担体に固定化し、この固定化第1抗体と被検試料とを接触させ、続いて前記第
1抗体としての抗可溶性フィブリンモノクローナル抗体と同種又は別種の前記抗
可溶性フィ
ブリンモノクローナル抗体、特に前記のモノクローナル抗体(1)及び(2)の
少なくとも1種に標識を付した第2抗体を接触させると、被検試料中のフィブリ
ノーゲン、フィブリノーゲンのプラスミン分解物(例えば、X分画、Y分画、D
分画及びE分画)、フィブリンフラグメント(例えば、X、Y、D及びE)、安
定化フィブリンのプラスミン分解物及びデスBBフィブリンからは、前記標識の
信号を検出できず、ヒト可溶性フィブリンのみから前記標識の信号を検出できる
ので、免疫学的試薬としても有用である。

0032

従って、本発明による前記の抗可溶性フィブリンモノクローナル抗体を用いて
、本発明の免疫学的定量方法を実施することができる。本発明の免疫学的定量方
法に用いる被検試料は、可溶性フィブリンを含有する可能性のある試料であれば
特に制限されるものではないが、例えば、生体試料、特には血液、血清、血漿又
は尿、好ましくは血漿である。本発明の免疫学的定量方法においては、被検試料
を前処理せずに、そのまま使用しても、被検試料中に存在するフィブリノーゲン
及びその関連物質の妨害を避けることができる。

0033

凝集反応を利用する本発明の免疫学的測定方法において、不溶性担体としては
、一般に抗原抗体の凝集反応を利用する免疫学的測定方法において用いられる任
意の不溶性担体を用いることができ、例えば、ラテックス粒子(特には、ポリス
レンラテックス粒子)を挙げることができる。本発明によるモノクローナル抗
体を不溶性担体に固定化させるには、公知の方法、例えば、化学結合法架橋
としてカルボジイミドグルタルアルデヒド等を用いる)又は物理吸着法を用い
ることができる。こうして、モノクローナル抗体と不溶性担体との複合体を形成
し、これを本発明の免疫学的定量方法に用いることができる。

0034

本発明の免疫学的定量方法(凝集反応)においては、前記の不溶性担体に固定
化した1種又は2種のモノクローナル抗体を使用するが、或る1種のモノクロー
ナル抗体を不溶性担体に固定化して調製した抗体−担体複合体を1種又は2種用
いるか、あるいは、2種のモノクローナル抗体を或る1種の不溶性担体に固定化
して調製した抗体−担体複合体を用いることができる。更に、或る1種のモノク
ローナル抗体を或る1種の不溶性担体に固定化して調製した複合体1種と、別の
1種のモノクローナル抗体を或る別の1種の不溶性担体に固定化して調製した複
合体1種との組合せを用いることもできる。スライド板を用いる場合には目視的
に、又は反応セル
用いる場合は特定の波長を用いて分光学的に凝集反応を測定し、被検試料中の可
溶性フィブリン濃度を定量することができる。

0035

サンドイッチ法を利用する本発明の免疫学的定量方法では、具体的には、前記
の本発明によるモノクローナル抗体(1)又は(2)を適当な不溶性担体に固定
化する(固定化抗体)。次に、不溶性担体と検体試料との非特異的結合を避ける
ために、適当なブロッキング剤〔例えば、アルブミンBSA)やウサギアル
ブミン(RSA)等〕で不溶性担体の表面を被覆する。続いて、未希釈の検体試
料を加えて一定時間(例えば、5分〜3時間)及び一定温度(例えば、4℃〜4
0℃、好ましくは室温近辺)で接触させ反応させる(1次反応)。続いて、前記
モノクローナル抗体(1)又は(2)に標識を付した第2抗体を加えて一定時間
(例えば、5分〜3時間)及び一定温度(例えば、4℃〜40℃、好ましくは室
温近辺)で接触させ反応させる(2次反応)。これを適当な洗浄液(例えば界面
活性剤を含む生理食塩水)で洗ってから、不溶性担体上に存在する標識抗体の量
を定量する。その値から、検体試料中の可溶性フィブリンの量を算出することが
できる。また、1次反応と2次反応を同時に行うことも可能である。

0036

本発明の測定方法(サンドイッチ法)に使用することのできる不溶性担体は特
に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンポリスチレンポリプロピ
レン、ポリ塩化ビニルポリエステルポリアクリロニトリルフッ素樹脂、架
デキストランポリサッカライド等の高分子、その他ニトロセルロース、紙、
アガロース及びこれらの組合せ等を例示することができる。

0037

標識物質として酵素蛍光物質又は発光物質を使用するのが有利である。酵素
としてはアルカリホスファターゼパーオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダ
ゼ等、また、蛍光物質としてはフルオレセンイソチオシアネート等、また、発光
物質としてはアクリジニウムエステルルシフェリン等を使用することができる

0038

以上のように、血漿中の可溶性フィブリンを測定することにより、臨床的に重
要なDIC(播種性血管内凝固症候群)の診断治療後の経過観察を正確に把握
することができる。
実施例

0039

以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を

定するものではない。
実施例1
(a)可溶性フィブリンモノマーの精製

0040

免疫原として用いるヒト可溶性フィブリンモノマーは、例えば、Remo L
argo等の方法〔Blood,47,991−1002,(1976)〕に従
って調製することができる。すなわち、フィブリノーゲン(Kabi社製)1g
乾燥重量)を、5%EDTAを含む生理食塩水2リットルに溶解し、50NI
Hのトロンビンを添加した後、37℃で90分間保温した。生じたフィブリンク
ロットを、生理食塩水500mlで3回遠心分離法で洗浄した。洗浄後のフィブ
リンクロットを5M尿素溶液20〜50mlに溶解した。不溶解物を遠心分離で
除去した後、フィブリンモノマーを5mg/mlの濃度に調整し、免疫原又は免
疫学測定法の標準品として使用した〔以下、可溶性フィブリンモノマー(U−
FM)と称することがある〕。

0041

前記のトロンビンを添加した後に生じたフィブリンクロットを50mM酢酸緩
衝液(pH3.5)で透析し、酢酸緩衝液(pH3.5)可溶化フィブリンモノ
マーを調製し上記と同様の目的で使用した〔以下、可溶性フィブリンモノマー(
A−FM)と称することがある〕。
(b)免疫化脾臓細胞の調製

0042

可溶性フィブリンモノマー(U−FM)(A280nm=0.1)を等量のフ
ロインド氏完全アジュバンドと乳化するまで混合し、その混合液200μlをB
ALB/c系マウスの腹腔内に投与することにより免疫を行った(第1回免疫)
。30日経過後、前記と同様の混合液200μlを前記マウスの腹腔内に投与し
た(第2回免疫)。第2回免疫から21日経過後、可溶性フィブリンモノマー(
U−FM)免疫原溶液(A280nm=0.1)を等量の生理食塩水で希釈して
調製した可溶性フィブリン希釈液200μlを、前記マウスの静脈内に投与した
(最終免疫)。最終免疫から3日経過後、脾臓を無菌的にマウスから取り出し、
次の細胞融合工程に使用した。
(c)細胞融合

0043

15%ウシ胎児血清を含むDME培地5mlを入れたシャーレに、無菌的に抽
出した前記の脾臓を入れた。次に、15%ウシ胎児血清を含むDME培地約15
ml
で前記脾臓を還流して脾臓細胞を流出させた後、この脾臓細胞懸濁液をナイロン
メッシュに通した。この脾臓細胞を50ml遠心チューブに集め、500×gで
10分間遠心した。こうして得たペレットにヘモライジング溶液(155mM−
NH4Cl、10mM−KHCO3、1mM−Na2EDTA:pH7.0)4m
lを加え、懸濁させた。0℃で5分間放置して懸濁液中の赤血球破壊させた。
15%ウシ胎児血清10mlを含むDME培地を加えてから遠心分離した。こう
して得たペレットをDME培地で遠心法により洗浄し、生きている脾臓細胞数
測定した。

0044

一方、予め培養しておいたマウスミエローマ細胞(骨髄腫細胞)SP2/0−
Ag14(理化学研究所ジーンバンク細胞銀行)約2×107個に前記脾臓細胞
1×108個を加え、DME培地中でよく混合し、遠心分離を行った(500×
g、10分間)。その上清吸引し、ペレットをよく解きほぐし、40%ポリ
チレングリコール4000溶液(38℃に保温)0.5mlを滴下し、遠心チュ
ーブを手で1分間穏やかに回転することによってポリエチレングリコール溶液
細胞ペレットとを混合させた。次に、38℃に保温しておいたDME培地を30
秒毎に1mlずつ加えて、チューブを穏やかに回転させた。この操作を10回繰
り返した後、15%ウシ胎児血清20mlを含むDME培地を加えて、遠心分離
(500×g、10分間)を行った。

0045

上清を除去した後、15%ウシ胎児血清を含むHAT培地(DME培地にアミ
プテリン4×10-7M、チミジン1.6×10-5M,ヒポキサンチン1×10
-4Mになるように添加したもの)で細胞ペレットを遠心法によって2回洗浄した
後、前記HAT培地40mlに懸濁した。この細胞懸濁液を96ウエル細胞培養
プレートの各ウエルに200μlずつ分注し、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養
器で37℃にて培養を開始した。培養中、2〜3日間隔で各ウエルの培地を約1
00μl除き、新たに前記のHAT培地100μlを加えることによりHAT培
地中で増殖するハイブリドーマを選択した。8日目から15%ウシ胎児血清を含
むHAT培地(DME培地にチミジン1.6×10-5M、ヒポキサンチン1×1
0-4Mになるように添加したもの)に交換し、ハイブリドーマを観察するととも
に、10日目に、後記のELISA法により、抗可溶性フィブリン抗体産生ハイ
ブリドーマをスクリーニングした。
(d)ハイブリドーマの樹立

0046

ハイブリドーマ培養液の上清における産生抗体の有無はELISA法により測
定した。96ウエルELISA用プレート(Immulon,日本ダイナテック
株式会社)の各ウエルに前記の可溶性フィブリン(U−FM)免疫原溶液(A2
80nm=0.05;生理食塩水で希釈)50μlずつを分注し、25℃で2時
間放置した。次に、0.05%Tween20−生理食塩水で3回洗浄した後、
各ウエルに培養液上清50μlを加え、25℃で1時間反応させた。

0047

次に、Tween20−生理食塩水で200倍に希釈したペルオキシダーゼ
抗マウス抗体(ダコ社;デンマーク)50μlを各ウエルに加えた。反応終了
後、0.05%Tween20−生理食塩水で各ウエルを3回洗浄し、0.5m
アミノアンチピリン、10mMフェノール及び0.005%過酸化水素水を含
む溶液250μlを各ウエルに加え、25℃で30分間反応させ、各ウエルの4
90nmにおける吸光度を測定した。その結果、192ウエル中、3ウエルに抗
体産生が認められた。その3ウエル中のハイブリドーマを24ウエルプレート
移し、15%ウシ胎児血清を含むHAT培地で4〜5日間培養した。その後、再
度ELISA法によって抗可溶性フィブリン抗体の産生の有無を確認してから限
希釈法によりクローニングした。限界希釈法は、HT培地でハイブリドーマが
5個/mlとなるように希釈した細胞浮遊液を、予め正常BALB/C系マウス
腹腔細胞がウエルあたり2×104個分注してある96ウエルプレートの各ウ
エルに100μlずつ分注した。10日後、ELISA法によって抗可溶性フィ
ブリン特異的抗体を産生するハイブリドーマのクローンをスクリーニングした。

0048

その結果、各ハイブリドーマにつき、20〜40個の抗体産生クローンが得ら
れた。これらのクローンの中から、増殖力が強く、抗体分泌能が高く、しかも安
定なクローンを選び、前記と同様の方法で再クローン化を行い、2種の抗可溶性
フィブリン抗体産生ハイブリドーマFMNo.43−1及びFM No.59
−1を樹立した。これらのハイブリドーマは、それぞれ通商産業省工業技術院
工学工業技術研究所(宛名:〒305日本国県つくば市東1丁目1番3号
)に1993年10月27日から国内寄託され、1994年10月27日から国
際寄託に移管されている。国際寄託番号(国際寄託番号に続く[]内は国内寄託
番号)はハイブリドーマFM No.43−1がFERMBP−4846[FE
RMP−13925]であり、ハイブリドーマFM No.59−1がFERM
BP−4847[FER
MP−13926]である。これら2種のハイブリドーマから分泌される2種の
モノクローナル抗体FM No.43−1及びFM No.59−1とフィブリ
ノーゲン、フィブリノーゲンフラグメントX、Y、D、E、フィブリンフラグメ
ントX、Y、D、E、あるいは安定化フィブリンのプラスミン分解物との反応性
を、96ウエルELISA用プレートに上記の抗原をそれぞれ被覆し、前記のE
ISA法と同様の方法により調べた。なお、以下の記載において、ハイブリド
ーマFM No.43−1をハイブリドーマFM−1、ハイブリドーマFM N
o.59−1をハイブリドーマFM−2、モノクローナル抗体FM No.43
−1をモノクローナル抗体FM−1、モノクローナル抗体FM No.59−1
をモノクローナル抗体FM−2と称する。
実施例2:モノクローナル抗体の製造
(a)イン・ビトロ法

0049

マウスハイブリドーマFM−1、及びFM−2を、それぞれ15%ウシ胎児
清を含むDME培地で、37℃で5%二酸化炭素雰囲気中において72〜96時
間培養した。培養物を遠心分離(10000×g;10分間)後、上清に固形
硫酸アンモニウムを50%最終濃度となるように徐々に加えた。混合物氷冷
で30分間攪拌した後、60分間放置してから遠心分離(10000×g;10
分間)処理し、得られた沈渣を少量の10mMリン酸緩衝液(pH8.0)に溶
解し、1000倍量の10mMリン酸緩衝液ですでに平衡化したDEAEセル
ロースのカラムに充填した。モノクローナル抗体の溶出は10mMリン酸緩衝液
(pH8.0)と0.2M−NaClを含む10mMリン酸緩衝液(pH8.0
)の間で濃度勾配法により行った。溶出されたモノクローナル抗体を限界濾過法
濃縮し、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)に対して透析した。ウシ血清
gGを除くために、透析物をヤギ抗ウシ血清IgGセファロース4Bカラムに
通した。次に、通過液を0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したプロ
テインA−セフアロース4Bカラムに充填した。カラムをpH3.5の緩衝液
溶出して、精製した抗FM特異モノクローナル抗体FM−1、同様にモノクロー
ナル抗体FM−2の溶液を得た。
(b)イン・ビボ法

0050

プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)0.5mlを
10〜12週齢のBALB/c系マウスの腹腔内に投与し、それから14〜20
日目
のマウスの腹腔内にインビトロで増殖されたハイブリドーマFM−1又はFM−
2をマウス一匹あたり2×106個となるように接種した。

0051

各ハイブリドーマにつき一匹のマウスから約10〜15mlの腹水が得られた
。その抗体濃度は、2〜10mg/mlであった。腹水中のモノクローナル抗体
の精製は、前記のイン・ビトロ精製と同様の方法(但し、ヤギ抗ウシ血清IgG
−セファロース4Bのカラムを通す操作を除く)で行った。
実施例3:モノクローナル抗体の免疫グロブリンクラス及び特異性の同定

0052

抗FM特異モノクローナル抗体FM−1、FM−2の免疫グロブリンクラス及
び特異性の同定はそれぞれオクテニー免疫拡散法及びエンザイムイムノアッセ
イ法により行った。抗FM特異モノクローナル抗体FM−1及びFM−2の免疫
グロブリンクラスは、それぞれIgG2aであった。また、特異性同定の結果を表
1に示す。

0053

表1において、各抗原を直接96ウエルELISA法プレートにコートし、モ
ノクローナル抗体との反応性を調べた。+はELISA法で反応を示すこと、そ
して−はELISA法で反応を示さないことを意味する。また、Aα鎖ペプチド
17−26、Bβ鎖ペプチド15−24及びγ鎖ペプチド312−324のアミ
ノ酸配列を1文字標記によって示す。この3種のペプチドは市販品(株式会社ペ
プチド研究所)を用いた。
(a):各抗原を5M尿素で可溶化後、96ウエルELISA用プレートにコー
トした。
(b):各抗原を50mM酢酸緩衝液(pH3.5)で可溶化後、96ウエルE
LISA用プレートにコートした。

0054

なお、(a)及び/又は(b)の表示がない抗原は、0.1Mトリス−塩酸
衝液(pH8.0)に溶解し、96ウエルELISA用プレートにコートして試
験を行った。

0055

また、フィブリノーゲンフラグメントX、Y、E、Dcate、Degta及
びDダイマーを5M尿素で処理しても、上記のモノクローナル抗体FM−1及び
FM−2は、これらの抗原と反応しなかった。しかし、フィブリンフラグメント
X、Y、Eを5M尿素で処理すると、上記のモノクローナル抗体FM−1及びF
M−2は、これらの抗原と反応するようになった。更に、5M尿素処理したフィ
ブリノーゲンのAa鎖(1−625)、フィブリノーゲンフラグメントXのAα
鎖(1−208)及びフィブリノーゲンフラグメントEのAα鎖(1−78)と
は反応しないが、5M尿素処理したフィブリンモノマーのAα鎖(17−625
)、XモノマーのAα鎖(17−208)及びフィブリンフラグメントEのAα
鎖(17−28)とは、モノクローナル抗体FM−1及びFM−2の両者とも反
応した。

0056

以上の結果は、モノクローナル抗体FM−1及びFM−2が認識するエピトー
プが、Eドメインに存在することを示唆するもので、換言すれば、フィブリノペ
プチドA、又はA及びBが放出され、且つ、尿素処理されたEドメインに存在す
ることを示している。詳細にはEドメインのAα鎖(17−78)、すなわち、
フィブリノペプチドA、又はA及びBが放出され、且つ、尿素処理されたEドメ
インのAα鎖(17−78)を認識していることを示している。
実施例4:抗体と不溶性担体(ラテックス)との結合

0057

モノクローナル抗体FM−1(2.0mg/ml)を含有する溶液2mlと、
ラテックス溶液(2%ポリスチレン;Dow Chemical社:粒径0.4
82μm)2mlとを混合し、約1時間攪拌した。遠心(20,000×g;1
0分間)処理した後、沈殿を0.1%BSA溶液に懸濁し、約1時間攪拌した。
再び遠心(20,000×g;10分間)処理した後、沈殿を0.1Mトリス・
塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁し、約2時間攪拌した。こうして、モノクロー
ナル抗体FM−1/ラテックス複合体含有液を得た。同様に、モノクローナル抗
体FM−2を用いて、モノクローナル抗体FM−2/ラテックス複合体含有液を
得た。

0058

次に、抗体混合物とラテックスとの複合体を以下の方法によって調製した。モ
ノクローナル抗体FM−1及びモノクローナル抗体FM−2をそれぞれ0.66
mg/mlずつ含有する溶液2mlと、ラテックス溶液(2%ポリスチレン;D
owChemical社:粒径0.482μm)2mlとを混合し、約1時間攪
拌した。以下、前記と同様に処理して、モノクローナル抗体FM−1/モノクロ
ーナル抗体
FM−2/ラテックス複合体を調製した。

0059

モノクローナル抗体FM−1及びモノクローナル抗体FM−2をそれぞれ1m
g/mlずつ含有する水溶液とラテックス溶液とを等量混合すること以外は前記
と同様にして、モノクローナル抗体FM−1/モノクローナル抗体FM−2/ラ
テックス複合体を調製した。
実施例5:スライド凝集反応による定量

0060

実施例4で調製した抗体ラテックス複合体含有液40μlと種々な濃度の尿素
可溶化フィブリンモノマーを含有する水溶液15μlとをスライドガラス上で混
合し、揺動して3分後に凝集像を目視的に判定した。結果を以下の表2に示す。
希釈には5M尿素を含む0.1Mトリス・緩衝液(pH8.0)を使用した。

0061

表2において+は凝集ありを、そして−は凝集なしを各々意味する。また、表
2の抗体/ラテックス複合体の欄において、複合体の種類をその複合体に結合す
るモノクローナル抗体によって示す。従って、例えばFM−1はモノクローナル
抗体FM−1/ラテックス複合体を意味し、FM−1+FM−2はモノクローナ
ル抗体FM−1/ラテックス複合体とモノクローナル抗体FM−2/ラテックス
複合体との等量混合液を意味する。更に、FM−1/FM−2はモノクローナル
抗体FM−1/モノクローナル抗体FM−2/ラテックス複合体を意味する。
実施例6:精製FMの添加回収試験

0062

5種の検体〔健常人A、健常人B、DIC(播種性血管内凝固症候群)患者C
、DIC患者D及びDIC患者Eから採取した血漿〕中の可溶性フィブリン濃度
を、実施例5のモノクローナル抗体FM−1/ラテックス複合体溶液を用いて測
定した。
次いで、それぞれの検体に精製尿素可溶性フィブリンモノマー2μg/ml、4
μg/ml及び16μg/mlを添加し、添加回収試験を行った。測定値は検体
を倍々希釈して凝集の消失する希釈倍数から半定量的に測定した。結果は表3に
示すように、良好な回収が得られた。また、それぞれの検体に精製酸可溶性フィ
ブリンモノマー2μg/ml、4μg/ml及び16μg/mlを添加し、添加
回収試験を行った際にも、表3と全く同じ結果を示した。
実施例7:健常人とDIC患者群の可溶性フィブリン値

0063

実施例6で使用したモノクローナル抗体FM−1/ラテックス複合体溶液を用
いて、健常人血漿12検体、DIC患者血漿15検体の可溶性フィブリンを測定
した。結果を図1に示す。健常人群の可溶性フィブリン量は全例2μg/ml未
満であっ
た。それに対してDIC患者群は全例32μg/ml以上であった。
実施例8:酵素免疫測定法EIA)による可溶性フィブリンの測定
(a)固相抗体の調製

0064

モノクローナル抗体FM−1のIgG分画タンパク濃度が5μg/mlになる
ように50mMリン酸緩衝液−生理食塩水(pH7.5)にて調製した。この抗
体液50μlずつを、96ウエルELISA用プレート(Immulon;日本
ダイナテック)の各ウエルに分注し、4℃で24時間放置した。
(b)標識抗体の調製

0065

モノクローナル抗体FM−2のIgG分画を、常法に従ってホースディシュ
ペルオキシダーゼ(HRP)で標識化し、標識抗体を得た。
(c)検量線の作成

0066

前記(a)で得られたモノクローナル抗体FM−1固定化96ウエルELIS
A用プレートを0.05%Tween20−生理食塩水で3回洗浄した後、前記
実施例1(a)の尿素可溶化フィブリンモノマー40μg/ml、20μg/m
、10μg/ml、5μg/ml、2μg/ml、1μg/ml及び0.5μg
/ml濃度を添加した正常血漿50μlを各ウエルに、25℃で10分間反応さ
せた。0.05%Tween20−生理食塩水で3回洗浄した後、前記(b)の
ホースラデイシュペルオキシダーゼ(HRP)標識モノクローナル抗体FM−2
の0.05%Tween20−50mMリン酸緩衝液一生理食塩水(pH7.5
)溶液50μlを加え、25℃で10分間反応させた。次いで、0.05%Tw
een20−生理食塩水で3回洗浄した後、HRP用基質液〔0.5mMアミノ
アンチピリン、10mMフェノール及び0.005%過酸化水素水を含む50m
Mリン酸緩衝液(pH7.5)〕200μlを各ウエルに加え、25℃で10分
間反応させ、各ウエルの490nmにおける吸光度を測定した。得られた検量線
図2に示す。また、酢酸可溶化フィブリンモノマー40μg/ml、20μg
/mL 10μg/ml,5μg/ml、2μg/ml、1μg/ml及び0.
5μg/mlを添加した正常血漿を用いても全く同様の結果を得た。
実施例9:酢酸可溶化フィブリンモノマー添加正常血漿中の可溶性フィブリンの
存在様式と反応性

0067

酢酸可溶化デスAABBフィブリンモノマーを正常血漿に濃度が200μg/

lになるように添加し、37℃で30分間保温した。この標品を0.15M−N
aClを含む50mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.0)で4倍希釈した後、同
じ緩衝液で平衡化したセファアクリルS−300(ファルマー社、スウェーデン
)にカラムに充填し、分子篩クロマトグラフィーで処理した。溶出された分画の
タンパク濃度と可溶性フィブリンの量を測定した。可溶性フィブリンの測定は実
施例8と同じ方法で行った。得られたクロマトグラフィーのパターンと可溶性フ
ィブリンの活性図3に示す。

0068

可溶性フィブリンの活性のピークは、分子量90万〜200万の間にあり、酢
酸可溶化デスAABBフィブリンモノマーがフィブリノーゲンと結合して、フィ
ブリン・フィブリノーゲン複合体を形成していることを示している。また、実施
例3の結果より、抗FM特異的モノクローナル抗体FM−1及びFM−2はいず
れも酢酸可溶化フィブリンモノマーとは反応しない。しかし、実施例9の結果で
は、酢酸可溶化フィブリンモノマーがフィブリノーゲンと結合してフィブリン・
フィブリノーゲン複合体を形成すると、抗FM特異的モノクローナル抗体FM−
1及びFM−2は反応することを示している。すなわち、酢酸可溶化フィブリン
モノマー[図4中の「フィブリンモノマー」:フィブリンモノマーは、モノマー
状態のフィブリンを示しており、イン・ビボ(in vivo)では一時的(t
ransient)に存在し、イン・ビトロ(in vitro)では酸によっ
変性なしにモノマー状態にすることができ、これを一般にフィブリンモノマー
と称している]がフィブリノーゲンと結合してフィブリン・フィブリノーゲン複
合体が形成されるとモノクローナル抗体FM−1及びFM−2と反応する新しい
エピトープ(ネオ.アンチジェン)が出現することを意味している。この状態を
模式的に図4に示す。以上の結果から、本発明のモノクローナル抗体は、デスA
Aフィブリン又はデスAABBフィブリンがフィブリノーゲンと結合したフィブ
リン・フィブリノーゲン複合体が形成される際にフィブリン分子内に新たに出現
するネオ.アンチジェンと反応するモ.ノクローナル抗体であることを確認する
ことができた。
産業上の利用可能性

0069

本発明によるモノクローナル抗体を用いることにより、血漿試料の前処理を行
わなくても、血漿中のフィブリノーゲン、フィブリノーゲンのプラスミン分解物
、X
分画、Y分画、D分画及びE分画、フィブリンフラグメントX、Y、D及びE、
並びに安定化フィブリンのプラスミン分解物の干渉を受けることなく、患者血漿
中の可溶性フィブリン量をフィブリノーゲンと結合した複合型フィブリンの状態
でも特異的に、簡便かつ迅速に、凝集法及びEIA法により測定することができ
る。これは、本発明によって初めて可能になったものである。従って、本発明は
DIC等の診断及び病理研究に有用な手段を提供するものである。

0070

以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形は本発明
の範囲に含まれる。

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