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課題・解決手段
概要
背景
臨床試験及び診療により、組織部位に近接して減圧を行うことによって、組織部位における新しい組織の増殖を高め加速させることができることが示されている。この現象の適用例は多数あるが、創傷の治療に特に有利であることが証明されている。外傷、手術又は別の原因のいずれであっても創傷の病因に関わらず、創傷の適切なケアが、転帰に対し重要である。減圧による創傷又は他の組織の治療は、一般に「陰圧療法」と呼ばれ得るが、たとえば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「真空補助閉鎖」及び「局所陰圧」を含む他の名称によっても知られている。陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移動、血流の改善、並びに創傷部位における組織の微小変形を含む、多くの利点を提供することができる。これらの利点により、併せて、肉芽組織の成長を促進し、治癒時間を短縮することができる。
陰圧療法の臨床的利点は広く知られているが、治療システム、構成要素及びプロセスに対する改善により、医療提供者及び患者に利益をもたらすことができる。
概要
例として、いくつかの実施形態において、マニホールド、生体吸収性構成要素及び分解調節構成要素を備えることができるドレッシングがある。分解調節構成要素は、生体吸収性構成要素の2つ以上の表面を覆うことができる。分解調節構成要素は、生体吸収性構成要素の分解を調節するようにさらに構成することができる。
目的
陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移動、血流の改善、並びに創傷部位における組織の微小変形を含む、多くの利点を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
請求項2
請求項3
請求項1又は2に記載のドレッシングにおいて、前記マニホールドがポリウレタンから形成されていることを特徴とするドレッシング。
請求項4
請求項5
請求項6
請求項1〜5のいずれか一項に記載のドレッシングにおいて、前記分解調節構成要素が、モノマー単位を有するポリマーを含み、前記モノマー単位が、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸のエステル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のエステル、セルロース誘導体、それらのコポリマー、それらのブレンド若しくは混合物、又はそれらの組合せを含むことを特徴とするドレッシング。
請求項7
請求項1〜6のいずれか一項に記載のドレッシングにおいて、前記分解調節構成要素がビニルピロリドンから作成されたポリマーを含むことを特徴とするドレッシング。
請求項8
請求項7に記載のドレッシングにおいて、前記分解調節構成要素が、ポリビニルピロリドン及びビニルアセテートのコポリマーを含むことを特徴とするドレッシング。
請求項9
請求項1〜8のいずれか一項に記載のドレッシングにおいて、前記分解調節構成要素が架橋ポリマーを含むことを特徴とするドレッシング。
請求項10
請求項1〜9のいずれか一項に記載のドレッシングにおいて、前記分解調節構成要素が水溶性であることを特徴とするドレッシング。
請求項11
請求項1〜10のいずれか一項に記載のドレッシングにおいて、前記ドレッシングが、第1生体吸収性層と、第1分解調節層と、第2分解調節層とを備え、前記第1生体吸収性層が、前記第1分解調節層と前記第2分解調節層との間に配置され、前記第2分解調節層が、前記第1生体吸収性層と前記マニホールドとの間に配置されていることを特徴とするドレッシング。
請求項12
請求項11に記載のドレッシングにおいて、前記ドレッシングが、第2生体吸収性層と第3分解調節層とをさらに含み、前記第2生体吸収性層が、前記第2分解調節層と前記第3分解調節層との間に配置され、前記第3分解調節層が、前記第2生体吸収性層と前記マニホールドとの間に配置されていることを特徴とするドレッシング。
請求項13
請求項1〜12のいずれか一項に記載のドレッシングにおいて、前記分解調節構成要素が、前記生体吸収性構成要素内に配置されていることを特徴とするドレッシング。
請求項14
請求項13に記載のドレッシングにおいて、前記分解調節構成要素が、前記生体吸収性構成要素を封入していることを特徴とするドレッシング。
請求項15
請求項13又は14に記載のドレッシングにおいて、前記生体吸収性構成要素が複数の生体吸収性繊維を含み、前記分解調節構成要素が、前記複数の生体吸収性繊維を覆う分解調節コーティングを含むことを特徴とするドレッシング。
請求項16
組織部位に陰圧療法を提供する陰圧システムにおいて、マニホールドと、生体吸収性構成要素と、前記生体吸収性構成要素の2つ以上の表面を覆い、前記生体吸収性構成要素の分解を調節するように構成された分解調節構成要素と、前記マニホールド、前記生体吸収性構成要素及び前記分解調節構成要素の上に配置されるように構成されたカバーと、前記マニホールドに流体的に結合されるように構成された陰圧源と、を備えることを特徴とする陰圧システム。
請求項17
請求項16に記載の陰圧システムにおいて、前記マニホールドが疎水性の連続気泡フォームを含むことを特徴とする陰圧システム。
請求項18
請求項16又は17に記載の陰圧システムにおいて、前記マニホールドがポリウレタンから形成されていることを特徴とする陰圧システム。
請求項19
請求項16〜18のいずれか一項に記載の陰圧システムにおいて、前記生体吸収性構成要素がプロテアーゼ調節活性を示すことを特徴とする陰圧システム。
請求項20
請求項16〜19のいずれか一項に記載の陰圧システムにおいて、前記生体吸収性構成要素が、コラーゲンと酸化再生セルロースとを含むことを特徴とする陰圧システム。
請求項21
請求項16〜20のいずれか一項に記載の陰圧システムにおいて、前記分解調節構成要素が、モノマー単位を有するポリマーを含み、前記モノマー単位が、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸のエステル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のエステル、セルロース誘導体、それらのコポリマー、それらのブレンド若しくは混合物、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする陰圧システム。
請求項22
請求項16〜21のいずれか一項に記載の陰圧システムにおいて、前記分解調節構成要素が、ビニルピロリドンから作成されたポリマーを含むことを特徴とする陰圧システム。
請求項23
請求項22に記載の陰圧システムにおいて、前記分解調節構成要素が、ポリビニルピロリドン及びビニルアセテートのコポリマーを含むことを特徴とする陰圧システム。
請求項24
請求項16〜23のいずれか一項に記載の陰圧システムにおいて、前記分解調節構成要素が架橋ポリマーを含むことを特徴とする陰圧システム。
請求項25
請求項16〜24のいずれか一項に記載の陰圧システムにおいて、前記分解調節構成要素が水溶性であることを特徴とする陰圧システム。
請求項26
請求項16〜25のいずれか一項に記載の陰圧システムにおいて、前記陰圧システムが、第1生体吸収性層と、第1分解調節層と、第2分解調節層とを含み、前記第1生体吸収性層が、前記第1分解調節層と前記第2分解調節層との間に配置され、前記第2分解調節構成要素が、前記第1生体吸収性層と前記マニホールドとの間に配置されていることを特徴とする陰圧システム。
請求項27
請求項26に記載の陰圧システムにおいて、前記陰圧システムが、第2生体吸収性層と第3分解調節層とをさらに含み、前記第2生体吸収性層が、前記第2分解調節層と前記第3分解調節層との間に配置され、前記第3分解調節層が、前記第2生体吸収性層と前記マニホールドとの間に配置されていることを特徴とする陰圧システム。
請求項28
請求項16〜27のいずれか一項に記載の陰圧システムにおいて、前記分解調節構成要素が、前記生体吸収性構成要素内に配置されていることを特徴とする陰圧システム。
請求項29
請求項28に記載の陰圧システムにおいて、前記分解調節構成要素が、前記生体吸収性構成要素を封入していることを特徴とする陰圧システム。
請求項30
請求項28又は29に記載の陰圧システムにおいて、前記生体吸収性構成要素が複数の生体吸収性繊維を含み、前記分解調節構成要素が、前記複数の生体吸収性繊維を覆う分解調節コーティングを含むことを特徴とする陰圧システム。
請求項31
組織部位に陰圧療法を提供する方法において、マニホールド、生体吸収性構成要素及び分解調節構成要素を備えるドレッシングを、前記分解調節構成要素が前記生体吸収性構成要素の2つ以上の表面を覆い、前記生体吸収性構成要素の分解を調節するように構成されるように、前記組織部位に近接して位置決めするステップと、前記ドレッシングの上に封止部材を配置し、前記組織部位を包囲する組織に前記封止部材を封止して密閉空間を形成するステップと、前記密閉空間に陰圧源を流体的に結合するステップと、前記組織部位から流体を引き出すように前記陰圧源を動作させて、前記密閉空間内に陰圧を発生させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
請求項32
請求項31に記載の方法において、前記マニホールドが疎水性の連続気泡フォームを含むことを特徴とする方法。
請求項33
請求項31又は32に記載の方法において、前記マニホールドがポリウレタンから形成されることを特徴とする方法。
請求項34
請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法において、前記生体吸収性構成要素がプロテアーゼ調節活性を示すことを特徴とする方法。
請求項35
請求項31〜34のいずれか一項に記載の方法において、前記生体吸収性構成要素が、コラーゲンと酸化再生セルロースとを含むことを特徴とする方法。
請求項36
請求項31〜35のいずれか一項に記載の方法において、前記分解調節構成要素が、モノマー単位を有するポリマーを含み、前記モノマー単位が、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸のエステル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のエステル、セルロース誘導体、それらのコポリマー、それらのブレンド若しくは混合物、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする方法。
請求項37
請求項31〜36のいずれか一項に記載の方法において、前記分解調節構成要素がビニルピロリドンから作成されたポリマーを含むことを特徴とする方法。
請求項38
請求項37に記載の方法において、前記分解調節構成要素が、ポリビニルピロリドン及びビニルアセテートのコポリマーを含むことを特徴とする方法。
請求項39
請求項31〜38のいずれか一項に記載の方法において、前記分解調節構成要素が架橋ポリマーを含むことを特徴とする方法。
請求項40
請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法において、前記分解調節構成要素が水溶性であることを特徴とする方法。
請求項41
請求項31〜40のいずれか一項に記載の方法において、前記ドレッシングが、第1生体吸収性層と、第1分解調節層と、第2分解調節層とを含み、前記第1生体吸収性層が、前記第1分解調節層と前記第2分解調節層との間に配置され、前記第2分解調節層が、前記第1生体吸収性層と前記マニホールドとの間に配置されることを特徴とする方法。
請求項42
請求項41に記載の方法において、前記ドレッシングが、第2生体吸収性層と第3分解調節層とをさらに含み、前記第2生体吸収性層が、前記第2分解調節層と前記第3分解調節層との間に配置され、前記第3分解調節層が、前記第2生体吸収性層と前記マニホールドとの間に配置されることを特徴とする方法。
請求項43
請求項31〜42のいずれか一項に記載の方法において、前記分解調節構成要素が、前記生体吸収性構成要素内に存在することを特徴とする方法。
請求項44
請求項43に記載の方法において、前記分解調節構成要素が、前記生体吸収性構成要素を封入することを特徴とする方法。
請求項45
請求項43又は44に記載の方法において、前記生体吸収性構成要素が複数の生体吸収性繊維を含み、前記分解調節構成要素が、前記複数の生体吸収性繊維を覆う分解調節コーティングを含むことを特徴とする方法。
請求項45
実質的に本明細書に開示されているドレッシング。
請求項46
請求項45に記載のドレッシングを介して組織部位に治療を提供するステップを含むことを特徴とする方法。
請求項47
請求項45に記載のドレッシングを備えることを特徴とするシステム。
請求項48
請求項47に記載のシステムを介して組織部位に治療を提供するステップを含むことを特徴とする方法。
技術分野
0001
関連出願
本発明は、米国特許法第119条(e)の下で、2017年11月3日に出願された、「Extended Wear−Time Dressing」と題する米国仮特許出願第62/581,540号明細書の出願の利益を主張する。この仮出願は、すべての目的で参照により本明細書に援用される。
0002
添付の特許請求の範囲に示す本発明は、概して組織部位の治療に関し、より詳細には、ただし限定して、組織部位に適用するドレッシングと、こうしたドレッシングを含むシステムと、それらに関連する方法に関する。
背景技術
0003
臨床試験及び診療により、組織部位に近接して減圧を行うことによって、組織部位における新しい組織の増殖を高め加速させることができることが示されている。この現象の適用例は多数あるが、創傷の治療に特に有利であることが証明されている。外傷、手術又は別の原因のいずれであっても創傷の病因に関わらず、創傷の適切なケアが、転帰に対し重要である。減圧による創傷又は他の組織の治療は、一般に「陰圧療法」と呼ばれ得るが、たとえば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「真空補助閉鎖」及び「局所陰圧」を含む他の名称によっても知られている。陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移動、血流の改善、並びに創傷部位における組織の微小変形を含む、多くの利点を提供することができる。これらの利点により、併せて、肉芽組織の成長を促進し、治癒時間を短縮することができる。
0005
添付の特許請求の範囲に、システム、ドレッシング等の装置、及び、たとえば陰圧療法環境においてそれらを使用する方法を示す。当業者が請求項に係る主題を作成及び使用することができるように、例示的な実施形態も提供する。
0006
たとえば、いくつかの実施形態では、長期間装着されるドレッシングは、1つ又は複数のドレッシング層又は構成要素と、他の構成要素又は層の分解を調節する少なくとも1つの構成要素とを含むことができる。こうしたドレッシングは、いくつかの実施形態では陰圧療法システムに好適であり得る。
0007
ドレッシングのいくつかの実施形態は、マニホールドと、生体吸収性構成要素と、分解調節構成要素とを備えることができる。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素は、生体吸収性構成要素のうちの少なくとも1つの分解を調節するように構成することができる。いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素は、コラーゲンと酸化再生セルロースとを含むことができる。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素は、1つ又は複数のモノマー単位を有するポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーに存在するモノマー単位は、重合の後に、修飾された、たとえば官能基化された別のモノマー単位から誘導することができる。モノマー繰り返し単位は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール(たとえば、ビニルアセテートから誘導され得る)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸のエステル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のエステル、セルロース誘導体、それらのコポリマー、それらのブレンド若しくは混合物、又はそれらの組合せを含むことができる。たとえば、ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(アクリル酸)又はポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)を含むことができる。
0008
いくつかの実施形態では、組織部位に陰圧療法を提供するシステムは、ドレッシングを備えることができる。ドレッシングは、マニホールドと、生体吸収性構成要素と、分解調節構成要素とを備えることができる。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素は、生体吸収性構成要素の分解を調節するように構成することができる。いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素は、コラーゲンと酸化再生セルロースとを含むことができる。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素は、1つ又は複数のモノマー単位を有するポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーに存在するモノマー単位は、重合の後に、修飾された、たとえば官能基化された別のモノマー単位から誘導することができる。モノマー単位は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール(たとえば、ビニルアセテートから誘導され得る)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸のエステル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のエステル、セルロース誘導体、それらのコポリマー、それらのブレンド若しくは混合物、又はそれらの組合せを含むことができる。たとえば、ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(アクリル酸)又はポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)を含むことができる。システムはまた、マニホールドに流体的に結合されるように構成された陰圧源も備えることができる。
0009
組織部位に陰圧療法を提供する方法の実施形態例も記載する。方法は、たとえば、マニホールド、構成要素及び分解調節構成要素を含むドレッシングを組織部位に近接して位置決めするステップを含むことができる。分解調節構成要素が生体吸収性構成要素の分解を調節するように構成され得るように、ドレッシングを位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素は、コラーゲンと酸化再生セルロースとを含むことができる。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素のうちの少なくとも1つは、1つ又は複数のモノマー繰り返し単位を有するポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーに存在するモノマー繰り返し単位は、重合の後に、修飾された、たとえば官能基化された別のモノマー単位から誘導することができる。モノマー繰り返し単位は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール(たとえば、ビニルアセテートから誘導され得る)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸のエステル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のエステル、セルロース誘導体、それらのコポリマー、それらのブレンド若しくは混合物、又はそれらの組合せを含むことができる。たとえば、ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(アクリル酸)又はポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)であり得る。本方法はまた、ドレッシングの上に封止部材を配置するステップも含むことができる。本方法はまた、組織部位を包囲する組織に封止部材を封止して密閉空間を形成するステップも含むことができる。本方法はまた、密閉空間に陰圧源を流体的に結合するステップも含むことができる。本方法はまた、組織部位から流体を引き出すように陰圧源を動作させて、密閉空間内に陰圧を発生させるステップも含むことができる。
0010
請求項に係る主題を作成し使用する目的、利点及び好ましい形態は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明と併せて添付図面を参照することにより最もよく理解することができる。
図面の簡単な説明
0011
図1は、本明細書によるドレッシングを含む陰圧療法システムの実施形態例の簡易概略図である。
図2は、ドレッシングの実施形態例の部分切取図である。
図3は、ドレッシングの実施形態例の部分切取図である。
図4は、ドレッシングの実施形態例の部分切取図である。
図5は、ドレッシングの実施形態例の部分切取図である。
図6は、ドレッシングの実施形態例の部分切取図である。
0012
なお、本明細書に示す図は、いくつかの実施形態例の全体的な特徴を例示するように意図されている。図は、任意の所与の実施形態の特徴を厳密に反映していない可能性があり、必ずしも、請求項に係る主題の範囲を規定又は限定するようには意図されていない。
実施例
0013
実施形態例の以下の説明は、当業者が、添付の特許請求の範囲に示す主題を作成し使用することができるようにする情報を提供するが、本技術分野においてすでに周知であるいくつかの詳細は省略している場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定的ではなく例示的であるものとして解釈されるべきである。
0014
本明細書では、添付図面に示すさまざまな要素の間の空間的な関係、又はさまざまな要素の空間的な向きに関して、実施形態例を説明する場合もある。概して、こうした関係又は向きは、治療を受ける位置にある患者と一致する又はそうした患者に対する基準系を想定する。しかしながら、当業者であれば認識されるはずであるように、この基準系は、厳密な規定ではなく、単に説明上の好都合な手段である。
0015
たとえば、図1は、本明細書の開示による、組織部位に陰圧を提供するように構成されたシステム100の実施形態を例示する。
0016
本明細書で用いる「組織部位」という用語は、限定されないが、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱又は靭帯を含む組織の上又は中に位置する、創傷、欠損又は他の治療標的を広く指すように意図されている。創傷は、たとえば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、及び離開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病性潰瘍、圧迫性潰瘍又は静脈不全潰瘍等)、弁(flap)及びグラフトを含み得る。「組織部位」という用語はまた、必ずしも傷つき又は欠損していない任意の組織を指し得るが、その代わりに、さらなる組織の増殖をもたらすか又は促進することが望ましい可能性がある領域である。
0017
さまざまな実施形態において、システム100は、概して陰圧供給部を含み、ドレッシング等の分配構成要素を含み、又はそれに結合されるように構成され得る。概して、分配構成要素は、陰圧供給部と組織部位との間の流体路において陰圧供給部に流体的に結合されるように構成された、任意の相補的又は補助的構成要素を指すことができる。分配構成要素は、取外し可能とすることができ、同様に、使い捨て、再使用可能又は再生利用可能であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、システム100は、陰圧源104に流体的に結合された分配構成要素を例示するドレッシング102を含むことができる。
0018
密閉治療環境内等、別の構成要素又は場所において減圧するために陰圧源を使用することに関連する流体機構は、機械的に複雑である可能性がある。しかしながら、陰圧療法に適用可能である流体機構の基本原理は、一般に、当業者には周知である。減圧のプロセスは、本明細書では概して且つ例示的に、たとえば、陰圧を「送達する」、「分配する」、「提供する」又は「発生させる」と記載する場合がある。
0019
概して、創傷流体(たとえば、滲出液及び他の流体)等の流体は、流体路に沿って圧力の低い方に向かって流れる。したがって、「下流」という用語は、典型的には、流体路における、相対的に陰圧源に近いか又は陽圧源からさらに遠いものを意味する。逆に、「上流」という用語は、相対的に陰圧源からさらに遠いか又は陽圧源により近いものを意味する。同様に、こうした基準系において流体「入口」又は「出口」に関していくつかの特徴を説明することが好都合である場合がある。この向きは、概して、本明細書においてさまざまな特徴及び構成要素を説明する目的で想定する。しかしながら、いくつかの応用では、(陰圧源の代わりに陽圧源を用いること等により)流体路を逆にすることも可能であり、この説明的慣例は、限定的な慣例として解釈されるべきではない。
0020
本明細書で用いる「陰圧」は、概して、ドレッシング102によって提供される密閉治療環境の外部の局所環境における周囲圧力等、局所周囲圧力より低い圧力を指すように意図されている。多くの場合、局所周囲圧力はまた、組織部位に近接する又は組織部位の周囲の大気圧でもあり得る。別法として、圧力は、組織部位において組織に関連する静水圧未満であり得る。別段の指示がない限り、本明細書で述べる圧力の値はゲージ圧である。同様に、陰圧の上昇に言及する場合、それは、典型的には、絶対圧の低下(たとえば、「より高い陰」圧)を指し、陰圧の低下は、典型的には、絶対圧の上昇(たとえば、「より低い陰」圧又は「より高い陽」圧)を指す。組織部位に印加される陰圧の量及び性質は、治療要件に従って変更することができるが、圧力は、概して、−5mmHg(−667Pa)〜−500mmHg(−66.7kPa)の、一般に、低真空(rough vacuum)とも呼ぶ低真空(low vacuum)である。一般的な治療範囲は、−50mmHg(−6.7kPa)〜−300mmHg(−39.9kPa)である。
0021
さまざまな実施形態において、陰圧源104等の陰圧供給部は、陰圧の空気のリザーバであり得るか、又は、たとえば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療施設で利用可能な壁の吸引ポート、若しくはマイクロポンプ等、密閉された容積内で減圧することができる手動若しくは電動式デバイスであり得る。陰圧供給部は、センサ、処理ユニット、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示デバイス、又は治療をさらに容易にするユーザインタフェース等、他の構成要素内に収容するか、又はこれらと併せて使用することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、陰圧源は、1つ又は複数の他の構成要素と組み合わせて治療ユニットにすることができる。陰圧供給部はまた、1つ又は複数の分配構成要素に対する陰圧供給部の結合及び分離を容易にするように構成された1つ又は複数の供給ポートも有することができる。
0022
いくつかの実施形態では、システム100はコントローラ110を含むことができる。コントローラ110はまた、陰圧源104にも結合することができる。コントローラ110は、概して、陰圧療法システムに関連する1つ又は複数の動作パラメータを制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、システム100は、たとえば、動作パラメータを測定し、それらの動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ110のようなコントローラに提供する、1つ又は複数のセンサを含むことができる。コントローラ110等のコントローラは、陰圧源104等、システム100の1つ又は複数の構成要素を動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサ又はコンピュータであり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、コントローラ110は、概して、システム100の1つ又は複数の動作パラメータを直接又は間接的に制御するようにプログラムされた、プロセッサコア及びメモリを含む集積回路を備える、マイクロコントローラであり得る。動作パラメータとしては、たとえば、陰圧源104に印加される電力、陰圧源104によって生成される圧力、又はドレッシング102に分配される圧力を挙げることができる。コントローラ110はまた、ユーザインタフェースからの入力信号等、1つ又は複数の入力信号を受信するようにも構成することができる。
0023
いくつかの実施形態では、陰圧源104は、ドレッシングインタフェースを介してドレッシング102に作動的に結合することができる。いくつかの実施形態では、システム100は、ドレッシング102及び陰圧源104に流体的に結合された、容器112等の流体容器を含むことができる。容器112は、組織部位から引き出された滲出液及び他の流体を管理するために使用することができる、容器、キャニスタ、パウチ又は他の貯蔵構成要素を表す。多くの環境において、流体を収集し、貯蔵し、廃棄するために、剛性容器が好ましく又は必要である場合がある。他の環境では、流体は、剛性容器に貯蔵することなく、適切に廃棄することができ、再使用可能な容器により、陰圧療法に関連する廃棄物を低減させコストを削減することができる。
0024
さまざまな実施形態において、構成要素は、構成要素の間で流体(すなわち、液体及び/又は気体)を移送する経路を提供するように、互いに流体的に結合することができる。たとえば、構成要素は、チューブ等の流体伝導体を通して流体的に結合することができる。本明細書で用いる「チューブ」という用語は、チューブ、パイプ、ホース、導管、又は2つの端部の間で流体を搬送するように適合された1つ又は複数の内腔を備えた他の構造体を広く含むように意図されている。典型的には、チューブは、幾分かの可撓性がある細長い円筒状構造体であるが、形状及び剛性は変更することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の構成要素はまた、物理的な近接、単一構造への一体化、又は同じ材料片からの形成により、結合することも可能である。さらに、いくつかの流体伝導体は、他の構成要素に成形するか、又は他の方法で一体的に結合することができる。結合としては、状況により、機械的結合、熱的結合、電気的結合又は化学的結合(化学結合等)を挙げることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、チューブは、ドレッシング102を容器112に機械的に且つ流体的に結合することができる。概して、システム100の構成要素は、直接にも間接的にも結合することができる。たとえば、陰圧源104は、コントローラ110に直接結合することができ、たとえば容器112を通して、ドレッシング102に間接的に結合することができる。
0025
ドレッシング
多くの場合、陰圧療法の状況では、陰圧は、概して「ドレッシング」として特徴付けられる材料及びデバイスを介して組織部位に印加することができる。概して、組織部位に陰圧の印加を提供することに加えて、ドレッシングは、出血を制御し、痛みを和らげ、創傷清拭に役立ち、感染から組織を保護し、プロテアーゼ活性を調節し、又は他の方法で組織部位の治癒を促進し組織部位を損傷から保護することができる。
0026
いくつかの実施形態では、流体の分配又は収集を改善するために、マニホールドの流体経路を相互接続することができる。いくつかの実施形態では、マニホールドは、相互接続された複数の気泡又は細孔を有する多孔質フォーム材料であり得る。たとえば、網状フォームを含む連続気泡フォームは、概して、チャネル等の相互接続された流体経路を形成するように適合された細孔、縁部及び/又は壁を含む。さまざまな実施形態において、フォーム形成材料は、さまざまなアパーチャ及び流体経路を含むように、硬化等により、フォームになるように形成することができる。いくつかの実施形態では、マニホールドは、さらに又は別法として、相互接続された流体経路を形成する突出部を備えることができる。たとえば、相互接続された流体経路を画定する表面突出部を提供するように、マニホールドを成形することができる。
0027
さまざまな実施形態において、ドレッシング102は、概して、たとえば流体を収集するように、陰圧を分配するように構成することができる。たとえば、ドレッシング102は、マニホールドを備え、又はマニホールドとして構成することができる。これに関して「マニホールド」は、概して、圧力下で組織部位にわたって流体を収集し又は分配するように構成された複数の経路を提供する任意の組成物又は構造体を含む。たとえば、マニホールドは、陰圧源から陰圧を受け取り、複数のアパーチャ(細孔)を通じて陰圧を分配するように構成することができ、これには、流体を収集し、流体を陰圧源に向かって引き込むという効果があり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、ドレッシング102は、陰圧源104から陰圧を受け取り、たとえば、密閉空間107を通じて陰圧を分配するように構成することができ、これには、組織部位から流体を収集するという効果があり得る。さらなる又は代替的な実施形態では、組織部位にわたる流体の移動を容易にするために、流体路を反転させることができ、又は、二次流体路を設けることができる。
0028
いくつかの実施形態では、ドレッシングは、概して、組織部位と相互作用するように、又は種々の機能のうちの任意のものを実施するように構成された、1つ又は複数の構成要素を備えることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、ドレッシング102は、カバー106及びマニホールド120を備えることができる。ドレッシング102はまた、少なくとも1つの生体吸収性構成要素130、少なくとも1つの分解調節構成要素140、又は少なくとも1つの生体吸収性構成要素130及び少なくとも1つの分解調節構成要素140の何らかの組合せも備えることができる。いくつかの実施形態では、ドレッシング102は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれより多くの生体吸収性構成要素130を備えることができる。また、いくつかの実施形態では、ドレッシング102は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれより多くの分解調節構成要素140を備えることができる。さまざまな実施形態において、生体吸収性構成要素130及び分解調節構成要素140は、任意の好適な数の層で存在し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130及び分解調節構成要素140は、別個の層として存在し得る。いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130及び分解調節構成要素140は、単一層内に組み込むことができる。
0029
ドレッシング−カバー
さまざまな実施形態において、カバー106は、概して、細菌バリア及び物理的外傷からの保護を提供するように構成することができる。カバー106はまた、蒸発損失を低減させるとともに、治療環境と局所外部環境との間等、2つの構成要素又は2つの環境の間の流体シールを提供することができる、材料から構成することも可能である。カバー106は、たとえば、所与の陰圧源に対して組織部位において陰圧を維持するために適したシールを提供することができる、エラストマーフィルム又は膜であり得る。いくつかの実施形態では、カバー106は、高い水蒸気透過率(MVTR)を有することができる。たとえば、MVTRは、少なくとも300g/m2/24時間であり得る。いくつかの実施形態例では、カバー106は、好適なポリマーから形成することができる。たとえば、カバー106は、水蒸気に対して透過性であるが液体に対して概して不透過性である、ポリウレタンフィルム等のポリマードレープを含むことができる。こうした実施形態では、カバー106は、約25〜約50ミクロンの範囲の厚さを有することができる。カバーが透過性材料を含む実施形態では、カバー106は、所望の陰圧を維持することができるように十分低い透過率を有することができる。
0030
いくつかの実施形態では、カバー106は、取付デバイスを介して、たとえば、無傷の表皮、ガスケット又は別のカバー等の取付面に取り付けられるように構成することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、カバーは、密閉空間107を形成するように表皮に取り付けることができる。こうした実施形態では、取付デバイスは任意の好適な形態をとることができる。たとえば、取付デバイスは、周縁部、一部又は封止部材全体にわたって延在する、医学的に許容可能な感圧接着剤であり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、カバー106の一部又はすべてに、25〜65グラム/平方メートル(g.s.m.)の付着量を有するアクリル接着剤等の接着剤でコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、密閉性を向上させ漏れを低減させるために、より厚い接着剤、又は接着剤の組合せを塗布することができる。取付デバイスの他の実施形態例としては、両面テープ、ペースト、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル又はオルガノゲルを挙げることができる。
0031
ドレッシング−マニホールド
いくつかの実施形態では、マニホールド120は、フォーム、たとえば網状フォーム、又はその組合せを含むか又は本質的にそれから構成され得る。さまざまな実施形態において、フォームの平均細孔径は、指示された療法の必要に従って変更することができる。マニホールド120の引張強度もまた、指示された療法の必要に従って変更することができる。
0032
いくつかの実施形態では、マニホールド120は、密度によって特徴付けられるフォームであり得る。いくつかの実施形態では、マニホールド120は、比較的高密度の材料として特徴付けることができる。たとえば、さまざまな実施形態では、マニホールド120は、約24kg/m3〜約125kg/m3、又はより特定の実施形態では、約24kg/m3〜約72kg/m3の密度を有することができる。さらに又は別法として、マニホールド120はまた、特定の多孔率及び/又は細孔径を示すものとして特徴付けることができる。マニホールド120の細孔の数及び平均細孔径は、指示された療法の必要に従って変更することができる。たとえば、さまざまな実施形態において、マニホールド120は、約20細孔/インチ〜約120細孔/インチの多孔率を示すものとして特徴付けることができる。さらに、さまざまな実施形態において、マニホールド120は、約400〜約600ミクロンの範囲の平均細孔径を有することができる。
0033
いくつかの実施形態では、マニホールド120は、疎水性として特徴付けることができる。たとえば、マニホールド120は、疎水性の連続気泡フォームとして特徴付けることができる。理論により拘束されることを意図するものではないが、こうした実施形態では、疎水性の特性により、マニホールド120が組織部位からの創傷浸出液等の流体を直接吸収することを防止することができ、流体が、たとえば内部構造を通過するのを可能にすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、マニホールド120は、疎水性の連続気泡ポリウレタンフォーム、シリコーンフォーム、PEBAX(登録商標)等のポリエーテルブロックアミドフォーム、アクリルフォーム、ポリ塩化ビニル(PVC)フォーム、ポリオレフィンフォーム、ポリエステルフォーム、ポリアミドフォーム、熱可塑性加硫物(TPV)フォーム等の熱可塑性エラストマー(TPE)フォーム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)及びエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムから形成されたフォーム等の他の架橋エラストマーフォーム、又はそれらの組合せであり得る。マニホールド120として使用するのに好適なフォームの例としては、San Antonio、TexasのKCIから市販されているV.A.C.(登録商標)GRANUFOAM(商標)ドレッシングに使用されているフォームが挙げられる。
0034
いくつかの代替実施形態では、マニホールド120は親水性として特徴付けることができる。理論により拘束されることを意図するものではないが、こうした実施形態では、マニホールド120は、組織部位に陰圧を分配し続けながらも流体を吸い上げるのに有効であり得る。こうした実施形態では、マニホールド120のウィッキング特性は、毛細管流動又は他のウィッキング機構によって組織部位から流体を引き出すことができる。親水性フォームの例としては、ポリビニルアルコール又はポリエーテルの連続気泡フォームを挙げることができる。親水性の特性を示すことができる他のフォームとしては、親水性を提供するように処理又はコーティングされた疎水性フォームが挙げられる。たとえば、マニホールド120は、処理された連続気泡ポリウレタンフォームであり得る。
0035
生体吸収性構成要素
いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130は、生分解性であるものとして又は生分解性を示すものとして特徴付けることができる。本明細書で用いる「生分解性の」及び「生分解性」は、生理学的流体又はプロセスにさらされると少なくとも部分的に分解される物質の特性を指すものとする。たとえば、いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130は、組織部位からの水、血液又は創傷浸出液等の水性媒体と接触したときに、崩壊し、分解し、又は溶解することができる。生分解性は、化学的プロセス若しくは状態、物理的プロセス若しくは状態、又はそれらの組合せの結果であり得る。
0036
さらに又は別法として、いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130は、生体吸収性であるものとして又は生体吸収性を示すものとして特徴付けることができる。本明細書で用いる「生体吸収性の」及び「生体吸収性」は、たとえば代謝又は排泄を介して身体によって排出されるように組織部位において吸収することができる分解生成物に分解される物質の特性を指すものとする。いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130の生体吸収性の特性により、生体吸収性構成要素130、又は生体吸収性構成要素130を形成する材料の少なくとも一部を、それが生体吸収によって適用される組織部位から排出することができるようにすることができる。
0037
いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130は、特定の期間内に特定の比率の崩壊、分解又は溶解を示すように構成することができる。たとえば、さまざまな実施形態において、約37℃の温度で、生理学的流体、たとえば、血液又は創傷浸出液等の水性流体との接触から、約6時間〜約48時間、又は約12時間〜約36時間、又は約18時間〜約24時間の期間内に、特定の生体吸収性構成要素130の約90重量%、又は約95重量%、又は約99重量%、又は約100重量%が崩壊し、分解し又は溶解し得るように、生体吸収性構成要素130を構成することができる。
0038
いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130は、好適な構造、たとえば、フィルム、連続気泡フォーム等のフォーム、織若しくは不織メッシュ等の繊維性基材、又はそれらの組合せを含むことができる。さまざまな実施形態では、好適なフォームは、指示された療法の必要に従って変更することができる平均細孔径であり得る。たとえば、生体吸収性構成要素130は、400〜600ミクロンの範囲の細孔径を有するフォームを含むことができる。さらに、好適なフィルム又はフォームは、指示された療法の必要に従って好適であり得るように、引張強度等のさまざまな物理特性を有することができる。
0039
いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130は、本明細書では生体吸収性組成物と呼ぶことができる、好適な組成物を含み、又は少なくとも部分的にそうした組成物から形成され得る。たとえば、生体吸収性組成物は、生体吸収性構成要素130の連続気泡フォーム又はフィルムの少なくとも一部を構成することができる。
0040
いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、酸化セルロース、又はより特定の実施形態では、酸化再生セルロース(ORC)を含む。酸化セルロースは、たとえば四酸化二窒素を用いて、セルロースの酸化により生成することができる。理論により拘束されることを意図するものではないが、このプロセスにより、糖残基における第1級アルコール基がカルボン酸基に転化して、セルロース鎖内にウロン酸残基を形成することができる。酸化は、完全な選択性をもって進行するとは限らず、その結果、炭素2及び3におけるヒドロキシル基はケト型に転化する可能性がある。これらのケトン単位により、アルカリに不安定な結合(alkali labile link)がもたらされ、それは、pH7以上で、ラクトン及び糖の環開裂の形成を介してポリマーの分解を開始する。その結果、酸化セルロースは、生理学的条件の下で生分解性であり且つ生体吸収性であり得る。
0041
いくつかの実施形態では、酸化セルロースは、レーヨン等の再生セルロースの酸化によって調製されたORCであり得る。ORCは、たとえば、1964年2月24日に発行されたSmithの米国特許第3,122,479号明細書に記載されているプロセスによって製造することができ、上記特許は、その全体が参照により本明細書に援用される。ORCは、さまざまな酸化度、したがって分解率で入手可能である。いくつかの実施形態では、ORCは、ORCのアルカリ加水分解によって得られる水溶性低分子量フラグメントの形態であり得る。
0042
ORCは、粒子、繊維、シート、スポンジ又は生地を含む、種々の物理的形態で使用することができる。いくつかの実施形態では、ORCは、たとえば、好適な固形又は半固形の局所薬物賦形剤に分散された、繊維粒子又は粉末粒子等の粒子の形態である。いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、たとえば、少なくとも80%の体積分率の繊維を有する、ORC繊維を含み、約20μm〜約50mmの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも80%の体積分率の繊維は、約5μm〜約1000μm、又は約250μm〜約450μmの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも80%の体積分率の繊維は、約25mm〜約50mmの範囲の長さを有する。たとえば、ORC布を粉砕し、それに続いて、粉砕された粉末をふるいにかけて範囲外の繊維を除去することによって、所望のサイズの分布を達成することができる。生地は、織布、不織布及び編布を含むことができる。
0043
ORCは、生体吸収性組成物において、生体吸収性組成物及び/又は生体吸収性構成要素の所望の吸収性及び流動性の特性をもたらすために適切な任意のレベルで存在し得る。たとえば、ORCは、生体吸収性構成要素において、生体吸収性構成要素の約10重量%〜約80重量%、又は約30重量%〜約60重量%、又は約40重量%〜約50重量%、又は約45重量%ORCのレベルで存在し得る。
0044
いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、構造タンパク質を含む。好適な構造タンパク質の例としては、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、エラスチン、コラーゲン、ゼラチン、ケラチン及びそれらの混合物を挙げることができるが、それらに限定されない。たとえば、特定の実施形態では、構造タンパク質はコラーゲンを含むか又はコラーゲンである。コラーゲンは、任意の天然物から得ることができる。コラーゲンは、I型、II型又はIII型コラーゲンがあり得るか、又は、化学修飾コラーゲン、たとえば、天然コラーゲンから免疫原性テロペプチドを除去することによって得られるアテロコラーゲンでもあり得る。コラーゲンはまた、たとえば天然コラーゲンのペプシン処理によって得ることができる、約5,000〜約100,000又は約10,000〜約50,000の範囲の分子量を有する、可溶化コラーゲン又は可溶性コラーゲンフラグメントも含むことができる。さまざまな実施形態において、コラーゲンは、大部分非コラーゲン性成分なしに精製されたウシ真皮から得られる。こうした非コラーゲン性成分としては、参照により本明細書に援用される、1986年9月30日に発行されたEastonらの米国特許第4,614,794号明細書及び1982年3月16日に発行されたBergらの米国特許第4,320,201号明細書に記載されているように、脂肪、非コラーゲン性タンパク質、多糖類及び他の炭水化物が挙げられる。
0045
コラーゲン又は他の構造タンパク質は、適切な任意のレベルで生体吸収性組成物に存在し得る。たとえば、コラーゲン又は他の構造タンパク質は、生体吸収性組成物において、生体吸収性構成要素の約20重量%〜約90重量%、又は約40重量%〜約70重量、又は約50重量%〜約60重量%、又は約55重量%コラーゲンのレベルで存在し得る。
0046
いくつかのより特定の実施形態では、生体吸収性組成物はORC及びコラーゲンの両方を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素は、生体吸収性構成要素の約40重量%〜約50重量%、又は約45重量%のレベルのORCと、約50重量%〜約60重量%、又は約55重量%のレベルのコラーゲンとを含む。
0047
さらにいくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、1種又は複数種の追加の任意選択的な物質を含むことができる。こうした任意選択的な成分としては、たとえば、防腐剤、安定剤、ヒドロゲル及び他のゲル化剤、可塑剤、マトリックス強化材、色素及びさまざまな有効成分を挙げることができる。さまざまな実施形態において、追加の任意選択的な物質は、各々、存在する場合、安全且つ有効な量で存在し得る。本明細書で言及する、本明細書で用いる物質の「安全且つ有効な」量は、本技術の方法で使用されるときに妥当な利益/リスク比に釣り合った、過度の不都合な副作用(毒性、刺激又はアレルギー反応)なしに所望の効果を与えるために十分である量を指す。特定の物質の具体的な安全且つ有効な量は、組成物における他の物質のタイプ及び量、意図された使用、並びに生体吸収性組成物が与えられる対象者の身体的状態、並びに生体吸収性組成物が採用される形態等の要素によって変更することができる。
0048
たとえば、いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、任意選択的なゲル化剤を含むことができ、その例としては、ポリウレタンゲル、改質されたアクリルアミドポリマー及び親水性多糖類を挙げることができるが、それらに限定されない。親水性多糖類の例としては、アルギン酸、キトサン、キチン、グァーガム、ペクチン、ポリエチレングリコール、デキストラン、澱粉誘導体、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシルプロピル(hydroxylpropyl)セルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、グリコサミノグリカン、ガラクトマンナン、コンドロイチン塩(コンドロイチン硫酸等)、ヘパリン塩(ヘパリン硫酸等)、ヒアルロイニック(hyaluroinic)酸及びその塩、ヒアルロネート並びにそれらの混合物を挙げることができるが、それらに限定されない。
0049
いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、たとえば、生体吸収性組成物又は生体吸収性構成要素の流動学的特性、吸収性又は他の特性を修飾する、カルボキシメチルセルロース(「CMC」)を含むことができる。CMCは、セルロースから誘導され、カルボキシメチル基が、セルロースを構成するグルコピラノースモノマーのヒドロキシ基に結合されるように修飾され得る。CMCは、たとえば、ナトリウム等、生理学的に許容可能なカチオンを含む塩形態であり得る(すなわち、カルボキシメチルセルロースナトリウム)。CMCは、Walocel(商標)(The Dow Chemical Companyによって販売)及びCekol(登録商標)(CP Kelcoによって販売)として市販されている。存在する場合、CMCは、所望の特性をもたらすために適切な任意のレベルで生体吸収性組成物に存在し得る。
0050
いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、生体吸収性構成要素130の処理特性を改善することができる強化材を含む。たとえば、強化材は、基材の引裂きに対する感受性を低減させることができる。好適な強化材の例としては、非ゲル化セルロース繊維が挙げられる。こうした「非ゲル化」セルロース繊維は、実質的に非水溶性とすることができ、(カルボキシメチルセルロース又は他のセルロースエーテルと対照すると)水溶性を増大させるように化学修飾されていないセルロースから製造することができる。非ゲル化セルロース繊維は、Tencel(登録商標)繊維(Lenzing AGによって販売)として市販されている。こうした繊維は、いくつかの実施形態では、長さが約0.5〜約5cm、又は約2〜約3cmである長さに切断することにより、市販の連続した長さから加工処理することができる。非ゲル化セルロース繊維は、生体吸収性構成要素の所望の物理的特性をもたらすために適した任意のレベルで生体吸収性組成物に存在し得る。
0051
いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、たとえば、創傷治癒に役立つ1種又は複数種の有効成分も含むことができる。有効成分の例としては、非ステロイド性抗炎症薬、アセトアミノフェン、ステロイド、任意選択的な抗生物質及び殺菌剤(たとえば、銀及びクロルヘキシジン)、成長因子(たとえば、線維芽細胞増殖因子又は血小板由来成長因子)、ペプチド及びマイクロRNAが挙げられるが、それらに限定されない。概して、こうした有効成分は、存在する場合、約0.1重量%〜約10重量%のレベルで存在し得る。例として、生体吸収性組成物は、成長因子を含むことができる。好適な成長因子の例としては、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)及び上皮成長因子(EGF)並びにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
0052
たとえば、生体吸収性組成物は、抗菌剤、殺菌剤又は両方を含むことができる。抗菌剤の例としては、テトラサイクリン、ペニシリン、テラマイシン、エリスロマイシン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリマイシン(polymycin)B、ムピロシン、クリンダマイシン及びそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。殺菌剤の例としては、銀、ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアナイドすなわちPHMB)、クロルヘキシジン、ポビドンヨード、トリクロサン、スクラルファート、第四級アンモニウム塩及びそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。たとえば、さまざまな実施形態において、生体吸収性組成物は銀を含むことができ、銀は、金属形態、イオン形態(たとえば、銀塩)又は両方であり得る。たとえば、銀はイオン形態で存在し得る。いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、銀及びORCの錯体(「銀/ORC錯体」)を含むことができる。本明細書で言及するこうした錯体は、たとえば、銀とORCとの間にイオン結合又は共有結合がある、分子レベルでの密接な混合物を指すことができる。たとえば、銀/ORC錯体は、ORCとAg+との間に形成された塩を含むことができるが、たとえば、錯体が光に露出することによって生成される、銀クラスタ又はコロイド状銀の金属もまた含むことができる。ORCを銀塩の溶液で処理することにより、アニオン多糖及び銀の錯体を作成することができる。さまざまな実施形態において、銀塩は、弱酸を含む銀の塩であり得る。本明細書で有用な銀/ORC錯体と、こうした錯体を生成する方法とは、参照により本明細書に援用される、2013年6月11日に発行された、Cullenらの米国特許第8,461,410号明細書に記載されている。同様のプロセスは、参照により本明細書に援用される、1992年7月28日に発行された、Safersteinらの米国特許第5,134,229号明細書に記載されている。さまざまな実施形態において、銀/ORC錯体は、生体吸収性構成要素において、生体吸収性構成要素の約1重量%〜約2重量%のレベルで存在し得る。別法として、他の実施形態では、生体吸収性組成物は、抗菌剤も殺菌剤も含まない。
0053
生体吸収性組成物が銀を含む実施形態等、いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は色素を含むことができる。色素は、可視領域400〜700nmで光吸収性であり得る。こうした色素は、光化学的減感剤として作用して、本組成物における銀と本来は反応する可能性がある生成されたフリーラジカルを、光化学的に捕捉するように動作可能であり得る。さまざまな実施形態において、抗酸化色素は、アニリン色素、アクリジン色素、チオニン色素、ビス−ナフタレン色素、チアジン色素、アゾ色素、アントラキノン色素及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。たとえば、抗酸化色素は、ゲンチアナバイオレット、アニリンブルー、メチレンブルー、クリスタルバイオレット、アクリフラビン、9−アミノアクリジン、アクリジンイエロー、アクリジンオレンジ、プロフラビン、キナクリン、ブリリアントグリーン、トリパンブルー、トリパンレッド、マラカイトグリーン、アザクリン(azacrine)、メチルバイオレット、メチルオレンジ、メチルイエロー、エチルバイオレット、アシッドオレンジ、アシッドイエロー、アシッドブルー、アシッドレッド、チオフラビン、アルファズリン、インディゴブルー、メチレングリーン及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。存在する場合、色素は、生体吸収性構成要素において、生体吸収性構成要素の約0.05重量%〜約5重量%、又は約0.2重量%〜約2重量%のレベルで存在し得る。
0054
いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、生理学的環境(たとえば、組織部位)に展開されたときに1つ又は複数の有益な又は不都合な効果、たとえば、プロテアーゼ阻害活性、抗菌活性、又はそれらの組合せを示すか又は与えるように構成することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130は、プロテアーゼ活性を調節するように構成することができる。たとえば、創傷浸出液等の創傷流体と接触することにより、生体吸収性構成要素130は、プロテアーゼ活性を調節する効果を有することができる生成物に分解され得る。プロテアーゼ活性の調節は、いくつかの実施形態では、プロテアーゼ活性を阻害することを含むことができる。たとえば、コラーゲン及び/又はORCの崩壊、分解及び/又は溶解生成物は、好中球エラスターゼ及びマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)等の破壊酵素の活性を阻害するのに有効であり得る。さまざまな実施形態において、生体吸収性構成要素130は、プロテアーゼ活性が、阻害されない場合に存在するプロテアーゼ活性の約75%未満まで、又は阻害されない場合に存在するプロテアーゼ活性の約50%未満まで、又は約40%未満まで、又は約30%未満〜約20%未満まで低減するように、プロテアーゼ活性を阻害するのに有効であり得る。
0055
さまざまな実施形態において、生体吸収性組成物は、本質的に水がないものであり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、生体吸収性組成物は、10%以下、8%以下、又は5%以下の水を含む。いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130は、たとえば、凍結乾燥等により、フリーズドライにすることができる。
0056
分解調節構成要素
概して、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、生体吸収性構成要素130の分解を調節するように構成することができる。分解の調節は、たとえば、ドレッシング102が組織部位に対して位置決めされた後のある期間の、分解の制御、調整、遅延、妨げ、低減、増大若しくは促進、又はそれらの組合せを含むことができる。
0057
いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、環境から生体吸収性構成要素130への、創傷浸出液又は血液等の生理学的流体の連通を調節するように構成することができる。理論により拘束されることを意図するものではないが、分解調節構成要素140は、生理学的流体の生体吸収性構成要素130への連通を調節することにより、生体吸収性構成要素130の分解を調節するのに有効であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、生体吸収性構成要素130の1つ又は複数の表面への流体連通に対する構造的バリアを含み、そうした構造的バリアとして構成され、又は他の方法でそうした構造的バリアを形成し得る。さらに又は別法として、分解調節構成要素140は、生体吸収性構成要素130を物理的に支持するのに有効な構造的支持体として構成することができる。理論により拘束されることを意図するものではないが、分解調節構成要素140は、生体吸収性構成要素130を構造的に支持することにより、生体吸収性構成要素130が構造的完全性を示す時間を延長することができる。
0058
いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、所定時間間隔、所定条件まで、又はそれらの組合せで、生体吸収性構成要素130の分解を調節するように構成することができる。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、所定時間間隔、所定条件まで、又はそれらの組合せで、生体吸収性構成要素130への若しくは生体吸収性構成要素130からの流体連通を制御し、且つ/又は生体吸収性構成要素130を構造的に支持するように構成することができる。
0059
いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、本明細書では分解調節組成物と呼ぶことができる好適な組成物を含むか、又は少なくとも部分的にそうした組成物から形成され得る。いくつかの実施形態では、所定間隔が経過したとき及び/又は所定条件が発生したとき、たとえば、分解調節構成要素140が生体吸収性構成要素130の分解を調節し続けないように、分解調節構成要素140が、溶解し、解離し、分解し、分解され(break down)、構造的に変化し、又は他の方法で構造的完全性を喪失することができるように、分解調節組成物をさらに構成することができる。
0060
いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、生分解性であるものとして且つ/又は生分解性を示すものとして特徴付けることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、特定の期間内で特定の比率の崩壊、分解又は溶解を示すように構成することができる。たとえば、さまざまな実施形態において、約37℃の温度で、生理学的流体、たとえば、血液又は創傷浸出液等の水性流体との接触から、約24時間〜約150時間、又は約36時間〜約120時間、又は約48時間〜約96時間の期間内に、分解調節構成要素140の約90重量%、又は約95重量%、又は約99重量%、又は約100重量%が崩壊し、分解し又は溶解し得るように、分解調節構成要素140を構成することができる。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、生体吸収性構成要素130と比較して長時間にわたり崩壊し、分解し又は溶解するように構成することができる。たとえば、分解調節構成要素140は、たとえば、所与の体積の分解調節構成要素140が、同じ体積の生体吸収性構成要素130が崩壊し、分解し又は溶解する時間より長い時間にわたって、崩壊し、分解し又は溶解するように構成することができるように、生体吸収性構成要素130より低速に崩壊し、分解し又は溶解するように構成することができる。たとえば、分解調節構成要素140は、生体吸収性構成要素130が崩壊し、分解し又は溶解する速度の約70%未満、又は約60%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満、又は約20未満の速度で、崩壊し、分解し又は溶解するように構成することができる。
0061
さらに又は別法として、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、酵素、たとえばプロテアーゼを含む環境内に存在する場合等、所定条件が発生したときに、特定の比率の崩壊、分解又は溶解を示すように構成することができる。こうした実施形態では、分解調節構成要素140は、プロテアーゼが存在するときに速度の上昇した崩壊、分解又は溶解を示すように構成することができ、たとえば、分解調節構成要素は、プロテアーゼがない場合より約10%短い時間、又は、約20%短い時間、約25%短い時間、又は約30%短い時間、又は約35%短い時間、又は約40%短い時間、又は約45%短い時間、又は約50%短い時間で崩壊し、分解し又は溶解するように構成することができる。
0062
いくつかの実施形態では、分解調節組成物は、所定時間間隔が経過したとき及び/又は所定条件が発生したとき、溶解し、解離し、分解し、破壊し、構造的に変化し、又は他の方法で構造的完全性を喪失するように構成されたポリマーを含むことができる。ポリマーの溶解、解離、分解、破壊、構造的変化の発生、又は他の構造的完全性の喪失は、さまざまな物理及び/又は化学反応、たとえば、ポリマー主鎖の分解、ポリマー側鎖の分解又は変質、ポリマー鎖間の架橋の喪失、ポリマーの状態変化(たとえば、ゲルになる、液状になる、別の液体で溶解する、膨張する等)、又はそれらの組合せの結果であり得る。たとえば、分解調節組成物は、水溶性であるポリマーを含むことができる。
0063
「ポリマー(重合体)」という用語は、一般に、単一の化学重合反応の結合生成物を指す。たとえば、モノマー(単量体)サブユニットを結合して共有結合鎖にすることにより、ポリマーを生成することができる。一般に単一タイプのモノマー繰り返し単位を含むポリマーは、「ホモポリマー(単独重合体)」と呼ぶことができ、2つ以上のタイプのモノマー繰り返し単位を含むポリマーは、「コポリマー(共重合体)」と呼ぶことができる。たとえば、「コポリマー」という用語は、2つのモノマー種の重合によって得られる生成物、3つのモノマー種から得られる生成物(たとえば、ターポリマー(三元重合体))、4つのモノマー種から得られる生成物(たとえば、四元重合体)等を含むことができる。さまざまな実施形態において、ポリマーは、その長さに沿って、たとえば成分モノマー単位の配置に関して異なる、異なる領域を有することができる。
0064
いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140を形成するか又は部分的に形成する分解調節組成物に含まれ得るポリマーの好適な例としては、1つ又は複数の好適なモノマー単位を有するポリマーを挙げることができる。いくつかの実施形態では、ポリマーに存在するモノマー単位は、重合の後に、修飾された、たとえば官能基化された別のモノマー単位から誘導することができる。いくつかの実施形態では、モノマー単位は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール(たとえば、ビニルアセテートから誘導され得る)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、アクリル酸、アクリル酸の塩、アクリル酸のエステル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のエステル、セルロース誘導体、それらのコポリマー、それらのブレンド若しくは混合物、又はそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、これらのモノマー単位は、繰り返し単位として存在することができ、又は、さらに若しくは別法として、モノマー単位は、たとえば、ダイマー(二量体)、トリマー(三量体)又は他のオリゴマー(低重合体)の一部として、2つ、3つ又はそれより多くのモノマーを含む繰り返し単位で存在し得る。「繰り返し単位」という用語は、一般に、繰り返されるとポリマー鎖の少なくとも一部を形成するポリマーのフラグメント、たとえば、単一の繰り返しモノマー残基、又は2つ以上のモノマー残基の繰り返しシーケンスを指す。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素を形成するか又は部分的に形成する分解調節組成物に含まれ得るポリマーの少なくとも一部は、架橋することができる。たとえば、ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(アクリル酸)又はポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)を含むことができる。
0065
いくつかの実施形態では、分解調節構成要素を形成するか又は部分的に形成する分解調節組成物に含まれ得るポリマーは、約25,000ダルトン〜約2,000,000ダルトン、又は約50,000ダルトン〜約1,000,000ダルトン、又は約75,000ダルトン〜約750,000ダルトンの範囲の架橋されていない平均分子質量を有するものとして特徴付けることができる。さらに又は別法として、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素を形成するか又は部分的に形成する分解調節組成物に含まれ得るポリマーは、約10〜50,000、又は約1,000〜約40,000、又は約2,500〜約30,000の範囲の繰り返し単位の平均数を有するものとして特徴付けることができる。
0066
生体吸収性構成要素及び分解調節構成要素の構成
さまざまな実施形態において、生体吸収性構成要素130及び分解調節構成要素140は、任意の好適な構成を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素130及び分解調節構成要素140は、分離した別個の層で存在し得る。いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140の分離した別個の層は、同様に分離した別個の層として構成することができる少なくとも1つの生体吸収性構成要素130に隣接して位置決めすることができる。たとえば、分解調節構成要素140は、生体吸収性構成要素130を少なくとも部分的に覆うか又は封入することができる。さらに、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、2つの隣接する生体吸収性構成要素130を合わせて保持するようにも構成することができる。
0067
たとえば、図2は、マニホールド120と、第1分解調節層241及び第2分解調節層242として構成された2つの分解調節構成要素と、生体吸収性層230として構成された生体吸収性構成要素とを備えたドレッシング200の実施形態を例示する。図2の実施形態では、たとえば、第1分解調節層241及び第2分解調節層242が、組織部位から生体吸収性層230の1つ又は複数の表面への生理学的流体の連通を調節することができるように、第1分解調節層241及び第2分解調節層242を生体吸収性層230に隣接して位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、第1分解調節層241、第2分解調節層242又は両方は、たとえば、たとえば所定速度で、生体吸収性層230への流体連通を可能にする、細孔、穿孔、アパーチャ等を含むことができる。
0068
さらに又は別法として、いくつかの実施形態では、ドレッシング102は、任意の好適な数の分解調節層を備えることができる。たとえば、図3は、マニホールド120と、第1分解調節層341、第2分解調節層342、第3分解調節層343及び第4分解調節層344として構成された4つの分解調節構成要素と、第1生体吸収性層331、第2生体吸収性層332及び第3生体吸収性層333として構成された3つの生体吸収性構成要素とを備えたドレッシング300の実施形態を例示する。図3の実施形態では、たとえば、第1分解調節層341及び第2分解調節層342が、組織部位から第1生体吸収性層331の表面への生理学的流体の連通を調節することができるように、第1分解調節層341及び第2分解調節層342を第1生体吸収性層331に隣接して位置決めすることができる。同様に、たとえば、第2分解調節層342、第3分解調節層343、第4分解調節層344が、組織部位から第2生体吸収性層332及び第3生体吸収性層333の表面への生理学的流体の連通を調節することができるように、第2分解調節層342及び第3分解調節層343を第2生体吸収性層332に隣接して位置決めすることができ、第3分解調節層343及び第4分解調節層344を第3生体吸収性層333に隣接して位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、たとえば、分解調節層が1つ又は複数の生体吸収性層に隣接するように、ドレッシング102は、任意の所望の数の交互の分解調節層及び生体吸収性層を同様に含むことができる。
0069
さらに又は別法として、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、たとえば、単層を形成するように、生体吸収性構成要素130を封入することができる。たとえば、図4は、分解調節構成要素140内に封入されてドレッシング層410を形成する生体吸収性構成要素130を備える、ドレッシング400の実施形態を例示する。たとえば、分解調節構成要素140は、組織部位から生体吸収性構成要素130の表面への生理学的流体の連通を調節することができる。
0070
さらに又は別法として、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140内に生体吸収性構成要素130を組み込むことができる。たとえば、分解調節構成要素140は、繊維等のさまざまな粒状形態で生体吸収性構成要素130をコーティングすることができる。たとえば、図5は、ドレッシング層510及びマニホールド120を備えるドレッシング500の実施形態を例示する。図5の実施形態では、生体吸収性構成要素は、ドレッシング層510において繊維530として構成することができる。分解調節構成要素140内に繊維530を組み込むことができる。たとえば、分解調節構成要素140は繊維530上にコーティングを含むことができ、コーティングは、組織部位から繊維530への生理学的流体の連通を調節することができる。
0071
さらに又は別法として、いくつかの実施形態では、分解調節構成要素140は、生体吸収性構成要素130を支持することができる基材又は足場を備え、基材又は足場として構成され、又は他の方法で基材又は足場を形成し得る。たとえば、さまざまな実施形態において、分解調節構成要素140は、繊維のメッシュ、格子、ウェビング、織若しくは不織構成等の基材を含み、又はそうした基材として構成され得る。分解調節構成要素は、生体吸収性構成要素130に適用し、又は生体吸収性構成要素130内に組み込むことができる。
0072
たとえば、図6は、ドレッシング層610及びマニホールド120を備えるドレッシング600の実施形態を例示する。図6の実施形態では、ドレッシング層610は、足場640として構成された分解調節構成要素を備えることができる。ドレッシング層610はまた、足場640によって物理的に支持された基材630として構成された生体吸収性構成要素も備えることができる。たとえば、足場640は、基材630に適用し、且つ/又は少なくとも部分的に基材630内に埋め込むことができる。たとえば、足場640は、たとえば、基材630の分解、崩壊、又は他の構造的完全性の喪失を調整し、それにより、生体吸収性構成要素の分解を調整することができる。
0073
さまざまな実施形態において、ドレッシング102は、任意の好適な数の生体吸収性構成要素130、たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又はそれより多くの生体吸収性構成要素130を備えることができる。いくつかの実施形態では、所与の生体吸収性構成要素130の構成、組成又は他のパラメータは、別の生体吸収性構成要素130の構成、組成又は他のパラメータとは無関係に、その代わりに、又はそれに応じて選択することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、ドレッシング102は、ドレッシング102内に存在する生体吸収性構成要素130が、プロテアーゼ阻害活性、抗菌活性又はそれらの組合せ等の生物学的活性を提供するのに有効であり続ける時間等、所定の装着時間を提供するように構成することができる。
0074
たとえば、ドレッシング102の所定の装着時間は、生体吸収性構成要素130の数、さまざまな生体吸収性構成要素130の構成、分解調節構成要素140の数、及びさまざまな分解調節構成要素140の構成に応じて変更することができる。さらに、所定時間間隔、すなわち、その後に、所与の分解調節構成要素140を、溶解し、解離し、分解し、破壊し、構造的に変化し、又は他の方法で構造的完全性を喪失するように構成することができる所定時間間隔は、その分解調節構成要素140、及び/又はその分解調節構成要素140を形成する分解調節組成物の1つ又は複数のパラメータを変更することによって操作することができる。たとえば、分解調節構成要素140の厚さ、分解調節組成物を形成する特定のポリマー又はポリマーの組合せ、分解調節組成物を形成するポリマーの鎖長、分解調節組成物内のさまざまなポリマー鎖間の架橋の存在若しくは度合い、又はそれらの組合せを操作することによって、さまざまな所定時間間隔を達成することができる。さまざまな実施形態において、ドレッシングは、約3日間〜約12日間、又は約5日間〜約10日間、又は約6日間〜約8日間の装着時間を提供するように構成可能であり得る。
0075
方法
動作時、たとえば、陰圧療法の状況において、ドレッシング102は、組織部位、たとえば、創傷内に、それにわたって、その上に又は他の方法でそれに近接して配置することができる。マニホールド120及び生体吸収性構成要素130の上にカバー106を配置し、組織部位の近くで取付面にカバー106を封止することができる。たとえば、カバー106は、組織部位の周囲の無傷の表皮に封止することができる。他のいくつかの実施形態では、たとえば、組織部位に近接して配置する前に、生体吸収性構成要素130、マニホールド120及びカバー106が互いに対して位置決めされるように、ドレッシング102を事前に組み立てることができ、又は別法として、ドレッシング102のさまざまな構成要素は、組織部位に対して逐次位置決めすることができる。したがって、ドレッシング102は、組織部位に近接して、外部環境から実質的に隔離された、密閉治療環境、たとえば密閉空間107のような密閉空間を提供することができる。
0076
陰圧源104を使用して、こうした密閉治療環境において減圧することができる。たとえば、たとえばドレッシング102と介して組織部位にわたって印加される陰圧により、組織部位においてマクロ歪み及び微小歪みを誘発することができるとともに、組織部位から浸出液及び他の流体を除去することができ、そうした浸出液及び他の流体は容器112内に収集することができる。
0077
利点
いくつかの実施形態では、ドレッシング、ドレッシング構成要素のさまざまな組合せ、及びシステムは、陰圧療法の状況において、たとえば、長期の装着時間を示すドレッシングを提供するように有利に採用することができる。たとえば、ドレッシングの生体吸収性構成要素は、所定時間後、たとえば、数日〜数週間の範囲で、吸収されるように適合させることができる。いくつかの実施形態では、生体吸収性構成要素の生体吸収性の特性により、ドレッシングを、実質的な期間、レシピエント部位において適所に残すことができる。たとえば、理論により拘束されることを意図するものではないが、ドレッシングの生体吸収性構成要素は生体吸収性であり得るため、ドレッシングは、たとえば、組織の内部成長を回避するために(たとえば、レシピエント部位における増殖する組織が生体吸収性構成要素に付着しないことを確実にするために)、除去を不要とする。より長期間ドレッシングを適所に残すことができることにより、いくつかの利点をもたらすことができる。たとえば、ドレッシングを適所に残すことにより、組織増殖の妨害又は組織増殖への外傷をもたらす可能性がある時期尚早の除去を回避することができる。また、ドレッシングを適所に残すことにより、本来除去からもたらされる組織部位に対する外傷を回避することができる。さらに、長期間ドレッシングを適所に残すことにより、組織増殖の改善をもたらすことができる。
0078
さらに、いくつかの実施形態では、長期の装着時間により、生体吸収性構成要素は、長期間にわたり、プロテアーゼ調節活性等の活性を示すことができる。たとえば、動作時、分解調節構成要素は、生体吸収性構成要素が吸収される速度を調節する(たとえば、遅くする)のに有効とすることができ、したがって、生体吸収性構成要素が、長時間にわたり、プロテアーゼ調節活性等の活性を示すのを可能にすることができる。さらに、ドレッシングが複数の生体吸収性構成要素を備えるいくつかの実施形態では、さまざまな生体吸収性構成要素(たとえば、層)が異なる逐次の時間間隔で吸収され得るように、分解調節構成要素を構成することができる。例えば、第1分解調節構成要素は、第1生体吸収性構成要素が第1時間間隔内で吸収され得るように、第1生体吸収性構成要素の分解を調節するように構成することができ、第2分解調節構成要素は、第2生体吸収性構成要素が第2時間間隔内で吸収され得るように、第2生体吸収性構成要素の分解を調節するように構成することができる。したがって、理論により拘束されることを意図するものではないが、さまざまな生体吸収性構成要素が異なる時間間隔にわたり活性(たとえば、プロテアーゼ調節活性)を提供するようにさまざまな生体吸収性構成要素を構成することにより、ドレッシングは、長時間にわたり活性(たとえば、プロテアーゼ調節活性)を漸増的に提供することができる。
0079
本明細書で用いる「約」という用語は、たとえば、現実世界における測定又は取扱い手順を通して、こうした手順における偶然のエラーを通して、組成物又は試薬の製造、供給源又は純度の相違を通して、計算又は丸め手順から等、さまざまな環境からもたらされる可能性がある、数量におけるずれを指すように意図されている。典型的には、「約」という用語は、述べられている値の1/10だけ、その述べられている値又は値の範囲より大きいか又は小さい、たとえば±10%であるずれを指す。たとえば、「約30%」の濃度値は、27%〜33%の濃度を指す。「約」という用語が先行する各値又は値の範囲はまた、述べられている絶対値又は値の範囲の実施形態を包含するようにも意図されている。「約」という用語によって修飾されていてもされていなくても、特許請求の範囲に記載されている量的値は、記載されている値に対する均等値、たとえば、数量からのずれを含むが、当業者であれば均等値であると認識されよう。