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技術 位相差フィルムの製造方法

出願人 日東電工株式会社
発明者 中原歩夢
出願日 2020年3月24日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2020-052271
公開日 2021年9月30日 (4ヶ月経過) 公開番号 2021-152571
状態 未査定
技術分野 プラスチック等の延伸成形、応力解放成形 偏光要素
主要キーワード 超音波変位 副リンク 開放ゾーン フィードバック補正後 枢動連結 横収縮 可変ピッチ型 巡回移動
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

複屈折Δnが大きい樹脂フィルムを用いて、幅方向面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを不具合なく製造し得る方法を提供すること。

解決手段

本発明の位相差フィルムの製造方法は、未延伸状態における複屈折Δnが0.025以下である長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向クリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること;左右のクリップを少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸すること;フィルムを所定の温度に加熱して延伸状態を固定すること;および、フィルムを左右のクリップから開放すること;を含む。この製造方法においては、延伸状態を固定する際の左側と右側との温度差は7℃以上であり、斜め延伸においてフィルムの弛みを補正することを含む。

概要

背景

液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置において、表示特性の向上や反射防止を目的として円偏光板が用いられている。円偏光板は、代表的には、偏光子位相差フィルム(代表的にはλ/4板)とが、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが45°の角度をなすようにして積層されている。従来、位相差フィルムは、代表的には、縦方向および/または横方向に一軸延伸または二軸延伸することにより作製されているので、その遅相軸は、多くの場合、長尺状のフィルム原反の横方向(幅方向)または縦方向(長尺方向)に発現する。結果として、円偏光板を作製するには、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して45°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。また、円偏光板の広帯域性を確保するために、λ/4板とλ/2板の二枚の位相差フィルムを積層させる場合もある。その場合はλ/2板は偏光子の吸収軸に対して75°の角度をなすように積層し、λ/4板は偏光子の吸収軸に対して15°の角度をなすように積層する必要がある。この場合でも、円偏光板を作製する際には、15°および75°に位相差フィルムを裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。このような問題を解決するために(具体的には、いわゆるロールトゥロールによる積層を可能とするために)、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持し、該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させて、斜め方向に延伸(以下、「斜め延伸」とも称する)することにより、位相差フィルムの遅相軸を斜め方向に発現させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。

一方、近年、画像表示装置の薄型化が強く望まれており、これに伴い位相差フィルムの薄型化も強く望まれている。そのため、複屈折Δnが大きい(したがって、所望の面内位相差値を得るための厚みが小さくなる)樹脂フィルムが注目されている。しかし、複屈折Δnが大きい樹脂フィルムの斜め延伸フィルムにおいては、幅方向の面内位相差のばらつきが大きいという問題がある。

概要

複屈折Δnが大きい樹脂フィルムを用いて、幅方向の面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを不具合なく製造し得る方法を提供すること。本発明の位相差フィルムの製造方法は、未延伸状態における複屈折Δnが0.025以下である長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること;左右のクリップを少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸すること;フィルムを所定の温度に加熱して延伸状態を固定すること;および、フィルムを左右のクリップから開放すること;を含む。この製造方法においては、延伸状態を固定する際の左側と右側との温度差は7℃以上であり、斜め延伸においてフィルムの弛みを補正することを含む。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、複屈折Δnが大きい樹脂フィルムを用いて、幅方向の面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを不具合なく製造し得る方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

未延伸状態における複屈折Δnが0.025以下である長尺状のフィルム幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向クリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること;該左右のクリップを少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること;該フィルムを所定の温度に加熱して延伸状態を固定すること;および、該フィルムを該左右のクリップから開放すること;を含み、該延伸状態を固定する際の左側と右側との温度差が7℃以上であり、該斜め延伸において該フィルムの弛みを補正することを含む、位相差フィルムの製造方法。

請求項2

前記延伸状態を固定する際の左側温度または右側温度のうち低いほうの温度が、前記長尺状のフィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、Tg−20℃以上である、請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。

請求項3

前記フィルムの未延伸状態における複屈折Δnが0.008以上である、請求項1または2に記載の位相差フィルムの製造方法。

請求項4

前記長尺状のフィルムがポリカーボネート系樹脂を含み、該ポリカーボネート系樹脂が下記式(V)で表される構造単位を含む、請求項1から3のいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法:

請求項5

前記弛みの補正が該フィルムの延伸状態を固定した後、該フィルムをロール搬送し、搬送ロール間における該フィルムの弛み量および弛みが生じている部位を検出すること、および、該検出結果に基づいて、搬送ライン上流における該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させる補正を行うこと、を含む、請求項1から4のいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法。

請求項6

得られる位相差フィルムの厚みが15μm〜45μmであり、面内位相差Re(550)が100nm〜200nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度が40°〜50°または130°〜140°であり、幅方向における面内位相差Re(550)のばらつきが幅方向における面内位相差Re(550)の平均値に対して6%以内である、請求項1から5のいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、位相差フィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置において、表示特性の向上や反射防止を目的として円偏光板が用いられている。円偏光板は、代表的には、偏光子と位相差フィルム(代表的にはλ/4板)とが、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが45°の角度をなすようにして積層されている。従来、位相差フィルムは、代表的には、縦方向および/または横方向に一軸延伸または二軸延伸することにより作製されているので、その遅相軸は、多くの場合、長尺状のフィルム原反の横方向(幅方向)または縦方向(長尺方向)に発現する。結果として、円偏光板を作製するには、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して45°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。また、円偏光板の広帯域性を確保するために、λ/4板とλ/2板の二枚の位相差フィルムを積層させる場合もある。その場合はλ/2板は偏光子の吸収軸に対して75°の角度をなすように積層し、λ/4板は偏光子の吸収軸に対して15°の角度をなすように積層する必要がある。この場合でも、円偏光板を作製する際には、15°および75°に位相差フィルムを裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。このような問題を解決するために(具体的には、いわゆるロールトゥロールによる積層を可能とするために)、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持し、該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させて、斜め方向に延伸(以下、「斜め延伸」とも称する)することにより、位相差フィルムの遅相軸を斜め方向に発現させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。

0003

一方、近年、画像表示装置の薄型化が強く望まれており、これに伴い位相差フィルムの薄型化も強く望まれている。そのため、複屈折Δnが大きい(したがって、所望の面内位相差値を得るための厚みが小さくなる)樹脂フィルムが注目されている。しかし、複屈折Δnが大きい樹脂フィルムの斜め延伸フィルムにおいては、幅方向の面内位相差のばらつきが大きいという問題がある。

先行技術

0004

特許第4845619号

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、複屈折Δnが大きい樹脂フィルムを用いて、幅方向の面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを不具合なく製造し得る方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明の実施形態による位相差フィルムの製造方法は、未延伸状態における複屈折Δnが0.025以下である長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること;該左右のクリップを少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること;該フィルムを所定の温度に加熱して延伸状態を固定すること;および、該フィルムを該左右のクリップから開放すること;を含む。当該製造方法においては、該延伸状態を固定する際の左側と右側との温度差は7℃以上であり、該斜め延伸において該フィルムの弛みを補正することを含む。
1つの実施形態においては、上記延伸状態を固定する際の左側温度または右側温度のうち低いほうの温度は、上記長尺状のフィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、Tg−20℃以上である。
1つの実施形態においては、上記フィルムの未延伸状態における複屈折Δnは0.008以上である。
1つの実施形態においては、上記長尺状のフィルムはポリカーボネート系樹脂を含み、該ポリカーボネート系樹脂は下記式(V)で表される構造単位を含む:



1つの実施形態においては、上記製造方法は、上記長尺状のフィルムの斜め延伸において該フィルムの弛みを補正することを含み、該弛みの補正は、該フィルムの延伸状態を固定した後、該フィルムをロール搬送し、搬送ロール間における該フィルムの弛み量および弛みが生じている部位を検出すること;および、該検出結果に基づいて、搬送ライン上流における該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させる補正を行うこと;を含む。
1つの実施形態においては、上記製造方法により得られる位相差フィルムの厚みは15μm〜45μmであり、面内位相差Re(550)は100nm〜200nmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は40°〜50°または130°〜140°であり、幅方向における面内位相差Re(550)のばらつきは幅方向における面内位相差Re(550)の平均値に対して6%以内である。

発明の効果

0007

本発明の実施形態によれば、複屈折Δnが大きい樹脂フィルムを用いた斜め延伸位相差フィルムの製造方法において、延伸状態を固定する際の(いわゆる熱固定時の)左側と右側との温度差を7℃以上とすること、および、斜め延伸において弛み補正を行うことにより、幅方向の面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを破断等の不具合なく製造することができる。

図面の簡単な説明

0008

本発明の1つの実施形態による位相差フィルムの製造方法を説明する概略図である。
本発明の実施形態による位相差フィルムの製造方法に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。
図2の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図である。
図2の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図である。
弛み量の測定方法を説明する概略図である。
本発明の1つの実施形態による位相差フィルムの製造方法におけるクリップピッチのプロファイルを示す概略図である。
本発明の別の実施形態による位相差フィルムの製造方法におけるクリップピッチのプロファイルを示す概略図である。

0009

以下、本発明の代表的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、本明細書において、「縦方向のクリップピッチ」とは、縦方向に隣接するクリップの走行方向における中心間距離を意味する。また、長尺状のフィルムの幅方向の左右関係は、特段の記載がない限り、該フィルムの搬送方向に向かっての左右関係を意味する。

0010

A.位相差フィルムの製造方法
本発明の実施形態による位相差フィルムの製造方法は、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること;該左右のクリップを少なくとも一方のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること;該フィルムを所定の温度に加熱して延伸状態を固定(熱固定)すること;および、該フィルムを該左右のクリップから開放すること;を含む。代表的には、クリップによって把持されたフィルムは、予熱され、その後、斜め延伸に供される。当該製造方法は、代表的には、斜め延伸においてフィルムの弛みを補正することを含む。弛みの補正は、例えば、フィルムの延伸状態を固定した後、フィルムをロール搬送し、搬送ロール間におけるフィルムの弛み量および弛みが生じている部位を検出すること;および、検出結果に基づいて、搬送ライン上流における左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させる補正を行うこと;を含む。本発明の実施形態においては、長尺状のフィルム(延伸対象フィルム)として、未延伸状態における複屈折Δnが0.025以下である樹脂フィルムが用いられる。さらに、本発明の実施形態においては、熱固定における左側と右側との温度差(具体的には、左側の熱固定ゾーンと右側の熱固定ゾーンとの温度差)は7℃以上である。なお、複屈折Δnは式:nx−nyから求められる。ここで、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率である。

0011

図1は、本発明の1つの実施形態による位相差フィルムの製造方法を説明する概略図である。延伸装置100において斜め延伸され、次いで、クリップから開放された斜め延伸フィルム1は、延伸装置100の出口から送り出され、搬送ロール200a、200b、200cおよび200dを用いてロール搬送されて巻取り部300で巻き取られる。フィルム1をロール搬送する際に、搬送ロール間で弛み量等の検出を行い、検出結果に基づいて、搬送ライン上流における左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させる補正を行う。これにより、補正後に得られる延伸フィルムの左右端部の長さの差が減少する結果、弛みが低減された長尺状の斜め延伸フィルムが得られ得る。

0012

上記クリップによるフィルムの把持、予熱、斜め延伸、熱固定、およびクリップからの開放は、例えば、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部を把持しながら、それぞれ異なる速度で走行移動し得る左右のクリップを備えたテンター同時二軸延伸装置を用いて行われ得る。

0013

図2は、本発明の実施形態による位相差フィルムの製造方法に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。延伸装置100は、平面視で、左右両側に、フィルム把持用の多数のクリップ20を有する無端ループ10Lと無端ループ10Rとを左右対称に有する。なお、本明細書においては、フィルムの入口側から見て左側の無端ループを左側の無端ループ10L、右側の無端ループを右側の無端ループ10Rと称する。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20は、それぞれ、基準レール70に案内されてループ状巡回移動する。左側の無端ループ10Lのクリップ20は反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rのクリップ20は時計廻り方向に巡回移動する。延伸装置においては、シートの入口側から出口側へ向けて、把持ゾーンA、予熱ゾーンB、延伸ゾーンC、ならびに、熱固定および開放ゾーンDが順に設けられている。これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となるフィルムが実質的に把持、予熱、斜め延伸、ならびに、熱固定および開放されるゾーンを意味し、機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図2の延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なることに留意されたい。

0014

図2では、図示されていないが、延伸ゾーンCと熱固定および開放ゾーンDとの間には、必要に応じて任意の適切な処理をするためのゾーンが設けられてもよい。このような処理としては、横収縮処理等が挙げられる。また、同様に図示されていないが、上記延伸装置は、代表的には、予熱ゾーンBから熱固定および開放ゾーンDまでを加熱環境とするための加熱装置(例えば、熱風式、近赤外式、遠赤外式等の各種オーブン)を備えている。

0015

上記延伸装置100の把持ゾーンAおよび予熱ゾーンBでは、左右の無端ループ10L、10Rは、延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。延伸ゾーンCでは、予熱ゾーンBの側から熱固定および開放ゾーンDに向かうに従って左右の無端ループ10L、10Rの離間距離が上記フィルムの延伸後の幅に対応するまで徐々に拡大する構成とされている。熱固定および開放ゾーンDでは、左右の無端ループ10L、10Rは、上記フィルムの延伸後の幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。ただし、左右の無端ループ10L、10Rの構成は上記図示例に限定されない。例えば、左右の無端ループ10L、10Rは、把持ゾーンAから熱固定および開放ゾーンDまで延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されていてもよい。

0016

左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ独立して巡回移動し得る。例えば、左側の無端ループ10Lの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって反時計廻り方向に回転駆動され、右側の無端ループ10Rの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって時計廻り方向に回転駆動される。その結果、これら駆動用スプロケット11、12に係合している駆動ローラ(図示せず)のクリップ担持部材走行力が与えられる。これにより、左側の無端ループ10Lは反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rは時計廻り方向に巡回移動する。左側の電動モータおよび右側の電動モータを、それぞれ独立して駆動させることにより、左側の無端ループ10Lおよび右側の無端ループ10Rをそれぞれ独立して巡回移動させることができる。

0017

さらに、左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ可変ピッチ型である。すなわち、左右のクリップ20、20は、それぞれ独立して、移動に伴って縦方向のクリップピッチが変化し得る。可変ピッチ型の構成は、パンタグラフ方式、リニアモーター方式、モーターチェーン方式等の駆動方式を採用することにより実現され得る。以下、一例として、リンク機構(パンタグラフ機構)について説明する。

0018

図3および図4はそれぞれ、図2の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図であり、図3はクリップピッチが最小の状態を示し、図4はクリップピッチが最大の状態を示す。

0019

図3および図4に図示されるように、クリップ20を個々に担持する平面視横方向に細長矩形状のクリップ担持部材30が設けられている。図示しないが、クリップ担持部材30は、上梁、下梁、前壁クリップ側の壁)、および後壁(クリップと反対側の壁)により閉じ断面の強固なフレーム構造に形成されている。クリップ担持部材30は、その両端の走行輪38により走行路面81、82上を転動するよう設けられている。なお、図3および図4では、前壁側の走行輪(走行路面81上を転動する走行輪)は図示されない。走行路面81、82は、全域に亘って基準レール70に並行している。クリップ担持部材30の上梁と下梁の後側(クリップ側の反対側(以下、反クリップ側))には、クリップ担持部材の長手方向に沿って長孔31が形成され、スライダ32が長孔31の長手方向にスライド可能に係合している。クリップ担持部材30のクリップ20側端部の近傍には、上梁および下梁を貫通して一本の第1の軸部材33が垂直に設けられている。一方、クリップ担持部材30のスライダ32には一本の第2の軸部材34が垂直に貫通して設けられている。各クリップ担持部材30の第1の軸部材33には主リンク部材35の一端が枢動連結されている。主リンク部材35は、他端を隣接するクリップ担持部材30の第2の軸部材34に枢動連結されている。各クリップ担持部材30の第1の軸部材33には、主リンク部材35に加えて、副リンク部材36の一端が枢動連結されている。副リンク部材36は、他端を主リンク部材35の中間部に枢軸37によって枢動連結されている。主リンク部材35、副リンク部材36によるリンク機構により、図3に示すように、スライダ32がクリップ担持部材30の後側(反クリップ側)に移動しているほど、クリップ担持部材30同士の縦方向のピッチ(結果として、クリップピッチ)が小さくなり、図4に示すように、スライダ32がクリップ担持部材30の前側(クリップ側)に移動しているほど、クリップ担持部材30同士の縦方向のピッチ(結果として、クリップピッチ)が大きくなる。スライダ32の位置決めは、ピッチ設定レール90により行われる。図3および図4に示すように、基準レール70とピッチ設定レール90との離間距離が小さいほどクリップピッチが大きくなる。

0020

上記のような延伸装置を用いてフィルムの斜め延伸を行うことにより、斜め延伸位相差フィルム(代表的には、長尺方向に対して斜め方向に遅相軸を有する位相差フィルム)が作製され得る。なお、上記のような延伸装置の具体的な実施形態については、例えば、特開2008−44339号に記載されており、その全体が本明細書に参考として援用される。以下、各工程について詳細に説明する。

0021

A−1.クリップによるフィルムの把持
把持ゾーンA(延伸装置100のフィルム取り込み入り口)においては、左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20によって、延伸対象となるフィルムの両側縁が互いに等しい一定のクリップピッチ、あるいは、互いに異なるクリップピッチで把持される。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20の移動(実質的には、基準レール30に案内された各クリップ担持部材の移動)により、当該フィルムが予熱ゾーンBに送られる。

0022

A−2.予熱
予熱ゾーンBにおいては、左右の無端ループ10L、10Rは、上記のとおり延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されているので、基本的には横延伸縦延伸も行わず、フィルムが加熱される。ただし、予熱によりフィルムのたわみが起こり、オーブン内のノズルに接触するなどの不具合を回避するために、わずかに左右クリップ間の距離(幅方向の距離)を広げてもよい。

0023

予熱においては、フィルムを温度T1(℃)まで加熱する。温度T1は、フィルムのガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、より好ましくはTg+2℃以上、さらに好ましくはTg+5℃以上である。一方、加熱温度T1は、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+30℃以下である。用いるフィルムにより異なるが、温度T1は、例えば70℃〜190℃であり、好ましくは80℃〜180℃である。

0024

上記温度T1までの昇温時間および温度T1での保持時間は、フィルムの構成材料製造条件(例えば、フィルムの搬送速度)に応じて適切に設定され得る。これらの昇温時間および保持時間は、クリップ20の移動速度、予熱ゾーンの長さ、予熱ゾーンの温度等を調整することにより制御され得る。

0025

A−3.斜め延伸
延伸ゾーンCにおいては、左右のクリップ20を、その少なくとも一方の縦方向のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸する。より具体的には、左右のクリップの当該クリップピッチをそれぞれ異なる位置で増大または縮小させること、それぞれ異なる変化速度で左右のクリップの当該クリップピッチを変化(増大および/または縮小)させること等によって、フィルムを斜め延伸する。

0026

斜め延伸は、横延伸を含んでもよい。この場合、斜め延伸は、例えば図示例のように、左右のクリップ間の距離(幅方向の距離)を拡大させながら行われ得る。あるいは、図示例とは異なり、左右のクリップ間の距離を維持したまま行われ得る。

0027

斜め延伸が横延伸を含む場合、横方向(TD)の延伸倍率(フィルムの初期幅Winitialに対する斜め延伸後のフィルムの幅Wfinalの比(Wfinal/Winitial)は、好ましくは1.05〜6.00であり、より好ましくは1.10〜5.00である。

0028

1つの実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置と他方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置とを縦方向における異なる位置とした状態で、それぞれのクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少することによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特許文献1、特開2014−238524号公報等の記載を参照することができる。

0029

別の実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチを固定したまま、他方のクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少させた後、当初のクリップピッチまで戻すことによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2013−54338号公報、特開2014−194482号公報等の記載を参照することができる。

0030

さらに別の実施形態において、斜め延伸は、(i)上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチを増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2014−194484号公報等の記載を参照することができる。当該実施形態の斜め延伸は、左右のクリップ間の距離を拡大させながら、一方のクリップのクリップピッチを増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチを減少させて、該フィルムを斜め延伸すること(第1の斜め延伸工程)、および、該左右のクリップ間の距離を拡大させながら、左右のクリップのクリップピッチが等しくなるように該一方のクリップのクリップピッチを維持または減少させ、かつ、該他方のクリップのクリップピッチを増大させて、該フィルムを斜め延伸すること(第2の斜め延伸工程)を含み得る。

0031

斜め延伸は、代表的には、温度T2で行われ得る。温度T2は、延伸対象フィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、Tg−20℃〜Tg+30℃であることが好ましく、さらに好ましくはTg−10℃〜Tg+20℃、特に好ましくはTg程度である。用いるフィルムにより異なるが、温度T2は、例えば70℃〜180℃であり、好ましくは80℃〜170℃である。上記温度T1と温度T2との差(T1−T2)は、好ましくは±2℃以上であり、より好ましくは±5℃以上である。1つの実施形態においては、T1>T2であり、したがって、予熱ゾーンで温度T1まで加熱されたフィルムは温度T2まで冷却され得る。

0032

上記横収縮処理は、斜め延伸後に行われる。斜め延伸後の当該処理については、特開2014−194483号公報の0029〜0032段落を参照することができる。

0033

A−4.熱固定およびクリップの開放
熱固定および開放ゾーンDにおいて、フィルムが熱処理されて延伸状態が固定(熱固定)される。熱固定する際には、縦方向のクリップピッチを減少させ、これにより、応力緩和してもよい。熱固定は、代表的には、温度T3で行われ得る。温度T3は、延伸されるフィルムによって異なり、T2≧T3の場合も、T2<T3の場合もあり得る。一般的に、フィルムが非晶性材料である場合はT2≧T3であり、結晶性材料である場合はT2<T3にすることで結晶化処理を行う場合もある。T2≧T3の場合、温度T2とT3の差(T2−T3)は好ましくは0℃〜50℃である。熱処理(熱固定)時間は、代表的には10秒〜10分である。

0034

本発明の実施形態においては、熱固定における左側と右側との温度差(具体的には、左側の熱固定ゾーンと右側の熱固定ゾーンとの温度差)は、上記のとおり7℃以上であり、好ましくは10℃以上である。一方、温度差は、好ましくは25℃以下であり、より好ましくは22℃以下である。熱固定においてこのような温度差を設けることにより、得られる位相差フィルムの幅方向における面内位相差のばらつきを所望の範囲内とすることができる。温度差が小さすぎると、得られる位相差フィルムの幅方向における面内位相差のばらつきを十分に抑制できない場合がある。温度差が大きすぎると、低温側のフィルムが弛んでしまう場合がある。なお、後述の弛み補正を行うことにより、温度差を大きくしても弛みを抑制することができる。高温とする側は、左側であってもよく右側であってもよい。ここで、左側の熱固定ゾーンの温度および右側の熱固定ゾーンの温度とは、それぞれ、当該ゾーンを加熱環境とするための加熱装置の設定温度をいう。

0035

熱固定における左側温度または右側温度のうち低いほうの温度は、好ましくはTg−20℃以上であり、より好ましくはTg−20℃〜Tg+30℃であり、さらに好ましくはTg−10℃〜Tg+20℃であり、特に好ましくはTg程度である。当該温度がこのような範囲であれば、フィルムが著しく弛まないという利点がある。

0036

熱固定の後、必要に応じて、フィルムをTg以下まで冷却してもよい。

0037

熱固定および必要に応じた冷却後、熱固定および開放ゾーンDの任意の位置において、上記フィルムがクリップから開放される。熱固定および開放ゾーンDにおいては、通常、横延伸も縦延伸も行われない。

0038

クリップから開放された延伸フィルムは、延伸装置の出口から送り出されて、後述のロール搬送に供される。

0039

1つの実施形態においては、熱固定および開放ゾーンDの後半かつクリップの解放前に、フィルムに風を当ててもよい。風を当てることにより、フィルムの弛みをさらに抑制することができる。風を当てる際の風速は、好ましくは15m/秒〜35m/秒であり、より好ましくは20m/秒〜30m/秒である。風は、好ましくは温風である。風の温度は、例えば熱固定温度に対応し得る。より詳細には、左側の風の温度は左側の熱固定温度と同じであり、右側の風の温度は右側の熱固定温度と同じであり得る。送風は、例えば、上方および/または下方のノズルから設定温度および設定風速の風を噴出させることにより行われ得る。

0040

A−5.ロール搬送
ロール搬送においては、搬送ロール間における延伸フィルムの弛み量および弛みが生じている部位を検出する。

0041

1つの実施形態においては、クリップから開放された延伸フィルムの幅方向の左右端部を切断除去した後に、弛み量および弛みが生じている部位の検出を行う。両端部を除去した状態で上記弛み量および弛みが生じている部位の検出を行うことにより、より正確な検出結果が得られ得る。

0042

切断除去される端部の幅はそれぞれ独立して、例えば20mm〜600mm、好ましくは100mm〜500mmであり得る。端部の切断除去は、通常のスリット加工によって行われ得る。

0043

1つの実施形態において、上記弛み量および弛みが生じている部位の検出は、ロール搬送時における本来のフィルムの走行位置と実際のフィルムの走行位置との差を検出することによって行われ得る。例えば、当該検出は、搬送ロール間の中間点において、フィルムの幅方向における位置(搬送高さ)の差を検出することによって行われ得る。

0044

図5は、弛み量および弛みが生じている部位の検出方法の一例を説明する概略図である。図5に示されるように、隣接する2つの搬送ロール200b、200cの中間点において、延伸フィルム1の幅方向の中央部および左右端部の下方に超音波変位センサー400を配置して、超音波変位センサー400から延伸フィルム1までの距離を測定し、最大距離(LMAX)と最小距離(LMIN)との差(LMAX−LMIN)を弛み量とすることができる。また、最小距離を与えた部位が、弛みが生じている部位として検出される。なお、斜め延伸フィルムに弛みが生じる原因としては、斜め延伸時にフィルムの左右端部の延伸プロセス(延伸または収縮のタイミング、回数順序熱履歴等)が互いに異なる結果、クリップ開放後の両端部の変形量が不均一になることが挙げられることから、弛みが生じる部位は、通常、いずれか一方の端部である。よって、弛みの検出箇所を延伸フィルム1の幅方向の左右端部のみとすることもできる。この場合、事前に弛みのないフィルムを搬送して超音波変位センサーから該フィルムまでの距離(L0)を測定して置き、左右端部と超音波変位センサーとの距離とL0との差を弛み量とすることができる。なお、弛み検出手段の一例として超音波変位センサーを説明したが、弛みは任意の適切な検出手段(例えば、レーザードップラー速度計を用いて、通常部と弛み部のフィルム通過速度を求め、そこから長さの差を算出する等)を用いて検出され得る。

0045

上記検出時における搬送ロール間距離(D)は、特に限定されないが、例えば500mm〜2000mmであり、好ましくは700mm〜1500mmとすることができる。

0046

上記検出時におけるフィルム張力は、特に限定されないが、例えば50N/m〜400N/mであり、好ましくは100N/m〜200N/mとすることができる。搬送張力が高すぎると、搬送中のフィルムが弾性変形し、弛みが検出し難くなる場合がある。一方、搬送張力が低すぎると、張力そのものが安定せず、弛みの測定値が安定しない場合がある。

0047

上記ロール搬送は、非加熱環境下で行われ得る。ロール搬送の際の雰囲気温度は、例えば15℃〜40℃程度、また例えば20℃〜30℃程度であってよい。

0048

A−6.クリップピッチを変化させる補正
クリップピッチを変化させる補正は、いわゆる、フィードバック補正であり、上記弛み量および弛みが生じている部位の検出結果に基づいて、弛み量を減少させるように、搬送ライン上流における左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させることによって行う。例えば、検出された弛み量が所定の値以上である場合には、クリップピッチを変化させる補正を行い、所定の値未満である場合には、補正することなく斜め延伸を継続することができる。具体的には、1000mmのロール間距離で検出された弛み量が例えば3mm以上、5mm以上、10mm以上または15mm以上である場合に上記補正が行われ得る。フィードバック補正(弛み補正)を行うことにより、複屈折Δnが大きい樹脂フィルムを用いて、幅方向の面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを破断等の不具合なく製造することができる。

0049

上記クリップピッチを変化させる補正(以下、単に「フィードバック補正」とも称する)は、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な方法で行われ得る。フィードバック補正は、例えば、弛みが生じている部位に対して遠方の端部を把持するクリップのクリップピッチを増大すること、弛みが生じている部位の近傍の端部を把持するクリップのクリップピッチを減少すること、または、これらを組み合わせて行うこと等によって行われ得る。ただし、クリップピッチを減少させても、フィルムが縮まず、弛ませるだけとなることもあるため、弛みが生じている部位に対して遠方の端部を把持するクリップのクリップピッチを増大することによって、フィードバック補正を行うことが好ましい。より具体的には、弛みが生じている部位が、延伸フィルムの左右端部のいずれか一方である場合、他方の端部を把持するクリップのクリップピッチを増大することによって、フィードバック補正が好適に行われ得る。

0050

上記フィードバック補正において、クリップピッチを変化させるタイミングは、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されない。1つの実施形態においては、搬送ライン上流のフィルムが斜め延伸ゾーンに移行後、クリップから開放されるまでの任意のタイミングで補正後のクリップピッチに変化させることができる。好ましくは搬送ライン上流において先行走行するクリップが斜め延伸ゾーンの走行区間中間地点を通過後の任意の時点から、フィルムがクリップから開放されるまでの間にわたって、より好ましくは当該先行走行するクリップが斜め延伸ゾーンの走行区間の1/2〜9/10を通過した時点からフィルムがクリップから開放されるまでの間にわたって、補正後のクリップピッチが適用される。より具体的には、搬送ライン上流において先行走行するクリップが斜め延伸ゾーンの走行区間の中間地点を通過後の任意の時点から、好ましくは当該先行走行するクリップが斜め延伸ゾーンの走行区間の1/2〜9/10を通過した時点から、上記フィードバック補正の適用を開始し、斜め延伸ゾーンの終点において所望の補正量が得られるようにクリップピッチを変化させる。また、斜め延伸ゾーンから開放ゾーンへ移行した後も、フィルムがクリップから開放されるまでの間にわたって当該補正量を維持することが好ましい。斜め延伸の後半、特に終盤においては、少なくとも一方のクリップピッチが、一定に維持されているか、あるいは、小さい変化率での変化に留まることから、当該タイミングでクリップピッチを補正することにより、本発明の効果が好適に得られ得る。

0051

斜め延伸ゾーンにおいて上記フィードバック補正を適用する際には、対象のフィルムを、好ましくはTg℃〜Tg+20℃、より好ましくはTg+3℃〜Tg+10℃、さらに好ましくはTg+4℃〜Tg+8℃に加熱する。Tgと同等またはTgよりも少し高い温度でフィードバック補正を適用することにより、本発明の効果が好適に得られ得る。1つの実施形態において、上記温度でフィードバック補正を受けながら斜め延伸ゾーンを通過し、開放ゾーンに移行したフィルムは、斜め延伸ゾーンで行われた補正量を維持した状態で、熱固定、次いで、必要に応じて冷却された後、クリップから開放される。熱固定および冷却については、A−4項で記載したとおりである。

0052

図6Aは、本発明の1つの実施形態による位相差フィルムの製造方法におけるクリップピッチのプロファイルを示す概略図である。図示例では、予熱ゾーンBにおける左右のクリップX,YのクリップピッチはともにP1とされており、フィードバック補正される前の当初の斜め延伸では、斜め延伸ゾーンCに入ると同時に、一方のクリップXのクリップピッチの増大を開始するとともに、他方のクリップYのクリップピッチの減少を開始し、クリップXのクリップピッチをP2まで増大させ、クリップYのクリップピッチをP3まで減少させた後は、クリップXのクリップピッチをP2のまま維持しつつ、クリップYのクリップピッチをP2まで増大させている。左右のクリップX、Yは、クリップピッチP2のまま熱固定および開放ゾーンDへ移動してフィルムを開放する。その後、当該フィルムのロール搬送時の弛み量等に基づくフィードバック補正の結果、斜め延伸ゾーンCにおいてクリップXのクリップピッチがP2からP2’に徐々に増大されている。なお、後述するとおり、熱固定および開放ゾーンでは、クリップX、YのクリッププッチはそれぞれP2’およびP2に維持され、斜め延伸ゾーン終点における補正量(P2’−P2)が維持されている。

0053

図6Bは、本発明の別の実施形態による位相差フィルムの製造方法におけるクリップピッチのプロファイルを示す概略図である。図示例の実施形態では、図6Aに示す実施形態と同様のパターンで斜め延伸が行われ、熱固定および開放ゾーンDにおける熱固定の際に左右のクリップX、YのクリップピッチをともにP2からP3まで減少してからフィルムを開放する。その後、当該フィルムのロール搬送時の弛み量等に基づくフィードバック補正の結果、斜め延伸ゾーンCにおいてクリップXのクリップピッチがP2からP2’に徐々に増大され、熱固定および開放ゾーンでは、クリップXのクリップピッチがP2’からP3’に減少され、クリップYのクリップピッチがP2からP3に減少されている。なお、後述するとおり、熱固定および開放ゾーンでは、斜め延伸ゾーン終点における補正量(P2’−P2)が維持されるようにクリップX、Yのクリッププッチが減少され、P3’−P3=P2’−P2の関係を満たす。

0054

上記斜め延伸ゾーンにおいて、補正後のクリップピッチへの変化(P2’への変化)は、フィードバック補正の適用が開始される地点から終点(図6Aおよび6Bでは、斜め延伸ゾーンの2/3を通過した時点から終点)までの間に徐々に進行することが好ましい。また、斜め延伸ゾーンの終点からクリップを開放されるまでの間も斜め延伸終了時点における補正量(|斜め延伸終了時点における補正前のクリップピッチ−斜め延伸終了時点における補正後のクリップピッチ|)が維持されることが好ましい。例えば、図6Aおよび6Bに示すプロファイルでは、斜め延伸ゾーンの終点からクリップの開放までの間、クリップXのクリップピッチとクリップYのクリップピッチとの差が一定に(すなわち、P2’−P2に)維持されている。このようにクリップピッチを変化させることにより、本発明の効果が好適に得られ得る。

0055

上記クリップピッチの変化は、上記のとおり、基準レールとピッチ設定レールとの離間距離を調整すること等によって行われ得る。これらの調整は、搬送ラインを一旦停止させて、あるいは、停止させることなく、行うことができる。

0056

上記フィードバック補正における斜め延伸終了時点でのクリップピッチの補正量(|斜め延伸終了時点における補正前のクリップピッチ−斜め延伸終了時点における補正後のクリップピッチ|)は、弛み量等に応じて適切に設定され得る。クリップピッチの補正量は、好ましくは上記搬送ロール間における延伸フィルムの左右端部の長さの差を超える量であり、より好ましくは当該長さの差の1.4倍〜5.0倍、さらに好ましくは1.6倍〜4.0倍、さらにより好ましくは1.8倍〜3.0倍の補正量であり得る。クリップピッチの補正量が当該左右端部の長さの差以下であると、弛みの低減量が不十分となる場合がある。

0057

上記搬送ロール間における延伸フィルムの左右端部の長さの差L‘(単位:mm)は、下記式(1)および(2)に基づいて算出される上記搬送ロール間における延伸フィルムの長さL(単位:mm)を下記式(3)に代入して算出され得る。



(上記式中、dは、検出された弛み量(単位:mm)を表し、wは、上記フィルム1mあたりの質量(単位:g)を表し、gは、重力加速度を表し、Sは、上記搬送ロール間の距離(単位:mm)を表し、Hは、式(1)から算出される弛みが生じている端部側にかかる張力(単位:N/m)を表す。)

0058

1つの実施形態において、上記フィードバック補正によって低減される弛み量(フィードバック補正前に得られる延伸フィルムの弛み量−フィードバック補正後に得られる延伸フィルムの弛み量:ただし、搬送ロール間距離1000mmで測定される弛み量)は、例えば3mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上、さらに好ましくは10mm以上であり得る。また、フィードバック補正後に得られる延伸フィルムの弛み量は、例えば15mm未満、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは5mm以下、さらにより好ましくは3mm未満であり得る。

0059

B.延伸対象のフィルム
本発明の実施形態においては、延伸対象フィルムとして、未延伸状態における複屈折Δnが0.025以下である樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムの複屈折Δnは、好ましくは0.022以下であり、より好ましくは0.020以下であり、さらに好ましくは0.018以下である。一方、樹脂フィルムの複屈折Δnは、好ましくは0.004以上であり、より好ましくは0.007以上であり、さらに好ましくは0.010以上であり、特に好ましくは0.012以上である。本発明の実施形態によれば、このように複屈折Δnが大きい樹脂フィルムを用いて、幅方向の面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを破断等の不具合なく得ることができる。複屈折Δnが小さいと、幅方向の面内位相差のばらつきの問題は生じないが、所望の面内位相差を得るためのフィルム厚みが大きくなってしまう。複屈折Δnが大きすぎると、幅方向の面内位相差のばらつきを制御できない場合がある。

0060

樹脂フィルムを構成する材料としては、上記のような複屈折Δnを有する限りにおいて任意の適切な樹脂が採用され得る。具体例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂ポリエステル系樹脂ポリビニルアセタール系樹脂ポリアリレート系樹脂環状オレフィン系樹脂セルロース系樹脂ポリビニルアルコール系樹脂ポリアミド系樹脂ポリイミド系樹脂ポリエーテル系樹脂ポリスチレン系樹脂アクリル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく組み合わせて(例えば、ブレンド、共重合)用いてもよい。好ましくは、ポリカーボネート系樹脂またはポリエステルカーボネート系樹脂(以下、単にポリカーボネート系樹脂と称する場合がある)である。本発明の実施形態による効果が顕著だからである。

0061

ポリカーボネート系樹脂は、好ましくは、下記式(I)で表される結合構造を有するジヒドロキシ化合物由来する構造単位を含む。

0062

ジヒドロキシ化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。このようなジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビドイソマンニドイソイデットが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0063

上記ジヒドロキシ化合物と別のジヒドロキシ化合物とを組み合わせて用いてもよい。別のジヒドロキシ化合物としては、例えば、下記式(III)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
HOCH2−R1−CH2OH ・・・(III)
式(III)中、R1は、炭素数4〜20のシクロアルキレン基を示す。脂環式ジヒドロキシ化合物は、例えば、トリシクロデカンジメタノールペンタシクロペンタデカンジメタノールであり得る。これらは、式(III)においてR1が下記式(IV)(式中、nは0または1を示す)で表される種々の異性体を包含する。

0064

1つの実施形態においては、ポリカーボネート系樹脂は、下記式(V)で表される構造単位を含む。すなわち、ポリカーボネート系樹脂は、ジフェニルカーボネートとイソソルビドとトリシクロデカンジメタノールとの共重合体であり得る。

0065

ポリカーボネート系樹脂の詳細は、例えば、特開2012−031370号公報に記載されており、当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。

0066

ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は、110℃以上250℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上230℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形定性が悪くなる場合があり、また、フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。

0067

C.得られる位相差フィルム
延伸対象フィルムを延伸して得られる位相差フィルムは、好ましくは、屈折率特性がnx>nyの関係を示す。1つの実施形態においては、位相差フィルムは、好ましくはλ/4板として機能し得る。この場合、位相差フィルム(λ/4板)の面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm〜200nmであり、より好ましくは120nm〜160nmであり、さらに好ましくは130nm〜150nmである。別の実施形態においては、位相差フィルムは、好ましくはλ/2板として機能し得る。この場合、位相差フィルム(λ/2板)の面内位相差Re(550)は、好ましくは230nm〜310nmであり、より好ましくは240nm〜300nmであり、さらに好ましくは260nm〜290nmである。斜め延伸の条件を適切に設定することにより、所望の面内位相差を有する位相差フィルムが得られ得る。言うまでもなく、本発明の実施形態によれば、目的に応じた任意の適切な面内位相差を有する位相差フィルム(λ/4板およびλ/2板以外の位相差フィルム)を得ることができる。なお、本明細書において、Re(λ)は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。したがって、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx−ny)×dによって求められる。

0068

位相差フィルムは、幅方向における面内位相差Re(550)のばらつきが、幅方向における面内位相差Re(550)の平均値に対して好ましくは6%以内であり、より好ましくは5%以内であり、さらに好ましくは4%以内であり、特に好ましくは2.2%以内である。本発明の実施形態によれば、複屈折Δnが大きい樹脂フィルムを用いて、幅方向の面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを破断等の不具合なく得ることができる。ばらつきは、例えば以下のようにして求められる。得られた長尺状の位相差フィルムの長尺方向の任意の位置において、幅方向全体に沿って10mm間隔で選択した位置の面内位相差Re(550)を測定する。当該測定値から平均値を算出するとともに最大値および最小値ピックアップし、下記式によりばらつきを算出する。
ばらつき(%)=(最大値−最小値)/平均値×100

0069

位相差フィルムは、上記のとおり屈折率特性がnx>nyの関係を示すので、遅相軸を有する。遅相軸の方向(遅相軸方向と得られる位相差フィルムの長尺方向とのなす角度)は、斜め延伸の条件を適切に設定することにより、目的に応じた任意の適切な方向(代表的には、長尺方向に対して斜め方向)に制御することができる。例えば位相差フィルムがλ/4板として機能し得る場合、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は、好ましくは40°〜50°または130°〜140°であり、より好ましくは42°〜48°または132°〜138°であり、さらに好ましくは44°〜46°または134°〜136°である。例えば位相差フィルムがλ/2板として機能し得る場合、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は、好ましくは10°〜20°または100°〜110°であり、より好ましくは12°〜18°または102°〜108°であり、さらに好ましくは14°〜16°または104°〜106°であり;あるいは、好ましくは70°〜80°または160°〜170°であり、より好ましくは72°〜78°または162°〜168°であり、さらに好ましくは74°〜76°または164°〜166°である。

0070

位相差フィルムの厚みは、所望の面内位相差に応じて変化し得る。例えば位相差フィルムがλ/4板として機能し得る場合、位相差フィルムの厚みは、好ましくは15μm〜45μmであり、より好ましくは25μm〜40μmであり、さらに好ましくは30μm〜40μmである。例えば位相差フィルムがλ/4板として機能し得る場合、位相差フィルムの厚みは、好ましくは15μm〜40μmであり、より好ましくは15μm〜30μmである。本発明の実施形態においては、未延伸状態で所定の複屈折Δnを有する樹脂フィルムを延伸対象フィルムとして用いることにより、通常の位相差フィルム(樹脂フィルムの延伸フィルム)に比べて顕著に薄い厚みで所望の面内位相差を実現することができる。

0071

位相差フィルムは、好ましくは、いわゆるフラット波長依存性を示す。具体的には、その面内位相差が、Re(450)≒Re(550)≒Re(650)の関係を満たす。Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.97〜1.03であり、より好ましくは0.98〜1.02である。Re(550)/Re(650)は、好ましくは0.97〜1.03であり、より好ましくは0.98〜1.02である。

0072

位相差フィルムは、その光弾性係数の絶対値が、好ましくは2×10−12(m2/N)〜100×10−12(m2/N)であり、より好ましくは5×10−12(m2/N)〜50×10−12(m2/N)である。

0073

以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における測定および評価方法は下記のとおりである。

0074

(1)厚み
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG−205 type pds−2」)を用いて測定した。
(2)面内位相差および複屈折
Axometrics社製のAxoscanを用いて面内位相差Re(550)を測定した。複屈折Δnは、面内位相差Re(550)をフィルム厚みで除して求めた。
(3)配向角(遅相軸方向)
測定対象のフィルムの中央部を、一辺が当該フィルムの幅方向と平行となるようにして幅50mm、長さ50mmの正方形状に切り出して試料を作製した。この試料を、Axometrics社製のAxoscanを用いて測定し、波長590nmにおける配向角を測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
(5)ばらつき
実施例および比較例で得られた長尺状の位相差フィルムの長尺方向の任意の位置において、幅方向全体に沿って10mm間隔で選択した位置の面内位相差Re(550)を測定した。当該測定値から平均値を算出するとともに最大値および最小値をピックアップし、下記式によりばらつきを算出した。
ばらつき(%)=(最大値−最小値)/平均値×100
(6)破断
フィルムがテンター延伸機から出てきたときの状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:破断もクラックもなし
×:破断および/またはクラックあり
(7)色ムラ
実施例および比較例で得られた位相差フィルムを市販の偏光板に貼り合わせ円偏光板を作製し、当該円偏光板を市販の有機ELパネルに貼り合わせ、色相を目視により確認し、以下の基準で評価した。
○:色ムラは認められなかった
×:色ムラが認められた

0075

<製造例1>
イソソルビド(以下「ISB」と略記することがある)81.98質量部に対して、トリシクロデカンジメタノール(以下「TCDDM」と略記することがある)47.19質量部、ジフェニルカーボネート(以下「DPC」と略記することがある)175.1質量部、及び触媒として炭酸セシウム0.2質量%水溶液0.979質量部を反応容器投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃ に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。次いで、圧力を常圧から13.3kPaにし、加熱槽温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノール反応容器外へ抜き出した。反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体ペレットPC樹脂1)を得た。

0076

PC樹脂1を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、樹脂フィルム1を作製した。得られた樹脂フィルム1の複屈折Δnは0.015であった。

0077

<製造例2>
ISB 39.6質量部に対して、スピログリコール(以下「SPG」と略記することがある)22.7質量部、ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチルフルオレン−9−イルメタン(以下「BRFM」と略記することがある)21.1質量部、DPC 15.9質量部、及び触媒として炭酸セシウム0.2質量%水溶液0.5質量部に変えたこと以外は製造例1と同様にして、ポリカーボネート共重合体のペレット(PC樹脂2)を得た。PC樹脂2から製造例1と同様にして樹脂フィルム2を作製した。得られた樹脂フィルム2の複屈折Δnは0.004であった。

0078

<製造例3>
市販のポリカーボネート系樹脂フィルム(三菱ケミカル社製、商品名「DURABIO D5380R」)を樹脂フィルム3として用いた。樹脂フィルム3の複屈折Δnは0.031であった。

0079

<実施例1>
(フィードバック補正前の斜め延伸)
製造例1で得られた樹脂フィルム1を、図2〜4に示すような延伸装置を用いて斜め延伸して、位相差フィルムを得た。具体的には、ポリエステルカーボネート樹脂フィルムを延伸装置の予熱ゾーンで145℃に予熱した。予熱ゾーンにおいては、左右のクリップのクリップピッチ(P1)は125mmであった。次に、フィルムが斜め延伸ゾーンCに入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大および左側クリップのクリップピッチの減少を開始し、右側クリップのクリップピッチをP2まで増大させるとともに左側クリップのクリップピッチをP3まで減少させた。このとき、右側クリップのクリップピッチ変化率(P2/P1)は、1.42であり、左側クリップのクリップピッチ変化率(P3/P1)は0.78であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.45倍であった。次いで、右側クリップのクリップピッチをP2に維持したままで、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、P3からP2まで増大させた。この間の左側クリップのクリップピッチの変化率(P2/P3)は1.82であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.9倍であった。なお、斜め延伸ゾーンCはTg+3.2℃(143.2℃)に設定した。

0080

次いで、熱固定および開放ゾーンDにおいて、60秒間熱固定を行った。熱固定において、左側の熱固定ゾーンの温度は132℃に設定し、右側の熱固定ゾーンの温度は115℃に設定した。すなわち、熱固定における左側と右側との温度差は17℃であった。熱固定の後半においては、左側温度132℃および右側温度115℃(すなわち、熱固定温度と同じ温度)、および風速30m/秒で上下両方向からフィルムに風を当てた。次いで、熱固定されたフィルムを、100℃まで冷却後、左右のクリップを開放した。

0081

(ロール搬送)
上記クリップから開放され、延伸装置から送り出された延伸フィルムの両側端部をそれぞれ250mm切除した。両端を切除したフィルムをロール搬送し、搬送ロール間における弛み量および弛みが生じている部位の検出を行った。その結果、左側の端部に弛みが生じており、弛み量は18.0mmであった。また、上記式(1)〜(3)に基づいて算出される補正前の延伸フィルムにおける両端部の長さの差L‘は、0.95mmであった。

0082

(フィードバック補正)
斜め延伸ゾーンCの走行区間の3/4を通過した時点から終点に到達するまでの間に右側のクリップのクリップピッチをP2’まで徐々に増大させ(クリップピッチの補正量(P2’−P2):0.3mm)、当該クリップピッチを維持したままで上記と同様に熱固定および冷却(100℃)を行ってクリップを開放するように、上記クリップピッチのプロファイルを変更して斜め延伸を続行した。すなわち、フィードバック補正後の斜め延伸フィルムがクリップから開放される際のクリップピッチは、右側がP2’であり、左側がP2であった。

0083

得られた位相差フィルムの面内位相差Re(550)は147nmであり、厚みは30μmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。得られた位相差フィルムを上記(5)〜(7)の評価に供した。結果を表1に示す。

0084

<実施例2>
熱固定において左側の熱固定ゾーンの温度を132℃に設定し、右側の熱固定ゾーンの温度を122℃に設定したこと(熱固定における左側と右側との温度差を10℃にしたこと)、ならびに、風速を25m/秒としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差Re(550)は147nmであり、厚みは30μmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。得られた位相差フィルムを上記(5)〜(7)の評価に供した。結果を表1に示す。

0085

<実施例3>
熱固定において左側の熱固定ゾーンの温度を131℃に設定し、右側の熱固定ゾーンの温度を124℃に設定したこと(熱固定における左側と右側との温度差を7℃にしたこと)、ならびに、風速を25m/秒としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差Re(550)は140nmであり、厚みは40μmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。得られた位相差フィルムを上記(5)〜(7)の評価に供した。結果を表1に示す。

0086

<実施例4>
製造例2で得られた樹脂フィルム2を用いたこと、ならびに、熱固定において左側の熱固定ゾーンの温度を137℃に設定し、右側の熱固定ゾーンの温度を130℃に設定したこと(熱固定における左側と右側との温度差を7℃にしたこと)以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差Re(550)は140nmであり、厚みは57μmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。得られた位相差フィルムを上記(5)〜(7)の評価に供した。結果を表1に示す。

0087

<実施例5>
風速を25m/秒としたこと以外は実施例4と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差Re(550)は137nmであり、厚みは40μmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。得られた位相差フィルムを上記(5)〜(7)の評価に供した。結果を表1に示す。

0088

<比較例1>
熱固定において左側の熱固定ゾーンの温度を132℃に設定し、右側の熱固定ゾーンの温度を132℃に設定したこと(熱固定における左側と右側との温度差を0℃にしたこと)以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差Re(550)は135nmであり、厚みは30μmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。得られた位相差フィルムを上記(5)〜(7)の評価に供した。結果を表1に示す。

0089

<比較例2>
弛み補正(フィードバック補正)を行わなかったこと、ならびに、風速を10m/秒としたこと以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差Re(550)は137nmであり、厚みは30μmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。得られた位相差フィルムを上記(5)〜(7)の評価に供した。結果を表1に示す。

0090

<比較例3>
製造例3で得られた樹脂フィルム3を用いたこと、ならびに、熱固定において左側の熱固定ゾーンの温度を132℃に設定し、右側の熱固定ゾーンの温度を112℃に設定したこと(熱固定における左側と右側との温度差を20℃にしたこと)以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差Re(550)は144nmであり、厚みは30μmであり、遅相軸方向と長尺方向とのなす角度は45°であった。得られた位相差フィルムを上記(5)〜(7)の評価に供した。結果を表1に示す。

0091

実施例

0092

<評価>
表1から明らかなとおり、所定の複屈折Δnを有する樹脂フィルムを用いた斜め延伸位相差フィルムの製造方法において、熱固定時の左側と右側との温度差を所定値以上とし、および、斜め延伸において弛み補正を行うことにより、幅方向の面内位相差のばらつきが小さい斜め延伸位相差フィルムを破断等の不具合なく製造することができる。

0093

本発明の実施形態による製造方法は、位相差フィルムの製造に好適に用いられ、結果として、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置の製造に寄与し得る。

0094

1延伸フィルム
10L 無端ループ
10R 無端ループ
20クリップ
100延伸装置
200搬送ロール
300巻取り部
400超音波変位センサー

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