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技術 複合酸化物粉末、複合酸化物粉末の製造方法、固体電解質体の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池の製造方法

出願人 冨士色素株式会社GSアライアンス株式会社
発明者 吉岡秀樹森良平
出願日 2020年3月24日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2020-052231
公開日 2021年9月30日 (3ヶ月経過) 公開番号 2021-151932
状態 未査定
技術分野 酸化物セラミックスの組成2 重金属無機化合物(II) 導電材料 二次電池(その他の蓄電池) 電線ケーブルの製造(1)
主要キーワード 小径ビーズ 環境対応車 クローズドポア ガーネット型構造 ビーズミル処理 固体イオン伝導体 ガリウムドープ 粉砕溶媒
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図面 (15)

課題

緻密で高イオン伝導度固体電解質体を作製することができる複合酸化物粉末及びその製造方法を提供すること。

解決手段

リチウム(Li)とランタン(La)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とを含み、立方晶ガーネット型結晶構造を有する粒子で構成される複合酸化物粉末であって、前記粒子はドーパント元素としてガリウム(Ga)のみをさらに含み、前記複合酸化物粉末は、その体積粒度分布における50%径(D50)が1000nm以下であり、且つパイロクロア相含有割合が10質量%以下である複合酸化物粉末。

概要

背景

リチウムイオン二次電池は、携帯電話パーソナルコンピュータといったポータブル機器電源の他、環境対応車電気自動車等)のバッテリー自然エネルギー発電風力発電等)の電力貯蔵システムに用いられている。近年のポータブル機器の普及及び環境問題への関心の高まりに伴い、リチウムイオン二次電池の需要がますます高くなっている。

リチウムイオン二次電池には高エネルギー密度であることが求められている。また発火等の事故が起こらないように安全かつ安定に動作する電池が求められている。このような中で、液体電解質の代わりに固体電解質を用いた全固体型リチウムイオン二次電池が注目されている。液体電解質は可燃性有機溶剤を用いたものが多い。そのため液体電解質を備えたリチウムイオン二次電池は、発火の恐れを払拭できないとともに液漏れの恐れがある。また充放電を繰り返すうちに、負極中のリチウム(Li)成分が樹枝状成長して正極と負極とが短絡する問題がある。これに対して固体電解質を備えた電池には、このような問題がなく、安全性及び信頼性の点で優れている。

全固体型リチウムイオン二次電池の固体電解質として、ガーネット型複合酸化物が提案されている。例えば特許文献1は化学量論的組成L7+xAxG3−xZr2O12[式中、Lは、Li+、Na+またはK+から選択されるアルカリ金属イオンであり、Aは、二価金属カチオンであり、Gは、三価の金属カチオンであり、0≦x≦3、及び式中、Oは、部分的に又は完全に、二価のアニオンによって置き換えられていてよい]を有する、ガーネット様結晶構造を有する固体イオン伝導体を開示している(特許文献1の請求項1)。また特許文献1には化学量論組成がLi7La3Zr2O12である旨、従来技術の化合物に比べて高められたイオン伝導率を示す旨、非常に高いエネルギー密度を有する電池のための固体電解質として使用することができる旨が記載されている(特許文献1の請求項6、[0023]及び[0031])。

また特許文献2は正極と、負極と、LiとLaとZrとOからなるガーネット型もしくはガーネット型類似の結晶構造を有するセラミックスを含有する固体電解質と、を備える、全固体リチウム二次電池を開示している(特許文献2の請求項1)。また特許文献2にはLi−La−Zr系セラミックスは耐リチウム性及びリチウムイオン伝導性に優れており、全固体二次電池の固体電解質として有用である旨が記載されている(特許文献2の[0039])。

概要

緻密で高イオン伝導度固体電解質体を作製することができる複合酸化物粉末及びその製造方法を提供すること。リチウム(Li)とランタン(La)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とを含み、立方晶ガーネット型結晶構造を有する粒子で構成される複合酸化物粉末であって、前記粒子はドーパント元素としてガリウム(Ga)のみをさらに含み、前記複合酸化物粉末は、その体積粒度分布における50%径(D50)が1000nm以下であり、且つパイロクロア相含有割合が10質量%以下である複合酸化物粉末。

目的

本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、緻密で高イオン伝導度の固体電解質体を作製することが可能な複合酸化物粉末及びその製造方法の提供を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

リチウム(Li)とランタン(La)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とを含み、立方晶ガーネット型結晶構造を有する粒子で構成される複合酸化物粉末であって、前記粒子はドーパント元素としてガリウム(Ga)のみをさらに含み、前記複合酸化物粉末は、その体積粒度分布における50%径(D50)が1000nm以下であり、且つパイロクロア相含有割合が10質量%以下である複合酸化物粉末。

請求項2

50%径(D50)が600nm以下である、請求項1に記載の複合酸化物粉末。

請求項3

前記粒子は、式:Li7−3xGaxLa3Zr2O12で表される基本組成(ただし0.1≦x≦0.5)を有する、請求項1又は2に記載の複合酸化物粉末。

請求項4

前記粒子は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)及びニオブ(Nb)からなる群から選択される少なくとも一種のドーパント元素をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合酸化物粉末。

請求項5

前記複合酸化物粉末は、そのX線回折(XRD)プロファイルにおける(211)回折線ピーク半値幅が0.50°以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合酸化物粉末。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合酸化物粉末の製造方法であって、以下の工程;原料として少なくともリチウム(Li)源とランタン(La)源とジルコニウム(Zr)源とを準備する工程、前記原料を配合及び混合して混合物とする工程、前記混合物を焼成して焼成物とする工程、前記焼成物を粉砕して粉砕物とする工程、及び前記粉砕物を熱処理して熱処理物とする工程を含み、前記焼成物を粉砕する際に、ビーズミルを用いて有機溶媒中で焼成物の粉砕を行う、方法。

請求項7

前記リチウム(Li)源として炭酸リチウム(Li2CO3)を用いる、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記原料を配合する際に、ガーネット型結晶構造化学量論組成に対してリチウム(Li)源を1〜20質量%の量で過剰に配合する、請求項6又は7に記載の方法。

請求項9

前記混合物を焼成する際に、混合物を700〜1000℃の温度で第1の焼成を行い、更に900〜1100℃の温度で第2の焼成を行う、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

前記有機溶媒が、アルコール系溶媒ケトン系溶媒エステル系溶媒グリコールエーテル系溶媒炭化水素系溶媒エーテル系溶媒グリコール系溶媒及びアミン系溶媒からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

前記有機溶媒が、イソプロピルアルコール(IPA)及び/又はトルエンである、請求項10に記載の方法。

請求項12

固体電解質体の製造方法であって、以下の工程;複合酸化物粉末を準備する工程、前記複合酸化物粉末を成形して成形体とする工程、及び前記成形体を焼成して焼結体とする工程を含み、前記複合酸化物粉末を準備する際、請求項6〜11のいずれか一項に記載の方法で複合酸化物粉末を作製する、方法。

請求項13

リチウムイオン二次電池の製造方法であって、以下の工程;少なくとも外装材と正極と負極と固体電解質体とを準備する工程、及び前記正極及び負極を互いに相対するように前記外装材内に配置するとともに、前記正極と負極との間に固体電解質体を配置する工程を含み、前記固体電解質体を準備する際に、請求項12に記載の方法で固体電解質体を作製する、方法。

技術分野

0001

本発明は、複合酸化物粉末、複合酸化物粉末の製造方法、固体電解質体の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。

背景技術

0002

リチウムイオン二次電池は、携帯電話パーソナルコンピュータといったポータブル機器電源の他、環境対応車電気自動車等)のバッテリー自然エネルギー発電風力発電等)の電力貯蔵システムに用いられている。近年のポータブル機器の普及及び環境問題への関心の高まりに伴い、リチウムイオン二次電池の需要がますます高くなっている。

0003

リチウムイオン二次電池には高エネルギー密度であることが求められている。また発火等の事故が起こらないように安全かつ安定に動作する電池が求められている。このような中で、液体電解質の代わりに固体電解質を用いた全固体型リチウムイオン二次電池が注目されている。液体電解質は可燃性有機溶剤を用いたものが多い。そのため液体電解質を備えたリチウムイオン二次電池は、発火の恐れを払拭できないとともに液漏れの恐れがある。また充放電を繰り返すうちに、負極中のリチウム(Li)成分が樹枝状成長して正極と負極とが短絡する問題がある。これに対して固体電解質を備えた電池には、このような問題がなく、安全性及び信頼性の点で優れている。

0004

全固体型リチウムイオン二次電池の固体電解質として、ガーネット型複合酸化物が提案されている。例えば特許文献1は化学量論的組成L7+xAxG3−xZr2O12[式中、Lは、Li+、Na+またはK+から選択されるアルカリ金属イオンであり、Aは、二価金属カチオンであり、Gは、三価の金属カチオンであり、0≦x≦3、及び式中、Oは、部分的に又は完全に、二価のアニオンによって置き換えられていてよい]を有する、ガーネット様結晶構造を有する固体イオン伝導体を開示している(特許文献1の請求項1)。また特許文献1には化学量論組成がLi7La3Zr2O12である旨、従来技術の化合物に比べて高められたイオン伝導率を示す旨、非常に高いエネルギー密度を有する電池のための固体電解質として使用することができる旨が記載されている(特許文献1の請求項6、[0023]及び[0031])。

0005

また特許文献2は正極と、負極と、LiとLaとZrとOからなるガーネット型もしくはガーネット型類似の結晶構造を有するセラミックスを含有する固体電解質と、を備える、全固体リチウム二次電池を開示している(特許文献2の請求項1)。また特許文献2にはLi−La−Zr系セラミックスは耐リチウム性及びリチウムイオン伝導性に優れており、全固体二次電池の固体電解質として有用である旨が記載されている(特許文献2の[0039])。

先行技術

0006

特許第5634865号公報
特開2010−45019号公報

発明が解決しようとする課題

0007

電池にはより一層の小型化及び高容量化の要求があり、固体電解質の特性、特にイオン伝導度の更なる向上が求められている。しかしながら特許文献1や特許文献2に開示される従来の固体電解質ではこの要求に応じるには改良の余地がある。

0008

本発明者は、立方晶ガーネット型複合酸化物粉末を製造するにあたり、その製造条件の鋭意検討を行ったところ、微細且つ異相の少ない粉末を得ることができること、この粉末を用いることで、緻密でイオン伝導度の高い固体電解質体を作製できることの知見を得た。

0009

本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、緻密で高イオン伝導度の固体電解質体を作製することが可能な複合酸化物粉末及びその製造方法の提供を課題とする。また本発明は、この複合酸化物粉末を用いた固体電解質体やリチウムイオン二次電池の製造方法の提供を課題とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、下記(1)〜(13)の態様を包含する。なお、本明細書において「〜」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち、「X〜Y」は「X以上Y以下」と同義である。

0011

(1)リチウム(Li)とランタン(La)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とを含み、立方晶ガーネット型結晶構造を有する粒子で構成される複合酸化物粉末であって、
前記粒子はドーパント元素としてガリウム(Ga)のみをさらに含み、
前記複合酸化物粉末は、その体積粒度分布における50%径(D50)が1000nm以下であり、且つパイロクロア相含有割合が10質量%以下である複合酸化物粉末。

0012

(2)50%径(D50)が600nm以下である、上記(1)の複合酸化物粉末。

0013

(3)前記粒子は、式:Li7−3xGaxLa3Zr2O12で表される基本組成(ただし0.1≦x≦0.5)を有する、上記(1)又は(2)の複合酸化物粉末。

0014

(4)前記粒子は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)及びニオブ(Nb)からなる群から選択される少なくとも一種のドーパント元素をさらに含む、上記(1)〜(3)のいずれかの複合酸化物粉末。

0015

(5)前記複合酸化物粉末は、そのX線回折(XRD)プロファイルにおける(211)回折線ピーク半値幅が0.50°以下である、上記(1)〜(4)のいずれかの複合酸化物粉末。

0016

(6)上記(1)〜(5)のいずれかの複合酸化物粉末の製造方法であって、以下の工程;
原料として少なくともリチウム(Li)源とランタン(La)源とジルコニウム(Zr)源とガリウム(Ga)とを準備する工程、
前記原料を配合及び混合して混合物とする工程、
前記混合物を焼成して焼成物とする工程、
前記焼成物を粉砕して粉砕物とする工程、及び
前記粉砕物を熱処理して熱処理物とする工程を含み、
前記焼成物を粉砕する際に、ビーズミルを用いて有機溶媒中で焼成物の粉砕を行う、方法。

0017

(7)前記リチウム(Li)源として炭酸リチウム(Li2CO3)を用いる、上記(6)の方法。

0018

(8)前記原料を配合する際に、ガーネット型結晶構造の化学量論組成に対してリチウム(Li)源を1〜20質量%の量で過剰に配合する、上記(6)又は(7)の方法。

0019

(9)前記混合物を焼成する際に、混合物を700〜1000℃の温度で第1の焼成を行い、更に900〜1100℃の温度で第2の焼成を行う、上記(6)〜(8)のいずれかの方法。

0020

(10)前記有機溶媒が、アルコール系溶媒ケトン系溶媒エステル系溶媒グリコールエーテル系溶媒炭化水素系溶媒エーテル系溶媒グリコール系溶媒及びアミン系溶媒からなる群から選択される少なくとも一種である、上記(6)〜(9)のいずれかの方法。

0021

(11)前記有機溶媒が、イソプロピルアルコール(IPA)及び/又はトルエンである、上記(10)の方法。

0022

(12)固体電解質体の製造方法であって、以下の工程;
複合酸化物粉末を準備する工程、
前記複合酸化物粉末を成形して成形体とする工程、及び
前記成形体を焼成して焼結体とする工程を含み、
前記複合酸化物粉末を準備する際、上記(6)〜(11)のいずれかの方法で複合酸化物粉末を作製する、方法。

0023

(13)リチウムイオン二次電池の製造方法であって、以下の工程;
少なくとも外装材と正極と負極と固体電解質体とを準備する工程、及び
前記正極及び負極を互いに相対するように前記外装材内に配置するとともに、前記正極と負極との間に固体電解質体を配置する工程を含み、
前記固体電解質体を準備する際に、上記(12)の方法で固体電解質体を作製する、方法。

発明の効果

0024

本発明によれば、緻密で高イオン伝導度の固体電解質体を作製することができる複合酸化物粉末及びその製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0025

焼成物のX線回折プロファイルを示す図である。
焼成物のX線回折プロファイルを示す拡大図である。
焼成物のSEM像を示す図である。
焼成物のSEM像を示す図である。
粉砕物のSEM像を示す図である。
焼成物、粉砕物及び熱処理物のX線回折プロファイルを示す図である。
熱処理物(複合酸化物粉末)の粒径分布を示す図である。
焼結体(固体電解質体)の外観写真を示す図である。
焼結体(固体電解質体)の交流インピーダンスナイキストプロットを示す図である。
焼成物、粉砕物及び熱処理物のX線回折プロファイルを示す図である。
焼成物及び熱処理物のSEM像を示す図である。
熱処理物(複合酸化物粉末)の粒径分布を示す図である。
焼結体(固体電解質体)の交流インピーダンスのナイキストプロットを示す図である。
焼結体(固体電解質体)破断面のSEM像を示す図である。

0026

本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施形態」という)について以下に説明する。ただし本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。

0027

複合酸化物粉末
本実施形態の複合酸化物粉末は、リチウム(Li)とランタン(La)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とを含み、立方晶ガーネット型結晶構造を有する粒子で構成される。またこの粒子はドーパント元素としてガリウム(Ga)のみをさらに含む。さらにこの複合酸化物粉末は、その体積粒度分布における50%径(D50)が1000nm以下であり、且つパイロクロア相の含有割合が10質量%以下である。

0028

ガーネット型複合酸化物の結晶構造として正方晶立方晶とが知られている。このうち立方晶のガーネット型複合酸化物は、リチウムイオン伝導度が高いとともに、化学的定性に優れ且つ電位窓が広いという特徴がある。また複合酸化物の構成元素をリチウム(Li)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)及び酸素(O)とすることで、結晶構造がより安定化するとともに、耐リチウム性に優れたものとなる。そのため本実施形態の複合酸化物粉末は、リチウムイオン二次電池をはじめ種々の用途での固体電解質用材料として有用である。なお本明細書において、粒子とは個々の粒のことを指し、粉末とは複数の粒子の集合体であって全体として流動性を示すものを意味する。

0029

複合酸化物粉末を構成する粒子は、ドーパント元素としてガリウム(Ga)のみをさらに含む。すなわち複合酸化物粉末(粒子)は、リチウム(Li)とランタン(La)とジルコニウム(Zr)とガリウム(Ga)と酸素(O)を含み、残部が不可避不純物である。ここで不可避不純物は、製造工程中に不可避的に混入する成分であり、その含有量が5000ppm以下の成分を指す。粒子を構成する元素(Li等)をガリウム(Ga)で置換することで、複合酸化物粉末のイオン伝導度や焼結性などの特性がより向上する。

0030

複合酸化物粉末を構成する粒子は、式:Li7−3xGaxLa3Zr2O12で表される基本組成(ただし0.1≦x≦0.5)を有することが好ましい。この基本組成は、リチウム(Li)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)及び酸素(O)を構成元素とするガーネット型構造の化学量論組成(Li7La3Zr2O12;LLZO)にガリウム(Ga)をドープしたものである。この基本組成(化学量論組成)とすることで、複合酸化物粉末の結晶構造が安定化し、イオン伝導度がより一層に高くなる。またガリウム(Ga)量xをある程度に大きくすることで、ガリウムドープの効果を十分に発揮させることができる。ただしガリウムの過剰含有はかえって特性を劣化させる場合がある。したがってガリウム量xは、0.1≦x≦0.5が好ましく、0.2≦x≦0.4がより好ましい。なお粒子の組成を厳密な化学量論組成にする必要はない。原料配合時のブレ不純物の混入などにより、±10%程度の組成のズレ許容される。また複合酸化物粉末は、ガーネット型構造を有する粒子以外の成分の含有を排除するものではない。このような成分として、焼結助剤等の添加剤を挙げることができる。

0031

本実施形態の複合酸化物粉末は、その体積粒度分布における50%径(D50)が1000nm以下である。このように複合酸化物粉末を微細化することで、この複合酸化物粉末を用いて作製した焼結体(固体電解質体)が緻密になるとともに、バルク抵抗及び粒界抵抗が小さくなる。これらが相まって焼結体(固体電解質体)のイオン伝導度が顕著に高くなる。D50は750nm以下が好ましく、600nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。D50の下限は特に限定されるものではない。しかしながらD50は200nm以上であってよく、400nm以上であってもよい。

0032

本実施形態の複合酸化物粉末は、パイロクロア相の含有割合が10質量%以下である。ここでパイロクロア相は、式:La2Zr2O7で表される組成を有する異相である。ガーネット型構造を構成するリチウム(Li)原子は、蒸気圧が高いとともに水との反応性が高い。そのため複合酸化物粉末を製造する際に、揮発や水への溶解を通して原料や処理物から容易に抜け出てしまう。リチウム(Li)が抜け出てしまうと、複合酸化物粉末中に多量のパイロクロア相(La2Zr2O7)が生成してしまう。このパイロクロア相はイオン伝導度が小さい。そのためパイロクロア相が多量に生成してしまうと、複合酸化物粉末のイオン伝導度が劣化してしまう。複合酸化物粉末のパイロクロア相の含有割合を低く抑えることで、イオン伝導度が優れたものになる。パイロクロア相の含有割合は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。含有割合は0質量%であってもよい。

0033

複合酸化物粉末を構成する粒子は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)及びニオブ(Nb)からなる群から選択される少なくとも一種のドーパント元素をさらに含んでもよい。粒子を構成する元素(Li、La、Zr及びO)を上述のドーパント元素で置換することで、複合酸化物粉末のイオン伝導度や焼結性などの特性が向上することがある。ただしドーパント元素の過剰の含有はかえって特性を劣化させる場合がある。したがってドーパント元素の含有量は、Li7La3Zr2O12(LLZO)に対するモル比で、0.1〜0.5が好ましく、0.2〜0.3がより好ましい。

0034

複合酸化物粉末は、そのX線回折(XRD)プロファイルにおける(211)回折線のピーク半値幅が0.50°以下であることが好ましい。ガーネット型構造はX線回折プロファイルにおいて、(211)回折線と(420)回折線の2つの強いピークを示す。例えばCuKαを線源に用いた場合には、2θ=16.7°近傍に(211)回折線が現れ、2θ=30.8°近傍に(420)回折線が現れる。そのため(211)回折線の半値幅ガーネット構造結晶性指標として用いることができる。(211)回折線のピーク半値幅が小さい複合酸化物粉末は、結晶性に優れ、イオン伝導度がより一層に優れている。ピーク半値幅は、0.40°以下が好ましく、0.30°以下がより好ましい。ピーク半値幅は典型的には0.05°以上であり、より典型的には0.10°以上である。

0035

複合酸化物粉末の製造方法
本実施形態の複合酸化物粉末の製造方法は、以下の工程;原料として少なくともリチウム(Li)源とランタン(La)源とジルコニウム(Zr)源とガリウム(Ga)源とを準備する工程(原料準備工程)、これらの原料を配合及び混合して混合物とする工程(原料混合工程)、この混合物を焼成して焼成物とする工程(焼成工程)、この焼成物を粉砕して粉砕物とする工程(粉砕工程)、及びこの粉砕物を熱処理して熱処理物とする工程(熱処理工程)を含む。また焼成物を粉砕する際に、ビーズミルを用いて有機溶媒中で焼成物の粉砕を行う。各工程の詳細について以下に説明する。

0036

<原料準備工程>
原料準備工程では、原料として少なくともリチウム(Li)源とランタン(La)源とジルコニウム(Zr)源とガリウム(Ga)源とを準備する。原料として公知のセラミックス原料を用いることができる。このような原料として金属酸化物金属水酸化物炭酸塩硝酸塩有機金属化合物及び/又は金属などが挙げられる。しかしながら安価に入手可能であり且つハンドリングの容易な金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩及び/又はこれらの水和物が好ましい。例えばリチウム(Li)源として炭酸リチウム(Li2CO3)、水酸化リチウム(LiOH)及び/又は酸化リチウム(Li2O)を用いることができる。またランタン(La)源として炭酸ランタン(La2(CO3)3)、水酸化ランタン(La(OH)3)及び/又は酸化ランタン(La2O3)を用いることができる。ジルコニウム(Zr)源として酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いることができる。ガリウム(Ga)源として酸化ガリウム(Ga2O3)を用いることができる。

0037

リチウム(Li)源として炭酸リチウム(Li2CO3)を用いることが好ましい。炭酸リチウム(Li2CO3)を用いることで、水酸化リチウム(LiOH)を用いた場合に比べて後続する焼成工程でのガーネット化反応がより進行し、不純物量の少ない焼成物や複合酸化物粉末を得ることができる。その上、炭酸リチウム(Li2CO3)は水酸化リチウム(LiOH)に比べて吸湿性が低く、ハンドリングが容易である。

0038

<原料混合工程>
原料混合工程では、準備した原料を配合及び混合して混合物とする。配合割合としては所望組成の複合酸化物粉末が得られるように配合すればよい。例えば基本組成(Li7−3xGaxLa3Zr2O12)のガーネット型複合酸化物を作製する場合には、リチウム(Li)とガリウム(Ga)とランタン(La)とジルコニウム(Zr)との原子比が7−3x:x:3:2となるように配合すればよい。ただし後述するように、焼成工程でのリチウム(Li)の揮発を見込んで、リチウム(Li)を過剰に配合することが好ましい。混合はセラミックス製造の分野で用いられる公知の手法で行えばよい。混合装置の一例として、乳鉢ライカイ機ヘンシェルミキサーボールミル及び振動ミルが挙げられる。混合は湿式及び乾式のいずれか一方又は両方で行うことができる。

0039

原料を配合する際に、ガーネット型結晶構造の化学量論組成に対してリチウム(Li)源を1〜20質量%の量で過剰に配合することが好ましい。リチウム(Li)は蒸気圧が高く、後続する焼成工程で揮発し易い成分である。揮発により焼成物がリチウム(Li)欠乏組成になると、イオン伝導度劣化の原因となるパイロクロア相(La2Zr2O7)が生成し易くなる。したがって焼成工程でのリチウム(Li)揮発を補償するため、配合工程でリチウム(Li)源を過剰に配合することが好ましい。過剰配合量が少なすぎるとリチウム(Li)の揮発が十分に補償されない。一方で、過剰配合量が多すぎると、リチウム(Li)を過剰に含む異相が焼成物中に生成する恐れがある。そのため過剰配合量は1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、6〜10質量%がさらに好ましい。

0040

<焼成工程>
焼成工程では、得られた混合物を焼成(仮焼)して焼成物(仮焼物)とする。焼成は、原料の熱分解を起こすとともに原料間の反応を進めてガーネット型複合酸化物を生成するために行う。例えば原料として炭酸塩や水酸化物を用いた場合には、焼成初期段階炭酸ガスや水分が除去される。その後あるいは同時に原料中の構成成分同士が反応して、ガーネット型複合酸化物が生成する。原料の熱分解及び反応を進めるために、焼成はある程度の高温で長時間行うことが望ましい。焼成温度は700℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、900℃以上がさらに好ましい。また焼成の保持時間は6時間以上が好ましく、8時間以上がより好ましく、10時間以上がさらに好ましい。一方で焼成が過度に進行すると、焼成物の粒成長が進行し過ぎてしまい、後続する粉砕工程での粉砕が困難となる恐れがある。そのため焼成温度は1200℃以下が好ましく、1150℃以下がより好ましく、1100℃以下がさらに好ましい。また保持時間は16時間以下が好ましく、14時間以下がより好ましく、12時間以下がさらに好ましい。

0041

焼成雰囲気は、ガーネット型複合酸化物を得ることができる限り、特に限定されるものではない。しかしながら大気酸素雰囲気などの酸素含有雰囲気が好ましく、特に大気が好ましい。さらに焼成はセラミックス製造の分野で用いられる公知の手法で行えばよい。例えば原料混合物るつぼセッター等に装入し、その状態のまま焼成炉中での焼成を行うことができる。焼成炉として公知の炉を用いればよい。

0042

混合物の焼成は1回のみ行ってもよいが、複数回、例えば2回行うことが好ましい。焼成を複数回行うことで、混合物のガーネット化反応がより進行する。そのため焼成物の結晶性が優れたものになるとともに、不純物相の生成が抑制される。混合物を焼成する際に、混合物を700〜1000℃の温度で第1の焼成を行い、更に900〜1100℃の温度で第2の焼成を行うことが特に好ましい。なお焼成を複数回行うときは、1回の焼成保持時間を上述の範囲内(16時間以下等)にすればよい。

0043

<粉砕工程>
粉砕工程では、得られた焼成物を粉砕して粉砕物とする。焼成物を粉砕する際に、ビーズミルを用いて有機溶媒中で焼成物の粉砕を行う。ビーズミルは無機粉末の粉砕及び分散処理を行う装置であり、粉砕室と、該粉砕室内に設けられるロータアジテーター)とから構成されている。また粉砕室の内壁とロータとの空隙には多数の粉砕メディア充填されている。粉砕メディアとして、酸化ジルコニウム等のセラミックスからなる小径ビーズが用いられる。また湿式で粉砕を行う場合には、処理粉体とともに粉砕溶媒を粉砕室内に投入する。粉砕時には、処理粉体を粉砕室内に投入し、ロータを高速回転させる。ロータを高速回転させるとビーズ撹拌される。それに伴い、ビーズが他のビーズ、粉砕室内壁及びロータに高速衝突する。これによりビーズとビーズ間やビーズと粉砕室内壁間に存在する処理粉体に強力な衝撃力及びせん断力が加わり、それにより処理粉体が粉砕される。ボールミルなどの他の粉砕装置に比べて、ビールミルでは粉砕メディアの径が小さく且つ高速で運動する。そのため処理粉体の微細化に有効な手法である。

0044

ビーズミルによる粉砕には乾式処理湿式処理とがある。本実施形態では有機溶媒中での湿式処理行う。乾式粉砕に比べて湿式粉砕の方が、処理粉体が微細化される。これは乾式粉砕の場合には処理粉体の凝集が避けられず、粉砕中の個々の粒子に衝撃力やせん断力が有効に加わらないからである。また湿式粉砕であっても水中での粉砕は好ましくない。これは処理粉体たる焼成物に含まれるリチウム(Li)成分が水中に溶解して抜け出てしまうからである。粉砕後の処理粉体を全量乾燥させる手法も考えられるが、その場合には乾燥後の粉砕物中でリチウム(Li)成分が偏析してしまい、均一組成のガーネット型複合酸化物を得ることができない。これに対して有機溶媒中でビーズミル粉砕を行うことで、粉砕物からのリチウム(Li)成分の溶解を防ぐことができ、均一組成で微細な粉砕物を得ることが可能になる。

0045

有機溶媒が、メタノールエタノールブタノールヘキサノールベンジルアルコール及びイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール系溶媒、アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸メチル酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−3メチル−1−ブタノール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンシクロヘキサンメチルシクロヘキサンエチルシクロヘキサンミネラルオイルノルマルパラフィン及びイソパラフィンなどの炭化水素系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、エチレングリコールジエチレングリコールプロピレングリコール及びポリエチレングリコールなどのグリコール系溶媒、モノエタノールアミンジエタノールアミントリエタノールアミン、n−メチル−2−ピロリドン2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミン系溶媒からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、イソプロピルアルコール(IPA)及び/又はトルエンが特に好ましい。親水性の強い水であるとリチウム(Li)が溶解して、焼成物を構成するLLZOの結晶性が壊れてしまう恐れがあるが、上述した有機溶媒は疎水性が強いため、リチウム(Li)が溶解しにくく、LLZOの結晶性を保ちやすい。

0046

<熱処理工程>
熱処理工程では、得られた粉砕物を熱処理して熱処理物とする。粉砕工程後の粉砕物は、粉砕処理により生じた結晶歪を含んでいる。結晶歪を含む粉砕物は、その結晶性が低く、イオン伝導度等の特性に劣る。熱処理工程で結晶性を回復させることで、微細且つ高特性の複合酸化物粉末を得ることができる。結晶性を回復するには、ある程度の高温で長時間の熱処理を施すことが有効である。そのため熱処理温度は200℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましく、400℃以上がさらに好ましい。また熱処理の保持時間は0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、1.5時間以上がさらに好ましい。一方で熱処理を過度に行うと、粉砕物の粒成長が進行してしまい、得られる複合酸化物粉末が粗大化する恐れがある。そのため熱処理温度は1000℃以下が好ましく、900℃以下がより好ましく、800℃以下がさらに好ましい。また保持時間は4時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましく、2時間以下がさらに好ましい。熱処理雰囲気は、ガーネット型構造が維持される限り、特に限定されるものではない。しかしながら大気や酸素雰囲気などの酸素含有雰囲気が好ましく、特に大気が好ましい。

0047

本実施形態の方法によれば、微細で異相が少なく且つ結晶性が高い、優れた複合酸化物粉末の製造が可能となる。このような優れた複合酸化物を用いることで、緻密で且つイオン伝導度の高い固体電解質を作製することが可能となる。

0048

固体電解質体の製造方法
本実施形態の固体電解質体の製造方法は、以下の工程;複合酸化物粉末を準備する工程(複合酸化物粉末準備工程)、この複合酸化物粉末を成形して成形体とする工程(成形工程)、及びこの成形体を焼成して焼結体とする工程(本焼成工程)を含む。また複合酸化物粉末を準備する際、上述した方法で複合酸化物粉末を作製する。各工程の詳細について以下に説明する。

0049

<複合酸化物粉末準備工程>
まず複合酸化物粉末を準備する。この際、上述した方法で複合酸化物粉末を作製する。

0050

<成形工程>
成形工程では、得られた複合酸化物粉末を成形して成形体とする。成形は、セラミックス製造の分野で用いられる公知の手法で行えばよい。このような手法としてプレス成形ドクターブレード法などが挙げられる。

0051

<本焼成工程>
本焼成工程では、得られた成形体を焼成(本焼成)して焼結体とする。本焼成は、セラミックス製造の分野で用いられる公知の手法で行えばよい。例えば成形体を1000〜1300℃で10〜20時間保持する手法が挙げられる。ただし成形体をLLZO粉末中に埋め込んだ状態で焼成することが好ましい。これにより成形体からのリチウム(Li)成分の揮発を防ぐことができる。

0052

必要に応じて、得られた焼結体を加工してもよい。加工は、セラミックス製造の分野で用いられる公知の手法で行えばよい。例えば、焼結体を研磨研削又は切断する手法が挙げられる。

0053

このようにして固体電解質体を得ることができる。この固体電解質体は緻密で且つイオン伝導度に優れる。そのためリチウムイオン二次電池、酸素センサー又は電気二重層コンデンサ—の固体電解質体として有用である。

0054

リチウムイオン二次電池の製造方法
本実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法は、以下の工程;少なくとも外装材と正極と負極と固体電解質体とを準備する工程、及び前記正極及び負極を互いに相対するように前記外装材内に配置するとともに、前記正極と負極との間に固体電解質体を配置する工程を含む。また固体電解質体を準備する際に、上述した方法で固体電解質体を作製する。

0055

外装材、正極及び負極としてリチウムイオン二次電池に用いられる公知の材料を用いることができる。例えば外装材として金属又は樹脂等の容器を用いることができる。また正極としてマンガン酸化物リチウムマンガン複合酸化物リチウムニッケル複合酸化物又はリチウムコバルト複合酸化物からなる正極活物質正極集電体に塗布したものなどを用いることができる。さらに負極として金属リチウムリチウム化合物からなる負極活物質負極集電体に塗布したものなどを用いることができる。

0056

本実施形態のリチウムイオン二次電池は、緻密で且つイオン伝導度に優れる固体電解質体を備えており、それゆえ出力の高いものとなる。

0057

本実施形態を、以下の例によってさらに具体的に説明する。しかしながら本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0058

実験例1]
実験例1では、AlドープLLZOについて出発原料の混合及び焼成を行って焼成物を作製した。ここでは出発原料の種類や焼成条件の影響を調べた。

0059

(1)焼成物の作製
例1−1(参考例)
<原料混合工程>
出発原料として、炭酸リチウム(Li2CO3)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化アルミニウム(Al2O3)の各粉末を準備した。そして目標組成(Li6.25Al0.25La3Zr2O12)に対してリチウム源(炭酸リチウム)が6質量%の量で過剰となるように出発原料を配合した。次いで配合した出発原料をアルミナ乳鉢中で混合した。混合の際にイソプロピルアルコール(IPA)を出発原料に加えた。

0060

<焼成工程>
得られた混合物をアルミナるつぼに入れて焼成(仮焼)して焼成物(仮焼物)とした。この際、1000℃×12時間の条件で1回の焼成を行った。

0061

例1−2(参考例)
焼成工程の際に焼成を2回行った。それ以外は例1−1と同様にして焼成物を作製した。

0062

例1−3(参考例)
原料混合工程の際に、リチウム源として炭酸リチウム(Li2CO3)の代わりに水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)を用いた。それ以外は例1−1と同様にして焼成物を作製した。

0063

例1−4(参考例)
焼成工程の際に焼成を2回行った。それ以外は例1−3と同様にして焼成物を作製した。

0064

(2)評価
例1−1〜例1−4につき、各種特性の評価を以下のとおり行った。

0065

<X線回折>
得られた焼成物を粉末X線回折法により分析して、焼成物中の結晶相を同定した。分析条件は以下のとおりとした。

0066

X線回折装置:ブルカー D2 Phaser
‐線源:CuKα線
管電圧:30kV
管電流:10mA
スキャン速度:2.4°/min
スキャン範囲(2θ):10〜70°

0067

<SEM観察>
走査電子顕微鏡(SEM;FEI製、SIRION)を用いて焼成物の観察を行った。観察は2000倍または20000倍の条件で行った。

0068

(3)評価結果
例1−1〜例1−4について、焼成物のX線回折パターン図1及び図2に示す。なお図2図1の拡大図である。また図1及び図2において、「〇」印は立方晶ガーネット相(LLZO)の回折線を、「▽」印はパイロクロア相(La2Zr2O7)の回折線を、「×」印は不純物相の回折線を示す。

0069

図1に示されるように、全ての試料(例1−1〜例1−4)で立方晶ガーネット型化合物(図中「〇」印)が主相として生成していた。また1回の焼成を行った試料(例1−1及び例1−3)は不純物相(図中「×」印)を含んでいた。一方で2回の焼成を行った試料(例1−2及び例1−4)では、XRDピークの狭幅化、バックグラウンドノイズの低減に加えて、不純物相(図中「×」印)が消滅し、少量のパイロクロア相(図中「▽」印)が生成していた。不純物相(図中「×」印)は過剰に添加したリチウム(Li)を含む相であり、パイロクロア相は、2回焼成によるリチウム(Li)揮発により生じたと推察される。したがって2回焼成で立方晶ガーネット単相を得るためには、配合時のリチウム(Li)源の過剰添加量を8質量%程度にすることが適切と考えられる。またリチウム(Li)源として炭酸リチウム(Li2CO3)を用いた試料(例1−2)は、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)を用いた試料(例1−4)に比べて不純物相の量が少なかった。

0070

例1−2及び例1−4それぞれのSEM写真を図3及び図4に示す。SEM写真からリチウム(Li)源の違いによる微細構造の影響が観察された。具体的には、炭酸リチウム(Li2CO3)を用いた試料(例1−2)は、10μm程度の大きさの角状粒子が表面で融着した構造を示した(図3)。これに対して、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)を用いた試料(例1−4)は、直径2〜3μmの小さな球状粒子が融着した構造を示した(図4)。例1−2の方が立方晶の特徴をより反映した形状であると考えられる。微細構造が異なる原因として、その詳細は不明であるが、リチウム源の融点(Li2CO3:723℃、LiOH:462℃)が関係すると考えられている。

0071

これらの結果から、純度の高い立方晶ガーネット型LLZO化合物を作製するためには、リチウム(Li)源として炭酸リチウム(Li2CO3)を用い、リチウム(Li)過剰添加量(配合量)を6質量%程度とし、1000℃で12時間の焼成を2回行うことが好ましいと考えられる。

0072

[実験例2]
実験例2では、AlドープLLZOについて焼成物の粉砕及び熱処理を行って複合酸化物粉末を作製し、粉砕条件熱処理条件の影響を調べた。

0073

(1)複合酸化物粉末の作製
例2−1(比較例)
<粉砕工程>
実験例1の例1−2で得られた焼成物を、湿式ビーズミルを用いて水(H2O)中で粉砕した。粉砕条件は、粉砕室容量:1.2L、粉砕メディア:ジルコニアビーズ(0.8mmφ)、ビーズ充填率:80体積%、アジテーター先端速度:10m/秒、流量:1500mL/分とした。また粉砕溶媒(水)を焼成物の20質量%となる量(20L)で投入した。さらに粉砕時間は0.5、1.0又は2.0時間とした。これにより粉砕物を得た。なお水(H2O)中で粉砕した場合、粉砕時間2.0時間で粉砕物がかなり凝集したため、2.0時間を超えた粉砕を行わなかった。

0074

<熱処理工程>
得られた粉砕物に熱処理を施して複合酸化物粉末を得た。熱処理は700℃×4時間の条件で行った。

0075

例2−2(参考例)
焼成物の粉砕をイソプロピルアルコール(IPA)中で0.5、1.0、2.0又は4.0時間行い、熱処理を400℃×2時間の条件で行った。それ以外は例2−1と同様にして複合酸化物粉末を作製した。

0076

例2−3(参考例)
焼成物の粉砕をトルエン中で4.0時間行い、熱処理を400℃×2時間の条件で行った。それ以外は例2−1と同様にして複合酸化物粉末を作製した。

0077

(2)評価
例2−1〜例2−3につき、各種特性の評価を以下のとおり行った。

0078

<X線回折>
得られた粉砕物及び複合酸化物粉末の分析を粉末X線回折法により行い、結晶相を同定した。分析条件は実験例1と同様にした。

0079

<粒径分布>
光学式粒径分布測定により複合酸化物粉末の粒径分布を求めた。測定は次のようにして行った。すなわち純水中に粉末試料を投入し超音波分散器で5分間分散させた後、レーザー回折式粒度分布測定装置島津製作所製、SALD−1100)を用いて測定した。

0080

<SEM観察>
走査電子顕微鏡(SEM;FEI製、SIRION)を用いて粉砕物及び複合酸化物粉末の観察を行った。

0081

(3)評価結果

0082

例2−1及び例2−2につき、粉砕物のSEM写真を図5(a)〜(f)に示す。ここで(a)、(b)及び(c)のそれぞれは、イソプロピルアルコール(IPA)中で0.5、1.0又は2.0時間粉砕した試料(例2−2)のSEM写真である。また(d)、(e)及び(f)のそれぞれは、水(H2O)中で0.5、1.0又は2.0時間粉砕した試料(例2−1)のSEM写真である。

0083

図5(a)〜(f)で示されるように、イソプロピルアルコール(IPA)中で粉砕した試料(例2−2)は、0.5時間の処理で粒子はほぼ1μm以下にまで粉砕されている(図5(a))。処理時間を1.0時間、2.0時間とすることで、粉砕がさらに進んでいるように見える(図5(b)及び(c))。これに対して、水(H2O)中で粉砕した試料(例2−1)は、1μm程度にまで粉砕は進んでいるが、IPA中で粉砕した場合に比べて粒子径がやや大きい。また粉砕された粒子の凝集が見られる(図5(d)〜(f))。

0084

例2−1〜例2−3について、焼成物、粉砕物及び熱処理物(複合酸化物粉末)のX線回折パターンを図6に示す。

0085

図6に示されるように、水(H2O)中で粉砕した試料(例2−1)は、粉砕物の段階では、回折線が高角度側にシフトしており、結晶格子収縮していることが分かる。また不純物相のピーク(図中「×」印)のピークが見られる。この粉砕物を熱処理した熱処理物では、高角度側へのシフトはなくなるが、パイロクロア相(図中「▽」印)によるピークが大きくなった。水(H2O)中での粉砕では、リチウム(Li)が溶け出したLLZO結晶から、熱処理によりパイロクロア相が生じたと考えられる。実際、溶媒として用いた水(H2O)は粉砕後に強アルカリ性を示すことが確認されており、このことはリチウム(Li)の溶出裏付ける。

0086

イソプロピルアルコール(IPA)中で粉砕した試料(例2−2)は、焼成物の段階では(211)回折線の回折角(2θ)が16.74°であったのに対し、粉砕物の段階ではこの回折角が16.58°であった。このことから粉砕によりピークが低角度側にシフトし、格子膨張していることが分かる。また新たな不純物は生じていない。この不純物を熱処理した複合酸化物粉末では、(211)回折線の回折角が16.68°であり、ピークのシフトが緩和していた。またパイロクロア相の生成が確認されたものの、X線回折のピーク強度比から見積もった含有割合は約3質量%と少なかった。さらに(211)回折線のピーク半値幅は0.25°であった。

0087

トルエン中で4時間の粉砕を行った試料(例2−3)は、立方晶ガーネット構造を保持している。また回折線はやや低角側にシフトしており、このことは結晶格子が膨張していることを示す。粉砕物に400℃で2時間の熱処理を施すことにより、回折線のシフトは見られなくなり、トルエン中粉砕ではパイロクロア等の不純物相は生じなかった。

0088

以上の結果から、水(H2O)を溶媒として粉砕処理した場合には、LLZO中のリチウム(Li)イオンが水中に溶け出して、結晶格子が収縮すると考えられる。またその後の熱処理でもリチウム(Li)イオンは結晶格子内に完全には戻らず、溶け出したリチウム(Li)イオンがパイロクロア相(La2Zr2O7)として結晶化すると考えられる。これに対して、イソプロピルアルコール(IPA)やトルエンなどの有機溶媒中で粉砕処理した場合には、粉砕処理後に結晶格子が少し膨張し、熱処理によって元に戻る。詳細なメカニズムは不明であるが、微細化処理における溶媒の働きが重要であると考えられる。

0089

IPA中粉砕して作製した例2−2について熱処理物(2時間粉砕+700℃×4時間熱処理)の粒径分布を図7に示す。50%径(D50)は0.4μmであり、約80%が粒子径1μm以下の粒子であった。

0090

[実験例3]
実験例3ではAlドープLLZOについて複合酸化物粉末を作製し、さらにこの複合酸化物粉末を成形及び本焼成して焼結体(固体電解質体)を作製した。そして焼結性及びイオン伝導度の評価を行った。

0091

(1)焼結体の作製
例3−1(参考例)
<原料混合工程>
出発原料として、炭酸リチウム(Li2CO3)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の各粉末を準備した。式:Li7−3xAlxLa3Zr2O12で表される組成においてアルミニウム(Al)ドープ量xが0.3となり且つリチウム源(炭酸リチウム)の過剰添加量が10質量%となるように出発原料を配合した。次いで配合した出発原料をアルミナ乳鉢中で混合した。混合の際にイソプロピルアルコール(IPA)を出発原料に加えた。

0092

<焼成工程>
得られた混合物をアルミナるつぼに入れて焼成して焼成物を作製した。焼成は900℃×12時間で1回及び1035℃×12時間で1回行った。

0093

<粉砕工程>
得られた焼成物を、湿式ビーズミルを用いてイソプロピルアルコール(IPA)中で粉砕した。粉砕媒体としてジルコニアビーズ(0.8mmφ)を用いた。また粉砕時間は4.0時間とした。これにより粉砕物を得た。

0094

<熱処理工程>
得られた粉砕物に熱処理を施した。熱処理は400℃×2時間の条件で行った。これにより複合酸化物粉末を得た。得られた複合酸化物粉末は、その粒径が0.3〜0.5μm(D50は0.41μm)であった。

0095

<成形工程>
得られた複合酸化物粉末をプレス成形した。成形は直径17mmのダイスを用い200MPaの条件で行った。これにより円板状の成形体を得た。

0096

<本焼成工程>
得られた成形体をLLZO粉末中に埋め込んだ状態でアルミナるつぼに入れ、これを本焼成した。本焼成は1150℃又は1250℃×12時間の条件で行った。これにより焼結体を得た。

0097

例3−2(参考例)
粉砕時間を3時間とし、熱処理を800℃×3時間の条件で行った。それ以外は例3−1と同様にして複合酸化物粉末及び焼結体を作製した。

0098

例3−3(比較例)
焼成物の粉砕処理及び熱処理を行わなかった。それ以外は例3−1と同様にして複合酸化物粉末及び焼結体を作製した。得られた複合酸化物粉末は、その粒径が1〜10μmであった。

0099

例3−4(比較例)
アルミニウム(Al)ドープ量xが0.25となるように出発原料を配合した。それ以外は例3−3と同様にして複合酸化物粉末及び焼結体を作製した。得られた複合酸化物粉末は、その粒径が1〜10μmであった。
(2)評価
例3−1〜例3−4につき、各種特性の評価を以下のとおり行った。

0100

<X線回折>
得られた焼成物及び粉砕物を粉末X線回折法により分析して、結晶相を同定した。分析条件は実験例1と同様にした。

0101

外観観察
焼結体の外観を目視にて観察した。

0102

焼結体密度
焼結体の寸法(直径、厚さ)及び質量を測定し、密度を算出した。またLLZOの理論密度(5.14g/cm3)を用いて相対密度を求めた。

0103

<イオン伝導度>
焼結体のイオン伝導度を交流インピーダンス法で測定した。まず焼結体の両面を研磨し、スパッタリング成膜により金を蒸着しして測定試料を作製した。測定はインピーダンスアナライザ(Solartron製、1260A)を用いて室温で行った。

0104

(3)評価結果
例3−1〜例3−4につき、焼成温度1250℃の条件で作製した焼結体の外観写真を図8に示す。例3−1はほぼ白色であるが、例3−2、例3−3及び例3−4の順にベージュがかった色で着色されていた。

0105

例3−1〜例3−4につき、焼成温度1150℃又は1250℃の条件で作製した焼結体の密度と相対密度を表1に示す。表1に示されるように、同じ焼成温度で比較すると、微粒子を原料とした例3−1及び例3−2は、粒径数μmの粒子を原料とした例3−3及び例3−4より密度が向上し、緻密に焼結していることが分かる。

0106

0107

例3−1から例3−4につき、焼成温度1250℃の条件で作製した焼結体の交流インピーダンスのナイキストプロットを図9に示す。図9に示されるように、微粒子化した粉末を焼成した例3−1及び例3−2ではバルク抵抗により左側(高周波数側)の半円が例3−3及び例3−4に比べて小さくなっている。このことより、微粒子化した粉末を焼成することによりバルクのイオン伝導度が向上していることが分かる。インピーダンス結果より計算されたバルクイオン伝導度は、例3−1で3.8×10−4Scm−1、例3−2で4.7×10−4Scm−1であり、例3−3で2.9×10−4Scm−1、例3−4で2.8×10−4Scm−1であった。

0108

図9に示されるように、例3−3及び例3−4では粒界抵抗による2つ目の半円が明確にみられる一方で、例3−1及び例3−2では2つ目の半円が明確には見られない。このことより、例3−1及び例3−2では粒界抵抗が小さくなっていることが分かる。

0109

[実験例4]
実験例4では、GaドープLLZOについて出発原料の混合及び焼成を行って焼成物を作製し、さらに焼成物の粉砕及び熱処理を行って複合酸化物粉末を作製した。

0110

(1)複合酸化物粉末の作製
例4−1(実施例)
<原料混合工程>
出発原料として、炭酸リチウム(Li2CO3)、酸化ランタン(La2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化ガリウム(Ga2O3)の各粉末を準備した。式:Li7−3xGaxLa3Zr2O12で表される組成においてガリウム(Ga)量xが0.3となり且つリチウム源(炭酸リチウム)の過剰添加量が10質量%となるように出発原料を配合した。次いで配合した出発原料をアルミナ乳鉢中で混合した。混合の際にイソプロピルアルコール(IPA)を出発原料に加えた。

0111

<焼成工程>
得られた混合物をアルミナるつぼに入れて焼成して焼成物を作製した。焼成の際は、900℃×12時間で1回の焼成を行った後に、焼成した混合物を粉砕及び湿式混合し、さらに1035℃×12時間で1回の焼成を行った。これによりLi6.1Ga0.3La3Zr2O12組成のGa−LLZO粉末(焼成物)を得た。

0112

<粉砕工程>
得られたGa−LLZO粉末を粉砕した。粉砕は湿式ビーズミルを用いてイソプロピルアルコール(IPA)中で行った。粉砕媒体としてジルコニアビーズ(0.8mmφ)を用い、粉砕時間は4.0時間とした。粉砕後に乾燥を行い、微粒子化したGa−LLZO−S(粉砕物)を得た。

0113

<熱処理工程>
得られたGa−LLZO−Sに800℃×2時間の条件で熱処理を施して、複合酸化物粉末を得た。

0114

例4−2(実施例)
熱処理を400℃×2時間の条件で行った。それ以外は例4−1と同様にして複合酸化物粉末を作製した。

0115

例4−3(比較例)
粉砕物の熱処理を行わなかった。それ以外は例4−1と同様にして複合酸化物粉末を作製した。

0116

例4−4(比較例)
焼成物の粉砕及び熱処理を行わなかった。それ以外は例4−1と同様にして複合酸化物粉末を作製した

0117

(2)評価
例4−1〜例4−4につき、各種特性の評価を例2−1〜例2−3と同様にして行った。

0118

(3)評価結果
例4−1〜例4−4についてX線回折パターンを図10に示す。図10に示されるように、いずれの試料も立方晶ガーネット型結晶構造の回折パターンを示していた。パイロクロア相(La2Zr2O7)に由来する回折線(図中▼)は800℃熱処理物(例4−1)でわずかに観察されただけであった。粉砕物(例4−3)では回折線が低角度側にシフトしていた。このことは格子の膨張を示している。また粉砕物(例4−3)及び400℃熱処理物(例4−2)では回折線の幅が広かった。このことは結晶粒が微細化したことを示している。一方で800℃熱処理物(例4−1)では結晶子の成長により回折線の幅がいくぶん細くなっていた。

0119

焼成物(例4−4)及び400℃熱処理物(例4−2)のSEM写真のそれぞれを、図11(a)及び(b)に示す。ここで図11(a)は倍率1000倍でのSEM写真を示し、図11(b)は倍率10000倍でのSEM写真を示す。焼成物(例4−4)では粒子の径が約10μmであるのに対し、焼成物をビーズミル処理し、さらに400℃で熱処理した試料(例4−2)では粒子が1μm以下に粉砕されていた。

0120

400℃熱処理物(例4−2)の粒度分布測定結果を図12に示す。平均粒径D50は0.56μm(560nm)であった。粒度分布には、0.3μm付近と2μm付近に2つの山が見られた。SEM写真からは1μm以上の単一粒子は観察されないことから、微粒子の凝集により2μm付近の山が見られたと考えられる。

0121

[実験例5]
実験例5では、GaドープLLZOについて、焼成物又は熱処理物(複合酸化物粉末)を成形及び本焼成して焼結体(固体電解質体)を作製した。そして焼結性及びイオン伝導度の評価を行った。

0122

(1)焼結体の作製
例5−1(実施例)
実験例4で作製した400℃熱処理物(例4−2)を用いて焼結体を作製した。焼結体の作製は次のとおり行った。まず熱処理物を直径約20mm、厚さ1.5mmのディスク状にプレス成形した。次に得られた成形体を母粉末中に埋め込んだ状態でアルミナるつぼに入れ、これを本焼成した。本焼成は1250℃×12時間の条件で行った。これにより焼結体を得た。

0123

例5−2(比較例)
400℃熱処理物の代わりに焼成物(例4−4)を用いた以外は例5−1と同様にして焼結体を作製した。

0124

(2)評価
例5−1及び例5−2につき、各種特性の評価を例3−1〜例3−4と同様にして行った。

0125

(3)評価結果
例5−1及び例5−2につき、焼結体の密度とイオン伝導度とを表2に示す。なお表2にはAlドープLLZOについて得られた例3−2及び例3−4の結果を併せて示している。焼成物及び熱処理物のいずれを原料に用いた場合であっても、GaドープLLZO(例5−1、例5−2)は、焼結体密度及びイオン伝導度がAlドープLLZO(例3−2、例3−4)より高かった。

0126

0127

例5−1及び例5−2につき、インピーダンスのナイキスプロットを例3−2及び例3-4の結果とともに図13に示す。GaドープLLZO焼成物から作製した焼結体(例5−2)は、AlドープLLZO焼成物から作製した焼結体(例3−4)より小さな半円を描き、伝導度が高いことがわかった。またGaドープ熱処理物から作製した焼結体(例5−1)は焼成物から作製した焼結体(例5−2)よりさらに高い伝導度を示した。Gaドープ熱処理物から作製した焼結体(例5−1)及びAlドープ熱処理物から作製した焼結体(例3−2)のいずれもナイキスプロット中に粒界抵抗と思われる成分が見られなかった。

実施例

0128

例5−1及び例5−2につき、焼結体破断面のSEM写真を図14(a)及び(b)に示す。焼成物から作製した焼結体(例5−2)では粒径数十μmの粒子が緻密に焼結しているものの、粒子間に粒界が観察され、また5〜10μm程度のサイズの比較的大きな孔が見られた(図14(a))。これに対して400℃熱処理物から作製した焼結体(例5−1)では数μm以下のサイズのクローズドポアが見られる以外は極めて緻密に焼結しており、また粒界もほとんど観察されなかった(図14(b))。

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