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図面 (9)

課題

エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに、退避走行可能な距離を長くすることができる四輪駆動車両を提供する。

解決手段

エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときには、トランスファ四輪駆動状態とすることが禁止されるので、動力伝達装置における損失が比較的小さくされる二輪駆動状態で退避走行が行われる。よって、四輪駆動車両において、エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに、退避走行可能な距離を長くすることができる。

概要

背景

エンジン及び回転機を含む駆動力源と、前記駆動力源からの駆動力主駆動輪及び副駆動輪に伝達可能であり且つ前記駆動力を前記主駆動輪のみに伝達する二輪駆動状態と前記駆動力を前記主駆動輪及び前記副駆動輪に伝達する四輪駆動状態とに切替可能である駆動力配分装置と、前記駆動力配分装置を制御する制御装置とを備えた四輪駆動車両が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された四輪駆動車両がそれである。

概要

エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに、退避走行可能な距離を長くすることができる四輪駆動車両を提供する。エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときには、トランスファを四輪駆動状態とすることが禁止されるので、動力伝達装置における損失が比較的小さくされる二輪駆動状態で退避走行が行われる。よって、四輪駆動車両において、エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに、退避走行可能な距離を長くすることができる。

目的

本発明は、以上の事情背景として為されたものであり、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

エンジン及び回転機を含む駆動力源と、前記駆動力源からの駆動力主駆動輪及び副駆動輪に伝達可能であり且つ前記駆動力を前記主駆動輪のみに伝達する二輪駆動状態と前記駆動力を前記主駆動輪及び前記副駆動輪に伝達する四輪駆動状態とに切替可能である駆動力配分装置と、前記駆動力配分装置を制御する制御装置とを備えた四輪駆動車両であって、前記制御装置は、前記エンジン及び前記回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときには、前記駆動力配分装置を前記四輪駆動状態とすることを禁止することを特徴とする四輪駆動車両。

請求項2

前記制御装置は、前記主駆動輪のスリップが検出された場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記駆動力配分装置を前記四輪駆動状態とすることを特徴とする請求項1に記載の四輪駆動車両。

請求項3

前記制御装置は、前記主駆動輪に前記駆動力を伝達できない場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記駆動力配分装置を前記四輪駆動状態とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の四輪駆動車両。

請求項4

前記制御装置は、前記四輪駆動車両が旋回中である場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記四輪駆動状態の禁止に伴う前記駆動力配分装置の前記四輪駆動状態から前記二輪駆動状態への切替えを禁止することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の四輪駆動車両。

請求項5

前記制御装置は、前記四輪駆動車両が制動中である場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記四輪駆動状態の禁止に伴う前記駆動力配分装置の前記四輪駆動状態から前記二輪駆動状態への切替えを禁止することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の四輪駆動車両。

請求項6

前記制御装置は、前記駆動力配分装置の制御状態が定まっていないと判定された場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記四輪駆動状態の禁止に伴う前記駆動力配分装置の前記四輪駆動状態から前記二輪駆動状態への切替えを禁止することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の四輪駆動車両。

請求項7

前記エンジンは、第1回転機の運転状態により差動状態を制御可能な差動機構動力伝達可能に連結されており、前記エンジン及び前記回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときとは、前記第1回転機の運転状態を制御できない状態で、前記回転機である第2回転機からの駆動力のみを用いて退避走行するときを含んでいることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の四輪駆動車両。

技術分野

0001

本発明は、二輪駆動状態四輪駆動状態とに切替可能に構成される四輪駆動車両に関するものである。

背景技術

0002

エンジン及び回転機を含む駆動力源と、前記駆動力源からの駆動力主駆動輪及び副駆動輪に伝達可能であり且つ前記駆動力を前記主駆動輪のみに伝達する二輪駆動状態と前記駆動力を前記主駆動輪及び前記副駆動輪に伝達する四輪駆動状態とに切替可能である駆動力配分装置と、前記駆動力配分装置を制御する制御装置とを備えた四輪駆動車両が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された四輪駆動車両がそれである。

先行技術

0003

国際公開第2011/042951号

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、上述した特許文献1に記載されたような四輪駆動車両において、エンジンからの駆動力を駆動系に伝達することができない為に回転機からの駆動力のみを用いて退避走行するような場合には、燃料熱エネルギーを駆動力に用いることができなくなることから、又は、回転機の故障が発生している為にエンジンからの駆動力のみを用いて退避走行するような場合には、電力を駆動力に用いることができなくなることから、退避走行可能な距離が短くなってしまう。

0005

本発明は、以上の事情背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに、退避走行可能な距離を長くすることができる四輪駆動車両を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

第1の発明の要旨とするところは、(a)エンジン及び回転機を含む駆動力源と、前記駆動力源からの駆動力を主駆動輪及び副駆動輪に伝達可能であり且つ前記駆動力を前記主駆動輪のみに伝達する二輪駆動状態と前記駆動力を前記主駆動輪及び前記副駆動輪に伝達する四輪駆動状態とに切替可能である駆動力配分装置と、前記駆動力配分装置を制御する制御装置とを備えた四輪駆動車両であって、(b)前記制御装置は、前記エンジン及び前記回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときには、前記駆動力配分装置を前記四輪駆動状態とすることを禁止することにある。

0007

また、第2の発明は、前記第1の発明に記載の四輪駆動車両において、前記制御装置は、前記主駆動輪のスリップが検出された場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記駆動力配分装置を前記四輪駆動状態とすることにある。

0008

また、第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明に記載の四輪駆動車両において、前記制御装置は、前記主駆動輪に前記駆動力を伝達できない場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記駆動力配分装置を前記四輪駆動状態とすることにある。

0009

また、第4の発明は、前記第1の発明から第3の発明の何れか1つに記載の四輪駆動車両において、前記制御装置は、前記四輪駆動車両が旋回中である場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記四輪駆動状態の禁止に伴う前記駆動力配分装置の前記四輪駆動状態から前記二輪駆動状態への切替えを禁止することにある。

0010

また、第5の発明は、前記第1の発明から第4の発明の何れか1つに記載の四輪駆動車両において、前記制御装置は、前記四輪駆動車両が制動中である場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記四輪駆動状態の禁止に伴う前記駆動力配分装置の前記四輪駆動状態から前記二輪駆動状態への切替えを禁止することにある。

0011

また、第6の発明は、前記第1の発明から第5の発明の何れか1つに記載の四輪駆動車両において、前記制御装置は、前記駆動力配分装置の制御状態が定まっていないと判定された場合には、前記四輪駆動状態の禁止を実行せず、前記四輪駆動状態の禁止に伴う前記駆動力配分装置の前記四輪駆動状態から前記二輪駆動状態への切替えを禁止することにある。

0012

また、第7の発明は、前記第1の発明から第6の発明の何れか1つに記載の四輪駆動車両において、前記エンジンは、第1回転機の運転状態により差動状態を制御可能な差動機構動力伝達可能に連結されており、前記エンジン及び前記回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときとは、前記第1回転機の運転状態を制御できない状態で、前記回転機である第2回転機からの駆動力のみを用いて退避走行するときを含んでいることにある。

発明の効果

0013

前記第1の発明によれば、四輪駆動車両では、四輪駆動状態のときは二輪駆動状態のときに比べて駆動系の損失が大きく、エネルギー効率が悪化し易いが、エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときには、駆動力配分装置を四輪駆動状態とすることが禁止されるので、駆動系の損失が比較的小さくされる二輪駆動状態で退避走行が行われる。よって、四輪駆動車両において、エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに、退避走行可能な距離を長くすることができる。

0014

また、前記第2の発明によれば、主駆動輪のスリップが検出された場合には、四輪駆動状態の禁止が実行されず、駆動力配分装置が四輪駆動状態とされるので、主駆動輪のスリップに起因して車両姿勢が変化することを抑制しつつ、退避走行可能な距離を長くすることができる。

0015

また、前記第3の発明によれば、主駆動輪に駆動力を伝達できない場合には、四輪駆動状態の禁止が実行されず、駆動力配分装置が四輪駆動状態とされるので、主駆動輪に駆動力が伝達不可とされているときに退避走行ができなくなることを防止することができる。

0016

また、前記第4の発明によれば、四輪駆動車両が旋回中である場合には、四輪駆動状態の禁止が実行されず、四輪駆動状態の禁止に伴う駆動力配分装置の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが禁止されるので、車両旋回中の車両姿勢の変化を抑制することができる。

0017

また、前記第5の発明によれば、四輪駆動車両が制動中である場合には、四輪駆動状態の禁止が実行されず、四輪駆動状態の禁止に伴う駆動力配分装置の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが禁止されるので、車両制動中の車両姿勢の変化を抑制することができる。

0018

また、前記第6の発明によれば、駆動力配分装置の制御状態が定まっていないと判定された場合には、四輪駆動状態の禁止が実行されず、四輪駆動状態の禁止に伴う駆動力配分装置の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが禁止されるので、駆動力配分装置の制御状態が不定状態である場合の車両姿勢の変化を抑制することができる。

0019

また、前記第7の発明によれば、エンジンを第1回転機の運転状態により差動状態を制御可能な差動機構に動力伝達可能に連結した場合であり、エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときとは、エンジンの反力を受け持つ第1回転機の運転状態が制御不能な状態で、第2回転機からの駆動力のみを用いて退避走行するときを含んでいるので、エンジンの運転が正常に制御可能な状態であっても第2回転機のみを用いた退避走行が行われる場合があり、このような場合にも駆動系の損失が比較的小さくされる二輪駆動状態で退避走行が行われる。

図面の簡単な説明

0020

本発明が適用される四輪駆動車両の概略構成を説明する図であると共に、四輪駆動車両における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。
図1自動変速機の概略構成を説明する図である。
図2機械式有段変速部の変速作動とそれに用いられる係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。
図2電気式無段変速部と機械式有段変速部とにおける各回転要素の回転速度の相対的関係を表す共線図である。
図1トランスファの構造を説明する骨子図である。
有段変速部の変速制御に用いるATギヤ段変速マップと、走行モードの切替制御に用いる走行モード切替マップとの一例を示す図であって、それぞれの関係を示す図でもある。
電子制御装置制御作動の要部を説明するフローチャートであり、エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに退避走行可能な距離を長くすることができる四輪駆動車両を実現する為の制御作動を説明するフローチャートである。
電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートであり、エンジン及び回転機のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに退避走行可能な距離を長くすることができる四輪駆動車両を実現する為の制御作動を説明するフローチャートであって、図7とは別の実施例である。

0021

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。

0022

図1は、本発明が適用される四輪駆動車両10の概略構成を説明する図であると共に、四輪駆動車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、四輪駆動車両10は、エンジン12(図中の「ENG」参照)、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2を駆動力源として備えたハイブリッド車両である。又、四輪駆動車両10は、左右一対前輪14L、14Rと、左右一対の後輪16L、16Rと、エンジン12等からの駆動力を前輪14L、14R及び後輪16L、16Rへそれぞれ伝達する動力伝達装置18とを備えている。後輪16L、16Rは、二輪駆動走行中及び四輪駆動走行中において共に駆動輪となる主駆動輪である。又、前輪14L、14Rは、二輪駆動走行中において従動輪となり、四輪駆動走行中において駆動輪となる副駆動輪である。四輪駆動車両10は、FR(フロントエンジンリヤドライブ)方式の車両をベースとする四輪駆動車両である。本実施例では、特に区別しない場合には、前輪14L、14Rを前輪14と称し、後輪16L、16Rを後輪16と称する。又、エンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2については、特に区別しない場合は単に駆動力源PUという。

0023

エンジン12は、四輪駆動車両10の走行用の駆動力源であって、ガソリンエンジンディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置130によって、四輪駆動車両10に備えられたスロットルアクチュエータ燃料噴射装置点火装置等を含むエンジン制御装置20が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。

0024

第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、四輪駆動車両10の走行用の駆動力源となり得る回転機である。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、各々、四輪駆動車両10に備えられたインバータ22を介して、四輪駆動車両10に備えられたバッテリ24に接続されている。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、各々、後述する電子制御装置130によってインバータ22が制御されることにより、第1回転機MG1の出力トルクであるMG1トルクTg及び第2回転機MG2の出力トルクであるMG2トルクTmが制御される。回転機の出力トルクは、例えば正回転の場合、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。バッテリ24は、第1回転機MG1及び第2回転機MG2の各々に対して電力を授受する蓄電装置である。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース26内に設けられている。

0025

動力伝達装置18は、ハイブリッド用のトランスミッションである自動変速機28(図中の「HV用T/M」参照)と、トランスファ30(図中の「T/F」参照)と、フロントプロペラシャフト32と、リヤプロペラシャフト34と、前輪側差動歯車装置36(図中の「Diff」参照)と、後輪側差動歯車装置38(図中の「Diff」参照)と、左右一対の前輪車軸40L、40Rと、左右一対の後輪車軸42L、42Rとを備えている。動力伝達装置18において、自動変速機28を介して伝達されたエンジン12等からの駆動力が、トランスファ30から、リヤプロペラシャフト34、後輪側差動歯車装置38、後輪車軸42L、42R等を順次介して後輪16L、16Rへ伝達される。又、動力伝達装置18において、トランスファ30に伝達されたエンジン12からの駆動力の一部が前輪14L、14R側へ配分されると、その配分された駆動力が、フロントプロペラシャフト32、前輪側差動歯車装置36、前輪車軸40L、40R等を順次介して前輪14L、14Rへ伝達される。

0026

図2は、自動変速機28の概略構成を説明する図である。図2において、自動変速機28は、ケース26内において共通の回転軸線CL1上に直列に配設された、電気式無段変速部44及び機械式有段変速部46等を備えている。電気式無段変速部44は、直接的に或いは図示しないダンパーなどを介して間接的にエンジン12に連結されている。機械式有段変速部46は、電気式無段変速部44の出力側に連結されている。機械式有段変速部46の出力側には、トランスファ30が連結されている。自動変速機28において、エンジン12や第2回転機MG2等から出力される動力は、機械式有段変速部46へ伝達され、その機械式有段変速部46からトランスファ30へ伝達される。第2回転機MG2は、機械式有段変速部46を介して前輪14及び後輪16に動力伝達可能に連結された回転機である。尚、以下、電気式無段変速部44を無段変速部44、機械式有段変速部46を有段変速部46という。又、動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。又、無段変速部44及び有段変速部46は回転軸線CL1に対して略対称的に構成されており、図2ではその回転軸線CL1に対して下半分が省略されている。回転軸線CL1は、エンジン12のクランク軸、そのクランク軸に連結された自動変速機28の入力回転部材である連結軸48、自動変速機28の出力回転部材である出力軸50などの軸心である。連結軸48は無段変速部44の入力回転部材でもあり、出力軸50は有段変速部46の出力回転部材でもある。

0027

無段変速部44は、第1回転機MG1と、エンジン12の動力を第1回転機MG1及び無段変速部44の出力回転部材である中間伝達部材52に機械的に分割する動力分割機構としての差動機構54とを備えている。中間伝達部材52には、第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。無段変速部44は、第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構54の差動状態が制御される電気式無段変速機である。無段変速部44は、変速比ギヤ比ともいう)γ0(=エンジン回転速度Ne/MG2回転速度Nm)が変化させられる電気的な無段変速機として作動させられる。エンジン回転速度Neは、エンジン12の回転速度であり、無段変速部44の入力回転速度すなわち連結軸48の回転速度と同値である。エンジン回転速度Neは、無段変速部44と有段変速部46とを合わせた全体の自動変速機28の入力回転速度でもある。MG2回転速度Nmは、第2回転機MG2の回転速度であり、無段変速部44の出力回転速度すなわち中間伝達部材52の回転速度と同値である。第1回転機MG1は、エンジン回転速度Neを制御可能な回転機である。尚、第1回転機MG1の運転状態を制御することは、第1回転機MG1の運転制御を行うことである。

0028

差動機構54は、シングルピニオン型遊星歯車装置にて構成されており、サンギヤS0、キャリアCA0、及びリングギヤR0を備えている。キャリアCA0には連結軸48を介してエンジン12が動力伝達可能に連結され、サンギヤS0には第1回転機MG1が動力伝達可能に連結され、リングギヤR0には第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。差動機構54において、キャリアCA0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能する。

0029

有段変速部46は、中間伝達部材52とトランスファ30との間の動力伝達経路を構成する有段変速機である。中間伝達部材52は、有段変速部46の入力回転部材としても機能する。中間伝達部材52には第2回転機MG2が一体回転するように連結されている。有段変速部46は、走行用の駆動力源PUと駆動輪(前輪14、後輪16)との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機である。有段変速部46は、例えば第1遊星歯車装置56及び第2遊星歯車装置58の複数組の遊星歯車装置と、ワンウェイクラッチF1を含む、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2の複数の係合装置とを備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。以下、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、及びブレーキB2については、特に区別しない場合は単に係合装置CBという。

0030

係合装置CBは、油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式摩擦係合装置である。係合装置CBは、四輪駆動車両10に備えられた油圧制御回路60(図1参照)から出力される調圧された係合装置CBの各油圧により、各々、係合解放などの状態である作動状態切り替えられる。

0031

有段変速部46は、第1遊星歯車装置56及び第2遊星歯車装置58の各回転要素が、直接的に或いは係合装置CBやワンウェイクラッチF1を介して間接的に、一部が互いに連結されたり、中間伝達部材52、ケース26、或いは出力軸50に連結されている。第1遊星歯車装置56の各回転要素は、サンギヤS1、キャリアCA1、リングギヤR1であり、第2遊星歯車装置58の各回転要素は、サンギヤS2、キャリアCA2、リングギヤR2である。

0032

有段変速部46は、複数の係合装置のうちの何れかの係合装置である例えば所定の係合装置の係合によって、変速比γat(=AT入力回転速度Ni/出力回転速度No)が異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちの何れかのギヤ段が形成される有段変速機である。つまり、有段変速部46は、複数の係合装置の何れかが係合されることで、ギヤ段が切り替えられるすなわち変速が実行される。有段変速部46は、複数のギヤ段の各々が形成される、有段式の自動変速機である。本実施例では、有段変速部46にて形成されるギヤ段をATギヤ段と称す。AT入力回転速度Niは、有段変速部46の入力回転部材の回転速度である有段変速部46の入力回転速度であって、中間伝達部材52の回転速度と同値であり、又、MG2回転速度Nmと同値である。AT入力回転速度Niは、MG2回転速度Nmで表すことができる。出力回転速度Noは、有段変速部46の出力回転速度である出力軸50の回転速度であって、自動変速機28の出力回転速度でもある。

0033

有段変速部46は、例えば図3係合作動表に示すように、複数のATギヤ段として、AT1速ギヤ段(図中の「1st」)−AT4速ギヤ段(図中の「4th」)の4段の前進用のATギヤ段が形成される。AT1速ギヤ段の変速比γatが最も大きく、ハイ側のATギヤ段程、変速比γatが小さくなる。又、後進用のATギヤ段(図中の「Rev」)は、例えばクラッチC1の係合且つブレーキB2の係合によって形成される。つまり、後進走行を行う際には、例えばAT1速ギヤ段が形成される。図3の係合作動表は、各ATギヤ段と複数の係合装置の各作動状態との関係をまとめたものである。すなわち、図3の係合作動表は、各ATギヤ段と、各ATギヤ段において各々係合される係合装置である所定の係合装置との関係をまとめたものである。図3において、「○」は係合、「△」はエンジンブレーキ時や有段変速部46のコーストダウンシフト時に係合、空欄は解放をそれぞれ表している。

0034

有段変速部46は、後述する電子制御装置130によって、ドライバー(すなわち運転者)のアクセル操作車速V等に応じて形成されるATギヤ段が切り替えられる、すなわち複数のATギヤ段が選択的に形成される。例えば、有段変速部46の変速制御においては、係合装置CBの何れかの掴み替えにより変速が実行される、すなわち係合装置CBの係合と解放との切替えにより変速が実行される、所謂クラッチツゥクラッチ変速が実行される。

0035

四輪駆動車両10は、更に、ワンウェイクラッチF0、機械式のオイルポンプであるMOP62、不図示の電動式のオイルポンプ等を備えている。

0036

ワンウェイクラッチF0は、キャリアCA0を回転不能に固定することができるロック機構である。すなわち、ワンウェイクラッチF0は、エンジン12のクランク軸と連結された、キャリアCA0と一体的に回転する連結軸48を、ケース26に対して固定することができるロック機構である。ワンウェイクラッチF0は、相対回転可能な2つの部材のうちの一方の部材が連結軸48に一体的に連結され、他方の部材がケース26に一体的に連結されている。ワンウェイクラッチF0は、エンジン12の運転時の回転方向である正回転方向に対して空転する一方で、エンジン12の運転時とは逆の回転方向に対して機械的に自動係合する。従って、ワンウェイクラッチF0の空転時には、エンジン12はケース26に対して相対回転可能な状態とされる。一方で、ワンウェイクラッチF0の係合時には、エンジン12はケース26に対して相対回転不能な状態とされる。すなわち、ワンウェイクラッチF0の係合により、エンジン12はケース26に固定される。このように、ワンウェイクラッチF0は、エンジン12の運転時の回転方向となるキャリアCA0の正回転方向の回転を許容し且つキャリアCA0の負回転方向の回転を阻止する。すなわち、ワンウェイクラッチF0は、エンジン12の正回転方向の回転を許容し且つ負回転方向の回転を阻止することができるロック機構である。

0037

MOP62は、連結軸48に連結されており、エンジン12の回転と共に回転させられて動力伝達装置18にて用いられる作動油OIL吐出する。又、不図示の電動式のオイルポンプは、例えばエンジン12の停止時すなわちMOP62の非駆動時に駆動させられる。MOP62や不図示の電動式のオイルポンプが吐出した作動油OILは、油圧制御回路60へ供給される。係合装置CBは、作動油OILを元にして油圧制御回路60により調圧された各油圧によって作動状態が切り替えられる。

0038

図4は、無段変速部44と有段変速部46とにおける各回転要素の回転速度の相対的関係を表す共線図である。図4において、無段変速部44を構成する差動機構54の3つの回転要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応するサンギヤS0の回転速度を表すg軸であり、第1回転要素RE1に対応するキャリアCA0の回転速度を表すe軸であり、第3回転要素RE3に対応するリングギヤR0の回転速度(すなわち有段変速部46の入力回転速度)を表すm軸である。又、有段変速部46の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応するサンギヤS2の回転速度、第5回転要素RE5に対応する相互に連結されたリングギヤR1及びキャリアCA2の回転速度(すなわち出力軸50の回転速度)、第6回転要素RE6に対応する相互に連結されたキャリアCA1及びリングギヤR2の回転速度、第7回転要素RE7に対応するサンギヤS1の回転速度をそれぞれ表す軸である。縦線Y1、Y2、Y3の相互の間隔は、差動機構54の歯車比ρ0に応じて定められている。又、縦線Y4、Y5、Y6、Y7の相互の間隔は、第1、第2遊星歯車装置56、58の各歯車比ρ1、ρ2に応じて定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリアとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリアとリングギヤとの間が遊星歯車装置の歯車比ρ(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)に対応する間隔とされる。

0039

図4の共線図を用いて表現すれば、無段変速部44の差動機構54において、第1回転要素RE1にエンジン12(図中の「ENG」参照)が連結され、第2回転要素RE2に第1回転機MG1(図中の「MG1」参照)が連結され、中間伝達部材52と一体回転する第3回転要素RE3に第2回転機MG2(図中の「MG2」参照)が連結されて、エンジン12の回転を中間伝達部材52を介して有段変速部46へ伝達するように構成されている。無段変速部44では、縦線Y2を横切る各直線L0e、L0m、L0Rにより、サンギヤS0の回転速度とリングギヤR0の回転速度との関係が示される。

0040

又、有段変速部46において、第4回転要素RE4はクラッチC1を介して中間伝達部材52に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸50に連結され、第6回転要素RE6はクラッチC2を介して中間伝達部材52に選択的に連結されると共にブレーキB2を介してケース26に選択的に連結され、第7回転要素RE7はブレーキB1を介してケース26に選択的に連結される。有段変速部46では、係合装置CBの係合解放制御によって縦線Y5を横切る各直線L1、L2、L3、L4、LRにより、出力軸50における「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」、「Rev」の各回転速度が示される。

0041

図4中の実線で示す、直線L0e及び直線L1、L2、L3、L4は、少なくともエンジン12を駆動力源として走行するハイブリッド走行(=HV走行)が可能なHV走行モードでの前進走行における各回転要素の相対速度を示している。このHV走行モードでは、差動機構54において、キャリアCA0に入力される正トルクのエンジントルクTeに対して、第1回転機MG1による負トルクの反力トルクとなるMG1トルクTgがサンギヤS0に入力されると、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるエンジン直達トルクTd(=Te/(1+ρ0)=−(1/ρ0)×Tg)が現れる。そして、要求駆動力に応じて、エンジン直達トルクTdとMG2トルクTmとの合算トルクが四輪駆動車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段−AT4速ギヤ段のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速部46を介してトランスファ30へ伝達される。第1回転機MG1は、正回転にて負トルクを発生する場合には発電機として機能する。第1回転機MG1の発電電力Wgは、バッテリ24に充電されたり、第2回転機MG2にて消費される。第2回転機MG2は、発電電力Wgの全部又は一部を用いて、或いは発電電力Wgに加えてバッテリ24からの電力を用いて、MG2トルクTmを出力する。

0042

図4中の一点鎖線で示す直線L0m及び図4中の実線で示す直線L1、L2、L3、L4は、エンジン12の運転を停止した状態で第1回転機MG1及び第2回転機MG2のうちの少なくとも一方の回転機を駆動力源として走行するモータ走行(=EV走行)が可能なEV走行モードでの前進走行における各回転要素の相対速度を示している。EV走行モードでの前進走行におけるEV走行としては、例えば第2回転機MG2のみを駆動力源として走行する単駆動EV走行と、第1回転機MG1及び第2回転機MG2を共に駆動力源として走行する両駆動EV走行とがある。単駆動EV走行では、キャリアCA0はゼロ回転とされ、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるMG2トルクTmが入力される。このとき、サンギヤS0に連結された第1回転機MG1は、無負荷状態とされて負回転にて空転させられる。単駆動EV走行では、ワンウェイクラッチF0が解放されており、連結軸48はケース26に対して固定されていない。

0043

両駆動EV走行では、キャリアCA0がゼロ回転とされた状態で、サンギヤS0に負回転にて負トルクとなるMG1トルクTgが入力されると、キャリアCA0の負回転方向への回転が阻止されるようにワンウェイクラッチF0が自動係合される。ワンウェイクラッチF0の係合によってキャリアCA0が回転不能に固定された状態においては、MG1トルクTgによる反力トルクがリングギヤR0へ入力される。加えて、両駆動EV走行では、単駆動EV走行と同様に、リングギヤR0にはMG2トルクTmが入力される。キャリアCA0がゼロ回転とされた状態で、サンギヤS0に負回転にて負トルクとなるMG1トルクTgが入力された際に、MG2トルクTmが入力されなければ、MG1トルクTgによる単駆動EV走行も可能である。EV走行モードでの前進走行では、エンジン12は駆動されず、エンジン回転速度Neはゼロとされ、MG1トルクTg及びMG2トルクTmのうちの少なくとも一方のトルクが四輪駆動車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段−AT4速ギヤ段のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速部46を介してトランスファ30へ伝達される。EV走行モードでの前進走行では、MG1トルクTgは負回転且つ負トルクの力行トルクであり、MG2トルクTmは正回転且つ正トルクの力行トルクである。

0044

図4中の破線で示す、直線L0R及び直線LRは、EV走行モードでの後進走行における各回転要素の相対速度を示している。このEV走行モードでの後進走行では、リングギヤR0には負回転にて負トルクとなるMG2トルクTmが入力され、そのMG2トルクTmが四輪駆動車両10の後進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段が形成された有段変速部46を介してトランスファ30へ伝達される。四輪駆動車両10では、後述する電子制御装置130によって、複数のATギヤ段のうちの前進用のロー側のATギヤ段である例えばAT1速ギヤ段が形成された状態で、前進走行時における前進用のMG2トルクTmとは正負が反対となる後進用のMG2トルクTmが第2回転機MG2から出力させられることで、後進走行を行うことができる。EV走行モードでの後進走行では、MG2トルクTmは負回転且つ負トルクの力行トルクである。尚、HV走行モードにおいても、直線L0Rのように第2回転機MG2を負回転とすることが可能であるので、EV走行モードと同様に後進走行を行うことが可能である。

0045

図5は、トランスファ30の構造を説明する骨子図である。トランスファ30は、非回転部材としてのトランスファケース64を備えている。トランスファ30は、トランスファケース64内において、後輪側出力軸66と、前輪駆動用ドライブギヤ68と、前輪駆動用クラッチ70とを共通の回転軸線CL1を中心にして備えている。又、トランスファ30は、トランスファケース64内において、前輪側出力軸72と、前輪駆動用ドリブンギヤ74とを共通の回転軸線CL2を中心にして備えている。更に、トランスファ30は、前輪駆動用アイドラギヤ76を備えている。回転軸線CL2は、フロントプロペラシャフト32、前輪側出力軸72などの軸心である。

0046

後輪側出力軸66は、出力軸50に動力伝達可能に連結されていると共に、リヤプロペラシャフト34に動力伝達可能に連結されている。後輪側出力軸66は、駆動力源PUから自動変速機28を介して出力軸50に伝達された駆動力を後輪16へ出力する。尚、出力軸50は、トランスファ30の後輪側出力軸66に駆動力源PUからの駆動力を入力するトランスファ30の入力回転部材、つまりトランスファ30に駆動力源PUからの駆動力を伝達する駆動力伝達軸としても機能する。自動変速機28は、駆動力源PUからの駆動力を出力軸50へ伝達する自動変速機である。

0047

前輪駆動用ドライブギヤ68は、後輪側出力軸66に対して相対回転可能に設けられている。前輪駆動用クラッチ70は、多板の湿式クラッチであり、後輪側出力軸66から前輪駆動用ドライブギヤ68へ伝達される伝達トルクを調節する。すなわち、前輪駆動用クラッチ70は、後輪側出力軸66から前輪側出力軸72へ伝達される伝達トルクを調節する。

0048

前輪駆動用ドリブンギヤ74は、前輪側出力軸72に一体的に設けられており、前輪側出力軸72に動力伝達可能に連結されている。前輪駆動用アイドラギヤ76は、前輪駆動用ドライブギヤ68と前輪駆動用ドリブンギヤ74とにそれぞれ噛み合わされており、前輪駆動用ドライブギヤ68と前輪駆動用ドリブンギヤ74との間を動力伝達可能に連結する。

0049

前輪側出力軸72は、前輪駆動用アイドラギヤ76及び前輪駆動用ドリブンギヤ74を介して前輪駆動用ドライブギヤ68に動力伝達可能に連結されていると共に、フロントプロペラシャフト32に動力伝達可能に連結されている。前輪側出力軸72は、前輪駆動用クラッチ70を介して前輪駆動用ドライブギヤ68に伝達された駆動力源PUからの駆動力の一部を前輪14へ出力する。

0050

前輪駆動用クラッチ70は、クラッチハブ78と、クラッチドラム80と、摩擦係合要素82と、ピストン84とを備えている。クラッチハブ78は、後輪側出力軸66に動力伝達可能に連結されている。クラッチドラム80は、前輪駆動用ドライブギヤ68に動力伝達可能に連結されている。摩擦係合要素82は、クラッチハブ78に対して回転軸線CL1方向に相対移動可能且つクラッチハブ78に対して相対回転不能に設けられた複数枚の第1摩擦板82aと、クラッチドラム80に対して回転軸線CL1方向に相対移動可能且つクラッチドラム80に対して相対回転不能に設けられた複数枚の第2摩擦板82bとを有している。第1摩擦板82aと第2摩擦板82bとは、回転軸線CL1方向で交互に重なるようにして配置されている。ピストン84は、回転軸線CL1方向に移動可能に設けられ、摩擦係合要素82に当接して第1摩擦板82aと第2摩擦板82bとを押圧することで、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量が調節される。尚、ピストン84が摩擦係合要素82を押圧しない場合には、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量がゼロとなり、前輪駆動用クラッチ70が解放される。

0051

トランスファ30は、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量を調節することで、自動変速機28を介して伝達された駆動力源PUの駆動力を、後輪側出力軸66及び前輪側出力軸72に配分する。トランスファ30は、前輪駆動用クラッチ70が解放されている場合には、後輪側出力軸66と前輪駆動用ドライブギヤ68との間の動力伝達経路が切断されるので、駆動力源PUから自動変速機28を介してトランスファ30に伝達された駆動力をリヤプロペラシャフト34等を介して後輪16へ伝達する。又、トランスファ30は、前輪駆動用クラッチ70がスリップ係合状態または完全係合状態である場合には、後輪側出力軸66と前輪駆動用ドライブギヤ68との間の動力伝達経路が接続されるので、駆動力源PUからトランスファ30を介して伝達された駆動力の一部を、フロントプロペラシャフト32等を介して前輪14に伝達すると共に、駆動力の残部をリヤプロペラシャフト34等を介して後輪16に伝達する。トランスファ30は、駆動力源PUからの駆動力を前輪14及び後輪16に伝達することができる駆動力配分装置である。

0052

トランスファ30は、前輪駆動用クラッチ70を作動させる装置として、電動モータ86と、ウォームギヤ88と、カム機構90とを備えている。

0053

ウォームギヤ88は、電動モータ86のモータシャフトに一体的に形成されたウォーム92と、ウォーム92と噛み合う歯が形成されたウォームホイール94とを備えた歯車対である。ウォームホイール94は、回転軸線CL1を中心にして回転可能に設けられている。ウォームホイール94は、電動モータ86が回転させられると、回転軸線CL1を中心にして回転させられる。

0054

カム機構90は、ウォームホイール94と前輪駆動用クラッチ70のピストン84との間に設けられている。カム機構90は、ウォームホイール94に接続されている第1部材96と、ピストン84に接続されている第2部材98と、第1部材96と第2部材98との間に介挿されている複数個ボール99とを備えており、電動モータ86の回転運動直線運動に変換する機構である。

0055

複数個のボール99は、回転軸線CL1を中心とする回転方向において等角度間隔に配置されている。第1部材96及び第2部材98のボール99と接触する面には、それぞれカム溝が形成されている。各カム溝は、第1部材96が第2部材98に対して相対回転した場合において、第1部材96と第2部材98とが回転軸線CL1方向で互いに乖離するように形成されている。従って、第1部材96が第2部材98に対して相対回転すると、第1部材96と第2部材98とが互いに乖離して第2部材98が回転軸線CL1方向に移動させられ、第2部材98に接続されているピストン84が摩擦係合要素82を押圧する。電動モータ86によってウォームホイール94が回転させられると、ウォームホイール94の回転運動が、カム機構90を介して回転軸線CL1方向への直線運動に変換されてピストン84に伝達され、ピストン84が摩擦係合要素82を押圧する。ピストン84が摩擦係合要素82を押圧する押圧力が調節されることにより、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量が調節される。トランスファ30は、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量が調節されることで、前輪14と後輪16とに配分する駆動力源PUからの駆動力の割合を調節することができる。

0056

前輪14と後輪16とに配分する駆動力源PUからの駆動力の割合は、例えば駆動力源PUから後輪16及び前輪14に伝達される総駆動力に対する後輪16に伝達される駆動力の割合、すなわち後輪側配分率Xrである。又は、前輪14と後輪16とに配分する駆動力源PUからの駆動力の割合は、例えば駆動力源PUから後輪16及び前輪14に伝達される総駆動力に対する前輪14に伝達される駆動力の割合、すなわち前輪側配分率Xf(=1−Xr)である。本実施例では、後輪16が主駆動輪であるので、後輪側配分率Xrは主側配分率である。

0057

ピストン84が摩擦係合要素82を押圧しない場合には、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量がゼロになる。このとき、前輪駆動用クラッチ70が解放され、後輪側配分率Xrは1.0になる。換言すれば、前輪14と後輪16とへの駆動力の配分すなわち前後輪の駆動力配分を、総駆動力を100として「前輪14の駆動力:後輪16の駆動力」で表せば、前後輪の駆動力配分は0:100になる。一方で、ピストン84が摩擦係合要素82を押圧する場合には、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量がゼロよりも大きくなり、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量が増加する程、後輪側配分率Xrが低下する。前輪駆動用クラッチ70が完全係合されるトルク容量になると、後輪側配分率Xrは0.5になる。換言すれば、前後輪の駆動力配分は50:50で均衡した状態になる。このように、トランスファ30は、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量が調節されることによって、後輪側配分率Xrを1.0〜0.5の間、すなわち前後輪の駆動力配分を0:100〜50:50の間で調節できる。つまり、トランスファ30は、駆動力源PUからの駆動力を後輪16のみに伝達する二輪駆動状態と、駆動力源PUからの駆動力を後輪16及び前輪14に伝達する四輪駆動状態とに切替可能である。

0058

図1戻り、四輪駆動車両10は、ホイールブレーキ装置100を備えている。ホイールブレーキ装置100は、ホイールブレーキ101、不図示のブレーキマスタシリンダなどを備えており、前輪14及び後輪16の車輪14、16の各々にホイールブレーキ101による制動力を付与する。ホイールブレーキ101は、前輪14L、14Rの各々に設けられたフロントブレーキ101FL、101FR、及び後輪16L、16Rの各々に設けられたリヤブレーキ101RL、101RRである。ホイールブレーキ装置100は、運転者による例えばブレーキペダル踏込操作などに応じて、ホイールブレーキ101に各々設けられた不図示のホイールシリンダブレーキ油圧を供給する。ホイールブレーキ装置100では、通常時には、ブレーキマスタシリンダから発生させられる、ブレーキ操作量Braに対応した大きさのマスタシリンダ油圧がブレーキ油圧としてホイールシリンダへ供給される。一方で、ホイールブレーキ装置100では、例えばABS制御時、横滑り抑制制御時、車速制御時などには、ホイールブレーキ101による制動力の発生の為に、各制御で必要なブレーキ油圧がホイールシリンダへ供給される。ブレーキ操作量Braは、ブレーキペダルの踏力に対応する、運転者によるブレーキペダルの踏込操作の大きさを表す信号である。このように、ホイールブレーキ装置100は、車輪14、16の各々に付与するホイールブレーキ101による制動力を調節することができる。

0059

又、四輪駆動車両10は、トランスファ30などを制御する四輪駆動車両10の制御装置を含むコントローラとしての電子制御装置130を備えている。図1は、電子制御装置130の入出力系統を示す図であり、又、電子制御装置130による制御機能の要部を説明する機能ブロック図である。電子制御装置130は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより四輪駆動車両10の各種制御を実行する。電子制御装置130は、必要に応じてエンジン制御用、変速制御用等の各コンピュータを含んで構成される。

0060

電子制御装置130には、四輪駆動車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ102、出力回転速度センサ104、MG1回転速度センサ106、MG2回転速度センサ108、各車輪14、16毎に設けられた車輪速センサ110、アクセル開度センサ112、スロットル弁開度センサ114、ブレーキペダルセンサ116、Gセンサ118、シフトポジションセンサ120、ヨーレートセンサ122、ステアリングセンサ124、バッテリセンサ126、油温センサ128など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン回転速度Ne、車速Vに対応する出力回転速度No、第1回転機MG1の回転速度であるMG1回転速度Ng、AT入力回転速度Niと同値であるMG2回転速度Nm、各車輪14、16の回転速度である車輪速Nr、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキ101を作動させる為のブレーキペダルが運転者によって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、ブレーキ操作量Bra、四輪駆動車両10の前後加速度Gx及び左右加速度Gy、四輪駆動車両10に備えられたシフトレバーの操作ポジションPOSsh、四輪駆動車両10の鉛直軸まわりの回転角速度であるヨーレートRyaw、四輪駆動車両10に備えられたステアリングホイール操舵角θsw及び操舵方向Dsw、バッテリ24のバッテリ温度Hbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、作動油OILの温度である作動油温THoilなど)が、それぞれ供給される。

0061

電子制御装置130からは、四輪駆動車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置20、インバータ22、油圧制御回路60、電動モータ86、ホイールブレーキ装置100など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御する為のエンジン制御指令信号Se、第1回転機MG1及び第2回転機MG2を各々制御する為の回転機制御指令信号Smg、係合装置CBの作動状態を制御する為の油圧制御指令信号Sat、電動モータ86を制御する為の電動モータ制御指令信号Sw、ホイールブレーキ101による制動力を制御する為のブレーキ制御指令信号Sbなど)が、それぞれ出力される。

0062

電子制御装置130は、四輪駆動車両10における各種制御を実現する為に、AT変速制御手段すなわちAT変速制御部132、ハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部134、四輪駆動制御手段すなわち四輪駆動制御部136、及び制動力制御手段すなわち制動力制御部138を備えている。

0063

AT変速制御部132は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である例えば図6に示すようなATギヤ段変速マップを用いて有段変速部46の変速判断を行い、必要に応じて有段変速部46の変速制御を実行する為の油圧制御指令信号Satを油圧制御回路60へ出力する。上記ATギヤ段変速マップは、例えば車速V及び要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標上に、有段変速部46の変速が判断される為の変速線を有する所定の関係である。ここでは、車速Vに替えて出力回転速度Noなどを用いても良い。又、要求駆動力Frdemに替えて要求駆動トルクTrdemやアクセル開度θaccやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。上記ATギヤ段変速マップにおける各変速線は、実線に示すようなアップシフトが判断される為のアップシフト線、及び破線に示すようなダウンシフトが判断される為のダウンシフト線である。

0064

ハイブリッド制御部134は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部としての機能と、インバータ22を介して第1回転機MG1及び第2回転機MG2の作動を制御する回転機制御手段すなわち回転機制御部としての機能とを含んでおり、それらの制御機能によりエンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2によるハイブリッド駆動制御等を実行する。

0065

ハイブリッド制御部134は、予め定められた関係である例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで駆動要求量としての要求駆動力Frdemを算出する。前記駆動要求量としては、要求駆動力Frdem[N]の他に、各駆動輪(前輪14、後輪16)における要求駆動トルクTrdem[Nm]、各駆動輪における要求駆動パワーPrdem[W]、出力軸50における要求AT出力トルク等を用いることもできる。ハイブリッド制御部134は、バッテリ24の充電可能電力Winや放電可能電力Wout等を考慮して、要求駆動トルクTrdemと車速Vとに基づく要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12を制御する指令信号であるエンジン制御指令信号Seと、第1回転機MG1及び第2回転機MG2を制御する指令信号である回転機制御指令信号Smgとを出力する。エンジン制御指令信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度NeにおけるエンジントルクTeを出力するエンジン12のパワーであるエンジンパワーPeの指令値である。回転機制御指令信号Smgは、例えばエンジントルクTeの反力トルクとしての指令出力時のMG1回転速度NgにおけるMG1トルクTgを出力する第1回転機MG1の発電電力Wgの指令値であり、又、指令出力時のMG2回転速度NmにおけるMG2トルクTmを出力する第2回転機MG2の消費電力Wmの指令値である。

0066

バッテリ24の充電可能電力Winは、バッテリ24の入力電力の制限を規定する入力可能電力であり、バッテリ24の放電可能電力Woutは、バッテリ24の出力電力の制限を規定する出力可能電力である。バッテリ24の充電可能電力Winや放電可能電力Woutは、例えばバッテリ温度THbat及びバッテリ24の充電量に相当する充電状態値SOC[%]に基づいて電子制御装置130により算出される。バッテリ24の充電状態値SOCは、バッテリ24の充電状態を示す値であり、例えばバッテリ充放電電流Ibat及びバッテリ電圧Vbatなどに基づいて電子制御装置130により算出される。

0067

ハイブリッド制御部134は、例えば無段変速部44を無段変速機として作動させて自動変速機28全体として無段変速機として作動させる場合、最適エンジン動作点等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するエンジンパワーPeが得られるエンジン回転速度NeやエンジントルクTeとなるように、エンジン12を制御すると共に第1回転機MG1の発電電力Wgを制御することで、無段変速部44の無段変速制御を実行して無段変速部44の変速比γ0を変化させる。この制御の結果として、無段変速機として作動させる場合の自動変速機28の変速比γt(=γ0×γat=Ne/No)が制御される。最適エンジン動作点は、例えば要求エンジンパワーPedemを実現するときに、エンジン12単体燃費にバッテリ24における充放電効率等を考慮した四輪駆動車両10におけるトータル燃費が最も良くなるエンジン動作点として予め定められている。このエンジン動作点は、エンジン回転速度NeとエンジントルクTeとで表されるエンジン12の運転点である。

0068

ハイブリッド制御部134は、例えば無段変速部44を有段変速機のように変速させて自動変速機28全体として有段変速機のように変速させる場合、予め定められた関係である例えば有段変速マップを用いて自動変速機28の変速判断を行い、AT変速制御部132による有段変速部46のATギヤ段の変速制御と協調して、変速比γtが異なる複数のギヤ段を選択的に成立させるように無段変速部44の変速制御を実行する。複数のギヤ段は、それぞれの変速比γtを維持できるように出力回転速度Noに応じて第1回転機MG1によりエンジン回転速度Neを制御することによって成立させることができる。

0069

ハイブリッド制御部134は、走行モードとして、EV走行モード又はHV走行モードを走行状態に応じて選択的に成立させる。例えば、ハイブリッド制御部134は、要求駆動パワーPrdemが予め定められた閾値よりも小さなEV走行領域にある場合には、EV走行モードを成立させる一方で、要求駆動パワーPrdemが予め定められた閾値以上となるHV走行領域にある場合には、HV走行モードを成立させる。図6の一点鎖線Aは、HV走行モードとEV走行モードとを切り替える為のHV走行領域とEV走行領域との境界線である。この図6の一点鎖線Aに示すような境界線を有する予め定められた関係は、車速V及び要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標で構成された走行モード切替マップの一例である。尚、図6では、便宜上、この走行モード切替マップをATギヤ段変速マップと共に示している。

0070

ハイブリッド制御部134は、EV走行モードを成立させたときに、第2回転機MG2のみで要求駆動パワーPrdemを実現できる場合には、第2回転機MG2による単駆動EV走行にて四輪駆動車両10を走行させる。一方で、ハイブリッド制御部134は、EV走行モードを成立させたときに、第2回転機MG2のみでは要求駆動パワーPrdemを実現できない場合には、両駆動EV走行にて四輪駆動車両10を走行させる。ハイブリッド制御部134は、第2回転機MG2のみで要求駆動パワーPrdemを実現できるときであっても、第2回転機MG2のみを用いるよりも第1回転機MG1及び第2回転機MG2を併用した方が効率が良い場合には、両駆動EV走行にて四輪駆動車両10を走行させても良い。

0071

ハイブリッド制御部134は、要求駆動パワーPrdemがEV走行領域にあるときであっても、バッテリ24の充電状態値SOCが予め定められたエンジン始動閾値未満となる場合やエンジン12の暖機が必要な場合などには、HV走行モードを成立させる。前記エンジン始動閾値は、エンジン12を強制的に始動してバッテリ24を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判断する為の予め定められた閾値である。

0072

ハイブリッド制御部134は、エンジン12の運転停止時にHV走行モードを成立させた場合には、エンジン12を始動するエンジン始動制御を行う。ハイブリッド制御部134は、エンジン12を始動するときには、例えば第1回転機MG1によりエンジン回転速度Neを上昇させつつ、エンジン回転速度Neが点火可能な所定点火可能回転速度以上となったときに点火することでエンジン12を始動する。すなわち、ハイブリッド制御部134は、第1回転機MG1によりエンジン12をクランキングすることでエンジン12を始動する。

0073

四輪駆動制御部136は、後輪側配分率Xrを制御する。四輪駆動制御部136は、出力回転速度センサ104やGセンサ118などから判断される四輪駆動車両10の走行状態に応じた後輪側配分率Xrの目標値を設定し、前輪駆動用クラッチ70のトルク容量を調節することによって後輪側配分率Xrを目標値に調節するように、電動モータ86を制御する為の電動モータ制御指令信号Swを出力する。

0074

四輪駆動制御部136は、例えば直進走行時には、前輪駆動用クラッチ70を解放することで、後輪側配分率Xrを1.0(すなわち、前後輪の駆動力配分を0:100)に制御する。又、四輪駆動制御部136は、旋回走行中の操舵角θswと車速V等とに基づいて目標ヨーレートRyawtgtを算出し、ヨーレートセンサ122によって随時検出されるヨーレートRyawが目標ヨーレートRyawtgtに追従するように、後輪側配分率Xrを調節する。

0075

制動力制御部138は、例えば運転者によるアクセル操作(例えばアクセル開度θacc、アクセル開度θaccの減少速度)、車速V、降坂路勾配、ホイールブレーキを作動させる為の運転者によるブレーキ操作(例えばブレーキ操作量Bra、ブレーキ操作量Braの増大速度)などに基づいて目標減速度を算出し、予め定められた関係を用いて目標減速度を実現する為の要求制動力を設定する。制動力制御部138は、四輪駆動車両10の減速走行中には、要求制動力が得られるように四輪駆動車両10の制動力を発生させる。四輪駆動車両10の制動力は、例えば第2回転機MG2による回生制御による制動力すなわち回生制動力、ホイールブレーキ101による制動力、エンジン12によるエンジンブレーキによる制動力などによって発生させられる。四輪駆動車両10の制動力は、例えばエネルギー効率の向上の観点では、回生制動力にて優先して発生させられる。制動力制御部138は、回生制動力に必要な回生トルクが得られるように第2回転機MG2による回生制御を実行する指令をハイブリッド制御部134へ出力する。第2回転機MG2による回生制御は、車輪14、16から入力される被駆動トルクにより第2回転機MG2を回転駆動させて発電機として作動させ、その発電電力をインバータ22を介してバッテリ24へ充電する制御である。

0076

制動力制御部138は、例えば要求制動力が比較的小さな場合には、専ら回生制動力にて要求制動力を実現する。制動力制御部138は、例えば要求制動力が比較的大きな場合には、回生制動力にホイールブレーキ101による制動力を加えて要求制動力を実現する。制動力制御部138は、例えば四輪駆動車両10が停止する直前には、回生制動力の分をホイールブレーキ101による制動力に置き換えて要求制動力を実現する。

0077

制動力制御部138は、例えばバッテリ24の充電状態値SOCが所定充電状態値以上であることによって第2回転機MG2の回生トルクが制限されるときに、四輪駆動車両10の制動力が要求制動力に対して不足する場合には、その不足分を補うように、ホイールブレーキ101による制動力を発生させる。

0078

第2回転機MG2による回生制動力は、前後輪の駆動力配分と同じ配分で前輪14と後輪16とに配分される。バッテリ24の充電状態値SOCに基づいて第2回転機MG2の回生トルクが制限される際にホイールブレーキ101による制動力を加える場合には、車両姿勢の変化が抑制されることが好ましい。制動力制御部138は、バッテリ24の充電状態値SOCに基づいて第2回転機MG2の回生トルクが制限されるときに、要求制動力に対する不足分を補うように、ホイールブレーキ101による制動力を発生させる場合には、後輪16及び前輪14に付与される総制動力に対する後輪16に付与される制動力の割合が後輪側配分率Xrと等しくなるように、ホイールブレーキ101による制動力を制御する。つまり、制動力制御部138は、後輪16及び前輪14に付与されるホイールブレーキ101による総制動力に対する後輪16に付与されるホイールブレーキ101による制動力の割合が後輪側配分率Xrと等しくなるように、ホイールブレーキ101による制動力を制御する。

0079

ここで、四輪駆動車両10において、駆動力源PUのうちのある駆動力源からの駆動力を車輪14、16に伝達することができないような駆動力源フェール状態SFpuが発生する可能性がある。駆動力源フェール状態SFpuが発生しているときは、四輪駆動車両10における走行性能が本来の性能に対して制限されている状態であるので、例えば四輪駆動車両10を安全な場所に移動させたり、四輪駆動車両10を修理工場等まで走行させたりするなどの退避走行を行うことが考えられる。ハイブリッド制御部134は、駆動力源フェール状態SFpuが発生している場合、駆動力源PUのうちのある駆動力源以外の駆動力源からの駆動力を用いて退避走行を行う。

0080

駆動力源フェール状態SFpuは、例えばエンジン制御装置20等のフェール(=故障)によってエンジン12から動力を出力できないようなエンジンフェール状態SFe、断線等のフェールによって第1回転機MG1から動力を出力できないようなMG1フェール状態SFm1、又は断線等のフェールによって第2回転機MG2から動力を出力できないようなMG2フェール状態SFm2である。エンジンフェール状態SFeでは、第1回転機MG1及び/又は第2回転機MG2からの駆動力のみを用いた退避走行が可能である。MG1フェール状態SFm1では、エンジン12の反力を第1回転機MG1によって受け持つことができない為、エンジン12から動力を出力できる状態であっても、エンジン12からの駆動力を車輪14、16に伝達することができない。従って、MG1フェール状態SFm1は、エンジンフェール状態SFeと同じと見ることができる。従って、MG1フェール状態SFm1では、第2回転機MG2からの駆動力のみを用いた退避走行が可能である。MG2フェール状態SFm2では、エンジン12からの駆動力のみを用いた退避走行、又は、第1回転機MG1からの駆動力のみを用いた退避走行が可能である。

0081

駆動力源PUのうちのある駆動力源以外の駆動力源からの駆動力を用いて退避走行を行うときとは、エンジン12の運転状態を制御できない状態で、回転機MG1、MG2からの駆動力のみを用いて退避走行するとき、第1回転機MG1の運転状態を制御できない状態で、第2回転機MG2からの駆動力のみを用いて退避走行するとき、及び第2回転機MG2の運転状態を制御できない状態で、エンジン12からの駆動力のみ又は第1回転機MG1からの駆動力のみを用いて退避走行するときである。つまり、退避走行を行うときとは、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行を行うときである。

0082

ところで、前述したような退避走行を行うときには、特に、燃料の熱エネルギーを駆動力に用いることができなくなるときには、又は、電力を駆動力に用いることができなくなるときには、できるだけ走行距離が長くなる方が良い。一方で、四輪駆動車両10では、トランスファ30が四輪駆動状態のときはトランスファ30が二輪駆動状態のときに比べて動力伝達装置18における損失が大きく、エネルギー効率が悪化し易い。そうすると、退避走行を行うような場合に、トランスファ30の制御状態によっては退避走行可能な距離が短くなってしまうおそれがある。

0083

そこで、四輪駆動制御部136は、ハイブリッド制御部134によってエンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いた退避走行が行われるときには、トランスファ30を四輪駆動状態とすることを禁止する。

0084

電子制御装置130は、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに退避走行可能な距離を長くすることができる四輪駆動車両10を実現する為に、更に、状態判定手段すなわち状態判定部140を備えている。

0085

状態判定部140は、例えばエンジンフェール状態SFe又はMG1フェール状態SFm1又はMG2フェール状態SFm2が発生しているか否かに基づいて、駆動力源フェール状態SFpuが発生しているか否かを判定する。状態判定部140は、例えばエンジン制御指令信号Seとエンジン回転速度Neとが整合しているか否かなどに基づいて、エンジンフェール状態SFeが発生しているか否かを判定する。状態判定部140は、例えば回転機制御指令信号SmgとMG1回転速度Ngとが整合しているか否かなどに基づいて、MG1フェール状態SFm1が発生しているか否かを判定する。状態判定部140は、例えば回転機制御指令信号SmgとMG2回転速度Nmとが整合しているか否かなどに基づいて、MG2フェール状態SFm2が発生しているか否かを判定する。駆動力源フェール状態SFpuが発生しているか否かを判定することは、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときであるか否かを判定することと同意である。

0086

状態判定部140は、駆動力源PUからの駆動力が前輪14に伝達可能な状態とされているか否か、すなわちトランスファ30が四輪駆動状態とされているか否かを判定する。状態判定部140は、例えば後輪側配分率Xrに基づいてトランスファ30が四輪駆動状態とされているか否かを判定する。ここでの後輪側配分率Xrとしては、例えば四輪駆動制御部136による電動モータ86に対する指示値(=電動モータ制御指令信号Sw)に基づく後輪側配分率、電動モータ86の実際の動作量(=回転量)に基づく後輪側配分率などである。

0087

四輪駆動制御部136は、状態判定部140により駆動力源フェール状態SFpuが発生していると判定された場合には、トランスファ30を四輪駆動状態とすることを禁止する。具体的には、四輪駆動制御部136は、状態判定部140によりトランスファ30が四輪駆動状態とされていると判定された場合には、前輪14への動力伝達を遮断する、すなわちトランスファ30を四輪駆動状態から二輪駆動状態へ切り替える。前輪14への動力伝達の遮断は、例えば電動モータ制御指令信号Swを電動モータ86へ出力することによる前輪駆動用クラッチ70の解放であり、又は、電動モータ86への電流供給を停止することによる前輪駆動用クラッチ70の解放などである。一方で、四輪駆動制御部136は、状態判定部140によりトランスファ30が四輪駆動状態とされていないと判定された場合には、トランスファ30における前後輪の駆動力配分の状態を維持する、すなわちトランスファ30を二輪駆動状態に維持する。

0088

図7は、電子制御装置130の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに退避走行可能な距離を長くすることができる四輪駆動車両10を実現する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば繰り返し実行される。

0089

図7において、先ず、状態判定部140の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、駆動力源PUのうちのある駆動力源からの駆動力を車輪14、16に伝達することができないような駆動力源フェール状態SFpuが発生しているか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS10の判断が肯定される場合は状態判定部140の機能に対応するS20において、駆動力源PUからの駆動力が前輪14に伝達可能な状態とされているか否かが判定される。このS20の判断が肯定される場合は四輪駆動制御部136の機能に対応するS30において、トランスファ30の四輪駆動状態が禁止されて、前輪14への動力伝達が遮断される、すなわちトランスファ30が四輪駆動状態から二輪駆動状態へ切り替えられる。一方で、上記S20の判断が否定される場合は四輪駆動制御部136の機能に対応するS40において、トランスファ30の四輪駆動状態が禁止されて、前後輪の駆動力配分の状態が維持される、すなわちトランスファ30が二輪駆動状態に維持される。

0090

上述のように、本実施例によれば、四輪駆動車両10では、トランスファ30が四輪駆動状態のときはトランスファ30が二輪駆動状態のときに比べて動力伝達装置18における損失が大きく、エネルギー効率が悪化し易いが、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときには、トランスファ30を四輪駆動状態とすることが禁止されるので、動力伝達装置18における損失が比較的小さくされる二輪駆動状態で退避走行が行われる。よって、四輪駆動車両10において、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに、退避走行可能な距離を長くすることができる。

0091

また、本実施例によれば、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときとは、エンジン12の反力を受け持つ第1回転機MG1の運転状態が制御不能な状態で、第2回転機MG2からの駆動力のみを用いて退避走行するときを含んでいるので、エンジン12の運転が正常に制御可能な状態であっても第2回転機MG2のみを用いた退避走行が行われる場合があり、このような場合にも動力伝達装置18における損失が比較的小さくされる二輪駆動状態で退避走行が行われる。

0092

次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。

0093

駆動力源フェール状態SFpuが発生しているときの退避走行において、四輪駆動車両10の走行状態STによってはトランスファ30の四輪駆動状態の禁止を実行しない方が良い場合もある。

0094

状態判定部140は、駆動力源フェール状態SFpuが発生していると判定した場合には、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfであるか否かを判定する。所定走行状態STfは、例えばトランスファ30の四輪駆動状態を禁止することが好ましくないとして予め定められた走行状態である。

0095

四輪駆動制御部136は、状態判定部140により駆動力源フェール状態SFpuが発生していると判定されたときに、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfでないと判定された場合には、トランスファ30を四輪駆動状態とすることを禁止する。一方で、四輪駆動制御部136は、状態判定部140により駆動力源フェール状態SFpuが発生していると判定されたときに、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfであると判定された場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止を実行しない。

0096

具体的には、車両姿勢が変化するような場合には、車両姿勢の変化を抑制する為に、トランスファ30を四輪駆動状態とすることが好ましい。例えば、後輪16のスリップが検出された場合には、後輪16のスリップに起因した車両姿勢の変化を抑制する為に、トランスファ30を四輪駆動状態とすることが好ましい。所定走行状態STfは、例えば後輪16のスリップが検出された走行状態を含んでいる。状態判定部140は、車輪速Nrなどに基づいて後輪16のスリップが検出されたか否かを判定することで、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfであるか否かを判定する。四輪駆動制御部136は、状態判定部140により後輪16のスリップが検出されたと判定された場合には、トランスファ30を四輪駆動状態とする。

0097

後輪16に駆動力を伝達できない場合には、前輪14に駆動力が配分されるように、トランスファ30を四輪駆動状態とすることが好ましい。後輪16に駆動力を伝達できない場合とは、例えばリヤプロペラシャフト34、後輪側差動歯車装置38、又は後輪車軸42L、42Rなどの後輪16へ動力伝達する駆動系の損傷などによって物理的に後輪16に駆動力を伝達できない場合である。又は、後輪16に駆動力を伝達できない場合とは、例えば後輪16の空気圧規定値よりも小さな下限値を下回っており、後輪16に駆動力をできるだけ伝達しない方が良い場合である。所定走行状態STfは、例えば後輪16に駆動力を伝達できない走行状態を含んでいる。状態判定部140は、車輪速Nr又は後輪16の空気圧などに基づいて後輪16に駆動力を伝達できないか否かを判定することで、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfであるか否かを判定する。四輪駆動制御部136は、状態判定部140により後輪16に駆動力を伝達できないと判定された場合には、トランスファ30を四輪駆動状態とする。

0098

四輪駆動車両10が旋回中である場合には、ヨーレートRyawが目標ヨーレートRyawtgtに追従するように後輪側配分率Xrが調節されており、車両旋回中の車両姿勢の変化を抑制する為に、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止に起因したトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが為されないようにすることが好ましい。所定走行状態STfは、例えば四輪駆動車両10が旋回中である走行状態を含んでいる。状態判定部140は、操舵角θswなどに基づいて四輪駆動車両10が旋回中であるか否かを判定することで、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfであるか否かを判定する。四輪駆動制御部136は、状態判定部140により四輪駆動車両10が旋回中であると判定された場合には、四輪駆動状態の禁止に伴うトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えを禁止する。

0099

四輪駆動車両10が制動中である場合には、前輪14及び後輪16に付与される四輪駆動車両10の制動力の配分の変化に起因した車両姿勢の変化を抑制する為に、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止に起因したトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが為されないようにすることが好ましい。別の観点では、後輪16への駆動力配分が大きい場合例えばトランスファ30が二輪駆動状態である場合には、後輪16への駆動力配分が小さい場合例えばトランスファ30が四輪駆動状態である場合に比べて回生制御の実行時に車輪14、16特には主駆動輪である後輪16にスリップが生じ易い。そうすると、トランスファ30が四輪駆動状態であるときの方がトランスファ30が二輪駆動状態であるときに比べて第2回転機MG2の回生トルクを大きくすることができ、エネルギー効率を向上することができる。その為、四輪駆動車両10が制動中である場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止に起因したトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが為されないようにすることが好ましい。所定走行状態STfは、例えば四輪駆動車両10が制動中である走行状態を含んでいる。状態判定部140は、ブレーキオン信号Bonやブレーキ操作量Braなどに基づいて四輪駆動車両10が制動中であるか否かを判定することで、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfであるか否かを判定する。四輪駆動制御部136は、状態判定部140により四輪駆動車両10が制動中であると判定された場合には、四輪駆動状態の禁止に伴うトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えを禁止する。

0100

トランスファ30の制御状態が定まっていない場合には、すなわちトランスファ30の制御状態が不定状態である場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止に伴う四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが正常に行えない可能性があり、車両姿勢の変化を抑制する為に、トランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが為されないようにすることが好ましい。所定走行状態STfは、例えばトランスファ30の制御状態が定まっていない走行状態を含んでいる。トランスファ30の制御状態が定まっているときとは、例えば電動モータ制御指令信号Swに対して電動モータ86が正常に動作しており、後輪側配分率Xrの実際値が四輪駆動制御部136により設定された後輪側配分率Xrの目標値となるようにトランスファ30が制御されていると判断できるときであって、トランスファ30が正常に動作しているとき、すなわちトランスファ30の制御状態が正常であるときである。状態判定部140は、例えば電動モータ86へ電動モータ制御指令信号Swつまり駆動電流が正常に供給されているか否か、又は、電動モータ制御指令信号Swと電動モータ86の実際の動作量とが整合しているか否かなどに基づいて、トランスファ30の制御状態が正常であるか否かを判定する。電動モータ86の実際の動作量に替えて、ウォームギヤ88又はカム機構90などの実際の動作量が用いられても良い。状態判定部140は、トランスファ30の制御状態が正常でないと判定した場合には、すなわちトランスファ30の制御状態が定まっていないと判定した場合には、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfであると判定する。四輪駆動制御部136は、状態判定部140によりトランスファ30の制御状態が定まっていないと判定された場合には、四輪駆動状態の禁止に伴うトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えを禁止する。

0101

図8は、電子制御装置130の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行するときに退避走行可能な距離を長くすることができる四輪駆動車両10を実現する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば繰り返し実行される。この図8は、前述の実施例1の図7とは別の実施例である。図8において図7相違する部分について以下に説明する。

0102

図8において、前記S10の判断が肯定される場合は状態判定部140の機能に対応するS15において、四輪駆動車両10の走行状態STが所定走行状態STfであるか否かが判定される。このS15の判断が否定される場合は前記S20が実行された後、前記S30又は前記S40において、トランスファ30の四輪駆動状態が禁止される。一方で、前記S15の判断が肯定される場合は四輪駆動制御部136の機能に対応するS50において、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止が実行されない。

0103

上述のように、本実施例によれば、前述の実施例1と同様の効果が得られる。

0104

また、本実施例によれば、後輪16のスリップが検出された場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止が実行されず、トランスファ30が四輪駆動状態とされるので、後輪16のスリップに起因して車両姿勢が変化することを抑制しつつ、退避走行可能な距離を長くすることができる。

0105

また、本実施例によれば、後輪16に駆動力を伝達できない場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止が実行されず、トランスファ30が四輪駆動状態とされるので、後輪16に駆動力が伝達不可とされているときに退避走行ができなくなることを防止することができる。

0106

また、本実施例によれば、四輪駆動車両10が旋回中である場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止が実行されず、四輪駆動状態の禁止に伴うトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが禁止されるので、車両旋回中の車両姿勢の変化を抑制することができる。

0107

また、本実施例によれば、四輪駆動車両10が制動中である場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止が実行されず、四輪駆動状態の禁止に伴うトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが禁止されるので、車両制動中の車両姿勢の変化を抑制することができる。

0108

また、本実施例によれば、トランスファ30の制御状態が定まっていないと判定された場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止が実行されず、四輪駆動状態の禁止に伴うトランスファ30の四輪駆動状態から二輪駆動状態への切替えが禁止されるので、トランスファ30の制御状態が不定状態である場合の車両姿勢の変化を抑制することができる。

0109

以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。

0110

例えば、前述の実施例では、駆動力源フェール状態SFpuが発生している場合、エンジン12及び回転機MG1、MG2のうちの一方の駆動力源からの駆動力のみを用いて退避走行を行い、このような退避走行を行うときには、トランスファ30を四輪駆動状態とすることを禁止した。これに関連して、例えば本トリップにおいて駆動力源フェール状態SFpuが発生していない正常状態である場合でも、本トリップ以前に上述したような退避走行を行ったという履歴が有る場合には、トランスファ30を四輪駆動状態とすることを禁止しても良い。又は、本トリップで上述したような退避走行を行った場合には、本トリップ以降で駆動力源フェール状態SFpuが発生していない正常状態である場合でも、トランスファ30を四輪駆動状態とすることを禁止しても良い。又は、トランスファ30を四輪駆動状態とすることを禁止した本トリップ後に、上述したような退避走行に関連する駆動力源PU等の故障履歴修理などによって消去されている場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止を解除しても良い。又は、トランスファ30を四輪駆動状態とすることを禁止した本トリップ後に、一定回数以上のトリップで駆動力源フェール状態SFpuが発生していない正常状態である場合には、トランスファ30の四輪駆動状態の禁止を解除しても良い。前記トリップは、例えばイグニションオンからイグニションオフまでの車両走行である。

0111

また、前述の実施例では、四輪駆動車両10は、FR方式の車両をベースとする四輪駆動車両であり、又、エンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2を駆動力源とするハイブリッド車両であり、又、無段変速部44と有段変速部46とを直列に有する自動変速機28を備えた四輪駆動車両であったが、この態様に限らない。例えば、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式の車両をベースとする四輪駆動車両、又は、エンジン及び回転機からの駆動力が駆動輪へ伝達されるパラレル式のハイブリッド車両、又は、エンジンからの駆動力によって駆動させられる発電機の発電電力及び/又はバッテリの電力で駆動させられる回転機からの駆動力が駆動輪へ伝達されるシリーズ式のハイブリッド車両であっても、本発明を適用することができる。又は、自動変速機として、公知の遊星歯車式自動変速機、公知のDCT(Dual Clutch Transmission)を含む同期噛合型平行2軸式自動変速機、公知のベルト式無段変速機、又は公知の電気式無段変速機などを備えた四輪駆動車両であっても、本発明を適用することができる。又は、上述したようなシリーズ式のハイブリッド車両では、例えば自動変速機を備えていない場合もある。尚、FF方式の車両をベースとする四輪駆動車両の場合には、前輪が主駆動輪となり、後輪が副駆動輪となり、前輪側配分率Xfが主側配分率となる。上述したようなシリーズ式のハイブリッド車両では、駆動力源フェール状態SFpuはエンジンフェール状態SFeであり、回転機からの駆動力のみを用いた退避走行が可能である。要は、エンジン及び回転機を含む駆動力源と、二輪駆動状態と四輪駆動状態とに切替可能である駆動力配分装置と、前記駆動力配分装置を制御する制御装置とを備える四輪駆動車両であれば、本発明を適用することができる。

0112

また、前述の実施例では、トランスファ30を構成する前輪駆動用クラッチ70のピストン84は、電動モータ86が回転すると、カム機構90を介して摩擦係合要素82側に移動させられ、摩擦係合要素82を押圧するように構成されていたが、この態様に限らない。例えば、電動モータ86が回転すると、回転運動を直線運動に変換するボールねじ等を介してピストン84が摩擦係合要素82を押圧するように構成されるものであっても良い。又は、ピストン84が油圧アクチュエータによって駆動させられるものであっても良い。

実施例

0113

尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。

0114

10:四輪駆動車両
12:エンジン(駆動力源)
14(14L、14R):前輪(副駆動輪)
16(16L、16R):後輪(主駆動輪)
30:トランスファ(駆動力配分装置)
54:差動機構
130:電子制御装置(制御装置)
MG1:第1回転機(駆動力源、回転機)
MG2:第2回転機(駆動力源、回転機)

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