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技術 蒸着材料、酸化ケイ素層付き基材の製造方法および表面層付き基材の製造方法

出願人 AGC株式会社
発明者 増田万江美土屋博之梶原貴人黒岩裕
出願日 2018年5月30日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2018-103786
公開日 2021年9月16日 (3ヶ月経過) 公開番号 2021-138973
状態 未査定
技術分野 物理蒸着
主要キーワード 押込荷重 インデンテーション試験 プレスマシン 光CVD法 ペレット状成形体 フッ素化芳香族化合物 粒度曲線 撥水撥油層
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

基材上に設けられる表面層耐久性を向上させるために、基材と表面層の間に設けられる下地層、特には酸化ケイ素層に関し、表面層に十分な耐久性を付与できる下地層、特には酸化ケイ素層が形成可能な蒸着材料および下地層としての酸化ケイ素層上に形成される表面層に十分な耐久性を付与できる酸化ケイ素層付き基材の製造方法の提供。

解決手段

酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料および基材上に、酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料を用いて、真空蒸着により酸化ケイ素層を形成することを含む、酸化ケイ素層付き基材の製造方法。

概要

背景

従来から、各種基材の表面を改質するために、基材上に目的の性能を有する表面層を設ける技術が知られている。該表面層には、目的の性能を維持するために、さらに耐摩耗性等の耐久性が求められ、表面層に耐久性を付与する技術も知られている。

例えば、特許文献1には、撥水性撥油性防汚性を有し、かつ、優れた摩擦耐久性を有する表面処理層を、特定構造パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を用いて形成する技術が記載されている。また、特許文献2には、最外層下層を有する構成の表面処理層において、最外層をイソシアネートシラン化合物を必須成分とする表面処理剤により形成し、最外層と基材の間に設けられる下層をSi(NCO)4等のシラン化合物を含む表面処理剤により形成することで、撥水性、防汚性の長期持続性を改善する技術が記載されている。

概要

基材上に設けられる表面層の耐久性を向上させるために、基材と表面層の間に設けられる下地層、特には酸化ケイ素層に関し、表面層に十分な耐久性を付与できる下地層、特には酸化ケイ素層が形成可能な蒸着材料および下地層としての酸化ケイ素層上に形成される表面層に十分な耐久性を付与できる酸化ケイ素層付き基材の製造方法の提供。酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料および基材上に、酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料を用いて、真空蒸着により酸化ケイ素層を形成することを含む、酸化ケイ素層付き基材の製造方法。なし

目的

本発明は、上記観点からなされたものであって、基材上に設けられる表面層の耐久性を向上させるために、基材と表面層の間に設けられる下地層、特には酸化ケイ素層に関し、表面層に十分な耐久性を付与できる下地層、特には酸化ケイ素層が形成可能な蒸着材料の提供を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料

請求項2

前記蒸着材料全量に対する前記酸化ケイ素の割合が65質量%以上99質量%以下である請求項1記載の蒸着材料。

請求項3

前記蒸着材料全量に対する前記白金族金属の割合が0.02質量ppm以上800質量ppm以下である請求項1または2記載の蒸着材料。

請求項4

さらに、酸化ナトリウムおよび酸化カルシウムを含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の蒸着材料。

請求項5

前記蒸着材料から前記白金族金属を除いた成分は、酸化物換算の質量%表示で、SiO2を65〜75%、Na2Oを1〜20%、CaOを5〜32%、Al2O3を0〜2%、MgOを0〜4%含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の蒸着材料。

請求項6

前記白金族金属が、白金およびロジウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項記載の蒸着材料。

請求項7

酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料を用いて、真空蒸着により基材上に酸化ケイ素層を形成することを含む、酸化ケイ素層付き基材の製造方法。

請求項8

酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料を用いて、真空蒸着により基材上に、酸化ケイ素層を形成すること、および前記酸化ケイ素層上に酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物を用いて表面層を形成することを含む表面層付き基材の製造方法。

請求項9

前記有機化合物が含フッ素化合物を含む請求項8記載の表面層付き基材の製造方法。

請求項10

前記含フッ素化合物は、ポリオキシペルフルオロアルキレン)鎖を有する、請求項9記載の表面層付き基材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、蒸着材料酸化ケイ素層付き基材の製造方法および表面層付き基材の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来から、各種基材の表面を改質するために、基材上に目的の性能を有する表面層を設ける技術が知られている。該表面層には、目的の性能を維持するために、さらに耐摩耗性等の耐久性が求められ、表面層に耐久性を付与する技術も知られている。

0003

例えば、特許文献1には、撥水性撥油性防汚性を有し、かつ、優れた摩擦耐久性を有する表面処理層を、特定構造パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を用いて形成する技術が記載されている。また、特許文献2には、最外層下層を有する構成の表面処理層において、最外層をイソシアネートシラン化合物を必須成分とする表面処理剤により形成し、最外層と基材の間に設けられる下層をSi(NCO)4等のシラン化合物を含む表面処理剤により形成することで、撥水性、防汚性の長期持続性を改善する技術が記載されている。

先行技術

0004

特開2014−218639号公報
特開平10−180937号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら本発明者らは、公知の技術を用いて得た物品は、表面層の成膜性は良好であり初期状態では十分な性能が得られるが、使用しているうちに表面層の耐久性に起因してその性能が消失することを知見した。

0006

本発明は、上記観点からなされたものであって、基材上に設けられる表面層の耐久性を向上させるために、基材と表面層の間に設けられる下地層、特には酸化ケイ素層に関し、表面層に十分な耐久性を付与できる下地層、特には酸化ケイ素層が形成可能な蒸着材料の提供を課題とする。本発明は、下地層としての酸化ケイ素層上に形成される表面層に十分な耐久性を付与できる酸化ケイ素層付き基材の製造方法、および、表面層が十分な耐久性を有する表面層付き基材の製造方法の提供を課題とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、以下の構成を有する蒸着材料、酸化ケイ素層付き基材の製造方法および表面層付き基材の製造方法を提供する。
[1]酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料。
[2]前記蒸着材料全量に対する前記酸化ケイ素の割合が65質量%以上99質量%以下である[1]の蒸着材料。
[3]前記蒸着材料全量に対する前記白金族金属の割合が0.02質量ppm以上800質量ppm以下である[1]または[2]の蒸着材料。
[4]さらに、酸化ナトリウムおよび酸化カルシウムを含有する[1]〜[3]のいずれかの蒸着材料。
[5]前記蒸着材料から前記白金族金属を除いた成分は、酸化物換算の質量%表示で、SiO2を65〜75%、Na2Oを1〜20%、CaOを5〜32%、Al2O3を0〜2%、MgOを0〜4%含有する[1]〜[4]のいずれかの蒸着材料。
[6]前記白金族金属が、白金およびロジウムから選ばれる少なくとも1種である[1]〜[5]のいずれかの蒸着材料。
[7]酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料を用いて、真空蒸着により基材上に酸化ケイ素層を形成することを含む、酸化ケイ素層付き基材の製造方法。
[8]酸化ケイ素を主成分として含有し、前記酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料を用いて、真空蒸着により基材上に酸化ケイ素層を形成すること、および前記酸化ケイ素層上に酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物を用いて表面層を形成することを含む表面層付き基材の製造方法。
[9]前記有機化合物が含フッ素化合物を含む[8]の表面層付き基材の製造方法。
[10]前記含フッ素化合物は、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有する、[9]の表面層付き基材の製造方法。

発明の効果

0008

本発明によれば、基材上に設けられる表面層の耐久性を向上させるために、基材と表面層の間に設けられる下地層、特には酸化ケイ素層に関し、表面層に十分な耐久性を付与できる下地層、特には酸化ケイ素層が形成可能な蒸着材料を提供できる。また、本発明は、下地層としての酸化ケイ素層上に形成される表面層に十分な耐久性を付与できる酸化ケイ素層付き基材の製造方法、および、表面層が十分な耐久性を有する表面層付き基材の製造方法の提供が提供できる。

0009

本明細書において、式1で表される化合物を化合物1と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。式1で表される基を基1と記す。他の式で表される基も同様に記す。
本明細書において、「アルキレン基がA基を有していてもよい」という場合、アルキレン基は、アルキレン基中の炭素原子炭素原子間にA基を有していてもよいし、アルキレン基−A基−のように末端にA基を有していてもよい。
本明細書において、数値範囲を表す「〜」では、上下限を含む。

0010

本明細書における以下の用語の意味は、以下の通りである。
加水分解性シリル基」とは、加水分解反応することによってシラノール基(Si−OH)を形成し得る基を意味する。例えば、式1中の−SiRnL3−nである。
エーテル性酸素原子」とは、炭素−炭素原子間においてエーテル結合(−O−)を形成する酸素原子を意味する。なお、オキシペルフルオロアルキレン基化学式は、その酸素原子をペルフルオロアルキレン基の右側に記載して表すものとする。

0011

「2価のオルガノポリシロキサン残基」とは、下式で表される基である。下式におけるRaは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、または、フェニル基である。また、g1は、1以上の整数であり、1〜9の整数が好ましく、1〜4の整数が特に好ましい。

0012

0013

シルフェニレン骨格基」とは、−Si(Rb)2PhSi(Rb)2−(ただし、Phはフェニレン基であり、Rbは1価の有機基である。)で表される基である。Rbとしては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)が好ましい。
ジアルキルシリレン基」は、−Si(Rc)2−(ただし、Rcはアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)である。)で表される基である。
含フッ素エーテル化合物の「数平均分子量」は、NMR分析法を用い、1H−NMRおよび19F−NMRによって、末端基を基準にしてオキシペルフルオロアルキレン基の数(平均値)を求めることによって算出される。

0014

[蒸着材料]
本発明の蒸着材料は、酸化ケイ素を主成分として含有し、酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する。

0015

本発明の蒸着材料は、典型的には真空蒸着に用いられる。真空蒸着とは、成膜技術の1つであり、高真空中で蒸着材料を加熱して気化させ、気体となった蒸着材料を基材表面に付着させることによって蒸着層を形成する技術である。本発明の蒸着材料は、酸化ケイ素を主成分として含有することから得られる蒸着層は、酸化ケイ素を主成分として含有する酸化ケイ素層となる。

0016

本明細書において、蒸着材料が酸化ケイ素を主成分として含有するとは、蒸着材料の全量に対する酸化ケイ素を65質量%以上含有することをいう。これは、酸化ケイ素層においても同様である。したがって、本発明における酸化ケイ素層とは、酸化ケイ素を65質量%以上含有する層である。

0017

本発明の蒸着材料を用いて真空蒸着を行うと、蒸着材料に含まれる白金族金属が適度な間隔をおいて基材表面に微小な粒として析出し、その白金族金属の粒をシードとして基材表面に緻密な酸化ケイ素層が形成されると考えられる。このようにして、本発明の蒸着材料を用いて得られる酸化ケイ素層は基材密着性が高く、耐摩耗性に優れる。さらに、酸化ケイ素層上に、酸化ケイ素と反応し得る基を有する有機化合物を用いて表面層を形成すれば、表面層の耐久性に優れる表面層付き基材が得られる。

0018

本発明の蒸着材料は、上記所定量の酸化ケイ素および白金族金属以外に任意成分を含有してもよい。以下、本発明の蒸着材料が含有する各成分について説明する、

0019

本発明の蒸着材料が含有する白金族金属としては、白金、ロジウム、ルテニウムパラジウムオスミウムイリジウムが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。白金族金属としては、これらのうちでも、白金およびロジウムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。

0020

蒸着材料における白金族金属の含有量は、蒸着材料が含有する酸化ケイ素に対する割合で0.03質量ppm以上800質量ppm以下である。白金族金属の含有量が、上記範囲内にあることで、得られる酸化ケイ素層において十分な基材密着性が得られる。白金族金属の含有量は、上記酸化ケイ素に対する割合で0.05質量ppm以上が好ましく、1質量ppm以上がより好ましい。白金族金属の含有量は、上記酸化ケイ素に対する割合で600質量ppm以下が好ましく、200質量ppm以下がより好ましい。

0021

なお、白金族金属の蒸着材料全量に対する含有割合は、上記と同様の観点から、0.02質量ppm以上800質量ppm以下が好ましく、0.04質量ppm以上600質量ppm以下がより好ましく、0.7質量ppm以上200質量ppm以下がさらに好ましい。

0022

蒸着材料が含有する酸化ケイ素の割合は、蒸着材料全量に対して下限が65質量%であり、上限が蒸着材料全量から白金族金属の含有量を除いた値である。蒸着材料全量に対する酸化ケイ素の割合が上記範囲内であれば、得られる酸化ケイ素層は高い基材密着性を有する。

0023

蒸着材料において、酸化ケイ素の含有量が上記上限値未満の場合、蒸着材料は酸化ケイ素および白金族金属以外の任意成分を含有する。その場合、蒸着材料全量に対する酸化ケイ素の含有量は、基材密着性の観点から65質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。蒸着材料全量に対する酸化ケイ素の含有量は、蒸着材料の製造容易性の観点からは、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。

0024

蒸着材料が含有してもよい任意成分としては、金属酸化物が好ましい。金属酸化物の金属としては、Li、Na、K等のアルカリ金属、Ca、Sr、Mg、Ba等のアルカリ土類金属、Mo、W、B、Fe、Sc、Y、La、Ce、Gd、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Ge、Sn、Sb、Bi、P等が挙げられる。

0025

本発明の蒸着材料は、通常、蒸着材料から白金族金属を除いた成分を母材として、該母材に白金族金属を所定の割合で含有させて構成される。母材は、蒸着材料としたときに、主成分となる量の酸化ケイ素を含有する。母材は酸化ケイ素のみで構成されてもよく、酸化ケイ素と上に説明した任意成分から構成されてもよい。さらに、蒸着材料に白金族金属が塩として導入された場合は、母材は白金族金属の対アニオンを含有する。

0026

本発明の蒸着材料における母材としては、酸化ケイ素、または、酸化ケイ素を上記の量含有する組成物であれば特に制限されない。具体的には、酸化ケイ素、ケイ酸加水分解縮合物アルコキシシランの加水分解縮合物、ソーダライムガラス等が挙げられ、ケイ酸の加水分解縮合物、ソーダライムガラスが好ましい。母材が組成物の場合、その組成は母材の種類に応じて適宜調整される。母材が組成物の場合、母材は酸化ケイ素以外に、酸化ナトリウムおよび酸化カルシウムを含むのが好ましい。

0027

母材が酸化ケイ素の場合、蒸着材料の製造方法としては、得られる蒸着材料において酸化ケイ素と白金族金属の割合が上記範囲となるように、酸化ケイ素粉末白金族金属粉末を混合する、二酸化ケイ素を白金族金属含有水溶液に添加して撹拌後水を除去する等の方法が挙げられる。酸化ケイ素粉末と白金族金属粉末を混合する場合、粉末平均粒子径は、いずれも0.1〜100μmであるのが好ましく、1〜10μmがより好ましい。この場合、粉末を混合後、後述のようにペレット化して用いることが好ましい。白金族金属含有水溶液としては、白金族金属の塩、例えば、水酸化物塩化物炭酸塩水溶液等が挙げられる。なお、白金族金属塩の水溶液を用いる場合、白金族金属は塩として蒸着材料に含有される。

0028

なお、本明細書で記載する平均粒子径は、D50である。D50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒径分布の累積粒度曲線において、その積算量体積基準で50%を占めるときの粒径を表す。

0029

母材がケイ酸の加水分解縮合物の場合、ケイ酸およびその部分加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、白金族金属と、水を含む溶液を乾燥させる方法が挙げられる。白金族金属は、通常、塩として該溶液に含有される。白金族金属の塩としては上記同様の塩が挙げられる。ケイ酸としては、ケイ酸ナトリウムケイ酸カリウム脱塩処理したものが使用できる。なお、溶液には必要に応じて有機溶媒を含有させてもよい。

0030

ケイ酸ナトリウムとしては、JIS K1408−1966に規定されたNa2O・nSiO2が挙げられ、具体的には、メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、オルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)、二ケイ酸ナトリウム(Na2Si2O5)、四ケイ酸ナトリウム(Na2Si4O9)等が挙げられる。ケイ酸カリウムとしては、K2O・nSiO2が挙げられ、具体的には、メタケイ酸カリウム(K2SiO3)、オルトケイ酸カリウム(K4SiO4)、二ケイ酸カリウム(K2Si2O5)、四ケイ酸カリウム(K2Si4O9)等が挙げられる。

0031

脱塩処理の方法としては、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液ケイ酸カリウム水溶液陽イオン交換樹脂とを混合し、撹拌した後、陽イオン交換樹脂を除去する方法が挙げられる。ケイ酸および/または部分加水分解縮合物と、白金族金属と、水を含む溶液を乾燥させる温度としては、5〜50℃が好ましく、15〜30℃がより好ましい。

0032

なお、上記において、ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウムをそのまま用いて、または、上記脱塩処理において条件を適宜選択してナトリウム量カリウム量を適宜調整したケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウムを用いて、母材が酸化ナトリウムや酸化カリウムを含む構成としてもよい。その場合、酸化ケイ素に対する酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの割合は合計で0.1〜13質量%が好ましく、1.0〜10質量%がより好ましい。

0033

母材が酸化ケイ素を上記の量含有する組成物の場合、その組成は、母材の種類に応じて適宜調整される。母材がソーダライムガラスの場合、母材は、通常、酸化ケイ素、酸化ナトリウムおよび酸化カルシウムを含む。なお、ソーダライムガラスにおける酸化ケイ素の含有量は、蒸着材料としたときに、主成分となる量である。ソーダライムガラスの場合、これらの3成分以外のその他成分として、上記の金属酸化物の適量を適宜含有できる。上記の金属酸化物の中でも、溶解特性調整の観点から酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種を含有するのが好ましい。

0034

具体的には、母材に用いるソーダライムガラスにおいては、酸化物換算の質量%表示で、SiO2を65〜75%、Na2Oを1〜20%、CaOを5〜32%、Al2O3を0〜2%、MgOを0〜4%含有する組成が好ましい。以下、ソーダライムガラスの組成をいう場合「%」は酸化物換算の質量%を示す。ソーダライムガラスにおける各成分の含有量は、得られたガラス誘導結合プラズマ(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectroscopy)分析の結果から求められる。

0035

ソーダライムガラスがSiO2を65〜75%含有することで、溶解温度が低下して生産性が向上する。SiO2の含有量は、67〜73%がより好ましく、69〜71%がさらに好ましい。ソーダライムガラスがNa2Oを1〜20%含有することで、溶解温度が低下する。Na2Oの含有量は、1〜10%がより好ましく、2〜5%がさらに好ましい。ソーダライムガラスがCaOを5〜32%含有することで、溶解温度が低下することに加えて、酸化ケイ素層へのCaOの混入量を適度に少なくできる。CaOの含有量は、10〜30%がより好ましく、15〜28%がさらに好ましい。

0036

ソーダライムガラスがAl2O3を0〜2%含有することで、溶解温度が低下するとともに酸化ケイ素層への混入が小さい。Al2O3の含有量は、0.1〜1.5%がより好ましく、0.5〜1%がさらに好ましい。ソーダライムガラスがMgOを0〜4%含有することで、溶解温度が低下するとともに酸化ケイ素層へのMgOの混入量を適度に少なくできる。MgOの含有量は、0.1〜2%がより好ましく、0.5〜1%がさらに好ましい。

0037

上記ソーダライムガラスは、任意成分としてさらに、溶解温度や分相特性を調整する目的でK2O、Fe2O3、TiO2等を適宜含有してもよい。

0038

ソーダライムガラスにおける、軟化点蒸着源としての加工性の観点から700〜1700℃が好ましい。

0039

母材をソーダライムガラスとした場合の本発明の蒸着材料は、例えば、以下に示す方法で製造することができる。

0040

まず、ソーダライムガラスの原料混合物を準備する。原料は、通常の酸化物系のガラスの製造に用いる原料であれば特に限定されず、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩等を用いることができる。具体的には、上記好ましい組成のソーダライムガラスを得る原料成分としては、珪砂炭酸カルシウム炭酸ナトリウム消石灰水酸化マグネシウム水酸化アルミニウムメタケイ酸ナトリウム水和物硫酸マグネシウムソーダ灰タルク、酸化アルミニウム、ボウ硝炭酸カリウム弁柄等が挙げられる。これら原料成分のなかから、得ようとする組成に合わせて各成分が適宜選択され、調製に用いられる。

0041

得られる蒸着材料における母材としてのソーダライムガラスにおいて、上記組成範囲となるように原料の種類および割合を適宜調整して原料混合物とする。該原料混合物を調製する際に、白金族金属を、得られる蒸着材料において酸化ケイ素に対する白金族金属の割合が上記範囲となるように母材の原料混合物に添加して、蒸着材料の原料組成物とする。

0042

母材の原料混合物に添加する際の白金族金属は、例えば、白金族金属自体の粉末とする。粉末の粒子の大きさは、例えば、原料組成物を溶融した際の分散性および均一性の観点から、平均粒子径が0.1〜100μmであるのが好ましく、1〜10μmがより好ましい。

0043

次に、蒸着材料の原料組成物を公知の方法で加熱して溶融物を得る。加熱溶融する温度(溶融温度)は、700〜1700℃が好ましく、700〜1600℃がより好ましい。加熱溶融する時間は、1〜36時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。

0044

その後、溶融物を冷却し固化することにより、本発明の蒸着材料を得ることができる。冷却方法は特に限定されない。冷却速度は、例えば、0.5〜5℃/分程度とすることができる。溶融物をカーボン板等の冷却板の上に流出させ室温冷却する方法の他に、ロールアウトマシンプレスマシン冷却液体への滴下等により急冷する方法をとることもできる。

0045

こうして得られる本発明の蒸着材料は、いかなる形態であってもよい。例えば、ブロック状、板状、薄い板状(フレーク状)、ビーズ状、粉末状等であってもよい。これらのうち、粉末は真空蒸着時飛散しやすいことから、ペレット状に加工して用いるのが好ましい。ペレットの製造方法は問わないが、例えば、粉末を圧粉成形してペレット状成形体にする方法が挙げられる。ペレット状成形体の大きさは、真空蒸着時の飛散を抑制する観点から、例えば、直径または長径で0.5mm以上が好ましい。上限は特に限定されないが、蒸着装置の大きさの観点から、直径または長径で1〜3cm程度が好ましい。蒸着材料を、ブロック状、板状、フレーク状、ビーズ状等とする場合の大きさも、ペレット状成形体の場合と同様にできる。

0046

本発明の蒸着材料を用いて酸化ケイ素層を形成する基材は特に限定されない。本発明の蒸着材料は、通常、酸化ケイ素層上にさらに設けられる表面層による表面改質(特定の性能の付与)が求められる基材を対象として用いられる。基材の材料としては、金属、樹脂、ガラス(化学強化されていてもよい。)、サファイアセラミック、石、これらの複合材料が挙げられる。基材は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。基材の形状、大きさ等は特に限定されない。基材は、後述する表面層付き基材の用途に応じて適宜選択される。本発明の蒸着材料を用いた酸化ケイ素層は、透明基材に適用した際に、基材の透明性を損なうことなく基材との高い密着性を実現できることから、透明基材に好適に用いられる。

0047

基材と酸化ケイ素層との密着性をより向上させる点から、基材の表面には活性化処理(例えば、乾式の活性化処理、湿式の活性化処理)が施されていてもよい。乾式の活性化処理の具体例としては、活性エネルギー線(例えば、紫外線電子線、X線)を基材の表面に照射する処理、コロナ放電処理真空プラズマ処理常圧プラズマ処理火炎処理イトロ処理が挙げられる。湿式の活性化処理の具体例としては、基材表面を酸ないしアルカリ溶液に接触させる処理が挙げられる。上記活性化処理の中でも、基材と酸化ケイ素層との密着性がより向上する点から、コロナ放電処理が好ましい。

0048

また、上述した材料からなる基材本体の表面上にさらなる層を有するものを基材として用いてもよい。該層は、本発明の効果に優れる点から、基材本体との密着性に優れる層が好ましく、具体例としては、ダイヤモンドライクカーボン層が挙げられる。

0049

ダイヤモンドライクカーボン層とは、ダイヤモンド結合炭素同士のsp3混成軌道による結合)とグラファイト結合(炭素同士のsp2混成軌道による結合)との両方の結合が混在するアモルファス構造をもつ膜を意味する。ダイヤモンドライクカーボンは、炭素原子以外の原子(例えば、水素原子、酸素原子、ケイ素原子窒素原子アルミニウム原子ホウ素原子リン原子)を含んでいてもよい。

0050

[酸化ケイ素層付き基材の製造方法]
本発明の酸化ケイ素層付き基材の製造方法は、酸化ケイ素を主成分として含有し、酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料を用いて、真空蒸着により基材上に酸化ケイ素層を形成することを含む。

0051

本発明の酸化ケイ素層付き基材の製造方法に用いる蒸着材料は、上に説明した本発明の蒸着材料と同様とできる。酸化ケイ素層を形成する基材についても上に説明したとおりである。

0052

蒸着材料を用いて基材上に酸化ケイ素層を形成する真空蒸着の方法は、通常の真空蒸着の装置を用いた通常の方法が特に制限なく適用できる。具体的には、減圧が可能な装置内に基材を設置し、基材の酸化ケイ素層形成面に対向する位置に蒸着材料を充填した蒸着材料用容器を設置する。蒸着材料用容器の大きさ、形状は特に制限されない。蒸着材料用容器の材質は、以下の真空蒸着の条件下で蒸着材料と反応性を有さずかつ蒸発しない材質であればよく、例えば、モリブデンタングステン、銅等が挙げられる。

0053

蒸着材料の加熱は、通常、蒸着材料用容器収容物電子銃抵抗加熱により加熱することにより行う。蒸着材料用容器収容物の加熱温度は、1000〜2000℃が好ましく、1200〜1800℃がより好ましい。真空蒸着の際の装置内の温度は、20〜300℃が好ましく、30〜200℃が特に好ましい。真空蒸着の際の装置内の圧力は、1×10−1Pa以下が好ましく、1×10−2Pa以下が特に好ましい。基材の酸化ケイ素層形成面と蒸着材料との距離は、100〜4000mmが好ましく、200〜2000mmがより好ましい。

0054

本発明の蒸着材料を用いて、上記のようにして得られる酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を65質量%含有する層である。酸化ケイ素層の組成は蒸着材料の組成と必ずしも同じではない。例えば、酸化ケイ素層における、白金族金属の酸化ケイ素に対する含有量は、増加する傾向にあり、さらに白金族金属の種類により増加の度合いが異なる傾向にある。これは、真空蒸着に際して、白金族金属が基材表面に微小な粒として析出し、その白金族金属の粒をシードとして基材表面に緻密な酸化ケイ素層が形成されるためと考えられる。

0055

また、蒸着材料の母材が酸化ケイ素を含む組成物の場合、酸化ケイ素とその他の成分が白金族金属や基材表面への付着性に差があることにより、通常、白金族金属以外の組成も蒸着材料と酸化ケイ素層で異なる組成となる。例えば、蒸着材料の母材がソーダライムガラスの場合、得られる酸化ケイ素層における白金族金属以外の組成は、通常、上記ソーダライムガラスの組成に比べて、酸化ケイ素の含有量が多い組成となる。

0056

蒸着材料の母材として好ましい組成とした、酸化物換算の質量%表示で、SiO2を65〜75%、Na2Oを1〜20%、CaOを5〜32%、Al2O3を0〜2%、MgOを0〜4%含有する組成のソーダライムガラスを例にすると、得られる酸化ケイ素層における白金族金属以外の組成は、概ね、酸化物換算の質量%表示で、SiO2が65〜75%、Na2Oが1〜20%、CaOが5〜32%、Al2O3が0〜2%、MgOが0〜4%となる。

0057

酸化ケイ素層の厚さは、2〜200nmが好ましく、2〜20nmが特に好ましい。酸化ケイ素層の厚さが上記範囲の下限値以上であれば、酸化ケイ素層による基材密着性の向上効果が充分に得られやすい。酸化ケイ素層の厚さが上記範囲の上限値以下であれば、酸化ケイ素層自体の耐摩耗性が高くなる。酸化ケイ素層の厚さを測定する方法は特に限定されないが、例えば、電子顕微鏡(SEMTEM等)による酸化ケイ素層の断面観察による方法や光干渉膜厚計、分光エリプソメータ段差計等を用いる方法がある。

0058

本発明の製造方法により基材上に上記の蒸着材料を用いて形成される酸化ケイ素層は、上記のとおり緻密な層として形成される。したがって、該酸化ケイ素層を下地層として、その上に表面層を形成すれば、得られる表面層に十分な耐久性を付与できる。表面層は、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物を用いて形成されると耐久性の効果をより顕著に発揮できる。さらには、加水分解性シリル基を有する有機化合物を用いて形成されると耐久性の点でより好ましい。

0059

[表面層付き基材の製造方法]
本発明は、さらに、酸化ケイ素を主成分として含有し、酸化ケイ素に対する割合で白金族金属を0.03質量ppm以上800質量ppm以下含有する蒸着材料を用いて、真空蒸着により基材上に酸化ケイ素層を形成すること、および得られた酸化ケイ素層上に酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物を用いて表面層を形成することを含む表面層付き基材の製造方法を提供する。

0060

本発明の製造方法により得られる表面層付き基材は、基材と、基材上に積層された酸化ケイ素層と、酸化ケイ素層上に直接積層された表面層とからなる。酸化ケイ素層は、上に説明した本発明の蒸着材料を用いて形成された酸化ケイ素を主成分とする層であり、表面層は酸化ケイ素と反応しうる基を用いて形成された層である。なお「基材上に積層された層」とは、基材上に直接層が積層される場合に限らず、基材と層との間に、別の層が備わる場合も含み、以下の構成も同様である。

0061

本発明の表面層付き基材の製造方法は、基材上に酸化ケイ素層を形成して酸化ケイ素層付き基材を得る(a)工程と、(a)工程で得られた酸化ケイ素層付き基材の酸化ケイ素層上に酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物を用いて表面層を形成する(b)工程を有する。(a)工程は、上記本発明の酸化ケイ素層付き基材の製造方法と同様にできる。

0062

以下、(b)工程について説明する。(b)工程において表面層は酸化ケイ素層上に直接形成される。表面層は、基材に特定の性能を付与する役割を果たす層である。酸化ケイ素層は、表面層の性能の経時的な性能の低下を抑制し、かつ機能層の耐久性を向上する役割を果たす層である。表面層によって基材に付与される性能としては、特に限定されず、防汚性、耐薬品性、耐摩耗性、耐候性親水性、撥水性、撥油性等が挙げられ、表面層を構成する化合物によって適宜選択される。

0063

本発明における表面層は、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物を用いて形成される。表面層の形成に際して、表面層と酸化ケイ素層との界面において、上記有機化合物の酸化ケイ素と反応しうる基は、少なくとも一部が酸化ケイ素層の酸化ケイ素と反応して縮合物を形成する。このようにして、表面層と酸化ケイ素層との界面において、上記有機化合物と、酸化ケイ素層の酸化ケイ素と、が相互作用しているため、本発明の製造方法により得られる表面層付き基材は、耐久性に優れる。

0064

酸化ケイ素と反応しうる基としては、水酸基を有する基、水酸基を生成可能な基(例えば、水酸基が任意の保護基によって保護されている基)が挙げられる。なかでも、酸化ケイ素との反応性の点から、シラノール基および加水分解性シリル基から選択される一種以上が好ましく、化合物の保存安定性の点から、加水分解性シリル基が好ましい。

0065

上記有機化合物における、酸化ケイ素と反応しうる基が、加水分解性シリル基である場合、上記有機化合物中の加水分解性シリル基(例えば、後述の式1中の−SiRnL3−n)が加水分解反応することによってシラノール基(Si−OH)が形成される。得られたシラノール基が分子間で縮合反応してSi−O−Si結合が形成され、または該化合物中のシラノール基が酸化ケイ素層のシラノール基(Si−OH)と反応して結合(Si−O−Si結合)が形成されると考えられる。すなわち、この場合の表面層は、加水分解性シリル基を有する化合物が加水分解縮合した縮合物を含む。表面層は、加水分解性シリル基を有する化合物の縮合物のみからなってもよく、加水分解性シリル基を有する化合物の未反応物を含んでいてもよい。後述のとおり、未反応物は必要に応じて除去されうる。

0066

(加水分解性シリル基を有する化合物)
加水分解性シリル基を有する化合物は、撥水撥油性を有する表面層を得る点からは加水分解性シリル基を有する含フッ素化合物(以下、単に「含フッ素化合物」とも記す。)であることが好ましい。

0067

加水分解性シリル基を有する化合物のうちフッ素原子を有しない化合物としては、加水分解性シリル基を有するオルガノシラン化合物ポリジメチルシロキサン鎖構造を有するシラン化合物(いずれもフッ素原子を有しない)等が挙げられる。

0068

加水分解性シリル基を有する化合物中の加水分解性シリル基は、表面層の耐摩耗性がさらに優れる点からは、2個以上が好ましく、3個以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、製造容易性の点から15個が好ましく、12個が特に好ましい。

0069

含フッ素化合物としては、フルオロアルキル基を有する含フッ素化合物、フルオロアルキル基の炭素原子間にさらにエーテル性酸素原子を有する含フッ素化合物が挙げられ、撥水撥油性、指紋汚れ除去性潤滑性等に優れる表面層を形成できる点から、ペルフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物、ペルフルオロアルキル基の炭素原子間にさらにエーテル性酸素原子を有する含フッ素化合物が好ましい。

0070

また、含フッ素化合物としては、撥水撥油性、指紋汚れ除去性、潤滑性等に優れる表面層を形成できる点から、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を有する含フッ素化合物が好ましく、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有する含フッ素化合物がより好ましい。

0071

特に、含フッ素化合物としては、撥水撥油性、指紋汚れ除去性、潤滑性等に優れる表面層を形成できる点から、フルオロアルキル基およびポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を有する含フッ素化合物(以下、「含フッ素エーテル化合物」とも記す。)が好ましい。

0072

フルオロアルキル基としては、撥水撥油性に優れる点から、炭素数1〜20のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のフルオロアルキル基がさらに好ましく、1〜3のフルオロアルキル基が特に好ましい。また、フルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、直鎖状が好ましい。また、上記フルオロアルキル基は、表面層の物性により優れる点から、ペルフルオロアルキル基であるのが好ましい。

0073

ペルフルオロアルキル基および加水分解性シリル基を有する含フッ素化合物としては、例えば、特開2009−139530号公報の段落[0010]、[0022]に記載の式(3)で表される化合物等が挙げられる。

0074

ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖としては、炭素数1〜10のオキシフルオロアルキレン基からなるものが好ましく、炭素数1〜10のオキシペルフルオロアルキレン基からなるものが特に好ましい。表面層の耐摩耗性および指紋汚れ除去性がさらに優れる点から、炭素数1〜10のオキシペルフルオロアルキレン基の複数からなるものが好ましい。

0075

例えば、炭素数1のオキシペルフルオロアルキレン基の複数と炭素数2のオキシペルフルオロアルキレン基の複数からなるもの、炭素数1のオキシペルフルオロアルキレン基の複数と炭素数3のオキシペルフルオロアルキレン基の複数からなるもの、炭素数2のオキシペルフルオロアルキレン基の複数と炭素数3のオキシペルフルオロアルキレン基の複数からなるもの、炭素数2のオキシペルフルオロアルキレン基の複数と炭素数4のオキシペルフルオロアルキレン基の複数からなるもの、炭素数1のオキシペルフルオロアルキレン基の複数と炭素数5のオキシペルフルオロアルキレン基の複数からなるもの、炭素数1のオキシペルフルオロアルキレン基の複数と炭素数6のオキシペルフルオロアルキレン基の複数からなるもの、炭素数1〜4から選択される少なくとも3種以上のオキシペルフルオロアルキレン基の複数からなるものが挙げられる。

0076

複数のオキシペルフルオロアルキレン基の配置は、ブロック、ランダム、交互のいずれであってもよい。オキシペルフルオロアルキレン基の炭素数が2以上の場合には、直鎖のオキシペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。

0077

ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖としては、炭素数1の直鎖のオキシペルフルオロアルキレン基と炭素数2の直鎖のオキシペルフルオロアルキレン基とがランダムに配置されたもの、炭素数1の直鎖のオキシペルフルオロアルキレン基と炭素数3の直鎖のオキシペルフルオロアルキレン基とがランダムに配置されたもの、炭素数2の直鎖のオキシペルフルオロアルキレン基と炭素数4の直鎖のオキシペルフルオロアルキレン基とが交互に配置されたものが特に好ましい。

0078

含フッ素化合物が含フッ素エーテル化合物である場合、含フッ素エーテル化合物は、表面層と酸化ケイ素層との相互作用の点から、加水分解性シリル基を2以上有するのが好ましい。
また、含フッ素エーテル化合物の数平均分子量は、表面層の耐摩擦性の点から、500〜20,000が好ましく、800〜10,000がより好ましく、1,000〜8,000が特に好ましい。

0079

含フッ素エーテル化合物としては、表面層の撥水撥油性がより優れる点で、化合物1が好ましい。
[A−O−Z1−(RfO)m−]jZ2[−SiRnL3−n]q 式1

0080

Aは、ペルフルオロアルキル基または−Q[−SiRnL3−n]kである。
ペルフルオロアルキル基中の炭素数は、表面層の耐摩擦性がより優れる点から、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい。
ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
ただし、Aが−Q[−SiRnL3−n]kである場合、jは1である。

0081

ペルフルオロアルキル基としては、CF3−、CF3CF2−、CF3CF2CF2−、CF3CF2CF2CF2−、CF3CF2CF2CF2CF2−、CF3CF2CF2CF2CF2CF2−、CF3CF(CF3)−等が挙げられ、表面層の撥水撥油性がより優れる点から、CF3−、CF3CF2−、CF3CF2CF2−が好ましい。

0082

Qは、(k+1)価の連結基である。後述するように、kは1〜10の整数である。よって、Qとしては、2〜11価の連結基が挙げられる。
Qとしては、本発明の効果を損なわない基であればよく、例えば、エーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有していてもよいアルキレン基、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、2〜8価のオルガノポリシロキサン残基、および、後述する式2−1、式2−2、式2−1−1〜2−1−6からSiRnL3−nを除いた基が挙げられる。

0083

Rは、1価の炭化水素基である。
Rは、1価の飽和炭化水素基が特に好ましい。1価の炭化水素基の炭素数は、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。

0084

Lは、加水分解性基または水酸基である。
Lの加水分解性基は、加水分解反応により水酸基となる基である。すなわち、加水分解性シリル基は、加水分解反応によりシラノール基となる。シラノール基は、さらにシラノール基間で反応してSi−O−Si結合を形成する。

0085

Lとしては、アルコキシ基ハロゲン原子アシル基イソシアナート基(−NCO)等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
Lとしては、工業的な製造が容易な点から、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましい。Lとしては、塗布時のアウトガスが少なく、化合物の保存安定性がより優れる点から、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、化合物の長期の保存安定性が必要な場合にはエトキシ基が特に好ましく、塗布後の反応時間を短時間とする場合にはメトキシ基が特に好ましい。

0086

nは、0〜2の整数である。
nは、0または1が好ましく、0が特に好ましい。Lが複数存在することによって、表面層と酸化ケイ素層との相互作用が良好となり、本発明の機能層の耐久性に優れる。
nが1以下である場合、1分子中に存在する複数のLは互いに同じであっても異なっていてもよい。原料の入手容易性や製造容易性の点からは、互いに同じであることが好ましい。

0087

加水分解性シリル基(SiRnL3−n)としては、−Si(OCH3)3、−SiCH3(OCH3)2、−Si(OCH2CH3)3、−SiCl3、−Si(OC(O)CH3)3、−Si(NCO)3が好ましい。工業的な製造における取扱いやすさの点から、−Si(OCH3)3が特に好ましい。

0088

Z1は、単結合、1個以上の水素原子がフッ素原子に置換された炭素数1〜20のオキシフルオロアルキレン基(ただし、オキシペルフルオロアルキレン基を除く。上記オキシフルオロアルキレン基中の酸素原子は、(RfO)mに結合する。)、または、1個以上の水素原子がフッ素原子に置換された炭素数1〜20のポリ(オキシフルオロアルキレン)基((RfO)mに結合するオキシフルオロアルキレン基中の酸素原子は、(RfO)mに結合する。(RfO)mに結合するオキシフルオロアルキレン基は、1個以上の水素原子を含む。ポリ(オキシフルオロアルキレン)基には、全ての水素原子がフッ素原子に置換されたオキシペルフルオロアルキレン基と、1個以上の水素原子を含むオキシフルオロアルキレン基との両方が含まれていてもよい。)である。オキシフルオロアルキレン基またはポリ(オキシフルオロアルキレン)基の炭素数は1〜10が好ましい。

0089

Z1としては、化合物を製造しやすい点から、単結合、−CHFCF2OCH2CF2O−、−CF2CHFCF2OCH2CF2CF2O−、−CF2CF2CHFCF2OCH2CF2O−、−CF2CF2OCHFCF2OCH2CF2O−、−CF2CF2OCF2CF2OCHFCF2OCH2CF2O−、−CF2CH2OCH2CF2O−、−CF2CF2OCF2CH2OCH2CF2O−が好ましく(ただし、左側がA−Oに結合する。)、単結合、−CHFCF2OCH2CF2O−が特に好ましい。

0090

Rfは、ペルフルオロアルキレン基である。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、表面層の撥水撥油性がより優れる点から、1〜6が好ましい。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、表面層の撥水撥油性により優れる点から、直鎖状が好ましい。
なお、複数のRfは、同一であっても異なっていてもよい。つまり、(RfO)mは、炭素数の異なる2種以上のRfOから構成されていてもよい。

0091

mは、2〜200の整数であり、5〜150の整数が好ましく、10〜100の整数が特に好ましい。mが2以上であれば、表面層の撥水撥油性がより優れる。mが200以下であれば、表面層の耐久性がより優れる。

0092

(RfO)mにおいて、炭素数の異なる2種以上のRfOが存在する場合、各RfOの結合順序は限定されない。例えば、2種のRfOが存在する場合、2種のRfOがランダム、交互、ブロックに配置されてもよい。

0093

(RfO)mとしては、表面層の撥水撥油性がより優れる点から、{(CF2O)m11(CF2CF2O)m12(CF2CF2CF2O)m13(CF2CF2CF2CF2O)m14}、(CF2CF2O)m16、(CF2CF2CF2O)m17、(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O)m15(CF2CF2O)、(CF2O−CF2CF2CF2CF2CF2O)m18(CF2O)、(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2CF2CF2O)m19(CF2CF2O)、{(CF2O)m20(CF2CF2CF2O)m21}、{(CF2CF2O)m22(CF2CF2CF2O)m23}が好ましく、{(CF2O)m11(CF2CF2O)m12(CF2CF2CF2O)m13(CF2CF2CF2CF2O)m14}、(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2O)m15(CF2CF2O)、(CF2O−CF2CF2CF2CF2CF2O)m18(CF2O)、(CF2CF2O−CF2CF2CF2CF2CF2CF2O)m19(CF2CF2O)が特に好ましい。

0094

ただし、m11およびm12は、それぞれ1以上の整数であり、m13およびm14は、それぞれ0または1以上の整数であり、m11+m12+m13+m14は2〜200の整数であり、m11個のCF2O、m12個のCF2CF2O、m13個のCF2CF2CF2O、m14個のCF2CF2CF2CF2Oの結合順序は限定されない。m16およびm17は、それぞれ2〜200の整数であり、m15、m18〜m23は、1〜99の整数である。

0095

Z2は、(j+q)価の連結基である。
Z2は、本発明の効果を損なわない基であればよく、例えば、エーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有していてもよいアルキレン基、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、2〜8価のオルガノポリシロキサン残基、および、後述する式2−1、式2−2、式2−1−1〜2−1−6からSiRnL3−nを除いた基が挙げられる。

0096

jは、1以上の整数であり、表面層の撥水撥油性がより優れる点から、1〜5の整数が好ましく、化合物を製造しやすい点から、1が特に好ましい。
qは、1以上の整数であり、表面層の撥水撥油性がより優れる点から、2以上の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましく、2または3が特に好ましく、3がさらに好ましい。

0097

化合物1は、表面層の撥水撥油性がより優れる点から、化合物1−1が好ましい。
A−O−Z1−(RfO)m−Z3 式1−1
式1−1中、A、Z1、Rfおよびmの定義は、式1中の各基の定義と同義である。

0098

Z3は、基2−1または基2−2である。
−Rf7−Qa−X(−Qb−SiRnL3−n)h(−R7)i 式2−1
−Rf7−Q71−[CH2C(R71)(−Q72−SiRnL3−n)]y−R72 式2−2

0099

式2−1および2−2中、R、Lおよびnの定義は、式1中の各基の定義と同義である。

0100

Rf7は、ペルフルオロアルキレン基である。
ペルフルオロアルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜6が特に好ましい。
ペルフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
Rf7としては、化合物を製造しやすい点から、−CF2CF2CF2CF2−または−CF2CF2CF2CF2CF2−が好ましい。

0101

Qaは、単結合または2価の連結基である。
2価の連結基としては、例えば、2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基アルケニレン基アルキニレン基であってもよい。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよく、例えば、アルキレン基が挙げられる。炭素数は1〜20が好ましい。また、2価の芳香族炭化水素基は、炭素数5〜20が好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基であってもよい。)、2価の複素環基、−O−、−S−、−SO2−、−N(Rd)−、−C(O)−、−Si(Ra)2−および、これらを2種以上組み合わせた基が挙げられる。ここで、Raは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、または、フェニル基である。Rdは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)である。
なお、上記これらを2種以上組み合わせた基としては、例えば、−OC(O)−、−C(O)N(Rd)−、アルキレン基−O−アルキレン基、アルキレン基−OC(O)−アルキレン基、アルキレン基−Si(Ra)2−フェニレン基−Si(Ra)2が挙げられる。

0102

Xは、単結合、アルキレン基、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子または2〜8価のオルガノポリシロキサン残基である。
なお、上記アルキレン基は、−O−、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基またはジアルキルシリレン基を有していてもよい。アルキレン基は、−O−、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基およびジアルキルシリレン基からなる群から選択される基を複数有していてもよい。
Xで表されるアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10が特に好ましい。
2〜8価のオルガノポリシロキサン残基としては、2価のオルガノポリシロキサン残基、および、後述する(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基が挙げられる。

0103

Qbは、単結合または2価の連結基である。
2価の連結基の定義は、上述したQaで説明した定義と同義である。

0104

R7は、水酸基またはアルキル基である。
アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1が特に好ましい。

0105

Xが単結合またはアルキレン基の場合、hは1、iは0であり、
Xが窒素原子の場合、hは1〜2の整数であり、iは0〜1の整数であり、h+i=2を満たし、
Xが炭素原子またはケイ素原子の場合、hは1〜3の整数であり、iは0〜2の整数であり、h+i=3を満たし、
Xが2〜8価のオルガノポリシロキサン残基の場合、hは1〜7の整数であり、iは0〜6の整数であり、h+i=1〜7を満たす。
(−Qb−SiRnL3−n)が2個以上ある場合は、2個以上の(−Qb−SiRnL3−n)は、同一であっても異なっていてもよい。R7が2個以上ある場合は、2個以上の(−R7)は、同一であっても異なっていてもよい。

0106

Q71は、単結合、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、化合物を製造しやすい点から、単結合が好ましい。
アルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。

0107

R71は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、化合物を製造しやすい点から、水素原子が好ましい。
アルキル基としては、メチル基が好ましい。

0108

Q72は、単結合またはアルキレン基である。アルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6が特に好ましい。化合物を製造しやすい点から、Q72は、単結合または−CH2−が好ましい。

0109

R72は、水素原子またはハロゲン原子であり、化合物を製造しやすい点から、水素原子が好ましい。

0110

yは、1〜10の整数であり、1〜6の整数が好ましい。
2個以上の[CH2C(R71)(−Q72−SiRnL3−n)]は、同一であっても異なっていてもよい。

0111

基2−1としては、基2−1−1〜2−1−6が好ましい。
−Rf7−(X1)p−Q1−SiRnL3−n 式2−1−1
−Rf7−(X2)r−Q21−N[−Q22−SiRnL3−n]2 式2−1−2
−Rf7−Q31−G(R3)[−Q32−SiRnL3−n]2 式2−1−3
−Rf7−[C(O)N(Rd)]s−Q41−(O)t−C[−(O)u−Q42−SiRnL3−n]3 式2−1−4
−Rf7−Q51−Si[−Q52−SiRnL3−n]3 式2−1−5
−Rf7−[C(O)N(Rd)]v−Q61−Z3[−Q62−SiRnL3−n]w 式2−1−6
なお、式2−1−1〜2−1−6中、Rf7、R、L、および、nの定義は、上述した通りである。

0112

X1は、−O−、または、−C(O)N(Rd)−である(ただし、式中のNはQ1に結合する)。
Rdの定義は、上述した通りである。
pは、0または1である。

0113

Q1は、アルキレン基である。なお、アルキレン基は、−O−、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基またはジアルキルシリレン基を有していてもよい。アルキレン基は、−O−、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基およびジアルキルシリレン基からなる群から選択される基を複数有していてもよい。
なお、アルキレン基が−O−、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基またはジアルキルシリレン基を有する場合、炭素原子−炭素原子間にこれらの基を有することが好ましい。

0114

Q1で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。

0115

Q1としては、pが0の場合は、−CH2OCH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2−が好ましい。(X1)pが−O−の場合は、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2OCH2CH2CH2−が好ましい。(X1)pが−C(O)N(Rd)−の場合は、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい(ただし、式中のNはQ1に結合する)。Q1がこれらの基であると化合物が製造しやすい。

0116

基2−1−1の具体例としては、以下の基が挙げられる。

0117

0118

X2は、−O−、−NH−、または、−C(O)N(Rd)−である。
Rdの定義は、上述した通りである。

0119

Q21は、単結合、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−もしくは−NH−を有する基である。
Q21で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q21で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−または−NH−を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。

0120

Q21としては、化合物を製造しやすい点から、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2−、−CH2NHCH2CH2−、−CH2CH2OC(OCH2CH2−が好ましい(ただし、右側がNに結合する。)。

0121

rは、0または1(ただし、Q21が単結合の場合は0である。)である。化合物を製造しやすい点から、0が好ましい。

0122

Q22は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間に、2価のオルガノポリシロキサン残基、エーテル性酸素原子もしくは−NH−を有する基である。
Q22で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q22で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間に、2価のオルガノポリシロキサン残基、エーテル性酸素原子または−NH−を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。

0123

Q22としては、化合物を製造しやすい点から、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2OCH2CH2CH2−が好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)。

0124

2個の[−Q22−SiRnL3−n]は、同一であっても異なっていてもよい。

0125

基2−1−2の具体例としては、以下の基が挙げられる。

0126

0127

Q31は、単結合、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、化合物を製造しやすい点から、単結合が好ましい。
Q31で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q31で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。

0128

Gは、炭素原子またはケイ素原子である。
R6は、水酸基またはアルキル基である。R3で表されるアルキル基の炭素数は、1〜4が好ましい。
G(R3)としては、化合物を製造しやすい点から、C(OH)またはSi(R3a)(ただし、R3aはアルキル基である。アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、メチル基が特に好ましい。)が好ましい。

0129

Q32は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基である。
Q32で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q32で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q32としては、化合物を製造しやすい点から、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−が好ましい。
2個の[−Q32−SiRnL3−n]は、同一であっても異なっていてもよい。

0130

基2−1−3の具体例としては、以下の基が挙げられる。

0131

0132

式2−1−4中のRdの定義は、上述した通りである。
sは、0または1である。
Q41は、単結合、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。
Q41で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q41で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
tは、0または1(ただし、Q41が単結合の場合は0である。)である。
−Q41−(O)t−としては、化合物を製造しやすい点から、sが0の場合は、単結合、−CH2O−、−CH2OCH2−、−CH2OCH2CH2O−、−CH2OCH2CH2OCH2−、−CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2−が好ましく(ただし、左側がRf7に結合する。)、sが1の場合は、単結合、−CH2−、−CH2CH2−が好ましい。

0133

Q42は、アルキレン基であり、上記アルキレン基は−O−、−C(O)N(Rd)−〔Rdの定義は、上述した通りである。〕、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基またはジアルキルシリレン基を有していてもよい。
なお、アルキレン基が−O−またはシルフェニレン骨格基を有する場合、炭素原子−炭素原子間に−O−またはシルフェニレン骨格基を有することが好ましい。また、アルキレン基が−C(O)N(Rd)−、ジアルキルシリレン基または2価のオルガノポリシロキサン残基を有する場合、炭素原子−炭素原子間または(O)u1と結合する側の末端にこれらの基を有することが好ましい。
Q42で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。

0134

uは、0または1である。
−(O)u−Q42−としては、化合物を製造しやすい点から、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2CH2CH2−、−OCH2CH2CH2−、−OSi(CH3)2CH2CH2CH2−、−OSi(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2Si(CH3)2PhSi(CH3)2CH2CH2−が好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)

0135

3個の[−(O)u−Q42−SiRnL3−n]は、同一であっても異なっていてもよい。

0136

基2−1−4の具体例としては、以下の基が挙げられる。

0137

0138

Q51は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。
Q51で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q51で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q51としては、化合物を製造しやすい点から、−CH2OCH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−が好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)。

0139

Q52は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基である。
Q52で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q52で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q52としては、化合物を製造しやすい点から、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2OCH2CH2CH2−が好ましい(ただし、右側がSiRnL3−nに結合する。)。

0140

3個の[−Q52−SiRnL3−n]は、同一であっても異なっていてもよい。

0141

基2−1−5の具体例としては、以下の基が挙げられる。

0142

0143

式2−1−6中のRdの定義は、上述の通りである。
vは、0または1である。

0144

Q61は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である。
Q61で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q61で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q61としては、化合物を製造しやすい点から、−CH2OCH2CH2CH2−、−CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−が好ましい(ただし、右側がZ3に結合する。)。

0145

Z3は、(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基である。
wは、2〜7の整数である。
(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基としては、下記の基が挙げられる。ただし、下式におけるRaは、上述の通りである。

0146

0147

Q62は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基である。
Q62で表されるアルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q62で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜6が特に好ましい。
Q62としては、化合物を製造しやすい点から、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−が好ましい。

0148

w個の[−Q62−SiRnL3−n]は、同一であっても異なっていてもよい。

0149

化合物1の具体例としては、国際公開第2013/042732号、国際公開第2013/121984号、国際公開第2013/121985号、国際公開第2013/121986号、国際公開第2014/163004号、国際公開第2015/087902号、特開2014−080473号公報、特開2015−199906号公報、国際公開第2017/038830号、国際公開第2017/038832号および国際公開第2017/187775号に記載の含フッ素エーテル化合物、特許文献1、特開平11−029585号公報に記載のパーフルオロ(ポリ)エーテル含有シラン化合物、特許文献2に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー、特許第2874715号公報に記載のケイ素含有有機含フッ素ポリマー、特開2000−144097号公報に記載の有機ケイ素化合物、特開2000−327772号公報に記載のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン特表2002−506887号公報に記載のフッ素化シロキサン、特表2008−534696号公報に記載の有機シリコーン化合物、特許第4138936号公報に記載のフッ素化変性水素含有重合体、米国特許出願公開第2010/0129672号明細書に記載の化合物、国際公開第2011/060047号に記載のオルガノシリコン化合物、国際公開第2011/059430号に記載のオルガノシリコン化合物、国際公開第2012/064649号に記載の含フッ素オルガノシラン化合物、特開2012−72272号公報に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー、国際公開第2014/126064号に記載の化合物、特開2014−070163号公報に記載の化合物、特開2016−204656号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン、特開2016−210854号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン、特開2016−222859号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン、等が挙げられる。

0150

含フッ素エーテル化合物は、市販品を使用することもできる。例えば信越化学工業社製のKY−100シリーズ(KY−178、KY−185、KY−195等)、ダイキン工業社製のオプツール(登録商標)DSX、オプツール(登録商標)AES、オプツール(登録商標)UF503、オプツール(登録商標)UD509、旭硝子社製のAfluid(登録商標)S550が挙げられる。

0151

(表面層の形成方法
酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物を用いて表面層を形成する方法は、ウェットコーティングであってもドライコーティングであってもよい。

0152

ドライコーティングとしては、物理的蒸着法真空蒸着法イオンプレーティング法スパッタリング法)、化学的蒸着法熱CVD法プラズマCVD法光CVD法)、イオンビームスパッタリング法等が挙げられる。酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物において、該基が加水分解性シリル基である場合に、化合物の分解を抑制できる点、および装置の簡便さの点から、真空蒸着法が特に好ましい。

0153

真空蒸着は、具体的には、減圧が可能な装置内に酸化ケイ素層付き基材を設置し、酸化ケイ素層付き基材の酸化ケイ素層表面に対向する位置に酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物またはこれを含む組成物や、これらに溶媒を加えた溶液または分散液を収容した蒸着用容器を設置する。蒸着用容器には、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物またはこれを含む組成物や、これらに溶媒を加えた溶液または分散液を、鉄や鋼等の金属多孔体含浸させたペレット状物質を収容してもよい。

0154

蒸着用容器の大きさ、形状は特に制限されない。蒸着用容器の材質としては、例えば、モリブデン、タングステン、銅等が挙げられる。真空蒸着時には、蒸着用容器収容物を電子銃や抵抗加熱により加熱する。蒸着用容器収容物の加熱温度は、200〜700℃が好ましく、300〜500℃がより好ましい。

0155

真空蒸着の際の装置内の温度は、20〜300℃が好ましく、30〜200℃が特に好ましい。真空蒸着の際の装置内の圧力は、1×10−1Pa以下が好ましく、1×10−2Pa以下が特に好ましい。酸化ケイ素層付き基材の酸化ケイ素層表面と、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物またはこれを含む組成物や、これらに溶媒を加えた溶液または分散液との距離は、100〜4000mmが好ましく、200〜2000mmがより好ましい。

0156

ドライコーティングにおいては、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物の1種を単独で用いてもよく、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物の2種以上の混合物として用いてもよく、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物と他の成分(ただし、溶媒を除く。)とを含む組成物として用いてもよく、これらに溶媒を加えた溶液または分散液として用いてもよい。

0158

ウェットコーティングにおいては、表面層形成用コーティング液が好適に用いられる。表面層形成用コーティング液は、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物と溶媒とを含む溶液または分散液である。

0159

溶媒は、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物の種類に応じて適宜選択される。上記化合物が含フッ素化合物である場合、溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒は、フッ素系有機溶媒であってもよく、非フッ素系有機溶媒であってもよく、両溶媒を含んでもよい。フッ素系有機溶媒としては、フッ素化アルカンフッ素化芳香族化合物フルオロアルキルエーテルフッ素化アルキルアミンフルオロアルコール等が挙げられる。

0160

非フッ素系有機溶媒としては、水素原子および炭素原子のみからなる化合物と、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物が好ましく、炭化水素系有機溶媒アルコール系有機溶媒ケトン系有機溶媒エーテル系有機溶媒エステル系有機溶媒が挙げられる。

0161

表面層形成用コーティング液は、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物および溶媒の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分、不純物(加水分解性シリル基を有する化合物の製造工程で生成した副生成物等)を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物において、該基が加水分解性シリル基である場合に、加水分解性シリル基の加水分解と縮合反応を促進する酸触媒塩基性触媒等の公知の添加剤が挙げられる。

0162

表面層形成用コーティング液の固形分濃度は、0.001〜50質量%が好ましく、0.05〜30質量%が特に好ましい。表面層形成用コーティング液の固形分濃度は、加熱前の表面層形成用コーティング液の質量と、120℃の対流式乾燥機にて4時間加熱した後の質量とから算出する値である。

0163

<後処理>
表面層の耐摩耗性を向上させるために、必要に応じて、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物と酸化ケイ素層との反応を促進するための操作を行ってもよい。該操作としては、加熱、加湿光照射等が挙げられる。例えば、酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物において、該基が加水分解性シリル基である場合には、水分を有する大気中で表面層が形成された酸化ケイ素層付き基材を加熱して、加水分解性シリル基のシラノール基への加水分解反応、シラノール基の縮合反応によるシロキサン結合の生成、酸化ケイ素層の表面のシラノール基等と加水分解性シリル基を有する化合物のシラノール基との縮合反応等の反応を促進できる。

0164

表面処理後、表面層中の化合物であって他の化合物や酸化ケイ素層と化学結合していない化合物は、必要に応じて除去してもよい。具体的な方法としては、例えば、表面層に溶媒をかけ流す方法、溶媒をしみ込ませた布でふき取る方法等が挙げられる。

0165

表面層の厚さは、0.1〜100nmが好ましく、0.1〜50nmが特に好ましい。表面層の厚さが0.1nm以上であれば、表面処理による効果が充分に得られやすい。表面層の厚さが100nm以下であれば、利用効率が高い。

0166

このようにして本発明の製造方法により得られる表面層付き基材は、上記酸化ケイ素層を有することで、表面層の性能の経時的な低下が抑制された、耐久性に優れる物品である。例えば、表面層が撥水撥油性を有する場合、撥水性を図る指標として水接触角が挙げられる。表面層の空気側の表面の水接触角は、100度以上が好ましく、105度以上がより好ましく、110度以上がさらに好ましく、115度以上が特に好ましい。水接触角が100度以上であれば、表面層の撥水性に優れる。表面層の水接触角は、高いほど好ましいため、上限値は特に限定されない。水接触角は、接触角測定装置DM−500:製品名、協和界面科学社製)を用いて測定される。

0167

本発明に係る表面層付き基材は、例えば、表面層の空気側の表面について、JIS L0849:2013(ISO 105−X12:2001)に準拠して往復式トラバース試験機(大栄精機社製)を用い、スチールウールボンスター番手:♯0000、寸法:5mm×10mm×10mm)を荷重:9.8N、速度:80rpmで3,000回往復させた後の水接触角を100度以上に保持できることが好ましく、105度以上に保持できることがより好ましい。

0168

本発明に係る表面層付き基材は、例えば、表面層の空気側の表面について、初期水接触角から上記3,000回往復後の表面層の水接触角を引いた値(接触角低下量)が、25度以下であるのが好ましく、15度以下であるのがより好ましく、10度以下であるのが特に好ましい。接触角低下量は、小さいほど好ましいため、下限値は特に限定されない。

0169

本発明に係る表面層付き基材は、表面層の空気側の表面で測定される硬度、例えば、マルテンス硬度が高いことから、耐久性に優れると想定される。本発明に係る表面層付き基材において、表面層の空気側の表面について、インデンテーション試験装置(フィッシャー製、ピコデンターHM500)を用い、押込荷重を0.03mN、保持時間を5秒、負荷速度および除荷速度0.05mN/5秒として測定されるマルテンス硬度は、8,500MPa以上が好ましく、10,000MPa以上がより好ましい。

0170

[用途]
本発明に係る表面層付き基材は、輸送機器用物品精密機器用物品、光学機器用物品、建築用物品または電子機器用物品に用いるのが好ましい。また、本発明に係る表面層付き基材は、上記各種機器以外の物品に用いてもよい。

0171

輸送機器用物品の具体例としては、電車自動車船舶および航空機等における、外装部材内装部材、ガラス(例えば、フロントガラスサイドガラス及びリアガラス)、ミラータイヤホイールが挙げられる。精密機器用物品の具体例としては、撮影機器における窓材が挙げられる。光学機器用物品の具体例としては、レンズが挙げられる。建築用物品の具体例としては、窓、床材壁材ドア材が挙げられる。電子機器用物品の具体例は、通信用端末または画像表示装置におけるディスプレイ用ガラスディスプレイ保護フィルム反射防止フィルム指紋センサーが挙げられる。

0172

以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。例1〜6は実施例であり、例7〜9は比較例である。

0173

各例において、以下のとおり蒸着材料を調製した。さらに、以下の材料を用いて、ガラス基材上に酸化ケイ素層と、該酸化ケイ素層上に性能として撥水撥油性を有する表面層とを備える表面層付き基材を製造し、以下の物性測定および評価を行った。

0174

[材料]
ガラス基材:Dragontrail(登録商標、旭硝子社製)、サイズ50mm×50mm、厚さ0.5mm
酸化ケイ素と反応しうる基を有する有機化合物:WO2014/126064中の化合物(ii−2)の合成方法で合成した、以下の化学式で表される含フッ素エーテル化合物(数平均分子量:4,920)(以下、「含フッ素エーテル化合物F」と記す。)。
CF3CF2OCF2CF2O(CF2CF2CF2CF2OCF2CF2O)13CF2CF2CF2C(O)NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3

0175

(初期水接触角)
表面層の空気側の表面に、2μLの蒸留水を滴下した際の接触角を、接触角測定装置(協和界面科学社製DM−701)を用いて20℃で測定した。表面層の表面における異なる5箇所で測定を行い、その平均値を算出した。

0176

スチールウール摩耗試験
表面層について、JIS L0849:2013(ISO 105−X12:2001)に準拠して、往復式トラバース試験機(製)を用い、スチールウールボンスター(番手:♯0000、寸法:5mm×10mm×10mm)を荷重9.8N、速度80rpmで往復させた。スチールウール摩耗回数の1000回毎に、撥水撥油層の水の接触角を測定し、水の接触角が100度未満になった回数を耐摩耗性とした。

0177

[例1]
(蒸着材料の調製)
珪砂、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムと白金粉末(平均粒子径:7μm)を混合して蒸着材料の原料組成物を調製した。珪砂、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムの配合割合は、得られる蒸着材料の白金を除く成分が、酸化物換算の質量%表示で、SiO2を70%、Na2Oを3%、CaOを27%それぞれ含有するように調整した。白金の含有量は、蒸着材料における酸化ケイ素に対する割合として0.05質量ppmとなる量とした。

0178

原料組成物をるつぼに入れ、電気炉中で1500℃に加熱し溶融物とした。得られた溶融物をカーボン板上に流し出し、室温で冷却、固化させて板状の蒸着材料を得た。冷却速度は、1℃/分であった。得られた板状の蒸着材料をハンマー粉砕して、平均長径が3mmのフレーク状の蒸着材料(1)とした。なお、蒸着材料(1)の平均長径はのぎすにより測定した。得られた蒸着材料(1)をICP分析した結果、上記の設定とおりの組成の蒸着材料が得られていることが確認された。

0179

(基材の洗浄不純物除去))
ガラス基材の一方の表面を、高周波電源電機社製CG102A)を用いて80V、3.5Aの条件下でコロナ放電処理した。

0180

(酸化ケイ素層および表面層の成膜)
真空蒸着装置アルバック機工社製VTR−350M)に2個のモリブデン製ボートA、ボートBを配置した。ボートAに蒸着材料(1)の0.5gを収容し、ボートBに含フッ素エーテル化合物Fの0.5gを収容した。

0181

真空蒸着装置内に上記放電処理済みのガラス基材を配置し、真空蒸着装置内を5×10−3Pa以下の圧力になるまで排気した。ボートAをガラス基材に対向するように距離1000mmの位置に配置した後、ボートAを電子銃で1000℃に加熱し、蒸着材料(1)を真空蒸着させ、ガラス基材上に厚さ10nmの酸化ケイ素層を蒸着によって形成した。なお、蒸着材料(1)の温度は、上記ボートAの加熱温度と同様に1300℃である。

0182

次いで、ボートBを酸化ケイ素層が形成されたガラス基材の酸化ケイ素層表面に対向するように距離1000mmの位置に配置した後、ボートBを抵抗加熱によって300℃に加熱し、含フッ素エーテル化合物Fを真空蒸着させて厚さ10nmの蒸着膜を形成した。なお、含フッ素エーテル化合物Fの温度は、上記ボートBの加熱温度と同様に300℃であった。その後、得られた蒸着膜付きガラス基材を、温度200℃で30分間加熱(後処理)して、ガラス基材上に酸化ケイ素層と表面層をその順に有する表面層付きガラス基材(1)を得た。

0183

[例2]
例1において、白金粉末をロジウム粉末(平均粒子径:7μm)に変更した以外は同様にして蒸着材料(2)を調製した。さらに、例1において、蒸着材料(1)を蒸着材料(2)に変更した以外は同様にして表面層付きガラス基材(2)を作製した。

0184

[例3〜9]
例1または例2に用いた白金粉末またはロジウム粉末を用いて、蒸着材料における酸化ケイ素に対する白金またはロジウムの割合が表1の量となるように調整した以外は、例1と同様にして例3〜6、8、9の蒸着材料(3)〜(6)、(8)、(9)を調製した。なお、例7では、白金粉末またはロジウム粉末を添加せずに、珪砂、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムのみを用いて例1と同様にして蒸着材料(7)を調製した。さらに、例1において、蒸着材料(1)を蒸着材料(3)〜(9)に変更した以外は同様にして表面層付きガラス基材(3)〜(9)を作製した。

0185

[評価]
(酸化ケイ素層組成)
上記各例において酸化ケイ素層付きガラス基材の酸化ケイ素層について白金(Pt)またはロジウム(Rh)の酸化ケイ素に対する含有割合[質量ppm]を、二重収束ダイナミックSIMSにより求めた。結果を、蒸着材料中の白金族金属含有量(質量ppm対SiO2)とともに表1に示す。また、酸化ケイ素層における白金族金属以外の成分の組成を同様の方法で測定したところ、その組成は、酸化物換算の質量%表示で、SiO2を67%、Na2Oを2.6%、CaOを30.4%それぞれ含有する組成であった。

0186

(酸化ケイ素層組成)
表面層付きガラス基材(1)〜(9)について、上記方法により、初期水接触角の測定、スチールウール摩耗試験による評価を行った。結果を表1に示す。

0187

実施例

0188

表1から明らかなように、本発明の実施例である例1〜6で得られた表面層付きガラス基材(1)〜(6)に関しては、初期接触角が高いレベルにあり、スチールウール摩耗試験後の水接触角に関しても高いレベルを維持できている。

0189

本発明の蒸着材料によれば、表面層に十分な耐久性を付与できる下地層、特には酸化ケイ素層の形成が可能である。本発明の蒸着材料を用いて得られる表面層付き基材は、基材上に酸化ケイ素層と表面層をその順に有する物品であって、表面層の性能の経時的な低下が抑制されることで、耐久性に優れる。このような特性を有する本発明による物品は、輸送機器用物品、精密機器用物品、光学機器用物品、建築用物品または電子機器用物品に用いるのが好ましい。また、本発明による物品は、上記各種機器以外の物品に用いてもよい。

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