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技術 ポリアリーレンスルフィドの製造方法

出願人 東レ株式会社
発明者 不破拓人吉田智哉東原武志
出願日 2021年2月2日 (1年0ヶ月経過) 出願番号 2021-014943
公開日 2021年9月2日 (5ヶ月経過) 公開番号 2021-127455
状態 未査定
技術分野 硫黄,リン,金属系主鎖ポリマー
主要キーワード 特殊設備 ヒドロキシ基含有量 制御系部品 アルカリ土類金属イオン濃度 ネットコンベヤー パイプジョイント ポテンシオメーター 底栓弁
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

官能基を含有するポリアリーレンスルフィドの効率的な回収を課題とする。

解決手段

ポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、ポリアリーレンスルフィドのカルボキシレート含有量モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液洗浄することを特徴とする、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。

概要

背景

電気電子部品自動車用部品フィルム、繊維など、各種用途において、合成樹脂現代社会支える重要な素材であり、生活の質向上に伴い今後も堅調に拡大することが予想される。工業的に生産される合成樹脂は、改質による性能・機能の向上が図られている一方で、効率的な生産による安価な製造を追求すべく、基礎研究から応用研究まで幅広く検討されている。

合成樹脂の生産効率を向上させる方法としては、重合時の反応時間短縮等による方法や、重合された樹脂回収する際の効率的な回収方法など、様々な取り組みが挙げられるが、中でも溶媒中で重合する溶液重合により得られる樹脂の場合は、反応溶液からの樹脂の効率的な回収が樹脂の生産コストを大きく左右することから、高効率な回収方法が以前から検討されている。

例えば、工業的に生産されている代表的な溶液重合により得られる樹脂として、アクリロニトリルーブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィド(以下PASと略すことがある)などが挙げられ、中でもPASは、優れた耐熱性耐薬品性電気絶縁性を有しながらコスバランスが高く、スーパーエンジニアリングプラスチックとして電気・電子部品、自動車用途産業用途など各種分野で使用されている。PASは特許文献1のように有機極性溶媒中で重合されることが一般的であり、PAS含有反応溶液を室温まで冷却した後、スクリーンでろ過を行うPASの回収方法が開示されている。また、特許文献2には、スクリーンでろ過することなく、重合スラリー洗浄液と連続的に向流接触させる洗浄工程により、PASを効率的に回収する方法が開示されている。

概要

官能基を含有するポリアリーレンスルフィドの効率的な回収を課題とする。ポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、ポリアリーレンスルフィドのカルボキシレート含有量モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液で洗浄することを特徴とする、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。なし

目的

詳しくは、カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を含む溶液で洗浄するポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、該ポリアリーレンスルフィドのカルボキシレート含有量モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液洗浄することを特徴とする、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。

請求項2

前記イオン価が2価以上の陽イオンが、ベリリウムイオンマグネシウムイオンカルシウムイオンストロンチウムイオンバリウムイオン、銅(II)イオン、亜鉛(II)イオン、鉄(II)イオン、アルミニウムイオンおよび鉄(III)イオンから選択される少なくとも一種の陽イオンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。

請求項3

前記ポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量が10000以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。

請求項4

前記ポリアリーレンスルフィドが、カルボキシル基酸無水物基水酸基アミノ基およびその誘導体から選択される少なくとも一つの官能基を400μmol/g〜2000μmol/g含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載にポリアリーレンスルフィドの製造方法。

請求項5

前記カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、前記ポリアリーレンスルフィドのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液で洗浄する際の、前記ポリアリーレンスルフィドのゼータ電位が−20mV以上+20mV以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、官能基を含有するポリアリーレンスルフィドを、洗浄添加剤を含む溶液洗浄することを特徴とする、ポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。詳しくは、カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を含む溶液で洗浄するポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供する。

背景技術

0002

電気電子部品自動車用部品フィルム、繊維など、各種用途において、合成樹脂現代社会支える重要な素材であり、生活の質向上に伴い今後も堅調に拡大することが予想される。工業的に生産される合成樹脂は、改質による性能・機能の向上が図られている一方で、効率的な生産による安価な製造を追求すべく、基礎研究から応用研究まで幅広く検討されている。

0003

合成樹脂の生産効率を向上させる方法としては、重合時の反応時間短縮等による方法や、重合された樹脂回収する際の効率的な回収方法など、様々な取り組みが挙げられるが、中でも溶媒中で重合する溶液重合により得られる樹脂の場合は、反応溶液からの樹脂の効率的な回収が樹脂の生産コストを大きく左右することから、高効率な回収方法が以前から検討されている。

0004

例えば、工業的に生産されている代表的な溶液重合により得られる樹脂として、アクリロニトリルーブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィドに代表されるポリアリーレンスルフィド(以下PASと略すことがある)などが挙げられ、中でもPASは、優れた耐熱性耐薬品性電気絶縁性を有しながらコスバランスが高く、スーパーエンジニアリングプラスチックとして電気・電子部品、自動車用途産業用途など各種分野で使用されている。PASは特許文献1のように有機極性溶媒中で重合されることが一般的であり、PAS含有反応溶液を室温まで冷却した後、スクリーンでろ過を行うPASの回収方法が開示されている。また、特許文献2には、スクリーンでろ過することなく、重合スラリー洗浄液と連続的に向流接触させる洗浄工程により、PASを効率的に回収する方法が開示されている。

先行技術

0005

特開2016−183269号公報
国際公開第2003/048231号

発明が解決しようとする課題

0006

PASは、構造中の官能基の有無に関わらず反応溶液から効率的に樹脂を回収することが長年の課題であり、特許文献1では重合物ろ過性を確保するために目開きが150μmのスクリーンで篩分けしているものの、ろ液側に微粉PASが流出してしまうことから、そのろ液から微粉PASを回収するという複雑な工程を採用しており、PASを回収する方法としては生産性の低い方法であった。また、特許文献2には、スクリーンを用いることなくPASを効率的に回収する方法として向流洗浄が開示されているものの、特殊設備が必要であると共に、安定的にPASを洗浄・回収するには煩雑な洗浄液の流量制御が必要という課題があり、簡便かつ効率的なPASの回収方法が求められていた。

課題を解決するための手段

0007

そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、PASの製造方法において、カルボキシレートを含有するPASを、イオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を特定量含む溶液で洗浄することで、官能基を含有するPASを効率的に回収できることを見出し、本発明に至った。

0008

すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.ポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、該ポリアリーレンスルフィドのカルボキシレート含有量モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液で洗浄することを特徴とする、ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
2.前記イオン価が2価以上の陽イオンが、ベリリウムイオンマグネシウムイオンカルシウムイオンストロンチウムイオンバリウムイオン、銅(II)イオン、亜鉛(II)イオン、鉄(II)イオン、アルミニウムイオンおよび鉄(III)イオンから選択される少なくとも一種の陽イオンを含むことを特徴とする、1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
3.前記ポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量が10000以下であることを特徴とする、1または2に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
4.前記ポリアリーレンスルフィドが、カルボキシル基酸無水物基水酸基アミノ基およびその誘導体から選択される少なくとも一つの官能基を400μmol/g〜2000μmol/g含むことを特徴とする、1〜3のいずれかに記載にポリアリーレンスルフィドの製造方法。
5.前記カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、前記ポリアリーレンスルフィドのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液で洗浄する際の、前記ポリアリーレンスルフィドのゼータ電位が−20mV以上+20mV以下であることを特徴とする、1〜4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、官能基を含有するPASを効率的に回収することができる。

0010

本発明におけるPASとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などであらわされる単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。

0011

0012

(R1,R2は水素アルキル基アルコキシ基、およびハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)

0013

この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(L)〜式(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。

0014

0015

また、本発明におけるPASは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。

0016

これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいPASとしては、ポリマーの主要構成単位として以下に示すp−フェニレンスルフィド単位

0017

0018

を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィドが挙げられる。

0019

以下に、本発明のPAS樹脂の製造方法について説明する。

0020

まず、本発明のPASの製造方法において使用するジハロゲン化芳香族化合物スルフィド化剤重合溶媒、官能基を有するハロゲン化化合物、分岐・架橋剤、重合助剤、重合安定剤の内容について説明する。

0021

[ジハロゲン化芳香族化合物]
ジハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロp−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどが挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。

0022

ジハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のPASを得る点から、スルフィド化剤100モル当たり50モルから120モル、好ましくは70モルから110モル、より好ましくは75モルから100モル、更に好ましくは80モルから95モルの範囲が例示できる。

0023

[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。

0024

アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム硫化ナトリウム硫化カリウム硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。

0025

アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。

0026

また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からアルカリ金属硫化物を調製し、これを重合槽に移して用いることができる。

0027

あるいは、水酸化リチウム水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からアルカリ金属硫化物を調製し、これを重合槽に移して用いることができる。

0028

仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。

0029

なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム水酸化ストロンチウム水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。

0030

スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物100モルに対し95モルから200モル、好ましくは100モルから170モル、更に好ましくは101モルから150モルの範囲が例示できる。

0031

[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いるのが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドヘキサメチルリン酸トリアミドジメチルスルホンテトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられる。これらの重合溶媒はいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。

0032

有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤100モル当たり20モルから1000モル、好ましくは225モルから600モル、より好ましくは250モルから550モルの範囲が選ばれる。

0033

[官能基を有するハロゲン化化合物]
本発明においては、官能基を含有するPASを効率的に得る観点から、官能基を有するハロゲン化化合物を用いることが好ましい。官能基を有するハロゲン化化合物とは、具体的には、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、イソシアネート基エポキシ基ニトロ基チオール基スルホンアミド基アミド基スルホン酸基アセチル基シラノール基アルコキシシラン基、およびそれらの誘導体から選択される少なくとも1つの官能基を有するハロゲン化化合物である。これらの中でも、反応性や取扱上の観点から、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、水酸基およびその誘導体から選択されるいずれかが好ましく、カルボキシル基、酸無水物基、およびカルボン酸塩から選択されるいずれかがより好ましい。これら官能基は、1分子中に1つ有しても2つ以上有してもよい。また、1分子中に異なる官能基を複数有してもよい。

0034

本発明において、官能基を有するハロゲン化化合物は、1分子中に1つ以上のハロゲンを有する化合物であれば特に制限は無く、モノハロゲン化化合物ジハロゲン化化合物トリハロゲン化化合物テトラハロゲン化化合物などが挙げられる。優れた反応性および、加工に適切な溶融粘度を得る観点から、モノハロゲン化化合物、ジハロゲン化化合物が好ましく、モノハロゲン化芳香族化合物、ジハロゲン化芳香族化合物がより好ましい。

0035

官能基を有するハロゲン化化合物の例としては、4−クロロ−シクロヘキサン−1−カルボン酸、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、5−クロロベンゼン−1,3−ジアミン、2−クロロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、4−クロロ安息香酸、4−クロロ安息香酸ナトリウム、5−クロロベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、3−クロロ無水フタル酸、4−クロロ無水フタル酸、5−クロロイソフタル酸、4−クロロフタル酸、2−カルボキシ−4−クロロ安息香酸ナトリウム、3−クロロフタル酸二ナトリウム、4−クロロフタル酸二ナトリウム、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロアンモニウムクライド、4−クロロベンズアミド、4−クロロベンゼンアセトアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンチオール、4’−クロロベンゾフェノン−2−カルボン酸、2−アミノ−5−クロロベンゾフェノン、4’−クロロ−[1,1’−ビフェニル]−4−カルボン酸、4−((クロロフェニルチオアニリン、6−クロロ−2−ナフトエ酸、6−クロロナフタレン−2−アミン、6−クロロ−2−ナフトール、6−クロロナフト[2,3−c]フラン−1,3−ジオン、4−ブロモ安息香酸、4−ヨード安息香酸、4−クロロニトロベンゼン、などモノハロゲン化芳香族化合物、3,5−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロフェノール、2,5−ジクロロ安息香酸、4,7−ジクロロイソベンゾフラン−1,3−ジオン、3,6−ジクロロフタル酸二ナトリウムなどのジハロゲン化芳香族化合物などが挙げられる。

0036

中でも、取扱上および反応性の観点から、3,5−ジクロロアニリン、4−クロロ安息香酸、4−クロロ安息香酸ナトリウム、4−クロロ無水フタル酸、4−クロロフタル酸、4−クロロフタル酸二ナトリウム、2−カルボキシ−4−クロロ安息香酸ナトリウム、4−クロロフェノールが好ましく、4−クロロ安息香酸、4−クロロ安息香酸ナトリウム、4−クロロ無水フタル酸、4−クロロフタル酸、4−クロロフタル酸二ナトリウム、2−カルボキシ−4−クロロ安息香酸ナトリウムが更に好ましい。

0037

なお、本発明において、官能基を有するハロゲン化化合物であって、ジハロゲン化芳香族化合物にも該当する場合は、官能基を有するハロゲン化化合物として取り扱われ、ジハロゲン化芳香族化合物として取り扱わないものとする。

0038

本発明において、官能基を有するハロゲン化化合物の配合量としては、スルフィド化剤100モルに対し、0.05モル以上100モル未満で反応させることが好ましく、1モル以上70モル未満で反応させることがより好ましく、5モル以上50モル未満で反応させることが更に好ましい。官能基を有するハロゲン化化合物の配合量がスルフィド化剤100モルに対し、0.05モル未満であると、導入される官能基含有量が著しく低下するため好ましくない。官能基を有するハロゲン化化合物の配合量がスルフィド化剤100モルに対し、100モル以上であると、未反応の官能基を有するハロゲン化化合物が増加し、排水処理負荷は高まる観点から好ましくない。官能基を有するハロゲン化化合物は1種類で使用してもよいし、異なる2種類以上の混合物として使用してもよい。

0039

また、ハロゲン化化合物の合計量は、スルフィド化剤100モルに対し、98モル以上108モル未満で反応させることが好ましい。ハロゲン化化合物としては、上述のジハロゲン化芳香族化合物や官能基を有するハロゲン化化合物のみならず、後述の分岐・架橋剤で使用するハロゲン化化合物も含む。

0040

本発明において、官能基を有するハロゲン化化合物は、実質的に水を含まないことが好ましい。実質的に水を含まないとは、官能基を有するハロゲン化化合物の含水率が5wt%以下であることであり、より好ましくは1wt%以下、更に好ましくは0.1wt%であることが例示できる。官能基を有するハロゲン化化合物の含水率が5wt%を超えると、重合系内へ供給された後にPASとの反応性が著しく低下するため好ましくない。この理由は判然としないが、官能基を有するハロゲン化化合物と水の相互作用が強く、PASとの反応を阻害するからと推定している。

0041

[分岐・架橋剤]
本発明では、官能基の含有量が多く、かつ低分子量化された実質的に直鎖状のPASを得ることができるが、分岐または架橋重合体を形成させるために、トリハロゲン化以上のポリハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を用いることができる。中でもポリハロゲン化芳香族化合物が好ましく、具体例としては、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼンヘキサクロロベンゼン、1,4,6−トリクロロナフタレン等を挙げることができ、中でも1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンが好ましい。

0042

なお、本発明において、官能基を有するハロゲン化化合物であって、トリハロゲン化化合物にも該当する場合は、官能基を有するハロゲン化化合物として取り扱われ、トリハロゲン化芳香族化合物として取り扱わないものとする。

0043

[重合助剤]
本発明では短時間でPASを得る目的で、重合助剤を用いることができる。具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物有機スルホン酸塩硫酸アルカリ金属塩アルカリ土類金属酸化物アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。

0044

これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩、アルカリ金属塩化物、および水が好ましく、さらに有機カルボン酸塩としてはアルカリ金属カルボン酸塩が、アルカリ金属塩化物としては塩化リチウムが好ましい。

0045

アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価である。一方、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。

0046

アルカリ金属カルボン酸塩の使用量は、短時間で目的のPAS樹脂を得る観点から、仕込みスルフィド化剤100モルに対し、1モル〜200モルの範囲が好ましく、10モル〜100モルの範囲がより好ましく、20モル〜50モルの範囲が更に好ましい。

0047

また水を重合助剤として用いる場合の添加量は、仕込みスルフィド化剤100モルに対し、30モル〜1500モルの範囲が好ましく、60モル〜1000モルの範囲がより好ましく、100モル〜500モルの範囲が更に好ましい。

0048

これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよい。

0049

[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられる。重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。

0050

これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02モル〜0.2モル、好ましくは0.03モル〜0.1モル、より好ましくは0.04モル〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であり、ポリマー収率が低下する傾向となる。

0051

重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時あるいは重合開始時に同時に添加することが容易である点からより好ましい。

0052

次に、本発明のPASの好ましい製造方法について、前工程、重合反応工程、回収工程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明するが、勿論この方法に限定されるものではない。

0053

[前工程]
PASの製造方法において、通常、スルフィド化剤は水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。

0054

また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるスルフィド化剤も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180℃〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。

0055

重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.3モル〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液結晶水などのいずれの形態であってもよい。

0056

[重合反応工程]
本発明におけるPASの製造方法では、前記した脱水工程で調製した反応物とジハロゲン化芳香族化合物や官能基を含むハロゲン化化合物を有機極性溶媒中で接触させて重合反応させる重合工程を行う。重合工程開始に際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、100℃以上、好ましくは130℃以上がよく、上限としては220℃以下、好ましくは200℃以下の温度範囲で、有機極性溶媒にスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を加える。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であっても差し支えない。

0057

この重合反応は200℃以上280℃未満の温度範囲で行うが、本発明の効果が得られる限り重合条件に制限はない。例えば、一定速度で昇温した後、245℃以上280℃未満で反応を一定時間継続する方法、200℃以上245℃未満において一定温度で一定時間反応を行った後に245℃以上280℃未満に昇温して反応を一定時間継続する方法、200℃以上245℃未満、中でも230℃以上245℃未満において一定温度で一定時間反応を行った後、245℃以上280℃未満に昇温して短時間で反応を完了させる方法などが挙げられる。

0058

なお、ポリハロゲン化芳香族化合物(ここではPHAと略記する)の転化率は、以下の式で算出した値である。PHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(A)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モル)〕
(B)上記(A)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)

0059

[回収工程]
PASの製造方法においては、重合反応工程終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。回収方法については、公知の如何なる方法を採用してもよい。

0060

例えば、重合反応終了後徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いてもよい。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全工程において同一速度で徐冷する必要はなく、ポリマー粒子結晶析出するまでは0.1℃/分〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用してもよい。

0061

また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm2以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法が例示できる。ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には、常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選ばれる。

0062

本発明において製造される官能基を有するPASはカルボキシレートを含有する。PASのカルボキシレート含有量の下限は、接着性反応性向上の観点から、400μmоl/g以上であることが好ましく、500μmоl/g以上であることがより好ましく、600μmоl/g以上であることが更に好ましい。PASのカルボキシレート含有量の上限は特に限定されないが、通常、2000μmоl/g以下である。

0063

なお、これらカルボキシレート含有量は重合時の官能基を有するハロゲン化化合物の添加量や反応率によって調整可能である。

0064

ここでいうPASのカルボキシレート含有量は、以下の方法で算出する。重合反応工程終了後、回収したPASを水洗して得たケークを、イオン交換水塩酸を加えたpH1条件下で195℃で洗浄し、乾燥してPASを回収する。回収したPASのプレスフィルムフーリエ変換赤外分光装置(以下FT−IRと略す)で測定し、1550cm−1付近のカルボキシレートのピーク強度を得る。次に、4−クロロ無水フタル酸ナトリウムIRスペクトルより作製したカルボキシレートの検量線をもとに、PASのカルボキシレート含有量を算出する。

0065

[後処理工程]
本発明において、カルボキシレートを含有するPASは、上記重合反応工程、および回収工程を経た後、PASのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液(以下、洗浄溶液と略す場合がある。)で洗浄することが必須である。

0066

ここでいう、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンとしては、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、銅(II)イオン、亜鉛(II)イオン、鉄(II)イオン、アルミニウムイオンおよび鉄(III)イオンから選択される少なくとも一種の陽イオンであることが好ましく、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオンおよび鉄(III)イオンから選択される少なくとも一種の陽イオンであることがより好ましく、マグネシウムイオン、カルシウムイオンおよびバリウムイオンから選択される少なくとも一種の陽イオンであることが更に好ましく、マグネシウムイオンを含有する洗浄添加剤が最も好ましい。また、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤に含まれる陰イオンとしては、特に限定されないが、取扱上の観点から、酢酸イオン炭酸イオン硫酸イオン硝酸イオンクロム酸イオンリン酸イオンおよび塩化物イオンから選択される少なくとも一種の陰イオンを含むことが好ましく、酢酸イオンを含むことがより好ましい。具体的な洗浄添加剤としては、酢酸マグネシウム酢酸カルシウムおよび酢酸バリウムが好ましく、酢酸マグネシウムがより好ましい。

0067

本発明において、洗浄溶液としては、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を、PASのカルボキシレート含有量1モルに対し3.0モルを超えて100モル以下含むことが必須である。少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤が、PASのカルボキシレート含有量1モルに対し、100モルを超えると、PASの流動性が悪化するため、好ましくない。また、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤が、PASのカルボキシレート含有量1モルに対し、3.0モル以下であると、PASの回収効率を向上させる効果が十分に得ることができず、好ましくない。洗浄溶液における、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤の含有量は、4.0モルを超えて80モル以下であることが好ましく、5.0モルを超えて60モル以下含むことがより好ましく、6.0モルを超えて25モル以下含む溶ことが更に好ましい。

0068

本発明において、洗浄溶液で洗浄する方法としては、洗浄溶液にPASを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。洗浄溶液に用いる溶媒は、水であることが好ましく、洗浄添加剤によるPAS樹脂の回収効率を向上させる効果を損なわないために、蒸留水またはイオン交換水であることが好ましい。洗浄温度としては、20℃〜220℃が好ましく、50℃〜200℃がより好ましい。洗浄温度が20℃未満であると副生成物の除去が困難となり好ましくない。洗浄時間としては、5分以上であることが好ましく、10分以上であることがより好ましく、15分以上であることが更に好ましい。洗浄時間の上限は特に限定されないが、30分洗浄することにより十分な効果が得られる。PASと水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、乾燥PAS200g以下の浴比が選択される。

0069

本発明において、カルボキシレートを含有するポリアリーレンスルフィドを、該ポリアリーレンスルフィドのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液で洗浄する工程は、前記回収工程の直後に行うことが好ましい。このタイミングで洗浄を実施することで、高い凝集効果を得ることができる。高い凝集効果を得ることで、最終的に高い収率でポリアリーレンスルフィドを回収することが可能となる。

0070

PASは、上記洗浄に加え、酸処理熱水処理、有機溶媒による洗浄、アルカリ金属アルカリ土類金属処理を施されたものであってもよく、それらの洗浄は上記の洗浄溶液での洗浄後であるならば如何なる順序で行ってもよい。

0071

酸処理を行う場合は次のとおりである。PASの酸処理に用いる酸は、PASを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸リン酸珪酸炭酸およびプロピル酸などが挙げられる。なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられる。一方、硝酸のようなPASを分解、劣化させるものは好ましくない。

0072

酸処理の方法は、例えば、酸または酸の水溶液にPASを浸漬せしめる方法があり、必要により撹拌または加熱することも可能である。例えば、塩酸を用いる場合、pH1の塩酸水溶液を80℃〜200℃に加熱した中にPAS粉末を浸漬し、60分間撹拌することにより十分な効果が得られる。処理後のpHは1以上となってもよい。酸処理を施されたPASから残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄に用いる水は、酸処理によるPASの好ましい化学的変性の効果を損なわないために、蒸留水、イオン交換水であることが好ましい。

0073

熱水処理を行う場合は次のとおりである。PASを熱水処理するにあたり、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上とすることが好ましい。100℃未満ではPASの好ましい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。

0074

熱水洗浄によるPASの好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいはイオン交換水であることが好ましい。熱水処理の操作に特に制限は無い。所定量の水に所定量のPASを投入し、圧力容器内で加熱、撹拌する方法や、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。PASと水との割合は、水の多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PAS200g以下の浴比(乾燥PAS重量に対する洗浄溶液重量)が選ばれる。

0075

処理の雰囲気は不活性雰囲気下とすることが望ましい。さらに、残留している成分を除去するため、この熱水処理操作を終えたPASは、温水で数回洗浄するのが好ましい。

0076

有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。PASの洗浄に用いる有機溶媒は、PASを分解する作用などを有しないものであれば特に制限はない。例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミドピペラジノン類などの含窒素極性溶媒ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトンメチルエチルケトンジエチルケトンアセトフェノンなどのケトン系溶媒ジメチルエーテルジプロピルエーテルジオキサンテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒クロロホルム塩化メチレントリクロロエチレン、2塩化エチレンパークロルエチレンモノクロルエタンジクロルエタン、テトラクロルエタンパークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒メタノールエタノールプロパノールブタノールペンタノールエチレングリコールプロピレングリコールフェノールクレゾールポリエチレングリコールポリプロピレングリコールなどのアルコールフェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などがPASの洗浄に用いる有機溶媒として挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。

0077

有機溶媒による洗浄の方法としては、例えば、有機溶媒中にPASを浸漬せしめる方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPASを洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。後処理工程は、酸処理、熱水処理、有機溶媒による洗浄のいずれかを施すことが好ましく、2種以上の処理を併用することが、不純物除去の観点から好ましい。

0078

アルカリ金属、アルカリ土類金属処理する方法としては、上記洗浄工程後アルカリ金属塩アルカリ土類金属塩を添加する方法が挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属は、酢酸塩水酸化物炭酸塩などのアルカリ金属イオンアルカリ土類金属イオンの形でPAS中に導入するのが好ましい。また過剰のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩は温水洗浄などにより取り除く方が好ましい。洗浄後の結晶性や粘度の観点から、上記アルカリ金属、アルカリ土類金属導入の際のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン濃度としてはPASのカルボキシレート含有量1モルに対し、2.0ミリモル以上3.0モル以下が好ましく、20ミリモル以上3.0モル以下がより好ましい。温度としては、50℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、90℃以上が特に好ましい。上限温度は特にないが、操作性の観点から通常280℃以下が好ましい。浴比(乾燥PAS重量に対する洗浄溶液重量)としては0.5以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましい。

0079

[後処理工程におけるPASの特徴]
本発明においては、PASの回収効率を向上させる観点から、ポリアリーレンスルフィドのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液で洗浄する際の、PASのゼータ電位が−30mV以上+30mV以下であることが好ましい。反発力が弱まり凝集性が向上する観点から、ゼータ電位が−30mV以上+30mV以下であることが好ましく、−25mV以上+25mV以下がより好ましく、−20mV以上+20mV以下が更に好ましい。

0080

なお、ここでいうゼータ電位は、洗浄溶液にPASを分散させた分散液を、ゼータ電位・粒径測定ステムで測定した値である。

0081

また、本発明において、PASの回収効率を向上させる観点から、PASの平均粒径は10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましい。平均粒径の上限は特に限定されないが、通常、5mm以下である。

0082

ここでいう平均粒径は、PASに対し洗浄溶液を加えて洗浄し、目開き10〜16μmのフィルターでろ過して得たケークにイオン交換水を加え、レーザー粒度計で測定した値である。

0083

さらに、本発明において、PASの回収効率を向上させる観点から、PASのろ過速度が2t/(hr・m2)以上であることが好ましく、3t/(hr・m2)以上であることがより好ましく、4t/(hr・m2)以上であることが更に好ましい。PASのろ過速度が2t/(hr・m2)未満であると、PASの回収に極端に時間が必要となり、製造プロセス上好ましくない。PASのろ過速度に特に上限は無いが、通常、100t/(hr・m2)以下である。

0084

ここでいうろ過速度は、PASに対し、洗浄溶液にPASを分散させた分散液を、目開き1.0μmのフィルターを用いて0.2MPaの加圧条件下でろ過した際の、ろ過開始から10秒までの単位時間・単位断面積当たりの積算ろ液重量である。

0085

[PASの特徴]
上記の方法で作製したPASを公知の方法で乾燥させてPAS樹脂を得ることができる。

0086

本発明において、PASの回収効率を向上させる観点から、PASの重量平均分子量は、10000以下であることが好ましく、9000以下であることがより好ましく、8000以下であることが更に好ましい。PASの重量平均分子量の下限は特に限定されないが、通常1000以上である。

0087

ここでいう重量平均分子量は、1−クロロナフタレン溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、カラム温度210℃で測定し、ポリスチレンスタンダード換算した値である。

0088

本発明においては、接着性や反応性向上の観点から、PASが、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基およびその誘導体から選択される少なくとも一つの官能基を400μmol/g〜2000μmol/g含むことが好ましく、500μmol/g〜2000μmоl/g含むことがより好ましく、600μmol/g〜2000μmоl/g含むことが更に好ましい。

0089

ここでいうPASの官能基含有量は、官能基の種類によって以下のように測定することができる。

0090

PASに導入されたカルボキシル基含有量は、PASの非晶フィルムを、FT−IRで測定し、ベンゼン環由来の1,900cm−1付近における吸収に対する、カルボキシル基由来の1,730cm−1付近における吸収を比較することにより見積もる。

0091

PASに導入された酸無水物含有量は、PASの非晶フィルムを、FT−IRで測定し、ベンゼン環由来の1,900cm−1付近における吸収に対する、酸無水物基由来の1,850cm−1付近における吸収を比較することにより見積もる。

0092

PASに導入されたアミノ基含有量は、PASの非晶フィルムを、FT−IRで測定し、ベンゼン環由来の1,900cm−1付近における吸収に対する、アミノ基由来の3380cm−1付近における吸収を比較することにより見積もる。

0093

PASに導入されたヒドロキシ基含有量は、PASの非晶フィルムを、FT−IRで測定し、ベンゼン環由来の1,900cm−1付近における吸収に対する、ヒドロキシ基由来の3430cm−1付近における吸収を比較することにより見積もる。

0094

熱酸化架橋処理
その他、本発明におけるPASは、重合終了後に酸素雰囲気下における加熱や過酸化物などの架橋剤を添加しての加熱による熱酸化架橋処理により、高分子量化して用いることも可能である。熱酸化架橋による高分子量化を目的として乾式熱処理する場合には、その温度は160℃〜260℃が好ましく、170℃〜250℃の範囲がより好ましい。また、酸素濃度は5体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。酸素濃度の上限には特に制限はないが、50体積%程度が限界である。処理時間は、0.5〜100時間が好ましく、1時間〜50時間がより好ましく、2時間〜25時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機もしくは回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよい。効率よく、より均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのが好ましい。

0095

また、熱酸化架橋を抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行うことも可能である。その温度は130℃〜250℃が好ましく、160℃〜250℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は5体積%未満、更には2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.5時間〜50時間が好ましく、1時間〜20時間がより好ましく、1時間〜10時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機または回転式もしくは撹拌翼付の加熱装置であってもよい。効率よく、より均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。

0096

[PASの用途]
本発明により得られるPASは、耐熱性、耐薬品性、難燃性電気的性質並びに機械的性質に優れ、射出成形射出圧縮成形ブロー成形用途のみならず、押出成形により、シート、フィルム、繊維及びパイプなどの押出成形品成形することができる。

0097

また本発明のPASの用途としては、例えばセンサーLEDランプコネクターソケット抵抗器リレーケース、スイッチ、コイルボビンコンデンサーバリコンケース光ピックアップ発振子、各種端子板、変成器プラグプリント基板チューナースピーカーマイクロフォンヘッドフォン小型モーター磁気ヘッドベースパワーモジュール半導体液晶FDキャリッジ、FDDシャーシモーターブラッシュホルダーパラボラアンテナコンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品テレビ部品、アイロンヘアードライヤー炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品オーディオレーザーディスク登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具モーター部品ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡双眼鏡カメラ時計などに代表される光学機器精密機械関連部品;水道蛇口コマ混合水栓ポンプ部品パイプジョイント水量調節弁逃がし弁湯温センサー水量センサー水道メーターハウジングなどの水廻り部品バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディマーポテンシオメーターベース排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケルインテークマニホールド燃料ポンプエンジン冷却水ジョイントキャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー排気ガスセンサー冷却水センサー、油温センサースロットルポジションセンサークランクシャフトポジションセンサーエアーフローメーターブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラータービンベインワイパーモーター関係部品デュトリビューター、スタータースイッチスターターリレートランスミッションワイヤーハーネスウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイルヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板ステップモーターローターランプソケットランプリフレクターランプハウジングブレーキピストンソレノイドボビンエンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサーケーブルライナーエンジンコントロールユニットケース、エンジンドライバユニットケース、コンデンサーケース、モーター絶縁材料ハイブリッドカー制御系部品ケースなどの自動車車両関連部品、その他の各種用途が例示できる。

0098

本発明により得られたPASを用いたPASフィルムの製造方法としては、公知の溶融製膜方法を採用することができ、例えば、単軸または2軸の押出機中でPASを溶融後、フィルムダイより押出冷却ドラム上で冷却してフィルムを作成する方法、あるいは、このようにして作成したフィルムをローラー式縦延伸装置テンターと呼ばれる横延伸装置にて縦横延伸する二軸延伸法などにより製造することができるが、特にこれに限定されるものではない。

0099

このようにして得られたPASフィルムは、優れた機械特性電気特性、耐熱性を有しており、フィルムコンデンサーチップコンデンサー誘電体フィルム用途、離形用フィルム用途など各種用途に好適に使用することができる。

0100

本発明により得られるPASを用いたPAS繊維の製造方法としては、公知の溶融紡糸方法を適用することができ、例えば、原料であるPAS樹脂チップを単軸または2軸の押出機に供給しながら混練し、ついで押出機の先端部に設置したポリマー流線入替器、ろ過層などを経て紡糸口金より押出し、冷却、延伸、熱セットを行う方法などを採用することができるが、特にこれに限定されるものではない。

0101

このようにして得られたPASモノフィラメントあるいは短繊維は、抄紙ドライヤーキャンパスネットコンベヤーバグフィルターなどの各種用途に好適に使用することができる。

0102

以下、本発明の方法を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、各種測定法は以下の通りである。

0103

[重量平均分子量]
PASの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:SSC−7100(センシュー科学)
カラム名:GPC3506(センシュー科学)
溶離液:1−クロロナフタレン
検出器示差屈折率検出器
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
ポンプ恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (スラリー状:約0.2重量%)。

0104

[カルボキシレート含有量]
PASのカルボキシレート含有量は、FT−IRを用いて以下の方法で算出した。後述する参考例で作製したPASと、イオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、pHが1となるまで塩酸を加えた。続いて、オートクレーブ内を窒素で置換した後、195℃まで昇温した。その後、オートクレーブを冷却し、内容物を取り出した。内容物をガラスフィルターでろ過し、ケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することで、乾燥PASを得た。

0105

次に、得られた乾燥PASを300℃で溶融させ作製したプレスフィルムをFT−IRにセットして測定を行い、1550cm−1付近のカルボキシレートのピーク強度を得た。次に、4−クロロ無水フタル酸ナトリウムのIRスペクトルより作製したカルボキシレートの検量線をもとに、PASのカルボキシレート含有量を算出した。

0106

[PASのカルボキシレート含有量1モルに対する洗浄添加剤量]
PASのカルボキシレート含有量1モルに対する洗浄添加剤量は、以下の式に従って、後述する参考例で作製したPASのカルボキシレート含有量に対する、洗浄添加剤量から決定した。
(PASカルボキシレート含有量1モルに対する洗浄添加剤量)=(洗浄添加剤量(モル))/(PASのカルボキシレート含有量(モル))

0107

[ゼータ電位]
ゼータ電位は、以下の方法で算出した。後述する参考例で得たPASに対し、表1および表2に従って、イオン交換水および洗浄添加剤を混合した洗浄溶液を加え、70℃で30分間洗浄した。得られた分散液を、大塚電子社製ゼータ電位・粒径測定システムELS−Z2を用いて、ゼータ電位を測定した。

0108

[平均粒径]
平均粒径は、以下の方法で算出した。後述する参考例で得たPASに対し、表1および表2に従って、イオン交換水および洗浄添加剤を混合した洗浄溶液を加え、70℃、30分間洗浄した。得られた分散液を目開き10〜16μmのガラスフィルターでろ過し、イオン交換水を加えて、回折散乱強度最大値が35%を超えるよう濃度を調製した。得られた分散液を、島津製作所社製レーザー粒度計SALD−2100を用い、平均粒径を測定した。

0109

[ろ過速度]
ろ過速度は、以下の方法で算出した。後述する参考例で得たPASに対し、表1および表2に従って、イオン交換水および洗浄添加剤を混合した洗浄溶液を加え、70℃、30分間洗浄した。得られた分散液を、目開き1.0μmのフィルターを用いて0.2MPaの加圧条件下でろ過した際の、ろ過開始から10秒までの積算ろ液重量から、単位時間・時間断面積当たりのろ過速度(ton/(hr・m2))を決定した。

0110

[参考例1(PAS−1の合成)]
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに48.3%水硫化ナトリウム8.12kg(70.00モル)、97%水酸化ナトリウム4.34kg(105.18モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)14.57kg(147.00モル)、及びイオン交換水6.94kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水11.13kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.3モルであったため、本工程後の系内のスルフィド化剤は68.7モルであった。

0111

その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)8.28kg(59.33モル)、NMP5.55kg(56.00モル)、4−クロロ無水フタル酸3.27kg(17.17モル)を加えた後に反応容器窒素ガス下密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から238℃まで昇温した後、238℃で240分間反応させた。ついで、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。このようにして得られた重合物をPAS−1とした。

0112

上記のPAS−1およびイオン交換水76リットルを、撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分間洗浄後、ガラスフィルターで吸引ろ過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引ろ過してケークを得た。

0113

得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが1になるよう塩酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。

0114

内容物をガラスフィルターで吸引ろ過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引ろ過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PASを得た。得られた乾燥PASの重量平均分子量は8500であった。また、得られた乾燥PASのカルボキシレート量は500μmol/gであった。

0115

[参考例2(PAS−2の合成)]
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに47.7%水硫化ナトリウム8.23kg(70.00モル)、97%水酸化ナトリウム3.55kg(86.11モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)14.57kg(147.00モル)、及びイオン交換水5.25kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水10.34kgおよびNMP0.22kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。

0116

その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)9.27kg(63.05モル)、NMP5.55kg(56.00モル)、4−クロロ安息香酸2.45kg(15.62モル)を加えた後に反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から238℃まで昇温した後、238℃で240分間反応させた。ついで、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。このようにして得られた重合物をPAS−2とした。

0117

上記のPAS−2およびイオン交換水76リットルを、撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分間洗浄後、ガラスフィルターで吸引ろ過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引ろ過してケークを得た。

0118

得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが1になるよう塩酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。

0119

内容物をガラスフィルターで吸引ろ過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引ろ過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PASを得た。得られた乾燥PASの重量平均分子量は5000であった。また、得られた乾燥PASのカルボキシレート量は600μmol/gであった。

0120

[参考例3(PAS−3の合成)]
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに47.8%水硫化ナトリウム8.21kg(70.00モル)、97%水酸化ナトリウム4.34kg(105.23モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)14.57kg(147.00モル)、及びイオン交換水6.95kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水11.24kgおよびNMP0.11kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.3モルであったため、本工程後の系内のスルフィド化剤は68.7モルであった。

0121

その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)8.28kg(56.35モル)、3、5−ジクロロアニリン0.33kg(2.03モル)、NMP5.55kg(56.00モル)、4−クロロ無水フタル酸3.27kg(17.18モル)を加えた後に反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から238℃まで昇温した後、238℃で240分間反応させた。ついで、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。このようにして得られた重合物をPAS−3とした。

0122

上記のPAS−3およびイオン交換水76リットルを、撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分間洗浄後、ガラスフィルターで吸引ろ過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引ろ過してケークを得た。

0123

得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが1になるよう塩酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。

0124

内容物をガラスフィルターで吸引ろ過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引ろ過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PASを得た。得られた乾燥PASの重量平均分子量は7000であった。また、得られた乾燥PASのカルボキシレート量は550μmol/g、アミノ基量は50μmol/gであった。

0125

[実施例1]
参考例1で得られたPAS−1を537g、酢酸カルシウム26gおよびイオン交換水500gを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した。得られた溶液のゼータ電位は−27mV、平均粒径は36μm、ろ過速度は2.4t/(hr・m2)であった。

0126

[実施例2]
酢酸カルシウムの添加量を54gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−23mV、平均粒径は35μm、ろ過速度は2.9t/(hr・m2)であった。

0127

[実施例3]
酢酸カルシウムの添加量を118gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−16mV、平均粒径は21μm、ろ過速度は4.2t/(hr・m2)であった。

0128

[実施例4]
酢酸カルシウムの添加量を158gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−13mV、平均粒径は21μm、ろ過速度は4.5t/(hr・m2)であった。

0129

[実施例5]
酢酸カルシウムを酢酸マグネシウムへ変更し、かつ添加量を74gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−16mV、平均粒径は54μm、ろ過速度は4.3t/(hr・m2)であった。

0130

[実施例6]
酢酸カルシウムを酢酸バリウムへ変更し、かつ添加量を87gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−22mV、平均粒径は19μm、ろ過速度は3.2t/(hr・m2)であった。

0131

[実施例7]
酢酸カルシウムをポリ塩化アルミニウムへ変更し、かつ添加量を35gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−22mV、平均粒径は16μm、ろ過速度は3.1t/(hr・m2)であった。

0132

[実施例8]
参考例2で得られたPAS−2を473g、酢酸カルシウム61gおよびイオン交換水500gを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した。得られた溶液のゼータ電位は−24mV、平均粒径は32μm、ろ過速度は2.8t/(hr・m2)であった。

0133

[実施例9]
酢酸カルシウムを酢酸マグネシウムへ変更し、かつ添加量を85gとした以外は、実施例8と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−15mV、平均粒径は50μm、ろ過速度は4.1t/(hr・m2)であった。

0134

[実施例10]
参考例3で得られたPAS−3を493g、酢酸カルシウム54gおよびイオン交換水500gを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した。得られた溶液のゼータ電位は−23mV、平均粒径は38μm、ろ過速度は3.1t/(hr・m2)であった。

0135

[実施例11]
酢酸カルシウムを酢酸マグネシウムへ変更し、かつ添加量を74gとした以外は、実施例10と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−14mV、平均粒径は53μm、ろ過速度は4.4t/(hr・m2)であった。

0136

[比較例1]
酢酸カルシウムを使用しなかったこと以外は実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−35mV、平均粒径は13μm、ろ過速度は1.3t/(hr・m2)であった。

0137

[比較例2]
酢酸カルシウムを酢酸リチウムへ変更し、かつ添加量を23gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−35mV、平均粒径は8μm、ろ過速度は1.0t/(hr・m2)であった。

0138

[比較例3]
酢酸カルシウムを硫酸ナトリウムへ変更し、かつ添加量を56gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−36mV、平均粒径は12μm、ろ過速度は0.7t/(hr・m2)であった。

0139

[比較例4]
酢酸カルシウムの添加量を8gとした以外は、実施例1と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−30mV、平均粒径は36μm、ろ過速度は1.9t/(hr・m2)であった。

0140

[比較例5]
酢酸カルシウムを使用しなかったこと以外は実施例8と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−38mV、平均粒径は15μm、ろ過速度は1.2t/(hr・m2)であった。

0141

[比較例6]
酢酸カルシウムを使用しなかったこと以外は実施例10と同様に洗浄およびろ過を行った。得られた溶液のゼータ電位は−37mV、平均粒径は14μm、ろ過速度は1.0t/(hr・m2)であった。

0142

上記実施例と比較例の結果を比較して説明する。

0143

実施例1〜11より、PASのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を3.0モルを超えて100モル以下含む溶液で洗浄することにより、ろ過速度が高く、効率的にPAS樹脂を回収できた。

0144

また、実施例3および4は、酸無水物基を含むPASのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を6.0モルを超えて25モル以下含む溶液で洗浄することにより、ろ過速度がより高く、効率的にPAS樹脂を回収できた。

0145

特に、実施例5は、酢酸マグネシウムを含む洗浄添加剤を使用したことにより、ろ過速度が更に高く、効率的にPAS樹脂を回収できた。

0146

また、実施例8および9は、カルボキシル基を含むPASのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を6.0モルを超えて25モル以下含む溶液で洗浄することにより、ろ過速度がより高く、効率的にPAS樹脂を回収できた。

0147

特に、実施例9は、酢酸マグネシウムを含む洗浄添加剤を使用したことにより、ろ過速度が更に高く、効率的にPAS樹脂を回収できた。

0148

また、実施例10および11は、アミノ基を含むPASのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を6.0モルを超えて25モル以下含む溶液で洗浄することにより、ろ過速度がより高く、効率的にPAS樹脂を回収できた。

0149

特に、実施例11は酢酸マグネシウムを含む洗浄添加剤を使用したことにより、ろ過速度が更に高く、効率的にPAS樹脂を回収できた。

0150

比較例1、2、3、5、6は、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤を使用しなかったため、そのろ過速度は極めて低いものであった。

0151

比較例4は、PASのカルボキシレート含有量1モルに対し、少なくともイオン価が2価以上の陽イオンを含有する洗浄添加剤の含有量が3.0モル以下であったためそのろ過速度は極めて低いものであった。

0152

実施例

0153

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