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技術 粒子状セルロース複合体及びそれを用いた識別媒体

出願人 独立行政法人国立印刷局
発明者 尾崎靖奥田貴志城村圭佑
出願日 2020年2月13日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2020-021973
公開日 2021年9月2日 (5ヶ月経過) 公開番号 2021-126804
状態 未査定
技術分野 紙幣・有価証券の検査 クレジットカード等 印刷方法
主要キーワード 小型サイクロン 美術品等 蒸解処理 こうぞ 精選処理 セルロース複合体 透過吸収 微粒化装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2021年9月2日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

基材に付与した際に、製造時の熱や長期保存における日光紫外線によりDNAが損傷することを抑えることで、耐久性が高いDNAを含む複合体を提供する。

解決手段

本発明は、セルロースナノファイバーが複数結合した複合体に、DNAを含んだ生物組織又は組織を構成する細胞が少なくとも含有された構成とした粒子状セルロース複合体及びその粒子状セルロース複合体が、基材の少なくとも一部に施された識別媒体である。

概要

背景

セキュリティ印刷物個人識別要素を含む製品等には、各種偽造防止技術が施されている。これらの偽造防止技術としては、例えば、すかし技術、光学的変化インキ蛍光インキ光学的変化デバイス(OVD)等のように、特定の観察条件において目視で確認できる技術や、磁性インキ赤外透過吸収インキ等のように、機械処理によって真偽判別できる技術がある。

しかし、これらの偽造防止技術は、同じ材料が入手できれば偽造されてしまうとともに、類似の材料や製造方法等によっても、同様な効果のある偽造品が作製されてしまうという問題があった。そこで、真正品と偽造品を確実に真偽判別するための技術が求められている。

真正品と偽造品を確実に真偽判別するための技術として、本出願人は、ある特定のDNAを含むインキを所定の模様基材印刷し、印刷したインキ部分からDNAを抽出し、PCRポリメラーゼ連鎖反応)で増幅後、電気泳動法で検出することで印刷物の真偽判別を行う技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。

また、本出願人は、ある特定のDNAを繊維に固定又はマイクロカプセル封入し、紙料スラリーに添加して抄紙後、用紙からDNAを抽出し、PCRで増幅後、電気泳動法で検出することで紙又は印刷物の真偽判別を行う技術を提案している(例えば、特許文献2参照)。

概要

基材に付与した際に、製造時の熱や長期保存における日光紫外線によりDNAが損傷することを抑えることで、耐久性が高いDNAを含む複合体を提供する。 本発明は、セルロースナノファイバーが複数結合した複合体に、DNAを含んだ生物組織又は組織を構成する細胞が少なくとも含有された構成とした粒子状セルロース複合体及びその粒子状セルロース複合体が、基材の少なくとも一部に施された識別媒体である。

目的

本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、基材に付与した際に、熱や紫外線によるDNAの損傷を抑えることで、耐久性が高いDNAを含む複合体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

セルロースナノファイバーが複数結合した複合体に、DNAを含んだ生物組織又は前記組織を構成する細胞が少なくとも含有されたことを特徴とする粒子状セルロース複合体

請求項2

請求項1に記載の粒子状セルロース複合体が、基材の少なくとも一部に施されたことを特徴とする識別媒体

請求項3

請求項2に記載の識別媒体の真偽判別方法であって、前記基材に施された粒子状セルロース複合体を抽出する工程、前記抽出された粒子状セルロース複合体に含まれるDNAを抽出する工程、前記抽出されたDNAを増幅する工程、前記増幅されたDNAを検出する工程とを用いることを特徴とする真偽判別方法。

技術分野

0001

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券パスポート有価証券身分証明書カード通行券等の貴重印刷物の分野、更には、意匠性を有する各種美術品等において、DNAを含む材料を付与し、識別に用いる技術に関する。

背景技術

0002

セキュリティ印刷物や個人識別要素を含む製品等には、各種偽造防止技術が施されている。これらの偽造防止技術としては、例えば、すかし技術、光学的変化インキ蛍光インキ光学的変化デバイス(OVD)等のように、特定の観察条件において目視で確認できる技術や、磁性インキ赤外透過吸収インキ等のように、機械処理によって真偽判別できる技術がある。

0003

しかし、これらの偽造防止技術は、同じ材料が入手できれば偽造されてしまうとともに、類似の材料や製造方法等によっても、同様な効果のある偽造品が作製されてしまうという問題があった。そこで、真正品と偽造品を確実に真偽判別するための技術が求められている。

0004

真正品と偽造品を確実に真偽判別するための技術として、本出願人は、ある特定のDNAを含むインキを所定の模様基材印刷し、印刷したインキ部分からDNAを抽出し、PCRポリメラーゼ連鎖反応)で増幅後、電気泳動法で検出することで印刷物の真偽判別を行う技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。

0005

また、本出願人は、ある特定のDNAを繊維に固定又はマイクロカプセル封入し、紙料スラリーに添加して抄紙後、用紙からDNAを抽出し、PCRで増幅後、電気泳動法で検出することで紙又は印刷物の真偽判別を行う技術を提案している(例えば、特許文献2参照)。

先行技術

0006

特許第3777423号公報
特許第4752041号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、DNAを含むインキを基材に直接付与した印刷物は、日光紫外線によりDNAが損傷して、長期間、印刷物を使用した場合に、真偽判別ができなくなるという問題があった。一方で、DNAの損傷を防止する目的で、DNAを含むたんぱく質木片等の細胞組織をそのままインキに添加した場合には、インキへの分散性が悪く、単純に印刷することができないという問題があった。

0008

また、特許文献2に記載の技術のように、用紙製造の準備部で紙料スラリーにDNAを固定した繊維を加えて抄紙した場合、ドライヤにおける加熱乾燥過程で、DNAが損傷する危険性がある。

0009

本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、基材に付与した際に、熱や紫外線によるDNAの損傷を抑えることで、耐久性が高いDNAを含む複合体を提供する。

課題を解決するための手段

0010

本発明の粒子状セルロース複合体は、セルロースナノファイバーが複数結合した複合体に、DNAを含んだ生物の組織又は組織を構成する細胞が少なくとも含有されたことを特徴とする。

0011

また、本発明の識別媒体は、本発明の粒子状セルロース複合体が、基材の少なくとも一部に施されたことを特徴とする。

0012

また、本発明の真偽判別方法は、基材に施された粒子状セルロース複合体を抽出する工程、抽出された粒子状セルロース複合体に含まれるDNAを抽出する工程、抽出されたDNAを増幅する工程及び増幅されたDNAを検出する工程を用いることを特徴とする。

発明の効果

0013

本発明は、生物のDNAを含む組織又はそれを構成する細胞をセルロースナノファイバーと複合体化した粒子状セルロース複合体であり、DNAが細胞内に包まれた構成であるとともに、それを更に、セルロースナノファイバーが包含する構成としたことにより、紫外線によるDNAの損傷を抑えることができる。

0014

また、粒子状セルロース複合体は、加熱強制乾燥を用いることなく基材に付与することができ、DNAの損傷も防ぐことができる。以上のことから、基材に付与したDNAの耐久性が高い識別媒体を提供することができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の粒子状セルロース複合体の概略を示す図である。
粒子状セルロース複合体を付与した識別媒体の構成を示す図である。
DNA断片電気泳動したときに得られるパターンの模式図である。

実施例

0016

本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他の様々な実施の形態が含まれる。

0017

(粒子状セルロース複合体)
図1は、本発明の粒子状セルロース複合体(3)の構成を示す図であり、本発明の粒子状セルロース複合体(3)は、図1に示すように、複数のセルロースナノファイバー(5)が粒子状に塊となった中に、動物又は植物等の生物のDNAを含んだ生物の組織(4A)又はその組織を構成する細胞(4B)が少なくとも含有された構成である。なお、本発明において「生物の組織」とは、例えば、動物であれば毛髪、爪、皮膚、血液等のことであり、植物であれば、花びら、葉、枝、等のことであり、これらを細片化したものを用いることができる。また、組織を構成する細胞(4B)とは、上記組織を構成する最小単位である細胞のことであって、細胞内にDNAが含まれている。DNAを含んだ生物の組織(4A)又はその組織を構成する細胞(4B)のサイズは、1μm3〜1000μm3の大きさである。以降の説明では、説明を簡易にするため、DNAを含んだ生物の組織(4A)又はその組織を構成する細胞(4B)のことを「DNAを含む材料(4)」として説明する。

0018

粒子状セルロース複合体(3)の大きさは、DNAを含んだ生物の組織(4A)又はその組織を構成する細胞(4B)の大きさと、それを覆うセルロースナノファイバー(5)の大きさを足した大きさであり、複合体化する際に用いる材料の大きさによって異なるが、概ね2μm〜30μmである。

0019

(セルロースナノファイバー)
本発明において、粒子状セルロース複合体(3)を構成するセルロースナノファイバー(5)は、主としてセルロースから成る繊維であり、天然繊維繊維幅が2nm〜10μm、好ましくは、2nm〜1μmに解繊したものである。天然繊維は、各種木材を原料とするLBKP、NBKP、SP、LUKP、NUKP等の化学パルプ、GP、TMP、CTMP等の機械パルプ古紙再生パルプ等、更に稲わら麦わらアバカ木綿ケナフみつまた、バガス等の非木材繊維蒸解処理、必要に応じて漂白処理精選処理等により作製した非木材パルプのことであり、これらの繊維を単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。解繊する前の天然繊維の繊維長、繊維幅等の繊維形態は、特に限定するものではない。

0020

(複合体の作製方法
なお、粒子状セルロース複合体(3)の作製方法は、特開2018−87256号公報に記載された方法と同様にして、セルロースナノファイバー、水及び一種類以上のDNAを含む材料(4)を混合した懸濁液をスプレードライ装置による噴霧乾燥法により加工することができる。

0021

なお、スプレードライ装置による噴霧乾燥法とは、溶液スラリー等の液体原料を瞬時に乾燥し、粒子にすることができる乾燥方法のことである。液体原料を乾燥室内微粒化装置により噴霧し、微粒化して表面積を増やし、連続して熱風と接触させることによって短時間で乾燥する方法である。

0022

DNAを含む材料(4)は、100℃以上の高温でDNAの損傷を起こす可能性がある。スプレードライ装置の入口温度は、100℃以上であるが、DNAを含む材料(4)とセルロースナノファイバーの水懸濁液スプレードライチャンバー内に噴霧された瞬間に水が蒸発する。この時に水の蒸発による気化熱の発生により、生成した粒子状セルロース複合体(3)の温度は80℃前後までしか上昇しないため、DNAを含む材料(4)の中のDNAの損傷は起こらない。なお、スプレードライ装置が、粒子状セルロース複合体(3)を大量生産することに向いていることに対して、少量生産する場合には、小型のサイクロンを用いればよく、粒子状セルロース複合体(3)を付与する用途に応じて、作製装置を選択して用いればよい。

0023

粒子状セルロース複合体(3)は、粒子状セルロース複合体(3)中のDNAを含む材料(4)の配合が増えるとセルロースナノファイバー(5)の結合が弱くなり、水等に分散させたとき、セルロースナノファイバー(5)とDNAを含む材料(4)が分離する可能性がある。そのため、セルロースナノファイバーの水懸濁液に含まれるDNAを含む材料(4)の配合は、30wt%以下が望ましい。

0024

(効果)
本発明の粒子状セルロース複合体(3)は、特許文献1及び特許文献2に記載のように、生物の組織から抽出されたDNAを用いる構成とは異なり、生物の組織自体又はそれを構成する細胞を用いることから、紫外線に対する耐久性が高い。また、本発明の粒子状セルロース複合体(3)は、DNAを含む材料(4)が、セルロースナノファイバー(5)によって覆われた構造であり、紫外線に対して、セルロースナノファイバー(5)がDNAを含む材料(4)を保護する作用があることから、耐久性が高い。

0025

(識別媒体)
図2(a)は、基材(1)に粒子状セルロース複合体(3)を直線状のパターン(2)として付与した識別媒体(S)の平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A’線における断面図である。

0026

図2では、粒子状セルロース複合体(3)を直線状のパターン(2)として付与した構成を示しているが、本発明の識別媒体(S)に付与するパターン(2)は、これに限定されるものではなく、文字記号、図形等や、地紋彩紋等でもよい。

0027

また、粒子状セルロース複合体(3)を基材(1)に付与して形成するパターン(2)は、基材(1)と異なる色でもよいし、基材(1)と同じ色でもよい。粒子状セルロース複合体(3)によるパターン(2)と基材(1)が異なる色の構成とする場合、粒子状セルロース複合体(3)を作製する際に、基材(1)と異なる色で着色されたセルロースナノファイバーを用いたり、基材(1)と異なる色の着色顔料を混ぜた懸濁液を、スプレードライ装置による噴霧乾燥して得られた粒子状セルロース複合体を用いればよい。

0028

一方、粒子状セルロース複合体(3)によるパターン(2)と基材(1)が同じ色の構成とする場合、粒子状セルロース複合体(3)を作製する際に、基材(1)と同じ色で着色されたセルロースナノファイバーを用いたり、基材(1)と同じ色の着色顔料を更に混ぜた懸濁液を、スプレードライ装置による噴霧乾燥して得られた粒子状セルロース複合体を用いればよい。なお、セルロースナノファイバーと基材(1)の色が同じ場合、噴霧乾燥して得られた粒子状セルロース複合体をそのまま付与すればよく、必要に応じて、後述する水の分散液として基材(1)に付与する際に、色を調整してもよい。

0029

粒子状セルロース複合体(3)によるパターン(2)が基材(1)と異なる色の場合、そのパターン(2)を目視で確認することができる。この場合、DNAが付与された領域を隠蔽するための隠蔽層を必要に応じて設けてもよい。一方、粒子状セルロース複合体(3)によるパターン(2)が基材(2)と同じ色の場合、目視で確認できず、偽造の困難性が高い識別媒体(S)とすることができることから好ましい。

0030

(基材)
本発明において基材(1)は、紙、合成繊維紙や不織布、フィルム等、特に限定はなく、基材(1)の色彩についても、特に制約はない。基材(1)の具体例としては、針葉樹広葉樹等の木材繊維から成る紙、ケナフ、バガス、麻、アバカ、木綿、みつまた、こうぞ、わら、竹等の非木材繊維から成る紙、レーヨン等の再生繊維ポリビニルアルコールポリエチレンポリスチレン、PET、ポリオレフィン系等のプラスチックやそれらの合成繊維から成る合成繊維紙又は不織布等がある。特に、木材や非木材繊維から成る紙、水素結合を形成できる官能基を持つ合成繊維から成る合成繊維紙又は不織布が好ましい。これは、水素結合を形成できる官能基を持つ基材(1)に、粒子状セルロース複合体(3)を水に分散させた分散液を付与すると、水素結合により粒子状セルロース複合体(3)が、基材(1)上に定着するためである。

0031

(粒子状セルロース複合体の付与)
粒子状セルロース複合体(3)は、水に分散させて基材(1)に付与する。なお、粒子状セルロース複合体(3)と水の分散液に、分散剤水溶性高分子有機溶媒、あるいは粉末微粒子等を加えることも可能である。また、必要に応じて、基材(1)に付与された場合のパターン(2)の色を調整するための染料又は顔料を加えてもよい。粒子状セルロース複合体(3)と水の分散液を基材(1)に付与する方法としては、フレキソ印刷装置インクジェット印刷機エアブラシ装置、ディスペンサー等があり、所定の装置によって基材(1)に、所望とする線や画像等のパターン(2)を付与する。

0032

粒子状セルロース複合体(3)と水の分散液中の粒子状セルロース複合体(3)は、安定した分散状態が確保できればよく、仮に、インクジェット印刷機又はエアブラシ装置を用いる場合は、固形分濃度0.5%〜3%程度の使用が好ましく、フレキソ印刷装置又はディスペンサーを用いる場合は、固形分濃度0.5%〜30%程度の使用が好ましい。ただし、粒子状セルロース複合体(3)と水の分散液を攪拌する装置により、粒子状セルロース複合体(3)が沈殿する問題が回避できれば、この範囲に限定されるものではない。

0033

基材(1)が、水素結合を形成できる官能基を持つ紙の場合、粒子状セルロース複合体(3)を含む分散液を付与後、自然乾燥させる過程で、セルロース同士の水素結合により用紙に定着する。従って、特許文献2に記載の技術のように、ドライヤ等による加熱乾燥によるDNAを含む材料(4)の中のDNAは損傷することはない。さらに、DNAを含む材料(4)は、本来、ワニス接着剤等を用いなければ基材(1)に付与することができないが、粒子状セルロース複合体(3)は、ほとんどがセルロースナノファイバー(5)により形成されていることから、天然繊維を用いた紙との親和性が強固であり、接着剤を特に用いなくても付与することが可能となる。なお、粒子状セルロース複合体(3)の分散液を付与する基材(1)が、水素結合を形成できる官能基を持たない合成繊維から成る合成繊維紙や不織布、フィルム、プラスチック等の基材(1)であっても、粒子状セルロース複合体(3)の分散液に少量のバインダー成分を配合することで、粒子状セルロース複合体(3)を基材(1)に付与することができる。

0034

(真偽判別法)
基材(1)に付与した粒子状セルロース複合体(3)は、仮に、粒子状セルロース複合体(3)によるパターン(2)が基材(1)と異なる色で目視できる場合、パターン(2)の表面を掻き取り、粒子状セルロース複合体(3)に含まれるDNAを含む材料(4)の中のDNAを抽出する。また、粒子状セルロース複合体(3)によるパターン(2)が基材(1)と同じ色で、目視で確認できない場合であっても、光学顕微鏡で観察すると、粒子状セルロース複合体(3)が球状の形状をしているため、基材(1)に付与されている位置が容易に識別可能であり、光学顕微鏡下でピンセット等を用いて粒子状セルロース複合体(3)を掻き取ることができる。なお、特許文献2に記載の技術のように、DNAを固定した繊維を用紙に付与する場合、用紙を構成する他の繊維との差が分からないため、DNAを固定した繊維を採取するために時間がかかるという問題があったが、本発明は、拡大して球状の粒子状セルロース複合体(3)が付与された位置を確認すればよく、短時間で採取することができる。

0035

DNAの抽出法は、DNAを含む材料(4)と、イオン性又は非イオン性界面活性剤と、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水塩を混合した緩衝液を用いて行う。この場合イオン性又は非イオン性の界面活性剤とトリス塩酸緩衝液とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水塩を混合した緩衝液を用いてもよい。その後必要に応じて、フェノール抽出又はフェノールクロロホルム抽出を行ってDNAの精製後、エタノール沈殿又はブタノール沈殿を行い、DNAの濃縮を行う。

0036

上記の手順により精製・濃縮したDNAの増幅は、PCR反応を用いて行う。PCR(Polymerase Chain Reaction)は、DNAポリメラーゼを用いて、一定の温度サイクルを繰り返し、目的とするDNAを指数関数的に増幅する方法である。まず、高温でDNAを変性させ、次に温度を下げ、所定のプライマー会合させ、DNAポリメラーゼにより相補的なDNA断片を合成させる。この場合、使用するプライマーの塩基配列がPCR反応を用いて増幅を行おうとするDNAの塩基配列と相補的であることが必要である。また、このPCRを用いた増幅反応において、例えば蛍光ヌクレオチドを用いてPCR産物蛍光標識することも可能である。

0037

次にこのPCR産物の識別を、電気泳動を行うことにより識別する。電気泳動とは、タンパク質アミノ酸などの荷電を有する物質を適当なpH、緩衝液及び支持体を選んで電場をかけると、それらの物質の持つ電荷の差に基づいて固有の移動鎖で陰極又は陽極へ向かって移動する現象である。支持体としてはポリアクリルアミドゲル若しくはアガロースゲルを用いることができる。緩衝液に電場をかけると負の電荷を持つDNA断片は、陽極に向かってゲルの中を移動するが、DNAサイズが大きいほど遅く移動するため、鎖長の長い断片と短い断片とが区別されてバンドのパターンが形成される。電気泳動の終了後に、例えば、エチジウムプロミド染色液を用いて染色し、紫外線下でゲルを観察するなどの従来から公知の方法で結果を確認する。

0038

図3は、DNA断片を電気泳動したときに得られるパターンの模式図であり、例えば、図3(a)が識別媒体(S)に付与したDNAより得たパターンであるとすると、それ以外のパターンは、図3(b)及び図3(c)に示されるように異なったパターンになる。この場合、DNA分子マーカー標準物質として同時に電気泳動を行うことで、塩基鎖長読み取り、若しくは電気泳動パターンそのものをデータとすることも可能となる。したがって、電気泳動パターンの情報は、真偽判別に有効であり、塩基配列を決定しなくても迅速な真偽判別を行うことが可能となる。さらに必要ならば、塩基配列を決定し、DNAを解読する。

0039

以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に実施した粒子状セルロース複合体(3)及びそれを用いた識別媒体(S)の例について詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。

0040

(実施例1)
実施例1は、植物、具体的には、みつまたの原木を砕き、1μm〜3μmの長さの木片を採取し、DNAを含む材料(4)として用いた。得られた木片20wt%と竹のセルロースナノファイバー80wt%を混合し、20wt%濃度の水溶液を20ml作製した。

0041

次に、ミニスプレードライヤーを用いて入口温度140℃で上記水溶液を噴霧して木片とセルロースナノファイバーを一体化させた粒子状セルロース複合体(3)とし、高性能小型サイクロンにより粒子状セルロース複合体(3)を回収する。

0042

次に、得られた粒子状セルロース複合体(3)と水の分散液を、ディスペンサーを用いて紙に付与し、自然乾燥させて、識別媒体(S)を作製した。

0043

実施例1の識別媒体(S)を真偽判別するため、光学顕微鏡下で粒子状セルロース複合体(3)を針で掻き取った。掻き取った試料から非イオン性の界面活性剤とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水塩(EDTA)を使用して、みつまたのDNAの抽出を行った。この抽出物を所定のプライマーを用いてPCRによる増幅反応を行い、DNAの増幅を行った。

0044

次に、得られたPCR産物及び元のみつまたの原木から採取したみつまたのDNAに対して電気泳動を行い、エチジウムプロミド染色液を用いて染色し、紫外線下でゲルを観察し、電気泳動パターンを得た。粒子状セルロース複合体(3)から抽出し、PCRで増幅したPCR産物とみつまたの原木から採取したみつまたのDNAの電気泳動パターンを比較し、電気泳動パターンが一致することを確認して真偽判別を行った。

0045

1基材
2パターン
3粒子状セルロース複合体
4 DNAを含む材料
4A DNAを含む組織
4B 組織を構成する細胞
5セルロースナノファイバー
S 識別媒体

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