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技術 導電性複合材料とその製造方法

出願人 国立大学法人筑波大学株式会社マルニックス
発明者 後藤博正神田雅之
出願日 2020年2月6日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2020-019094
公開日 2021年8月30日 (5ヶ月経過) 公開番号 2021-123670
状態 未査定
技術分野 含窒素連結基の形式による高分子化合物一般 導電材料 紙(4) 高分子組成物
主要キーワード 花弁状構造 アルカリ処理溶液 組織的構造 光電子変換素子 電子共鳴 導電性コイル 測定数値 ゲル状体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

ポリアニリンゲスト物質とが分子レベルで内部まで混ざり合っており、電気伝導性加工性に優れた新しい導電性複合材料とその製造方法を提供すること。

解決手段

導電性複合材料の製造方法は、ヒドロキシル基を有する化合物であるゲスト物質を、水中でアルカリ処理してゾル状液を得るゾル化工程;前記ゾル状液にアニリン類モノマーを添加する添加工程;前記アニリン類モノマーを含有する前記ゾル状液に対して酸処理を行ってゲル状体を得るゲル化工程;および、前記ゲル状体中で重合反応を行うことでポリアニリンを生成するとともに、ポリアニリンとゲスト物質とがコンポジット化した導電性複合材料を得る重合工程を含む。

概要

背景

ポリアニリンは、半酸化状態にあたるエメラルディン塩基状態においてドーピングを行うとエメラディン塩となり、これが導電性を示すことが知られている。このため、ポリアニリンは、電子材料導電材料として各種の分野、例えば電池電極材帯電防止材電磁波遮閉材、光電子変換素子光メモリー、各種センサー等の機能素子表示素子などのへの応用が検討、実施されている。

一方で、ポリアニリンは、主鎖の骨格が剛直であるため高沸点溶媒にしか溶けないという特徴があり、加工性等を向上させるために、アルギン酸デンプンセルロースなどの各種のゲスト物質複合化する試みがなされてきた。

また、本発明者は、これまでに、パルプポリアニリン類複合体の製造方法について提案している(特許文献1)。具体的には、この方法では、アニリン類モノマーを含有するパルプ分散液中で酸化剤の存在下にアニリン類モノマーを重合させることで、パルプ繊維上にポリアニリン類が付着した導電性複合材料を得ることができる。

概要

ポリアニリンとゲスト物質とが分子レベルで内部まで混ざり合っており、電気伝導性や加工性に優れた新しい導電性複合材料とその製造方法を提供すること。導電性複合材料の製造方法は、ヒドロキシル基を有する化合物であるゲスト物質を、水中でアルカリ処理してゾル状液を得るゾル化工程;前記ゾル状液にアニリン類モノマーを添加する添加工程;前記アニリン類モノマーを含有する前記ゾル状液に対して酸処理を行ってゲル状体を得るゲル化工程;および、前記ゲル状体中で重合反応を行うことでポリアニリンを生成するとともに、ポリアニリンとゲスト物質とがコンポジット化した導電性複合材料を得る重合工程を含む。

目的

本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ポリアニリンとゲスト物質とが分子レベルで内部まで混ざり合っており、電気伝導性や加工性に優れた新しい導電性複合材料とその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

以下の工程:ヒドロキシル基を有する化合物であるゲスト物質を、水中でアルカリ処理してゾル状液を得るゾル化工程;前記ゾル状液にアニリン類モノマーを添加する添加工程;前記アニリン類モノマーを含有する前記ゾル状液に対して酸処理を行ってゲル状体を得るゲル化工程;および、前記ゲル状体中で重合反応を行うことでポリアニリンを生成するとともに、ポリアニリンとゲスト物質とがコンポジット化した導電性複合材料を得る重合工程を含むことを特徴とする導電性複合材料の製造方法。

請求項2

前記重合工程の重合反応は、化学酸化重合または電解重合であることを特徴とする請求項1の導電性複合材料の製造方法。

請求項3

請求項1または2の製造方法で得られる導電性複合材料であって、ポリアニリンとゲスト物質とが分子レベルで混ざり合った状態でコンポジット化していることを特徴とする導電性複合材料。

技術分野

0001

本発明は、導電性複合材料とその製造方法に関する。

背景技術

0002

ポリアニリンは、半酸化状態にあたるエメラルディン塩基状態においてドーピングを行うとエメラディン塩となり、これが導電性を示すことが知られている。このため、ポリアニリンは、電子材料導電材料として各種の分野、例えば電池電極材帯電防止材電磁波遮閉材、光電子変換素子光メモリー、各種センサー等の機能素子表示素子などのへの応用が検討、実施されている。

0003

一方で、ポリアニリンは、主鎖の骨格が剛直であるため高沸点溶媒にしか溶けないという特徴があり、加工性等を向上させるために、アルギン酸デンプンセルロースなどの各種のゲスト物質複合化する試みがなされてきた。

0004

また、本発明者は、これまでに、パルプポリアニリン類複合体の製造方法について提案している(特許文献1)。具体的には、この方法では、アニリン類モノマーを含有するパルプ分散液中で酸化剤の存在下にアニリン類モノマーを重合させることで、パルプ繊維上にポリアニリン類が付着した導電性複合材料を得ることができる。

先行技術

0005

特許第5271558号

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1などの従来の方法では、ゲスト物質の表面上においてアニリン合成反応が生じるため、分子レベルで内部まで混ざり合った導電性複合材料を得ることは困難であった。このため、従来の導電性複合材料は、その電気伝導性や加工性について、さらに改善の余地があると考えられた。

0007

本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ポリアニリンとゲスト物質とが分子レベルで内部まで混ざり合っており、電気伝導性や加工性に優れた新しい導電性複合材料とその製造方法を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0008

上記の課題を解決するため、本発明の導電性複合材料の製造方法は、以下の工程:
ヒドロキシル基を有する化合物であるゲスト物質を、水中でアルカリ処理してゾル状液を得るゾル化工程;
前記ゾル状液にアニリン類モノマーを添加する添加工程;
前記アニリン類モノマーを含有する前記ゾル状液に対して酸処理を行ってゲル状体を得るゲル化工程;および、
前記ゲル状体中で重合反応を行うことでポリアニリンを生成するとともに、ポリアニリンとゲスト物質とがコンポジット化した導電性複合材料を得る重合工程
を含むことを特徴としている。

0009

本発明の導電性複合材料は、上記の導電性複合材料であって、
ポリアニリンとゲスト物質とが分子レベルで混ざり合った状態でコンポジット化していることを特徴としている。

発明の効果

0010

本発明の導電性複合材料の製造方法によれば、ポリアニリンとゲスト物質とが分子レベルで内部まで混ざり合っており、電気伝導性や加工性に優れた新しい導電性複合材料を製造することができる。

0011

本発明の導電性複合材料は、電気伝導性や加工性に優れている。

図面の簡単な説明

0012

ゲル環境下の化学重合で得たポリアニリン/アルギン酸(PANI/Alg_chem)の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
ゲル環境下の電解重合で得たポリアニリン/アルギン酸(PANI/Alg-e)のSEM像である。
ゲル環境下の電解重合で得たポリアニリン/アルギン酸(PANI/Alg-e)の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
NMP中で得たゲル環境下の電解重合で得たポリアニリン/アルギン酸(PANI/Alg-e)の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
上段は、Pure Alg acid(アルギン酸100%)の赤外線吸収スペクトルを示す図であり、下段は、PANI/Alg_chemコンポジットの赤外線吸収スペクトルを示す図である。
水酸化ナトリウムによるアルカリ処理を行わずに重合を行った比較例(非ゲル化PANI/ Alg)と、ポリアニリン(Pure PANI)と、本発明の上記方法によるゲル重合を行ったブレンド(Gel PANI/ Alg)の3種の紫外可視吸収スペクトルの比較を示す図である。
iota-carrageenan(以下iCar)粉末のSEM像を示した図である。
ゲル環境下で化学重合したPANI/iCar(以下PANI/iCar_chem)のSEM像を示す図である。
ゲル環境下で電解重合したPANI/iCar(以下PANI/iCar-e)のSEM像を示す図である。
PANI/iCar_chemの紫外可視吸収スペクトルを示した図である。
PANI/iCar-eのUVスペクトルを示した図である。
iCarと、PANI/iCar_chemの赤外吸収スペクトルを示す図である。
PANI/Ray_chemの紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
アニリン、レーヨンおよびコンポジットであるPANI/Ray_chemの赤外線吸収スペクトルを示す(図中ではRayon/PANI)図である。
PANI/Ray_chemのSEM像を示す図である。
ゲル中で化学重合した各ポリアニリンユニット(PANI/Alg_chem、PANI/iCar_chem)の電子共鳴スペクトルの結果を示す図である。
PANI/iCar-e のCVスペクトルを示す図である。
PANI/iCar-eの電気化学的に電位を加えながら測定したin-situ UV-vis光学吸収スペクトルの結果を示す図である。
PANI/iCar-e の電気化学的酸化-還元(ドープ-脱ドープ過程でのCIEカラースペースを示す図である。

0013

以下、本発明の導電性複合材料の製造方法と、これにより得られる導電性複合材料の一実施形態について説明する。

0014

本発明の導電性複合材料の製造方法は、以下の工程:
(1)ヒドロキシル基を有する化合物であるゲスト物質を、水中でアルカリ処理してゾル状液を得るゾル化工程、
(2)ゾル状液にアニリン類モノマーを添加する添加工程、
(3)アニリン類モノマーを含有するゾル状液に対して酸処理を行ってゲル状体を得るゲル化工程、
(4)ゲル状体中で重合反応を行うことでポリアニリンを生成するとともに、ポリアニリンとゲスト物質とがコンポジット化した導電性複合材料を得る重合工程
を含む。

0015

以下、本発明の導電性複合材料の製造方法の各工程について説明する。

0016

(ゾル化工程)
この工程では、ヒドロキシル基を有する化合物であるゲスト物質を、水中でアルカリ処理し、アルカリ塩とすることで、ゲスト物質を水中に溶解させる。これによって、水溶性コロイドとしてゲスト物質を含むゾル状液を得る。

0017

ゲスト物質は、ヒドロキシル基を有する高分子化合物または低分子化合物であってよく、特に限定されない。具体的には、ゲスト物質は、例えば、セルロース、エチレンイミンアラビアガム、アルギン酸、カラギーナンカードランフコイダン、レーヨン、ヒアルロン酸コンドロイチン酸、シゾフィランなどのうちの1種または2種以上を例示することができる。

0018

また、ゲスト物質の使用量は、後述するアニリン類モノマーの量などを考慮して適宜設定することができる。

0020

また、アルカリ処理溶液の濃度は、バインダー溶解性などを考慮して、使用するアルカリの種類に応じて適宜設定することができる。

0021

(添加工程)
この工程では、ゾル化工程で得たゾル状液に、アニリン類モノマーを添加する。

0022

アニリン類モノマーの具体例としては、アニリン、および、アニリンのアミノ基またはベンゼン環上の水素原子の1以上をアルキル基アリール基アルキルエーテル基カルボキシルエステル基、シアノ基ハロゲン基等の置換基により置換したアニリン誘導体など例示することができる。

0023

アニリン類モノマーの添加量は適宜設定することができる。具体的には、例えば、ゾル状液中のアニリン類モノマーの濃度は0.001〜10質量%の範囲を例示することができる。

0024

ゾル状液にアニリン類モノマーを添加することで、ゲスト物質とアニリン類モノマーとを分子レベルで混合させることができる。

0025

さらに、この添加工程では、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加することが好ましい。ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加することで、アニリン類モノマーをナノサイズまで微粒子化することができる。ナノ化したアニリンモノマー類はゲスト物質と親和し、後述する重合工程おいて、ナノサイズ粒子の状態で重合するため、より良好な電気伝導性を有する導電性複合材料得ることができる。

0026

(ゲル化工程)
この工程では、アニリン類モノマーを含有するゾル状液に対して酸処理を行ってゲル状体を得る。

0027

酸処理に使用される酸は、特に限定されないが、例えば、塩化水素酸過塩素酸臭化水素酸硝酸トリフルオロ酢酸トルエンスルホン酸フッ化水素酸メタンスルホン酸ヨウ化水素酸硫酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸などを例示することができる。

0028

酸の添加量は特に限定されず、適宜設定することができる。使用する酸の種類にもよるが、例えば、ゾル状液に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。

0029

ゾル状液に対してこれらの酸を添加して適宜攪拌等することで、水中でアニリン類モノマーとゲスト物質と分子レベルで混合された状態で不溶化が生じ、溶液がゲル化する。

0030

(重合工程)
この工程では、ゲル状体中でアニリン類モノマーの重合反応を行うことでポリアニリンを生成し、ポリアニリンとゲスト物質とがコンポジット化した導電性複合材料を得る。

0031

重合反応は、化学酸化重合または電解重合のいずれであってもよい。

0032

化学酸化重合の場合は、酸化剤(重合開始剤)として、例えば、塩化第二鉄過塩素酸カリウム過酸化水素過硫酸アンモニウム過硫酸カリウム二クロム酸塩二酸化マンガンなどを使用することができる。

0033

アニリン類モノマーと酸化剤の比は、適宜設定することができるが、例えば、1/1〜1/5(重量比)の範囲を例示することができる。酸化剤の量がアニリン類モノマーに対して少な過ぎると重合反応が十分に進行せず、酸化剤の量がアニリン類モノマーに対して多過ぎると重合反応時副生成物が多量に生成してしまう場合がある。

0034

電解重合の場合も、従来公知の方法に従って行うことができ、電極の種類や電圧などの具体的な条件は限定されず、適宜設定することができる。

0035

この工程では、ゲスト物質を含むゲル状体(マトリックスゲル)中で重合反応を行うことでポリアニリンを生成すると同時に、ポリアニリンとゲスト物質とをコンポジット化することで導電性複合材料を得ることができる。

0036

本発明の製造方法で得られる導電性複合材料は、ポリアニリンとゲスト物質とが分子レベルで内部まで混ざり合っており、導電性高分子特有イオン電導ホッピング伝導による電子伝導が相まって、良好な電気伝導性を有している。また、この導電性複合材料は、従来の導電性高分子の加工性の難しさが改善されているため、電子材料や導電材料などの各種の用途に好適に使用することができる。

0037

また、化学酸化重合の場合と電解重合の場合では、得られる導電性高分子の構造が異なり、用途などに応じて好適な形態を選択することができる。例えば、電解重合の場合は、導電性高分子からなるポリマーフィルムは2層構造を有し、良好な電気光学活性を発揮する。

0038

さらに、本願発明の導電性複合材料の製造方法においては、ゾル化工程後かつゲル化工程前に、各種の合成繊維天然繊維合成樹脂などの基質を浸漬し、この基質にゲスト物質を吸着させた状態で重合反応を行うこともできる。この場合、基質を含む導電性複合材料が得られ、ゲスト物質がバインダーとして機能するため、基質にポリアニリンが強く吸着し、摩擦などによるポリアニリンの脱落が抑制される。

0039

本願発明の導電性複合材料およびその製造方法は、以上の実施形態に限定されるものではない。

0040

以下、本発明の導電性複合材料とその製造方法について、実施例とともに説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。

0041

<導電性複合材料の作製>
表1に記載の材料を使用し、以下の手順で合成した。
(1)多糖類とのコンポジット
200 mLの三角フラスコ中に磁気撹拌子とH2Oを加え、これにゲスト物質(iカラギーナン、カードラン、アルギン酸、フコイダン)を加え撹拌した。この状態では、多糖類であるゲスト物質は水に難溶である。そこに、別途用意したNaOH水溶液を加えてアルカリ処理を行い、粉末を水にすべて溶解させた(ゾル化工程)。

0042

次に、蒸留したアニリンモノマーを加え、その溶解を確認した(添加工程)。

0043

その後、H2SO4を加えて酸処理を行い、撹拌を続け、ゲル化させた(ゲル化工程)。

0044

さらに、化学重合の場合は、ここからゲル中にペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS, 1.5g/10mL H2O)を加え、これを氷水で冷却しつつ24時間反応させた(重合工程)。その後、吸引ろ過沈殿物回収し、水、メタノール洗浄真空乾燥させ緑色の固形物を得た。

0045

一方、電解重合の場合は、15 mLバイアル中で上記手順のマトリックスゲルを作成した後、そこへ2枚のIndium-tin-oxide (ITO)コートの導電性ガラスを5 mm間隔で平行に設置し、これを電極として3.0 V電圧を15分間印加した。陽極側に析出したポリマーITOガラスごと回収し、水、メタノールで未反応ないし未重合の分子を洗浄した後、ドライヤーを用いて数回乾燥、さらに真空乾燥を行った。これによって各種測定へ利用できる電解重合フィルムを得た(重合工程)。

0046

(2)レーヨンとのコンポジット
レーヨンとのコンポジットは別途、異なった方法を採用した。まず、20%NaOH50 mL にNBKP (Needle Branched Kraft Pulp,針葉樹パルプ) 100 % 1.2 gを加えて攪拌した(ゲル化工程)。これに、CS2 15mL を加え、さらに攪拌した。

0047

次に、アニリンモノマーを2 gこの溶液に加え、さらに攪拌した(添加工程)。アニリンモノマーが完全に溶解したことを確認した。

0048

その後、等圧滴下ロートを用いてH2SO4をこの溶液にゆっくりと加えて酸処理を行い、pH = 2とした(ゲル化工程)。H2Oを加え、全体を 100 mLとした。

0049

この容器を氷水で冷やした後、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを2.5 g加え、で冷却した状態で24時間攪拌し、重合反応させた(重合工程)。その後、これを濾別した後に、大過剰のメタノールで洗浄した。これを濾別し、真空乾燥してポリアニリン/レーヨンコンポジットを得た。

0050

(3)各導電性複合材料を以下のように記載する。
PANI/Alg_chem:化学酸化重合によりアルギン酸存在下でポリアニリン合成
PANI/Alg-e:電解重合によりアルギン酸存在下でポリアニリン合成
PANI/iCar_chem: 化学酸化重合によりi-カラギーナン存在下でポリアニリン合成
PANI/iCar-e: 電解重合によりi-カラギーナン存在下でポリアニリン合成
PANI/Card_chem: 化学酸化重合によりカードラン存在下でポリアニリン合成
PANI/Ray_chem: 化学酸化重合によりレーヨン存在下でポリアニリン合成
PANI/Fuco_chem: 化学酸化重合によりフコイダン存在下でポリアニリン合成
PANI/Fuco-e: 電解重合によりフコイダン存在下でポリアニリン合成

0051

<導電性複合材料の測定・観察方法
化学重合サンプルは、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液中に分散させて分光測定を行った。電気化学的測定も同様のサンプルと溶液で行った。赤外線吸収スペクトルは、KBr法を用いて測定した。電気伝導度は四端針法を用い、サンプルを圧縮ペレット状にした状態で測定した。電子顕微鏡観察はサンプルに電気伝導性があるため、低倍率の観察ではそのまま、高倍率で行った際は金蒸着を行った状態で観察した。

0052

<結果>
<1>分光測定、電気化学的測定、赤外線吸収スペクトル測定電気伝導度測定および電子顕微鏡観察
(1)アルギン酸
図1は、ゲル環境下の化学重合で得たポリアニリン/アルギン酸(以下PANI/Alg_chem)の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。凹凸構造を示した。これは、ポリアニリンがバルク上のような構造を示すのに対し、アルギン酸が混入したことで構造が秩序化したものであると考えられる。

0053

図2は、ゲル環境下の電解重合で得たポリアニリン/アルギン酸(以下PANI/Alg-e)のSEM像である。成膜性の低かったこの電解重合フィルムに関しては化学重合の場合と異なり、バルク構造堆積したような形状になった。

0054

このことから、ゲル環境下のポリマーブレンド作成に関して、同様の組成モノマーブレンドにおいても、重合方法により大きな組織的構造変化が生じることが分かった。微細構造も重合方法により異なるものと考えられる。本方法はアルギン酸ゲルマトリックスとし、ポリアニリンを転写しながら合成した手法であり、さらにポリアニリンの生成と同時にブレンド化が行われるため、この成長過程が得られたポリマーのモルフォロジーを大きく変えるものと思われる。

0055

図3は、ゲル環境下の電解重合で得たポリアニリン/アルギン酸(PANI/Alg-e)の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。

0056

図4は、NMP中で得たゲル環境下の電解重合で得たポリアニリン/アルギン酸(PANI/Alg-e)の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。ここで637 nmは、ポリアニリンのエメラルディン特有のポーラロンによる吸収である。

0057

短波長側375nmはポリマーにおけるモノマーユニットであるπ-π*遷移による吸収である。長波長側775nmはポリアニリンのエメラルディン特有のポーラロン(ラジカルカチオン)、1030 nmはバイポーラロン (ジカチオン)である。

0058

図5の上段は、Pure Alg acid(アルギン酸100%)の赤外線吸収スペクトルを示す図であり、下段は、PANI/Alg_chemコンポジットの赤外線吸収スペクトルを示す図である。

0059

3450cm-1はOH伸縮振動を示す。これはアルギン酸のカルボキシ基およびOH基由来する。2930cm-1はCH2、CH3の伸縮振動である。1562 cm-1はポリアニリンのキノイド構造におけるC-Cの伸縮振動を示す。さらに1475 cm-1はポリアニリンのベンゼノイド構造を示す。1100 cm-1の大きな吸収帯はアルギン酸に由来するCOCエーテル伸縮振動である。これらにより得られたサンプルは、単純なPANIではなくコンポジット化したものであることが確認された。

0060

PANI/Alg_chemコンポジットの電気伝導度は、四端針法によって測定した。サンプルは、圧縮ペレット状にしたものを使用した。

0061

その結果、電気伝導度は1.4×10-1S/cmであった。これはコンポジットとしては比較的高い電導度であるが、その理由としては導電性コイルコンパクトコイル)がアルギン酸分子に巻きついて伸長した(エクスパンデッドコイル)結果、有効共役鎖長が伸びキャリア移動度が増大したことによるものと考えられる。これはMacDiarmidらが提唱したセカンダリードーピングがゲル中で生じたためと考えられる。

0062

図6は、水酸化ナトリウムによるアルカリ処理を行わずに重合を行った比較例(非ゲル化PANI/ Alg)と、ポリアニリン(Pure PANI)と、本発明の上記方法によるゲル重合を行ったブレンド(Gel PANI/ Alg)の3種の紫外可視吸収スペクトルの比較を示す図である。

0063

ゲル化により得られたブレンド(Gel PANI/ Alg)は、僅かながら長波長側にポーラロンバンドシフトしたことが確認された。これはゲル化によりセカンダリードーピングが起きたためと考えられる。

0064

(2)i-カラギーナン
図7は、iota-carrageenan(以下iCar)粉末のSEM像を示した図である。i-カラギーナンは、アルギン酸と類似した粘土状構造をもつが、それに対して棒状の構造が比較的多いことが分かる。

0065

図8は、ゲル環境下で化学重合したPANI/iCar(以下PANI/iCar_chem)のSEM像を示す図である。

0066

PANI/iCar_chemの表面構造は、iCar100%のサンプルと全く異なり、開いた花弁状構造が見られた。高倍率では立体的多孔質構造が見られた。

0067

図9は、ゲル環境下で電解重合したPANI/iCar(以下PANI/iCar-e)のSEM像を示す図である。成膜性が良好だったこのフィルムは観察の結果、2層構造を有することが分かった。

0068

円滑な表面の内部に多数詰まったPANIのネットワーク構造がフィルムの広範囲にわたって形成されていることが確認された。フィルムが得られた電解重合直後の段階ではフィルムが膨潤していたことを考慮するとこのネットワーク構造は分散していた糸状分子が乾燥に伴って密集したものと考えられる。昆虫では外骨格を形成する際、液晶固化するといわれ、その構造を転写する際に多層構造が形成される。内側にファイバー構造、外側に円滑なシェル構造巨視的な繊維質が得られた今回の手法を応用することで、自然界に存在する複雑構造を有するフィルムを簡便に得ることができる。

0069

図10は、PANI/iCar_chemの紫外可視吸収スペクトルを示した図である。330nmはモノマーユニット中のπ-π*遷移、630nmの吸収帯はエメラルディン特有のラジカルカチオン、および長波長の吸収はバイポーラロンバンドを示す。

0070

図11は、PANI/iCar-eのUVスペクトルを示した図である。370 nmはモノマーユニット中のπ-π*遷移、および780 nmの吸収帯はエメラルディン特有のポーラロン(ラジカルカチオン)の吸収を示している。

0071

図12は、iCarと、PANI/iCar_chemの赤外吸収スペクトルを示す図である。

0072

PANI/iCar_chemの赤外吸収スペクトルにおいて3410 cm-1はOH伸縮、3700cm-1の鋭い吸収帯はνOH(OH伸縮振動)の非会合吸収である。2960 cm-1はCH3, CH2(アルキル基)の伸縮振動、1439 cm-1はポリアニリンのベンゼノイド構造、1563 cm-1はキノイド構造、1100 cm-1はCOCのエーテル(nCOC) 伸縮振動である。コンポジットはカラギーナンとポリアニリンが重なった吸収を示している。このことからカラギーナンとポリアニリンの複合体が生成されたことが分かった。PANI/iCard_chemの電気伝導度は2.1 x 10-1S/cmであった。

0073

PANI/iCar_chemの電気伝導度は、四端針法によって測定した。サンプルは圧縮ペレット状にしたものを使用した。

0074

その結果、電気伝導度は3.6×10-2 S/cmであった。これはコンポジットとしては比較的高い電導度である。これはコンポジット化により分子レベルでの微細配向が起こり、有効共役長が伸びた結果、キャリア移動度が増大したことによるものと考えられる。

0075

(3)レーヨン
図13は、PANI/Ray_chemの紫外可視吸収スペクトルを示す図である。可視域にポリアニリン由来のポーラロンによる吸収がみられる。

0076

図14は、アニリン、レーヨンおよびコンポジットであるPANI/Ray_chemの赤外線吸収スペクトルを示す図である(図中ではRayon/PANI)。レーヨンとポリアニリンの重なった吸収スペクトルが観察される。

0077

図15は、PANI/Ray_chemのSEM像を示す図である。繊維上にポリアニリンがデポジットしている様子が観察される。

0078

<2>電子スピン共鳴(ESR)
図16は、ゲル中で化学重合した各ポリアニリンユニット(PANI/Alg_chem、PANI/iCar_chem)の電子共鳴スペクトルの結果を示す図である。また、この測定数値を表2に示す。

0079

ここで、DHppはピーク線幅、Nsはスピン濃度を表す。g = 2.004のポリアニリンのポーラロン特有のローレンツシグナルが得られた。この結果により、キャリア電子が存在することを確認した。

0080

<3>サイクリックボルタンメトリー(CV)
図17は、PANI/iCar-e のCVスペクトルを示す図である。

0081

酸化側の0.8 V付近に還元のシグナル、還元側 -0.4 V に酸化のシグナルが得られ、可逆的変化のみられるグラフが得られた。このことから得られたフィルムは良好な電気化学的活性を示し、良好な蓄電性をもつことも予想される。また酸化と還元は電気化学的なドーピングと脱ドープに対応している。

0082

<4>in-situ UV-vis光学的吸収スペクトル
図18は、PANI/iCar-eの電気化学的に電位を加えながら測定したin-situUV-vis光学的吸収スペクトルの結果を示す図である。

0083

-0.2 Vから1.4 Vまで電圧を加えると840 nmにあった吸収帯の強度が増加し、650 nmにブルーシフトする。1.4 Vより印加電位を減少させるとこの強度は減少する。これにより、電気化学的に酸化-還元(ドープ-脱ドープ)を行うことにより光吸収を制御できることが分かった。

0084

<5>CIEカラースペース
図19は、PANI/iCar-e の電気化学的酸化-還元(ドープ-脱ドープ)過程でのCIEカラースペースを示す図である。

実施例

0085

ドーピング(左)過程では黄緑色から青色に変化していく。また脱ドープ過程(還元、右)ではこれがもとの軌跡を描くことが分かった。

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