図面 (/)

技術 異常検出装置および異常検出方法

出願人 日立造船株式会社
発明者 古賀重雄馬場真二赤荻祐亮
出願日 2019年12月24日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-232423
公開日 2021年7月8日 (3ヶ月経過) 公開番号 2021-101105
状態 未査定
技術分野 内燃機関の複合的制御 燃料噴射装置 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御
主要キーワード ピン固定孔 気密面 掃気管 メンテナンス直後 ガイド端 ナット締付 本体胴 固定ユニット
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2021年7月8日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

燃料噴射部の異常を適切に検出する。

解決手段

燃料噴射部は、エンジンシリンダに設けられる取付孔に挿入され、燃焼室内に燃料噴射する燃料噴射弁と、燃焼室外において燃料噴射弁およびシリンダの双方に接合されることにより、燃料噴射弁をシリンダに押し付けて固定する弁固定部とを備える。燃料噴射部の異常を検出する異常検出装置5は、弁固定部に取り付けられるとともに、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁の内部圧力を増大する際に弁固定部に生じる変形に関する測定を行う測定部51と、測定部51の出力に基づいて、燃料噴射部における異常の有無を判定する異常判定部52とを備える。これにより、燃料噴射部の異常を適切に検出することができる。

概要

背景

従来、エンジン内燃機関)の燃焼室内に燃料噴射する燃料噴射部が用いられており、燃料噴射部における燃料の噴射時期を検出する手法も知られている。例えば、特許文献1および2では、燃料噴射弁の内部に設けられた圧電素子等の出力が、針弁の移動により変化することに基づいて、燃料噴射時期が検出される。また、特許文献3では、燃料供給弁において運転中に発生する閉弁時のガス漏洩を検出する異常検知装置が開示されている。当該装置では、燃料供給弁に振動センサが設置され、燃料供給弁の開閉に伴う振動の強度に基づいて燃料供給弁の異常が検出される。

概要

燃料噴射部の異常を適切に検出する。燃料噴射部は、エンジンのシリンダに設けられる取付孔に挿入され、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、燃焼室外において燃料噴射弁およびシリンダの双方に接合されることにより、燃料噴射弁をシリンダに押し付けて固定する弁固定部とを備える。燃料噴射部の異常を検出する異常検出装置5は、弁固定部に取り付けられるとともに、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁の内部圧力を増大する際に弁固定部に生じる変形に関する測定を行う測定部51と、測定部51の出力に基づいて、燃料噴射部における異常の有無を判定する異常判定部52とを備える。これにより、燃料噴射部の異常を適切に検出することができる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

エンジンシリンダに設けられる取付孔に挿入され、燃焼室内に燃料噴射する燃料噴射弁と、前記燃焼室外において前記燃料噴射弁および前記シリンダの双方に接合されることにより、前記燃料噴射弁を前記シリンダに押し付けて固定する弁固定部とを備える燃料噴射部の異常を検出する異常検出装置であって、前記弁固定部に取り付けられるとともに、前記燃料の噴射に向けて前記燃料噴射弁の内部圧力を増大する際に前記弁固定部に生じる変形に関する測定を行う測定部と、前記測定部の出力に基づいて、前記燃料噴射部における異常の有無を判定する異常判定部と、を備えることを特徴とする異常検出装置。

請求項2

請求項1に記載の異常検出装置であって、前記異常判定部が、前記弁固定部の異常の有無を判定することを特徴とする異常検出装置。

請求項3

請求項2に記載の異常検出装置であって、前記異常判定部が、前記弁固定部の異常と、前記燃料噴射弁の異常とを区別して特定することを特徴とする異常検出装置。

請求項4

請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検出装置であって、前記弁固定部において、前記燃料噴射弁を前記シリンダに向けて付勢する弾性部材が設けられ、前記測定部が、前記燃料噴射弁の前記内部圧力の増大時に前記弾性部材に生じる変形に関する測定を行うことを特徴とする異常検出装置。

請求項5

請求項4に記載の異常検出装置であって、前記異常判定部が、前記弾性部材の異常の有無を判定することを特徴とする異常検出装置。

請求項6

請求項1ないし5のいずれか1つに記載の異常検出装置であって、前記燃料噴射部における異常の発生を報知する報知部をさらに備えることを特徴とする異常検出装置。

請求項7

エンジンのシリンダに設けられる取付孔に挿入され、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃焼室外において前記燃料噴射弁および前記シリンダの双方に接合されることにより、前記燃料噴射弁を前記シリンダに押し付けて固定する弁固定部とを備える燃料噴射部の異常を検出する異常検出方法であって、a)前記燃料の噴射に向けて前記燃料噴射弁の内部圧力を増大する際に前記弁固定部に生じる変形に関する測定を、前記弁固定部に取り付けられる測定部により行う工程と、b)前記測定部の出力に基づいて、前記燃料噴射部における異常の有無を判定する、または、前記燃料噴射部のメンテナンスの時期を決定する工程と、を備えることを特徴とする異常検出方法。

技術分野

0001

本発明は、エンジンに設けられる燃料噴射部の異常を検出する技術に関する。

背景技術

0002

従来、エンジン(内燃機関)の燃焼室内に燃料噴射する燃料噴射部が用いられており、燃料噴射部における燃料の噴射時期を検出する手法も知られている。例えば、特許文献1および2では、燃料噴射弁の内部に設けられた圧電素子等の出力が、針弁の移動により変化することに基づいて、燃料噴射時期が検出される。また、特許文献3では、燃料供給弁において運転中に発生する閉弁時のガス漏洩を検出する異常検知装置が開示されている。当該装置では、燃料供給弁に振動センサが設置され、燃料供給弁の開閉に伴う振動の強度に基づいて燃料供給弁の異常が検出される。

先行技術

0003

特公昭47−7168号公報
特開平7−127551号公報
特開2012−132420号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、特許文献3のように燃料噴射部に振動センサを設ける場合、当該振動センサはエンジン全体の振動の影響を受けるため、燃料噴射部の異常を適切に検出することができない場合がある。そこで、燃料噴射部の異常を適切に検出することが可能な新規な手法が求められている。

0005

本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、燃料噴射部の異常を適切に検出することを目的としている。

課題を解決するための手段

0006

請求項1に記載の発明は、エンジンのシリンダに設けられる取付孔に挿入され、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃焼室外において前記燃料噴射弁および前記シリンダの双方に接合されることにより、前記燃料噴射弁を前記シリンダに押し付けて固定する弁固定部とを備える燃料噴射部の異常を検出する異常検出装置であって、前記弁固定部に取り付けられるとともに、前記燃料の噴射に向けて前記燃料噴射弁の内部圧力を増大する際に前記弁固定部に生じる変形に関する測定を行う測定部と、前記測定部の出力に基づいて、前記燃料噴射部における異常の有無を判定する異常判定部とを備える。

0007

請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の異常検出装置であって、前記異常判定部が、前記弁固定部の異常の有無を判定する。

0008

請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の異常検出装置であって、前記異常判定部が、前記弁固定部の異常と、前記燃料噴射弁の異常とを区別して特定する。

0009

請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の異常検出装置であって、前記弁固定部において、前記燃料噴射弁を前記シリンダに向けて付勢する弾性部材が設けられ、前記測定部が、前記燃料噴射弁の前記内部圧力の増大時に前記弾性部材に生じる変形に関する測定を行う。

0010

請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の異常検出装置であって、前記異常判定部が、前記弾性部材の異常の有無を判定する。

0011

請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の異常検出装置であって、前記燃料噴射部における異常の発生を報知する報知部をさらに備える。

0012

請求項7に記載の発明は、エンジンのシリンダに設けられる取付孔に挿入され、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃焼室外において前記燃料噴射弁および前記シリンダの双方に接合されることにより、前記燃料噴射弁を前記シリンダに押し付けて固定する弁固定部とを備える燃料噴射部の異常を検出する異常検出方法であって、a)前記燃料の噴射に向けて前記燃料噴射弁の内部圧力を増大する際に前記弁固定部に生じる変形に関する測定を、前記弁固定部に取り付けられる測定部により行う工程と、b)前記測定部の出力に基づいて、前記燃料噴射部における異常の有無を判定する、または、前記燃料噴射部のメンテナンスの時期を決定する工程とを備える。

発明の効果

0013

本発明によれば、燃料噴射部の異常を適切に検出することができる。

図面の簡単な説明

0014

エンジンの構成を示す図である。
燃料噴射部を示す図である。
燃料噴射弁の内部構成を示す図である。
付勢部を示す部分断面図である。
測定部から出力される電圧の変化を示す図である。
異常を検出する動作の流れを示す図である。
異常検出装置の他の例を示すブロック図である。
燃料噴射部の他の例を示す図である。

実施例

0015

図1は、本発明の一の実施の形態に係るエンジン1の構成を示す図である。エンジン1は、例えば船舶用の内燃機関であり、高圧の燃料を用いる2ストロークディーゼルエンジンである。エンジン1は、シリンダ2と、シリンダ2内に設けられるピストン3とを備え、ピストン3は、図1中の上下方向に移動可能である。なお、図1の上下方向は重力方向であるとは限らない。

0016

シリンダ2は、円筒状のシリンダライナ21と、シリンダライナ21の上部に取り付けられるシリンダカバー22とを備える。ピストン3は、シリンダライナ21に挿入された厚い円板状のピストンクラウン31と、一端がピストンクラウン31の下面に接続されるピストンロッド32とを備える。ピストンロッド32の他端は、図示省略のクランク機構に接続される。

0017

エンジン1では、シリンダライナ21、シリンダカバー22、排気弁25(後述)、および、ピストンクラウン31の上面(すなわち、ピストン3の上面)にて囲まれる空間が、燃料および空気を燃焼するための燃焼室20である。シリンダライナ21の下端部近傍には、多数の貫通孔周状に配列して形成され、これらの貫通孔の集合が、燃焼室20内に後述の掃気を供給する掃気ポート23である。掃気ポート23の周囲には、掃気室231が設けられており、掃気ポート23は掃気室231を介して掃気管41に連通する。

0018

シリンダカバー22には、燃焼室20内のガスを燃焼室20外に排出する排気ポート24が形成され、排気ポート24には、排気ポート24を開閉する排気弁25が設けられる。排気ポート24を介して燃焼室20から排出されたガス(以下、「排気」という。)は、排気路241を介して排気管42へと導かれる。実際のエンジン1では、複数のシリンダ2が併設されており、複数のシリンダ2が1つの掃気管41および1つの排気管42に接続される。好ましいエンジン1では、排気を利用する図示省略の過給機において、外部から取り込んだ吸気(空気)が加圧され、掃気として掃気管41内に供給される。

0019

シリンダカバー22において、排気ポート24の周囲には複数の燃料噴射部6が設けられる。各シリンダ2に設けられる燃料噴射部6の個数は、図1の例では、2個である。燃料噴射部6の個数は、3個以上であってもよく、1個であってもよい。

0020

図2は、シリンダカバー22の断面図であり、1つの燃料噴射部6の近傍を示している。図2では、後述の燃料噴射弁60の中心軸J1が図2の上下方向に平行となるように、燃料噴射部6を描いている。以下の説明における上下方向は、原則として図2の上下方向を意味する。図2の上下方向は、重力方向である必要はない。

0021

燃料噴射部6は、燃料噴射弁60と、弁固定部7とを備える。弁固定部7は、燃料噴射弁60をシリンダカバー22に対して固定する。弁固定部7の詳細については後述する。燃料噴射弁60は、燃焼室20内に燃料を霧状に噴射する。燃料は、典型的には液体であるが、気体であってもよい。燃料噴射弁60は、本体胴部61と、傾斜部62と、先端部63とを備える。図2の上側から下方に向かって(すなわち、シリンダ2の外側から燃焼室20に向かって)順に、本体胴部61、傾斜部62および先端部63が配置される。本体胴部61は、ほぼ一定の直径を有する略円柱状である。先端部63は、燃焼室20側に配置され、直径が本体胴部61よりも十分に小さい略円柱状である。傾斜部62は、本体胴部61と先端部63との間に配置される円錐台状の部位であり、両者に連続する。傾斜部62の直径は、本体胴部61側から先端部63に向かって漸次減少する。

0022

本体胴部61において、傾斜部62とは反対側の端部にはフランジ部68が設けられる。フランジ部68は、本体胴部61から外側に突出する略円環状の部材である。フランジ部68は、複数の貫通孔681を有する。各貫通孔681は、中心軸J1に略平行に延びる。図2では、各貫通孔681の近傍において、フランジ部68の部分断面を示している。燃料噴射弁60の内部構成については後述する。

0023

シリンダカバー22には、燃料噴射部6の個数と同数の取付孔220が設けられる。取付孔220は、シリンダカバー22の上面から燃焼室20まで貫通し、燃料噴射弁60が、取付孔220に挿入される。取付孔220は、大径部221と、中間部222と、小径部223とを備える。大径部221は、燃料噴射弁60の本体胴部61の周囲を囲み、本体胴部61の直径よりも僅かに大きい直径を有する。なお、図2の例では、本体胴部61の上部の周囲に円筒部材611が設けられ、円筒部材611の下部も取付孔220に嵌め込まれている。小径部223は、先端部63の周囲を囲み、先端部63の直径よりも僅かに大きい直径を有する。中間部222は、傾斜部62の周囲を囲む。中間部222の直径は、傾斜部62と同様に、大径部221側から小径部223に向かって漸次減少する。

0024

弁固定部7により燃料噴射弁60がシリンダカバー22に固定された状態では、燃料噴射弁60の先端部63の一部のみが燃焼室20内に配置される。先端部63と小径部223の内周面との間には、全周に亘って隙間が設けられる。中間部222において小径部223側の部位には、被接触部224が設けられる。被接触部224では、小径部223に向かうに従って直径が急激に小さくなる。傾斜部62において先端部63側の部位には、接触部621が設けられる。接触部621では、先端部63に向かうに従って直径が急激に小さくなる。燃料噴射弁60では、接触部621が、取付孔220の被接触部224と全周に亘って接触する。すなわち、互いに接触する接触部621の面、および、被接触部224の面が気密面となる。これらの面は、シート面とも呼ばれる。

0025

図3は、燃料噴射弁60の内部構成を示す図であり、燃料噴射弁60の中心軸J1を含む面における断面を示している。図3では、後述の可動部65のみ背景破線にて示している。燃料噴射弁60の各構成は、主として金属により形成される。

0026

燃料噴射弁60の本体胴部61内には、胴部流路管612が設けられる。胴部流路管612は、中心軸J1を中心とする筒状であり、中心軸J1に沿って延びる。胴部流路管612における先端部63側の端部には、可動部65が設けられる。可動部65は、スピンドルとも呼ばれる。可動部65は、胴部流路管612の当該端部を囲む筒状部651を有する。筒状部651における先端部63側の端部には、当該端部を閉塞する蓋部652が設けられる。蓋部652には、先端部63側に突出する突出部654が設けられる。

0027

蓋部652において突出部654の周囲には、複数の貫通孔653が設けられる。複数の貫通孔653は、中心軸J1を中心とする周方向に配列される。各貫通孔653は、筒状部651の内部と外部とを連通する。突出部654は、蓋部652から先端部63まで延びる。蓋部652側に配置される突出部654の基部655は、突出部654の他の部位よりも大きい直径を有する。突出部654において、蓋部652とは反対側の部位には、中空部656が設けられる。中心軸J1の方向における突出部654の中央近傍には、中空部656の内部と連通する複数の開口657が設けられる。また、突出部654の先端面には、中空部656の内部と連通する1つの先端開口658が設けられる。

0028

本体胴部61内には、略筒状の可動部ガイド66がさらに設けられる。可動部ガイド66は、可動部65の筒状部651の周囲を囲む。可動部ガイド66の内周面は、筒状部651の外周面と接触する。可動部ガイド66は、可動部65を中心軸J1の方向に移動可能に保持する。可動部ガイド66における先端部63側の端部には、先端部63に向かって内径および外径漸次小さくなるガイド端部661が設けられる。ガイド端部661における先端部63側の部位の内径は、突出部654の基部655の直径よりも小さい。可動部65は、図示省略の弾性部材(例えば、ばね)により先端部63に向かって付勢されており、基部655の外周面の一部がガイド端部661の内周面の一部と全周に亘って接触する。以下の説明では、基部655の外周面、および、ガイド端部661の内周面において、互いに接触する部位をそれぞれ「接触部659」および「被接触部662」という。接触部659の面、および、被接触部662の面は、シート面とも呼ばれる。基部655の接触部659と、ガイド端部661の被接触部662とが互いに接触した状態において、基部655の外周面とガイド端部661の内周面との間には、中心軸J1を中心とする環状空間67が形成される。

0029

可動部65の突出部654の周囲には、略筒状の先端部本体631が設けられる。先端部本体631は、突出部654において基部655よりも先端側の部位の周囲を囲む。先端部本体631の先端側は閉塞される。突出部654における接触部659近傍から複数の開口657までの間の部位と、先端部本体631の内周面との間には、微小な隙間が設けられる。一方、突出部654における先端近傍の部位の外周面と、先端部本体631の内周面とは、ほぼ接触する。先端部本体631の先端近傍には、噴射口632が設けられる。基部655の接触部659と、ガイド端部661の被接触部662とが互いに接触した状態では、突出部654により噴射口632が閉塞される。

0030

エンジン1では、図示省略の燃料供給部から燃料噴射弁60の胴部流路管612に、石油燃料等の燃料が供給され、可動部65の筒状部651および複数の貫通孔653を介して、環状空間67に当該燃料が充填される。実際には、燃料供給部から環状空間67までの流路には、隙間なく燃料が充填されている。燃料噴射弁60における燃料の非噴射時には、胴部流路管612の内部における燃料の圧力(以下、単に「燃料噴射弁60の内部圧力」という。)が所定値以下であり、基部655の接触部659と、ガイド端部661の被接触部662とが接触した状態が保たれる。

0031

燃料噴射弁60において燃料を噴射する直前には、燃料供給部により燃料噴射弁60の内部圧力が増大される。これにより、環状空間67内の圧力が高くなるとともに、燃料噴射弁60の本体胴部61において中心軸J1の方向に引っ張り歪みが生じる(すなわち、燃料噴射弁60が当該方向に僅かに伸びる。)。そして、環状空間67内の圧力がさらに大きくなると、上記弾性部材の付勢力に抗して可動部65が先端部63とは反対側へと移動し、基部655の接触部659が、ガイド端部661の被接触部662から離れる。環状空間67内の燃料は、先端部本体631内に流入し、突出部654における複数の開口657を介して、中空部656内へと至る。このとき、突出部654の先端が噴射口632よりも可動部ガイド66側に配置されており、噴射口632が開放されている。中空部656内の燃料は、先端開口658から流出し、噴射口632から燃焼室20内に噴射される。燃料の噴射により、燃料噴射弁60の内部圧力は所定値以下に戻り、燃料噴射弁60の引っ張り歪みも解消される。実際には、図1のピストン3の上下動に同期して、燃料噴射弁60から燃焼室20内への燃料の噴射が繰り返し行われる。

0032

図2に示すように、弁固定部7は、複数の固定ユニット70を備える。複数の固定ユニット70は、シリンダカバー22の上面において取付孔220の周囲に設けられる。図2の例では、2個の固定ユニット70が設けられる。固定ユニット70の個数は、1個または3個以上であってもよい。各固定ユニット70は、固定ボルト71と、ナット72と、付勢部73とを備える。固定ボルト71は、例えばスタッドボルトであり、シリンダカバー22の上面に設けられたネジ孔に、固定ボルト71の下端が螺合により締結される。これにより、固定ボルト71は、シリンダカバー22の上面に対して略垂直に直立した状態でシリンダカバー22に固定される。

0033

燃料噴射弁60のフランジ部68における複数の貫通孔681は、複数の固定ボルト71に対してそれぞれ嵌め込まれる。付勢部73は、略円筒状であり、固定ボルト71に対してフランジ部68よりも上方から嵌め込まれる。付勢部73の詳細については後述する。固定ボルト71の上端には、ナット72が所定の大きさの締め付けトルク(以下、「設定トルク」という。)にて締め付けられて締結される。付勢部73の上部はナット72に接触し、付勢部73の下部はフランジ部68に接触する。

0034

図4は、付勢部73を示す部分断面図である。図4では、略円筒状の付勢部73の中心軸J2を含む面における付勢部73の断面の一部を示している。付勢部73は、皿ばね部731と、ケーシング74と、ばね押さえ75と、複数のピン736とを備える。付勢部73は、ばねケーシングとも呼ばれる。皿ばね部731は、少なくとも1つの皿ばねを含む。図4の例では、皿ばね部731は、複数の皿ばねの積層体である。複数の皿ばねの重ね方(並列重ねおよび直列組合せ)は任意に変更されてよい。皿ばね部731は、上下方向(中心軸J2の方向)に弾性変形可能な弾性部材と捉えることが可能である。付勢部73では、皿ばね以外のばねやゴム等、他の種類の弾性部材が用いられてもよい。皿ばね部731は、略円筒状であり、後述するように、固定ボルト71が皿ばね部731に挿入される。

0035

ケーシング74は、ケーシング本体741と、ケーシング底部742と、筒状突出部743とを備える。ケーシング本体741は、略円筒状であり、皿ばね部731を収容する。ケーシング底部742は、中心軸J2に略垂直な円環板状であり、ケーシング本体741の下端から中心軸J2に向かって広がる。皿ばね部731の下端は、ケーシング底部742の上面に接触する。筒状突出部743は、略円筒状であり、ケーシング底部742の内周縁から下方に向かって突出する。筒状突出部743の内径および外径は、ケーシング本体741の内径よりも小さい。筒状突出部743は、フランジ部68の貫通孔681に挿入され(図2参照)、ケーシング底部742の下面が、フランジ部68に接触する。

0036

ばね押さえ75は、略円筒状であり、ケーシング本体741に上方から挿入される。ばね押さえ75は、後述の測定部51を介して皿ばね部731に間接的に接触する。ばね押さえ75の外周面には、複数のピン固定孔751が、中心軸J2を中心とする周方向に配列して形成される。また、ケーシング本体741には、中心軸J2を中心とする径方向において各ピン固定孔751と重なるピン挿入孔744が設けられる。ピン挿入孔744は、上下方向に長い孔である。各ピン736は、ピン挿入孔744に挿入された状態でピン固定孔751に固定される。これにより、各固定ユニット70(図2参照)の固定ボルト71、ナット72および付勢部73を分離した状態において、ばね押さえ75および皿ばね部731が、ケーシング74から抜けることが防止される。ばね押さえ75は、上下方向にある程度移動可能である。

0037

図2および図4に示すように、各固定ユニット70では、筒状突出部743、ケーシング底部742、皿ばね部731、および、ばね押さえ75に、固定ボルト71が挿入される。既述のように、ケーシング底部742は、燃料噴射弁60のフランジ部68の上面に接触する。また、固定ボルト71の上端に締結されたナット72は、ばね押さえ75の上端面に接触し、ばね押さえ75がケーシング74に対して下方に押し下げられる。これにより、皿ばね部731が圧縮され、フランジ部68がシリンダ2に向けて付勢される。

0038

以上のように、燃料噴射部6では、付勢部73を燃料噴射弁60との接合部とし、固定ボルト71の下端をシリンダ2との接合部として、弁固定部7が、燃焼室20外において燃料噴射弁60およびシリンダ2(のシリンダカバー22)の双方に接合される。そして、弁固定部7により、燃料噴射弁60がシリンダ2に押し付けられた状態で、シリンダ2に固定される。

0039

図4に示すように、エンジン1は、異常検出装置5をさらに備える。異常検出装置5は、燃料噴射部6の異常を検出する。図4の例では、異常検出装置5は、各固定ユニット70(の付勢部73)に対して設けられ、測定部51と、異常判定部52と、報知部53とを備える。測定部51は、例えば略円環状であり、ケーシング74内において、ばね押さえ75と皿ばね部731との間に配置される。測定部51は、例えば圧電素子であり、上下方向に作用する力の変化に応じた電気エネルギー(電圧)を出力する。

0040

図2に示す弁固定部7の各固定ユニット70では、既述のように、図4の皿ばね部731が圧縮されており、測定部51には一定の圧縮力予圧)が作用する。また、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に、燃料噴射弁60(主として、本体胴部61)において引っ張り歪みが生じる。これにより、ケーシング74がフランジ部68により押し上げられ、皿ばね部731がさらに圧縮される。その結果、測定部51に作用する圧縮力が大きくなり、圧縮力の変化に応じた電圧が測定部51から異常判定部52に出力される。燃料の噴射により燃料噴射弁60の引っ張り歪みは解消されるため、図5中に線L0〜L2にて模式的に示すように、測定部51から出力される電圧の変化は山型となる。以上のように、測定部51では、燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に、弁固定部7に生じる変形(ここでは、皿ばね部731の圧縮)に関する測定が行われる。なお、皿ばね部731により、燃料噴射弁60における燃料の噴射直後の衝撃が吸収される。

0041

異常判定部52は、ばね押さえ75の内部に組み込まれた電気的回路であり、測定部51および報知部53に電気的に接続される。異常判定部52では、1回の燃料の噴射において、測定部51から出力される電圧の変化における最大値(絶対値の最大値)が、評価値として取得される。評価値は、実質的には、測定部51により取得されていると捉えることも可能である。報知部53は、例えば赤、緑および青の発光素子発光ダイオード)を含み、ばね押さえ75の外周面における上部に設けられる。ばね押さえ75に固定されたピン736が、ケーシング本体741のピン挿入孔744の上端および下端のいずれに接触する場合でも、報知部53の少なくとも一部は、ケーシング本体741よりも上方に位置し、外部から視認可能である。

0042

ここで、異常検出装置5により検出される燃料噴射部6の異常について説明する。燃料噴射部6の異常には、燃料噴射弁60の異常、および、弁固定部7の異常が含まれる。燃料噴射弁60の異常の一例は、図3に示す可動部65の接触部659と可動部ガイド66の被接触部662とが接触した状態で、可動部ガイド66と可動部65の筒状部651とが固着することにより、燃料の供給不良が生じる異常(以下、「閉固着異常」という。)である。閉固着異常では、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に、接触部659と被接触部662とが離れないため、燃料噴射弁60の内部圧力が非常に大きくなる。これにより、燃料噴射弁60の引っ張り歪み(伸び量)が大きくなり、図5中に破線L1にて示すように、測定部51から出力される電圧の最大値、すなわち、評価値が大きくなる。図5では、燃料噴射部6の正常時に測定部51から出力される電圧を、実線L0にて示しており、閉固着異常時に取得される評価値は、正常時に取得される評価値よりも大きくなる。

0043

燃料噴射弁60の異常の他の例は、可動部65の接触部659と可動部ガイド66の被接触部662とが離れた状態で、可動部ガイド66と可動部65の筒状部651とが固着することにより、燃料の過剰供給が生じる異常(以下、「開固着異常」という。)である。開固着異常では、噴射口632から燃料が常時漏れた状態となるため、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に、燃料噴射弁60の内部圧力があまり大きくならない。これにより、燃料噴射弁60の引っ張り歪みが僅かとなり、図5中に一点鎖線L2にて示すように、測定部51から出力される電圧の最大値が、正常時よりも小さくなる。すなわち、開固着異常時に取得される評価値が、正常時に取得される評価値よりも小さくなる。

0044

弁固定部7の異常の一例は、皿ばね部731がへたることにより、燃料噴射弁60をシリンダ2に向けて付勢する力(すなわち、固定ボルト71の軸力)が小さくなる、ばね劣化異常である。ばね劣化異常では、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に、燃料噴射弁60の引っ張り歪みが大きくなり、閉固着異常時と同様に、評価値が、正常時に取得される評価値よりも大きくなる。

0045

弁固定部7の異常の他の例は、ナット72の締め付けトルクが、設定トルクよりも大幅に小さいナット締付異常である。この場合も、燃料噴射弁60をシリンダ2に向けて付勢する力が小さくなる。これにより、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に、燃料噴射弁60の引っ張り歪みが大きくなり、閉固着異常時と同様に、評価値が、正常時に取得される評価値よりも大きくなる。

0046

次に、各固定ユニット70に対して設けられる異常検出装置5による上記異常の検出について説明する。図6は、異常検出装置5が異常を検出する動作の流れを示す図である。各燃料噴射部6では、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に(すなわち、燃料噴射弁60による燃料の各噴射の直前に)、当該燃料噴射部6に含まれる各固定ユニット70の測定部51により、皿ばね部731に生じる変形に関する測定が行われる。そして、当該測定部51の出力に基づいて、当該固定ユニット70の異常判定部52により評価値が取得される(ステップS11)。

0047

続いて、異常判定部52では、評価値に基づいて、当該燃料噴射部6における異常の有無が判定される(ステップS12)。ステップS12の処理の詳細については後述する。異常判定部52における判定結果を示す信号は、報知部53に入力され、報知部53により、燃料噴射部6の異常の有無が周囲に報知される(ステップS13)。異常検出装置5では、エンジン1が駆動している間、評価値の取得、異常の有無の判定、および、異常の有無の報知(ステップS11〜S13)が常時繰り返される。

0048

ステップS12における異常の有無の判定では、例えば、評価値が、予め設定された第1閾値T1および第2閾値T2(図5参照)と比較される。第1閾値T1は、第2閾値T2よりも大きい。評価値が第1閾値T1以下、かつ、第2閾値T2以上である場合には、燃料噴射部6において異常が無いと判定される。この場合、異常判定部52からの信号に基づいて、報知部53が、第1の色(例えば青)に点灯され、異常が無いことが周囲に報知される。

0049

異常の有無の判定において、評価値が第1閾値T1よりも大きい場合には、燃料噴射部6において異常が有ると判定され、報知部53が、第2の色(例えば赤)に点灯される。第2の色に点灯した報知部53により、作業者船員)において、閉固着異常、ばね劣化異常、または、ナット締付異常のいずれかの異常が発生していることが認識される。例えば、燃料噴射弁60のメンテナンス直後の運転において、報知部53が第2の色に点灯する場合には、当該固定ユニット70のナット72が、設定トルクにて締め付けられておらず、ナット締付異常である可能性が考えられる。この場合、作業者によりナット72が設定トルクで締め付けられる。

0050

メンテナンス直後においてナット締付異常に該当せず、報知部53が第2の色に点灯するときには、閉固着異常が考えられる。この場合、燃料噴射弁60がシリンダカバー22から取り外されて点検され、必要に応じて補修部品交換が行われる。閉固着異常では、同じ弁固定部7の他の固定ユニット70における報知部53も第2の色に点灯していることが多い。他の燃料噴射部6における報知部53も第2の色に点灯しているとき等には、ばね劣化異常である可能性が考えられる。この場合、適切な時期に、皿ばね部731の交換が行われる。

0051

異常の有無の判定において、評価値が第2閾値T2よりも小さい場合には、燃料噴射部6において異常が有ると判定され、報知部53が、第3の色(例えば黄)に点灯される。第3の色に点灯した報知部53により、作業者において、開固着異常が発生していることが認識される。この場合、閉固着異常と同様に、適切な時期に、燃料噴射弁60がシリンダカバー22から取り外されて点検され、必要に応じて補修や部品交換が行われる。

0052

上記では、異常検出装置5における、開固着異常、閉固着異常、ばね劣化異常、および、ナット締付異常の検出について説明したが、異常検出装置5では、燃料噴射部6の他の種類の異常が検出されてもよい。

0053

ところで、仮に、燃料噴射弁60に振動センサを設けることにより、燃料噴射弁60の異常を検出する場合、当該振動センサは、エンジン全体の振動の影響を大きく受けるため、燃料噴射弁60の異常を適切に検出することができない場合がある。また、燃料噴射弁60の内部に各種センサを設けることも考えられるが、センサ配線用の開口等から燃料が漏れ出す可能性がある。また、燃料噴射弁60の内部における高温高圧環境および脈動に対して耐久性の高い高価なセンサが必要となり、燃料噴射弁60の異常の検出に係るコストが増大する。

0054

また、定期的にシリンダ2から燃料噴射弁60を取り外し、専用のテスト装置を用いて燃料噴射弁60の噴射状態を確認することも考えられるが、異常が無い燃料噴射弁60も取り外すことになり、作業が非効率となる。さらに、排気の温度を測定することにより燃料噴射弁60の異常(燃料噴射量の異常)を検出することも考えられるが、シリンダ2に複数の燃料噴射弁60が取り付けられている場合、いずれの燃料噴射弁60が異常であるかを特定することが困難となる。また、燃料噴射弁60の異常により排気の温度が変化するまでに時間を要する場合もある。

0055

これに対し、図4の異常検出装置5では、燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に、弁固定部7に生じる変形に関する測定を行う測定部51が用いられる。このような測定部51では、エンジン全体の振動の影響をあまり受けずに、測定を適切に行うことが可能となる。また、測定部51が、燃料噴射弁60の内部ではなく、弁固定部7に取り付けられる。したがって、燃料噴射弁60において、センサの配線用の開口等を設ける必要がなく、耐久性の高い高価なセンサも不要となる。

0056

また、異常検出装置5では、異常判定部52により、測定部51の出力に基づいて燃料噴射部6における異常の有無が判定される。これにより、上運転時から就航時にわたって、燃料噴射部6をシリンダ2から取り外すことなく、燃料噴射部6の異常を個別に、迅速に、かつ、適切に検出することができる。したがって、異常が検出された場合に、燃料噴射弁60等の早期の点検および補修を行って、エンジン1の深刻な損傷に至ることを回避し、エンジン1の長寿命化を図ることが可能となる。

0057

弁固定部7では、燃料噴射弁60をシリンダ2に向けて付勢する皿ばね部731が設けられ、燃料噴射弁60の内部圧力の増大時に、皿ばね部731に生じる変形に関する測定が測定部51により行われる。これにより、燃料噴射弁60における燃料の噴射直後の衝撃を皿ばね部731により吸収しつつ、評価値を適切に取得することが可能となる。また、測定部51として圧電素子等の発電素子を利用する場合には、測定部51に対する外部からの給電を省略することができる。さらに、異常判定部52が、皿ばね部731の異常の有無を判定することにより、皿ばね部731のへたりを適切に検出することができる。なお、皿ばね部731に代えて他の種類の弾性部材を用いる場合も、当該弾性部材のへたりが同様に検出可能となる。

0058

異常検出装置5では、報知部53が、燃料噴射部6における異常の発生を報知することにより、作業者が異常の発生を迅速に認識することができ、必要な対応策を適宜施すことが可能となる。なお、報知部53が、単色の発光素子のみを含み、当該発光素子の点灯パターンを変更することにより、異常の種類が報知されてもよい。また、報知部53は、異常の種類を音により報知するブザー等であってもよい。報知部53は、異常が発生した場合にのみ、異常の発生を報知するものであってもよい。

0059

図7は、異常検出装置5aの他の例を示すブロック図である。既述のように、エンジン1では、複数のシリンダ2が併設され、各シリンダ2には複数の燃料噴射部6が設けられる。各燃料噴射部6は、複数の固定ユニット70を含み、各固定ユニット70の付勢部73に測定部51が設けられる。図7の異常検出装置5aでは、複数の(全ての)固定ユニット70にそれぞれ設けられる複数の測定部51に対して1つの異常判定部52aが設けられ、複数の測定部51からの出力が、有線通信または無線通信により異常判定部52aに入力される。

0060

異常判定部52aは、例えばCPU等を有するコンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される。異常判定部52aの一部または全部が、専用の電気的回路により実現されてもよい。異常判定部52aには、各種情報を記憶する記憶部521が設けられる。また、異常判定部52aには、表示部541および入力部542が接続される。表示部541は、異常判定部52aによる判定結果を表示する。入力部542は、異常判定部52aに対する各種情報の入力に利用される。例えば、燃料噴射弁60のメンテナンスを行った場合、異常判定部52aには、当該燃料噴射弁60のメンテナンスの実施を示す入力が入力部542を介して行われる。

0061

異常検出装置5aによる異常の検出では、上述の処理例と同様に、燃料の噴射に向けて各燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に、各測定部51を用いて評価値が取得される(図6:ステップS11)。異常判定部52aでは、複数の測定部51の評価値が記憶部521にて記憶(ロギング)されるとともに、各燃料噴射部6における異常の有無が判定される(ステップS12)。そして、異常判定部52aによる判定結果が、表示部541に表示されて報知される(ステップS13)。ステップS11〜S13は、エンジン1が駆動している間、常時繰り返される。

0062

異常検出装置5aでは、各測定部51を用いて評価値が繰り返し取得されるため、好ましい異常判定部52aでは、当該測定部51を用いて取得される直近の複数の評価値の代表値平均値または中央値等、複数の評価値の中央近傍の値を示すものであり、以下、「代表評価値」という。)に基づいて、異常の有無が判定される。以下、一の測定部51を「注目測定部51」と呼び、注目測定部51に注目して、ステップS12における異常の有無の判定の具体例を説明する。他の測定部51についても、注目測定部51と同様の処理が行われる。

0063

例えば、注目測定部51の代表評価値が第1閾値T1以下、かつ、第2閾値T2以上である場合には、異常判定部52aでは、注目測定部51が設けられた固定ユニット70において異常が無いと判定される。そして、当該固定ユニット70に異常が無い旨が表示部541に表示される。

0064

注目測定部51の代表評価値が第1閾値T1よりも大きい場合には、注目測定部51が設けられた燃料噴射部6において異常が有ると判定される。例えば、燃料噴射弁60のメンテナンス直後の運転において、注目測定部51の代表評価値が第1閾値T1よりも大きい場合には、注目測定部51が設けられた固定ユニット70におけるナット締付異常であると判定され、その旨が表示部541に表示される。ナット締付異常に該当しない場合には、注目測定部51とは異なる燃料噴射部6に設けられた複数の測定部51の代表評価値が確認される。当該複数の測定部51の代表評価値のうち、所定数以上の測定部51の代表評価値が第3閾値(例えば、第1閾値T1よりも僅かに小さい値である。)よりも大きい場合、ばね劣化異常であると判定され、その旨が表示部541に表示される。また、ばね劣化異常に該当しない場合には、注目測定部51が設けられた燃料噴射部6の他の測定部51の代表評価値が確認される。当該他の測定部51の代表評価値が第1閾値T1よりも大きい場合、当該燃料噴射部6における燃料噴射弁60の閉固着異常であると判定され、その旨が表示部541に表示される。なお、閉固着異常、ばね劣化異常、および、ナット締付異常に対して異なる閾値が設定されてもよい。

0065

注目測定部51の代表評価値が第2閾値T2よりも小さい場合には、注目測定部51が設けられた燃料噴射部6における燃料噴射弁60の開固着異常であると判定され、その旨が表示部541に表示される。

0066

異常判定部52における上記処理は、一例に過ぎず、異常の有無の判定、または、異常の種類の特定では、評価値以外の測定値が利用されてもよい。例えば、エンジン1では、シリンダ2からの排気の温度を測定する排気温度測定部が設けられており、燃料噴射弁60の開固着異常が発生した場合、燃料の過剰供給となり、排気の温度が高くなる。また、燃料噴射弁60の閉固着異常が発生した場合、燃料の供給不良となり、排気の温度が低くなる。したがって、異常判定部52aでは、注目測定部51の代表評価値が第2閾値T2よりも小さく、かつ、排気の温度が所定範囲よりも高い場合には、燃料噴射弁60の開固着異常と判定される。また、注目測定部51の代表評価値が第1閾値T1よりも大きく、かつ、排気の温度が所定範囲よりも低い場合には、燃料噴射弁60の閉固着異常と判定される。

0067

以上に説明したように、図7の異常検出装置5aでは、異常判定部52aにより、測定部51の出力に基づいて、燃料噴射部6における異常の有無が判定される。これにより、燃料噴射部6をシリンダ2から取り外すことなく、燃料噴射部6の異常を適切に検出することができる。また、異常判定部52aでは、弁固定部7の異常と、燃料噴射弁60の異常とが区別して特定される。これにより、燃料噴射部6の補修や部品交換を効率よく行うことができる。

0068

上記異常検出装置5,5aおよび異常検出方法では様々な変形が可能である。

0069

図6のステップS12において、例えば、作業者が、評価値の経時変化監視することにより、開固着異常、閉固着異常、または、ばね劣化異常に近づいている等、各燃料噴射部6の状態を時間的に評価して、当該燃料噴射部6のメンテナンスの時期を決定することも可能である。この場合、燃料噴射部6の異常の発生を予防することが可能となる。また、代表評価値の複数の範囲と、燃料噴射部6のメンテナンスの時期とを対応付けたテーブルを準備し、実際に取得された代表評価値を用いて、当該テーブルを参照することにより、作業者または異常判定部52aにより、燃料噴射部6のメンテナンスの時期が決定されてもよい。

0070

異常判定部52,52aでは、測定部51から出力される電圧の変化(図5参照)において最大となる時点を利用して、燃料噴射部6の異常の有無が判定されてもよい。当該時点は、燃料噴射弁60から燃料が噴射される時点とほぼ等価であり、燃料噴射時と捉えることが可能である。例えば、測定部51の出力に基づいて特定される燃料噴射時が、クランク軸において検出される角度信号に対して設定された時点から大きくずれている場合には、燃料噴射弁60に異常が発生していると判定される。また、同じシリンダ2に設けられる複数の燃料噴射弁60において、一の燃料噴射弁60の燃料噴射時と、他の燃料噴射弁60の燃料噴射時とが大きくずれている場合も、燃料噴射弁60に異常が発生していると判定される。この場合も、上記角度信号等を参照することにより、異常が発生している燃料噴射弁60を特定可能である。

0071

異常判定部52,52aでは、必ずしも弁固定部7および燃料噴射弁60の双方の異常の有無が判定される必要はなく、弁固定部7または燃料噴射弁60の一方の異常の有無のみが判定されてもよい。また、燃料噴射弁60の異常の有無のみを判定する場合に、燃料噴射弁60に対して設けられる複数の固定ユニット70のうち、1つの固定ユニット70のみに測定部51が設けられてもよい。

0072

異常検出装置5,5aでは、弁固定部7の構造に応じて様々な種類の測定部が用いられてよい。例えば、図8に示す弁固定部7では、付勢部73に代えて、ディスタンスパイプ79が設けられるとともに、固定ボルト71が図2よりも長くされる。ディスタンスパイプ79が、燃料噴射弁60のフランジ部68に接触することにより、燃料噴射弁60がシリンダ2に押し付けられて固定される。図8の燃料噴射部6では、歪みゲージである測定部51aが、固定ボルト71の表面に取り付けられる。測定部51aでは、燃料の噴射に向けて燃料噴射弁60の内部圧力を増大する際に固定ボルト71に生じる変形(歪み)が測定される。すなわち、固定ボルト71に生じる応力が実質的に測定される。なお、図8の弁固定部7において、例えばディスタンスパイプ79とフランジ部68との間に、圧電素子である測定部を設けることも可能である。

0073

異常検出装置5,5aを有するエンジンは、船舶以外に、自動車発電用原動機等、様々な用途に用いられてよい。

0074

上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。

0075

1エンジン
2シリンダ
5,5a異常検出装置
6燃料噴射部
7 弁固定部
20燃焼室
51,51a測定部
52,52a 異常判定部
53報知部
60燃料噴射弁
220取付孔
541 表示部
731皿ばね部
S11〜S13 ステップ

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 三菱重工業株式会社の「 対向ピストンエンジン」が 公開されました。( 2021/08/19)

    【課題】ピストン頂面の外周部で高温部が形成されることによって起こるピストン潤滑の悪化(潤滑油の劣化)によるピストンの摺動不良や、シリンダライナへの熱応力の発生、等の問題を解消する。【解決手段】一実施形... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 内燃機関の制御システム」が 公開されました。( 2021/08/19)

    【課題】第1気筒群と第2気筒群との間に生じる空燃比のばらつきを抑制する。【解決手段】内燃機関は、第1気筒群からタービンホイールまでの通路である第1排気通路と、第2気筒群からタービンホイールまでの通路で... 詳細

  • 川崎重工業株式会社の「 判定装置、船陸間通信システムおよび判定方法」が 公開されました。( 2021/08/19)

    【課題】簡単な構成で燃料弁における啓開圧の低下の可能性を判定することができる判定装置、船陸間通信システムおよび判定方法を提供する。【解決手段】筒内圧力検知器と、排気ガス温度検知器と、判定器と、状態値算... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ