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技術 熱電変換材料、その処理方法および熱電変換素子

出願人 東洋インキSCホールディングス株式会社
発明者 倉内啓輔
出願日 2019年12月18日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-227884
公開日 2021年6月24日 (3ヶ月経過) 公開番号 2021-097147
状態 未査定
技術分野 熱電素子 炭素・炭素化合物 有機半導体材料
主要キーワード ルベアン酸 日本黒鉛工業社製 人工衛星用 薄片状黒鉛 導電性炭素繊維 複合粉 構造相転移 地上用
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図面 (3)

課題

ゼーベック係数導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示し、繰り返し使用可能な高い冷熱サイクル耐性を有する熱電変換材料を提供すること。

解決手段

上記課題は、炭素材料金属材料及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電材料(A)並びに有機半導体(B)を含有し、有機半導体(B)は、融点が100℃〜200℃であり、かつ、導電率が、1.0×10-14〜2.0×10-9S/cmである熱電変換材料によって解決される。

概要

背景

熱エネルギー電気エネルギーを相互に変換できる熱電変換材料は、熱電発電素子ペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。熱電変換素子は、熱を電力に変換する素子であり、半導体や金属の組合せによって構成される。代表的な熱電変換素子としては、p型半導体単独、n型半導体単独、又はp型半導体とn型半導体との組合せ、に分類される。熱電変換素子では、半導体の両端に温度差が生じるように熱を加えると起電力が生じるゼーベック効果を利用する。より大きな電位差を得るために、熱電変換素子では、一般的に、材料としてp型半導体とn型半導体とを組合せて使用する。

また、熱電変換素子は、多数の素子を板状、又は円筒状に組合せてなる熱電モジュールとして使用される。熱エネルギーを直接電力に変換することが出来、例えば、体温で作動する腕時計地上用発電及び人工衛星用発電における電源として利用できる。熱電変換素子の性能は、熱電変換材料の性能、及びモジュール耐久性等に依存する。

非特許文献1に記載されているとおり、熱電変換材料の性能を表す指標として、無次元熱電性能指数(ZT)が用いられる。また、熱電変換材料の性能を表す指標として、パワーファクターPF(=S2・σ)を用いる場合もある。
上記無次元熱電性能指数「ZT」は、下式(1)により表される。
ZT=(S2・σ・T)/κ・・・式(1)
ここで、Sはゼーベック係数(V/K)、σは導電率(S/m)、Tは絶対温度(K)、及びκは熱伝導率(W/(m・K))である。熱伝導率κは下式(2)で表される。
κ=α・ρ・C ・・・式(2)
ここで、αは熱拡散率(m2/s)、ρは密度(kg/m3)、及びCは比熱容量(J/(kg・K))である。
つまり、熱電変換の性能(以下、熱電特性とも称す)を向上させるには、ゼーベック係数又は導電率を向上させ、その一方で熱伝導率を低下させることが重要である。

代表的な熱電変換材料として、例えば、常温から500Kまではビスマステルル系(Bi−Te系)、常温から800Kまでは鉛・テルル系(Pb−Te系)、及び常温から1000Kまではシリコンゲルマニウム系(Si−Ge系)等の無機材料が使用されている。

しかし、これらの無機材料を含む熱電変換材料は、しばしば希少元素を含み高コストであるか、又は有害物質を含む場合がある。また、無機材料は加工性に乏しいため、製造工程が複雑となる。そのため、無機材料を含む熱電変換材料については、製造エネルギー及び製造コストが高くなり、汎用化が困難である。さらに、無機材料は剛直であるため、平面ではない形状にも設置可能な、フルキシブル性を有する熱電変換素子を形成することは困難である。

これに対し、従来の無機材料に代えて、有機材料を用いた熱電変換素子に関する検討が進められている。有機材料は、優れた成形性を有し、かつ無機材料よりも優れた可撓性を有するため、それ自身が分解しない温度範囲での汎用性が高い。また、印刷技術等を容易に活用できるため、製造エネルギーや製造コストの面でも無機材料より有利である。

特許文献1には、有機色素骨格を有する高分子分散剤カーボンナノチューブ(CNT)とを含有する熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子が開示されている。しかしながら、特許文献1の発明では、熱電変換素子として十分な性能が得られてはいなかった。

特許文献2には、特定の温度範囲に構造相転移点を有する多環芳香族環からなる基本骨格を有する導電性化合物を含む熱電変換材料が開示されている。しかし、構造相転移温度近傍の温度領域で多環芳香族環分子性状が大きく変化するため、温度変化に対する熱電変換性能が安定しないという問題点があった。また、特許文献2に記載されている導電性化合物は、いずれも導電率が低いため、高いパワーファクターを得ることはできなかった。したがって、熱電変換素子にした場合、安定した電力を得ることができず、電源として使用する際には更なる改良が必要であった。

概要

ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示し、繰り返し使用可能な高い冷熱サイクル耐性を有する熱電変換材料を提供すること。 上記課題は、炭素材料金属材料及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電材料(A)並びに有機半導体(B)を含有し、有機半導体(B)は、融点が100℃〜200℃であり、かつ、導電率が、1.0×10-14〜2.0×10-9S/cmである熱電変換材料によって解決される。

目的

本発明が解決しようとする課題は、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示し、繰り返し使用可能な高い冷熱サイクル耐性を有する熱電変換材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

炭素材料金属材料及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電材料(A)並びに有機半導体(B)を含有し、有機半導体(B)は、融点が100℃〜200℃であり、かつ、導電率が、1.0×10-14〜2.0×10-9S/cmである熱電変換材料。(但し、前記導電材料(A)は、前記有機半導体(B)を除く)

請求項2

前記有機半導体(B)が、炭素数4以上8以下のアルキル基を有することを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料。

請求項3

前記有機半導体(B)の含有量が、前記導電材料(A)の全量に対して5〜150質量%である、請求項1又は2に記載の熱電変換材料。

請求項4

前記導電材料(A)が、カーボンナノチューブケッチェンブラックグラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の熱電変換材料。

請求項5

請求項1〜4いずれか1項に記載の熱電変換材料を有機半導体(B)の融点以上の温度で加熱する処理方法

請求項6

請求項1〜4いずれか1項に記載の熱電変換材料からなる熱電変換膜と、電極とを有し、該熱電変換膜及び該電極が互いに電気的に接続されている熱電変換素子

技術分野

0001

本発明は、熱電変換材料とその処理方法及び該材料を用いた熱電変換素子に関する。

背景技術

0002

熱エネルギー電気エネルギーを相互に変換できる熱電変換材料は、熱電発電素子ペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。熱電変換素子は、熱を電力に変換する素子であり、半導体や金属の組合せによって構成される。代表的な熱電変換素子としては、p型半導体単独、n型半導体単独、又はp型半導体とn型半導体との組合せ、に分類される。熱電変換素子では、半導体の両端に温度差が生じるように熱を加えると起電力が生じるゼーベック効果を利用する。より大きな電位差を得るために、熱電変換素子では、一般的に、材料としてp型半導体とn型半導体とを組合せて使用する。

0003

また、熱電変換素子は、多数の素子を板状、又は円筒状に組合せてなる熱電モジュールとして使用される。熱エネルギーを直接電力に変換することが出来、例えば、体温で作動する腕時計地上用発電及び人工衛星用発電における電源として利用できる。熱電変換素子の性能は、熱電変換材料の性能、及びモジュール耐久性等に依存する。

0004

非特許文献1に記載されているとおり、熱電変換材料の性能を表す指標として、無次元熱電性能指数(ZT)が用いられる。また、熱電変換材料の性能を表す指標として、パワーファクターPF(=S2・σ)を用いる場合もある。
上記無次元熱電性能指数「ZT」は、下式(1)により表される。
ZT=(S2・σ・T)/κ・・・式(1)
ここで、Sはゼーベック係数(V/K)、σは導電率(S/m)、Tは絶対温度(K)、及びκは熱伝導率(W/(m・K))である。熱伝導率κは下式(2)で表される。
κ=α・ρ・C ・・・式(2)
ここで、αは熱拡散率(m2/s)、ρは密度(kg/m3)、及びCは比熱容量(J/(kg・K))である。
つまり、熱電変換の性能(以下、熱電特性とも称す)を向上させるには、ゼーベック係数又は導電率を向上させ、その一方で熱伝導率を低下させることが重要である。

0005

代表的な熱電変換材料として、例えば、常温から500Kまではビスマステルル系(Bi−Te系)、常温から800Kまでは鉛・テルル系(Pb−Te系)、及び常温から1000Kまではシリコンゲルマニウム系(Si−Ge系)等の無機材料が使用されている。

0006

しかし、これらの無機材料を含む熱電変換材料は、しばしば希少元素を含み高コストであるか、又は有害物質を含む場合がある。また、無機材料は加工性に乏しいため、製造工程が複雑となる。そのため、無機材料を含む熱電変換材料については、製造エネルギー及び製造コストが高くなり、汎用化が困難である。さらに、無機材料は剛直であるため、平面ではない形状にも設置可能な、フルキシブル性を有する熱電変換素子を形成することは困難である。

0007

これに対し、従来の無機材料に代えて、有機材料を用いた熱電変換素子に関する検討が進められている。有機材料は、優れた成形性を有し、かつ無機材料よりも優れた可撓性を有するため、それ自身が分解しない温度範囲での汎用性が高い。また、印刷技術等を容易に活用できるため、製造エネルギーや製造コストの面でも無機材料より有利である。

0008

特許文献1には、有機色素骨格を有する高分子分散剤カーボンナノチューブ(CNT)とを含有する熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換素子が開示されている。しかしながら、特許文献1の発明では、熱電変換素子として十分な性能が得られてはいなかった。

0009

特許文献2には、特定の温度範囲に構造相転移点を有する多環芳香族環からなる基本骨格を有する導電性化合物を含む熱電変換材料が開示されている。しかし、構造相転移温度近傍の温度領域で多環芳香族環分子性状が大きく変化するため、温度変化に対する熱電変換性能が安定しないという問題点があった。また、特許文献2に記載されている導電性化合物は、いずれも導電率が低いため、高いパワーファクターを得ることはできなかった。したがって、熱電変換素子にした場合、安定した電力を得ることができず、電源として使用する際には更なる改良が必要であった。

0010

梶川武信著「熱電変換技術ハンドブック初版)」エヌ・ティーエス出版、19頁

先行技術

0011

国際公開第2015/050113号
国際公開第2015/129877号

発明が解決しようとする課題

0012

本発明が解決しようとする課題は、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示し、繰り返し使用可能な高い冷熱サイクル耐性を有する熱電変換材料を提供することである。また、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することである。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、炭素材料金属材料及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電材料(A)並びに有機半導体(B)を含有し、有機半導体(B)は、融点が100℃〜200℃であり、かつ、導電率が、1.0×10-14〜2.0×10-9S/cmである熱電変換材料に関する。
(但し、前記導電材料(A)は、前記有機半導体(B)を除く)

0014

また、本発明は、上記有機半導体(B)が、炭素数4以上8以下のアルキル基を有する上記熱電変換材料に関する。

0015

また、本発明は、上記有機半導体(B)の含有量が、上記導電材料(A)の全量に対して5〜150質量%である上記熱電変換材料に関する。

0016

また、本発明は、上記導電材料(A)が、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラックグラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む上記熱電変換材料に関する。

0017

また、本発明は、上記熱電変換材料を有機半導体(B)の融点以上の温度で加熱する処理方法に関する。

0018

また、本発明は、上記熱電変換材料からなる熱電変換膜と、電極とを有し、該熱電変換膜及び該電極が互いに電気的に接続されている熱電変換素子に関する。

発明の効果

0019

本発明により、ゼーベック係数と導電性との両立を達成し、高いパワーファクターを示し、繰り返し使用可能な高い冷熱サイクル耐性を有する熱電変換材料を提供することができるようになった。また、当該材料を用いて、優れた熱電性能を発揮する熱電変換素子を提供することができるようになった。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態である熱電変換素子の一例の構造を示す模式図である。
本発明の実施形態である熱電変換素子の起電力の測定方法を説明する模式図である。

0021

<熱電変換材料>
本発明の熱電変換材料は、炭素材料、金属材料及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電材料(A)並びに有機半導体(B)を含有し、有機半導体(B)は、融点が100℃〜200℃であり、かつ、導電率が、1.0×10-14〜2.0×10-9S/cmであることを特徴とする。
このような特定の組み合わせにより、高いゼーベック係数と導電性とを両立し、優れた熱電性能と繰り返し使用適性を発揮することができる。これは、熱励起エネルギーの小さい有機化合物から効率的に導電材料へ正孔キャリア)が移動し、その正孔が導電材料内を移動することで、高いゼーベック係数と導電率とを達成することによる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。

0022

<導電材料(A)>
導電材料(A)は、導電性向上と膜耐性の向上に寄与するものである。導電材料(A)の含有量を増やすことで導電性を向上させることができる。
導電材料(A)は、導電性を持つ炭素材料、金属材料、導電性高分子であれば特に制限されず、例えば、炭素材料としては、黒鉛、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラフェンナノプレート、グラフェン等が挙げられ、金属材料としては、金、銀、銅、ニッケルクロムパラジウムロジウムルテニウムインジウムケイ素アルミニウムタングステンモリブデンゲルマニウムガリウム及び白金等の金属粉、並びにZnSe、CdSInP、GaN、SiC、SiGeこれらの合金、並びにこれらの複合粉が挙げられる。また、核体と、上記核体物質とは異なる物質で被覆した微粒子、具体的には、例えば、銅を核体とし、その表面を銀で被覆した銀コート銅粉等が挙げられる。導電性高分子としては、PEDOT/PSSポリアニリンポリアセチレンポリピロールポリチオフェンポリパラフェニレン等が挙げられる。使用する導電材料の種類は1種でもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0023

導電材料(A)の形状は特に限定されず、不定形凝集状、鱗片状、微結晶状、球状、フレーク状、ワイヤー状等を適宜用いることができる。

0024

ゼーベック係数と導電率との両立の観点で、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラフェンナノプレート及びグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、より好ましくはカーボンナノチューブであり、特に好ましくは単層カーボンナノチューブである。

0025

導電材料(A)としては、例えば、薄片状黒鉛として、日本黒鉛工業社製のCMX、UP−5、UP−10、UP−20、UP−35N、CSSP、CSPE、CSP、CP、CB−150、CB−100、ACP、ACP−1000、ACB−50、ACB−100、ACB−150、SP−10、SP−20、J−SP、SP−270、HOP、GR−60、LEP、F#1、F#2、F#3、中越黒鉛工業所社製のBF−3AK、FBF、BF−15AK、CBR、CPB−6S、CPB−3、96L、96L−3、K−3、SC−120、SC−60、HLP、CP−150、SB−1、伊黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50、西黒鉛社製の10099M、PB−99等が挙げられる。球状天然黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のCGC−20、CGC−50、CGB−20、CGB−50が挙げられる。土状黒鉛としては、日本黒鉛工業社製の青P、AP、AOP、P#1、中越黒鉛社製のAPR、K−5、AP−2000、AP−6、300F、150Fが挙げられる。人造黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のPAG−60、PAG−80、PAG−120、PAG−5、HAG−10W、HAG−150、中越黒鉛社製のG−4AK、G−6S、G−3G−150、G−30、G−80、G−50、SMF、EMF、SFF、SFF−80B、SS−100、BSP−15AK、BSP−100AK、WF−15C、SECカーボン社製のSGP−100、SGP−50、SGP−25、SGP−15、SGP−5、SGP−1、SGO−100、SGO−50、SGO−25、SGO−15、SGO−5、SGO−1、SGX−100、SGX−50、SGX−25、SGX−15、SGX−5、SGX−1が挙げられる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のトーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、コロンビヤン社製のRaven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA、PUERBLACK100、115、205、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のMONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li等のファーネスブラックライオン社製のEC−300J、EC−600JD等のケッチェンブラック、電気化学工業社製のデンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等のアセチレンブラックが挙げられる。市販の導電性炭素繊維やカーボンナノチューブとしては、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名ナノカーボン社製のEC1.5,EC1.5−P、ОCSiAl社製のTUBALL、ゼオンナノテクノロジー社製のZEONANO等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube7000、FloTube2000、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T、200Pが挙げられる。これらは特に限定されず、単独、又は2種以上を混合して使用することができる。

0026

<有機半導体(B)>
有機半導体(B)は、融点が100℃〜200℃であり、かつ、導電率が、1.0×10-14〜2.0×10-9S/cmであることを特徴とする。

0027

熱電変換のメカニズムは以下のように考えられる。熱励起をした有機半導体(B)内に、キャリア(正孔または電子)が生じ、そのキャリアが導電材料(A)へと移動し、導電材料(A)内での電位差が生じ電流が流れる。つまり、有機半導体(B)及び導電材料(A)間のキャリア移動が効率的になるほど、導電材料(A)内での電位差が大きくなり、ゼーベック係数が向上する。キャリア移動を効率的にする具体的な方法は明確にはわかっていないが、有機半導体(B)と導電材料(A)間の親和性からくる距離の近さ、有機半導体(B)と導電材料(A)間のエネルギー準位の関係、有機半導体(B)の励起状態の長さ(励起寿命)などが影響していると考えられる。
本発明の有機半導体(B)は導電材料(A)とのエネルギー準位の差を小さくすることで、効率的なキャリア移動を実現できると考える。キャリアが正孔である場合、有機半導体(B)のHOMOは導電材料(A)のHOMO(又は、導電材料が金属である場合はフェルミ準位)よりも深いと、効率的なキャリア移動を実現し熱電変換性能が向上できるため、好ましい。
また、有機半導体(B)の導電率は、1.0×10-14〜2.0×10-9S/cmであることを特徴とする。導電率が2.0×10-9S/cm以下であることで、キャリア移動を導電材料(A)内に優先させることができ、効率的な熱電変換を行うことができる。また、1.0×10-14S/cm以上であることで、導電材料(A)近傍の熱励起したキャリアを熱電変換に使用することができる。

0028

また、上記メカニズムにおけるキャリア移動の効率は、導電材料(A)と有機半導体(B)との接触状態にも影響される。導電材料(A)と多環芳香族等の低分子化合物を接触させることでゼーベック係数などの熱電変換性能を向上させる検討は知られているが、多環芳香族等の低分子化合物は結晶性が高いものも多く、低分子化合物同士で凝集・結晶化してしまい導電材料(A)と効率よく接触できなくなる可能性がある。本発明で用いられる有機半導体(B)は融点が100℃〜200℃であり、溶融することで分子が自由に運動できるようになるため、導電材料(A)と効率よく接触させることができると考える。

0029

上記の条件を満たす、有機半導体(B)として特に好ましくは、ペリレン骨格ピロロピロール骨格、チアゾロチアゾール骨格オキサゾロチアゾール骨格、オキサゾロオキサゾール骨格、ベンゾビスチアゾール骨格ベンゾビスオキサゾール骨格、チアゾロベンゾオキサゾール骨格のいずれかを有する化合物であることが好ましく、更に、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。

0030

一般式(1)

0031

[一般式(1)中、R1〜R12 は、それぞれ独立に、水素原子ハロゲン原子シアノ基ニトロ基置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、又は、置換もしくは未置換のアミノ基であり、R1〜R12は、隣り合う2つの基同士で結合して環を形成していても良い。]

0032

一般式(2)

0033

[一般式(2)中、X1〜X4は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換の複素環基を表し、Y1及びY2は、それぞれ独立に、酸素原子硫黄原子、又はジシアノメチレン基を表す。]

0034

一般式(3)

0035

[一般式(3)中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、又は、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。]

0036

一般式(4)

0037

[一般式(4)中、Z3及びZ4は、それぞれ独立に、酸素原子もしくは硫黄原子を表す。R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、又は、置換もしくは未置換のアミノ基を表す。]

0038

有機半導体(B)は、熱電変換性能や導電材料(A)への吸着力を低下させることなく、融点を適切な範囲にするために、炭素数4以上8以下のアルキル基を有することが好ましい。より好ましい有機半導体(B)の態様としては、一般式(1)〜(4)において、R1〜R12の内少なくとも一つ、X1〜X4の内少なくとも一つ、R13及びR14の内少なくとも一つ、R15〜R18の内少なくとも一つが、炭素数4以上8以下のアルキル基である場合を挙げることができる。

0039

本発明の熱電変換材料は、有機半導体(B)の含有量が、導電材料(A)の全量に対して5〜150質量%であることが好ましい。有機半導体(B)の含有量が5質量%以上であることで、導電材料(A)の表面に十分に吸着させることができ、より効率的な熱電変換を行うことができる。また、150質量%以下であることで、冷熱サイクルなど外部環境の温度変化によって有機半導体(B)が溶融、結晶化を起こした際にも、材料の変形や崩壊をより一層抑えることができる。

0040

<その他成分>
本発明の熱電変換材料は、その特性を向上させる観点から、必要に応じて、追加の成分を含んでよい。

0041

溶剤
溶剤は、導電材料(A)と有機半導体(B)とを混合するために使用しても良く、インキ化による塗工性向上が可能とする。使用できる溶剤としては、導電材料(A)と有機半導体(B)とを溶解又は良分散できれば特に限定されず、有機溶剤や水を挙げることができ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0043

助剤
本発明の熱電変換材料は、例えば、以下に例示する助剤を添加することによって、塗工性、導電性、塗膜強度塗膜密着性耐候性耐熱性、及び熱電特性のさらなる向上が可能となる。使用可能な助剤は、特に限定されず、例えば、ラクタム類、アルコール類、アミノアルコール類、カルボン酸類酸無水物類、及びイオン性液体が挙げられる。具体例は以下のとおりである。
ラクタム類:、ピロリドンカプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、及びN−オクチルピロリドン等。
アルコール類:ショ糖グルコースフルクトースラクトースソルビトールマンニトールキシリトール等。
アミノアルコール類:ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等。 カルボン酸類:2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸、ジクロロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸等。
酸無水物類:無水酢酸無水プロピオン酸無水アクリル酸無水メタクリル酸無水安息香酸無水コハク酸無水マレイン酸無水イタコン酸、無水グルタル酸無水フタル酸テトラヒドロ無水フタル酸ヘキサヒドロ無水フタル酸(別名:シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物)、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸無水ハイミック酸ビフェニルテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、及び9,9−フルオレニリデンビス無水フタル酸等。スチレン無水マレイン酸コポリマーエチレン−無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー等の、無水マレイン酸と他のビニルモノマーとを共重合したコポリマー等。

0044

導電性及び熱電特性の観点から、助剤として、ラクタム類及びアルコール類の少なくとも一方を使用することが好ましい。助剤の含有量は、熱電変換材料の全質量を基準として、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲がより好ましく、1〜5質量%の範囲がさらに好ましい。助剤の含有量を0.1質量%以上にすることで、導電性及び熱電特性の向上効果を容易に得ることができる。また、助剤の含有量を50質量%以下にした場合、膜物性の低下を抑制することができる。

0045

樹脂
本発明の熱電変換材料は、成膜性や膜強度の調整等を目的として、導電性及び熱電特性に影響しない範囲で、樹脂を含んでもよい。
樹脂は、熱電変換材料の各成分に相溶又は混合分散するものであればよい。熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のいずれを用いても良い。使用可能な樹脂の具体例として、ポリエステル樹脂ポリイミド樹脂ポリアミド樹脂フッ素樹脂ビニル樹脂エポキシ樹脂キシレン樹脂アラミド樹脂ポリウレタン樹脂ポリウレア樹脂メラミン樹脂フェノール樹脂ポリエーテル樹脂アクリル樹脂アクリルアミド樹脂アクリロニトリル樹脂、及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。特に限定するものではないが、一実施形態において、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、及びアクリルアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。

0046

無機熱電材料から成る微粒子)
本発明の熱電変換材料は、熱電変換性能を高めるために、必要に応じて、無機熱電材料から成る微粒子を含んでもよい。 無機熱電材料の一例として、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Mg−Si系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co2O5系等を挙げることができる。より具体的には、Bi2Te3、PbTe、AgSbTe2、GeTe、Sb2Te3、NaCo2O4、CaCoO3、SrTiO3、ZnO、SiGe、Mg2Si、FeSi2、Ba8Si46、MnSi1.73、ZnSb、Zn4Sb3、GeFe3CoSb12、及びLaFe3CoSb12からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。このとき、上記無機熱電材料に不純物を加えて極性(p型、n型)や導電率を制御して利用してもよい。無機熱電材料を使用する場合、その使用量は、成膜性や膜強度に影響しない範囲で調整する。

0047

熱電変換用分散液の製造方法は、本発明の条件を満たす熱電変換用分散液が得られれば特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、熱電変換材料と分散媒と必要に応じてその他成分とを混合した後、分散機や超音波を用いて分散することで得られる。

0048

分散機としては特に制限はなく、例えば、ニーダーアトライター、ボールミルガラスビーズジルコニアビーズ等を使用したサンドミルスキャンデックス、アイガーミルペイントコンディショナーペイントシェイカー等のメディア分散機コロイドミル等を使用することができる。

0049

<熱電変換素子>
本発明の熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて構成されることを特徴とする。一実施形態において、熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて形成された熱電変換膜と、電極とを有し、上記熱電変換膜及び上記電極は互いに電気的に接続されている。熱電変換膜は、導電性及び熱電特性に加えて、耐熱性及び可撓性の点でも優れる。そのため、本実施形態によれば、高品質な熱電変換素子を容易に実現することができる。

0050

熱電変換膜は、基材上に熱電変換材料を塗布して得られる膜であってよい。熱電変換材料は優れた成形性を有するため、塗布法によって良好な膜を得ることが容易である。熱電変換膜の形成には、主に湿式製膜法が用いられる。具体的には、スピンコート法スプレー法ローラーコート法グラビアコート法ダイコート法コンマコート法、ロールコート法、カーテンコート法、バーコート法インクジェット法ディスペンサー法シルクスクリーン印刷フレキソ印刷等の各種手段を用いた方法が挙げられる。塗布する厚み、及び材料の粘度等に応じて、上記方法から適宜選択することができる。

0051

熱電変換膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、後述するように、熱電変換膜の厚さ方向又は面方向に温度差を生じ、かつ伝達できるように、一定以上の厚みを有するように形成されることが好ましい。一実施形態において、熱電特性の点から、熱電変換膜の膜厚は、0.1〜200μmの範囲が好ましく、1〜100μmの範囲が好ましく、30〜70μmの範囲がさらに好ましい。

0052

また、熱電変換材料を塗布する基材として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフテレート、ポリエチレンナフタレートポリエーテルサルフォンポリプロピレンポリイミド、ボリカーボネート、及びセルローストリアセテート等の材料からなるプラスチックフィルム、又はガラス等を用いることができる。

0053

基材と熱電変換膜との密着性を向上させる目的で、基材表面に様々な処理を行うことができる。具体的には、熱電変換材料の塗布に先立ちUVオゾン処理コロナ処理プラズマ処理、又は易接着処理を行ってもよい。

0054

本発明の熱電変換材料は、使用した有機半導体(B)の融点以上の温度で加熱処理することが好ましい。融点以上の温度で加熱することで、有機半導体(B)を溶融させ、効率的に導電材料(A)に吸着させることができる。加熱処理の方法としては、熱電変換材料自体を加熱処理するのは勿論のこと、熱電変換材料を含有する分散液を基材等に塗布して熱電変換膜を形成した後に加熱処理したり、熱電変換素子を作製した後に加熱処理してもよい。

0055

本発明の実施形態である熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて構成されることを除き、当技術分野で周知の技術を適用して構成することができる。代表的に、熱電変換素子のより具体的な構成、及びその製造方法について説明する。

0056

一実施形態において、熱電変換素子は、熱電変換材料を用いて得た熱電変換膜と、この熱電変換膜と電極的に接続する一対の電極とを有する。ここで、「電気的に接続する」とは、互いに接合しているか、又はワイヤー等の他の構成部材を介して通電できる状態であることを意味する。

0057

電極の材料は、金属、合金、及び半導体から選択することができる。一実施形態において、導電率が高いこと、熱電変換膜を構成する本発明による熱電変換材料との接触抵抗が低いことから、金属及び合金が好ましい。具体例として、電極は、金、銀、銅、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。電極は、銀を含むことがさらに好ましい。

0058

電極は、真空蒸着法電極材料箔や電極材料膜を有するフィルム熱圧着、電極材料の微粒子を分散したペーストの塗布、等の方法によって形成することができる。プロセスが簡便な観点で、電極材料箔や電極材料膜を有するフィルムの熱圧着、電極材料を分散したペーストの塗布による方法が好ましい。

0059

熱電変換素子の構造の具体例は、熱電変換膜と一対の電極との位置関係から、(1)本発明による熱電変換膜の両端に電極が形成されている構造、(2)本発明の熱電変換膜が2つの電極で挟持されている構造に大別される。
例えば、上記(1)の構造を有する熱電変換素子は、基材上に熱電変換膜を形成した後に、その両端にそれぞれ銀ペーストを塗布して第1及び第2の電極を形成することによって得ることができる。このように熱電変換膜の両端に電極が形成された熱電変換素子は、2つの電極間の距離を広くすることが容易である。そのため、2つの電極間で大きな温度差を発生させて、効率良く熱電変換を行うことが容易である。

0060

上記(2)の構造を有する熱電変換素子は、例えば、基材上に銀ペーストを塗布して第1の電極を形成し、その上に本発明の熱電変換膜を形成し、さらにその上に銀ペーストを塗工して第2の電極を形成することによって得ることができる。このように2つの電極で本発明の熱電変換膜を挟持する熱電変換素子では、二つの電極間の距離を広くすることは難しい。そのため、2つの電極間に大きな温度差を発生させることは難しいが、熱電変換膜の膜厚を大きくすることによって、温度差を大きくすることが可能である。また、このような構造を有する熱電変換素子は、基材に対して垂直な方向の温度差を利用できることから、発熱体に貼り付ける形態での利用が可能である。そのため、熱源の広い面積の活用が容易となる点で好ましい。

0061

熱電変換素子は、直列に接続することで高い電圧を発生させることが可能であり、並列に接続することで大きな電流を発生させることが可能である。また、熱電変換素子は、2つ以上の熱電変換素子を接続したものであってもよい。本発明によれば、熱電変換素子が優れた可撓性を有するため、平面ではない形状を有する熱源に対しても追随して良好に設置することが可能である。

0062

一実施形態において、本発明の熱電変換素子を他の熱電材料から成る熱電変換素子と組み合わせることも有効である。例えば、無機熱電材料として、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Mg−Si系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co2O5系等を挙げることができ、具体的には、Bi2Te3、PbTe、AgSbTe2、GeTe、Sb2Te3、NaCo2O4、CaCoO3、SrTiO3、ZnO、SiGe、Mg2Si、FeSi2、Ba8Si46、MnSi1.73、ZnSb、Zn4Sb3、GeFe3CoSb12、及びLaFe3CoSb12などからなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。このとき、上記無機熱電材料に、不純物を加えて、極性(p型、n型)や導電率を制御して利用しても良い。その他、有機熱電材料として、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、フラーレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なく1種を使用することができる。これら材料から構成される他の熱電変化素子を組合せる場合、素子のフレキシブル性を損なわない範囲内で、他の熱電変換素子を作製することが好ましい。

0063

複数の熱電変換素子を接続する場合、1つの基材に集積した状態で接続して利用することもできる。このような実施形態において、本発明による熱電変換素子と、n型としての極性を示す熱電材料から成る熱電変換素子との組合せが好ましく、これらを直列に接続することがより好ましい。本実施形態によれば、熱電変換素子を緻密に集積することが容易となる。

0064

以下、実験例により、本発明をより具体的に説明する。なお、例中、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ意味するものとする。また、「NMP」とはN−メチルピロリドンを示す。

0065

<有機半導体(B)の導電率の測定>
有機半導体(B)の導電率は、有機半導体(B)を10重量%となるようにNMPに溶解または分散させた溶液を、ポリイミドフィルム上にキャストし、200℃30分乾燥させて製膜し、測定サンプルとした後、ハイレスタ−UXMCPHT450(三菱化学アナリテック社製)により測定した。

0066

<有機半導体(B)の融点の測定>
有機半導体(B)の融点は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、DSC)により10℃/分の昇温速度で測定されて得られたDSC曲線吸熱ピークの温度とした。

0067

HOMO値、フェルミ準位の測定方法>
導電材料(A)及び有機半導体(B)のHOMO準位(又は、導電材料が金属である場合はフェルミ準位)の測定は、単一の各成分をITOガラス基板上に張った導電テープの上に固着させ、測定サンプルとした後、光電子分光法測定装置理研計器社製AC−3)により測定した。

0068

<有機半導体(B)の合成>
(合成例1:有機半導体(B))
反応(1):コハク酸ジメチル125mmol(18.27g)、4−ブロモベンゾニトリル312.5mmol(56.88g)、水素化ナトリウム312.5mmol(12.49g)をアミルアルコール300gに溶解し、8時間還流させた 。冷却した後、沈殿物をろ過し、酢酸、メタノールで洗浄することにより、赤褐色固体中間体ピロロピロール17.21g得た。
反応(2):得られた中間体ピロロピロール50mmol(29.52g)、1−ブロモヘプタン50mmol(8.96g)、tert−ブトキシナトリウム200mmol(19.22g)をジメチルアセトアミド150gに溶解し、8時間還流させた。放冷後、上記混合物をメタノール1000mlに入れ、固体析出させ、ろ集し、合成例1の有機半導体(B)7.72gを得た。

0069

0070

(合成例2:有機半導体(B))
反応(1):コハク酸ジメチル125mmol(18.27g)、4−ヘプチルベンゾニトリル312.5mmol(56.88g)、水素化ナトリウム312.5mmol(12.49g)をアミルアルコール300gに溶解し、8時間還流させた 。冷却した後、沈殿物をろ過し、酢酸、メタノールで洗浄することにより、赤褐色固体の中間体ピロロピロール14.91g得た。
反応(2):得られた中間体ピロロピロール50mmol(25.23g)、ヨードメタン50mmol(7.10g)、tert−ブトキシナトリウム200mmol(19.22g)をジメチルアセトアミド150gに溶解し、8時間還流させた。放冷後、上記混合物をメタノール1000mlに入れ、固体を析出させ、ろ集し、合成例2の有機半導体(B)6.98gを得た。

0071

0072

(合成例3:有機半導体(B))
ルベアン酸10.0mmol(83.2g)、4−ブチルベンズアルデヒド28.3mmol(174.7g)、フェノール500gを混合し、160℃で6時間加熱した。冷却した後、反応液を1000gのメタノールに加え、析出した沈殿物をろ集、メタノールで洗浄することで合成例3の有機半導体(B)を24.6g得た。

0073

0074

(合成例4:導電性化合物)
国際公開第2015/129877号の段落0065及び0066を参考にして、2,7−Di(1−octynyl1)[1]benzothieno[3,2−b][1]benzothiopheneを得た。

0075

0076

<熱電変換材料の製造>
[実施例1]
(熱電変換材料の分散液1)
TUBALL(化成社製単層カーボンナノチューブ)0.4部、合成例1の有機半導体0.4部、NMP79.2部をそれぞれ量して混合した。更にジルコニアビーズ(φ1.25mm)を140部加え、スキャンデックスで2時間振とう後、ろ過してジルコニアビーズを取り除き、熱電変換材料の分散液1を得た。これを、シート状基材である厚さ50μmのポリイミドフィルム上にアプリケータを用いて塗布した後、200℃で15分間加熱乾燥して、ポリイミドフィルム上に、膜厚5μmの熱電変換膜を有する積層体を得た。

0077

[実施例2〜12および比較例1〜3]
(分散液2〜16)
分散液を構成する材料の種類と配合量を表1に示す材料に変更した以外は、分散液1と同様にして、熱電変換材料の分散液2〜16をそれぞれ得た。これを、実施例1と同様にして塗布、乾燥し、実施例2〜12および比較例1〜3の熱電変換膜を有する積層体を得た。

0078

<熱電変換材料の評価>
上の工程で得た実施例2〜13および比較例1〜3の熱電変換膜(以下、塗膜ともいう)を有する積層体について、以下のとおり導電性、ゼーベック係数、及びパワーファクター(PF)を評価した。結果を表1に示す。

0079

(熱電変換材料の導電率)
得られた積層体を2.5cm×5cmに切り取り、JIS−K7194に準じて、ロレスタGXMCP−T700(三菱化学アナリテック社製)を用いて4端子法で導電率を測定した。導電率が低く、測定下限以下となった場合は、ハイレスタUX MCP−HT800(三菱化学アナリテック社製)を用いて測定した。

0080

(熱電変換材料のゼーベック係数(S))
得られた積層体を3mm×10mmに切り取り、アドバンス理工株式会社製のZEM−3LWを用いて、80℃におけるゼーベック係数(μW/K)を測定した。

0081

(熱電変換材料のパワーファクター(PF))
得られた導電率及びゼーベック係数を用いて、80℃におけるPF(=S2・σ)を算出し、以下の基準に従って評価した。
◎:PFが20μW/(mK2)以上である(非常に良好)
○:PFが10μW/(mK2)以上、20μW/(mK2)未満である(良好)
△:PFが2.5μW/(mK2)以上、10μW/(mK2)未満である(実用可能)
×:PFが2.5μW/(mK2)未満である(実用不可)

0082

表1の略語は以下のとおりである。
SWCNT:ОCSiAl社製単層カーボンナノチューブ「TUBALL」
GNP:XGSciences社製グラフェンナノプレートレット「xGNP−M−5」
KB:ライオン社製ケッチェンブラック「EC−300J」
黒鉛:日本黒鉛社製 黒鉛「CPB」
MWCNT:Knano社製多層カーボンナノチューブ「100P」
PEDOT/PSS:Heraeus社製 「Clevios PH1000」

0083

<熱電変換素子の製造>
[実施例13]
(熱電変換素子1)
50μmのポリイミドフィルム上に、実施例1で調製した熱電変換材料の分散液1を塗布、200℃で15分間加熱乾燥し、5mm×30mmの形状を有する熱電変換膜を、それぞれ10mm間隔に5つ作製した(図1の符号2を参照)。次いで、各熱電変換膜がそれぞれ直列に接続されるように、銀ペーストを用いて、5mm×33mmの形状を有する銀回路を4つ作製し(図1の符号3を参照)、熱電変換素子1を得た。上記銀ペーストとしては、トーヨーケム株式会社製のREXALPHARAFS074を使用した。

0084

[実施例14〜26および比較例4]
(熱電変換素子2〜15)
熱電変換素子1で使用した熱電変換材料の分散液と乾燥条件を、表2に示すように変更した以外は、熱電変換素子1と同様にして、熱電変換素子2〜15を得た。

0085

<熱電変換素子の評価>
得られた熱電変換素子について、以下のようにして起電力を評価した。結果を表2に示す。

0086

(起電力の測定)
各熱電変換素子について、熱電変換膜及び銀回路が内側になるように(図2に示すA−A’線に沿うように)折り曲げ、その状態のまま、100℃に加熱したホットプレート上に設置した。なお、折り曲げの程度は、図2のB−B’間の距離が10mmになるようにそれぞれ調整した。上記のように折り曲げたサンプルをホットプレート上に設置して10分後の塗膜間の起電力について電圧計を用いて測定した。測定は、室温下(20℃)で実施した。以下の基準に従い、測定値から熱電特性について評価した。
◎:起電力が1mV以上である(非常に良好)
〇:起電力が750μV以上、1mV未満である(良好)
△:起電力が500μV以上、750μV未満である(実用可能)
×:起電力が500μV未満である(不良)

0087

冷熱サイクル試験
各熱電変換素子について、オーブンで(1)200℃1時間加熱、(2)放冷により25℃まで冷却を交互に10回繰り返した。その後上記試験と同様の方法で、素子の起電力を測定し、その測定値から熱電特性について評価した。
◎:起電力が1mV以上である(非常に良好)
〇:起電力が750μV以上、1mV未満である(良好)
△:起電力が500μV以上、750μV未満である(実用可能)
×:起電力が500μV未満である(不良)

0088

表2に示すように、本発明の熱電変換素子は、比較例5,6に比べて優れた熱電特性や温度変化耐性を有していた。以上のことから、本願発明の実施形態によれば、ゼーベック係数及び導電性に優れ、高いPFを示す、優れた熱電特性を有する熱電変換材料を実現することができ、高効率の熱電変換素子を実現できることが分かる。

0089

実施例

0090

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