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図面 (14)

課題

部品交換されたことが自動的に判定され、部品の交換に伴って学習が適切に実行されることにより、部品の交換後における車両の制御性の悪化が速やかに改善される車両の制御装置を提供する。

解決手段

複合変速機40へ走行用駆動力を伝達する第1回転機MG1や第2回転機MG2に設けられたレゾルバ74,76に対するオフセット調整が実行されたか否かが判定される(ステップS20)。メンテナンス情報上の複合変速機40の交換記録更新されたか否かが判定される(ステップS40)。前記オフセット調整がされたと判定されるか又は前記交換記録の更新があると判定されると、複合変速機40が交換されたと判定され(ステップS70)、複合変速機40における有段変速部20の変速段切り替え制御する駆動電流値IDRxについて学習された補正値CMPがリセットされる(ステップS80)。

概要

背景

記憶部に記憶された学習値更新記憶させるよう構成された車両の制御装置であって、予め学習値の初期設定値を記憶する一方、部品交換情報が入力されるとその交換された部品に関係する学習値を初期設定値に書き換える車両の制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された制御装置がそれである。

概要

部品が交換されたことが自動的に判定され、部品の交換に伴って学習が適切に実行されることにより、部品の交換後における車両の制御性の悪化が速やかに改善される車両の制御装置を提供する。複合変速機40へ走行用駆動力を伝達する第1回転機MG1や第2回転機MG2に設けられたレゾルバ74,76に対するオフセット調整が実行されたか否かが判定される(ステップS20)。メンテナンス情報上の複合変速機40の交換記録更新されたか否かが判定される(ステップS40)。前記オフセット調整がされたと判定されるか又は前記交換記録の更新があると判定されると、複合変速機40が交換されたと判定され(ステップS70)、複合変速機40における有段変速部20の変速段切り替え制御する駆動電流値IDRxについて学習された補正値CMPがリセットされる(ステップS80)。

目的

本発明は、以上の事情背景として為されたものであり、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

車両を制御する制御プログラムに用いられるパラメータ補正するために学習する車両の制御装置であって、前記学習された学習データを記憶する記憶部と、前記パラメータにより制御される部品交換されたか否かを判定する交換判定部と、前記交換判定部により前記部品が交換されたと判定された場合には、前記記憶部に記憶された前記学習データをリセットする書換実行部と、を備え、前記交換判定部は、前記部品の交換に伴って実施される調整に基づいて前記部品が交換されたと判定することを特徴とする車両の制御装置。

請求項2

前記調整は、前記部品へ走行用駆動力を伝達する回転機に設けられたレゾルバに対する調整であることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。

請求項3

前記交換判定部は、前記調整に伴うメンテナンス情報上の前記部品の交換記録更新により前記部品が交換されたと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。

請求項4

前記交換判定部は、前記交換記録が更新された後に一度だけ前記部品が交換されたと判定することを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。

請求項5

前記部品は変速機であり、前記パラメータは、前記変速機の変速段切り替え制御する油圧指令値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の車両の制御装置。

請求項6

イグニッション信号走行用駆動力源を停止させるオフ信号から前記走行用駆動力源を起動させるオン信号切り替えられたか否かを判定するIG判定部を更に備え、前記IG判定部により前記イグニッション信号が前記オフ信号から前記オン信号へ切り替えられたと判定された場合に、前記交換判定部は前記部品が交換されたか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の車両の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、車両を制御する制御プログラムに用いられるパラメータ補正する学習を行う車両の制御装置に関する。

背景技術

0002

記憶部に記憶された学習値更新記憶させるよう構成された車両の制御装置であって、予め学習値の初期設定値を記憶する一方、部品交換情報が入力されるとその交換された部品に関係する学習値を初期設定値に書き換える車両の制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された制御装置がそれである。

先行技術

0003

特開2001−65399号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に記載の車両の制御装置では、部品の交換情報の入力は手動で行われる。そのため、部品の交換情報の入力が忘れられてしまうと、交換された部品に関係する学習値が初期値に書き換えられず、部品交換後の車両の制御性が悪化してしまうおそれがある。

0005

本発明は、以上の事情背景として為されたものであり、その目的とするところは、部品が交換されたことが自動的に判定され、部品の交換に伴って学習が適切に実行されることにより、部品の交換後における車両の制御性の悪化が速やかに改善される車両の制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

第1発明の要旨とするところは、車両を制御する制御プログラムに用いられるパラメータを補正するために学習する車両の制御装置であって、(a)前記学習された学習データを記憶する記憶部と、(b)前記パラメータにより制御される部品が交換されたか否かを判定する交換判定部と、(c)前記交換判定部により前記部品が交換されたと判定された場合には、前記記憶部に記憶された前記学習データをリセットする書換実行部と、を備え、前記交換判定部は、前記部品の交換に伴って実施される調整に基づいて前記部品が交換されたと判定することにある。

0007

第2発明の要旨とするところは、第1発明において、前記調整は、前記部品へ走行用駆動力を伝達する回転機に設けられたレゾルバに対する調整であることにある。

0008

第3発明の要旨とするところは、第1発明又は第2発明において、前記交換判定部は、前記調整に伴うメンテナンス情報上の前記部品の交換記録更新により前記部品が交換されたと判定することにある。

0009

第4発明の要旨とするところは、第3発明において、前記交換判定部は、前記交換記録が更新された後に一度だけ前記部品が交換されたと判定することにある。

0010

第5発明の要旨とするところは、第1発明乃至第4発明のいずれか1の発明において、(a)前記部品は変速機であり、(b)前記パラメータは、前記変速機の変速段切り替え制御する油圧指令値であることにある。

0011

第6発明の要旨とするところは、第1発明乃至第5発明のいずれか1の発明において、イグニッション信号走行用駆動力源を停止させるオフ信号から前記走行用駆動力源を起動させるオン信号切り替えられたか否かを判定するIG判定部を更に備え、前記IG判定部により前記イグニッション信号が前記オフ信号から前記オン信号へ切り替えられたと判定された場合に、前記交換判定部は前記部品が交換されたか否かを判定することにある。

発明の効果

0012

第1発明の車両の制御装置によれば、(a)前記学習された学習データを記憶する記憶部と、(b)前記パラメータにより制御される部品が交換されたか否かを判定する交換判定部と、(c)前記交換判定部により前記部品が交換されたと判定された場合には、前記記憶部に記憶された前記学習データをリセットする書換実行部と、が備えられ、前記交換判定部は、前記部品の交換に伴って実施される調整に基づいて前記部品が交換されたと判定する。このように、部品の交換に伴って実施される調整に基づいて部品が交換されたことが自動的に判定される。自動的に部品が交換されたことが判定されて学習データがリセットされるため、部品の交換に伴って学習が適切に実行されることにより、部品の交換後における車両の制御性の悪化が速やかに改善される。

0013

第2発明の車両の制御装置によれば、第1発明において、前記調整は、前記部品へ走行用駆動力を伝達する回転機に設けられたレゾルバに対する調整である。レゾルバに対する調整により回転機が取り付け直されたと推定され、延いては部品が交換されたことが自動的に判定され得る。

0014

第3発明の車両の制御装置によれば、第1発明又は第2発明において、前記交換判定部は、前記調整に伴うメンテナンス情報上の前記部品の交換記録の更新により前記部品が交換されたと判定する。交換記録の更新に基づいて部品が交換されたことが自動的に判定されて学習データがリセットされるため、部品の交換後における車両の制御性の悪化が速やかに改善される。

0015

第4発明の車両の制御装置によれば、第3発明において、前記交換判定部は、前記交換記録が更新された後に一度だけ前記部品が交換されたと判定する。メンテナンス情報上の部品の交換記録が更新された後に一度だけ部品が交換されたと判定されるので、部品の交換に伴って学習データが一度だけリセットされるため、不必要な学習の実行が抑制される。

0016

第5発明の車両の制御装置によれば、第1発明乃至第4発明のいずれか1の発明において、(a)前記部品は変速機であり、(b)前記パラメータは、前記変速機の変速段を切り替え制御する油圧指令値である。このように、変速機が交換されたと判定された場合には、学習データ記憶部に記憶された油圧指令値に係る学習データがリセットされる。そのため、変速機の交換に伴って学習が適切に実行されることにより、変速機の交換後における変速段を切り替える場合に発生する変速ショックの悪化が速やかに改善される。

0017

第6発明の車両の制御装置によれば、第1発明乃至第5発明のいずれか1の発明において、イグニッション信号が走行用駆動力源を停止させるオフ信号から前記走行用駆動力源を起動させるオン信号へ切り替えられたか否かを判定するIG判定部を更に備え、前記IG判定部により前記イグニッション信号が前記オフ信号から前記オン信号へ切り替えられたと判定された場合に、前記交換判定部は前記部品が交換されたか否かを判定する。イグニッション信号がオフ信号からオン信号へ切り替えられた場合に学習データがリセットされるので、走行中に学習データがリセットされる場合に比較して運転者に与える違和感が低減される。

図面の簡単な説明

0018

本発明の実施例に係る駆動装置用ECUが搭載される車両の概略構成図であると共に、車両における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。
有段変速部の変速制御に用いる変速線図と、エンジン走行モータ走行との切替制御に用いる動力源切替マップと、の一例を示す図であって、それぞれの関係を示す図である。
有段変速部の変速制御を行う油圧制御回路の構成の一部を例示する油圧回路図である。
有段変速部における各変速段の形成に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせと、各変速段におけるソレノイドパターンの組み合わせと、を併せて示す作動図表である。
動力伝達装置において、変速段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図である。
油圧制御回路に設けられたリニアソレノイド弁の構成を説明する断面図である。
リニアソレノイド弁における駆動電流出力圧との関係を示す弁特性の例を示す図である。
有段変速部の変速時におけるリニアソレノイド弁の作動例を説明するタイムチャートであって、変速時における所定の係合側油圧式摩擦係合装置係合過渡期におけるリニアソレノイド弁の駆動電流の変化状態を例示するものである。
有段変速部において第2速変速段から第3速変速段へ変速される場合における走行時学習のタイムチャートの一例である。
有段変速部にて第2速変速段から第3速変速段へ変速される場合において、スロットル弁開度所定範囲毎に区切られて学習された油圧指令値の補正値についての例である。
第1回転機が出力トルクで回転している状態において検出される励磁電圧及びトルク電圧の関係について、レゾルバのオフセットの有無による違いを説明する図である。
複合変速機が交換された場合において更新されたメンテナンス情報の例である。
図1に示す駆動装置用ECUの制御作動の要部を説明するフローチャートの一例である。

0019

以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。

0020

図1は、本発明の実施例に係る駆動装置用ECU100が搭載される車両10の概略構成図であると共に、車両10における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。

0021

車両10は、ハイブリッド車両であり、エンジン12、第1回転機MG1、第2回転機MG2、動力伝達装置14、駆動輪28、駆動装置用ECU100、第1ゲートウェイECU150、及び第2ゲートウェイECU152を備える。

0022

エンジン12は、例えばガソリンエンジンディーゼルエンジン等の内燃機関にて構成され、車両10の走行用駆動力源である。エンジン12は、後述する駆動装置用ECU100によって、電子スロットル弁燃料噴射装置点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることにより、エンジン12から出力されるエンジントルクTe[Nm]が制御される。

0023

第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、例えば電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、車両10の走行用駆動力源となり得る。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、各々、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられたバッテリ54に接続されている。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、各々、後述する駆動装置用ECU100によってインバータ52が制御されることにより、第1回転機MG1から出力されるMG1トルクTg[Nm]及び第2回転機MG2から出力されるMG2トルクTm[Nm]が制御される。回転機から出力されるトルクは、例えば正回転の場合、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。第1回転機MG1及び第2回転機MG2からそれぞれ出力されるMG1トルクTg及びMG2トルクTmが力行トルクである場合には、第1回転機MG1及び第2回転機MG2から出力される動力(特に区別しない場合には、駆動力やトルクも同義)が走行用駆動力である。バッテリ54は、第1回転機MG1及び第2回転機MG2の各々に対して電力を授受する。バッテリ54は、例えばリチウムイオン組電池ニッケル水素組電池などの充放電可能な2次電池である。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、車体に取り付けられる非回転部材であるトランスアクスルケース16内に設けられている。なお、エンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2は、本発明における「走行用駆動力源」に相当し、第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、本発明における「回転機」に相当する。

0024

動力伝達装置14は、トランスアクスルケース16内において共通の軸心上に直列に配設された、電気式無段変速部18及び機械式の有段変速部20等を備える。無段変速部18は、直接的に或いは図示しないダンパーなどを介して間接的にエンジン12に連結されている。有段変速部20は、無段変速部18の出力側に連結されている。動力伝達装置14は、有段変速部20の出力回転部材である出力軸22に連結されたディファレンシャルギヤ24、ディファレンシャルギヤ24に連結された一対の車軸26等を備える。動力伝達装置14において、エンジン12や第2回転機MG2から出力される動力は、有段変速部20へ伝達される。有段変速部20へ伝達された動力は、ディファレンシャルギヤ24等を介して駆動輪28へ伝達される。このように構成された動力伝達装置14は、FR(フロントエンジンリヤドライブ)方式の車両に好適に用いられる。無段変速部18や有段変速部20等は上記共通の軸心に対して略対称的に構成されており、図1ではその軸心の下半分が省略されている。上記共通の軸心は、エンジン12のクランク軸やクランク軸に連結された連結軸34などの軸心である。動力伝達装置14における無段変速部18、有段変速部20、ディファレンシャルギヤ24、及び一対の車軸26が、エンジン12と駆動輪28との間に設けられた動力伝達経路PTを構成している。

0025

無段変速部18は、エンジン12の動力を第1回転機MG1及び無段変速部18の出力回転部材である中間伝達部材30に機械的に分割する動力分割機構としての差動機構32を備える。第1回転機MG1は、エンジン12の動力が伝達される回転機である。中間伝達部材30には第2回転機MG2が動力伝達可能に接続されている。中間伝達部材30は、有段変速部20を介して駆動輪28に連結されているので、第2回転機MG2は動力伝達経路PTに動力伝達可能に接続され、第2回転機MG2は駆動輪28に動力伝達可能に接続された回転機である。

0026

差動機構32は、サンギヤS0、キャリアCA0、及びリングギヤR0を備える公知のシングルピニオン型遊星歯車装置である。

0027

有段変速部20は、中間伝達部材30と駆動輪28との間の動力伝達経路PTの一部を構成する有段変速機としての機械式変速機構、つまり差動機構32と駆動輪28との間の動力伝達経路PTの一部を構成する自動変速機である。中間伝達部材30は、有段変速部20の入力回転部材としても機能する。有段変速部20は、例えば第1遊星歯車装置36及び第2遊星歯車装置38の複数の遊星歯車装置と、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2、及び一方向クラッチF1の複数の係合装置と、を備える、公知の遊星歯車式の自動変速機である。以下、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、及びブレーキB2については、特に区別しない場合は単に油圧式摩擦係合装置CBという。

0028

油圧式摩擦係合装置CBは、油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式摩擦係合装置である。この油圧式摩擦係合装置CBは、車両10に備えられた油圧制御回路56が後述する駆動装置用ECU100によって制御されることにより、油圧制御回路56から出力される調圧された各油圧に応じて、各々、係合や解放などの状態である断接状態が切り替えられる。

0029

第1遊星歯車装置36は、サンギヤS1、キャリアCA1、及びリングギヤR1を備える公知のシングルピニオン型の遊星歯車装置である。第2遊星歯車装置38は、サンギヤS2、キャリアCA2、及びリングギヤR2を備える公知のシングルピニオン型の遊星歯車装置である。

0030

差動機構32、第1遊星歯車装置36、第2遊星歯車装置38、油圧式摩擦係合装置CB、一方向クラッチF1、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2は、図1に示すように連結されている。

0031

油圧式摩擦係合装置CBは、車両10に備えられた油圧制御回路56内のリニアソレノイド弁SL1−SL4等から各々出力される調圧された各係合油圧により、油圧式摩擦係合装置CBのそれぞれのトルク容量である係合トルクが変化させられる。

0032

有段変速部20は、複数の油圧式摩擦係合装置CBの断接状態の組み合わせが切り替えられることによって、変速比γat(=AT入力回転速度Nati[rpm]/AT出力回転速度Nato[rpm])が異なる複数の変速段(ギヤ段)のうちのいずれかの変速段が形成される。AT入力回転速度Natiは、有段変速部20の入力回転速度であって、中間伝達部材30の回転速度と同値であり且つMG2回転速度Nm[rpm]と同値である。AT出力回転速度Natoは、有段変速部20の出力回転部材である出力軸22の回転速度であって、無段変速部18と有段変速部20とを合わせた全体の変速機である複合変速機40の出力回転速度No[rpm]でもある。なお、複合変速機40は、本発明における「変速機」及び「部品」に相当する。

0033

車両10が完成した状態(例えば、複合変速機40の載せ替え修理すなわち交換修理が完了した状態を含む)では、第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、複合変速機40と一体的に構成されていると言える。また、第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、それぞれが出力する走行用駆動力を複合変速機40に伝達可能に構成されている。

0034

図2は、有段変速部20の変速制御に用いる変速線図と、エンジン走行とモータ走行との切替制御に用いる動力源切替マップと、の一例を示す図であって、それぞれの関係を示す図である。エンジン走行は、少なくともエンジン12を走行用駆動力源とする走行モードである。モータ走行は、エンジン12を走行用駆動力源とせず第1回転機MG1又は第2回転機MG2を走行用駆動力源とする走行モードである。図2に示すように、車速V[km/h]と要求駆動力Frdem[N]とを変数としてアップシフト線実線)及びダウンシフト線破線)を有する関係(変速線図、変速マップ)が予め記憶されている。変数である実際の車速V及び要求駆動力Frdemで表される点がアップシフト線(実線)又はダウンシフト線(一点鎖線)を横切ると、変速制御の開始が判断される。一般的にエンジン効率が低下する、一点鎖線で示される車速Vが比較的低い低車速域、或いは、要求駆動力Frdemが比較的低い低負荷領域において、モータ走行が実行される。また、モータ走行は、第2回転機MG2にインバータ52を介して接続されたバッテリ54の充電状態充電容量)SOC[%]が所定値以上の場合に適用される。この変速線図に基づいて有段変速部20の変速段が形成されることで、車両10の燃費が有利となる。

0035

図3は、有段変速部20の変速制御を行う油圧制御回路56の構成の一部を例示する油圧回路図である。

0036

油圧制御回路56は、有段変速部20に備えられた係合要素である油圧式摩擦係合装置CBの係合トルクを制御するための構成として、リニアソレノイド弁SL1、リニアソレノイド弁SL2、リニアソレノイド弁SL3、リニアソレノイド弁SL4(以下、特に区別しない場合には単に「リニアソレノイド弁SL」という。)、ソレノイド弁SC1、ソレノイド弁SC2(以下、特に区別しない場合には単に「ソレノイド弁SC」という。)、及び切替弁58を備える。

0037

リニアソレノイド弁SLは、例えば不図示のレギュレータ弁により調圧されるライン圧PL[Pa]を元圧として、駆動装置用ECU100(図1参照)から入力される油圧制御指令信号Satに基づいて制御されるソレノイド電磁力に従って、前記油圧制御指令信号Satに応じた油圧を出力させる電磁バルブである。

0038

リニアソレノイド弁SL1から出力される油圧は、クラッチC1の断接状態を制御するための油圧アクチュエータ62aに供給される。リニアソレノイド弁SL2から出力される油圧は、クラッチC2の断接状態を制御するための油圧アクチュエータ62bに供給される。リニアソレノイド弁SL3から出力される油圧は、ブレーキB1の断接状態を制御するための油圧アクチュエータ62cに供給される。リニアソレノイド弁SL4から出力される油圧は、ブレーキB2の断接状態を制御するための油圧アクチュエータ62dに供給される。

0039

ソレノイド弁SCは、いずれも駆動装置用ECU100から入力される油圧制御指令信号Satに基づいて、切替弁58が油圧を出力するオン状態と、切替弁58が油圧を出力しないオフ状態と、を切り替える。ソレノイド弁SCは、好適には常閉型のON−OFF弁である。

0040

ソレノイド弁SC1及びソレノイド弁SC2から油圧が供給される状態をそれぞれオン状態にあるといい、ソレノイド弁SC1及びソレノイド弁SC2から油圧が供給されない状態をそれぞれオフ状態にあるということとする。切替弁58には、その切替弁58におけるスプール弁子付勢するスプリング60が設けられている。ソレノイド弁SC1がオフ状態且つソレノイド弁SC2がオフ状態にある場合においては、切替弁58におけるスプール弁子がスプリング60の付勢力により付勢されることにより切替弁58はオフ状態とされる。ソレノイド弁SC1がオン状態且つソレノイド弁SC2がオフ状態にある場合においては、切替弁58におけるスプール弁子がスプリング60の付勢力に逆らって移動させられることにより切替弁58はオン状態とされる。ソレノイド弁SC1がオン状態且つソレノイド弁SC2がオン状態にある場合においては、切替弁58におけるスプール弁子がスプリング60の付勢力により付勢されることにより切替弁58はオフ状態とされる。

0041

すなわち、図3に示す油圧制御回路56においては、ソレノイド弁SC1がオン状態にあり且つソレノイド弁SC2がオフ状態にあることで、前記ライン圧PLの供給源とリニアソレノイド弁SL2及びリニアソレノイド弁SL3の間の油路64とが導通させられる。ソレノイド弁SC1及びソレノイド弁SC2がいずれもオフ状態にあること、或いは、ソレノイド弁SC1及びソレノイド弁SC2がいずれもオン状態にあることで、ライン圧PL(元圧)の供給源と油路64とが遮断され、切替弁58におけるドレインポートEXと油路64とが導通させられる。

0042

図4は、有段変速部20における各変速段の形成に用いられる油圧式摩擦係合装置CBの作動(断接状態)の組み合わせと、各変速段におけるソレノイドパターンの組み合わせと、を併せて示す作動図表である。図4に示す油圧式摩擦係合装置において、「○」は係合状態を表し、「空欄」は解放状態を表している。図4に示すソレノイドパターンにおいて、「○」は油圧が出力される状態を表し、「空欄」は油圧が出力されない状態を表す。

0043

図4において、「P」、「Rev」、「N」、「D」は、それぞれシフトレバーの手動操作により択一的に選択されるパーキングレンジリバースレンジニュートラルレンジドライブレンジを示している。パーキングレンジおよびニュートラルレンジは車両10を走行させないときに選択される非走行レンジであり、リバースレンジは車両10を後進走行させるときに選択される走行レンジであり、ドライブレンジは車両10を前進走行させるときに選択される走行レンジである。図4に示すソレノイドパターンとなるようにリニアソレノイド弁SL及びソレノイド弁SCが制御されることで、油圧式摩擦係合装置CBの断接状態の組み合わせが制御される。油圧式摩擦係合装置CBの断接状態の組み合わせに応じて、動力伝達装置14のレンジが切り替えられ、有段変速部20で形成される変速段が切り替えられる、すなわち変速される。

0044

図5は、動力伝達装置14において、変速段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図である。図5に示す共線図は、差動機構32、第1遊星歯車装置36、及び第2遊星歯車装置38のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対回転速度を示す縦軸と、から成る二次元座標で表され、横線X1が回転速度零を示し、横線XGが中間伝達部材30の回転速度を示している。

0045

3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順にサンギヤS0、キャリアCA0、リングギヤR0の相対回転速度をそれぞれ示すものであり、それら3本の縦線Y1〜Y3の間隔は差動機構32のギヤ比に応じて定められる。4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、右から順に、サンギヤS1、キャリアCA1及びリングギヤR2、リングギヤR1及びキャリアCA2、サンギヤS2の相対回転速度をそれぞれ示すものであり、それら4本の縦線Y4〜Y7の間隔は第1遊星歯車装置36及び第2遊星歯車装置38のギヤ比に応じてそれぞれ定められる。

0046

有段変速部20では、図5に示すように、クラッチC1とブレーキB2(一方向クラッチF1)とが係合させられることにより、縦線Y7と横線XGとの交点と縦線Y5と横線X1との交点とを通る斜めの直線L1と、出力軸22に連結された回転要素の回転速度を示す縦線Y6と、の交点で、第1速変速段(1st)における出力軸22の回転速度が示される。クラッチC1とブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L2と出力軸22に連結された回転要素の回転速度を示す縦線Y6との交点で、第2速変速段(2nd)における出力軸22の回転速度が示される。クラッチC1とクラッチC2とが係合させられることにより決まる水平な直線L3と出力軸22に連結された回転要素の回転速度を示す縦線Y6との交点で、第3速変速段(3rd)における出力軸22の回転速度が示される。クラッチC2とブレーキB1とが係合させられることにより決まる斜めの直線L4と出力軸22と連結された回転要素の回転速度を示す縦線Y6との交点で、第4速変速段(4th)における出力軸22の回転速度が示される。

0047

前述したように、係合される油圧式摩擦係合装置CBの組み合わせが変更されることで、有段変速部20で形成される変速段が切り替えられる。

0048

車両10は、図1に示すように駆動装置用ECU100を備える。駆動装置用ECU100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、車両10のエンジン12、第1回転機MG1、第2回転機MG2、及び動力伝達装置14を含む駆動装置を制御する。なお、駆動装置用ECU100は、本発明における「制御装置」に相当する。

0049

駆動装置用ECU100には、車両10に備えられた各種センサ等(例えば、回転速度センサ70,72、レゾルバ74,76、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、バッテリセンサ90、油温センサ92、走行用駆動力源を起動するためのスイッチであるイグニッションスイッチ94など)による検出値に基づく各種信号等(例えば、エンジン回転速度Ne[rpm]、出力軸22の回転速度である出力回転速度No、第1回転機MG1の回転速度であるMG1回転速度Ng[rpm]、第2回転機MG2の回転速度であるMG2回転速度Nm[rpm]、運転者の加速操作の大きさを表すアクセル操作量であるアクセル開度θacc[%]、スロットル弁開度θth[%]、バッテリ54のバッテリ温度Hbat[℃]やバッテリ充放電電流Ibat[A]やバッテリ電圧Vbat[V]、油圧制御回路56内の作動油温THoil[℃]、走行用駆動力源を起動させるか又は停止させるかを表す信号であるイグニッション信号IGなど)が、それぞれ入力される。

0050

駆動装置用ECU100からは、車両10に備えられた各装置(例えば、エンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56など)に各種指令信号(例えば、エンジン12を制御する指令信号であるエンジン制御指令信号Se、第1回転機MG1及び第2回転機MG2を各々制御する指令信号である回転機制御指令信号Smg、油圧式摩擦係合装置CBの各々の断接状態を制御する指令信号である油圧制御指令信号Satなど)が、それぞれ出力される。

0051

駆動装置用ECU100は、プログラム記憶部100a、駆動制御部100b、学習部100c、学習データ記憶部100d、及びオフセット記憶部100eを機能的に備える。

0052

プログラム記憶部100aは、駆動装置を制御する制御プログラムを記憶している。

0053

駆動制御部100bは、プログラム記憶部100aに記憶された制御プログラムに従って、エンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2の運転制御を実行し、動力伝達装置14の有段変速部20の変速段を切り替える変速制御を実行する。

0054

学習部100cは、制御プログラムに用いられるパラメータの値を補正する補正値を学習する。学習された補正値は、学習データ記憶部100dに記憶される。学習データ記憶部100dは、例えば不揮発性メモリで構成される。駆動制御部100bは、学習対象とされたパラメータの値が学習された補正値により補正され、その補正された学習値LRNがそのパラメータとして制御プログラムに用いられる。なお、学習データ記憶部100dは、本発明における「記憶部」に相当する。

0055

ここから、制御プログラムに用いられるパラメータの学習の具体例として、有段変速部20の変速段を切り替え制御するリニアソレノイド弁SLの駆動電流IDR[A]の学習について説明する。

0056

図6は、油圧制御回路56に設けられたリニアソレノイド弁SLの構成を説明する断面図である。油圧制御回路56に備えられたリニアソレノイド弁SL1−SL4は、基本的には何れも同じ構成であるため、図6では、リニアソレノイド弁SL1を代表として例示している。リニアソレノイド弁SL1は、通電することにより電気エネルギーを駆動力に変換する装置であるソレノイド114と、そのソレノイド114の駆動により入力圧であるライン圧PLを調圧して所定の出力圧PSL[Pa]を発生させる調圧部116と、から構成されている。

0057

ソレノイド114は、巻芯118、ソレノイドコイル120、コア122、プランジャ124、ケース126、及びカバー128を備える。巻芯118は、円筒状である。ソレノイドコイル120は、巻芯118の外周に巻回された導線である。コア122は、巻芯118の内部を軸心方向に移動可能である。プランジャ124は、コア122における調圧部116とは反対側の端部に固設されている。ケース126は、巻芯118、ソレノイドコイル120、コア122、及びプランジャ124を格納している。カバー128は、ケース126の開口に嵌め着けられている。

0058

調圧部116は、スリーブ130、スプール弁子132、及びスプリング134を有する。スリーブ130は、ケース126に嵌め着けられている。スプール弁子132は、スリーブ130の内部を軸心方向に移動可能に設けられている。
スプリング134は、スプール弁子132をソレノイド114に向けて付勢している。スプール弁子132におけるソレノイド114側の端部は、コア122における調圧部116側の端部に当接させられている。

0059

以上のように構成されたリニアソレノイド弁SL1では、ソレノイドコイル120に駆動電流IDRが流されると、その電流値に応じてプランジャ124がコア122及びスプール弁子132に共通の軸心方向に移動させられる。プランジャ124の移動に従ってコア122ひいてはスプール弁子132が同方向に移動させられる。それにより、入力ポート136から入力される作動油の流量及びドレインポート138から排出される作動油の流量が調節される。例えば、図7に例示する駆動電流IDRと出力圧PSLとの関係を示す弁特性に基づいて、入力ポート136から入力されるライン圧PL(元圧)から駆動電流IDRに対応する所定の出力圧PSLが調圧されて出力ポート140から出力される。

0060

図8は、有段変速部20の変速時におけるリニアソレノイド弁SLの作動例を説明するタイムチャートであって、変速時における所定の係合側油圧式摩擦係合装置CBの係合過渡期におけるリニアソレノイド弁SLの駆動電流IDRの変化状態を例示するものである。なお、図7に示したように駆動電流IDRが指定されるとリニアソレノイド弁SLの出力圧PSLが決定されるため、駆動電流IDRは出力圧PSLに対する油圧指令値となり得る。

0061

時刻t1から時刻t2までの期間(急速充填期間)では、パッククリアランスを詰めるパック詰めのために駆動電流IDRが一旦大きくされる。時刻t2から時刻t3までの期間(定圧待機圧期間)では、係合直前状態の定圧待機圧に対応する大きさの駆動電流IDRが維持される。時刻t3から時刻t4までの期間(スイープ期間)では、係合トルクを緩やかに増加させるために駆動電流IDRが緩やかに上昇させられる。同期が取れたと判定された時刻t4において、駆動電流IDRは最大値まで増加させられる。係合過渡期において図8のタイムチャートに示されるような駆動電流IDRと時間t[ms]との関係は、変速制御を行う制御プログラムに用いられるパラメータである。

0062

リニアソレノイド弁SLの各々には弁特性のばらつきが存在し、また、油圧式摩擦係合装置CBの係合特性にもばらつきが存在している。このリニアソレノイド弁SL及び油圧式摩擦係合装置CBの特性ばらつきを抑制するために、リニアソレノイド弁SLへの駆動電流IDRを補正する学習が行われる。例えば、図8に示す係合側油圧式摩擦係合装置CBの定圧待機圧に対応する駆動電流値IDRx[A]が学習対象のパラメータとされる。なお、係合側油圧式摩擦係合装置CBの定圧待機圧に対応する駆動電流値IDRxは、本発明における「油圧指令値」に相当する。

0063

この学習には、車両10の出荷前や複合変速機40が交換修理された車両10の受け渡し前の工場においてエンジン12を作動させつつ実行される工場内学習と、車両10の工場からの出荷後や複合変速機40が交換修理された車両10の受け渡し後の走行時において実行される走行時学習と、がある。

0064

工場内学習は、リニアソレノイド弁SLに対し駆動電流値IDRxとして標準値STN[A]を出力した場合における変速ショックを測定するとともに、この変速ショックを低減するように補正する学習である。この変速ショックは有段変速部20のタイアップやエンジン回転速度Neの吹きなどを原因とする。例えば、エンジン回転速度Neの吹き量である吹き上がり量Neblow[rpm](図9参照)は、変速過渡期におけるエンジン回転速度Neの一時的な上昇量として検出される。この工場内学習により、駆動電流値IDRxが、標準値STNからその標準値STNに工場内補正値が加えられた値に補正される。この標準値STNに工場内補正値が加えられた値は、学習データ記憶部100dに走行時学習前の学習前設定値SET[A]として記憶される。

0065

走行時学習は、車両10の走行時に変速が実行された場合において、リニアソレノイド弁SL1−SL4のうち、変速に関与する、すなわち、変速において解放乃至係合される摩擦係合要素に対応するリニアソレノイド弁SLに対して学習前設定値SETが出力される駆動電流値IDRxについて、実際の制御結果に基づいて実行される。具体的には、例えば実行された変速において吹きが発生したか否かを検出するとともに、この検出された吹き量が所定の目標値に近づくようにリニアソレノイド弁SLの駆動電流値IDRxを補正する。吹き量及び所定の目標値については、後述する。

0066

走行時学習では、学習1回毎に補正量が算出され、駆動電流値IDRxが算出された補正量だけ補正される学習が車両10の走行時に変速が実行される毎に繰り返される。この走行時学習での学習が繰り返された場合におけるその学習1回毎の補正量の合計値である補正値CMP[A]により、駆動電流値IDRxが、学習前設定値SETからその学習前設定値SETに補正値CMPが加えられた学習値LRN[A]に補正される。走行時学習で学習された補正値CMPは、学習データ記憶部100dに記憶される。走行時学習の開始時点では、補正値CMPは零値である。なお、走行時学習は、本発明における「学習」に相当し、補正値CMPは、本発明における「学習データ」に相当する。学習データは、走行時学習の結果を表すデータとして記憶されるものである。

0067

図9は、有段変速部20において第2速変速段から第3速変速段へ変速される場合における走行時学習のタイムチャートの一例である。図9では、吹きが発生していない状態が実線で示され、吹きが発生した状態が破線で示されている。図9において、横軸は時間t[ms]であり、縦軸は上から順にエンジン回転速度Ne、MG1回転速度Ng、MG1トルクTg、MG2回転速度Nm、MG2トルクTm、クラッチC2の断接状態を制御する油圧アクチュエータ62bに供給される油圧であるC2油圧Pc2[Pa]、ブレーキB1の断接状態を制御する油圧アクチュエータ62cに供給される油圧であるB1油圧Pb1[Pa]、C2油圧Pc2に対する油圧指令値であるPc2駆動電流IDRc2[A]、及びB1油圧Pb1に対する油圧指令値であるPb1駆動電流IDRb1[A]である。学習対象は、係合側油圧式摩擦係合装置であるクラッチC2の断接状態を制御する油圧アクチュエータ62bに供給されるC2油圧Pc2のPc2駆動電流IDRc2における定圧待機圧に対応する駆動電流値IDRxである。

0068

時刻t1においてクラッチツゥクラッチ変速の実行が開始される。時刻t1から時刻t4までの期間、係合側油圧式摩擦係合装置であるクラッチC2の断接状態を制御する油圧アクチュエータ62bへのPc2駆動電流IDRc2は、前述の図8に示したタイムチャートに従ってロー状態からハイ状態へ変化させられる。一方、時刻t1から時刻t4までの期間、解放側油圧式摩擦係合装置であるブレーキB1の断接状態を制御する油圧アクチュエータ62cへのPb1駆動電流IDRb1は、ハイ状態からロー状態へと次第に変化させられる。このクラッチツゥクラッチ変速中(すなわち、有段変速部20の変速段の切り替え制御中)における時刻tx(t1<tx<t4)において、エンジン回転速度Neの吹き量である吹き上がり量Neblowが所定の目標値Blowtgt[rpm]を含む所定の目標範囲内に収まるように、走行時学習が実行される。吹き上がり量Neblowに対する所定の目標範囲は、クラッチツゥクラッチ変速の実行において変速ショック及び変速時間が許容範囲内となる変速が実現されるように予め実験的に或いは設計的に設定された範囲である。

0069

具体的には、吹き上がり量Neblowが所定の目標範囲の目標上限値Blowtgt2[rpm]よりも大きい場合には、ブレーキB1の解放作動とクラッチC2の係合作動との間の時間的な遅れによりブレーキB1及びクラッチC2の双方が伝達トルクを有しない状態となる期間があると推測される。この場合には、変速ショックや変速時間の遅延が発生するおそれがある。そのため、次回の変速では、ブレーキB1の解放作動とクラッチC2の係合作動との間の時間的な遅れが解消又は低減されるように、駆動電流値IDRxが走行時学習での今回の学習前よりも学習1回あたりの補正量だけ大きくされる。すなわち、次回の変速では、駆動電流値IDRxが学習1回あたりの補正量だけ今回の駆動電流値IDRxよりも大きくされる。

0070

一方、吹き上がり量Neblowが所定の目標範囲の目標下限値Blowtgt1[rpm]よりも小さい場合には、ブレーキB1の解放作動とクラッチC2の係合作動とが重なった状態となってブレーキB1及びクラッチC2の双方が伝達トルクを有するタイアップが発生して、変速ショックが発生するおそれがある。そのため、次回の変速では、タイアップが解消又は低減されるように、駆動電流値IDRxが走行時学習での今回の学習前よりも学習1回あたりの補正量だけ小さくされる。すなわち、次回の変速では、駆動電流値IDRxが学習1回あたりの補正量だけ今回の駆動電流値IDRxよりも小さくされる。

0071

吹き上がり量Neblowが所定の目標範囲内にある場合には、クラッチツゥクラッチ変速の実行において変速ショック及び変速時間が許容範囲内となる変速が実現されているため、駆動電流値IDRxは補正されない、すなわち変更されない。そのため、次回の変速での駆動電流値IDRxが、今回の変速と同じ値とされる。

0072

走行時学習は、全走行領域すなわちスロットル弁開度θth(又はアクセル開度θacc)における全ての範囲で実行され、例えばスロットル弁開度θth(又はアクセル開度θacc)が所定範囲毎に区切られて実行される。そして、その所定範囲毎に繰り返し学習された補正量の合計値である補正値CMPが学習される。

0073

図10は、有段変速部20にて第2速変速段から第3速変速段へ変速される場合において、スロットル弁開度θthが所定範囲毎に区切られて学習されたPc2駆動電流IDRc2の補正値CMPについての例である。図10に示すように、例えばスロットル弁開度θthの所定範囲が、0[%]以上25[%]未満の場合、25[%]以上50[%]未満の場合、50[%]以上75[%]未満の場合、75[%]以上100[%]以下の場合の4つに区切られる。この4つに区切られた所定範囲毎の駆動電流値IDRxについて、走行時学習により補正値CMPが値ΔPc2−1、値ΔPc2−2、値ΔPc2−3、値ΔPc2−4として学習される。制御プログラムに用いられるパラメータである駆動電流値IDRxは、これら所定範囲毎に走行時学習で学習された補正値CMP(値ΔPc2−1、値ΔPc2−2、値ΔPc2−3、値ΔPc2−4)によりそれぞれ補正される。なお、有段変速部20にて第2速変速段から第3速変速段へ変速される場合に限らず、変速される変速段が別の組み合わせの場合における係合側油圧式摩擦係合装置CBの定圧待機圧に対応する駆動電流値IDRxも、スロットル弁開度θthの所定範囲毎に学習対象のパラメータとされる。このように、学習対象となるパラメータは複数あり、その複数のパラメータ毎にそれぞれ補正値CMPが学習される。

0074

図1に示す第1ゲートウェイECU150及び第2ゲートウェイECU152は、いずれも駆動装置用ECU100と同様に、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されている。第1ゲートウェイECU150及び第2ゲートウェイECU152のいずれかにより後述するメンテナンス情報が駆動装置用ECU100に送信される。第1ゲートウェイECU150は、サーバ160と無線通信可能とされ、サーバ160からメンテナンス情報を受信し且つ駆動装置用ECU100にそのメンテナンス情報を送信する制御を実行する。また、第2ゲートウェイECU152は、コネクタ170を介してサーバ160に接続可能とされ、サーバ160からメンテナンス情報を受信し且つ駆動装置用ECU100にそのメンテナンス情報を送信する制御を実行する。なお、サーバ160は、例えば車両10にメンテナンス情報を提供するプログラム、そのプログラムを実行するCPU、及びメンテナンス情報を記憶する記憶装置であるメンテナンス記憶部160aなどを備えたコンピュータである。

0075

ところで、第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、走行用駆動力源として作動させる場合の回転速度の制御性の良さから、例えば同期電動機(前述したように発電機としても機能する)が用いられる。同期電動機は、例えばロータ回転子)内に永久磁石が配置された(埋め込まれた)構造をもつ埋込磁石型同期電動機であり、ステータ固定子)で生成された回転磁界に対して永久磁石で磁化されたロータが吸引・反発させられることによってロータが回転させられる。同期電動機では、ロータの回転位置(角度位置)に応じた回転磁界が生成されることによりロータが回転駆動される。そのため、同期電動機におけるロータの回転位置が正しく検出されなければ、同期電動機は正しく駆動されない。第1回転機MG1及び第2回転機MG2のロータの回転位置を正しく検出するために、それぞれレゾルバ74,76が設けられている。

0076

レゾルバ74は、第1回転機MG1のロータと連動して回転する、すなわち相対回転不能に一体的に回転するレゾルバロータを備え、そのレゾルバロータの回転位置(角度位置)を検出することによって、第1回転機MG1のロータの回転位置を検出するように構成されることが一般的である。しかし、例えばレゾルバ74の取り付け位置のズレ等が原因となり、レゾルバ74によって検出される第1回転機MG1のロータの回転位置と実際の第1回転機MG1のロータの回転位置との間に差異量(オフセット量θoff[rad])が生ずる場合がある。以下、オフセット量θoffが零でない場合を「オフセットが有る」と記載し、オフセット量θoffが零である場合を「オフセットが無い」と記載する。

0077

このオフセットが有る状態において後述する「オフセット調整」が行われない場合、第1回転機MG1を正しく駆動することは困難である。そのため、車両10に複合変速機40が搭載(例えば、複合変速機40が交換修理)されて第1回転機MG1やレゾルバ74が取り付けられる場合には、レゾルバ74のオフセット調整が実施される必要がある。「オフセット調整」とは、第1回転機MG1に設けられたレゾルバ74のオフセット量θoffを検出し、実際の第1回転機MG1のロータの回転位置を正しく表すようにレゾルバ74で検出した第1回転機MG1のロータの回転位置を検出したオフセット量θoffに応じて補正する調整である。レゾルバ74と同様に、第2回転機MG2に設けられたレゾルバ76についても、複合変速機40が搭載されて第2回転機MG2やレゾルバ76が取り付けられる場合には、レゾルバ76のオフセット調整が実施される必要がある。このように、複合変速機40の交換に伴ってレゾルバ74,76のオフセット調整が実施される。なお、レゾルバ74,76で実施されるオフセット調整は、本発明における「調整」に相当する。本発明における「調整」とは、複合変速機40のような車両10の「部品」の交換に伴って、その部品或いはその部品に関連する構成部材が好適に作動するように実施されるものである。

0078

ここから、レゾルバ74のオフセット調整について説明する。レゾルバ76のオフセット調整も同様であるため、その説明を省略する。

0079

図11は、第1回転機MG1が出力トルク零で回転している状態において検出される励磁電圧Vd[V]及びトルク電圧Vq[V]の関係について、レゾルバ74のオフセットの有無による違いを説明する図である。図11に示す横軸及び縦軸は、所謂ベクトル制御におけるd軸(励磁電圧Vd)及びq軸(トルク電圧Vq)である。

0080

レゾルバ74のオフセット量θoffの検出は、例えば第1回転機MG1が出力トルク零で回転している状態において実施される。この状態においてレゾルバ74のオフセットが無い場合は、dq軸座標において回転磁界を発生させる電流である励磁電流Id[A]及出力トルクを生み出す電流であるトルク電流Iq[A]が両方とも零となる。したがって、第1回転機MG1が出力トルク零で回転している状態においては、次式(1),(2)に示す電圧方程式から、次式(3),(4)に示すように、励磁電圧Vd=0及びトルク電圧Vq=ωφが導かれる。なお、ω[rad/s]、φ[Wb]、R[Ω]、Ld[H]、及びLq[H]は、それぞれロータの角速度、ロータ内に埋め込まれた永久磁石のステータ鎖交磁束に応じた所定の磁束、ステータに巻回された巻線抵抗、d軸インダクタンス、及びq軸インダクタンスである。

0081

Vd=−ω・Lq・Iq+R・Id ・・・ (1)
Vq=ω・Ld・Id+ωφ+R・Iq ・・・ (2)

0082

Vd=0 ・・・ (3)
Vq=ωφ ・・・ (4)

0083

式(3),(4)によって表される状態をdq軸座標に表すと、図11(a)のようになる。しかし、レゾルバ74のオフセットが有る場合は、図11(b)に示す破線によって表されるように制御上の認識軸がずれ、本来であれば零であるはずの励磁電圧Vd(d軸成分Vd′)が検出されてしまう。レゾルバ74のオフセット量θoffの検出は、このように検出される励磁電圧Vdに基づいて行われる。検出されたレゾルバ74のオフセット量θoffは、例えば検出年月日或いは改定番号(バージョン)などのオフセット量θoffが更新されたことを表す更新情報とともにオフセット記憶部100eに記憶される。レゾルバ74のオフセット量θoffが検出された後は、レゾルバ74で検出された第1回転機MG1のロータの回転位置がオフセット記憶部100eに記憶されたオフセット量θoffで補正されることにより、実際の第1回転機MG1のロータの回転位置が正しく認識されて、第1回転機MG1が正しく駆動される。このように、レゾルバ74のオフセット量θoffが検出され、実際の第1回転機MG1のロータの回転位置を正しく表すようにレゾルバ74で検出された第1回転機MG1のロータの回転位置が検出されたオフセット量θoffに応じて補正されるオフセット調整が実施される。

0084

図12は、車両10の複合変速機40が交換された場合において更新されたメンテナンス情報の例である。車両10のメンテナンス情報は、サーバ160内の記憶装置であるメンテナンス記憶部160aに電子データとして記憶されている。

0085

メンテナンス情報には、図12に示すように、例えば車両名、車体番号ディーラ名、点検名などの車両10に関する一般的な記載事項とともに、車両10の保守に関する情報が車両履歴として記録されている。車両履歴には、車両10の購入及び車両10の購入以後における複合変速機40の交換に関する情報(交換記録)が、それぞれ購入年月日及び交換年月日とともに記録されている。

0086

ここから、メンテナンス情報が第1ゲートウェイECU150から駆動装置用ECU100へ送信される場合を例に説明する。

0087

図1に示すように、駆動装置用ECU100は、IG判定部100f、送受信部100g、交換判定部100h、及び書換実行部100iを機能的に備える。第1ゲートウェイECU150は、無線通信部150a及び送受信部150bを機能的に備える。なお、駆動装置用ECU100は、本発明における「制御装置」に相当する。

0088

IG判定部100fは、イグニッション信号IGがオフ信号からオン信号へ切り替えられたか否かを判定する。なお、イグニッションスイッチ94がオフされた場合には、イグニッション信号IGが走行用駆動力源を停止させるオフ信号となり、走行用駆動力源であるエンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2は停止状態とされる。イグニッションスイッチ94がオンされた場合には、イグニッション信号IGが走行用駆動力源を起動させるオン信号となり、走行用駆動力源であるエンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2から走行用駆動力が出力可能な状態とされる。

0089

交換判定部100hは、学習対象とされたパラメータにより制御される複合変速機40に設けられたレゾルバ74,76の少なくとも一方についてオフセット調整があったか否かを判定する。例えば、(a)レゾルバ74,76の少なくとも一方のオフセット調整に基づいてそのオフセット量θoffの値が変更された場合、及び、(b)レゾルバ74,76の少なくとも一方のオフセット調整に基づいて前述の更新情報における検出年月日が更新又は改定番号が更新された場合、の少なくとも一方が成立すると、オフセット調整があったと判定される。このように、複数のレゾルバ74,76のオフセット調整に基づいて少なくとも1つのオフセット量θoffが変更された場合に、オフセット調整があったと判定される。

0090

IG判定部100fによりイグニッション信号IGがオフ信号からオン信号へ切り替えられたと判定されると、送受信部100gは、イグニッション信号IGがオフ信号からオン信号へ切り替えられたことを表す切替信号を送受信部150bに送信する。

0091

送受信部150bにより切替信号が受信されると、無線通信部150aは、サーバ160のメンテナンス記憶部160aから車両10のメンテナンス情報を取得する。送受信部150bは、無線通信部150aにより取得されたメンテナンス情報を送受信部100gに送信する。

0092

送受信部100gによりメンテナンス情報が受信されると、交換判定部100hは、メンテナンス情報上の複合変速機40の交換記録が更新されたか否かを判定する。例えば、メンテナンス情報上の車両履歴に記録された複合変速機40の交換記録の交換年月日が更新された場合(交換記録の交換年月日が新規に追加された場合を含む)には、更新された後に一度だけその交換記録が更新されたと判定される。好適には、交換記録が更新された後において交換判定部100hがその交換記録が更新されたか否かを判定する場合の最初の一度だけ、交換判定部100hはその交換記録が更新されたと判定する。

0093

レゾルバ74,76の少なくとも一方についてオフセット調整があったと判定された場合及び複合変速機40の交換記録が更新されたと判定された場合の少なくとも一方が成立すると、交換判定部100hは、それらレゾルバ74,76が設けられた第1回転機MG1及び第2回転機MG2と一体的に構成された複合変速機40の交換があったと判定する。レゾルバ74,76のいずれもオフセット調整がなかったと判定され且つ複合変速機40の交換記録が更新されなかったと判定された場合、交換判定部100hは、複合変速機40の交換がなかったと判定する。

0094

交換判定部100hにより複合変速機40の交換があったと判定された場合には、書換実行部100iは、学習データ記憶部100dに記憶された補正値CMPをリセットする。交換判定部100hにより複合変速機40の交換がなかったと判定された場合には、書換実行部100iは、学習データ記憶部100dに記憶された補正値CMPをリセットしない。「補正値CMPをリセットする」とは、補正値CMPを走行時学習の開始時点の零値に戻す場合を含むとともに、補正値CMPを走行時学習の開始時点の零値に近づけるように予め定められた所定の値に設定する場合も含まれる。例えば、この所定の値は、リセットする直前の補正値CMPに補正係数k(0<k<1)を乗じた値である。

0095

図13は、図1に示す駆動装置用ECU100の制御作動の要部を説明するフローチャートの一例である。図13のフローチャートは繰り返し実行される。

0096

IG判定部100fの機能に対応するステップS10において、イグニッション信号IGがオフ信号からオン信号へ切り替えられたか否かが判定される。ステップS10の判定が肯定された場合には、ステップS20が実行される。ステップS10の判定が否定された場合には、リターンとなる。

0097

交換判定部100hの機能に対応するステップS20において、レゾルバ74,76の少なくとも一方のオフセット調整があったか否かが判定される。例えば、オフセット記憶部100eに記憶されたレゾルバ74,76の少なくとも一方のオフセット量θoffの値、検出年月日、及び改定番号のいずれかが、前回実行されたフローチャートと今回実行されたフローチャートとで異なる場合には、オフセット調整があったと判定される。ステップS20の判定が肯定された場合には、ステップS70が実行される。ステップS20の判定が否定された場合には、ステップS30が実行される。

0098

送受信部100gの機能に対応するステップS30において、車両10のメンテナンス情報が取得される。そしてステップS40が実行される。

0099

交換判定部100hの機能に対応するステップS40において、メンテナンス情報上の複合変速機40の交換記録が更新されたか否かが判定される。例えば、メンテナンス記憶部160aに記憶されたメンテナンス情報上の車両履歴に記録された複合変速機40の交換記録の最新の交換年月日について、前回実行されたフローチャートと今回実行されたフローチャートとでその交換年月日が異なる場合には、交換記録が更新されたと判定される。このように、メンテナンス情報上の交換記録が更新された後に一度だけその交換記録が更新されたと判定される。ステップS40の判定が肯定された場合には、ステップS70が実行される。ステップS40の判定が否定された場合には、ステップS50が実行される。

0100

交換判定部100hの機能に対応するステップS50において、複合変速機40の交換がなかったと判定される。そしてステップS60が実行される。

0101

書換実行部100iの機能に対応するステップS60において、補正値CMPはリセットされない。そしてリターンとなる。

0102

交換判定部100hの機能に対応するステップS70において、複合変速機40の交換があったと判定される。前述したようにステップS40において、メンテナンス情報上の交換記録が更新された後に一度だけその交換記録が更新されたと判定されるため、その交換記録が更新された後に一度だけ複合変速機40の交換があったと判定される。そしてステップS80が実行される。

0103

書換実行部100iの機能に対応するステップS80において、補正値CMPがリセットされる。そしてリターンとなる。

0104

本実施例によれば、(a)走行時学習された補正値CMPを記憶する学習データ記憶部100dと、(b)パラメータにより制御される複合変速機40が交換されたか否かを判定する交換判定部100hと、(c)交換判定部100hにより複合変速機40が交換されたと判定された場合には、学習データ記憶部100dに記憶された補正値CMPをリセットする書換実行部100iと、が備えられ、交換判定部100hは、複合変速機40の交換に伴って実施されるオフセット調整に基づいて複合変速機40が交換されたと判定する。このように、複合変速機40の交換に伴って実施されるオフセット調整に基づいて複合変速機40が交換されたことが自動的に判定される。自動的に複合変速機40が交換されたことが判定されて補正値CMPがリセットされるため、複合変速機40の交換に伴って走行時学習が適切に実行されることにより、複合変速機40の交換後における車両10の制御性の悪化が速やかに改善される。

0105

本実施例によれば、複合変速機40の交換に伴って実施される調整は、複合変速機40へ走行用駆動力を伝達する第1回転機MG1及び第2回転機MG2にそれぞれ設けられたレゾルバ74,76に対するオフセット調整である。レゾルバ74,76に対するオフセット調整により第1回転機MG1及び第2回転機MG2が取り付け直されたと推定され、延いては複合変速機40が交換されたことが自動的に判定され得る。

0106

本実施例によれば、交換判定部100hは、オフセット調整に伴うメンテナンス情報上の複合変速機40の交換記録の更新により複合変速機40が交換されたと判定する。交換記録の更新に基づいて複合変速機40が交換されたことが自動的に判定されて補正値CMPがリセットされるため、複合変速機40の交換後における車両10の制御性の悪化が速やかに改善される。

0107

本実施例によれば、交換判定部100hは、メンテナンス情報上の複合変速機40の交換記録が更新された後に一度だけ複合変速機40が交換されたと判定する。交換記録が更新された後に一度だけ複合変速機40が交換されたと判定されるので、複合変速機40の交換に伴って補正値CMPが一度だけリセットされるため、不必要な走行時学習の実行が抑制される。

0108

本実施例によれば、(a)交換されたか否かが判定されるのは変速機である複合変速機40であり、(b)学習対象とされたパラメータは、複合変速機40の変速段を切り替え制御する駆動電流値IDRxである。このように、複合変速機40が交換されたと判定された場合には、学習データ記憶部100dに記憶された駆動電流値IDRxに係る補正値CMPがリセットされる。そのため、複合変速機40の交換に伴って走行時学習が適切に実行されることにより、複合変速機40の交換後における変速段を切り替える場合に発生する変速ショックの悪化が速やかに改善される。

0109

本実施例によれば、イグニッション信号IGが走行用駆動力源であるエンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2を停止させるオフ信号からその走行用駆動力源を起動させるオン信号へ切り替えられたか否かを判定するIG判定部100fを更に備え、IG判定部100fによりイグニッション信号IGがオフ信号からオン信号へ切り替えられたと判定された場合に、交換判定部100hは複合変速機40が交換されたか否かを判定する。イグニッション信号IGがオフ信号からオン信号へ切り替えられた場合に補正値CMPがリセットされるので、走行中に補正値CMPがリセットされる場合に比較して運転者に与える違和感が低減される。

0110

以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。

0111

前述の実施例では、検出されたレゾルバ74,76のそれぞれのオフセット量θoff及びそれらオフセット量θoffが更新されたことを表す更新情報を記憶するオフセット記憶部100eが駆動装置用ECU100内に備えられたが、この態様に限らない。例えば、検出されたレゾルバ74,76のそれぞれのオフセット量θoffが駆動装置用ECU100内のオフセット記憶部100eに記憶されるとともに、それらオフセット量θoffの更新情報がサーバ160内に記憶される構成であっても良い。このような構成の場合には、図13に示すフローチャートのステップS20の実行に先立ち、検出されたレゾルバ74,76のそれぞれのオフセット量θoffの更新情報がサーバ160内から取得される。

0112

前述の実施例では、メンテナンス情報を記憶するメンテナンス記憶部160aがサーバ160内に備えられたが、この態様に限らない。例えば、メンテナンス情報を記憶するメンテナンス記憶部が駆動装置用ECU100内に備えられる構成であっても良い。このような構成の場合には、図13に示すフローチャートのステップS30では、メンテナンス情報は駆動装置用ECU100内に備えられたメンテナンス記憶部から取得されても良い。

0113

前述の実施例では、学習対象であるパラメータは、クラッチツゥクラッチ変速における係合側油圧式摩擦係合装置の定圧待機圧に対応する駆動電流値IDRxであったが、この態様に限らない。例えば、図8のタイムチャートに示された時刻t1から時刻t2までの期間におけるパック詰めのための駆動電流IDRの駆動電流値であっても良いし、時刻t1から時刻t2までの期間(急速充填期間)の長さや時刻t2から時刻t3までの期間(定圧待機圧期間)の長さであっても良い。また、学習対象であるパラメータは、複合変速機40が備える有段変速部20の係合側油圧式摩擦係合装置に関するものに限らず、例えばエンジン12を制御するエンジン制御装置50における燃料噴射量、燃料噴射時期点火時期などであっても良い。このように「パラメータ」とは、部品(例えば、複合変速機40やエンジン12)を直接的又は間接的に制御する制御値のことであり、この制御値が走行時学習により補正されることにより制御される部品の作動が変更される。

0114

前述の実施例では、学習部100cは、エンジン回転速度Neの吹き量である吹き上がり量Neblowに基づいて走行時学習を実行したが、この態様に限らない。例えば、学習部100cは、吹き上がり量Neblowの替わりに、図9に示すMG2回転速度Nmの吹き量である吹き上がり量Nmblow[rpm]、エンジン回転速度Neの吹き量である吹き時間TMeblow[ms]、及びMG2回転速度Nmの吹き量である吹き時間TMmblow[ms]の少なくともいずれかがそれぞれの所定の目標範囲内に収まるように、走行時学習を実行しても良い。吹き上がり量Nmblowは、変速過渡期におけるMG2回転速度Nmの一時的な上昇量として検出される。また、吹き時間TMeblow及び吹き時間TMmblowは、それぞれ変速過渡期におけるエンジン回転速度Ne及びMG2回転速度Nmの一時的な上昇時間として検出される。吹き時間TMeblow、吹き上がり量Nmblow、及び吹き時間TMmblowのそれぞれに対する所定の目標範囲は、クラッチツゥクラッチ変速の実行において変速ショック及び変速時間が許容範囲内となる変速が実現されるように予め実験的に或いは設計的に設定された範囲である。

0115

前述の実施例では、走行時学習での誤学習を防止するための学習ガード値GD[A]が設けられていなかったが、設けられても良い。具体的には、走行時学習での学習が繰り返された場合におけるその学習1回毎の補正量の合計値である補正値CMPの絶対値が、学習ガード値GD(>0)によって規定される範囲を超えている場合(すなわち、CMP<−GD、又は、GD<CMPである場合)には、その規定される範囲の最小値(−GD)又は最大値(GD)すなわち学習ガード値GD分だけしか学習対象である駆動電流値IDRxが補正されない。一方、補正値CMPの絶対値が、学習ガード値GDによって規定される範囲内である場合(すなわち、−GD≦CMP≦GDである場合)には、補正値CMPだけ駆動電流値IDRxの走行時学習による補正が実行される。学習ガード値GDは、走行時学習によって繰り返し補正される補正量の合計である補正値CMPの絶対値の上限値を規定している。

0116

前述の実施例では、学習データ記憶部100dに記憶される「学習データ」は補正値CMPであったが、この態様に限らない。例えば、「学習データ」として、補正値CMPの替わりに学習値LRNが記憶される態様であっても良い。学習値LRNは学習前設定値SETに補正値CMPが加えられたものであるため、学習データ記憶部100dに学習前設定値SETと学習値LRNとが記憶されても、走行時学習された結果が記憶されたことになるからである。この態様の場合、書換実行部100iは、補正値CMPをリセットする替わりに学習値LRNをリセットする。「学習値LRNをリセットする」とは、学習値LRNを走行時学習の開始時点の学習前設定値SETに戻す場合を含むとともに、学習値LRNを走行時学習の開始時点の学習前設定値SETに近づけるように予め定められた所定の値に設定する場合も含まれる。例えば、この所定の値は、リセットする直前の学習値LRNと学習前設定値SETとの差に補正係数k(0<k<1)を乗じた値を、学習前設定値SETに対して加算した値である。

0117

前述の実施例では、パラメータにより制御される部品は複合変速機40であったが、この態様に限らない。複合変速機40以外の部品であっても、その部品の交換に伴って調整が実施されるのであればその調整に基づいてその部品が交換されたと判定されても良く、或いは、メンテナンス情報上のその部品の交換記録に基づいてその部品が交換されたと判定されても良い。

0118

前述の実施例では、駆動装置用ECU100は、学習データ記憶部100d、IG判定部100f、交換判定部100h、及び書換実行部100iを備えていたが、この態様に限らない。駆動装置用ECU100は、必要に応じて他の制御機能と合わせて1つの電子制御装置にまとめられて構成されても良く、或いは、必要に応じて異なる電子制御装置や外部メモリに機能的に分割されて構成されても良い。

0119

前述の実施例では、車両10のメンテナンス情報が無線通信によりサーバ160から第1ゲートウェイECU150に送信され、その送信されたメンテナンス情報が第1ゲートウェイECU150から駆動装置用ECU100に送信されたが、この態様に限らない。例えば、車両10のメンテナンス情報がサーバ160から第2ゲートウェイECU152に送信され、その送信されたメンテナンス情報が第2ゲートウェイECU152から駆動装置用ECU100に送信されても良い。第2ゲートウェイECU152が備える制御機能は、第1ゲートウェイECU150が備える制御機能と略同一であるが、メンテナンス情報が無線ではなく有線で接続されたサーバ160からコネクタ170を介して送信される点が異なる。そのため、第2ゲートウェイECU152は、無線通信部150aの替わりにサーバ160からデータを受信可能な通信部と、送受信部150bと、を機能的に備える。

0120

前述の実施例では、車両10はハイブリッド車両であったが、この態様に限らない。例えば、走行用駆動力源としてエンジン12を有さず、第1回転機MG1及び第2回転機MG2のような回転機のみを有する車両であっても良い。また、車両10は、変速機へ走行用駆動力を伝達する1つの回転機のみを有する構成であっても良い。このような構成の場合には、オフセット調整の有無の判断は、その1つの回転機に設けられたレゾルバについて判断される。

実施例

0121

なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。

0122

10:車両
12:エンジン(走行用駆動力源)
40:複合変速機(変速機、部品)
74:レゾルバ
76:レゾルバ
100:駆動装置用ECU(制御装置)
100d:学習データ記憶部(記憶部)
100f:IG判定部
100h:交換判定部
100i:書換実行部
CMP:補正値(学習データ)
IDRx:駆動電流(油圧指令値)
IG:イグニッション信号
LRN:学習値(学習データ)
MG1:第1回転機(回転機、走行用駆動力源)
MG2:第2回転機(回転機、走行用駆動力源)

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