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技術 複合糸及びその製造方法

出願人 ウラセ株式会社株式会社島精機製作所帝人フロンティア株式会社
発明者 針井知明殿森冨美夫岩崎好博田嶋詠士木村盛紀穴澤千春
出願日 2019年11月19日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2019-208379
公開日 2021年5月27日 (8ヶ月経過) 公開番号 2021-080598
状態 未査定
技術分野 デジタルマーク記録担体 糸;糸またはロープの機械的な仕上げ
主要キーワード 接続固定状態 ループ状部分 接着固定状態 各繊維材 保持糸 耐伸縮性 合断面形状 絶縁糸
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2021年5月27日)のものです。
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図面 (4)

課題

本発明は、電子部品担持する導電糸を含むとともに、織成加工又は編成加工の加工中及び加工後の柔軟性、耐伸縮性及び耐屈曲性に優れた複合糸及び複合糸を効率よく量産することが可能な製造方法を提供することを目的とするものである。

解決手段

本発明に係る複合糸Aは、所定の長さに設定されるとともに電子部品10を担持する複数の導電糸11及び糸長方向に配列された導電糸11の端部をそれぞれ連結固定する複数の連結用絶縁糸12を有する糸本体Bと、糸本体Bの周囲に巻き付けられた保護用絶縁糸13とを備えている。

概要

背景

従来より衣料品に用いられる糸や布帛電気的な性質を付与して電子部品担持させた複合糸が提案されている。こうした複合糸を衣料品の製造に用いることで電子部品を実装した衣料品の実用化が進められている。

電子部品を担持した複合糸としては、例えば、特許文献1では、繊維材料からなる糸本体に電子部品が固定された支持体巻付けて固定し、支持体を巻き付けて固定した糸本体の周囲に保持糸を巻き付けて被覆するようにした複合糸が記載されている。また、特許文献2では、コアの周囲にワイヤ部分を設けられたチップ素子とともに被覆用ファイバを巻付けたワイヤが記載されている。また、特許文献3では、RFI素子及びRFIC素子に接続される導電性を有するアンテナ線を備えるRFIDモジュール筒編地からなる部で被覆するようにした点が記載されている。

また、こうした複合糸に用いる素材として、特許文献4では、絶縁体である繊維材料の周囲を金属材料により被覆したマルチフィラメントからなる導電糸が記載されている。こうした導電糸は、柔軟性及び導電性を備えるとともに高周波伝送損失が低く屈曲耐久性を備えている。特許文献5では、アンテナを内蔵するRFIDモジュールの外周面ブースターアンテナの一部を巻き付けて樹脂製の接着剤で固定したRFIDタグが記載されている。

概要

本発明は、電子部品を担持する導電糸を含むとともに、織成加工又は編成加工の加工中及び加工後の柔軟性、耐伸縮性及び耐屈曲性に優れた複合糸及び複合糸を効率よく量産することが可能な製造方法を提供することを目的とするものである。本発明に係る複合糸Aは、所定の長さに設定されるとともに電子部品10を担持する複数の導電糸11及び糸長方向に配列された導電糸11の端部をそれぞれ連結固定する複数の連結用絶縁糸12を有する糸本体Bと、糸本体Bの周囲に巻き付けられた保護用絶縁糸13とを備えている。

目的

本発明は、電子部品を担持する導電糸を含むとともに、織成加工又は編成加工の加工中及び加工後の柔軟性、耐伸縮性及び耐屈曲性に優れた複合糸及び複合糸を効率よく量産することが可能な製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

所定の長さに設定されるとともに電子部品担持する複数の導電糸及び糸長方向に配列された当該導電糸の端部をそれぞれ連結固定する複数の連結用絶縁糸を有する糸本体と、前記糸本体の周囲に巻き付けられた保護用絶縁糸とを備えている複合糸

請求項2

前記導電糸は、前記連結用絶縁糸よりも引張強度が大きくなるように設定されている請求項1に記載の複合糸。

請求項3

前記電子部品は、前記導電糸の一部に形成されたループ状部分接着固定されている請求項1又は2に記載の複合糸。

請求項4

前記導電糸は、外周面絶縁膜により被覆されている請求項1から3のいずれかに記載の複合糸。

請求項5

前記導電糸は、誘電体である繊維材料の周囲を金属材料により被覆したマルチフィラメントからなる請求項1から4のいずれかに記載の複合糸。

請求項6

前記連結用絶縁糸は、前記導電糸の端部に巻き付けて連結固定されている請求項1から5のいずれかに記載の複合糸。

請求項7

前記保護用絶縁糸は、ダブルカバーリング加工により巻き付けられている請求項1から6のいずれかに記載の複合糸。

請求項8

前記電子部品は、導電性パターンを介して信号を送受信するRFID用ICチップである請求項1から7のいずれかに記載の複合糸。

請求項9

電子部品を一体的に担持した所定の長さの導電糸の端部に連結用絶縁糸の一端部を連結固定するとともに次の導電糸の端部に当該連結用絶縁糸の他端部を連結固定して糸本体を形成する連結工程と、前記糸本体の周囲に保護用絶縁糸を巻き付けて複合糸を形成する保護工程とを備えている複合糸の製造方法。

請求項10

前記導電糸の一部にループ状部分を形成して当該ループ状部分に前記電子部品を接着固定して担持する担持工程を備えている請求項9に記載の複合糸の製造方法。

請求項11

前記導電糸は、外周面が絶縁膜により被覆されている請求項9又は10に記載の複合糸の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、電子部品担持する複合糸及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

従来より衣料品に用いられる糸や布帛電気的な性質を付与して電子部品を担持させた複合糸が提案されている。こうした複合糸を衣料品の製造に用いることで電子部品を実装した衣料品の実用化が進められている。

0003

電子部品を担持した複合糸としては、例えば、特許文献1では、繊維材料からなる糸本体に電子部品が固定された支持体巻付けて固定し、支持体を巻き付けて固定した糸本体の周囲に保持糸を巻き付けて被覆するようにした複合糸が記載されている。また、特許文献2では、コアの周囲にワイヤ部分を設けられたチップ素子とともに被覆用ファイバを巻付けたワイヤが記載されている。また、特許文献3では、RFI素子及びRFIC素子に接続される導電性を有するアンテナ線を備えるRFIDモジュール筒編地からなる部で被覆するようにした点が記載されている。

0004

また、こうした複合糸に用いる素材として、特許文献4では、絶縁体である繊維材料の周囲を金属材料により被覆したマルチフィラメントからなる導電糸が記載されている。こうした導電糸は、柔軟性及び導電性を備えるとともに高周波伝送損失が低く屈曲耐久性を備えている。特許文献5では、アンテナを内蔵するRFIDモジュールの外周面ブースターアンテナの一部を巻き付けて樹脂製の接着剤で固定したRFIDタグが記載されている。

先行技術

0005

特許第5994077号公報
特許第5815692号公報
国際公開第2019/151475号
特開2017−75424号公報
特開2019−82797号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1及び2に記載されているように、糸本体に電子部品を担持させる場合、電子部品を糸本体に巻き付けて固定したり、コアと被覆ファイバの間に素子を投入する、といった別の複雑な作業工程が必要となり、電子部品を密着させて固定することが難しく量産化を図っていく上で課題となっている。また、特許文献3に記載されているように、筒状編地の内部に電子部品を収容する場合、筒状編地内で電子部品がずれ動くようになり、電子部品がダメージを受けやすくなるといった課題がある。

0007

特許文献5に記載されたRFIDタグでは、サイズの小さいRFIDモジュールの周囲にアンテナ線を効率よく巻き付けることは難しく、量産化の観点で課題がある。

0008

そこで、本発明は、電子部品を担持する導電糸を含むとともに、織成加工又は編成加工の加工中及び加工後の柔軟性、耐伸縮性及び耐屈曲性に優れた複合糸及び複合糸を効率よく量産することが可能な製造方法を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0009

本発明に係る複合糸は、所定の長さに設定されるとともに電子部品を担持する複数の導電糸及び糸長方向に配列された当該導電糸の端部をそれぞれ連結固定する複数の連結用絶縁糸を有する糸本体と、前記糸本体の周囲に巻き付けられた保護用絶縁糸とを備えている。さらに、前記導電糸は、前記連結用絶縁糸よりも引張強度が大きくなるように設定されている。さらに、前記電子部品は、前記導電糸の一部に形成されたループ状部分接着固定されている。さらに、前記導電糸は、外周面が絶縁膜により被覆されている。さらに、前記導電糸は、繊度が10デシテックス以下で誘電体である繊維材料の周囲を金属材料により被覆したマルチフィラメントからなる導電糸であって、300MHz〜1500MHzにおける高周波伝送損失が5dB以下であるとともに7万回以上の動的駆動試験に対して電気抵抗が150%以下の増加率で導電性を維持する屈曲耐久性を備えている。さらに、前記連結用絶縁糸は、前記導電糸の端部に巻き付けて連結固定されている。さらに、前記保護用絶縁糸は、ダブルカバーリング加工により巻き付けられている。さらに、前記電子部品は、導電性パターンを介して信号を送受信するRFID用ICチップである。

0010

本発明に係る複合糸の製造方法は、電子部品を一体的に担持した所定の長さの導電糸の端部に連結用絶縁糸の一端部を連結固定するとともに次の導電糸の端部に当該連結用絶縁糸の他端部を連結固定して糸本体を形成する連結工程と、前記糸本体の周囲に保護用絶縁糸を巻き付けて複合糸を形成する保護工程とを備えている。さらに、前記導電糸の一部にループ状部分を形成して当該ループ状部分に前記電子部品を接着固定して担持する担持工程を備えている。さらに、前記導電糸は、外周面が絶縁膜により被覆されている。

発明の効果

0011

本発明は、織成加工又は編成加工の加工中及び加工後の柔軟性、耐伸縮性及び耐屈曲性に優れた複合糸を得ることができる。

図面の簡単な説明

0012

本発明に係る複合糸に関する構成を模式的に示す概略図である。
複合糸の製造工程に関する一例を示す説明図である。
曲げ試験機に関する概略構成図である。

0013

以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明に係る複合糸に関する構成を模式的に示す概略図である。図1(a)は、複合糸に関する外観を模式的に示す概略図であり、図1(b)は、保護用絶縁糸を巻き付ける前の状態を模式的に示す概略図である。

0014

複合糸Aは、電子部品10を担持する導電糸11及び糸長方向に配列された導電糸11の端部をそれぞれ連結固定する連結用絶縁糸(連結糸)12を有する糸本体Bと、糸本体Bの周囲に巻き付けられた保護用絶縁糸(保護糸)13とを備えている。電子部品10を担持する導電糸11は、糸本体Bの糸長方向に沿って所定の長さに設定されており、糸長方向に複数の導電糸11が配列されている。そして、隣り合う導電糸11の端部同士を連結用絶縁糸12により連結固定することで、糸本体Bは、導電糸11及び連結用絶縁糸12を交互に連結した1本の糸状体に構成されている。

0015

この例では、保護用絶縁糸13は、カバーリング加工より糸本体Bの周囲にほぼ隙間なく巻き付けられており、電子部品10及び導電糸11の周囲を被覆するように保護用絶縁糸13が巻き付けられて保護するようになっている。また、保護用絶縁糸13は、ダブルカバーリング加工により二重に巻き付けることで、より隙間なく巻き付けて被覆することが可能となる。

0016

電子部品10は、導電糸11に担持されて接着剤等により固定されている。この例では、電子部品10として、RFID用ICチップが用いられており、チップ内部に導電性パターンからなる内蔵アンテナを介して信号を送受信するようになっている。導電糸11は、内蔵アンテナと電磁結合により信号を伝送する外部アンテナの機能を備えており、信号伝送効率を高めるため、導電糸11の一部を周回させたループ状部分11aを形成して電子部品10に接着固定させている。電子部品10の内蔵アンテナとループ状部分11aとが互いに対向するように配置して取り付けることで、電磁結合を高めて効率よく信号伝送を行うことが可能となる。

0017

導電糸のループ状部分に電子部品を接着する構成は、両者が電気的に直接接続される構成とは異なり、屈曲等の外力の影響を受けて電気的接続部を破損するといったトラブルを回避することができる。また、電気的に接続される構成では接続部分(特に接続ワイヤ根元部分)に浸水しやすく防水が難しいが、上述した電気的に直接接続しない構成であれば、電子部品及び導電糸を個別に防水仕様にするだけで容易に完全防水仕様とすることができる。

0018

電子部品10を導電糸11に担持する態様は、電子部品10の種類、形状等に対応して様々な形状に形成することができ、ループ状に限定されることない。例えば、U字状に形成することもできる。また、防水仕様が必要でない場合には、導電糸に電子部品を電気的に直接接続することも可能である。

0019

また、電子部品10及び導電糸11のループ状部分11a全体を樹脂封止して強度や耐久性を高めることもできる。この場合、導電糸11の外周面全体を電子部品10とともに樹脂封止するようにしてもよい。また、導電糸11には、予め外周面を絶縁膜で被覆しておくこともできる。外周面を絶縁膜で被覆した導電糸11を用いることで、洗濯耐久性といった耐久性を高めることが可能となる。

0020

連結用絶縁糸12は、両端部において隣り合う導電糸11の端部に巻き付けられて連結固定された連結部分12aが形成されている。連結部分12aを形成する場合、例えば、公知の糸継装置を用いて糸継により形成することができる。なお、連結固定手段として、糸継装置以外の公知の手段を用いることも可能で特に限定されない。例えば、両者を接着剤により連結固定することもできる。

0021

上述したように、糸本体Bを導電糸11及び連結糸12を交互に連結して構成しているので、従来のように導電糸11を芯糸に巻き付けて構成する場合に比べて、量産化が困難なアンテナ部分等の巻き付け工程が不要となり、糸継ぎ等の公知の連結固定手段を用いることが可能となって効率よく量産化することができる。

0022

また、電子部品10を導電糸11に担持して接着固定しているので、電子部品10を導電糸11に容易に実装することができ、効率よく量産化を図ることが可能となる。この例では、電子部品10及び導電糸11を電磁結合により信号伝送を行うようにしているので、両者を直接電気的に接続する場合に比べて導電糸11に加わる張力の影響が小さくなる。そのため、導電糸11同士を連結用絶縁糸12で連結して1本の連続した糸本体Bとした場合でも糸本体Bに加わる張力に対して十分な耐久性を備えることができる。

0023

導電糸11としては、誘電体である繊維材料の周囲に金属材料を被覆したマルチフィラメントからなる糸が好ましい。従来からの糸の材料である繊維材料を用いることで、従来の糸を織成加工又は編成加工する際の柔軟性、耐伸縮性及び耐屈曲性を備えることができる。

0024

例えば、特許文献4に記載された導電糸を使用することが好ましい。具体的には、繊度が10デシテックス以下で誘電体である繊維材料の周囲を金属材料により被覆したマルチフィラメントからなる。マルチフィラメントを構成する各繊維材料の周囲に金属材料が被覆しているため、マルチフィラメント全体にほぼ均一に金属材料が分布するようになる。そのため、電気抵抗及び高周波伝送損失の低下といった優れた電気的特性を備えるようになり、軽量化並びに優れた柔軟性及び屈曲耐久性を実現することができる。具体的には、300MHz〜1500MHzにおける高周波伝送損失が5dB以下であるとともに7万回以上の動的駆動試験に対して電気抵抗が150%以下の増加率で導電性を維持する屈曲耐久性を備えていることが好ましい。

0025

導電糸11を製造する場合には、電気的特性0.5Ω/m〜10Ω/m(デジタルマルチメータ端子法による測定)、力学的物性47kg/mm2以上(JIS L1096に規定された引張強さ試験準拠して測定)、繊度54デシテックス〜440デシテックスのマルチフィラメントに、前処理工程無電解メッキ処理工程及び電気メッキ処理工程の処理を行って金属材料を繊維表面に付着させた後、撚り数が160回/m〜200回/mで撚糸加工を行い、電気抵抗が低下した状態で安定した特性を持つようにする。得られた導電糸に対して、必要に応じて、一般の絶縁線に使用されている公知の絶縁材料を用い、導電糸の外周面に厚み20μm〜150μmの絶縁膜を形成する絶縁加工を行うとよい。

0027

繊維表面に付着させる金属材料としては、銅、銅/ニッケル、ニッケル、金、パラジウム、銀等の公知の無電解メッキ処理で析出することのできる金属であればよく、こうした金属を単一又は複合して形成することも可能で、特に限定されない。なお、繊維製品検針器で検知されない品質が必要である場合には、前処理工程、無電解メッキ処理工程及び電気メッキ処理工程の処理を行う金属材料は、非磁性の金属を使用することが望ましい。

0028

導電糸11の外周面を被覆する絶縁膜に用いる樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂ポリアミド樹脂ポリウレタン樹脂ポリエステル樹脂ポリイミド樹脂フッ素樹脂エチレンフッ素共重合樹脂スチレン樹脂ポリ塩化ビニルPVC)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂等が挙げられる。絶縁膜で被覆した導電糸の電気的特性としては、交流電圧を1分間印加する耐電圧試験で1000V以上の耐電圧を有するものが好ましい。そのため、絶縁膜で被覆した導電糸の厚さは、0.09mm〜0.65mm(JIS L1096に規定する試験方法に準拠して測定)であることが好ましい。

0029

電子部品10としては、上述したRFID用ICチップ以外に、温度センサ加速度センサ湿度センサ照度センサ聴覚センサ臭気センサ触覚センサ応力センサ等の各種センサ用ICチップが挙げられる。各種センサ用ICチップの場合、後工程で導電糸に電源配線を接続するか、非接触給電をすることで電力供給を行えばよい。なお、導電糸と同様に繊維製品の検針器で検知されない品質が必要である場合には、非磁性の電子部品を使用することが望ましい。

0030

連結用絶縁糸12としては、導電糸11及び電子部品10の接続固定状態が維持されるように、導電糸11よりも引張強度が小さいものが好ましい。例えば、導電糸11のループ状部分における破断強度が24N、破断伸度が14%である場合に、連結用絶縁糸12としては導電糸11のループ状部分の破断を抑えるために破断強度が24N未満で、且つ破断伸度が14%より大きい伸びを有し、導電糸11のループ状部分の変形や破断に影響の与えない連結用絶縁糸12が好ましい。

0031

連結用絶縁糸12は、電子部品10と導電糸11のループ状部分との間における電磁結合に対して電気的影響を与えない誘電特性を備えていることが好ましい。また、連結用絶縁糸12の繊度は、後工程での保護糸によるカバーリング加工において電子部品10の固定部の太さより小さい繊度とすることで、カバーリング工程における糸本体Bの通過を妨げないようにすることができる。具体的には、導電糸11より細くすることが好ましく、厚さは0.09mm〜0.65mm(JIS L1096の試験方法に準拠して測定)であることが好ましい。

0032

また、連結用絶縁糸12の長さを調整することで、電子部品10を担持した導電糸11の配列間隔を簡単に調整することができ、電子部品10の適用場所に合わせて連結用絶縁糸12の長さを適宜設定すればよい。例えば、繊維製品に複合糸を編み込む/織り込む場合、連結用絶縁糸12を通常の糸のように扱うことが可能で、十分な糸長にすることで、繊維製品に電子部品10を埋め込んで保持させることができる。

0033

連結用絶縁糸12に用いる繊維材料としては、天然繊維では、綿、及び羊毛からなる紡績糸からなる紡績糸やフィラメントが挙げられる。化学繊維では、レーヨンキュプラアセテートビニロンナイロン塩化ビニルポリエステルアクリルポリプロピレンウレタンといった繊維材料からなる紡績糸、マルチフィラメント又はモノフィラメントが挙げられる。

0034

保護用絶縁糸13としては、電子部品10と導電糸11のループ状部分の接着固定状態を安定化させ外的物応力から保護できる力学的特性及び柔軟性を備えた繊維材料が好ましい。また、保護用絶縁糸13は、連結用絶縁糸12と同じように導電糸11のループ状部分への変形、破断に影響の与えない力学的特性を備えたものが好ましい。また、保護用絶縁糸13は、電子部品10と導電糸11のループ状部分との間における電磁結合に対して電気的影響を与えない誘電特性を備えていることが好ましい。保護用絶縁糸13の繊度は、カバーリング加工により電子部品10の固定部の太さより細い繊度のものを使用するとよく、複合糸Aの通過を妨げないように、導電糸11より細い繊度のものが好ましく、厚さは0.07mm〜0.65mm(JIS L1096に規定する試験方法に準拠して測定)であることが好ましい。

0035

保護用絶縁糸13に用いる繊維材料としては、天然繊維では、綿、麻及び羊毛からなる紡績糸、絹からなる紡績糸やフィラメントが挙げられる。化学繊維では、レーヨン、キュプラ、アセテート、ビニロン、ナイロン、塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ウレタン、アラミドポリアリレートといった繊維材料からなる紡績糸、フィラメント糸加工糸といったものが挙げられる。

0036

フィラメント糸を無撚糸かそれに近い甘撚糸で使用することで、保護用絶縁糸13を巻き付けた際に繊維が拡がった扁平状態となって表面を被覆するため保持効果を高めることができる。保護用絶縁糸13の繊度は、糸本体Bの1/10以下であることが好ましい。繊度が糸本体Bの繊度の1/10を超えた太い糸を用いると、複合糸Aが硬くなって柔軟性が失われ、また巻き付ける力が強くなって電子部品10を破損する等の不具合が生じるようになる。また、保護用絶縁糸13のフィラメント単糸繊度は、小さい方が巻き付けた際に幅広く扁平に潰れやすくなって電子部品10を確実に被覆して固定することができ、また複合糸Aの柔軟性を維持することができる。具体的には、保護用絶縁糸13のフィラメント単糸繊度は、0.3デシテックス〜2.5デシテックスであることが好ましく、より好ましくは0.3デシテックス〜1.5デシテックスである。保護用絶縁糸13による糸本体B表面の被覆率が30%〜90%となるように巻き付けるのが好ましい。30%より被覆率が下がると電子部品10が保護用絶縁糸13の間に露出して外れる可能性があり、90%を超えると複合糸Aとしての柔軟性が失われる。

0037

図2は、複合糸の製造工程に関する一例を示す説明図である。図2(a)では、導電糸11に電子部品10を担持する担持工程を示している。まず、連続した1本の導電糸11を所定の長さに切断し、切断した導電糸11の中間部にループ状部分11aを形成する。ループ状に形成する方法としては、例えば、丸棒状のガイド部材の周囲に導電糸の中間部を巻き付けて形成することができる。複数回巻き付けることで多重のループ状部分に形成することもできる。

0038

なお、この例では、事前に導電糸を所定長さに切断して用いているが、切断せずに所定長さ毎にループ状部分を順次形成して電子部品を担持させることもできる。

0039

次に、電子部品10の担持する面に接着剤を塗布しておき、導電糸11のループ状部分11aに電子部品10の塗布面を接触させて接着固定する。電子部品10をループ状部分11aに接触させる方法としては、例えば、ループ状部分11aを巻き付けたガイド部材を支持板の孔部から突出させた状態でガイド部材の先端部に電子部品10を配置しておき、支持板の孔部からガイド部材が引き抜かれるように支持板を移動させて支持板上に残留したループ状部分11aを電子部品10に圧接させて接着させることができる。

0040

こうした担持工程により電子部品10を効率よく導電糸11に安定して担持させることができ、量産化を図ることが可能となる。

0041

なお、電子部品10を導電糸11のループ状部分11aに接着固定して樹脂封止する場合には、導電糸11を事前に切断せずに所定長さ毎にループ状部分を形成して電子部品10を接着固定していく。そして、電子部品10を担持した導電糸11を糸長方向に搬送しながら、電子部品10を接着固定した部分を樹脂液槽に浸漬して樹脂封止することができる。

0042

図2(b)では、電子部品10を担持した導電糸11の両端部を連結用絶縁糸12により連結して糸本体Bを形成する連結工程を示している。複数の導電糸11を糸長方向に沿って糸継装置20に順次導入し、それに並行して連結用絶縁糸12を糸継装置20に導入する。導電糸11を導入する場合には、例えば、図示せぬ把持装置により導電糸11の端部を把持し、把持装置を移動させて糸継装置20の導入口に案内するように動作させればよい。

0043

そして、導電糸11の導入方向後端部に連結用絶縁糸12の先端部を巻き付けるように糸継ぎ処理し、導電糸11を導出して連結用絶縁糸12を所定長さ分を搬送し、次の導電糸11の導入方向前端部に連結用絶縁糸12を巻き付けるように糸継ぎ処理して導電糸11同士を糸長方向に連結固定する。連結固定処理した後に連結用絶縁糸12を切断し、以後、導電糸11の導入方向後端部と次の導電糸11の導入方向前端部との間を連結用絶縁糸12により繰り返し連結固定して糸本体Bを形成する。

0044

なお、担持工程で導電糸を切断せずに電子部品を担持するようにした場合には、先の糸(導電糸)に次の糸(連結用絶縁糸)の先端部分を連結し、同時に先の糸を連結部分より後ろ側(糸の繰り出し方向の下流側)で切断する工程、及び、連結された先の糸(連結用絶縁糸)を切断された次の糸(導電糸)の先端部分に連結し、同時に先の糸を連結部分より後ろ側で切断する工程を交互に繰り返すことで、導電糸及び連結用絶縁糸を交互に連結した複合糸を効率よく生産することができる。

0045

また、糸継装置により連結固定した部分を熱融着により接着固定したり、接着剤により接着固定してもよい。糸継装置を用いることなく導電糸及び連結用絶縁糸を連結固定することもでき、例えば、両者の端部同士を接着剤により接着固定してもよい。

0046

図2(c)では、糸本体Bの周囲に保護用絶縁糸13を巻き付けて複合糸Aを形成する保護工程を示している。この例では、カバーリング加工により糸本体Bの周囲に保護用絶縁糸13をほぼ隙間なく巻き付けている。カバーリング加工は、必要に応じてダブルカバーリング加工を行うようにしてもよく、特に限定されない。

0047

カバーリング加工により保護用絶縁糸を糸本体に巻き付ける場合には、担持する電子部品のサイズに合わせて撚り数を設定するとよい。例えば、0.5mm〜0.7mmのサイズの電子部品の場合には、S撚り及びZ撚りのダブルカバーリング2,000T/m以上の撚り数で加工すれば、少なくとも1回は電子部品に対して保護用絶縁糸を巻き付けるようにすることができる。保護用絶縁糸のフィラメント単糸繊度を0.3デシテックス〜2.5デシテックスに設定した場合には、電子部品に対して1.5回以上巻き付けるように撚り数を設定すれば、保護用絶縁糸が潰れて幅広に電子部品を覆うように巻き付いて電子部品が複数個所で保持されるようになるため、確実に固定することができる。

0048

また、カバーリング加工された複合糸Aに対して樹脂材料により外周面を被覆する後工程を行うようにしてもよい。

0049

得られた複合糸Aは、織成加工及び編成加工に通常用いる糸と同様の引張強度等の力学的特性を備えているため、通常の糸と同様にリールやボビン等に巻き取って保管することが可能で、通常の糸と同様にボビン等から繰り出して用いることができる。また、繰り出した複合糸Aの連結用絶縁糸の部分を切断して、電子部品を担持した導電糸部分を単体として用いることもでき、様々な用途に対応することが可能となる。

0050

複合糸を通常の糸と同様に織物に織り込んだり、編物に編み込むためには、織成加工又は編成加工の際に生じる複合糸の伸縮に対して電子部品を担持した導電糸部分が物理的及び電気的に影響を受けることなく伸縮する必要がある。通常の織成加工及び編成加工の場合、糸の伸度5%以上でも破断することがなく、3%伸長後の残留歪みが1%以下であれば、通常の糸と同様に取り扱うことが可能である。

0051

また、複合糸が織成加工及び編成加工に対して通常の糸と同様の耐久性を備えるためには、複合糸は繊維軸に対して等方的な柔軟性を備える必要がある。そのためには、繊維軸に対して疑似同心円形状であり、柔軟性も繊維軸に対してすべての方向でほぼ等しい柔軟性を備えることで、通常の糸と同様に取り扱うことが可能となる。具体的には、疑似同心円形状の場合断面形状が扁平率で2以下であればよく、疑似円が最も好ましい。扁平率が2を超えると、曲がる方向によって柔軟性に差が生じて通常の糸と同様の取り扱いが難しくなる。また、柔軟性については、純曲げ試験機(カトーテック株式会社製KES FB2-AUTO-A)で測定した場合、異なる方向の変位量平均値に対して50%以下であればよい。50%を超えると、通常の糸と同様の取り扱いが難しくなる。そして、複合糸がこうした柔軟性を備えることで、布帛の状態においても通常の糸と柔軟性に差異がなく、衣料に用いた場合でも違和感なく使用することが可能となる。

0052

複合糸の耐屈曲性については、複合糸の電子部品を担持した導電糸部分を糸本体の繊維軸に対して左右90度の角度まで屈曲させる負荷動作を繰り返し行うことで評価することができる。負荷動作を1000回繰り返した後に導電糸部分の抵抗が30Ω/cm以下に維持されて電子部品の性能が影響を受けることがなければ、通常の糸と同様に取り扱っても導電糸の破断や電子部品の剥離等の影響を受けることがなく、十分な耐屈曲性を有すると評価できる。耐屈曲性については、135度の角度まで屈曲させる負荷動作を10000回繰り返した後に導電糸部分の抵抗が30Ω/cm以下に維持されることがより好ましい。

0053

以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。

0054

(1)耐伸縮性の評価
以下に示す導電糸及び連結用絶縁糸の破断強度(N)及び破断伸度(%)については、テンシロン万能材料試験機(株式会社エー・アンドディ製)を用いて測定した。同じ条件で複数回測定を行い、測定結果の平均値を意図の破断強度及び破断伸度とした。

0055

(2)柔軟性の評価
以下に示す複合糸の剛軟度(mm)については、JIS L1096に規定された45°カンチレバー法により測定した。

0056

(3)通信距離の評価
複合糸をVoyantic社製 Tagformance Proにて計測を行った。CommandはISO 18000−6CのQueryを選択。周波数帯は5MHzのステップで、欧州規格からアジア北米地域をカバーする800〜1,000MHzとした。

0057

通信距離については、上記周波数帯で0.1dBmずつ出力を上げていき、インレイから返信のあったシグナル強度に基づき算出した。
計測モード: Threshold
Command: ISO 18000−6C Query
Start Frequency: 800MHz
Stop Frequency: 1,000 MHz
Frequency Step: 5 MHz
Power Step: 0.1 dBm

0058

[実施例1]
使用材料
○導電糸
ウラセ株式会社製(品番F11TP)を用いた。芯糸にアラミド繊維(繊度110デシテックス、フィラメント数48本)を用い、無電解銅メッキ加工及び電気銅メッキ加工で処理した(銅金属付着量0.05g/m)。撚糸加工は160T/mで処理し、導電糸表面の絶縁樹脂加工は、ポリエステルエラストマー樹脂融点219℃、100%MDは37MPs)を用いて被覆処理した。得られた導電糸の破断強度は24.9Nで、破断伸度は14.2%であった。
○電子部品
株式会社製作所製RFIDタグ(LXMSJZNCMF-198)を用いた。
○連結用絶縁糸
東レ株式会社製のナイロン66からなるモノフィラメントを用いた。モノフィラメントの厚さは0.07mm(JIS L1096JIS L1096に規定する試験方法に準拠して測定)であった。モノフィラメントの破断強度は3.4Nで、破断伸度は35.7%であった。
○保護用絶縁糸
帝人フロンティア株式会社製のポリエステルウーリー糸(タイプ;F0210W、SD繊度;167デシテックス、フィラメント数144本)を用いた。

0059

<糸本体の製造>
図2(a)及び(b)で説明した担持工程及び連結工程により糸本体を製造した。まず、導電糸は140mmの長さに切断し、直径1.3mmのループ状部分を中央に形成して電子部品を接着剤(スリボンドファインケミカル株式会社製瞬間接着剤)により接着固定した。次に、糸継装置(MESDN株式会社製イルマンスプライサー101)を用いて、電子部品を担持した導電糸及び連結用絶縁糸を糸長方向に交互に連結していき、糸本体を製造した。糸本体の導電糸と連結用絶縁糸とが重なる連結部分の長さは、5mmであった。

0060

<保護用絶縁糸の巻付け>
図2(c)で説明した保護工程により保護用絶縁糸を糸本体にカバーリング加工を行った。カバーリング加工は、カバーリング装置(片岡機械工業株式会社製PF−D230)でダブルカバーリング(撚り方向S,Z方向ともに3400T/mの撚り数)により加工し、複合糸を得た。

0061

<複合糸の特性>
得られた複合糸は、電子部品を担持した複数の導電糸部分の長さがほぼ13cmで一定しており、導電糸部分の間が135cmの長さで連結していた。そのため、導電糸部分の配列状態肉眼で容易に識別することができた。

0062

電子部品の担持部分、導電糸部分及び導電糸部分の間の連結用絶縁糸の部分(連結糸部分)の厚さを複数個所で測定したところ(JIS L1096に規定する試験方法に準拠して測定)は、電子部品の担持部分は1.15mm〜2.53mm、導電糸部分は0.56mm〜0.73mm、連結糸部分は0.36mm〜0.41mmであった。導電糸部分及び連結糸部分が細く形成されているので、通常の糸と同様に取り扱うことができる。

0063

複合糸全体について破断強度及び破断伸度を測定したところ、複数個所の連結部分が荷重により次々と伸長していくため破断するまでに複雑な推移を示すようになるが、試験中の最大荷重が3.7Nで最大伸度は29.7%であった。また、電子部品を担持した導電糸部分について破断強度及び破断伸度を測定したところ、破断強度9Nで破断強度4%であった。複合糸全体の値が連結用絶縁糸とほぼ同じ値となっており、導電糸部分の強度が連結用絶縁糸より強度が高く伸度が低くなっていることから、荷重による影響は主に連結糸部分に及んでおり、導電糸部分への影響はほとんどないことが確認された。

0064

複合糸の導電糸部分について剛軟度を測定したところ、剛軟度は84mmであった。織成加工及び編成加工を行う上で十分な柔軟性を備えていることが確認された。

0065

[実施例2]
<使用材料>
実施例1と同じものを使用した。

0066

<糸本体の製造>
実施例1と同様に製造した。

0067

<保護用絶縁糸の巻付け>
実施例1と同様のカバーリング装置を用いてダブルカバーリング(撚り方向S,Z方向ともに3400T/mの撚り数)による加工を2回行い、複合糸を得た。

0068

<複合糸の特性>
得られた複合糸は、電子部品を担持した複数の導電糸部分の長さがほぼ13cmで一定しており、導電糸部分の間が135cmの長さで連結していた。そのため、導電糸部分の配列状態を肉眼で容易に識別することができた。

0069

電子部品の担持部分、導電糸部分及び連結部分の厚さを複数個所で測定したところ(JIS L1096に規定する試験方法に準拠して測定)は、電子部品の担持部分は1.2mm〜2.2mm、導電糸部分は0.85mm〜0.92mm、連結部分は0.66mm〜0.78mmであった。導電糸部分及び連結部分が細く形成されているので、通常の糸と同様に取り扱うことができる。

0070

複合糸全体について破断強度及び破断伸度を測定したところ、実施例1と同様に推移を示し、最大荷重が3.4Nで最大伸度は34.8%であった。これらの値が連結用絶縁糸とほぼ同じ値となっており、実施例1と同様に、導電糸部分への影響はほとんどないことが確認された。

0071

複合糸の導電糸部分について剛軟度を測定したところ、剛軟度は88mmであった。実施例1と同様に、織成加工及び編成加工を行う上で十分な柔軟性を備えていることが確認された。

0072

[実施例3]
実施例1に記載の複合糸を編み込んだ編地を製造した。

0073

<使用材料>
編糸として、綿糸20/2×3本を用いた。

0074

<編地の製造>
複合糸をボビンに巻き取られた状態で供給し、ボビンから繰り出されて緯糸の一部に用いた。編機(株式会社島精機製作所製MACH2(登録商標)VS183 12G)を用いて平編により編地を製造した。

0075

平編工程では、編糸による編地の編成途中に、複合糸をインレイで2cm程度編み込む。本実施例では、複合糸のうち導電糸と隣接する部分の連結用絶縁糸をインレイで編み込み、電子部品及び導電糸を含む部分が編地の外側に配置されるようにした。複合糸は横編機ニードルベッドの端部に備わるカッター及び糸保持装置により切断・保持する。インレイする位置と切断・保持の位置に複合糸が渡るため、編み込まれる複合糸の長さは140cm程度となった。

0076

<編地の特性>
得られた編地では、複合糸が編糸の一部として編成されており、編成加工中に電子部品の剥離等のダメージを受けることなく編地に編み込まれていた。得られた編地に対して洗濯及び乾燥を行い、電子部品の無線通信特性として通信距離を評価した。通信距離は、920MHzで3m〜4mの距離が通信可能となっており、30回の洗濯に対しても通信距離が安定していた。また、正常な信号処理を行うことが確認され、十分な洗濯耐久性を備えていることが確認された。

0077

本実施例では、RFIDチップとそのアンテナとなる導電糸を編地の外側に配置しているため、製造工程での生産管理に用いて最終製品から容易に取り外すことができる。本実施では、インレイで複合糸を編地で編み込んでいるが、タック等を用いて編み込むこともできる。

0078

電子部品を取り外さずに最終製品に編み込んだ状態で利用する場合は、電子部品とそのアンテナを編地内に編み込み、編地からはみ出す部分(連結糸部分)を切除すればよい。

0079

[比較例]
市販の複合糸(Primo1D社製E−Thread)について耐伸縮性及び柔軟性について評価した。この複合糸は、特許文献2に記載されているように、ポリエステル繊維からなる芯糸に金属線からなるアンテナを接続したパッケージタグを糸長方向に配列して被覆用の糸でカバーリング加工して構成されていた。

0080

<市販の複合糸の特性>
市販の複合糸は、パッケージタグを担持した部分がほぼ200cm間隔で配列されており、その配列状態を肉眼で容易に識別することができた。

0081

パッケージタグの担持部分、アンテナ部分及びそれ以外の部分の厚さを複数個所で測定したところ(JIS L1096に規定する試験方法に準拠して測定)は、パッケージタグの担持部分は1.35mm〜1.4mm、アンテナ部分は0.9mm〜1.05mm、それ以外の部分は0.58mm〜0.62mmであった。

0082

市販の複合糸について破断強度及び破断伸度を測定したところ、破断強度が96.0Nで最大伸度は74.0%であった。これらの値は、主に芯糸の破断強度及び破断伸度の影響を受けているものと考えられる。そのため、芯糸と被覆用の糸との間に挟持されたパッケージタグ及びアンテナ部は、被覆用の糸に保持された状態で芯糸が伸長することに伴う位置ずれ等の影響が及ぶようになり、パッケージタグの剥離等の大きなダメージを受けやすくなると考えられる。

0083

パッケージタグの担持部分及びアンテナ部分について剛軟度を測定したところ、剛軟度は140mmでも測定できなかった。そのため、織成加工及び編成加工を行う上で通常の糸とは異なる取扱いが必要となることは避けられない。

0084

[実施例4]
実施例及び比較例の複合糸について、繰り返し耐屈曲性及び読取距離を評価した。複合糸の耐屈曲性を評価する試験機として、図3に示す曲げ試験機を用いた。

0085

一対のステンレス棒(直径10mm)30を水平に配置し、ステンレス棒30を5mmの間隔で互いに平行となるように設定した。ステンレス棒30の上方には把持部材31が配置されており、把持部材31は、ステンレス棒30の間の中間線を通る回転中心軸Oを中心に回動可能となるように設定した。複合糸Fは、その上端を把持部材31に固定して下端に荷重W=19.6cNを加えて垂下した状態とし、ステンレス棒30の間を通過してステンレス棒30の軸方向とほぼ直交するように設定した。

0086

読取距離に影響が大きいRFIDチップ部に近いアンテナ部をステンレス棒30と直交するように設置した。屈曲角度は±135°とした。RFIDチップの読取測定は、読取装置(Welcat社製XIT-260-G)を使用し、出力250mWで測定した。測定結果は、以下の表1に示す。

0087

実施例

0088

実施例1及び2では、屈曲回数が10万回でも読取距離が安定しており、比較例に比べて2倍以上の耐屈曲性を有していることが確認された。

0089

本発明に係る複合糸は、実施例に示すように導電糸部分を厚さ3mm以下で細く、かつ、長さ約130mmと短かく形成することができ、柔軟性、屈曲耐久性及び耐洗濯耐久性を備えている。そのため、例えばUHF帯RFIDパッケージタグを導電糸部分の中央に担持させた複合糸を用い、繊維製品の製造工程中に通常の糸と同じように自動挿入すれば、繊維製品のトレーサビリティの管理、在庫管理、出荷管理が従来の読取端末一括して自動認識でき、大幅な省力化が可能となる。そして、繊維製品に複合糸を取り込んだ状態で小売店等に流通した場合にも、入荷販売、在庫管理にそのまま活用することができ、RFIDチップに保存されたIDデータ等を用いて繊維製品の真贋判定も管理することが可能となる。

0090

また、本発明に係る複合糸は、実施例に示すように繰り返し洗濯耐久性が工業洗濯でも100回以上の耐久性を備えている場合には、リネンサプライ用の繊維製品に活用することが期待される。そして、上述したように、RFIDチップを担持した複合糸を用いることで、入出荷、トレーサビリティや在庫管理に活用することができ、大幅な省力化とランニングコストダウンが可能であり、大きな経済性も得られる。

0091

また、本発明に係る複合糸は、ウェアラブル性の高い繊維製品に取り込みやすい特性を備えているので、上述した用途以外にも、各種センサ等の電子機器とともに装着して、多種多様な用途での有用なデータの取得に活用することが期待される。

0092

A・・・複合糸、B・・・糸本体、10・・・電子部品、11・・・導電糸、12・・・連結用絶縁糸、13・・・保護用絶縁糸、30・・・ステンレス棒、31・・・把持部材

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