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図面 (17)

課題

新生ウイルスを産生不可能な弱毒変異の導入による、ノロウイルス用の弱毒化生ワクチンの提供。

解決手段

完全なVP2タンパク質を産生できないようにする変異が導入されたノロウイルスゲノム、を保有するノロウイルス粒子であって、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないノロウイルス粒子、を有効成分として含有する、ノロウイルス用の弱毒化生ワクチン。

概要

背景

エドワード・ジェンナーの天然痘ワクチンの発明と、ルイ・パスツールによる理論的裏付けがなされて以来、様々な感染症に対するワクチンが提供されている。

ワクチンは、毒性を弱めたウイルス等の病原微生物免疫原として用いる「生ワクチン」、殺傷した病原微生物の全部又は一部を免疫原として用いる「不活化ワクチン」、変性させた病原体の産生する毒素を免疫原として用いる「トキソイド」、に大別されている。

これらの中でも生ワクチンは、液性免疫と共に、強い細胞性免疫誘導することが可能であり、かつ、一般的に免疫も長期にわたり保持されることが知られている。しかしながら、生ワクチンは、弱毒化されているとはいえ自己増殖可能な生きた微生物を使用するので、極めて稀であっても、突然変異や強毒株との遺伝子組換えにより毒力が強い微生物に先祖返りする(強毒復帰)可能性がある。従って、生ワクチンに使用される微生物は安定で、強毒復帰しない性質を持っているものが求められる。特にウイルスの生ワクチンの場合は、宿主細胞内でウイルスが複製増殖する過程で、遺伝子変異、遺伝子組換えが起き、強毒復帰する。現在、生ワクチンは、BCG麻疹風疹混合(MR)、麻疹(はしか)、風疹、水痘流行性耳下腺炎おたふくかぜ)、ロタウイルス黄熱等、限定された範囲で用いられている。さらに生ワクチンは、強毒復帰しなくても、ヒトの個体差によって、ワクチンとして用いた微生物が毒力を発揮する場合があり、その接種には慎重な対応が求められている。

これらの事項は、非特許文献1等に記載されている。

概要

新生ウイルスを産生不可能な弱毒変異の導入による、ノロウイルス用の弱毒化生ワクチンの提供。完全なVP2タンパク質を産生できないようにする変異が導入されたノロウイルスゲノム、を保有するノロウイルス粒子であって、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないノロウイルス粒子、を有効成分として含有する、ノロウイルス用の弱毒化生ワクチン。なし

目的

上記のように、生ワクチンは優れた免疫誘導作用を有する反面、その性質上必然的ともいえる問題点が存在する。本発明は、新生ウイルスを産生不可能な弱毒変異の導入により、この問題点を抜本的に解決する手段を、少なくともノロウイルスを対象として、提供する発明である。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

完全なVP2タンパク質を産生できなくする変異が導入されたノロウイルスゲノム、を保有するノロウイルス粒子であって、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないノロウイルス粒子、を有効成分として含有する、ノロウイルス用の弱毒化生ワクチン

請求項2

前記弱毒化生ワクチンにおいて、完全なVP2タンパク質を産生できなくする変異は、ノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム3(ORF3)の開始コドンからORF3の約2/3以内の領域であって、当該領域の欠損したゲノムを保有するノロウイルス粒子は、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないゲノム領域;の全てが欠損しているか、又は、当該ゲノム領域にVP2タンパク質を実質的に産生できなくなる変異、である請求項1に記載の弱毒化生ワクチン。

請求項3

前記弱毒化生ワクチンにおいて、ノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム3(ORF3)の開始コドンからORF3の約2/3以内の領域であって、当該領域の欠損を含むノロウイルス粒子は、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないゲノム領域;に導入されたVP2タンパク質を実質的に産生できなくなる変異は、ORF3の開始コドンの欠損変異、開始コドン下流における一箇所又は二箇所以上のストップコドンの導入、又は、15塩基以上の部分欠損、である、請求項2に記載の弱毒化生ワクチン。

請求項4

前記弱毒化生ワクチンにおいて、ノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム3(ORF3)の開始コドンからORF3の約2/3以内の領域であって、当該領域の欠損を含むノロウイルス粒子は、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないゲノム領域;に、ノロウイルス以外の微生物の1種又は2種以上のタンパク質をコードする遺伝子が1種又は2種以上組み込まれている多価ワクチンである、請求項2又は3に記載の弱毒化生ワクチン。

請求項5

前記弱毒化生ワクチンにおいて、ノロウイルス以外の微生物は、ウイルスである、請求項4に記載の弱毒化生ワクチン。

請求項6

前記弱毒化生ワクチンにおいて、ノロウイルス以外の微生物は、腸管感染性のウイルスである、請求項5に記載の弱毒化生ワクチン。

請求項7

下記(1)及び(2)をノロウイルス感受性細胞中に共発現させ、当該共発現により生成したノロウイルス粒子を回収する、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを生成しない、変異ノロウイルス粒子の生産方法:(1)ノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム3(ORF3)の開始コドンからORF3の約2/3以内の領域であって、当該領域の欠損を含むノロウイルス粒子は、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないゲノム領域、の全てが欠損しているか、又は、当該ゲノム領域にVP2を実質的に産生できなくなる変異が導入されている、改変ORF3を含むノロウイルスゲノム;(2)VP2タンパク質をコードする遺伝子。

請求項8

完全なVP2タンパク質を産生できなくする変異が導入されたノロウイルスゲノム、を保有するノロウイルス粒子であって、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないノロウイルス粒子。

技術分野

0001

本発明は、ワクチンに関する発明であり、さらに具体的には、生ワクチンとしての優れた免疫付与能を有しながらも新生ウイルスを産生せず、少なくともノロウイルスに対する免疫付与能を有し、さらに他の病原体に対する免疫付与能を与えることが可能な弱毒化生ウイルスワクチン、その有効成分、及びその有効成分の生産方法についての発明である。

背景技術

0002

エドワード・ジェンナーの天然痘ワクチンの発明と、ルイ・パスツールによる理論的裏付けがなされて以来、様々な感染症に対するワクチンが提供されている。

0003

ワクチンは、毒性を弱めたウイルス等の病原微生物免疫原として用いる「生ワクチン」、殺傷した病原微生物の全部又は一部を免疫原として用いる「不活化ワクチン」、変性させた病原体の産生する毒素を免疫原として用いる「トキソイド」、に大別されている。

0004

これらの中でも生ワクチンは、液性免疫と共に、強い細胞性免疫誘導することが可能であり、かつ、一般的に免疫も長期にわたり保持されることが知られている。しかしながら、生ワクチンは、弱毒化されているとはいえ自己増殖可能な生きた微生物を使用するので、極めて稀であっても、突然変異や強毒株との遺伝子組換えにより毒力が強い微生物に先祖返りする(強毒復帰)可能性がある。従って、生ワクチンに使用される微生物は安定で、強毒復帰しない性質を持っているものが求められる。特にウイルスの生ワクチンの場合は、宿主細胞内でウイルスが複製増殖する過程で、遺伝子変異、遺伝子組換えが起き、強毒復帰する。現在、生ワクチンは、BCG麻疹風疹混合(MR)、麻疹(はしか)、風疹、水痘流行性耳下腺炎おたふくかぜ)、ロタウイルス黄熱等、限定された範囲で用いられている。さらに生ワクチンは、強毒復帰しなくても、ヒトの個体差によって、ワクチンとして用いた微生物が毒力を発揮する場合があり、その接種には慎重な対応が求められている。

0005

これらの事項は、非特許文献1等に記載されている。

先行技術

0006

「ワクチン」日本ワクチン学会編、2018年10月10日書店発行、238頁

発明が解決しようとする課題

0007

上記のように、生ワクチンは優れた免疫誘導作用を有する反面、その性質上必然的ともいえる問題点が存在する。本発明は、新生ウイルスを産生不可能な弱毒変異の導入により、この問題点を抜本的に解決する手段を、少なくともノロウイルスを対象として、提供する発明である。

課題を解決するための手段

0008

ノロウイルスは、カリシウイルス科ノロウイルス属ノーウォークウイルス種のウイルスであり、直径約38nmの正二十面体構造を有する球形のRNAウイルスである。ノロウイルスには、5つの遺伝子グループが知られており、GI(9種類)、GII(19種類)、GIV(1種類)がヒトに感染するノロウイルスである。ノロウイルスは宿主特異性が高く、ヒトに感染するウイルスはヒト以外に感染できず、ネズミなど動物に感染するノロウイルスはヒトに感染できない。

0009

ノロウイルスゲノムは、7500−8000塩基のsingle stranded positive sense RNAであり、3つのORF(オープンリーディングフレーム)を有しており(ネズミノロウイルスの場合、4つのORFを有している。ORF4は、VF1という非構造タンパク質をコードしている)、ORF1にプロテアーゼポリメラーゼ等の非構造タンパク質がコードされており、ORF2、3に構造タンパク質がコードされている。ORF2がコードする構造タンパク質はVP1であり、ORF2を発現させると、VP1が180個集まったウイルス様中空粒子(VLP)が形成される。これに対してORF3がコードするVP2は分子量22.4kDa程度で、ウイルス粒子中に複数個存在し、ウイルス粒子の安定性に寄与すると考えられているが、その詳細は分かっていない。

0010

本発明者らは、このORF3ないしVP2の機能の検討を行った。この機能の検討の内容は後述するが、結論としては、ノロウイルスゲノム上のORF3(VP2コード領域)の3’側 の塩基配列には、ゲノムの複製に必須な塩基配列があることを明らかにした。さらに、ORF3は、核酸配列として必須な領域の直前まで((ORF3を三等分すると、ORF3の開始コドンから約2/3の領域)は、その全てを欠損させたり、VP2タンパク質(以下、特に断らない限り、VP2と略記する)を供給できなくなるような変異を導入したり、外来性遺伝子に置き換え遺伝子改変ノロウイルスゲノムであっても、VP2を細胞内に別途供給すれば、遺伝子改変ノロウイルスゲノムを内包した新生ウイルス粒子を産生可能であることを見出した。

0011

この遺伝子改変ノロウイルスゲノムを内包した新生ノロウイルス粒子(mutant progeny norovirus:MPNV)は、野生型ノロウイルスと同様の感染力は保持されるが、一旦通常の標的細胞に感染して細胞内に遺伝子改変ゲノムを放出すると、VP2を除くウイルスタンパク質翻訳、遺伝子改変ノロウイルスゲノムの複製は起きるが、新生ウイルスを産生する能力を持たず、一度だけ感染可能な弱毒化ウイルス(いわば半生ウイルス)であることが明らかになった。つまり、感受性細胞、自然宿主内標的細胞に感染することができ、自然感染と同様のウイルス抗原(VP2を除く)を発現し、あらゆる免疫を誘導可能であるが、新生ウイルスを産生して感染と増殖を繰り返すことはなく、病原性を発揮しない、極めて高度に弱毒化されたウイルスである。更に、外来性遺伝子を導入したのであれば、それに対する免疫賦活能力も有する弱毒化生混合ワクチン多価ワクチン)となり得ることを明らかにした。

0012

すなわち本発明は、完全なVP2タンパク質を産生できなくする変異が導入されたノロウイルスゲノム、を保有するノロウイルス粒子であって、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないノロウイルス粒子(MPNV)、を有効成分として含有する、ノロウイルス用の弱毒化生ワクチン(以下、本発明の生ワクチンともいう)を提供する発明である。

0013

上記の通りに、当該MPNVは、本発明の生ワクチンの有効成分である。本発明は、この有効成分も提供する。

0014

本発明の生ワクチンにおける、「完全なVP2タンパク質を産生できなくするゲノムの変異」は、例えば、ノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム3(ORF3)の開始コドンからORF3の約2/3以内の領域であって、当該領域の欠損を含むノロウイルス粒子は、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないゲノム領域
の全てが欠損しているか、又は、当該ゲノム領域にVP2を実質的に産生できなくなる変異である。

0015

以下、上記の「ノロウイルスゲノムのORF3の開始コドンからORF3の約2/3以内の領域であって、当該領域の欠損を含むノロウイルス粒子は、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しない」ゲノム領域を、「ORF3特定領域」ともいう。

0016

上記の「ORF3特定領域に導入されたVP2を実質的に産生できなくなる変異」において、「VP2を実質的に産生できなくなる」とは、VP2を全く産生できないことを含む。そしてさらに、VP2を外形上産生できても、当該VP2は導入された変異によってVP2本来の働きをすることができないこと、すなわち、当該変異VP2を産生するノロウイルスは、感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しないことも含まれる。そのようなORF3特定領域における変異は、ORF3特定領域の欠損、ORF3特定領域の開始コドンの欠損変異、ORF3特定領域の開始コドン下流における一箇所又は二箇所以上、好ましくは近接した二箇所以上のストップコドンの導入、又は、15塩基以上のORF特定領域の部分欠損である。当該部分欠損は、18塩基以上であることが好ましい。ストップコドンの導入に関し、「近接した二箇所以上のストップコドン」は、当該個数のストップコドンを連続させて設けるか、ストップコドン同士の間に1−3個、好ましくは1個の他のコドンを挟み込むこと等が例示される。

0017

さらに、ORF3特定領域に、ノロウイルス以外のウイルス(以下、外来ウイルスともいう)の1種又は2種以上のタンパク質をコードする遺伝子を1種又は2種以上組み込むことも可能である。外来ウイルスのタンパク質は、構造タンパク質であっても、非構造タンパク質であってもよい。また、外来ウイルスの種類は特に限定されないが、ノロウイルスと同じく腸管感染性のウイルスであることが好ましい。このような外来ウイルスのタンパク質をコードする遺伝子を組み込んだORF3を有するMPNVは、ノロウイルスに対する免疫と共に、上記外来ウイルスに対する免疫を付与することのできる、多価の弱毒化生ワクチンの有効成分である。

0018

加えて本発明は、本発明の生ワクチンの有効成分であるMPNVの生産方法を提供する。

0019

すなわち本発明は、下記(1)及び(2)をノロウイルス感受性細胞中に共発現させ、当該共発現により生成したノロウイルス粒子を回収する、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを生成しない、変異ノロウイルス粒子の生産方法(以下、本発明の生産方法ともいう)を提供する。
(1)ノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム3(ORF3)の開始コドンからORF3の約2/3以内の領域であって、当該領域の欠損を含むノロウイルス粒子は、一度限りの感染能力を保持しつつ新生ウイルスを産生しない、
の全てが欠損しているか、又は、当該ゲノム領域にVP2を実質的に産生できなくなる変異が導入されている、改変ORF3を含むノロウイルスゲノム;
(2)VP2をコードする遺伝子。

発明の効果

0020

本発明により、ノロウイルスに対する弱毒化生ワクチンが提供される。当該弱毒化生ワクチンは、対ノロウイルス以外のウイルスに対しても免疫を付与することが可能な、多価ワクチンとして用いることも可能である。また、本発明は、当該弱毒化生ワクチンの有効成分となる遺伝子改変ノロウイルスゲノムを内包した新生ノロウイルス粒子(MPNV)の生産方法を提供する。

図面の簡単な説明

0021

MNVの全長cDNAを持つインフェクシスクローン(pMNV−F)の全塩基配列の一部を示す第1の図面である。
MNVの全長のcDNAを持つインフェクシャスクローン(pMNV−F)の全塩基配列の一部を示す第2の図面である。
MNVの全長のcDNAを持つインフェクシャスクローン(pMNV−F)の全塩基配列の一部を示す第3の図面である。
MNVの全長のcDNAを持つインフェクシャスクローン(pMNV−F)の全塩基配列の一部を示す第4の図面である。
MNVの全長のcDNAを持つインフェクシャスクローン(pMNV−F)の全塩基配列の一部を示す第5の図面である。
VP2発現ベクター(pKS−MNV VP2)の概略図である。
ORF3の機能を解析するために用いたVP2欠損ゲノムの変異の内容の概略を示した図面である。
VP2欠損ゲノムを含むベクターである「pMNV−F_VP2 STOP」の塩基配列構造を示した図面である。
VP2欠損ゲノムを含むベクターである「pMNV−F_VP2 deltaN」の塩基配列構造を示した図面である。
VP2欠損ゲノムを含むベクターである「pMNV−F_VP2 deltaNstop」の塩基配列構造を示した図面である。
VP2欠損ゲノムを含むベクターである「pMNV−F_VP2 deltaM」の塩基配列構造を示した図面である。
VP2欠損ゲノムを含むベクターである「pMNV−F_VP2 deltaMstop」の塩基配列構造を示した図面である。
VP2欠損ゲノムを含むベクターである「pMNV−F_VP2 deltaC」の塩基配列構造を示した図面である。
VP2欠損ゲノムを含むベクターである「pMNV−F_VP2 deltaCstop」の塩基配列構造を示した図面である。
VP2欠損ゲノムを含むベクターである「pMNV−F_VP2 delta」の塩基配列構造を示した図面である。
VP2に変異を導入したゲノムを内包する新生ウイルス粒子(MPNV)の調製工程の概略を示した図面である。
ORF3特定領域に外来性タンパク質遺伝子を組み込んだMPNVを用いた試験の内容を示す図面である。

0022

本発明の生ワクチンは、ヒトが主要な対象であり、その他基礎試験用としてマウス等が挙げられる。

0023

本発明の生ワクチンをヒトに用いる場合には、ノロウイルスもヒトノロウイルスを用いることが必要である。しかしながら、ORF3の構造と機能はヒトもマウスも共通するものであり、マウスノロウイルスのORF3特定領域における知見をヒトノロウイルスのORF3特定領域に対応させることにより、ヒトノロウイルスのORF3特定領域における「VP2を実質的に産生できなくなる」遺伝子改変の内容を類推することが可能である。

0024

本発明の生ワクチンを多価ワクチンとして用いる場合に、ORF3特定領域に組み込むノロウイルス由来のタンパク質以外の微生物タンパク質(他の微生物タンパク質ともいう)の出所となる微生物は、ワクチンの有効成分となるタンパク質を保有する微生物であれば特に限定されず、ウイルス、細菌等が例示できる。

0025

上記ウイルスは特に限定されず、DNAウイルスであっても、RNAウイルスであっても、レトロウイルスであってもよい。例えば、ポリオウイルス麻疹ウイルス風疹ウイルス流行性耳下腺炎ウイルスムンプスウイルス)、水痘ウイルス黄熱病ウイルス、ロタウイルス、帯状疱疹ウイルスヘルペスウイルス)、インフルエンザウイルス狂犬病ウイルス日本脳炎ウイルス肝炎ウイルスA型肝炎B型肝炎C型肝炎等)、ヒトパピローマウイルスHIVエボラウイルス等の現在ワクチンが提供されている感染症の病原ウイルスだけではなく、RSウイルス(RSV)等のワクチンが提供されていない感染症の病原ウイルスも含めて挙げられる。これらのウイルスの構造タンパク質又は非構造タンパク質の全部又は一部を選択して「他の微生物タンパク質」として、それをコードする遺伝子をORF3特定領域に組み込むことにより、ノロウイルスに対する免疫と共に、所望の他のウイルスの免疫を行うことが可能な多価ワクチンの有効成分としてのMPNVとすることができる。これらの他のウイルスの中でも、ノロウイルスと同じ腸管感染性のウイルスとすることが好適である。具体的には、ロタウイルス、サポウイルスアストロウイルス等が例示できる。

0026

上記細菌は特に限定されず、結核菌百日咳菌ジフテリア菌破傷風菌肺炎双球菌肺炎球菌インフルエンザ菌b型、髄膜炎菌腸チフス菌コレラ菌等が挙げられる。これらの菌体構成タンパク質の全部又は一部を選択して「他の微生物タンパク質」として、それをコードする遺伝子をORF3特定領域に組み込むことにより、ノロウイルスに対する免疫と共に、所望の細菌の免疫を行うことが可能な多価ワクチンの有効成分としてのMPNVとすることができる。

0027

本発明の生ワクチンは、VP2をコードするORF3特定領域に所定の変異を導入したノロウイルスを、ノロウイルス感受性細胞に感染させて、これを培養してノロウイルス粒子を抗原液として取得して、その有効成分とすることができる。これに必要に応じて、緩衝剤、安定剤、保存剤アジュバント等を添加して、生ワクチンとすることができる。これをバイアルアンプルシリンジ等の容器無菌充填される。その際、必要に応じて凍結乾燥処理を行うことも可能である。

0028

上述したノロウイルスのORF3にコードされるVP2の機能解析を実施するにあたり、ノロウイルスゲノムのうちゲノムの複製と粒子への内包に必要な核酸配列を決定するため、リバースジェネティックスの手法(核酸からウイルスを作り出す技術)を用いて検討を行った。ノロウイルスとしては、ネズミノロウイルス(murine norovirus; MNV)を用いた。

0029

VP2の機能を調べる場合、MNVの感染性クローンであるプラスミドpMNV−F(完全長の野生型MNVの遺伝子配列のcDNAを持ち、細胞内に導入すると野生型MNVの新生ウイルスを産生可能)のVP2コード領域であるORF3に単純に変異を導入することで検討を行った。

0030

先ずORF3の3'側の領域には、核酸としての機能と、翻訳された後のタンパク質としての機能が重複して存在する可能性が高いため、VP2の機能とその領域の核酸配列の機能を分けて調べなければならない。VP2に変異を導入するため、むやみに核酸配列を改変すると、VP2の機能と核酸配列の機能、どちらの影響で新生ウイルス生成ができなくなるのかを明らかにできない。そこで、ORF3に変異を入れた「pMNV−F−ORF3mutant」と、野生型のORF3だけを発現するベクター「pMNV−VP2」を調製し、これらをMNV感受性細胞内に同時導入(コトランスフェクション)して、pMNV−F−ORF3mutantからORF3領域に変異の入ったミュータントMNVゲノムを供給し、同時にpMNV−VP2から野生型のVP2をトランスに供給することで、MPNVが作出できるか否かを調べた。さらに、この過程で作出されたMPNVが、細胞に感染し、再びMPNV増殖を行う能力があるのか否かを調べるため、VP2とMNVレセプター定常的に発現し続ける細胞株を作出し、それにMPNVを感染させることで、ウイルスとしての感染増殖能力を検討した。

0031

(1)pMNV−F−ORF3mutantから、MNV−ORF3mutantゲノムが転写され、当該遺伝子変異によってMNV−ORF3mutantゲノムの複製機能が核酸配列レベルで損なわれないのであれば、細胞内にトランスに供給された野生型VP2の補完によって、当該変異遺伝子を内包したMPNVが産生される。

0032

(2)pMNV−F−ORF3mutantから、MNV−ORF3mutantゲノムが転写され、当該遺伝子変異によってMNV−ORF3mutantゲノムの複製機能が核酸配列レベルで損なわれているならば、細胞内にトランスに供給された野生型VP2が補完されても、当該変異遺伝子を内包したMPNVは産生されない。

0033

(3)さらに(1)で産生されたMPNVを、VP2を定常的に発現する、もしくは一過性に発現するMNV感受性細胞に感染させた場合、再びMPNVが産生される。

0034

(4)しかし、(1)で産生されたMPNVを、VP2を発現していないMNV感受性細胞に感染させた場合、(1)で産生されたMPNVは、細胞に感染して侵入し、自身の内包するMNV−ORF3mutantゲノムを細胞内に放出し、タンパク質を発現するが、機能を有するVP2が存在しないため、自身のMNV−ORF3mutantゲノムを複製することができず、再びMPNVが産生されることも無い。つまり、一度だけ感受性細胞内部にMNV−ORF3mutantゲノムを送り届け、それにコードされるタンパク質を発現させることができるいわば、本発明の生ワクチンの有効成分となり得るのである。

0035

以上(1)−(4)の検討を行うことにより、ORF3における欠失変異によるノロウイルスの複製機能における影響を解明し、遺伝子運搬ステムもしくは、半生ワクチンの可能性を見出す

0036

試験系の開示]
<材料>
1.MNV感受性細胞
MNV感受性細胞である、Huh751細胞は、Apath,LLC(1173A Second Avenue Suite 355 New York,NY10065−USA)とMTA(Material Transfer Agreement)を交わして、入手した。この細胞はHuh7細胞のインターフェロン誘導遺伝子欠損変異を持つ特殊なクローンであるが、CD300lf遺伝子を導入してMNV感染感受性細胞である「Huh751+CD300lf細胞」とした場合、MNV遺伝子の細胞内での安定性は、Huh751細胞がHuh7細胞を僅かに上回るため、本実施例においては、「Huh751+CD300lf細胞」を用いた。以下の(1)−(5)に、このMNV感受性細胞の作製方法について示した。

0037

(1)マウスのCD300lf分子のcDNAを合成し、レンチウイルスベクターに組み込み、組換えレンチウイルスを作製した。
(2)このCD300lf遺伝子を組み込んだ組換えレンチウイルスを、Huh751に感染させ、共発現させた薬剤耐性因子により、CD300lfを定常的に発現する細胞Huh751+CD300lfを得た。
(3)このHuh751+CD300lfをシングルセルクローニングし、Huh751+CD300lf clone 12−2細胞を得た。
(4)Huh751+CD300lf clone12−2細胞は、定常的にマウスCD300lfを発現するMNV感染感受性細胞であり、通常のMNVでは、10の9乗個ミリリットル以上のウイルスタイターのMNVを培養可能な細胞である。
(5)Huh751+CD300lf clone 12−2細胞に、更にMNV VP2遺伝子を上記の組換えレンチウイルスシステムを用いて導入し、定常的にMNV−VP2を発現する細胞Huh751+CD300lf+MNV−VP2細胞を得た。この細胞をMPNV産生などの試験に用いた。

0038

2.MNV(マウスノロウイルス)の野生型
本試験で用いた野生型MNVは、「GenBANK番号AB435515」として登録された塩基配列のMNVを用いた。

0039

また図1(配列番号1)に、MNVの全長のcDNAを持つインフェクシャスクローン(pMNV−F)の全塩基配列を示した。[図1−1、−2、−3、−4、−5]において、大文字はMNVの全長のcDNAを示しており、小文字は、ベクターとしての機能を司る部分であり、EF−1αプロモーターを含んでいる。

0040

3.VP2発現ベクターの作製
上記のpMNV−Fの大文字部分(MNVの全長cDNA)と、AB435515のORF3のVP2(配列番号2)をコードする塩基配列(DNA)をインフュージョンクローニングによって入れ替え、VP2発現ベクター(pKS−MNV VP2)とした。つまり、上記大文字部分からORF1とORF2は取り除かれ、ORF3が上記pMNV−Fの大文字部分と入れ替わって残ったものである。図2に、pKS−MNV VP2の概略図を示した。

0041

4.VP2欠損ゲノムが組み込まれたベクターの作製
ORF3の機能を解析するために、VP2をコードする遺伝子に種々の欠損変異や、タンパク質への翻訳を阻害する変異を導入した「VP2欠損ゲノム」を保有し、これを、上記のpKS−MNV VP2の「VP2をコードする部分」に置き換えたベクターを構築した。図3に、これらの変異の概略をアミノ酸配列で示した。図3の各変異断片の横方向の数字は、野生型のVP2のアミノ酸配列の番号である。

0042

図3において、実線部分はタンパク質を発現していることを示しており、点線部分は核酸配列のみ存在する(ストップコドンでタンパク質への翻訳が遮断されている)。Stopは、7番目と10番目のアミノ酸残基が、当該アミノ酸残基をコードするコドンを、ストップコドンTAGに置き換えた変異断片であることを示している。ΔNは、5’末端側の3アミノ酸残基MAGと106番目以降のSKSDAA以下208のアラニン残基までを直結させた変異VP2(言い換えれば4−105番目のアミノ酸残基を欠損した)をコードする変異断片であることを示している。ΔNstopは、ΔNと殆ど同じ塩基配列であるが、106番目、108番目のアミノ酸残基をコードするSコドン(TCGAAG TCGのアンダーライン部分)をストップコドンに置き換えた(TAG AAG TAG)ことにより、TAG AAG TAGの最初のストップコドン以降がタンパク質へ翻訳されない、欠損VP2をコードする変異断片である。以下、同様に、ΔMは、中盤(52−157番目のアミノ酸残基)が欠損したVP2をコードする変異断片、ΔMstopは、5'側(7番目と10番目のアミノ酸残基)のストップコドンへの置き換えにより、殆どの核酸がタンパク質への翻訳が遮断されている変異断片である。ΔCは、3’末端側(114番目以降のアミノ酸残基をコードする塩基配列)の欠損変異であり、ΔCstopは、これに加えて5’側のストップコドン(7番目と10番目のアミノ酸残基)のストップコドンへの置き換えにより、殆どの核酸がタンパク質への翻訳が遮断されている変異断片である。ΔはVP2核酸配列、タンパク質配列のほぼ全欠損変異体である。

0043

以下にこれらの変異断片を含むベクターを、その作製工程の概略と共に記載する。

0044

(1)pMNV−F_VP2 STOP
pMNV−F_VP2 STOPは、pMNV−FのORF3領域の配列(1番目のメチオニン残基をコードするATGから、アラニン残基をコードするGCAの下流のストップコドンTAGまで)を、アミノ酸座位7番目と10番目のコドンをストップコドンTAGに改変した(□で囲った)下記の配列をDNA合成装置で合成して、インフュージョンクローニングによって入れ替えたクローンである(図4:配列番号3)。

0045

(2)pMNV−F_VP2 deltaN
pMNV−F_VP2 deltaN(pMNV−F_VP2ΔN)は、pMNV−FのORF3領域の配列を図5(配列番号4)の配列に、インフュージョンクローニングによって入れ替えたクローンである。図5において、(−−−−−−)の部分は核酸配列を欠損させた部分であり、実際はATGGCT GGTをAAG TCGGATに直結させた配列をDNA合成装置で合成して入れ替えに用いた。

0046

(3)pMNV−F_VP2 deltaNstop
pMNV−F_VP2 deltaNstop(pMNV−F_VP2ΔNstop)は、pMNV−FのORF3領域の配列を図6(配列番号5)の配列に、インフュージョンクローニングによって入れ替えたクローンである。図6において、(−−−−−−)の部分は核酸配列を欠損させた部分であり、pMNV−F_VP2ΔNの配列と同様に作製した。ただし、106、108番目のアミノ酸残基に対応するSコドン(TCGAAG TCGのアンダーライン部分)をストップコドンに置き換えた(TAG AAG TAG)。

0047

(4)pMNV−F_VP2 deltaM
pMNV−F_VP2 deltaM(pMNV−F_VP2ΔM)は、pMNV−FのORF3領域の配列を図7(配列番号6)の配列に、インフュージョンクローニングによって入れ替えたクローンである。図7において、(−−−−−−)の部分は核酸配列を欠損させた部分であり、実際はCAAGCCCAGをTCAGGTGGCに直結させた配列をDNA合成装置で合成して入れ替えに用いた。

0048

(5)pMNV−F_VP2 deltaMstop
pMNV−F_VP2 deltaMstop(pMNV−F_VP2ΔMstop)は、pMNV−FのORF3領域の配列を図8(配列番号7)の配列に、インフュージョンクローニングによって入れ替えたクローンである。図8において、(−−−−−−)の部分は核酸配列を欠損させた部分であり、実際はCAAGCCCAGをTCAGGTGGCに直結させた配列である。さらに、アミノ酸座位7番目と10番目のコドンをストップコドンTAGに置き換えた(□で囲った)。これをDNA合成装置で合成して入れ替えに用いた。

0049

(6)pMNV−F_VP2 deltaC
pMNV−F_VP2 deltaC(pMNV−F_VP2ΔC)は、pMNV−FのORF3領域の配列を図9(配列番号8)に、インフュージョンクローニングによって入れ替えたクローンである。図9において、(−−−−−−)の部分は核酸配列を欠損させた部分であり、実際はCGCCTTGCCをAGCAGGGCATAGに直結させた配列をDNA合成装置で合成して入れ替えに用いた。

0050

(7)pMNV−F_VP2 deltaCstop
pMNV−F_VP2 deltaCstop(pMNV−F_VP2ΔCstop)は、pMNV−FのORF3領域の配列を図10(配列番号9)の配列に、インフュージョンクローニングによって入れ替えたクローンである。図10において、(−−−−−−)の部分は核酸配列を欠損させた部分であり、実際はCGCCTTGCCをAGCAGGGCATAGに直結させた配列である。さらに、7番目と10番目のアミノ酸残基のコドンをストップコドンTAGに改変した(□で囲った)に入れ替えた。これをDNA合成装置で合成して入れ替えに用いた。

0051

(8)pMNV−F_VP2 delta
pMNV−F_VP2 delta(pMNV−F_VP2Δ)は、pMNV−FのORF3領域の配列を図11(配列番号10)の配列に、インフュージョンクローニングによって入れ替えたクローンである。図11において、(−−−−−−)の部分は核酸配列を欠損させた部分であり、これをDNA合成装置で合成して入れ替えに用いた。

0052

<方法>
1.VP2に変異を導入したゲノムを内包する新生ウイルス粒子(MPNV)の調製(図12
VP2を細胞内に一時的に供給して、ORF3(VP2コード領域)に変異を導入したゲノムを内包する新生ウイルス粒子を作出するため、「<材料>4.(1)−(8)」に示したMNV−ORF3mutantゲノム供給用ベクター「pMNV−F_VP2」(pMNV−F_VP2 STOP等)それぞれと、VP2発現用ベクター「pKS−MNV VP2」を同時に、HEK293T細胞にトランスフェクションして、48時間のインキュベートの後、上清に含まれるMPNVを回収した。

0053

2.MPNVの感染試験
上記MPNVは、VP2を定常的に発現し、かつMNVレセプターCD300lfも定常的に発現する「Huh751+CD300lf+VP2 clone12−2細胞」に感染させることでMPNVの複製増殖が可能である。しかし、MNVレセプターCD300lfを定常的に発現するHuh751+CD300lfや、本来の感染感受性細胞であるRAW264.7細胞は、VP2の産生能は無く、発現するVP2に欠陥がある、又は、VP2が発現しないMPNVは複製増殖することができないのが原則である筈である。

0054

本感染試験の手順は、下記の通りである。
(1)それぞれの変異がVP2遺伝子に導入されたMPNVを、「Huh751+CD300lf+VP2 clone12−2細胞」に感染させ、48時間のインキュベートを行い、上清を回収した。
(2)回収した1回目培養上清に含まれるMPNVは、再び新たに培養して準備した「Huh751+CD300lf+VP2 clone12−2細胞」に感染させ、48時間のインキュベートを行い、2回目の培養上清を回収した。
(3)回収した2回目の培養上清を「Huh751+CD300lf細胞」(VP2は発現していない)に感染させ、48時間のインキュベートを行い、3回目の培養上清を回収した。
(4)回収した3回目の培養上清を、再び「Huh751+CD300lf細胞」(VP2は発現していない)に感染させ、48時間のインキュベートを行い、3回目の培養上清を回収した。

0055

細胞のMPNVの感染は、感染後48時間のインキュベートを行ったそれぞれの細胞を、パラホルムアルデヒドで固定し、抗MNV N−terminal protein 抗体による免疫染色を実施して確認した。

0056

結果を表1に示す。

0057

0058

(a)pMNV−F(野生型MNVのインフェクシャスクローン)は、VP2発現用ベクターとコトランスフェクションせずとも、自らの野生型ゲノムよりVP2を産生するため、野生型MNVを培養上清に産生する。従って、pKS−MNV VP2とのコトランスフェクションでも野生型MNVを効率良く産生したため、表1(1)が(+++)であった。同(1)でMNVが効率良く増殖したため、同(2)も(+++)であった。2回目の感染で増殖した野生型MNVは、自身がORF3にコードするVP2を発現可能であり、自己供給できるため、「Huh751+CD300lf細胞」(VP2は発現していない)に感染しても、増殖が可能であり、同(3)で(+++)を示した。さらに、同(4)でも同様の結果となった。

0059

(b)Stop、deltaN、deltaNstopは、pKS−MNV VP2とのコトランスフェクションしたときのみ、MPNVを産生し、表1(1)が(++)ないし(+++)を示した。pKS−MNV VP2とコトランスフェクションを行わない場合、VP2が供給されない状態になるため、MPNVは産生されなかった(表示せず)。同(1)と(2)では、「Huh751+CD300lf+VP2 clone12−2細胞」を用いたため、この細胞内で定常的に発現しているVP2がトランスに供給され、MPNVが増殖培養されたことにより、全て(+++)を示した。同(3)では、2回目の感染で増殖したMPNVが培養上清中に存在するため、そのMPNVが「Huh751+CD300lf細胞」(VP2は発現していない)に感染して、変異ゲノムを細胞内に送り込むため、(+++)を示した。しかし、同(4)では、3回目の培養上清にはMPNVが産生されないため、持ち越された2回目の培養上清に存在したウイルスが僅かに感染したものの、感染細胞激しく減少し、僅かに(+)を示した。表示外であるが、4回目の培養上清をHuh751+CD300lf細胞(VP2は発現していない)に感染させた場合は、全て(−)となった。

0060

(c)deltaMとdeltaMstopは、pKS−MNV VP2とのコトランスフェクションしたときのみ、MPNVを産生し、表1(1)は(+)ないし(++)を示した。pKS−MNV VP2とコトランスフェクションを行わない場合、VP2が供給されない状態になるため、MPNVは産生されなかった(表示せず)。同(1)と(2)では、「Huh751+CD300lf+VP2 clone12−2細胞」を用いたため、この細胞内で定常的に発現しているVP2がトランスに供給され、MPNVが増殖培養されたことにより、(+)ないし(++)を示した。同(3)では、deltaMstopのみ2回目の感染で増殖したMPNVが培養上清中に存在するため、そのMPNVがHuh751+CD300lf細胞(VP2は発現していない)に感染して、変異ゲノムを細胞内に送り込むため、(+)を示した。しかし、同(4)では、3回目の培養上清にはMPNVが産生されないため、持ち越された2回目の培養上清に存在したウイルスが僅かに感染した結果、感染細胞は激しく減少し、僅かに(+)を示したのみであった。表示外であるが、4回目の培養上清をHuh751+CD300lf細胞(VP2は発現していない)に感染させた場合、全て(−)となった。一方deltaMは、deltaMstopよりもMPNV産生量が少なく、同(3)以降全て(−)となった。

0061

(d)deltaC、deltaCstop、deltaは、pKS−MNV VP2とコトランスフェクションしても、MPNVを産生できず、表1(1)から(4)まで全て(−)を示した。

0062

(e)ネガティブコントロールとして用いた、pMNV−F(野生型MNVのインフェクシャスクローン)のRNA依存的RNAポリメラーゼ活性中心欠失させたRdRp変異体(pMNV−FdeltaRdRp)は、自ら複製することができず、表1(1)から(4)まで全て(−)を示した。

0063

上記の結果を検討する。特に、delta Mにおいて、VP2がトランス供給される場合はMPNVの産生が可能となることから、ORF3(VP2)の208アミノ酸コード領域のうち、N末端側4アミノ酸から153アミノ酸コード領域までを失った場合でも、MPNV産生能力が保持されていることが分かった(ORF3特定領域に該当する)。逆にdeltaCに関する結果から、154番目のアミノ酸から206番目のアミノ酸をコードするコドンまでの間の核酸配列は、ゲノム遺伝子の複製又はウイルス粒子へのパッケージングに必要な領域であり、核酸配列の欠損が致死的になることが明らかになった。

0064

また、MPNVは、VP2をトランス供給すると細胞内でVP2変異ゲノムを複製し、最終的に当該変異ゲノムをウイルス粒子内にパッケージしてMPNVを産生することが可能だが、産生されたMPNVは、VP2がトランス供給されない細胞、すなわち通常のノロウイルス感受性細胞に対しては一度だけしか感染できず、その後、MPNVの産生はなされないことが明らかになった。

0065

すなわち、所定のVP2変異ゲノムを内包した新生ウイルスMPNVは、一度だけ感染することで宿主に野生型ウイルスと同じように免疫を惹起できるが、MPNVを新たに産生することができない、高度弱毒化生ワクチンの有効成分としての有用性が明らかになった。

0066

3.ORF3特定領域に外来性タンパク質遺伝子を組み込んだMPNV
次に、ORF3特定領域に外来性タンパク質を組み込んだ場合のMPNVの振る舞いについて検討する。

0067

外来性タンパク質遺伝子として、蛍光タンパク質遺伝子を用いた。蛍光タンパク質遺伝子を組み込んだ領域は、deltaNstopの欠損領域(N末端側4番目のアミノ酸残基から105アミノ酸残基のコード領域)、deltaMstopの欠損領域(N末端側4番目のアミノ酸残基から156アミノ酸残基のコード領域)で、蛍光タンパク質遺伝子として、UnaG[(Cell 153, 1602-1611, June 20, 2013)ニホンウナギ由来の緑色蛍光タンパク質:414塩基、139アミノ酸]組み込まれたベクター(最初のATGを除く)を作製した。さらにこれとは別に、GFP高輝度変異体であるVENUS[(生物物理42(6),305−308(2002))717塩基、239アミノ酸]組み込まれたベクター(最初のATGを除く)を作製した。

0068

これらのベクターとpKS−MNV−VP2を、上記の要領図12参照)でコトランスフェクションして、外来性の蛍光タンパク質遺伝子を内包したMPNVの作製と感染実験を実施した。

0069

方法は、上記したMPNVの作製と感染試験と同様である。ただし、組み込んだ遺伝子が蛍光たんぱく質遺伝子であるため、免疫染色は実施せず、蛍光たんぱく質の発色を検出して、結果を検討した。

0070

結果としては、2種類の蛍光タンパク質遺伝子を内包したMPNVの作製は成功し、上記の感染試験と同様に、当該MPNVが一度だけノロウイルス感受性細胞に感染可能であり、当該細胞内に組み込んだ蛍光タンパク質を発現させることができることを確認した。

実施例

0071

従って、これらの蛍光タンパク質に代えて、ノロウイルス以外のウイルスタンパク質遺伝子(構造タンパク質であっても、非構造タンパク質であっても良い)をORF3特定領域に組み込み、MPNVとして産生させると、高度弱毒化多価生ワクチンの有効成分として利用可能であることが示された。

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