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技術 淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのプライマーセット、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのプライマーセット、及びそれらの使用

出願人 学校法人埼玉医科大学国立感染症研究所長学校法人日本大学
発明者 前田卓哉早川直樽本憲人今井一男酒井純村上孝前崎繁文大西真志牟田健早川智
出願日 2019年9月26日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-175273
公開日 2021年4月1日 (3ヶ月経過) 公開番号 2021-048812
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 推奨温度 設計支援ソフト 薬剤感受性検査 蛍光インターカレーター 鎖置換型DNAポリメラーゼ 評価用キット DNAジャイレース 遺伝子抽出
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図面 (17)

課題

淋菌DNAジャイレースサブユニットAの83番目アミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を判定するプライマーセットの提供。

解決手段

LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するための、特定の配列を有するプライマーセットであって、淋菌の同定と、フルオロキノロンに対する耐性関連遺伝子の有無、及び、フルオロキノロンに対する感受性の有無とを迅速かつ同時に判定できる。

概要

背景

性感染症(Sexually Transmitted Infections; STI)の1つである淋菌感染症は、フルオロキノロンを含む様々な抗菌薬耐性を獲得した薬剤耐性株が世界中で爆発的に広がっており、患者にとって大きな脅威となっている。その一方で、臨床現場において薬剤感受性検査を行い、最適な抗菌薬治療を選択することは極めて困難な状況である。

現在の培養法並びにPCR法による検査では、淋菌の同定及び薬剤感受性情報が判定できるまでに長い時間を要する。具体的には、培養法では淋菌の分離培養に1日〜2日が必要であり、薬剤感受性検査には最短でも更に1日必要である。また、PCR法では遺伝子の抽出・増幅に3時間〜4時間を必要とし、増幅産物シーケンス解析には通常1日〜2日を必要とする。

これまでに、簡易的な遺伝子抽出特異的プライマーにより淋菌を迅速に検出する方法として、LAMP法を用いた遺伝子検査が提案されている(例えば、非特許文献1〜2参照)。しかしながら、前記提案では、フルオロキノロンに対する感受性に関わる遺伝子変異の有無を区別してLAMP反応を引き起こし、フルオロキノロン感受性淋菌とフルオロキノロン耐性淋菌とを区別して検出することは不可能であった。

そのため、淋菌感染症を迅速に診断し、同時にフルオロキノロンに対する感受性に基づいた治療を開始することは技術的に困難であり、ほぼ全ての症例で、耐性化が進行するセフトリアキソンによる治療が盲目的に実施されているのが現状である。

また、淋菌感染症を含めたSTIは小規模医療機関で診断・治療される機会が多いことからも、迅速かつ簡易的に病原体を検出し、その薬剤に対する感受性を同時に判定できる迅速検査技術の開発が急務である。

概要

淋菌のDNAジャイレースサブユニットAの83番目アミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を判定するプライマーセットの提供。LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するための、特定の配列を有するプライマーセットであって、淋菌の同定と、フルオロキノロンに対する耐性関連遺伝子の有無、及び、フルオロキノロンに対する感受性の有無とを迅速かつ同時に判定できる。なし

目的

本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ループ介在等温増幅法LAMP法)により、淋菌DNAジャイレースサブユニットAの83番目アミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのプライマーセットであって、下記(i)〜(iv)のプライマーを含むことを特徴とするプライマーセット:(i)下記配列番号:1で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:・5’−CGGCACGCATCGGTAA−3’(配列番号:1)(ii)下記配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:・5’−AGATTTTCGCCATGCGGATT−3’(配列番号:2)(iii)下記式(1)で表されるプライマー:・5’−(A)−(B)−(C)−3’(式(1))前記式(1)中、前記(A)は、下記配列番号:3で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(B)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(C)は、(c−1)下記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、(c−2)下記配列番号:5で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:5で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、及び(c−3)下記配列番号:6で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:6で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列のいずれかを表す:・5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCA−3’(配列番号:3)・5’−ACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:4)・5’−ACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:5)・5’−ACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:6)(iv)下記式(2)で表されるプライマー:・5’−(D)−(E)−(F)−3’(式(2))前記式(2)中、前記(D)は、下記配列番号:7で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(E)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(F)は、下記配列番号:8で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す:・5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGC−3’(配列番号:7)・5’−GGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:8)。

請求項2

前記(iii)の式(1)で表されるプライマーにおける(C)が、(c−1)前記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ前記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列である請求項1に記載のプライマーセット。

請求項3

前記(iii)の式(1)で表されるプライマーにおける(C)が、前記配列番号:4で表される塩基配列である請求項2に記載のプライマーセット。

請求項4

淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出する方法であって、請求項1から3のいずれかに記載のプライマーセットを用いて、試料中の核酸鋳型として、LAMP法によってDNAの増幅反応を行う増幅反応工程と、前記増幅反応工程において、増幅産物が得られた場合は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異が無く、増幅産物が得られなかった場合は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異が有ると評価する評価工程とを含むことを特徴とする方法。

請求項5

LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのプライマーセットであって、下記(i)〜(iv)のプライマーを含むことを特徴とするプライマーセット:(i)下記配列番号:1で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:・5’−CGGCGACGTCATCGGTAA−3’(配列番号:1)(ii)下記配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:・5’−AGATTTTCGCCATGCGGATT−3’(配列番号:2)(iii)下記式(1)で表されるプライマー:・5’−(A)−(B)−(C)−3’(式(1))前記式(1)中、前記(A)は、下記配列番号:3で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(B)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(C)は、(c−1)下記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、(c−2)下記配列番号:5で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:5で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、及び(c−3)下記配列番号:6で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:6で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列のいずれかを表す:・5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCA−3’(配列番号:3)・5’−ACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:4)・5’−ACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:5)・5’−ACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:6)(iv)下記式(2)で表されるプライマー:・5’−(D)−(E)−(F)−3’(式(2))前記式(2)中、前記(D)は、下記配列番号:7で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(E)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(F)は、下記配列番号:8で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す:・5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGC−3’(配列番号:7)・5’−GGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:8)。

請求項6

前記(iii)の式(1)で表されるプライマーにおける(C)が、(c−1)前記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ前記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列である請求項5に記載のプライマーセット。

請求項7

前記(iii)の式(1)で表されるプライマーにおける(C)が、前記配列番号:4で表される塩基配列である請求項5に記載のプライマーセット。

請求項8

淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法であって、請求項5から7のいずれかに記載のプライマーセットを用いて、試料中の核酸を鋳型として、LAMP法によってDNAの増幅反応を行う増幅反応工程と、前記増幅反応工程において、増幅産物が得られた場合は、淋菌がフルオロキノロンに対する感受性を有し、増幅産物が得られなかった場合は、淋菌がフルオロキノロンに対する感受性を有さないと評価する評価工程とを含むことを特徴とする方法。

請求項9

LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのキットであって、請求項1から3のいずれかに記載のプライマーセットを含むことを特徴とするキット。

請求項10

LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのキットであって、請求項5から7のいずれかに記載のプライマーセットを含むことを特徴とするキット。

技術分野

0001

本発明は、ループ介在等温増幅法(Loop−Mediated Isothermal Amplification;LAMP法)により、淋菌DNAジャイレースサブユニットAの83番目アミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのプライマーセット、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出する方法、LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのプライマーセット、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法、LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのキット、及びLAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのキットに関する。

背景技術

0002

性感染症(Sexually Transmitted Infections; STI)の1つである淋菌感染症は、フルオロキノロンを含む様々な抗菌薬耐性を獲得した薬剤耐性株が世界中で爆発的に広がっており、患者にとって大きな脅威となっている。その一方で、臨床現場において薬剤感受性検査を行い、最適な抗菌薬治療を選択することは極めて困難な状況である。

0003

現在の培養法並びにPCR法による検査では、淋菌の同定及び薬剤感受性情報が判定できるまでに長い時間を要する。具体的には、培養法では淋菌の分離培養に1日〜2日が必要であり、薬剤感受性検査には最短でも更に1日必要である。また、PCR法では遺伝子の抽出・増幅に3時間〜4時間を必要とし、増幅産物シーケンス解析には通常1日〜2日を必要とする。

0004

これまでに、簡易的な遺伝子抽出特異的プライマーにより淋菌を迅速に検出する方法として、LAMP法を用いた遺伝子検査が提案されている(例えば、非特許文献1〜2参照)。しかしながら、前記提案では、フルオロキノロンに対する感受性に関わる遺伝子変異の有無を区別してLAMP反応を引き起こし、フルオロキノロン感受性淋菌とフルオロキノロン耐性淋菌とを区別して検出することは不可能であった。

0005

そのため、淋菌感染症を迅速に診断し、同時にフルオロキノロンに対する感受性に基づいた治療を開始することは技術的に困難であり、ほぼ全ての症例で、耐性化が進行するセフトリアキソンによる治療が盲目的に実施されているのが現状である。

0006

また、淋菌感染症を含めたSTIは小規模医療機関で診断・治療される機会が多いことからも、迅速かつ簡易的に病原体を検出し、その薬剤に対する感受性を同時に判定できる迅速検査技術の開発が急務である。

先行技術

0007

Liu ML, Xia Y, Wu XZ, Huang JQ, Guo XG. Loop−mediated isothermal amplification of Neisseria gonorrhoeae porA pseudogene: a rapid and reliable method to detect gonorrhea. AMB Express. 2017 Dec;7(1):48.
EdwardsT, Burke PA, Smalley HB, Gillies L, Hobbs G. Loop−mediated isothermal amplification test for detection of Neisseria gonorrhoeae in urine samples and tolerance of the assay to the presence of urea. J Clin Microbiol 2014 Jun;52(6):2163−5.

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、迅速かつ簡易的に淋菌を検出し、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無、及び淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を判定することができるプライマーセット、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出する方法及び検出用キット、並びに淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法及び評価用キットを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、特定のプライマーセットを用いたLAMP法により、フルオロキノロン感受性淋菌でのみLAMP反応が陽性となり、淋菌の同定と、フルオロキノロンに対する耐性関連遺伝子の有無及びフルオロキノロンに対する感受性の有無とを迅速かつ同時に判定できることを知見した。

0010

前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1>LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのプライマーセットであって、下記(i)〜(iv)のプライマーを含むことを特徴とするプライマーセットである。
(i) 下記配列番号:1で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:
・ 5’−CGGCACGCATCGGTAA−3’(配列番号:1)
(ii) 下記配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:
・ 5’−AGATTTTCGCCATGCGGATT−3’(配列番号:2)
(iii) 下記式(1)で表されるプライマー:
・ 5’−(A)−(B)−(C)−3’(式(1))
前記式(1)中、前記(A)は、下記配列番号:3で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(B)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(C)は、(c−1)下記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、(c−2)下記配列番号:5で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:5で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、及び(c−3)下記配列番号:6で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:6で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列のいずれかを表す。
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCA−3’(配列番号:3)
・ 5’−ACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:4)
・ 5’−ACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:5)
・ 5’−ACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:6)
(iv) 下記式(2)で表されるプライマー:
・ 5’−(D)−(E)−(F)−3’(式(2))
前記式(2)中、前記(D)は、下記配列番号:7で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(E)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(F)は、下記配列番号:8で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す。
・ 5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGC−3’(配列番号:7)
・ 5’−GGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:8)
<2> 淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出する方法であって、
前記<1>に記載のプライマーセットを用いて、試料中の核酸鋳型として、LAMP法によってDNAの増幅反応を行う増幅反応工程と、
前記増幅反応工程において、増幅産物が得られた場合は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異が無く、増幅産物が得られなかった場合は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異が有ると評価する評価工程とを含むことを特徴とする方法である。
<3> LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのプライマーセットであって、下記(i)〜(iv)のプライマーを含むことを特徴とするプライマーセットである。
(i) 下記配列番号:1で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:
・ 5’−CGGCGACGTCATCGGTAA−3’(配列番号:1)
(ii) 下記配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:
・ 5’−AGATTTTCGCCATGCGGATT−3’(配列番号:2)
(iii) 下記式(1)で表されるプライマー:
・ 5’−(A)−(B)−(C)−3’(式(1))
前記式(1)中、前記(A)は、下記配列番号:3で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(B)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(C)は、(c−1)下記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、(c−2)下記配列番号:5で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:5で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、及び(c−3)下記配列番号:6で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:6で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列のいずれかを表す。
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCA−3’(配列番号:3)
・ 5’−ACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:4)
・ 5’−ACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:5)
・ 5’−ACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:6)
(iv) 下記式(2)で表されるプライマー:
・ 5’−(D)−(E)−(F)−3’(式(2))
前記式(2)中、前記(D)は、下記配列番号:7で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(E)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(F)は、下記配列番号:8で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す。
・ 5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGC−3’(配列番号:7)
・ 5’−GGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:8)。
<4> 淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法であって、
前記<3>に記載のプライマーセットを用いて、試料中の核酸を鋳型として、LAMP法によってDNAの増幅反応を行う増幅反応工程と、
前記増幅反応工程において、増幅産物が得られた場合は、淋菌がフルオロキノロンに対する感受性を有し、増幅産物が得られなかった場合は、淋菌がフルオロキノロンに対する感受性を有さないと評価する評価工程とを含むことを特徴とする方法である。
<5> LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのキットであって、
前記<1>に記載のプライマーセットを含むことを特徴とするキットである。
<6> LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのキットであって、
前記<3>に記載のプライマーセットを含むことを特徴とするキットである。

発明の効果

0011

本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、迅速かつ簡易的に淋菌を検出し、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無、及び淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を判定することができるプライマーセット、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出する方法及び検出用キット、並びに淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法及び評価用キットを提供することができる。

図面の簡単な説明

0012

図1Aは、試験例1−2におけるLAMP反応の結果を示す図である。
図1Bは、試験例1−3におけるLAMP反応の結果を示す図である。
図2Aは、試験例2−1におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン感受性淋菌;配列番号:10で表される塩基配列のFIPプライマーを使用)。
図2Bは、試験例2−1におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン耐性淋菌;配列番号:10で表される塩基配列のFIPプライマーを使用)。
図2Cは、試験例2−1におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン感受性淋菌;配列番号:11で表される塩基配列のFIPプライマーを使用)。
図2Dは、試験例2−1におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン耐性淋菌;配列番号:11で表される塩基配列のFIPプライマーを使用)。
図2Eは、試験例2−1におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン感受性淋菌;配列番号:12で表される塩基配列のFIPプライマーを使用)。
図2Fは、試験例2−1におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン耐性淋菌;配列番号:12で表される塩基配列のFIPプライマーを使用)。
図2Gは、試験例2−2におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン感受性淋菌)。
図2Hは、試験例2−2におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン耐性淋菌)。
図2Iは、試験例2−3におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン感受性淋菌;プライマーセット−2を使用)。
図2Jは、試験例2−3におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン感受性淋菌;プライマーセット−2−Aを使用)。
図2Kは、試験例2−3におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン感受性淋菌;プライマーセット−2−Bを使用)。
図2Lは、試験例2−3におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン耐性淋菌;プライマーセット−2を使用)。
図2Mは、試験例2−3におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン耐性淋菌;プライマーセット−2−Aを使用)。
図2Nは、試験例2−3におけるLAMP反応の結果を示す図である(フルオロキノロン耐性淋菌;プライマーセット−2−Bを使用)。
図3は、試験例5におけるLAMP反応の結果を示す図である。

0013

(淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのプライマーセット)
本発明の、LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのプライマーセット(以下、「変異検出用プライマーセット」と称することがある。)は、下記(i)〜(iv)のプライマーを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。

0014

<LAMP法>
LAMP法は、4種類〜6種類のプライマーを用いて、等温反応により標的遺伝子を増幅し、反応液濁度によって標的遺伝子の存在を検出する遺伝子増幅法である(例えば、国際公開第2000/028082号参照)。LAMP法は、等温反応であることから簡単な装置で実施することができ、また、肉眼で結果を判断することができることから、臨床検査で使用することも可能である。

0015

LAMP法では、2本鎖の鋳型核酸の塩基配列に6つの領域を規定し、これらの領域の塩基配列に基づいてプライマーを設計する。より具体的には、鋳型核酸の一方の鎖の3’末端側から5’末端側方向に、順にF3c、F2c、F1cという領域と、同一鎖の5’末端側から3’末端側方向に、順にB3、B2、B1という領域をそれぞれ規定する。そして、これらの領域の塩基配列に基づいて、FIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマー、B3プライマーと呼ばれる4種類のプライマーを設計する。

0016

前記FIPプライマーは、前記F2c領域と相補的な塩基配列であるF2領域の塩基配列を3’末端側に持ち、5’末端側にF1c領域の塩基配列と同じ塩基配列を持つように設計する。
前記F3プライマーは、前記F3c領域と相補的な塩基配列であるF3領域の塩基配列を持つように設計する。
前記BIPプライマーは、前記B2領域の塩基配列を3’末端側に持ち、5’末端側に前記B1領域と相補的な塩基配列であるB1c領域の塩基配列を持つように設計する。
前記B3プライマーは、前記B3領域の塩基配列を持つように設計する。

0017

LAMP法においては、上記したFIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマー、B3プライマーの4種類のプライマーに加えて、LFプライマー、LBプライマーと呼ばれるプライマー(以下、「ループプライマー」と称することがある。)を用いることができる。
前記LFプライマーは、前記F1c領域と相補的な塩基配列であるF1領域と、前記F2領域との間の塩基配列に相補的な塩基配列を持つように設計する。前記LBプライマーは、前記B1領域と、前記B2領域との間の塩基配列に相補的な塩基配列を持つように設計する。これらのプライマーを追加で用いることにより、LAMP法による核酸増幅における核酸合成の起点が増加し、反応時間の短縮と検出感度の上昇が可能となる。前記LFプライマー、前記LBプライマーは、例えば、設計支援ソフト(http://primerexplorer.jp/)などを利用して設計することができる。

0018

本明細書において、LAMP法は、RT−LAMP(Reverse transcription−Loop−mediated isothermal amplification)法を含む意味で用いられる。RT−LAMP法においては、逆転写反応と、LAMP反応とを同時に行うことによって、RNAを鋳型として核酸の増幅を行う。

0019

<淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異>
淋菌のフルオロキノロンに対する耐性は、主にDNAジャイレースのサブユニットA(gyrA)をコードする遺伝子(アクセッション番号:U08817.1(GeneBank)における83番目のアミノ酸(Ser)をコードする塩基配列(TCC)及び87番目のアミノ酸(Asp)をコードする塩基配列(GAC)のミスセンス変異により生じることが報告されている(Deguchi T et al. Antimicrob Agents Chemother, 1995)。しかも、国内分離株のほぼ全ては、83番目のアミノ酸(Ser)をコードする塩基配列(TCC)における遺伝子変異(一塩基変異)により生じる(Ser(TCC)→Phe(TTC))。
以上の事実を鑑み、本発明では、上記した83番目のアミノ酸(Ser)をコードする塩基配列(TCC)を含む遺伝子領域を増幅することができるプライマーセットを設計し、かつ上記した83番目のアミノ酸(Ser)をコードする塩基配列(TCC)における2番目の塩基である「C」の遺伝子変異(一塩基変異)の有無を精緻に区別してLAMP反応を引き起こす系を開発した。
本発明のプライマーセットを用いたLAMP反応によれば、フルオロキノロン感受性淋菌(83番目のアミノ酸がSer(TCC))でのみLAMP反応が陽性となり、淋菌の同定と、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性を迅速かつ同時に判定することができる。

0020

<(i)のプライマー>
前記(i)のプライマー(以下、「F3プライマー」と称することがある。)は、下記配列番号:1で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマーである。
・ 5’−CGGCGACGTCATCGGTAA−3’(配列番号:1)

0021

前記(i)のプライマーとしては、前記配列番号:1で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配列同一性が少なくとも80%の塩基配列からなるプライマーが好ましく、前記配列同一性が少なくとも85%の塩基配列からなるプライマーがより好ましく、前記配列同一性が少なくとも90%の塩基配列からなるプライマーが更に好ましく、前記配列同一性が少なくとも95%の塩基配列からなるプライマーが特に好ましい。前記好ましい態様であると、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、有利である。

0022

本明細書において、対象の配列における塩基と同一でない部分の塩基としては、対象の配列において、置換欠失、挿入、又は付加したものが挙げられ、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、置換、欠失、挿入、又は付加の位置及び塩基の数としても、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0023

<(ii)のプライマー>
前記(ii)のプライマー(以下、「B3プライマー」と称することがある。)は、下記配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマーである。
・ 5’−AGATTTTCGCCATGCGGATT−3’(配列番号:2)

0024

前記(ii)のプライマーとしては、前記配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配列同一性が少なくとも80%の塩基配列からなるプライマーが好ましく、前記配列同一性が少なくとも85%の塩基配列からなるプライマーがより好ましく、前記配列同一性が少なくとも90%の塩基配列からなるプライマーが更に好ましく、前記配列同一性が少なくとも95%の塩基配列からなるプライマーが特に好ましい。前記好ましい態様であると、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、有利である。

0025

<(iii)のプライマー>
前記(iii)のプライマー(以下、「FIPプライマー」と称することがある。)は、下記式(1)で表されるプライマーである。
・ 5’−(A)−(B)−(C)−3’(式(1))

0026

前記式(1)中、前記(A)は前記F1c領域に該当し、下記配列番号:3で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す。
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCA−3’(配列番号:3)

0027

前記(A)の塩基配列としては、前記配列番号:3で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配列同一性が少なくとも80%の塩基配列が好ましく、前記配列同一性が少なくとも85%の塩基配列がより好ましく、前記配列同一性が少なくとも90%の塩基配列が更に好ましく、前記配列同一性が少なくとも95%の塩基配列が特に好ましい。前記好ましい態様であると、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、有利である。

0028

前記式(1)中、前記(B)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表す。

0029

前記式(1)中、前記(C)は前記F2領域に該当し、下記(c−1)〜(c−3)で表される塩基配列のいずれかを表す。これらの中でも、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、(c−1)で表される塩基配列が好ましい。

0030

(c−1) 下記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基(3’末端の塩基を1番目とする。)を保持し、かつ下記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列。
・ 5’−ACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:4)
上記配列番号:4において下線を付した塩基は、上記した保持される塩基を表す。

0031

前記(c−1)の塩基配列としては、前記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ前記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配列同一性が少なくとも80%の塩基配列が好ましく、前記配列同一性が少なくとも85%の塩基配列がより好ましく、前記配列同一性が少なくとも90%塩基配列が更に好ましく、前記配列同一性が少なくとも95%の配列同一性を有する塩基配列が特に好ましい。前記好ましい態様であると、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、有利である。

0032

前記(c−1)は、前記配列番号:4で表される塩基配列であることが、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、好ましい。

0033

(c−2) 下記配列番号:5で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基(3’末端の塩基を1番目とする。)を保持し、かつ下記配列番号:5で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列
・ 5’−ACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:5)
上記配列番号:5において下線を付した塩基は、上記した保持される塩基を表す。

0034

前記(c−2)の塩基配列としては、前記配列番号:5で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ前記配列番号:5で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配列同一性が少なくとも80%の塩基配列が好ましく、前記配列同一性が少なくとも85%の塩基配列がより好ましく、前記配列同一性が少なくとも90%塩基配列が更に好ましく、前記配列同一性が少なくとも95%の配列同一性を有する塩基配列が特に好ましい。前記好ましい態様であると、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、有利である。

0035

前記(c−2)は、前記配列番号:5で表される塩基配列であることが、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、好ましい。

0036

(c−3)下記配列番号:6で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基(3’末端の塩基を1番目とする。)を保持し、かつ下記配列番号:6で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列
・ 5’−ACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:6)
上記配列番号:6において下線を付した塩基は、上記した保持される塩基を表す。

0037

前記(c−3)の塩基配列としては、前記配列番号:6で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ前記配列番号:6で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配列同一性が少なくとも80%の塩基配列が好ましく、前記配列同一性が少なくとも85%の塩基配列がより好ましく、前記配列同一性が少なくとも90%塩基配列が更に好ましく、前記配列同一性が少なくとも95%の配列同一性を有する塩基配列が特に好ましい。前記好ましい態様であると、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、有利である。

0038

前記(c−3)は、前記配列番号:6で表される塩基配列であることが、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、好ましい。

0039

前記(c−1)〜(c−3)の塩基配列における3’末端の塩基は、フルオロキノロン感受性菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸(Ser)をコードする塩基配列である「TCC」における第2塩基の「C」に対応する。なお、フルオロキノロン耐性菌では、前記83番目のアミノ酸をコードする塩基配列が「TTC」であり、アミノ酸がPheとなる。

0040

前記(c−1)〜(c−3)の塩基配列における3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基は、フルオロキノロンに対する感受性の有無に関わらず、「T」であるが、前記「T」を異なる塩基に置換することにより、フルオロキノロン耐性淋菌ではLAMP反応の進行を阻止することができ、フルオロキノロン感受性淋菌で極めて特異的に増幅するLAMP反応系とすることができる。

0041

前記(iii)のプライマーの中でも、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、下記配列番号:10で表される塩基配列からなるプライマー、下記配列番号:11で表される塩基配列からなるプライマー、下記配列番号:12で表される塩基配列からなるプライマーが好ましく、下記配列番号:10で表される塩基配列からなるプライマーがより好ましい。
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:10)
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:11)
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:12)

0042

<(iv)のプライマー>
前記(iv)のプライマー(以下、「BIPプライマー」と称することがある。)は、下記式(2)で表されるプライマーである。
・ 5’−(D)−(E)−(F)−3’(式(2))

0043

前記式(2)中、前記(D)は前記B1c領域に該当し、下記配列番号:7で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す。
・ 5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGC−3’(配列番号:7)

0044

前記(D)の塩基配列としては、前記配列番号:7で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配列同一性が少なくとも80%の塩基配列が好ましく、前記配列同一性が少なくとも85%の塩基配列がより好ましく、前記配列同一性が少なくとも90%の塩基配列が更に好ましく、前記配列同一性が少なくとも95%の塩基配列が特に好ましい。前記好ましい態様であると、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、有利である。

0045

前記式(2)中、前記(E)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表す。

0046

前記式(2)中、前記(F)は前記B2領域に該当し、下記配列番号:8で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す。
・ 5’−GGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:8)。

0047

前記(F)の塩基配列としては、前記配列番号:8で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記配列同一性が少なくとも80%の塩基配列が好ましく、前記配列同一性が少なくとも85%の塩基配列がより好ましく、前記配列同一性が少なくとも90%の塩基配列が更に好ましく、前記配列同一性が少なくとも95%の塩基配列が特に好ましい。前記好ましい態様であると、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、有利である。

0048

前記(iv)のプライマーの中でも、増幅効率と反応の特異性がより優れる点で、下記配列番号:13で表される塩基配列からなるプライマーが好ましい。
・ 5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGCGGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:13)

0049

<その他の構成>
前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LFプライマー、LBプライマーなどが挙げられる。

0050

上記した各プライマーの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、一般的なDNA合成機で合成する方法などが挙げられる。

0051

前記プライマーセットにおける各プライマーの量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0052

本発明の変異検出用プライマーセットによれば、淋菌に高い特異性を有し、迅速かつ簡易的に淋菌を検出し、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を、LAMP法により検出することができる。

0053

(淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出する方法)
本発明の淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出する方法(以下、「変異検出方法」と称することがある。)は、増幅反応工程と、評価工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。

0054

<増幅反応工程>
前記増幅反応工程は、上記した本発明の変異検出用プライマーセットを用いて、試料中の核酸を鋳型として、LAMP法によってDNAの増幅反応を行う工程である。

0055

−試料−
前記試料としては、鋳型となる核酸を含有する試料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、尿、尿道分泌物膣分泌物等の泌尿器又は生殖器由来検体などが挙げられる。また、前記検体を熱処理したものや、前記検体から抽出した核酸を試料としてもよい。
前記核酸を抽出する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。

0056

−増幅反応−
前記増幅反応は、前記試料、前記プライマーセット、DNAポリメラーゼ緩衝液基質であるdNTP等を含む反応液を等温でインキュベートし、実施することができる。

0057

前記増幅反応の反応液に含まれる成分及びその組成としては、特に制限はなく、公知のLAMP反応に用いられる成分を適宜選択して用いることができる。前記反応液の調製には、市販のキットを使用してもよい。

0058

前記増幅反応の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、60℃〜65℃などが挙げられる。これらの中でも、増幅効率が優れる点で、64℃が好ましい。

0059

前記増幅反応の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15分間〜60分間が好ましく、30分間〜60分間がより好ましい。前記好ましい範囲内であると、非特異反応出現を低減することができる点で、有利である。

0060

<評価工程>
前記評価工程は、前記増幅反応工程において、増幅産物が得られた場合は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異が無く、増幅産物が得られなかった場合は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異が有ると評価する工程である。

0061

−増幅産物−
前記増幅反応工程において、増幅産物が得られたか否かを判断する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、反応後の反応液を肉眼で観察し、反応液の白濁が確認された場合に増幅産物が得られたと判断する方法、反応後の反応液の濁度を測定し、濁度(吸光度)が上がった場合に増幅産物が得られたと判断する方法、反応液にSYBR Green I等の蛍光インターカレーターを加え、UV照射下で核酸の増幅を示す発光が確認された場合に増幅産物が得られたと判断する方法などが挙げられる。

0062

<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記試料を調製する試料調製工程などが挙げられる。
前記試料を調製する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。

0063

本発明の変異検出方法によれば、淋菌に高い特異性を有し、迅速かつ簡易的に淋菌を検出し、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を、LAMP法により検出することができる。

0064

(LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのキット)
本発明の、LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのキット(以下、「変異検出用キット」と称することがある。)は、上記した本発明の変異検出用プライマーセットを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。

0065

<変異検出用プライマーセット>
前記変異検出用プライマーセットは、上記した本発明の変異検出用プライマーセットであり、好ましい態様も同様である。

0066

<その他の構成>
前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DNAポリメラーゼ、緩衝液、基質であるdNTP、陰性コントロール、陽性コントロール、DNA抽出試薬などが挙げられる。

0067

前記DNAポリメラーゼとしては、特に制限はなく、通常LAMP法で用いられているものを使用することができ、例えば、鎖置換型DNAポリメラーゼなどが挙げられる。前記鎖置換型DNAポリメラーゼとは、鋳型DNAに相補的なDNA鎖を合成していく過程で、伸長方向に2本鎖領域があった場合に、その鎖を解離しながら相補鎖合成を継続することができるDNAポリメラーゼである。

0068

前記DNAポリメラーゼの具体例としては、例えば、Bst DNAポリメラーゼ、Bca(Exo−)DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、Vent DNAポリメラーゼ、Vent(Exo−)DNAポリメラーゼ、Z−Taq DNAポリメラーゼ、KODDNAポリメラーゼなどが挙げられる。

0069

本発明の変異検出用キットによれば、淋菌に高い特異性を有し、迅速かつ簡易的に淋菌を検出し、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を、LAMP法により検出することができる。

0070

(淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのプライマーセット)
本発明の、LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのプライマーセット(以下、「フルオロキノロン感受性評価用プライマーセット」と称することがある。)は、下記(i)〜(iv)のプライマーを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。

0071

<LAMP法>
前記LAMP法は、上記した本発明の変異検出用プライマーセットの<LAMP法>の項目に記載したものと同様である。

0072

<淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無>
前記淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無は、上記した本発明の変異検出用プライマーセットの<淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異>の項目に記載したように、主にDNAジャイレースのサブユニットA(gyrA)をコードする遺伝子における83番目のアミノ酸(Ser)をコードする塩基配列(TCC)及び87番目のアミノ酸(Asp)をコードする塩基配列(GAC)のミスセンス変異により生じることが報告されており、国内分離株のほぼ全ては、83番目のアミノ酸(Ser)をコードする塩基配列(TCC)における遺伝子変異(一塩基変異)により生じる(Ser(TCC)→Phe(TTC))。

0073

前記フルオロキノロン(「フルオロキノロン系薬剤」と称することもある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シプロフロキサシンノルフロキサシンオフロキサシンレボフロキサシンモキシフロキサシンなどが挙げられる。

0074

本明細書において、「淋菌がフルオロキノロンに対して感受性を有する」とは、フルオロキノロンによる殺菌作用(有効性)が認められることをいい、「淋菌がフルオロキノロンに対して感受性を有さない(耐性を有する)」とは、フルオロキノロンによる殺菌作用が認められないことをいう。

0075

<(i)のプライマー>
前記(i)のプライマーは、上記した本発明の変異検出用プライマーセットの<(i)のプライマー>の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。

0076

<(ii)のプライマー>
前記(ii)のプライマーは、上記した本発明の変異検出用プライマーセットの<(ii)のプライマー>の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。

0077

<(iii)のプライマー>
前記(iii)のプライマーは、上記した本発明の変異検出用プライマーセットの<(iii)のプライマー>の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。

0078

<(iv)のプライマー>
前記(iv)のプライマーは、上記した本発明の変異検出用プライマーセットの<(iv)のプライマー>の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。

0079

<その他の構成>
前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の変異検出用プライマーセットの<その他の構成>の項目に記載したものと同様のものなどが挙げられる。

0080

上記した各プライマーの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、一般的なDNA合成機で合成する方法などが挙げられる。

0081

前記プライマーセットにおける各プライマーの量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0082

本発明のフルオロキノロン感受性評価用プライマーセットによれば、淋菌に高い特異性を有し、迅速かつ簡易的に淋菌を検出し、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を、LAMP法により判定することができる。

0083

(淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法)
本発明の淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法(以下、「フルオロキノロン感受性評価方法」と称することがある。)は、増幅反応工程と、評価工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。

0084

<増幅反応工程>
前記増幅反応工程は、上記した本発明のフルオロキノロン感受性評価用プライマーセットを用いて、試料中の核酸を鋳型として、LAMP法によってDNAの増幅反応を行う工程であり、上記した本発明の変異検出方法の<増幅反応工程>の項目に記載したものと同様にして行うことができ、好ましい態様も同様である。

0085

<評価工程>
前記評価工程は、前記増幅反応工程において、増幅産物が得られた場合は、淋菌がフルオロキノロンに対する感受性を有し、増幅産物が得られなかった場合は、淋菌がフルオロキノロンに対する感受性を有さない(耐性を有する)と評価する工程である。

0086

−増幅産物−
前記増幅反応工程において、増幅産物が得られたか否かを判断する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の変異検出方法の<増幅反応工程>の項目に記載したものと同様にして行うことができる。

0087

<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の変異検出方法の<その他の工程>の項目に記載したものと同様の工程などが挙げられる。

0088

本発明のフルオロキノロン感受性評価方法によれば、淋菌に高い特異性を有し、迅速かつ簡易的に淋菌を検出し、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を、LAMP法により判定することができる。

0089

(LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのキット)
本発明の、LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのキット(以下、「フルオロキノロン感受性評価用キット」と称することがある。)は、上記した本発明のフルオロキノロン感受性評価用プライマーセットを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の構成を含む。

0090

<フルオロキノロン感受性評価用プライマーセット>
前記フルオロキノロン感受性評価用プライマーセットは、上記した本発明のフルオロキノロン感受性評価用プライマーセットであり、好ましい態様も同様である。

0091

<その他の構成>
前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の変異検出用キットの<その他の構成>の項目に記載したものと同様のものなどが挙げられる。

0092

本発明のフルオロキノロン感受性評価用キットによれば、淋菌に高い特異性を有し、迅速かつ簡易的に淋菌を検出し、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を、LAMP法により判定することができる。

0093

以下、試験例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、以下の試験例に何ら限定されるものではない。

0094

(試験例1:淋菌検出用プライマーの検討)
<試験例1−1>
NCBIのゲノムデータベースにおける、淋菌のゲノム・データベースのシーケンス情報をもとにプライマーを設計した。具体的には、淋菌に配列特異的であり、フルオロキノロンの耐性化に関連するgyrA遺伝子のキノロン耐性決定領域(Quinolone Resistance−Determining Regions ; QRDR)が標的となるように、プライマーを設計した。プライマーの設計には、DNAジャイレースのサブユニットA(gyrA)遺伝子における配列保存領域を明らかにし、Primer Explorer V5(http://primerexplorer.jp)を用いておよそ120のプライマーセットの候補を選定した。

0095

前記プライマーセットの候補の中から、最も優れた増幅効率と、反応の特異性を有するプライマーセットを選別するため、以下のようにしてLAMP法を行った。
具体的には、F1c領域及びB1c領域の5’末端、並びにF2領域及びB2領域の3’末端塩基のdG値が最も低い組合せから順にプライマーセットを試作した。
そして、淋菌標準株(国立研究開発法人理化学研究所バイオリソース研究センターより譲渡、株名:Neisseria gonorrhoeae(Zopf 1885) Trevisan 1885、菌株番号 JCM no. 2885)から、QIAamp DNA Mini Kit(キアゲン社製)を用いて抽出したDNAを鋳型DNAに用い、LAMP反応によるDNAの検出感度が1pg/μL若しくはそれ以上となる組合せのプライマーセットを発見できるまで、候補プライマーセットの試作を継続した。
この際、LAMP反応には「Loopamp(登録商標) DNA増幅試薬キット」(栄研化学株式会社製)を使用し、前記キットの添付文書にしたがって各プライマー濃度を調整した。反応温度推奨温度である65℃とし、増幅産物の有無は濁度測定装置「LoopAmp LA−200」(栄研化学株式会社製)を使用し、反応時間60分間の観察時間で増幅産物の有無を判定した。

0096

上記の結果、最も優れた増幅効率と、反応の特異性を有するプライマーセットとして、以下のもの(以下、「プライマーセット−1」と称することがある。)が得られた。
<F3プライマー>
5’−CGGCGACGTCATCGGTAA−3’(配列番号:1)
<B3プライマー>
5’−AGATTTTCGCCATGCGGATT−3’(配列番号:2)
<FIPプライマー>
5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGATTC−3’(配列番号:9)
配列番号:9中、下線がない部分はF1c領域を表し、下線を付した部分はF2領域を表す。
<BIPプライマー>
・ 5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGCGGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:13)
配列番号:13中、下線がない部分はB1c領域を表し、下線を付した部分はB2領域を表す。

0097

また、LAMP反応の至適温度について、上記と同じ鋳型DNAと、前記プライマーセット−1を用い、LAMP反応時間を60分間に設定し、様々な反応温度(60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、又は65℃)による増幅を確認したところ、64℃で最も高い増幅効率が得られることを確認した。

0098

<試験例1−2>
フルオロキノロン感受性淋菌(3株、国立感染症研究所より入手。)から、QIAamp DNA Mini Kit (キアゲン社製)を用いてDNAを抽出した。

0099

前記抽出したDNAを1ng/μL、100pg/μL、10pg/μL、1pg/μL、100fg/μL、10fg/μL、1fg/μLまで段階希釈したものを鋳型DNAとし、プライマーとして前記プライマーセット−1を用いて、以下のようにしてLAMP反応を行い、前記プライマーセット−1を用いた場合の検出感度を検証した。
LAMP反応には「Loopamp(登録商標) DNA増幅試薬キット」(栄研化学株式会社製)を使用し、前記キットの添付文書にしたがって各プライマー濃度を調整した。反応温度は64℃とし、増幅産物の有無は濁度測定装置「LoopAmp LA−200」(栄研化学株式会社製)を使用し、反応時間60分間の観察時間で増幅産物の有無を判定した。

0100

結果を図1Aに示す。図1A中、「●」は鋳型DNAの量が1ng/反応の場合、「▲」は鋳型DNAの量が100pg/反応の場合、「■」は鋳型DNAの量が10pg/反応の場合、「◆」は鋳型DNAの量が1pg/反応の場合、「○」は鋳型DNAの量が100fg/反応の場合、「△」は鋳型DNAの量が10fg/反応の場合、「□」は鋳型DNAの量が1fg/反応の場合、「×」はネガティブコントロール(鋳型DNAなし)の場合の結果を示す。
図1Aの結果から、前記プライマーセット−1を用いた場合には、淋菌DNAの量が1pgまでの場合に検出が可能であることが確認できた。

0101

<試験例1−3>
前記プライマーセット−1の<FIPプライマー>の塩基配列は、上述したように、下記配列番号:9で表されるものである。下記配列番号:9で表される塩基配列の3’末端(伸長末端)の「C」は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸であるSerをコードする塩基配列(TCC)の第2塩基に一致する。
前記第2塩基の「C」は、多くのフルオロキノロン耐性菌において、「T」に置換されることが知られている。なお、「T」に置換された場合(TTC)には、アミノ酸がSerからPheに変わる。
この場合、フルオロキノロン耐性菌の塩基配列と、下記配列番号:9で表されるFIPプライマーの塩基配列とがミスマッチとなり、LAMP法において、フルオロキノロン耐性菌での増幅効率の低下が懸念される。
5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGATTC−3’(配列番号:9)

0102

そこで、前記第2塩基の「C」が「T」に置換されたフルオロキノロン耐性淋菌(3株、国立感染症研究所より入手。)から抽出したDNAを鋳型とした以外は、前記<試験例1−2>と同様にして、LAMP法を行った。

0103

結果を図1Bに示す。図1B中、「●」は鋳型DNAの量が1ng/反応の場合、「▲」は鋳型DNAの量が100pg/反応の場合、「■」は鋳型DNAの量が10pg/反応の場合、「◆」は鋳型DNAの量が1pg/反応の場合、「○」は鋳型DNAの量が100fg/反応の場合、「△」は鋳型DNAの量が10fg/反応の場合、「□」は鋳型DNAの量が1fg/反応の場合、「×」はネガティブコントロール(鋳型DNAなし)の場合の結果を示す。
図1Bの結果から、前記FIPプライマーの伸長末端の塩基が異なる(即ち、フルオロキノロン耐性変異が生じている)ことにより、各鋳型DNA濃度において増幅効率が若干低下するものの、フルオロキノロン感受性淋菌と同様に淋菌DNAの量が1pgまでの場合に検出が可能であることが確認できた。つまり、前記プライマーセット−1を用いることで、フルオロキノロン感受性に関係なく、淋菌DNAの量が1pgまでの場合に検出が可能であることを確認した。

0104

(試験例2:フルオロキノロン耐性淋菌検出用プライマーの検討)
前記試験例1の結果から、FIPプライマーの伸長末端での配列特異性は決して高くはないといえる。一方、FIPプライマーの配列の特異性を顕著に向上できれば、前記FIPプライマーの伸長末端の塩基と異なる場合(即ち、フルオロキノロン耐性菌の場合)には、LAMP反応が阻止され増幅産物が生じず、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無や、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法として活用できるのではないかと考えられた。

0105

<試験例2−1>
前記プライマーセット−1におけるFIPプライマーの3’末端から5’末端方向における3番目の塩基「T」に対して人為的にミスマッチ塩基を導入した以下の3種類のFIPプライマーを作製し、LAMP法による増幅の特異性が向上するか否かを検証した。
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:10)
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:11)
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:12)
配列番号:10〜12中の下線を付した塩基は、前記ミスマッチ塩基を表す。

0106

<試験例1−2>又は<試験例1−3>と同様にして、フルオロキノロン感受性淋菌又はフルオロキノロン耐性淋菌からDNAを抽出した。前記抽出したDNAを1ng/μL、100pg/μL、10pg/μL、1pg/μLまで段階希釈したものを鋳型DNAとした。
プライマーセットとして、前記プライマーセット−1におけるFIPプライマーを前記配列番号:10〜12のいずれかに変更したものを用いた。
上記した鋳型DNA及びプライマーセットを用い、LAMP反応の時間を90分間とした以外は、前記<試験例1−2>と同様にして、LAMP法を行った。

0107

結果を図2A〜2Fに示す。FIPプライマーとして、前記配列番号:10で表される塩基配列のプライマー(塩基置換:T→G)を用いた結果を図2A(感受性菌)及び図2B(耐性菌)に、前記配列番号:11で表される塩基配列のプライマー(塩基置換:T→C)を用いた結果を図2C(感受性菌)及び図2D(耐性菌)に、前記配列番号:12で表される塩基配列のプライマー(塩基置換:T→A)を用いた結果を図2E(感受性菌)及び図2F(耐性菌)に示す。また、図2A〜2F中、「●」は鋳型DNAの量が1ng/反応の場合、「▲」は鋳型DNAの量が100pg/反応の場合、「■」は鋳型DNAの量が10pg/反応の場合、「◆」は鋳型DNAの量が1pg/反応の場合、「×」はネガティブコントロール(鋳型DNAなし)の場合の結果を示す。

0108

図2A〜2Fの結果から、FIPプライマーの3’末端の塩基の2塩基上流の塩基「T」を他の塩基に置換することで、前記3’末端の塩基に変異を有するフルオロキノロン耐性淋菌のDNAでは、LAMP反応が顕著に阻害されることを確認した。更に、FIPプライマーの3’末端の塩基の2塩基上流の塩基「T」を「G」に置換した場合(配列番号:10で表される塩基配列)に、最も効果的にLAMP反応が抑制され、FIPプライマーの末端特異性を向上させる効果が強いことを明らかにした。
したがって、FIPプライマーの3’末端の塩基の2塩基上流の塩基「T」を他の塩基に置換することで、LAMP法による増幅産物の有無により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無や、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価できることが示された。

0109

以上の結果をふまえ、前記プライマーセット−1におけるFIPプライマーを前記配列番号:10で表される塩基配列のFIPプライマー(FIPプライマーの3’末端の塩基から2塩基上流の塩基「T」を、人為的に「G」に置換したもの)に代えたものを「プライマーセット−2」とし、以下の更なる検証を行った。

0110

<試験例2−2>
前記プライマーセット−2を用いた場合のLAMP反応の検証を以下のようにして実施した。

0111

<試験例1−2>又は<試験例1−3>と同様にして、フルオロキノロン感受性淋菌又はフルオロキノロン耐性淋菌からDNAを抽出した。前記抽出したDNAを1ng/μL、100pg/μL、10pg/μL、1pg/μL、100fg/μL、10fg/μL、1fg/μLまで段階希釈したものを鋳型DNAとした。
プライマーセットとして、前記プライマーセット−2を用いた。
上記した鋳型DNA及びプライマーセットを用いた以外は、前記<試験例1−2>と同様にして、LAMP法を行った。

0112

結果を図2G〜2Hに示す。図2Gはフルオロキノロン感受性淋菌、図2Hはフルオロキノロン耐性淋菌のDNAを鋳型とした場合の結果を示す。図2G〜2H中、「●」は鋳型DNAの量が1ng/反応の場合、「▲」は鋳型DNAの量が100pg/反応の場合、「■」は鋳型DNAの量が10pg/反応の場合、「◆」は鋳型DNAの量が1pg/反応の場合、「○」は鋳型DNAの量が100fg/反応の場合、「△」は鋳型DNAの量が10fg/反応の場合、「□」は鋳型DNAの量が1fg/反応の場合、「×」はネガティブコントロール(鋳型DNAなし)の場合の結果を示す。

0113

図2G〜2Hの結果から、フルオロキノロン感受性淋菌のDNAを鋳型とした場合には、淋菌DNAの量が1pgまでの場合に検出できており、前記プライマーセット−1を用いた場合の検出感度と同様であった。一方、フルオロキノロン耐性淋菌のDNAを鋳型とした場合には、LAMP反応が顕著に抑制され、60分間の反応時間では、まったく増幅がみられなかった。
以上の結果からも、FIPプライマーの3’末端の塩基の2塩基上流の塩基「T」を置換することで、LAMP法による増幅産物の有無により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無や、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価できることが示された。

0114

<試験例2−3>
前記FIPプライマーの末端特異性の向上に、前記FIPプライマーの3’末端側の配列構造が寄与していることを明らかにするため、FIPプライマーの構成要素中のF2領域の5’末端側の塩基に変異(欠失)を導入した場合に、反応特異性がどのように影響を受けるのかを以下のようにして検証した。

0115

FIPプライマーの構成要素中のF2領域の5’末端側の塩基に変異(欠失)を導入したFIPプライマーを2種類作製した。配列番号:10で表される塩基配列のFIPプライマーと併せて以下に示す。
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCAACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:10)
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCACCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:14)
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCACCACGGCGAGTC−3’(配列番号:15)
配列番号:10、14、及び15中、下線を付した部分は、F2領域を示す。配列番号:10で表される塩基配列と比較して、配列番号:14で表される塩基配列では、F2領域の5’末端側の塩基が2塩基欠失しており、配列番号:15で表される塩基配列では、F2領域の5’末端側の塩基が4塩基欠失している。

0116

<試験例1−2>又は<試験例1−3>と同様にして、フルオロキノロン感受性淋菌又はフルオロキノロン耐性淋菌からDNAを抽出した。前記抽出したDNAを1ng/μL、100pg/μL、10pg/μL、1pg/μLまで段階希釈したものを鋳型DNAとした。
プライマーセットとして、前記プライマーセット−2、前記プライマーセット−2におけるFIPプライマーを前記配列番号:14で表される塩基配列のFIPプライマーに代えたプライマーセット(以下、「プライマーセット−2−A」と称することがある。)、又は前記プライマーセット−2におけるFIPプライマーを前記配列番号:15で表される塩基配列のFIPプライマーに代えたプライマーセット(以下、「プライマーセット−2−B」と称することがある。)を用いた。
上記した鋳型DNA及びプライマーセットを用い、反応時間を60分間又は90分間とした以外は、前記<試験例1−2>と同様にして、LAMP法を行った。

0117

結果を図2I〜2Nに示す。図2I〜2Kはフルオロキノロン感受性淋菌、図2L〜Nはフルオロキノロン耐性淋菌のDNAを鋳型とした場合の結果を示し、図2I及び2Lは「プライマーセット−2」、図2J及び図2Mは「プライマーセット−2−A」、図2K及び2Nは「プライマーセット−2−B」を使用した場合の結果を示す。図2I〜2N中、「●」は鋳型DNAの量が1ng/反応の場合、「▲」は鋳型DNAの量が100pg/反応の場合、「■」は鋳型DNAの量が10pg/反応の場合、「◆」は鋳型DNAの量が1pg/反応の場合の結果を示す。

0118

図2I〜2Kの結果から、F2領域の5’末端側に変異が導入されたプライマーを用いた場合でも、LAMP反応が可能であることが確認された。なお、F2領域の5’末端側の欠失塩基数が多くなるにつれてLAMP反応の増幅効率が低下し、フルオロキノロン感受性淋菌に対する検出感度がそれぞれ、1pg(プライマーセット−2)、100pg(プライマーセット−2−A)、1ng(プライマーセット−2−B)と低下していた。以上の結果は、前記プライマーセット−2を用いたLAMP反応系が、QRDRを標的とした様々なLAMPプライマーセットの候補配列から、理論的に、そして実際の反応性の観察をもとに最大の増幅効率を発揮できる組み合わせを選別したことに由来すると考えられた。

0119

図2L〜2Nの結果から、F2領域の5’末端側の配列の変化に関わらず、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における置換(TCC→TTC)の存在により、いずれのFIPプライマーを用いた場合でも、LAMP反応において、顕著に増幅が阻害されていることが確認された。

0120

以上の結果は、前記プライマーセット−2において鍵となるFIPプライマーの配列構造は、FIPプライマーの3’末端におけるミスマッチ変異と共に、前記3’末端から5’末端方向における3番目の塩基「T」に対して導入した置換変異であることを示している。

0121

(試験例3:淋菌に特異的であることの検証)
本発明のプライマーセットを用いたLAMP反応が淋菌に特異的であることを検証するために、以下に示したヒトへの病原性をもつ細菌から抽出したDNAを鋳型として、LAMP反応性の有無を検証した。
<細菌>
以下の各菌はナシナルバイオリソースより譲渡を受けた標準菌株である。カッコ内は、JNBP番号を表す。
・ Staphylococcus aureus(05252)
・ S. epidermidis(05340)
・ Streptococcus mutans(05653)
・ S. pyogenes(05698)
・ S. agalactiae(05521)
・ S. pneumoniae(05681)
・ Klebsiella pneumoniae(02775)
・ Haemophilus influenza(06934)
・ Acinetobactor baumanii(01112)
・ Burkholderia pseudomallei(01443)
・ Escherichia coli(02019)
・ Pseudomonas aeruginosa(04211)
・ Proteus mirabilis(04166)
・ Moraxella catarrhalis(03104)
・ Corynebacterium diphtheriae(01754)
・ Stenotrophomonas maltophilia(05488)
Citrobacter farmeri(01568)
・ Serratia marcescens(05051)
・ Enterobacter cloacae(01922)
・ Legionella pneumophila(02860)
・ Mycoplasma pneumonia(03925)
・ Mycobacterium tuberculosis(臨床分離株
・ M. microti(03828)
・ M. kansasii(03463)
・ M. avium(03179)
・ M. gordonae(03326)
・ M. intracellulare(03370)
・ M. marinum(03537)
・ M. chelonae(03231)
・ M. fortuitum(03282)
・ M. scrofulaceum(03611)

0122

<試験例1−2>又は<試験例1−3>と同様にして、上記した各細菌からDNAを抽出した。前記抽出したDNAを1ng/μLとしたものを鋳型DNAとした。
プライマーセットとして、前記プライマーセット−2を用いた。
上記した鋳型DNA及びプライマーセットを用いた以外は、前記<試験例1−2>と同様にして、LAMP法を行った。

0123

その結果、すべての菌株由来のDNAにおいて増幅反応はみられず、交差反応は認めなかった。したがって、本発明のプライマーセットを用いたLAMP反応が淋菌に特異的であることが確認された。

0124

(試験例4:淋菌の臨床分離株を用いた検証)
本発明のプライマーセットを用いたLAMP反応が淋菌の臨床分離株から抽出したDNAでも利用できることを検証するために、国立感染症研究所 細菌第一室において分離され、保管される国内淋菌株(フルオロキノロン感受性菌20株、フルオロキノロン耐性菌19株)から抽出したDNAを鋳型として、LAMP反応性の有無を検証した。

0125

<試験例1−2>又は<試験例1−3>と同様にして、各淋菌株からDNAを抽出した。前記抽出したDNAを1ng/μLとしたものを鋳型DNAとした。
プライマーセットとして、前記プライマーセット−2を用いた。
上記した鋳型DNA及びプライマーセットを用いた以外は、前記<試験例1−2>と同様にして、LAMP法を行った。

0126

その結果、すべてのフルオロキノロン感受性菌において増幅反応を認めた一方で、フルオロキノロン耐性菌では、増幅反応がいずれも認められなかった。したがって、本発明のプライマーセットを用いたLAMP反応は、臨床分離株にも適用することができ、実用性を有することが確認された。

0127

(試験例5:淋菌を検出する既存のLAMP法との検出感度の比較)
淋菌を検出する既存のLAMP法として、グルタミンシンテターゼ遺伝子(glutamine synthetase gene)におけるオープンリーディングフレーム1(open reading frame 1:ORF1)を標的とするLAMP法が報告されている(EdwardsT, Burke PA, Smalley HB, Gillies L, Hobbs G. Loop−mediated isothermal amplification test for detection of Neisseria gonorrhoeae in urine samples and tolerance of the assay to the presence of urea. J Clin Microbiol 2014 Jun;52(6):2163−5.以下、「参考文献1」と称することがある。)。
そこで、前記<試験例1−2>と同様にして抽出したフルオロキノロン感受性菌のDNAを鋳型DNAとし、本発明のLAMP反応系との比較を行った。

0128

鋳型DNAは、前記抽出したDNAを1ng/μL、100pg/μL、10pg/μL、1pg/μLまで段階希釈したものを使用した。
前記鋳型DNAと、前記参考文献1に記載のプライマーセットとを用い、反応温度を前記参考文献1に記載の63℃とした以外は、前記<試験例1−2>と同様にして、LAMP法を行った。

0129

結果を図3に示す。図3中、「●」は鋳型DNAの量が1ng/反応の場合、「▲」は鋳型DNAの量が100pg/反応の場合、「■」は鋳型DNAの量が10pg/反応の場合、「◆」は鋳型DNAの量が1pg/反応の場合の結果を示す。

0130

図3の結果から、本発明のLAMP反応系の検出感度は、前記参考文献1に記載のグルタミンシンテターゼ遺伝子におけるORF1を標的とするLAMP反応より検出感度が優れていることが確認され、本発明の方法の臨床応用の可能性が示唆された。

実施例

0131

本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1>LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのプライマーセットであって、下記(i)〜(iv)のプライマーを含むことを特徴とするプライマーセットである。
(i) 下記配列番号:1で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:
・ 5’−CGGCGACGTCATCGGTAA−3’(配列番号:1)
(ii) 下記配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:
・ 5’−AGATTTTCGCCATGCGGATT−3’(配列番号:2)
(iii) 下記式(1)で表されるプライマー:
・ 5’−(A)−(B)−(C)−3’(式(1))
前記式(1)中、前記(A)は、下記配列番号:3で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(B)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(C)は、(c−1)下記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、(c−2)下記配列番号:5で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:5で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、及び(c−3)下記配列番号:6で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:6で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列のいずれかを表す。
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCA−3’(配列番号:3)
・ 5’−ACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:4)
・ 5’−ACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:5)
・ 5’−ACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:6)
(iv) 下記式(2)で表されるプライマー:
・ 5’−(D)−(E)−(F)−3’(式(2))
前記式(2)中、前記(D)は、下記配列番号:7で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(E)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(F)は、下記配列番号:8で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す。
・ 5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGC−3’(配列番号:7)
・ 5’−GGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:8)
<2> 前記(iii)の式(1)で表されるプライマーにおける(C)が、(c−1)前記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ前記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列である前記<1>に記載のプライマーセットである。
<3> 前記(iii)の式(1)で表されるプライマーにおける(C)が、前記配列番号:4で表される塩基配列である前記<2>に記載のプライマーセットである。
<4> 淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出する方法であって、
前記<1>から<3>のいずれかに記載のプライマーセットを用いて、試料中の核酸を鋳型として、LAMP法によってDNAの増幅反応を行う増幅反応工程と、
前記増幅反応工程において、増幅産物が得られた場合は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異が無く、増幅産物が得られなかった場合は、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異が有ると評価する評価工程とを含むことを特徴とする方法である。
<5> LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのプライマーセットであって、下記(i)〜(iv)のプライマーを含むことを特徴とするプライマーセットである。
(i) 下記配列番号:1で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:
・ 5’−CGGCGACGTCATCGGTAA−3’(配列番号:1)
(ii) 下記配列番号:2で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列からなるプライマー:
・ 5’−AGATTTTCGCCATGCGGATT−3’(配列番号:2)
(iii) 下記式(1)で表されるプライマー:
・ 5’−(A)−(B)−(C)−3’(式(1))
前記式(1)中、前記(A)は、下記配列番号:3で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(B)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(C)は、(c−1)下記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、(c−2)下記配列番号:5で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:5で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列、及び(c−3)下記配列番号:6で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ下記配列番号:6で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列のいずれかを表す。
・ 5’−CGCATAGCGAAATTTTGCGCCA−3’(配列番号:3)
・ 5’−ACCCCCACGGCGAGTC−3’(配列番号:4)
・ 5’−ACCCCCACGGCGACTC−3’(配列番号:5)
・ 5’−ACCCCCACGGCGAATC−3’(配列番号:6)
(iv) 下記式(2)で表されるプライマー:
・ 5’−(D)−(E)−(F)−3’(式(2))
前記式(2)中、前記(D)は、下記配列番号:7で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表し、前記(E)は、塩基数0〜50の任意の塩基配列を表し、前記(F)は、下記配列番号:8で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列を表す。
・ 5’−GTGCTGATAGACGGACAGGGC−3’(配列番号:7)
・ 5’−GGTATAGCGCATGGCTGC−3’(配列番号:8)
<6> 前記(iii)の式(1)で表されるプライマーにおける(C)が、(c−1)前記配列番号:4で表される塩基配列における3’末端の塩基と、前記3’末端の塩基から5’末端方向の3番目の塩基を保持し、かつ前記配列番号:4で表される塩基配列と少なくとも75%の配列同一性を有する塩基配列である前記<5>に記載のプライマーセットである。
<7> 前記(iii)の式(1)で表されるプライマーにおける(C)が、前記配列番号:4で表される塩基配列である前記<5>に記載のプライマーセットである。
<8> 淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価する方法であって、
前記<5>から<7>のいずれかに記載のプライマーセットを用いて、試料中の核酸を鋳型として、LAMP法によってDNAの増幅反応を行う増幅反応工程と、
前記増幅反応工程において、増幅産物が得られた場合は、淋菌がフルオロキノロンに対する感受性を有し、増幅産物が得られなかった場合は、淋菌がフルオロキノロンに対する感受性を有さないと評価する評価工程とを含むことを特徴とする方法である。
<9> LAMP法により、淋菌のDNAジャイレースのサブユニットAの83番目のアミノ酸をコードする塩基配列における変異の有無を検出するためのキットであって、
前記<1>から<3>のいずれかに記載のプライマーセットを含むことを特徴とするキットである。
<10> LAMP法により、淋菌のフルオロキノロンに対する感受性の有無を評価するためのキットであって、
前記<5>から<7>のいずれかに記載のプライマーセットを含むことを特徴とするキットである。

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