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技術 エッチング液およびエッチング方法

出願人 株式会社豊田中央研究所株式会社デンソー
発明者 明渡邦夫野田浩司石井栄子中嶋健次中林正助杉崎太亮
出願日 2019年9月6日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-162496
公開日 2021年3月18日 (3ヶ月経過) 公開番号 2021-044271
状態 未査定
技術分野 ウェットエッチング
主要キーワード 高エネルギー光源 エッチング液温 直流通電 室温域 ソルビタンステアリン酸エステル 標準酸化還元電位 光電気化学エッチング オクチルフェノールエトキシレート
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

化学的に安定な半導体(SiC、GaN等)に対しても、多孔質層がなく平滑なエッチング面を形成できるエッチング液を提供する。

解決手段

本発明のエッチング液は、半導体(W)のエッチング液(L)であって、フッ酸と、過塩素酸および/または過塩素酸塩とを含み、半導体の電気化学エッチングまたは光電気化学エッチングに用いられる。半導体は、例えば、炭化ケイ素または窒化ガリウムである。エッチング液は、例えば、液全体に対して、フッ酸:0.1〜23質量%および過塩素酸等:8〜70質量%を含む水溶液である。本発明のエッチング液を用いて光電気化学エッチングを行う場合、例えば、波長が150〜400nmで照射強度が1〜100mW/cm2である光を半導体の被処理面に照射しつつ、電流密度が10〜3000mA/cm2である直流通電を行うとよい。

概要

背景

半導体素子トランジスタ等)の製作には、所望厚みの平滑な半導体基板が必要となる。このような基板は、研磨エッチング等により製作される。機械的研磨は、処理速度は大きいが、基板に与えるダメージも大きい。そこでエッチング(化学的研磨)が利用される。

特に、従来のSiよりもバンドギャップが大きな次世代半導体(SiC、GaN等)は、化学的にも安定であるため、電気化学エッチングまたは光電気化学エッチング(両者を併せて単に「エッチング」ともいう。)により処理される。これに関連する記載が下記の特許文献にある。

概要

化学的に安定な半導体(SiC、GaN等)に対しても、多孔質層がなく平滑なエッチング面を形成できるエッチング液を提供する。本発明のエッチング液は、半導体(W)のエッチング液(L)であって、フッ酸と、過塩素酸および/または過塩素酸塩とを含み、半導体の電気化学エッチングまたは光電気化学エッチングに用いられる。半導体は、例えば、炭化ケイ素または窒化ガリウムである。エッチング液は、例えば、液全体に対して、フッ酸:0.1〜23質量%および過塩素酸等:8〜70質量%を含む水溶液である。本発明のエッチング液を用いて光電気化学エッチングを行う場合、例えば、波長が150〜400nmで照射強度が1〜100mW/cm2である光を半導体の被処理面に照射しつつ、電流密度が10〜3000mA/cm2である直流通電を行うとよい。

目的

本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、化学的に安定な半導体等でも、良好な処理面を形成できるエッチング液等を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

半導体エッチング液であって、フッ酸と、過塩素酸および/または過塩素酸塩とを含み、半導体の電気化学エッチングまたは光電気化学エッチングに用いられるエッチング液。

請求項2

前記半導体は、炭化ケイ素または窒化ガリウムである請求項1に記載のエッチング液。

請求項3

液全体に対して、フッ酸:0.1〜23質量%と、過塩素酸および/または過塩素酸塩:8〜70質量%と、を含む水溶液である請求項1または2に記載のエッチング液。

請求項4

さらに、界面活性剤消泡剤の少なくとも一方を含む請求項1〜3のいずれかに記載のエッチング液。

請求項5

液全体に対して、前記界面活性剤は0.0001〜1質量%、前記消泡剤は0.0001〜5質量%である請求項4に記載のエッチング液。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載のエッチング液に接触している半導体の表面へ光を照射しつつ、該半導体へ通電するエッチング方法

請求項7

前記光は、波長が150〜400nmで、照射強度が1〜100mW/cm2である請求項6に記載のエッチング方法。

請求項8

前記通電は、電流密度が10〜3000mA/cm2である直流によりなされる請求項6または7に記載のエッチング方法。

技術分野

0001

本発明は、半導体エッチング液等に関する。

背景技術

0002

半導体素子トランジスタ等)の製作には、所望厚みの平滑な半導体基板が必要となる。このような基板は、研磨エッチング等により製作される。機械的研磨は、処理速度は大きいが、基板に与えるダメージも大きい。そこでエッチング(化学的研磨)が利用される。

0003

特に、従来のSiよりもバンドギャップが大きな次世代半導体(SiC、GaN等)は、化学的にも安定であるため、電気化学エッチングまたは光電気化学エッチング(両者を併せて単に「エッチング」ともいう。)により処理される。これに関連する記載が下記の特許文献にある。

先行技術

0004

特開2017−212262号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1では、SiC基板のエッチング液として、フッ酸と硝酸混酸を用いることを提案している。これにより、高エネルギー光源を利用せずに、多孔質層の形成を抑制しつつも、SiC基板の比較的高速なエッチングが可能となる。なお、多孔質層が形成されると、基板表面が柱状構造となり、デバイスへの応用が困難である。

0006

もっとも、本発明者が調査研究したところ、特許文献1の混酸を用いて光電気化学(PEC:photo electrochemical)的にエッチングした場合、多孔質層自体の形成は抑制されるものの、エッチング面の表面が必ずしも平滑ではないことがわかった。

0007

本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、化学的に安定な半導体等でも、良好な処理面を形成できるエッチング液等を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、過塩素酸イオンを含むエッチング液を用いることにより、化学的に安定な半導体に対しても、良好なエッチングが可能であることを見出した。この成果発展させることにより、以降に述べる本発明が完成されるに至った。

0009

《エッチング液》
本発明は、半導体のエッチング液であって、フッ酸と、過塩素酸および/または過塩素酸塩とを含み、半導体の電気化学エッチングまたは光電気化学エッチングに用いられるエッチング液である。

0010

本発明のエッチング液を用いて処理すると、シリコン等の従来の半導体のみならず、化学的に安定なワイドバンドギャップ半導体(SiC、GaN等)に対しても、良好な処理面を効率的に形成できる。

0011

エッチング方法
本発明は、上述したエッチング液を用いたエッチング方法としても把握できる。エッチング方法は、光電気化学エッチングに限らず、光の照射を伴わない電気化学エッチングでもよい。

0012

光電気化学エッチングは、例えば、被処理面である半導体の表面に、上述したエッチング液を接触させた状態で、その表面へ光を照射すると共に、半導体へ通電してなされる。本発明のエッチング液を用いると、必ずしも高エネルギー光源レーザ等)を用いるまでもなく、良好な光電気化学エッチングを行える。

0013

いずれのエッチング方法でも、上述したエッチング液を用いれば、半導体の処理面において、多孔質層の抑制、表面粗さの低減、機械的なダメージ(歪み等)の抑止等を図れる。

0014

《その他》
(1)特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。

0015

(2)特に断らない限り、本明細書でいう「α〜βnm」はαnm〜βnmを意味する。他の単位系(μm、mW/cm2、mA/cm2等)についても同様である。

図面の簡単な説明

0016

エッチングの進行過程を例示する模式図である。
光電気化学エッチング装置を例示する模式図である。
試料に係るエッチング面の縦断面を示す顕微鏡写真である。
エッチング液の基本組成とエッチング面に形成される多孔質層の有無との関係を示す散布図である。

0017

上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明のエッチング液のみならず、それを用いたエッチング方法等にも適宜該当する。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。

0018

《エッチングの機序
炭化ケイ素等のワイドバンドギャップ半導体は、化学的に安定なため、一般的な薬液(エッチング液)に浸漬等しただけでは、エッチングが進行しない。そのような半導体でも本発明により良好なエッチングが可能となる理由は、現状、次のように考えられる。

0019

先ず、図1(a)に示すように、光電気化学的または電気化学的な酸化により主に生じた酸化物がフッ酸により除去される。これにより、被処理面の縦方向(略垂直な方向)に半導体のエッチングが進行する。このときの処理面は多孔質状となる。

0020

次に、図1(b)に示すように、強力な酸化剤である過塩素酸および/または過塩素酸塩(適宜、「過塩素酸等」という。)が、被処理面の横方向(略平行な方向)にも、半導体を化学的に酸化させる。そして、図1(c)に示すように、過塩素酸等により横方向に形成された酸化物が、フッ酸により除去され、多孔質状の表層(単に「多孔質層」という。)が剥離する。このように、縦方向の酸化(多孔質層の形成)→横方向の酸化→多孔質層の剥離という各過程が、バランスよく繰り返されて、エッチングが進展する。こうして本発明によれば、面粗度に優れたエッチング面が効率的に生成されるようになったと考えられる。

0021

ちなみに、一般的に、(光)電気化学的な酸化(縦方向の酸化)に対して、酸化剤による化学的な酸化(横方向の酸化)は、その進行が遅い。このため、例えば、硝酸(HNO3)を酸化剤とするエッチング液では、横方向の酸化物生成速度が縦方向の酸化物生成速度よりも小さく、多孔質層が残存し易かったと考えられる。

0022

一方、本発明のエッチング液に含まれる過塩素酸等は、硝酸等よりも酸化力が強い。このため、安定な半導体に対しても、縦方向の酸化物生成速度に釣り合う横方向の酸化物生成速度が確保されるようになったと考えられる。これは、硝酸イオン(NO3-)の標準酸化還元電位:+0.96Vに対して、過塩素酸イオン(ClO4-)の標準酸化還元電位:+1.19Vであることからもわかる。

0023

さらに、過塩素酸イオンは、単に標準酸化還元電位が高いのみならず、半導体の酸化過程中に、塩素酸イオン(ClO3-)→亜塩素酸イオン(ClO2-)→次亜塩素酸イオン(ClO-)と変化する。しかも、塩素酸イオン(ClO3-)の標準酸化還元電位:+1.21V、亜塩素酸イオン(ClO2-)の標準酸化還元電位:+1.64V、次亜塩素酸イオン(ClO-)の標準酸化還元電位:+1.63Vである。つまり、これらの標準酸化還元電位はいずれも、元の過塩素酸イオンの標準酸化還元電位よりも高い。

0024

従って、過塩素酸または過塩素酸塩から導入される過塩素酸イオンにより半導体が酸化されると、その反応生成物(塩素酸イオン等)も半導体を連鎖的にさらに強力に酸化させる。従って、過塩素酸等を含むエッチング液を用いると、半導体が多段階的に酸化され、横方向の化学酸化が大幅に促進され得る。こうして、酸化剤による化学的な酸化が促進されるようになった結果、(光)電気化学的な縦方向の酸化と、酸化剤による横方向の酸化との均衡が図られるようになり、良好なエッチング面が効率的に得られるようになったと考えられる。

0025

《エッチング液》
(1)基本組成
エッチング液は、少なくとも、フッ酸イオン(F-)と過塩素酸イオン(ClO4-)を含むとよい。このようなエッチング液は、通常、フッ酸と過塩素酸または過塩素酸塩とを含む混合水溶液である。

0026

エッチング液全体に対するフッ酸の濃度は、例えば、0.1〜23質量%、0.5〜20質量%、1〜18質量%、3〜15質量%さらには4〜10質量%である。フッ酸の濃度が過小であると、酸化物の除去が促進されず、エッチング速度が低下し得る。フッ酸の濃度が過大になると、相対的に過塩素酸等の濃度が低下して、横方向の酸化物形成速度が遅くなり、多孔質層の剥離が促進されない。その結果、エッチング面において、多孔質層の残存や表面粗さの増大が生じ得る。なお、エッチング液全体に対するフッ酸イオンに着目すると、その濃度は、例えば、0.1〜51mol%、0.5〜37mol%さらには1〜28mol%であるとよい。

0027

エッチング液全体に対する過塩素酸および/または過塩素酸塩の濃度は、例えば、8〜70質量%、15〜60質量%さらには20〜50質量%である。過塩素酸等の濃度が過小では、上述したように、横方向の酸化物形成速度が遅くなり、多孔質層の剥離が促進されない。過塩素酸等の濃度が過大では、過塩素酸イオン自体が不安定となり、安定したエッチングが困難となる。なお、エッチング液全体に対する過塩素酸イオンに着目すると、その濃度は、例えば、1.5〜31mol%、3〜22mol%さらには4〜15mol%であるとよい。

0028

いずれにしても、フッ酸と過塩素酸等の各濃度は、酸化物の除去速度(エッチング速度)と、酸化物の形成速度(特に横方向の酸化速度)とがバランスする範囲で調整されるとよい。これにより、半導体上に平滑なエッチング面が効率的に形成され得る。

0029

ちなみに、エッチング液の溶媒は、水の他、アルコール類等でもよい。アルコール類は、(光)電気化学エッチング時に発生する気泡水素二酸化炭素等)が被処理面上に滞留することを抑制する。また、フッ酸の濃度はフッ化水素水溶液を用いて調整されてもよい。

0030

(2)添加剤
エッチング液は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、エッチング液全体に対して、例えば、0.0001〜1質量%、0.001〜0.5質量%さらには0.01〜0.1質量%含まれるとよい。界面活性剤により、エッチング液が多孔質層内へ浸透し易くなり、多孔質層の剥離が促進される。界面活性剤が過少ではその効果が乏しい。界面活性剤が過多になっても効果の向上は望めない。また、過多な界面活性剤は、不純物としてエッチング面に残存するおそれもある。

0031

界面活性剤は、通常、親水基疎水基(または親油基)を有する。界面活性剤は、エッチング液中電離して親水基がイオン化するイオン性界面活性剤、イオン化しないノニオン性非イオン性)界面活性剤とに大別される。

0032

イオン性界面活性剤は、親水基側がアニオン陰イオン)となるアニオン性界面活性剤と、親水基側がカチオン陽イオン)となるカチオン性界面活性剤と、エッチング液のpHに応じて親水基側がアニオンおよび/またはカチオンとなる両性(双方性)界面活性剤とに分類される。

0033

エッチング液に含有させるアニオン性界面活性剤として、例えば、デカン酸オクタン酸ヘキサン酸等のカルボン酸型、1−オクタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸型、ラウリル硫酸アンモニウムポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等の硫酸エステル型、ラウリルリン酸リン酸オクチル等のリン酸型がある。

0034

エッチング液に含有させるカチオン性界面活性剤として、例えば、デシルアミンn−オクチルアミン、n−ヘキシルアミン等のアルキルアミン塩型、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩型がある。

0035

エッチング液に含有させる両性界面活性剤として、例えば、ラウリルスルホベタイン、ラウリルジメチルアミノベタイン等のカルボキシベタイン型、2−デシル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタイン等の2−アルキルイミダゾリン誘導型、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩等のグリシン型、ラウリルジメチルアミンN−オキシドオレイルジメチルアミンN−オキシド等のアミンオキシド型がある。

0037

エッチング液は、消泡剤脱泡剤)を含んでもよい。消泡剤は、例えば、エッチング液全体に対して、0.0001〜5質量%、0.001〜3質量%、0.01〜2質量%さらには0.1〜1質量%含まれるとよい。消泡剤は、エッチング時に発生する泡の寿命を短くし、エッチング液の白濁等を抑止する。なお、泡によるエッチング液の白濁は、光電気化学エッチング時の光の照射強度低下要因ともなる。特に、エッチング液に界面活性剤が添加されているとき、より微細で長寿命な泡が生成され易い。このため、界面活性剤を添加するとき、消泡剤も併せて添加されるとよい。

0038

消泡剤が過少ではそのような効果が乏しい。消泡剤が過多になっても効果の向上は望めない。また、過多な消泡剤は、不純物としてエッチング面に残存するおそれもある。エッチング液に添加する消泡剤として、アルコール類、グリコールエーテル類脂肪酸エステル類シリコーン類などがある。

0039

ちなみに、エッチング時に発生する泡は半導体の材質により異なる。例えば、炭化ケイ素のエッチング時なら、水素や酸素の他に、二酸化炭素や一酸化炭素等の反応生成ガスが泡となる。

0040

《エッチング方法》
(1)本発明のエッチング液は、光電気化学エッチングに用いられても、電気化学エッチングに用いられてもよい。いずれの場合でも、エッチング液に接触または浸漬した半導体に対して通電がなされる。このとき、半導体を正電圧陽極)、対向電極不溶電極)を負電圧(陰極)として、直流通電がなされるとよい。その電流密度は、例えば、10〜3000mA/cm2、100〜2500mA/cm2、150〜2000mA/cm2、200〜1500mA/cm2さらには400〜1000mA/cm2とするとよい。

0041

(2)光電気化学エッチングの場合、エッチング液に接触または浸漬した半導体の表面に、さらに光が照射される。照射光は、半導体のバンドギャップを考慮して、特定波長域の光が採用される。バンドギャップの大きい半導体(炭化ケイ素や窒化ガリウム等)は、波長が400nm以上の光が照射されても、正孔の生成ひいては酸化物の生成促進が図られない。そこで照射光は、例えば、波長が150〜400nm、200〜380nmさらには230〜350nmである光(紫外光)を少なくとも含むとよい。

0042

照射強度(照度)は、例えば、1〜100mW/cm2、5〜50mW/cm2さらには10〜35mW/cm2とするとよい。照射強度が過小では、半導体の照射面近傍における正孔の生成、ひいては酸化物の生成がわずかとなる。照射強度は大きくてもよいが、効果の向上は望めず、エッチング装置の大型化を招く。

0044

光照射による酸化物の生成過程は、炭化ケイ素(SiC)を例にとると次の通りである。SiC(半導体)のバンドギャップに相当する波長(例えば、4Hなら380nm)よりも短い光(例えば、紫外線)が照射されると、電子−正孔対がSiC中に生成される。その電子はバイアス印加により引き抜かれ、残った正孔(ホール:h+)はSiCの表面側(処理面側)に移動する。ホール(h+)は、例えば、次のような反応により、SiC表面近傍で酸化物を生成する。
SiC+4H2O+8h+ → SiO2+CO2+8H+ (1)
SiC+2H2O+4h+ → SiO +CO +4H+ (2)

0045

なお、これら生成した酸化物(SiO、SiO2等)は、エッチング液中に含まれるフッ酸(HF)により除去される。このように、光照射による酸化反応と、フッ酸によるシリコン酸化物等の除去とが繰り返されて、光電気化学エッチングは進行する。光照射により生成される正孔が酸化に寄与する分、光電気化学エッチングは、電気化学エッチングよりも効率的である。

0046

(3)エッチングは、フッ酸イオン、過塩素酸イオンまたは添加剤(界面活性剤、消泡剤等)が、変質せずに機能し得る温度域(適正温度域)でなされるとよい。適正温度域が室温域(例えば、5〜45℃さらには10〜35℃)となるように、各成分の濃度調整、添加剤の選択等がなされると、効率的なエッチングが可能となる。

0047

《半導体》
エッチング対象である半導体は、シリコン等の単結晶でも、炭化ケイ素や窒化ガリウム等の結晶体でもよい。半導体の形態(形状、大きさ等)、エッチングの目的等は問わない。例えば、半導体基板の厚さ調整(薄板化)、平滑化等のためにエッチングがなされる。エッチングによれば、化学的に安定で硬質な半導体基板に対しても、(化学機械研磨等で生じる物理的なダメージを回避した処理が可能となる。

0048

半導体の一例である炭化ケイ素は、六方晶系(2H、4H、6H等)または立方晶系(3C等)のいずれでもよい。その処理面(エッチング面)は、C面でもSi面でもよい。例えば、六方晶系のSiCなら、Si面は(0001)、C面は(000-1)である。

0049

種々のエッチング液を用いて半導体基板を光電気化学エッチングまたは電気化学エッチングした。得られたエッチング面を観察することにより、各エッチング液(特に界面活性剤)を評価した。このような具体例を挙げつつ、本発明をさらに詳しく説明する。

0050

[光電気化学エッチング/第1実施例]
《光電気化学エッチング装置》
本実施例で用いた光電気化学エッチング装置S(単に「装置S」という。)の概要図2に示す。装置Sは、槽1と、光源2と、電源3、電極4と、シール5と、固定具6を備える。

0051

槽1は、対向する側面に、光源2からの光が透過(貫通)する開口11と開口12を備える。開口11は、半導体基板W(単に「基板W」という。)側にあり、開口12は光源2側にある。開口12には、透明な照射窓13が液密に配設されている。照射窓13は、例えば、エッチング液Lに対する耐食性を有するサファイアガラス等からなる。また槽1の内底側には、槽1内のエッチング液Lを撹拌する攪拌子14がある。攪拌子14は、槽1が載置されるマグネチックスターラー(図略)により回転する。

0052

光源2は、キセノンランプ(例えば、波長:254〜400nm、パワー密度:600〜1400mW/cm2の光を照射可能)からなる。電源3は、電流の調整や測定ができる直流電源である。電源として、電流計を兼ねるポテンショスタットガルバノスタット等を用いてもよい。

0053

電極4は、基板Wに通電する電極41(アノード電極作用極)と、エッチング液Lに浸漬されて基板Wの被処理面(被エッチング面)に対向配置される電極42(カソード電極対極)とを備える。電極41は電源3の陽極(+)側に配線されて正電圧が印加されている。電極42は電源3の陰極(−)側に配線されて負電圧とされている。電極41は銅板金メッキされてなり、電極42は金板からなる。

0054

槽1の開口11の外周側には、基板Wがシール5を介して固定具6により液密に固定される。シール5は、エッチング液Lに対して耐食性を有する非導電性材料(「耐食非導電性材料」という。)からなるOリングである。固定具6は、槽1の外周面側に設けたネジ穴螺合するボルトである。なお、耐食非導電性材料は、例えば、塩化ビニル樹脂である。槽1の内周面には、耐食非導電性材料の一種であるフッ素樹脂コーティングされている。

0055

《エッチング液》
フッ酸(HF)と過塩素酸(HClO4)を表1に示す各割合(濃度)で、水(溶媒)に配合した水溶液を調製した。各水溶液:100重量部に対して、界面活性剤:0.032重量部、消泡剤:0.7重量部を添加した。界面活性剤には、ノニオン性界面活性剤:トリトンX−100(アルドリッチ製)を用いた。消泡剤には、2−(2−(2−メトキシエトキシエトキシ酢酸(アルドリッチ製)を用いた。こうして、フッ酸と過塩素酸の各濃度が異なる種々のエッチング液Lを用意した。なお、厳密にいえば、エッチング液L全体:100質量%に対して、界面活性剤:0.03176質量%(≒0.032質量%)、消泡剤:0.69491質量%(≒0.7質量%)となる。

0056

《光電気化学エッチング》
図2に示した装置Sと、表1に示した各エッチング液とを用いて、4H−SiC(n型)からなる基板WのSi面に対して光電気化学エッチング(処理工程)を、次の条件下で行った。

0057

光源:波長:254nmの紫外光、照射強度:27mW/cm2、
エッチング液温:室温(約25℃)、エッチング時間:5分間
電流密度:780mA/cm2

0058

《観察》
表1に示した各エッチング液を用いたエッチングにより得られた基板の処理面の断面(エッチング面近傍)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。それらの観察像図3に例示した(試料1、試料C1、および試料C3)。また、各試料(エッチング液)で得られた処理面について、多孔質層の形成の有無を表1にまとめて示した。また、エッチング液の組成(濃度)と多孔質層の形成の有無との関係を図4にまとめて示した。

0059

ちなみに、各試料に係るエッチング速度(単位時間あたりの厚さの変化量)は、3.2μm/minであった。エッチング速度は、基板Wの表面にできたエッチング前後の段差触針式段差計(KLA−Tencor社製 P−2)で測定し、その測定値をエッチング時間で除して求めた。

0060

《測定》
各エッチング面の表面粗さ(Ra:算術平均粗さ)を、原子間力顕微鏡AFM:Atomic Force Microscope)で測定した。多孔質層が形成されなかったエッチング面は、Ra2〜4nm(例えば、試料1:Ra2.5nm)であった。多孔質層が形成されたエッチング面は、Ra40〜80nm(例えば、試料C1:Ra42nm)であった。表面粗さ(Ra)は、視野5μm角におけるAFM(エスアイアイナノテクノロジー株式会社製NNREAL/E−SWEEP−TOZM01)に付属している処理ソフトの算出値を採用した。

0061

《比較例》
比較例として、表1の試料1に示した過塩素酸を硝酸に替えたエッチング液を用いて、上述した場合と同様にエッチングした。このとき、エッチング速度(単位時間あたりの厚さの変化量)は2.9μm/min、エッチング面の表面粗さ(Ra)は24.3nmであった。

0062

《評価》
表1、図3および図4から明らかなように、フッ酸と過塩素酸が所定濃度のエッチング液を用いると、炭化ケイ素からなる半導体の表面に多孔質層を形成させることなく、その表面を滑らかな(表面粗さが小さい)エッチング面とできることが明らかとなった。

0063

また、フッ酸と硝酸からなるエッチング液に対して、フッ酸と過塩素酸からなるエッチング液を用いると、十分なエッチング速度を確保しつつ、表面粗さを約1/10程度にまで小さくできることもわかった。

0064

[電気化学エッチング/第2実施例]
表1の試料1に示したエッチング液(過塩素酸系)と、上述した比較例で用いたエッチング液(硝酸系)とをそれぞれ用いて、電気化学エッチングを行った。電気化学エッチングは、キセノンランプ(光源2)を消灯した状態で、上述した装置Sを用いて行った。その他の条件は既述した通りとした。

0065

過塩素酸を含むエッチング液を用いたときのエッチング面の表面粗さ(Ra)は3.8nmであった。硝酸を含むエッチング液を用いたときのエッチング面の表面粗さ(Ra)は33.8nmであった。なお、いずれの場合も、エッチング速度は2.6μm/minであった。

0066

フッ酸と過塩素酸からなるエッチング液を用いると、電気化学エッチングでも、光電気化学エッチングと同様に、多孔質層の生成を抑制しつつ、良好なエッチング速度と表面粗さを高次元で両立できることがわかった。

実施例

0067

0068

S光電気化学エッチング装置
W半導体基板
L エッチング液

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