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技術 非水電解質二次電池

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 工藤尚範山田好伸土田靖
出願日 2019年9月10日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-164691
公開日 2021年3月18日 (4ヶ月経過) 公開番号 2021-044131
状態 未査定
技術分野 電池のセパレータ 電気二重層コンデンサ等
主要キーワード 通常使用温度 圧縮応力σ 高強度樹脂 断面長円形 ガーレー試験機法 有底角筒 高融点樹脂層 拘束機構
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

抵抗特性過充電特性とが向上されている非水電解質二次電池を提供する。

解決手段

ここに開示される非水電解液二次電池1は、正極30と、負極40と、正極30および負極40の間に介在されたセパレータ50と、を備える。セパレータ50は、少なくとも負極40に対向する側の表面にポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン層を備えている。また、負極40の厚み方向の圧縮弾性率は38MPa以上である。そして、負極40の圧縮弾性率に対するセパレータのガーレー透気度の比は3.1以上6.4以下である。

概要

背景

リチウムイオン電池ナトリウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、近年、パソコン携帯端末等のいわゆるポータブル電源車両駆動用電源として用いられている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、電気自動車EV)、ハイブリッド自動車HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用出力電源として好ましく用いられている。

非水電解質二次電池は、典型的には、正極活物質層を備えた正極と負極活物質層を備えた負極とが、多孔性セパレータを介して積層された電極体と、非水電解液とを備える。このような二次電池においては、電解液中の電荷担体(例えばリチウムイオン)がセパレータの空孔を通過して両電極間を行き来することで充放電が行われる。このセパレータには、過充電等によって電池温度が上昇した際に溶融して空孔を閉塞し、電荷担体の移動を遮断するシャットダウン(SD)機能を有するものがある。例えば特許文献1には、ポリエチレン(PE)層と高融点樹脂層とを積層したセパレータにおいて、PE層空孔率とセパレータの総厚みに対するPE層の厚み比とを所定のバランスとすることで、電荷担体の伝導パスをより迅速にSDし得ることが開示されている。

概要

抵抗特性過充電特性とが向上されている非水電解質二次電池を提供する。ここに開示される非水電解液二次電池1は、正極30と、負極40と、正極30および負極40の間に介在されたセパレータ50と、を備える。セパレータ50は、少なくとも負極40に対向する側の表面にポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン層を備えている。また、負極40の厚み方向の圧縮弾性率は38MPa以上である。そして、負極40の圧縮弾性率に対するセパレータのガーレー透気度の比は3.1以上6.4以下である。

目的

本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極高弾性にした場合であっても、抵抗特性と過充電特耐性とが向上されている非水電解質二次電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在されたセパレータと、を備え、前記セパレータは、少なくとも前記負極に対向する側の表面にポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン層を備え、前記負極の厚み方向の圧縮弾性率は38MPa以上であり、前記負極の圧縮弾性率に対する前記セパレータのガーレー透気度の比は、3.1以上6.4以下である、非水電解液二次電池

技術分野

0001

本発明は、非水電解質二次電池用に関する。

背景技術

0002

リチウムイオン電池ナトリウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、近年、パソコン携帯端末等のいわゆるポータブル電源車両駆動用電源として用いられている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、電気自動車EV)、ハイブリッド自動車HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用出力電源として好ましく用いられている。

0003

非水電解質二次電池は、典型的には、正極活物質層を備えた正極と負極活物質層を備えた負極とが、多孔性セパレータを介して積層された電極体と、非水電解液とを備える。このような二次電池においては、電解液中の電荷担体(例えばリチウムイオン)がセパレータの空孔を通過して両電極間を行き来することで充放電が行われる。このセパレータには、過充電等によって電池温度が上昇した際に溶融して空孔を閉塞し、電荷担体の移動を遮断するシャットダウン(SD)機能を有するものがある。例えば特許文献1には、ポリエチレン(PE)層と高融点樹脂層とを積層したセパレータにおいて、PE層空孔率とセパレータの総厚みに対するPE層の厚み比とを所定のバランスとすることで、電荷担体の伝導パスをより迅速にSDし得ることが開示されている。

先行技術

0004

特開2018−055888号公報
特開2017−174664号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、二次電池は実用化が進むに連れて、用途により適した特性を実現することが求められている。一度の充放電で大電流を出力するハイレート出力特性が求められる用途の二次電池においては、電極活物質層内に電解液を確保しておく必要があることから、一般に、電極活物質層は多孔度が高くなるように設計されている。しかしながら、このような二次電池においても、より小さい体積で大容量の電池を実現できれば有益である。二次電池の体積容量率を上げるには、例えば、発電に寄与しないセパレータや集電体薄層化や電極活物質層の高密度化等が考えられる。例えば、特許文献1の技術においてセパレータを薄層化すると、抵抗特性が悪化してしまうという課題に直面する。その一方で電極を高密度化すると、高密度化により高弾性となった電極によってセパレータが損傷を受けやすく、その結果、ハイレート電流により当該損傷部分が溶融しやすく、過充電時にはセパレータのSD時間が長大化して過充電耐性が低下するという問題があった。

0006

本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極を高弾性にした場合であっても、抵抗特性と過充電特耐性とが向上されている非水電解質二次電池を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

一般に、セルあたりの容量は電荷担体を供給する正極の容量により決定される。セルの全容量が小さい場合に負極の密度を上げてしまうと、正極に対する負極の容量比が大きくなり、充放電に寄与しない負極の割合が増えて、体積容量率が低下してしまう。したがって、高出力特性の二次電池の構成において高密度(換言すれば、高弾性率)な負極の採用は一般的ではない。しかしながら、本発明者らの鋭意検討によると、負極密度(換言すれば、負極の圧縮弾性率)を高める場合、当該圧縮弾性率を適切な範囲に設定した上で、当該圧縮弾性率に対応した透気度のセパレータを組み合わせて採用することで、セパレータへのダメージを好適に低減でき、抵抗特性と過充電特耐性とを両立し得ることを見出し、本願発明を完成するに至った。

0008

すなわち、ここに開示される非水電解液二次電池は、正極と、負極と、上記正極および上記負極の間に介在されたセパレータと、を備える。上記セパレータは、少なくとも上記負極に対向する側の表面にポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン層を備える。上記負極の厚み方向の圧縮弾性率は38MPa以上である。そして上記負極の圧縮弾性率に対する上記セパレータのガーレー透気度の比は、3.1以上6.4以下である。

0009

また、ここに開示される技術は、上記の非水電解液二次電池を複数配列し、配列方向圧縮応力が加わるように拘束してなる組電池を提供する。このような構成によると、より大容量の二次電池が実現できるとともに、高弾性な電極を採用した場合でもセパレータが損傷されにくいという本願発明の利点をいかんなく発揮し得る点において好ましい。

0010

また、他の観点において、ここに開示される技術は、非水電解質二次電池の製造方法を提供する。この製造方法は、厚み方向の圧縮弾性率が38MPa以上の負極を用意すること、上記負極の圧縮弾性率に対するガーレー透気度の比が3.1以上6.4以下であるセパレータを用意すること、正極と前記負極とを前記セパレータで絶縁して電極体を構築し、非水電解液とともに電池ケースに収容して二次電池を得ること、を含む。このような構成によると、体積容量率が高く、抵抗特性と過充電特耐性とが両立された二次電池を製造することができる。

0011

なお、本技術において、「圧縮弾性率」とは、後述の実施例に開示したように、JIS K7181:2011に準じて実施される圧縮試験において、電極(集電体および活物質層を含む)を厚み方向に一定のひずみ速度で連続的に一次元圧密したとき、圧縮応力σ1:0.9MPaおよびσ2:1.1MPaにおいてそれぞれ測定される圧縮ひずみε1およびε2に基づき算出される、圧縮応力の差(σ2−σ1)を圧縮ひずみの差(ε2−ε1)で除した値である。
なお、特許文献2には、本願とは異なる規定による負極の圧縮弾性率について言及がある。しかしながら、特許文献2では、負極活物質層に高弾性な副材を添加して圧縮弾性率を高める一方、負極活物質層は高密度化せずにセパレータを低弾性化している点において、ここに開示される二次電池とは構成が異なる。

0012

また、本技術において「ガーレー透気度」とは、JIS P8117:2009に規定されるガーレー試験機法によって測定される透気度である。後述の実施例に開示したように、一定圧力差のもとで一定体積(100mL)の空気が一定面積のセパレータを通過する秒数により表される。

図面の簡単な説明

0013

一実施形態に係るリチウムイオン電池の構成を模式的に示す切欠き斜視図である。
一実施形態に係る捲回型電極体の構成を説明する部分展開図である。
一実施形態に係る電極体の構成を説明する横断面図である。
参考のための電極体の構成を説明する横断面図である。

実施例

0014

以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない非水電解質二次電池の構成や動作等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。なお本技術に関し、数値範囲を示す「A〜B」との表記は、「A以上B以下」を意味するものとする。

0015

本技術において「二次電池」とは繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池等のいわゆる蓄電池、ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子包含する用語である。また、「非水電解質二次電池」とは、電荷担体として非水系の電解質を用いて充放電を実現する二次電池であり、電解質は固体電解質ゲル状電解質、および非水電解質のいずれであってもよい。また、「活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種を可逆的に吸蔵および放出し得る物質をいう。以下、非水電解質二次電池がリチウムイオン二次電池である場合を例にして、本技術について説明する。

0016

[リチウムイオン二次電池]
図1は、一実施形態に係るリチウムイオン電池(以下、単に「二次電池」等という。)1の構成を示す切欠き斜視図である。図2は捲回型電極体20の構成を説明する部分展開図であり、図3はその一部断面を模式的に示した図である。図4は、参考のための電極体の断面を模式的に示した図である。このリチウムイオン電池1は、正極30と負極40とセパレータ50とを含む捲回型電極体20が非水電解液(図示せず)とともに電池ケース10に収容されることで構成されている。図中のWは、電池ケース10および捲回型電極体20の幅方向を示し、捲回型電極体20の捲回軸WLと一致する方向である。また、図3および図4では、負極40の表面の活物質とセパレータ50との関係を説明するために、一部を誇張し、また、負極40およびセパレータ50の間に隙間を設けている。

0017

正極30の構成はこれに制限されるものではなく、典型的には、正極集電体32と、その両面に形成された多孔質の正極活物質層34とを備え得る。正極活物質層34の細孔には非水電解液が含浸されている。正極集電体32には、例えば、アルミニウム箔等の金属箔が好適に使用される。正極集電体32は、幅方向の一端に正極活物質層34が備えられずに集電体が露出した集電部を備える。正極活物質層34は、粒状の正極活物質を含有する。正極活物質としては、例えば、リチウムイオンの可逆的な吸蔵・放出が可能な、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等)、リチウムニッケル複合酸化物(例、LiNiO2等)、リチウムコバルト複合酸化物(例、LiCoO2等)、リチウムニッケルマンガン複合酸化物(例、LiNi0.5Mn1.5O4等)などのリチウム遷移金属複合酸化物一種または二種以上の組合せが用いられる。正極活物質層34は、正極活物質の他に、アセチレンブラック(AB)等の導電材や、これらを結着するための、アクリル系ポリマーポリフッ化ビニリデンPVDF)、スチレンブタジエンラバーSBR)等のバインダを含有し得る。

0018

正極活物質の平均粒子径(D50)は特に制限されず、典型的には0.5μm以上、好ましくは1μm以上、2μm以上、例えば3μm以上であり、例えば20μm以下、典型的には15μm以下、好ましくは12μm以下、例えば9μm以下である。正極活物質層34全体に占める正極活物質の割合は、およそ50質量%以上、典型的には60質量%以上、例えば70質量%以上であってよく、典型的には95質量%以下、例えば90質量%以下であり得る。正極活物質層34における導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して、典型的には0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、例えば3質量部以上であり、典型的には15質量部以下、好ましくは12質量部以下、例えば10質量部以下である。正極活物質層34におけるバインダの割合は、正極活物質100質量部に対して、典型的には0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、例えば2質量部以上であり、典型的には10質量部以下、好ましくは8質量部以下、例えば5質量部以下とすることができる。また、正極活物質層34のプレス後の厚み(片面の平均厚みである。以下同じ。)は、典型的には10μm以上、例えば15μm以上であって、典型的には50μm以下、例えば30μm以下とすることができる。また、正極活物質層34の密度はこれに限定されないが、典型的には1.5g/cm3以上、例えば2g/cm3以上であって、3g/cm3以下、例えば2.5g/cm3以下とすることができる。正極30の厚み方向の圧縮弾性率は、典型的には、20MPa以上、例えば30MPa以上100MPa以下である。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特にことわりのない限り、レーザ回折散乱法によって得られる体積基準粒度分布における累積50%粒子径(D50)である。

0019

負極40の構成はこれに制限されるものではなく、典型的には、負極集電体42と、その両面に形成された多孔質の負極活物質層44とを備え得る。負極活物質層44の細孔には非水電解液が含浸されている。負極集電体42には、例えば、銅箔等の金属箔が好適に使用される。負極集電体42は、幅方向の一端に負極活物質層44が備えられずに集電体が露出した集電部を備える。負極活物質層44は、粒状の負極活物質を含有する。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンの可逆的な吸蔵・放出が可能な、グラファイトカーボンアモルファスカーボンなどの炭素系材料シリコンリチウム遷移金属酸化物リチウム遷移金属窒化物等の一種または二種以上の組合せが用いられる。負極活物質層44は、負極活物質の他に、これらを結着するための、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)等のバインダや、カルボキシメチルセルロースCMC)等の増粘剤を含有し得る。

0020

負極活物質粒子の平均粒子径(D50)は特に制限されず、例えば、0.5μm以上であってよく、1μm以上が好ましく、より好ましくは5μm以上である。また、30μm以下であってよく、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。負極活物質層44全体に占める負極活物質の割合は、およそ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは90質量%〜99質量%、例えば95質量%〜99質量%である。バインダを使用する場合には、負極活物質層44に占めるバインダの割合を、負極活物質100質量部に対して例えば0.1質量部〜5質量部程度とすることができ、通常はおよそ0.5質量部〜2質量部とすることが適当である。また、ここに開示される技術において、負極40の厚み方向の圧縮弾性率は一般的なハイレート用途の二次電池における負極よりも高められている。すなわち、負極40の厚み方向の圧縮弾性率は、38MPa以上であり、典型的には、40MPa以上、50MPa以上、60MPa以上であってよく、例えば70MPa以上である。負極40の厚み方向の圧縮弾性率は特に制限されず、例えば100MPa以下であってよく、90MPa以下や88MPa以下であり得る。これにより、体積容量率の高い電池を実現することができる。負極活物質層44のプレス後の厚み(片面の平均厚みである。以下同じ。)は、例えば20μm以上、典型的には40μm以上であって、例えば高容量化の観点からは50μm以上であるとよい。負極活物質層44の平均厚みは、例えば100μm以下、典型的には80μm以下、例えば65μm以下であってよい。また、負極活物質層44の密度は特に限定されないが、例えば0.8g/cm3以上、典型的には1.0g/cm3以上であって、1.5g/cm3以下、典型的には1.4g/cm3以下、例えば1.2g/cm3以下とすることができる。

0021

セパレータ50は、正極と負極とを電気的に絶縁し、正負極間での電荷担体の移動を可能にする多孔性の部材である。セパレータは、例えば微小な孔を複数有する微多孔性シートである。セパレータの細孔にも非水電解液が含浸されている。ここに開示されるセパレータ50は、上記の圧縮弾性率の高い負極40との組合せにおいて、負極の圧縮弾性率(E[MPa])に対する厚み方向のガーレー透気度(P[s/100mL])の比(P/E[kg・m-1・s-1/100mL])が、3.1以上6.4以下である。比(P/E)は、過充電耐性の観点から3.5以上が好ましく、4以上がより好ましい。比(P/E)は、抵抗特性の観点から6以下が好ましく、5.5以下がより好ましい。

0022

セパレータ50は、例えば、電池化学反応による雰囲気に対する耐久性を有するポリオレフィン樹脂等で構成された単層構造のセパレータや、多層構造のセパレータを用いることができる。ここでセパレータは、少なくとも負極に対向する側の表面にポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン(PE)層を備えている。PE層は、二次電池の内部の温度が上昇した際に比較的低い温度から軟化または溶融して細孔を閉塞するシャットダウン層である。ポリエチレン系樹脂は、エチレン主モノマー成分とする(モノマー成分のなかで最も多い割合を占める)樹脂であり、好ましくは、エチレンの共重合割合が50質量%を超える樹脂である。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE)、分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレンを主モノマーとするエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体等が例示される。

0023

ポリエチレン系樹脂は、その融点が、二次電池1の通常使用温度の上限よりも高く、典型的には70℃以上、例えば80℃以上である。したがって、二次電池1の通常使用時には、セパレータ50の多孔質構造は維持され、正極30と負極40との間に良好なイオン伝導パスを提供することができる。ポリエチレン系樹脂は、その融点が、概ね130℃以下、典型的には120℃以下、好ましくは110℃以下、例えば100℃以下であるとよい。これにより、二次電池1の内部の温度が大きく上昇する前に、迅速にシャットダウン機能発現させることができる。なお、樹脂の融点は、一般的な示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)によって測定することができる。

0024

セパレータ50は、負極に対向する側の表面にPE層が備えられている限り、このPE層の正極の側には他の樹脂層が備えられていてもよい。好適な一例では、セパレータ50は多層構造であり、少なくとも、PE層と多孔質高融点樹脂層とを有している。本発明者の検討によれば、負極40では正極30に比べて発熱の始まる温度が低い。言い換えれば、負極40は過充電のより早い段階で高温になりやすい。PE層を負極40と対向するように配置することでシャットダウン機能が効果的に作用し、ここで開示される技術の効果をより良く発揮することができる。

0025

高融点樹脂層は、PE層に含まれるポリエチレン系樹脂よりも融点の高い高融点樹脂を含む多孔質の樹脂層である。高融点樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)系樹脂等のポリオレフィン系樹脂ポリ塩化ビニル系樹脂ポリ酢酸ビニル系樹脂ポリイミド系樹脂ポリアミド系樹脂セルロース類ポリエーテル系樹脂ポリエステル系樹脂フッ素系樹脂等が例示される。また、例えばPE層に、ポリエチレン樹脂として、LLDPEやLDPE、エチレン−プロピレン共重合体等の低融点ポリエチレン系樹脂を用いる場合には、高融点樹脂層の高融点樹脂として、HDPEやエチレン−酢酸ビニル共重合体等の高融点ポリエチレン系樹脂を用いることもできる。機械的強度(例えば、引張強度突刺強度)や化学的定性を向上する観点からは、高融点樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。なお、ここで「ポリオレフィン系樹脂」とは、主鎖骨格カルボニル単位を含む化合物全般をいうものとする。好適な一例では、高融点樹脂層は、ポリプロピレン系樹脂を含む多孔質のPP層である。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主モノマー成分とする(モノマー成分のなかで最も多い割合を占める成分である)樹脂であり、好ましくは、プロピレンの共重合割合が50質量%を超える樹脂である。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体ホモポリマー)や、プロピレンを主モノマーとするエチレン−プロピレン共重合体(ランダムコポリマーブロックコポリマー)等が例示される。

0026

高融点樹脂の融点は、PE層に含まれるポリエチレン系樹脂よりも高い限りにおいて特に限定されない。高融点樹脂の融点は、PE層に含まれるポリエチレン系樹脂よりも、概ね5℃以上、典型的には10℃以上、好ましくは20℃以上、例えば30℃以上高いとよい。これにより、PE層がシャットダウン層として機能する際に、高融点樹脂層の形状を保持し易くなる。したがって、正極10と負極20との短絡をより良く抑制することができる。また、PE層と高融点樹脂層とに、それぞれ融点の異なる樹脂を含むことによって、二段階のシャットダウンを可能にすることができる。言い換えれば、高融点樹脂層が第2のシャットダウン層としての機能を好適に発揮して、より高い過充電耐性を実現することができる。高融点樹脂の融点は、概ね100℃以上、典型的には110℃以上、好ましくは130℃以上、例えば150℃以上であるとよい。これにより、セパレータ50の耐熱性を向上することができる。高融点樹脂の融点は、概ね200℃以下、典型的には180℃以下、好ましくは170℃以下、例えば165℃以下であるとよい。これにより、高融点樹脂層が第2のシャットダウン層として機能を好適に発揮し得る。

0027

セパレータ50は、硬質な負極40による損傷を抑えるために、負極40の硬度に応じた適切なガーレー透気度を備えていることが好ましい。すなわち、従来の負極は電解液の保持能を高めるために比較的軟質であり、セパレータ50は硬質な正極30に当接しても負極がクッションとして機能することから損傷を受けることが抑制されていた。しかしながら、高密度化のために負極40までをも上記のとおり硬質にすると、図4に示すように、硬質な正極30と負極40とに挟まれたセパレータ50は電極(ここでは負極40)の表面の僅かな凹凸で損傷Dを受けやすくなってしまう。そこでここに開示されるセパレータ50は、負極の圧縮弾性率に対するセパレータのガーレー透気度の比が3.1以上6.4以下となるようなガーレー透気度を備えていることが好ましい。なお、一般にセパレータ50の物性は組成の他に気孔率表現されることが多い。しかしながら、本技術では、セパレータ50の柔軟性は組成と気孔率のみならずその厚みにもされ得ることから、この厚みを考慮できるガーレー透気度を指標とするようにしている。上記比は、3.1より小さすぎると、セパレータ50が薄すぎたりコシがなく潰れてしまい、損傷を受けやすいために好ましくない。比は、3.5以上が好ましく、4以上がより好ましい。また上記比は、6.4より大きすぎると、セパレータ50は潰れたり損傷を受けたりし難くなるものの、抵抗が高くなりすぎるために好ましくない。比は、6以下が好ましく、5.5以下がより好ましい。なお、ガーレー透気度は、負極40の硬度とのバランスによるためこれに限定されるものではないが、一例として、180sec/100min以上、200sec/100min以上、220sec/100min以上程度であって、340sec/100min以下、320sec/100min以下、300sec/100min以下程度を目安とすることができる。

0028

なお、PE層の空孔率は、これに限定されるものではないが、好ましくは2%以上5%以下である。これにより、二次電池1の内部温度が上昇した際に、PE層の空孔を迅速に完全閉塞して正負極間のイオン伝導を速やかに遮断することができる。その結果、SD後に二次電池1の温度上昇を好適に抑制することができ、過充電耐性を向上させることができる。PE層の厚みは特に限定されない。セパレータの総厚みは、15μm以上であってよく、20μm以上が好ましく、例えば23μm以上であってよい。総厚みを所定値以上とすることで、セパレータ50の機械的強度(例えば、引張強度や突刺強度)や耐久性を向上することができる。しかしながら、厚すぎるセパレータは体積容量率の低下をもたらす点において好ましくない。セパレータの総厚みは、例えば30μm以下、例えば25μm以下であるとよい。総厚みを所定値以下とすることで、イオン伝導性を高めて、二次電池1のハイレート充放電特性を向上することができる。なお、セパレータがPE層とPP層とからなる2層構造である場合、PE層は概ね1μm以上、例えば5μm以上であって、概ね15μm以下、例えば10μm以下であるとよい。これにより、良好なイオン伝導性を実現すると共に、ここで開示される技術の効果を安定的により良く発揮することができる。

0029

高融点樹脂層の空孔率は特に限定されないが、PE層の空孔率よりも大きいとよい。高融点樹脂層の空孔率は、PE層の空孔率よりも、概ね5倍以上、好ましくは10倍以上、例えば20倍以上大きいとよい。具体的には、概ね35%以上、典型的には40%以上、例えば45%以上であって、概ね70%以下、典型的には65%以下、例えば60%以下であるとよい。これにより、二次電池1の通常使用時には、電解液の浸透性保湿性が高められる。その結果、優れたイオン伝導性を実現することができる。また、セパレータ50の機械的強度や耐久性を向上することができる。また、高融点樹脂層の厚みはこれに限定されるものではないが、セパレータがPE層とPP層とからなる2層構造である場合、概ね2μm以上、例えば5μm以上であって、概ね25μm以下、例えば20μm以下であるとよい。これにより、良好なイオン伝導性を実現すると共に、機械的強度や耐久性をより良く向上することができる。

0030

ここで開示される技術において、樹脂基材36の総厚みに対するPE層の厚みの比は、0.048以上0.091以下である。また、図2に示す態様では、多孔質高融点樹脂層(すなわち、多孔質ポリプロピレン層)34の厚みに対するPE層の厚みの比が0.05以上0.1以下である。これにより、樹脂基材36に空孔率が小さなPE層を含む態様であっても、セパレータ50の連通性を確保して、良好なイオン伝導性を実現することができる。したがって、通常使用時の電池特性と過充電耐性とをより良くバランスすることができる。なお、セパレータ50の各層の厚みは、例えば電子顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM))観察によって実測することができる。例えば、セパレータ50の各層において、複数箇所で厚みを測定し、その平均値を採用することができる。

0031

なお、セパレータ50は、図3に示すようにPE層と高融点樹脂層との2層構造であってもよいし、PE層と高融点樹脂層とに加えて1以上の層を有する3層以上の構造であってもよい。例えば、PE層と高融点樹脂層との間に1以上の層を設けてもよいし、高融点樹脂層のPE層と対向していない側の表面に1以上の層を設けてもよい。また、セパレータ50は、例えばPE層の負極と対向していない側の表面に、耐熱性および絶縁性を有する耐熱層(Heat Resistant Layer:HRL層)を備えていてもよい。耐熱層は、アルミナ等の無機化合物粒子無機フィラー)を含んでいる。耐熱層は、電荷担体が通過可能なように、多孔質に構成されている。セパレータ50に耐熱層を備えることで、例えば二次電池1の内部の温度が高融点樹脂層に含まれる高融点樹脂の融点を超えて縮んだり破断したりした場合であっても、正極30と負極40との短絡を防ぐことができる。

0032

図2に示されるように、電極体20は、長尺の正極30と負極40とが2枚のセパレータ50で互いに絶縁された状態に積層され、捲回軸WLを中心に断面長円形に捲回されたいわゆる捲回型電極体である。正極活物質層34の幅W1と、負極活物質層44の幅W2と、セパレータの幅W3とは、W1<W2<W3の関係を満たす。負極活物質層44は幅方向の両端で正極活物質層34を覆い、セパレータ50は幅方向の両端で負極活物質層44を覆う。しかしながら、ここに開示されるリチウムイオン電池1の電極体20は、捲回型電極体に制限されず、例えば、複数枚の正極30と負極40とがそれぞれセパレータ50で絶縁されて積層された形態の、いわゆる平板積層型の電極体20であってもよい。あるいは、正極30と負極40がそれぞれ1枚ずつ電池ケースに収容された単セルであってもよい。

0033

非水電解液は、非水溶媒電解質支持塩とを含んでいる。非水溶媒および電解質支持塩の種類は特に限定されず、従来の二次電池の電解液に使用されているものと同様であってよい。電解質支持塩の好適例は、例えば、LiPF6、LiBF4等のリチウム塩である。非水溶媒の好適例は、例えば、カーボネート類エステル類エーテル類等の非プロトン性溶媒である。なかでも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネートジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネートDMC)、エチルメチルカーボネートEMC)等の鎖状カーボネート、および、これらのカーボネートフッ素化されたフッ素化鎖状またはフッ素化環状カーボネートを、1種または2種以上含むことが好ましい。電解液中のリチウム塩の濃度は、例えば0.8〜1.3mol/Lとすることができる。非水電解液は、その他、被膜形成剤過充電防止剤などの添加剤を含むことができる。

0034

電池ケース10は、一の面に開口を有するケース本体11と、この開口を封口する蓋部材12と、を備える。本例のケース本体11は、扁平な有底角筒形状を有する。蓋部材12は、ケース本体11の広側面および狭側面の上端部に形成される開口を気密に封止できるように構成されている。蓋部材12には、正極外部端子38および負極外部端子48と、注液孔および安全弁が備えられている。電池ケース10は、これに限定されないものの、例えば、鉄、銅、アルミニウムチタニウムおよびこれらを含む合金(例えば、鋼)などの金属、または高強度樹脂等により好適に構成される。正極外部端子38および負極外部端子48は、蓋部材12のケース内部側に設けられる正極集電部材38aおよび負極集電部材48aに接続されている。正極集電部材38aおよび負極集電部材48aは、この正負の集電部に接続されている。これにより、正極外部端子38および負極外部端子48を通じて、電極体20に電気エネルギー充電したり、電極体20から電気エネルギーを取り出したりすることができる。

0035

なお、ここに開示される二次電池1は、複数の二次電池が電池ケース10の広側面が互いに対向するように配列され、拘束されることで、組電池を構成していてもよい。この場合、組電池は、典型的には複数の二次電池1と、一対のエンドプレートおよび拘束部材からなる拘束機構とを含む。配列された複数の二次電池1は、配列方向の両端にエンドプレートがそれぞれ配置され、拘束部材によってエンドプレート間距離が所定の離間距離となるように固定される。拘束機構は、例えば、二次電池1に対し配列方向に所定の拘束圧が加わるように、エンドプレート間距離が決定される。

0036

ここに開示されるリチウムイオン電池は各種用途に利用可能であるが、従来品に比べ、体積容量率を高くした上で、ハイレートでの繰り返し充放電を低抵抗かつ過充電耐性を高めた状態で実現することができる。換言すると、このような優れた電池性能信頼性(過充電時の熱安定性等の安全性を包含する)とを高いレベルで両立可能なものであり得る。したがって、このような特徴を活かして、高エネルギー密度や高入出力密度が要求される用途、高い信頼性を要求される用途で好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。なお、かかる二次電池は、典型的には複数個直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用され得る。

0037

以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をこれらの具体例で示すものに限定することを意図したものではない。

0038

評価用二次電池の構築)
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2:NCM)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、NCM:AB:PVdF=90:8:2の質量比で配合し、溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混練することで正極ペーストを調製した。そして、用意した正極ペーストを正極集電体としての厚さ12μmの長尺のアルミニウム箔の両面に塗布、乾燥し、プレスすることにより、正極活物質層を備える正極を得た。正極には、集電のため、幅方向の一方の端部に沿って正極活物質層を形成していない非塗工部を設けた。また、正極活物質層は、圧縮弾性率が80MPa程度となるようにプレスした。

0039

負極活物質としての黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比で配合し、イオン交換水と混練することで負極ペーストを調製した。そして用意した負極ペーストを、負極集電体42としての厚さ10μmの長尺の銅箔の両面に塗布、乾燥し、プレスすることにより、負極活物質層を備える負極を得た。負極には、集電のため、幅方向の一方の端部に沿って負極活物質層を形成していない非塗工部を設けた。また、負極活物質層のプレス圧を変化させることで、圧縮弾性率を8通りに変化させた。なお、このように用意した負極の負極活物質層の密度は、概ね1〜1.2mg/cm3程度、厚みは約55μm程度である。

0040

セパレータとしては、ポリエチレン系樹脂からなるPE層とポリプロピレン系樹脂からなるPP層とからなる2層構造の多孔質シートであって、厚みやが(1)17μm、(2)20μm、(3)24μmの3通りのセパレータを用意した。

0041

上記で用意した正極と負極とセパレータとを、表1に示す組合せで、下から、セパレータ−負極−セパレータ−正極の順で互いに絶縁されるように、かつ、PE層が負極に対向する側となるように重ね合わせて積層体とし、次いで捲回することで、捲回型電極体を構築した。そして用意した捲回型電極体を非水電解液とともに角型電池ケースに収容することで、評価用二次電池とした。なお、非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=3:3:4の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。

0042

[圧縮弾性率の測定]
用意した負極の圧縮弾性率を測定し、その結果を表1に併せて示した。具体的には、まず、負極を20mm×20mmの寸法に打ち抜き、20枚ずつ積層することで、供試体(N=5)とした。そして、JIS K7181:2011に準じ、この供試体に対し、試験速度を1.0mm/minとして45kNまで荷重負荷する圧縮試験を実施した。これにより得られる応力−ひずみの関係から、圧縮応力0.9MPa〜1.1MPaの範囲における圧縮ひずみの変化量(傾き)を線形回帰法で算出し、その算術平均値を圧縮弾性率とした。

0043

[透気度測定]
用意したセパレータの透気度を測定し、その結果を表1に併せて示した。具体的には、JIS P8117:2009に規定されるガーレー試験機法に準じ、試験器内筒の開口に試験片取付け外筒に収容した液体に浮かべたときに、徐々に沈降する内筒の自重によって圧縮された空気100mLが試験片を透過するのに要した時間を測定した。試験機としては、内筒上部が密閉形のB型試験器を用いた。この試験器において、ガスケット内径は28.6±0.1mm、試験面積645mm2、内筒一式の質量は567±1.0gであった。試験片は、セパレータ原反から、長手方向に一致するMD方向に長さ80mmの試験片を全幅にわたって切り出し、測定位置を幅方向の両端および中央部の3点として、得られた透過時間の算術平均値を透気度(ガーレー値)として、表1に示した。

0044

[過充電耐性評価
各例の評価用電池に対し、まず、25℃の温度環境下にて、4.2Vまで1/3Cでのレートで定電流(CC)充電して5分間休止したのち、3.0Vまで1/3CのレートでCC放電するコンディショニング処理を施した。次いで、各電池の電池ケースの外側中心に熱電対を取付け、−10℃の温度環境下、10Cの定電流で25Vまで過充電したときの電池温度を観測した。そして、セパレータがシャットダウン(SD)してから30秒間に、電池の発熱による温度上昇を計測し、表1のSD後発熱温度の欄に示した。

0045

低温IV抵抗評価]
各例の評価用電池に対し、まず、25℃の温度環境下にて、4.2Vまで1/3Cでのレートで定電流(CC)充電したのち、電流値が1/50Cとなるまで定電圧CV)充電を行うことで、充電状態(State of Charge:SOC)を満充電(SOC100%)とした。その後、5分間の休止時間を設け、3.0Vまで1/3CのレートでCC放電することで、初期充電処理を施した。初期充電後の各例の電池に対し、−10℃の環境下で、15Cの定電流で、SOC60%まで充電したときのIV抵抗値を計測し、その結果を表1に示した。なお、表1には、負極の圧縮弾性率が高い例8の電池のIV抵抗値を100(基準)として規格化したときの値を示した。

0046

0047

[評価]
例1〜8の比較から、負極の圧縮弾性率を一般的な28MPaから88MPaへと変化させていくと、圧縮弾性率が84MPa以上の例7,8において、過充電によるセパレータのSD後も短時間の間に電池温度が急上昇することが確認された。高弾性な正極と負極との間に軟質なセパレータを板挟みにした状態で何らあの圧力が加わると、負極がある程度柔らかい場合は負極によって局所的な圧力を緩和することができる。しかしながら、正極に加えて負極の弾性率まで高くなりすぎると、硬質な正極と負極によりセパレータが損傷を受けやすくなり、過充電時には当該損傷部を起点により低温からセパレータの溶融が広がりやすくなる。その結果、迅速なSDを行うことができず、結果としてSD後の温度上昇が加速し、過充電耐性が確保できなくなると考えられる。

0048

また、例8と例9の比較から、例8のような正極および負極に対してより透気度の低いセパレータを組み合わせると、電池のIV抵抗を低減させることができる点において好ましいと言える。しかしながら、透気度の低いセパレータは正負極に挟まれることによる損傷を更に受けやすくなる。そのため当該損傷がより早期のSD開始を誘起するものの、SDの完了までに時間を要し、SD完了後の発熱がより高温化してしまうことが確認できた。

0049

一方で、負極の圧縮弾性率を28MPaを低いままにした例1の電池では、過充電に時に好適にSDが行われ、SD後の発熱が迅速に抑えられて、良好な過充電耐性を示すことがわかった。しかしながら、そもそも負極の体積が嵩み、本技術が目標とする課題を十分に解決し得ていない。また、このようなセパレータに組み合わせる負極として圧縮弾性率が十分ではなく、IV抵抗が高くなるという課題が生じることがわかった。

0050

これに対し、セパレータの透気度を305秒/100mLまで高くした電池については、負極の圧縮弾性率が28MPa程度と低い例10では依然としてIV抵抗が高すぎるという結果であるものの、負極の圧縮弾性率を88MPa程度まで高くした例11についてはIV抵抗を十分に低くでき、優れた過充電耐性と低IV抵抗とを両立できることがわかった。

0051

以上の結果から、表1に示されるように、負極の圧縮弾性率はセパレータの透気度に応じて適切に設定することが肝要であり、例えば、負極の圧縮弾性率Eに対するセパレータの透気度Pの比(P/E)は、3.1以上6.4以下程度の範囲であることが好ましいと言える。これにより、内部抵抗を増加させることなく、過充電耐性を確保出来ることがわかった。このような比(P/E)は、電池の単位体積当たりの容量を増大させた高密度電極や、より薄いセパレータを用いる電池等を設計する場合に特に好ましく適用することができる。これにより、内部抵抗の低減と、過充電安全性とが両立された非水電解液二次電池が提供される。以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

0052

1電池
10電池ケース
20電極体
30 正極
40 負極
50 セパレータ

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