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図面 (20)

課題

本開示の目的の1つは、がん処置および/または予防のための医薬組成物を提供することである。

解決手段

少なくとも1つの短鎖脂肪酸を有効成分として含むがんの処置および/または予防のための医薬組成物を提供する。ある実施態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸は、酢酸プロピオン酸酪酸イソ酪酸吉草酸イソ吉草酸ヒドロアンゲリカ酸カプロン酸メチル吉草酸、コハク酸またはこれらの組合せである。ある実施態様では、本開示の医薬組成物は、がんの処置のための他の有効成分、例えば、免疫チェックポイント阻害剤と併用される。

概要

背景

近年、がん治療法として、免疫チェックポイント阻害剤が注目されている。日本国内では、例えば、抗PD−1抗体のニボルマブおよびペムブロリズマブ、抗PD−L1抗体のアベルマブ、アテゾリズマブおよびデュバルマブが、各種のがんの治療承認されている。多くのがん患者において免疫チェックポイント阻害剤により高い治療効果が得られる一方で、免疫チェックポイント阻害剤が奏効しない患者も存在する。

免疫チェックポイント阻害剤の奏効割合に腸内細菌叢の構成が関係することが複数報告されたが、同定された腸内細菌種は多様で、統一された見解はない。例えば、マウスモデルにおいてビフィドバクテリウムブレベ(Bifidobacterium breve)およびビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium logum)が抗PD−L1抗体の奏効と関連すること(非特許文献1)、肺癌腎癌膀胱癌患者において、アッカーマンシアムシフィラ(Akkermansia muciniphila)が抗PD−1抗体の奏効と関連し、バクテロイデス門(Bacteroidetes)が非奏効と関連すること(非特許文献2)、メラノーマ患者において、ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)およびフィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)が抗PD−1抗体の奏効と関連し、バクテロイデス目(Bacteroidales)が非奏効と関連すること(非特許文献3)、メラノーマ患者において、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)およびバクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)が抗CTLA4抗体イピリムマブの奏効と関連すること(非特許文献4)、メラノーマ患者において、フィーカリバクテリウム属およびファーキューテス属(Firmicutes)がイピリムマブの有効性に関連すること(非特許文献5)が報告されている。

概要

本開示の目的の1つは、がんの処置および/または予防のための医薬組成物を提供することである。少なくとも1つの短鎖脂肪酸を有効成分として含むがんの処置および/または予防のための医薬組成物を提供する。ある実施態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸は、酢酸プロピオン酸酪酸イソ酪酸吉草酸イソ吉草酸ヒドロアンゲリカ酸カプロン酸メチル吉草酸、コハク酸またはこれらの組合せである。ある実施態様では、本開示の医薬組成物は、がんの処置のための他の有効成分、例えば、免疫チェックポイント阻害剤と併用される。

目的

Sivan A, et al. Science 2015;350:1084-1089.
Routy B, et al. Science 2018;359:91-97.
Gapalakrishnan V, et al. Science 2018;359:97-103.
Vetizou M, et al. Science 2015;350:1079-1084.
Chaput N, et al. Ann Oncol 2017;28:1368-1379.






本開示の目的の1つは、がんの処置および/または予防のための医薬組成物を提供する

効果

実績

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請求項1

少なくとも1つの短鎖脂肪酸を有効成分として含む、がん処置および/または予防のための医薬組成物

請求項2

少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、酢酸プロピオン酸酪酸イソ酪酸吉草酸イソ吉草酸ヒドロアンゲリカ酸カプロン酸メチル吉草酸、コハク酸またはこれらの組合せである、請求項1に記載の医薬組成物。

請求項3

少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである、請求項1または2に記載の医薬組成物。

請求項4

少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。

請求項5

少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。

請求項6

抗がん剤と併用される、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。

請求項7

抗がん剤が免疫チェックポイント阻害剤である、請求項6に記載の医薬組成物。

請求項8

免疫チェックポイント阻害剤がPD−1阻害剤またはPD−L1阻害剤である、請求項7に記載の医薬組成物。

請求項9

免疫チェックポイント阻害剤が抗PD−1抗体または抗PD−L1抗体である、請求項7または8に記載の医薬組成物。

請求項10

免疫チェックポイント阻害剤がニボルマブまたはペムブロリズマブである、請求項7〜9のいずれかに記載の医薬組成物。

請求項11

短鎖脂肪酸のレベル基準値より低い対象に投与される、請求項1〜10のいずれかに記載の医薬組成物。

請求項12

少なくとも1つの短鎖脂肪酸を含む、がんの処置を補助するための食品組成物

請求項13

少なくとも1つの短鎖脂肪酸を含む、がんを予防するための食品組成物。

技術分野

0001

本開示は、がん処置および/または予防のための医薬組成物に関する。

背景技術

0002

近年、がんの治療法として、免疫チェックポイント阻害剤が注目されている。日本国内では、例えば、抗PD−1抗体のニボルマブおよびペムブロリズマブ、抗PD−L1抗体のアベルマブ、アテゾリズマブおよびデュバルマブが、各種のがんの治療承認されている。多くのがん患者において免疫チェックポイント阻害剤により高い治療効果が得られる一方で、免疫チェックポイント阻害剤が奏効しない患者も存在する。

0003

免疫チェックポイント阻害剤の奏効割合に腸内細菌叢の構成が関係することが複数報告されたが、同定された腸内細菌種は多様で、統一された見解はない。例えば、マウスモデルにおいてビフィドバクテリウムブレベ(Bifidobacterium breve)およびビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium logum)が抗PD−L1抗体の奏効と関連すること(非特許文献1)、肺癌腎癌膀胱癌患者において、アッカーマンシアムシフィラ(Akkermansia muciniphila)が抗PD−1抗体の奏効と関連し、バクテロイデス門(Bacteroidetes)が非奏効と関連すること(非特許文献2)、メラノーマ患者において、ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)およびフィーカリバクテリウム属(Faecalibacterium)が抗PD−1抗体の奏効と関連し、バクテロイデス目(Bacteroidales)が非奏効と関連すること(非特許文献3)、メラノーマ患者において、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)およびバクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)が抗CTLA4抗体イピリムマブの奏効と関連すること(非特許文献4)、メラノーマ患者において、フィーカリバクテリウム属およびファーキューテス属(Firmicutes)がイピリムマブの有効性に関連すること(非特許文献5)が報告されている。

先行技術

0004

Sivan A, et al. Science 2015;350:1084-1089.
Routy B, et al. Science 2018;359:91-97.
Gapalakrishnan V, et al. Science 2018;359:97-103.
Vetizou M, et al. Science 2015;350:1079-1084.
Chaput N, et al. Ann Oncol 2017;28:1368-1379.

発明が解決しようとする課題

0005

本開示の目的の1つは、がんの処置および/または予防のための医薬組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けているがん患者において、便または血液中短鎖脂肪酸のレベルが高い患者の無増悪生存期間が長いことを見出し、さらに、マウスにおいて、短鎖脂肪酸の投与によりがん細胞の増殖が抑制されることを見出した。従って、ある態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸を有効成分として含むがんの処置および/または予防のための医薬組成物が提供される。

発明の効果

0007

本願の開示に従い、がんの処置および/または予防のための医薬組成物が提供される。

図面の簡単な説明

0008

便試料分析方法概要を示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、酢酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、プロピオン酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、酪酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、イソ酪酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、吉草酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、イソ吉草酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、ヒドロアンゲリカ酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、カプロン酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、メチル吉草酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、コハク酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の便における、全短鎖脂肪酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療を受けたがん患者の無増悪生存期間(PFS)を示すカプラマイヤー(Kaplan-Meier)曲線である。便試料中の酢酸の高値群および低値群を比較した。中央値カットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中のプロピオン酸の高値群および低値群を比較した。中央値をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中の酪酸の高値群および低値群を比較した。中央値をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中の吉草酸の高値群および低値群を比較した。中央値をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中の全短鎖脂肪酸の高値群および低値群を比較した。中央値をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中の酪酸の高値群および低値群を比較した。第三四分位をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中の酢酸の高値群および低値群を比較した。決定木分析を用いて算出された値をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中のプロピオン酸の高値群および低値群を比較した。決定木分析を用いて算出された値をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中の酪酸の高値群および低値群を比較した。決定木分析を用いて算出された値をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中の吉草酸の高値群および低値群を比較した。決定木分析を用いて算出された値をカットオフ値とした。
ニボルマブ治療を受けたがん患者のPFSを示すカプランマイヤー曲線である。便試料中の全短鎖脂肪酸の高値群および低値群を比較した。決定木分析を用いて算出された値をカットオフ値とした。
血漿試料の分析方法の概要を示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の血漿における、プロピオン酸のレベルを示す。
ニボルマブ治療に対する非応答群および応答群のがん患者の血漿における、イソ吉草酸のレベルを示す。
実施例2の実験方法の概要を示す。
MC38(マウス大腸腺癌株)を移植されたマウスにおける腫瘍体積の変化を示す。コントロール群および酪酸(BA、100mMまたは200mM)投与群を比較した。
MC38を移植されたマウスにおける腫瘍体積の変化を示す。コントロール群および吉草酸(VA、100mMまたは200mM)投与群を比較した。
実施例3の実験方法の概要を示す。
MC38を移植されたマウスにおける腫瘍体積の変化を示す。コントロール群、抗PD1抗体(PD1i)投与群、イソ酪酸(IBA)投与群およびPD1i+IBA投与群を比較した。
MC38を移植されたマウスにおける腫瘍体積の変化を示す。コントロール群、PD1i投与群、吉草酸(VA)投与群およびPD1i+VA投与群を比較した。
MC38を移植されたマウスにおける腫瘍体積の変化を示す。コントロール群、PD1i投与群、イソ吉草酸(IVA)投与群およびPD1i+IVA投与群を比較した。

0009

特に具体的な定めのない限り、本明細書で使用される用語は、有機化学医学薬学分子生物学微生物学等の分野における当業者に一般に理解されるとおりの意味を有する。以下にいくつかの本明細書で使用される用語についての定義を記載するが、これらの定義は、本明細書において、一般的な理解に優先する。

0010

本開示では、数値が「約」の用語を伴う場合、その値の±10%の範囲を含むことを意図する。例えば、「約20」は、「18〜22」を含むものとする。数値の範囲は、両端点の間の全ての数値および両端点の数値を含む。範囲に関する「約」は、その範囲の両端点に適用される。従って、例えば、「約20〜30」は、「18〜33」を含むものとする。

0011

本開示において、「短鎖脂肪酸」は、炭素数6以下の脂肪酸を意味し、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、メチル吉草酸およびコハク酸が含まれる。本開示の医薬組成物は、少なくとも1つの短鎖脂肪酸を有効成分として含む。2つ以上の短鎖脂肪酸を併用してもよい。ある実施態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、メチル吉草酸、コハク酸またはこれらの組合せである。ある実施態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである。ある実施態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである。ある実施態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸は、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである。ある実施態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸は、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである。

0012

本開示において、「がん」は、いかなるがんであってもよい。がんは、例えば、白血病(例えば、急性骨髄性白血病慢性骨髄性白血病急性リンパ性白血病慢性リンパ性白血病)、悪性リンパ腫ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫(例えば、成人T細胞白血病濾胞性リンパ腫びまん性大細胞型B細胞リンパ腫))、多発性骨髄腫骨髄異形成症候群頭頸部癌消化管癌(例えば、食道癌食道腺癌胃癌大腸癌結腸癌直腸癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、胆嚢胆管癌胆道癌膵臓癌甲状腺癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(例えば、扁平上皮非小細胞肺癌、非扁平上皮非小細胞肺癌)、小細胞肺癌)、乳癌泌尿生殖器癌(例えば、卵巣癌(例えば、漿液性卵巣癌)、子宮頚癌子宮体癌子宮内膜癌癌、外陰部癌、腎癌(例えば、腎細胞癌)、尿路上皮癌(例えば、膀胱癌、上部尿路癌)、前立腺癌精巣腫瘍(例えば、胚細胞腫瘍))、骨・軟部肉腫皮膚癌(例えば、ブドウ膜悪性黒色腫メラノーマメルケル細胞癌)、神経膠腫脳腫瘍(例えば、膠芽腫)、胸膜中皮腫および原発不明癌であるが、これらに限定されない。ある実施態様では、がんは、メラノーマ、頭頸部癌、消化管癌、肺癌、泌尿生殖器癌または肉腫である。ある実施態様では、がんは、メラノーマ、頭頸部癌、消化管癌または泌尿生殖器癌である。ある実施態様では、がんは、メラノーマ、頭頸部癌、肺癌、泌尿生殖器癌または肉腫である。ある実施態様では、がんは大腸癌である。

0013

本開示において、「処置」は、がんに罹患している対象において、がんを軽減または除去すること、がんの進行、再発または転移遅延または停止させること、および/または、がんの症状を軽減、緩和、改善または除去することを意味する。

0014

本開示において、「予防」は、対象において、特に、がんに罹る可能性が高いが、罹患していない対象において、がんへの罹患を防止すること、または、がんに罹るリスクを低減することを意味し、がんの再発の予防を含む。がんに罹る可能性が高いが、未だ罹患していない対象には、がんのリスク因子を有する対象が含まれる。がんのリスク因子には、例えば、がんの罹患歴、喫煙飲酒不適切な食生活、運動不足肥満痩せすぎ、感染、遺伝的素因および家族歴が含まれる。

0015

処置および/または予防の対象としては、動物、典型的には哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラットハムスターウサギネコイヌウシヒツジサル等)、特にヒトが挙げられる。

0016

ある実施態様では、本開示の医薬組成物は、短鎖脂肪酸のレベルが低い対象に投与される。本開示において、「短鎖脂肪酸のレベル」とは、対象から採取された試料に含まれる短鎖脂肪酸の量を意味し、例えば、質量比質量濃度モル濃度または重量モル濃度などの単位で表され得る。

0017

試料は、対象から採取された便、血液、血漿、血清または病変部位組織であり得る。便試料は、排泄便または直腸便から採取し得る。血液試料は、通常の方法で、例えば静脈または動脈から、採取され得る。血漿試料または血清試料は、当業者に周知の方法により血液を適宜処理することにより調製し得る。この処理は、特に限定されず、臨床学的許容されるいかなる処理でもあってもよい。例えば、抗凝固剤の添加、遠心分離などが行われる。組織試料は、例えば、生検したがん組織、または、切除したがん組織である。必要に応じて、採取された試料を、ホモジナイズ、遠心分離、濃縮希釈凍結乾燥などの処理に付してもよい。採取された試料を、使用に先立ち、その調製中または調製後に低温下で保存してもよく、例えば、冷凍保存し得る。

0018

短鎖脂肪酸のレベルは、当業者に周知のクロマトグラフィーおよび/または質量分析法により測定し得る。測定のために、短鎖脂肪酸を標識および/または誘導体化してもよい。例えば、トリフェニルホスフィンTPP)、2−ピコリルアミン、3−ニトロフェニルヒドラジンなどの試薬を用いて、短鎖脂肪酸を誘導体化し得る。

0019

ある実施態様では、本開示の医薬組成物は、短鎖脂肪酸のレベルが、予め設定された短鎖脂肪酸のレベルの基準値よりも低い対象に投与される。基準値の設定は、種々の統計解析手法を用いて、公知の方法により実施できる。例えば、健康な対象の集団、がん患者の集団、または、健康な対象とがん患者を含む集団における、各短鎖脂肪酸のレベルの中央値または第三四分位を基準値とし得る。

0020

ある実施態様では、短鎖脂肪酸のレベルの基準値は、免疫チェックポイント阻害剤を投与したがん患者群(実薬群)について、実薬群を、治療効果が示された群(奏効群)と治療効果が確認されなかった群(不奏効群)とに、統計的に有意差をもって分けることができるカットオフ値である。統計的有意差は、カイ二乗検定一般化Wilcoxon検定、Wilcoxonの符号順位検定、Mann-Whitney検定、ログランク検定、Cox比例ハザードなどの公知の検定方法により解析され得る。1つの短鎖脂肪酸に複数のカットオフ値を設定することもできる。特徴に応じてサブグループ化された患者群についてカットオフ値を設定することもできる。例えば、がんの種類、性別年齢層または人種に応じてそれぞれカットオフ値が設定されてよい。カットオフ値の設定、または統計解析には、例えば、STATA、R、SASSPSS、JMP等の統計解析用ソフトウェアを使用し得る。

0021

カットオフ値は、感度および/または特異度に基づいて設定し得る。好ましくは、カットオフ値は、高い感度および高い特異度の両方を示す。ここで、感度とは、真の陽性率を意味する。また、特異度とは真の陰性率を意味する。例えば、奏効群で高い陽性率を示し、かつ、不奏効群で高い陰性率を示す短鎖脂肪酸のレベルを、カットオフ値として設定し得る。

0022

例えば、診断検査有用性を検討する手法として一般的に用いられているROC解析(receiver operating characteristic analysis)により、カットオフ値の設定を行うことができる。ROC解析では、各カットオフ値における感度を縦軸に、偽陽性率(1−特異度)を横軸プロットしたROC曲線が作成される。ROC曲線は、診断能のない検査では対角線上の直線となるが、診断能が向上するほど、左上方に弧を描く曲線となる。左上隅との距離が最小となるROC曲線上の点を与えるカットオフ値は、感度と特異度に優れると言える。また、ヨーデン指標(Youden index)に基づいてカットオフ値を設定することもできる。具体的には、奏効群および不奏効群の短鎖脂肪酸のレベルから感度および特異度を求め、これらの値に基づき、市販の解析ソフトを使用してROC曲線を作成する。そして、感度と特異度が可能な限り100%に近いときの値を求めて、その値をカットオフ値とし得る。

0023

また、例えば、診断効率(即ち、処置が有効であった患者を「有効」と正しく診断した症例と、処置が無効であった患者を「無効」と正しく診断した症例との合計数の全症例数に対する割合)を求め、最も高い診断効率が算出される短鎖脂肪酸のレベルをカットオフ値とし得る。

0024

便試料中の酢酸のレベルのカットオフ値は、例えば、約231.8〜283.3μmol/gの範囲、または約112.8〜137.8μmol/gにあり、例えば、約257.5μmol/g(中央値)、または125.3μmol/g(決定木)である。便試料中のプロピオン酸のレベルのカットオフ値は、例えば、約127.4〜155.7μmol/g、または約80.9〜98.9μmol/gの範囲にあり、例えば、約141.5μmol/g(中央値)、または約89.9μmol/g(決定木)である。便試料中の酪酸のレベルのカットオフ値は、例えば、約50.6〜61.8μmol/g、または約84.2〜103.0μmol/gまたは約39.7〜48.5μmol/gの範囲にあり、例えば、約56.2μmol/g(中央値)、または約93.6μmol/g(第三四分位)、または約44.1μmol/g(決定木)である。便試料中の吉草酸のレベルのカットオフ値は、例えば、約10.4〜12.7μmol/g、または約14.0〜17.2μmol/gの範囲にあり、例えば、約11.5μmol/g(中央値)、または約15.6μmol/g(決定木)である。便試料中の全短鎖脂肪酸のレベルのカットオフ値は、例えば、約257.6〜314.8μmol/g、または約226.2〜276.4μmol/gの範囲にあり、例えば、約286.2μmol/g(中央値)、または約251.3μmol/g(決定木)である。カットオフ値はこれらの値に限定されず、例えば、対象の特徴、がんの種類、ステージ、試料の種類、免疫チェックポイント阻害剤の種類などの要因に応じて、適宜設定し得る。

0025

本開示の医薬組成物の投与方法は特に限定されず、経口または非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、胸腔内腹腔内、筋肉内、組織内)の一般的な投与経路を経ることができる。ある実施態様では、本開示の医薬組成物は経口投与される。

0026

経口投与の剤形としては、顆粒剤細粒剤粉剤被覆錠剤錠剤坐剤散剤カプセル剤マイクロカプセル剤チュアブル剤液剤懸濁剤乳濁液などが挙げられる。非経口投与の剤形としては、注射または点滴用の液剤、懸濁剤または乳濁剤などが挙げられる。

0027

これらの剤形は、有効成分を常法により製剤化することによって製造される。さらに製剤上の必要に応じて、医薬的に許容し得る各種の製剤用物質を配合することができる。製剤用物質は製剤の剤形により適宜選択でき、例えば、緩衝化剤界面活性剤安定化剤防腐剤賦形剤希釈剤添加剤崩壊剤結合剤被覆剤潤滑剤、滑沢剤風味剤甘味剤可溶化剤等が挙げられる。

0028

本開示の医薬組成物の投与量および投与回数は、短鎖脂肪酸の有効量が対象に投与されるように、対象の健康状態年齢、体重、投与経路、投与形態等に応じて当業者が適宜設定できる。例えば、ある状況での適切な投与量は、日常的な実験によって容易に決定することができ、通常の臨床医の技術および判断の範囲内である。例えば、約0.001〜約1000mg/kg体重/日、約0.01〜約100mg/kg体重/日、あるいは約0.1〜約10mg/kg体重/日の短鎖脂肪酸を投与し得る。例えば、本開示の医薬組成物は、1日に投与される剤形中に、約0.05mg〜約50g、約0.5mg〜約5g、あるいは約5mg〜約500mgの短鎖脂肪酸を含有する。本開示の医薬組成物の投与回数は限定されず、例えば、単回投与してもよく、複数回投与してもよく、持続投与してもよい。

0029

本開示の医薬組成物は、少なくとも1つのさらなる有効成分、特に、がんの処置のための有効成分と併用してもよい。本開示において、「併用」は、短鎖脂肪酸とさらなる有効成分を含有する投与剤形、または、各成分を別個に含有する投与剤形の組合せを対象に投与することを意味する。即ち、各成分は、これらを両方とも含む組成物の形態で投与されてもよく、それぞれ別々に含む組成物の組合せとして投与されてもよい。各成分は同時に投与されてもよく、連続的に投与されてもよく、あるいは、各成分ががんの処置のために使用される限り、いずれか一方を遅延して投与してもよい。

0030

ある態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸を含む第1の部分、および/または、少なくとも1つのさらなる有効成分を含む第2の部分を含み、短鎖脂肪酸とさらなる有効成分が併用されることを特徴とする、がんを処置するためのキットが提供される。キットは、さらに、使用のための説明を含む添付文書等の、商業的見地および使用者の見地から望ましいその他の材料をさらに含み得る。キットの部分または材料は、ラベルを有する容器に含まれ得る。好適な容器には、ボトルバイアルシリンジ試験管プレートメンブレン等が含まれる。容器は、ガラスプラスチックなどの多様な材料から形成されていてよい。

0031

短鎖脂肪酸との併用に適する有効成分には、例えば、公知の抗がん剤が含まれる。公知の抗がん剤としては、例えば、免疫チェックポイント阻害剤、アルキル化薬代謝拮抗薬抗がん抗生物質植物性アルカロイド薬、抗ホルモン薬、白金化合物サイトカイン製剤、分子標的薬腫瘍免疫治療薬、がんワクチンが挙げられる。ある実施態様では、短鎖脂肪酸と併用する有効成分は免疫チェックポイント阻害剤である。

0032

本開示に関して、「免疫チェックポイント阻害剤」は、免疫チェックポイント分子の機能を阻害する物質を意味する。「免疫チェックポイント分子」は、自己に対する免疫応答および/または過剰な免疫反応を抑制する分子であり、例えば、CTLA−4、PD−1、PD−L1、PD−L2、LAG−3、TIM3、BTLA、B7H3、B7H4、2B4、CD160、A2aR、KIR、VISTA、TIGIT等が挙げられるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤として、例えば、抗CTLA−4抗体(例えば、イピリムマブ、トレリムマブ、AGEN−1884)、抗PD−1抗体(例えば、ニボルマブ、REGN−2810、ペムブロリズマブ、PDR−001、BGB−A317、AMP−514(MEDI0680)、BCD−100、IBI−308、JS−001、PF−06801591、TSR−042)、抗PD−L1抗体(例えば、アテゾリズマブ(RG7446、MPDL3280A)、アベルマブ(PF−06834635、MSB0010718C)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS−936559、CA−170、LY−3300054)、抗PD−L2抗体(例えば、rHIgM12B7)、PD−L1融合タンパク質、PD−L2融合タンパク質(例えば、AMP−224)、抗Tim−3抗体(例えば、MBG453)、抗LAG−3抗体(例えば、BMS−986016、LAG525)、抗KIR抗体(例えば、リリルマブ)等、並びに、これらの抗体の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)を有する抗体、および、これらの抗体の重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体が挙げられる。ある実施態様では、免疫チェックポイント阻害剤はPD−1阻害剤またはPD−L1阻害剤である。ある実施態様では、免疫チェックポイント阻害剤は抗PD−1抗体または抗PD−L1抗体である。ある実施態様では、免疫チェックポイント阻害剤はニボルマブまたはペムブロリズマブである。

0033

本開示において、「抗体」の用語には、抗体の一部分を構成要素として含み、抗原への結合性を保持する分子、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、または一本鎖Fv(scFv)、Fab3、ダイアボディトリアディテトラボディ、ミニボディ、Bis−scFv、(scFv)2−Fc、インタクトIgG等が含まれる。抗体は、ヒト抗体またはヒト化抗体であってもよい。ヒト化抗体とは、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVHおよびVLの適切な位置に移植した抗体を意味する。

0034

免疫チェックポイント阻害剤の投与方法は特に限定されず、経口または非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、胸腔内、腹腔内、筋肉内、組織内)の一般的な投与経路を経ることができる。ある実施態様では、免疫チェックポイント阻害剤は静脈内投与される。これらの投与方法に適する剤形の詳細は、上記の通りである。

0035

免疫チェックポイント阻害剤の投与量および投与回数は、有効量が対象に投与されるように、対象の健康状態、年齢、体重、投与経路、投与形態等に応じて当業者が適宜設定できる。例えば、抗PD−1抗体を使用する場合、投与量は約0.1〜20mg/kg体重であり得る。例えば、ニボルマブの投与量は、約0.3〜10mg/kg体重、好ましくは、約2mg/kg体重または約3mg/kg体重、あるいは約240mg/bodyまたは約480mg/bodyである。例えば、ペムブロリズマブの投与量は、約0.2〜10mg/kg体重、好ましくは、約200mg/bodyである。例えば、抗PD−1抗体を2週毎、3週毎または4週毎に投与し得る。

0036

本開示の医薬組成物の投与と共に、他のがんの治療法を実施することもできる。適する治療法には、例えば、放射線療法免疫療法造血幹細胞移植内視鏡的切除術外科手術等が含まれる。

0037

ある態様では、がんの処置および/または予防を必要としている対象に少なくとも1つの短鎖脂肪酸を有効成分として投与することを含む、がんの処置および/または予防方法が提供される。
ある態様では、がんの処置および/または予防に使用するための少なくとも1つの短鎖脂肪酸が提供される。
ある態様では、がんを処置および/または予防するための少なくとも1つの短鎖脂肪酸の使用が提供される。
ある態様では、がんの処置および/または予防のための医薬組成物の製造における、少なくとも1つの短鎖脂肪酸の使用が提供される。

0038

ある態様では、がんの処置を必要としている対象に少なくとも1つの短鎖脂肪酸および免疫チェックポイント阻害剤を有効成分として投与することを含む、がんの処置方法が提供される。
ある態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸および免疫チェックポイント阻害剤を有効成分として含む、がんの処置用の医薬組成物が提供される。ある態様では、短鎖脂肪酸と免疫チェックポイント阻害剤を併用することによりがんを処置するための、少なくとも1つの短鎖脂肪酸を有効成分として含む医薬組成物が提供される。ある態様では、短鎖脂肪酸と免疫チェックポイント阻害剤を併用することによりがんを処置するための、免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物が提供される。

0039

ある態様では、がんの処置において使用するための少なくとも1つの短鎖脂肪酸および免疫チェックポイント阻害剤の組合せが提供される。ある態様では、短鎖脂肪酸と免疫チェックポイント阻害剤を併用することによるがんの処置において使用するための少なくとも1つの短鎖脂肪酸が提供される。ある態様では、短鎖脂肪酸と免疫チェックポイント阻害剤を併用することによるがんの処置において使用するための免疫チェックポイント阻害剤が提供される。

0040

ある態様では、がんを処置するための、少なくとも1つの短鎖脂肪酸および免疫チェックポイント阻害剤の組合せの使用が提供される。ある態様では、短鎖脂肪酸と免疫チェックポイント阻害剤を併用することによりがんを処置するための、少なくとも1つの短鎖脂肪酸の使用が提供される。ある態様では、短鎖脂肪酸と免疫チェックポイント阻害剤を併用することによりがんを処置するための、免疫チェックポイント阻害剤の使用が提供される。

0041

ある態様では、がんの処置用の医薬組成物の製造における、少なくとも1つの短鎖脂肪酸および免疫チェックポイント阻害剤の組合せの使用が提供される。ある態様では、短鎖脂肪酸と免疫チェックポイント阻害剤を併用することによりがんを処置するための医薬組成物の製造における、少なくとも1つの短鎖脂肪酸の使用が提供される。ある態様では、短鎖脂肪酸と免疫チェックポイント阻害剤を併用することによりがんを処置するための医薬組成物の製造における、免疫チェックポイント阻害剤の使用が提供される。

0042

さらに、短鎖脂肪酸を、がんの処置の補助および/または予防のための機能性食品の形態でも使用することができる。従って、ある態様では、少なくとも1つの短鎖脂肪酸を含む、がんの処置の補助および/または予防用の食品組成物が提供される。当該食品組成物は、一般的な加工食品の形態であり得る。例えば、適当な風味を加えてドリンク剤、例えば清涼飲料粉末飲料としてもよい。具体的には、例えば、ジュース牛乳菓子ゼリーヨーグルト、飴等として飲食し得る。

0043

このような食品組成物は、有効量の短鎖脂肪酸、例えば、約0.001〜約1000mg/kg体重/日、約0.01〜約100mg/kg体重/日、あるいは約0.1〜約10mg/kg体重/日の短鎖脂肪酸を摂取できる量で、短鎖脂肪酸を含有し得る。例えば、1日に摂取するのに適する量の食品組成物中に、約0.05mg〜約50g、約0.5mg〜約5g、あるいは約5mg〜約500mgの短鎖脂肪酸が含まれる。

0044

また、このような食品を、保健機能食品またはダイエタリーサプリメントとして提供してもよい。保健機能食品には、例えば、特定保健用食品栄養機能食品および機能性表示食品が含まれる。ダイエタリーサプリメントには、例えば、栄養補助食品および健康補助食品が含まれる。特定保健用食品には、がんの処置の補助および/または予防などの用途に用いるものであるという表示を付した食品、および、かかる用途に用いるものである旨を記載した文書パッケージに含む食品も含まれる。

0045

例えば、下記の実施態様が提供される。
[1]少なくとも1つの短鎖脂肪酸を有効成分として含む、がんの処置および/または予防のための医薬組成物。
[2]少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、メチル吉草酸、コハク酸またはこれらの組合せである、第1項に記載の医薬組成物。
[3]少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである、第1項または第2項に記載の医薬組成物。
[4]少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである、第1項〜第3項のいずれかに記載の医薬組成物。
[5]少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである、第1項〜第4項のいずれかに記載の医薬組成物。
[6]少なくとも1つの短鎖脂肪酸が、吉草酸、イソ吉草酸またはこれらの組合せである、第1項〜第5項のいずれかに記載の医薬組成物。
[7]がんの処置のための他の有効成分と併用される、第1項〜第6項のいずれかに記載の医薬組成物。
[8]がんの処置のための他の有効成分が抗がん剤である、第7項に記載の医薬組成物。
[9]抗がん剤が免疫チェックポイント阻害剤である、第8項に記載の医薬組成物。
[10]免疫チェックポイント阻害剤がPD−1阻害剤またはPD−L1阻害剤である、第9項に記載の医薬組成物。
[11]免疫チェックポイント阻害剤が抗PD−1抗体または抗PD−L1抗体である、第9項または第10項に記載の医薬組成物。
[12]免疫チェックポイント阻害剤がニボルマブまたはペムブロリズマブである、第9項〜第11項のいずれかに記載の医薬組成物。
[13]がんが、メラノーマ、頭頸部癌、消化管癌、肺癌、泌尿生殖器癌および肉腫からなる群から選択される、第1項〜第12項のいずれかに記載の医薬組成物。
[14]がんが、メラノーマ、頭頸部癌、消化管癌および泌尿生殖器癌からなる群から選択される、第1項〜第13項のいずれかに記載の医薬組成物。
[15]がんが大腸癌である、第1項〜第14項のいずれかに記載の医薬組成物。
[16]がんが、メラノーマ、頭頸部癌、肺癌、泌尿生殖器癌および肉腫からなる群から選択される、第1項〜第13項のいずれかに記載の医薬組成物。
[17]短鎖脂肪酸のレベルが基準値より低い対象に投与される、第1項〜第16項のいずれかに記載の医薬組成物。
[18]少なくとも1つの短鎖脂肪酸を含む、がんの処置を補助するための食品組成物。
[19]少なくとも1つの短鎖脂肪酸を含む、がんを予防するための食品組成物。
[20]少なくとも1つの短鎖脂肪酸を含む、がんに罹るリスクを低減するための食品組成物。

0046

本明細書で引用するすべての文献は、出典明示により本明細書の一部とする。
上記の説明は、すべて非限定的なものであり、本発明は添付の特許請求の範囲において定義され、その技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下、実施例にて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。

0047

患者と方法
京都大学病院で2016年7月から2019年2月までにニボルマブまたはペムブロリズマブで治療されたがん患者の前向き試験を行った。全部で52人の患者が以下の選択基準適合した:(1)組織学的に確認されたがん;(2)20以上;(3)根治治療の適用がない転移または進行がん;(4)免疫チェックポイント阻害剤、特にニボルマブまたはペムブロリズマブによる治療を計画している;および(5)書面でのインフォームドコンセント。試験プロトコールは、京都大学病院の倫理委員会および治験審査委員会の承認を受けた。

0048

患者は、ニボルマブ(2mg/kg、3週毎;3mg/kg、2週毎;または、240mg/body、2週毎)またはペムブロリズマブ(200mg/body、3週毎)を投与された。診療記録および放射線画像から以下の情報を得た:治療開始日および治療終了日、年齢、性別、米国東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータス、原発部位、転移部位、治療開始時の臨床検査成績固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST v1.1)による有効性、および、有害事象共通用語規準(CTCAEv4.0)により評価した毒性。

0049

試薬と材料
酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、メチル吉草酸、コハク酸およびメタノール標準物質は、和光純薬株式会社(日本、大阪)から購入した。2,2’−ジピリジルジスルフィドDPDS)、トリフェニルホスフィン(TPP)および2−ピコリルアミンは、東京化成工業株式会社(日本、東京)から購入した。

0050

便試料中の短鎖脂肪酸(SCFA)の分析
分析方法の概要を図1に示す。PD−1阻害剤投与の前に便試料を採取し、すぐに−80℃で保存した。解凍後の便試料(約20mg)にメタノール(1000μL)を添加し、激しく攪拌し、3000rpmで5分間ホモジナイズし、15000rpm、4℃で10分間遠心分離した。上清(100μL)に内標準液(10μL)を添加し、メタノール900μLと混合し、500rpmで10分間ホモジナイズし、10000rpm、4℃で10分間遠心分離した上清(100μL)を、2,2’−ジピリジルジスルフィド中の2−ピコリルアミンおよびアセトニトリル中のトリフェニルホスフィンと、60℃で10分間加熱処理した。反応混合物を取り出し、メタノール/水(10:90、v/v)100μLに再溶解した。これらの誘導体溶液(5μL)を、超高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析システム(UHPLC−MS/MS)の Waters Acquity H Class (Waters Co.、マサチューセッツ州、ミルフォード)により分析した。

0051

患者背景は下表の通りであった。

0052

RECIST v1.1による完全奏効と部分奏効を治療応答群とし、安定と進行を非応答群に分類した。各群における短鎖脂肪酸の測定値分布図2図12に示す。便中のプロピオン酸、酪酸、吉草酸、全短鎖脂肪酸は、治療応答群でMann-Whitney検定により有意に高値であった。

0053

各短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、メチル吉草酸、コハク酸)のカットオフ値を中央値に設定し、無増悪生存期間(PFS:死亡または病勢増悪イベントとする生存期間)についてCox比例ハザードで解析した結果を表2に示す。酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、全短鎖脂肪酸の高値群で有意に無増悪生存期間が長かった。図13に酢酸、図14にプロピオン酸、図15に酪酸、図16に吉草酸、図17に全短鎖脂肪酸の高値群と低値群のカプランマイヤー曲線を示す。

0054

0055

各短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、メチル吉草酸、コハク酸)のカットオフ値を第三四分位に設定し、無増悪生存期間についてCox比例ハザードで解析した結果を表3に示す。酪酸の高値群で有意に無増悪生存期間が長かった。図18に酪酸の高値群と低値群のカプランマイヤー曲線を示す。

0056

0057

各短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、メチル吉草酸、コハク酸)のカットオフ値を決定木分析を用いて算出された値に設定し、無増悪生存期間についてCox比例ハザードで解析した結果を表4に示す。酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、全短鎖脂肪酸の高値群で有意に無増悪生存期間が長かった。図19に酢酸、図20にプロピオン酸、図21に酪酸、図22に吉草酸、図23に全短鎖脂肪酸の高値群と低値群のカプランマイヤー曲線を示す。

0058

0059

血液試料中の短鎖脂肪酸(SCFA)の分析
分析方法の概要を図24に示す。PD−1阻害剤投与の前に血液試料を採取し、3000rpm、4℃で10分間遠心分離し、血漿を採取後すぐに−80℃で保存した。解凍後の血漿(約25μL)にメタノール(1000μL)と内標準液(10μL)を添加し、1000rpmで10分間ホモジナイズし、10000rpm、4℃で10分間遠心分離した上清(100μL)を、メタノール(100μL)で再溶解し、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩と2−ピコリルアミンを加え、60℃で20分間加熱処理した。反応混合物を取り出し、メタノール/水(100:900、v/v)1000μLに再溶解した。これらの誘導体溶液(5μL)を、超高速液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析システム(UHPLC−MS/MS)の Waters Acquity H Class (Waters Co.、マサチューセッツ州、ミルフォード)により分析した。

0060

患者背景は下表の通りであった。

0061

RECIST v1.1による完全奏効と部分奏効を治療応答群とし、安定と進行を非応答群に分類した。各群におけるプロピオン酸およびイソ吉草酸の測定値の分布を図25および図26に示す。血漿中のプロピオン酸、イソ吉草酸は、治療応答群でMann-Whitney検定により有意に高値であった。

0062

短鎖脂肪酸(SCFA)による腫瘍増殖の抑制
実験方法の概要を図27に示す。0日目に、マウス大腸腺癌株MC38(2.5×106個)をマウスに皮下注射した。7日目から、飲用水として、コントロール群には水を、SCFA投与群には100mMまたは200mMの酪酸(BA)または吉草酸(VA)水溶液を与えた。7、11、14および17日目に腫瘍体積を測定した。結果を表6および7、並びに図28および29に示す。SCFA群では、コントロール群よりも腫瘍体積の増加が抑制された。

0063

0064

0065

SCFAと免疫チェックポイント阻害剤の併用による腫瘍増殖の抑制
実験方法の概要を図30に示す。0日目に、マウス大腸腺癌株MC38(2.5×106個)をマウスに皮下注射した。7日目から、飲用水として、コントロール群およびPD1i群には水を、SCFA群およびPD1i+SCFA群には200mMのイソ酪酸(IBA)、吉草酸(VA)またはイソ吉草酸(IVA)水溶液を与えた。PD1i群およびSCFA+PD1i群には、7、11および14日目に、10mg/kg体重のPD-1i (clone 29F.1A12: Bio X cell) (InVivo Mab anti-mouse PD-1 (CD279)) を腹腔内投与した。7、11、14および17日目に腫瘍体積を測定した。結果を表8〜10および図31〜33に示す。PD1i群、SCFA群およびPD1i+SCFA群では、コントロール群よりも腫瘍体積の増加が抑制され、SCFA+PD1i群で最も強く抑制された。

0066

0067

実施例

0068

0069

本開示に従って、短鎖脂肪酸を使用する新たながんの処置方法が提供される。

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