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技術 医療用炭酸カルシウム組成物、および関連医療用組成物、ならびにこれらの製造方法

出願人 石川邦夫
発明者 石川邦夫都留寛治戸井田力中島康晴
出願日 2020年8月26日 (9ヶ月経過) 出願番号 2020-142267
公開日 2021年3月11日 (3ヶ月経過) 公開番号 2021-037281
状態 未査定
技術分野 医療用材料 アルカリ土類,Al,希土類金属化合物
主要キーワード 含水能 接触度合 電動カンナ メッシュ容器 多孔体ブロック 押出工程後 材料表 最大圧縮強度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2021年3月11日)のものです。
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図面 (18)

課題

生体内に埋入する医療用材料に必要とされる1)組織親和性、2)生体内吸収性、3)反応性、4)機械的強度、を高度に満足させる医療用炭酸カルシウム組成物、医療用炭酸カルシウム組成物に関わる医療用リン酸カルシウム組成物、医療用炭酸アパタイト組成物医療用水酸化カルシウム多孔体、医療用硫酸カルシウム硬化性顆粒骨欠損再生治療キットおよびその製造方法を提供する。

解決手段

炭酸カルシウム多形や構造を制御することによって前記要素を高度に満足させる医療用組成物炭酸カルシウムや関連医療用組成物が製造できる。

概要

背景

無脊椎動物骨格組成炭酸カルシウムであり、脊椎動物の骨格組成は炭酸カルシウムにリン酸成分が付与されたリン酸カルシウム一種である炭酸アパタイトである。炭酸カルシウムは骨補填材として研究されており、炭酸アパタイトを含むリン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどは骨補填材として臨床応用されている。
組織親和性
骨補填材などの医療用組成物は、工業用組成物とは所用性質が異なり、生体内の反応が最も重要である。生体内に粉末を埋入すると炎症反応惹起される。そのため、生体内に埋入される医療用組成物には、組織親和性の観点から一定以上の体積を有することが要求される。感染防止の観点から抗菌性が求められる場合もある。医療用組成物であるため、実質的に純粋であることも必須事項である。
生体内吸収性
骨補填材として、医療用炭酸カルシウム化合物および関連医療用組成物においては生体内で吸収され、所望の組織置換されることが期待される場合がある。組織置換には、材料の吸収と組織再生の両者が必要である。炭酸カルシウムや一部のリン酸カルシウムは破骨細胞などによって吸収されるが、吸収されるためには、生体内で吸収されない材料が含有されていないことが必要である。
反応性
医療用炭酸カルシウム組成物には生体内で組織置換などの優れた組織反応性が望まれたり、化学的な反応性が望まれたりする場合がある。前者に関しては、組織、細胞組織液の浸入や溶解が要素となり、気孔制御、多形結晶子サイズが重要である。後者に関しては水溶液の浸入や溶解が要素となり、気孔制御、多形や結晶子サイズが重要である。
後者に関して、医療用炭酸カルシウム組成物は、骨補填材として期待されているだけでなく、医療用炭酸アパタイト組成物などの医療用リン酸カルシウム組成物の製造における前駆体としても有用である。例えば、炭酸カルシウムブロックを、リン酸塩水溶液に浸漬すると溶解析出反応マクロ形状を保ったまま組成が炭酸アパタイトとなり、炭酸アパタイトブロックが製造できる(特許文献1)。しかしながら、溶解析出反応は炭酸カルシウムブロックの表面からの進行するため、炭酸カルシウムブロックが大きい場合や、反応性が低い炭酸カルシウムブロックの場合には、完全に炭酸アパタイトなどに組成変換されず、芯が残る場合がある。そのため、反応性の高い医療用炭酸カルシウム組成物やリン酸成分の付与を早くする製造方法が望まれている。
炭酸カルシウム組成物の反応性は組成や多形だけでなく、構造によっても大きな影響を受ける。特に連通多孔体は細胞や組織が内部に遊走されるため好ましい構造である。細胞や組織が遊走するには一定のサイズ以上であるマクロ気孔が必要であるが、組織置換を期待する場合にはより小さいサイズのミクロ気孔も重要となる。
機械的強度
一般的にマクロ気孔およびミクロ気孔は多いことが望ましいが、気孔率の増大に伴い、機械的強度が低下する。そのため、気孔率と機械的強度のバランスが重要である。
なお、医療用炭酸カルシウム組成物から製造される医療用リン酸カルシウム組成物や医療用炭酸カルシウム組成物製造に必要な医療用水酸化カルシウム組成物、医療用硫酸カルシウム組成物、骨欠損再建治療用キットも関連医療用組成物として重要である。

(炭酸カルシウムの反応性:多形、気孔と密度
炭酸カルシウムの反応性には多形、気孔、密度などの様々な因子が影響を及ぼす。バテライトは、常温常圧準安定であり、天然には存在しないが、最も反応性が高い炭酸カルシウムである。密度は2.64(g/cm3)である。カルサイトは常温常圧で安定相でありバテライトより反応性が低い。密度は2.71(g/cm3)である。アラゴナイト高温高圧で安定相であり、常温常圧では準安定相である。密度は2.96(g/cm3)である。密度が高い炭酸カルシウムを原料医療用材料を製造すると、密度が高い医療用材料が製造されるため、反応性が低くなる場合がある。そのため、密度が比較的小さい炭酸カルシウムが望まれる場合がある。
また、気孔も炭酸カルシウムの反応性に最も大きな影響を及ぼし、一般的には気孔率が高い方が、反応性が高い。その関係で、炭酸カルシウムを原料として用いて別の材料を製造する場合、密度が小さい炭酸カルシウムを用いた場合に反応性の高い材料を製造できる場合がある。
これらの理由から本発明ではバテライトおよびカルサイトからなる炭酸カルシウムに限定する。

(バテライト組成物の背景
バテライトは準安定相であり、安定相であるカルサイトに比較してだけでなく、準安定相であるアラゴナイトに比較しても反応性が高く、医療用炭酸カルシウム組成物として極めて好ましい。これまで、20質量%以上のバテライトを含み、かつ、体積が10−12m3以上である医療用バテライト組成物は存在しなかった。
バテライト粉末については、水溶性カルシウム塩炭酸塩との水溶液反応によって炭酸カルシウムを製造する際に、カルシウム以外の2価カチオンを添加し、カルサイトへの転移を遅くする方法(特許文献2、3)、塩化カルシウム又は硝酸カルシウム炭酸化する際にスラリーのCa濃度、温度、pHを制御する方法(特許文献4、5)、カルシウムイオンが溶解した連続水相と、有機相とからなるO/Wエマルションを、多孔質膜を通過させた後、炭酸イオンを含む水溶液と反応させる方法(特許文献6)、水酸化カルシウムアルコール−水混合懸濁溶液二酸化炭素を導入する方法(特許文献7)、アルキルアミン塩界面活性剤を添加する方法(非特許文献1)、エチレングリコール等の有機物を添加する方法(非特許文献2)などで製造できることが知られている。しかし、粉末は生体内で炎症反応を惹起するため使用できない。
本発明者は、硫酸カルシウム無水和物顆粒を、4℃の2モル濃度炭酸ナトリウム水溶液50mLに14日間浸漬することによって、17質量%のバテライトを含むカルサイト顆粒を製造する方法を見いだしている。しかしながら、該製造方法では、カルサイト形成を十分に抑制できないため、バテライトの含有量は17質量%であった(特許文献8)。また、特許文献8に記載されているように、「バテライトを含む炭酸カルシウムを含む製品無機化合物を製造する際には電解質温度を10℃以下とすることは必須である」と考えられており、製品および製造上の問題があった。(特許文献8)
すなわち、上述した医療用炭酸カルシウム組成物の条件を全て満足する20質量%以上のバテライトを含む医療用炭酸カルシウム組成物、およびその製造方法は知られていない。また、10℃を超える温度でバテライトを製造する方法も知られていなかった。すなわち、カルサイトの形成を高度に抑制し、20質量%以上のバテライトを含む一定サイズ以上の医用材料は知られていなかった。当然、バテライトを含む焼結体は知られていない。

(カルサイト組成物の背景)
炭酸カルシウムの中で安定相であるカルサイトは、顆粒やブロックなどの製造が比較的容易であり、水酸化カルシウム圧粉体を二酸化炭素に暴露する方法などが報告されている(特許文献9)。
一方で、安定相であるカルサイトの反応性は、準安定相であるバテライトやアラゴナイトに比較して低い。カルサイトにリン酸塩を付与してリン酸カルシウムを製造する場合にはリン酸カルシウム形成反応がカルサイト組成物の表面から進行する。そのため、炭酸カルシウムの芯が残って実質的にリン酸カルシウム組成物が製造できなかったり、100℃より高い反応温度が必要であったり、長い時間が製造にかかったりすることがあった。
医療用炭酸カルシウム組成物の見かけの反応性を増大させるには連通多孔体化が有効である。例えば、一定体積以上の医療用カルサイトから医療用リン酸カルシウム組成物を製造する場合、緻密体であれば芯が残ったり、長い製造時間が必要であったりするが、同体積の連通多孔体であれば多孔体表面から反応が進行するために芯が残らなかったり、短い製造時間で医療用リン酸カルシウム組成物が製造できる。連通多孔体であれば細胞や組織を内部に侵入させることが可能である。例えば、炭酸アパタイト連通多孔体の場合は骨置換が飛躍的に増進される。
これまでも、医療用炭酸アパタイト多孔体の前駆体となる医療用炭酸カルシウム多孔体について、さまざまな検討が行われてきた。例えば、水酸化カルシウムに塩化ナトリウムなどの孔形成物質を混合して圧粉してから炭酸化し、孔形成物質を除去することによって、炭酸カルシウム多孔体を製造する方法が提案されている(特許文献9)。多孔体形成によって反応性は向上しているが、カルサイト多孔体であるため、さらなる反応性の向上が求められていた。また、気孔サイズを限定することが、機械的強度及び反応性の観点から極めて重要であるが、当時は、特定の気孔サイズが知られていなかった。
これまで炭酸カルシウムは分解されるため焼結が困難であるとされてきたが、炭酸カルシウムとゲル化剤を含む分散液に発泡剤を加えて撹拌発泡体を焼結して炭酸カルシウム焼結体を簡便に製造する方法が提案されている(特許文献10)。該製造方法では連通孔が形成されるが、数百ミクロンから1mm以上の大きな気孔が焼結した形態であり、壁厚も厚いため反応性に劣る。さらに、発泡して気孔を形成させるため、再現性に劣る。さらに、特許文献10の参考例1に記載されているように、焼結助剤である炭酸カリウム及び炭酸リチウムを添加しない場合にはそもそも炭酸カルシウム多孔質焼結体が得られない。また、カリウムリチウムが添加されている骨補填材は、好ましくない。焼結助剤を添加したり、高純度の炭酸カルシウムを用いたりすることによって炭酸カルシウム多孔質焼結体が製造できるが、機械的強度が小さく、臨床的実用性に乏しいものであった。
また、熱的溶融型樹脂ビーズ造孔材としてセラミックス多孔質体を製造する際の脱脂において、熱溶融型樹脂ビーズの分解開始温度以上まで、30℃/時間以上の昇温速度で昇温することを特徴とするセラミックス多孔質体の製造に係る脱脂法が提案されている(特許文献11)。アルミナなどの熱的に安定なセラミックスにおいては有用であるが、炭酸カルシウムなどの高温で分解されるセラミックスにおける有用性は限定的であり、さらに、高い反応性が期待される医療用組成物では、より高度な脱脂法が必要である。造孔材と原料セラミックスを混合する手法は気孔サイズの調整を正確に行えるが、連通多孔体を形成させるには比較的多量の造孔材を導入する必要があり、気孔率の増大に伴い、製造されるセラミックス多孔体の機械的強度は著しく小さくなるため、適切な造孔材の導入が必要となる。
本発明者は炭酸カルシウム連通多孔体の製造方法について、高分子材料含有水酸化カルシウムを、ハニカム構造形成用型を通して用いて押出し、高分子材料を脱脂してから炭酸化処理を行ったり、高分子材料の脱脂と炭酸化処理を同時に行ったりして、炭酸カルシウムハニカム構造体を製造する方法を提案している(特許文献12)。また、該発明の炭酸カルシウムハニカム構造体にリン酸成分を付与すると炭酸アパタイトハニカム構造体が製造できることも開示している。該炭酸カルシウムハニカム構造体および該炭酸アパタイトハニカム構造体は骨伝導性を示し、かつ、伝導した骨が貫通孔方向に高度に配向するなど優れた性質を示した。該炭酸アパタイトハニカム構造体に関する研究開発を鋭意行っていたところ、炭酸カルシウムハニカム構造体の脱脂が不十分であることがわかり、脱脂水準を向上させることによってより機能性の高い医療用炭酸カルシウム組成物が製造できる可能性が見出された。すなわち、該発明の炭酸カルシウムハニカム構造体の製造においては、ワックス有機バインダーなどの高分子材料を用いるため、脱脂を行っていたが、当時は、白色度要求度によって求められる脱脂の程度が異なると判断しており、また、医療用炭酸カルシウム組成物に求められる脱脂水準は解明されておらず、脱脂の程度を定量化する方法も考案されていなかった。ましてや、脱脂の程度による酸溶解残留物が炭酸カルシウムハニカム構造体の反応性や有用性に大きな影響を及ぼすとは想像できなかった。
そのため、特許文献12の実施例1(本明細書の比較例6)で開示した炭酸カルシウムハニカム構造体には酸溶解残留物が1.2質量%含まれていた。また、該炭酸カルシウムハニカム構造体にリン酸成分を付与して製造した炭酸アパタイトハニカム構造体(特許文献12の実施例11)にも酸溶解残留物が1.2質量%含まれていた。当時は、これらの酸溶解残留物は着色の原因となっても必ずしも長期的な組織親和性に影響を及ぼすとは予測されなかった。実際、酸溶解残留物を1.2質量%含む炭酸アパタイトハニカム構造体においても、一定の骨伝導性と優れた組織親和性が確認されていた。
該炭酸アパタイトハニカム構造体のさらなる機能向上を鋭意検討していたところ、少量の酸溶解残留物でも骨伝導性や生体吸収性に影響を及ぼすことがわかった。そのため、酸溶解残留物が1質量%以下、可能であれば酸溶解残留物が0質量%である医療用炭酸カルシウムハニカム構造体について鋭意研究を進めた。
なお、医療用炭酸カルシウムハニカム構造体において連通構造を形成するマクロ気孔だけでなく、ミクロ気孔も重要である。これは組織や細胞の侵入に有用なマクロだけでなく、細胞や体液などによる医療用炭酸カルシウム多孔体の吸収あるいは水溶液との反応を促進するためにミクロ気孔が有用であるためである。しかし、これまで医療用炭酸カルシウム組成物に有用なミクロ気孔の特定法や有効なミクロ気孔の範囲は見出されていなかった。

概要

生体内に埋入する医療用材料に必要とされる1)組織親和性、2)生体内吸収性、3)反応性、4)機械的強度、を高度に満足させる医療用炭酸カルシウム組成物、医療用炭酸カルシウム組成物に関わる医療用リン酸カルシウム組成物、医療用炭酸アパタイト組成物、医療用水酸化カルシウム多孔体、医療用硫酸カルシウム硬化性顆粒、骨欠損再生治療キットおよびその製造方法を提供する。炭酸カルシウムの多形や構造を制御することによって前記要素を高度に満足させる医療用組成物炭酸カルシウムや関連医療用組成物が製造できる。

目的

そのため、反応性の高い医療用炭酸カルシウム組成物やリン酸成分の付与を早くする製造方法が望まれている

効果

実績

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請求項1

下記(A)〜(C)の全ての条件と、(D)〜(K)の群から選ばれる少なくとも一つの条件とを満足することを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物。(A)体積が10−12m3以上である。(B)酸溶解残留物が1質量%以下である。(C)主としてバテライトあるいはカルサイトからなる、医療用組成物として、実質的に純粋な炭酸カルシウムである。(D)20質量%以上のバテライトを含む。(E)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法による細孔分布測定において、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きい。(F)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体であって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である。(G)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体であって、水銀圧入法測定による該気孔集積型多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である。(H)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積の比が10%以上である。(I)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である(ただし、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/g以下であるものを除く。)。S=S0×C×exp(−b×P)(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは炭酸カルシウムの多形による定数で、20質量%以上のバテライトを含む場合は0.01、20質量%以上のバテライトを含まない場合は1、Pは該組成物気孔率百分率である。)(J)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。(K)複数の組成物粒子が繊維で接続されている。

請求項2

前記(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウムであって、焼結体であることを特徴とする請求項1に記載の医療用炭酸カルシウム組成物。

請求項3

下記、(AJ1)〜(AJ4)のいずれかの条件を満足する炭酸カルシウム粉末が結合して、炭酸カルシウム組成物を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用炭酸カルシウム組成物。(AJ1)平均粒径が2μm以上8μm以下である。(AJ2)球形度が0.9以上である。(AJ3)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下である。(AJ4)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下である。

請求項4

前記(E)の条件を満足する請求項1又は3に記載の医療用炭酸カルシウム組成物であって、いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である湾曲ハニカム構造体であることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物。

請求項5

前記(D)の条件を満足する請求項1又は3に記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、体積が10−12m3以上である原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオン暴露する工程において、下記(D1)〜(D8)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足し、(D9)〜(D12)を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(D1)カルサイト形成あるいはカルサイト結晶成長を抑制し、相対的にバテライト形成を促進する工程を含む。(D2)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒水溶性有機物アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。(D3)有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。(D4)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノールエタノールグリセリンエチレングリコールおよび炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。(D5)メタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコールおよび炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコールおよび炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。(D6)バテライトからカルサイトへの転移を抑制する工程を含む。(D7)原料カルシウム組成物から水を除去する工程を含む。(D8)原料カルシウム組成物周囲に、有機溶媒を含む二酸化炭素あるいは炭酸イオンを流動させる工程を含む。(D9)原料カルシウム組成物を気相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露させて部分炭酸化を行い、その後で該原料カルシウム組成物を液相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。(D10)型にいれた原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。(D11)造孔材を含む原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。(D12)繊維で接続された原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。

請求項6

前記(D)の条件を満足する請求項1又は2記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、20質量%以上のバテライトを含む炭酸カルシウム粉末を圧粉し、かつ、焼成することを特徴とする医療用バテライト焼結体の製造方法。

請求項7

前記(E)の条件を満足する請求項1、3又は4に記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、下記(E1)と、(E5)〜(E9)の群から選ばれる一つとを必須工程とし、(E2)〜(E4)、(E10)を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(E1)押出工程高分子材料含有原料カルシウム組成物を、ハニカム構造形成用型を通して押出し、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、一方向に延びる複数の貫通孔を備えた原料ハニカム構造体を製造する工程(E2)押出工程後成形工程高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する工程(E3)外周側壁除去工程押出工程あるいは押出工程後の成形工程の後、かつ、脱脂炭酸化工程の前に、外周側壁を除去する工程(E4)外周側壁除去工程後の成形工程外周側壁除去工程後に、高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理で軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する工程(E5)脱脂炭酸カルシウム焼結工程高分子材料含有炭酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、炭酸カルシウムを焼結する脱脂焼結工程(E6)脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように酸素濃度が30%未満で加熱脱脂し、同時に、炭酸化する工程(E7)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体あるいは高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシウム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする工程(E8)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由炭酸化工程(E9)硫酸カルシウム脱脂炭酸化工程高分子材料含有硫酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、その後、製造された硫酸カルシウム多孔体に二酸化炭素あるいは炭酸イオンを付与して炭酸カルシウムとする脱脂炭酸化工程(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程

請求項8

下記(E11)〜(E14)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする請求項7記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(E11)前記「(E1)押出工程」で、ハニカム構造体の外周側壁の厚さが隔壁の厚さより厚く、かつ、貫通孔に垂直な面の断面積が1cm2以上であるように押出す。(E12)前記「(E1)押出工程」、「(E2)押出工程後の成形工程」、「(E4)外周側壁除去工程後の成形工程」および「(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程」の少なくとも一つの工程において、熱的に軟化した高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体に圧力を負荷して、貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下になるように湾曲成形する。(E13)前記「(E3)外周側壁除去工程」は研削で行い、前記「(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程」は研磨で行う。(E14)前記「(E1)押出工程」の原料カルシウム組成物が硫酸カルシウム無水物である。

請求項9

原料として酸化カルシウム顆粒を用いて、前記(F)の条件を満足する請求項1記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、下記(F1)および(F2)の工程を含み、かつ、(F3)および(F4)の少なくとも一つの工程を含むことを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(F1)導入閉鎖工程酸化カルシウム顆粒を反応容器に入れ、反応容器から排出されないように、反応容器の開口部を閉鎖する工程(F2)多孔体形成工程反応容器内部の、酸化カルシウム顆粒に、水あるいは酢酸を付与して水酸化カルシウムあるいは酢酸カルシウムとするとともに、該顆粒を膨張させて多孔体を製造する工程(F3)炭酸化工程多孔体形成工程と同時又は後に、水酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与して炭酸カルシウム多孔体を製造する炭酸化工程、あるいは、多孔体形成工程の後に、酢酸カルシウムを熱処理して炭酸カルシウム多孔体を製造する炭酸化工程(F4)酸化カルシウム炭酸化工程水酸化カルシウム多孔体、炭酸カルシウム多孔体、および酢酸カルシウム多孔体の群から選ばれる少なくとも一つの多孔体を熱処理して酸化カルシウム多孔体を製造し、該酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体を製造する酸化カルシウム多孔体からの炭酸化工程

請求項10

原料として硫酸カルシウム顆粒を用いて、前記(F)の条件を満足する請求項1記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、下記(F5)および(F6)の工程を含む、あるいは、下記(F5)、(F7)および(F9)の工程を含み、(F8)の工程を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(F5)導入工程硫酸カルシウム顆粒を反応容器に入れる工程(F6)多孔体形成炭酸化工程反応容器内部の、硫酸カルシウム顆粒と炭酸イオンを反応させて、組成を炭酸カルシウムに変換するとともに顆粒同士硬化させて多孔体化する工程(F7)多孔体形成工程硫酸カルシウム半水和物顆粒あるいは硫酸カルシウム無水和物顆粒に、水を付与して硫酸カルシウム二水和物多孔体を製造する工程(F8)熱処理工程硫酸カルシウム二水和物多孔体を、熱処理して硫酸カルシウム無水和物多孔体を製造する工程(F9)炭酸化工程硫酸カルシウム二水和物多孔体あるいは硫酸カルシウム無水和物多孔体を、炭酸イオンを含む水に暴露して、組成を炭酸カルシウムに変換する工程

請求項11

前記(F)の条件を満足する請求項1記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、下記(F10)および(F11)と、(F12)〜(F16)の群から選ばれる一つを必須工程とし、(F17)を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(F10)導入工程体積が10−12m3以上の高分子材料含有原料カルシウム組成物顆粒を、反応容器に入れる工程(F11)多孔体形成工程反応容器内部の該顆粒を、加熱融着させる工程、該顆粒の表面を溶解することにより該顆粒の表面同士を結合させる工程、および可塑剤により該顆粒の表面同士を融合させる工程、のいずれかで、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体を製造する工程(F12)脱脂炭酸カルシウム焼結工程高分子材料含有炭酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、炭酸カルシウムを焼結する脱脂焼結工程(F13)脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように酸素濃度が30%未満で加熱脱脂し、同時に、炭酸化する工程(F14)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体あるいは高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシウム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする工程(F15)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由炭酸化工程(F16)硫酸カルシウム脱脂炭酸化工程高分子材料含有硫酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、その後、製造された硫酸カルシウム多孔体に二酸化炭素あるいは炭酸イオンを付与して炭酸カルシウムとする脱脂炭酸化工程(F17)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程

請求項12

前記(G)の条件を満足する請求項1記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、下記(G1)と、(D1)〜(D10)および(E5)〜(E9)の群から選ばれる少なくとも一つとを必須工程とし、下記(G2)および(G3)および(E10)を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(G1)混合工程原料カルシウム組成物粉末あるいは原料カルシウム組成物ペーストと造孔材を混合する工程(G2)圧粉工程原料カルシウム組成物粉末あるいは原料カルシウム組成物ペーストと造孔材の混合物を圧粉する工程(G3)造孔材除去工程造孔材を溶媒に溶解させて除去する造孔材除去工程(D1)カルサイト形成あるいはカルサイト結晶の成長を抑制し、相対的にバテライト形成を促進する工程を含む。(D2)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。(D3)有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。(D4)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノール、エタノール、および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。(D5)メタノール、エタノール、および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノール、エタノール、および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。(D6)バテライトからカルサイトへの転移を抑制する工程を含む。(D7)原料カルシウム組成物から水を除去する工程を含む。(D8)原料カルシウム組成物周囲に、有機溶媒を含む二酸化炭素あるいは炭酸イオンを流動させる工程を含む。(D9)原料カルシウム組成物を気相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露させて部分炭酸化を行い、その後で該原料カルシウム組成物を液相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。(D10)型にいれた原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。(E5)脱脂炭酸カルシウム焼結工程高分子材料含有炭酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、炭酸カルシウムを焼結する脱脂焼結工程(E6)脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように酸素濃度が30%未満で加熱脱脂し、同時に、炭酸化する工程(E7)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体あるいは高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシウム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする工程(E8)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由炭酸化工程(E9)硫酸カルシウム脱脂炭酸化工程高分子材料含有硫酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、その後、製造された硫酸カルシウム多孔体に二酸化炭素あるいは炭酸イオンを付与して炭酸カルシウムとする脱脂炭酸化工程(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程

請求項13

前記加熱脱脂が200℃以上で行われ、該加熱脱脂における高分子材料含有カルシウム組成物の高分子材料の質量減少が毎分1質量%より小さいことを特徴とする請求項7、8、11、12のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。

請求項14

下記(L)〜(Q)の群から選ばれる少なくとも一つの工程を含むことを特徴とする請求項5〜13のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(L)30KPa以上の酸素分圧で脱脂を行う工程(M)30KPa以上の二酸化炭素分圧で脱脂あるいは炭酸化を行う工程(N)酸素あるいは二酸化炭素を含む150KPa以上の気体で脱脂あるいは炭酸化を行う工程(O)反応容器中の空気の一部あるいは全部を二酸化炭素に置換してから、二酸化炭素を反応容器に導入することによって、反応容器中の二酸化炭素濃度を増加させる工程(P)閉鎖系の反応容器中の圧力が一定の値となるように二酸化炭素を供給する炭酸化工程(Q)反応容器中の二酸化炭素を撹拌あるいは循環させる炭酸化工程

請求項15

原料カルシウム組成物の組成が、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、および炭酸カルシウムの群から選ばれる一つであることを特徴とする請求項5〜9、11〜14のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。

請求項16

下記(R1)〜(R4)の少なくとも一つの条件を満たすことを特徴とする請求項5〜15のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。(R1)平均粒径が2μm以上8μm以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。(R2)球形度が0.9以上の炭酸カルシウム粉末を用いる。(R3)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。(R4)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。

請求項17

下記(T1)〜(T5)の全ての条件を満足することを特徴とする医療用硫酸カルシウム硬化性組成物。(T1)酸溶解残留物が1質量%以下である。(T2)体積が5×10−13m3以上である。(T3)医療用組成物として、実質的に純粋な硫酸カルシウムである。(T4)硫酸カルシウム半水和物含有量が50質量%以上である。(T5)組成物同士を接触させて水に浸漬すると、硬化して圧縮強度が0.3MPa以上である多孔体を形成する。

請求項18

請求項17に記載の医療用硫酸カルシウム硬化性組成物を製造する方法であって、下記(U2)および(U3)を必須工程として含み(U1)および(U4)を選択工程として含むことを特徴とする医療用硫酸カルシウム半水和物顆粒の製造方法。(U1)高分子材料脱脂工程高分子材料含有硫酸カルシウム顆粒あるいはブロックを熱処理で脱脂して酸溶解残留物を1質量%以下とする工程(U2)硫酸カルシウム二水和物製造工程高分子材料脱脂工程で形成された硫酸カルシウム無水物あるいは半水和物の顆粒あるいはブロックに水を付与して、あるいは、硫酸カルシウム半水和物粉末に水を付与して、硬化させて、硫酸カルシウム二水和物顆粒あるいはブロックを製造する工程(U3)硫酸カルシウム半水和物製造工程硫酸カルシウム二水物顆粒あるいはブロックを気相中で脱水して、硫酸カルシウム半水和物顆粒あるいはブロックを製造する工程(U4)顆粒サイズ調整工程体積が5×10−13m3以上の顆粒となるようにサイズを調整する工程

請求項19

下記(V1)〜(V3)の全ての条件と、(V4)〜(V10)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足し、(V11)又は(V12)を選択条件とすることを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物(V1)体積が10−12m3以上である。(V2)酸溶解残留物が1質量%以下である。(V3)医療用組成物として、実質的に純粋なリン酸カルシウムであり、組成が炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイトリン酸三カルシウムウィトロカイトリン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つである。(V4)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体(ただし、組成がリン酸三カルシウムであり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.01cm3/g以上である、いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である、ハニカム構造体において貫通孔方向の隔壁表面算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以上である、のいずれの条件も満たさないハニカム構造体を除く。)。(V5)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体であって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である。(V6)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体であって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である(ただし、組成がリン酸三カルシウムであるものを除く。)。(V7)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積が5%以上である。(V8)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である(ただし、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/g以下であるものを除く。)。S=S0×C×exp(−b×P)(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは組成による定数で、炭酸アパタイトあるいはHPO4基を含むアパタイトあるいはリン酸三カルシウムの場合は1、ウィトロカイトの場合は0.5、リン酸水素カルシウムの場合は0.1、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)(V9)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。(V10)複数の組成物粒子が繊維で接続されている。(V11)炭酸基含有量が10質量%以上であるアパタイトを組成とする。(V12)炭酸基含有量が10質量%未満であるアパタイトを組成とする。

請求項20

下記(AG1)又は(AG2)を満足し、下記(AG3)〜(AG10)を選択条件とすることを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物。(AG1)組成が炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックであり、0.01質量%以上3質量%以下の銀又は銀化合物を含む。(AG2)組成が水酸アパタイト焼結体、リン酸三カルシウム焼結体、炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックに、リン酸カルシウム表面と結合しているリン酸銀結晶を有し、かつ、リン酸銀含有量が0.01質量%以上3質量%以下である。(AG3)前記、銀化合物がリン酸銀である。(AG4)リン酸カルシウム組成物の表層部と内部とに銀又は銀化合物が含まれており、表面から中心方向に少なくとも50μm離れた部位の銀濃度に対する表層部の銀濃度の比が1.2以上である。(AG5)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体である。(AG6)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体である。(AG7)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体である。(AG8)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積が5%以上である。(AG9)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である。S=S0×C×exp(−b×P)(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは組成による定数で、炭酸アパタイトあるいはHPO4基を含むアパタイトの場合は1、ウィトロカイトの場合は0.5、リン酸水素カルシウムの場合は0.1、水酸アパタイト焼結体及びリン酸三カルシウム焼結体の場合は2、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)(AG10)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。

請求項21

下記(W1)〜(W7)の少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする請求項19又は20に記載の医療用リン酸カルシウム組成物。(W1)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であって、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.01cm3/g以上である。(W2)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であって、いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である。(W3)ハニカム構造体であって、貫通孔方向の隔壁表面の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以上である。(W4)平均粒径が2μm以上8μm以下であるリン酸カルシウムの集合体である。(W5)球形度が0.9以上のリン酸カルシウムの集合体である。(W6)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下である。(W7)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下である。

請求項22

下記(AH1)又は(AH2)の条件を満足し、(AH3)〜(AH9)を選択条件とすることを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。(AH1)0.01質量%以上3質量%以下の銀又は銀化合物を含み、かつ、組成が炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックである原料カルシウム組成物を用い、かつ、原料カルシウム組成物が炭酸カルシウム以外の場合には、該組成物に炭酸基を付与する工程を含み、かつ、リン酸塩水溶液又はリン酸塩マグネシウム塩混合水溶液に暴露して、銀又は銀化合物を含む、炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つに組成変換させる工程を含む。(AH2)アパタイト、リン酸三カルシウム、ウィトロカイト、リン酸八カルシウム、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックである原料カルシウム組成物を、銀イオンを含む水溶液に暴露して、原料カルシウム組成物にリン酸銀を形成させる工程を含む。(AH3)リン酸カルシウムを組成とする原料カルシウム化合物を、銀イオンを含む第一水溶液に暴露して、原料カルシウム組成物にリン酸銀を形成させ、その後、第一水溶液より銀イオン濃度が高い第二水溶液に暴露する工程を含む。(AH4)原料カルシウム組成物が、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体である。(AH5)原料カルシウム組成物が、最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体である。(AH6)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体が、原料カルシウム組成物である。(AH7)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積が5%以上である原料カルシウム組成物を用いる。(AH8)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である原料カルシウム組成物を用いる。S=S0×C×exp(−b×P)(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは組成による定数で、炭酸アパタイトあるいはHPO4基を含むアパタイトの場合は1、ウィトロカイトの場合は0.5、リン酸水素カルシウムの場合は0.1、これら以外の場合は2、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)(AH9)原料カルシウム組成物として、短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒を用いる。

請求項23

請求項19〜21のいずれかに記載の医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法であって、下記(AI1)〜(AI4)のいずれか一つの条件を満たすことを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。(AI1)平均粒径が2μm以上8μm以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。(AI2)球形度が0.9以上の炭酸カルシウム粉末を用いる。(AI3)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。(AI4)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。

請求項24

請求項1〜4のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物、あるいは、請求項5〜16のいずれかに記載の製造方法によって製造された医療用炭酸カルシウム組成物に、リン酸成分を付与して請求項19〜21のいずれかに記載の医療用リン酸カルシウム組成物を製造する方法であって、前記医療用炭酸カルシウム組成物を(X1)〜(X5)の群から選ばれる少なくとも一つの水溶液に浸漬して、医療用炭酸カルシウム組成物にリン酸成分を付与することを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。(X1)リン酸成分を含むpHが8.5以上の水溶液(X2)リン酸成分を含むpHが8.5未満の水溶液(X3)リン酸成分と0.5モル濃度以下の炭酸成分の両者を含むpHが8.5以上の水溶液(X4)リン酸成分と0.5モル濃度以下の炭酸成分の両者を含むpHが8.5未満の水溶液(X5)リン酸成分とマグネシウム成分の両者を含む水溶液

請求項25

請求項1〜4のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物、あるいは、請求項5〜16のいずれかに記載の製造方法によって製造された医療用炭酸カルシウム組成物に、リン酸成分を付与して請求項19〜21のいずれかに記載の医療用リン酸カルシウム組成物を製造する方法であって、前記医療用炭酸カルシウム組成物を(Y1)〜(Y6)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足する工程を有することを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。(Y1)リン酸成分を含む水溶液に浸漬した医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程(Y2)リン酸成分を含む水溶液に浸漬した医療用炭酸カルシウム組成物に振動を与え、医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程(Y3)医療用炭酸カルシウム組成物周囲のリン酸成分を含む水溶液を流動させ、医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程(Y4)医療用炭酸カルシウム組成物を浸漬したリン酸成分を含む水溶液を入れた容器減圧脱気することにより、医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程(Y5)医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に対する溶解度が空気より高い気体に置換する工程(Y6)医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、水より接触角が小さく、かつ、水より沸点が低い溶媒で置換する工程

請求項26

下記(Z1)〜(Z4)、あるいは(Z1)、(Z3)、(Z4)、あるいは(Z1)、(Z3)をこれらの順番で連続して行い、かつ、全てを同一容器で行うことを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。(Z1)原料カルシウム組成物に炭酸成分を付与して医療用炭酸カルシウム組成物を製造する工程(Z2)医療用炭酸カルシウム組成物の洗浄工程(Z3)医療用炭酸カルシウム組成物にリン酸成分を付与する工程(Z4)医療用リン酸カルシウム組成物の洗浄工程

請求項27

下記(AB1)〜(AB3)の全ての条件と、(AB4)〜(AB8)の群から選ばれる少なくとも一つの条件とを満足することを特徴とする医療用水酸化カルシウム組成物。(AB1)体積が10−12m3以上である。(AB2)酸溶解残留物が1質量%以下である。(AB3)医療用組成物として、実質的に純粋な水酸化カルシウムである。(AB4)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体(AB5)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体である。(AB6)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体である。(AB7)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。(AB8)複数の組成物粒子が繊維で接続されている。

請求項28

前記(AB4)の条件を満足する請求項27記載の医療用水酸化カルシウム組成物を製造する方法であって、原料カルシウム組成物が水酸化カルシウムであって、下記(AD1)と、(AD2)〜(AD5)の群から選ばれる一つとを必須工程とし、(AD6)〜(AD8)を選択工程、とすることを特徴とする医療用水酸化カルシウム組成物の製造方法。(AD1)押出工程高分子材料含有原料カルシウム組成物を、ハニカム構造形成用型を通して押出し、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、一方向に延びる複数の貫通孔を備えた原料ハニカム構造体を製造する工程(AD2)脱脂工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂する工程、(AD3)酸化カルシウム経由水和工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする工程(AD4)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由水和工程高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由水和工程(AD5)炭酸カルシウム多孔体からの製造工程高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする工程(AD6)押出工程後の成形工程高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理で軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する工程(AD7)外周側壁除去工程押出工程あるいは押出工程後の成形工程の後、かつ、脱脂炭酸化工程の前に、外周側壁を除去する工程(AD8)外周側壁除去工程後の成形工程外周側壁除去工程後に、高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理で軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する工程

請求項29

前記(AB5)の条件を満足する請求項27記載の医療用水酸化カルシウム組成物を製造する方法であって、下記(AE1)および(AE2)と、前記(AD2)〜(AD5)の群から選ばれる少なくとも一つとを必須工程とすることを特徴とする医療用水酸化カルシウム組成物の製造方法。(AE1)導入工程体積が10−12m3以上の高分子材料含有水酸化カルシウム顆粒を、反応容器に入れる工程(AE2)顆粒結合工程反応容器内部の該顆粒を、熱処理することにより表面同士を熱的に軟化させて融着させる工程、該顆粒の表面を溶解することにより該顆粒の表面同士を結合させる工程、および可塑剤により該顆粒の表面同士を融合させる工程、のいずれかで、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体を製造する工程(AD2)脱脂工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂する工程、(AD3)酸化カルシウム経由水和工程高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする工程(AD4)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由水和工程高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由水和工程(AD5)炭酸カルシウム多孔体からの製造工程高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする工程

請求項30

原料として水酸化カルシウム多孔体あるいは炭酸カルシウム多孔体を用いて、請求項27記載の医療用水酸化カルシウム組成物を製造する方法であって、水酸化カルシウム多孔体あるいは炭酸カルシウム多孔体を、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とすることを特徴とする医療用水酸化カルシウム組成物の製造方法。

請求項31

前記導入閉鎖工程又は導入工程において、下記(AF1)〜(AF3)の少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする、請求項9〜11、14および29のいずれかに記載の医療用カルシウム組成物の製造方法。(AF1)顆粒の球形度が0.9以上である。(AF2)顆粒が中空である。(AF3)反応容器の体積の105%以上の嵩体積の顆粒を反応容器に入れる。

請求項32

バテライトとα型リン酸三カルシウムとを含む固体部と、リン酸塩を含む溶液部を具備して構成され、該固体部と該溶液部を混錬すると、炭酸アパタイトを形成して硬化する骨欠損再建治療用キット

請求項33

前記固体部におけるバテライトの含有量が10質量%以上60質量%以下であることを特徴とする請求項32に記載の骨欠損再建治療用キット。

請求項34

前記溶液部にカルボキシ基を複数有する酸、亜硫酸水素塩セルロース誘導体デキストラン硫酸塩コンドロイチン硫酸塩アルギン酸塩グルコマンナンの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項32又は33いずれかに記載の骨欠損再建治療用キット。

請求項35

前記固体部が、体積が10−12m3以上であるバテライトを含むことを特徴とする請求項32〜34に記載の骨欠損再建治療用キット。

請求項36

前記バテライトの平均粒径が6μm以下であることを特徴とする請求項32〜34に記載の骨欠損再建治療用キット。

技術分野

0001

本発明は、医療用組成物およびその製造方法に関する。具体的には、生体内に埋入する医療用炭酸カルシウム組成物生体外で使用する細胞培養用スキャッフォールド、および該組成物に関わる医療用硫酸カルシウム硬化性組成物、医療用リン酸カルシウム組成物医療用水酸化カルシウム組成物骨欠損再建治療用キット、およびそれらの製造方法に関する。
より詳しくは、1)組織親和性、2)生体内吸収性、3)反応性、4)機械的強度、を高度に満足させる医療用炭酸カルシウム組成物、および関連医療用組成物、およびそれらの製造方法に関する。

背景技術

0002

無脊椎動物骨格組成炭酸カルシウムであり、脊椎動物の骨格組成は炭酸カルシウムにリン酸成分が付与されたリン酸カルシウム一種である炭酸アパタイトである。炭酸カルシウムは骨補填材として研究されており、炭酸アパタイトを含むリン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどは骨補填材として臨床応用されている。
(組織親和性)
骨補填材などの医療用組成物は、工業用組成物とは所用性質が異なり、生体内の反応が最も重要である。生体内に粉末を埋入すると炎症反応惹起される。そのため、生体内に埋入される医療用組成物には、組織親和性の観点から一定以上の体積を有することが要求される。感染防止の観点から抗菌性が求められる場合もある。医療用組成物であるため、実質的に純粋であることも必須事項である。
(生体内吸収性)
骨補填材として、医療用炭酸カルシウム化合物および関連医療用組成物においては生体内で吸収され、所望の組織置換されることが期待される場合がある。組織置換には、材料の吸収と組織再生の両者が必要である。炭酸カルシウムや一部のリン酸カルシウムは破骨細胞などによって吸収されるが、吸収されるためには、生体内で吸収されない材料が含有されていないことが必要である。
(反応性)
医療用炭酸カルシウム組成物には生体内で組織置換などの優れた組織反応性が望まれたり、化学的な反応性が望まれたりする場合がある。前者に関しては、組織、細胞組織液の浸入や溶解が要素となり、気孔制御、多形結晶子サイズが重要である。後者に関しては水溶液の浸入や溶解が要素となり、気孔制御、多形や結晶子サイズが重要である。
後者に関して、医療用炭酸カルシウム組成物は、骨補填材として期待されているだけでなく、医療用炭酸アパタイト組成物などの医療用リン酸カルシウム組成物の製造における前駆体としても有用である。例えば、炭酸カルシウムブロックを、リン酸塩水溶液に浸漬すると溶解析出反応マクロ形状を保ったまま組成が炭酸アパタイトとなり、炭酸アパタイトブロックが製造できる(特許文献1)。しかしながら、溶解析出反応は炭酸カルシウムブロックの表面からの進行するため、炭酸カルシウムブロックが大きい場合や、反応性が低い炭酸カルシウムブロックの場合には、完全に炭酸アパタイトなどに組成変換されず、芯が残る場合がある。そのため、反応性の高い医療用炭酸カルシウム組成物やリン酸成分の付与を早くする製造方法が望まれている。
炭酸カルシウム組成物の反応性は組成や多形だけでなく、構造によっても大きな影響を受ける。特に連通多孔体は細胞や組織が内部に遊走されるため好ましい構造である。細胞や組織が遊走するには一定のサイズ以上であるマクロ気孔が必要であるが、組織置換を期待する場合にはより小さいサイズのミクロ気孔も重要となる。
(機械的強度)
一般的にマクロ気孔およびミクロ気孔は多いことが望ましいが、気孔率の増大に伴い、機械的強度が低下する。そのため、気孔率と機械的強度のバランスが重要である。
なお、医療用炭酸カルシウム組成物から製造される医療用リン酸カルシウム組成物や医療用炭酸カルシウム組成物製造に必要な医療用水酸化カルシウム組成物、医療用硫酸カルシウム組成物、骨欠損再建治療用キットも関連医療用組成物として重要である。

0003

(炭酸カルシウムの反応性:多形、気孔と密度
炭酸カルシウムの反応性には多形、気孔、密度などの様々な因子が影響を及ぼす。バテライトは、常温常圧準安定であり、天然には存在しないが、最も反応性が高い炭酸カルシウムである。密度は2.64(g/cm3)である。カルサイトは常温常圧で安定相でありバテライトより反応性が低い。密度は2.71(g/cm3)である。アラゴナイト高温高圧で安定相であり、常温常圧では準安定相である。密度は2.96(g/cm3)である。密度が高い炭酸カルシウムを原料医療用材料を製造すると、密度が高い医療用材料が製造されるため、反応性が低くなる場合がある。そのため、密度が比較的小さい炭酸カルシウムが望まれる場合がある。
また、気孔も炭酸カルシウムの反応性に最も大きな影響を及ぼし、一般的には気孔率が高い方が、反応性が高い。その関係で、炭酸カルシウムを原料として用いて別の材料を製造する場合、密度が小さい炭酸カルシウムを用いた場合に反応性の高い材料を製造できる場合がある。
これらの理由から本発明ではバテライトおよびカルサイトからなる炭酸カルシウムに限定する。

0004

(バテライト組成物の背景
バテライトは準安定相であり、安定相であるカルサイトに比較してだけでなく、準安定相であるアラゴナイトに比較しても反応性が高く、医療用炭酸カルシウム組成物として極めて好ましい。これまで、20質量%以上のバテライトを含み、かつ、体積が10−12m3以上である医療用バテライト組成物は存在しなかった。
バテライト粉末については、水溶性カルシウム塩炭酸塩との水溶液反応によって炭酸カルシウムを製造する際に、カルシウム以外の2価カチオンを添加し、カルサイトへの転移を遅くする方法(特許文献2、3)、塩化カルシウム又は硝酸カルシウム炭酸化する際にスラリーのCa濃度、温度、pHを制御する方法(特許文献4、5)、カルシウムイオンが溶解した連続水相と、有機相とからなるO/Wエマルションを、多孔質膜を通過させた後、炭酸イオンを含む水溶液と反応させる方法(特許文献6)、水酸化カルシウムアルコール−水混合懸濁溶液二酸化炭素を導入する方法(特許文献7)、アルキルアミン塩界面活性剤を添加する方法(非特許文献1)、エチレングリコール等の有機物を添加する方法(非特許文献2)などで製造できることが知られている。しかし、粉末は生体内で炎症反応を惹起するため使用できない。
本発明者は、硫酸カルシウム無水和物顆粒を、4℃の2モル濃度炭酸ナトリウム水溶液50mLに14日間浸漬することによって、17質量%のバテライトを含むカルサイト顆粒を製造する方法を見いだしている。しかしながら、該製造方法では、カルサイト形成を十分に抑制できないため、バテライトの含有量は17質量%であった(特許文献8)。また、特許文献8に記載されているように、「バテライトを含む炭酸カルシウムを含む製品無機化合物を製造する際には電解質温度を10℃以下とすることは必須である」と考えられており、製品および製造上の問題があった。(特許文献8)
すなわち、上述した医療用炭酸カルシウム組成物の条件を全て満足する20質量%以上のバテライトを含む医療用炭酸カルシウム組成物、およびその製造方法は知られていない。また、10℃を超える温度でバテライトを製造する方法も知られていなかった。すなわち、カルサイトの形成を高度に抑制し、20質量%以上のバテライトを含む一定サイズ以上の医用材料は知られていなかった。当然、バテライトを含む焼結体は知られていない。

0005

(カルサイト組成物の背景)
炭酸カルシウムの中で安定相であるカルサイトは、顆粒やブロックなどの製造が比較的容易であり、水酸化カルシウム圧粉体を二酸化炭素に暴露する方法などが報告されている(特許文献9)。
一方で、安定相であるカルサイトの反応性は、準安定相であるバテライトやアラゴナイトに比較して低い。カルサイトにリン酸塩を付与してリン酸カルシウムを製造する場合にはリン酸カルシウム形成反応がカルサイト組成物の表面から進行する。そのため、炭酸カルシウムの芯が残って実質的にリン酸カルシウム組成物が製造できなかったり、100℃より高い反応温度が必要であったり、長い時間が製造にかかったりすることがあった。
医療用炭酸カルシウム組成物の見かけの反応性を増大させるには連通多孔体化が有効である。例えば、一定体積以上の医療用カルサイトから医療用リン酸カルシウム組成物を製造する場合、緻密体であれば芯が残ったり、長い製造時間が必要であったりするが、同体積の連通多孔体であれば多孔体表面から反応が進行するために芯が残らなかったり、短い製造時間で医療用リン酸カルシウム組成物が製造できる。連通多孔体であれば細胞や組織を内部に侵入させることが可能である。例えば、炭酸アパタイト連通多孔体の場合は骨置換が飛躍的に増進される。
これまでも、医療用炭酸アパタイト多孔体の前駆体となる医療用炭酸カルシウム多孔体について、さまざまな検討が行われてきた。例えば、水酸化カルシウムに塩化ナトリウムなどの孔形成物質を混合して圧粉してから炭酸化し、孔形成物質を除去することによって、炭酸カルシウム多孔体を製造する方法が提案されている(特許文献9)。多孔体形成によって反応性は向上しているが、カルサイト多孔体であるため、さらなる反応性の向上が求められていた。また、気孔サイズを限定することが、機械的強度及び反応性の観点から極めて重要であるが、当時は、特定の気孔サイズが知られていなかった。
これまで炭酸カルシウムは分解されるため焼結が困難であるとされてきたが、炭酸カルシウムとゲル化剤を含む分散液に発泡剤を加えて撹拌発泡体を焼結して炭酸カルシウム焼結体を簡便に製造する方法が提案されている(特許文献10)。該製造方法では連通孔が形成されるが、数百ミクロンから1mm以上の大きな気孔が焼結した形態であり、壁厚も厚いため反応性に劣る。さらに、発泡して気孔を形成させるため、再現性に劣る。さらに、特許文献10の参考例1に記載されているように、焼結助剤である炭酸カリウム及び炭酸リチウムを添加しない場合にはそもそも炭酸カルシウム多孔質焼結体が得られない。また、カリウムリチウムが添加されている骨補填材は、好ましくない。焼結助剤を添加したり、高純度の炭酸カルシウムを用いたりすることによって炭酸カルシウム多孔質焼結体が製造できるが、機械的強度が小さく、臨床的実用性に乏しいものであった。
また、熱的溶融型樹脂ビーズ造孔材としてセラミックス多孔質体を製造する際の脱脂において、熱溶融型樹脂ビーズの分解開始温度以上まで、30℃/時間以上の昇温速度で昇温することを特徴とするセラミックス多孔質体の製造に係る脱脂法が提案されている(特許文献11)。アルミナなどの熱的に安定なセラミックスにおいては有用であるが、炭酸カルシウムなどの高温で分解されるセラミックスにおける有用性は限定的であり、さらに、高い反応性が期待される医療用組成物では、より高度な脱脂法が必要である。造孔材と原料セラミックスを混合する手法は気孔サイズの調整を正確に行えるが、連通多孔体を形成させるには比較的多量の造孔材を導入する必要があり、気孔率の増大に伴い、製造されるセラミックス多孔体の機械的強度は著しく小さくなるため、適切な造孔材の導入が必要となる。
本発明者は炭酸カルシウム連通多孔体の製造方法について、高分子材料含有水酸化カルシウムを、ハニカム構造形成用型を通して用いて押出し、高分子材料を脱脂してから炭酸化処理を行ったり、高分子材料の脱脂と炭酸化処理を同時に行ったりして、炭酸カルシウムハニカム構造体を製造する方法を提案している(特許文献12)。また、該発明の炭酸カルシウムハニカム構造体にリン酸成分を付与すると炭酸アパタイトハニカム構造体が製造できることも開示している。該炭酸カルシウムハニカム構造体および該炭酸アパタイトハニカム構造体は骨伝導性を示し、かつ、伝導した骨が貫通孔方向に高度に配向するなど優れた性質を示した。該炭酸アパタイトハニカム構造体に関する研究開発を鋭意行っていたところ、炭酸カルシウムハニカム構造体の脱脂が不十分であることがわかり、脱脂水準を向上させることによってより機能性の高い医療用炭酸カルシウム組成物が製造できる可能性が見出された。すなわち、該発明の炭酸カルシウムハニカム構造体の製造においては、ワックス有機バインダーなどの高分子材料を用いるため、脱脂を行っていたが、当時は、白色度要求度によって求められる脱脂の程度が異なると判断しており、また、医療用炭酸カルシウム組成物に求められる脱脂水準は解明されておらず、脱脂の程度を定量化する方法も考案されていなかった。ましてや、脱脂の程度による酸溶解残留物が炭酸カルシウムハニカム構造体の反応性や有用性に大きな影響を及ぼすとは想像できなかった。
そのため、特許文献12の実施例1(本明細書の比較例6)で開示した炭酸カルシウムハニカム構造体には酸溶解残留物が1.2質量%含まれていた。また、該炭酸カルシウムハニカム構造体にリン酸成分を付与して製造した炭酸アパタイトハニカム構造体(特許文献12の実施例11)にも酸溶解残留物が1.2質量%含まれていた。当時は、これらの酸溶解残留物は着色の原因となっても必ずしも長期的な組織親和性に影響を及ぼすとは予測されなかった。実際、酸溶解残留物を1.2質量%含む炭酸アパタイトハニカム構造体においても、一定の骨伝導性と優れた組織親和性が確認されていた。
該炭酸アパタイトハニカム構造体のさらなる機能向上を鋭意検討していたところ、少量の酸溶解残留物でも骨伝導性や生体吸収性に影響を及ぼすことがわかった。そのため、酸溶解残留物が1質量%以下、可能であれば酸溶解残留物が0質量%である医療用炭酸カルシウムハニカム構造体について鋭意研究を進めた。
なお、医療用炭酸カルシウムハニカム構造体において連通構造を形成するマクロ気孔だけでなく、ミクロ気孔も重要である。これは組織や細胞の侵入に有用なマクロだけでなく、細胞や体液などによる医療用炭酸カルシウム多孔体の吸収あるいは水溶液との反応を促進するためにミクロ気孔が有用であるためである。しかし、これまで医療用炭酸カルシウム組成物に有用なミクロ気孔の特定法や有効なミクロ気孔の範囲は見出されていなかった。

0006

0007

公表特許W02004/112856号
特開昭57−92520号公報
特開昭60−90822号公報
特開昭54−150397号公報
特開2011 − 126741号公報
特開2011 −157245号公報
特開平11−314915号公報
国際公開第2016/035751号
特開2016 −552061号公報
特開2018 −140890号公報
特開平7 −223871号公報
国際公開第2018/074429号

0008

日本接着協会誌, Vol.22, No.11, 1986, pp.573-579
材料, 第30巻, 第336号, 1986, pp.6-10

先行技術

0009

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の課題は、1)組織親和性、2)生体内吸収性、3)反応性、4)機械的強度、を高度に満足させる、医療用炭酸カルシウム組成物、および該組成物に関わる医療用硫酸カルシウム硬化性組成物、医療用リン酸カルシウム組成物、医療用水酸化カルシウム組成物、骨欠損再建治療用キット、およびそれらの製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、1)組織親和性、2)生体内吸収性、3)反応性、4)機械的強度、を高度に満足させる、医療用炭酸カルシウム組成物、および該組成物に関わる医療用硫酸カルシウム半水和物組成物、医療用リン酸カルシウム組成物、医療用水酸化カルシウム組成物、骨欠損再建治療用キット、およびそれらの製造方法を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0012

すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]
下記(A)〜(C)の全ての条件と、(D)〜(K)の群から選ばれる少なくとも一つの条件とを満足することを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物。
(A)体積が10−12m3以上である。
(B)酸溶解残留物が1質量%以下である。
(C)主としてバテライトあるいはカルサイトからなる、医療用組成物として、実質的に純粋な炭酸カルシウムである。
(D)20質量%以上のバテライトを含む。
(E)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法による細孔分布測定において、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きい。
(F)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体であって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である。
(G)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体であって、水銀圧入法測定による該気孔集積型多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である。
(H)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積の比が10%以上である。
(I)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である(ただし、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/g以下であるものを除く。)。
S=S0×C×exp(−b×P)
(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは炭酸カルシウムの多形による定数で、20質量%以上のバテライトを含む場合は0.01、20質量%以上のバテライトを含まない場合は1、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)
(J)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。
(K)複数の組成物粒子が繊維で接続されている。
[2]
前記(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウムであって、焼結体であることを特徴とする[1]に記載の医療用炭酸カルシウム組成物。
[3]
下記、(AJ1)〜(AJ4)のいずれかの条件を満足する炭酸カルシウム粉末が結合して、炭酸カルシウム組成物を形成していることを特徴とする[1]又は[2]に記載の医療用炭酸カルシウム組成物。
(AJ1)平均粒径が2μm以上8μm以下である。
(AJ2)球形度が0.9以上である。
(AJ3)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下である。
(AJ4)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下である。
[4]
前記(E)の条件を満足する[1]又は[3]に記載の医療用炭酸カルシウム組成物であって、
いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である湾曲ハニカム構造体であることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物。
[5]
前記(D)の条件を満足する[1]又は[3]に記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、
体積が10−12m3以上である原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程において、下記(D1)〜(D8)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足し、(D9)〜(D12)を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(D1)カルサイト形成あるいはカルサイト結晶成長を抑制し、相対的にバテライト形成を促進する工程を含む。
(D2)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒水溶性有機物アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。
(D3)有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。
(D4)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノールエタノールグリセリン、エチレングリコールおよび炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。
(D5)メタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコールおよび炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコールおよび炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。
(D6)バテライトからカルサイトへの転移を抑制する工程を含む。
(D7)原料カルシウム組成物から水を除去する工程を含む。
(D8)原料カルシウム組成物周囲に、有機溶媒を含む二酸化炭素あるいは炭酸イオンを流動させる工程を含む。
(D9)原料カルシウム組成物を気相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露させて部分炭酸化を行い、その後で該原料カルシウム組成物を液相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。
(D10)型にいれた原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。
(D11)造孔材を含む原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。
(D12)繊維で接続された原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。
[6]
前記(D)の条件を満足する[1]又は[2]記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、20質量%以上のバテライトを含む炭酸カルシウム粉末を圧粉し、かつ、焼成することを特徴とする医療用バテライト焼結体の製造方法。
[7]
前記(E)の条件を満足する[1]、[3]又は[4]に記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、
下記(E1)と、(E5)〜(E9)の群から選ばれる一つとを必須工程とし、(E2)〜(E4)、(E10)を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(E1)押出工程
高分子材料含有原料カルシウム組成物を、ハニカム構造形成用型を通して押出し、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、一方向に延びる複数の貫通孔を備えた原料ハニカム構造体を製造する工程
(E2)押出工程後成形工程
高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する工程
(E3)外周側壁除去工程
押出工程あるいは押出工程後の成形工程の後、かつ、脱脂炭酸化工程の前に、外周側壁を除去する工程
(E4)外周側壁除去工程後の成形工程
外周側壁除去工程後に、高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理で軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する工程
(E5)脱脂炭酸カルシウム焼結工程
高分子材料含有炭酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、炭酸カルシウムを焼結する脱脂焼結工程
(E6)脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように酸素濃度が30%未満で加熱脱脂し、同時に、炭酸化する工程
(E7)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体あるいは高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシウム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする工程
(E8)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由炭酸化工程
(E9)硫酸カルシウム脱脂炭酸化工程
高分子材料含有硫酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、その後、製造された硫酸カルシウム多孔体に二酸化炭素あるいは炭酸イオンを付与して炭酸カルシウムとする脱脂炭酸化工程
(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程
[8]
下記(E11)〜(E14)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする[7]記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(E11) 前記「(E1)押出工程」で、ハニカム構造体の外周側壁の厚さが隔壁の厚さより厚く、かつ、貫通孔に垂直な面の断面積が1cm2以上であるように押出す
(E12) 前記「(E1)押出工程」、「(E2)押出工程後の成形工程」、「(E4)外周側壁除去工程後の成形工程」および「(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程」の少なくとも一つの工程において、熱的に軟化した高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体に圧力を負荷して、貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下になるように湾曲成形する。
(E13) 前記「(E3)外周側壁除去工程」は研削で行い、前記「(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程」は研磨で行う。
(E14) 前記「(E1)押出工程」の原料カルシウム組成物が硫酸カルシウム無水物である。
[9]
原料として酸化カルシウム顆粒を用いて、前記(F)の条件を満足する[1]記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、
下記(F1)および(F2)の工程を含み、かつ、(F3)および(F4)の少なくとも一つの工程を含むことを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(F1)導入閉鎖工程
酸化カルシウム顆粒を反応容器に入れ、反応容器から排出されないように、反応容器の開口部を閉鎖する工程
(F2)多孔体形成工程
反応容器内部の、酸化カルシウム顆粒に、水あるいは酢酸を付与して水酸化カルシウムあるいは酢酸カルシウムとするとともに、該顆粒を膨張させて多孔体を製造する工程
(F3)炭酸化工程
多孔体形成工程と同時又は後に、水酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与して炭酸カルシウム多孔体を製造する炭酸化工程、あるいは、多孔体形成工程の後に、酢酸カルシウムを熱処理して炭酸カルシウム多孔体を製造する炭酸化工程
(F4)酸化カルシウム炭酸化工程
水酸化カルシウム多孔体、炭酸カルシウム多孔体、および酢酸カルシウム多孔体の群から選ばれる少なくとも一つの多孔体を熱処理して酸化カルシウム多孔体を製造し、該酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体を製造する酸化カルシウム多孔体からの炭酸化工程
[10]
原料として硫酸カルシウム顆粒を用いて、前記(F)の条件を満足する[1]記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、
下記(F5)および(F6)の工程を含む、あるいは、下記(F5)、(F7)および(F9)の工程を含み、(F8)の工程を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(F5)導入工程
硫酸カルシウム顆粒を反応容器に入れる工程
(F6)多孔体形成炭酸化工程
反応容器内部の、硫酸カルシウム顆粒と炭酸イオンを反応させて、組成を炭酸カルシウムに変換するとともに顆粒同士硬化させて多孔体化する工程
(F7)多孔体形成工程
硫酸カルシウム半水和物顆粒あるいは硫酸カルシウム無水和物顆粒に、水を付与して硫酸カルシウム二水和物多孔体を製造する工程
(F8)熱処理工程
硫酸カルシウム二水和物多孔体を、熱処理して硫酸カルシウム無水和物多孔体を製造する工程
(F9)炭酸化工程
硫酸カルシウム二水和物多孔体あるいは硫酸カルシウム無水和物多孔体を、炭酸イオンを含む水に暴露して、組成を炭酸カルシウムに変換する工程
[11]
前記(F)の条件を満足する[1]記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、
下記(F10)および(F11)と、(F12)〜(F16)の群から選ばれる一つを必須工程とし、(F17)を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(F10)導入工程
体積が10−12m3以上の高分子材料含有原料カルシウム組成物顆粒を、反応容器に入れる工程
(F11)多孔体形成工程
反応容器内部の該顆粒を、加熱融着させる工程、該顆粒の表面を溶解することにより該顆粒の表面同士を結合させる工程、および可塑剤により該顆粒の表面同士を融合させる工程、のいずれかで、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体を製造する工程
(F12)脱脂炭酸カルシウム焼結工程
高分子材料含有炭酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、炭酸カルシウムを焼結する脱脂焼結工程
(F13)脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように酸素濃度が30%未満で加熱脱脂し、同時に、炭酸化する工程
(F14)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体あるいは高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシウム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする工程
(F15)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由炭酸化工程
(F16)硫酸カルシウム脱脂炭酸化工程
高分子材料含有硫酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、その後、製造された硫酸カルシウム多孔体に二酸化炭素あるいは炭酸イオンを付与して炭酸カルシウムとする脱脂炭酸化工程
(F17)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程
[12]
前記(G)の条件を満足する[1]記載の医療用炭酸カルシウム組成物を製造する方法であって、
下記(G1)と、(D1)〜(D10)および(E5)〜(E9)の群から選ばれる少なくとも一つとを必須工程とし、下記(G2)および(G3)および(E10)を選択工程とすることを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(G1)混合工程
原料カルシウム組成物粉末あるいは原料カルシウム組成物ペーストと造孔材を混合する工程
(G2)圧粉工程
原料カルシウム組成物粉末あるいは原料カルシウム組成物ペーストと造孔材の混合物を圧粉する工程
(G3)造孔材除去工程
造孔材を溶媒に溶解させて除去する造孔材除去工程
(D1)カルサイト形成あるいはカルサイト結晶の成長を抑制し、相対的にバテライト形成を促進する工程を含む。
(D2)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。
(D3)有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。
(D4)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノール、エタノール、および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。
(D5)メタノール、エタノール、および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノール、エタノール、および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程を含む。
(D6)バテライトからカルサイトへの転移を抑制する工程を含む。
(D7)原料カルシウム組成物から水を除去する工程を含む。
(D8)原料カルシウム組成物周囲に、有機溶媒を含む二酸化炭素あるいは炭酸イオンを流動させる工程を含む。
(D9)原料カルシウム組成物を気相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露させて部分炭酸化を行い、その後で該原料カルシウム組成物を液相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。
(D10)型にいれた原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程を含む。
(E5)脱脂炭酸カルシウム焼結工程
高分子材料含有炭酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、炭酸カルシウムを焼結する脱脂焼結工程
(E6)脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように酸素濃度が30%未満で加熱脱脂し、同時に、炭酸化する工程
(E7)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体あるいは高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシウム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする工程
(E8)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程
高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由炭酸化工程
(E9)硫酸カルシウム脱脂炭酸化工程
高分子材料含有硫酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、その後、製造された硫酸カルシウム多孔体に二酸化炭素あるいは炭酸イオンを付与して炭酸カルシウムとする脱脂炭酸化工程
(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程
[13]
前記加熱脱脂が200℃以上で行われ、該加熱脱脂における高分子材料含有カルシウム組成物の高分子材料の質量減少が毎分1質量%より小さいことを特徴とする[7]、[8]、[11]、[12]のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
[14]
下記(L)〜(Q)の群から選ばれる少なくとも一つの工程を含むことを特徴とする[5]〜[13]のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(L)30KPa以上の酸素分圧で脱脂を行う工程
(M)30KPa以上の二酸化炭素分圧で脱脂あるいは炭酸化を行う工程
(N)酸素あるいは二酸化炭素を含む150KPa以上の気体で脱脂あるいは炭酸化を行う工程
(O)反応容器中の空気の一部あるいは全部を二酸化炭素に置換してから、二酸化炭素を反応容器に導入することによって、反応容器中の二酸化炭素濃度を増加させる工程
(P)閉鎖系の反応容器中の圧力が一定の値となるように二酸化炭素を供給する炭酸化工程
(Q)反応容器中の二酸化炭素を撹拌あるいは循環させる炭酸化工程
[15]
原料カルシウム組成物の組成が、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、および炭酸カルシウムの群から選ばれる一つであることを特徴とする[5]〜[9]、[11]〜[14]のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
[16]
下記(R1)〜(R4)の少なくとも一つの条件を満たすことを特徴とする[5]〜[15]のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法。
(R1)平均粒径が2μm以上8μm以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(R2)球形度が0.9以上の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(R3)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(R4)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
[17]
下記(T1)〜(T5)の全ての条件を満足することを特徴とする医療用硫酸カルシウム硬化性組成物。
(T1)酸溶解残留物が1質量%以下である。
(T2)体積が5×10−13m3以上である。
(T3)医療用組成物として、実質的に純粋な硫酸カルシウムである。
(T4)硫酸カルシウム半水和物含有量が50質量%以上である。
(T5)組成物同士を接触させて水に浸漬すると、硬化して圧縮強度が0.3MPa以上である多孔体を形成する。
[8]
[17]に記載の医療用硫酸カルシウム硬化性組成物を製造する方法であって、下記(U2)および(U3)を必須工程として含み(U1)および(U4)を選択工程として含むことを特徴とする医療用硫酸カルシウム半水和物顆粒の製造方法。
(U1)高分子材料脱脂工程
高分子材料含有硫酸カルシウム顆粒あるいはブロックを熱処理で脱脂して酸溶解残留物を1質量%以下とする工程
(U2)硫酸カルシウム二水和物製造工程
高分子材料脱脂工程で形成された硫酸カルシウム無水物あるいは半水和物の顆粒あるいはブロックに水を付与して、あるいは、硫酸カルシウム半水和物粉末に水を付与して、硬化させて、硫酸カルシウム二水和物顆粒あるいはブロックを製造する工程
(U3)硫酸カルシウム半水和物製造工程
硫酸カルシウム二水物顆粒あるいはブロックを気相中で脱水して、硫酸カルシウム半水和物顆粒あるいはブロックを製造する工程
(U4)顆粒サイズ調整工程
体積が5×10−13m3以上の顆粒となるようにサイズを調整する工程
[19]
下記(V1)〜(V3)の全ての条件と、(V4)〜(V10)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足し、(V11)又は(V12)を選択条件とすることを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物
(V1)体積が10−12m3以上である。
(V2)酸溶解残留物が1質量%以下である。
(V3)医療用組成物として、実質的に純粋なリン酸カルシウムであり、組成が炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイトリン酸三カルシウムウィトロカイトリン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つである。
(V4)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体(ただし、組成がリン酸三カルシウムであり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.01cm3/g以上である、いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である、ハニカム構造体において貫通孔方向の隔壁表面算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以上である、のいずれの条件も満たさないハニカム構造体を除く。)。
(V5)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体であって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である。
(V6)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体であって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である(ただし、組成がリン酸三カルシウムであるものを除く。)。
(V7)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積が5%以上である。
(V8)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である(ただし、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/g以下であるものを除く。)。
S=S0×C×exp(−b×P)
(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは組成による定数で、炭酸アパタイトあるいはHPO4基を含むアパタイトあるいはリン酸三カルシウムの場合は1、ウィトロカイトの場合は0.5、リン酸水素カルシウムの場合は0.1、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)
(V9)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。
(V10)複数の組成物粒子が繊維で接続されている。
(V11)炭酸基含有量が10質量%以上であるアパタイトを組成とする。
(V12)炭酸基含有量が10質量%未満であるアパタイトを組成とする。
[20]
下記(AG1)又は(AG2)を満足し、下記(AG3)〜(AG10)を選択条件とすることを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物。
(AG1)組成が炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックであり、0.01質量%以上3質量%以下の銀又は銀化合物を含む。
(AG2)組成が水酸アパタイト焼結体、リン酸三カルシウム焼結体、炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックに、リン酸カルシウム表面と結合しているリン酸銀結晶を有し、かつ、リン酸銀含有量が0.01質量%以上3質量%以下である。
(AG3)前記、銀化合物がリン酸銀である。
(AG4)リン酸カルシウム組成物の表層部と内部とに銀又は銀化合物が含まれており、表面から中心方向に少なくとも50μm離れた部位の銀濃度に対する表層部の銀濃度の比が1.2以上である。
(AG5)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体である。
(AG6)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体である。
(AG7)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体である。
(AG8)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積が5%以上である。
(AG9)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である。
S=S0×C×exp(−b×P)
(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは組成による定数で、炭酸アパタイトあるいはHPO4基を含むアパタイトの場合は1、ウィトロカイトの場合は0.5、リン酸水素カルシウムの場合は0.1、水酸アパタイト焼結体及びリン酸三カルシウム焼結体の場合は2、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)
(AG10)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。
[21]
下記(W1)〜(W7)の少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする[19]又は[20]に記載の医療用リン酸カルシウム組成物。
(W1)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であって、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.01cm3/g以上である。
(W2)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であって、いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である。
(W3)ハニカム構造体であって、貫通孔方向の隔壁表面の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以上である。
(W4)平均粒径が2μm以上8μm以下であるリン酸カルシウムの集合体である。
(W5)球形度が0.9以上のリン酸カルシウムの集合体である。
(W6)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下である。
(W7)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下である。
[22]
下記(AH1)又は(AH2)の条件を満足し、(AH3)〜(AH9)を選択条件とすることを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。
(AH1)0.01質量%以上3質量%以下の銀又は銀化合物を含み、かつ、組成が炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックである原料カルシウム組成物を用い、
かつ、原料カルシウム組成物が炭酸カルシウム以外の場合には、該組成物に炭酸基を付与する工程を含み、
かつ、リン酸塩水溶液又はリン酸塩とマグネシウム塩混合水溶液に暴露して、銀又は銀化合物を含む、炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つに組成変換させる工程を含む。
(AH2)アパタイト、リン酸三カルシウム、ウィトロカイト、リン酸八カルシウム、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックである原料カルシウム組成物を、銀イオンを含む水溶液に暴露して、原料カルシウム組成物にリン酸銀を形成させる工程を含む。
(AH3)リン酸カルシウムを組成とする原料カルシウム化合物を、銀イオンを含む第一水溶液に暴露して、原料カルシウム組成物にリン酸銀を形成させ、その後、第一水溶液より銀イオン濃度が高い第二水溶液に暴露する工程を含む。
(AH4)原料カルシウム組成物が、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体である。
(AH5)原料カルシウム組成物が、最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体である。
(AH6)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体が、原料カルシウム組成物である。
(AH7)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積が5%以上である原料カルシウム組成物を用いる。
(AH8)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である原料カルシウム組成物を用いる。
S=S0×C×exp(−b×P)
(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは組成による定数で、炭酸アパタイトあるいはHPO4基を含むアパタイトの場合は1、ウィトロカイトの場合は0.5、リン酸水素カルシウムの場合は0.1、これら以外の場合は2、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)
(AH9)原料カルシウム組成物として、短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒を用いる。
[23]
[19]〜[21]のいずれかに記載の医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法であって、
下記(AI1)〜(AI4)のいずれか一つの条件を満たすことを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。
(AI1)平均粒径が2μm以上8μm以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(AI2)球形度が0.9以上の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(AI3)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(AI4)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
[24]
[1]〜[4]のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物、あるいは、[5]〜[16]のいずれかに記載の製造方法によって製造された医療用炭酸カルシウム組成物に、リン酸成分を付与して[19]〜[21]のいずれかに記載の医療用リン酸カルシウム組成物を製造する方法であって、
前記医療用炭酸カルシウム組成物を(X1)〜(X5)の群から選ばれる少なくとも一つの水溶液に浸漬して、医療用炭酸カルシウム組成物にリン酸成分を付与することを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。
(X1)リン酸成分を含むpHが8.5以上の水溶液
(X2)リン酸成分を含むpHが8.5未満の水溶液
(X3)リン酸成分と0.5モル濃度以下の炭酸成分の両者を含むpHが8.5以上の水溶液
(X4)リン酸成分と0.5モル濃度以下の炭酸成分の両者を含むpHが8.5未満の水溶液
(X5)リン酸成分とマグネシウム成分の両者を含む水溶液
[25]
[1]〜[4]のいずれかに記載の医療用炭酸カルシウム組成物、あるいは、[5]〜[16]のいずれかに記載の製造方法によって製造された医療用炭酸カルシウム組成物に、リン酸成分を付与して[19]〜[21]のいずれかに記載の医療用リン酸カルシウム組成物を製造する方法であって、
前記医療用炭酸カルシウム組成物を(Y1)〜(Y6)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足する工程を有することを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。
(Y1)リン酸成分を含む水溶液に浸漬した医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程
(Y2)リン酸成分を含む水溶液に浸漬した医療用炭酸カルシウム組成物に振動を与え、医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程
(Y3)医療用炭酸カルシウム組成物周囲のリン酸成分を含む水溶液を流動させ、医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程
(Y4)医療用炭酸カルシウム組成物を浸漬したリン酸成分を含む水溶液を入れた容器減圧脱気することにより、医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程
(Y5)医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に対する溶解度が空気より高い気体に置換する工程
(Y6)医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、水より接触角が小さく、かつ、水より沸点が低い溶媒で置換する工程
[26]
下記(Z1)〜(Z4)、あるいは(Z1)、(Z3)、(Z4)、あるいは(Z1)、(Z3)をこれらの順番で連続して行い、かつ、全てを同一容器で行うことを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法。
(Z1)原料カルシウム組成物に炭酸成分を付与して医療用炭酸カルシウム組成物を製造する工程
(Z2)医療用炭酸カルシウム組成物の洗浄工程
(Z3)医療用炭酸カルシウム組成物にリン酸成分を付与する工程
(Z4)医療用リン酸カルシウム組成物の洗浄工程
[27]
下記(AB1)〜(AB3)の全ての条件と、(AB4)〜(AB8)の群から選ばれる少なくとも一つの条件とを満足することを特徴とする医療用水酸化カルシウム組成物。
(AB1)体積が10−12m3以上である。
(AB2)酸溶解残留物が1質量%以下である。
(AB3)医療用組成物として、実質的に純粋な水酸化カルシウムである。
(AB4)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体
(AB5)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体である。
(AB6)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体である。
(AB7)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。
(AB8)複数の組成物粒子が繊維で接続されている。
[28]
前記(AB4)の条件を満足する[27]記載の医療用水酸化カルシウム組成物を製造する方法であって、
原料カルシウム組成物が水酸化カルシウムであって、下記(AD1)と、(AD2)〜(AD5)の群から選ばれる一つとを必須工程とし、(AD6)〜(AD8)を選択工程、とすることを特徴とする医療用水酸化カルシウム組成物の製造方法。
(AD1)押出工程
高分子材料含有原料カルシウム組成物を、ハニカム構造形成用型を通して押出し、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、一方向に延びる複数の貫通孔を備えた原料ハニカム構造体を製造する工程
(AD2)脱脂工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂する工程、
(AD3)酸化カルシウム経由水和工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする工程
(AD4)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由水和工程
高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由水和工程
(AD5)炭酸カルシウム多孔体からの製造工程
高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする工程
(AD6)押出工程後の成形工程
高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理で軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する工程
(AD7)外周側壁除去工程
押出工程あるいは押出工程後の成形工程の後、かつ、脱脂炭酸化工程の前に、外周側壁を除去する工程
(AD8)外周側壁除去工程後の成形工程
外周側壁除去工程後に、高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理で軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する工程
[29]
前記(AB5)の条件を満足する[27]記載の医療用水酸化カルシウム組成物を製造する方法であって、
下記(AE1)および(AE2)と、前記(AD2)〜(AD5)の群から選ばれる少なくとも一つとを必須工程とすることを特徴とする医療用水酸化カルシウム組成物の製造方法。
(AE1)導入工程
体積が10−12m3以上の高分子材料含有水酸化カルシウム顆粒を、反応容器に入れる工程
(AE2)顆粒結合工程
反応容器内部の該顆粒を、熱処理することにより表面同士を熱的に軟化させて融着させる工程、該顆粒の表面を溶解することにより該顆粒の表面同士を結合させる工程、および可塑剤により該顆粒の表面同士を融合させる工程、のいずれかで、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体を製造する工程
(AD2)脱脂工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂する工程、
(AD3)酸化カルシウム経由水和工程
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする工程
(AD4)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由水和工程
高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする炭酸化脱脂酸化カルシウム経由水和工程
(AD5)炭酸カルシウム多孔体からの製造工程
高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように脱脂し、かつ、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とする工程
[30]
原料として水酸化カルシウム多孔体あるいは炭酸カルシウム多孔体を用いて、[27]記載の医療用水酸化カルシウム組成物を製造する方法であって、
水酸化カルシウム多孔体あるいは炭酸カルシウム多孔体を、酸化カルシム多孔体とし、その後に、酸化カルシウム多孔体を水和させて水酸化カルシウム多孔体とすることを特徴とする医療用水酸化カルシウム組成物の製造方法。
[31]
前記導入閉鎖工程又は導入工程において、下記(AF1)〜(AF3)の少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする、[9]〜[11]、[14]および[29]のいずれかに記載の医療用カルシウム組成物の製造方法。
(AF1)顆粒の球形度が0.9以上である。
(AF2)顆粒が中空である。
(AF3)反応容器の体積の105%以上の嵩体積の顆粒を反応容器に入れる。
[32]
バテライトとα型リン酸三カルシウムとを含む固体部と、リン酸塩を含む溶液部を具備して構成され、該固体部と該溶液部を混錬すると、炭酸アパタイトを形成して硬化する骨欠損再建治療用キット。
[33]
前記固体部におけるバテライトの含有量が10質量%以上60質量%以下であることを特徴とする[32]に記載の骨欠損再建治療用キット。
[34]
前記溶液部にカルボキシ基を複数有する酸、亜硫酸水素塩セルロース誘導体デキストラン硫酸塩コンドロイチン硫酸塩アルギン酸塩グルコマンナンの少なくとも一つを含むことを特徴とする[32]又は[33]いずれかに記載の骨欠損再建治療用キット。
[35]
前記固体部が、体積が10−12m3以上であるバテライトを含むことを特徴とする[32]〜[34]に記載の骨欠損再建治療用キット。
[36]
前記バテライトの平均粒径が6μm以下であることを特徴とする[32]〜[34]に記載の骨欠損再建治療用キット。

図面の簡単な説明

0013

外周側壁を有するハニカム構造体の模式図である。
実施例7において最終温度が480℃で製造された医療用カルサイト組成物の水銀圧入法による細孔分布測定結果である。
実施例1に係る医療用バテライト組成物の粉末X線回折(XRD)パタ−ンである。
実施例1に係る医療用炭酸アパタイト組成物のXRDパターンである。
実施例7に係るハニカム構造体の電子顕微鏡像SEM像)である。
実施例8に係る粒度分布解析結果である。
実施例9に係る医療用炭酸アパタイトハニカム構造体を用いた病理組織学的検索における病理組織像である。
実施例12に係る医療用炭酸アパタイトハニカム構造体の電子顕微鏡像(SEM像)である。
実施例14に係る医療用炭酸アパタイトハニカム構造体の埋植週目の病理組織学的検索における病理組織像である。
実施例14に係る医療用炭酸アパタイトハニカム構造体の埋植12週目の病理組織学的検索における病理組織像である。
実施例15の医療用炭酸アパタイト組成物および比較例10の水酸アパタイト組成物の埋植4週目および12週目の病理組織学的検索における病理組織像である。
実施例16に係る医療用バテライト多孔体の電子顕微鏡像(SEM像)である。
実施例16に係る医療用炭酸アパタイト多孔体の埋植4週目の病理組織学的検索における病理組織像である。
実施例17に係る医療用カルサイト多孔体の電子顕微鏡像(SEM像)である。
実施例22に係る医療用炭酸アパタイトハニカム構造体の電子顕微鏡像(SEM像)である。
実施例22に係る医療用炭酸アパタイトハニカム構造体の埋植4週目の病理組織学的検索における病理組織像である。
実施例24に係る医療用炭酸アパタイトハニカム構造体の電子顕微鏡像(SEM像)である。

実施例

0014

(用語の定義)
本発明において用いる用語は、下記の通り定義する。
本発明でいう「医療用炭酸カルシウム組成物」とは、医療用組成物(医療用材料)として用いられる炭酸カルシウム組成物あるいは医療用組成物の原料として用いられる炭酸カルシウム組成物である。生体組織に埋植される骨補填材や薬物送達担体は、当然医療用材料であるが、生体組織の外で用いられる細胞培養用スキャフォールドも医療用材料に含める。なお、該組成物が多孔体である場合には医療用炭酸カルシウム多孔体、多孔体構造がハニカム構造体である場合には医療用炭酸カルシウムハニカム構造体などと表記する場合がある。
本発明でいう「医療用炭酸カルシウム組成物」は、他の医療用組成物の製造に用いられることもあり、その関係で塩化ナトリウムなどの造孔材を含む場合がある。また、医療用炭酸カルシウムや他の医療用組成物の操作性を向上させるために、組成物粒子の間(粒子同士)を繊維で結合させる場合がある。これらの造孔材や繊維を含む、該材料も「医療用炭酸カルシウム組成物」と定義する。
本発明でいう「体積」とは、嵩体積であり、全体積ともいう。気孔を含む体積であり、嵩容積全容積ともいう。
本発明でいう「バテライト」、「アラゴナイト」、「カルサイト」は炭酸カルシウム結晶の多形の種類である。
本発明でいう「医療用バテライト組成物」とは、20質量%以上のバテライトを含む、医療用炭酸カルシウム組成物である。ここで、造孔材および繊維の質量は、バテライト含有量の計算から除外する。
医療用炭酸カルシウム組成物中のバテライト、カルサイトの含有量は後述する方法で粉末X線回折(XRD)解析におけるそれぞれのピーク面積比から計算する。
本発明でいう「医療用リン酸カルシウム組成物」とは、人工骨補填材などとして医療で用いられるリン酸カルシウム組成物である。
本発明でいう「リン酸カルシウム」とはリン酸およびカルシウムを組成として含む化合物であり、オルソリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム非晶質リン酸カルシウムピロリン酸カルシウムに代表される縮合リン酸カルシウム化合物などが例示される。オルソリン酸カルシウムはオルソリン酸とカルシウムの塩である。例えば、リン酸四カルシウム、水酸アパタイトおよび炭酸アパタイトを含めたアパタイト、α型リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、などが例示される。なお、β型リン酸三カルシウムはウィトロカイトを含む場合もあるが、本発明においてはHPO4を含まないものをリン酸三カルシウム、HPO4を含むものはウィトロカイトと区分する。α型リン酸三カルシウムは、αTCP、β型リン酸三カルシウムはβTCPと略す場合がある。
本発明でいう「医療用アパタイト組成物」とは、医療用リン酸カルシウム組成物の一種であり、人工補填材などとして医療用材料として用いるアパタイト組成物である。
また、本発明でいう「医療用炭酸アパタイト組成物」とは、医療用途に用いる炭酸アパタイト組成物である。炭酸アパタイトの炭酸基含有量は特に限定されないが、0.5質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましい。本発明でいう、炭酸アパタイトとは炭酸基を含むアパタイトと定義される。一般的にはリン酸カルシウム系アパタイトリン酸基あるいは水酸基の、一部あるいは全部が炭酸基に置換しているアパタイトである。なお、炭酸基置換に伴い、アパタイトの電荷バランスを取るためにNaやKなどが結晶形状に含有される場合が多い。本発明では炭酸アパタイトの一部が他の元素あるいは空隙で置換された炭酸アパタイトも炭酸アパタイトと定義する。
炭酸基含有量の増大に伴い、破骨細胞による吸収を受けやすくなり、骨置換速度が速くなるが、症例によってはゆっくり骨置換される医療用材料、骨置換されない医療用材料が望まれる。ゆっくり骨置換される医療用材料が望まれる場合には炭酸基量が少ない炭酸アパタイト、骨置換されない医療用材料が望まれる場合には炭酸基量が0.2質量%未満のアパタイトが望ましい。
本発明でいう「ハニカム構造体」とは、特開2004−298407号公報や特開2005−152006号公報に記載されている、一方向に延びる複数の多角形又は円形の断面形状を有する貫通孔を備えた形状の多孔体である。該貫通孔は、隔壁を介して、実質的に隙間なく並べられているが、一部の貫通孔が欠損している場合もある。
なお、本発明でいう一方向とは、直線方向には限定されず、実質的に同じ方向であることを意味する。後述する湾曲したハニカム構造体の貫通孔は、一次元ではないが、実質的に同じ方向に延びる複数の貫通孔を有する形状であり、ハニカム構造体である。
ここで、図1を用いて本発明のハニカム構造体の一例について説明する。図1に示すように、ハニカム構造体14は、一方向に延びる複数の貫通孔11と、貫通孔を区分する隔壁12を備えた構造体である。ハニカム構造体には貫通孔からなるハニカム構造部を包囲する外周側壁13を有するものと、外周側壁の一部又は全部を除去したものがあるが、いずれもハニカム構造体である。

0015

本発明でいう水銀圧入法測定とは細孔分布測定法の一種で、水銀の表面張力が大きいことを利用して粉体の細孔に水銀を浸入させるために圧力を加え、圧力と圧入された水銀量から細孔分布を求める方法である。なお、本発明においては、水銀と材料の前進接触角および後退接触角は130°、水銀の表面張力は485mN/mとして細孔を計算する。
細孔分布は視覚化するために、微分細孔容積常用対数測定点の細孔径に対してプロットしたものを示す。細孔容積は異なる細孔径の間で圧入された水銀の積算データの差から計算する。
細孔径は細孔直径と言われることもあるが基本的には細孔の形状に関わらず水銀圧入法分析結果から円柱状の細孔に水銀が圧入されたとして計算される値である。
本発明でいう「平均粒子径」とは、レーザ回折散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。100mLの蒸留水に粉末を分散させ、周波数45KHz—100Wの超音波洗浄機による分散を30秒行った後に1分以内に測定を行う。
本発明でいう「表面粗さ(算術平均粗さRa)」とは3Dレーザー顕微鏡で測定した表面粗さ(算術平均粗さRa)である。
本発明でいう「球形度」とは、Wadellの実用球形度である。Wadellの実用球形度とは、材料の投影面積に等しい円の直径を材料の投影像外接する最小円の直径で除したものである。
本発明でいう「圧縮強度」は、クロスヘッドスピードを毎分10mmとし、圧縮試験かけられる柱状試験片の元の断面積で最大荷重を割った値とする。本発明において、試料が柱状でなく、試料体積が1×10−8m3以上の場合には、試料を柱状に加工して圧縮試験を行う。試料が柱状でなく、試料体積が1×10−8m3未満の場合には、試料の投影像面積を試験片の元の断面積とする。
なお、本発明の医療用炭酸カルシウム組成物には異方性がある場合がある。異方性がある材料は、方向によって圧縮強度が異なる。本発明においてはいずれかの方向で得られた最大の圧縮強度を該組成物の圧縮強度と定義する。
また、医療用炭酸カルシウム組成物などがセラミックス材料であることに鑑み、間接引張強度を測定し、間接引張強度を5倍した値を圧縮強度としてもよい。圧縮強度と間接引張強度を5倍した値が異なる場合には、値が高い方を、本発明における圧縮強度の値とする。
本発明で用いる気体の圧力は、海面付近の圧力を101.3KPaとする絶対圧力であり、大気圧を基準とする相対圧力ではない。したがって101.3KPaを超える場合は大気圧に対して加圧状態にあり、101.3KPa未満の場合には大気圧に対して減圧状態にある。
本発明でいう「集積」とは複数のものが集まっていることと定義する。気孔が集積とは、複数の気孔が集まっていることであり、気孔同士は結合されていても、結合されていなくてもよい。したがって、気孔同士が接する必要はない。
本発明でいう「短径」とは組成物の形態に関する用語であり、ふるいを通した際の通過の有無に関するサイズと定義する。すなわち、短径1mm以上5mm未満とは目開き5mmのふるいを通過し、見開き1mmのふるいを通過しないサイズの組成物と定義する。
本発明でいう「閉鎖系の反応容器」とは開放系でない反応容器と定義する。例えば、反応容器中の水酸化カルシウム圧粉体を二酸化炭素で炭酸化して炭酸カルシウムを製造する際には水酸化カルシウム圧粉体に二酸化炭素を暴露する必要がある。反応容器から二酸化炭素が大気中に排出される場合は、開放系の反応容器による炭酸化であり、反応容器から二酸化炭素が大気中に排出されない場合は、閉鎖系の反応容器による炭酸化である。
この観点から、二酸化炭素が排出口などから排出されても、大気中に排出されない場合は閉鎖系の反応容器による炭酸化と定義する。例えば、排出口から排出された二酸化炭素がポンプなどで反応容器に循環される場合は閉鎖系の反応容器による炭酸化と定義する。また、反応容器が二酸化炭素ボンベなどと接続されている場合にも閉鎖系の反応容器による炭酸化と定義する。
本発明においては、含水メタノール含水エタノールなどについては、単純に水以外の溶媒の体積%で表示する。例えば、10体積%の水を含むメタノールは、90%メタノールと言う。
「顆粒」は、一般的に粉末よりも粒径の大きい粒、特に粉末を固め大型の粒に成形したものとされている。本発明でいう「顆粒」も、粉末よりも粒径の大きい粒であるが、特に体積あるいは短径が指定されていない場合は、短径が50μm以上500μm以下のもの、あるいは1×10−13cm3以上1×10−7cm3以下のもののいずれかに該当するものとする。

0016

[I医療用炭酸カルシウム組成物:必須条件
まず、[1]について説明する。
<(A)体積が10−12m3以上である。>について
本発明の医療用炭酸カルシウム組成物において、体積が10−12m3以上であることは必須条件である。医療用組成物は生体内で組織親和性に優れることが要求されるが、炭酸カルシウム粉末およびリン酸カルシウム粉末は、いずれも炎症反応を惹起する。一方、体積が10−12m3以上である医療用炭酸カルシウム組成物、あるいは該医療用炭酸カルシウム組成物から製造された体積が10−12m3以上である医療用リン酸カルシウム組成物は組織親和性に優れる。
医療用炭酸カルシウム組成物を骨補填材あるいは骨補填材の原料として用いる場合、体積が10−11m3以上、好ましくは3×10−11m3以上となると骨欠損部に充填した場合に細胞の侵入に適した連通気孔が形成されやすいためより好ましい。体積が10−10m3以上となると、骨欠損部に充填した場合に組織の侵入に有効な気孔が形成されるためさらに好ましい。体積が10−9m3以上となると比較的大きい骨欠損部に充填しやすくなるという特徴が発揮され臨床上特に好ましい。
医療用炭酸カルシウム組成物の体積の上限は特に制限はないが、体積が大きい場合は製造に時間を要し、また、需要が少ないことから、10−3m3以下であることが好ましい。

0017

<(B)酸溶解残留物が1質量%以下である。>について
(B)は、下記、医療用組成物として、実質的に純粋な炭酸カルシウムであるにも関連するが、特に、酸溶解残留物が1質量%以下であることは必須条件であり、医療用炭酸カルシウム組成物の有用性に関して、極めて重要な因子である。
これは本発明の医療用炭酸カルシウム組成物あるいは該医療用炭酸カルシウム組成物を原料として製造される炭酸アパタイトなどに優れた組織親和性と生体内吸収性が期待されるためである。生体内では破骨細胞などが形成する弱酸環境によって炭酸カルシウムや炭酸アパタイトなどが吸収される。酸溶解残留物の存在は、破骨細胞などによって吸収されないことと同義であるため、医療用組成物としては不適切である。
酸溶解残留物は、高分子材料を含む原料から医療用炭酸カルシウム組成物を製造する場合に問題となる。高分子材料は酸に溶解されず、酸溶解残留物の存在は高分子材料あるいはその分解物残留していることと同義となる。
酸溶解残留物は、炭酸カルシウム等を該炭酸カルシウム等の20モル等量となる体積の1モル濃度の塩酸に溶解した際の残留物とし、炭酸カルシウム等の質量に対する該乾燥質量の%表示とする。
酸溶解残留物は1質量%以下であることが必須条件であり、0.5質量%以下であることが好ましく、影響が小さくなる0.3質量%以下であることがより好ましく、影響がほぼ無視できる0.1質量%以下であることがさらに好ましく、実質的に0質量%であることが理想的である。
なお、本医療用炭酸カルシウム組成物には造孔材を含む場合や複数の組成物粒子の間を繊維で接続している場合があり、造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維に関しては酸溶解残留物の対象としない。すなわち、造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維以外の炭酸カルシウム組成物の酸溶解残留物が1質量%以下であることが本発明の必須条件である。

0018

<(C)主としてバテライトあるいはカルサイトからなる、医療用組成物として、実質的に純粋な炭酸カルシウムである。>について
本発明の医療用炭酸カルシウム組成物は医療用途に用いられる医療用材料であり、造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維以外の不純物を含むものは医療用材料として用いることができない。したがって、天然材料は本発明に含まれない材料である。また、ボイラから排出される酸化カルシウムを含む石炭灰鉄鋼製造プロセスで発生したスラグから製造される炭酸カルシウム組成物も不純物が含まれているため、本発明に含まれない材料である。天然鉱物などの研究において、有機物ゲルケイ素含有ゲル、メタリン酸ゲルなどを用いる場合があるが、これらが添加された炭酸カルシウム組成物も組織親和性に問題が発生するため、本発明に含まれない材料である。
本発明の医療用炭酸カルシウム組成物では、主としてバテライトあるいはカルサイトからなる、医療用炭酸カルシウム組成物として実質的に純粋な炭酸カルシウム組成であること、すなわち、実質的に純粋な炭酸カルシウム組成であり、その多形が主としてバテライトあるいはカルサイトであること、が必須条件であり、ナトリウムストロンチウムおよびマグネシウム以外の不純物を、実質的に含まないことが求められる。ここで、本発明の(C)においては、ナトリウム、ストロンチウムおよびマグネシウム以外の不純物量は1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。全く含有していないことが理想的である。
なお、医療用炭酸カルシウム組成物においてナトリウム、ストロンチウムおよびマグネシウムは他の不純物と異なり、組織為害性を惹起しにくい。この機序は明らかになっていないが、ナトリウム、ストロンチウムおよびマグネシウムを含む海中で発生した無脊椎動物が選択した炭酸カルシウムが、ナトリウム、ストロンチウムおよびマグネシウムを含有していたため、進化論的にナトリウム、ストロンチウムおよびマグネシウムを許容できる生体となったと類推される。しかしながら、マグネシウム、ストロンチウムおよびナトリウムも不純物量であり、本発明の「医療用組成物として、実質的に純粋な炭酸カルシウム」において、その含有量は2質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
なお、上述したように、本医療用炭酸カルシウム組成物には造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維を含む場合があり、造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維に関しては不純物としない。すなわち、造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維以外の炭酸カルシウム組成物が、実質的に純粋な炭酸カルシウムであることが本発明の必須条件である。
上述したように、炭酸カルシウムの多形には、バテライト、カルサイト以外にアラゴナイトも存在する。アラゴナイトは本質的に炭酸カルシウムであるため混在しても本発明の効果を阻害するものではないが、本発明の医療用炭酸カルシウム組成物を原料として製造する医療用組成物の反応性の観点から、アラゴナイトの含有量は20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。すなわち、本発明の「主としてバテライトあるいはカルサイトからなる」とは、バテライトあるいはカルサイトの割合が、80質量%超であることが好ましく、90質量%超であることがより好ましく、95質量%超であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
また、水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムは経時的に空中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなるため、厳密に排除する必要はない。そのため、本発明でいう「医療用炭酸カルシウム組成物として、実質的に純粋な炭酸カルシウム組成」においては水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムは不純物とはみなさない。しかしながら、水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムも含有されないことが好ましい。したがって、水酸化カルシウムと酸化カルシウムについても、その含有量が、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。全く含有していないことが理想的である。

0019

<(D)20質量%以上のバテライトを含む。>について
炭酸カルシウムの中で準安定相であるバテライトを含む炭酸カルシウム組成物は、反応性が高いため好ましい。バテライトの含有量が、20質量%未満の場合も反応性向上に有効であるが、その効果が限定的であるため、本発明では20質量%以上のものに限定する。
バテライトの含有量は20質量%以上であることが必須条件であるが、30質量%以上となると有効成分が十分量に近くなるため好ましく、50質量%以上となると有効成分が十分量になるためより好ましく、80質量%以上であれば該組成物がほぼバテライトの性質を示すためさらに好ましく、90質量%以上であれば、特に好ましい。
なお、上述したように、反応性に関与しないため、造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維の質量は、バテライト含有量の計算から除外する。

0020

<(E)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法による細孔分布測定において、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きい。>について
ハニカム構造体は図1に示すように隔壁部と外周側壁からなる固体部と貫通孔である空間部から形成されるため、水銀圧入法で細孔分布測定を行った場合、貫通孔に起因する細孔分布が必ず認められる。図2に本発明の医療用炭酸カルシウムハニカム構造体の水銀圧入法細孔分布測定結果の一例を示す。ハニカム構造体のマクロ気孔に起因する細孔径が約70μm付近ピーク以外にハニカム隔壁のミクロ気孔に起因する細孔径が1μm以下の細孔が存在することがわかる。
貫通孔が10μm以下の医療用炭酸カルシウムハニカム構造体は存在しない。したがって、細孔径が10μm以下の気孔は、隔壁に存在する気孔である。細孔径が10μm以下の細孔には組織や細胞は浸入されないため、これまで該細孔は着目されていなかったが、組織液や水溶液の浸入は可能であるため、生体内反応や該医療用炭酸カルシウムハニカム構造体にリン酸塩を付与して医療用リン酸カルシウムハニカム構造体を製造する際には、細孔径が10μm以下の細孔が重要な役割を果たすことがわかった。
ハニカム構造体の質量に対する細孔径が大きくなると反応性が高くなるが、機械的強度が小さくなるため、両者のバランスをとる必要がある。反応性の観点からは、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きいことが必須であり、0.03cm3/g以上であることが好ましく、0.10cm3/g以上であることがより好ましく、0.15cm3/g以上であることがさらに好ましい。また、圧縮強度の観点からは、0.15cm3/g以下であることが好ましく、0.10cm3/g以下であることがより好ましく、0.03cm3/g以下であることがさらに好ましい。

0021

<(F)最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体であって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である。>について
症例によっては三次元的な貫通孔を有する多孔体が望まれる場合がある。医療用骨補填材の場合は特に気孔サイズが重要であり、サイズが大きい気孔には骨組織以外の脂肪組織などが侵入するため、気孔サイズの制御が重要である。
最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が、結合して形成された複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体は、六方最密充填構造が形成する貫通孔のように、貫通性が高く、骨芽細胞、破骨細胞や骨組織が内部に遊走・伝導しやすいという特徴がある。
また、該顆粒結合多孔体の組織置換においては、顆粒部の細孔が重要な役割を示す。顆粒部の細孔容積は、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積として0.05cm3/g以上である必要があり、該細孔容積は0.1cm3/g以上であることが好ましく、0.2cm3/g以上であることがより好ましく、0.3cm3/g以上であることがさらに好ましい。

0022

<(G)医療用組成物全体に、最大径長さが50μm以上400μm以下の複数の気孔が集積されており、最大径長さが800μm以上の気孔を含まない気孔集積型多孔体であって、水銀圧入法測定による該気孔集積型多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である。>について
前記、顆粒結合多孔体は、貫通性などの観点から骨補填材などに極めて有用であるが、一般的には機械的強度が小さく、製造が困難であるという欠点がある。一方、例えば造孔材を用いて形成される特定の気孔を備えた気孔集積型多孔体は、貫通性に劣るものの、高分子造孔材を用いることによって比較的簡単に製造することができ、比較的機械的強度に優れるという特徴があり、医療用炭酸カルシウムとして有用である。具体的に気孔集積型多孔体は、炭酸カルシウムからなる気孔壁あるいは該気孔壁の一部に形成される貫通部を介して気孔が集積されている。貫通部が全体的に貫通している場合は三次元的な貫通孔を有する多孔体となり特に有用である。
また、気孔サイズとしては50μm以上400μm以下である必要がある。この気孔サイズは細胞や組織の侵入の観点から有用なサイズである。該気孔サイズとしては70μm以上350μm以下であることが好ましく、90μm以上300μm以下であることがより好ましく、100μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。
一方、最大径長さが800μm以上の気孔を含まないことも必要条件である。上述したように大きな気孔には骨組織ではなく脂肪組織が遊走される。また、大きな気孔がある組成物は機械的強度が小さくなる。
最大径800μm以上の気孔を含まないことも必要条件であるが、除外すべき気孔サイズは最大径700μm以上であることが好ましく、最大径600μm以上であることがより好ましい。
また、細胞や組織の侵入、吸収性および機械的強度のバランスから気孔率は40体積%以上80体積%以下であることが好ましく、45体積%以上78体積%以下であることがより好ましく、50体積%以上77体積%以下であることがさらに好ましい。
また、該気孔集積型多孔体の組織置換においては、気孔だけでなく、気孔周囲の炭酸カルシウムの細孔も重要な役割を示す。該細孔の容積は、水銀圧入法測定による該気孔集積型多孔体の10μm以下の細孔容積として0.05cm3/g以上である必要があり、該細孔容積は0.1cm3/g以上であることが好ましく、0.2cm3/g以上であることがより好ましく、0.3cm3/g以上であることがさらに好ましい。
気孔集積型多孔体は、造孔材を含む場合と造孔材を含まない多孔体に分類される。造孔材を含む該多孔体の場合は、そのまま医療用組成物の製造原料として用いて、該製造工程において除去されるため、造孔材部分は、本質的には気孔である。そのため、該多孔体の気孔率計算において、造孔材は気孔として計算する。

0023

<(H)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積の比が10%以上である。>について
上述したように、炭酸カルシウム多孔体の反応性にはマクロ気孔だけでなくミクロ気孔が重要である。ミクロ気孔の絶対量も重要であるが、特定のミクロ気孔の分布が有用である場合がある。すなわち、水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積の比が10%以上であることが好ましい。細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積の比は15%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。

0024

<(I)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である(ただし、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/g以下であるものを除く。)。
S=S0×C×exp(−b×P)
(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは炭酸カルシウムの多形による定数で、20質量%以上のバテライトを含む場合は0.01、20質量%以上のバテライトを含まない場合は1、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)>について
上述したように、本発明の医療用炭酸カルシウム組成物は、多孔体であることが好ましく、気孔率が高ければ有用性が高くなる。一方で、気孔率が高くなるに従い、医療用炭酸カルシウムの機械的強度は低くなる。
機械的強度[S]と気孔率の百分率[P]との間には、学術論文誌であるJournal of Biomedical Researchの29巻1537−1543頁やJournal of American Ceramics Societyの36巻2号68頁などに引用されているS=S0exp(−bP)という経験式(Duckworth式)が知られている。ここでS0は緻密体の機械的強度であり、bは経験定数である。
なお、上述した通り、反応性は組成にも影響されるため、気孔率が小さい組成物であっても組成によっては反応性が高くなる。この組成要因をCとして圧縮強度に対する要求事項補正している。反応性が高いバテライトを20質量%以上含む場合は0.01、20質量%以上のバテライトを含まない場合は1とする。また、Pは該組成物の気孔率の百分率である。
また、本発明においては、Journal of Biomedical Researchの29巻1537−1543頁において、類似したセラミックスである水酸アパタイトの係数として報告されている値を参考にする。
すなわち、S0としては500、bとしては0.068を用いる。圧縮強度としては高い方が好ましいため、S0としては700が好ましく、900がより好ましく1000がさらに好ましい。
なお、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体の場合、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/g以下であるものは反応性が低いため本発明から除く。

0025

<(J)短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、当該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しないハニカム構造体顆粒。>について
これは、ハニカム構造体顆粒の外形に関するもので、角が丸く、周囲組織を傷つけない組成物に関する条件である。短径が5mm未満の組成物は、顆粒として骨欠損部に補填されることがある。本発明の医療用炭酸カルシウム組成物の中で、ハニカム構造体は異方性が高い。そのため、粉砕すると紡錘形状となる。短径が1mm未満の場合は、顆粒が流動性富むため欠損部を被覆する骨膜などの周囲組織に対して鋭角部が垂直となりにくいが、短径が大きくなるにしたがって、顆粒の流動性が限定的になるなどの理由で周囲組織に傷がつきやすくなる。また、5mm以上となると鋭角な角の形成を防止しやすい。そのため、短径が1mm以上5mm未満のハニカム構造体顆粒の顆粒の角を丸くすればよい。具体的には、短径が1mm以上5mm未満であり、かつ、該組成物の投射図において、投射図周囲線の任意の点から半径0.2mmの円を描き、該円と投射図周囲線が交わる3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が90°以下である点が存在しない顆粒とすればよい。短径はふるいを通過するかどうかで定義する。すなわち、短径が1mm以上5mm未満の組成物とは目開き5mmのふるいを通過して、目開き1mmのふるいを通過しない組成物である。短径は1mm以上5mm未満であることが好ましいが、1.2mm以上4mm未満であることがより好ましく、1.4mm以上3mm未満であることがさらに好ましい。
角が丸いという観点から、前記「3点が形成する三角形の、投射図周囲線の任意の点を頂点とする角度が60°以下である点が存在しない」ことが好ましいが角度については、80°以下がより好ましく、100°以下がさらに好ましい。
該ハニカム構造体顆粒においても、周囲組織を傷つけない顆粒の外形だけでなく、該顆粒の細孔も組織反応に重要な役割を示す。該細孔の容積は、水銀圧入法測定による該ハニカム構造体顆粒の10μm以下の細孔容積として0.02cm3/g以上であることが好ましく、0.05cm3/g以上であることがより好ましく、0.1cm3/g以上であることがさらに好ましい。

0026

<(K)複数の組成物が繊維で接続されている。>について
医療用炭酸カルシウム組成物あるいは医療用炭酸カルシウム組成物を原料として製造した医療用リン酸カルシウム組成物などは骨補填材などとして生体内に埋植される場合があるが、組成物が顆粒などの粒子の場合、粒子を骨欠損部に埋植する操作が煩雑である。数珠のように複数の組成物粒子が繊維で接続されている組成物は操作性に富む。組織親和性および接続の強さの観点から、繊維は組成物粒子の内部を通り、複数の組成物粒子を接続していることがより好ましい。
粒子の大きさとしては、繊維で接続できる大きさであれば特に制限されるものではないが、例えば、上記短径が1mm以上5mm未満の顆粒が好ましい。
繊維の種類に限定はないが、焼成操作を用いる製造方法で製造される医療用組成物の場合には、組織親和性と焼却されないために炭素繊維である必要がある。また、焼成操作を行わない場合には、生体吸収性の繊維であることが好ましい。例えば、ポリグリコール酸ポリ乳酸ポリカプロラクトンなど、およびこれらの共重合体などが例示される。
該組成物においても、細孔が組織反応に重要な役割を示す。該細孔の容積は、水銀圧入法測定による該組成物の10μm以下の細孔容積として0.02cm3/gより大きいことが好ましく、0.05cm3/g以上であることがより好ましく、0.1cm3/g以上であることがさらに好ましい。

0027

本発明において、(D)〜(K)の群から選ばれる少なくとも一つを満足することは必須条件であるが、複数を満足することが好ましい。

0028

(医療炭酸カルシウム組成物の形状)
本発明の医療炭酸カルシウム組成物の形状は特に制限されない。緻密体、多孔体、ブロック体、顆粒、板状などの任意の形状でよいが、後述する特定の多孔体は特に好ましい。

0029

[I医療用炭酸カルシウム組成物:バテライト焼結体]
次に、[2]について説明する。
バテライトは反応性が高い炭酸カルシウムの多形の一つであるが、準安定相であり、低温安定相であるため、バテライトが焼結できるとは全く予想されておらず、バテライト焼結体はこれまでに見出されていない。しかしながら、後述するように、20質量%以上のバテライトを含む炭酸カルシウム粉末を圧粉し、かつ、焼成することによって医療用バテライト焼結体が製造できることがわかった。
本発明の医療用炭酸カルシウム組成物および該組成物を原料として製造される医療用組成物は体内など湿潤環境で使用される。焼結体は粉末が固まっている物体である。バテライト圧粉体に水をつけて擦ると粉末が遊離し、水に浸漬すると粉末が圧粉体から遊離して崩れ、形態を保てない。そのため、本発明において、医療用バテライト焼結体における焼結の有無は、該焼結体の水中における形態保持で判断する。ガラス容器に該組成物の10倍量の炭酸カルシウム飽和水を入れ、該組成物を浸漬する。28kHz出力75Wの超音波洗浄機にガラス容器を入れ、1分間超音波照射する。該組成物の乾燥重量が超音波照射前の乾燥重量に対して95%以上である場合に、該組成物は水中でも形態を保てると判断し、焼結体であると定義する。なお、超音波照射によって該組成物の一部が破損している場合には、最大体積の組成物の乾燥重量を用いる。

0030

[I医療用炭酸カルシウム組成物:特定の微細構造と組成]
次に、[3]について説明する。
(AJ1)〜(AJ4)の群から選ばれるいずれかの条件を満足する炭酸カルシウム粉末が結合して、炭酸カルシウム組成物を形成していることを特徴とする[1]又は[2]に記載の医療用炭酸カルシウム組成物は、圧縮強度と反応性の両者のバランスから好ましい。
平均粒径が大きいほど、連通気孔が形成され反応性が高くなるが、圧縮強度が小さくなる。また、圧縮強度を保ちながら連通気孔を形成するには、最密充填に近づけるため球形度が高い粒子が好ましい。
これらの観点から、平均粒径は2μm以上8μm以下が好ましく、3μm以上7μm以下がより好ましく、4μm以上6μm以下がさらに好ましい。球形度は0.9以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましく、0.97以上であることがさらに好ましい。なお、平均粒径および球形度は、炭酸カルシウム組成物の粒界で粒子を区分して測定、計算する。
また、炭酸カルシウム組成物が焼結しすぎると連通気孔を保てない。そのために、炭酸カルシウム粒子焼結性を制御できる微量元素が含有されていることが好ましい。この元素は生体親和性に影響を及ぼすものであってはならない。これらの観点から、MgとSrが選択され、Mg含有量は、5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下が好ましく、1×10−3質量%以上2.5×10−3質量%以下がより好ましく、1.5×10−3質量%以上2.5×10−3質量%以下がさらに好ましい。Sr含有量は、3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下が好ましく、4×10−3質量%以上1.3×10−2質量%以下がより好ましく、5×10−3質量%以上1×10−2質量%以下がさらに好ましい。
(AJ1)〜(AJ4)のいずれかの条件を満たすことが好ましいが、複数を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。

0031

[I:医療用炭酸カルシウム組成物:湾曲ハニカム構造体]
次に、[4]について説明する。
前記、(E)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物で、
「いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である。」は、医療用炭酸アパタイトハニカム構造体の形態に関わる特定の条件である。
骨には直柱状ではなく、湾曲した曲柱状の骨もある。そのような骨の再建術などでは曲柱形状の医療用炭酸カルシウムハニカム構造体が有用である。これは、医療用炭酸カルシウムハニカム構造体の貫通孔内部に骨が伝導されるためであり、直柱状のハニカム構造体を加工して曲柱状のハニカム構造体を製造しても、貫通孔が骨に接していないと貫通孔内部には骨が伝導されないためである。
また、骨表面に対して垂直方向に骨を造成する場合、ハニカム構造体の貫通孔が骨周囲の結合性組織に対しては開口せず、骨面に対してのみ開口していることが好ましい。該構造のハニカム構造体には、結合性組織が侵入できず、骨組織のみが伝導されるためである。該構造のハニカム構造体は、ハニカム構造体を湾曲させ、必要に応じて、一面のみに貫通孔が開口するように切断することによって製造できる。
骨面からの湾曲ハニカム構造体の立ち上がり部の角度を小さくしたい場合には、貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円が形成する面に対して平行でない方向に、さらにハニカム構造体を湾曲させることが有用である。
ハニカム構造体において、いずれか一つの貫通孔における貫通孔の両端、貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下であることが好ましい条件である。該円の直径が2cm以上20cm以下であることがより好ましく、該円の直径が3cm以上10cm以下であることがさらに好ましい。

0032

[II医療用炭酸カルシウムの製造方法]
次に、本発明の医療用炭酸カルシウム組成物の製造工程を説明する。
なお、原料カルシウム組成物は、造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維を含んでいてもよい。また、造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維はバテライト含有量の計算などから除外する。
造孔材は除去されて孔を形成する材料である。造孔材は、医療用炭酸カルシウム組成物の製造段階で除去される必要はなく、医療用炭酸カルシウム組成物を原料として他の医療用組成物を製造する段階で除去される材料でもよい。塩化ナトリウム、塩化カリウムリン酸水素二ナトリウムなどの塩、アクリルポリマービーズなどが例示されるが、除去工程の容易さの観点から水溶性無機材料が好ましい。
例えば塩化ナトリウムを造孔材として用い、水酸化カルシウムを原料カルシウム組成物として用いる場合、両者を混合してから圧粉し、二酸化炭素を付与して水酸化カルシウム圧粉体をバテライトに組成変換させる。水酸化カルシウムに二酸化炭素を付与しても、塩化ナトリウムは反応せず、また、除去されない。造孔材である塩化ナトリウムは医療用バテライトブロック中に存在しているが、例えば、該ブロックから医療用炭酸アパタイトブロックを製造するために、リン酸水素二ナトリウム水溶液に浸漬する工程で、バテライトが炭酸アパタイトに組成変換されると同時に造孔材は溶解する。その結果、医療用炭酸アパタイト多孔体が製造される。
繊維は、上述したように、組成物の操作性改善のために、組成物粒子を接続するために用いられる。繊維は医療用炭酸カルシウム顆粒など、あるいは該組成物を原料として製造する医療用リン酸カルシウム顆粒などの操作性を改善するために用いるため、該顆粒等の粒子内部に存在することが好ましい。

0033

[II医療用炭酸カルシウムの製造方法:(D)バテライト組成物]
まず、[5]について説明する。
準安定相であるバテライト組成物の製造には、安定相であるカルサイト形成を抑制することによって相対的に準安定相であるバテライト組成物を形成し、準安定相であるバテライトから安定相であるカルサイトへの転移を抑制する製造方法が有用である。有機物は安定相であるカルサイト形成を抑制し、相対的にバテライト形成を促進する。(無機物であるアンモニアおよびアンモニア塩もカルサイトへの転移抑制に有用であるが、簡単のため、有機物で説明する。)
水は、原料カルシウム組成物の炭酸化促進と、バテライトからカルサイトへの転移促進の両者に機能する。水が存在しないと原料カルシウム組成物はイオン化されない。また、有機物である有機溶媒への二酸化炭素の溶解度も限定であり、二酸化炭素が水に溶解して炭酸イオンを形成することもない。水が存在すると、原料カルシウムから形成されたカルシウムイオンと二酸化炭素から形成された炭酸イオンとが反応するため、水は炭酸カルシウムの形成反応を促進する。
原料カルシウム組成物に二酸化炭素が付与されると、原料カルシウム組成物の中に水が形成される。例えば、水酸化カルシウム圧粉体を二酸化炭素に暴露してバテライトを製造する工程においては、バテライトと同じモル数の水が水酸化カルシウム圧粉体の中に形成される。水は、バテライト形成に必要であるが、準安定相であるバテライトから安定相であるカルサイトへの相転移を促進するため、過剰な水はバテライト製造には好ましくない。水酸化カルシウム粉末を原料としたバテライト粉末の製造では、水は容易に周囲に拡散されるため、問題とならないが、本発明の対象は、「(A)体積が10−12m3以上である」医療用炭酸カルシウム組成物であり組成物の中から組成物の外への拡散が容易ではない。そのため、原料カルシウム組成物の中で形成された水を原料カルシウム組成物の外に排出させる工程が重要となる。
前記(A)〜(C)の全ての条件と、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物は、体積が10−12m3以上である原料カルシウム組成物(造孔材および複数の組成物粒子の間を接続している繊維を含んでいてもよい)を、特定条件で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露して製造される。
すなわち、「(D1)カルサイト形成あるいはカルサイト結晶の成長を抑制し、相対的にカルサイト以外の炭酸カルシウム形成を促進する」工程は、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法として有用である。
有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つはカルサイト形成あるいはカルサイト結晶の成長を抑制するため、「(D2)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する」工程は、好ましい。

0034

原料カルシウム組成物から、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の形成反応は、原料カルシウム組成物の内部でも進行する必要があるため、カルサイト形成あるいはカルサイト結晶の成長を抑制する前記物質は原料カルシウム組成物に添加することが好ましい場合がある。
すなわち、「(D3)有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、有機溶媒、水溶性有機物、アンモニア、およびアンモニウム塩の群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する」工程は、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法として好ましい場合がある。有機溶媒を含む原料カルシウム組成物はペーストとして扱うことが可能であるため、操作性の観点からも有用である場合がある。

0035

メタノール、エタノール、および炭酸アンモニウムは蒸発する物質であり、製造される医療用バテライト組成物から除去しやすい。また、グリセリン、エチレングリコール類は水溶性が高い物質であり、製造される医療用バテライト組成物から除去しやすい。ここでエチレングリコール類とはエチレングリコールおよびポリエチレングリコールをいう。
これらは、製造工程の簡便さとバテライト抑制効果のバランスの観点から好ましい物質である。すなわち、「(D4)原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコール類および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する」工程は、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法としてより好ましく、「(D5)メタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコール類および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つを含む原料カルシウム組成物を、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと、メタノール、エタノール、および炭酸アンモニウムの群から選ばれる少なくとも一つとに暴露する工程」はさらに好ましい。

0036

上述したように、準安定相であるバテライトは安定相であるカルサイトに転移する。そのため、「(D6)バテライトからカルサイトへの転移を抑制する工程」は、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物として有用である。上述したように、バテライトからカルサイトへの転移は水によって促進される。原料カルシウム組成物と二酸化炭素との反応で医療用バテライト組成物を製造する場合には、炭酸カルシウムと等モルの水が原料カルシウム組成物の内部に副生されため、「(D7)原料カルシウム組成物から水を除去する工程」は、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物として有用である。
原料カルシウム組成物の内に副生された水を除去するには、水を蒸発などで拡散して、原料カルシウム組成物の内部から外部に排出する必要がある。原料カルシウム組成物を炭酸化している最中に、水を除去するために減圧操作を行う工程なども可能であるが、「(D8)原料カルシウム組成物周囲に、有機溶媒を含む二酸化炭素あるいは炭酸イオンを流動させる工程」は、原料カルシウム組成物の内部の水が蒸発されやすくなり、かつ、連続して行うことが可能であるため有用である。原料カルシウム組成物周囲に、有機溶媒を含む二酸化炭素あるいは炭酸イオンを流動させる方法としては、ファンなどで有機溶媒を含む二酸化炭素あるいは炭酸イオンを原料カルシウム組成物に吹き付けたり、原料カルシウム組成物周囲で有機溶媒を含む二酸化炭素あるいは炭酸イオンを循環させたりすることが例示される。

0037

医療用バテライト組成物は、原料カルシウム組成物に、特定条件で二酸化炭素を付与して製造されるが、原料カルシウム組成物としては水酸カルシウムが好ましい。これは水以外の組成物が副生されないためである。一般的に水酸化カルシウム圧粉体が用いられるが、水酸化カルシウム圧粉体を有機溶媒などの液相に浸漬すると崩れて形態を保てない。そのため、気相で二酸化炭素を付与する必要がある。一方で、気相では液相に比較して均一反応が起こりにくい。そのため、(D1)〜(D8)の群から選ばれる少なくとも一つの条件で医療用バテライト組成物を製造する工程で、かつ、「(D9)原料カルシウム組成物を気相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露させて部分炭酸化を行い、その後で該原料カルシウム組成物を液相で二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程」は有用である。
水酸化カルシウム圧粉体などを90%エタノールなどの液相に浸漬すると崩れるが、水酸化カルシウムペーストなどを型にいれて液相に浸漬すれば崩壊しない。そのため、(D1)〜(D8)の群から選ばれる少なくとも一つの条件で医療用バテライト組成物を製造する工程で、かつ、「(D10)型にいれた原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する工程」は有用である。型の形状は特に限定されないが、二酸化炭素あるいは炭酸イオンと反応する必要があるため、少なくとも一部が開いており、外部の二酸化炭素あるいは炭酸イオンと反応できる型である必要がある。表面全体から反応が進むため、通気性材料で製造された型は、好ましい。型にいれた原料カルシウム組成物は液相に浸漬する必要はなく、気相で反応させる際にも所望の形態の医療用バテライト組成物の製造などの観点から有用である。

0038

水酸化カルシウム圧粉体や水酸化カルシウムペーストなどの原料カルシウム組成物に二酸化炭素あるいは炭酸イオンを暴露すると、医療用バテライト組成物が製造されるが、原料カルシウム組成物に塩化ナトリウムやリン酸二水素ナトリウムポリマービーズなどの造孔材や繊維が含まれていても、造孔材や繊維は反応しない。造孔材は多孔体製造に有用であり、繊維は操作性に優れる組成物の製造に有用である。例えば、(D1)〜(D8)の群から選ばれる少なくとも一つの条件で医療用バテライト組成物を製造する工程で、かつ、「(D11)造孔材を含む原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する」と、造孔材を含む、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物が製造できる。該造孔材を除去することによって、医療用炭酸カルシウム多孔体や医療用リン酸カルシウム多孔体などが製造できる。造孔材は原料炭酸カルシウムに混合すればよい。
また、(D1)〜(D8)の群から選ばれる少なくとも一つの条件で医療用バテライト組成物を製造する工程で、かつ、「(D12)繊維で接続された原料カルシウム組成物を二酸化炭素あるいは炭酸イオンに暴露する」と繊維で接続された顆粒などの、(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物が製造できる。上述したように、繊維で接続した医療用炭酸カルシウム組成物や医療用リン酸カルシウム組成物は操作性に優れる。

0039

(好ましい原料カルシウム組成物)
(D)の条件を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造工程において、原料カルシウム組成物は、カルシウムを含有する組成物であれば特に限定されないが、水酸化カルシウムと酸化カルシウムが特に好ましい。これは、上述したように、両者に炭酸あるいは炭酸イオンを暴露する工程において炭酸カルシウムが形成される際に、水以外の組成物が副生されないためである。

0040

(有機溶媒)
本発明でいう有機溶媒とは、有機物の溶媒であり含水有機溶媒を含む。有機溶媒としてはアルコールやケトンヘキサンなどが例示される。
カルサイト形成抑制能力コスト、含水能力、除去の容易さの観点からアルコールあるいはケトンが望ましく、低級アルコールあるいは低級アルキルケトンがより好ましく、炭素数1〜4の脂肪族アルコールあるいは総炭素数3〜6のジ低級アルキルケトンがさらに好ましい。
低級アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール等が例示される。メタノール、エタノールおよびプロパノールは好ましく、メタノールおよびエタノールはより好ましい。
低級アルキルケトンとしてはアセトンメチルエチルケトンジエチルケトンメチルイソブチルケトン等が例示され、特にアセトン、メチルエチルケトンは最適である。

0041

(水溶性有機物)
本発明でいう水溶性有機物とは、水に溶解する有機物であり、有機物の塩を含む。例えば、ノニオン界面活性剤リグニンスルホン酸塩サッカロース等の糖類、アルキルアミン塩型界面活性剤やグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールポリプロピレングリコールなどが例示される。
水溶性有機物は、医療用炭酸カルシウム組成物を製造した後に完全に除去する必要があり、蒸発する有機溶媒、アンモニア、塩化アンモニウムと比べて有用性は劣る場合が多いが、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールは、粘度と水に対する溶解度とが高いため、押出成形および製造物からの除去で有用な場合がある。

0042

(アンモニア、アンモニウム塩)
本発明でいうアンモニアとはNH3であり、アンモニア水NH4OHを含む。また、本発明でいうアンモニウム塩とはアンモニアの塩であり、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが例示される。
この中で、炭酸アンモニウムは炭酸化工程にも用いられるため、特に有用である。

0043

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:(D)バテライト焼結体]
次に、[6]について説明する。
上述したように、バテライトは準安定相であり、かつ、低温安定相として知られていたため、焼結できるとは考えられていなかった。しかしながら、「20質量%以上のバテライトを含む炭酸カルシウム粉末を圧粉し、かつ、焼成する」工程によって、20質量%以上のバテライトを含む医療用バテライト焼結体が製造できることがわかった。圧粉および焼成条件は特に限定されず、粉末が固まって焼結体が製造できる条件であればよいが、圧粉圧力としては100MPa以上であることが好ましく、130MPa以上であることがより好ましく、160MPa以上であることがさらに好ましい。焼成温度としては200℃以上が好ましく、220℃以上がより好ましく、240℃以上がさらに好ましい。20質量%以上のバテライトを含む炭酸カルシウム圧粉体を焼成すると焼結するが一定温度以上ではバテライトが分解してカルサイトとなる。この温度も環境に依存するため、特に限定されないが、大気焼成の場合、焼成温度は600℃以下が好ましく、550℃以下がより好ましく500℃以下がさらに好ましい。なお、上述したように準安定相であるバテライトの安定相であるカルサイトへの相転移は水分によって促進される。そのため、水分を含まない焼成条件が好ましく、二酸化炭素雰囲気分解抑制の観点からもより好ましい。したがって、水分を含まない二酸化炭素雰囲気はさらに好ましい。

0044

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:(E)炭酸アパタイトハニカム構造体]
次に、[7]について説明する。
医療用炭酸カルシウムハニカム構造体は「(E1)押出工程」と、(E5)〜(E9)の群から選ばれる一つの「脱脂炭酸化工程」を必須工程とし、必要に応じて(E2)〜(E4)、(E10)の群から選ばれる工程を行い製造する。
<(E1)押出工程>
押出工程においては 押出工程においては、高分子材料含有原料カルシウム組成物を、ハニカム構造形成用型を通して押出し、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、一方向に延びる複数の貫通孔を備えた原料ハニカム構造体を製造する。
高分子材料としては公知の高分子材料が使用される。なお、粉末を結合させるという意味で高分子材料を高分子バインダーあるいは有機バインダーと呼ぶこともあるが、本発明においては同じ意味である。
高分子材料としては、ワックス−アクリル樹脂系(単にワックス系とも言う)の有機バインダーである高分子材料が好ましい。これは他の成形方法と異なり、ハニカム構造体の成形においては押出時における流動性と押出後における硬化性が必要であるためと考えられる。
<(E2)押出工程後の成形工程>
必須工程である(E1)の後に成形工程を行うことが有用である場合もある。
本工程においては、高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を、熱処理で軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する。軟化させる温度は高分子材料の種類などによって調整するが、一般的には50℃以上200℃以下である。
所望の形態に成形することによって、「(E3)外周側壁除去工程」が容易になる。なお、押出工程後とは、高分子材料含有原料カルシウム組成物がハニカム構造形成用型を通過した後のことであり、高分子材料含有原料カルシウム組成物を押出しながら、高分子材料含有原料カルシウム組成物がハニカム構造形成用型を通過直後に成形を行う場合も押出工程の後と定義する。
また、貫通孔の両端、貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下であるハニカム構造体を製造する場合にはこの段階で該形状に成形することが好ましい。
「(E3)外周側壁除去工程」においては、(E1)あるいは(E2)の後で、かつ、(E5)〜(E9)の群から選ばれる一つの「脱脂炭酸化工程」の前に外周側壁を除去する。
「(E4)外周側壁除去工程後の成形工程」においては、高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体を熱処理で軟化させてから圧力を負荷して、所望の形状に成形する。軟化温度は高分子材料の種類などによって調整するが、一般的には50℃以上200℃以下である。

0045

必須工程である(E1)および選択工程である(E2)〜(E4)の次に「脱脂炭酸化工程」を行う。ここで「脱脂炭酸化工程」とは脱脂および炭酸カルシウムを形成あるいは保持する工程を意味し、原料カルシウム組成物が炭酸カルシウムである場合には二酸化炭素を付与する必要がないが、本発明においては、原料として炭酸カルシウムを用いる場合でも脱脂炭酸化工程と定義する。また、同時に焼結工程を行う場合も「脱脂炭酸化工程」に含める。
脱脂とは、高分子材料を除去する工程であり、一般的には熱処理によって行う。アルミナやコージェライトハニカム構造体を調製する場合は、これらのセラミックスが熱分解されないため、脱脂は比較的容易であるが、本発明の反応性の高い医療用炭酸カルシウム組成物の製造においては、脱脂が極めて困難である。これは炭酸カルシウムあるいは炭酸カルシウム製造の原料が高温では熱分解されたり、反応性に劣る炭酸カルシウムとなったりするためである。そのため、特定条件で脱脂を行い、高分子材料あるいはその熱分解生成物である酸溶解残留物を1質量%以下とする必要がある。脱脂工程後に酸溶解残留物を1質量%以下とすることは必須条件であり、0.5質量%以下とすることが好ましく、0.3質量%以下とすることがより好ましく、0.1質量%以下とすることがさらに好ましく、実質的に0質量%とすることが理想的である。
組成、気孔率、粒径、雰囲気、温度、脱脂時間、昇温速度などの様々な条件が脱脂に影響を及ぼす。脱脂の指標は、脱脂後における炭酸カルシウム組成物の酸溶解残留物であり、色調等では評価できない。
なお、上述したように、脱脂と同時に、あるいは脱脂の後で炭酸化を行う必要がある場合もある。
脱脂炭酸化工程は、下記(E5)〜(E9)の群から選ばれる少なくとも一つの工程を含む工程である。なお、水銀圧入法による細孔分布測定において、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きくなるように脱脂炭酸化する。細孔容積は脱脂温度が高いと小さくなるため、細孔容積が0.02cm3/g以下であった場合には、脱脂温度を低くすることによって細孔容積を大きくすることができる。
<(E5)脱脂炭酸カルシウム焼結工程>について
特許文献11に記載されているように、炭酸カルシウムハニカム構造体の製造に関して、炭酸カルシウムは焼結性に乏しく、高温においては熱分解されるため原料としては不適であり、水酸化カルシウムを用いた方法が有用であると考えられていた。すなわち、比較的多量の高分子材料が必要であるハニカム構造体の製造において、高分子材料含有カルシウム組成物ハニカム構造体から医療用炭酸カルシウムハニカム構造体を製造する場合には、粉末間に圧力を負荷できないため、セラミックス圧粉体の焼結に比較して高温が必要とされる。しかしながら、炭酸カルシウムは高温において熱分解される。さらに、炭酸カルシウムは焼結性に乏しいため高分子材料含有炭酸カルシウム粉末を用いて製造した高分子材料含有炭酸カルシウムハニカム構造体を焼結して焼結するのは不可能であると考えられていた。
しかしながら、驚くべきことに特定条件では、高分子材料含有炭酸カルシウムが、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂でき、炭酸カルシウムが焼結され機械的強度が大きい医療用炭酸カルシウム多孔体が製造されることがわかった。
高分子材料含有炭酸カルシウムハニカム構造体から機械的強度に優れる医療用炭酸カルシウムハニカム構造体を製造するために必須な条件は、以下に記載する特定条件で加熱脱脂し、酸溶解残留物を1質量%以下となるようにすることであるが、現時点でその詳細な理由は、十分には解明されていない。
炭酸カルシウムは約500℃までは熱分解されにくい。そのため、約500℃までは雰囲気を制御する必要がなく、大気中で加熱してもよい。大気中では、約500を超える温度で熱分解され始め、経時的に酸化カルシウムとなるが、二酸化炭素雰囲気では920℃まで安定である。したがって、約500℃を超える温度で加熱脱脂する場合には二酸化炭素分圧を上げて炭酸カルシウムが熱分解されない条件で加熱脱脂する必要がある。炭酸カルシウムの焼結温度は、後述するように粉末のサイズなどで変動する。また、反応性の高い炭酸カルシウムハニカムを製造する場合、水銀圧入法による細孔分布測定において、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きくなるように脱脂炭酸化する必要がある。なお、コスト等の関係から一般的には大気中での加熱脱脂が望ましいが、炭酸カルシウムの分解抑制の観点からは、空気中の二酸化炭素濃度より高い二酸化炭素濃度で加熱脱脂することが好ましい。
上述したように、本発明において焼結の有無は、水に浸漬して超音波照射する条件で崩れず形態を保てるか否かで判断する。
<(E6)脱脂炭酸化工程>について
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体を、酸溶解残留物が1質量%以下となるように酸素濃度が30%未満で加熱脱脂し、同時に、炭酸化する工程、では、高分子材料含有水酸化カルシウムを加熱によって脱脂し、同時に炭酸化する。ここで同時にとは、一工程の中で同時であることを意味し、実際には加熱によって脱脂が先に行われる。高分子材料の脱脂と同時に炭酸化する場合には加熱脱脂温度と加熱脱脂雰囲気の制御、加熱脱脂時間が重要である。これは、二酸化炭素分圧が低い条件では水酸化カルシウムが約345℃から熱分解されて酸化カルシウムとなるためである。当該温度までは二酸化炭素分圧を増加させる必要がないが、工程中に二酸化炭素分圧を変動させるのは煩雑であるため、当初から二酸化炭素分圧を増加させておくことが好ましい。
特許文献12に記載されているように脱脂に関しては高分子材料を焼却させる必要があると考えられていたが、鋭意検討した結果、焼却は脱脂の一方法であり、焼却させなくとも開重合や蒸発などで脱脂できることがわかった。また、高分子材料を焼却させると不完全燃焼起り、酸溶解残留物である炭素が残存する場合があることがわかった。
そのため、驚くべきことに、高分子材料が焼却されない条件で脱脂する方が好ましい場合があることがわかった。高分子材料の開重合や蒸発などの焼却以外方法で脱脂するために、酸素濃度は酸素の体積%として30%未満である必要がある。酸素濃度としては15%未満が好ましく、10%未満がより好ましく、酸素が存在しない状況、すなわち実質的に酸素濃度が0%であることがさらに好ましい。
なお、高分子材料含有水酸化カルシウムと高分子材料含有炭酸カルシウムの脱脂挙動は異なる。高分子材料含有炭酸カルシウムを加熱脱脂する場合には酸素が存在しても酸溶解残留物が残存されにくい。一方、高分子材料含有水酸化カルシウムは酸素が存在すると酸溶解残留物が残存されやすい。この原因は十分に解明されていないが、水酸化カルシウムと高分子材料の反応性に起因すると考えられる。すなわち、炭酸カルシウムは高分子材料との反応性が限定的であるため、高分子材料は開重合や蒸発などで脱脂されやすい。一方、水酸化カルシウムは高分子材料との反応性が比較的高いため、水酸化カルシウムが高分子材料と相互作用あるいは反応すると考えられる。水酸化カルシウムと相互作用あるいは反応した高分子材料は開重合や蒸発などで脱脂されやすいと考えられる。
水酸化カルシウムの熱分解を防ぎ、かつ脱脂炭酸化を行うため、二酸化炭素が50体積%以上、酸素が30体積%未満で、600℃以上800℃以下で脱脂炭酸化を行うことが好ましい。
本発明の必須条件の一つは、高分子材料を完全に脱脂することであり、二酸化炭素が50体積%以上、酸素が30体積%未満で、600℃以上800℃以下で脱脂炭酸化を行っても、完全に脱脂できていない場合には本発明に含まれない製造方法となる。また、ハニカム構造体の場合、水銀圧入法による細孔分布測定において、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きくなるように脱脂炭酸化することが必須である。適宜、熱処理温度熱処理雰囲気、熱処理時間を検討し、高分子材料が完全に脱脂できる条件で熱処理を行う。
<(E7)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程について>
上述の「(E6)脱脂炭酸化工程」では、比較的簡便に高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体からカルサイト多孔体が製造できるが、600℃以上800℃以下でカルサイトを形成させるため、製造できるカルサイト多孔体の反応性が乏しい場合が多い。この原因は十分に解明されていないが、一般的に600℃以上800℃以下の熱処理が必要となり、反応性の低いカルサイトが形成されるためであると考えられる。
この観点から、高温で脱脂工程を行い、温度を下げてからカルサイトあるいはバテライトを形成させればよい。
高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体からカルサイトを形成させずに加熱脱脂すると水酸化カルシウムは熱分解して酸化カルシウムとなる。高温処理であるため完全に脱脂を行える長所がある。熱処理温度が高くなると酸化カルシウム多孔体が緻密になったり、結晶化度が高くなったりして、結晶化度の低い炭酸カルシウムが製造できない。そのため、酸化カルシウムを製造する熱処理温度は700℃〜1000℃が好ましく、750℃〜950℃がより好ましく、800℃〜900℃がさらに好ましい。
高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体も加熱脱脂すると、炭酸カルシウムは熱分解して酸化カルシウムとなる。炭酸カルシウムは水酸化カルシウムと比較して反応性が低いため、低い温度で加熱脱脂ができる。高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体から酸化カルシウムを製造する熱処理温度は500℃〜1000℃が好ましく、530℃〜800℃がより好ましく、550℃〜650℃がさらに好ましい。
脱脂を行った後で、温度を下げてから酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与し、カルサイト多孔体、あるいはバテライト多孔体を製造する。酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与する温度が低いほど反応性の高いカルサイト多孔体が製造できるが二酸化炭素の付与に時間がかかる。両者のバランスから酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与する温度としては300℃〜500℃が好ましく、310℃〜400℃がより好ましく、320℃〜380℃がさらに好ましい。酸化カルシウム多孔体からバテライト多孔体を製造する場合には、前述した(D1)〜(D12)などの方法で酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与する。
<(E8)炭酸カルシウム酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程について>
前記「(E7)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程」では比較的反応性の高いカルサイト多孔体、あるいは反応性が極めて高いバテライト多孔体が製造できるが、高分子材料含有水酸化カルシウム多孔体から直接酸化カルシウム多孔体を形成させる場合に比較して、高分子材料含有水酸化カルシウムを、二酸化炭素存在下で熱処理して高分子材料含有炭酸カルシウム多孔体とし、その後に、加熱脱脂して酸化カルシム多孔体とし、温度を下げてから酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与し、カルサイト多孔体あるいはバテライト多孔体を製造するとより機械的強度が大きい炭酸カルシウム多孔体が製造できたり、ひび割れした炭酸カルシウム多孔体ができにくくなったりする。この原因は十分に解明されていないが、水酸化カルシウムに二酸化炭素が付与されることによって機械的強度に劣る水酸化カルシウム多孔体として加熱される時間を減らすことができるためであると考えられる。なお、「(E7)酸化カルシウム経由脱脂炭酸化工程」と同じく、酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与する温度としては300℃〜500℃が好ましく、310℃〜400℃がより好ましく、320℃〜380℃がさらに好ましい。
<(E9)硫酸カルシウム脱脂炭酸化工程について>
前記、炭酸カルシウムあるいは水酸化カルシウムを用いる場合に比較して、硫酸カルシウムを用いる場合にはミクロ気孔が多いカルサイト多孔体を製造できる。この原因は十分に解明されていないが、硫酸カルシウムの結晶構造が粗であることが原因の一つであると推測される。
高分子材料含有硫酸カルシウムを、酸溶解残留物が1質量%以下となるように加熱脱脂し、その後、製造された硫酸カルシウム多孔体に二酸化炭素あるいは炭酸イオンを付与して炭酸カルシウムとする脱脂炭酸化工程、では、硫酸カルシウムを原料カルシウム組成物として用いる。まず、高分子材料含有硫酸カルシウム多孔体を700℃以上で酸溶解残留物が1質量%以下となるように熱処理によって脱脂する工程を行う。次に、製造された硫酸カルシウム多孔体に炭酸イオンを付与して医療用炭酸カルシウム多孔体を製造する。
硫酸カルシウムは比較的高温でも安定である。700℃以上での脱脂は必須条件であるが、最終熱処理温度は750℃〜1100℃が好ましく、800℃〜1000℃がより好ましく、850℃〜950℃がさらに好ましい。
<(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程>
(E5)〜(E9)に記載のいずれか一つの脱脂炭酸化工程の後で、「(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程」を行う。形状仕上げ工程では、外周側壁除去などの形状の仕上げを行う。

0046

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:(E)特定の炭酸カルシウムハニカム構造体]
次に、[8]について説明する。
前記(E)を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法であって、下記(E11)〜(E14)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法は有用である。
(E11)は、前記「(E1)押出工程」で、ハニカム構造体の外周側壁の厚さが隔壁の厚さより厚く、かつ、貫通孔に垂直な面の断面積が1cm2以上であるように押出す工程である。
これは、貫通孔に垂直な面の断面積が1cm2以上となると、押出時の形態保持などから外周側壁の厚さがハニカム構造体の壁厚より厚くなるように押出した方が形態保持しやすいためである。
一方、外周側壁の厚さがハニカム構造体の壁厚より厚く、かつ、貫通孔に垂直な面の断面積が1cm2以上である高分子材料含有原料カルシウム組成物ハニカム構造体の脱脂炭酸化工程では、外周側壁と隔壁の収縮差異によって外周側壁と隔壁の間やハニカム構造体内部にクラックが形成されやすい。そのため、前記(E5)〜(E9)の群から選ばれる一つの脱脂炭酸化工程の前に、「(E3)外周側壁除去工程」を行うことが好ましい。
貫通孔に垂直な面の断面積が1cm2未満の場合は、押出時の形態保持の問題が限定的となる。外周側壁の厚さがハニカム構造体の隔壁の厚さと同じ、あるいは小さい場合には収縮率が同じである、あるいは小さいため、「(E3)外周側壁除去工程」の必要性が限定的である。また、貫通孔に垂直な面の断面積が1cm2未満である場合には収縮率が異なっていても収縮量の差が限定的であるためクラックが発生しにくい。したがって、「(E3)外周側壁除去工程」の必要性は限定的である。
(E12)は、前記「(E1)押出工程」、「(E2)押出工程後の成形工程」、「(E4)外周側壁除去工程後の成形工程」、「(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程」の群から選ばれる少なくとも一つの工程において、熱的に軟化した高分子材料含有原料カルシウム組成物を組成とするハニカム構造体に圧力を負荷して、貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下になるように湾曲成形する製造方法である。
軟化温度は高分子材料の種類などによって調整するが、一般的には50℃以上200℃以下である。
(E13)は、前記「(E3)外周側壁除去工程」は研削で行い、前記「(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程」は研磨で行う製造方法であり、外形形態に優れる医療用炭酸カルシウムハニカムの製造方法として有用である。
高分子材料含有原料カルシウム組成物からなる原料ハニカム構造体の外周側壁除去に特有現象であると考えられが、該原料ハニカム構造体の外周側壁を、ダイヤモンドポイントなどを用いて研磨による削除を試みると、外周側壁は削除されるが、新たな外周側壁が形成される。これは、研磨工程による発熱で外周側壁が軟化されることに起因すると考えられる。一方、研削工程による発熱は、研磨工程と比較して限定的である。したがって、外周側壁除去工程はカンナやなどの研削で行うことが好ましい。
該原料ハニカム構造体を脱脂し、炭酸化して製造された炭酸カルシウムハニカム構造体を研削によってよって外周側壁仕上げ除去工程を行うと、チッピングが起こる。そのため、外周側壁除去仕上げ工程は研削ではなく、ダイヤモンドポイントなどを用いた研磨で行うことが好ましい。
(E14)は、前記「(E1)押出工程」の原料カルシウム組成物が硫酸カルシウム無水物である製造方法である。
これまでに、硫酸カルシウムハニカム構造体は製造されていない。原料ハニカム構造体形成工程における押出工程では、原料カルシウム組成物と高分子材料の混合物を加熱する。硫酸カルシウムには無水物、半水物、二水物があるが、含水硫酸カルシウムを原料カルシウム組成物として用いる場合、水分が蒸発して高分子材料含有硫酸カルシウムからなる原料ハニカム構造体が膨れてハニカム構造がいびつになる。そのため、硫酸カルシウムとしては硫酸カルシウム無水物を用いることが必須である。

0047

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:(F)酸化カルシウム顆粒の膨張]
次に、[9]、すなわち、原料として酸化カルシウム顆粒を用いて、前記(F)を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造工程について説明する。
顆粒を、空隙を残して結合させるには、顆粒に何らかの結合能力を付与する必要がある。顆粒に何らかの結合能力を付与する方法としては、高分子材料を使用する場合と使用しない場合に区分される。まず、高分子材料を使用しない製造方法について説明する。高分子材料を用いない場合、原料カルシウム組成物の結合を利用する必要があり、酸化カルシウムの水和などによる膨張、および硫酸カルシウムの硬化反応が有用である。まず、原料として酸化カルシウム顆粒を用いる製造方法を説明する。
酸化カルシウムは水や酢酸などを付与すると、膨張して水酸化カルシウムや酢酸カルシウムとなるため、当該反応を利用して顆粒同士を結合させ、炭酸化させる。この製造方法では、下記(F1)と(F2)とを含み、かつ、(F3)と(F4)との少なくとも一つを含むことが必要条件である。
<(F1)導入閉鎖工程>について
本工程では、酸化カルシウム顆粒を反応容器に入れ、顆粒が反応容器から排出されないように、反応容器の開口部を閉鎖する。これは反応容器内の顆粒同士を均一に結合させたり、顆粒間に圧縮応力を付加させたりする目的で行う工程である。閉鎖工程を行わないと顆粒同士が均一に結合しないため、医療用多孔体としては好ましくない。均一な多孔体構造を形成させるために、反応容器の開口部を閉鎖することは必須であり、開口部を閉鎖しない導入工程は本発明に含まれない発明である。なお、顆粒が反応容器から排出されるか否かが閉鎖の有無の判断基準であり、顆粒が反応容器から排出されないような開口部の開口は実質的に閉鎖していると定義する。また、メッシュ状の反応容器であっても、顆粒が反応容器から排出されないように閉鎖する場合には導入閉鎖工程を行ったと定義する。
<(F2)多孔体形成工程>について
導入閉鎖工程の後で、反応容器内部の、酸化カルシウム顆粒に水あるいは酢酸を付与する工程である。酸化カルシウム顆粒は、水あるいは酢酸との反応によって水酸化カルシウムあるいは酢酸カルシウムとなるとともに膨張する。導入閉鎖工程によって反応容器の開口部は閉鎖されているため、顆粒同士の接触度合が高くなり、均一な気孔構造を有する水酸化カルシウム多孔体あるいは酢酸カルシウム多孔体が形成される。また、酸化カルシウム顆粒が膨張するため、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上となる。
<(F3)炭酸化工程>について
水酸化カルシウム多孔体を製造した場合は、次に、水酸化カルシウム多孔体形成工程と同時に、あるいは、水酸化カルシウム多孔体形成工程の後に、水酸化カルシウム多孔体に二酸化炭素を付与する。水酸化カルシウム多孔体が炭酸化され、炭酸カルシウム多孔体となる。
一方、酢酸カルシウム多孔体を製造した場合は、酢酸カルシウム多孔体形成を熱処理する。酢酸カルシウムが熱分解されて炭酸カルシウム多孔体となる。熱処理は酢酸カルシウムの分解温度である400℃以上で行う。
<(F4)酸化カルシウム炭酸化工程>について
前記(F1)〜(F3)の全てを含む製造工程でも医療用炭酸カルシウム多孔体が製造できる。しかしながら、該多孔体の圧縮強度は小さい場合がある。圧縮強度を増大させるには、水酸化カルシウム多孔体、炭酸カルシウム多孔体あるいは酢酸カルシウム多孔体を熱処理して酸化カルシウム多孔体を製造し、該酸化カルシウムを二酸化炭素に暴露して炭酸カルシウム多孔体を製造する工程が有用である。

0048

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:(F)硫酸カルシウム顆粒の硬化反応]
次に、[10]について説明する。
適切なサイズの硫酸カルシウム顆粒同士を硬化させることによっても、前記(F)を満足する医療用炭酸カルシウム組成物を製造することができる。
すなわち、硫酸カルシウム顆粒と炭酸イオンを含む水との硬化反応、あるいは、硫酸カルシウム半水和物顆粒あるいは硫酸カルシウム無水和物顆粒と水との硬化反応によって多孔体を製造することが可能である。前者の場合は、直接炭酸カルシウム多孔体が製造される。後者の場合は、硫酸カルシウム二水和物多孔体が製造されるため、炭酸化工程によって該多孔体を硫酸カルシウム二水和物から炭酸カルシウムに組成変換させる。すなわち、前者は、下記(F5)および(F6)の工程を含む製造方法であり、後者は、下記(F5)、(F7)および(F9)の工程を含み、(F8)の工程を選択工程とする製造方法である。これらによって、前記(F)を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法が提供できる。
<(F5)導入工程>について
本工程では、硫酸カルシウム顆粒を反応容器に入れる。
<(F6)多孔体形成炭酸化工程>について
反応容器に入れた硫酸カルシウム顆粒と炭酸イオンを反応させる工程である。
例えば、反応容器に入れた硫酸カルシウム顆粒を炭酸ナトリウム水溶液に浸漬すればよい。本工程で、硫酸カルシウム顆粒はマクロ形態を保ったまま炭酸カルシウムに組成変換される。同時に、形成される炭酸カルシウム結晶の橋架けで顆粒同士が硬化し、顆粒結合多孔体が形成される。
<(F7)多孔体形成工程>について
硫酸カルシウム顆粒の組成が、硫酸カルシウム半水和物あるいは硫酸カルシウム無水和物である場合は、反応容器に入れた顆粒に水を付与すれば、顆粒はマクロ形態を保ったまま炭酸カルシウムに組成変換される。同時に、形成される炭酸カルシウム結晶の橋架けで顆粒同士が硬化し、顆粒結合多孔体が形成される。
<(F8)熱処理工程>について
本工程は、「(F7)多孔体形成工程」で製造された硫酸カルシウム二水和物多孔体を必要に応じて熱処理して、脱水し、硫酸カルシウム無水和物多孔体とする工程である。熱処理工程によって圧縮強度が大きい医療用炭酸カルシウム多孔体が製造できる。
<(F9)炭酸化工程>について
本工程では、硫酸カルシウム二水和物多孔体あるいは硫酸カルシウム無水和物多孔体を、炭酸イオンを含む水に暴露する。硫酸カルシウム二水和物多孔体あるいは硫酸カルシウム無水和物多孔体はマクロ形態を維持したまま組成が炭酸カルシウムに変換され、医療用炭酸カルシウム多孔体が製造される。
(F5)又は(F9)工程によって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上となる。

0049

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:(F)高分子を用いる工程]
次に、[11]、すなわち、高分子材料を用いる、前記(F)を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法について説明する。
原料カルシウム組成物と高分子材料の混合物である高分子材料含有原料カルシウム組成物を用いると、高分子材料によって該混合物顆粒を結合させることができる。一方で、高分子材料を用いるため、前記したように、本発明の医療用炭酸カルシウム組成物を製造するには、脱脂によって高分子材料を除去する必要がある。特定条件で脱脂を行い、高分子材料あるいはその熱分解生成物である酸溶解残留物を1質量%以下とする必要があることも医療用炭酸カルシウムハニカム構造体の場合と同じである。
下記(F10)および(F11)と、前記(E5)〜(E9)の群から選ばれる一つを必須工程とし、前記(E10)を選択工程とすることによって、前記(F)を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法が提供できる。
<(F10)導入工程>について
体積が10−12m3以上の高分子材料含有原料カルシウム組成物顆粒を、反応容器に入れる工程である。
<(F11)多孔体形成工程>について
本工程においては、反応容器内部の該顆粒を、熱処理することにより表面同士を熱的に軟化させて融着させる工程、該顆粒の表面を溶解することにより該顆粒の表面同士を結合させる工程、可塑剤により該顆粒の表面同士を融合させる工程、のいずれかで、体積が3×10−11m3以上であり、かつ、最大径長さが50μm以上500μm以下の複数の顆粒が結合して形成される、複数方向に延びる複数の貫通孔を備えた顆粒結合多孔体であって、水銀圧入法測定による該顆粒結合多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である顆粒結合多孔体を製造する。
熱処理することにより表面同士を熱的に軟化させて融着させる工程においては、該顆粒を加熱する。熱可塑性高分子の場合、顆粒が軟化し、顆粒の自重あるいは反応容器からの圧縮応力によって軟化した顆粒を融着させる。
顆粒の表面を溶解することにより該顆粒の表面同士を結合させる工程においては、アセトンやジメチルスルホキシドなどの溶媒などで顆粒の表面を溶解させ、顆粒同士を結合させる。
可塑剤により該顆粒の表面同士を融合させる工程においては、高分子材料含有原料カルシウム組成物顆粒内部に可塑剤を添加しておき、顆粒同士を接触させることによって顆粒同士を融合させる方法や、顆粒の表面に可塑剤を付与し、顆粒表面を軟化させ、顆粒同士を融合させる方法が例示される。

0050

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:(G)気孔集積多孔体]
次に、[12]、すなわち、前記(G)を満足する医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法を説明する。
該製造方法は、下記(G1)と、(D1)〜(D10)および(E5)〜(E9)の群から選ばれる一つとを必須工程とし、下記(G2)および(G3)および前記(E10)を選択工程とする製造方法である。
<(G1)混合工程>について
「(G1)混合工程」は、原料カルシウム組成物粉末あるいは原料カルシウム組成物ペーストと造孔材を混合する工程である。原料カルシウムが水酸化カルシウム、炭酸カルシウムや硫酸カルシウムなど水に対する溶解度が限定的である場合には炭酸カルシウムペーストの方が流動性を確保できて好ましい。一方、酢酸カルシウムなど水溶性カルシウム化合物の場合は粉末のまま混合することが好ましい。原料カルシウム組成物として、特に制限はないが、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムが好ましく、特に水酸化カルシウムと炭酸カルシウムとが好ましい。
造孔材としては、上述したように、特段の制限はないが、塩化ナトリウムやリン酸二水素ナトリウム、ポリマービーズなどが例示される。造孔材によって気孔径が制御されるため、最大径長さが800μm以上の造孔材を含まないことが必要条件である。また、最大径長さは50μm以上400μm以下の造孔材が好ましい。
<(G2)圧粉工程>について
「(G2)圧粉工程」は、原料カルシウム組成物粉末あるいは原料カルシウム組成物ペーストと造孔材の混合物を圧粉する工程である。圧粉方法としては手圧を含む一軸加圧静水圧加圧などの公知の圧粉方法を制限なく用いることができる。原料カルシウム組成物ペーストを用いる場合には必要に応じて、本工程の後に乾燥を行う。原料カルシウム組成物ペーストと造孔材を混合する工程において、一定の圧力が負荷され、圧粉工程が不要となる場合があるため、本工程は選択工程である。
<(G3)造孔材除去工程>について
「(G3)造孔材除去工程」は、造孔材を溶媒に溶解させて除去する造孔材除去工程する工程である。医療用炭酸カルシウム組成物を原料として医療用リン酸カルシウム多孔体などを製造する場合には、医療用炭酸カルシウム組成物をリン酸水素二ナトリウムに浸漬するなどの工程によって造孔材は除去されるため、医療用炭酸カルシウム組成物の製造段階では、必ずしも造孔材を除去する必要がない。したがって、(G3)は選択工程である。
本製造方法においては高分子材料を造孔材として用いる場合がある。その際は、高分子材料を用いる炭酸アパタイトハニカム構造体における「(E10)脱脂炭酸化工程の後で行う形状仕上げ工程」が有用となる場合がある。したがって、(E10)も選択工程である。
なお、(G)の条件を満たすためには、水銀圧入法測定による該気孔集積型多孔体の10μm以下の細孔容積が0.05cm3/g以上である必要がある。該細孔容積は、(G1)の混合工程における原料カルシウム組成物粉末と溶媒との混合比、および(G2)の圧粉工程における圧粉圧力によって調整する。

0051

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:脱脂条件
次に、[13]について説明する。
高分子材料を用いる医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法においては、用いた高分子材料を除去する必要がある。この工程を脱脂といい、具体的には高分子材料の解重合、蒸発などで高分子材料を除去する。本発明において、医療用炭酸カルシウムハニカム構造体などを製造する場合、高分子材料の脱脂によって高分子材料含有カルシウム組成物中のカルシウム組成物粉末間の距離が長くなるため、高分子材料の脱脂速度を調整してカルシウム組成物粉末間の距離が長くならないように調整することが好ましい。なお、脱脂温度が200℃未満の場合には比較的多くの高分子材料が残存しており、流動性が高いため、比較的カルシウム組成物粉末間の距離が長くならない。
そのため、200℃以上の脱脂工程において高分子材料含有カルシウム組成物の高分子材料の質量減少が毎分1質量%より小さくすることが好ましい。しかしながら、高分子材料含有カルシウム組成物の質量減少を毎分1質量%より小さくする温度は150℃以上とすることが好ましく、100℃以上とすることがより好ましく、50℃以上とすることがさらに好ましい。
該高分子材料の減少は毎分0.9質量%より小さいことがより好ましく、毎分0.8質量%より小さいことがさらに好ましい。
なお、高分子材料の減少速度温度上昇に対して一定ではなく、特定の温度で急激に起こる。例えば、アクリル樹脂の解重合は250℃で急激に起こる。そのため、熱質量測定によって該脱脂条件を最適化できる。基本的には熱質量測定において質量減少の微分値に応じて加熱速度を調整すればよいが、急激な質量減少が始まる温度より約20度低い温度で一定時間保持してもよい。

0052

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:特定の製造方法]
次に、[14]について説明する。
医療用炭酸カルシウム組成物の製造工程において、二酸化炭素および酸素の制御が好ましい場合がある。
「(L)30KPa以上の酸素分圧で脱脂を行う工程」は、脱脂工程で好ましい場合がある。高分子材料は熱処理によって解重合、蒸発、熱分解、焼却によって脱脂されるが酸素分圧が高い方が脱脂されやすくなる場合があり、酸溶解残留物が少なくなるため好ましい場合がある。空気中の酸素分圧は約20KPaであるが、30KPa以上であることが好ましく、60KPa以上であることがより好ましく、90KPa以上であることがさらに好ましい。
「(M)30KPa以上の二酸化炭素分圧で脱脂あるいは炭酸化を行う工程」は、脱脂あるいは炭酸化工程でが好ましい場合がある。これは、原料カルシウム組成物の炭酸化に二酸化炭素が必要であることと、脱脂が高分子材料の焼却を必要とせず高分子材料の解重合、蒸発、熱分解だけで脱脂によって酸分解残留物が1質量%以下になる場合があるためである。また、炭酸カルシウムは二酸化炭素分圧が0KPaである場合は340℃付近から酸化カルシウムに熱分解される。そのため、一定以上の二酸化炭素分圧で脱脂あるいは脱脂炭酸化を行う工程が好ましい場合がある。大気中の二酸化炭素量は限定的であり、効率的に炭酸化を行うためには炭酸化工程において30KPa以上の二酸化炭素分圧が好ましく、60KPa以上であることがより好ましく、90KPa以上であることがさらに好ましい。また、純粋な二酸化炭素環境と同等の環境、すなわち二酸化炭素分圧が101.3KPaで脱脂することが好ましい場合がある。
「(N)酸素あるいは二酸化炭素を含む150KPa以上の気体で脱脂あるいは炭酸化を行う工程」は、脱脂工程および炭酸化工程で好ましい場合がある。
医療用炭酸カルシウム組成物の製造工程においては、脱脂あるいは炭酸化を行う場合がある。例えば、二酸化炭素をフローさせるなど、原料カルシウム組成物に二酸化炭素を暴露すれば原料カルシウム組成物は炭酸化され医療用炭酸カルシウム組成物が製造されるが、二酸化炭素をフローさせる場合にはほとんどの二酸化炭素が製造には用いられず破棄される。また、原料カルシウム組成物多孔体や原料カルシウム組成物圧粉体を炭酸化する場合には多孔体内部や圧粉体内部に二酸化炭素が導入されにくいという問題もある。
このような場合には実質的な閉鎖系とし、閉鎖系の内部を加圧することが好ましい。理論的には加圧すれば多孔体や圧粉体の内部まで酸素あるいは二酸化炭素が浸透し、原料カルシウム組成物は酸素あるいは二酸化炭素に暴露される。しかしながら、効率性の観点から、酸素あるいは二酸化炭素を含む150KPa以上の気体で脱脂あるいは炭酸化を行う工程が好ましい。気体の圧力は150KPa以上が好ましく、200KPa以上がより好ましく、300KPa以上がさらに好ましい。理論的には気体の圧力に上限はないが、加圧閉鎖系の反応装置が必要となるため、気体の圧力は2MPa以下であることが好ましく、1MPa以下であることがより好ましく、500KPa以下であることがさらに好ましい。
なお、加圧状態を保持するため、反応装置は実質的に閉鎖系とする必要があるが、脱脂された高分子材料成分の反応装置からの排出などの目的で一時的にあるいは継続的に加圧を保ったままで開放系とすることも可能である。
「(O)反応容器中の空気の一部あるいは全部を二酸化炭素に置換してから、二酸化炭素を反応容器に導入することによって、反応容器中の二酸化炭素濃度を増加させる工程」は、炭酸化工程で有用である場合がある。これは、二酸化炭素分圧を増大させ、炭酸化速度を加速させるためである。
反応容器の一方から二酸化炭素を導入し、他方から大気を排出することによって反応容器内の空気を二酸化炭素に置換する方法は簡便であり有効である。
また、減圧工程によって原料カルシウム組成物に含まれる気体を減じた後に、二酸化炭素を反応容器に導入することによって、空気から二酸化炭素への置換度がより高くなる。すなわち、水酸化カルシウム圧粉体などの原料カルシウム組成物から、原料カルシウム組成物が含まれていない医療用炭酸カルシウムブロックなどの医療用炭酸カルシウム組成物を製造するには、圧粉体などの内部まで二酸化炭素を導入させる必要があり、拡散だけでは時間がかかったり内部まで炭酸化できなかったりする。減圧工程によって水酸化カルシウム圧粉体内部の空気などを減じ、その後に空気に比べて二酸化炭素濃度の高い気体を反応容器に導入すれば水酸化カルシウム圧粉体内部まで二酸化炭素を導入することができる。
反応容器を減圧するには、反応容器を大気圧である101.3KPaより小さくすればよいが、90KPa以下とすることが好ましく、60KPa以下とすることがより好ましく、30KPa以下とすることがさらに好ましい。減圧工程によって水酸化カルシウム圧粉体内部の空気などを減じ、その後に空気より二酸化炭素濃度の高い気体を反応容器に導入する必要がある。原理的には空気より二酸化炭素濃度が高ければよいが、導入する気体の二酸化炭素濃度は10体積%以上が好ましく、50体積%以上が好ましく、90体積%以上がより好ましく、実質的に純粋な二酸化炭素であることが理想的である。反応容器に二酸化炭素を導入する際の反応容器の圧力は特に限定されない。しかしながら、原料カルシウム組成物の反応速度を増大させる観点から、反応容器の圧力が大気圧である101.3KPa以上となるように二酸化炭素を導入することが好ましく、150KPa以上がより好ましく、200KPa以上がさらに好ましい。
「(P)閉鎖系の反応容器中の圧力が一定の値となるように二酸化炭素を供給する炭酸化工程」は、閉鎖系の反応容器で医療用カルシウム組成物に二酸化炭素を付与する工程で有用である。なお、本発明でいう「閉鎖系の反応容器」とは上述したように、開放系でない反応容器である。一般的には閉鎖系の反応容器を用いる炭酸化はコストアップとなるが、本発明の医療用炭酸カルシウム組成物は医療用材料であり、異物混入を防ぐ観点から閉鎖系での製造が好ましい場合がある。
原料炭酸カルシウムから医療用炭酸カルシウム組成物を製造する場合を除き、原料カルシウム組成物に炭酸基を付与するには二酸化炭素あるいは炭酸イオンが必要である。例えば、1モルの水酸化カルシウムに二酸化炭素を付与して1モルの炭酸カルシウムを製造するには、1モルの二酸化炭素が必要であり、1モルの二酸化炭素は標準状態で約22.4Lである。
したがって、1モルの医療用炭酸カルシウム組成物を製造するには最低でも標準状態で22.4Lの二酸化炭素を含むことが可能な比較的大きな反応容器が必要となる。一方、閉鎖系で反応容器中の圧力が一定の値となるように二酸化炭素を供給することによって比較的小さい反応容器による製造が可能となる。圧力値に特に制限はないが、反応容器中の圧力が一定となるように、二酸化炭素ボンベから減圧弁を用いて反応容器中に二酸化炭素を供給する工程が簡便であるため、反応容器中の圧力は大気圧より大きいことが好ましい。また、目的は反応容器内部への二酸化炭素の供給であり、反応容器中の圧力を必要以上に大きくすると反応容器が高価になり、操作が煩雑になるだけである。そのため、反応容器中の二酸化炭素の圧力は大気圧に加えて0.5MPa以下であることが好ましく、0.3MPa以下であることがより好ましく、0.2MPa以下であることがさらに好ましい。
本工程は、気相での炭酸化だけでなく、前記(D9)に記載したような液相での炭酸化においても有用である。また、閉鎖系において二酸化炭素以外の気体は消費されないため、本工程だけを行うと、反応容器内の二酸化炭素濃度が低い。そのため、本工程と「O」工程の両者を含む工程が、望ましい。
「(Q)反応容器中の二酸化炭素を撹拌あるいは循環させる炭酸化工程」は、反応容器で医療用カルシウム組成物に二酸化炭素を付与する工程で有用である場合があり、特に閉鎖系の反応容器を用いる場合に有用である場合がある。
該工程は、前記「(D)」を特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法の一つである「(D8)」においても有用であるが、前記「(D)」を特徴とする医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法に限定されず、本発明の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法として有用である場合がある。

0053

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:特定の原料カルシウム組成物]
次に、[15]について説明する。原料カルシウム組成物としてはカルシウムを含む組成物が広く用いられるが、原料カルシウム組成物の組成が酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムの群から選ばれる一つであることは好ましい。これは、原料カルシウム組成物に炭酸成分などを付与して医療用炭酸カルシウム組成物などを製造する工程などにおいて、水以外の組成物が副生されないためである。

0054

[II医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法:特定の原料カルシウム組成物]
次に、[16]について説明する。[16]は、特に[3]の炭酸カルシウム組成物の製造方法に関わり、
(R1)平均粒径が2μm以上8μm以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(R2)球形度が0.9以上の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(R3)Mg含有量が5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
(R4)Sr含有量が3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下の炭酸カルシウム粉末を用いる。
の少なくとも一つの条件を満足する製造方法である。
いずれもミクロ気孔を制御することによって製造される医療用炭酸カルシウム組成物の反応性を高めるための条件であり、特定の原料カルシウム粉末を用いることによって、好ましいミクロ気孔が形成される。
(R1)は、原料カルシウム組成物である炭酸カルシウム粉末の特定の平均粒径に関するものである。平均粒径は、2μm以上8μm以下が好ましく、3μm以上7μm以下がより好ましく、4μm以上6μm以下がさらに好ましい。
(R2)の球形度は、0.9以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましい。
(R3)のMg含有量は、5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下が好ましく、1×10−3質量%以上2.5×10−3質量%以下がより好ましく、1.5×10−3質量%以上2.5×10−3質量%以下がさらに好ましい。
(R4)のSr含有量は、3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下が好ましく、4×10−3質量%以上1.3×10−2質量%以下がより好ましく、5×10−3質量%以上1×10−2質量%以下がさらに好ましい。
(R1)〜(R4)のいずれかの条件を満たすことが好ましいが、複数を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。

0055

[III医療用硫酸カルシウム硬化性組成物]
次に、[17]、すなわち、医療用炭酸カルシウム組成物の原料としても用いることができる医療用硫酸カルシウム硬化性組成物について説明する。
下記(T1)〜(T5)の全ての条件を満足する医療用硫酸カルシウム硬化性組成物は硬化性を示すため、有用な医療用材料である。
(T1)酸溶解残留物が1質量%以下である。
(T2)体積が5×10−13m3以上である。
(T3)医療用組成物として、実質的に純粋な硫酸カルシウムである。
(T4)硫酸カルシウム半水和物含有量が50質量%以上である。
(T5)接触した複数の組成物を水に浸漬すると、硬化して圧縮強度が0.3MPa以上である多孔体を形成する。
これまで、硫酸カルシウム半水和物粉末が硬化することは知られていたが、酸溶解残留物が1質量%以下であり、かつ、医療用組成物として、実質的に純粋な硫酸カルシウムである、体積が5×10−13m3以上の硫酸カルシウム顆粒が、硬化して圧縮強度が0.3MPa以上の多孔体を形成することは知られていなかった。
該顆粒が硫酸カルシウム半水和物を50質量%以上含有する場合、水で練和するとその一部あるいは全部が硫酸カルシウム二水和物となり、析出した硫酸カルシウム二水和物結晶の橋架けによって顆粒同士が結合して多孔体となる。
体積が5×10−13m3未満の場合でも硬化して多孔体を形成できるなどの有用性があるが、有用性が限定的であるため、体積は5×10−13m3以上である必要がある。組織侵入に有用な多孔体形成および圧縮強度の観点からは、体積は5×10−13m3以上1×10−9m3以下であることが好ましく、4×10−12m3以上5×10−10m3以下であることがより好ましく、体積が1.4×10−11m3以上1.1×10−10m3以下であることがさらに好ましい。
硬化性の観点から、硫酸カルシウム半水和物が50質量%以上であることが必須である。硬化性は硫酸カルシウム半水和物の含有量が増大するにつれて高くなるため、硫酸カルシウム半水和物が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
硫酸カルシウム多孔体が形成されること自体に有用性があるが、多孔体の機械的強度が小さい場合には有用性が小さい。本発明においては、接触した複数の組成物を水に浸漬すると、硬化して圧縮強度が0.3MPa以上である多孔体を形成することを必須条件とする。硬化体の圧縮強度は、0.5MPa以上であることが好ましく、1.0MPa以上であることがより好ましい。接触の程度によって圧縮強度が異なるため、異なる圧縮強度が得られた場合には、高い圧縮強度を該組成物の圧縮強度とする。

0056

[IV医療用硫酸カルシウム組成物の製造方法]
次に、[18]について説明する。前記、「III 医療用硫酸カルシウム硬化性組成物」の製造方法であって、下記(U2)および(U3)を必須工程として含み(U1)および(U4)を選択工程として含むことを特徴とする医療用硫酸カルシウム硬化性組成物である医療用硫酸カルシウム半水和物顆粒の製造方法は有用である。
「(U1)高分子材料脱脂工程」は、高分子材料含有硫酸カルシウム顆粒あるいはブロックを熱処理で脱脂して酸溶解残留物を1質量%以下とする工程である。
本工程は、高分子材料含有硫酸カルシウムブロックあるいは顆粒を原料として用いる場合の工程であり、該原料を熱処理で脱脂して酸溶解残留物を1質量%以下とする工程である。酸溶解残留物は1質量%以下であることが必須条件であり、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることが理想的である。熱処理は一般的に700℃以上で行う。硫酸カルシウムは700℃以上では無水物となるため、本工程によって硫酸カルシウム無水物ブロックあるいは硫酸カルシウム無水物顆粒が製造される。
「(U2)硫酸カルシウム二水和物製造工程」は、高分子材料脱脂工程で形成された硫酸カルシウム無水物あるいは半水和物の顆粒あるいはブロックに水を付与して、あるいは、硫酸カルシウム半水和物粉末に水を付与して、硬化させて、硫酸カルシウム二水和物顆粒あるいはブロックを製造する工程である。
高分子材料含有硫酸カルシウムを用いる場合には、高分子材料脱脂工程によって硫酸カルシウム無水物顆粒あるいはブロックが製造されるため、水を付与して硫酸カルシウム二水和物顆粒あるいはブロックが製造される。
高分子材料含有硫酸カルシウムを用いる必要がない場合には、硫酸カルシウム半水和物粉末と水を混合して、硬化させて、硫酸カルシウム二水和物顆粒あるいはブロックを製造する。
「(U3)硫酸カルシウム半水和物製造工程」は、硫酸カルシウム二水物顆粒あるいはブロックを脱水して、硫酸カルシウム半水和物顆粒あるいはブロックを製造する工程である。
本工程は、硫酸カルシウム二水物顆粒あるいはブロックを気相中で脱水して、硫酸カルシウム半水和物が50質量%以上となるように、硫酸カルシウム半水和物顆粒あるいはブロックを製造する工程である。一般的に大気中など、気相中での脱水は公知の熱処理で行われ、熱処理時間と熱処理温度の最適化で硫酸カルシウム半水和物の含有量が容易に制御できる。
「(U4)顆粒サイズ調整工程」は、体積が5×10−13m3以上の顆粒となるようにサイズを調整する工程である。
本工程は、体積が5×10−13m3以上の顆粒となるようにサイズを調整する工程である。本工程は全工程の中のどこで行ってもよい。例えば、硫酸カルシウム粉末ポリビニルアルコールなどの高分子材料と混合し、スプレードライすることによって、体積が5×10−13m3以上の球状顆粒となるようにすればよい。
また、硫酸カルシウムブロックを粉砕、篩分けすればよい。
上述したように、体積を5×10−13m3以上であるように調整する必要がある。組織侵入に有用な多孔体形成および圧縮強度の観点からは、体積を5×10−13m3以上1×10−9m3以下に調整することが好ましく、4×10−12m3以上5×10−10m3以下に調整することがより好ましく、1.4×10−11m3以上1.1×10−10m3以下に調整することがさらに好ましい。

0057

[V医療用リン酸カルシウム組成物]
次に、[19]、すなわち、医療用炭酸カルシウム組成物から製造される医療用リン酸カルシウム組成物について説明する。
下記(V1)〜(V3)の全ての条件と、(V4)〜(V10)の群から選ばれる少なくとも一つの条件を満足し、(V11)又は(V12)を選択条件とすることを特徴とする医療用リン酸カルシウム組成物は有用性が高い。
なお、(V1)、(V2)、(V5)、(V6)、(V9)、(V10)については、それぞれ、前記(A)、(B)、(F)、(G)、(J)、(K)の必要性と同じである。
「(V3)医療用組成物として、実質的に純粋なリン酸カルシウムであり、組成が炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、リン酸三カルシウム、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つである。」で、「医療用組成物として、実質的に純粋なリン酸カルシウムであり、」との条件は、本発明の医療用カルシウム組成物に共通する事項であるが、その中で、組成が炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、リン酸三カルシウム、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであるものは、反応性に優れるため特に好ましい。リン酸三カルシウムを除くこれらのリン酸カルシウムは基本的に焼結法では製造することができず、水溶液中で炭酸カルシウムなどを前駆体として用いる溶解析出型の組成変換反応で製造できる。炭酸アパタイトに関しては特許文献1に述べられている通りである。反応性が高いHPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムも水溶液中で製造できるが、HPO4基は加熱によってピロリン酸となるため、焼結法では製造できない。
また、「(V4)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体(ただし、組成がリン酸三カルシウムであり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.01cm3/g以上である、いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である、ハニカム構造体において貫通孔方向の隔壁表面の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以上である、のいずれの条件も満たさないハニカム構造体を除く。)。」は、前記「(E)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法による細孔分布測定において、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きい。」に類似した条件であるが、組成がリン酸三カルシウム以外の場合、細孔容積に関する条件はない。しかしながら、医療用リン酸カルシウム組成物の骨への置換や組織親和性の観点から、水銀圧入法による細孔分布測定において、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/gより大きいことは好ましく、該容積は0.04cm3/g以上であることがより好ましく、0.08cm3/g以上であることがさらに好ましい。
「(V7)水銀圧入法測定で、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積が5%以上である。」は、前記「(H)」に類似した条件である。医療用炭酸カルシウム組成物を原料として医療用リン酸カルシウム組成物を製造する際にはリン酸成分が付与されるため、細孔容積が小さい細孔が減少する。そのため、細孔径6μm以下の細孔容積に対する細孔径1μm以上6μm以下の細孔容積を5%以上としているが、該細孔容積は7%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。
「(V8)いずれかの方向で得られる最大圧縮強度が下記の式で計算される基準圧縮強度[S]以上である(ただし、一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であり、かつ、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.02cm3/g以下であるものを除く。)。
S=S0×C×exp(−b×P)
(ここで、S0およびbは定数でS0は500、bは0.068、Cは組成による定数で、炭酸アパタイトあるいはHPO4基を含むアパタイトあるいはリン酸三カルシウムの場合は1、ウィトロカイトの場合は0.5、リン酸水素カルシウムの場合は0.1、Pは該組成物の気孔率の百分率である。)」は、前記(I)に類似した条件であるが、定数Cは炭酸カルシウムの多形ではなく、組成による定数である。
「(V11)炭酸基含有量が10質量%以上であるアパタイトを組成とする。」は選択条件である。また、炭酸含有量が10質量%以上であるため、炭酸アパタイトである。炭酸アパタイトは脊椎動物の骨組成であることから有用性が高い。
「(V12)炭酸基含有量が10質量%未満であるアパタイトを組成とする。」も選択条件である。炭酸基含有量が10質量%未満であるアパタイトであるため、炭酸基含有量の小さい炭酸アパタイトおよび水酸アパタイトとなる。症例によっては緩慢な骨置換が望まれる場合がある。そのような症例においては、炭酸基含有量が10質量%未満であるアパタイトを組成とする医療用リン酸カルシウム組成物が好ましい。アパタイト構造中の炭酸基量によって骨置換速度が制御されるため、炭酸基含有量としては6質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい場合がある。また、炭酸基を含まない水酸アパタイトが好ましい場合もある。

0058

[V医療用リン酸カルシウム組成物:特定の微量成分]
次に、[20]について説明する。リン酸カルシウム組成物、特にアパタイトは、吸着能が高い。また、水溶液中で製造されたリン酸カルシウムは比表面積が高い。これらのリン酸カルシウム組成物が感染した場合には、組織親和性が期待できない。そのため、感染を防止する微量成分を含むリン酸カルシウム組成物が好ましい場合がある。微量成分としては、銀又は銀化合物が有用である。
(AG1)又は(AG2)のいずれかを満足する医療用リン酸カルシウム組成物は、感染防止の観点から有用な医療用リン酸カルシウム組成物である。(AG1)又は(AG2)のいずれかを満足し、かつ、下記(AG3)〜(AG10)の選択条件の一つを満足する医療用リン酸カルシウム組成物はより好ましい医療用リン酸カルシウム組成物である場合がある。
(AG1)及び(AG2)の体積に関する要件の必要性は、(A)と同じである。
(AG1)では、0.01質量%以上3質量%以下の銀又は銀化合物が、(AG2)では、0.01質量%以上3質量%以下のリン酸銀がリン酸カルシウム化合物に含まれていることが必須条件である。リン酸カルシウム結晶構造中に銀が取り込まれることもあるが、銀は、主に銀イオンとして抗菌性を発揮するため、術後感染の防止にはリン酸カルシウム結晶構造中に含まれていない銀又は銀化合物が有効である。また、銀又は銀化合物の含有量が極めて重要であり、含有量が小さいと抗菌効果が発揮されず、含有量が大きいと組織親和性に悪影響を及ぼす。そのため、医療用リン酸カルシウム組成物に含有される銀又は銀化合物は、0.01質量%以上3質量%以下である必要がある。該含有量は、0.02質量%以上2質量%以下が好ましく、0.03質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上1質量%以下がさらに好ましい。また、これらの含有量が、リン酸カルシウム結晶構造に含まれる銀を除いて確保されることが好ましい。
(AG1)の条件である「炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つ」は焼結法では製造できず、水溶液中で製造されるリン酸カルシウムに関する条件である。これまで焼結法で製造できないリン酸カルシウム化合物に銀又は銀化合物を含有させたリン酸カルシウム組成物は知られていない。
(AG2)は、リン酸カルシウム組成として、焼結法で製造できる水酸アパタイト焼結体とリン酸三カルシウム焼結体も含まれるが、リン酸銀結晶がリン酸カルシウム組成物表面と結合していることが必須条件となる。リン酸銀結晶がリン酸カルシウム組成物表面と結合していると、組成物表面からリン酸銀が溶解されるため、抗菌効果が高い。また、リン酸銀の溶解は、リン酸カルシウム組成物と結合していない表面から起こるため、比較的長期の抗菌機能を示すリン酸カルシウム組成物となる。リン酸銀結晶がリン酸カルシウム組成物表面と結合している面積割合は、リン酸銀結晶の表面積の20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。また、リン酸カルシウムと結合しているリン酸銀の面積が2×10−12m2以上であることが好ましく、6×10−12m2以上であることがより好ましく、1×10−11m2以上であることがさらに好ましい。
(AG3)〜(AG10)は選択条件であり、必ずしも満足する必要はない。(AG3)は(AG1)に関する選択条件である。溶解度が小さいリン酸銀は、長期の抗菌効果が期待できるため他の銀化合物より好ましい場合がある。
「(AG4)リン酸カルシウム組成物の表層部と内部とに銀又は銀化合物が含まれており、表面から中心方向に少なくとも50μm離れた部位の銀濃度に対する表層部の銀濃度の比が1.2以上である。」は、組成物内部で異なる銀濃度を有する特定のリン酸カルシウム組成物に関する選択条件である。術後感染には術後間もなくして起こる早期感染と、例えば手術後2ヵ月経過以降に感染が生じる遅発性感染などがあり、両者を防止することが望まれる。術後早期には組織親和性に比較して感染防止の優先度が高いため、比較的高い銀濃度が好ましい。そのため、リン酸カルシウム組成物による組織再建を行った際に、該組成物周囲に比較的高い銀イオンが遊離されることが望ましい。このことは、該組成物表層部における銀又はリン酸銀を高濃度とすることによって達成できる。
炭酸アパタイトやリン酸三カルシウムなどの生体吸収性リン酸カルシウムの場合、表層部が吸収されると表層部の銀又は銀化合物も消失する。術後一定期間が経過した後には感染リスクが低下するため、組織親和性の優先度が高くなるものの遅発性感染の防止も必要である。したがって、リン酸カルシウム組成物の表層部と内部との両者に銀又は銀化合物が含まれていることが好ましく、かつ、該組成物の表面から中心方向に少なくとも50μm離れた部位の銀濃度に対する表層部の銀濃度の比が1.2以上であることが好ましい。該比は2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましい。
該組成物における表層部と内部は、本質的には破骨細胞が吸収する表層部と該表層部を除く内部である。破骨細胞が侵入できる30μm以上の連通孔を有する多孔体の場合、見かけの表面ではなく、30μm以上の連通孔がない部位の表層部を除く部位を内部とする。表層部と内部の銀又は銀化合物の濃度の比は、エネルギー分散X線分析装置X線光電子分光分析装置などで表面分析と内部の分析を行うことによって定量化する。なお、表層部とは表面から50μm未満の距離にある部位とし、内部とは表面から少なくとも50μm離れた部位とする。上記測定法による表層部と内部の銀濃度測定が困難である場合には、該リン酸カルシウム組成物を、JIS−T0330−3の9.3で定められている溶解速度試験をpH5.5の水溶液を用いて行い、表層部50μmが溶解された場合と同じ重量減少となるまでに溶解された銀成分量から計算される表層部に含有される銀成分濃度と試料に含まれる銀成分濃度から両者の比を計算する。
(AG5)〜(AG10)は特定のリン酸カルシウム多孔体に関する選択条件である。多孔体は緻密体と比較して、感染となりやすく、これらの多孔体は医療用リン酸カルシウム組成物として有用であるため、感染防止が望ましい医療用リン酸カルシウム組成物である。

0059

[V医療用リン酸カルシウム組成物:特定のハニカム構造体及び特定微細構造と組成]
次に、[21]、すなわち、医療用リン酸カルシウム組成物の中で、特に有用な組成物について説明する。
医療用炭酸カルシウム組成物と同様に医療用リン酸カルシウム組成物には高い反応性や症例に応じた特性が求められる。そのため、下記(W1)〜(W7)の少なくとも一つの条件を満足することが好ましい。
「(W1)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であって、水銀圧入法測定で、ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.01cm3/g以上である。」は、骨梁部のミクロ気孔に関するものである。組成は骨伝導や骨置換に関与する一因子であり、マクロ気孔やミクロ気孔も医療用組成物の有用性に大きな影響を及ぼす。特定のミクロ気孔が特定量以上存在することによって、破骨細胞による吸収性が促進されるなどの有用な性質に影響を及ぼす。ハニカム構造体の質量に対する細孔径が10μm以下の細孔容積が0.01cm3/g以上であることが好ましく、0.03cm3/g以上であることがより好ましく、0.05cm3/g以上であることがさらに好ましい。
「(W2)一方向に延びる複数の貫通孔を備えたハニカム構造体であって、いずれか一つの貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下である。」は、特定の症例に有用なハニカム構造体である。上述したように、骨には直柱状ではなく、湾曲した曲柱状の骨もある。そのような骨の再建術などでは曲柱形状の医療用リン酸カルシウムハニカム構造体が有用である。また、骨表面に対して垂直方向に骨を造成する場合、ハニカム構造体の貫通孔が骨周囲の結合性組織に対しては開口せず、骨面に対してのみ開口しているハニカム構造体が望ましい。
ハニカム構造体において、いずれか一つの貫通孔における貫通孔の両端、該貫通孔の中央部の三点を通る円の直径が1cm以上50cm以下であることが好ましい条件である。該円の直径が2cm以上20cm以下であることがより好ましく、該円の直径が3cm以上10cm以下であることがさらに好ましい。
「(W3)ハニカム構造体において貫通孔方向の隔壁表面の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以上である。」は、細胞接着などに有効なハニカム構造体である。ここで貫通孔方向の隔壁表面の算術平均粗さ(Ra)とは隔壁に依存しないハニカム表面の算術平均粗さである。医療用炭酸アパタイトハニカム構造体において算術平均粗さ(Ra)が大きくなると細胞接着などがよくなり、その結果、骨伝導性も高くなる。算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以上がより好ましく、1.5μm以上がさらに好ましい。
(W4)〜(W7)は、[3]の(AJ1)〜(AJ4)に対応するものであり、組織親和性や骨置換性に優れる医療用リン酸カルシウム組成物である。
(W4)の平均粒径は、2μm以上8μm以下が好ましく、3μm以上7μm以下がより好ましく、4μm以上6μm以下がさらに好ましい。
(W5)の球形度は、0.9以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましい。
(W6)のMg含有量は、5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下が好ましく、1×10−3質量%以上2.5×10−3質量%以下がより好ましく、1.5×10−3質量%以上2.5×10−3質量%以下がさらに好ましい。
(W7)のSr含有量は、3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下が好ましく、4×10−3質量%以上1.3×10−2質量%以下がより好ましく、5×10−3質量%以上1×10−2質量%以下がさらに好ましい。
なお、平均粒径および球形度は、リン酸カルシウム組成物の粒界で粒子を区分して測定、計算する。
(W1)〜(W7)のいずれかの条件を満たすことが好ましいが、複数を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。

0060

[VI医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法:特定の微量成分]
次に、医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法について説明する。
まず、[22]について説明する。銀又はリン酸銀を含む[20]、[21]などのリン酸カルシウム組成物は、(AH1)又は(AH2)の条件で製造できる。必要に応じて、(AH3)〜(AH9)を選択条件とする特定条件で、より好ましい組成物が製造できる。
(AH1)と(AH2)とに共通する「体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックである」との条件は組織親和性に優れるリン酸カルシウム組成物を製造するために必要な条件である。
(AH1)は、焼結法で製造できないリン酸カルシウム組成物の製造方法に関するものであり、「0.01質量%以上3質量%以下の銀又は銀化合物を含み、かつ、組成が炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つであり、かつ、体積が10−12m3以上の顆粒あるいはブロックである原料カルシウム組成物を用いる」これらの原料カルシウムのうち、「原料カルシウム組成物が炭酸カルシウム以外の場合には、該組成物に炭酸基を付与する工程」を行い、該カルシウム組成物を炭酸カルシウムに組成変換させる。例えば、水酸化カルシウムの場合、水酸化カルシウムを二酸化炭素に暴露させる。
さらに、「リン酸塩水溶液又はリン酸塩とマグネシウム塩の混合水溶液に暴露して、銀又は銀化合物を含む、炭酸アパタイト、HPO4基を含むアパタイト、ウィトロカイト、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる一つに組成変換させる工程」を含む。リン酸塩水溶液又はリン酸塩とマグネシウム塩の混合水溶液に暴露するには、単純に該水溶液に浸漬してもよく、スプレーなどで該水溶液を原料カルシウム組成物に噴霧暴露させてもよい。暴露工程によって、リン酸カルシウム組成物が製造できる。炭酸化工程とリン酸塩水溶液又はリン酸塩とマグネシウム塩の混合水溶液に暴露する工程と炭酸化工程とは同時に行ってもよい。
(AH2)は、リン酸カルシウム組成物である、アパタイト、リン酸三カルシウム、ウィトロカイト、リン酸八カルシウム、リン酸水素カルシウムの群から選ばれる原料カルシウム組成物を、銀イオンを含む水溶液に暴露して、原料カルシウム組成物にリン酸銀を形成させる工程を含む。例えば、リン酸三カルシウムを硝酸銀水溶液に浸漬すると、リン酸三カルシウムは一部溶解して、リン酸イオンとカルシウムイオンが遊離される。銀イオンとリン酸イオンから形成されるリン酸銀の溶解度はリン酸三カルシウムより小さいため、リン酸銀がリン酸三カルシウム組成物の表面に析出する。なお、リン酸三カルシウムが多孔体であり、硝酸銀水溶液が多孔体に浸透する場合には、硝酸銀水溶液が接触するリン酸三カルシウム表面にリン酸銀が析出する。銀イオンを含む水溶液の種類や濃度、浸漬時間などは特に限定されないが、硝酸銀又は炭酸銀が溶解度の関係で好ましい。
(AG1)又は(AG2)を満たすことが必須条件であるが、(AG3)〜(AG10)をさらに満たすことによって、より好ましい医療用リン酸カルシウム組成物が製造できる場合がある。
(AH3)は、[20]の(AG4)に関する製造法である。水溶液の銀イオン濃度と浸漬時間などを調整することによっても内部と表層部の銀濃度が異なるリン酸カルシウム組成物の製造が可能であるが、銀イオン濃度の異なる水溶液を用いる方が、製造時間が短い。原料リン酸カルシウム組成物を第一水溶液に浸漬して内部に比較的低濃度のリン酸銀を析出させ、その後で第二水溶液に浸漬して表面に比較的高濃度のリン酸銀を析出させる場合が多いため、第一水溶液より第二水溶液の銀イオン濃度が高い必要がある。
(AH4)〜(AH9)は、[20]の(AG5)〜(AG10)を製造する際に必要な原料カルシウム組成物に関する条件である。

0061

[VI医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法:特定原料]
次に、[23]について説明する。[23]は、[19]〜[21]のいずれか記載の医療用リン酸カルシウム組成物に関するものであり、特に[21]の(W4)〜(W7)に関するものである。(W4)〜(W7)の条件を満たす医療用リン酸カルシウム組成物は、(AI1)〜(AI4)の条件を満たす炭酸カルシウム粉末をカルシウム原料として用いることによって達成される。
(AI1)の平均粒径は、2μm以上8μm以下が好ましく、3μm以上7μm以下がより好ましく、4μm以上6μm以下がさらに好ましい。
(AI2)の球形度は、0.9以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましい。
(AI3)のMg含有量は、5×10−4質量%以上3×10−3質量%以下が好ましく、1×10−3質量%以上2.5×10−3質量%以下がより好ましく、1.5×10−3質量%以上2.5×10−3質量%以下がさらに好ましい。
(AI4)のSr含有量は、3×10−3質量%以上1.5×10−2質量%以下が好ましく、4×10−3質量%以上1.3×10−2質量%以下がより好ましく、5×10−3質量%以上1×10−2質量%以下がさらに好ましい。
(AI1)〜(AI4)のいずれかの条件を満たすことが好ましいが、複数を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。

0062

次に、[24]について説明する。本発明の医療用炭酸カルシウム組成物、あるいは、本発明の医療用炭酸カルシウム組成物の製造方法によって製造された医療用炭酸カルシウム組成物に、特定の条件でリン酸成分を付与する医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法は有用である。
該付与法としては、医療用炭酸カルシウム組成物をリン酸塩水溶液などのリン酸成分を含む水溶液に浸漬する方法が好ましい。
炭酸カルシウム組成物へのリン酸成分の付与によって形成されるリン酸カルシウムの種類は溶液のpHや共存するイオンなどによって制御することが可能であり、炭酸アパタイト、水酸アパタイト、リン酸三カルシウム、ウィトロカイト、リン酸八カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなどを組成とする医療用リン酸カルシウム組成物が製造できる。これらの医療用リン酸カルシウム組成物を製造するにあたり、医療用炭酸カルシウムは炭酸基を組成に含むことから、炭酸基を組成に含む医療用炭酸アパタイト組成物は特に有用である。
医療用炭酸アパタイト組成物中の炭酸基の量はpHで制御することが可能である。これまでは1モル濃度のpHが8.9であるNa2HPO4あるいはpHが13.1であるNa3PO4が用いられてきた。しかしながらpHを8.9未満とすることによって医療用炭酸アパタイト組成物中の炭酸基量を制御できることがわかった。pHを8.9未満とすることによってこれまで製造されていた炭酸アパタイトより炭酸基含有量が小さい医療用炭酸アパタイト組成物を製造することができるが、pHが8.8ではその効果が限定的である。そのため、本発明においてはpHが8.5以上のリン酸成分を含む水溶液とpHが8.5未満のリン酸成分を含む水溶液に区分している。
さらに驚くべきことに、リン酸塩水溶液のpHを低くすると炭酸カルシウムからリン酸カルシウムへの溶解析出反応が早くなり、リン酸カルシウムの製造時間が短縮できることがわかった。この原因は炭酸カルシウムからリン酸カルシウムへの溶解析出反応においてpHが低い場合には溶解反応が早くなることに起因するためであると推察されるが、その詳細は解明されていない。
また、pHを5.5以下とすることによって炭酸カルシウムをリン酸水素カルシウムに組成変換することが可能であり、リン酸成分とマグネシウム成分の両者を含む水溶液とすることによってウィトロカイトなどのリン酸三カルシウムが製造できる。
リン酸塩のpHを低くするとリン酸カルシウムの製造時間が短くなるが、炭酸アパタイトを製造する場合、炭酸基量も少なくなる。炭酸基量を少なくせずに炭酸アパタイトの製造時間を短縮するにはpHが低いリン酸塩に炭酸成分を含有させればよい。ところが、炭酸成分濃度を1.0モル濃度より高くすると炭酸アパタイトが製造できないことがわかった。また、炭酸成分濃度を0.6モル濃度としても炭酸アパタイトの製造に時間がかかることがわかった。この詳細は解明されていないが、水溶液中に炭酸イオンが存在することによって炭酸カルシウムと炭酸アパタイトに対する過飽和度の差が小さくなり、炭酸アパタイトが形成されにくくなったためであると考えられる。
すなわち、該目的のためには、リン酸成分と0.5モル濃度以下の炭酸成分の両者を含むpHが8.5未満の水溶液が有用である。
さらに、リン酸成分と0.5モル濃度以下炭酸成分の両者を含む水溶液を用いて医療用炭酸カルシウム組成物にリン酸成分を付与すると、算術平均粗さ(Ra)が大きくなることがわかった。この機序は明らかにされていないが、溶液中に炭酸基が含まれることによって炭酸カルシウムと炭酸アパタイトに対する過飽和度の差が小さくなり、その結果、核形成が限定的となる。その結果、形成された炭酸アパタイトの成長が促進され、ハニカム構造体表面の算術平均粗さ(Ra)が大きくなったと考えられる。
これらの組み合わせから医療用炭酸カルシウム組成物にリン酸成分を付与する水溶液としては
(X1)リン酸成分を含むpHが8.5以上の水溶液
(X2)リン酸成分を含むpHが8.5未満の水溶液
(X3)リン酸成分と0.5モル濃度以下の炭酸成分の両者を含むpHが8.5以上の水溶液
(X4)リン酸成分と0.5モル濃度以下の炭酸成分の両者を含むpHが8.5未満の水溶液
(X5)リン酸成分とマグネシウム成分の両者を含む水溶液
の群から選ばれる少なくとも一つの水溶液が有用である。

0063

[VI医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法:組成物内部の気体の置換方法
次に、[25]について説明する。上述したように、医療用炭酸カルシウム組成物をリン酸塩水溶液などに浸漬するなど暴露して医療用リン酸カルシウム組成物が製造されるが、上述したように、医療用炭酸カルシウム組成物から医療用リン酸カルシウム組成物の製造方法は溶解析出型反応を用いる。したがって、医療用炭酸カルシウム組成物が表面から溶解される必要がある。基本的には、医療用炭酸カルシウム組成物をリン酸塩水溶液などに浸漬すればよいが、医療用炭酸カルシウム組成物は、基本的にはマクロ気孔あるいはミクロ気孔である内部気孔を有する。そのため、内部気孔内の空気などの気体によって溶解反応が阻害される場合がある。その場合には、未反応の炭酸カルシウムが残ったリン酸カルシウム組成物となり、医療用リン酸カルシウム組成物としては好ましくない場合がある。反応の阻害を防止するには、医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔の中の気体を、リン酸成分を含む水溶液に置換すればよい。
すなわち、「(Y1)リン酸成分を含む水溶液に浸漬した医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程」を行えばよい。
リン酸成分を含む水溶液に浸漬した医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換するには、いくつかの有用な工程があるが、基本的には医療用炭酸カルシウム組成物はリン酸成分を含む水溶液に濡れる材料であるため、「(Y2)リン酸成分を含む水溶液に浸漬した医療用炭酸カルシウム組成物に振動を与え、医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程」も有効である。振動を与えるには例えば超音波振動子が有効である。
振動を与える工程に類似した工程として(Y3)医療用炭酸カルシウム組成物周囲のリン酸成分を含む水溶液を流動させ、医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程も有用である。医療用炭酸カルシウム組成物周囲のリン酸成分を含む水溶液を流動させることによって、リン酸成分を含む水溶液が医療用リン酸カルシウム組成物の内部の気孔の表面を濡らすことを促進できる。
「(Y4)医療用炭酸カルシウム組成物を浸漬したリン酸成分を含む水溶液を入れた容器を減圧脱気することにより、医療用炭酸カルシウム組成物の気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に置換する工程」は、いわゆる減圧脱気に関するもので、減圧によって医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔の気体を減少させ、減圧を解除することによって周囲のリン酸成分を含む水溶液が医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔に導入される。減圧と減圧解除を繰り返すことは置換の程度を向上させる観点から好ましい。
「(Y5)医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔の気体の一部あるいは全部を、リン酸成分を含む水溶液に対する溶解度が空気より高い気体に置換する工程」も有用である。例えば、二酸化炭素は空気より、リン酸成分を含む水溶液に対する溶解度が高い。内部気孔を二酸化炭素に置換した医療用炭酸カルシウム組成物を、リン酸成分を含む水溶液に浸漬すると、二酸化炭素はリン酸成分を含む水溶液に溶解されるため、医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔の空気はリン酸成分を含む水溶液に置換される。
「(Y6)医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔の気体の一部あるいは全部を、水より接触角が小さく、かつ、水と相溶する溶媒で置換する工程」も有効である。例えば、エタノールは水より接触角が小さい。そのため、エタノールは医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔に浸透しやすい。エタノールで内部気孔の一部あるいは全部を満たされた医療用炭酸カルシウム組成物を、リン酸成分を含む水溶液に浸漬すると、エタノールは該水溶液と相溶し、拡散によって内部気孔の中のエタノールはリン酸成分を含む水溶液と置換される。水より接触角が小さく、かつ、水と相溶する溶媒は界面活性剤のように医療用炭酸カルシウム組成物に対するリン酸成分を含む水溶液の接触角を小さくするため、必ずしも医療用炭酸カルシウム組成物の内部気孔の気体の全部を置換する必要はなく、ごく一部で十分に機能する。

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