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技術 圧延設備及び圧延方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 白石利幸明石透大野晃柴山淳史有田吉宏
出願日 2019年8月15日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2019-149101
公開日 2021年3月1日 (10ヶ月経過) 公開番号 2021-030241
状態 未査定
技術分野 ストリップ・線材の熱処理 熱処理一般;主に搬送、冷却 巻取り、巻戻し、材料蓄積装置
主要キーワード 電磁板 ホットバス 断熱内 材料位置 コイル配置位置 板幅方向中心 注水冷却 保温部材
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

熱間圧延後に自己焼鈍させたコイル(自己焼鈍コイル)でも、板幅方向の材質バラツキを防止し、その後の冷間タンデム圧延機での圧延時に絞りによる板破断が生じないようにした圧延設備及び圧延方法であって、しかも低コスト省スペース性と高効率性(作業性含む)に優れた圧延設備及び圧延方法を提供する。

解決手段

熱間圧延後のコイルを大気中で冷却するにあたって前記コイルを挿入するための中空円筒状のスリーブを備え、前記スリーブは、その軸線方向両端開放されており、かつ外周部の厚み方向の少なくとも一部が断熱材によって構成されていることを特徴とする圧延設備。

概要

背景

上記、自己焼鈍コイル鋼種としては高合金鋼であり、具体的な例としては、高張力鋼板ハイテン鋼板)、ステンレス鋼板電磁鋼板等がある。また、熱間圧延鋼帯熱延鋼帯)の製造プロセスとしては、鋼スラブ粗圧延機及び仕上げ圧延機により熱間圧延してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却する製造プロセスや、粗圧延を省略して仕上げ圧延に相当する熱間圧延を行ってコイルに巻き取り、そのコイルを大気中で冷却する製造プロセス等がある。また、薄板連続鋳造圧延法として知られる双ロール式連続鋳造法あるいはベルト式連続鋳造法等によって製造された薄肉鋳片(薄肉スラブ)については、粗圧延を施すことなく、直ちに仕上げ圧延機に相当するインラインミルで圧下してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却する製造プロセス、さらに、連続鋳造から熱間粗圧延を経て熱間仕上げ圧延までを、途切れることなく一連続で行う製造プロセスもある。

以降、ここでは一例として、鋼スラブを粗圧延機及び仕上げ圧延機により熱間圧延してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却したストリップコイルを冷間圧延する工程を含む製造プロセスにより無方向性電磁を製造する場合を例に挙げて説明する。

例えば、特許文献1には、質量%でC≦0.008、2≦Si+Al≦3、0.02≦Mn≦1.0、S≦0.003、N≦0.002、Ti≦0.003、0.001≦REM≦0.02、更に、0.3≦Al/(Si+Al)≦0.5の関係を満足し、残部Fe及び不可避的な不純物を含む無方向性電磁鋼板スラブを、熱間仕上げ圧延温度が1050℃以上となるような温度範囲で熱間仕上げ圧延を行い、その後の無注水時間を1秒以上7秒以下とし、注水冷却により700℃以下で巻き取りを行うことにより、熱間仕上げ圧延後冷却過程により熱延焼鈍工程を代替する製造方法が開示されている。

概要

熱間圧延後に自己焼鈍させたコイル(自己焼鈍コイル)でも、板幅方向の材質バラツキを防止し、その後の冷間タンデム圧延機での圧延時に絞りによる板破断が生じないようにした圧延設備及び圧延方法であって、しかも低コスト省スペース性と高効率性(作業性含む)に優れた圧延設備及び圧延方法を提供する。熱間圧延後のコイルを大気中で冷却するにあたって前記コイルを挿入するための中空円筒状のスリーブを備え、前記スリーブは、その軸線方向両端開放されており、かつ外周部の厚み方向の少なくとも一部が断熱材によって構成されていることを特徴とする圧延設備。

目的

その理由は、ホットコイル焼鈍工程を省略した自己焼鈍コイルでは、変形抵抗分布の不均一が大きく、しかも長手方向で急激に変化するため、圧延後の形状も急激に大きく変化することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

熱間圧延してコイルに巻き取られたコイルを大気中で冷却し、その後、冷間タンデム圧延機により冷間圧延する圧延設備において、熱間圧延後の巻き取られたコイルを大気中で冷却するにあたって前記コイルを挿入するための中空円筒状のスリーブを備え、前記スリーブは、その軸線方向両端開放されており、かつ厚み方向の少なくとも一部が断熱材によって構成されていることを特徴とする圧延設備。

請求項2

請求項1に記載の圧延設備において、前記スリーブは、その軸線方向長さLが、次の(1)式を満たすことを特徴とする圧延設備。L≧W+2・(DS—3・DCO/4—DCI/4)tan30・・・(1)ここで、(1)式において、W:コイル板幅、DCO:コイル外径、DCI:コイル内径、DS:スリーブ内径であり、tanの角度単位は度とし、そのほかの寸法はすべてmmとする。

請求項3

請求項1に記載の圧延設備において、前記スリーブは、その中心軸線が水平となるようにスリーブを配置した状態における、スリーブの内周面のうちの上部に反射層が形成されていることを特徴とする圧延設備。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧延設備によって熱間圧延してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却し、その後、冷間タンデム圧延機により冷間圧延するにあたり、熱間圧延後の巻き取られたコイルを前記スリーブ内に挿入して大気中で冷却することを特徴とする圧延方法

技術分野

0001

本発明は、熱間圧延後の巻き取ったコイルを、その冷却過程自己焼鈍させてホットコイル焼鈍工程を省略し、その自己焼鈍コイルを冷間タンデム圧延するための圧延設備、及び圧延方法に関するものである。

背景技術

0002

上記、自己焼鈍コイルの鋼種としては高合金鋼であり、具体的な例としては、高張力鋼板ハイテン鋼板)、ステンレス鋼板電磁鋼板等がある。また、熱間圧延の鋼帯熱延鋼帯)の製造プロセスとしては、鋼スラブ粗圧延機及び仕上げ圧延機により熱間圧延してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却する製造プロセスや、粗圧延を省略して仕上げ圧延に相当する熱間圧延を行ってコイルに巻き取り、そのコイルを大気中で冷却する製造プロセス等がある。また、薄板連続鋳造圧延法として知られる双ロール式連続鋳造法あるいはベルト式連続鋳造法等によって製造された薄肉鋳片(薄肉スラブ)については、粗圧延を施すことなく、直ちに仕上げ圧延機に相当するインラインミルで圧下してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却する製造プロセス、さらに、連続鋳造から熱間粗圧延を経て熱間仕上げ圧延までを、途切れることなく一連続で行う製造プロセスもある。

0003

以降、ここでは一例として、鋼スラブを粗圧延機及び仕上げ圧延機により熱間圧延してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却したストリップコイルを冷間圧延する工程を含む製造プロセスにより無方向性電磁を製造する場合を例に挙げて説明する。

0004

例えば、特許文献1には、質量%でC≦0.008、2≦Si+Al≦3、0.02≦Mn≦1.0、S≦0.003、N≦0.002、Ti≦0.003、0.001≦REM≦0.02、更に、0.3≦Al/(Si+Al)≦0.5の関係を満足し、残部Fe及び不可避的な不純物を含む無方向性電磁鋼板スラブを、熱間仕上げ圧延温度が1050℃以上となるような温度範囲で熱間仕上げ圧延を行い、その後の無注水時間を1秒以上7秒以下とし、注水冷却により700℃以下で巻き取りを行うことにより、熱間仕上げ圧延後の冷却過程により熱延版焼鈍工程を代替する製造方法が開示されている。

0005

特開2010−242186号公報
特開昭60−46804号公報
特開2002−239617号公報
特開2003−340510号公報
特開平3−60810号公報
特開2014−8520号公報
特開2015−167992号公報

先行技術

0006

図解わかる電磁鋼板」(新日本製鐵株式会社、1994)、p.67

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、例えば特許文献1に示されるように、連続熱延後の冷却過程での自己焼鈍によりホットコイル焼鈍工程を省略してコイルに巻き取られた無方向性電磁鋼板用の自己焼鈍コイルを、酸洗して冷間タンデム圧延機にて連続冷間圧延する際には、以下のような問題があることが認識された。

0008

1)熱間圧延上がりの熱延鋼帯は、例えば700℃以下でコイル状に巻き取られた後、そのコイルのままの状態で大気中において冷却されるのが通常である。このような冷却過程では、コイル内での材料位置によって、冷却速度バラツキが生じる。具体的には、コイルの外周部分の冷却速度は内周部分の冷却速度より大きくなり、また板幅方向の端部(エッジ部)の冷却速度は板幅方向の中央部寄りの部分よりも冷却速度が大きくなる。
このようなコイル内での冷却速度のバラツキによって、コイル内で、板長手方向及び板幅方向に材質の不均一、特に強度の不均一が生じ、ひいては冷間での変形抵抗の不均一が生じる。ここでは、このようなコイルを自己焼鈍コイルと称する。

0009

なお自己焼鈍コイルの材質(鋼種)は上記無方向性電磁板に限定されるものではなく、コイル内で、板長手方向及び板幅方向に材質の不均一、特に強度の不均一が生じ、ひいては冷間での変形抵抗の不均一が生じる鋼種を意味する。

0010

また自己焼鈍コイルは、上述のように鋼スラブを粗圧延機及び仕上げ圧延機により熱間圧延してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却したコイルに限定されるものでもなく、粗圧延を省略して仕上げ圧延に相当する熱間圧延を行ってコイルに巻き取り、そのコイルを大気中で冷却したコイルも含む。例えば薄板連続鋳造圧延法として知られる双ロール式連続鋳造法あるいはベルト式連続鋳造法等によって製造された薄肉鋳片(薄肉スラブ)については、粗圧延を施すことなく、直ちに仕上げ圧延機に相当するインラインミルで圧下してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却することがあるが、そのようなコイルも含むものとする。
さらに、連続鋳造から熱間粗圧延を経て熱間仕上げ圧延までを、途切れることなく一連続で行うプロセスも知られており、このような連続プロセスで仕上げ圧延されたストリップをコイルに巻き取り、そのコイルを大気中で冷却したコイルも含むものとする。

0011

2)上記のように自己焼鈍コイルでは、コイル内の長手方向及び板幅方向の材質の不均一が、自己焼鈍コイルの外周近傍かつエッジ近傍(巻き取られている熱延鋼帯の幅方向端部近傍)に発生するが、その不均一は、自己焼鈍コイル外周側の2〜3周分において、板幅方向の端部(エッジ部)から150mm〜250mm内側までの領域が顕著であり、これらの領域では、ストリップの板幅方向端部の強度が板幅方向中央部分の強度よりも10%から20%程度高くなることがある。

0012

3)上記のような材質の不均一のある自己焼鈍コイルを溶接によって連続化してストリップとし、酸洗して冷間タンデム圧延した際には、冷間タンデム圧延機の第1スタンドにおいて、上記の材質不均一部分での変形抵抗の差、すなわち板幅方向の両端部の変形抵抗が板幅方向中央部分の変形抵抗よりも大きいことから、圧延された板の形状が中伸びとなり、そのため、いわゆる絞りが発生して、板破断が生じることがある。

0013

4)中伸びによる絞り起因の板破断が生じれば、冷間タンデム圧延機内の圧延スタンドにおけるワークロールの損傷が生じてしまうことが多い。その場合には、圧延を中止して、ワークロールの交換が必要となるため、生産性が大幅に低下してしまう。

0014

5)さらに、絞り起因の板破断が激しい場合(激しい中伸びに起因する板破断の場合)には、ワークロールのみならず、ワークロールと接触している中間ロールあるいはバックアップロールの交換も必要となる。

0015

6)特に高速圧延時においては、絞り起因の板破断は激しく復旧に十時間程度の長時間を要する場合があり、生産性の著しい低下を招いてしまう。

0016

以上のように、自己焼鈍コイルについては、その後の冷間タンデム圧延において、絞り起因の板破断が生じやすく、生産性を阻害する恐れが強かったのが実情である。
そこで、板幅方向の変形抵抗のバラツキが少なく、冷間タンデム圧延において板破断の発生を防止し得るようにした自己焼鈍コイルを得る圧延設備、圧延方法の開発が求められていた。

0017

一般に、冷間圧延で絞りが生じないようにするためには、冷間圧延時に板形状の制御を行なうことが公知である。即ち、冷間圧延機スタンドの出側に形状検出器を設置して圧延された板形状を測定し、所望とする板形状に納まるように、例えば中伸び形状にならないように冷間圧延機スタンドの形状制御端(例えばワークロールベンダー力)を制御することが知られている(例えば特許文献2)。一般的にはこのような形状制御は冷間圧延機の最終スタンドで行われている。

0018

また、冷間タンデム圧延機の第1スタンドにおいて圧延機出側に形状検出器を設置して圧延された板形状を測定し、形状制御を行う方法が特許文献3で提案されている。さらに、冷間タンデム圧延機の第1スタンドと第2スタンドにおいて圧延機出側に形状検出器を設置し、圧延された板形状を測定して形状制御を行う方法が、特許文献4で提案されている。また冷間タンデム圧延機の全スタンドにおいて圧延機出側に形状検出器を設置して、圧延された板形状を測定し形状制御を行う方法が、特許文献5で提案されている。

0019

一方、板幅方向に不均一な変形抵抗分布がある場合の形状制御方法が特許文献6に開示されている。すなわち特許文献6には、予め熱延鋼帯の長手方向の先端部、中央部、尾端部の位置における熱延鋼帯の幅方向降伏応力を測定して変形抵抗分布パターン調査し、その結果に基づいて圧延機の形状プリセットを行う(熱延鋼帯の長手方向の先端部、中央部、尾端部の位置でそれぞれ異なる形状プリセットを行う)方法が開示されている。

0020

上記特許文献2〜特許文献5に開示された形状制御方法は、いずれか1以上の圧延機スタンドの出側に設置された形状検出器による板形状を測定して、測定された板形状が目標通りになるように、当該圧延機スタンドの形状制御端をフィードバック制御する方法である。この方法は、板形状が変化しても絞りが生じにくい熱延鋼帯や、サーマルクラウンのような比較的緩やかな変化に対しては有効であるものの、本発明で主に対象としている自己焼鈍コイルでは、必ずしも有効ではないことが認識されている。

0021

その理由は、ホットコイル焼鈍工程を省略した自己焼鈍コイルでは、変形抵抗分布の不均一が大きく、しかも長手方向で急激に変化するため、圧延後の形状も急激に大きく変化することにある。しかるに特許文献2〜特許文献5に示されるようなフィードバック制御による形状制御方法では、熱延鋼帯が或る圧延機スタンドからその圧延機スタンド出側の形状検出器に至るまでの間に無駄時間がある。そのため、形状変化が大きくかつ急激な場合、時間的にフィードバック制御では間に合わない。

0022

本発明者等が、自己焼鈍コイルについての絞りによる第1スタンドの板破断のデータを調査したところ、第1スタンドでの圧延速度200m/minでは約2秒の間に急峻度1%の端伸びから急峻度2%の中伸びに変化し、その結果絞りが生じて板破断に至る場合があることが確認されている。この場合において、第1スタンドのロールバイト出口から3m離れた箇所に形状検出器を設置しているため(スペース上、3m未満にすることは不可能)、形状検出するまでに1秒程度を要し、その後に形状制御を開始したとしても、さらに1秒程度を要するため、実際に形状制御が行われるまでには、ロールバイトを出てから2秒程度の無駄時間を要することになる。そのため上記の急激な形状変化に間に合わず、板破断を防止することは困難とある。この際、第1スタンドでの圧延速度を100m/minまで下げれば、形状制御が開始される相対的な圧延長は1/2に短くなるが、形状が検出されるまでの無駄時間が2倍になるため、圧延速度を下げても板破断を防止することは困難である。

0023

一方、特許文献6に開示された、予め原板コイルの長手方向の先端部、中央部、尾端部の材料の幅方向の降伏応力を測定して変形抵抗分布パターンを調査し、その調査結果(予測結果)にもとづいて圧延機スタンドでの形状プリセット(フィードフォワード制御)を行う方法は、熱延鋼帯のコイル毎再現性のある材料に関しては有効である。しかしながら、本発明で対象としている自己焼鈍コイルは、熱延仕上げの板形状やスケールや巻き取り後のコイル冷却条件コイル配置位置季節要因等)により、冷間圧延での板形状の変化の状況が大きく異なる。このため、予測結果に対するバラツキが大きく、実際上再現性があるとは言えない。すなわち、予測調査に基づいて変形抵抗分布をコイル全長にわたってパターン化することは困難である。ちなみに、不適切パターンを入力してしまえば、中伸びを助長して、板破断を誘発してしまうおそれがある。

0024

そのほか、上記のような変形抵抗分布パターンを予測することなく、変形抵抗分布が変化しても中伸びにならないように端伸び形状に圧延機スタンドをプリセットすることも考えられる。この方法は、熱延鋼帯の変形抵抗分布の不均一がさほど大きくなく、かつ熱延鋼帯の長さ方向にさほど変形抵抗の変化がなく、熱延鋼帯のコイルごとにバラツキのない材料についてはある程度有効である。しかしながら、本発明で主として対象とする自己焼鈍コイルでは、熱延鋼帯の長さ方向に変形抵抗分布の板幅方向分布が大きくばらつく。そのため、中伸びを防止するために変形抵抗分布が不均一な(板端が硬い)箇所でも端伸びになるようにプリセットすれば、変形抵抗分布が均一な(板端が硬い)箇所で端伸びが大きくなりすぎ、逆に端伸び過大による絞りが発生して、板破断を誘発してしまうおそれがある。

0025

以上のように、従来は、自己焼鈍コイルの如く、熱延鋼帯の長手方向及び幅方向の変形抵抗分布の不均一が大きいコイルについて冷間タンデム圧延するにあたって、板破断の発生を確実に防止する手法は、未だ確立されていなかったのが実情である。

0026

上述のような自己焼鈍コイルの板幅方向の材質の不均一は熱間圧延後の巻き取られたコイルの不均一冷却により発生することが知られている。そこで、できるだけ均一に冷却するように、例えば熱間圧延後の巻き取られたコイルをボックスで囲い、徐冷させる方法が、例えば特許文献7において提案されている。しかしながらこの方法では、大がかりな装置と大きなスペースが必要となり、生産量の少ない鋼種では有効ではあるものの、生産量の多い鋼種ではコストとスペースの問題があり、低コストでしかも省スペース性と高効率性(作業性含む)に優れた圧延設備及び圧延方法の開発が望まれている。

0027

本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、熱間圧延後に自己焼鈍させたコイル(自己焼鈍コイル)でも、板幅方向の材質バラツキを防止し、その後の冷間タンデム圧延機での圧延時に絞りによる板破断が生じないようにした圧延設備及び圧延方法であって、しかも低コストで省スペース性と高効率性(作業性含む)に優れた圧延設備及び圧延方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0028

以下に本発明の圧延設備、圧延方法の具体的な態様について示す。

0029

本発明の基本的な態様(第1の態様)の圧延設備は、
熱間圧延して巻き取られたコイルを大気中で冷却し、その後、冷間タンデム圧延機により冷間圧延する圧延設備において、
熱間圧延後の巻き取られたコイルを大気中で冷却するにあたって前記コイルを挿入するための中空円筒状のスリーブを備え、
前記スリーブは、その軸線方向両端開放されており、かつ厚み方向の少なくとも一部が断熱材によって構成されていることを特徴とするものである。

0030

また本発明の第2の態様の圧延設備は、
前記第1の態様の圧延設備において、
前記スリーブは、その軸線方向長さLが、次の(1)式を満たすことを特徴とするものである。
L≧W+2・(DS—3・DCO/4—DCI/4)tan30 ・・・(1)
ここで、(1)式において、
W:コイル板幅、
DCO:コイル外径
DCI:コイル内径
DS:スリーブ内径
であり、tanの角度(30)の単位は度とし、そのほかの寸法はすべてmmとする。

0031

さらに本発明の第3の態様の圧延設備は、
前記第1の態様の圧延設備において、
前記スリーブは、その中心軸線が水平となるようにスリーブを配置した状態における、スリーブの内周面のうちの上部に反射層が形成されていることを特徴とするものである。

0032

また本発明の第4の態様の圧延方法は、
前記第1〜第3のいずれかの態様の圧延設備によって熱間圧延してコイルに巻き取り、さらにそのコイルを大気中で冷却し、その後、冷間タンデム圧延機により冷間圧延するにあたり、
熱間圧延後の巻き取られたコイルを前記スリーブ内に挿入して大気中で冷却することを特徴とするものである。

発明の効果

0033

本発明の圧延設備、圧延方法では、熱間圧延後に自己焼鈍させたコイル(自己焼鈍コイル)でも、板幅方向の材質バラツキを防止し、その後の冷間タンデム圧延機での圧延時に絞りによる板破断が生じないようにすることができ、しかも低コストで省スペース性と高効率性(作業性含む)に優れている。

図面の簡単な説明

0034

本発明の一実施形態に係る圧延設備を用いて熱間仕上げ圧延後の巻取コイルを冷却する状況を段階的に示す略解図である。
本発明の圧延設備に用いられるスリーブの第1の例を示す縦断側面図である。
図2におけるIII−III線での断面図である。
本発明の圧延設備に用いられるスリーブの第2の例を示す縦断側面図である。
図4におけるV−V線での断面図である。
本発明の圧延設備に用いられるスリーブの第3の例を示す縦断側面図である。
図6におけるVII−VII線での断面図である。
本発明の圧延設備に用いられるスリーブの第4の例を示す縦断側面図である。
図8におけるIX−IX線での断面図である。
本発明の圧延設備に用いられるスリーブの第5の例を示す縦断側面図である。
図8におけるXI−XI線での断面図である。
本発明の圧延設備に用いられるスリーブの好ましい寸法関係を説明するための、スリーブの縦断側面図である。
本発明者等の実験による角度θと強度比との関係を示すグラフである。
本発明の圧延設備に用いられるスリーブの第6の例を示す縦断側面図である。
図14におけるXV−XV線での断面図である。
本発明の圧延設備における、熱間圧延設備部分の一例を示す略解図である。
本発明の圧延設備における、冷間圧延設備部分の一例を示す略解図である。

0035

本発明の圧延設備は、一例として、後述する図16図17に示す設備からなるものである。
図16は、熱間圧延設備の仕上げ圧延機以降を示す図である。図示しないが鋼スラブは加熱炉にて加熱され、その後サイジングプレスにより幅調整が行われ、粗圧延機で途中の板厚まで延ばされる。このようにして粗圧延機で途中の板厚まで延ばされたスラブ2は、図16に示すように、仕上げ圧延機3によって仕上げ板厚まで延ばされ、その後冷却ゾーン4を通って巻取機5によってコイル状に巻き取られる。巻き取られたコイル15は大気中で冷却することによって自己焼鈍コイルC1,C2となる。その後、自己焼鈍コイルC1,C2は、例えば図17に示しているように、冷間タンデム圧延機11により冷間圧延されて、より薄肉に延ばされる。

0036

ここで、本発明の圧延設備では、一例として図16に示しているように、熱間仕上げ圧延後のコイル15を大気中で冷却するにあたって、そのコイル15を挿入するための中空円筒状のスリーブ20を備えている。またこのスリーブ20は、軸線方向両端が開放されており、かつ厚み方向の少なくとも一部が断熱材によって構成されている。

0037

このような圧延設備のうち、熱間圧延して巻き取ったコイルをスリーブに挿入して大気中で冷却する状況の一例について、図1に段階的に示す。

0038

図1において、(a)には、熱間仕上げ圧延後の巻き取られた直後のコイル15を示す。このコイル15は、未だ700℃弱程度の高温状態となっている。
コイル15は、巻取機(コイラー)の巻取軸マンドレル)から取り外され、その内周側の中空部に、図1の(b)に示すように適宜の支持軸16が水平方向に沿って挿入されて、支持軸16によってスリーブ20の位置(巻取機の近傍)まで移送される。なお支持軸16は、例えばフォークリフトフォークであっても、そのほか専用の片持ち支持棒であってもよい。なおスリーブ20は、その中心軸線Osが水平となるように、図示しない巻取機の近傍で待機している。ここでスリーブ20は、その軸線方向長さLが、コイル15の幅(巻き取られた板の幅)Wよりも大きく作られている。

0039

そしてコイル15は、図1の(c)に示すように、スリーブ20の内側中空部に、水平方向に沿って挿入される。ここで、コイル15は、その幅方向(巻き取られた板の幅方向)の中央位置Mcが、スリーブ20の軸線方向長さの中央位置Msと一致するように、あるいはそれに近い位置となるように、スリーブ20内に挿入される。

0040

その後、支持軸16が下降し、図1の(d)に示すように、支持軸16がコイル15のスリーブ20の内側中空部の底面上に静置された後、コイル15から抜き取られる(図1の(d)参照)。そしてこの状態を保ったまま、コイル15が大気中で放冷され、自己焼鈍が進行する。自己焼鈍されたコイル(自己焼鈍コイル)は、後に改めて図17を参照して説明するように、冷間タンデム圧延に付される。

0041

上記のように、コイル15をスリーブ20内に挿入した状態で放冷(自己焼鈍)させることにより、自己焼鈍コイルは、外周側の部分での板幅方向の強度差(変形抵抗分布の不均一)が小さくなる。
その理由は次の通りである。

0042

すなわち、従来の通常の自己焼鈍コイルでは、熱間仕上げ圧延−巻き取り後にカバー等の保温部材が無い状態で空冷される。この際、熱間圧延時に加熱されたコイルにおける、コイル外周部分でかつコイル端部(幅方向板端部)の部分は、冷却速度が速いため、板中央部よりも温度低下が早くなり、その結果、結晶粒成長が抑えられて板中央部よりも細粒で硬くなる。その結果、板幅方向に強度差(変形抵抗分布の不均一)が大きくなり、既に述べたように、その後の冷間タンデム圧延で絞りによる板破断が生じやすくなる。

0043

これに対して、上記のようなスリーブを用いた空冷では、スリーブの内周面が熱障壁として機能して、コイルの板端部から放射される熱がスリーブの内周面にあたって輻射により反射され、コイル側に戻って来る。その結果、コイル外周部でかつ板端部の部分の冷却速度が遅くなり、その部分での結晶粒の成長が促進されて、板中央部と板端部との強度差(変形抵抗分布の不均一)が小さくなると考えられる。

0044

またここで、両端が開放された中空円筒という単純な形状のスリーブ内にコイルを挿入するだけで、上記のように変形抵抗分布のバラツキが小さい自己焼鈍コイルが得られるから、例えば特許文献7に示されるようなボックスを用いる場合と比較して、低コストでしかも省スペース性と高効率性(作業性含む)に優れている圧延設備、圧延方法であると言うことができる。

0045

さらにスリーブ20の具体的構成の各例について、図2図11を参照して説明する。

0046

スリーブ20は、その全体形状としては、両端が開放された中空円筒状をなすものである。そしてスリーブ20は、その外周部分(円筒部部分)の厚み方向(円筒としての半径方向)の少なくとも一部が、断熱材によって構成されている。具体的には、例えば第1の例として図2図3に示しているように、鉄等の高剛性材料からなる中空円筒状の高剛性外筒部20aの内周にセラミック繊維セラミックウール)やロックウール繊維、あるいはシリカウール等の断熱材からなる断熱内筒部20bを嵌め込みもしくは貼り付け等によって形成した2層構成とすればよい。

0047

またスリーブ20は、例えば第2の例として図4図5に示しているように、前記同様な高剛性外筒部20aの内周面に前記同様な断熱材からなる内面被覆層20cをコーティングした2層構造としてもよい。

0048

またスリーブ20は、例えば第3の例として図6図7に示しているように、前記同様な高剛性外筒部20aと、同じく鉄等の高剛性材料からなる小径中空円筒状の高剛性内筒部20dとの間に、前記同様な断熱材からなる断熱中間筒部20eを介挿させた3層構造としてもよい。

0049

そのほか、図示はしないが、断熱材のみによって十分な剛性が確保できる場合(例えば硬質セラミック焼結体を用いた場合等)には、スリーブ20の全体を断熱材によって一体に形成した1層構造とすることも可能である。
なおいずれの場合においても、スリーブ20における断熱材部分の軸線方向長さ(自己焼鈍コイルの板幅方向に相当する方向での長さ)は、スリーブ20の全長Lと等しいことが好ましい。言い換えれば、断熱材部分は、スリーブ20の全長Lにわたって形成しておくことが好ましい。

0050

またスリーブ20は、いずれの場合においても、その内径がコイル15の外径よりもある程度大きく、かつ軸線方向の長さLが、コイル15の幅(板幅)よりもある程度大きく設定される。これにより、スリーブ20内に、熱間仕上げ圧延上がりの巻き取られたコイル15を容易に挿入することができ、かつスリーブ20の両端からコイル15の幅方向両端が突出しないようにスリーブ20内にコイル15を収容することができる。

0051

さらにスリーブ20の内周面には、図8図9に示しているように、コイル15を位置決めするため(あるいはスリーブ内でのコイルの滑り移動を防止するため)の突起部21を設けてもよい。また図10図11に示しているように、スリーブ20自体の転動を防止するため、ストッパー22を設けておいてもよい。

0052

なお、以上ではコイル15を巻取機(コイラー)の巻取軸(マンドレル)から取り外した後に、スリーブ20内にコイル15を挿入する場合について説明したが、場合によっては、コイル15を巻取機(コイラー)の巻取軸(マンドレル)から取り外す前に、コイル15を取り囲むようにスリーブ20を取り付けても良い。

0053

以上のようなスリーブ20の寸法、特に軸線方向の長さLについての好ましい条件について、図12を参照して説明する。

0054

スリーブ20は、その軸線方向長さLが、次の(1)式を満たすことが望ましい。
L≧W+2・(DS—3・DCO/4—DCI/4)tan30 ・・・(1)
ここで、(1)式において、
W:コイル板幅、
DCO:コイル外径、
DCI:コイル内径、
DS:スリーブ内径
であり、tanの角度単位は度とし、そのほかの寸法はすべてmmとする。またスリーブ内径DSは、断熱材を含んだスリーブ全体の内径を意味する。

0055

(1)式の意味するところは、次のとおりである。

0056

図12に示すように、コイル15を、その長さ方向中心位置Ocがスリーブ20の板幅方向中心位置OSに一致するようにスリーブ20内に静置した状態(したがってコイル15の下面がスリーブ20の内面底部に接している状態)を想定する。
さらにコイル15の外周面15aからコイルの内周面15bに向かって、コイル15の外径・内径差D(=DCO—DCI)の1/4分の個所コイル幅方向端部位置をPとする。またスリーブ20の長さ方向端部の内周面位置をQとする。そして位置Pから位置Qに向かう線分Mが、コイル15の中心軸線に対して直交する面Nに対してなす角度をθとする。

0057

コイル15の端部からスリーブ20の端部が突出する水平方向長さ(片側の突出長さ)をLpとすれば、
Lp=(DS—3・DCO/4—DCI/4)tanθ・・・(2)
と表わせる。
スリーブの全長Lは、
L=W+2・Lp ・・・(3)
であるから、(2)式、(3)式から、次の(4)式が導かれる。
L=W+2・(DS—3・DCO/4—DCI/4)tanθ ・・・(4)

0058

そして(4)式において角度θを30度以上とすれば、前述の(1)式が得られる。すなわち、後述するように、本発明者等が種々実験を重ねたところ、上記の角度θが30度以上であれば、コイル外周部でかつ板幅端部の冷却速度が遅くなり、その部分での結晶粒の成長が促進されて、板中央部と板端部との強度差(変形抵抗分布の不均一)が小さくなることを見出したのである。

0059

ここで、スリーブによる保温効果、とりわけコイルの外周部分でかつ板幅方向両端部分に対する保温効果を発揮させるためには、コイルのその部分からの放射熱がスリーブとコイルとの間の隙間の両端から外側にできるだけ逃げないことが好ましい。そのための条件、特にコイルの外周部分でかつ板幅方向両端部分からの放射熱がスリーブ内周面で反射されて、輻射熱としてコイルに戻ることにより、その部位の保温効果を高めるための条件として、角度θを30度以上とすること、すなわちスリーブの全長Lが上記の(1)式を満たすことが好ましいことを実験により見出した。

0060

本発明者等の実験の一部の結果を図13に示す。
図13は、自己焼鈍後のコイルにおける板端部の強度(板端から5mm内側の耐力)を板中央部の強度(板中央部の耐力)で除した値(強度比)に及ぼす上記角度θの影響を調べた結果を示すものである。コイルとしては、主として幅1220mm 単重15トン、コイル内径51mm、コイル外径1500mmのものを用いた。
スリーブは、図2図3に示した2層構造とし、鉄製の高剛性外筒部20aは、その厚みを50mmとし、内径を、1760mm、1860mm、1960mmの3水準とした。またスリーブの内面(全域、全周)側の断熱内筒部20bは、いずれも厚さ30mmのセラミックファイバーで形成した。したがってスリーブ全体の内径(断熱材を含む)は、1700mm、1800mm、1900mmの3水準である。

0061

スリーブの無いもの(角度θが0度)から、θ=60度まで角度θを種々変化(したがってスリーブ長Lを種々変化)させたスリーブをセットして自己焼鈍を行い。強度比を調査した。なお自己焼鈍の条件は、熱間仕上げ圧延終了温度を1080℃、巻き取り温度を680℃とし、巻き取り完了後、巻取機からコイルを取り外し、120秒以内にスリーブ内に挿入し、室温まで空冷した。

0062

図13に示す結果から、角度θがゼロから30度程度に至るまでは、角度θが大きくなるに従って強度比が小さくなり、さらに角度θが30度程度より大きくなれば、その効果が飽和することを見出した。そして、角度θが30度程度以上で強度比は5%未満となることを見出した。ここで、強度比が5%未満の場合は、その後の冷間タンデム圧延において、わずかな形状変化が生じることはあるものの、絞りを生じるような激しい中伸びにはならないこと、言い換えれば、中伸びによる板破断を回避できることを確認した。

0063

さらに、板幅やコイル単重、あるいはコイル内径や外径を種々変化させて同様な調査を行ったところ、表1A、表1Bに示す結果が得られた。表1A、表1B中において、不均一性評価の欄の○は強度比が5%未満、×は強度比が5%以上を示す。

0064

0065

0066

表1A、表1Bからも、角度θが30度以上となるようにスリーブ長Lを設定することによって、強度比を5%未満に抑え得ることが明らかである。

0067

以上のところにおいて、スリーブ20は、図14図15に示すように、その中心軸線が水平となるようにスリーブを配置した状態における、スリーブ20の内周面のうちの上部に反射層23を形成しておいてもよい。このような反射層23を形成しておけば、コイルの外周部の板幅方向端部からの放射熱を、反射層23によって効果的に反射させることができる。その結果、反射層を設けない場合よりも5〜20%程度、スリーブ長を短縮することができる。なおこの反射層23は、例えば金属光沢を有する金属板によって構成したり、コーティングによって形成したりすればよい、また反射層23を形成する範囲は、図15中に示しているように、スリーブの中心軸線位置Oを基準とする角度範囲αが、100度以上、より好ましくは110度以上となるように設定することが好ましい。

0068

<圧延設備についての実施形態>

0069

さらに、本発明の圧延方法を電磁鋼板の製造ラインに適用する場合の圧延設備の全体的な構成についての好適な例を、図16図17を参照して説明する。

0070

図16は、本発明の圧延設備のうち、熱間圧延設備における仕上げ圧延機以降の部分の一例を示す図である。
図16において、スラブ2は、仕上げ圧延機5によって、例えば厚さ2〜5mm程度の板厚になるように圧延され、さらに仕上げ圧延機5から出たストリップは、冷却ゾーン4を通過して、連続的に巻取機5によって巻き取られ、コイル15となる。

0071

巻き取られたコイル15は、巻取機5から取り外されて、巻取機5の近傍に配置されたスリーブ20に挿入される。この際、巻き取り直後のコイル15を、例えば一旦クレーンで移動し、スリーブ20にフォークリフトを用いて装着したりすればよい。また図示しないが、スリーブ装着を自動的に行う設備を設けても良い。
上記のようにスリーブに挿入された状態で空冷されることによって自己焼鈍されたコイル(自己焼鈍コイルC1、C2)は、後に説明する図17に示すような冷間タンデム圧延設備に送られる。

0072

本発明の一例としては、質量%でC≦0.008%、2%≦(Si+Al)≦3、0%.02%≦Mn≦1.0%、S≦0.003%、N≦0.002%、Ti≦0.003%、0.001%≦REM≦0.02%を含有し、更に、0.3%≦Al/(Si+Al)≦0.5%の関係を満足し、残部Fe及び不可避的な不純物を含む無方向性電磁鋼板用スラブを用い、熱間仕上げ圧延温度が1050℃以上となるような温度範囲で熱間仕上げ圧延を行い、その後の無注水時間を1秒以上7秒以下とし、注水冷却により700℃以下で巻き取りを行い、巻き取られたコイルをスリーブに挿入しての空冷を行い、自己焼鈍コイルC1、C2とすることが好適である。

0073

図16に示した熱延設備によって得られた自己焼鈍コイルC1,C2は、図17に示す冷間圧延設備に送られる。
図17において、自己焼鈍コイルC1,C2はコイル払い出し機7に供給される。コイル払い出し機7によって自己焼鈍コイルC1,C2から払い出された板は、溶接機8により先行コイルからの板の尾端と後行コイルからの板の先端とが溶接されて連続化されたストリップ(自己焼鈍ストリップ)Sとなり、ルーパー9に送られる。なお以下では。自己焼鈍コイルC1,C2から払い出されて連続化された自己焼鈍ストリップSを、単にストリップ、あるいは自己焼鈍板と称することがある。
ルーパー9は、溶接機8におけるコイル接合中の払出しが無い場合(すなわちストリップの走行が停止している場合)でも、下流工程でストリップの供給の停滞がないように制御される。なお、コイル払い出し機7に供給される自己焼鈍コイルC1,C2は、ホットバス等で温度60℃以上に予め加熱しても良い。

0074

ルーパー9を通過した自己焼鈍ストリップSは、酸洗設備10に供給される。この酸洗設備10で、自己焼鈍コイルの表面スケールが除去(溶削)される。なお、酸洗前に溶削効率を上げるために、自己焼鈍ストリップSの表面にクラックを入れる圧延機や、レベラーもしくはテンションレベラー、あるいはショットブラスト(乾式又は湿式)やグラインダーを設置しても良い。

0075

酸洗されて表面スケールが除去された自己焼鈍ストリップSは、冷間タンデム圧延機11に送られ、より薄い板厚に圧延される。

0076

冷間タンデム圧延機11は、本実施形態では直列状に配列された5スタンドの圧延機スタンド11a〜11eによって構成されており、第1スタンド11aから第5スタンド11eは、それぞれ例えば4重圧延機(4Hiミル)で構成されている。
さらに、冷間タンデム圧延機11では、図示していないが、各スタンドの入側と出側にてクーラントと称される圧延潤滑油を水に混入してエマルションにした圧延潤滑油が供給される。供給されたクーラントは図示しないタンク回収され、再び各スタンドに供給されるリサーシュレーション潤滑が行われる。

0077

上記冷間タンデム圧延機11においては、例えば板厚2.3mm、板幅1200mmの無方向性電磁鋼板用の自己焼鈍ストリップが、板厚0.3mmまで圧延される。また、クーラントとしては、例えば合成エステルヒンダードコンプレックスエステル)をベース油とした圧延潤滑油が濃度2%、温度60℃で、各スタンドに1〜3m3/min供給(入側と出側の合計)され、圧延潤滑とワークロール冷却を行っている。

0078

各圧延機スタンド11a〜11eのワークロール径は、例えば500mm〜700mm、バックアップロール径は、例えば1300mm〜1600mm、胴長は例えば2000mmとされる。

0079

冷間タンデム圧延機11の下流には、連続化されて圧延された自己焼鈍ストリップを切断する切断機12が配備され、その下流には、連続化されて圧延された自己焼鈍ストリップを巻き取るカローゼルリール13が配備されている。図示しないがカローゼルリール13で巻き取られ切断されたコイルは、ロールから払い出され、コンベアーに載せられ、次工程の工場等に向けて搬出される。

0080

以下、本発明の圧延方法に関する実施例(本発明例)及び比較例(従来技術)について説明する。
実施例及び比較例は、いずれも図16図17に示した構成を備えた圧延設備において実施した。

0081

実施例、比較例でタンデム冷間圧延に供したストリップは、板厚2.3mm、板幅1200mmの無方向性電磁鋼板用の自己焼鈍ストリップであり、質量%でC:0.007%、(Si+Al):2.5%、Mn:0.5%、S:0.001%、N:0.001%、Ti:0.001%、REM:0.01%を含有し、更に、Al/(Si+Al):0.4%の関係を満足し、残部Fe及び不可避的な不純物を含む無方向性電磁鋼板用スラブを用い、熱間仕上げ圧延温度が1090℃となるような熱間仕上げ圧延を行って、680℃でコイルに巻き取った。

0082

そして実施例では、巻き取ったコイルをスリーブに挿入し、そのまま室温まで空冷して自己焼鈍させた。巻き取ったコイル(熱延仕上げコイル)は、板厚2.3mm、板幅1220mm、コイル内径508mm、コイル外径1500mm、コイル単重15tonである。スリーブとしては、内面(全域、全周)に厚さ30mmの断熱材(セラミックファイバー)を設けた、内径(セラミック材を含む)1600mm、スリーブ長1622mm(角度θ=30度)のものを用いた。

0083

方比較例では、熱間仕上げ圧延後のコイル(各寸法、重量は実施例と同じ)について、何もせずに(スリーブに挿入することなく)室温まで空冷して自己焼鈍させ、自己焼鈍コイルとした。

0084

さらに実施例、比較例ともに、自己焼鈍コイルから払い出されたストリップを溶接により連続化し、自己焼鈍ストリップとして上記の冷間タンデム圧延機により板厚0.3mmまで圧延した。なお圧延速度は、コイル切り替え時の最終スタンドの圧延速度を250m/min、最終スタンドの最高圧延速度を1100m/minとした。また、下記表2に示すように、各スタンド間における張力は50〜250MPaとした。
実施例、比較例により、自己焼鈍ストリップをそれぞれ100コイル分、圧延して、前述の強度比、及び板破断の発生状況を調べた。

0085

0086

実施例、比較例により、自己焼鈍ストリップをそれぞれ100コイル分、圧延して、前述の強度比、及び冷間圧延機での板破断の発生状況を調べた。
その結果は次の通りである。

0087

比較例(従来技術)では、強度比が1.1〜1.2で、板破断の発生確率は89%であった。
一方実施例(本発明例)では、強度比が1.0〜1.04で、板破断の発生は認められなかった。

0088

以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

0089

例えば、上記実施形態では、無方向性電磁鋼板の自己焼鈍材を対象としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、方向性電磁鋼板や、そのほか高張力鋼、ステンレス鋼板等を対象としてもよく、さらに自己焼鈍された熱延ストリップに限らず、ストリップの長さ方向、板幅方向に大きな変形抵抗の不均一がある場合に適用して、冷間タンデム圧延時の板破断を防止することができる。

0090

また、本発明の圧延設備における、熱間仕上げ圧延機より上流側の部分の構成についてはも、特に限定されるものではない。すなわち一般に熱間仕上げ圧延機の上流には熱間粗圧延機を設けておくことが多いが、薄板連続鋳造圧延法として知られる双ロール式連続鋳造法やベルト式連続鋳造法等によって製造された薄肉鋳片(薄肉スラブ)を熱間圧延する場合、粗圧延を施すことなく、直ちに仕上げ圧延機に相当するインラインミルで圧延することが通常であり、本発明ではこのような場合も含むものとする。

実施例

0091

以上、本発明の好ましい実施形態及び実験例について説明したが、これらの実施形態、実験例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。

0092

C1,C2自己焼鈍コイル
S 自己焼鈍ストリップ
2鋼スラブ
3仕上げ圧延機
5巻取機
7冷間タンデム圧延機
15 コイル
20 スリーブ

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