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課題
解決手段
概要
背景
概要
外力が作用した場合でも、導電層やガラス板にクラックが生じるのを防止することができる、接続端子及びその固定方法を提供する。本発明は、車両用のガラス板に設けられた導電部に固定される接続端子であって、前記導電部に固定される固定面を有する設置部と、前記ガラス板から離れる方向に向かって、前記設置部から延びる起立部と、前記起立部に接続され、給電が行われる給電部を有する接続部と、前記固定面に取り付けられた半田と、を備え、前記半田は、前記設置部の固定面からはみ出す突出部を備えている。
目的
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、外力が作用した場合でも、導電層やガラス板にクラックが生じるのを防止することができる、接続端子及びその固定方法を提供する
効果
実績
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請求項1
車両用のガラス板に設けられた導電部に固定される接続端子であって、前記導電部に固定される固定面を有する設置部と、前記ガラス板から離れる方向に向かって、前記設置部から延びる起立部と、前記起立部に接続され、給電が行われる給電部を有する接続部と、前記固定面に取り付けられた半田と、を備え、前記半田は、前記設置部の固定面からはみ出す突出部を備えている、接続端子。
請求項2
前記起立部は、前記設置部の端部から延びており、前記半田の突出部は、前記設置部において前記起立部が設けられた端部からはみ出している、請求項1に記載の接続端子。
請求項3
前記接続部は、前記設置部と略平行に延びている、請求項1または2に記載の接続端子。
請求項4
前記半田の突出部は、前記設置部の固定面から0.1〜3.0mmはみ出している、請求項1から3のいずれかに記載の接続端子。
請求項5
前記接続部は、前記設置部から離れる方向に延びている、請求項1から4のいずれかに記載の接続端子。
請求項6
前記半田の突出部は、前記接続部が延びる方向にはみ出している、請求項1から5のいずれかに記載の接続端子。
請求項7
前記半田のヤング率は、10〜50GPaである、請求項1から6のいずれかに記載に接続端子。
請求項8
前記半田は、無鉛半田である、請求項1から7のいずれかに記載に接続端子。
請求項9
請求項10
前記導電ケーブルは、前記設置部とは反対方向に延びるように、前記給電部に接続されている、請求項9に記載の接続端子ユニット。
請求項11
技術分野
背景技術
先行技術
0003
特表2014−519149号公報
発明が解決しようとする課題
0004
ところで、上記のような接続端子は、導電層に半田を介して固定される。しかしながら、接続端子が何かに引っ掛かったり、あるいは接続端子に接続されているケーブルが不意に引っ張られると、半田、導電層、またはガラス板にクラックが生じるおそれがある。
0005
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、外力が作用した場合でも、導電層やガラス板にクラックが生じるのを防止することができる、接続端子及びその固定方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0006
本発明に係る接続端子は、車両用のガラス板に設けられた導電部に固定される接続端子であって、前記導電部に固定される固定面を有する設置部と、前記ガラス板から離れる方向に向かって、前記設置部から延びる起立部と、前記起立部に接続され、給電が行われる給電部を有する接続部と、前記固定面に取り付けられた半田と、を備え、前記半田は、前記設置部の固定面からはみ出す突出部を備えている。
0007
上記接続端子において、前記起立部は、前記設置部の端部から延びており、前記半田の突出部は、前記設置部において前記起立部が設けられた端部からはみ出しているものとすることができる。
0008
上記接続端子において、前記接続部は、前記設置部と略平行に延びているものとすることができる。
0009
上記接続端子において、前記半田の突出部は、前記設置部の固定面から0.1〜3.0mmはみ出しているものとすることができる。
0010
上記接続端子において、前記接続部は、前記設置部から離れる方向に延びているものとすることができる。
0011
上記接続端子において、前記半田の突出部は、前記接続部が延びる方向にはみ出しているものとすることができる。
0012
上記接続端子において、前記半田のヤング率は、10〜50GPaとすることができる。
0013
上記接続端子においては、前記半田を、無鉛半田とすることができる。
0014
本発明に係る接続端子ユニットは、上述したいずれかの接続端子と、前記給電部に接続される導電ケーブルと、を備えている。
0015
上記接続端子ユニットにおいて、前記導電ケーブルは、前記設置部とは反対方向に延びるように、前記給電部に接続することができる。
0016
本発明に係る接続端子の固定方法は、上述したいずれかの接続端子を準備するステップと、前記半田を溶融させることで、前記設置部を前記導電部に固定するステップと、を備え、前記導電部に固定された後の前記半田の突出部は、前記導電部と前記起立部との間で、側面視において、外側に突出する形状に形成される。
発明の効果
0017
本発明に係る接続端子によれば、外力が作用した場合でも、導電層やガラス板にクラックが生じるのを防止することができる。
図面の簡単な説明
0018
本発明の一実施形態に係るガラス板モジュールの平面図である。
図1のガラス板モジュールに用いられる接続端子の側面図である。
図2の平面図である。
図2に示す接続端子をガラス板に取付ける方法を示す側面図である。
図2に示す接続端子をガラス板に取付ける方法を示す側面図である。
図2に示す接続端子をガラス板に取付ける方法を示す側面図である。
図6に係る接続端子の負荷時のメカニズムを説明する図である。
本発明に係る接続端子の他の例を示す側面図である。
本発明に係る接続端子の他の例を示す側面図である。
実施例に係る接続端子の側面図(a)及び底面図(b)である。
比較例に係る接続端子の側面図(a)及び底面図(b)である。
導電層に取付けられた実施例を示す写真である。
導電層に取付けられた比較例を示す写真である。
接着強度試験の方法を示す図である。
0019
以下、本発明に係る接続端子を車両のガラス板に固定する態様を示す一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、接続端子が固定されたガラス板モジュールの平面図である。図1に示すように、このガラス板モジュール10は、自動車の窓枠に嵌め込まれるものである。具体的には、このガラス板モジュール10は、ガラス板1と、このガラス板1に積層されるデフォッガ2(導電層)と、このデフォッガ2に無鉛半田4によって取り付けられる一対の接続端子3と、を備えている。各接続端子3には、車内から延びる給電用のケーブル5が取り付けられ、ケーブル5から供給される電流が接続端子3を介してデフォッガに供給される。以下、各部材について説明する。
0020
<1.ガラス板>
ガラス板1には、自動車用の公知のガラス板を利用することができる。例えば、ガラス板1には、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラス若しくはグリーンガラス、濃色のプライバシーガラス、又はUVグリーンガラスが利用されてもよい。ただし、このようなガラス板1は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、日射吸収率、可視光線透過率などが安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
0021
(クリアガラス)
SiO2:70〜73質量%
Al2O3:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
R2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3):0.08〜0.14質量%
0022
(熱線吸収ガラス)
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl2O3)をT−Fe2O3、CeO2及びTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
0024
また、本実施形態に係るガラス板1の厚みは、特には限定されなくてもよい。ただし、軽量化の観点からは、ガラス板1の厚みは、2.2〜5.1mmの範囲で設定されてもよく、2.4〜3.8mmの範囲で設定されてもよく、2.7〜3.2mmの範囲で設定されてもよい。更に、ガラス板1の厚みは3.1mm以下となるように設定されてもよい。
0026
<2.デフォッガ>
次に、デフォッガ2について説明する。図1に示すように、デフォッガ2は、ガラス板1の両側縁に沿って上下方向に延びる一対の給電用の第1バスバー21及び第2バスバー22を備えている。両バスバー21、22の間には、複数の水平エレメント23が所定間隔をおいて平行に配置されている。
0027
そして、第1バスバー21に取り付けられる接続端子3から電流が供給され、第2バスバー22に取り付けられる接続端子は、ケーブル5を介して接地されている。この構成によって、デフォッガ2に電流が供給されると、水平エレメント23に防曇用の熱が発生するようになっている。なお、バスバー21,22や水平エレメント23は、例えば、導電性の銀ペーストをガラス板1の表面上に印刷し焼成することによって形成される。ただし、デフォッガ2を構成する材料は、この銀ペーストに限定されず、適宜選択可能である。
0028
<3.接続端子>
次に、接続端子について図2及び図3を参照しつつ説明する。図2は接続端子の側面図、図3は接続端子の平面図である。以下では、説明の便宜のため、図2に示す方向に沿って説明を行う。具体的には、図2の上下方向を上下方向、図2の左右方向を前後方向、図3の上下方向を左右方向または幅方向と称して説明を行うこととする。
0029
図2及び図3に示すように、本実施形態に係る接続端子3は、例えば、板状の金属などの導電性材料を折り曲げて一体的に形成された端子本体30と、この端子本体30に取り付けられた無鉛半田4と、を備えている。端子本体30は、デフォッガ2のバスバー21,22に設置される一の板状の設置部31を備えている。設置部31は、全体として矩形状に形成されているが、前端側が円弧状に形成されている。そして、この設置部31の下面(固定面)311が、無鉛半田4を介してバスバー21,22に固定される。設置部31の前後方向の長さは、例えば、3〜15mm、より好ましくは4〜12mmとすることができる。
0030
設置部31の後端部には、上方に起立する板状の起立部32が一体的に連結されている。起立部32は、矩形状に形成されており、設置部31に対して約90度の角度で起立している。なお、設置部31に対する起立部32の角度αは特には限定されないが、80〜150度であることが好ましく、80〜120度であることがさらに好ましい。このように、角度αを80度以上にすることで、後述するように、無鉛半田4が重力に抗して設置部31から接続部33へと移動するのを防止することができる。一方、150度以下とすることで、後述するように無鉛半田4を加熱する際の作業性を確保することができる。
0031
そして、起立部32の上端部には、後方へ向かって水平に延びる板状の接続部33が一体的に連結されている。接続部33は、平面視矩形状に形成されており、その左右の両側には、下方に延びる一対の保持部(給電部)34が一体的に連結されている。ここで、設置部31の下面から接続部33の下面までの、ガラス板1の垂線方向の距離Lは、2mm以上であることが好ましく、2.5mm以上であることがさらに好ましく、3mm以上であることが特に好ましい。これは、距離Lを2mm以上とすることで、後述するように、無鉛半田4が重力に抗して設置部31から接続部33へと移動するのを防止するためである。また、接続部33の前後方向の長さは、例えば、5〜30mm、より好ましくは8〜25mmとすることができる。これは、接続部33の長さが長すぎると接続端子30の設置スペースが十分に確保できないからである。一方、接続部33の長さが短すぎると、後述するように、接続部33に作用する力を吸収しがたくなり、半田4に過度な力が作用してデフォッガ2から剥がれるおそれがあることによる。
0032
また、各保持部34には、接続部33の後端側に配置される第1保持片341と、この第1保持片341よりも下方への長さが短く、前端側に配置される第2保持片342と、を備えている。このように、両保持部34は、接続部33上で設置部31よりも後端側に配置されている。そして、後述するように、両保持部34の間にケーブル5を配置し、両保持部34を加締めることで、ケーブル5は保持部34に固定される。
0033
接続端子30は、上記のように一枚の板材によって形成されているが、この板材の厚みは、例えば、0.1〜2.0mm、好ましくは0.4〜1.0mmとすることができる。これは、板材が薄すぎると、ケーブル5を上方に持ち上げたとき、接続部33が起立部32に対して簡単に曲がるため、好ましくないからである。一方、板材が厚すぎると、上記のように、接続部33に作用する力を吸収しがたくなり、半田4に過度な力が作用してデフォッガ2から剥がれるおそれがあることによる。
0034
<4.半田>
次に、端子本体30の設置部31に塗布される無鉛半田4について説明する。図2及び図3に示すように、無鉛半田4は、概ね板状に形成され、設置面31の下面311全体に取り付けられている。さらに、この無鉛半田4は、設置部31の後端から後側にはみ出す突出部41を有している。突出部41は、設置部31の後端、つまり設置部31と起立部32との連結部分から接続部31が延びる方向に突出しており、その突出長さbは、例えば、0.1〜3.0mmとすることが好ましく、0.3〜2.5mmとすることがさらに好ましい。これは、0.1mm以上とすることで、固化後の無鉛半田が後述するように側面視で扇形状に形成できるからである。一方、3.0mmより大きいと、無鉛半田が接続部33と接触する高さまで盛り上がってしまう。このような形状においては、特に接続部33に上方への折り曲げの力が強く加わると、接続部33と起立部32が半田から外れてしまいやすくなるからである。また、無鉛半田4の厚みは、例えば、0.3〜1.5mmとすることができる。なお、無鉛半田4の突出部41は、後述するように、固定時には、その下面がバスバー21,22に接触するが、その上面411は、接続端子3に接しておらず、且つバスバー21,22にも接触しない面を構成している。
0035
このような無鉛半田4は、予め板状に形成された後、その一部を溶融して、設置部31に固定することができる。また、無鉛半田4を構成する材料は、特には限定されないが、例えば、インジウム系、ビスマス系、スズ系、スズ−銀系、スズ−亜鉛系等の無鉛半田を用いることができる。特に、インジウム系の無鉛半田は、柔らかい材料であるため、残留応力によるガラス板の破損を抑制することができる。また、応力集中を緩和するため、融点が150℃以下であるインジウム系等の柔らかい無鉛半田を用いることが好ましい。
0036
<5.接続端子の取付け>
次に、接続端子の取付け方法について、図4〜図6を参照しつつ説明する。まず、図4に示すように、両保持部34の間にケーブル5を配置し、両保持部34を加締めることで、ケーブル5を接続部33の下面側に固定する。なお、ケーブル5は、接続端子3の両保持部34との接続部を除いてゴム等の非導電性部材で被覆されている。
0037
続いて、上記のように準備された接続端子3をバスバー21,22に固定する。まず、図5に示すように、バスバー21,22上に接続端子3を配置する。すなわち、無鉛半田4がバスバー21,22と接するように配置する。このとき、無鉛半田4の突出部41の上面411は、接続端子3、バスバー21,22のいずれにも接触していない。続いて、端子本体30の設置部31の上面側を加熱する。これにより、設置部31を介して無鉛半田4に熱が伝導し、無鉛半田4が溶融する。その結果、図6に示すように、無鉛半田4は設置部31とバスバー21,22との間で押し広げられ、ガラス板1の面方向に広がる。この過程において、設置部31からはみ出した無鉛半田4の突出部41は、起立部32に沿って上方にも広がりつつ、最終的には側面視において起立部32とガラス板1との間で扇形をなすように円弧状に突出した形状になる。すなわち、側面視において、起立部32と接する無鉛半田4の上端bと、バスバー21、22と接する無鉛半田4の後端cとを結ぶ線Kよりも、無鉛半田4が外部に突出するように形成される。なお、無鉛半田4が突出する形状は特には限定されないが、側面視において、線Kよりも外部に突出する形状であることが好ましい。その後、無鉛半田4の固化に伴い、設置部31がバスバー21,22に固定される。
0038
<6.特徴>
以上のように、本実施形態に係るガラス板モジュールによれば、次の効果を得ることができる。
0039
(1) 本実施形態に係る接続端子3では、設置部31に取り付けられた無鉛半田4に、設置部31からはみ出す突出部41を予め設けているため、無鉛半田4が溶融すると、突出部41はガラス板1(バスバー21,22)に沿って広がる。そのため、無鉛半田4による接着強度を向上することができる。特に、突出部41は、設置部31において、起立部32が設けられた端部からはみ出しているため、溶融した無鉛半田4が起立部32に沿って上方にも広がる。これにより、無鉛半田4は、起立部32も含めて接続端子3をバスバー21,22に固定することができるため、接着強度を向上することができる。さらに、無鉛半田4の突出部41は、起立部32に沿って上方に広がることにより、側面視において起立部32とガラス板1との間で扇形をなすように円弧状に突出した形状(上記線Kよりも外部に突出する形状)になる。したがって、設置部31と起立部32との連結部分付近を覆う無鉛半田の量が多くなり、これによって、この連結部分付近Gとバスバー21,22との接着強度をさらに向上することができる。
0040
ここで、図7に示すように、接続部33の後端部に、例えば、上向きの力Fが作用すると、この力Fの回転モーメントにより、接続端子3には、上記連結部分付近Gに応力が集中するが、本実施形態では、上記のように連結部分付近Gの接着強度を向上しているため、バスバー21,22やガラス板1にクラックが生じるのを防止することができる。
0041
以上より、接続端子3の接続部33に外力が作用した場合、例えば、作業者や作業道具が接触したり、あるいはケーブル5が意図せず引っ張られたりした場合であっても、上記のようにバスバー21,22やガラス板1にクラックが生じたり、あるいは接続端子3がバスバー21,22から離脱するのを防止することができる。特に、無鉛半田4は硬いため、例えば、有鉛半田に比べてクラックが生じやすいが、本実施形態に係る接続端子3では、無鉛半田4を用いたとしても、クラックが生じるのを防止することができる。
0042
(2) 本実施形態に係る接続端子3では、起立部32が設けられているが、保持部34によって接続部33の下面側でケーブル5を保持しているため、接続端子3のガラス板1からの突出高さを抑えることができる。したがって、接続端子3が、作業者、作業道具などに接触するのを抑制することができる。また、保持部34が接続部33の上面から突出しないため、接続端子3をコンパクトな構造とすることができる。
(3) 設置部の端部に上方に立ち上がる起立部を設けているため、溶融した無鉛半田4が重力に抗して、接続部33まで移動しがたくなり、設置部と起立部との連結部分付近に貯めることができるため、クラックの発生をさらに確実に防止することができる。
0043
<7.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。そして、以下に示す複数の変形例は適宜組合わせることが可能である。
0044
<1>
設置部31、起立部32、及び接続部33の形状は、特には限定されず、種々の形状にすることができる。例えば、接続部33は、ガラス板1と平行でなくてもよく、垂直以外の角度で起立部32と交差していてもよい。また、例えば、図8に示すように、設置部31の下面に、複数の凸部315を形成し、無鉛半田4との接触面積を大きくすることもできる。また、このような凸部315を設け、この凸部315がバスバー21,22に接するようにすることで、設置部31とバスバー21,22との間に配置される無鉛半田4の厚みを一定にすることができる。これにより、設置部31とバスバー21,22との間に配置される無鉛半田4の量が少なすぎたり、多すぎたりすることを防止することができ、接着強度を均一にすることができる。さらに、接続部33は、前後方向に延びている必要はなく、左右方向(幅方向)に延びていて、左右方向からケーブル5を接続していてもよい。
0045
また、上記実施形態では、接続部33は、設置部31とは反対側に延びているが、図9に示すように、起立部32の上端から設置部31と同じ方向に接続部33が延びていてもよい。すなわち、設置部31、起立部32、及び接続部33が側面視においてU字状に連結されていてもよい。
0046
上記実施形態では、起立部32は、設置部31の端部から上方に延びているが、設置部31の端部以外の箇所から上方に延びていてもよい。さらに、設置部31を2個設けることもできる。
0047
<2>
上記実施形態では、接続部33とケーブル5とを、保持部34の加締めによって固定しているが、これに限定されない。すなわち、本発明の給電部として、接続部33に給電を行う種々の方法を適用することができる。例えば、ケーブル5の先端にコネクタを取付け、このコネクタを接続部33に嵌め込んだり、半田や導電性の接着剤によって、ケーブル5と接続部33とを固定することもできる。また、接続端子3の、ガラス板1からの突出高さに制限がなければ、ケーブル5を接続部33の上面側に固定することもできる。
0048
<3>
上記実施形態においては、無鉛半田4を用いているが、これ以外の有鉛半田を用いることもできる。また、材料にかかわらず、例えば、ヤング率が、10〜50GPaの半田を用いると、応力に対する耐性が高くなり、外力が作用したときのクラックの発生を防止することができる。なお、ヤング率の測定方法としては、例えば、JIS Z2280−1993に規定する静的ヤング率の測定方法に準じた方法で測定することできる。このとき、ひずみゲージを用い、常温により測定を行うことができる。
0049
<4>
無鉛半田4の突出部41のはみ出す方向は特には限定されず、設置部31の周縁のいずれかからはみ出していればよい。例えば、図9に示す接続部33の延びる方向にはみ出していてもよい。但し、上記実施形態のように設置部31において、起立部32が設けられた端部から延びていると、上述したように無鉛半田4による接着強度を向上できるため、好ましい。
0050
<5>
上記実施形態では、デフォッガ2に接続端子3を固定する例を示しているが、デフォッガ以外でも電流が供給される電装品であれば、本発明の接続端子を適用することができる。例えば、アンテナや、ウインドシールドの各種ヒーター類であってもよい。
0051
<6>
また、導電層の上にフラックスを塗り、その上に無鉛半田4を介して端子本体30を固定することもできる。これにより、無鉛半田4の裾広がり形状が容易に形成できる。この場合、フラックスとしては、例えば、ガンマラックス(千住金属工業株式会社製)を用いるとよい。
0052
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例には限定されない。
0053
<1.実施例及び比較例の準備>
実施例として、上記実施形態と同様の形態の接続端子を作製した。具体的には図10に示す接続端子を作成した。材料を銅とし、寸法は図10に示す通りである(単位はmm)。設置部の下面には、突出高さが0.5mmの4つの凸部が設けられている。一方、比較例として図11に示す接続端子を作製した。実施例との主たる相違点は、無鉛半田に設置部からはみ出す突出部が設けられていない点である。なお、設置部に取り付けられた無鉛半田の厚みは、実施例及び比較例ともに、0.8mmであり、凸部の高さよりも厚みが大きかった。
0054
続いて、上記のように構成された実施例及び比較例の各設置部を、無鉛半田(Sn96.5%、Ag3.5%)により、ガラス板(風冷強化したガラス板:厚み3.1mm)上に積層された導電層(材質はAg)上に固定した。このとき、設置部の下面の凸部が導電層に接するように固定を行った。したがって、無鉛半田は、設置部と導電層との間で押圧され、面方向に押し広げられた。その結果、実施例に係る接続端子は、図12に示すように、導電層に固定された。すなわち、無鉛半田のうち、導電層と起立部との間に配置された部分が、側面視において扇形になるように突出している。なお、設置部の下面から無鉛半田の最上部(図14の符号A)までの高さは、0.8mmであった。一方、図13に示すように、比較例に係る接続端子では、無鉛半田は押し広げられるものの、概ね設置部の下方に収まっており、設置部と起立部との連結部分からは突出していない。こうして形成された実施例及び比較例を、温度80℃、湿度95%の保管室で500時間保管した。
0055
<2.接着強度試験>
次に、上記のように構成された実施例及び比較例を2個ずつ準備し、これらに接着強度試験を行った。すなわち、図14に示すように、ケーブル5を上方に引っ張り、接続部を起立部に対して一直線上に延びる位置まで旋回させた。その過程において、ケーブル5に作用する力を測定し、導電層またはガラス板に生じるクラックが生じたときの力(単位はN)を測定した。結果は、以下の表1に示すとおりである。
0056
0057
実施例及び比較例において上記試験中に生じたクラックは、設置部と起立部との連結部分付近で生じた。表1に示すように、実施例はいずれのサンプルも,比較例に比べて高い力が作用したときにクラックが生じている。したがって、実施例は、比較例に比べて導電層に対する接着強度が向上することが分かった。
実施例
0058
図12及び図13に示すように、実施例は、比較例に比べて、設置部と起立部との連結部分付近を覆う無鉛半田の量が多いため、この部分における接着強度が向上したと考えられる。すなわち、上記のようなケーブルへの力に対して最も応力が集中しやすい箇所の接着強度が向上したため、クラックの発生が抑制されると考えられる。
0059
1 :ガラス板
2 :デフォッガ(導電層)
3 :接続端子
4 :無鉛半田
31 :設置部
32 :起立部
33 :接続部
34 :保持部(給電部)