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技術 漆調の塗装構造

出願人 トヨタ自動車東日本株式会社
発明者 宮島聡
出願日 2019年6月28日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2019-121046
公開日 2021年1月21日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2021-006395
状態 未査定
技術分野 積層体(2) 塗料、除去剤
主要キーワード 乱反射部分 外装色 可視光吸収率 黒色ベース 熱性塗料 塗装構造 噴霧塗布法 黒色カラー
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

優れた調の質感を有する複層塗装構造であって、塗膜表面に生じた小傷に起因して、高質感が低下することなく、また、塗膜初期の高質感を長期に渡って維持できる塗装構造を提供する。

解決手段

本発明の漆調の塗装構造は、被塗物上に形成されたカラーベース塗膜と、該カラーベース塗膜上に形成されたカラークリア塗膜とを含み、前記カラーベース塗膜が主顔料を含有し、可視光反射率が2.5〜6.0%であり、前記カラークリア塗膜が染料を含有し、可視光吸収率が60〜90%であることを特徴とする。前記カラーベース塗膜は白色顔料を含有することが好ましい。

概要

背景

自動車の車体などの塗装には、車体を保護し、耐久性を向上させる目的のほかに、塗装質感といった外観品質への要求が高まってきている。特に、深みのある黒色の塗装質感を向上させることで、被膜物に高級感のある外観品質を付与できることから、優れた漆黒性を有する黒色塗膜形成方法が求められている。

従来、このような深みのある黒色塗膜を実現する手段の一つとして、下地層の上にカラーベース層を形成し、その上にカラークリア層を形成してなる塗膜構造であって、明度が低い黒色カラーベース層と、黒色染料を含有する黒色カラークリア層とを採用した塗膜構造が知られている(特許文献1)。この構造によれば、カラーベース層に含まれる黒色顔料等による散乱が黒色カラークリア層に含有される黒色染料によって抑制されるために、散乱光に起因する白っぽさを軽減して漆黒性を向上させることができる。しかし、従来技術では必ずしも十分な漆黒性が得られるとはいえず、特に、表層の黒色カラークリア層の表面に小傷が生じた場合には、そのような小傷に起因して乱反射が発生し、この乱反射部分が白っぽく見えるために塗膜の漆黒性が損なわれるという問題があった。

特許文献2には、漆黒性と遮熱機能とを備えた塗膜の形成方法として、遮熱機能を有する遮熱性塗料による塗膜、黒色ベース塗料による塗膜、黒色染料を含有するカラークリア塗料による塗膜、及びカラークリア塗料による塗膜を順次形成する方法が記載されている。この方法によれば、クリア感のある漆黒性を有するとともに、遮熱効果のある塗膜を形成することができるが、かかる塗膜においても、表層の黒色カラークリア層の表面に小傷が生じた場合には、そのような小傷に起因して生じる乱反射部分も白っぽく見える結果、塗膜の漆黒性が低下する問題があった。

また、特願2018−94801号では、漆黒性を有する複層塗膜として、第1黒色ベース塗膜、第1黒色ベース塗膜上に形成された第1クリア塗膜、第1クリア塗膜上に形成された第2黒色ベース塗膜、第2黒色ベース塗膜上に形成された第2黒色クリア塗膜、及び第2クリア塗膜上に形成された第3クリア塗膜を含んでなる五層積層構造を有する複層塗膜が記載され、最外層であるクリア層(第3クリア塗膜)に小傷回復機能を付与しうる特定の塗料を使用することによって、塗膜表面に小傷が生じてもこれに起因する乱反射を防止でき、黒色塗膜形成時の優れた漆黒性を長期に渡って維持できることが記載されている。しかしながら、特許文献1、特許文献2も同様に、黒色ベース塗膜に届いた光は、そのほとんどの波長成分が黒色ベース塗膜に吸収され、正反射角から少しでも外れると完全に黒く見え、黒のように、正反射角から外れるに従い徐々に黒く見えるといった高質感が得られないという問題があった。

概要

優れた漆調の質感を有する複層塗装構造であって、塗膜表面に生じた小傷に起因して、高質感が低下することなく、また、塗膜の初期の高質感を長期に渡って維持できる塗装構造を提供する。本発明の漆調の塗装構造は、被塗物上に形成されたカラーベース塗膜と、該カラーベース塗膜上に形成されたカラークリア塗膜とを含み、前記カラーベース塗膜が主顔料を含有し、可視光反射率が2.5〜6.0%であり、前記カラークリア塗膜が染料を含有し、可視光吸収率が60〜90%であることを特徴とする。前記カラーベース塗膜は白色顔料を含有することが好ましい。なし

目的

本発明は、漆調の高質感を有する複層の塗装構造であって、塗膜表面に生じた小傷に起因して、高質感が低下することなく、また、塗膜の初期の高質感を長期に渡って維持できる塗装構造を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被塗物上に形成されたカラーベース塗膜と、該カラーベース塗膜上に形成されたカラークリア塗膜とを含み、前記カラーベース塗膜が主顔料を含有し、可視光反射率が2.5〜6.0%であり、前記カラークリア塗膜が染料を含有し、可視光吸収率が60〜90%であることを特徴とする調の塗装構造

請求項2

前記カラーベース塗膜が白色顔料を含有する、請求項1に記載の漆調の塗装構造。

請求項3

前記カラークリア塗膜の膜厚が15〜50μmであり、前記染料がクロム錯体系の黒色染料を含有する、請求項1又は2に記載の漆調の塗装構造。

技術分野

0001

本発明は、調の質感を有する塗装構造に関する。

背景技術

0002

自動車の車体などの塗装には、車体を保護し、耐久性を向上させる目的のほかに、塗装質感といった外観品質への要求が高まってきている。特に、深みのある黒色の塗装質感を向上させることで、被膜物に高級感のある外観品質を付与できることから、優れた漆黒性を有する黒色塗膜形成方法が求められている。

0003

従来、このような深みのある黒色塗膜を実現する手段の一つとして、下地層の上にカラーベース層を形成し、その上にカラークリア層を形成してなる塗膜構造であって、明度が低い黒色カラーベース層と、黒色染料を含有する黒色カラークリア層とを採用した塗膜構造が知られている(特許文献1)。この構造によれば、カラーベース層に含まれる黒色顔料等による散乱が黒色カラークリア層に含有される黒色染料によって抑制されるために、散乱光に起因する白っぽさを軽減して漆黒性を向上させることができる。しかし、従来技術では必ずしも十分な漆黒性が得られるとはいえず、特に、表層の黒色カラークリア層の表面に小傷が生じた場合には、そのような小傷に起因して乱反射が発生し、この乱反射部分が白っぽく見えるために塗膜の漆黒性が損なわれるという問題があった。

0004

特許文献2には、漆黒性と遮熱機能とを備えた塗膜の形成方法として、遮熱機能を有する遮熱性塗料による塗膜、黒色ベース塗料による塗膜、黒色染料を含有するカラークリア塗料による塗膜、及びカラークリア塗料による塗膜を順次形成する方法が記載されている。この方法によれば、クリア感のある漆黒性を有するとともに、遮熱効果のある塗膜を形成することができるが、かかる塗膜においても、表層の黒色カラークリア層の表面に小傷が生じた場合には、そのような小傷に起因して生じる乱反射部分も白っぽく見える結果、塗膜の漆黒性が低下する問題があった。

0005

また、特願2018−94801号では、漆黒性を有する複層塗膜として、第1黒色ベース塗膜、第1黒色ベース塗膜上に形成された第1クリア塗膜、第1クリア塗膜上に形成された第2黒色ベース塗膜、第2黒色ベース塗膜上に形成された第2黒色クリア塗膜、及び第2クリア塗膜上に形成された第3クリア塗膜を含んでなる五層積層構造を有する複層塗膜が記載され、最外層であるクリア層(第3クリア塗膜)に小傷回復機能を付与しうる特定の塗料を使用することによって、塗膜表面に小傷が生じてもこれに起因する乱反射を防止でき、黒色塗膜形成時の優れた漆黒性を長期に渡って維持できることが記載されている。しかしながら、特許文献1、特許文献2も同様に、黒色ベース塗膜に届いた光は、そのほとんどの波長成分が黒色ベース塗膜に吸収され、正反射角から少しでも外れると完全に黒く見え、黒漆のように、正反射角から外れるに従い徐々に黒く見えるといった高質感が得られないという問題があった。

先行技術

0006

特開平6−15223号公報
特開2004−174469号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、漆調の高質感を有する複層の塗装構造であって、塗膜表面に生じた小傷に起因して、高質感が低下することなく、また、塗膜の初期の高質感を長期に渡って維持できる塗装構造を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の漆調の塗装構造は、被塗物上に形成されたカラーベース塗膜と、該カラーベース塗膜上に形成されたカラークリア塗膜とを含み、前記カラーベース塗膜が主顔料を含有し、可視光反射率が2.5〜6.0%であり、前記カラークリア塗膜が染料を含有し、可視光吸収率が60〜90%であることを特徴とする。
前記カラーベース塗膜は白色顔料を含有することが好ましい。
前記カラークリア塗膜の膜厚は50〜80μmであり、前記染料はクロム錯体系の黒色染料を含有することが好ましい。

発明の効果

0009

本発明の塗装構造は、漆調の優れた質感を有し、カラーベース塗膜の主顔料にカーボンブラックを使用した場合には、黒漆調の質感を自動車車体に付与することができる。そして、塗膜表面に生じた小傷に起因して質感が低下することがなく、また、塗装初期の漆調の質感を長期に渡って維持することができる。

図面の簡単な説明

0010

図1(a)は、実施例1、比較例1〜4、及び参考例1の試験片について、角度と明度(L値)との関係を表すグラフであり、図1(b)は、図1(a)のグラフ中の点線部分の拡大図である。なお、角度は、正反射からの角度であり、正反射方向と見る方向との差の角度である。
図2は、カラーベース塗膜中の主顔料をカーボンブラックとし、白色顔料を酸化チタン(IV)とする本発明の一実施形態において、塗装構造内に光が入射すると、入射光の一部がカラーベース塗膜及びカラークリア塗膜で吸収され、残りが反射する様子を示す図である。

0011

以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の漆調の塗装構造は、被塗物上に形成されたカラーベース塗膜と、該カラーベース塗膜上に形成されたカラークリア塗膜とを含み、前記カラーベース塗膜が主顔料を含有し、可視光反射率が2.5〜6.0%であり、前記カラークリア塗膜が染料を含有し、可視光吸収率が60〜90%である。

0012

[被塗物
本発明の塗装構造に用いる被塗物は、例えば、自動車及び自動二輪車等の各種車体や、電気製品等である。これらのうち、自動車車体が好ましい。また、前記被塗物を形成する冷延鋼板亜鉛メッキ鋼板亜鉛合金メッキ鋼板ステンレス鋼板及び錫メッキ鋼板等の鋼板;アルミニウム板及びアルミニウム合金板等の金属基材;並びに各種プラスチック基材であってもよい。
また、前記被塗物は、前記車体、電気製品、又は金属基材等の金属表面に、リン酸塩処理クロメート処理、又は複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。

0013

[カラーベース塗膜]
被塗物上に形成されるカラーベース塗膜は、塗装構造の色、すなわち外装色となる主顔料を含有する。
主顔料には、カーボンブラック、アセチレンブラックランプブラックボーンブラック黒鉛黒酸化鉄四三酸化鉄)、黒酸化チタン、銅マンガンブラック、銅クロムブラックコバルトブラック、シアニンブラック及びアニリンブラック等の黒色顔料;フタロシアニン系、インダンスロン系及びインジゴ系等の青色顔料;アゾ系ジケトピロロピロールペリレンペリノン系及び酸化鉄等の赤色顔料等が挙げられる。これらのうち、塗装構造に漆調の高質感を与えるという点でカーボンブラックが好ましい。

0014

カラーベース塗膜中の主顔料の含有量は、通常1.0〜4.0重量%、好ましくは1.5〜3.0重量%である。特に、カーボンブラックを用いる場合、粒径300〜600nm程度のものを用いることが好ましい。

0015

カラーベース塗膜の可視光反射率は2.5〜6.0%、好ましくは3.0〜4.0%である。カラーベース塗膜の可視光反射率は、例えば、カーボンブラックのみを主顔料とする場合、0.2〜1.5%と、非常に低い。このように可視光反射率が低いと、どの角度から見ても暗く見え、高質感が得られにくい。そのため、可視光反射率を前記範囲内にするために、主顔料に加えて、白色顔料を適宜添加することが好ましい。白色顔料を添加することで、カーボンブラックのみを主顔料とする場合と比べて、明度が高くなり白に近づく。一方、明度が低くなれば黒に近づく。明度が高いとは、可視光反射率が高いことを意味し、明度が低いとは、可視光反射率が低いことを意味する。図2は、カラーベース塗膜中の主顔料をカーボンブラックとし、白色顔料を酸化チタン(IV)とする場合において、塗装構造内に光が入射すると、入射光の一部がカラーベース塗膜及びカラークリア塗膜で吸収され、残りが反射する様子を示している。光の入射角が大きければ、カラークリア塗膜やカラーベース塗膜での吸収量が増加して反射強度が小さく、反射角が大きくなるにつれて、徐々に黒く見える。一方、光の入射角が小さいと、入射光がカラークリア層をほぼ透過して、カラーベース塗膜で酸化チタン(IV)等に反射して明るく、グレーに見える。

0016

カラーベース塗膜中の主顔料と白色顔料との配合比は、主顔料100質量部に対して、白色顔料が通常50〜200質量部、好ましくは75〜120質量部である。
なお、白色顔料には、例えば、酸化チタン(IV)及び酸化亜鉛等が用いられる。これらのうち、酸化チタン(IV)が望ましく、粒径200〜300nm程度のものを用いることが好ましい。
カラーベース塗膜を形成するカラーベース塗料は、前記主顔料及び白色顔料の他に、塗膜形成性基体樹脂、必要に応じて、顔料架橋剤、溶剤、その他の添加成分を配合して調製する。

0017

基体樹脂としては、塗料用の基体樹脂として用いられる各種の樹脂が用いられる。例えば、アクリル樹脂ビニル樹脂ポリエステル樹脂アルキド樹脂、及びウレタン樹脂等から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、官能基として、水酸基カルボキシル基ケイ素含有基エポキシ基、及び、ブロックされていてもよいイソシアネート基を有する樹脂が挙げられる。
また、主顔料が水性である場合は、例えば、カルボキシル基、水酸基、メチロール基アミノ基、スルホン酸基、又はポリオキシエチレン結合等の親水性基を有する基体樹脂を使用し、該親水性基を中和して例えばアルカリ塩とすることにより、基体樹脂を水溶性化若しくは水分散化してもよい。

0019

また、カラーベース塗料には、その他、必要に応じて、例えば、粘性付与剤流動調整剤光安定剤紫外線吸収剤体質顔料、及び顔料分散剤等の各種添加剤を配合することができる。
カラーベース塗料は、エアスプレーエアレススプレー又は静電塗装機等の塗装手段を用いて被塗物上に塗装することができる。カラーベース塗料を塗装することによって形成されるカラーベース塗膜の乾燥後の膜厚は、通常5〜25μm、好ましくは10〜20μmである。

0020

[カラークリア塗膜]
カラークリア塗膜は、カラーベース塗膜上に形成する層である。カラーベース塗膜の未硬化の塗面にカラークリア塗料を塗装することによって、未硬化のカラークリア塗膜を形成することができる。
カラークリア塗料の基体樹脂には、カラーベース塗料の基体樹脂と同じものを用いることができる。すなわち、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、及びウレタン樹脂等から選ばれる少なくとも一種であり、かつ、官能基として、水酸基、カルボキシル基、ケイ素含有基、エポキシ基、又は、ブロックされていてもよいイソシアネート基を有する樹脂が挙げられる。

0021

架橋剤には、前記基体樹脂中の官能基と反応するメラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物、及びエポキシ基含有化合物等が挙げられる。

0022

カラーベース塗膜中の主顔料にカーボンブラックを使用する場合、塗膜の漆黒性を高めるために、カラークリア塗膜の透明性を損なわない範囲で、カラークリア塗料に黒色染料を配合してもよい。このような黒色染料には、例えば、クロム錯体等の金属錯体系染料が用いられる。クロム錯体系の黒色染料は、短波長の光を反射して青色を呈し、耐候性が良好である。クロム錯体染料のなかでもアゾ系染料が好ましい。このようなクロム錯体系染料の市販品には、例えば、Orasol Black X51、Orasol Black X53、及びOrasol Black X55(BASF社製、商品名)等がある。黒色染料の添加量は、基体樹脂及び架橋剤の固形分の合計100質量部に対して、通常0.5〜7.0質量部、好ましくは1.5〜3.0質量部である。黒色染料の添加量が0.5質量部未満であると漆黒性の色味が得られないことがある。一方、7.0質量部を超えると、黒漆のように、正反射角から外れるに従い徐々に黒く見えるといった高質感が得られない場合がある。

0023

なお、その他の色の染料として、アニリン系染料、ジ及びトリアリルメタン系染料、ビニロン系染料、ローダミン系染料アクリジン染料、サフラニン系染料、オキサジン系染料キノリン系染料チアゾール系染料、アゾ系染料、アゾメチン系染料、ポリメチン又はアゾポリメチン染料アントラキノン染料キノフタロン染料、並びにフタロシアニン染料等を用いてもよい。

0024

カラークリア塗料には、塗装構造の可視光吸収率を60〜90%に調節するため、必要に応じて、酸化チタン(IV)等の白色顔料を添加してもよい。その他、カラークリア塗料には、必要に応じて、着色顔料機能性顔料、体質顔料、沈降防止剤、塗面調整剤、及び紫外線吸収剤等の塗料に配合される通常の添加剤を添加してもよい。

0025

カラークリア塗料は、前記各成分を溶媒に溶解又は分散させ、塗料粘度を適宜調整することにより調製する。そして、前記カラークリア塗料をエアスプレー又はエアレススプレー等の噴霧塗布法により、カラーベース塗料の未硬化の塗面上に塗装することができる。塗装の際、必要に応じて、静電印加を行ってもよい。カラークリア塗料を塗装し、硬化した後のカラークリア塗膜の膜厚は、15〜50μmが好ましく、25〜35μmがより好ましい。
なお、カラークリア塗料の希釈に用いる溶剤には、カラーベース塗料の希釈に用いるものと同様のものが用いられる。
カラーベース塗膜上にカラークリア塗膜を形成した後の可視光吸収率は75〜85%であることが好ましい。

0026

未硬化のカラーベース塗膜の上に未硬化のカラークリア塗膜を形成した後、これら未硬化のカラーベース塗膜とカラークリア塗膜とを一度に加熱硬化させることで、硬化したカラーベース塗膜と硬化したカラークリア塗膜とを含む積層塗膜を形成することができる。加熱硬化のための焼き付け時間は、被塗物の材質に応じて適宜選択されるが、例えば、被塗物が鋼板である場合は、通常100〜180℃、好ましくは120〜160℃で10〜90分間であり、被塗物がプラスチックである場合は、通常60〜140℃、好ましくは90〜120℃で10〜90分間である。

0027

カラークリア塗膜の上にさらに公知のクリア層を設けてもよい。このとき、前記クリア層を設けるに先立ち、硬化したカラークリア塗膜の表面を研磨してもよい。硬化したカラークリア塗膜の表面を研磨することによって、カラークリア塗膜とその上に形成される公知のクリア層との境界面での乱反射を抑制することができ、本発明の塗膜構造の質感を高めることができる。研磨は、粒度#600〜1500、好ましくは#800〜1000のサンドペーパー等を用いるか、水研ぎなどの湿式研磨により行う。

0028

[クリア層]
クリア層は、本発明の塗装構造の質感を一層向上させる役割を有する。前記塗装構造は、前記したカラーベース塗膜及びカラークリア塗膜に加えて、さらにカラークリア塗膜上にクリア層を設けた三層構造としてもよい。
クリア塗料には、公知の透明な塗膜を形成可能な塗料を制限なく使用することができ、例えば、基体樹脂及び架橋剤からなる熱硬化性樹脂有機溶剤と、必要に応じて、紫外線吸収剤等の塗料用添加剤とを含有するものが用いられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、若しくはエポキシ基等の架橋性官能基を有するアクリル樹脂、又はポリエステル樹脂等と、これらの架橋性官能基と反応し得るメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、又はエポキシ樹脂からなるものが挙げられる。

0029

ここで、ポリイソシアネート化合物とは、1分子中に遊離イソシアネート基を2個以上有する化合物である。前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート脂環式ポリイソシアネート芳香脂肪族ポリイソシアネート芳香族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネート誘導体等が挙げられる。前記ポリイソシアネートの誘導体として、例えば、ポリイソシアネート化合物のダイマートリマービウレットアロファネートカルボジイミドウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレートオキサジアジントリオンポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートポリメリックMDIクルードMDI))、クルードトリレンジイソシアネート(クルードTDI)及び該ポリイソシアネート化合物とポリオールとの反応物等が挙げられる。
これらのポリイソシアネート化合物は、一種単独で用いてもよいし、また二種以上を併用してもよい。また、これらのポリイソシアネート化合物のうち、小傷回復性及び耐候性等の観点から、脂肪族ジイソシアネート又はその誘導体が好適に用いられる。

0030

これらの熱硬化性樹脂のうち、水酸基含有アクリル樹脂、及び水酸基含有ポリエステル樹脂が好ましく、水酸基含有アクリル樹脂がより好ましい。

0031

クリア塗料は、エアスプレー、エアレススプレー又は静電塗装機等の塗装手段を用いて塗装することができる。クリア塗料を塗装し、乾燥した後のクリア層の膜厚は、通常20μm以上、好ましくは25〜50μmである。
クリア層は、クリア塗料を加熱硬化させることにより得られる。加熱硬化のための焼き付け温度や焼き付け時間は、カラーベース塗膜及びカラークリア塗膜の加熱硬化に準じて設定することができる。

0032

本発明の漆調の塗装構造は、電着塗装した被塗物上に形成されたカラーベース塗膜と、該カラーベース塗膜上に形成されたカラークリア塗膜と、該カラークリア塗膜上にクリア層とを備えた積層構造を有する。本発明の塗装構造は、漆調の高い質感を有するとともに、クリア層が有する小傷回復性により、塗膜の初期の漆調の質感を長期に渡って維持することができる。

0033

なお、本発明の塗装構造では、通常、カラーベース層の下層中塗り層が用いられる。具体的には、可視光反射率を2.5〜6.0%とした中塗り層と、中塗り層の上に可視光吸収率を60〜90%としたベース層と、クリア層との構造にすることができる。この場合、中塗り塗料にカーボンブラック及び酸化チタン(IV)を着色材料として添加し、カラーベース塗料に黒色染料を着色材料として添加し、クリア層には前記同様のものを用いることにより、塗装構造を一層少なくすることが可能になる。

0034

以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。

0035

〔実施例1〕
試験用被塗物の作製]
リン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、熱硬化性エポキシ樹脂カチオン電着塗料組成物(商品名「エレクロンGT−10」、関西ペイント社製)を膜厚15μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させた。次いで、この電着塗膜上に中塗り塗料組成物(商品名「TP−67」、関西ペイント社製)を膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させ、試験用被塗物を作製した。

0036

[カラーベース塗料の調製]
アクリル樹脂系メラミン硬化型有機溶剤ベース塗料に、黒色顔料としてカーボンブラックを、白色顔料として酸化チタン(IV)を、該メラミン樹脂系有機溶剤型黒色顔料含有ベース塗料の固形分100質量部に対してそれぞれ、2.0および1.9質量部となるように添加し、攪拌混合して、黒色のカラーベース塗料(以下「黒色ベース塗料」という。)を調製した。

0037

[カラークリア塗料の調製]
アクリル樹脂系メラミン硬化型有機溶剤クリア塗料に「Orasol Black X55」(商品名、BASF社製、クロム錯体系の黒色染料)及び有機溶剤(メチルエチルケトン及びトルエンの等質混合溶剤)を、「Orasol Black X55」(商品名、BASF社製、クロム錯体系の黒色染料)の含有量が該メラミン硬化有機溶剤型クリア塗料の固形分100質量部に対して2.5質量部となり、得られる塗料の20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が24秒となるように攪拌混合して、カラークリア塗料を調製した。

0038

[クリア塗料]
アクリル樹脂系酸エポキシ硬化型有機溶剤クリア塗料に、有機溶剤(メチルエチルケトン及びトルエンの等質量混合溶剤)を、得られる塗料の20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が24秒となるように攪拌混合して、クリア塗料を調製した。

0039

[塗装構造の作製]
試験用被塗物に、黒色ベース塗料を、回転霧化型の静電塗装機を用いて硬化膜厚15μmとなるように静電塗装して黒色ベース塗膜を形成し、3分間放置した。次いで、該未硬化の黒色ベース塗膜上に、カラークリア塗料を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚30μmとなるように静電塗装してカラークリア塗膜を形成し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して、該黒色ベース塗膜及びカラークリア塗膜を同時に硬化させた。
次いで、カラークリア塗膜上に、クリア塗料を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚25μmとなるように静電塗装してクリア塗膜を形成し、7分間放置後、140℃で30分間加熱して、該クリア塗膜を硬化させることにより試験板を作製した。
可視光反射率を測定したところ、表1に示すように、前記黒色ベース塗膜の可視光反射率は3.5%であり、前記カラークリア塗膜の可視光吸収率は80%であった。
なお、可視光反射率は、分光測色計CMS35SP(色彩技術研究所社)を用いて測定した。可視光吸収率は、DIRECT READINGHAZE METER(東洋精機工業社)を用いて可視光透過率を測定した後、前記反射率と前記透過率の和を100から引いて算出した。

0040

[塗装構造の評価]
測色計GSP−2(村上色彩技術研究所社)を用いて塗装構造の明度(L値)を測定した。入射光角度を60°とし、正反射から角度と明度(L値)の関係を評価した。
実施例1では、黒ベース塗膜中に酸化チタン(IV)が含まれているため、正反射光の近傍部、すなわち、正反射からの角度が小さい時(〜25°)は正反射からの角度が大きくなるに従い明度(L値)の低下量が少なかった。正反射からの角度が大きい時(25°〜)は低い明度となった。以上から、高い漆黒性を備え、黒漆のように正反射角から外れるに従い徐々に黒く見えるといった高質感が得られた。
なお、正反射からの角度が大きくなるとは、図1中のグラフ中、角度を示す横軸の値が大さくなることを意味する。

0041

〔比較例1〕
実施例1において、カラーベース塗料中のカーボンブラック及び酸化チタン(IV)の添加量と、カラークリア塗料中の黒色染料の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、試験板を作製した。
表1に示すように、前記試験板のカラーベース塗膜の可視光反射率を1.0%、カラークリア塗膜の可視光吸収率を50%であった。

0042

〔比較例2〕
実施例1において、カラーベース塗料中のカーボンブラック及び酸化チタン(IV)の添加量と、カラークリア塗料中の黒色染料の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、試験板を作製した。
表1に示すように、前記試験板のカラーベース塗膜の可視光反射率を2.0%、カラークリア塗膜の可視光吸収率を80%であった。
比較例1、2では、正反射からの角度が小さい時(〜25°)は正反射からの角度が大きくなるに従い実施例1と比べて明度(L値)の低下量が大きかった。正反射からの角度が大きい時(25°〜)は低い明度となった。以上から、高い漆黒性を備えるが、黒漆のような正反射角から外れるに従い徐々に黒く見えるといった高質感は得られなかった。

0043

〔比較例3〕
実施例1において、カラーベース塗料中のカーボンブラック及び酸化チタン(IV)の添加量と、カラークリア塗料中の黒色染料の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、試験板を作製した。
表1に示すように、前記試験板のカラーベース塗膜の可視光反射率を3.5%、カラークリア塗膜の可視光吸収率を50%であった。

0044

〔比較例4〕
実施例1において、カラーベース塗料中のカーボンブラック及び酸化チタン(IV)の添加量と、カラークリア塗料中の黒色染料の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、試験板を作製した。
表1に示すように、前記試験板のカラーベース塗膜の可視光反射率を8.0%、カラークリア塗膜の可視光吸収率を80%であった。
比較例3、4では、正反射からの角度が小さい時(〜25°)は正反射からの角度が大きくなるに従い実施例1と比べて明度(L値)の低下量が少なかった。正反射からの角度が大きい時(25°〜)は高い明度となり、高い漆黒性を示さなかった。

0045

実施例

0046

〔参考例1〕
試験用被塗物に漆を100μmの厚みに塗布して試験片を作製した。
参考例1では、正反射からの角度が小さい時(〜25°)は正反射からの角度が大きくなるに従い明度(L値)の低下量が少なかった。正反射からの角度が大きい時(25°〜)は低い明度となり、高い漆黒性を示した。

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