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課題・解決手段
超音波画像デバイス、システム及び方法が提供される。一実施形態では、超音波撮像システムは、超音波撮像コンポーネントに結合された、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体を表す複数の画像データフレームを受信するインターフェースと、インターフェースと通信する処理コンポーネントとを含み、処理コンポーネントは、閾値比較に基づき複数の画像データフレームの各画像データフレームについてメトリックを決定し、複数の画像データフレームのメトリックの変動に基づき、被検者の身体の動的エアブロンコグラム状態を決定する。一実施形態では、処理コンポーネントは、複数の画像データフレームの連続する画像データフレーム間の差分に基づき、複数の差分データフレームを決定し、複数の差分データフレームに基づき、被検者の身体の動的エアブロンコグラム状態を決定する。
概要
背景
[0002]肺炎(pneumonia:PN)は世界中で一般的な疾患であり、米国では毎年約200万から300万の症例が診断されている。PNの症状には、高熱、咳、息切れ、胸痛、及び/又はその他の呼吸関連症状が含まれる。診察(例えば、胸部上の領域で肺音を聴く)は、PNの早期検出には効果的でない又は信頼できない可能性がある。PN診断で一般的に使用される手法の1つは、胸部X線撮影(CXR)である。しかし、ベッドサイドCXRでは画質が制限されるおそれがある。さらに、CXRは緊急事態のための時間のかかる処置であり、また、ベッドサイドCXRの解釈は困難な可能性があり、多様な胸膜疾患及び肺疾患の誤った解釈を避けるには放射線医学における豊富な経験が必要である。さらに、最終的な結果は、放射線科医ごとに大きく異なり得る。ベッドサイドCXRと比較して改善されたPN診断手法として、胸部コンピュータ断層撮影(CT)の使用が挙げられる。しかし、CT撮像は高価になる可能性があり、また、CXRよりも放射線被曝量が高くなるおそれがある。したがって、CT撮像は、救急部、CCU(critical care units)、又はICU(intensive care units)のルーチン診断には、特に幼児や妊婦の場合、適さない可能性がある。
[0003]超音波撮像、特にベッドサイドでのポイントオブケア超音波(POC−US)は、様々な種類の診断に関してICU及び緊急事態での人気を集めている。最近の研究により、肺の超音波撮像は、PNの診断に比較的高い精度で有用かつ有効であることが示されている。例えば、超音波画像は、正常に換気されている肺では有用な又は適当な情報を示さない可能性があるが、肺のコンソリデーションは、超音波撮像下で輝点又は明るい構造として示され得る。さらに、超音波画像におけるB(brightness)−lineの出現は、初期段階のPNを示し得る。したがって、POC肺超音波撮像はPN診断のために有用かつ魅力的であり得る。しかし、超音波画像に基づくPN診断は、取得された肺の画像を分析及び解釈するために、十分な訓練を受けた又は経験豊富な医師又は臨床医を必要とする可能性がある。現在、PNのスクリーニング及び診断のために経験の浅いユーザをガイドするのに効果的なツールは存在しない。
概要
超音波画像デバイス、システム及び方法が提供される。一実施形態では、超音波撮像システムは、超音波撮像コンポーネントに結合された、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体を表す複数の画像データフレームを受信するインターフェースと、インターフェースと通信する処理コンポーネントとを含み、処理コンポーネントは、閾値比較に基づき複数の画像データフレームの各画像データフレームについてメトリックを決定し、複数の画像データフレームのメトリックの変動に基づき、被検者の身体の動的エアブロンコグラム状態を決定する。一実施形態では、処理コンポーネントは、複数の画像データフレームの連続する画像データフレーム間の差分に基づき、複数の差分データフレームを決定し、複数の差分データフレームに基づき、被検者の身体の動的エアブロンコグラム状態を決定する。
目的
[0001]本開示は、一般的には超音波撮像に関連し、具体的には、肺の超音波撮像に基づき、肺炎を示す動的エアブロンコグラム(air bronchogram:AB)の存在を特定するための自動化されたシステム及び方法を提供する
効果
実績
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請求項1
超音波撮像コンポーネントに結合され、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体を表す複数の画像データフレームを受信する、インターフェースと、前記インターフェースと通信する処理コンポーネントとを含み、前記処理コンポーネントは、閾値比較に基づき前記複数の画像データフレームの各画像データフレームについてメトリックを決定し、前記複数の画像データフレームの前記メトリックの変動に基づき、前記被検者の身体の動的エアブロンコグラム状態を決定する、超音波撮像システム。
請求項2
請求項3
前記複数の画像データフレームは、少なくとも1つの呼吸周期を含む期間にわたる前記被検者の身体の画像を表す、請求項2に記載の超音波撮像システム。
請求項4
前記処理コンポーネントは、閾値を満たす前記各画像データフレーム内の前記複数のピクセル値の数を決定することにより、前記複数の画像データフレームの前記各画像データフレームの前記メトリックを決定する、請求項2に記載の超音波撮像システム。
請求項5
前記処理コンポーネントは、前記メトリックの最大値と前記メトリックの最小値との間の比率を決定し、前記比率に基づき前記動的エアブロンコグラム状態を決定することにより、前記動的エアブロンコグラム状態を決定する、請求項1に記載の超音波撮像システム。
請求項6
前記処理コンポーネントはさらに、前記複数の画像データフレームから前記肺の少なくとも一部に対応する関心領域を識別し、前記関心領域に基づいて前記メトリックを決定する、請求項1に記載の超音波撮像システム。
請求項7
前記動的エアブロンコグラム状態の結果を表示する表示コンポーネントを含む、請求項1に記載の超音波撮像システム。
請求項8
前記超音波撮像コンポーネントと、前記処理コンポーネントと、前記動的エアブロンコグラム状態の結果を表示する表示コンポーネントとを含む、超音波撮像プローブをさらに含む、請求項1に記載の超音波撮像システム。
請求項9
超音波撮像コンポーネントに結合され、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体を表す複数の画像データフレームを受信する、インターフェースと、前記インターフェースと通信する処理コンポーネントとを含み、前記処理コンポーネントは、前記複数の画像データフレームの連続する画像データフレーム間の差分に基づき複数の差分データフレームを決定し、前記複数の差分データフレームの総和に基づき累計データフレームを決定し、前記累計データフレームに基づき、前記被検者の身体の動的エアブロンコグラム状態を決定する、超音波撮像システム。
請求項10
前記複数の画像データフレームは、少なくとも1つの呼吸周期を含む期間にわたる前記被検者の身体の画像を表す、請求項9に記載の超音波撮像システム。
請求項11
各画像データフレームは、前記被検者の身体の画像のピクセル強度を表す複数のピクセル値を含む、請求項9に記載の超音波撮像システム。
請求項12
各差分データフレームは複数の差分値を含み、前記処理コンポーネントはさらに、前記複数の画像データフレームのうちの第1のデータフレームのピクセル値と、前記複数の画像データフレームのうちの第2のデータフレームのピクセル値との間の絶対差分を決定することで前記複数の差分値の各差分値を決定することにより、前記各差分データフレームを決定し、前記第1のデータフレームは前記第2のデータフレームに隣接し、前記第1のデータフレームの前記ピクセル値及び前記第2のデータフレームの前記ピクセル値は、肺の少なくとも一部の同じ小部分を表す、請求項9に記載の超音波撮像システム。
請求項13
前記各差分データフレームは第1の複数のピクセル値を含み、前記累計データフレームは複数の総和値を含み、前記処理コンポーネントはさらに、前記複数の差分データフレーム間の第2の複数のピクセル値を累計することで前記複数の総和値の各総和値を決定し、ここで、前記複数の差分データフレーム間の前記第2の複数のピクセル値は前記被検者の身体の同じ部分を表し、前記複数の総和値に基づいて前記動的エアブロンコグラム状態を決定することにより、前記動的エアブロンコグラム状態を決定する、請求項9に記載の超音波撮像システム。
請求項14
前記累計データフレームを表示するディスプレイコンポーネントを備える、請求項9に記載の超音波撮像システム。
請求項15
超音波撮像コンポーネントに結合され、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体を表す複数の画像データフレームを受信するインターフェースと、前記インターフェースと通信する処理コンポーネントとを含み、前記処理コンポーネントは、閾値比較に基づき、前記複数の画像データフレームからデータのサブセットを特定し、前記データのサブセットの時間的変動に基づき、前記被検者の身体の動的エアブロンコグラム状態を決定する、超音波撮像システム。
請求項16
前記複数の画像データフレームの各画像データフレームは、前記被検者の身体の画像のピクセル強度を表す複数のピクセル値を含む、請求項15に記載の超音波撮像システム。
請求項17
前記複数の画像データフレームは、少なくとも1つの呼吸周期を含む期間にわたる前記被検者の身体の画像を表す、請求項16に記載の超音波撮像システム。
請求項18
処理コンポーネントは、前記複数の画像データフレームの各画像データフレームから、前記肺の少なくとも一部の同じ小部分に対応し、かつ、閾値を満たす1つ又は複数のピクセル値を選択することにより、前記データのサブセットを特定し、対応する画像データフレームの前記1つ又は複数のピクセル値に基づいて、前記複数の画像データフレームの各画像データフレームについて第1の値を決定し、前記第1の値の最大値と前記第1の値の最小値との比率に基づいて前記動的エアブロンコグラム状態を決定する、請求項16に記載の超音波撮像システム。
請求項19
前記処理コンポーネントは、前記動的エアブロンコグラム状態を決定する前に前記第1の値にフィルタを適用する、請求項18に記載の超音波撮像システム。
請求項20
前記動的エアブロンコグラム状態の結果を表示する表示コンポーネントを含む、請求項15に記載の超音波撮像システム。
請求項21
超音波撮像診断の方法であって、前記方法は、超音波撮像プローブから、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体に関連付けられた複数の画像データフレームを受信するステップと、閾値比較に基づき前記複数の画像データフレームの各画像データフレームについて第1の値を決定するステップと、前記複数の画像データフレームの前記第1の値の変動に基づき、前記被検者の身体の動的エアブロンコグラム状態を決定するステップとを含む、方法。
請求項22
前記各画像データフレームは、前記被検者の身体の画像のピクセル強度を表す複数のピクセル値を含む、請求項21に記載の方法。
請求項23
前記複数の画像データフレームは、少なくとも1つの呼吸周期を含む期間にわたる前記被検者の身体の画像を表す、請求項22に記載の方法。
請求項24
前記第1の値を決定するステップは、閾値を満たす前記各画像データフレーム内の前記複数のピクセル値の数を決定するステップを含み、前記動的エアブロンコグラム状態を決定するステップは、前記第1の値の最大値と前記第1の値の最小値との間の比率を決定するステップと、前記比率に基づいて前記動的エアブロンコグラム状態を決定するステップとを含む、請求項22に記載の方法。
請求項25
前記複数の画像データフレームから前記肺の少なくとも一部に対応する関心領域関心領域を識別するステップと、前記関心領域に基づいて前記第1の値を決定するステップとをさらに含む、請求項21に記載の方法。
請求項26
表示コンポーネントにおいて前記動的エアブロンコグラム状態の結果を表示するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
関連出願の相互参照
0001
本願は、2018年2月9日に出願された米国仮出願第62/238,361号、及び2017年8月16日に出願された国際出願PCT/CN2017/097624に基づく利益及び優先権を主張し、これらの出願の全体が参照により援用される。
技術分野
0002
[0001]本開示は、一般的には超音波撮像に関連し、具体的には、肺の超音波撮像に基づき、肺炎を示す動的エアブロンコグラム(air bronchogram:AB)の存在を特定するための自動化されたシステム及び方法を提供することに関連する。
背景技術
0003
[0002]肺炎(pneumonia:PN)は世界中で一般的な疾患であり、米国では毎年約200万から300万の症例が診断されている。PNの症状には、高熱、咳、息切れ、胸痛、及び/又はその他の呼吸関連症状が含まれる。診察(例えば、胸部上の領域で肺音を聴く)は、PNの早期検出には効果的でない又は信頼できない可能性がある。PN診断で一般的に使用される手法の1つは、胸部X線撮影(CXR)である。しかし、ベッドサイドCXRでは画質が制限されるおそれがある。さらに、CXRは緊急事態のための時間のかかる処置であり、また、ベッドサイドCXRの解釈は困難な可能性があり、多様な胸膜疾患及び肺疾患の誤った解釈を避けるには放射線医学における豊富な経験が必要である。さらに、最終的な結果は、放射線科医ごとに大きく異なり得る。ベッドサイドCXRと比較して改善されたPN診断手法として、胸部コンピュータ断層撮影(CT)の使用が挙げられる。しかし、CT撮像は高価になる可能性があり、また、CXRよりも放射線被曝量が高くなるおそれがある。したがって、CT撮像は、救急部、CCU(critical care units)、又はICU(intensive care units)のルーチン診断には、特に幼児や妊婦の場合、適さない可能性がある。
0004
[0003]超音波撮像、特にベッドサイドでのポイントオブケア超音波(POC−US)は、様々な種類の診断に関してICU及び緊急事態での人気を集めている。最近の研究により、肺の超音波撮像は、PNの診断に比較的高い精度で有用かつ有効であることが示されている。例えば、超音波画像は、正常に換気されている肺では有用な又は適当な情報を示さない可能性があるが、肺のコンソリデーションは、超音波撮像下で輝点又は明るい構造として示され得る。さらに、超音波画像におけるB(brightness)−lineの出現は、初期段階のPNを示し得る。したがって、POC肺超音波撮像はPN診断のために有用かつ魅力的であり得る。しかし、超音波画像に基づくPN診断は、取得された肺の画像を分析及び解釈するために、十分な訓練を受けた又は経験豊富な医師又は臨床医を必要とする可能性がある。現在、PNのスクリーニング及び診断のために経験の浅いユーザをガイドするのに効果的なツールは存在しない。
0005
[0004]既存の超音波肺撮像はPN診断に有用であることが証明されてきたが、低コストで容易に解釈可能なPN診断結果を提供するための改善されたシステム及び技術への臨床的ニーズが依然として存在する。本開示の実施形態は、自動的に、肺超音波画像に基づき動的エアブロンコグラム(AB)の存在を特定及び表示することによりPNを診断するためのメカニズムを提供する。肺の超音波撮像では、動的ABは、呼吸周期に起因して経時的に変化又は移動する輝点又は明るいピクセルに対応する。一実施形態では、動的ABは、複数の画像フレームにわたる複数の輝点又は明るいピクセルの経時的変動に基づいて特定される。他の実施形態では、経時的に取得された複数の画像フレームにわたる輝点又は明るいピクセルの時間的強度変動に基づき、動的ABが特定される。他の実施形態では、複数の画像データフレーム間の差分を経時的に累計することにより、肺の超音波画像において、動的ABに対応する気管支樹の外観が強調される。
0006
[0005]一実施形態では、超音波撮像システムが提供される。超音波撮像システムは、超音波撮像コンポーネントに結合された、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体を表す複数の画像データフレームを受信するインターフェースと、前記インターフェースと通信する処理コンポーネントとを含み、前記処理コンポーネントは、閾値比較に基づき前記複数の画像データフレームの各画像データフレームについてメトリックを決定し、前記複数の画像データフレームの前記メトリックの変動に基づき、前記被検者の身体の動的エアブロンコグラム(AB)状態を決定する。
0007
[0006]一部の実施形態では、各画像データフレームは、被検者の身体の画像のピクセル強度を表す複数のピクセル値を含む。一部の実施形態では、複数の画像データフレームは、少なくとも1つの呼吸周期を含む期間にわたる被検者の身体の画像を表す。一部の実施形態では、処理コンポーネントは、閾値を満たす各画像データフレーム内の複数のピクセル値の数を決定することにより、複数の画像データフレームの各画像データフレームのメトリックを決定する。一部の実施形態では、処理コンポーネントは、メトリックの最大値とメトリックの最小値との間の比率を決定し、比率に基づき動的AB状態を決定することにより、動的AB状態を決定する。一部の実施形態では、処理コンポーネントはさらに、複数の画像データフレームから肺の少なくとも一部に対応する関心領域(ROI)を識別し、ROIに基づいてメトリックを決定する。一部の実施形態では、超音波撮像システムはさらに、動的AB状態の結果を表示する表示コンポーネントを含む。一部の実施形態では、超音波撮像システムはさらに、超音波撮像コンポーネントと、処理コンポーネントと、動的AB状態の結果を表示する表示コンポーネントとを含む超音波撮像プローブを含む。
0008
[0007]一実施形態では、超音波撮像システムが提供される。超音波撮像システムは、超音波撮像コンポーネントに結合された、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体を表す複数の画像データフレームを受信するインターフェースと、前記インターフェースと通信する処理コンポーネントであって、前記処理コンポーネントは、前記複数の画像データフレームの連続する画像データフレーム間の差分に基づき複数の差分データフレームを決定し、前記複数の差分データフレームの総和に基づき累計データフレームを決定し、前記累計データフレームに基づき、前記被検者の身体の動的エアブロンコグラム(AB)状態を決定する、処理コンポーネントとを含む。
0009
[0008]一部の実施形態では、複数の画像データフレームは、少なくとも1つの呼吸周期を含む期間にわたる被検者の身体の画像を表す。一部の実施形態では、各画像データフレームは、被検者の身体の画像のピクセル強度を表す複数のピクセル値を含む。一部の実施形態では、各差分データフレームは複数の差分値を含み、処理コンポーネントはさらに、複数の画像データフレームのうちの第1のデータフレームのピクセル値と、複数の画像データフレームのうちの第2のデータフレームのピクセル値との間の絶対差分を決定することで複数の差分値の各差分値を決定することにより、各差分データフレームを決定し、第1のデータフレームは第2のデータフレームに隣接し、第1のデータフレームのピクセル値及び第2のデータフレームのピクセル値は、肺の少なくとも一部の同じ小部分を表す。一部の実施形態では、各差分データフレームは第1の複数のピクセル値を含み、累計データフレームは複数の総和値を含み、処理コンポーネントはさらに、複数の差分データフレームにわたる第2の複数のピクセル値を累計することで複数の総和値の各総和値を決定し、ここで、複数の差分データフレームにわたる第2の複数のピクセル値は被検者の身体の同じ部分を表し、処理コンポーネントはさらに、複数の総和値に基づいて動的AB状態を決定することにより、動的AB状態を決定する。一部の実施形態では、超音波撮像システムはさらに、累計データフレームを表示するディスプレイコンポーネントを備える。
0010
[0009]一実施形態では、超音波撮像システムが提供される。超音波撮像システムは、超音波撮像コンポーネントに結合された、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体を表す複数の画像データフレームを受信するインターフェースと、前記インターフェースと通信する処理コンポーネントとを含み、前記処理コンポーネントは、閾値比較に基づき、前記複数の画像データフレームからデータのサブセットを特定し、前記データのサブセットの時間的変動に基づき、前記被検者の身体の動的エアブロンコグラム(AB)状態を決定する。
0011
[0010]一部の実施形態では、複数の画像データフレームの各画像データフレームは、被検者の身体の画像のピクセル強度を表す複数のピクセル値を含む。一部の実施形態では、複数の画像データフレームは、少なくとも1つの呼吸周期を含む期間にわたる被検者の身体の画像を表す。一部の実施形態では、処理コンポーネントは、複数の画像データフレームの各画像データフレームから、肺の少なくとも一部の同じ小部分に対応し、かつ、閾値を満たす1つ又は複数のピクセル値を選択することにより、データのサブセットを特定し、対応する画像データフレームの1つ又は複数のピクセル値に基づいて、複数の画像データフレームの各画像データフレームについて第1の値を決定し、第1の値の最大値と第1の値の最小値との比率に基づいて動的AB状態を決定する。一部の実施形態では、処理コンポーネントは、動的AB状態を決定する前に第1の値にフィルタを適用する。一部の実施形態では、超音波撮像システムはさらに、動的AB状態の結果を表示する表示コンポーネントを含む。
0012
[0011]一実施形態では、超音波撮像診断の方法が提供される。方法は、超音波撮像プローブから、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体に関連付けられた複数の画像データフレームを受信するステップと、閾値比較に基づき前記複数の画像データフレームの各画像データフレームについて第1の値を決定するステップと、前記複数の画像データフレームの前記第1の値の変動に基づき、前記被検者の身体の動的エアブロンコグラム(AB)状態を決定するステップとを含む。
0013
[0012]一部の実施形態では、各画像データフレームは、被検者の身体の画像のピクセル強度を表す複数のピクセル値を含む。一部の実施形態では、複数の画像データフレームは、少なくとも1つの呼吸周期を含む期間にわたる被検者の身体の画像を表す。一部の実施形態では、第1の値を決定するステップは、閾値を満たす各画像データフレーム内の複数のピクセル値の数を決定するステップを含み、動的AB状態を決定するステップは、第1の値の最大値と第1の値の最小値との間の比率を決定するステップと、比率に基づいて動的AB状態を決定するステップとを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、複数の画像データフレームから肺の少なくとも一部に対応する関心領域(ROI)を識別するステップと、ROIに基づいて第1の値を決定するステップとを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、表示コンポーネントにおいて動的AB状態の結果を表示するステップを含む。
0014
[0013]本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
0015
[0014]以下、本開示の説明のための実施形態を以下の添付図面とともに説明する。
0016
[0015]図1は、本開示の側面に係る超音波撮像システムの概略図を示す。
[0016]図2は、本開示の側面に係る、呼気期間から吸気期間へのABの動態を示す。
[0017]図3は、本開示の側面に係る、肺コンソリデーションの領域内のABの経時的動態を示す。
[0018]図4は、本開示の側面に係る動的AB検出スキームの概略図を示す。
[0019]図5は、本開示の側面に係る動的ABを示す画像フレームである。
[0020]図6は、本開示の側面に係る、動的ABが存在する複数の画像フレームにわたる複数の明るいピクセルの経時的変動を示すグラフである。
[0021]図7は、本開示の側面に係る静的ABを示す画像フレームである。
[0022]図8は、本開示の側面に係る、動的ABが存在しない複数の画像フレームにわたる複数の明るいピクセルの経時的変動を示すグラフである。
[0023]図9は、本開示の側面に係る動的AB検出スキームの概略図を示す。
[0024]図10は、本開示の側面に係る気管支樹強調スキームの概略図を示す。
[0025]図11Aは、本開示の側面に係る、ある時点での気管支樹を示す画像フレームである。
[0026]図11Bは、本開示の側面に係る、別の時点での気管支樹を示す画像フレームである。
[0027]図11Cは、本開示の側面に係る、気管支樹を含む一対の連続画像フレーム間の差分を示す差分画像フレームである。
[0028]図11Dは、本開示の側面に係る、強調された気管支樹を示す累計画像フレームである。
[0029]図12は、本開示の側面に係る、動的ABが存在する複数の画像フレームにわたる複数の輝点の経時的変動を示すグラフである。
[0030]図13は、本開示の側面に係る動的AB検出方法のフロー図を示す。
[0031]図14は、本開示の側面に係る動的AB検出方法のフロー図を示す。
[0032]図15は、本開示の側面に係る気管支樹強調方法のフロー図を示す。
実施例
0017
[0033]本開示の原理の理解を容易にするため、図示されている実施形態が参照され、また、それらを説明するために具体的な用語が使用される。しかし、本開示の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。記載される本開示の原理の装置、システム、方法、及びさらなる用途へのあらゆる変更及び改変は、本開示が関連する分野の当業者が通常考えつくであろうように、完全に考慮され、本開示に含まれる。特に、ある実施形態に関して説明した特徴、構成要素及び/又は工程は、本開示の他の実施形態に関して説明した特徴、構成要素、及び/又は工程と組み合わせられ得ることは完全に考慮される。しかしながら、簡潔さのために、このような多数の組み合わせの反復は別々に説明されない。
0018
[0034]図1は、本開示の側面に係る超音波撮像システム100の概略図を示す。システム100は、患者の身体のあるエリア又はボリュームをスキャンするために使用される。システム100は、通信インターフェース又はリンク120を介してホスト130と通信する超音波撮像プローブ110を含む。プローブ110は、トランスデューサアレイ112、ビームフォーマ114、処理コンポーネント116、ディスプレイ117、及び通信インターフェース118を含む。ホスト130は、ディスプレイ132、通信インターフェース136、及び通信インターフェース136を含む。
0019
[0035]トランスデューサアレイ112は、解剖学的対象105に向けて超音波信号を放射し、対象105に反射されてトランスデューサアレイ112に戻るエコー信号を受信する。トランスデューサアレイ112は、一次元(1D)アレイ又は二次元(2D)アレイに配置された複数の音響素子を含み得る。ビームフォーマ114はトランスデューサアレイ112に結合される。ビームフォーマ114は、例えば、超音波信号の送信及び超音波エコー信号の受信のためにトランスデューサアレイ112を制御する。ビームフォーマ114は、応答、又は受信された超音波エコー信号に基づき、画像信号を処理コンポーネント116に提供する。ビームフォーマ114は、ビーム形成の複数の段階を含み得る。ビーム形成は、処理コンポーネント116への結合のための信号線の数を減らし得る。一部の実施形態では、トランスデューサアレイ112とビームフォーマ114とを組み合わせたものが超音波撮像コンポーネントと呼ばれ得る。
0020
[0036]処理コンポーネント116はビームフォーマ114に結合される。処理コンポーネント116は画像信号から画像データを生成する。処理コンポーネント116は、ソフトウェアコンポーネントとハードウェアコンポーネントとの組み合わせとして実装されてもよい。一実施形態では、処理コンポーネント116はFPGA上に実装され、また、画像信号の画像データへの処理及び変換を制御するためのプログラマブル状態機械を含み得る。例えば、処理コンポーネント116は、画像信号を調整するためにフィルタリング及び/又は直交復調を実行してもよい。処理コンポーネント116は、フィルタリングされた信号に対して分析的検出を実行してもよい。ディスプレイ117は処理コンポーネント116に結合される。ディスプレイ132は、スクリーン、又はプローブ110のハウジングに統合された任意の適切なディスプレイであり得る。ディスプレイ117は、分析的検出の結果を表示するように構成され得る。
0021
[0037]通信インターフェース118は処理コンポーネント116に結合される。通信インターフェース118は、通信リンク120を介してホスト130に画像信号を送信する。ホスト130において、通信インターフェース136は画像信号を受信し得る。ホスト130は、例えばワークステーション、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、タブレット、又は携帯電話などの任意の適切なコンピューティング及びディスプレイデバイスであり得る。通信リンク120は任意の適切な通信リンクであり得る。例えば、通信リンク120は、USB(universal serial bus)リンク又はイーサネット(登録商標)リンクなどの有線リンクであってもよい。あるいは、通信リンク120は、UWB(ultra−wideband)リンク、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11WiFi(登録商標)リンク、又はBluetooth(登録商標)リンクなどの無線リンクであってもよい。
0022
[0038]処理コンポーネント134は通信インターフェース136に結合される。処理コンポーネント134は、ソフトウェアコンポーネントとハードウェアコンポーネントとの組み合わせとして実装されてもよい。処理コンポーネント134は、CPU(central processing unit)、DSP(digital signal processor)、ASIC(application−specific integrated circuit)、コントローラ、FPGAデバイス、他のハードウェアデバイス、ファームウェアデバイス、又は、本明細書に記載の動作を実行するように構成されたこれらの任意の組み合わせを含み得る。処理コンポーネント134はまた、コンピューティングデバイスの組み合わせとして実装されてもよく、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は他のかかる構成として実装されてもよい。処理コンポーネント134は、様々な診断モダリティについて画像処理及び画像分析を実行するように構成され得る。ディスプレイ132は処理コンポーネント134に結合される。ディスプレイ132はモニタ又は任意の適切なディスプレイであり得る。ディスプレイ132は、処理コンポーネント134によって処理された画像及び/又は診断結果を表示するように構成される。
0023
[0039]システム100は、動的AB検出のために構成され得る。例えば、対象105は、患者の肺の少なくとも一部を含む患者の身体の一部に対応し得る。一実施形態では、プローブ110は、トランスデューサアレイ112から受信された画像信号(例えば、エコー信号)をホスト130に送信する。処理コンポーネント134は、超音波画像から動的ABを検出し、ポジティブ動的AB検出、及び検出された動的ABの位置を、又はネガティブ動的AB検出を、ディスプレイ132上で示し得る。処理コンポーネント134は、経時的に取得された多数の画像フレームにわたる多数の輝点又は明るいピクセルの変動に基づき動的ABを特定することができる。あるいは、処理コンポーネント134は、経時的に取得された多数の画像フレームにわたる輝点又は明るいピクセルの時間的強度変動に基づき動的ABを特定することができる。処理コンポーネント134は、超音波画像における気管支樹の外観又は視認性を向上させ得る。動的ABを検出し、気管支樹を強調するためのメカニズムは、本明細書でより詳細に説明される。他の実施形態では、プローブ110上の処理コンポーネント116が動的AB検出を実行するように構成され、結果として、ホストが必要ではなくなる。そのような実施形態では、動的AB検出の結果が一体型ディスプレイ117上に表示され得る。
0024
[0040]PNを特定するための超音波撮像サインの1つは、肺のコンソリデーション内の正の動的ABの検出である。ABは、周囲の肺胞が流体又は炎症性滲出液で満たされているために肺超音波撮像下で可視化される、気道の管状の輪郭である。いくつかの研究は、肺のコンソリデーションと動的ABとの組み合わせが、臨床診療における総PN症例の約70%を占めることを示している。
0025
[0041]図2は、本開示の側面に係る、呼気期間から吸気期間へのABの動態を示す。図2において、画像210は患者の呼気期間中に取得され、画像220は患者の吸気期間中に取得された。画像210に示されるように、AB212は管状の明るい構造として現れる。同様に、画像220では、AB214は管状の明るい構造として現れる。図からわかるように、AB(例えば、明るい構造)の外観は時間とともに、例えば、呼気期間のAB212から吸気期間のAB214にかけて変化する。また、画像210及び画像220は、点状AB216(例えば、輝点)の点状AB218への動きを示す。
0026
[0042]図3は、本開示の側面に係る、肺コンソリデーションの領域内のABの経時的動態を示す。図3において、x軸は何らかの一定単位で時間を表し、y軸は何らかの一定単位で深さを表す。画像300は、リアルタイム超音波走査線を時間の関数として示す。例えば、肺コンソリデーション内の領域に向かって走査線沿いに照射される1つのビームを生成し、ある時間間隔で繰り返すようにトランスデューサアレイ112が使用される。画像300は、照射されたビームに対応する、トランスデューサアレイ112から受信されたエコー信号を示す。画像300において、明るい周期的パターンを有するラインは、AB(例えばAB212、214、216、及び218)の周期的動き又はシフトを示す。周期的パターンは、画像300内に示されるように、呼気期間310及び吸気期間320に対応する。
0027
[0043]図2及び図3に見られるように、動的ABは、1つ又は複数の呼吸サイクルにわたる画像フレーム間のピクセルの強度変動に基づいて検出され得る。しかし、呼吸中に超音波画像の背景内の肺がまだ動いている可能性がある中で、動的ABが速く動く又は運動することから、動的ABのリアルタイム視覚的特定は困難又は信頼できない可能性がある(呼吸サイクルは約3秒から約6秒の持続時間を有し得る)。さらに、(例えば、POC−USにおいて)肺の超音波撮像を行う臨床医は、動的AB検出を目的として肺の超音波画像を解釈するための訓練を必ずしも受けていない可能性がある。
0028
[0044]いくつかの研究では、平均ピクセル強度の測定に基づく動的AB特定のための定量分析が行われている。このような定量分析は有望な結果を示すが(例えば、約93%の検出感度)、定量分析には、患者の肺に対応する領域を特定及び分離する専門知識が必要とされる。さらに、定量分析アプローチは広範囲の肺コンソリデーションに関してのみ上手く機能し、小さい肺コンソリデーション(例えば、約1cm未満の大きさ)又は初期段階のPNの検出を見逃す可能性がある。
0029
[0045]図4は、本開示の側面に係る自動動的AB検出スキーム400の概略図を示す。スキーム400は、動的AB検出のためにシステム100によって使用され得る。具体的には、スキーム400は、ホスト130上の処理コンポーネント134又はプローブ110上の処理コンポーネント116によって実装され得る。一部の実施形態では、スキーム400の実装は、ホスト130とプローブ110との間で分割され得る。
0030
[0046]スキーム400は、複数の画像フレーム410を受信することから始まる。画像フレーム410は、プローブ110を使用することにより生成され得る。トランスデューサアレイ112から患者の身体(例えば、対象105)に向けて超音波信号エネルギーが放射され、トランスデューサアレイ112によってエコー信号が受信され、画像フレーム410が形成される。プローブ110は、患者の肺の少なくともいくつかの部分を含む前方胸部ビュー(例えば、胸部領域の上からのビュー)又は側方胸部ビュー(例えば、胸部領域の側方からのビュー)を得るために、患者の身体上に配置され得る。各画像フレーム410は、患者の身体の画像のピクセル強度を表す複数のピクセル値(例えば、振幅)を含み得る。画像フレーム410は、少なくとも1つの呼吸サイクル(例えば、呼気期間及び吸気期間)を含む期間にわたって取得されてもよい。画像フレーム410は、時点(i)から時点(i+N)までの患者の身体の画像を表すフレーム(i)〜フレーム(i+N)として示され、ここで、i及びNは正の整数である。
0031
[0047]画像フレーム410は、患者の肺に加えて、患者の身体の他の部分を含んでもよい。スキーム400は、関心領域(ROI)識別コンポーネント420を画像フレーム410に適用して、後続の処理のために患者の肺に対応する画像フレームの部分を識別することができる。肺の領域を識別するための1つの手法は、胸膜線の識別に基づく。胸膜線は、超音波画像(図5に示す)において明るい線として現れ、胸膜線の下の領域は肺に対応し得る。患者の肺に対応する部分を識別した後、ROI識別コンポーネント420は、後続の処理のために、潜在的な肺コンソリデーションを有する肺の領域内のROIを識別し得る。例えば、ROI識別コンポーネント420は、例えば複数の画像フレーム410にわたる相関に基づき、フレームごとにブロックマッチングを使用してバルク背景モーション検出を実行し得る。
0032
[0048]ROIを識別した後、ROI識別コンポーネント420は、後述される後続の動作のために、初期フレーム(例えば、フレーム(i))をアンカーフレームとして使用して、背景モーション情報に基づき、後続の画像フレーム410(例えば、フレーム(i+1)〜フレーム(i+N))を初期画像フレーム410に対して位置合わせ又はレジストレーションし得る。位置合わせ又はレジストレーションにより、各画像フレーム410について肺の同じ部分に対して動作を実行することができる。
0033
[0049]ROIを識別した後、閾値コンポーネント430が各画像フレーム410に適用され得る。閾値コンポーネント430は、対応する画像フレーム410のROI内の、所定の閾値を超えるピクセルの数を決定する。閾値を超えるピクセルの数は、カウント値432によって表され得る。閾値を超えるピクセルは、AB212、214、216、及び218において示されるように輝点に対応し得る。所定の閾値は、ピクセル値のダイナミックレンジ、並びに振幅及び/又はROI内のピクセル分布に応じて、任意の適切な値に設定され得る。一実施形態では、ピクセル強度値のダイナミックレンジは、約0〜約255にされ得る。そのような実施形態では、閾値は約40〜約80の値に設定され得る。
0034
[0050]各画像フレーム410内の明るいピクセルの数を決定した後、カウント値432に最大コンポーネント440及び最小コンポーネント450が適用され得る。最大コンポーネント440は、複数の画像フレーム410にわたるカウント値の最大値442を決定する。最小コンポーネント450は、複数の画像フレーム410にわたるカウント値432の最小値452を決定する。一実施形態では、最大値442の値が1になるように、最大値442及び最小値452を正規化することができる。
0035
[0051]最大値442及び最小値452を決定した後、動的AB診断結果を決定するために、ABインデックスコンポーネント460が適用され得る。上述のように、動的ABは、経時的に変化する明るい構造(例えば、AB212及び214)又は輝点(例えば、AB216及び218)として示される。ABインデックスコンポーネント460は、最大値442と最小値452との間の比率を計算することにより、ABの動態を特定する。この比率はABインデックスとも呼ばれ得る。例えば、ABインデックスコンポーネント460は、比率を所定の閾値と比較し得る。最大値442と最小値452との間に大きな変動がある場合、動的AB状態はポジティブであり得る。逆に、最大値442と最小値452との間に小さな変動がある場合、動的AB状態はネガティブであり、静的AB状態が存在し得る。動的AB状態の存在はPNの可能性が高いことを示し、静的AB状態の存在は、無気肺(例えば、感染なしの肺虚脱)又は他の肺疾患の可能性が高いことを示し得る。動的AB診断結果は、ディスプレイ132及び/又はディスプレイ117上に表示され得る。さらに、結果は、肺における動的AB状態の位置を示し得る。
0036
[0052]図5は、本開示の側面に係る、動的ABを示す超音波画像500である。画像500はシステム100を使用して取得され得る。画像500は、肺の領域を含む患者の身体(例えば、対象105)の画像を表し得る。画像500は、患者の肺の領域におけるAB512及び肺コンソリデーション506の存在を示す。画像500に示されるように、胸膜界面502又は胸膜境界は、画像500を横断する明るい線として現れる。胸膜界面502の下の領域は、患者の肺に対応する。胸膜界面510の上の領域は、患者の胸壁504に対応する。
0037
[0053]図6は、本開示の側面に係る、動的ABが存在する複数の画像フレームにわたる複数の明るいピクセルの経時的変動を示すグラフ600である。x軸はフレーム番号を表す。y軸は、所定の強度閾値を超える画像フレームのROI内のピクセルの正規化された数を表す。グラフ600はスキーム400を使用して生成された。プロット610は、画像500に示される動的AB512の領域における複数の画像フレーム(例えば、画像フレーム410)にわたる閾値を超えるピクセルの数(例えば、正規化された形式のカウント値432)の経時的変動を示す。図からわかるように、プロット610は約0.84から約1の間で変動する。プロット610で観察される、最小(例えば0.84)と最大(例えば1)との間の大きな差分、及び周期的パターンは、動的AB状態の存在を示し得る。周期的パターンは患者の呼吸周期に対応し得る。
0038
[0054]図7は、本開示の側面に係る、静的ABを示す超音波画像700である。画像700はシステム100を使用して取得され得る。画像700は、肺の領域を含む患者の身体(例えば、対象105)の画像を表し得る。画像700は、患者の肺の領域における静的AB712の存在を示す。
0039
[0055]図8は、本開示の側面に係る、動的ABが存在しない複数の画像フレームにわたる複数の明るいピクセルの経時的変動を示すグラフ800である。x軸はフレーム番号を表す。y軸は、所定の強度閾値を超える画像フレームのROI内のピクセルの正規化された数を表す。グラフ800はスキーム400を使用して生成された。プロット810は、画像700に示される静的AB712の領域における複数の画像フレーム(例えば、画像フレーム410)にわたる閾値を超えるピクセルの数(例えば、正規化された形式のカウント値432)の経時的変動を示す。図からわかるように、プロット810は約0.987から約1の間で比較的静的に変動する。プロット810で観察される、最小(例えば0.987)と最大(例えば1)との間の小さな差分、及び比較的に静的なパターンは、静的AB状態(例えば、無気肺状態)の存在を示し得る。
0040
[0056]図9は、本開示の側面に係る動的AB検出スキーム900の概略図を示す。スキーム900は、動的AB検出のためにシステム100によって使用され得る。具体的には、スキーム900は、ホスト130上の処理コンポーネント134又はプローブ110上の処理コンポーネント116によって実装され得る。一部の実施形態では、スキーム900の実装は、ホスト130とプローブ110との間で分割され得る。
0041
[0057]スキーム900は、複数の画像フレーム410と同様な複数の画像フレーム910を受信することから始まる。例えば、各画像フレーム910は、患者の肺の少なくとも一部を含む患者の身体の画像を表すピクセル強度値を含む。スキーム900は、ROI識別コンポーネント920を画像フレーム910に適用し得る。ROI識別コンポーネント920は、ROI識別コンポーネント420と実質的に同様であってもよい。ROI識別コンポーネント920は、動的AB状態決定のために、画像フレーム910からデータ又はピクセルのサブセットを識別し得る。識別は、肺コンソリデーションの周りの患者の肺の同じ部分に対応する1つ又は複数のピクセル値を各画像フレーム910から選択することを含み得る。ROI識別コンポーネント920は、ROI内のピクセルを含む画像データサブセット930を出力し得る。サブセット930は、フレーム(i)内のサブセットk〜フレーム(i+1)内のサブセットkをそれぞれ表す、フレーム(i,k)〜フレーム(i+N,k)として示される。各サブセット930が1つのピクセル値を含む場合、ピクセル値は強度値932によって表される。各サブセット930が2つ以上のピクセル値を含む場合、空間フィルタを各サブセット930に適用することで、平均強度値932が生成されてもよい。
0042
[0058]サブセット930を識別した後、強度値932に最大コンポーネント940及び最小コンポーネント950が適用され得る。最大コンポーネント940は、強度値932の最大値942を決定する。最小コンポーネント950は、強度値932の最小値952を決定する。一実施形態では、最大値942の値が1になるように、最大値942及び最小値952を正規化することができる。一部の実施形態では、最大値942及び最小値952を決定する前に、例えば複数のフレームにわたる平均値を取得するために、サブセット930に時間フィルタ(例えば、平滑化フィルタ)を適用することができる。
0043
[0059]最大値942及び最小値952を決定した後、動的AB診断結果を決定するために、時間的強度変動決定コンポーネント960が適用され得る。時間的強度変動決定コンポーネント960は、経時的に取得された複数のサブセット930にわたる時間的強度変動を決定する。時間的強度変動決定コンポーネント960は、最大値942と最小値952との間の比率を決定し得る。時間的強度変動決定コンポーネント960は、比率を所定の閾値と比較し、閾値比較に基づいて動的AB状態が存在するか否かを決定することができる。スキーム400と同様に、最大値942と最小値952との間の大きな変動はポジティブな動的AB状態を示し、最大値942と最小値952との間の小さな変動はネガティブな動的AB状態を示す。
0044
[0060]図10は、本開示の側面に係る気管支樹強調スキーム1000の概略図を示す。スキーム1000は、動的AB診断のために、肺超音波画像における肺コンソリデーション内の気管支樹を強調するためにシステム100によって使用され得る。具体的には、スキーム1000は、ホスト130上の処理コンポーネント134によって実装され得る。
0045
[0061]スキーム1000は、複数の画像フレーム410及び910と同様な複数の画像フレーム1010を受信することから始まる。例えば、各画像フレーム1010は、患者の肺の少なくとも一部を含む患者の身体の画像を表すピクセル強度値を含む。スキーム1000は、隣接又は連続画像フレーム1010の各ペア(例えば、フレーム(i)及びフレーム(i+1))に差分コンポーネント1020を適用する。差分コンポーネント1020は、隣接する画像フレーム1010間の差分を計算して、差分画像フレーム1022を生成する。例えば、差分コンポーネント1020は、ピクセルごとに、フレーム(i)内のピクセル値からフレーム(i+1)内のピクセル値を差し引く。フレーム(i)のピクセル値とフレーム(i+1)のピクセル値とは、患者の肺の同じ小部分に対応する。
0046
[0062]絶対差分ピクセル値を有する差分画像フレーム1032を生成するために、差分画像フレーム1022のピクセル値に絶対コンポーネント1030が適用されてもよい。その後、総和コンポーネント1040を適用することで複数の差分画像フレーム1032を累計し、累計画像フレーム1042を生成することができる。例えば、総和コンポーネント1040は、ピクセルごとに、複数の差分画像フレーム1032のピクセル値を足し合わせる。画像フレーム1010が気管支樹を含む場合、(後述する図11Dに示される)累計画像フレーム1042において、気管支樹の外観又は可視性が強化され得る。気管支樹の検出は、ポジティブな動的AB状態を示す。
0047
[0063]図11A〜図11Dは、図10に関して上述したスキーム1000の様々な段階に対応する様々な画像フレームを示す。例えば、スキーム1000は、フレーム(1)、フレーム(2)、・・・、フレーム(80)によって表される80枚の連続する超音波画像フレームに適用される。図11Aは、本開示の側面に係る、ある時点での気管支樹1112を示す画像フレーム1110である。画像フレーム1110は、画像フレーム410、910、及び1010と同様であってもよい。画像フレーム1110は、80枚の連続する画像フレームのうちの第1の画像フレーム(例えば、フレーム(1))を表し得る。図示されるように、画像フレーム1110の中央部分の明るいY字型の分岐構造は、患者の肺コンソリデーション内の気管支樹1112に対応する。画像フレーム1110の底部における明るい湾曲した水平構造は、患者の脊椎に対応する。
0048
[0064]図11Bは、本開示の側面に係る、別の時点での気管支樹1112を示す画像フレーム1120である。例えば、画像フレーム1120は、80枚の連続する画像フレームのうちの最後の画像フレーム(例えば、フレーム(80))を表し得る。
0049
[0065]図11Cは、本開示の側面に係る、気管支樹1112を含む一対の連続画像フレーム間の差分を示す差分画像フレーム1130である。例えば、差分画像フレーム1130は、スキーム1000の絶対コンポーネント1030の出力における差分画像フレーム1032を表してもよい。差分画像フレーム1130は、ピクセルごとに、フレーム(79)からフレーム(80)を減算することにより計算され得る。
0050
[0066]図11Dは、本開示の側面に係る、強調された気管支樹1112を示す累計画像フレーム1140である。例えば、画像フレーム1140は、スキーム1000の総和コンポーネント1040の出力における累計画像フレーム1042を表してもよい。累計画像フレーム1140を取得したオリジナルの画像フレーム1110及び1120と比較すると、累積画像フレーム1140において気管支樹1112の外観又は視認性が向上している。
0051
[0067]図12は、本開示の側面に係る、動的ABが存在する複数の画像フレームにわたる複数の明るいピクセルの経時的変動を示すグラフ1200である。x軸はフレーム番号を表す。y軸は、所定の強度閾値を超える画像フレームのROI内のピクセルの正規化された数を表す。グラフ1200は、図11のスキーム1000を説明するために使用された80枚の連続する画像フレームにスキーム400を適用することにより生成された。プロット1210は、画像フレーム1110及び1120に示される気管支樹1112の領域における複数の画像フレーム(例えば、画像フレーム1010)にわたる所定の閾値を超えるピクセルの正規化された数の経時的変動を示す。図からわかるように、プロット1210は約0.53から約1の間で変動する。プロット1210で観察される、最小(例えば0.53)と最大(例えば1)との間の大きな差分、及び周期的波形は、動的AB状態の存在を示し得る。
0052
[0068]図13は、本開示の側面に係る動的AB検出方法1300のフロー図を示す。方法1300のステップは、超音波撮像プローブ(例えば、プローブ110)又はホスト(例えば、ホスト130)のコンピューティングデバイス(例えば、プロセッサ、処理回路、及び/又は他の適切なコンポーネント)によって実行することができる。方法1300は、図4に関して説明されたスキーム400と同様のメカニズムを採用し得る。図示されるように、方法1300は複数の列挙されたステップを含むが、方法1300の実施形態は、列挙されたステップの前、後、及び間に追加のステップを含み得る。一部の実施形態では、列挙されたステップのうちの1つ又は複数が省略されてもよく、又は異なる順序で実行されてもよい。
0053
[0069]ステップ1310において、方法1300は、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体(例えば、対象105)を表す複数の画像データフレーム(例えば、画像フレーム410、910、1010、1110、及び1120)を受信することを含む。被検者の身体は、人体又は動物であり得る。
0054
[0070]ステップ1320において、方法1300は、例えば閾値コンポーネント430を使用して、複数の画像データフレームの各画像データフレームについてメトリック(例えば、カウント値432)を決定することを含む。
0055
[0071]ステップ1330において、方法1300は、複数の画像データフレームのメトリックの変動に基づき、被検者の身体の動的AB状態を決定することを含む。例えば、最大コンポーネント440をメトリックに適用することでメトリックの最大値(例えば、最大値442)を計算し、最小コンポーネント450をメトリックに適用することでメトリックの最小値(例えば、最小値452)を計算することができる。続いて、ABインデックスコンポーネント460を適用することで最大値と最小値との間の比率を計算し、その比率を所定の閾値と比較することができる。比率が所定の閾値を満たす場合、ポジティブな動的AB状態が存在し得る。比率が所定の閾値を満たさない場合、動的AB状態は存在しない可能性がある。
0056
[0072]図14は、本開示の側面に係る動的AB検出方法1400のフロー図を示す。方法1400のステップは、超音波撮像プローブ(例えば、プローブ110)又はホスト(例えば、ホスト130)のコンピューティングデバイス(例えば、プロセッサ、処理回路、及び/又は他の適切なコンポーネント)によって実行することができる。方法1400は、図9に関して説明されたスキーム900と同様のメカニズムを採用し得る。図示されるように、方法1400は複数の列挙されたステップを含むが、方法1400の実施形態は、列挙されたステップの前、後、及び間に追加のステップを含み得る。一部の実施形態では、列挙されたステップのうちの1つ又は複数が省略されてもよく、又は異なる順序で実行されてもよい。
0057
[0073]ステップ1410において、方法1400は、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体(例えば、対象105)を表す複数の画像データフレーム(例えば、画像フレーム410、910、1010、1110、及び1120)を受信することを含む。被検者の身体は、人体又は動物であり得る。
0058
[0074]ステップ1420において、方法1400は、例えばROI識別コンポーネント920を使用して、閾値比較に基づき、複数の画像データフレームからデータのサブセット(例えば、サブセット930)を識別することを含む。
0059
[0075]ステップ1430において、方法1400は、データのサブセットの時間的変動に基づき、被検者の身体の動的AB状態を決定することを含む。例えば、データのサブセットは、各画像データフレームの一部(例えば、1つ又は複数のピクセル値)を含み、各画像フレームの対応する部分に空間フィルタを適用することで、各画像データフレームについて第1の値(例えば、強度値932)が決定され得る。最大コンポーネント940を第1の値に適用することで第1の値の最大値(例えば、最大値942)を計算し、最小コンポーネント950を第1の値に適用することで第1の値の最小値(例えば、最小値952)を計算することができる。続いて、時間的強度変動決定コンポーネント960を適用することで最大値と最小値との間の比率を計算し、その比率を所定の閾値と比較することができる。比率が所定の閾値を満たす場合、ポジティブな動的AB状態が存在し得る。比率が所定の閾値を満たさない場合、動的AB状態は存在しない可能性がある。
0060
[0076]図15は、本開示の側面に係る気管支樹強調方法1500のフロー図を示す。方法1500のステップは、ホスト(例えば、ホスト130)のコンピューティングデバイス(例えば、プロセッサ、処理回路、及び/又は他の適切なコンポーネント)によって実行することができる。方法1500は、図10に関して説明されたスキーム1000と同様のメカニズムを採用し得る。図示されるように、方法1500は複数の列挙されたステップを含むが、方法1500の実施形態は、列挙されたステップの前、後、及び間に追加のステップを含み得る。一部の実施形態では、列挙されたステップのうちの1つ又は複数が省略されてもよく、又は異なる順序で実行されてもよい。
0061
[0077]ステップ1510において、方法1500は、肺の少なくとも一部を含む被検者の身体(例えば、対象105)を表す複数の画像データフレーム(例えば、画像フレーム410、910、1010、1110、及び1120)を受信することを含む。被検者の身体は、人体又は動物であり得る。
0062
[0078]ステップ1520において、方法1500は、複数の画像データフレームの連続する画像データフレーム間の差分に基づき、差分データフレーム(例えば、差分画像フレーム1032)を決定することを含む。
0063
[0079]ステップ1530において、方法1500は、差分データフレームの総和に基づき、累計データフレーム(例えば、累計画像フレーム1042)を決定することを含む。
0064
[0080]ステップ1540において、方法1500は、累計データフレームに基づき、被検者の身体の動的AB状態を決定することを含む。例えば、累計データフレームは、肺コンソリデーション内に位置する気管支樹の外観又は視認性の向上を示す。したがって、決定は、気管支樹の観察に基づき行われ得る。
0065
[0081]本開示の側面はいくつかの利点を提供することができる。例えば、訓練された臨床医が超音波肺画像を解釈する必要がない動的ABの自動検出により、PNスクリーニング及び診断にポイントオブケア超音波(POC−US)撮像を用いることができる。自動動的AB検出は、短時間で診断結果を生成することができる。したがって、フル胸部PN検査と比較して、PN検査時間を短縮することができる。さらに、本開示の実施形態は、標準化されたテストプロトコルを提供する。標準化されたテストプロトコルを使用すると、異なる医師や臨床医による主観的な評価や分析よりも一貫した診断結果を得ることができる。標準化されたテストプロトコルは、スクリーニングのために容易に実行することができ、緊急の状況(例えば、緊急時)での使用に適している。さらに、気管支樹の強調表示は、医師がPNの位置を迅速かつ容易に特定するのを支援することができる。本開示の実施形態は、放射線被曝が懸念となる小児患者及び/又は妊婦への使用に適している。