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技術 架橋剤としてのミクロフィブリル化セルロース

出願人 ボレガードアーエス
発明者 ホルタン,シノーバリアピス,カテリーナスタイロ,トムバーグ,ジャン
出願日 2018年8月14日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2020-507571
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-530869
状態 未査定
技術分野 塗料、除去剤 高分子組成物 多糖類及びその誘導体 接着剤、接着方法 紙(4)
主要キーワード 液抜き穴 静止ディスク 無水ホウ砂 ねじれ強さ 平坦板 デンプン系接着剤 チキソトロピー特性 原料デンプン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題・解決手段

本発明は、接着剤塗料コーティング樹脂、(表面)サイジングコンポジットゲル又はハイドロゲルとして使用するための組成物に関し、前記組成物は、ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)を含む。これらの組成物は、ミクロフィブリル化セルロースに加え、少なくとも一種溶媒を含み、前記溶媒は、好ましくは水を含むか、又はそれからなり、また前記組成物は、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基架橋できる、少なくとも一種の化合物を含む。これらの組成物において、ミクロフィブリル化セルロースは、主に架橋剤として機能し(なお、ミクロフィブリル化セルロースが他の機能、例えば粘性調整剤及び/又はチキソトロピー添加剤としての機能を更に有することが決して除外されない)、その際、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基を有する化合物を、ゲル様の3次元ネットワークに取り込む。

概要

背景

少なくとも一種溶媒(例えば水)と、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基(好ましくはOH基)を有する、少なくとも一種の化合物と、を含む組成物は、様々な用途において実際的な有用性を有し、当該化合物は、例えば接着剤塗料コーティング表面サイジング剤樹脂ゲルコンポジットゲル吸収剤ハイドロゲル等において、少なくとも部分的に硬化する必要がある。

これらの用途の幾つかにおいて、架橋剤は通常、硬化、又は組成物の分子間の良好な接着を行わせるために用いられる。しかしながら、かかる架橋剤は一般に、以下の欠点のうち、少なくとも1つ、又はその組合せ(全て含む)を有する:
− 高い又は望ましくないレベルの毒性
− 他の危険性のある(化学的)特性
− 環境への悪影響
生分解性がないか又は限られていること。

例えば、特許文献1は、ナノフィブリルセルロース(NFC)の架橋生成物デンプン及び架橋剤、並びに水を含む表面サイジング溶液を開示する。NFCは、セルロース原料を脱フィブリル化することから得られた100〜2000nmの長さ及び3〜200nmの直径を有するセルロースの単一ミクロフィブリルベースとし、NFC、デンプン及び架橋剤の含量は、絶対乾燥ベースの重量部として、それぞれ0.1〜10重量部、85〜99.75重量部及び0.15〜5重量部である。

特許文献2は、少なくとも40%の乾燥した固形分含量を有し、「典型的」な接着成分(例えばソーダホウ砂水酸化ナトリウムタンパク質)に加えて、次の成分、すなわちデンプン分散物及び炭酸カルシウムである充填剤を含む接着剤を開示している。このデンプンベースの組成物の接着力試験したところ、特に紙及び段ボール紙への用途に有用であることが明らかとなり、更に、積層において良好な結果が得られている。

特許文献3は、担体ペースト及び主ペーストの混合物を含むデンプン系粘着性ペースト組成物を開示しており、各ペーストは、天然のデンプン、化学的に修飾されたデンプン又はその混合物のいずれかを含む。前記組成物は、水及びホウ酸ナトリウムを更に含み、主ペーストのデンプンの総含量は、主ペーストの総量に対して25〜50重量%の範囲であり、またホウ酸ナトリウム(無水ホウ砂として算出)は、主ペーストのデンプン(乾燥物)の量に対して0.3〜3重量%の範囲の量で存在する。

特許文献4は、デンプン系接着剤(特許文献4の段落[0022]参照)の架橋剤としてホウ砂を用いることに関連する問題点について述べ、その代わりとして、架橋剤としてアルミン酸ナトリウムの使用を提案している。

非特許文献1は、薄いデンプン膜の架橋剤として、酸化スクロースの使用を開示する。

全体として、コーティング及び接着剤を含む様々な用途における架橋剤として共通して使用されるホウ砂が、特に環境に対する配慮から、部分的に、又は完全に置換される必要がある、と一般に考えられている。

一方では、公知の架橋剤(例えばホウ砂)は、以下の(一般に認識されている)利点の一つ以上と関連しており、その幾つか(又は大部分)は、いずれかの代替的な架橋剤によって満たされなければならない:
粘稠な組成物に必要となる粘度(「増粘性」)及び構造を提供すること
−接着剤として使用されるとき、粘稠な組成物のタックを増加させること
基材上への粘稠な組成物の膜形成を改善すること
− 粘稠な組成物の水分保持/水分維持特性を改善すること。

したがって、本発明の一つの課題は、接着剤、塗料、コーティング、(表面)サイジング剤、樹脂、コンポジット、ゲル又はハイドロゲル等として使用するための組成物であって、上記のような問題点の一つ以上に関連する、一般的に使用される架橋剤が、理想的には上記の問題点のいずれも有さず、又は少なくとも該問題点が顕著でない架橋剤により、完全に、又は少なくとも部分的に置き換えられ、一方で、上記の一般的に用いられる架橋剤の(一般に認識されている)利点のうち、全てでなくても、そのほとんどが維持された、組成物を提供することである。

概要

本発明は、接着剤、塗料、コーティング、樹脂、(表面)サイジング、コンポジット、ゲル又はハイドロゲルとして使用するための組成物に関し、前記組成物は、ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)を含む。これらの組成物は、ミクロフィブリル化セルロースに加え、少なくとも一種の溶媒を含み、前記溶媒は、好ましくは水を含むか、又はそれからなり、また前記組成物は、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基と架橋できる、少なくとも一種の化合物を含む。これらの組成物において、ミクロフィブリル化セルロースは、主に架橋剤として機能し(なお、ミクロフィブリル化セルロースが他の機能、例えば粘性調整剤及び/又はチキソトロピー添加剤としての機能を更に有することが決して除外されない)、その際、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基を有する化合物を、ゲル様の3次元ネットワークに取り込む。

目的

一方では、公知の架橋剤(例えばホウ砂)は、以下の(一般に認識されている)利点の一つ以上と関連しており、その幾つか(又は大部分)は、いずれかの代替的な架橋剤によって満たされなければならない:
−粘稠な組成物に必要となる粘度(「増粘性」)及び構造を提供する

効果

実績

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請求項1

接着剤塗料コーティング、(表面)サイジングコンポジット樹脂ペースト食品用増粘剤若しくは添加剤ゲルハイドロゲル又は吸収剤として使用するための組成物であって、−ミクロフィブリル化セルロースと、−少なくとも一種溶媒と、−(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基架橋できる、少なくとも一種の化合物と、を含む、組成物。

請求項2

前記ミクロフィブリル化セルロースが、少なくとも一つの長さスケール、すなわちフィブリル直径及び/又はフィブリル長を有し、それが非フィブリル化セルロース繊維直径及び/又は繊維長さと比較し小さく、好ましくは、本発明のミクロフィブリル化セルロースを形成するミクロフィブリル化セルロースフィブリルの直径が、nm範囲、すなわち1nm〜1000nm、好ましくは、平均10nm〜500nmである、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記ミクロフィブリル化セルロースが、組成物の全重量に対し、0.001%乾燥重量〜10%乾燥重量、好ましくは、組成物の全重量に対し、0.01%乾燥重量〜10%乾燥重量、好ましくは0.05%〜5%、更に好ましくは0.05%〜2%の濃度で存在するか、又は、前記組成物中のミクロフィブリル化セルロースの量が、組成物の全重量に対し、0.02%w/w〜8%w/w、好ましくは0.05%w/w〜0.5%w/w、又は0.05%w/w〜0.2%w/w、又は0.05%w/w〜0.15%w/wである、請求項1又は請求項2に記載の組成物。

請求項4

前記ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基が、ヒドロキシ基カルボキシル基エステル基エーテル基アルデヒド官能基からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。

請求項5

前記溶媒が極性溶媒であり、好ましくは、前記溶媒がプロトン性溶媒であり、更に好ましくは、前記溶媒が、水を含むか若しくは本質的にそれからなる、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。

請求項6

前記組成物中の、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基と架橋できる、前記化合物が、以下の化合物:少なくとも一つのデンプン又はデンプン誘導体、具体的にはデキストリン、少なくとも一つのポリビニルアルコール、少なくとも一つのポリ酢酸ビニル、少なくとも一つのポリエチレングリコール、少なくとも一つのポリプロピレングリコール、少なくとも一つの多糖類、少なくとも一つの炭水化物、少なくとも一つのポリペプチド、少なくとも一つのアクリレート、少なくとも一つのアクリルアミド、少なくとも一つのエチレンオキシド、少なくとも一つのプロピレンオキシド、少なくとも一つのグリコール、少なくとも一つのポリエーテル、少なくとも一つのポリエステル、少なくとも一つの多価アルコール、少なくとも一つのエポキシ樹脂、少なくとも一つのポリウレタン、少なくとも一つのポリアクリレート、例えばポリメチルメタクリレートPMMA)、少なくとも一つのポリウレア又は少なくとも一つのカルバミドから選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。

請求項7

前記溶媒が、組成物の全重量に対し、20重量%〜90重量%、好ましくは30%〜80%まで、更に好ましくは40%〜75%w/wの量で存在する、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。

請求項8

前記組成物が、ミクロフィブリル化セルロース以外の架橋剤を含まず、具体的には、ホウ酸ホウ砂グリオキサールグルタルアルデヒドホルムアルデヒドクエン酸又は(ポリカルボキシル酸、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ジカプロキシプロピレンスクシネートアルデヒドベースの若しくは酸化された多糖類、ビスベンジジン−2,2'−ジスルホン酸、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンジメチルアジペートエポキシ有機パーオキシド、クエン酸3ナトリウムオキシ塩化リンクロロヒドリントリメタホスフェート(TMF)の塩又は誘導体、例えばトリメタリン酸ナトリウムトリポリリン酸ナトリウム、ポリメタホスフェート(例えばヘキサメタホスフェート)、POCI3、ビフェニル化合物、Ν,Ν,−ジメチロールイミダゾリドン−2(DMEU)、シアヌル酸塩化物、アジペート、アジピン酸酢酸混合無水物、アジピン酸/酢酸、エピクロルヒドリンアルミン酸ナトリウムジビニルベンゼンジビニルスルホン、又はそれらの塩を含まないか又はトレース量でのみ含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。

請求項9

前記組成物中の、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基と架橋できる、前記化合物が、少なくとも一つのデンプン又はデンプン誘導体であり、好ましくは、ミクロフィブリル化セルロースのデンプン又はデンプン誘導体に対する重量比が、1:1500〜1:50、好ましくは1:1500〜1:100、更に好ましくは1:500〜1:100、更に好ましくは1:400〜1:200である、請求項8に記載の組成物。

請求項10

前記組成物が、ホウ砂を含まないか又はトレース量でのみ含む、請求項9に記載の組成物。

請求項11

前記ミクロフィブリル化セルロースが、溶媒としてのポリエチレングリコール(PEG)中で、0.65%のMFCの固形分含量で、明細書において説明される測定方法により測定したとき、2000Pa・s以上、好ましくは3000Pa・s以上又は4000Pa・s以上、更に好ましくは5000Pa・s以上、更に好ましくは6000Pa・s以上、更に好ましくは7000Pa・s以上、のゼロ剪断粘度(η0)を有するゲル様の分散液となることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。

請求項12

前記ミクロフィブリル化セルロースが、MFCサンプルを0.3%の固形分含量に水で希釈し、次に、15分間1000Gでサンプルを遠心分離し、その後、透明な水相沈殿物から分離し、沈殿物を量することで測定したとき、30以上、好ましくは40以上又は50の、より好ましくは60又は70又は75以上、より好ましくは80又は90以上、より好ましくは100以上の保水能力、またしばしば称されるところの水保持能力、により特徴づけられ、保水能力が(mV/mT)-1で算出され、式中、mVが沈殿物湿重量であり、mTが分析されるMFCの乾燥重量であり、その測定方法が、明細書において記載されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。

請求項13

接着剤、塗料、コーティング、(表面)サイジング剤、樹脂、ペースト、食品用増粘剤若しくは添加物、(コンポジット)ゲル又はハイドロゲル又は吸収剤として、好ましくは接着剤組成物として使用するための、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物から得られたか、又は得られる架橋組成物

請求項14

接着剤、塗料、コーティング、(表面)サイジング剤、樹脂、ペースト、食品用増粘剤若しくは添加物、(コンポジット)ゲル又はハイドロゲルとして使用するための、架橋組成物の調製方法であって、(i)少なくとも一種の化合物を、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基と架橋できる、少なくとも一種の溶媒、具体的には、水を含むか又は本質的にそれからなる溶媒と混合して、所定の粘度を有する混合物とするステップと、(ii)任意に、(i)から得た混合物に、一つ以上の添加剤を添加するステップと、(iii)ステップ(i)の間若しくは後に、又は任意のステップ(ii)の間若しくは後に、好ましくは溶媒に、好ましくは水を含むか又は本質的にそれからなる溶媒に存在するミクロフィブリル化セルロースを添加するステップであって、前記溶媒中の前記ミクロフィブリル化セルロースの固形分含量が、0.1%乾燥重量〜20%乾燥重量、好ましくは2%乾燥重量〜15%乾燥重量であり、均一な混合物が得られるまで、(i)又は(ii)の混合物中にミクロフィブリル化セルロースを分散させるステップと、(iv)ステップ(iii)の後、ミクロフィブリル化セルロースを、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基と架橋できる化合物により、10℃〜100℃、好ましくは25℃〜95℃の温度で、少なくとも部分的に架橋させるステップと、を含む方法。

請求項15

請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物における、架橋剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用、好ましくは、接着剤組成物における、塗料における、コーティングにおける、(表面)サイジング剤における、コンポジットにおける、樹脂における、ペーストにおける、食品用増粘剤における、ゲルにおける、ハイドロゲルにおける又は吸収剤における、架橋剤としてのMFCの使用。

請求項16

接着剤、塗料、コーティング、(表面)サイジング剤、コンポジット、樹脂、ペースト、食品用増粘剤、ゲル若しくはハイドロゲル、又は吸収剤として使用される組成物における、具体的には接着剤組成物における、ホウ砂の代替物としての、ミクロフィブリル化セルロースの使用。

請求項17

ミクロフィブリル化セルロースが、少なくとも、(a)セルロースパルプを少なくとも一つの機械前処理ステップに置くステップと、(b)ステップ(a)の機械的前処理されたセルロースパルプを均一化ステップに置き、それにより、ステップ(a)の機械的前処理されたセルロースパルプに存在するセルロース繊維と比較して小さい長さ及び直径のフィブリル及びフィブリル束とするステップであって、ミクロフィブリル化セルロースをもたらす、前記ステップ(b)と、を含む方法により得られたか、又は得られ、均一化ステップ(b)が、ステップ(a)から得たセルロースパルプを圧縮し、該セルロースパルプを減圧下に置くことを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物若しくは架橋組成物、又は請求項14に記載の方法、又は請求項15若しくは16に記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、接着剤塗料コーティング、(表面)サイジング剤樹脂コンポジットゲル又はハイドロゲルとして使用するための組成物に関し、前記組成物は、ミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)を含む。これらの組成物は、ミクロフィブリル化セルロースに加え、少なくとも一種溶媒、を含み、前記溶媒は、好ましくは水を含むか、又はそれからなり、また前記組成物は、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基架橋できる、少なくとも一種の化合物を含み、好ましくは、前記官能基は、ヒドロキシ基カルボキシル基アルデヒド基又はエーテル若しくはエステル基から選択される。

0002

これらの組成物において、ミクロフィブリル化セルロースは、主に架橋剤として機能し(なお、ミクロフィブリル化セルロースが他の機能、例えば粘性調整剤及び/又はチキソトロピー添加剤としての機能を更に有することが決して除外されない)、その際、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基を有する化合物を、ゲル様の3次元ネットワークに取り込む。

0003

ミクロフィブリル化セルロースは、不都合をもたらしうる一般的に用いられる架橋剤、例えば、ホウ砂を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に置き換えるものである。

0004

更に、好ましい実施形態では、前記組成物は、ミクロフィブリル化セルロース以外の架橋剤、具体的にはホウ酸又はその誘導体を含まないか又はトレース量でのみ含み、具体的には、ホウ砂を含まないか又はトレース量でのみ含む。

0005

他の好ましい実施形態では、本発明では一般に、MFC以外の架橋剤の前記「トレース量」とは、1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、更に好ましくは200ppm未満、更に好ましくは100ppm未満である。

0006

上より、本発明の実施形態では、接着剤、塗料、コーティング、(表面)サイジング薬剤、樹脂、コンポジット、ゲル又はハイドロゲルとして使用されるための前記組成物は、架橋組成物をもたらす。

背景技術

0007

少なくとも一種の溶媒(例えば水)と、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基(好ましくはOH基)を有する、少なくとも一種の化合物と、を含む組成物は、様々な用途において実際的な有用性を有し、当該化合物は、例えば接着剤、塗料、コーティング、表面サイジング剤、樹脂、ゲル、コンポジットゲル吸収剤、ハイドロゲル等において、少なくとも部分的に硬化する必要がある。

0008

これらの用途の幾つかにおいて、架橋剤は通常、硬化、又は組成物の分子間の良好な接着を行わせるために用いられる。しかしながら、かかる架橋剤は一般に、以下の欠点のうち、少なくとも1つ、又はその組合せ(全て含む)を有する:
− 高い又は望ましくないレベルの毒性
− 他の危険性のある(化学的)特性
− 環境への悪影響
生分解性がないか又は限られていること。

0009

例えば、特許文献1は、ナノフィブリルセルロース(NFC)の架橋生成物デンプン及び架橋剤、並びに水を含む表面サイジング溶液を開示する。NFCは、セルロース原料を脱フィブリル化することから得られた100〜2000nmの長さ及び3〜200nmの直径を有するセルロースの単一ミクロフィブリルベースとし、NFC、デンプン及び架橋剤の含量は、絶対乾燥ベースの重量部として、それぞれ0.1〜10重量部、85〜99.75重量部及び0.15〜5重量部である。

0010

特許文献2は、少なくとも40%の乾燥した固形分含量を有し、「典型的」な接着成分(例えばソーダ、ホウ砂、水酸化ナトリウムタンパク質)に加えて、次の成分、すなわちデンプン分散物及び炭酸カルシウムである充填剤を含む接着剤を開示している。このデンプンベースの組成物の接着力試験したところ、特に紙及び段ボール紙への用途に有用であることが明らかとなり、更に、積層において良好な結果が得られている。

0011

特許文献3は、担体ペースト及び主ペーストの混合物を含むデンプン系粘着性ペースト組成物を開示しており、各ペーストは、天然のデンプン、化学的に修飾されたデンプン又はその混合物のいずれかを含む。前記組成物は、水及びホウ酸ナトリウムを更に含み、主ペーストのデンプンの総含量は、主ペーストの総量に対して25〜50重量%の範囲であり、またホウ酸ナトリウム(無水ホウ砂として算出)は、主ペーストのデンプン(乾燥物)の量に対して0.3〜3重量%の範囲の量で存在する。

0012

特許文献4は、デンプン系接着剤(特許文献4の段落[0022]参照)の架橋剤としてホウ砂を用いることに関連する問題点について述べ、その代わりとして、架橋剤としてアルミン酸ナトリウムの使用を提案している。

0013

非特許文献1は、薄いデンプン膜の架橋剤として、酸化スクロースの使用を開示する。

0014

全体として、コーティング及び接着剤を含む様々な用途における架橋剤として共通して使用されるホウ砂が、特に環境に対する配慮から、部分的に、又は完全に置換される必要がある、と一般に考えられている。

0015

一方では、公知の架橋剤(例えばホウ砂)は、以下の(一般に認識されている)利点の一つ以上と関連しており、その幾つか(又は大部分)は、いずれかの代替的な架橋剤によって満たされなければならない:
粘稠な組成物に必要となる粘度(「増粘性」)及び構造を提供すること
−接着剤として使用されるとき、粘稠な組成物のタックを増加させること
基材上への粘稠な組成物の膜形成を改善すること
− 粘稠な組成物の水分保持/水分維持特性を改善すること。

0016

したがって、本発明の一つの課題は、接着剤、塗料、コーティング、(表面)サイジング剤、樹脂、コンポジット、ゲル又はハイドロゲル等として使用するための組成物であって、上記のような問題点の一つ以上に関連する、一般的に使用される架橋剤が、理想的には上記の問題点のいずれも有さず、又は少なくとも該問題点が顕著でない架橋剤により、完全に、又は少なくとも部分的に置き換えられ、一方で、上記の一般的に用いられる架橋剤の(一般に認識されている)利点のうち、全てでなくても、そのほとんどが維持された、組成物を提供することである。

0017

中国特許出願公開第103590281号明細書
欧州特許出願公開第1101809号明細書
米国特許第6964703号明細書
米国特許出願公開第2015/0233058号明細書

先行技術

0018

H. Xu 他 "Robust and Flexible Films from 100% Starch Cross-Linked byBiobased Disaccharide Derivative"; ACS Sustainable Chem. Eng 2015, 3, 2631- 2639

課題を解決するための手段

0019

本発明の第1の態様に従い、この課題及び他の課題は、とりわけ、接着剤、塗料、コーティング、(表面)サイジング剤、樹脂、ゲル、コンポジットゲル、吸収剤又はハイドロゲルとして使用するための組成物により解決され、その特徴として、前記組成物は、
−ミクロフィブリル化セルロースと、
− 少なくとも一種の溶媒と、
− (a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基と架橋できる、少なくとも1種の化合物と、
を含む。

0020

本発明の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基アルデヒド官能基の群から選択される。

0021

本発明の実施形態では、組成物は、ミクロフィブリル化セルロース以外の架橋剤を含まず、具体的にはホウ砂を含まず、又はホウ砂をトレース量でのみ含む。

0023

他の好ましい実施形態では、本発明では一般に、MFC以外の架橋剤の前記「トレース量」とは、1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、更に好ましくは200ppm未満、更に好ましくは100ppm未満である。

0024

本発明の実施形態において、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基と架橋できる、前記少なくとも一種の化合物は、部分的に、又は完全に重合しており、水素結合を形成できる少なくとも2つの基を有するポリマーである。

0025

本発明の実施形態では、少なくとも一種の溶媒は、極性溶媒であり、更に好ましくは極性プロトン性溶媒であり、具体的にはアルコール有機酸若しくは水、又はそれらの組み合わせである。

0026

本発明の実施形態では、少なくとも一種の溶媒は、組成物の全重量に対し、20重量%〜90重量%、好ましくは30%〜80%w/w、より好ましくは40%〜75%w/wの量で存在する。

0027

本明細書で用いられる多くの組成物において、架橋剤は、他の理由のために、アルカリとの、又はアルカリを含む組成物との組み合わせで用いられる。本発明者らは驚くべきことに、MFCで架橋剤の全て又は一部を置き換えたときに、(MFC以外の架橋剤を含むがその他は同一である組成物と比較し)組成物中のアルカリの量を通常減少させることができることを見出した。したがって、本発明の実施形態では、組成物は、アルカリ、好ましくはアルカリ水酸化物、更に好ましくはNaOHを、総量として、全組成物中において0.05%w/w〜0.8%w/w、好ましくは0.1%w/w〜0.5%w/w、更に好ましくは0.1%w/w〜0.3%w/w含む。

0028

ミクロフィブリル化セルロース(また、「網状」セルロースとして、又は「最高級」セルロースとして、又は「セルロースナノフィブリル」として公知)は、セルロース系生成物であり、例えば米国特許第4481077号、米国特許第4374702号及び米国特許第4341807号明細書に記載されている。

0029

本発明によれば、ミクロフィブリル化セルロースは、非フィブリル化セルロースと比較し、長さスケール(直径、ファイバー長)のうちの少なくとも一つが小さい。(非ミクロフィブリル化)セルロース、すなわち、ミクロフィブリル化セルロースを生産するための出発原料(典型的には「セルロースパルプ」として存在)において、個別的な及び「分離された」セルロース「フィブリル」部分は、存在しないか、又は少なくとも顕著に存在しないか、又は検出されない。木部繊維中のセルロースは、フィブリルの凝集体である。セルロース(パルプ)において、基本フィブリルは、更により大きいフィブリル束であるミクロフィブリルに集積し、最後にセルロース繊維に集積される。木部繊維の直径は、典型的には、10〜50μmの範囲(これらの繊維の長さは、更に大きい)である。セルロース繊維がミクロフィブリル化されるとき、「放出された」フィブリルの不均一な混合物は、その横断面寸法及び長さがnm〜μmとなりうる。フィブリル及びフィブリルの束は、その結果得られるミクロフィブリル化セルロースと共に存在しうる。

0030

本発明の実施形態において、ミクロフィブリル化セルロースは、非フィブリル化セルロースの線維直径及び/又は繊維長と比較し、少なくとも一つの長さスケール(すなわちフィブリル直径及び/又はフィブリル長)が小さく、好ましくは、本発明のミクロフィブリル化セルロースを構成するミクロフィブリル化セルロースフィブリルの直径が、1nm〜1000nm、好ましくは平均10nm〜500nmの範囲である。

0031

本開示の全体にわたり記載されるミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)において、個々のフィブリル又はフィブリル束は、従来公知の光学顕微鏡による観察により、例えば40倍の倍率で、又は電子顕微鏡観察により容易に同定でき、識別することができる。

0032

本発明の実施形態において、ミクロフィブリル化セルロースは、組成物の全重量に対して、乾燥重量にて、0.001%〜10%、好ましくは0.01%〜10%、好ましくは0.05%〜5%、更に好ましくは0.05%〜2%、更に好ましくは0.05%〜0.15%の濃度で存在する。

0033

本発明において、「乾燥重量」(また「固形分含量」)という用語は、全ての溶媒(典型的には水)を除去したときの、残りのミクロフィブリル化セルロースの量を指す。その量は次に、接着剤組成物(溶媒、重合性の、又は既に部分的若しくは完全に重合した化合物、例えばデンプン、及び存在する場合には他の補助剤を含む)の全重量に対する重量パーセントとして算出される。

0034

本発明の代替的実施形態において、前記組成物中のミクロフィブリル化セルロースの量は、組成物の全重量に対して、0.02%w/w〜8%w/w、好ましくは0.05%w/w〜5%w/w、更に好ましくは0.05%w/w〜2%w/w、更に好ましくは0.05%w/w〜0.5%w/w、更に好ましくは0.05%w/w〜0.15%w/wである。本発明の代替実施形態において、前記組成物中のミクロフィブリル化セルロースの量は、組成物の全重量に対して、0.001%w/w〜0.03%w/w、好ましくは0.003%w/w〜0.03%w/w、更に好ましくは0.007%w/w〜0.03%w/w、更に好ましくは0.01%w/w〜0.03%w/wである。

0035

本発明において、MFCの量を濃度「乾燥重量」として示すことは、組成物の全重量に対する「%w/w」として量を示すことと同じである。

0036

本発明者らは、驚くべきことに、比較的低い量(例えば10%w/w以下、又は5%w/w以下)のMFCであっても、MFCが有する架橋剤としての、本願明細書全体において開示する有利性を発揮させつつ、特許請求に係る組成物において用いることができることを見出した。通常、当業者は、必要となる添加剤の量をできるだけ低く抑えることを望む。通常、あまりに低いMFCの量(例えば0.001%w/w未満)が選択される場合、架橋ネットワークの強度が不十分となりうる。あるいは、フィブリルの量が少ない量であれば、架橋ネットワークの形成が不十分になりうると考えられる。一方、例えば10%w/w以上の多量のMFCが存在する場合、粘度は高くなり過ぎ、組成物全体として加工が困難となりうる。

0037

本発明の実施形態では、MFCは、EN ISO 5267−1(1999年バージョン)において定義される基準に従い得られるショッパー=リーグラー(Schopper-Riegler、SR)値として95以下、好ましくは90以下を有するか、あるいは、MFC線維が小さ過ぎ、これらの線維の大部分のフラクションSR法において定義したスクリーンを通過してしまうことから、ショッパー=リーグラー法によって適切に測定することができない。

0038

本発明によると、MFCは、組成物の架橋剤として機能するのみならず、ミクロフィブリル化セルロースは(また)、粘度調節剤及び/又は安定化剤として、具体的にはチキソトロピー添加剤としても機能する。

0039

本発明の実施形態において、組成物のpH値は、特にデンプン系接着剤の場合、8以上、好ましくは10以上である。

0040

他の実施形態において、組成物のpH値は、特にPVAを含む組成物の場合、2〜6、好ましくは3.5〜5.5である。

0041

本発明の実施形態において、組成物中の、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基により架橋ができる化合物は、以下の化合物から選択される:少なくとも一つのデンプン又はデンプン誘導体(具体的にはデキストリン)、少なくとも一つのポリビニルアルコール、少なくとも一つのポリ酢酸ビニル、少なくとも一つのポリエチレン又はポリプロピレングリコール、少なくとも一つの多糖類、少なくとも一つの炭水化物、少なくとも一つのポリペプチド、少なくとも一つのアクリレート、少なくとも一つのアクリルアミド、少なくとも一つのエチレンオキシド、少なくとも一つの酸化プロピレン、少なくとも一つのグリコール、少なくとも一つのポリエーテル、少なくとも一つのポリエステル、少なくとも一つの多価アルコール、少なくとも一つのエポキシ樹脂、少なくとも一つのポリウレタン、少なくとも一つのポリアクリレート(例えばポリメチルメタクリレートPMMA)、少なくとも一つのポリ尿素又は少なくとも一つのカルバミド)。

0042

本発明の実施形態において、組成物中の、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基を有する架橋ができる化合物は、少なくとも一つのデンプン又はデンプン誘導体であり、好ましくは、ミクロフィブリル化セルロースとデンプン又はデンプン誘導体との比は、1:1500〜1:50、好ましくは1:1500〜1:100、好ましくは1:500〜1:100、更に好ましくは1:400〜1:200である。

0043

第2の本発明の態様によると、上記の及び他の幾つかの課題は、上記の実施形態のいずれかに係る組成物から得られたか又は得られる架橋組成物により解決される。

0044

本発明では、「架橋」組成物というときは、完全に硬化し、及び/又は架橋し、また即時使用可能な、特に、接着剤、塗料、コーティング、表面サイジング剤、樹脂、ゲル、コンポジットゲル、吸着剤として又はハイドロゲルとして使用するための組成物を意味する。

0045

本発明の実施形態において、上記の実施形態のいずれかによる組成物から得られた又は得られる前記架橋組成物は、時間経過と共に安定な粘度を有し、具体的には、標準条件(33℃、1bar)で、架橋の終了の直後に、単独で静置(すなわち貯蔵条件)したとき、24時間、好ましくは48時間にわたり、粘度は20%以上、好ましくは15%以上、更に好ましくは5%以上増減しない。

0046

本発明の実施形態において、上記の実施形態のいずれかによる組成物から得られた又は得られる前記架橋組成物は、ミクロフィブリル化セルロースを含まない以外には同一の組成物のゲル化温度と比較し低いゲル化温度を有する。

0047

本発明では、前記架橋組成物において、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2つの基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一つの官能基と架橋できる化合物の2以上の分子(モノマー、部分的に重合したオリゴマー又はポリマー)は、ミクロフィブリル化セルロースの一つ以上の単位を介して互いに架橋される。

0048

下記で更に詳細に説明するように、(官能基を提供する)ミクロフィブリル化セルロースフィブリルの特定の構造、形態及び表面化学的特性のため、MFCフィブリルの官能基、特にヒドロキシ基又はカルボキシル基と反応できる(すなわち、架橋されうる)化合物と共に得られるミクロフィブリル化セルロースの3次元架橋ネットワークは、剪断に対して安定であるゲル様構造(おそらくハイドロゲル)が形成され、高い粘度及び/又は保水性を有し、長期間にわたり安定であり、例えば、粘度の顕著な増減がないため、特に水の存在下で、特に安定な構造を提供する。

0049

本願明細書において、参照する実施例4及び実施例10では、ホウ砂により架橋されるデンプンのそれと比較し、MFCで架橋されるデンプンの高い剪断粘度が顕著に低下したことを示す。MFCで架橋されたデンプン組成物においては、分子は相互に強く結合され、分子の機械強度が増加し、膨潤した粒子の状態が保持され、それにより、粘度の低下が防止され、機械的剪断衝撃に対する抵抗力が提供される。この実施例では、デンプン内の隣接するヒドロキシ基(又はCOOH)に対するMFC内の多くのヒドロキシ基の水素結合の強度は、MFCの物理的なフィブリルネットワーク構造により増加する。

0050

理論に拘束されないが、このネットワーク構造は、水素結合を介した、ミクロフィブリル化セルロース単位とMFCフィブリルのOH/COOH又はCHO基と反応できる化合物との化学的及び/又は物理的な(イオン性の)架橋結合に基づくと考えられる。具体的には、ミクロフィブリル化セルロースは、極性溶媒系、特に水系において効果的な増粘剤であり、水素結合により安定化されるフィブリルの大きな3次元ネットワークを構築すると考えられる。

0051

MFCはまた、水素結合により化学的にポリマーを架橋するMFCの能力に加え、絡み合ったフィブリルのネットワークにポリマーを固定する能力を有する。この物理的相互作用は、水素結合を可能にし、強化する。pH及び反応条件に依存して、MFCネットワークは、そのフィブリル間静電気的反発力のため、低度に(低pH)、又は高度に伸長した(高pH)状態に調整することができる。

0052

MFCは、化学的及び物理的な架橋を行っても、安定なハイドロゲルを形成させることが可能であり、それはかなりの水量を保持することが可能な3次元のポリマーネットワークである。水が溶媒として用いられる場合、MFCは本来ハイドロゲルでもあるが、それは分子間架橋を可能にする強固なフィブリルネットワークのため、水に溶解しない。この特徴から、MFCは、分子間架橋よりもむしろ分子内架橋の傾向があるCMCなどの他のセルロース製品(誘導体)とは異なる。MFCは、複数の水素結合を介してポリマー(化合物)と相互作用する能力を有すると考えられる。MFCはそれにより、両方の物理的なフィブリル/フィブリル凝集体、及び外側へ向かう水素結合基のいずれによっても、系を安定化させることができる。

0053

本発明の粘稠性組成物が(特にホウ砂を置き換えたときの)高剪断条件下での粘度安定性などの性能特性を改善させる主要な原因として、MFCの「架橋」能力が考えられる一方、MFCは更に、特定の用途及び/又は更なる成分の有無に応じて、他の機能又は効果(例えば粘度調整チキソトロピー特性、安定化等)を付与することもできる。

0054

本発明によれば、粘稠性組成物は、好ましくは水を含むか又はそれから本質的になる少なくとも一種の溶媒を含み、前記溶媒は、組成物全体の重量に対して20重量%〜90重量%、好ましくは30%〜80%、更に好ましくは40%〜75%w/wで存在する。

0055

本発明の実施形態において、粘稠性組成物は、MFC以外の架橋剤を含まず、特に、ホウ砂を含まないか、又はホウ砂若しくはホウ酸をトレース量でのみ含む。

0056

粘稠性組成物は好ましくは、グリオキサール、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、クエン酸又は(ポリ)カルボン酸、N,N−メチレンビスアクリルアミド、コハク酸ジカプロキシプロプレン、アルデヒドベース又は酸化型多糖、ビス−ベンジジン−2,2'−ジスルホン酸、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン、ジメチルアジパート、エポキシ、有機過酸化物、クエン酸三ナトリウム、オキシ塩化燐クロルヒドリン、トリメタリン酸塩(TMF)の塩又は誘導体、例えばトリメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ポリメタリン酸(例えばヘキサメタリン酸塩)、POCl3、ビフェニル化合物、Ν,Ν−ジメチロール−イミダゾリドン−2(DMEU)、シアヌル酸塩化物、アジピン酸塩、アジピン酸酢酸混合無水酸、アジピン酸/酢酸、エピクロルヒドリン、アルミン酸ナトリウム塩、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン若しくはその塩を含まないか、又はトレース量でのみ含む。

0057

他の好ましい実施形態では、本発明では一般に、前記「トレース」とは、1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、更に好ましくは200ppm未満、更に好ましくは100ppm未満である。

0058

本発明によれば、「ホウ砂」及びホウ酸は通常、同じ化合物ではないと理解されるが(ホウ砂はホウ酸の塩、すなわち、ホウ砂はナトリウムテトラボレートである一方、ホウ酸は水素化ホウ酸である)、用語「ホウ砂」を用いるときは、該用語はホウ酸及びそのアルカリ金属塩を指す。具体的には、主にそれらの結晶水含量において異なる多くの関連する無機的又は化学的化合物を「ホウ砂」と称し、本発明の範囲内に含めるものとする(具体的には10水和物)。市販のホウ砂は、典型的には部分的に脱水される。本発明によれば、用語「ホウ砂」にはまた、ホウ酸又はホウ砂の誘導体、例えば化学的又は物理的に修飾されたホウ酸又はホウ砂が包含される。

0059

具体的には、本発明のホウ砂は、それらの結晶水含量において異なる以下の無機的又は化学的化合物を含むか、又は本質的にそれからなる:
−無水ホウ砂(Na2B4O7)
− ホウ砂5水和物(Na2B4O7・5H2O)
− ホウ砂10水和物(Na2B4O7・10H2O)、
又はそれらの組み合わせ。

0060

ホウ砂は[B4O5(OH)4]2-イオンを含むため、10水和物はNa2[B4O5(OH)4]・8H2Oとして表されることもある。「ホウ砂」はホウ酸及び他のホウ酸塩に変換することができ、それらは多くの用途を有する。ホウ酸を形成する際の塩酸との反応は、以下の通りである:
Na2B4O7・10H2O+2 HCl → 4 H3BO3+2 NaCl+5 H2O

0061

ホウ酸は、ホウ酸水素、ホウ素酸オルトホウ酸及びacidum boricumとしても知られている。

0062

架橋可能化合物のミクロフィブリル化セルロース(ここではデンプン)との反応は、以下の機構に従う、ミクロフィブリル化セルロースのR-OH基との反応であると考えられる:
NaOH+B(OH)3 → Na++B(OH)4-
架橋機構
Na+ + B(OH)4-+R-OH → Na++R-O-B(OH)3-+H2O
Na++R-O-B(OH)3-+R1-OH → Na++R-O-B(OH)2O-R1+H2O
R=デンプン分子
R1=新たなデンプン分子

0063

ホウ砂の使用がMFCにより置換できる場合の、本発明に係るホウ砂の代表的な用途は、以下の表に示すとおりである:

0064

0065

理論に拘束されないが、MFC架橋デンプンの粘度低下は、ホウ砂により架橋されたデンプンのそれと比較し、少ないと考えられる。MFCによるデンプンの架橋を行うことにより、デンプン分子が互いに強く結合され、混合物全体機械的強度が増加し、膨潤した粒子が完全に保たれ、それにより、粘度低下が防止され、機械的剪断インパクトに対する抵抗力が付与される。MFC中に多く含まれるヒドロキシ基と、それに隣接するデンプン中のヒドロキシ基との水素結合の強度は、MFCの物理的なフィブリルネットワーク構造により増加する。

0066

本発明の第3の態様に従い、上記の課題及び他の課題は、上記の実施形態による、又は、上記の実施形態による組成物のいずれかから得られたか若しくは得られる、架橋組成物の、接着剤、塗料、コーティング、(表面)サイジング剤、コンポジット、樹脂、ペースト、食品用増粘剤若しくは添加剤、ゲル若しくはハイドロゲル、又は吸収剤としての、好ましくは接着剤組成物としての使用、により解決される。

0067

本発明によれば、「サイズ」又は「サイジング」とは、他の材料に塗布されるか、又はそれに組み込まれる物質、特に保護充填材又は上塗り剤として機能する紙及び織物のことである。サイジングは、製紙及び織物製造において、それらの材料の吸収性及び着心地に関する特徴を変化させるのに用いられる。

0068

本発明の第4の態様に従い、上記の課題及び他の課題は、接着剤、塗料、コーティング、表面サイジング剤、コンポジット、樹脂、ペースト、食品用増粘剤若しくは添加剤、ゲル、ハイドロゲル又は吸収剤として使用するための架橋組成物を調製する方法により解決され、前記方法は、特に、以下のステップを含む:
(i) (a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2個の基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも1個の官能基と架橋できる、少なくとも一種の化合物を、少なくとも一種の溶媒(具体的には水を含むか又は基本的にそれからなる溶媒)と混合して、所定の粘度を有する混合物とするステップと、
(ii) (i)から得た混合物に一以上の添加剤を任意に添加するステップと、
(iii) ステップ(i)の間若しくは後に、又は任意のステップ(ii)の間若しくは後に、好ましくは溶媒に、好ましくは水を含むか又は基本的にそれからなる溶媒に存在するミクロフィブリル化セルロースを添加するステップであって、前記溶媒中の前記ミクロフィブリル化セルロースの固形分含量が、0.1%乾燥重量〜20%乾燥重量、好ましくは2%乾燥重量〜15%乾燥重量であり、更に、均一な混合物が得られるまで、(i)又は(ii)の混合物中のミクロフィブリル化セルロースを分散させるステップと、
(iv) ステップ(iii)の後、ミクロフィブリル化セルロースを、(a)重合可能な、又はすでに部分的もしくは完全に重合しており、(b)水素結合できる少なくとも2個の基、好ましくはOH基を有し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも1個の官能基と架橋できる化合物により、10℃〜100℃、好ましくは25℃〜95℃の温度で、少なくとも部分的に、好ましくは完全に架橋させるステップ。

0069

本発明の第5の態様に従い、上記の課題及び他の課題は、上記で議論される実施形態のいずれかの組成物における、架橋剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用により、好ましくは、架橋剤としてのMFCの、接着剤組成物における使用、コーティングにおける使用、サイジング組成物における使用、ゲルにおける使用、ハイドロゲルにおける使用、樹脂における使用、コンポジットにおける使用、ペーストにおける使用、増粘剤としての使用又は食品用添加剤としての使用、又は吸収剤における使用により解決される。

0070

本発明の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、組成物のホウ砂の代わりとして用いられる。具体的には、接着剤組成物の、コーティングの、サイジング組成物の、ゲルの、ハイドロゲルの、樹脂の、コンポジットの、ペーストの、増粘剤としての又は食品用添加剤としての、又は吸収材においての、ホウ砂の代わりとして用いられる。

0071

理論に拘束されないが、MFCが、剪断下及び/又は時間経過において粘度を保持する安定なネットワークを形成するだけでなく、MFCで安定化されたネットワークが、他のポリマー及び/又はゲル−等のネットワークよりも高い保水能力を有するため、本発明の(架橋)組成物は、特にこれらの用途で有用であると考えられる。それは通常、基材(表面)上へ塗布されたコーティングが、前記基材の表面又はさらに内部にまで水を放出するような場合に有利なものと考えられる。

0072

MFC架橋ポリマーにより、特に架橋デンプンにより調製された接着剤は、改善された流体力学プロファイルを有するため、該接着剤は、段ロールへの適用に特に適し、また保存用ボトル中における改善された粘度安定性に加え(実施例4参照)、優れた湿式付着強さ(タック)が付与されたものとなる。

0073

架橋剤としてのMFCの使用は、改善された粘度、改善された粘度安定性及び改善されたテクスチャーを有する(デンプン系)接着剤をもたらすものである。接着剤の塗布量が少なくても、より強力な結合、製造速度の向上及び得られる平坦板の向上が可能となる(実施例11を参照)。

0074

本発明による、又は本発明の工程により得られたか若しくは得られる組成物、及び/又は、本発明による該組成物におけるMFCの(架橋剤としての、及び/又はホウ砂の代わりとしての)使用は、以下の利点の少なくとも1つと関連する:
−ミクロフィブリル化セルロースは、粘稠性組成物(特に、溶媒として水を含むか、又はほぼ水からなる組成物)中に良好に分散する
− ミクロフィブリル化セルロースは、特に貯蔵の間、また高い剪断下の抵抗に関して、最終的な組成物の粘度を調整し、時間経過においてそれを安定化させるために使用することができる
− ミクロフィブリル化セルロースは、いかなる工程段階においても、粘度調整に使用できるという柔軟性を提供する
− ミクロフィブリル化セルロースは、粘稠性組成物全体にチキソトロピー特性を提供し、それは粘度を全体的に高くできることを意味する
− ミクロフィブリル化セルロースは、粘稠性組成物全体に剪断力減弱特性を提供し、それにより塗布性が改善される
− ミクロフィブリル化セルロースは、より短いテクスチャー(改善された流動学的プロファイル)を提供し、それにより段ロールへの用途において優れ、また、優れた湿式接着強さ(タック)(接着剤の使用量減少、接着力強化、製造速度の改善、及び優れた平坦型の段ボール紙の提供)がもたらされる。

図面の簡単な説明

0075

ホウ砂を含む参照接着剤とMFCを含む接着剤の硬化温度を示すグラフである。
24時間の貯蔵後、ホウ砂を含む参照接着剤とMFCを含む接着剤の、温度、粘度、テクスチャー、及び固形分含量を示すグラフである。
207m/分及び250m/分で動作させたBB25cボード上のピン粘着試験(PAT)で測定した、MFCを含む接着剤の粘着力と、207m/分で動作させたBB25cボード上のピン粘着試験(PAT)で測定した、ホウ砂を含む参照接着剤の粘着力を示すグラフである。
ホウ砂を含む参照接着剤と比較した、通常の及び高い速度で動作させたMFCを含む接着剤で調製したサンプルの標準化された試験測定の結果を示すグラフである。
ホウ砂を含む参照PVA接着剤とミクロフィブリル化セルロースを含むPVA接着剤のDIN粘度を示すグラフである。
ホウ砂を含む参照接着剤とミクロフィブリル化セルロースを含む接着剤の粘着力、及び製造スピードを示すグラフである。
ホウ砂を含む参照接着剤とミクロフィブリル化セルロースを含む接着剤の厚さ、エッジワイズクラッシュ抵抗(edgewise crush resistance、ECT)、ねじれ強さ、接着剤の量を示すグラフである。
ホウ砂を含む参照接着剤とミクロフィブリル化セルロースを含む接着剤の破裂強さを示すグラフである。

0076

本発明では、「ミクロフィブリル化セルロース」(MFC)とは、機械的処理により、断面(直径)及び/又は長さに関して、セルロース繊維の比表面が増加し、及びサイズが減少したセルロース繊維を指すものと解し、前記のサイズの減少により、好ましくは、nm範囲の直径及びμm範囲の長さを有する「フィブリル」が得られる。

0077

ミクロフィブリル化セルロース(「網状」セルロースとして、又は「スーパーファイン」セルロースとして、又は特に「セルロースナノフィブリル」としても知られる)は、セルロース系生成物であり、例えば、米国特許第4481077号、第4374702号及び第4341807号明細書に記載されている。米国特許第4374702号(「Turbak」)によれば、同文献において開示される機械的処理を受けないセルロース製品と比較し、ミクロフィブリル化セルロースは異なる特性を有する。具体的には、これらの文献に記載されるミクロフィブリル化セルロースは、小さい長さスケール(直径、繊維長)、改善された保水力及び調節可能な粘弾性特性を有する。特定の用途のために設計して製造された、更に改善された一つ以上の特性を有するMFCは、特に国際公開第2007/091942号及び第2015/180844号パンフレットから公知である。

0078

ミクロフィブリル化セルロースを製造するための出発物質(典型的には「セルロースパルプ」として存在)であるセルロースにおいては、「分離された」セルロース「フィブリル」の部分が、存在しないか、又は少なくとも顕著でないか、若しくは検出可能ですらない。木部繊維中のセルロースは、フィブリルの凝集体である。セルロース(パルプ)において、基本フィブリルは、更により大きいフィブリル束であるミクロフィブリルに集積し、最後にセルロース繊維に集積される。木部繊維の直径は、典型的には、10〜50μmの範囲(これらの繊維の長さは、更に大きい)である。セルロース繊維がマイクロミクロフィブリル化されるとき、「放出された」フィブリルの不均一な混合物は、その横断面寸法及び長さがnm〜μmとなりうる。フィブリル及びフィブリルの束は、その結果得られるミクロフィブリル化セルロースと共に存在しうる。

0079

本開示の全体にわたり記載されるミクロフィブリル化セルロース(「MFC」)において、個々のフィブリル又はフィブリル束は、従来公知の光学顕微鏡による観察により、例えば40倍の倍率で、又は電子顕微鏡観察により容易に同定でき、識別することができる。

0080

実施形態において、本発明のミクロフィブリル化セルロースは、以下の一つ以上の特徴により特徴づけられる:

0081

ミクロフィブリル化セルロースは、溶媒としてのポリエチレングリコール(PEG)中で、0.65%のMFCの固形分含量で測定したとき、2000Pa・s以上、好ましくは3000Pa・s以上、好ましくは4000Pa・s以上、更に好ましくは5000Pa・s以上、更に好ましくは6000Pa・s以上、更に好ましくは7000Pa・s以上、のゼロ剪断粘度(η0)を有するゲル様の分散液となる

0082

ゼロ剪断粘度(η0)(「静止時粘度」)は、ゲル様分散液を形成する3次元ネットワークの安定性に関する測定値である。本願明細書に開示され、また特許請求される「ゼロ剪断粘度」は、以下にて説明するように測定される。具体的には、MFC分散液の流動学的な特性評価(「比較例」及び「本発明に従う例」)は、溶媒としてPEG400を用いて実施した。「PEG 400」は、380〜420g/molの分子量を有するポリエチレングリコールであり、医薬用途で広く用いられ、したがって、一般に公知であり、入手可能である。

0083

流動学的特性は、特にゼロ剪断粘度は、Anton Paar PhysicaMCR301タイプのレオメーターで測定した。全ての測定温度は25℃とし、「プレート−プレート」ジオメトリーを用いた(直径:50mm)。流体力学的測定は、分散液の構造の程度を振動測定振幅スイープ)として行い評価し、また回転性粘度測定を行い、そこでは粘度を剪断速度の関数として測定し、静止時の粘度(剪断力→0)、並びに分散液の剪断減弱特性を評価した。測定方法は更に、国際出願PCT/EP2015/001103(欧州特許出願公開第3149241号)にも記載されている。

0084

実施形態において、ミクロフィブリル化セルロースは、30以上、好ましくは40以上、好ましくは50以上、好ましくは60以上、好ましくは70以上、好ましくは75以上、好ましくは80以上、好ましくは90以上、更に好ましくは100以上の保水能力(水保持能力)を有する。保水能力はMFC構造の中で水を保持するMFCの能力を意味し、これはまた、アクセス可能表面積に関係する。保水能力は、水中に0.3%の固形分含量となるようにMFCサンプルを希釈し、次に1000Gで15分間サンプルを遠心分離することで測定される。透明な水相沈殿物から分離し、沈殿物を量した。保水能力は、沈殿物の湿重量mVとし、分析するMFCの乾燥重量をmTとしたとき、(mV/mT)-1として表される。測定方法は更に、国際出願PCT/EP2015/001103(欧州特許出願公開第3149241号)にも記載されている。

0085

原則として、元のセルロースパルプに存在する線維の束がMFCの製造工程の際に十分に崩壊し、得られた繊維/フィブリルの平均直径がnm範囲となり、それにより、元のセルロース材料に存在する表面と比較し、セルロースベース材料全体の表面積が多く形成される限り、いかなるタイプのミクロフィブリル化セルロース(MFC)も本発明において用いることが可能である。MFCは、当業者に公知のいずれの方法に従い調製してもよい。

0086

本発明によれば、セルロース、及びミクロフィブリル化セルロースの由来に関しては特に限定されない。原則として、セルロースミクロフィブリル原料は、いずれのセルロース系材料であってもよく、具体的には木、一年生植物、綿、アマ、わら、ラミーバガス(糖由来)、適切な藻類ジュート、糖ビート柑橘類果実食品加工業又は資源作物由来廃棄物、又は細菌性由来若しくは動物由来のセルロース(例えば被嚢類由来)であってもよい。

0087

好ましい実施形態において、木系の材料が原料として用いられ、それは硬材又は軟材又は両方(混合物)であってもよい。更に好ましくは、軟材が原料として用いられ、それは単一の種類又は異なる軟材タイプの混合物であってもよい。また、比較的高い純度のため、細菌由来のミクロフィブリル化セルロースも、好ましい。

0088

原則として、本発明のミクロフィブリル化セルロースは、その官能基に対する変更を施さなくてもよいが、物理的に修飾しても、又は化学的に修飾してもよく、又はその両方であってもよい。

0089

セルロースミクロフィブリルの表面の化学的修飾は、セルロースミクロフィブリルの表層官能基の、具体的にはヒドロキシ基を含む官能基の、各種の考えられる反応により、好ましくは以下により実施することができる:酸化、シリル化反応エーテル化反応イソシアネートによる縮合アルキレンオキサイドによるアルコキシ化反応、又はグリシジル誘導体による縮合若しくは置換反応。化学的修飾は、脱フィブリル化ステップの前後に行いうる。

0090

セルロースミクロフィブリルは、原則的に、表面への吸着若しくは噴霧により、又はコーティングにより、又はミクロフィブリルの封入により、物理的方法で修飾することもできる。修飾ミクロフィブリルは、好適には少なくとも一種の化合物の物理吸着により得ることが可能である。MFCは、両親媒性化合物界面活性剤)との会合により修飾してもよい。

0091

他の好ましい実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、未変性であっても物理的に修飾されてもよいが、好ましくは未変性である。

0092

本発明の実施形態では、ミクロフィブリル化セルロースは、未変性の(天然の)ミクロフィブリル化セルロースであり、好ましくは植物材料由来の未変性ミクロフィブリル化セルロースである。

0093

理論に拘束されないが、ミクロフィブリル化セルロースは、溶媒系、特に水系において非常に効果的な増粘剤であると考えられ、水素結合により安定化されるフィブリルの大きな3次元ネットワークを構築する。ミクロフィブリル化セルロースのフィブリルは、その表面上に、高いpHで完全に分離する(水酸化物イオン(O-)を形成する)ヒドロキシ基を有し、分子内及び分子間で特異的な相互作用を引き起こし、全体的なネットワークを安定化させる(「化学的」及び/又は「物理的」相互作用により安定化させる)。更に、ミクロフィブリル化セルロースは高い保水力を有し、それはまた、本発明の粘稠性組成物が適用される表面又は基材への水の浸透が減少することから、多くの用途、例えばコーティング及び接着剤において有用である。

0094

本発明の好ましい実施態様において、ミクロフィブリル化セルロースは、少なくとも、
(a)セルロースパルプを、少なくとも一つの機械的前処理に供するステップと、
(b) ステップ(a)において機械的前処理されたセルロースパルプを均一化して、ステップ(a)の機械的前処理されたセルロースパルプに存在するセルロース繊維と比較して、長さ及び直径が小さいフィブリル及びフィブリル束を得るステップと、
を含む方法により調製され、前記ステップ(b)によりミクロフィブリル化セルロースが得られ、均一化ステップ(b)は、ステップ(a)からのセルロースパルプを圧縮し、セルロースパルプを減圧下に置くことを含む。

0095

機械的前処理ステップは、好ましくは精製(refining)ステップであるか、又はそれを含む。機械的前処理の目的は、セルロースパルプを「打撃」し、それにより細胞壁アクセス性を向上させる、すなわち表面積を増加させることである。

0096

機械的前処理ステップで好適に用いられる精製装置は、少なくとも一つの回転ディスクを備える。そこにおいて、セルロースパルプのスラリーは、少なくとも一つの回転ディスクと少なくとも一つの静止ディスクとの間で剪断力が印加される。

0097

機械的前処理ステップの前に、又は機械的前処理ステップに加えて、セルロースパルプの酵素的(前)処理のステップを任意に追加することで、幾つかの用途において好ましくなる場合もある。セルロースをミクロフィブリル化することに関連する酵素の前処理に関して、国際公開第2007/091942号パンフレットの関連する内容を、参照により本願明細書に援用する。化学的前処理を含む他のタイプのいかなる前処理も、本発明の範囲内である。

0098

(機械的)前処理ステップの後に実施される均一化ステップ(b)において、ステップ(a)からのセルロースパルプスラリーは、例えば参照によりその内容を本願明細書に援用する国際特許出願PCT/EP2015/001103に記載のように、1回以上、好ましくは2回以上、ホモジナイザーを通過する。

0099

本発明の実施形態において、本発明の組成物に、更なる添加剤(例えば塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、尿素硝酸ナトリウムチオ尿素及びグアニジン塩)を用いてもよく、それらの幾つか又は全ては、更に粘度を制御する可溶化剤として用いてもよい。これらの添加剤は、全重量に基づき約5〜20%で添加されうる。ポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニル混合物を添加することにより水分耐性を改善しうる。これらの接着剤は温水にも溶解させることができ、またそれが有利な場合もある。最適な水分耐性は、例えば尿素ホルムアルデヒド又はレゾルシノールホルムアルデヒドなどの熱硬化性樹脂によっても得られる。

0100

可塑剤は、乾燥速度を調整するためにしばしば用いられる。一般的な可塑剤としては、グリセリン、グリコール、ソルビトールグルコース及び糖が挙げられる。このタイプの可塑剤は、組成物の乾燥速度を低下させる吸湿剤として機能しうる。樹液、ポリエチレングリコール及びスルホン化油脂誘導体をベースとする可塑剤は、乾燥した接着剤内の層を潤滑化し、それにより柔軟性を付与する。尿素、硝酸ナトリウム、サリチル酸及びホルムアルデヒドは、乾燥した組成物と共に濃厚な溶液を形成することにより可塑化させる。これらの全ての添加剤、それらの組み合わせ、又はかかる添加剤のうちの一つを、上記の方法のステップ(i)で、又はステップ(ii)において添加する。

0101

鉱物質の充填剤(例えばカオリンクレー、炭酸カルシウム及び二酸化チタン)を、ステップ(i)、ステップ(ii)又はステップ(iii)の後に添加することにより、コストを削減し、多孔性基板への浸透を制御することができる。これらの添加剤は、5〜50%の濃度で添加することができる。ステップ(i)、ステップ(ii)又はステップ(iii)の後に添加することができる他の添加剤としては、防腐剤漂白剤及び消泡剤が挙げられるが、これらに限定されない。微生物活性を防止するのに好適な防腐剤としては、0.2〜1.0%のホルムアルデヒド(35%の固体)、約0.2%の硫酸銅硫酸亜鉛ベンゾエートフッ化物及びフェノール類が挙げられる。好適な漂白剤としては、重亜硫酸ナトリウム過酸化水素及び過酸化ナトリウム並びに過ホウ酸ナトリウムが挙げられる。有機溶剤は、ワックス塗装された表面への粘着力を改善するために添加することができる。

0102

本発明によれば、「接着剤」とは、複数の物品の表面に塗布されて接着的な結合を介してこれらの表面を永久的に結合させる材料であると解される。接着剤はこれらの2つの部分に対する結合を形成できる物質であり、最終的には相互に接着されて一体化された2つのセクションからなる物体となる。接着剤の特徴としては、最終的な物体の重量と比較して必要とされる量が比較的小さいことである。

0103

実施例1:ミクロフィブリル化セルロースの調製
本発明の組成物に用いられるMFCは市販されており、例えば、ノルウェートウヒ(軟材)由来のセルロースパルプを主成分とする「Exilvaミクロフィブリル化セルロースPBX01-V」として、Borregaard社から市販されている。このMFCを得る例示的な工程は、例えば国際特許出願PCT/EP2015/001103(国際公開第2015/180844号パンフレット)に記載されている。この先行出願の開示は、MFCの製造工程に係る文脈に関して、本発明の開示の一部を構成するものである。

0104

本実施例において使用するMFCは、ペーストとして存在し、10%(実施例では、ミクロフィブリル化セルロースがデンプン系接着剤の架橋剤として用いられる)及び2%(実施例では、ミクロフィブリル化セルロースがPVAの架橋に用いられる)の固形分含量を有する。溶媒を水とした。

0105

実施例2:ミクロフィブリル化セルロースを含む接着剤の調製
デンプンベースの段ボール紙用接着剤(MFCにより架橋)を調製する工程を以下に示す。各工程段階の粘度は、粘度計によりオンラインで測定し、ロリー粘度を測定することにより手動で制御した。

0106

本発明の接着剤は、以下の成分に基づき調製し、以下のステップに従い、製造した:
750kgの原料水
180kgの原料小麦デンプン
36.5℃の温度で30秒間撹拌
100kgの水
16.5kgの原料苛性ソーダ
80kgの水
30秒間撹拌
粘度コントロール値1を、10秒間に設定
840秒間撹拌
粘度コントロール値2を、33.8秒間に設定
260kgの第2原料水
防腐剤:0.4kg
温度35℃
280kgの第2原料小麦デンプン
30秒間撹拌
20kgのMFC(ExilvaPBX01-V)
600秒間撹拌
21kgの水
粘度コントロール値3(最終)を、29.1秒間に設定
ロリー粘度は26.5と測定された。

0107

当業者に公知のように、ロリー粘度は、ここでは、ロリー粘度カップ:Elcometer 2215/1(ASTMD 1084-D又はASTM D4212標準による)により測定される。この装置は、底部に固定されたニードルを有する円筒形カップからなる。最初にカップを接着剤に浸漬し、次に液抜き穴から排出させて空にする。ニードルの先端が現れるやいなや、流動時間を測定する。最終的な接着剤のpHは11.9であった。

0108

特に断りのない限り、本願明細書に記載される全ての測定は、標準的な実験室条件、すなわち25℃の温度、標準圧力周囲圧力、及び50%の周囲湿度で実施した。

0109

接着剤は、大部分の粒子が部分的に膨潤した原料デンプン部からなり、そこでは生の原料デンプンが懸濁していた。

0110

高速撹拌(1500rpm)しながら、非膨潤デンプンの第2部分を添加、混合した後、ミクロフィブリル化セルロースを添加した。ミクロフィブリル化セルロースは、混合物中で容易に分散した。最終製剤中のMFCの濃度は、0.12%である。MFC架橋剤の乾燥質量画分は、0.42%(ポリマー対架橋剤の比率は230対1)であった。

0111

ミクロフィブリル化セルロースの存在に基づき、接着剤のロリー粘度は安定に維持され、また高剪断での混合時間の増加と共に低下することもなかった。本例のようなアルカリ条件下では、MFCは水素結合によりデンプン多糖と架橋結合し、更に、絡み合ったフィブリルから構成される物理的ネットワークを形成することにより、混合物を安定させ、それにより、デンプンを高剪断による分解から保護し、更に苛性ソーダによる更なる反応(膨潤)からも保護する。

0112

実施例3:ホウ砂を含むデンプン系接着剤の調製(参照)
参照接着剤は、以下の成分に基づき調製し、以下の工程に従い製造した:
750kgの原料水
180kgの原料小麦デンプン
30秒間、温度36.5℃で撹拌
100kgの水
16.5kgの原料苛性ソーダ
80kgの水
30秒間撹拌
粘度コントロール値1:10秒間
840秒間撹拌
粘度コントロール値2:33.8秒間
260kgの第2原料水
防腐剤:0.4kg
温度35℃
280kgの第2原料小麦デンプン
30秒間撹拌
2.5kgのホウ砂
600秒間撹拌
粘度コントロール値3(最終):28秒
最終的な接着剤のpHは11.7であった。

0113

第2の非膨潤デンプンの添加及び混合の後、ホウ砂を添加する。最終製剤のホウ砂の濃度は0.15%であった。ホウ砂を含むデンプン接着剤のロリー粘度は、高剪断で混合時間の経過により直ちに減少した。

0114

実施例4:MFC又はホウ砂により架橋されたデンプン接着剤の実験室試験
ホウ砂を含むデンプン接着剤及びMFCを含むデンプン接着剤の硬化温度の測定は、レオメーター(Anton Paar PhysicaMCR102)において実施した。同心のシリンダー・ジオメトリーを用いた。硬化温度を測定するため、25℃から70℃への温度スイープを直線形の粘弾性領域、すなわち0.1%の変形において、及び1Hzの振動数で実施した。貯蔵弾性率を温度の関数として測定した。貯蔵弾性率の急激な増加が開始される温度を硬化温度として決定した。

0115

理論に拘束されないが、MFCが、フィブリル−スレッドに存在する反応性基により凝集し、ポリマー上、例えばデンプンポリマー上(及び/又はそれ自体)に存在する極性親水性)官能基と共に水素結合を形成すると考えられる。これにより、MFCは、濃度及び時間、温度及びpHなどの反応条件に依存して、安定なゲルを、特にゲルが水中で形成される場合にはハイドロゲルを生じさせる構造を構築する。

0116

図1は、架橋剤としてMFCを含む接着剤が、架橋剤としてホウ砂を含む接着剤よりも低い硬化温度を有することを示す。MFCを含む接着剤は、ホウ砂を含む参照接着剤と比較し、新規かつ異なる構造を有するゲルである。このゲルの形成は、強い分子間水素結合、ならびに絡み合ったフィブリルネットワークによるデンプン分子の物理的封じ込めの結果であると考えられる。MFC/デンプン接着剤の分子間水素結合は、ホウ砂/デンプンネットワークに対して、新たな特性を有する組成物を形成する程に強いと考えられる。

0117

デンプン接着剤の硬化後に、MFCにより導入されるこの構造は、前記ゲルが高い展性を有し、また自立性があって冷却後はもろい粘弾性を示すハイドロゲルであるホウ砂架橋型デンプンと比較し、柔軟な触感のあるゲルであることを見出したことから、新規であることが更に明白となった。

0118

24時間の貯蔵後、接着剤の粘度及び固形分含量を測定し、その数値を表1及び図2に示す。

0119

0120

MFCを含むデンプン接着剤は、37℃で24時間の貯蔵後に安定な粘度を有しており、水を余分に追加せずにそのままの状態でボール紙の製造に用いることができる。貯蔵の間、MFCを含む接着剤を4時間毎に5分間撹拌した。対照的に、ホウ砂を含むデンプン接着剤は安定性が低く、24時間の貯蔵後、28秒から34秒にまで粘度の上昇を示し、接着剤の粘度を減らし、沈殿を防止するために、1時間毎に5分間撹拌する必要があった。デンプン−MFC架橋接着剤は、デンプン−ホウ砂架橋接着剤よりも短いテクスチャーを有する(表1及び図2を参照)。

0121

両方の接着剤(MFCにより架橋されたデンプン接着剤及びホウ砂により架橋されたデンプン接着剤)を用い、段ボール紙BB25c型を試験した。両方の接着剤は、BHS(ウェットエンド)及びFosber(ドライエント)由来のコルゲータ装置において、同じ工程パラメータで用いた。デンプン−MFC接着剤の場合、通常の速度及び高速度の両方で操作した(表2を参照)。

0122

0123

表3に示す標準的試験方法に従い、実験室においてサンプルを分析した。ホウ砂を含む参照接着剤及びMFCを含む接着剤を用いて得られた値を、図3及び4に示す。

0124

0125

MFC架橋されたデンプンを含む接着剤では、より平坦な段ボール紙が得られた。ピン粘着方法(PAT)を用い、段ボール紙のフルートライナーとの間の粘着力を測定した。図3に示すように、デンプン−MFC接着剤は、同程度及び高い製造速度いずれの場合も、板の結合がより良好であった(参照ホウ砂接着剤と比較し、MFC接着剤の粘着力は、207m/分及び250m/分で動作させたBB25cボード上のピン粘着試験(PAT)で測定した)。

0126

ホウ砂を含む参照接着剤と比較した、通常の及び高い速度で動作させたMFCを含む接着剤で調製したサンプルの標準化された試験測定の結果を示す図4を参照するに、デンプン−MFC架橋接着剤で製造した板サンプルの分析では、良好でない結果は観察されなかった。

0127

全体として、デンプン系接着剤の架橋剤として、ホウ砂の代わりにMFCを用いた場合、以下の利点(これらの利点の全て又は少なくともそのサブセット)が観察できると結論付けることができる:
− 高い剪断及び貯蔵期間における安定な粘度
− 貯蔵期間における接着剤の安定な質(沈殿がないか又は少ない)
− 接着剤の用途特性を改善する、改善されたテクスチャー及び剪断力減弱効果
波形シート及びボール紙の結合力改善
− 高い製造速度
− 板の平坦化

0128

MFC架橋されたデンプンによる接着剤の安定な粘度は、接着性が完全なままであることを意味するから、時間経過に伴い水を更に追加する必要がないことも意味する。これはまた、週末を通じて固体の内容物が不変であり、接着剤がそのままの状態で維持されうるため、月曜日にもそのままで使用できることも意味する。これは、連続的な接着剤の製造ライン確立の可能性を開くものである。

0129

実施例5:ミクロフィブリル化セルロースを含むポリビニルアルコール接着剤の調製
ミクロフィブリル化セルロースにより架橋できる他のポリマーの例として、以下の成分に基づき、ミクロフィブリル化セルロースを含むポリビニルアルコール(PVA)接着剤を調製し、以下の工程に従い製造した:

0130

ポリビニルアルコール(及び酢酸ビニル)を含む粉末を水と混合することにより、ポリビニルアルコール接着剤を得た。粉末はホウ酸を含有しなかった。粉末状の混合物を添加する前に、ミクロフィブリル化セルロース(2%乾燥重量、Borregaard社製Exilva P01-L)を水と混合した。

0131

以下の通り、ミクロフィブリル化セルロースの濃度を変化させた3つの異なるサンプルを調製した:0.55%、0.25%及び0.1%。

0132

最初に、必要な量の水をガラスフラスコに添加した。次にミクロフィブリル化セルロースを水に添加し、ミクロフィブリル化セルロースが水に完全に溶解されるまで、400min-1で3ブレード型プロペラにより撹拌した。次に必要な量のPVA粉末混合物を添加し、粉末が水/ミクロフィブリル化セルロース混合物中に完全に溶解されるまで、水/ミクロフィブリル化セルロース混合物を400min-1で撹拌した。その後、全混合物を93℃の油浴に導入し、1000min-1で40分間撹拌した。

0133

0134

接着剤のpHは、4〜5であった。

0135

実施例6:ホウ酸(参照)を含むポリビニルアルコール接着剤の調製
ホウ酸を含むポリビニルアルコール接着剤は、以下の成分に基づき調製し、以下の工程に従い製造した:

0136

水とポリビニルアルコール(及び酢酸ビニル)及びホウ酸を含む粉末とを混合することにより、ポリビニルアルコール接着剤を調製した。粉末混合物は、Borregaard社から「Supermix」として市販されている。

0137

最初に、必要な量の水をガラスフラスコに添加した。次にホウ酸を含むPVA粉末混合物を必要な量で水に添加し、粉末が水に完全に溶解されるまで、400min-1で撹拌した。その後、全混合物を93℃の油浴に導入し、1000min-1で40分間撹拌した。最終的な製剤のホウ酸の濃度は0.54%であった。

0138

接着剤のpHは4〜5であった。

0139

0140

実施例7:MFC又はホウ酸により架橋されたポリビニルアルコール接着剤の実験室試験
接着剤のDIN粘度、固形分含量及び粘着性に関する分析を行った。DIN粘度は、DIN 53211に従い、DIN CupTQCDIN 8mm VF2219-009により測定した。DINカップは、円錐状の開口部を有する通常のカップからなる。穴の上に指を置いて開口部を閉じながら、カップに接着剤を満たす。カップが一杯になり、液体メニスカスがカップの端を越えたとき、開口部を開き、同時に計時を開始する。外への流動の最初の中断が観察されるまでの流動時間を測定する。

0141

0142

0.55%のミクロフィブリル化セルロースを含むPVA接着剤は濃厚であり、DIN粘度測定法で測定できなかった。

0143

0.1%のミクロフィブリル化セルロースを含むPVA接着剤のDIN粘度は、参照のそれと同等であった(図5)。0.1%のミクロフィブリル化セルロースを含むPVA接着剤の固形分含量は、参照のそれよりわずかに高かった。

0144

タック試験を異なる接着剤に実施した。アプリケーターにより1枚の紙の上に所定量の接着剤を塗布し、2枚の紙を接着させた。第2の紙の上から手で圧力を20秒間加え、その20秒後に剥がした。

0145

参照と同様に、繊維の残りが紙上に残るため、ミクロフィブリル化セルロースを含むPVA接着剤が良好な接着特性を示すことが解った。

0146

粘度の増加及び良好な接着特性は、ホウ酸に勝るとも劣らない程度で、ミクロフィブリル化セルロースが、ポリビニルアルコールの架橋剤として機能できることを証明するものである。MFCのOH基は、PVAのヒドロキシ基と結合し、また理論に拘束されないが、ポリ酢酸ビニルに存在する多くの官能基と結合するとも考えられる。

0147

ポリビニルアルコールポリマーを基に、架橋剤としてMFC水を添加し、ポリビニルアルコールゲルを調製した。実験の結果から、ポリビニルアルコール溶液の粘度は、MFC含量の増加と共に上昇することが解り、実際に、ミクロフィブリル化セルロースが、ポリビニルアルコールゲルの粘度を上昇させる際にホウ酸よりもはるかに効果的な架橋剤であることが解った。PVA接着剤の全組成に対する0.10%のMFCの濃度は、0.54%のホウ酸と同じDIN粘度を付与するものであった(表6及び図5)。

0148

実施例8:ミクロフィブリル化セルロースを含む高剪断粘度定型デンプン接着剤の調製
以下に説明するように、(MFCにより架橋された)デンプンベースの段ボール紙接着剤を、スタイン・ホール型デンプン接着剤の工程に従い調製した。異なる工程段階における粘度を、粘度計によりオンラインで測定した。

0149

本発明の接着剤は、以下の成分を主成分として調製された及び次の工程に従って製造された:
400kgの原料水
温度を38℃に設定
36kgの原料小麦デンプン
38℃で15秒間撹拌
70kgの水
21.5 kgの原料苛性ソーダ
900秒間撹拌
650kgの第2原料水
0.4kgの防腐剤
温度を30℃に設定
400kgの第2原料小麦デンプン
20kgのMFC(ExilvaPBX01-V)
200秒間撹拌
粘度コントロール(最終):28.4秒。

0150

スタイン・ホール接着剤の原料は、生の非膨潤小麦デンプンからなり、濃厚なデンプン懸濁液の状態である。第2の原料デンプン部分の添加、混合の後、ミクロフィブリル化セルロースを高速で撹拌(1500rpm)しながら添加した。ミクロフィブリル化セルロースは、混合物中で容易に分散した。最終的な製剤中のMFCの濃度は0.13%であった。MFC架橋剤の乾燥質量画分は0.43%であった(ポリマー対 架橋剤の比率は218:1であった)。

0151

実施例9:ホウ砂を含むデンプン系接着剤の調製(参照)
参照接着剤は、以下の成分に基づき、スタイン・ホール型デンプン接着剤のプロセスに従い調製し、以下の工程に従い製造した:
400kgの原料水
温度を38℃に設定
36kgの原料小麦デンプン
38℃で15秒間撹拌
70kgの水
21.5kgの原料苛性ソーダ
900秒間撹拌
650kgの第2原料水
0.4kgの防腐剤
温度を30℃に設定
400kgの第2原料小麦デンプン
4.3kgのホウ砂
200秒間撹拌
粘度コントロール(最終):37.2秒。

0152

大半のスタイン・ホール型接着剤は、生の非膨潤小麦デンプンからなり、ホウ砂及び苛性ソーダを含む濃厚なデンプン懸濁液であり、それにより、粘度及び粘着性が上昇し、また非膨潤デンプンのゲル化の際の温度が低下する。

0153

第2の原料デンプンの添加及び撹拌の後、ホウ砂を添加する。最終製剤のホウ砂の濃度は0.27%であった。

0154

実施例10:ホウ砂を含む参照接着剤と比較した、ミクロフィブリル化セルロースを含む接着剤の高剪断中での粘度安定性試験
実施例8の接着剤製造の最後の工程段階におけるミクロフィブリル化セルロースの添加後、接着剤の粘度は28.4秒であった。1500rpmで15分間撹拌した後、接着剤の粘度は27.6秒であった。接着剤の温度は、15分間の撹拌の間、31から33℃まで上昇した。

0155

接着剤の粘度は、時刻10:52(AM)に、高剪断(1500rpm)下でのミクロフィブリル化セルロースの添加の前後に測定した。ミクロフィブリル化セルロースの添加直後初期粘度が増加した後、粘度は、15分間の高剪断での撹拌の間安定に維持された。

0156

最後の工程段階でのホウ砂の添加後、実施例9の接着剤の粘度は37.2秒であった。1500rpmで15分間撹拌した後、接着剤の粘度は27.0秒まで減少した。参照接着剤の温度は、15分間の撹拌の間に31℃から34℃まで上昇した。

0157

ミクロフィブリル化セルロースによる架橋は、高剪断に対して粘度安定性が極めて高いデンプンゲルを提供する。架橋剤としてホウ砂の代わりにミクロフィブリル化セルロースを用いることにより、スタイン・ホール工程により製造されるデンプン接着剤の高剪断に対する粘度安定性が実質的に改善される。更に、ミクロフィブリル化セルロースは、スタイン・ホール型デンプン接着剤に対して非常に効果的な架橋剤であり、架橋剤の量はホウ砂と比較し57%も低減することができる。

0158

実施例11:「スタイン・ホール」工程に従い調製された接着剤の段ボール紙に対する試験
以下の実施例では、BHS/Fosber複合コアギュレーター装置により製造したBB24b型の段ボール紙に対し、MFCにより架橋されたデンプン接着剤及びスタイン・ホール・工程(実施例8及び9)に従い調製したホウ砂により架橋されたデンプン接着剤(参照)を用いた。

0159

接着剤は、LV層ダブルバッカー)と呼ばれる外側(ボックスの外側)である、最も衝撃を受ける側に塗布した。参照接着剤による段ボール紙の製造は、232m/分で操作し、一方、MFCにより架橋された接着剤による板の製造は、250m/分で操作した(表7参照)。接着剤のすきまを、両方の接着剤において0.08mmに設定した。

0160

0161

サンプルは、表8に示す標準的な試験方法に従い、実験室において分析した。ホウ砂を含む参照接着剤及びMFCを含む接着剤の結果の値を、図6、7及び8に示す。

0162

0163

MFC架橋されたデンプンによる接着剤により、顕著に平坦な段ボール紙が得られた。ピン粘着方法(PAT)を用い、段ボール紙のフルートとライナーとの間の粘着力を測定した。図6に示すように、デンプン−MFC接着剤は、参照接着剤と比較し、より良好に板を接着させた。架橋剤としてMFCを含むデンプン接着剤の場合、ホウ砂により架橋された参照接着剤と比較し、接着剤の消費量は33%減少し(図7)、製造スピードは8%増加し、粘着力は27%増加した(図6)。図7及び8から、厚、エッジワイズクラッシュ抵抗(edgewise crush resistance、ECT)、ねじれ強さ(剛性)及び破裂強さは、両方の接着剤において同等であったことが解る。ねじれ強さ/剛性(TSmd、bpi)は、GTm34024に従い測定した。

実施例

0164

この試験から、スタイン・ホール型デンプン接着剤の架橋剤としてミクロフィブリル化セルロースを用いることで、使用される接着剤の量を低減でき、より強い結合を形成でき、並びに、ホウ砂を含む参照接着剤と比較して改善された製造スピード、及びより平坦な板の形成が可能になると結論付けることができる。

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