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課題・解決手段

本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、及び/またはアルコール性肝疾患(ALD)などのPNPLA3に関連する1つ以上の病態を有する患者治療するための方法及び組成物を提供する。遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更することによって、細胞におけるPNPLA3遺伝子の発現を調整するための方法及び組成物もまた提供される。

概要

背景

発明の背景
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、世界で最も一般的な肝障害のうちの1つである。米国では、推定8000万人〜1億人に影響を及ぼす。NAFLDは、あらゆる年齢群において発生するが、特に40代及び50代の人々において発生する。NAFLDは、アルコール乱用によって引き起こされる損傷に似た肝損傷につながり得る、肝臓中の過剰な脂肪蓄積であるが、これはアルコールをほとんどまたは全く飲まない人々において発生する。この病態はまた、増加した腹部脂肪、不良なホルモンインスリンを使用する能力高血圧及びトリグリセリドの高血中濃度を含む、有害な代謝結果に関連する。

場合によっては、NAFLDは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と称される肝臓の炎症につながる。NASHは、肝線維症につながる肝臓中の脂肪蓄積を特徴とする進行性肝疾患である。NASHを有する人々の約20パーセントは、線維症に進行する。NASHは、米国においておよそ2600万人に影響を及ぼす。継続した炎症を伴い、線維症は、より多くの肝組織を取り込むように広がり、ほとんどの重症例において肝臓癌及び/または末期肝不全につながる。NASHは、肥満糖尿病及び関連代謝障害に高度に相関する。遺伝因子及び環境因子はまた、NASHの発症の一因となる。

現在、NAFLDまたはNASHに対する薬物治療は存在しない。病態は、ライフスタイル修正(例えば、身体運動、減量、及び健康な食事)を通して主に早期に管理され、これはアドアランス不良に遭遇し得る。減量は、非アルコール性脂肪性肝疾患の一因となる病態に対処する。減量手術はまた、多量の体重を減少させる必要がある者に対するオプションである。高糖尿病薬ビタミンまたは栄養補助食品は、病態を制御するために有用であり得る。NASHに起因する硬変を有する者には、肝移植がオプションであり得る。これは、米国における肝移植の三番目に一般的な理由であり、3年以内に最も一般的な理由になることが見込まれる。

アルコール性肝疾患(ALD)は、西欧諸国において慢性肝疾患の大部分を占める。脂肪肝アルコール性肝炎、及びアルコール性硬変を含む、アルコール過剰消費の肝臓発現の範囲を包含する。アルコール性肝硬変は、ALDの最も進行した形態であり、肝不全、肝細胞癌及び肝臓関連死亡原因の主な原因のうちの1つである。アルコール摂取の制限は、ALDの一次治療である。他の治療オプションとしては、支持療法(例えば、健康な食事、ビタミンサプリメント)、コルチコステロイドの使用、及び時として肝移植が挙げられる。

したがって、NAFLD、NASH及び/またはALDの治療のための有効な治療薬を開発する必要性がある。

概要

本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、及び/またはアルコール性肝疾患(ALD)などのPNPLA3に関連する1つ以上の病態を有する患者を治療するための方法及び組成物を提供する。遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更することによって、細胞におけるPNPLA3遺伝子の発現を調整するための方法及び組成物もまた提供される。

目的

本発明は、ヒトにおける肝疾患の治療のための組成物及び方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

パタチンホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3(PNPLA3)関連障害を有する対象を治療する方法であって、PNPLA3遺伝子の発現を調整することができる有効量の化合物を前記対象に投与することを含む、前記方法。

請求項2

前記化合物が、TGF−β/SMAD経路阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記化合物が、モメロチニブ(CYT387)、BML−275、DMH−1、ドルソモルフィン、ドルソモルフィンジヒドロクロリド、K02288、LDN−193189、LDN−212854、ML347、SIS3、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記化合物が、モメロチニブ(CYT387)、またはその誘導体もしくは類似体を含む、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記化合物が、mTOR経路の阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記化合物が、アピトリシブ(GDC−0980、RG7422)、AZD8055、BGT226(NVP−BGT226)、CC−223、クリソファン酸、CZ415、ダクトリシブ(BEZ235、NVP−BEZ235)、エベロリムスRAD001)、GDC−0349、ジェダトリシブ(PF−05212384、PKI−587)、GSK1059615、INK128(MLN0128)、KU−0063794、LY3023414、MHY1485、オミパリシブ(GSK2126458、GSK458)、OSI−027、パロミド529(P529)、PF−04691502、PI−103、PP121、ラパマイシンシロリムス)、リダフォロリムスデフォロリムス、MK−8669)、SF2523、タクロリムス(FK506)、テムシロリムス(CCI−779、NSC683864)、トリン1、トリン2、トリキニブ(PP242)、ビスセルチブ(AZD2014)、ボクスタリシブ(Voxlalisib)(SAR245409、XL765)類似体、ボクスタリシブ(XL765、SAR245409)、WAY−600、WYE−125132(WYE−132)、WYE−354、WYE−687、XL388、ゾタロリムス(ABT−578)、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。

請求項7

前記化合物が、WYE−125132(WYE−132)、またはその誘導体もしくは類似体を含む、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記化合物が、Syk経路の阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記化合物が、R788、タマチニブ(R406)、エンスプレチニブ(entospletinib)(GS−9973)、ニルバジピン、TAK−659、BAY−61−3606、MNS(3,4−メチレンジオキシ−β−ニトロスチレン、MDBN)、ピセアタンノール、PRT−060318、PRT062607(P505−15、BIIB057)、PRT2761、RO9021、セルデュラチニブ(cerdulatinib)、イブルチニブ、ONO−4059、ACP−196、イデラリシブ、デュベリシブ、ピララリシブ(pilaralisib)、TGR−1202、GS−9820、ACP−319、SF2523、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記化合物が、R788、またはその誘導体もしくは類似体を含む、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記化合物が、GSK3経路の阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記化合物が、BIO、AZD2858、1−アザケンパウロン、AR−A014418、AZD1080、ビキニン、BIO−アセトキシム、CHIR−98014、CHIR−99021(CT99021)、IM−12、インジルビン、LY2090314、SB216763、SB415286、TDZD−8、チデグルシブ、TWS119、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記化合物が、NF−κB経路の阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。

請求項14

前記化合物が、ACHP、10Z−ヒメニアジシン、アンレキサノクスアンドログラホリドアルクチゲニン、Bay11−7085、Bay11−7821、ベンガミドB、BI605906、BMS345541、カフェイン酸フェネチルエステルカルダモニン、C−DIM12、セラストロール、CID2858522、FPZM1、グリオトキシン、GSK319347A、ホノキオール、HU211、IKK16、IMD0354、IP7e、IT901、ルテオリン、MG132、ML120Bジヒドロクロリド、ML130、パルテノリドPF184、ピセアタンノール、PR39(ブタ)、プリスチリン、PS1145ジヒドロクロリド、PSI、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウムRAGEアンタゴニストペプチド、Ro106−9920、SC514、SP100030、スルファサラジンタンシノンIIA、TPCA−1、ウィフェリンA、ゾレドロン酸、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記化合物が、JAK/STAT経路の阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。

請求項16

前記化合物が、モメロチニブ(CYT387)、ルキソリチニブ、オクラシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、PF−04965842、ウパダシチニブ、ククルビタシンI、CHZ868、フェドラチニブ、AC430、AT9283、ati−50001及びati−50002、AZ960、AZD1480、BMS−911543、CEP−33779、セルデュラチニブ(cerdulatinib)(PRT062070、PRT2070)、クルクモール、デセルノチニブ(VX−509)、フェドラチニブ(SAR302503、TG101348)、FLLL32、FM−381、GLPG0634類似体、Go6976、JANEX−1(WHI−P131)、NVP−BSK805、パクリチニブ(SB1518)、ペフィシチニブ(ASP015K、JNJ−54781532)、PF−06651600、PF−06700841、R256(AZD0449)、ソルシチニブ(GSK2586184もしくはGLPG0778)、S−ルキソリチニブ(INCB018424)、TG101209、トファシチニブ(CP−690550)、WHI−P154、WP1066、XL019、ZM39923HCl、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。

請求項17

前記化合物が、アムバチニブ、BMS−754807、BMS−986094、LY294002、ピフィスリン−μ、XMU−MP−1、またはそれらの誘導体もしくは類似体を含む、請求項1に記載の方法。

請求項18

前記化合物が、JAK1、JAK2、mTOR、SYK、PDGFRA、PDGFRB、GSK3、ACVR1、SMAD3、SMAD4、及びNF−κBからなる群から選択される1つ以上の遺伝子を標的とする1つ以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含む、請求項1に記載の方法。

請求項19

前記化合物が、前記対象におけるPNPLA3遺伝子の発現を低減する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。

請求項20

PNPLA3遺伝子の発現が、少なくとも約30%低減される、請求項19に記載の方法。

請求項21

PNPLA3遺伝子の発現が、前記対象の肝臓において低減される、請求項20に記載の方法。

請求項22

前記対象が、PNPLA3遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子中に1つ以上の突然変異を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。

請求項23

前記対象が、PNPLA3遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子中にI148M突然変異を有する、請求項22に記載の方法。

請求項24

前記化合物が、COL1A1遺伝子の発現も低減する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。

請求項25

前記COL1A1遺伝子の発現が、前記対象の肝臓において低減される、請求項24に記載の方法。

請求項26

前記化合物が、PNPLA5遺伝子の発現も低減する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。

請求項27

PNPLA5遺伝子の発現が、前記対象の肝臓において低減される、請求項26に記載の方法。

請求項28

PNPLA3関連障害が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。

請求項29

PNPLA3関連障害が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。

請求項30

PNPLA3関連障害が、アルコール性肝疾患(ALD)である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。

請求項31

PNPLA3遺伝子のシグナル伝達中心に関連する1つ以上のシグナル伝達分子を変更することができる有効量の化合物を細胞に導入することを含む、前記細胞におけるPNPLA3遺伝子の発現を調整する方法。

請求項32

前記1つ以上のシグナル伝達分子が、HNF3b、HNF4a、HNF4、HNF6、Myc、ONECUT2及びYY1、TCF4、HIF1a、HNF1、ERa、GR、JUN、RXR、STAT3、VDR、NF−κB、SMAD2/3、STAT1、TEAD1、p53、SMAD4、ならびにFOSからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。

請求項33

前記化合物が、TGF−β/SMAD経路の阻害剤を含む、請求項31に記載の方法。

請求項34

前記化合物が、モメロチニブ(CYT387)、BML−275、DMH−1、ドルソモルフィン、ドルソモルフィンジヒドロクロリド、K02288、LDN−193189、LDN−212854、ML347、SIS3、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項33に記載の方法。

請求項35

前記化合物が、モメロチニブ(CYT387)、またはその誘導体もしくは類似体を含む、請求項31に記載の方法。

請求項36

前記化合物が、mTOR経路の阻害剤を含む、請求項31に記載の方法。

請求項37

前記化合物が、アピトリシブ(GDC−0980、RG7422)、AZD8055、BGT226(NVP−BGT226)、CC−223、クリソファン酸、CZ415、ダクトリシブ(BEZ235、NVP−BEZ235)、エベロリムス(RAD001)、GDC−0349、ジェダトリシブ(PF−05212384、PKI−587)、GSK1059615、INK128(MLN0128)、KU−0063794、LY3023414、MHY1485、オミパリシブ(GSK2126458、GSK458)、OSI−027、パロミド529(P529)、PF−04691502、PI−103、PP121、ラパマイシン(シロリムス)、リダフォロリムス(デフォロリムス、MK−8669)、SF2523、タクロリムス(FK506)、テムシロリムス(CCI−779、NSC683864)、トリン1、トリン2、トリキニブ(PP242)、ビスツセルチブ(AZD2014)、ボクスタリシブ(SAR245409、XL765)類似体、ボクスタリシブ(XL765、SAR245409)、WAY−600、WYE−125132(WYE−132)、WYE−354、WYE−687、XL388、ゾタロリムス(ABT−578)、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項36に記載の方法。

請求項38

前記化合物が、WYE−125132、またはその誘導体もしくは類似体を含む、請求項31に記載の方法。

請求項39

前記化合物が、Syk経路の阻害剤を含む、請求項31に記載の方法。

請求項40

前記化合物が、R788、タマチニブ(R406)、エントスプレチニブ(GS−9973)、ニルバジピン、TAK−659、BAY−61−3606、MNS(3,4−メチレンジオキシ−β−ニトロスチレン、MDBN)、ピセアタンノール、PRT−060318、PRT062607(P505−15、BIIB057)、PRT2761、RO9021、セルデュラチニブ、イブルチニブ、ONO−4059、ACP−196、イデラリシブ、デュベリシブ、ピララリシブ、TGR−1202、GS−9820、ACP−319、SF2523、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記化合物が、R788、またはその誘導体もしくは類似体を含む、請求項31に記載の方法。

請求項42

前記化合物が、GSK3経路の阻害剤を含む、請求項31に記載の方法。

請求項43

前記化合物が、BIO、AZD2858、1−アザケンパウロン、AR−A014418、AZD1080、ビキニン、BIO−アセトキシム、CHIR−98014、CHIR−99021(CT99021)、IM−12、インジルビン、LY2090314、SB216763、SB415286、TDZD−8、チデグルシブ、TWS119、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項42に記載の方法。

請求項44

前記化合物が、NF−κB経路の阻害剤を含む、請求項31に記載の方法。

請求項45

前記化合物が、ACHP、10Z−ヒメニアルジシン、アンレキサノクス、アンドログラホリド、アルクチゲニン、Bay11−7085、Bay11−7821、ベンガミドB、BI605906、BMS345541、カフェイン酸フェネチルエステル、カルダモニン、C−DIM12、セラストロール、CID2858522、FPSZM1、グリオトキシン、GSK319347A、ホノキオール、HU211、IKK16、IMD0354、IP7e、IT901、ルテオリン、MG132、ML120Bジヒドロクロリド、ML130、パルテノリド、PF184、ピセアタンノール、PR39(ブタ)、プリスチメリン、PS1145ジヒドロクロリド、PSI、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム、RAGEアンタゴニストペプチド、Ro106−9920、SC514、SP100030、スルファサラジン、タンシノンIIA、TPCA−1、ウィタフェリンA、ゾレドロン酸、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項44に記載の方法。

請求項46

前記化合物が、JAK/STAT経路の阻害剤を含む、請求項31に記載の方法。

請求項47

前記化合物が、モメロチニブ(CYT387)、ルキソリチニブ、オクラシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、PF−04965842、ウパダシチニブ、ククルビタシンI、CHZ868、フェドラチニブ、AC430、AT9283、ati−50001及びati−50002、AZ960、AZD1480、BMS−911543、CEP−33779、セルデュラチニブ(PRT062070、PRT2070)、クルクモール、デセルノチニブ(VX−509)、フェドラチニブ(SAR302503、TG101348)、FLLL32、FM−381、GLPG0634類似体、Go6976、JANEX−1(WHI−P131)、NVP−BSK805、パクリチニブ(SB1518)、ペフィシチニブ(ASP015K、JNJ−54781532)、PF−06651600、PF−06700841、R256(AZD0449)、ソルシチニブ(GSK2586184もしくはGLPG0778)、S−ルキソリチニブ(INCB018424)、TG101209、トファシチニブ(CP−690550)、WHI−P154、WP1066、XL019、ZM39923HCl、またはそれらの誘導体もしくは類似体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項46に記載の方法。

請求項48

前記化合物が、アムバチニブ、BMS−754807、BMS−986094、LY294002、ピフィスリン−μ、XMU−MP−1、またはそれらの誘導体もしくは類似体を含む、請求項31に記載の方法。

請求項49

前記化合物が、JAK1、JAK2、mTOR、SYK、PDGFRA、PDGFRB、GSK3、ACVR1、SMAD3、SMAD4、及びNF−κBからなる群から選択される1つ以上の遺伝子を標的とする1つ以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含む、請求項31に記載の方法。

請求項50

前記化合物が、PNPLA3遺伝子の発現を低減する、請求項31〜49のいずれか1項に記載の方法。

請求項51

PNPLA3遺伝子の発現が、少なくとも約30%低減される、請求項50に記載の方法。

請求項52

前記細胞が、PNPLA3遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子中に1つ以上の突然変異を有する、請求項31〜51のいずれか1項に記載の方法。

請求項53

前記細胞が、PNPLA3遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子中にI148M突然変異を有する、請求項52に記載の方法。

請求項54

前記化合物が、COL1A1遺伝子の発現も低減する、請求項31〜53のいずれか1項に記載の方法。

請求項55

前記化合物が、PNPLA5遺伝子の発現も低減する、請求項31〜54のいずれか1項に記載の方法。

請求項56

前記細胞が、哺乳類細胞である、請求項31〜55のいずれか1項に記載の方法。

請求項57

前記細胞が、ヒト細胞である、請求項56に記載の方法。

請求項58

前記細胞が、マウス細胞である、請求項56に記載の方法。

請求項59

前記細胞が、肝細胞である、請求項31〜58のいずれか1項に記載の方法。

請求項60

前記細胞が、肝星細胞である、請求項31〜58のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月14日出願の「METHODS OF TREATING LIVER DISEASES」と題される米国仮特許出願第62/544,968号、及び2018年4月6日出願の「METHODS OF TREATING LIVER DISEASES」と題される米国仮特許出願第62/653,744号に対する優先権を主張し、これらの各々の内容は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。

0002

配列表
本出願は、配列表とともに電子形式で出願されている。「SEQ_LST_20931007PCT.txt」と題される配列表ファイルは、2018年8月13日に作成され、サイズは31,445バイトである。この配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0003

発明の分野
本発明は、ヒトにおける肝疾患治療のための組成物及び方法を提供する。特に、本発明は、PNPLA3関連疾患、例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、及び/またはアルコール性肝疾患(ALD)を治療するために、パタチンホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3(PNPLA3)を調整する化合物の使用に関する。

背景技術

0004

発明の背景
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、世界で最も一般的な肝障害のうちの1つである。米国では、推定8000万人〜1億人に影響を及ぼす。NAFLDは、あらゆる年齢群において発生するが、特に40代及び50代の人々において発生する。NAFLDは、アルコール乱用によって引き起こされる損傷に似た肝損傷につながり得る、肝臓中の過剰な脂肪蓄積であるが、これはアルコールをほとんどまたは全く飲まない人々において発生する。この病態はまた、増加した腹部脂肪、不良なホルモンインスリンを使用する能力高血圧及びトリグリセリドの高血中濃度を含む、有害な代謝結果に関連する。

0005

場合によっては、NAFLDは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と称される肝臓の炎症につながる。NASHは、肝線維症につながる肝臓中の脂肪蓄積を特徴とする進行性肝疾患である。NASHを有する人々の約20パーセントは、線維症に進行する。NASHは、米国においておよそ2600万人に影響を及ぼす。継続した炎症を伴い、線維症は、より多くの肝組織を取り込むように広がり、ほとんどの重症例において肝臓癌及び/または末期肝不全につながる。NASHは、肥満糖尿病及び関連代謝障害に高度に相関する。遺伝因子及び環境因子はまた、NASHの発症の一因となる。

0006

現在、NAFLDまたはNASHに対する薬物治療は存在しない。病態は、ライフスタイル修正(例えば、身体運動、減量、及び健康な食事)を通して主に早期に管理され、これはアドアランス不良に遭遇し得る。減量は、非アルコール性脂肪性肝疾患の一因となる病態に対処する。減量手術はまた、多量の体重を減少させる必要がある者に対するオプションである。高糖尿病薬ビタミンまたは栄養補助食品は、病態を制御するために有用であり得る。NASHに起因する硬変を有する者には、肝移植がオプションであり得る。これは、米国における肝移植の三番目に一般的な理由であり、3年以内に最も一般的な理由になることが見込まれる。

0007

アルコール性肝疾患(ALD)は、西欧諸国において慢性肝疾患の大部分を占める。脂肪肝アルコール性肝炎、及びアルコール性硬変を含む、アルコール過剰消費の肝臓発現の範囲を包含する。アルコール性肝硬変は、ALDの最も進行した形態であり、肝不全、肝細胞癌及び肝臓関連死亡原因の主な原因のうちの1つである。アルコール摂取の制限は、ALDの一次治療である。他の治療オプションとしては、支持療法(例えば、健康な食事、ビタミンサプリメント)、コルチコステロイドの使用、及び時として肝移植が挙げられる。

0008

したがって、NAFLD、NASH及び/またはALDの治療のための有効な治療薬を開発する必要性がある。

0009

本発明は、NAFLD、NASH及びALDなどの肝疾患に関連している、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3(PNPLA3)遺伝子に関連する遺伝子シグナル伝達ネットワーク複数可)のマッピング及び特定を開示する。遺伝子シグナル伝達ネットワーク(複数可)の構成成分を摂動させることによって、本発明者は、PNPLA3発現を調整するために利用され得る新規の標的、化合物及び/または方法を特定した。そのような方法及び組成物を使用して、PNPLA3関連障害(例えば、NAFLD、NASHまたはALD)のため様々な治療法を開発して、そのような疾患の症状を予防及び/または緩和することができる。

0010

したがって、PNPLA3遺伝子の発現を調整することができる有効量の化合物を対象に投与することによって、PNPLA3関連障害を有する対象を治療する方法が、本明細書に提供される。そのような化合物は、小分子ポリペプチド、抗体、ハイブリダイジンオリゴヌクレオチド、またはゲノム編集剤であり得る。

0011

いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するための対象に投与される化合物は、JAK/STAT経路阻害剤を含み得る。そのような化合物としては、ルキソリニブオクラシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、PF−04965842、ウパダシチニブ、ククルビタシンI、CHZ868、フェドラチニブ、AC430、AT9283、ati−50001及びati−50002、AZ960、AZD1480、BMS−911543、CEP−33779、セルデュラチニブ(cerdulatinib)(PRT062070、PRT2070)、クルクモール、デセルノチニブ(VX−509)、フェドラチニブ(SAR302503、TG101348)、FLLL32、FM−381、GLPG0634類似体、Go6976、JANEX−1(WHI−P131)、モメロチニブ(CYT387)、NVP−BSK805、パクリチニブ(SB1518)、ペフィシチニブ(ASP015K、JNJ−54781532)、PF−06651600、PF−06700841、R256(AZD0449)、ソルシチニブ(GSK2586184もしくはGLPG0778)、S−ルキソリチニブ(INCB018424)、TG101209、トファシチニブ(CP−690550)、WHI−P154、WP1066、XL019、ZM39923HCl、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを挙げることができる。一実施形態では、化合物は、モメロチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含む。一実施形態では、化合物は、パクリチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含む。

0012

いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、mTOR経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物としては、アピトリシブ(GDC−0980、RG7422)、AZD8055、BGT226(NVP−BGT226)、CC−223、クリソファン酸、CZ415、ダクトリシブ(BEZ235、NVP−BEZ235)、エベロリムスRAD001)、GDC−0349、ジェダトリシブ(PF−05212384、PKI−587)、GSK1059615、INK128(MLN0128)、KU−0063794、LY3023414、MHY1485、オミパリシブ(GSK2126458、GSK458)、OSI−027、パロミド529(P529)、PF−04691502、PI−103、PP121、ラパマイシンシロリムス)、リダフォロリムスデフォロリムス、MK−8669)、SF2523、タクロリムス(FK506)、テムシロリムス(CCI−779、NSC683864)、トリン1、トリン2、トリキニブ(PP242)、ビスツセルチブ(AZD2014)、ボクスタリシブ(Voxlalisib)(SAR245409、XL765)類似体、ボクスタリシブ(XL765、SAR245409)、WAY−600、WYE−125132(WYE−132)、WYE−354、WYE−687、XL388、ゾタロリムス(ABT−578)、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを挙げることができる。一実施形態では、化合物は、WYE−125132(WYE−132)、またはその誘導体もしくは類似体を含む。

0013

いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、Syk経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物は、R788、タマチニブ(R406)、エンスプレチニブ(entospletinib)(GS−9973)、ニルバジピン、TAK−659、BAY−61−3606、MNS(3,4−メチレンジオキシ−β−ニトロスチレン、MDBN)、ピセアタンノール、PRT−060318、PRT062607(P505−15、BIIB057)、PRT2761、RO9021、セルデュラチニブ、イブルチニブ、ONO−4059、ACP−196、イデラリシブ、デュベリシブ、ピララリシブ(pilaralisib)、TGR−1202、GS−9820、ACP−319、SF2523、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。一実施形態では、化合物は、R788、またはその誘導体もしくは類似体を含む。

0014

いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、GSK3経路の阻害剤の阻害剤を含み得る。そのような化合物は、BIO、AZD2858、1−アザケンパウロン、AR−A014418、AZD1080、ビキニン、BIO−アセトキシム、CHIR−98014、CHIR−99021(CT99021)、IM−12、インジルビン、LY2090314、SB216763、SB415286、TDZD−8、チデグルシブ、TWS119、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。

0015

いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するための対象に投与される化合物は、TGF−β/SMAD経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物は、モメロチニブ(CYT387)、BML−275、DMH−1、ドルソモルフィン、ドルソモルフィンジヒドロクロリド、K02288、LDN−193189、LDN−212854、ML347、SIS3、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、化合物は、であり得る。

0016

いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、NF−κB経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物は、ACHP、10Z−ヒメニアジシン、アンレキサノクスアンドログラホリドアルクチゲニン、Bay11−7085、Bay11−7821、ベンガミドB、BI605906、BMS345541、カフェイン酸フェネチルエステルカルダモニン、C−DIM12、セラストロール、CID2858522、FPSZM1、グリオトキシン、GSK319347A、ホノキオール、HU211、IKK16、IMD0354、IP7e、IT901、ルテオリン、MG132、ML120Bジヒドロクロリド、ML130、パルテノリドPF184、ピセアタンノール、PR39(ブタ)、プリスチリン、PS1145ジヒドロクロリド、PSI、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウムRAGEアンタゴニストペプチド、Ro106−9920、SC514、SP100030、スルファサラジンタンシノンIIA、TPCA−1、ウィフェリンA、ゾレドロン酸、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。

0017

いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、アムバチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、BMS−754807、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、BMS−986094、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、LY294002、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、ピフィスリン−μ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害を治療するために対象に投与される化合物は、XMU−MP−1、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。

0018

いくつかの実施形態では、対象に投与される化合物は、形質転換増殖因子β受容体1(TGFR1)の活性阻害するアミノピリジルオキシピラゾール化合物、LY582563、mFLINT、4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミドまたはN−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド、N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)−5−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]チオフェン−2−スルホンアミド、N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)−5−[(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]チオフェン−2−スルホンアミド、5−[(3S,4R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)チオフェン−2−スルホンアミド、5−(3,3−ジフルオロ−(4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)チオフェン−2−スルホンアミド、5−(5,5−ジメチル−6−オキソ−1,4−ジヒドロピリダジン−3−イル)−N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)チオフェン−2−スルホンアミド、N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)−5−[(1R,3R)−3−ヒドロキシシクロペンチル]チオフェン−2−スルホンアミド、N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)−5−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]チオフェン−2−スルホンアミド、8−メチル−2−[4−(ピリミジン−2−イルメチルピペラジン−1−イル]−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、8−メチル−2−[4−(1−ピリミジン−2−イルエチル)ピペラジン−1−イル]−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(4−クロロピリミジン−2−イル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3、5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(4−メトキシピリミジン−2−イル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3、5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(3−ブロモ−2−ピリジル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(3−クロロ−2−ピリジル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(3−フルオロ−2−ピリジル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[[4−(8−メチル−4−オキソ−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]メチル]ピリジン−3−カルボニトリル、2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[2−[2−(3−ピリジルオキシ)アセチル]−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−6−イル]プロパン−1−スルホンアミドまたは2−メトキシ−N−[2−[2−(3−ピリジルオキシ)アセチル]−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−6−イル]エタンスルホンアミド、4,4,4−トリフルオロ−N−[(1S)−2−[[(7S)−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−オキソ−7H−ピリド[2,3−d][3]ベンズアゼピン−7−イル]アミノ]−1−メチル−2−オキソ−エチル]ブタンアミド、8−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−3−イル]−1−[(2S)−2−メトキシプロピル]−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン、(R)−[5−(2−メトキシ−6−メチル−ピリジン−3−イル)−2H−ピラゾール−3−イル]−[6−(ピペリジン−3−イルオキシ)−ピラジン−2−イル]−アミン、4−フルオロ−N−メチル−N−(1−(4−(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)フタラジン−1−イル)ピペリジン−4−イル)−2−(トリフルオロメチルベンズアミド、(E)−2−(4−(2−(5−(1−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)エトキシ)−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノールまたは(R)−(E)−2−(4−(2−(5−(1−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)エトキシ)−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール、5−(5−(2−(3−アミノプロポキシ)−6−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピラジン−2−カルボニトリル、エンザスタウリンテトラ置換ピリダジン、1,4−二置換フタラジン、二置換フタラジン、ウイノキサリン−5,8−ジオン誘導体ラロキシフェン置換インドールベンゾフランベンゾチオフェンナフタレン、及びジヒドロナフタレンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。

0019

代替実施形態では、対象に投与される化合物は、PNPLA3発現を調節することが特定されたシグナル伝達分子に対して1種以上のRNAi剤を含み得る。いくつかの実施形態では、化合物は、JAK1、JAK2、mTOR、SYK、PDGFRA、PDGFRB、GSK3、ACVR1、SMAD3、SMAD4、及びNF−κBからなる群から選択される1つ以上の遺伝子を標的とする1つ以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含む。

0020

上に開示される実施形態のうちのいずれか1つにおいて、化合物は、対象におけるPNPLA3遺伝子の発現を低減する。いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の発現は、少なくとも30%低減される。いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の発現は、対象の肝臓において低減される。対象は、PNPLA3遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子中に1つ以上の突然変異を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、PNPLA3遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子中にI148M突然変異を有する。いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の発現は、対象の肝細胞において低減される。いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の発現は、対象の肝星細胞において低減される。

0021

上に開示される実施形態のうちのいずれか1つにおいて、化合物はまた、COL1A1遺伝子の発現を低減し得る。いくつかの実施形態では、COL1A1遺伝子の発現は、対象の肝臓において低減される。いくつかの実施形態では、COL1A1遺伝子の発現は、対象の肝細胞において低減される。いくつかの実施形態では、COL1A1遺伝子の発現は、対象の肝星細胞において低減される。

0022

上に開示される実施形態のうちのいずれか1つにおいて、化合物はまた、PNPLA5遺伝子の発現を低減し得る。いくつかの実施形態では、PNPLA5遺伝子の発現は、対象の肝臓において低減される。

0023

上に開示される実施形態のいずれか1つにおいて、PNPLA3関連障害は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)であり得る。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。他の実施形態では、PNPLA3関連障害は、アルコール性肝疾患(ALD)である。

0024

また本明細書では、PNPLA3遺伝子のシグナル伝達中心に関連する1つ以上のシグナル伝達分子を変更することができる有効量の化合物を細胞に導入することによって、細胞におけるPNPLA3遺伝子の発現を調整する方法が提供される。そのような化合物は、小分子、ポリペプチド、抗体、ハイブリダイジングオリゴヌクレオチド、またはゲノム編集剤であり得る。

0025

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、PNPLA3遺伝子を含有する絶縁近傍の組成及び/または構造を変更し得る。絶縁近傍で特定されるクロマチンマークまたはクロマチン関連タンパク質としては、H3k27ac、BRD4、p300、H3K4me1及びH3K4me3が挙げられる。絶縁近傍に関与する転写因子としては、HNF3b、HNF4a、HNF4、HNF6、Myc、ONECUT2及びYY1が挙げられる。絶縁近傍に関与するシグナル伝達タンパク質としては、TCF4、HIF1a、HNF1、ERa、GR、JUN、RXR、STAT3、VDR、NF−κB、SMAD2/3、STAT1、TEAD1、p53、SMAD4、及びFOSが挙げられる。これらのシグナル伝達中心及び/またはシグナル伝達分子の任意の構成成分、または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成及び/または構造を変えるように標的化または変更され得、それによってPNPLA3の発現を調整する。

0026

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、JAK/STAT経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物としては、モメロチニブ(CYT387)、ルキソリチニブ、オクラシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、PF−04965842、ウパダシチニブ、ククルビタシンI、CHZ868、フェドラチニブ、AC430、AT9283、ati−50001及びati−50002、AZ960、AZD1480、BMS−911543、CEP−33779、セルデュラチニブ(PRT062070、PRT2070)、クルクモール、デセルノチニブ(VX−509)、フェドラチニブ(SAR302503、TG101348)、FLLL32、FM−381、GLPG0634類似体、Go6976、JANEX−1(WHI−P131)、NVP−BSK805、パクリチニブ(SB1518)、ペフィシチニブ(ASP015K、JNJ−54781532)、PF−06651600、PF−06700841、R256(AZD0449)、ソルシチニブ(GSK2586184もしくはGLPG0778)、S−ルキソリチニブ(INCB018424)、TG101209、トファシチニブ(CP−690550)、WHI−P154、WP1066、XL019、ZM39923HCl、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを挙げることができる。一実施形態では、化合物は、モメロチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含む。一実施形態では、化合物は、パクリチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含む。

0027

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、mTOR経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物としては、アピトリシブ(GDC−0980、RG7422)、AZD8055、BGT226(NVP−BGT226)、CC−223、クリソファン酸、CZ415、ダクトリシブ(BEZ235、NVP−BEZ235)、エベロリムス(RAD001)、GDC−0349、ジェダトリシブ(PF−05212384、PKI−587)、GSK1059615、INK128(MLN0128)、KU−0063794、LY3023414、MHY1485、オミパリシブ(GSK2126458、GSK458)、OSI−027、パロミド529(P529)、PF−04691502、PI−103、PP121、ラパマイシン(シロリムス)、リダフォロリムス(デフォロリムス、MK−8669)、SF2523、タクロリムス(FK506)、テムシロリムス(CCI−779、NSC683864)、トリン1、トリン2、トリキニブ(PP242)、ビスツセルチブ(AZD2014)、ボクスタリシブ(SAR245409、XL765)類似体、ボクスタリシブ(XL765、SAR245409)、WAY−600、WYE−125132(WYE−132)、WYE−354、WYE−687、XL388、ゾタロリムス(ABT−578)、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを挙げることができる。一実施形態では、化合物は、WYE−125132(WYE−132)、またはその誘導体もしくは類似体を含む。

0028

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、Syk経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物は、R788、タマチニブ(R406)、エントスプレチニブ(GS−9973)、ニルバジピン、TAK−659、BAY−61−3606、MNS(3,4−メチレンジオキシ−β−ニトロスチレン、MDBN)、ピセアタンノール、PRT−060318、PRT062607(P505−15、BIIB057)、PRT2761、RO9021、セルデュラチニブ、イブルチニブ、ONO−4059、ACP−196、イデラリシブ、デュベリシブ、ピララリシブ、TGR−1202、GS−9820、ACP−319、SF2523、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。一実施形態では、化合物は、R788、またはその誘導体もしくは類似体を含む。

0029

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、GSK3経路の阻害剤の阻害剤を含み得る。そのような化合物は、BIO、AZD2858、1−アザケンパウロン、AR−A014418、AZD1080、ビキニン、BIO−アセトキシム、CHIR−98014、CHIR−99021(CT99021)、IM−12、インジルビン、LY2090314、SB216763、SB415286、TDZD−8、チデグルシブ、TWS119、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。

0030

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、TGF−β/SMAD経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物は、モメロチニブ(CYT387)、BML−275、DMH−1、ドルソモルフィン、ドルソモルフィンジヒドロクロリド、K02288、LDN−193189、LDN−212854、ML347、SIS3、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。

0031

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、NF−κB経路の阻害剤を含み得る。そのような化合物は、ACHP、10Z−ヒメニアルジシン、アンレキサノクス、アンドログラホリド、アルクチゲニン、Bay11−7085、Bay11−7821、ベンガミドB、BI605906、BMS345541、カフェイン酸フェネチルエステル、カルダモニン、C−DIM12、セラストロール、CID2858522、FPSZM1、グリオトキシン、GSK319347A、ホノキオール、HU211、IKK16、IMD0354、IP7e、IT901、ルテオリン、MG132、ML120Bジヒドロクロリド、ML130、パルテノリド、PF184、ピセアタンノール、PR39(ブタ)、プリスチメリン、PS1145ジヒドロクロリド、PSI、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム、RAGEアンタゴニストペプチド、Ro106−9920、SC514、SP100030、スルファサラジン、タンシノンIIA、TPCA−1、ウィタフェリンA、ゾレドロン酸、またはそれらの誘導体もしくは類似体のうちの少なくとも1つを含み得る。

0032

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、アムバチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、BMS−754807、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、BMS−986094、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、LY294002、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、ピフィスリン−μ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、XMU−MP−1、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。

0033

いくつかの実施形態では、細胞に投与される化合物は、形質転換増殖因子β受容体1(TGFR1)の活性を阻害するアミノピリジルオキシピラゾール化合物、LY582563、mFLINT、4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミドまたはN−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド、N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)−5−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]チオフェン−2−スルホンアミド、N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)−5−[(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]チオフェン−2−スルホンアミド、5−[(3S,4R)−3−フルオロ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル]−N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)チオフェン−2−スルホンアミド、5−(3,3−ジフルオロ−(4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)チオフェン−2−スルホンアミド、5−(5,5−ジメチル−6−オキソ−1,4−ジヒドロピリダジン−3−イル)−N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)チオフェン−2−スルホンアミド、N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)−5−[(1R,3R)−3−ヒドロキシシクロペンチル]チオフェン−2−スルホンアミド、N−(6−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−7−イル)−5−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]チオフェン−2−スルホンアミド、8−メチル−2−[4−(ピリミジン−2−イルメチル)ピペラジン−1−イル]−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、8−メチル−2−[4−(1−ピリミジン−2−イルエチル)ピペラジン−1−イル]−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(4−クロロピリミジン−2−イル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3、5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(4−メトキシピリミジン−2−イル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3、5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(3−ブロモ−2−ピリジル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(3−クロロ−2−ピリジル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[4−[(3−フルオロ−2−ピリジル)メチル]ピペラジン−1−イル]−8−メチル−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−4−オン、2−[[4−(8−メチル−4−オキソ−3,5,6,7−テトラヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]メチル]ピリジン−3−カルボニトリル、2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[2−[2−(3−ピリジルオキシ)アセチル]−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−6−イル]プロパン−1−スルホンアミドまたは2−メトキシ−N−[2−[2−(3−ピリジルオキシ)アセチル]−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−6−イル]エタンスルホンアミド、4,4,4−トリフルオロ−N−[(1S)−2−[[(7S)−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−オキソ−7H−ピリド[2,3−d][3]ベンズアゼピン−7−イル]アミノ]−1−メチル−2−オキソ−エチル]ブタンアミド、8−[5−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピリジン−3−イル]−1−[(2S)−2−メトキシプロピル]−3−メチル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン、(R)−[5−(2−メトキシ−6−メチル−ピリジン−3−イル)−2H−ピラゾール−3−イル]−[6−(ピペリジン−3−イルオキシ)−ピラジン−2−イル]−アミン、4−フルオロ−N−メチル−N−(1−(4−(1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)フタラジン−1−イル)ピペリジン−4−イル)−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、(E)−2−(4−(2−(5−(1−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)エトキシ)−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノロール(R)−(E)−2−(4−(2−(5−(1−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)エトキシ)−1H−インダゾール−3−イル)ビニル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール、5−(5−(2−(3−アミノプロポキシ)−6−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)ピラジン−2−カルボニトリル、エンザスタウリン、テトラ置換ピリダジン、1,4−二置換フタラジン、二置換フタラジン、ウイノキサリン−5,8−ジオン誘導体、ラロキシフェン、置換インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ナフタレン、及びジヒドロナフタレンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。

0034

代替実施形態では、細胞に投与される化合物は、PNPLA3発現を調節することが特定されたシグナル伝達分子に対して1種以上のRNAi剤を含み得る。いくつかの実施形態では、化合物は、JAK1、JAK2、mTOR、SYK、PDGFRA、PDGFRB、GSK3、ACVR1、SMAD3、SMAD4、及びNF−κBからなる群から選択される1つ以上の遺伝子を標的とする1つ以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含む。

0035

上に開示される細胞方法のうちのいずれか1つにおいて、化合物は、PNPLA3遺伝子の発現を低減する。いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の発現は、少なくとも30%低減される。細胞は、PNPLA3遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子中に1つ以上の突然変異を有し得る。いくつかの実施形態では、細胞は、PNPLA3遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子中にI148M突然変異を有する。

0036

上に開示される細胞方法のうちのいずれか1つにおいて、化合物はまた、COL1A1遺伝子の発現を低減し得る。

0037

上に開示される細胞方法のうちのいずれか1つにおいて、化合物はまた、PNPLA5遺伝子の発現を低減し得る。

0038

上に開示される細胞方法のうちのいずれか1つにおいて、細胞は、哺乳類細胞であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、マウス細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、肝細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、肝星細胞である。

0039

本明細書では、PNPLA3遺伝子を含む絶縁近傍の上流もしくは下流近傍遺伝子またはそのRSRのうちの1つ以上を変更する1種以上の化合物を細胞に導入することによって、細胞におけるPNPLA3遺伝子の発現を調整する方法がさらに提供される。絶縁近傍は、43,782,676〜45,023,137位における染色体22上の領域を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の上流近傍遺伝子は、MPPED1、EFCAB6、SULT4A1、及びPNPLA5のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の下流近傍遺伝子は、SAMM50、PARVB、及びPARVGのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、肝細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、肝星細胞である。

図面の簡単な説明

0040

前述のならびに他の目的、特徴及び利点は、付属の図面において図示されるように、本発明の特定の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。図面は、必ずしも原寸に比例するとは限らず、代わりに、本発明の様々な実施形態の原理を示すことに重点が置かれている。

0041

核中の染色体のパッケージング、染色体が組織化される局在性トポロジカルドメイン、TAD中の絶縁近傍、及び最後に特定の疾患遺伝子周りのシグナル伝達中心(複数可)の配置の例を示す。
図2A及び図2Bは、絶縁近傍のCTCF境界線形及び3D配置を示す。
図3A及び図3Bは、直列絶縁近傍及びそのような絶縁近傍に形成された遺伝子ループを示す。
より大きな絶縁近傍内に含まれる絶縁近傍の概念、及び各々において起こり得るシグナル伝達を示す。
転写因子、シグナル伝達タンパク質、及び/またはクロマチン調節因子を含む、シグナル伝達中心の構成成分を示す。
一次ヒト肝細胞中のモメロチニブの用量反応曲線を示す。
肝星細胞中のモメロチニブの用量反応曲線を示す。
HepG2細胞中のモメロチニブの用量反応曲線を示す。
マウス肝臓中のPNPLA3発現に対するモメロチニブ治療の効果を示す。
マウス肝臓中のCOL1A1発現に対するWYE−125132治療の効果を示す。

0042

発明の詳細な説明
I.序論
本発明は、ヒトにおける肝疾患の治療のための組成物及び方法を提供する。特に、本発明は、PNPLA3関連疾患、例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び/またはアルコール性肝疾患(ALD)の治療のために、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3(PNPLA3)を調整する化合物の使用に関する。

0043

本発明はまた、遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)の変更、摂動及び最終的な調節制御を包含する。そのような遺伝子シグナル伝達ネットワークは、生物系のゲノムの絶縁近傍内で見出されるゲノムシグナル伝達中心を含む。PNPLA3発現を調整する化合物は、1つ以上の遺伝子シグナル伝達ネットワークを調整することによって作用し得る。

0044

本明細書で使用される場合、「遺伝子シグナル伝達ネットワーク」または「GSN」は、特定の遺伝子、例えば、遺伝子中心ネットワークからのシグナル伝達事象のうちのいずれかまたは全てに関連する生体分子のセットを含む。ヒトゲノム中に20,000を超えるタンパク質コード遺伝子が存在するため、少なくともこの多くの遺伝子シグナル伝達ネットワークが存在する。またいくつかの遺伝子が非コード遺伝子である範囲で、数は大幅に増加する。遺伝子シグナル伝達ネットワークは、標準タンパク質カスケード及びフィードバックループとしてマップされる正準シグナル伝達経路とは異なる。

0045

伝統的に、シグナル伝達経路は、標準生化学技法を使用して特定され、大部分は、カスケード中の次のタンパク質生成物により駆動される事象をシグナル伝達する1つのタンパク質生成物を有する線形カスケードである。これらの経路は、二股に分かれ得るか、またはフィードバックループを有し得るが、焦点は、もっぱらタンパク質レベルに置かれている。

0046

本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)は、タンパク質コード及び非タンパク質コードシグナル伝達分子、ゲノム構造、染色体占有率、染色体リモデリング、生物系の状態、ならびにそのような遺伝子シグナル伝達ネットワークを含む任意の生物系の摂動に関連する成果の範囲を考慮して、生物学的シグナル伝達を定義するための異なるパラダイムを表す。

0047

ゲノムアーキテクチャは、静的ではないが、本発明のGSNのフレームワークを定義することにおいて重要な役割を果たす。そのようなアーキテクチャは、染色体組織化及び修飾の概念、トポロジカル関連ドメイン(TAD)、絶縁近傍(IN)、ゲノムシグナル伝達中心(GSC)、シグナル伝達分子及びそれらの結合モチーフまたは部位、ならびに当然のことながら、ゲノムアーキテクチャ内でエンコードされる遺伝子を含む。

0048

本発明は、PNPLA3遺伝子に関連するGSNの結合性のより決定的なセットを明確化することによって、NAFLD、NASH、及び/またはALDを含むPNPLA3関連疾患に対処するための微調整された機構を提供する。

0049

ゲノムアーキテクチャ
細胞は、細胞シグナル伝達をゲノムのアーキテクチャに結合する数千のエレメントを使用して遺伝子発現を制御する。ゲノムシステムアーキテクチャは、DNA、RNA転写物、クロマチンリモデラー、及びシグナル伝達分子を含む。

0050

染色体
染色体は、ヒトのDNAの大部分を含むゲノムアーキテクチャの最大サブユニットである。特定の染色体構造は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Hnisz et al.,Cell 167,November 17,2016に記載されるように、遺伝子対照において重要な役割を果たすことが観察された。イントロンを含む「非コード領域」は、タンパク質結合部位及び他の調節構造を提供するが、エクソンは、非コード領域と相互作用して遺伝子発現を調節するシグナル伝達分子(例えば、転写因子)などのタンパク質をエンコードする。染色体上の非コード領域内のDNA部位はまた、互いに相互作用して、ループ状構造を形成する。これらの相互作用は、発達を通して保存され、遺伝子活性化及び抑制において重要な役割を果たす染色体足場を形成する。相互作用は、染色体間でめったに起こらず、通常は染色体の同じドメイン内に存在する。

0051

原位置ハイブリダイゼーション技法及び顕微鏡は、各相間染色体が、核の小部分のみを占有する傾向があり、この細胞小器官全体に広がらないことを明らかにした。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Cremer and Cremer,Cold Spring Harbor Perspectives in Biology 2,a003889,2010を参照されたい。この制限された表面占有面積は、染色体間の相互作用を低減し得る。

0052

トポロジカル関連ドメイン(TAD)
トポロジカル関連ドメイン(TAD)(あるいはトポロジカルドメインとしても知られる)は、哺乳類染色体構造のサブユニットである階層ユニットである。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Dixon et al.,Nature,485(7398):376−80,2012、Filippova et al.,Algorithms for Molecular Biology,9:14,2014、Gibcus and Dekker Molecular Cell,49(5):773−82,2013、Naumova et al.,Science,42(6161):948−53,2013を参照されたい。TADは、遺伝子及び調節エレメント生産的DNA−DNA接触を成すのを可能にする微小環境画定する、メガベースサイズの染色体領域である。TADは、DNA−DNA相互作用頻度によって定義される。TADの境界は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Dixon et al.,Nature,485(7398):376−80,2012、Nora et al.,Nature,485(7398):381−5,2012に記載されるように、比較的少ないDNA−DNA相互作用が起こる領域からなる。TADは、遺伝子発現調節因子として機能する構造的染色体ユニットを表す。

0053

TADは、約7つ以上のタンパク質コード遺伝子を含有し、異なる細胞型によって共有される境界を有し得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Smallwood et al.,Current Opinion in Cell Biology,25(3):387−94,2013を参照されたい。単一TAD内の遺伝子の発現は通常相関しているため、いくつかのTADは、活性遺伝子を含有し、他のものは抑制された遺伝子を含有する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Cavalli et al.,Nature Structural&Molecular Biology,20(3):290−9,2013を参照されたい。TAD内の配列は、互いを高頻度で見出し、一致したTADワイドヒストンクロマチンシグネチャー発現レベルDNA複製イミング、ラミナ会合、及び染色中心会合を有する。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Dixon et al.,Nature,485(7398):376−80,2012、Le Dily et al.,Genes Development,28:2151−62,2014、Dixon et al.,Nature,485(7398):376−80,2012、Wijchers,Genome Research,25:958−69,2015を参照されたい。

0054

TAD内の遺伝子ループ及び他の構造は、転写因子(TF)、コヒーシン、及び11−ジンクフィンガータンパク質(CTCF)、転写リプレッサーの活性に影響を及ぼす。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Baranello et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences,111(3):889−9,2014を参照されたい。TAD内の構造は、エンハンサー結合TFが、順にプロモーター部位においてRNAポリメラーゼIIに結合する共因子、例えば、メディエーターに結合したときに産生されるコヒーシン関連エンハンサー・プロモーターループを含む。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Lee and Young,Cell,152(6):1237−51,2013、Lelli et al.,2012;Roeder,Annual Reviews Genetics 46:43−68,2005、Spitz and Furlong,Nature Reviews Genetics,13(9):613−26,2012、Dowen et al.,Cell,159(2):374−387,2014、Lelli et al.,Annual Review of Genetics,46:43−68,2012を参照されたい。コヒーシン負荷因子Nipped−B様タンパク質(NIPBL)は、メディエーターに結合し、これらのエンハンサー・プロモーターループにおいてコヒーシンを負荷する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kagey et al.,Nature,467(7314):430−5,2010を参照されたい。

0055

TADは、調べた全てのヒト細胞型において同様の境界を有し、エンハンサー・遺伝子相互作用拘束する。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Dixon et al.,Nature,518:331−336,2015、Dixon et al.,Nature,485:376−380,2012を参照されたい。ゲノムのこのアーキテクチャは、なぜ大部分のDNA接触がTAD内で起こり、エンハンサー・遺伝子相互作用が染色体間でめったに起こらないかを説明するのを助ける。しかしながら、TADは、TAD内で特定のエンハンサー・遺伝子相互作用に影響を及ぼす分子機構に対する部分的な洞察を提供するにすぎない。

0056

長期のゲノム接触は、TADを活性区画と非活性区画とに分離する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Lieberman−Aiden et al.,Science,326:289−93,2009を参照されたい。TAD境界の間に形成されたループは、特定の配列対の間に安定して再現性よく形成された最長範囲の接触を表すと思われる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Dixon et al.,Nature,485(7398):376−80,2012を参照されたい。

0057

いくつかの実施形態では、本発明の方法を使用して、TAD中に位置する遺伝子からの遺伝子発現を変更する。いくつかの実施形態では、TAD領域を修飾して、本明細書に定義されるように、または本明細書に記載される方法を使用して定義可能であるように、非正準経路の遺伝子発現を変更する。

0058

絶縁近傍
本明細書に記載される場合、「絶縁近傍」(IN)は、染色体配列中の2つの相互作用部位ルーピングによって形成された染色体構造として特定される。これらの相互作用部位は、CCCT結合因子(CTCF)を含み得る。これらのCTCF部位は、多くの場合、コヒーシンによって共占有される。これらのコヒーシン関連染色体構造の完全性は、絶縁近傍中の遺伝子ならびに絶縁近傍の近位にある遺伝子の発現に影響する。「近傍遺伝子」は、絶縁近傍内に位置する遺伝子である。近傍遺伝子は、コードまたは非コードであり得る。

0059

絶縁近傍アーキテクチャは、一緒になって直接または間接的にDNAループを形成する少なくとも2つの境界によって定義される。任意の絶縁近傍の境界は、一次上流境界及び一次下流境界を含む。そのような境界は、任意の絶縁近傍の最も外側の境界である。しかしながら、任意の絶縁近傍ループ内では、二次ループが形成され得る。そのような二次ループは、存在する場合、一次絶縁近傍に対して、二次上流境界及び二次下流境界によって定義される。一次絶縁近傍が複数の内部ループを含有する場合、ループは、一次ループの一次上流境界に対して、例えば、二次ループ(一次ループ内の第1のループ)、三次ループ(一次ループ内の第2のループ)、四次ループ(一次ループ内の第3のループ)等と付番される。

0060

絶縁近傍は、トポロジカル関連ドメイン(TAD)及び他の遺伝子ループ内に位置し得る。最大の絶縁近傍は、TADであり得る。TADは、DNA−DNA相互作用頻度によって定義され、平均0.8Mbであり、およそ7タンパク質コード遺伝子を含有し、生物の異なる細胞型によって共有される境界を有する。Dowenによれば、TAD内の遺伝子の発現は、ある程度相関しており、したがっていくつかのTADは活性遺伝子を有する傾向があり、他のものは抑制された遺伝子を有する傾向がある。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Dowen et al.,Cell.2014 Oct 9;159(2):374−387を参照されたい。

0061

絶縁近傍は、染色体に沿って連続した実体として存在し得るか、または非絶縁近傍配列領域によって分離され得る。絶縁近傍は、DNAルーピング領域が接合された場合にのみ定義されるように線形に重複し得る。絶縁近傍は、3〜12遺伝子を含み得るが、それらは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13またはそれ以上の遺伝子を含有し得る。

0062

「最小絶縁近傍」は、少なくとも1つの近傍遺伝子、及び関連した調節配列領域(RSR)または近傍遺伝子の発現もしくは抑制を促進する領域、例えばプロモーター及び/またはエンハンサー及び/またはリプレッサー領域等を有する絶縁近傍である。場合によっては、調節配列領域は、絶縁近傍境界と一致またはさらには重複し得ることが企図される。本明細書で使用される場合、調節配列領域としては、限定されないが、染色体に沿った領域、区分、部位または区域が挙げられ、それによって近傍遺伝子の発現を変更するために、シグナル伝達分子との相互作用が起こる。本明細書で使用される場合、「シグナル伝達分子」は、タンパク質、核酸(DNAもしくはRNA)、有機小分子、脂質、糖または他の分子にかかわらず、染色体上の調節配列領域と直接または間接的に相互作用する、任意の実態である。調節配列領域(RSR)はまた、GSCの結合部位として機能するDNAの部分を指し得る。

0063

特殊化シグナル伝達分子の1つのカテゴリーは、転写因子である。「転写因子」は、標的遺伝子、例えば、近傍遺伝子の転写を変更(増加または減少)するシグナル伝達分子である。

0064

本発明に従い、近傍遺伝子は、染色体に沿って任意の数の上流または下流遺伝子を有し得る。任意の絶縁近傍内に、一次近傍遺伝子に対する1つ以上、例えば、1、2、3、4またはそれ以上の上流及び/または下流近傍遺伝子が存在し得る。「一次近傍遺伝子」は、染色体に沿った特定の絶縁近傍内で最も一般に見出される遺伝子である。一次近傍遺伝子の上流近傍遺伝子は、一次近傍遺伝子と同じ絶縁近傍内に位置し得る。一次近傍遺伝子の下流近傍遺伝子は、一次近傍遺伝子と同じ絶縁近傍内に位置し得る。

0065

本発明は、遺伝子または遺伝子変異体浸透度を変更する方法を提供する。本明細書で使用される場合、「浸透度」は、その変異体遺伝子の関連した特性(表現型)も呈する遺伝子の特定の変異体(例えば、野生型であるか否かにかかわらず、突然変異、対立遺伝子または一般遺伝子型)を担持する個体の割合である。いくつかの疾患の状況において、疾患を引き起こす突然変異の浸透度は、臨床症状を呈する突然変異を有する個体の割合として測定した。結果として、任意の遺伝子または遺伝子変異体の浸透度は、連続体上に存在する。

0066

絶縁近傍は、同じ制御機構下で遺伝子をグループ分けすることができる機能的単位であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Dowen et al.,Cell,159:374−387(2014)に記載されている。絶縁近傍は、図1に示されるTADなどの、より高次の染色体構造の機構的背景を提供する。絶縁近傍は、図2Bに示されるコヒーシンによって共占有される2つの相互作用するCTCF部位のルーピングによって形成された染色体構造である。これらの構造の完全性は、局所遺伝子の適切な発現に重要である。一般に、1〜10の遺伝子は、各遺伝子内に3つの遺伝子の中央値を有する各近傍においてクラスター化される。同じ絶縁近傍によって制御される遺伝子は、DNAの二次元図から容易に明らかではない。ヒトにおいて、中央サイズが186kbである25kb〜940kbのサイズ範囲内に約13,801の絶縁近傍が存在する。絶縁近傍は、異なる細胞型の間で保存される。より大きなIN内で発生するより小さなINは、ネスト絶縁近傍(NIN)と称される。TADは、図1に示されるように単一のINからなり得るか、または図2Bに示されるように1つのIN及び1つのNIN及び2つのNINからなり得る。

0067

本明細書で使用される場合、「境界」という用語は、特徴、エレメント、または特性が終了または開始する場所を示す点、限界、または範囲を指す。したがって、「絶縁近傍境界」は、染色体上の絶縁近傍の範囲を定める境界を指す。本発明に従い、絶縁近傍は、少なくとも2つの絶縁近傍境界、一次上流境界及び一次下流境界によって定義される。「一次上流境界」は、一次近傍遺伝子の上流に位置する絶縁近傍境界を指す。「一次下流境界」は、一次近傍遺伝子の下流に位置する絶縁近傍境界を指す。同様に、図2Bに示されるように二次ループが存在する場合、それらは、二次上流境界及び下流境界によって定義される。「二次上流境界」は、一次絶縁近傍内の二次ループの上流境界であり、「二次下流境界」は、一次絶縁近傍内の二次ループの下流境界である。二次境界の方向性は、一次絶縁近傍の方向性に従う。

0068

絶縁近傍境界の構成成分は、2つの境界のルーピングを容易にするアンカー領域及び関連因子(例えば、CTCF、コヒーシン)においてDNA配列を含み得る。アンカー領域におけるDNA配列は、少なくとも1つのCTCF結合部位を含み得る。ChIP−exo技法を使用する実験は、4つのCTCF結合モジュールを含有する52bpのCTCF結合モチーフを明らかにした(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ong and Corces,Nature reviews Genetics,12:283−293,2011の図1を参照)。絶縁近傍境界におけるDNA配列は、絶縁体を含有し得る。場合によっては、絶縁近傍境界はまた、エンハンサー・プロモーター相互作用部位などの調節配列領域と一致または重複し得る。

0069

本発明のいくつかの実施形態では、絶縁近傍境界の崩壊または変更は、境界における特定のDNA配列(例えば、CTCF結合部位)を変更することによって達成され得る。例えば、絶縁近傍境界における既存のCTCF結合部位は、欠失、突然変異、または逆転され得る。代替として、新たなCTCF結合部位は、新たな絶縁近傍を形成するために導入され得る。他の実施形態では、絶縁近傍境界の崩壊または変更は、境界におけるヒストン修飾(例えば、メチル化脱メチル化)を変更することによって達成され得る。他の実施形態では、絶縁近傍境界の崩壊または変更は、境界へのCTCF及び/またはコヒーシンの結合を変更(例えば、ブロッキング)することによって達成され得る。絶縁近傍境界が調節配列領域と一致または重複する場合、絶縁近傍境界の崩壊または変更は、調節配列領域(RSR)またはRSR関連シグナル伝達分子の結合を変更することによって達成され得る。

0070

絶縁近傍からの発現を制御する:シグナル伝達中心
歴史的に、「シグナル伝達中心」という用語は、細胞環境の変化に反応する細胞の群を説明するために使用されている。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Guger et al.,Developmental Biology 172:115−125(1995)を参照されたい。同様に、「シグナル伝達中心」という用語は、本明細書で使用される場合、シグナル伝達タンパク質またはシグナル伝達分子(例えば、転写因子)などの定義された生体分子のセットと相互作用して、遺伝子発現を状況特異的な方法で調節する生存生物の定義された領域を指す。

0071

具体的に、「ゲノムシグナル伝達中心」、すなわち「シグナル伝達中心」という用語は、本明細書で使用される場合、その絶縁近傍内または複数の絶縁近傍中の遺伝子の調節に関与するシグナル伝達分子/シグナル伝達タンパク質の状況特異的複合アセンブリに結合することができる領域を含む絶縁近傍内の領域を指す。

0072

シグナル伝達中心は、絶縁近傍の活性を調節することが発見された。これらの領域は、ヒトゲノム中でどの遺伝子が発現されるか、及び発現のレベルを制御する。シグナル伝達中心の構造的完全性の喪失は、遺伝子発現の脱調節の一因となり、潜在的に疾患を引き起こす。

0073

シグナル伝達中心は、転写因子の高度に状況特異的な複合アセンブリによって結合されたエンハンサーを含む。これらの因子は、細胞シグナル伝達を通して部位に動員される。シグナル伝達中心は、相互作用して三次元転写因子ハブマクロ複合体を形成する複数の遺伝子を含む。シグナル伝達中心は、一般に、生物学的機能によって組織化されたループ中の1〜4遺伝子に関連している。

0074

各シグナル伝達中心の組成物は、転写因子のアセンブリ転写装置、及びクロマチン調節因子を含む固有の組成物を有する。シグナル伝達中心は、高度に状況特異的であり、シグナル伝達経路を標的とすることによって薬物が反応を制御できるようにする。

0075

複数のシグナル伝達中心は、相互作用して、同じ絶縁近傍内で異なる遺伝子の組み合わせを制御することができる。

0076

シグナル伝達分子の結合部位
シグナル伝達分子について、一連コンセンサス結合部位、または結合部位の結合モチーフは、本発明者によって特定された。これらのコンセンサス配列は、シグナル伝達分子の、または1つ以上のシグナル伝達分子を含む複合体の染色体、遺伝子、またはポリヌクレオチドに沿った結合部位を反映する。

0077

いくつかの実施形態では、結合部位は、複数のシグナル伝達分子または分子の複合体に関連している。

0078

エンハンサー
エンハンサーは、ヒトにおける細胞型特異的遺伝子発現プログラムを制御する遺伝子調節エレメントである。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Buecker and Wysocka,Trendsin genetics:TIG 28,276−284,2012、Heinz et al.,Nature reviews Molecular Cell Biology,16:144−154,2015、Levine et al.,Cell,157:13−25,2014、Ong and Corces,Nature reviews Genetics,12:283−293,2011、Ren and Yue,Cold Spring Harbor symposia on quantitative biology,80:17−26,2015を参照されたい。エンハンサーは、共活性化因子及びRNAポリメラーゼIIを動員して遺伝子を標的とする複数の転写因子によって占有され得る、一般に数百塩基対の長さであるDNAのセグメントである。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Bulger and Groudine,Cell,144:327−339,2011、Spitz and Furlong,Nature reviews Genetics,13:613−626,2012、Tjian and Maniatis,Cell,77:5−8,1994を参照されたい。DNAのこれらの領域から転写されたエンハンサーRNA分子はまた、DNA及びRNAに結合することができる転写因子を「捕捉」する。複数のエンハンサーを有する領域は、「スーパーエンハンサー」である。

0079

絶縁近傍は、正常な遺伝子の活性化及び抑制の両方に極めて重要な特定のエンハンサー・遺伝子相互作用のための微小環境を提供する。転写エンハンサーは、20,000を超えるタンパク質コード遺伝子を制御して、全てのヒト細胞中の細胞型特異的遺伝子発現プログラムを維持する。数万のエンハンサーが、任意の所与のヒト細胞型で活性であると推定される。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、ENCODE Project Consortium et al.,Nature,489,57−74,2012、Roadmap Epigenomics et al.,Nature,518,317−330,2015を参照されたい。エンハンサー及びそれらの関連因子は、これらの遺伝子のプロモーターにルーピングすることによって、上流または下流に位置する遺伝子の発現を調節し得る。細胞識別子転写制御と染色体構造の制御との間の関係に関する洞察を得るために実行されたコヒーシンChIA−PET研究は、スーパーエンハンサー及びそれらの関連遺伝子の大部分が、コヒーシンによって共占有されたCTCF部位と相互作用することによって接続された大きなループ内で起こることを明らかにする。そのようなスーパーエンハンサードメイン(SD)は、通常、SD内の1つの遺伝子に対してループする1つのスーパーエンハンサーを含有し、SDは、SD内の遺伝子に対するスーパーエンハンサー活性を制限すると思われる。絶縁近傍中のスーパーエンハンサー及びそれらの標的遺伝子の正しい会合は、単一スーパーエンハンサーの誤標的が、疾患を引き起こすのに十分であるため、極めて重要である。Groschel et al.,Cell,157(2):369−81,2014を参照されたい。

0080

疾患関連非コード変化の大部分は、エンハンサーの近位で起こり、したがってこれらのエンハンサー標的遺伝子に影響を及ぼし得る。したがって、エンハンサーに対する特異性を付与する特徴を解読することは、調整性遺伝子発現に重要である。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Ernst et al.,Nature,473,43−49,2011、Farh et al.,Nature,518,337−343,2015、Hnisz et al.,Cell,155,934−947,2013、Maurano et al.,Science,337,1190−1195,2012を参照されたい。研究は、エンハンサー・遺伝子相互作用の特異性の一部が、エンハンサーにおけるDNA結合転写因子と、プロモーターにおける特定のパートナー転写因子との相互作用に起因し得ることを示唆する。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Butler and Kadonaga,Genes&Development,15,2515−2519,2001、Choi and Engel,Cell,55,17−26,1988、Ohtsuki et al.,Genes&Development,12,547−556,1998を参照されたい。エンハンサー中及びプロモーター近位領域中のDNA配列は、単一細胞中で発現される様々な転写因子に結合する。これら2つの部位において結合される多様な因子は、大きな共因子複合体と相互作用し、互いに相互作用してエンハンサー・遺伝子特異性をもたらす。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Zabidi et al.,Nature,518:556−559,2015を参照されたい。

0081

いくつかの実施形態では、エンハンサー領域を標的化して、遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)を変更または明確化することができる。

0082

絶縁体
絶縁体は、エンハンサーが、それらの間に位置しているときに遺伝子を活性化する能力をブロックし、特定のエンハンサー・遺伝子相互作用に寄与する調節エレメントである。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Chung et al.,Cell 74:505−514,1993、Geyer and Corces,Genes&Development 6:1865−1873,1992、Kellum and Schedl,Cell 64:941−950,1991、Udvardy et al.,Journal of molecular biology 185:341−358,1985を参照されたい。絶縁体は、転写因子CTCFによって結合されるが、全てのCTCF部位が絶縁体として機能するとは限らない。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Bell et al.,Cell 98:387−396,1999、Liu et al.,Nature biotechnology 33:198−203,2015を参照されたい。絶縁体として機能するCTCF部位のサブセットを区別する特徴は、以前に理解されていない。

0083

エンハンサー、プロモーター及び絶縁体に結合するタンパク質のゲノムワイドマップは、これらのエレメントの間で起こる物理的接触の知識とともに、特定のエンハンサー・遺伝子相互作用を生じる機構の理解に対するさらなる洞察を提供する。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Chepelev et al.,Cell research,22:490−503,2012、DeMare et al.,Genome Research,23:1224−1234,2013、Dowen et al.,Cell,159:374−387,2014、Fullwood et al.,Genes&Development 6:1865−1873,2009、Handoko et al.,Nature genetics 43:630−638,2011、Phillips−Cremins et al.,Cell,153:1281−1295,2013、Tang et al.,Cell 163:1611−1627,2015を参照されたい。エンハンサー結合タンパク質は、それらがこれらのCTCF−CTCFループ内の遺伝子のみと相互作用する傾向があるように制約される。したがって、これらのループアンカーを形成するCTCF部位のサブセットは、図3Bに示されるように、ループの外側のエンハンサー及び遺伝子から、ループ内のエンハンサー及び遺伝子を絶縁するように機能する。いくつかの実施形態では、絶縁体領域は、遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)を変更または明確化するために標的され得る。

0084

コヒーシン及びCTCF関連ループ及びアンカー部位/領域
CTCF相互作用は、ループを形成する同じ染色体上の部位を結合し、それらは一般に、1Mb未満の長さである。転写は、ループ内及び外側の両方で起こるが、この転写の性質は、2つの領域間で異なる。研究は、エンハンサー関連転写が、ループ内でより顕著であることを示す。したがって、絶縁体状態は、CTCFループアンカーにおいて特異的に富化される。したがって、CTCFループは、遺伝子がループ内の中心に位置する傾向を有する遺伝子不良領域を包囲するか、またはCTCFループの外側の遺伝子密集領域を除外するかのいずれかである。図2A及び図2Bは、ループの線形構造を三次元(3D)構造と比較する。

0085

CTCFループは、それらの隣接領域に対して低減したエクソン密度を呈する。遺伝子オントロジー分析は、CTCFループ内に位置する遺伝子が、刺激への反応のために、また細胞外血漿膜及び小嚢細胞局在のために富化されることを明らかにする。一方で、ループのちょうど外側に接する隣接領域内に存在する遺伝子は、ハウスキーピング遺伝子と同様の発現パターンを呈する。すなわち、これらの遺伝子は、平均してループに包囲された遺伝子よりも高度に発現され、それらの発現パターンにおいてあまり細胞株特異的ではなく、細胞株にわたってそれらの発現レベルの変化が少ない。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Oti et al.,BMCGenomics,17:252,2016を参照されたい。

0086

アンカー領域は、絶縁近傍の立体配座に影響を及ぼすCTCFの結合部位である。アンカー部位の欠失は、通常は転写的サイレントである遺伝子の活性化をもたらし得、それによって疾患表現型をもたらす。実際に、体細胞突然変異は、発がん関連絶縁近傍のループアンカー部位において共通している。ループアンカー領域のCTCF DNA結合モチーフは、がん細胞の最も変更されたヒト転写因子結合配列であることが観察された。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Hnisz et al.,Cell 167,November 17,2016を参照されたい。

0087

アンカー領域は、細胞発達中に大部分が維持され、特にヒト及び霊長類生殖系において保存されることが観察された。実際に、アンカー領域のDNA配列は、絶縁近傍の一部ではないCTCF結合部位よりもCTCFアンカー領域において保存される。したがって、コヒーシンをChIA−PETの標的として使用して、両方の位置を特定することができる。

0088

コヒーシンはまた、ゲノムのCTCF結合領域と関連付けられ、これらのコヒーシン関連CTCF部位のうちのいくつかは、遺伝子活性化を促進するが、他のものは絶縁体として機能し得る。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Dixon et al.,Nature,485(7398):376−80,2012、Parelho et al.,Cell,132(3):422−33,2008、Phillips−Cremins and Corces,Molecular Cell,50(4):461−74,2013)、Seitan et al.,Genome Research,23(12):2066−77,2013、Wendt et al.,Nature,451(7180):796−801,2008)を参照されたい。コヒーシン及びCTCFは、TAD内の大きなループ下部構造と関連付けられ、コヒーシン及びメディエーターは、CTCF結合領域内で形成するより小さいループ構造と関連付けられる。参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、de Wit et al.,Nature,501(7466):227−31,2013、Cremins et al.,Cell,153(6):1281−95,2013、Sofueva et al.,EMBO,32(24):3119−29,2013を参照されたい。いくつかの実施形態では、コヒーシン及びCTCF関連ループ及びアンカー部位/領域は、遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)を変更または明確化するために標的され得る。

0089

遺伝子変異体
シグナル伝達中心内の遺伝子変異は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Hnisz et al.,Cell 167,November 17,2016に記載されているように、染色体上のタンパク質結合を崩壊させることによって疾患の一因となることが知られている。絶縁近傍の形成を干渉する絶縁近傍境界部位のCTCFアンカー領域の配列の変異は、遺伝子活性化及び抑制の脱調節をもたらすことが観察される。様々な遺伝的機構及び後成的機構によって引き起こされるCTCF機能不全は、発病につながり得る。したがって、いくつかの実施形態では、1つ以上の前向きな治療結果をもたらすために、そのような変異体駆動型病因学と関連付けられる任意の1つ以上の遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)を変更することが有益である。

0090

単一ヌクレオチド多型(SNP)
SNPの94.2%は、エンハンサー領域を含む非コード領域中で発生する。いくつかの実施形態では、SNPは、1つ以上のGSNからのシグナル伝達を研究及び/または変更するために変更される。

0091

シグナル伝達分子
シグナル伝達分子は、正準であるか、または本明細書に定義される、もしくは本明細書に記載される方法を使用して定義可能である遺伝子シグナル伝達ネットワーク経路細胞かにかかわらず、細胞シグナル伝達経路において機能する任意のタンパク質を含む。転写因子は、シグナル伝達分子のサブセットである。シグナル伝達及びマスター転写因子のある特定の組み合わせをエンハンサー領域と関連付けて、遺伝子の発現に影響を及ぼす。マスター転写因子は、特定の組織中の転写因子を指向する。例えば、血液中では、GATA転写因子が、Wnt細胞シグナル伝達経路のTCF7L2を指向するマスター転写因子である。肝臓中では、HNF4Aが、系統組織及びパターンにおけるSMADを指向するマスター転写因子である。

0092

転写調節は、所与の遺伝子がどのくらいの頻度で転写されるかを制御するのを可能にする。転写因子は、転写開始の条件を多少好ましいものにすることによって転写物が産生される速度を変更する。転写因子は、シグナル伝達経路を選択的に変更し、順にゲノムシグナル伝達中心によって制御される遺伝子に影響を及ぼす。ゲノムシグナル伝達中心は、転写調節因子の構成成分である。いくつかの実施形態では、シグナル伝達分子は、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークのシグナル伝達を明確化または変更するために使用または標的され得る。

0093

参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際出願第PCT/US18/31056号の表22は、様々な細胞シグナル伝達経路において機能する転写因子(TF)及び/またはクロマチンリモデリング因子(CR)として作用するものを含む、シグナル伝達分子の一覧を提供する。本明細書に記載される方法を使用して、絶縁近傍内でエンコードされる一次近傍遺伝子の調節配列領域に関連する1つ以上のシグナル伝達分子の発現を阻害または活性化することができる。したがって、これらの方法は、未治療対照と比較して、治療剤による治療時に差次的に発現される1つ以上の一次近傍遺伝子のシグナル伝達シグネチャーを変更することができる。

0094

転写因子
転写因子は、一般に、エンハンサーに結合し、共活性化因子及びRNAポリメラーゼIIを動員して遺伝子を標的とすることによって遺伝子発現を調節する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Whyte et al.,Cell,153(2):307−319,2013を参照されたい。転写因子は、「エンハンサー」に結合して、ゲノム全体に分散された調節エレメントに結合することによって細胞特異的転写プログラムを刺激する。

0095

ヒトゲノム中に約1800の既知の転写因子が存在する。リボソームRNA複合体などのタンパク質または核酸分子の結合部位を提供する染色体のDNA上にエピトープが存在する。マスター調節因子は、上記の細胞シグナル伝達及び下記のDNAを通して転写因子の組み合わせを指向する。これらの特徴は、次のシグナル伝達中心の位置の決定を可能にする。いくつかの実施形態では、転写因子を使用するかまたは標的として、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更または明確化することができる。

0096

マスター転写因子
マスター転写因子は、細胞型特異的エンハンサーを結合及び確立する。マスター転写因子は、追加のシグナル伝達タンパク質、例えば他の転写因子をエンハンサーに動員して、シグナル伝達中心を形成する。233ヒト細胞型及び組織の候補マスターTFの地図は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、D′Alessio et al.,Stem Cell Reports 5,763−775(2015)に記載されている。いくつかの実施形態では、マスター転写因子を使用するかまたは標的として、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更または明確化することができる。

0097

シグナル伝達転写因子
シグナル伝達転写因子は、それらがそうすることを可能にするタンパク質ドメインを含むため、細胞間を移動するホメオタンパク質などの転写因子である。Engrailed、Hoxa5、Hoxb4、Hoxc8、Emx1、Emx2、Otx2及びPax6などのホメオタンパク質は、シグナル伝達転写因子として作用することができる。ホメオタンパク質Engrailedは、他のホメオタンパク質において同様に存在すると考えられる内在化及び分泌シグナルを有する。この特性は、転写因子であることに加えて、ホメオタンパク質がシグナル伝達分子として作用するのを可能にする。ホメオタンパク質は、特徴付けられた細胞外機能を欠いており、それらのパラクリン標的が細胞内であるという認識につながる。ホメオタンパク質が転写、及び場合によっては翻訳を調節する能力は、パラクリン作用に影響を及ぼす可能性が最も高い。Prochiantz and Joliot,Nature Reviews Molecular Cell Biology,2003を参照されたい。いくつかの実施形態では、シグナル伝達転写因子を使用するかまたは標的として、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更または明確化することができる。

0098

クロマチン修飾
クロマチンリモデリングは、ヒストン修飾に関連する1000を超えるタンパク質によって調節される。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ji et al.,PNAS,112(12):3841−3846(2015)を参照されたい。クロマチン調節因子は、修飾されたヒストンでマークされたゲノム領域に関連する特定のタンパク質のセットである。例えば、ヒストンは、ある特定のリジン残基:H3K20me3、H3K27ac、H3K4me3、H3K4me1、H3K79me2、H3K36me3、H3K9me2、及びH3K9me3において修飾され得る。ある特定のヒストン修飾は、シグナル伝達分子によって結合するために使用可能であるゲノムの領域をマークする。例えば、以前の研究は、活性エンハンサー領域がH3K27acを有するヌクレオソームを含み、活性プロモーターがH3K27acを有するヌクレオソームを含むことを観察した。さらに、転写された遺伝子は、H3K79me2を有するヌクレオソームを含む。ChIP−MSを実施して、特定のヒストン修飾に関連するクロマチン調節因子タンパク質を特定することができる。ある特定の修飾されたヒストンに特異的な抗体を有するChIP−seqを使用して、シグナル伝達分子によって結合されたゲノムの領域を特定することもできる。いくつかの実施形態では、クロマチン修飾酵素またはタンパク質を使用するかまたは標的として、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更または明確化することができる。

0099

調節配列領域に由来するRNA
タンパク質コード遺伝子のエンハンサー、シグナル伝達中心、及びプロモーターからの領域などの多くの活性調節配列領域(RSR)は、非コードRNAを産生することが知られている。活性調節配列領域またはその近位で産生される転写物は、付近の遺伝子の転写調節において実装されている。最近の報告は、エンハンサー関連RNA(eRNA)は、エンハンサー活性の強力な指標であることを実証した(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Li et al.,Nat Rev Genet.2016 Apr;17(4):207−23を参照)。さらに、活性調節配列領域からの非コードRNAは、これらの領域への転写因子の結合を促進することに関与することが示されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Sigova et al.,Science.2015 Nov 20;350(6263):978−81)。これは、そのようなRNAが、シグナル伝達中心のアセンブリ及び近傍遺伝子の調節に重要であり得ることを示唆している。いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の調節配列領域に由来するRNAを使用するかまたは標的として、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更または明確化することができる。

0100

いくつかの実施形態では、調節配列領域に由来するRNAは、エンハンサー関連RNA(eRNA)であり得る。いくつかの実施形態では、調節配列領域に由来するRNAは、プロモーター関連RNAであり得、プロモーター上流転写(PROMPT)、プロモーター関連長RNA(PALR)、及びプロモーター関連小RNA(PASR)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、調節配列領域に由来するRNAとしては、転写開始部位TSS)関連RNA(TSSa−RNA)、転写開始RNA(tiRNA)、及びターミネーター関連小RNA(TASR)が挙げられるが、これらに限定されない。

0101

いくつかの実施形態では、調節配列領域に由来するRNAは、長い非コードRNA(lncRNA)(すなわち、>200ヌクレオチド)であり得る。いくつかの実施形態では、調節配列領域に由来するRNAは、中間非コードRNA(すなわち、約50〜200ヌクレオチド)であり得る。いくつかの実施形態では、調節配列領域に由来するRNAは、短い非コードRNA(すなわち、約20〜50ヌクレオチド)であり得る。

0102

いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及び化合物によって調整され得るeRNAは、以下の特徴のうちの1つ以上を特徴とし得る。(1)ヒストン3のリジン4上の高レベルモノメチル化(H3K4me1)及びヒストン3のリジン4上の低レベルトリメチル化(H3K4me3)を有する領域から転写される、(2)ヒストン3のリジン27上の高レベルのアセチル化(H3K27ac)を有するゲノム領域から転写される、(3)ヒストン3のリジン36上の低レベルのトリメチル化(H3K36me3)を有するゲノム領域から転写される、(4)RNAポリメラーゼII(Pol II)について富化されたゲノム領域から転写される、(5)p300共活性化因子などの転写共調節因子について富化されたゲノム領域から転写される、(6)低密度CpG島を有するゲノム領域から転写される、(7)それらの転写がPol II結合部位から開始され、二方向に伸長される、(8)eRNAをエンコードする進化的に保存されたDNA配列、(9)短い半減期、(10)低減レベルスプライシング及びポリアデニル化、(11)シグナル伝達時に動的に調節される、(12)mRNA発現付近のレベルに正に相関する、(13)極めて高い組織特異性、(14)選好的に核及びクロマチン結合される、及び/または(15)エキソソームによって分解される。

0103

例示的なeRNAとしては、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Djebali et al.,Nature.2012 Sep 6;489(7414)(例えば、図5aの補足データファイル)及びAndersson et al.,Nature.2014 Mar 27;507(7493):455−461(例えば、補足表S3、S12、S13、S15、及び16)に記載されるものが挙げられる。

0104

いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法または化合物によって調整され得るプロモーター関連RNAは、以下の特徴のうちの1つ以上を特徴とし得る。(1)高レベルのH3K4me1及び低〜中レベルのH3K4me3を有する領域から転写される、(2)高レベルのH3K27acを有するゲノム領域から転写される、(3)H3K36me3を有しないか、または低レベルのH3K36me3を有するゲノム領域から転写される、(4)RNAポリメラーゼII(Pol II)について富化されたゲノム領域から転写される、(5)高密度のCpG島を有するゲノム領域から転写される、(6)それらの転写は、Pol II結合部位から開始され、センス鎖(すなわち、mRNA)から反対方向または二方向に伸長される、(7)短い半減期、(8)低減レベルのスプライシング及びポリアデニル化、(9)選好的に核結合及びクロマチン結合される、及び/または(10)エキソソームによって分解される。

0105

いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物及び方法を使用して、調節配列領域に由来するRNAを調整し、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更または明確化することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法及び化合物を使用して、調節配列領域に由来するRNAの産生及び/または機能を阻害することができる。いくつかの実施形態では、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのハイブリダイジングオリゴヌクレオチドを使用して、RNA干渉(RNAi)もしくはRNaseH媒介性切断を介して関心対象のRNAの活性を阻害するか、またはRNAへの様々なシグナル伝達分子の結合を物理的にブロックすることができる。例示的なハイブリダイジングオリゴヌクレオチドとしては、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,518,261号及びPCT公開第WO2014/040742号に記載されるものを挙げることができる。ハイブリダイジングオリゴヌクレオチドは、化学的に修飾されたまたは未修飾のRNA、DNA、ロックド核酸(LNA)、またはRNA及びDNAの組み合わせ、ハイブリダイジングオリゴヌクレオチドをエンコードする核酸ベクター、またはそのようなベクターを担持するウイルスとして提供され得る。他の実施形態では、CRISPR/Cas9などのゲノム編集ツールを使用して、RNAの転写を制御するか、またはRNA自体を分解する調節配列領域中の特定のDNAエレメントを削除することができる。他の実施形態では、触媒的に不活性なCRISPR/Cas9などのゲノム編集ツールを使用して、調節配列領域中の特定のエレメントに結合し、関心対象のRNAの転写をブロックすることができる。さらなる実施形態では、ブロモドメイン及び末端外ドメイン(BET)阻害剤(例えば、JQ1、I−BET)を使用して、BETタンパク質Brd4によるヒストンアセチル化の阻害を通してRNA転写を低減することができる。

0106

代替実施形態では、本明細書に記載される方法及び化合物を使用して、調節配列領域に由来するRNAの産生及び/または機能を増加することができる。いくつかの実施形態では、関心対象のRNAを模倣する外因性合成RNAは、細胞に導入され得る。合成RNAは、RNA、RNAをエンコードする核酸ベクター、またはそのようなベクターを担持するウイルスとして提供され得る。他の実施形態では、CRISPR/Cas9などのゲノム編集ツールを使用して、外因性合成RNAを調節配列領域中の特定部位つなぐことができる。そのようなRNAを、CRISPR/Cas9複合体のガイドRNAに融合することができる。

0107

いくつかの実施形態では、調節配列領域に由来するRNAの調整は、PNPLA3遺伝子の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、調節配列領域に由来するRNAの調整は、PNPLA3遺伝子の発現を低減する。

0108

いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物によって調整されるRNAとしては、肝臓細胞(例えば、肝細胞または星細胞)中のPNPLA3の調節配列領域に由来するRNAが挙げられる。

0109

ゲノム系の摂動
本明細書に記載されるPNPLA3に関連した遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)、ゲノムシグナル伝達中心(GSC)、及び/または絶縁近傍(IN)の1つ以上の構成成分の挙動は、そのような特徴を含む系を摂動刺激と接触させることによって変更され得る。潜在的刺激としては、小分子、抗体、タンパク質、ペプチド、脂質、脂肪、核酸等の外因性生体分子、または放射線、pH、温度、イオン強度、音、光等の環境刺激を挙げることができる。

0110

本発明は、より良く定義された遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)の明確化だけでなく、結果として生物系に関するより良い理解のための発見ツールとして役立つ。本発明は、潜在的な治療成果演繹的予測、PNPLA3関連疾患または病態の治療、毒性、不良な半減期、不良な生物学的利用能、有効性または薬物動態的もしくは薬力学的リスクの欠失または喪失などの新たな薬物または既知の薬物に関連する1つ以上の治療負債の低減または除去において実装されたことがない新規の化合物または標的の特定を可能にする方法で、遺伝子レベルでPNPLA3の遺伝子シグナル伝達を適切に定義する能力を可能にする。

0111

正準細胞シグナル伝達経路の遺伝子発現を変更することによる疾患の治療は、有効であることが示されている。遺伝子発現の小さな変化でさえ、疾患に対して大きな影響を有し得る。例えば、細胞死抑制に影響を及ぼすシグナル伝達経路につながるシグナル伝達中心の変化が疾患に関連している。本発明は、GSNの結合性のより決定的なセットを明確化することによって、遺伝性疾患を含む疾患に対処するための微調整された機構を提供する。疾患を治療する方法は、その疾患に関連する遺伝子に関与するシグナル伝達中心を修飾することを含み得る。そのような遺伝子は、本明細書に記載される方法を使用して明確化されることを除いて、現在は疾患に関連していない場合がある。

0112

摂動刺激は、小分子、既知の薬物、生物学的刺激ワクチン薬草調製物、ハイブリダイジングオリゴヌクレオチド(例えば、siRNA及びアンチセンスオリゴヌクレオチド)、遺伝子もしくは細胞療法製品、または他の治療製品であり得る。

0113

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、摂動刺激を印加して、PNPLA3遺伝子に関連するGSN、ゲノムシグナル伝達中心、及び/または絶縁近傍を摂動させることを含む、PNPLA3発現の変化を引き起こす摂動刺激は、関連したGSNの結合性を通知し、PNPLA3関連障害に対する潜在的な標的及び/または治療を提供することができる。

0114

下流標的
ある特定の実施形態では、遺伝子シグナル伝達ネットワークの遺伝子の下流産生物を標的とする刺激が投与される。代替として、刺激は、少なくとも1つの下流標的の下流発現に影響を及ぼす遺伝子シグナル伝達ネットワークを崩壊させる。いくつかの実施形態では、遺伝子は、PNPLA3である。

0115

mRNA
単一の絶縁近傍に関連する、または複数の絶縁近傍にわたる単一または複数の遺伝子シグナル伝達ネットワークの摂動は、コヒーシンを含むアンカー部位の喪失に起因して、絶縁近傍の境界を変更することによって単一の遺伝子または複数の遺伝子セットの転写に影響を及ぼし得る。具体的に、GSCの摂動はまた、単一の遺伝子または複数の遺伝子セットの転写に影響を及ぼし得る。摂動刺激は、RNA発現及び/またはmRNA内の一次転写物中の配列、すなわち、エクソンもしくはスプライシングによって除去されるエクソン、すなわちイントロン間のRNA配列の修飾をもたらし得る。結果として、そのような変化は、遺伝子の遺伝子シグナル伝達ネットワーク内のシグナル伝達分子のセットのメンバーを変更することができ、それによって遺伝子シグナル伝達ネットワークの変異体を定義する。

0116

タンパク質
単一の絶縁近傍に関連する、または複数の絶縁近傍にわたる単一または複数の遺伝子シグナル伝達ネットワークの摂動は、単一の遺伝子またはゲノムシグナル伝達中心の一部である複数の遺伝子セット、ならびにゲノムシグナル伝達中心の下流にあるものの翻訳に影響を及ぼし得る。具体的に、ゲノムシグナル伝達中心の摂動は、翻訳に影響を及ぼし得る。摂動は、翻訳されたタンパク質の阻害をもたらし得る。

0117

最近傍遺伝子
摂動刺激は、一次近傍遺伝子の上流または下流に位置し得る一次最近傍遺伝子の発現を変更するために、シグナル伝達分子との相互作用を引き起こし得る。近傍遺伝子は、染色体に沿って任意の数の上流または下流遺伝子を有し得る。任意の絶縁近傍内に、一次近傍遺伝子に対する1つ以上、例えば、1、2、3、4またはそれ以上の上流及び/または下流近傍遺伝子が存在し得る。「一次近傍遺伝子」は、染色体に沿った特定の絶縁近傍内で最も一般に見出される遺伝子である。一次近傍遺伝子の上流近傍遺伝子は、一次近傍遺伝子と同じ絶縁近傍内に位置し得る。一次近傍遺伝子の下流近傍遺伝子は、一次近傍遺伝子と同じ絶縁近傍内に位置し得る。

0118

正準細胞シグナル伝達経路
当該技術分野において詳述される正準経路と本明細書に定義される遺伝子シグナル伝達ネットワーク(GSN)との間にいくらかの重複が存在し得ることが理解される。

0119

正準経路は、経路をわたってある程度のメンバーの混乱クロストーク)を許容するが、本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークの(GSN)は、遺伝子レベルにおいて定義され、その遺伝子を発現する細胞、組織、臓器、または臓器系の任意の数の刺激または摂動に基づいて特徴付けられる。したがって、GSNの性質は、構造的(例えば、遺伝子)かつ状況的(例えば、機能、例えば、発現プロファイル)に定義される。また2つの異なる遺伝子シグナル伝達ネットワークは、メンバーを共有し得るが、依然として摂動の性質がそれらを区別し得ることにおいて固有である。したがって、治療的研究及び開発を支持する生物系の機能の明確化におけるGSNの価値。

0120

正準経路と遺伝子シグナル伝達ネットワークとの間の関連付けが、これまで行われたことがないことを意図しないことを理解すべきであり、実際に、反対も同様である。さらなる化学的洞察のための2つのシグナル伝達パラダイムをつなげるために、正準シグナル伝達経路パラダイムを本発明の遺伝子シグナル伝達ネットワークと比較することは有益となるであろう。

0121

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、転写(STAT)経路のヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達因子及び活性化因子を変更することを伴う。JAK/STAT経路は、多様なサイトカイン及び増殖因子の主要なメディエーターである。サイトカインは、免疫反応を調整する調節分子である。JAKは、通常はサイトカイン受容体などの細胞表面受容体と関連付けられる細胞内の非受容体チロシンキナーゼファミリーである。哺乳動物は、4つのJAK:JAK1、JAK2、JAK3、及びチロシンキナーゼ2(TYK2)を有することが知られている。細胞表面におけるサイトカインまたは増殖因子の、それぞれの受容体への結合は、JAKのトランスリン酸化を開始し、それが下流STATを活性化する。STATは、活性化されるまで細胞質中に常駐する潜伏性転写因子である。7つの哺乳類STAT:STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5(STAT5A及びSTAT5B)、ならびにSTAT6が存在する。活性化されたSTATは核に転位し、ここでそれらが他の核タンパク質複合体化し、特定の配列に結合して標的遺伝子の発現を調節する。したがって、JAK/STAT経路は、細胞外シグナル転写反応に翻訳する直接機序を提供する。JAK/STAT経路によって調節される標的遺伝子は、免疫性増幅分化アポトーシス及び発がんに関与する。JAKの活性化はまた、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)及びマイトジェン活性タンパク質キナーゼMAPK)経路を活性化することもできる。

0122

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、p53媒介性アポトーシス経路を変更することを含む。腫瘍タンパク質p53は、細胞周期を調節し、したがってがんを予防するための腫瘍抑制因子として機能する。p53は、DNA修復タンパク質活性化し、細胞周期を保持することにより細胞増殖を停止し、アポトーシスを開始することによって、アポトーシス、血管新生の阻害及びゲノム安定性において重要な役割を果たす。p53は、DNA損傷浸透圧ショック酸化ストレス、または他の無数ストレッサーに反応して活性化される。活性化p53は、p21を含むDNAに結合することによって、いくつかの遺伝子の発現を活性化する。p21は、G1/S移行のための重要な分子である、G1−S/CDK複合体に結合し、次いで細胞周期の停止を引き起こす。p53は、2つの主要なアポトーシス経路:外部経路及び内部経路を通してアポトーシスを促進する。外部経路は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーに属する特定の細胞表面死受容体の活性化を伴い、死誘導シグナル伝達複合体(DISC)の形成を通して、カスパーゼ8及びカスパーゼ3を含むカスパーゼの活性化のカスケードにつながり、順にアポトーシスを誘導する。内部経路では、p53は、Bcl−2ファミリー(例えば、Bcl−2、Bcl−xL)のマルチドメインメンバーに関与し、それと相互作用して、ミトコンドリア外膜透過を誘導する。

0123

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)/Aktシグナル伝達経路を変更することを含む。PI3K/Aktシグナル伝達経路は、代謝、増殖、増幅、生存、転写及びタンパク質合成を含む様々な細胞機能を調節することにおいて重要な役割を果たす。シグナル伝達カスケードは、受容体チロシンキナーゼインテグリン、B及びT細胞受容体、サイトカイン受容体、G−タンパク質共役受容体、ならびにPI3Kによるホスファチジルイノシトール(3,4,5)トリスリン酸塩(PIP3)の産生を誘導する他の刺激によって活性化される。セリントレオニンキナーゼAkt(タンパク質キナーゼBまたはPKBとしても知られる)は、これらのリン脂質と相互作用し、内膜へのその転位を引き起こし、ここでそれはリン酸化され、ピルビン酸ジヒドロゲナーゼキナーゼPDK1及びPDK2によって活性化される。活性化されたAktは、細胞生存、細胞周期進行及び細胞増殖の調節に関与する多くの基質の機能を調整する。

0124

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)依存性シグナル伝達経路を変更することを含む。Sykは、マクロファージを含む様々な炎症細胞に関連するタンパク質チロシンキナーゼである。Sykは、Fc受容体及びB細胞受容体(BCR)を活性化するシグナル伝達において重要な役割を果たす。IgGI、IIA、及びIIIAのFc受容体がそれらのリガンドに結合する場合、受容体複合体は活性化され、免疫受容体活性化モチーフ(ITAM)のリン酸化をトリガする。これは、様々な遺伝子を活性化し、これが単球マクロファージ系統の細胞中で食作用を媒介する細胞骨格再配置につながる。Sykは、Fc受容体媒介性シグナル伝達及び炎症伝播において重要な役割を果たすため、関節リウマチ及びリンパ腫などの様々な自己免疫病態の阻害のための良い標的であると考慮される。

0125

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、インスリン様増殖因子1受容体(IGF−1R)/インスリン受容体(InsR)シグナル伝達経路を変更することを含む。インスリン様増殖因子(IGF−1)は、細胞代謝、増幅、分化、及びアポトーシスなどの多くの生物学的過程を制御する。これらの効果は、それらの受容体IGF−1Rに本質的なチロシンキナーゼ活性リガンド活性化を通して媒介される。InsR基質1及び2(IRS1及びIRS2)は、重要なシグナル伝達中間物であり、それらの既知の下流エフェクターは、PI3K/AKT及びMAPK/ERK1である。シグナル伝達の結果は、一時的な転写反応をもたらし、細胞増幅及び生存を含む広範囲の生物学的過程につながる。

0126

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、Fms様チロシンキナーゼ−3(FLT3)シグナル伝達経路を変更することを含む。FLK2(胎児肝臓キナーゼ−2)及びSTK1(ヒト肝細胞キナーゼ1)としても知られるFLT3は、受容体チロシンキナーゼクラスIIIに属するサイトカイン受容体である。多くの造血性前駆細胞の表面上に発現される。FLT3のシグナル伝達は、造血性肝細胞及び前駆細胞の正常な発達に重要である。FLT3へのFLT3リガンドの結合は、PI3K及びRAS経路をトリガし、増加した細胞増殖及びアポトーシスの阻害につながる。

0127

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、Hippoシグナル伝達経路を変更することを含む。Hippoシグナル伝達経路は、組織再生、肝細胞自己更新及び臓器サイズ制御において重要な役割を果たす。細胞増幅及びアポトーシスの調節を通して、動物における臓器サイズを制御する。哺乳類無菌20様キナーゼ(MST1及びMST2)は、Hippoシグナル伝達経路の重要な構成成分である。

0128

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)経路を変更することを含む。mTOR経路は、細胞代謝、増殖、増幅及び生存の中心的調節因子である。mTORは、2つの別個の複合体:mTOR複合体1(mTORC1)及びmTORC2中に存在する非典型的なセリン/トレオニンキナーゼである。mTORC1は、栄養素エネルギー酸化還元センサーとして機能し、タンパク質合成を制御する。増殖因子、エネルギーレベル細胞ストレス、及びアミノ酸を含む多様な栄養要因及び環境要因感知し、統合する。mTORC2は、アクチン細胞骨格の重要な調節因子として機能することが示されている。加えて、mTORC2はまた、IGF−IR及びInsRの活性化にも関与する。異常なmTORシグナル伝達は、がん、心血管疾患、及び糖尿病を含む多くのヒト疾患につながっている。

0129

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ(GSK3)経路を変更することを含む。GSK3は、グリコーゲン代謝、遺伝子転写、タンパク質翻訳、細胞増幅、アポトーシス、免疫反応、及び微小管安定性を含む多くの細胞機能に関与する、構成的に活性であり、高度に保存されたセリン/トレオニンタンパク質キナーゼである。GSK3は、WNT、増殖因子、インスリン、Reelin、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、ヘッジホッグ経路、及びG−タンパク質共役受容体(GPCR)への細胞反応を含む、様々なシグナル伝達経路に関与する。GSK3は、主に細胞質中に局在するが、その細胞内局在は、刺激に反応して変化する。

0130

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、形質転換増殖因子−β(TGF−β)/SMADシグナル伝達経路を変更することを含む。TGF−β/SMADシグナル伝達経路は、細胞増殖、細胞分化、アポトーシス、細胞ホメオスタシス及び他の細胞機能を含む、成体生物及び発達中のの両方における多くの生物学的過程に関与する。TGF−βスーパーファミリーリガンドとしては、骨形成タンパク質(BMP)、増殖及び分化因子(GDF)、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、アクチビンノーダル及びTGF−βが挙げられる。それらは、複数の細胞内経路を活性化する特定の受容体を介して作用し、一般的なメディエーターSMAD4に関連する受容体調節SMADタンパク質のリン酸化をもたらす。そのような複合体は、核に転位し、DNAに結合し、多くの遺伝子の転写を調節する。BMPは、骨形成ニューロン形成、及び腹側中胚葉の特定に関与するmRNAの転写を引き起こし得る。TGF−βは、アポトーシス、細胞外マトリクス新生及び免疫抑制に関与するmRNAの転写を引き起こし得る。それはまた、細胞周期におけるG1停止に関与する。アクチビンは、性腺増殖、胚分化及び胎盤形成に関与するmRNAの転写を引き起こし得る。ノーダルは、左軸及び右軸の特定、中胚葉及び内胚葉誘導に関与するmRNAの転写を引き起こし得る。TGF−βスーパーファミリーメンバーの役割は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Wakefield et al.,Nature Reviews Cancer 13(5):328−41においてレビューされている。

0131

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、核因子−κB(NF−κB)シグナル伝達経路を変更することを含む。NF−κBは、全ての細胞型において見出される転写因子であり、ストレス及びサイトカインなどの刺激に対する細胞反応に関与する。NF−κBシグナル伝達は、炎症、先天性及び適応性免疫反応及びストレスにおいて重要な役割を果たす。刺激されていない細胞では、NF−κB二量体は、κBの阻害剤(IκB)と呼ばれるタンパク質複合体によって細胞質中で不活的に隔離される。NF−κBの活性化は、IκBキナーゼ(IKK)によるそのリン酸化によって開始される過程である、IκBの分解を介して起こる。これは、活性なNF−κB転写因子サブユニットが、核に転位し、標的遺伝子発現を誘導するのを可能にする。NF−κB活性化は、IκBα遺伝子の発現をオンにして、負のフィードバックループを形成する。NF−κBシグナル伝達の脱調節は、炎症及び自己免疫疾患及びがんにつながり得る。炎症におけるNF−κB経路の役割は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Lawrence,Cold Spring Harb Perspect Biol.2009;1(6):a001651においてレビューされている。

0132

II.パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3(PNPLA3)遺伝子の特徴及び特性
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3(PNPLA3)遺伝子の発現を調整することを含む。PNPLA3はまた、アディヌトリンカルシウム非依存性ホスホリパーゼA2−ε、アシルグリセロールO−アシルトランスフェラーゼ、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有タンパク質3、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有3、クロモソーム22オープンリーディングフレーム20、IPLA(2)ε、IPLA2ε、IPLA2−ε、C22orf20、ADPN、EC2.7.7.56、EC4.2.3.4、EC3.1.1.3、及びEC2.3.1.と称され得る。PNPLA3は、22q13.31の細胞遺伝的位置を有し、ゲノム配座は、位置43,923,739−43,964,488における順鎖上の染色体22上にある。PNPLA5(ENSG00000100341)は、順鎖上のPNPLA3の上流にある遺伝子であり、SAMM50(ENSG00000100347)は、順鎖上のPNPLA3の下流にある遺伝子である。PNPLA3は、NCBI遺伝子ID80339、Uniprot ID Q9NST1及びEnsembl遺伝子ID ENSG00000100344を有する。PNPLA3のヌクレオチド配列は、配列番号1に示される。

0133

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、PNPLA3遺伝子を含有する絶縁近傍の組成物及び/または構造を変更することを含む。本発明は、一次ヒト肝細胞中のPNPLA3遺伝子を含む絶縁近傍を特定した。PNPLA3遺伝子を含む絶縁近傍は、位置43,782,676〜45,023,137における染色体22上にあり、およそ1,240kbのサイズを有する。絶縁近傍内のシグナル伝達中心の数は、12である。絶縁近傍は、PNPLA3及び7つの他の遺伝子、つまりMPPED1、EFCAB6、SULT4A1、PNPLA5、SAMM50、PARVB、及びPARVGを含む。絶縁近傍で特定されるクロマチンマークまたはクロマチン関連タンパク質としては、H3k27ac、BRD4、p300、H3K4me1及びH3K4me3が挙げられる。絶縁近傍に関与する転写因子としては、HNF3b、HNF4a、HNF4、HNF6、Myc、ONECUT2及びYY1が挙げられる。絶縁近傍に関与するシグナル伝達タンパク質としては、TCF4、HIF1a、HNF1、ERa、GR、JUN、RXR、STAT3、VDR、NF−κB、SMAD2/3、STAT1、TEAD1、p53、SMAD4、及びFOSが挙げられる。これらのシグナル伝達中心及び/またはシグナル伝達分子の任意の構成成分、または絶縁近傍内もしくはその付近の任意の領域は、絶縁近傍の組成物及び/または構造を変えるように標的または変更され得、それによってPNPLA3の発現を調整する。

0134

PNPLA3は、脂肪滴関連の炭水化物調節された脂質生成及び/または脂質分解酵素をエンコードする。PNPLA3は、主に肝臓(肝細胞及び肝星細胞)ならびに脂肪組織中で発現される。肝星細胞(HSC、類洞周囲細胞またはIto細胞とも呼ばれる)は、肝臓中の肝細胞と小血管との間に常駐する収縮細胞である。HSCは、肝線維症の過程において主要なマトリクス産生細胞として特定された。PNPLA3は、グリセロリン脂質生合成トリアシルグリセロール生合成、脂肪生成、及びエイコサノイド合成などの様々な代謝経路に関与することが知られている。

0135

PNPLA3の変化は、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝疾患、アルコール性肝硬変、アルコール性脂肪肝、肝臓癌、脂質蓄積疾患、肥満及び他の遺伝性代謝障害などの代謝障害に関連する。これらの障害のうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載される組成物及び方法を使用して治療され得る。

0136

残基148におけるイソロイシンからメチオニンへの置換(I148M)をエンコードする、PNPLA3の多型変異rs738409c/Gは、NAFLD、脂肪肝、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、ならびにその病態生物学的後遺症の線維症、硬変、及び肝細胞癌と関連付けられている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Krawczyk M et al.,Semin Liver Dis.2013 Nov;33(4):369−79)。研究は、変更されたタンパク質が、肝臓中の脂肪の産生の増加及び分解の減少につながることを示唆している。PNPLA3 I148Mは、脂肪滴からのトリグリセリドの解放を損なうことによって脂肪肝を強化する(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Trepo E et al.,J Hepatol.2016 Aug;65(2):399−412)。最近のデータはまた、PNPLA3 I148Mタンパク質が、分解を回避し、脂肪滴上に蓄積することを示唆している(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、BasuRay et al.,Hepatology.2017 Oct;66(4):1111−1124)。I148M変異体は、成人及び子供の両方においてNAFLDに関連するが、男性ではなく女性において優勢である。NAFLDの発達及び進行におけるPNPLA3 I148M変異体の特定の機構は、以前として不明である。しかしながら、PNPLA3 I148M変異体が、ヘッジホッグシグナル伝達経路を活性化することによって、線維化の発達を促進することができ、これが順に、肝星細胞の活性化及び増幅、ならびに肝臓内細胞外マトリクスの過剰な生成及び堆積につながると考えられる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Chen LZ,et al.,World J Gastroenterol.2015 Jan 21;21(3):794−802)。

0137

I148M変異体はまた、アルコール性肝疾患及び臨床的に明らかなアルコール性硬変と相関している(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Tian et al.,Nature Genetics 42,21−23(2010))。さらに、それはアルコール性硬変を有する患者における肝細胞癌の顕著なリスク因子として特定されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Nischalke et al.,PLoS One.2011;6(11):e27087)。

0138

I148M変異体はまた、インスリン分泌レベル及び肥満に影響を及ぼす。肥満対象において、ボディマス指数及び胴囲は、変異体対立遺伝子キャリアにおいてより高い(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、JohanssonLEet al.,Eur J Endocrinol.2008 Nov;159(5):577−83)。I148Mキャリアは、経口耐糖能試験に反応して、減少したインスリン分泌を示す。I148M対立遺伝子キャリアは、より低いボディマス指数でよりインスリン耐性であると思われる。

0139

突然変異型PNPLA3タンパク質は、伝統的な抗体または小分子アプローチによってアクセス可能ではなく、肝細胞及び星細胞にわたるその発現は、オリゴモダリティに対する重要な送達課題につながる。本発明は、突然変異体PNPLA3の発現レベルを変更することによって、PNPLA3を標的とするための新規の治療オプションを提供する。

0140

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、コラーゲンI型アルファ1鎖(COL1A1)遺伝子の発現を調整することを含む。COL1A1は、I群コラーゲン(原線維形成コラーゲン)のメンバーである。損傷した肝臓中の肝星細胞(HSC)の活性化は、コラーゲン(COL1A1など)の分泌及び瘢痕組織の形成につながり、これが慢性線維症または硬変の一因となる。PNPLA3の発現は、活性化の初期相中に増加し、完全に活性化されたHSC中で上昇したままである。新興の証拠は、PNPLA3が、HSC活性化に関与し、その遺伝子変異体I148Mが、増加した炎症促進サイトカイン分泌などの線維化促進特徴を増強することを示唆している。PNPLA3の低減は、COL1A1レベルを含むHSC中の線維性表現型に影響を及ぼすことが報告されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Bruschi et al.,Hepatology.2017;65(6):1875−1890)。

0141

いくつかの実施形態では、本発明の方法は、パタチン様ホスホリパーゼドメイン含有タンパク質5(PNPLA5)遺伝子の発現を調整することを含む。GS2様タンパク質としても知られるPNPLA5は、パタチン様ホスホリパーゼファミリーのメンバーである。本発明の方法の発明者は、PNPLA5が、一次肝細胞中のPNPLA3と同じ絶縁近傍に位置し、PNPLA3と同様の化合物処理に反応することを発見した。実際に、PNPLA3は、マウスにおけるPNPLA5と同様に定量的に発現され、調節されることを報告した(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Lake et al.,J Lipid Res.2005;46(11):2477−87)。Lakeらはまた、PNPLA3発現が、絶食条件及び給餌条件の両方でC57BI/6Jマウスの肝臓中で検出不可能であったが、ob/obマウスの肝臓中で強力に誘導されたことを観察し、肝脂質生成における役割を示唆した。

0142

III.本発明の組成物及び方法
本発明は、PNPLA3の発現を調整して1つ以上のPNPLA3関連障害を治療するための組成物及び方法を提供する。本明細書に記載される組成物及び方法のうちのいずれか1つを使用して、対象におけるPNPLA3関連障害を治療することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物及び方法の組み合わせを使用して、PNPLA3関連障害を治療することができる。

0143

本明細書で使用される場合、「PNPLA3関連障害」という用語は、PNPLA3遺伝子の発現及び/またはPNPLA3遺伝子産生物(例えば、mRNA、タンパク質)の機能に関連する任意の障害、疾患、または状態を指す。そのような障害としては、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝、アルコール性肝疾患(ALD)、アルコール性肝硬変、アルコール性脂肪肝、肝臓癌、脂質蓄積疾患、肥満、及び他の遺伝性代謝障害が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害は、NAFLDである。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害は、NASHである。いくつかの実施形態では、PNPLA3関連障害は、アルコール性肝疾患を含むALDである。

0144

「対象」及び「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、本発明による組成物での治療が提供される動物を指す。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。

0145

いくつかの実施形態では、対象または患者は、PNPLA3関連障害、例えば、NAFLD、NASH、及び/またはALDが診断され得るか、またはその症状を有し得る。他の実施形態では、対象または患者は、PNPLA3関連障害、例えば、NAFLD、NASH、及び/またはALDにかかりやすい場合がある。対象または患者は、PNPLA3の発現の脱調節及び/またはPNPLA3タンパク質の異常な機能を有し得る。対象または患者は、PNPLA3遺伝子内または付近に突然変異を担持し得る。いくつかの実施形態では、対象または患者は、PNPLA3遺伝子中の突然変異I148Mを担持し得る。対象または患者は、PNPLA3遺伝子の1つまたは2つのI148M対立遺伝子を担持する。

0146

いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法を使用して、細胞または対象におけるPNPLA3遺伝子の発現を減少させることができる。遺伝子発現の変化は、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載される様々な技法、例えばRNA−seq、qRT−PCR、ウェスタンブロット、または酵素結合免疫吸着アッセイELISA)によってRNAレベルまたはタンパク質レベルで評価され得る。遺伝子発現の変化は、治療した細胞または対象におけるPNPLA3発現のレベルを、未治療または対照の細胞または対象における発現のレベルと比較することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、約25%〜約50%、約40%〜約60%、約50%〜約70%、約60%〜約80%、80%超、またはさらには90%、95%、もしくは99%超のPNPLA3遺伝子の発現の低減を引き起こす。

0147

いくつかの実施形態では、本発明の組成物及び方法によって誘導されるPNPLA3発現の低減は、NAFLD、NASH、及び/またはALDの少なくとも1つ以上の徴候または症状を予防または緩和するのに十分であり得る。

0148

小分子
いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子発現を調整するために使用される化合物は、小分子を含み得る。本明細書で使用される場合、「小分子」という用語は、5000ダルトン以下の分子量を有する任意の分子を指す。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される少なくとも1つの小分子化合物をゲノム系に適用して、絶縁近傍の境界を変更する、及び/またはシグナル伝達中心を崩壊させ、それによってPNPLA3の発現を調整する。

0149

小分子スクリーニングを実施して、絶縁近傍のシグナル伝達中心を通して作用する小分子を特定して、疾患遺伝子の選択群の発現を調整し得る遺伝子シグナル伝達ネットワークを変更することができる。例えば、既知のシグナル伝達アゴニストアンタゴニストが投与され得る。信用できるヒットは、シグナル伝達中心を通して作用し、標的遺伝子PNPLA3の発現を調整することが知られている小分子によって特定され、検証される。

0150

いくつかの実施形態では、PNPLA3発現を調整することができる小分子化合物としては、アムバチニブ、BMS−754807、BMS−986094、LY294002、モメロチニブ、パクリチニブ、ピフィスリン−μ、R788、WYE−125132、XMU−MP−1、またはその誘導体もしくは類似体が挙げられるが、これらに限定されない。そのような化合物のうちのいずれか1つ以上を対象に投与して、PNPLA3関連障害、例えば、NAFLD、NASH、及び/またはALDを治療することができる。

0151

アムバチニブ
いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の発現を調整することができる化合物は、アムバチニブ、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。MP−470またはHPK56としても知られているアムバチニブは、潜在的な抗新生物活性を有する経口で生物学的に利用可能な合成カルボチオアミドである。CAS番号850879−09−3及びPubChem化合物ID11282283を有する。アムバチニブの構造を以下に示す。

0152

アムバチニブは、それぞれ10nM、40nM、及び81nMのIC50を有する幹細胞増殖因子受容体(SCFRまたはc−Kit)、血小板由来増殖因子受容体α(PDGFRα)、及びFLT3の強力な多標的阻害剤である。アムバチニブはまた、多くの場合がんに関連するc−Kit、PDGFRα、及びFLT3の臨床的突然変異体形態を阻害する。機械的に、アムバチニブは、そのATP結合ドメインを占有することによってチロシンキナーゼ受容体c−Kitを阻害し、DNA修復タンパク質Rad51の抑制ならびにDNA損傷誘導剤と組み合わせた相乗効果を通してDNA修復を崩壊させる。アムバチニブは、GIST−48ヒト細胞株などのいくつかのヒトがん細胞株に対する抗腫瘍活性を呈する。

0153

アムバチニブは、現在、固形腫瘍を治療するための単剤としてまたは化学療法と組み合わせて、第1/2相臨床治験中である。

0154

BMS−754807
いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の発現を調整することができる化合物は、BMS−754807、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。BMS−754807は、インスリン様増殖因子1受容体(IGF−1R)/インスリン受容体(InsR)ファミリーキナーゼの可逆的な経口的に利用可能な二重阻害剤である。CAS番号001350−96−4及びPubChem化合物ID329774351を有する。BMS−754807の構造を以下に示す。

0155

BMS−754807は、それぞれ1.8nM及び1.7nMのIC50を有するIGF−1R及びInsRを阻害する。一連の他のチロシン及びセリン/トレオニンキナーゼに対して最小効果を有する(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Wittman et al.,Journal of Medicinal Chemistry 52,7630−7363(2009))。BMS−754807は、IGF−1Rの触媒ドメインを制限することによって、IGF−1Rの可逆的ATP競合アンタゴニストとして作用する。BMS−754807は、複数の異種移植片腫瘍モデル(例えば、上皮間葉、及び造血性)における腫瘍増殖を阻害する。BMS−754807を用いた複合研究は、複数のヒト腫瘍細胞型及びマウスモデル上で行ったところ、細胞毒性剤ホルモン剤、及び標的剤と組み合わせたときに、相乗作用(併用係数、<1.0)を示した。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Awasthi et al.,Molecular Cancer Therapeutics 11(12),2644−2653(2012)、Carboni et al.,Mol Cancer Ther.2009 Dec;8(12):3341−9を参照されたい。

0156

BMS−986094
いくつかの実施形態では、PNPLA3遺伝子の発現を調整することができる化合物は、BMS−986094、またはその誘導体もしくは類似体を含み得る。INX−08189、INX−189、またはIDX−189としても知られるBMS−986094は、グアノシンヌクレオチド類似体(2′−C−メチルグアノシン)のプロドラッグである。CAS番号1234490−83−5及びPubChem化合物ID46700744を有する。BMS−986094の構造を以下に示す。

0157

BMS−986094は、もともとInhibitex(2012年にBristol−Myers Squibbによって買収される)によって開発されたRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)阻害剤である。それは、C型肝炎ウイルス感染の治療のための第II相臨床治験中であった。しかしながら、この研究は、予想外心臓及び腎臓有害事象に起因して中止された。

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