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技術 全長T細胞受容体オープンリーディングフレームの迅速な組立ておよび多様化のための二成分ベクターライブラリシステム

出願人 ジェノヴィー エービー
発明者 ジャーヴィス,リーガンマイケルヒル,ライアンエドワードペース,ルークベンジャミン
出願日 2018年7月17日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2020-502407
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-530769
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 核酸・ペプチド類を含むライブラリー技術 微生物による化合物の製造
主要キーワード 部分装置 多重バリア 連結エレメント 列制約 部分システム 選択エレメント 最終組み立て エンジニアリングシステム
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

2つの別々の成分を含む組み合わせたシステムであって、第一成分が、可変および定常(V-C)T細胞受容体(TCR)遺伝子セグメントを有するベクターであり、第二成分が、連結(J)TCR遺伝子セグメントを有するベクターである、組み合わせたシステム。組み合わせたシステムは、前記第一成分が、第一TCR鎖をコードする改変V-Cエントリーベクターであり、システムが、第四および第五成分をさらに含み、第四成分が、二方ターミネータ(BiT)ドナーベクターを含み、第五成分が、前記第一TCR鎖に相補的な第二TCR鎖をコードする改変V-Cエントリーベクターを含むように改変できる。

概要

背景

Tリンパ球(T細胞)による免疫監視機構は、全ての有脊椎動物適応免疫における中心的な機能である。T細胞による免疫監視機構は、T細胞サブタイプ全体にわたる豊富な機能多様性を介して達成され、該T細胞サブタイプは、病原体感染および腫瘍性細胞の排除に貢献し、侵入病原体共生微生物食物分子成分のような共生非自己因子に対する適応免疫応答組織化し、さらには自己免疫寛容を維持する。様々な外来および自己因子に応答するために、T細胞は、これらの外来および自己因子の分子構成成分を特異的に検出できなければならない。よって、T細胞は、個体が遭遇する自己および非自己分子の大きな断面を、病原性生物および病的な自己に対する有効な応答を開始するために十分な特異性を持って、健常な自己に対するそのような応答の開始を回避しながら検出できなければならない。この任務の非常に複雑な性質は、外来および自己の分子の両方の実際的に無限の多様性を考慮した場合に明らかになり、病原性生物は、T細胞による検出を逃れるための進化圧力の下にある。

T細胞受容体(TCR)
T細胞は、T細胞受容体(TCR)の発現により第一に規定される。TCRは、T細胞適応免疫の標的と相互作用しそれを感知する役割を担うT細胞の成分である。一般的に言えば、TCRは、細胞表面上で提示されるヘテロ二量体タンパク質複合体で構成される。2つのTCR鎖のそれぞれは、ともに免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインに属し、逆並行βシートを形成する可変(V)領域と定常(C)領域である2つの細胞外ドメインで構成される。これらは、短い細胞質尾部につながるI型膜貫通ドメインにより細胞膜係留されている。多様な分子構成成分に適応してそれを検出するT細胞の素質は、T細胞発生中に生じるTCR鎖における変動から生じる。この変動は、B細胞における抗体発生に類似の様式で体細胞組換えにより生じる。

TCR鎖多様性
T細胞プールは、いくつかの機能および表現型不均質下位集団からなる。しかし、T細胞は、それらの表面で発現される体性再編成されたTCRの形に従ってαβまたはγδに大きく分類できる。2つのTCR鎖対の形、すなわちTCRアルファ(TRA)およびTCRベータ(TRB)対と、TCRガンマ(TRG)およびTCRデルタ(TRD)対が存在する。TRA:TRB対を発現するT細胞はαβT細胞と呼ばれ、TRG:TRD対を発現するT細胞は、しばしばγδT細胞と呼ばれる。
αβおよびγδ形のTCRはともに多様なリガンドまたは抗原の認識を担い、各T細胞は、T細胞成熟中にαβまたはγδ受容体鎖を新たに生じる。これらの新たなTCR鎖対は、体細胞V(D)J組換えと呼ばれるプロセスにおいて受容体配列多様性を生じることにより認識の多様性を達成した後に、各T細胞は、別個に再編成された単一TCRのコピーを発現する。TRAおよびTRG遺伝子座では、いくつかの分離した可変(V)および機能(J)遺伝子セグメントが組換えのために利用可能であり、定常(C)遺伝子セグメントに並置されるので、VJ組換えと呼ばれる。TRBおよびTRD遺伝子座での組換えは、さらに、多様性(D)遺伝子セグメントを含むので、VDJ組換えと呼ばれる。
組換えられたTCRのそれぞれは、αβT細胞の場合にαおよびβ鎖、またはγδT細胞の場合にγおよびδ鎖により形成されるリガンド結合部位の構造により決定される、ユニークなリガンド特異性の能力を有する。TCRの構造多様性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、それぞれの鎖上の3つの短いヘアピンループに主に限定される。3つのCDRは、受容体鎖対のそれぞれの鎖からもたらされ、これらの6つのCDRループはまとめてTCR細胞外ドメインの膜から遠い末端に存在して、抗原結合部位を形成する。
各TCR鎖における配列多様性は、2つの形態で達成される。第一に、組換えのための遺伝子セグメントの無作為選択は、基本的な配列多様性をもたらす。例えば、TRB組換えは、47のユニークV、2のユニークDおよび13のユニークJ生殖系列遺伝子セグメントの間で起こる。通常、V遺伝子セグメントは、CDR1およびCDR2ループの両方に貢献し、よって生殖系列にコードされている。配列多様性を生じるための第二の形態は、組み換えられるV、(D)およびJ遺伝子セグメントの間の接合部にて鋳型ヌクレオチドの無作為欠失および非鋳型ヌクレオチドの付加により生じる超可変CDR3ループ内で起こる。

TCR:CD3複合体
成熟αβおよびγδTCR鎖対は、ε、γ、δおよびζと呼ばれるいくつかのアクセサリーCD3サブユニット一緒に複合体として細胞表面にて提示される。これらのサブユニットは、αβまたはγδTCRと一緒に3つの二量体(εγ、εδ、ζζ)として会合する。このTCR:CD3複合体は、αβまたはγδTCRと同族抗原との結合の際に細胞シグナル伝達応答を開始するためのユニットを形成する。TCR:CD3複合体として会合したCD3アクセサリーは、免疫受容体活性チロシンモチーフ(ITAM)と呼ばれるシグナル伝達モチーフに貢献する。
CD3ε、CD3γおよびCD3δはそれぞれ、単一のITAMに貢献するが、CD3ζホモ二量体は3つのITAMを含む。TCRとともに組み立てられる3つのCD3二量体(εγ、εδ、ζζ)は、よって、10のITAMに貢献する。同族抗原とのTCRライゲーションの際に、直列型チロシン残基リン酸化は、重要な70kDaのζ鎖関連タンパク質(ζ-chain-associated protein of 70 kDa; ZAP-70)のようなSrcホモロジー2(Scr homology 2; SH2)ドメインを含むタンパク質のための対形成したドッキング部位を創出する。このようなタンパク質の動員は、T細胞活性化および分化を最終的に担うTCR:CD3シグナル伝達複合体の形成を開始する。

αβT細胞
αβT細胞は、通常、ヒトにおいて、対応するγδT細胞よりも豊富に存在する。αβT細胞のほとんどは、細胞表面上でHLA複合体により提示されるペプチド抗原と相互作用する。これらのペプチド-HLA(pHLA)認識T細胞は、最初に記述され、最もよく特徴決定されている。αβT細胞のより稀な形も記述されている。粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞は、比較的限定されたαおよびβ鎖多様性を有するとみられ、タンパク質断片よりもむしろ細菌代謝産物を認識する。インバリアントナチュラルキラーT細胞(invariantnatural killer T-cells; iNK T細胞)および生殖系列によりコードされるミコリル反応性T細胞(germline-encoded mycolyl-reactive T-cells; GEMT細胞)は、非HLA分子により交差提示される糖脂質の認識に限定される。iNK T細胞は、大部分が、CD1dにより提示される糖脂質と相互作用すると考えられるが、GEM T細胞細胞は、CD1bにより提示される糖脂質と相互作用する。さらに別の形のT細胞は、CD1aおよびCD1cの状況において糖脂質と相互作用すると考えられるが、このような細胞は、まだ詳細に特徴決定されていない。

通常型αβT細胞
ほとんどのαβT細胞の重要な特徴は、HLA分子の状況におけるペプチド抗原の認識である。これらは、しばしば、「通常型」αβT細胞と呼ばれる。個体内で自己HLA分子は、自己および外来タンパク質からのペプチドをT細胞に提示し、悪性病変および外来病原体に対する適応免疫、共生生物、食物および自己に向けての適応寛容のための必須の基礎を提供する。HLAタンパク質をコードするHLA遺伝子座は、ヒトゲノムのうちで最も遺伝子密度が高く、多型性の領域であり、ヒトにおいて12,000を超えるアレルが記載されている。HLA遺伝子座における多型の程度が高いことにより、個体間のペプチド抗原提示の多様性が確実になり、このことは、集団ベルでの免疫のために重要である。

HLAクラスIおよびII
2つの形の古典的HLA複合体、すなわちHLAクラスI(HLAI)およびHLAクラスII(HLAII)が存在する。3つの古典的HLAI遺伝子、すなわちHLA-A、HLA-BおよびHLA-Cが存在する。これらの遺伝子は、インバリアントβ2ミクログロブリン(β2Μ)鎖と会合する膜貫通型α鎖をコードする。HLAIα鎖は、免疫グロブリンフォールド型の3つのドメイン、すなわちα1、α2およびα3で構成される。α3ドメインは、膜の近くにあり、大部分がインバリアントであるが、α1およびα2ドメインは一緒になって、多型で膜から遠くにある抗原結合窩を形成する。6つの古典的HLAII遺伝子、すなわちHLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRAおよびHLA-DRB1が存在する。これらの遺伝子は、α鎖およびβ鎖を含む、対形成したDP、DQおよびDRヘテロ二量体HLA複合体をコードする。それぞれの鎖は、免疫グロブリンフォールド型の2つの主要な構造ドメインを有し、ここで、α2およびβ2ドメインは、HLAIα3ドメインのものに類似の、膜に近く大部分がインバリアントのモジュールを含む。HLAIIα2およびβ2ドメインは一緒になって、膜から遠くにある抗原結合窩を形成し、多型性が高い領域である。
HLAIおよびHLAIIの抗原結合窩は、8つの逆平行βシートのプラットフォーム上に2つの逆平行αヘリックスを含む。このにおいて、ペプチド抗原が結合し、延ばされた立体構造で提示される。HLAIおよびHLAIIにおけるペプチド接触残基は、ほとんどの配列多型の場所であり、これは、異なるHLAアレルにより提示される多様なペプチドレパートリの分子的基礎を構成する。ペプチドは、抗原結合窩と広範囲で接触し、その結果、各HLAアレルは、提示されたペプチドに対する別個の配列制約および優先性課す。所定のペプチドは、よって、限定された数のHLAとだけ結合し、相互的に、各アレルは、所定のタンパク質からのペプチド収集物の特定の画分だけを受け入れる。各個体に存在するHLAIおよびHLAIIアレルのセットは、HLAハプロタイプと呼ばれる。HLAIおよびHLAII遺伝子の多型ならびに遺伝性のアレルの相互優性発現は、ヒト集団全体にわたるHLAハプロタイプの非常に大きい多様性を駆動し、これは、αβTCRの莫大な配列多様性と組み合わせた場合に、これらのHLA-抗原-TCR相互作用の分析標準化への大きな障害となる。

HLAIおよびHLAIIのαβTCR結合
αβTCRは、HLAおよびペプチド抗原(変化した自己)の両方の残基により形成される混合pHLA結合界面の一部としてペプチドを認識する。HLAI複合体は、ほぼすべての有核細胞の表面に提示され、内因性タンパク質由来するペプチドを提示すると一般的に考えられている。T細胞は、よって、相互作用細胞のpHLAI 複合体をサンプリングすることにより、HLAI提示細胞の内因性細胞プロテオームを調べることができる。HLAIの結合は、相互作用T細胞によるTCR共受容体CD8の発現を必要とするので、HLAIサンプリングは、CD8+αβT細胞に制限される。これとは対照的に、HLAII複合体の表面提示は、プロフェッショナルAPCにほぼ制限され、提示細胞にとって外因性のタンパク質に由来するペプチドを提示すると一般的に考えられている。相互作用T細胞は、よって、提示細胞が存在する細胞外微小環境のプロテオームを調べることができる。HLAIIの結合は、相互作用T細胞によるTCR共受容体CD4の発現を必要とするので、HLAIIサンプリングは、CD4+αβT細胞に制限される。

αβTCRの胸腺選択
上記のαβTCRの役割は、pHLA複合体の検出であり、それにより、TCR提示T細胞は、確立された免疫におけるそのT細胞の役割と密接な関係がある応答を高めることができる。個体において生じたαβTCRレパートリは、特定のハプロタイプの状況においてかつそれが実際に起こる前に遭遇する可能性が高い全ての外来抗原巨大予測できない多様性の理由であるはずである。この結果は、自己pHLAとの強い相互作用を回避するように特異的に教授されただけで特定されていないpHLA複合体を認識する能力を有して非常に多様で多数のαβTCRがある程度無作為化された様式で生じる背景に対して達成される。これは、胸腺選択と呼ばれるプロセスにおいてT細胞成熟中に注意深く調整される。
胸腺におけるT細胞成熟の第一工程中に、十分な親和性をもって自己pHLA複合体と相互作用できないαβTCRを有するT細胞は、生存シグナルを奪われ、排除される。ポジティブ選択と呼ばれるこの工程により、正しいHLAの状況において提示される外来または変化したペプチドを少なくとも認識できる可能性があるTCRレパートリを生存T細胞が確実に有することになる。その後、自己pHLAと強く相互作用し、よって自己免疫を駆動する能力を有するαβTCRは、ネガティブ選択のプロセスにより能動的に除去される。ポジティブおよびネガティブ選択のこの組み合わせは、末梢にある自己pHLAに対する低い親和性を有するαβTCRを有するT細胞だけをもたらす。これは、自己に制限されるが自己反応性ではないαβT細胞レパートリを確立する。HLAハプロタイプに対するT細胞発生のこの高度に個別化された性質は、αβTCR-抗原-HLA相互作用の標準化された分析における困難を強調する。さらに、これは、移植片拒絶および移植片対宿主病の両方の基礎、ならびに一個体において同定されるαβTCRが第二の個体において完全に異なる影響を有し得るという一般的な原理の基礎を形成し、このことは、実際の臨床において現れるTCRベースおよびT細胞ベース治療および診断方策について明確な意味を有する。

非通常型αβT細胞
αβT細胞の非HLA拘束または「非通常型」の形は、非常に異なる分子抗原標的を有する。これらの非通常型αβT細胞は、古典的HLA複合体を結合させないが、CD1ファミリーまたはMR1のような保存されたHLA様タンパク質を結合させる。CD1ファミリーは、抗原交差提示に関与する4つの形(CD1a、b、cおよびd)を含む。これらの細胞表面複合体は、HLAIによく似たα鎖を有し、これがβ2Μとヘテロ二量体を形成する。α鎖の膜から遠い表面で提示される小さい疎水性ポケットは、病原体由来脂質ベースの抗原のための結合部位を形成する。自然様NK T細胞(innate like NK T-cells; iNK T細胞)は、脂質/CD1ファミリー認識の最もよく理解された例であり、GEMT細胞は、別の顕著な例を表す。「I型」iNK T細胞は、CD1dの状況において脂質α-GalCerと強く相互作用することが知られている。これらのiNK T細胞は、固定されたTCRα鎖(Vα10/Jα18)および限定された数のβ鎖(制限されたvβ使用を有する)を有する非常に限定されたTCR多様性を示し、これらは、Toll様およびNod様受容体のような自然の病原体関連分子パターン(PAMPS)認識受容体になぞらえられている。これとは対照的に、「II型」NK T細胞は、より多様なTCRレパートリを示し、より多様な形態のCD1d-脂質複合体結合を有するとみられる。GEM T細胞は、CD1bにより提示されるマイコバクテリア由来糖脂質を認識するが、CD1a、bおよびcによる抗原提示ならびにそれらのT細胞認識の分子的な詳細は、理解され始めたばかりである。
MAIT細胞は、インバリアントTCRα鎖(TRAJ33、TRAJ20またはTRAJ12とライゲーションされたTRAV1-2)を主に発現し、該鎖は、一連のTCRβ鎖と対形成できる。ペプチドまたは脂質の代わりに、MAIT TCRは、HLAI様分子であるMR1により提示される病原体由来葉酸およびリボフラビンベースの代謝産物と結合できる。MAIT TCR上で観察されるTCR における限定されているが著しい多様性は、保存されたMR1の状況における多様であるが関連する代謝産物の認識を可能にするとみられる。
非古典的HLA拘束αβT細胞TCRがどのようにして成熟中に胸腺において選択されるのか、よく理解されていない。しかし、上で概説したネガティブおよびポジティブ選択の基本的なプロセスが当てはまるようであり、胸腺内特殊化した適所においてこのことが生じることを示唆するいくらか証拠がある。

γδT細胞
αβTCR発生およびpHLA結合の詳細な機械論的理解とは対照的に、抗原標的およびそれらのγδT細胞対応物の状況については比較的ほとんど知られていない。このことは、循環細胞区画中のそれらの量が比較的低いことが理由の一つである。しかし、 γδT細胞は、厳密にHLA拘束されないと広く考えられており、抗体と同様に、より自由に表面抗原を認識するとみられる。さらに、より最近では、γδT細胞は、外来抗原との免疫系の主な相互作用部位である上皮組織常在型T細胞区画を支配できることが認識されるようになってきている。さらに、γδT細胞腫免疫監視および調節不全になった自己のその他の形の監視機構についての様々な機序が文献において明らかにされ始めている。自然様および適応γδT細胞の両方の特異的抗原標的は、まだほとんど定義されていないが、PAMP組織分布および迅速な認識は、外来抗原に対する応答の初期および適応免疫系がまだ成熟中の生命の初期の両方におけるγδT細胞の基本的な役割を示唆する。
γδT細胞の多様な機能は、異なるVγVδ遺伝子セグメント使用に基づくとみられ、γδT細胞がほとんどインバリアントのTCRと一緒に、感染中の非常に初期にPAMPの自然様認識を媒介する2つの主なカテゴリーにおいて広く理解できる。PAMP以外に、これらのタイプのγδT細胞は、さらに、細胞ストレス、感染およびおそらく腫瘍発生の非常に初期のサインを与え得るリン酸抗原を含む自己分子を認識すると考えられている。PAMPおよびこのようないわゆる損傷関連分子パターン(danger associated molecular patterns; DAMPS)ならびに多数の組織拘束自然様γδT細胞の認識は、これらの細胞が、予め活性化、ホーミングおよびクローン増殖を必要とせず抗原負荷に対して迅速に応答するのに適していることを強く示唆する。

γδT細胞の第二の形は、実際はより適応性があり、非常に多様性のγδTCRレパートリおよび末梢を循環してリンパ系組織直接アクセスする能力を有すると考えられている。このような抗原特異的γδT細胞は、CMVのような一般的なヒト病原体について記載されており、メモリー応答を形成するとみられる。しかし、γδT細胞は、活性化の後に比較的限定されたクローン性増殖のみを示し、末梢循環または組織におけるTCR多様性およびγδT細胞の特異的応答の程度についてはほとんど利用可能なデータはない。さらに、γδTCRはpHLA複合体と相互作用せず、よって、この状況においてペプチド抗原と結合しないと一般的に考えらえているが、γδT細胞のいくつかの抗原標的だけが特徴決定されており、根底にある分子フレームワークはわずかに理解されているだけである。

末梢γδT細胞の頻度が低いことおよびヒトにおける組織常在性T細胞を研究することが困難であることのために、この重要で多様なタイプのT細胞がどのようにして適応免疫応答に参加するのかについての我々の知識が限定されてきた。この台頭してきた研究領域は、稀なγδT細胞を捕捉して特徴決定し、それらのTCR対を単離し、それらの同族抗原を同定する、より信頼できる技術を必要とする。

抗原および抗原提示細胞
T細胞およびTCRの状況において、抗原は、TCRと結合でき、T細胞内のシグナル伝達をもたらす任意の分子と定義できる。最もよく特徴決定されているT細胞抗原は、HLAIおよびHLAII複合体において提示され、通常型αβT細胞と結合するペプチドである。しかし、近年、非通常型αβT細胞およびγδT細胞が抗原として広範囲の生体分子、例えば脂質、リポペプチド糖ペプチド、糖脂質ならびに一連の代謝産物および異化産物を結合できることが明らかになってきた。さらに、γδT細胞が、抗体様の様式で完全にフォールドされたタンパク質と直接結合できることが明らかになってきた。よって、T細胞抗原がHLAにより提示されるペプチドに主に拘束されるという視点は、過去20年間で、ほぼ全ての生体分子を含むように拡大されている。この概念を念頭に置いて、何を抗原提示細胞(APC)と考えることができるかを定義することが適切である。

前出のセクションで定義したように、HLAIおよびHLAIIは、細胞型全体にわたって共通点のない発現プロファイルを有する。ほぼ全ての有核細胞が細胞表面上でHLAI複合体を提示し、よって、T細胞サンプリングのためにペプチド抗原を提示する能力があることが広く受け入れられている。これとは対照的に、HLAIIは制限された発現プロファイルを有し、少なくとも定常状態条件において、樹状細胞(DC)、マクロファージおよびB細胞を含む抗原提示の専門的な役割を有する細胞の表面でだけ発現される。これらの専門細胞型は、しばしばプロフェッショナルAPCと呼ばれる。この文書の目的のために、用語「APC」は、αβまたはγδT細胞によるサンプリングのために抗原を提示できる任意の有核細胞を表すために用いる。このような抗原は、特異的抗原提示複合体、例えばHLAおよびHLA様分子において「カーゴ」として提示されるものに制限されないが、αβまたはγδTCR保有細胞と結合できる任意の細胞表面提示部分も含むことができる。

TCRの治療への使用
初代T細胞の養子移入は、免疫不全患者ウイルス免疫を与えるために、ウイルス抗原に向かう、エクスビボで増殖させたT細胞をまず用いて、1990年代初期に臨床背景において初めて試験された。特定の癌抗原に対してエクスビボで増殖させた初代T細胞を用いる同様のアプローチが、そのすぐ後に悪性腫瘍処置において試験された。現在でも課題であり続けるこれらの初期のアプローチにおけるある限界は、治療製品において組成精細に最適化する必要性と対立する、T細胞の性質および多様性についての理解の欠如である。現在、エクスビボで増殖させた初代T細胞の使用は、ウイルス抗原に対する特異性を有する初代T細胞を用いる一握りイニシアティブ以外は、製薬業界においてほぼあきらめられている。

近年、遺伝物質を初代ヒト細胞に安定して導入する能力により、様々な実験遺伝子改変細胞治療剤出現している。このような治療用細胞製品は、T細胞応答の力を利用し、T細胞特異性を疾患関連抗原標的、例えば悪性細胞によってのみ発現される抗原に向けなおすことを目的とする。これらは、実際のTCR鎖対ではなく、キメラ抗原受容体(CAR)をレシピエントT細胞に移入することに主に頼っている。CARは、CD3-TCR機能を模倣する合成キメラ受容体を生成するための、シグナル受容体エレメント、例えばCD3複合体のζ鎖にグラフトされた標的化部分(多くの場合、悪性細胞の表面発現タンパク質を標的にする一本鎖抗体エレメント)である。これらのいわゆるCAR T細胞(CAR-T)製品は、現在までに臨床試験においてまちまちの成功度を示しており、その可能性にもかかわらず、固有のユニークな分子標的を有する腫瘍、例えばB細胞悪性病変を超えて解釈することは容易ではない。代わりに、全長TCR鎖対ORFをT細胞に移入することについての興味が増えてきている。このようなTCRエンジニアリングされたT細胞治療剤は、困難な製造プロセスや、CAR-T製品と同様に、確認された抗原標的及び標的化構築物の欠如により現在限定されている。現在までに、悪性細胞上のHLAIにより提示されるペプチド抗原の認識のためのαβTCRの使用に焦点が当てられており、このアプローチの基本的な困難は、悪性細胞に特異的な抗原が必要であるということである。

TCR-pHLA相互作用が比較的低親和性のものであるので、天然TCRは、TCRエンジニアリングされたT細胞療法のために最適ではないようであると考えられている。いくつかのアプローチが、一本鎖抗体親和性成熟と同じ方法で、インビトロでTCRを親和性成熟させるために考案されている。これらのTCR親和性成熟アプローチも、通常、一方の鎖のV領域を別の鎖のV領域に融合させて単一ポリペプチド構築物を作製する一本鎖フォーマットを用いる。このような単一ポリペプチドを、次いで、抗体エンジニアリングワークフローから適応させたファージまたは酵母ディスプレイシステムにおいて用いることができ、標的結合に基づく何回かの選択を経ることができる。このような一本鎖TCRアプローチにおいて、機能的TCR鎖対を得る点において2つの固有の限界が存在する。第一に、選択が標的との結合親和性に基づくことである。しかし、TCR親和性がTCRシグナル伝達アウトプットの強さまたは能力と常に相関するわけではないことが十分に文書化されている。第二に、親和性に基づく一本鎖構築物の選択が、それらが全長受容体として一旦再構成されると、等価な親和性であると常に解釈されるわけではない。

治療の状況において、親和性成熟化TCR対においてさらなる限界が存在する。つまり、それらの配列が変更されたことを考慮すると、得られた構築物は、定義によれば、もはや胸腺選択に供されず、ここで、自己抗原と強く反応するTCRは、レパートリから削除される。よって、これらの改変TCRは、自己反応性である固有の危険性を有し、この危険性を、現在の方法を用いてインビトロで除くことは非常に難しい。同じ理由により、治療用途のために選択されたかまたはエンジニアリングされたTCRはいずれも、個別化される必要がある。もしTCRが人工的にエンジニアリングされるかまたは天然TCRが個体にまたがって用いられるならば、破滅的な可能性がある自己免疫を回避するために、それぞれの特定の個体のHLAハプロタイプおよび提示されるペプチドレパートリに基づいて交差反応性を除かなければならない。このことは、胸腺選択が、その所定の個体にのみ特異的なすべての利用可能なHLA分子の背景において行われるという事実のためである。このような交差反応性の可能性は不明である。しかし、我々のTCRレパートリが、同じ種の他の個体のpHLA複合体を外来であると認識する能力は、適応免疫の基本的な特性であり、移植片拒絶および移植片対宿主病を支持する。癌特異的黒色腫関連抗原(MAGE)に対する成熟TCR鎖対を用いる最近の臨床試験は、胸腺選択を迂回することの潜在的な問題に光を当てた。成熟TCRを有する自家T細胞を2名の癌患者注入して戻したとき、これらの患者は、致命的な心臓疾患を迅速に発症した。その後の研究により、MAGE特異的成熟化TCRは、心臓タンパク質であるタイチンからのHLAIにより提示されるペプチドと交差反応性であったことがわかった。このことは、交差反応性が、TCRの治療への使用において別個の可能性であることを強く示唆する。

TCRを治療目的のために利用するための別の達成手段は、抗体治療用物質とほぼ同じ方法でそれらを親和性試薬として用いることにある。一本鎖TCR分子は、コンジュゲート薬物物質を特定のHLA-抗原発現細胞集団に送達するために試験されている。このようなアプローチは、通常、CAR-TまたはTCRエンジニアリングされたT細胞療法より安全であると考えられている。なぜなら、薬物物質の投与を単純に撤回することができるからである。しかし、交差反応性の可能性および予測困難なオフターゲット効果により、この背景における可能性のある限界がまだ存在する。

臨床診断におけるTCRレパートリ検出
関連する観点において、臨床診断目的のために特定のTCR配列の量の検出を用いることに対する興味が増加している。特にディープシーケンシング法の台頭につれて、ある個体内の全体の、そして特定の状況におけるマッチするαβ対についての完全なTCR多様性を把握することが可能である。このことは、患者における疾患関連抗原に対する免疫応答の確立のための代理読み出しとして、増殖したT細胞クローンの量を単に検出することにより特定の状態および疾患状態を診断するための手段になる可能性がある。しかし、このような包括的なアプローチは、確立された臨床タイムポイントを有する非常に強い免疫応答に現在のところ限定されており、シーケンシングにより同定された任意の特定のTCRの特異的抗原標的を同定することの根底にある困難に苦しんでいる。

T細胞抗原の治療および診断のための使用
適応免疫応答を活用する基本的な強みは、TCR-抗原相互作用の精巧な特異性が、それぞれの病原体、癌細胞または自己免疫疾患に特異的に関連する抗原についての詳細な知識を必要とするという中心的な技術的困難言い換えられる。さらに、各抗原は、特異的抗原提示複合体またはそのアレルにより提示され得るので、抗原の発見は、それぞれの関連するHLA遺伝子およびアレルについて行わなければならない。強い適応免疫応答と関連し、保存されたエピトープ応答階層を一般的に示すHIVインフルエンザおよびCMVのようないくつかの感染性疾患について、最も重要なエピトープが、いくつかの一般的なHLAの状況においてマッピングされている。同様に、癌、アレルギーおよび自己免疫の分野において、関連T細胞抗原をマッピングする系統的な努力が増えてきている。しかし、これらは、困難な手順であり、異なる臨床状況と関連するT細胞抗原を系統的に表す努力は、効率的で確固とした迅速で適応性のあるプロトコールが存在しないことにより妨げられている。
特に、癌細胞は、困難で重要な態様である。なぜなら、悪性細胞の表面上で提示されるペプチドのほとんどは自己抗原であるかまたは自己抗原に非常に類似しているからである。よって、胸腺選択は、これらのペプチドを強く認識しうるTCRを削除するであろう。それと同時に、腫瘍は免疫認識を逃れるように発展する。このことは、確立された腫瘍に対する有力な免疫応答が比較的稀であり、標的を予測または発見することが難しいことを意味する。しかし、これらの応答は存在し、そして重要なことには、通常、よりよい結果と関連している。このような応答の標的、腫瘍関連抗原(TAA)は、ほとんどの場合、自己からの区別可能な特徴を有し、癌発展中に過剰発現されるか、発展のこの段階では細胞型に存在しないか、または遺伝子変異もしくは翻訳後改変、例えばリン酸化により特異的に変更されたタンパク質に由来する。

利用可能な場合、このようなエピトープの知識により、基礎的な発見、診断目的のためおよび例えばワクチン効力の試験として関連するT細胞応答を調べることが可能になる。重要なことに、これらは、アレルギーおよび自己免疫におけるT細胞寛容化のための高度に特異的な標的と、重大なことに、特異的免疫療法のためおよび悪性細胞に対抗する価値のある標的に向かう点とを提供する。悪性病変は、細胞免疫療法の有望性として特に価値のある標的であり、T細胞操作における進展は、癌のタイプについての特異的マーカーがたまたま利用可能であるいくつかの場合を超える確認された標的TAAの欠如により遅くなる。
細胞療法の可能性および確認された標的の欠如に鑑みて、見込のあるTCR抗原の同定は、いまだに、特に癌を処置するための努力におけるTCRに基づく免疫療法の最も急を要する障害の一つである。

全長TCR ORFの取得
主に自然に存在するTCRにおけるV遺伝子セグメントの使用の多様性により、T細胞のプールから対形成したTCR鎖の配列データを把握することは困難である。全般的に、高い確実性で配列を確実に把握するために、標的プールの完全V領域多様性をカバーするプライマーのプールを用いて、逆転写および/またはPCR法を用いてTCRを増幅する必要がある。このプロセスは、そこから配列データを得ることができるが、全長TCR ORFを容易にクローニングするために適切でない出発材料を作るORF断片を作製する。よって、T細胞のプールから対形成した配列データを引き出すための効率の高い方策は、下流の用途のための全長TCR ORFのクローニングとは通常相容れない。TCR ORFの時間がかかり高価な合成が、よって、これらの配列決定されたTCR対の機能試験または応用のために要求される。

全長TCR ORFの多様化
TCRの治療的使用の台頭は、TCR配列を親和性および/または機能成熟ワークフロー内で多様化して、規定された特異性および機能の合成TCR対を導くことへの興味の増加を見ている。通常、このことは、TCR鎖対をファージディスプレイ法のための単一鎖構築物に連結し、これらの単一鎖構築物に配列多様性を導入することにより達成されている。現在、単一TCR ORFを系統的な方法で迅速に多様化でき、これらの全長TCR ORFを生存哺乳動物細胞上での表面発現の状況において直接試験および/または選択するために用いることができる技術が欠如している。このような技術は、治療的使用のための高度に規定された特異性およびシグナル伝達能力を有するTCR対の成熟において、非常に価値があるだろう。

TCRおよびT細胞抗原分析の技術的観点
概して、TCRベースの療法の開発は、まだ初期段階であり、成功は限定されている。計り知れない可能性があるが、診断アプローチは、療法に対する患者の疾患状態または応答を評価することを狙いとする比較対照臨床研究にほとんど展開されていない。天然TCR鎖対を確実に把握するための技術、ならびにハイスループットで細胞間コミュニケーションの機能的状況におけるTCR-抗原相互作用の系統的分析のための技術が開発されていないことは、TCRベースの療法および診断の開発のための主な障害となっている。
ディープシーケンシングアプローチにより、健康および疾患状態におけるT細胞受容体多様性のよりよい理解が導かれた。しかし、これらのアプローチは、通常、主にTCRβ鎖のCDR3領域にわたる短い一続きに焦点を当てている。ほとんどの研究は、TCRα鎖の寄与を無視しており、対形成したαβ鎖の分析およびTCRの抗原特異性を決定することに興味を示したものはほとんどない。単細胞カプセル化および遺伝子バーコード化を用いる最近のワークフローにより、天然TCRαβまたはγδ鎖対の対形成、および全長配列の分析が可能になったが、このようなワークフローは、まだ実験段階である。

単離TCR鎖対は、生物物理学的または機能的形態のいずれかにおいて、抗原特異性の点で分析できる。生物物理学的分析は、可溶形のTCRおよび分析物抗原の両方の組換え生成を必要とする。HLA拘束TCRの場合、このことは、全ての個別のTCRおよび同族pHLA複合体の作製を必要とする。このことは、技術的に非常に困難で、遅く、スループットが非常に低い。さらに、このような分析は、相互作用の親和性だけを提供し、これは、予想可能な様式で機能的特徴とうまく相関しない。
最近まで、細胞の状況における単離TCR配列の詳細な機能解析は、分析物TCR鎖対の初代T細胞もしくは不死化株化細胞へのトランスフェクションと、細胞活性化の伝統的なフローサイトメトリー分析による細胞応答の検出または抗原での攻撃の際のトランスフェクションされた細胞からの分泌因子の検出の面倒なプロトコールに限定されている。Guoらによる最近の発表において、単細胞からの対形成したTCR鎖の迅速クローニング、発現および機能特徴決定が報告された(Molecular Therapy - Methodsand clinical development (2016) 3:15054)。この研究では、分析物ヒトαβTCR対を、αβTCR発現を欠くレポーター株化細胞で発現させたが、これは、TCR刺激により活性化されるNur77プロモータに連結された緑色蛍光タンパク質(GFP)レポーターシステムを含んでいた。このシステムは、レポーター株化細胞ゲノムへの標準化されたTCR組込みの欠如により、非効率のままであり、APCエレメントによる細胞結合抗原攻撃のための系統的な方法を提供しない。

既知のT細胞抗原に対するTCRの同定のためのワークフローと同様に、健康および疾患状態における新規なT細胞抗原の新規な発見は、非常に困難なままである。多くのアプローチは、本質的にまだ生物物理学的であり、免疫化プロトコールにおいて試験し得るかまたは上で対処するように同族TCRを同定することによる候補抗原を生成することを狙いとする。T細胞抗原発見の分野において標準化は全くまたはほとんど存在せず、この分野は、学術研究にほぼ制限されている。
治療的および診断的使用の両方におけるTCRおよびそれらの同族抗原に対する興味が蓄積し、著しい数の天然TCRαβおよびγδ鎖対を捕捉する手段が出現する中で、TCR-抗原相互作用の系統的分析のための確実なハイスループットおよび標準化技術が欠如したままである。重要なことに、全長TCR ORFを天然の状況において生存細胞の表面上で提示された分析物TCRの天然の状況におけるTCR鎖対の機能解析に直接用いることができるようにこれらのORFを迅速に再構成および/または系統的に多様化するための標準化されたシステムが欠如している。このような能力は、治療的および診断的使用のための天然TCR鎖対のハイスループット分析だけでなく、TCR鎖対の親和性および/または機能成熟を達成するために重要である。

概要

2つの別々の成分を含む組み合わせたシステムであって、第一成分が、可変および定常(V-C)T細胞受容体(TCR)遺伝子セグメントを有するベクターであり、第二成分が、連結(J)TCR遺伝子セグメントを有するベクターである、組み合わせたシステム。組み合わせたシステムは、前記第一成分が、第一TCR鎖をコードする改変V-Cエントリーベクターであり、システムが、第四および第五成分をさらに含み、第四成分が、二方ターミネータ(BiT)ドナーベクターを含み、第五成分が、前記第一TCR鎖に相補的な第二TCR鎖をコードする改変V-Cエントリーベクターを含むように改変できる。

目的

さらに、この多様性は、TCR機能の試験および操作のためにハイスループットベースで遺伝子構築物内でこれらのTCRオープンリーディングフレーム(ORF)を提供する

効果

実績

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請求項1

2つの別々の成分を含む組み合わせたシステムであって、第一成分が、可変および定常(V-C)T細胞受容体(TCR)遺伝子セグメントを有するベクターであり、第二成分が、連結(J)TCR遺伝子セグメントを有するベクターである、組み合わせたシステム。

請求項2

第一成分が、a.複製起点、b.第一ポジティブ選択マーカー、c.1つ以上の5'遺伝子エレメント、d.コザック配列、e.TCR可変遺伝子セグメント、f.第一IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第一IIS型配列であって、前記認識配列の5'側でTCR可変遺伝子セグメントの3'末端にて酵素が切断するような向きである配列、g.ネガティブ選択マーカー、h.第二IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第二IIS型配列であって、酵素が切断して、前記認識配列の3'側でTCR定常遺伝子セグメントの5'末端にて切断を駆動するような向きである配列、i.TCR定常遺伝子セグメント、ならびにj.1つ以上の3'遺伝子エレメントを含むV-Cエントリーベクターである、請求項1に記載の組み合わせたシステム。

請求項3

第二成分が、a.複製起点、b.第二ポジティブ選択マーカー、c.第三IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第三IIS型配列であって、前記認識配列の3'側でTCR連結遺伝子セグメントの5'末端にて酵素が切断するような向きである配列、d.TCR連結遺伝子セグメント、e.定常遺伝子セグメントの小さい5'部分に相当するC部、およびf. 第四IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第四IIS型配列であって、配列が、前記認識配列の5'側で構築物の3'末端 TCR C部部分にて酵素が切断するような向きであり、作製される一本鎖突出配列が、請求項2hで規定される第二IIS型配列により作製されるものに相補的である配列を含む1つ以上のJドナーベクターである、請求項1または2に記載の組み合わせたシステム。

請求項4

5'遺伝子エレメントが:a.遺伝子シスエレメント、b.リコンビナーゼ酵素のための異種特異的認識部位、c.興味対象ゲノム部位についての5'相同組換えアーム、d.mRNAスプライスアクセプター部位、e.配列内リボソーム進入部位、およびf.エピジェネティックインスレータ配列から選択される1つ以上のエレメントを含む、請求項2または3に記載の組み合わせたシステム。

請求項5

ネガティブ選択マーカーが:a.第一成分の他の場所にもTCR連結遺伝子セグメント内に含まれない制限酵素認識部位、b.細菌性自殺遺伝子およびc.レポーターエレメントから選択される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項6

3'遺伝子エレメントが:a.ターミネータエレメント、b.リコンビナーゼ酵素のための異種特異的認識部位、c.興味対象のゲノム部位についての3'相同組換えアーム、d.mRNAスプライスドナー部位、e.配列内リボソーム進入部位、およびf.エピジェネティックインスレータ配列から選択される1つ以上のエレメントを含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項7

両成分が、上で規定するもの以外のいずれのIIS型配列も含まず、請求項5で規定するネガティブ選択マーカーだけを含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項8

CDR3をコードするオリゴヌクレオチド二重鎖(odeCDR3)を含む第三成分をさらに含み、odeCDR3が:a.TCR可変遺伝子セグメントの3'末端にて第一IIS型制限部位の切断により作製されるものに相補的な第一一本鎖突出配列、b.TCR CDR3領域をコードし、請求項3で規定されるネガティブ選択マーカーを含まない二本鎖セグメントであって、第一および第二成分のいずれのIIS型制限配列も含まない二本鎖セグメント、ならびにc.TCR連結遺伝子セグメントの5'末端にて第三IIS型制限酵素部位の切断により作製されるものに相補的な第二一本鎖突出配列を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項9

CDR3をコードするオリゴヌクレオチド二重鎖(odeCDR3)を含む第三成分をさらに含み、odeCDR3が、2つのIIS型認識および切断部位に挟まれたCDR3をコードするdsDNA分子またはプラスミドDNAであり、それにより、前記酵素による切断が、V-Cエントリーベクターにおいて第一IIS型切断により5'末端にて作製される一本鎖突出及びJドナーベクターの第三IIS型切断により3'末端に作製される一本鎖突出に相補的な一本鎖突出をもたらして、請求項8に記載されるa、bおよびcを含む前記odeCDR3の消化生成物を得る、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項10

第一から第四IIS型配列が、同じまたは異なる、請求項2〜9のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項11

請求項1〜10のいずれか1項で規定されるV-CエントリーベクターライブラリとJドナーベクターライブラリとの二部分ベクターライブラリであって、V-Cエントリーベクターライブラリが:TCRを有する生物の全ての生殖系列TCR可変および定常遺伝子セグメントを表す1つ以上のベクターの収集物、またはコードされるタンパク質翻訳されたアミノ酸配列が、生殖系列遺伝子セグメントによりコードされるタンパク質配列に関して改変されないような、TCRを有する生物のバリアント生殖系列TCR可変および定常遺伝子セグメントの収集物を表す1つ以上のベクターの収集物、またはコードされるタンパク質の翻訳されたアミノ酸配列が、生殖系列遺伝子セグメントによりコードされるタンパク質配列に関して改変されるような、TCRを有する生物のバリアント生殖系列TCR可変および定常遺伝子セグメントの収集物を表す1つ以上のベクターの収集物であり、Jドナーベクターライブラリが、TCRを有する生物の生殖系列TCR連結遺伝子セグメントを表す1つ以上のベクターの収集物、またはコードされるタンパク質の翻訳されたアミノ酸配列が、生殖系列遺伝子セグメントによりコードされるタンパク質配列に関して改変されないような、TCRを有する生物のバリアント生殖系列TCR連結遺伝子セグメントを表す1つ以上のベクターの収集物、またはコードされるタンパク質の翻訳されたアミノ酸配列が、生殖系列遺伝子セグメントによりコードされるタンパク質配列に関して改変されるような、TCRを有する生物のバリアント生殖系列TCR連結遺伝子セグメントを表す1つ以上のベクターの収集物である、二部分ベクターライブラリ。

請求項12

全長TCRオープンリーディングフレーム(ORF)のインビトロ再構成の方法であって:a.V-Cエントリーベクターを選択する工程と、b.Jドナーベクターを選択する工程と、c.odeCDR3を選択する工程と、d.a、bおよびcを、i)V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターに存在する全てのIIS型制限酵素認識および切断部位を切断するIIS型制限酵素ならびにii)DNAリガーゼ酵素と、組み合わせたミックスを熱サイクル反応に供する工程と、e.工程dから得られる反応生成物で、DNAベクター増殖能力を持つ宿主生物形質転換する工程と、f.前記宿主生物を増殖させて、得られるV-Cエントリーベクター主鎖内の全長の再構成されたTCRオープンリーディングフレームを得る工程とを含む、方法。

請求項13

全長TCR ORFを再構成するためにJドナーベクターおよびodeCDR3と組み合わせて用いるためのV-Cエントリーベクターであって、V-Cベクターが:哺乳動物宿主細胞における一過性発現または再構成された全長TCRオープンリーディングフレームのために適切な配列SEQ0692、マッチする異種特異的リコンビナーゼ配列を有する遺伝子標的とのリコンビナーゼ媒介カセット交換のために適切な配列SEQ0693、およびマッチする異種特異的リコンビナーゼ配列を有する遺伝子標的とのリコンビナーゼ媒介カセット交換のために適切な配列SEQ0694から選択される、V-Cエントリーベクター。

請求項14

配列SEQ0700により表されるJドナーベクター。

請求項15

全長TCR ORFを再構成するためにJドナーベクターおよびodeCDR3と組み合わせて用いるための請求項1〜10のいずれか1項で規定されるV-Cエントリーベクターのライブラリであって、V-Cエントリーベクターが、配列SEQ0049〜SEQ0094により表されるヒトTRA遺伝子座の遺伝子セグメント使用を再現するための可変および定常遺伝子セグメントを含み、かつ/またはV-Cエントリーベクターが、配列SEQ0484〜SEQ0577により表されるヒトTRB遺伝子座の遺伝子セグメント使用を再現するための可変および定常遺伝子セグメントを含み、ベクターが、再構成された全長TCRオープンリーディングフレームの一過性発現に適切である、ライブラリ。

請求項16

配列SEQ0323〜SEQ0378により表されるヒトTRA遺伝子座の遺伝子セグメント使用を再現するための連結遺伝子セグメントを含み、ベクターが、CDR3領域全体にわたるodeCDR3とともに用いられ、かつ/または配列SEQ0379〜SEQ0434により表されるヒトTRA遺伝子座の遺伝子セグメント使用を再現するための連結遺伝子セグメントを含み、ベクターが、3〜4コドン長さが短くなったodeCDR3とともに用いられる、請求項1および3〜10のいずれか1項で規定されるJドナーベクターのライブラリ。

請求項17

配列SEQ0636〜SEQ0661で表されるヒトTRB遺伝子座の遺伝子セグメント使用を再現するための連結遺伝子セグメントを含み、ベクターが、CDR3領域全体にわたるodeCDR3とともに用いられ、かつ/または配列SEQ0662〜SEQ0687により表されるヒトTRB遺伝子座の遺伝子セグメント使用を再現するための連結遺伝子セグメントを含み、ベクターが、3〜4コドン長さが短くなったodeCDR3とともに用いられる、請求項1および3〜10のいずれか1項で規定されるJドナーベクターのライブラリ。

請求項18

全長TCR ORFを再構成するためにV-CエントリーベクターおよびodeCDR3と組み合わせて用いるための請求項16または17に記載のライブラリ。

請求項19

前記第一成分が、第一TCR鎖をコードする改変V-Cエントリーベクターであり、システムが、第四および第五成分をさらに含み、第四成分が、二方向ターミネータ(BiT)ドナーベクターを含み、第五成分が、前記第一TCR鎖に相補的な第二TCR鎖をコードする改変V-Cエントリーベクターを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項20

前記第一成分の前記改変V-Cエントリーベクターが、請求項2で規定するエレメントを含み:a.第五IIS型制限酵素による特異的認識および切断のための第五IIS型配列であって、前記認識配列の5'側で定常遺伝子セグメントの3'末端にて酵素が切断するような向きである配列、b.第五IIS型配列の3'側にあるネガティブ選択マーカー、c.b.のネガティブ選択マーカーの3'側にある第六IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第六IIS型配列であって、前記認識配列の3'側で3'遺伝子エレメントの5'側で酵素が切断するような向きである配列をさらに含む、請求項19に記載の組み合わせたシステム。

請求項21

前記第五成分の前記改変V-Cエントリーベクターが、請求項2で規定するエレメントを含み:a.第七IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第七IIS型配列であって、前記認識配列の3'側でコザック配列の5'にて酵素が切断するような向きである配列、b.第八IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第八IIS型配列であって、前記認識配列の5'側で定常遺伝子セグメントの3'末端にて酵素が切断するような向きである配列、c.第八IIS型配列の3'側にあるネガティブ選択マーカーをさらに含む、請求項19または20に記載の組み合わせたシステム。

請求項22

前記第四成分の前記BiTドナーベクターが:a.複製起点、b.ポジティブ選択マーカー、c. 第九IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第九IIS型配列であって、前記認識配列の3'側で二方向ターミネータエレメントdの5'末端で酵素が切断するような向きである配列、d.アンチセンス配置で2つの転写ターミネータをコードする二方向ターミネータエレメント、e. 第十IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第十IIS型配列であって、前記認識配列の5'側でかつ二方向ターミネータエレメントdの3'側で酵素が切断するような向きである配列を含む、請求項19〜21のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項23

第一から第四IIS型配列が、同じまたは異なる、請求項19〜22のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項24

第五から第十IIS型配列が、同じまたは異なり、第一から第四IIS型配列のものとは異なる、請求項19〜22のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項25

ネガティブ選択マーカーが:a.第一成分の他の場所にもTCR連結遺伝子セグメント内に含まれない制限酵素認識部位、b.細菌性自殺遺伝子、およびc.レポーターエレメントから選択され、請求項20のb.および請求項21のc.で規定されるネガティブ選択マーカーが、請求項2のg.で規定されるネガティブ選択マーカーとは異なり、請求項2のg.で規定されるネガティブ選択マーカーが、第一および第五成分の改変V-Cエントリーベクターについて異なる、請求項19〜24のいずれか1項に記載の組み合わせたシステム。

請求項26

請求項19〜25のいずれか1項で規定されるV-Cエントリーベクターのライブラリであって、ライブラリが、第一および第二V-Cエントリーベクターライブラリを含み、これらがそれぞれ:TCRを有する生物の全ての生殖系列TCR可変および定常遺伝子セグメントを表す1つ以上のベクターの収集物、またはコードされるタンパク質の翻訳されたアミノ酸配列が、生殖系列遺伝子セグメントによりコードされるタンパク質配列に関して改変されないような、TCRを有する生物のバリアント生殖系列TCR可変および定常遺伝子セグメントの収集物を表す1つ以上のベクターの収集物、またはコードされるタンパク質の翻訳されたアミノ酸配列が、生殖系列遺伝子セグメントによりコードされるタンパク質配列に関して改変されるような、TCRを有する生物のバリアント生殖系列TCR可変および定常遺伝子セグメントの収集物を表す1つ以上のベクターの収集物を含み、第一および第二V-Cエントリーライブラリが、相互性TCR鎖をコードする、ライブラリ。

請求項27

単一生成物構築物中の逆平行配置でコードされる全長TCRオープンリーディングフレーム(ORF)の対を提供するために用いるための、請求項26に記載のV-Cエントリーベクターのライブラリ。

請求項28

単一生成構築物中の逆平行配置でコードされる全長TCRオープンリーディングフレーム(ORF)の対のインビトロ再構成の方法であって:a.各TCR鎖についてV-Cエントリーベクターを選択する工程と、b.各TCR鎖についてJドナーベクターを選択する工程と、c.各TCR鎖についてodeCDR3を選択する工程と、d.各TCRについて独立した反応においてi)V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターに存在する第一から第四IIS型制限酵素認識および切断部位を切断するIIS型制限酵素ならびにii)DNAリガーゼ酵素と反応させるためにa、bおよびcを組み合わせて、組み合わせたミックスを熱サイクル反応に供して第一および第二反応生成物を得る工程と、e.工程dからの両方の反応生成物を、請求項21で規定するBiTドナーベクターと、i)第五から第十IIS型制限酵素認識および切断部位を切断するIIS型制限酵素ならびにii)DNAリガーゼ酵素と組み合わせ、組み合わせた反応生成物を熱サイクル反応に供して、第三反応生成物を得る工程と、f.工程e.からの第三反応生成物で、DNAベクター増殖能力を持つ宿主細胞を形質転換する工程と、g.前記宿主生物を増殖させて、得られたV-Cエントリーベクター主鎖内の全長の再構成されたTCRオープンリーディングフレームを得る工程とを含む、方法。

請求項29

列番号0756および0764により表されるV-Cエントリーベクターの対。

請求項30

マッチする異種特異的リコンビナーゼ配列を有する遺伝子標的とのリコンビナーゼ媒介カセット交換において用いるための、配列番号0756および0764により表されるV-Cエントリーベクターの対。

請求項31

配列SEQ0777により表される、請求項21に記載の二方向ターミネータエレメント。

技術分野

0001

ヘテロ二量体T細胞受容体(TCR)は、適応免疫の中心である。ユニークTCRは、T細胞発生の間に継続的に生成され、これにより、一連遺伝子セグメントが単一の連続TCRオープンリーディングフレーム(ORF)に組み換えられる。組換えのこのプロセスにおいて生じる多様性の程度が大きいので、単細胞において発現されるTCR対からの配列データを把握することは困難である。さらに、この多様性は、TCR機能の試験および操作のためにハイスループットベース遺伝子構築物内でこれらのTCRオープンリーディングフレーム(ORF)を提供することも困難にする。本発明は、第一の態様において、TCR遺伝子セグメントの部分を含む可変-定常エントリーベクター(V-Cエントリー)および連結ドナー(Jドナー)ベクターからなる予め組立てられた二成分ベクターライブラリシステムを提供する。二成分システムは、制限酵素消化/リガーゼサイクル反応においてTCR相補性決定領域3をコードする合成DNAオリゴヌクレオチド二重鎖(odeCDR3)とともに、V-Cエントリーベクターライブラリから選択されたV-CエントリーベクターがJドナーベクターライブラリから選択されたJドナーベクターと組み合わされた場合に、単一ベクターが創出されて全長TCR ORFを再構築するような様式で設計されている。このようなベクターライブラリシステムにより、選択されたベクターの状況においてTCR ORFを迅速かつ費用効果的に作製するためのPCRに依存しない方法が可能になる。さらに、このシステムは、親和性および/または機能成熟ワークフローのために合成TCR配列を作成するための新規なワークフローを可能にする。このTCR ORF再構成およびエンジニアリングシステム(TCR ORF Reconstitution and Engineering System ;TORES)は、よって、TCR機能解析およびエンジニアリングのための強力なツールである。第二の態様において、逆平行コーディングセンスにおける2つのTCR ORF鎖対を単一生成物ベクターに接続する第二工程を可能にする、第三成分二方ターミネータドナーベクター(BiTドナー)とともに改変V-Cエントリーベクターを含むTORESが提供される。この二方向TORES2システムは、TCR操作および特徴決定のための対形成したTCR ORF構築物送達するための代替のワークフローを可能にする。

背景技術

0002

Tリンパ球(T細胞)による免疫監視機構は、全ての有脊椎動物の適応免疫における中心的な機能である。T細胞による免疫監視機構は、T細胞サブタイプ全体にわたる豊富な機能多様性を介して達成され、該T細胞サブタイプは、病原体感染および腫瘍性細胞の排除に貢献し、侵入病原体共生微生物食物分子成分のような共生非自己因子に対する適応免疫応答組織化し、さらには自己免疫寛容を維持する。様々な外来および自己因子に応答するために、T細胞は、これらの外来および自己因子の分子構成成分を特異的に検出できなければならない。よって、T細胞は、個体が遭遇する自己および非自己分子の大きな断面を、病原性生物および病的な自己に対する有効な応答を開始するために十分な特異性を持って、健常な自己に対するそのような応答の開始を回避しながら検出できなければならない。この任務の非常に複雑な性質は、外来および自己の分子の両方の実際的に無限の多様性を考慮した場合に明らかになり、病原性生物は、T細胞による検出を逃れるための進化圧力の下にある。

0003

T細胞受容体(TCR)
T細胞は、T細胞受容体(TCR)の発現により第一に規定される。TCRは、T細胞適応免疫の標的と相互作用しそれを感知する役割を担うT細胞の成分である。一般的に言えば、TCRは、細胞表面上で提示されるヘテロ二量体タンパク質複合体で構成される。2つのTCR鎖のそれぞれは、ともに免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインに属し、逆並行βシートを形成する可変(V)領域と定常(C)領域である2つの細胞外ドメインで構成される。これらは、短い細胞質尾部につながるI型膜貫通ドメインにより細胞膜係留されている。多様な分子構成成分に適応してそれを検出するT細胞の素質は、T細胞発生中に生じるTCR鎖における変動から生じる。この変動は、B細胞における抗体発生に類似の様式で体細胞組換えにより生じる。

0004

TCR鎖多様性
T細胞プールは、いくつかの機能および表現型不均質下位集団からなる。しかし、T細胞は、それらの表面で発現される体性再編成されたTCRの形に従ってαβまたはγδに大きく分類できる。2つのTCR鎖対の形、すなわちTCRアルファ(TRA)およびTCRベータ(TRB)対と、TCRガンマ(TRG)およびTCRデルタ(TRD)対が存在する。TRA:TRB対を発現するT細胞はαβT細胞と呼ばれ、TRG:TRD対を発現するT細胞は、しばしばγδT細胞と呼ばれる。
αβおよびγδ形のTCRはともに多様なリガンドまたは抗原の認識を担い、各T細胞は、T細胞成熟中にαβまたはγδ受容体鎖を新たに生じる。これらの新たなTCR鎖対は、体細胞V(D)J組換えと呼ばれるプロセスにおいて受容体配列多様性を生じることにより認識の多様性を達成した後に、各T細胞は、別個に再編成された単一TCRのコピーを発現する。TRAおよびTRG遺伝子座では、いくつかの分離した可変(V)および機能(J)遺伝子セグメントが組換えのために利用可能であり、定常(C)遺伝子セグメントに並置されるので、VJ組換えと呼ばれる。TRBおよびTRD遺伝子座での組換えは、さらに、多様性(D)遺伝子セグメントを含むので、VDJ組換えと呼ばれる。
組換えられたTCRのそれぞれは、αβT細胞の場合にαおよびβ鎖、またはγδT細胞の場合にγおよびδ鎖により形成されるリガンド結合部位の構造により決定される、ユニークなリガンド特異性の能力を有する。TCRの構造多様性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、それぞれの鎖上の3つの短いヘアピンループに主に限定される。3つのCDRは、受容体鎖対のそれぞれの鎖からもたらされ、これらの6つのCDRループはまとめてTCR細胞外ドメインの膜から遠い末端に存在して、抗原結合部位を形成する。
各TCR鎖における配列多様性は、2つの形態で達成される。第一に、組換えのための遺伝子セグメントの無作為選択は、基本的な配列多様性をもたらす。例えば、TRB組換えは、47のユニークV、2のユニークDおよび13のユニークJ生殖系列遺伝子セグメントの間で起こる。通常、V遺伝子セグメントは、CDR1およびCDR2ループの両方に貢献し、よって生殖系列にコードされている。配列多様性を生じるための第二の形態は、組み換えられるV、(D)およびJ遺伝子セグメントの間の接合部にて鋳型ヌクレオチドの無作為欠失および非鋳型ヌクレオチドの付加により生じる超可変CDR3ループ内で起こる。

0005

TCR:CD3複合体
成熟αβおよびγδTCR鎖対は、ε、γ、δおよびζと呼ばれるいくつかのアクセサリーCD3サブユニット一緒に複合体として細胞表面にて提示される。これらのサブユニットは、αβまたはγδTCRと一緒に3つの二量体(εγ、εδ、ζζ)として会合する。このTCR:CD3複合体は、αβまたはγδTCRと同族抗原との結合の際に細胞シグナル伝達応答を開始するためのユニットを形成する。TCR:CD3複合体として会合したCD3アクセサリーは、免疫受容体活性チロシンモチーフ(ITAM)と呼ばれるシグナル伝達モチーフに貢献する。
CD3ε、CD3γおよびCD3δはそれぞれ、単一のITAMに貢献するが、CD3ζホモ二量体は3つのITAMを含む。TCRとともに組み立てられる3つのCD3二量体(εγ、εδ、ζζ)は、よって、10のITAMに貢献する。同族抗原とのTCRライゲーションの際に、直列型チロシン残基リン酸化は、重要な70kDaのζ鎖関連タンパク質(ζ-chain-associated protein of 70 kDa; ZAP-70)のようなSrcホモロジー2(Scr homology 2; SH2)ドメインを含むタンパク質のための対形成したドッキング部位を創出する。このようなタンパク質の動員は、T細胞活性化および分化を最終的に担うTCR:CD3シグナル伝達複合体の形成を開始する。

0006

αβT細胞
αβT細胞は、通常、ヒトにおいて、対応するγδT細胞よりも豊富に存在する。αβT細胞のほとんどは、細胞表面上でHLA複合体により提示されるペプチド抗原と相互作用する。これらのペプチド-HLA(pHLA)認識T細胞は、最初に記述され、最もよく特徴決定されている。αβT細胞のより稀な形も記述されている。粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞は、比較的限定されたαおよびβ鎖多様性を有するとみられ、タンパク質断片よりもむしろ細菌代謝産物を認識する。インバリアントナチュラルキラーT細胞(invariantnatural killer T-cells; iNK T細胞)および生殖系列によりコードされるミコリル反応性T細胞(germline-encoded mycolyl-reactive T-cells; GEMT細胞)は、非HLA分子により交差提示される糖脂質の認識に限定される。iNK T細胞は、大部分が、CD1dにより提示される糖脂質と相互作用すると考えられるが、GEM T細胞細胞は、CD1bにより提示される糖脂質と相互作用する。さらに別の形のT細胞は、CD1aおよびCD1cの状況において糖脂質と相互作用すると考えられるが、このような細胞は、まだ詳細に特徴決定されていない。

0007

通常型αβT細胞
ほとんどのαβT細胞の重要な特徴は、HLA分子の状況におけるペプチド抗原の認識である。これらは、しばしば、「通常型」αβT細胞と呼ばれる。個体内で自己HLA分子は、自己および外来タンパク質からのペプチドをT細胞に提示し、悪性病変および外来病原体に対する適応免疫、共生生物、食物および自己に向けての適応寛容のための必須の基礎を提供する。HLAタンパク質をコードするHLA遺伝子座は、ヒトゲノムのうちで最も遺伝子密度が高く、多型性の領域であり、ヒトにおいて12,000を超えるアレルが記載されている。HLA遺伝子座における多型の程度が高いことにより、個体間のペプチド抗原提示の多様性が確実になり、このことは、集団ベルでの免疫のために重要である。

0008

HLAクラスIおよびII
2つの形の古典的HLA複合体、すなわちHLAクラスI(HLAI)およびHLAクラスII(HLAII)が存在する。3つの古典的HLAI遺伝子、すなわちHLA-A、HLA-BおよびHLA-Cが存在する。これらの遺伝子は、インバリアントβ2ミクログロブリン(β2Μ)鎖と会合する膜貫通型α鎖をコードする。HLAIα鎖は、免疫グロブリンフォールド型の3つのドメイン、すなわちα1、α2およびα3で構成される。α3ドメインは、膜の近くにあり、大部分がインバリアントであるが、α1およびα2ドメインは一緒になって、多型で膜から遠くにある抗原結合窩を形成する。6つの古典的HLAII遺伝子、すなわちHLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRAおよびHLA-DRB1が存在する。これらの遺伝子は、α鎖およびβ鎖を含む、対形成したDP、DQおよびDRヘテロ二量体HLA複合体をコードする。それぞれの鎖は、免疫グロブリンフォールド型の2つの主要な構造ドメインを有し、ここで、α2およびβ2ドメインは、HLAIα3ドメインのものに類似の、膜に近く大部分がインバリアントのモジュールを含む。HLAIIα2およびβ2ドメインは一緒になって、膜から遠くにある抗原結合窩を形成し、多型性が高い領域である。
HLAIおよびHLAIIの抗原結合窩は、8つの逆平行βシートのプラットフォーム上に2つの逆平行αヘリックスを含む。このにおいて、ペプチド抗原が結合し、延ばされた立体構造で提示される。HLAIおよびHLAIIにおけるペプチド接触残基は、ほとんどの配列多型の場所であり、これは、異なるHLAアレルにより提示される多様なペプチドレパートリの分子的基礎を構成する。ペプチドは、抗原結合窩と広範囲で接触し、その結果、各HLAアレルは、提示されたペプチドに対する別個の配列制約および優先性課す。所定のペプチドは、よって、限定された数のHLAとだけ結合し、相互的に、各アレルは、所定のタンパク質からのペプチド収集物の特定の画分だけを受け入れる。各個体に存在するHLAIおよびHLAIIアレルのセットは、HLAハプロタイプと呼ばれる。HLAIおよびHLAII遺伝子の多型ならびに遺伝性のアレルの相互優性発現は、ヒト集団全体にわたるHLAハプロタイプの非常に大きい多様性を駆動し、これは、αβTCRの莫大な配列多様性と組み合わせた場合に、これらのHLA-抗原-TCR相互作用の分析標準化への大きな障害となる。

0009

HLAIおよびHLAIIのαβTCR結合
αβTCRは、HLAおよびペプチド抗原(変化した自己)の両方の残基により形成される混合pHLA結合界面の一部としてペプチドを認識する。HLAI複合体は、ほぼすべての有核細胞の表面に提示され、内因性タンパク質由来するペプチドを提示すると一般的に考えられている。T細胞は、よって、相互作用細胞のpHLAI 複合体をサンプリングすることにより、HLAI提示細胞の内因性細胞プロテオームを調べることができる。HLAIの結合は、相互作用T細胞によるTCR共受容体CD8の発現を必要とするので、HLAIサンプリングは、CD8+αβT細胞に制限される。これとは対照的に、HLAII複合体の表面提示は、プロフェッショナルAPCにほぼ制限され、提示細胞にとって外因性のタンパク質に由来するペプチドを提示すると一般的に考えられている。相互作用T細胞は、よって、提示細胞が存在する細胞外微小環境のプロテオームを調べることができる。HLAIIの結合は、相互作用T細胞によるTCR共受容体CD4の発現を必要とするので、HLAIIサンプリングは、CD4+αβT細胞に制限される。

0010

αβTCRの胸腺選択
上記のαβTCRの役割は、pHLA複合体の検出であり、それにより、TCR提示T細胞は、確立された免疫におけるそのT細胞の役割と密接な関係がある応答を高めることができる。個体において生じたαβTCRレパートリは、特定のハプロタイプの状況においてかつそれが実際に起こる前に遭遇する可能性が高い全ての外来抗原巨大予測できない多様性の理由であるはずである。この結果は、自己pHLAとの強い相互作用を回避するように特異的に教授されただけで特定されていないpHLA複合体を認識する能力を有して非常に多様で多数のαβTCRがある程度無作為化された様式で生じる背景に対して達成される。これは、胸腺選択と呼ばれるプロセスにおいてT細胞成熟中に注意深く調整される。
胸腺におけるT細胞成熟の第一工程中に、十分な親和性をもって自己pHLA複合体と相互作用できないαβTCRを有するT細胞は、生存シグナルを奪われ、排除される。ポジティブ選択と呼ばれるこの工程により、正しいHLAの状況において提示される外来または変化したペプチドを少なくとも認識できる可能性があるTCRレパートリを生存T細胞が確実に有することになる。その後、自己pHLAと強く相互作用し、よって自己免疫を駆動する能力を有するαβTCRは、ネガティブ選択のプロセスにより能動的に除去される。ポジティブおよびネガティブ選択のこの組み合わせは、末梢にある自己pHLAに対する低い親和性を有するαβTCRを有するT細胞だけをもたらす。これは、自己に制限されるが自己反応性ではないαβT細胞レパートリを確立する。HLAハプロタイプに対するT細胞発生のこの高度に個別化された性質は、αβTCR-抗原-HLA相互作用の標準化された分析における困難を強調する。さらに、これは、移植片拒絶および移植片対宿主病の両方の基礎、ならびに一個体において同定されるαβTCRが第二の個体において完全に異なる影響を有し得るという一般的な原理の基礎を形成し、このことは、実際の臨床において現れるTCRベースおよびT細胞ベース治療および診断方策について明確な意味を有する。

0011

非通常型αβT細胞
αβT細胞の非HLA拘束または「非通常型」の形は、非常に異なる分子抗原標的を有する。これらの非通常型αβT細胞は、古典的HLA複合体を結合させないが、CD1ファミリーまたはMR1のような保存されたHLA様タンパク質を結合させる。CD1ファミリーは、抗原交差提示に関与する4つの形(CD1a、b、cおよびd)を含む。これらの細胞表面複合体は、HLAIによく似たα鎖を有し、これがβ2Μとヘテロ二量体を形成する。α鎖の膜から遠い表面で提示される小さい疎水性ポケットは、病原体由来脂質ベースの抗原のための結合部位を形成する。自然様NK T細胞(innate like NK T-cells; iNK T細胞)は、脂質/CD1ファミリー認識の最もよく理解された例であり、GEMT細胞は、別の顕著な例を表す。「I型」iNK T細胞は、CD1dの状況において脂質α-GalCerと強く相互作用することが知られている。これらのiNK T細胞は、固定されたTCRα鎖(Vα10/Jα18)および限定された数のβ鎖(制限されたvβ使用を有する)を有する非常に限定されたTCR多様性を示し、これらは、Toll様およびNod様受容体のような自然の病原体関連分子パターン(PAMPS)認識受容体になぞらえられている。これとは対照的に、「II型」NK T細胞は、より多様なTCRレパートリを示し、より多様な形態のCD1d-脂質複合体結合を有するとみられる。GEM T細胞は、CD1bにより提示されるマイコバクテリア由来糖脂質を認識するが、CD1a、bおよびcによる抗原提示ならびにそれらのT細胞認識の分子的な詳細は、理解され始めたばかりである。
MAIT細胞は、インバリアントTCRα鎖(TRAJ33、TRAJ20またはTRAJ12とライゲーションされたTRAV1-2)を主に発現し、該鎖は、一連のTCRβ鎖と対形成できる。ペプチドまたは脂質の代わりに、MAIT TCRは、HLAI様分子であるMR1により提示される病原体由来葉酸およびリボフラビンベースの代謝産物と結合できる。MAIT TCR上で観察されるTCR における限定されているが著しい多様性は、保存されたMR1の状況における多様であるが関連する代謝産物の認識を可能にするとみられる。
非古典的HLA拘束αβT細胞TCRがどのようにして成熟中に胸腺において選択されるのか、よく理解されていない。しかし、上で概説したネガティブおよびポジティブ選択の基本的なプロセスが当てはまるようであり、胸腺内特殊化した適所においてこのことが生じることを示唆するいくらか証拠がある。

0012

γδT細胞
αβTCR発生およびpHLA結合の詳細な機械論的理解とは対照的に、抗原標的およびそれらのγδT細胞対応物の状況については比較的ほとんど知られていない。このことは、循環細胞区画中のそれらの量が比較的低いことが理由の一つである。しかし、 γδT細胞は、厳密にHLA拘束されないと広く考えられており、抗体と同様に、より自由に表面抗原を認識するとみられる。さらに、より最近では、γδT細胞は、外来抗原との免疫系の主な相互作用部位である上皮組織常在型T細胞区画を支配できることが認識されるようになってきている。さらに、γδT細胞腫免疫監視および調節不全になった自己のその他の形の監視機構についての様々な機序が文献において明らかにされ始めている。自然様および適応γδT細胞の両方の特異的抗原標的は、まだほとんど定義されていないが、PAMP組織分布および迅速な認識は、外来抗原に対する応答の初期および適応免疫系がまだ成熟中の生命の初期の両方におけるγδT細胞の基本的な役割を示唆する。
γδT細胞の多様な機能は、異なるVγVδ遺伝子セグメント使用に基づくとみられ、γδT細胞がほとんどインバリアントのTCRと一緒に、感染中の非常に初期にPAMPの自然様認識を媒介する2つの主なカテゴリーにおいて広く理解できる。PAMP以外に、これらのタイプのγδT細胞は、さらに、細胞ストレス、感染およびおそらく腫瘍発生の非常に初期のサインを与え得るリン酸抗原を含む自己分子を認識すると考えられている。PAMPおよびこのようないわゆる損傷関連分子パターン(danger associated molecular patterns; DAMPS)ならびに多数の組織拘束自然様γδT細胞の認識は、これらの細胞が、予め活性化、ホーミングおよびクローン増殖を必要とせず抗原負荷に対して迅速に応答するのに適していることを強く示唆する。

0013

γδT細胞の第二の形は、実際はより適応性があり、非常に多様性のγδTCRレパートリおよび末梢を循環してリンパ系組織直接アクセスする能力を有すると考えられている。このような抗原特異的γδT細胞は、CMVのような一般的なヒト病原体について記載されており、メモリー応答を形成するとみられる。しかし、γδT細胞は、活性化の後に比較的限定されたクローン性増殖のみを示し、末梢循環または組織におけるTCR多様性およびγδT細胞の特異的応答の程度についてはほとんど利用可能なデータはない。さらに、γδTCRはpHLA複合体と相互作用せず、よって、この状況においてペプチド抗原と結合しないと一般的に考えらえているが、γδT細胞のいくつかの抗原標的だけが特徴決定されており、根底にある分子フレームワークはわずかに理解されているだけである。

0014

末梢γδT細胞の頻度が低いことおよびヒトにおける組織常在性T細胞を研究することが困難であることのために、この重要で多様なタイプのT細胞がどのようにして適応免疫応答に参加するのかについての我々の知識が限定されてきた。この台頭してきた研究領域は、稀なγδT細胞を捕捉して特徴決定し、それらのTCR対を単離し、それらの同族抗原を同定する、より信頼できる技術を必要とする。

0015

抗原および抗原提示細胞
T細胞およびTCRの状況において、抗原は、TCRと結合でき、T細胞内のシグナル伝達をもたらす任意の分子と定義できる。最もよく特徴決定されているT細胞抗原は、HLAIおよびHLAII複合体において提示され、通常型αβT細胞と結合するペプチドである。しかし、近年、非通常型αβT細胞およびγδT細胞が抗原として広範囲の生体分子、例えば脂質、リポペプチド糖ペプチド、糖脂質ならびに一連の代謝産物および異化産物を結合できることが明らかになってきた。さらに、γδT細胞が、抗体様の様式で完全にフォールドされたタンパク質と直接結合できることが明らかになってきた。よって、T細胞抗原がHLAにより提示されるペプチドに主に拘束されるという視点は、過去20年間で、ほぼ全ての生体分子を含むように拡大されている。この概念を念頭に置いて、何を抗原提示細胞(APC)と考えることができるかを定義することが適切である。

0016

前出のセクションで定義したように、HLAIおよびHLAIIは、細胞型全体にわたって共通点のない発現プロファイルを有する。ほぼ全ての有核細胞が細胞表面上でHLAI複合体を提示し、よって、T細胞サンプリングのためにペプチド抗原を提示する能力があることが広く受け入れられている。これとは対照的に、HLAIIは制限された発現プロファイルを有し、少なくとも定常状態条件において、樹状細胞(DC)、マクロファージおよびB細胞を含む抗原提示の専門的な役割を有する細胞の表面でだけ発現される。これらの専門細胞型は、しばしばプロフェッショナルAPCと呼ばれる。この文書の目的のために、用語「APC」は、αβまたはγδT細胞によるサンプリングのために抗原を提示できる任意の有核細胞を表すために用いる。このような抗原は、特異的抗原提示複合体、例えばHLAおよびHLA様分子において「カーゴ」として提示されるものに制限されないが、αβまたはγδTCR保有細胞と結合できる任意の細胞表面提示部分も含むことができる。

0017

TCRの治療への使用
初代T細胞の養子移入は、免疫不全患者ウイルス免疫を与えるために、ウイルス抗原に向かう、エクスビボで増殖させたT細胞をまず用いて、1990年代初期に臨床背景において初めて試験された。特定の癌抗原に対してエクスビボで増殖させた初代T細胞を用いる同様のアプローチが、そのすぐ後に悪性腫瘍処置において試験された。現在でも課題であり続けるこれらの初期のアプローチにおけるある限界は、治療製品において組成精細に最適化する必要性と対立する、T細胞の性質および多様性についての理解の欠如である。現在、エクスビボで増殖させた初代T細胞の使用は、ウイルス抗原に対する特異性を有する初代T細胞を用いる一握りイニシアティブ以外は、製薬業界においてほぼあきらめられている。

0018

近年、遺伝物質を初代ヒト細胞に安定して導入する能力により、様々な実験遺伝子改変細胞治療剤出現している。このような治療用細胞製品は、T細胞応答の力を利用し、T細胞特異性を疾患関連抗原標的、例えば悪性細胞によってのみ発現される抗原に向けなおすことを目的とする。これらは、実際のTCR鎖対ではなく、キメラ抗原受容体(CAR)をレシピエントT細胞に移入することに主に頼っている。CARは、CD3-TCR機能を模倣する合成キメラ受容体を生成するための、シグナル受容体エレメント、例えばCD3複合体のζ鎖にグラフトされた標的化部分(多くの場合、悪性細胞の表面発現タンパク質を標的にする一本鎖抗体エレメント)である。これらのいわゆるCAR T細胞(CAR-T)製品は、現在までに臨床試験においてまちまちの成功度を示しており、その可能性にもかかわらず、固有のユニークな分子標的を有する腫瘍、例えばB細胞悪性病変を超えて解釈することは容易ではない。代わりに、全長TCR鎖対ORFをT細胞に移入することについての興味が増えてきている。このようなTCRエンジニアリングされたT細胞治療剤は、困難な製造プロセスや、CAR-T製品と同様に、確認された抗原標的及び標的化構築物の欠如により現在限定されている。現在までに、悪性細胞上のHLAIにより提示されるペプチド抗原の認識のためのαβTCRの使用に焦点が当てられており、このアプローチの基本的な困難は、悪性細胞に特異的な抗原が必要であるということである。

0019

TCR-pHLA相互作用が比較的低親和性のものであるので、天然TCRは、TCRエンジニアリングされたT細胞療法のために最適ではないようであると考えられている。いくつかのアプローチが、一本鎖抗体親和性成熟と同じ方法で、インビトロでTCRを親和性成熟させるために考案されている。これらのTCR親和性成熟アプローチも、通常、一方の鎖のV領域を別の鎖のV領域に融合させて単一ポリペプチド構築物を作製する一本鎖フォーマットを用いる。このような単一ポリペプチドを、次いで、抗体エンジニアリングワークフローから適応させたファージまたは酵母ディスプレイシステムにおいて用いることができ、標的結合に基づく何回かの選択を経ることができる。このような一本鎖TCRアプローチにおいて、機能的TCR鎖対を得る点において2つの固有の限界が存在する。第一に、選択が標的との結合親和性に基づくことである。しかし、TCR親和性がTCRシグナル伝達アウトプットの強さまたは能力と常に相関するわけではないことが十分に文書化されている。第二に、親和性に基づく一本鎖構築物の選択が、それらが全長受容体として一旦再構成されると、等価な親和性であると常に解釈されるわけではない。

0020

治療の状況において、親和性成熟化TCR対においてさらなる限界が存在する。つまり、それらの配列が変更されたことを考慮すると、得られた構築物は、定義によれば、もはや胸腺選択に供されず、ここで、自己抗原と強く反応するTCRは、レパートリから削除される。よって、これらの改変TCRは、自己反応性である固有の危険性を有し、この危険性を、現在の方法を用いてインビトロで除くことは非常に難しい。同じ理由により、治療用途のために選択されたかまたはエンジニアリングされたTCRはいずれも、個別化される必要がある。もしTCRが人工的にエンジニアリングされるかまたは天然TCRが個体にまたがって用いられるならば、破滅的な可能性がある自己免疫を回避するために、それぞれの特定の個体のHLAハプロタイプおよび提示されるペプチドレパートリに基づいて交差反応性を除かなければならない。このことは、胸腺選択が、その所定の個体にのみ特異的なすべての利用可能なHLA分子の背景において行われるという事実のためである。このような交差反応性の可能性は不明である。しかし、我々のTCRレパートリが、同じ種の他の個体のpHLA複合体を外来であると認識する能力は、適応免疫の基本的な特性であり、移植片拒絶および移植片対宿主病を支持する。癌特異的黒色腫関連抗原(MAGE)に対する成熟TCR鎖対を用いる最近の臨床試験は、胸腺選択を迂回することの潜在的な問題に光を当てた。成熟TCRを有する自家T細胞を2名の癌患者注入して戻したとき、これらの患者は、致命的な心臓疾患を迅速に発症した。その後の研究により、MAGE特異的成熟化TCRは、心臓タンパク質であるタイチンからのHLAIにより提示されるペプチドと交差反応性であったことがわかった。このことは、交差反応性が、TCRの治療への使用において別個の可能性であることを強く示唆する。

0021

TCRを治療目的のために利用するための別の達成手段は、抗体治療用物質とほぼ同じ方法でそれらを親和性試薬として用いることにある。一本鎖TCR分子は、コンジュゲート薬物物質を特定のHLA-抗原発現細胞集団に送達するために試験されている。このようなアプローチは、通常、CAR-TまたはTCRエンジニアリングされたT細胞療法より安全であると考えられている。なぜなら、薬物物質の投与を単純に撤回することができるからである。しかし、交差反応性の可能性および予測困難なオフターゲット効果により、この背景における可能性のある限界がまだ存在する。

0022

臨床診断におけるTCRレパートリ検出
関連する観点において、臨床診断目的のために特定のTCR配列の量の検出を用いることに対する興味が増加している。特にディープシーケンシング法の台頭につれて、ある個体内の全体の、そして特定の状況におけるマッチするαβ対についての完全なTCR多様性を把握することが可能である。このことは、患者における疾患関連抗原に対する免疫応答の確立のための代理読み出しとして、増殖したT細胞クローンの量を単に検出することにより特定の状態および疾患状態を診断するための手段になる可能性がある。しかし、このような包括的なアプローチは、確立された臨床タイムポイントを有する非常に強い免疫応答に現在のところ限定されており、シーケンシングにより同定された任意の特定のTCRの特異的抗原標的を同定することの根底にある困難に苦しんでいる。

0023

T細胞抗原の治療および診断のための使用
適応免疫応答を活用する基本的な強みは、TCR-抗原相互作用の精巧な特異性が、それぞれの病原体、癌細胞または自己免疫疾患に特異的に関連する抗原についての詳細な知識を必要とするという中心的な技術的困難言い換えられる。さらに、各抗原は、特異的抗原提示複合体またはそのアレルにより提示され得るので、抗原の発見は、それぞれの関連するHLA遺伝子およびアレルについて行わなければならない。強い適応免疫応答と関連し、保存されたエピトープ応答階層を一般的に示すHIVインフルエンザおよびCMVのようないくつかの感染性疾患について、最も重要なエピトープが、いくつかの一般的なHLAの状況においてマッピングされている。同様に、癌、アレルギーおよび自己免疫の分野において、関連T細胞抗原をマッピングする系統的な努力が増えてきている。しかし、これらは、困難な手順であり、異なる臨床状況と関連するT細胞抗原を系統的に表す努力は、効率的で確固とした迅速で適応性のあるプロトコールが存在しないことにより妨げられている。
特に、癌細胞は、困難で重要な態様である。なぜなら、悪性細胞の表面上で提示されるペプチドのほとんどは自己抗原であるかまたは自己抗原に非常に類似しているからである。よって、胸腺選択は、これらのペプチドを強く認識しうるTCRを削除するであろう。それと同時に、腫瘍は免疫認識を逃れるように発展する。このことは、確立された腫瘍に対する有力な免疫応答が比較的稀であり、標的を予測または発見することが難しいことを意味する。しかし、これらの応答は存在し、そして重要なことには、通常、よりよい結果と関連している。このような応答の標的、腫瘍関連抗原(TAA)は、ほとんどの場合、自己からの区別可能な特徴を有し、癌発展中に過剰発現されるか、発展のこの段階では細胞型に存在しないか、または遺伝子変異もしくは翻訳後改変、例えばリン酸化により特異的に変更されたタンパク質に由来する。

0024

利用可能な場合、このようなエピトープの知識により、基礎的な発見、診断目的のためおよび例えばワクチン効力の試験として関連するT細胞応答を調べることが可能になる。重要なことに、これらは、アレルギーおよび自己免疫におけるT細胞寛容化のための高度に特異的な標的と、重大なことに、特異的免疫療法のためおよび悪性細胞に対抗する価値のある標的に向かう点とを提供する。悪性病変は、細胞免疫療法の有望性として特に価値のある標的であり、T細胞操作における進展は、癌のタイプについての特異的マーカーがたまたま利用可能であるいくつかの場合を超える確認された標的TAAの欠如により遅くなる。
細胞療法の可能性および確認された標的の欠如に鑑みて、見込のあるTCR抗原の同定は、いまだに、特に癌を処置するための努力におけるTCRに基づく免疫療法の最も急を要する障害の一つである。

0025

全長TCR ORFの取得
主に自然に存在するTCRにおけるV遺伝子セグメントの使用の多様性により、T細胞のプールから対形成したTCR鎖の配列データを把握することは困難である。全般的に、高い確実性で配列を確実に把握するために、標的プールの完全V領域多様性をカバーするプライマーのプールを用いて、逆転写および/またはPCR法を用いてTCRを増幅する必要がある。このプロセスは、そこから配列データを得ることができるが、全長TCR ORFを容易にクローニングするために適切でない出発材料を作るORF断片を作製する。よって、T細胞のプールから対形成した配列データを引き出すための効率の高い方策は、下流の用途のための全長TCR ORFのクローニングとは通常相容れない。TCR ORFの時間がかかり高価な合成が、よって、これらの配列決定されたTCR対の機能試験または応用のために要求される。

0026

全長TCR ORFの多様化
TCRの治療的使用の台頭は、TCR配列を親和性および/または機能成熟ワークフロー内で多様化して、規定された特異性および機能の合成TCR対を導くことへの興味の増加を見ている。通常、このことは、TCR鎖対をファージディスプレイ法のための単一鎖構築物に連結し、これらの単一鎖構築物に配列多様性を導入することにより達成されている。現在、単一TCR ORFを系統的な方法で迅速に多様化でき、これらの全長TCR ORFを生存哺乳動物細胞上での表面発現の状況において直接試験および/または選択するために用いることができる技術が欠如している。このような技術は、治療的使用のための高度に規定された特異性およびシグナル伝達能力を有するTCR対の成熟において、非常に価値があるだろう。

0027

TCRおよびT細胞抗原分析の技術的観点
概して、TCRベースの療法の開発は、まだ初期段階であり、成功は限定されている。計り知れない可能性があるが、診断アプローチは、療法に対する患者の疾患状態または応答を評価することを狙いとする比較対照臨床研究にほとんど展開されていない。天然TCR鎖対を確実に把握するための技術、ならびにハイスループットで細胞間コミュニケーションの機能的状況におけるTCR-抗原相互作用の系統的分析のための技術が開発されていないことは、TCRベースの療法および診断の開発のための主な障害となっている。
ディープシーケンシングアプローチにより、健康および疾患状態におけるT細胞受容体多様性のよりよい理解が導かれた。しかし、これらのアプローチは、通常、主にTCRβ鎖のCDR3領域にわたる短い一続きに焦点を当てている。ほとんどの研究は、TCRα鎖の寄与を無視しており、対形成したαβ鎖の分析およびTCRの抗原特異性を決定することに興味を示したものはほとんどない。単細胞カプセル化および遺伝子バーコード化を用いる最近のワークフローにより、天然TCRαβまたはγδ鎖対の対形成、および全長配列の分析が可能になったが、このようなワークフローは、まだ実験段階である。

0028

単離TCR鎖対は、生物物理学的または機能的形態のいずれかにおいて、抗原特異性の点で分析できる。生物物理学的分析は、可溶形のTCRおよび分析物抗原の両方の組換え生成を必要とする。HLA拘束TCRの場合、このことは、全ての個別のTCRおよび同族pHLA複合体の作製を必要とする。このことは、技術的に非常に困難で、遅く、スループットが非常に低い。さらに、このような分析は、相互作用の親和性だけを提供し、これは、予想可能な様式で機能的特徴とうまく相関しない。
最近まで、細胞の状況における単離TCR配列の詳細な機能解析は、分析物TCR鎖対の初代T細胞もしくは不死化株化細胞へのトランスフェクションと、細胞活性化の伝統的なフローサイトメトリー分析による細胞応答の検出または抗原での攻撃の際のトランスフェクションされた細胞からの分泌因子の検出の面倒なプロトコールに限定されている。Guoらによる最近の発表において、単細胞からの対形成したTCR鎖の迅速クローニング、発現および機能特徴決定が報告された(Molecular Therapy - Methodsand clinical development (2016) 3:15054)。この研究では、分析物ヒトαβTCR対を、αβTCR発現を欠くレポーター株化細胞で発現させたが、これは、TCR刺激により活性化されるNur77プロモータに連結された緑色蛍光タンパク質(GFP)レポーターシステムを含んでいた。このシステムは、レポーター株化細胞ゲノムへの標準化されたTCR組込みの欠如により、非効率のままであり、APCエレメントによる細胞結合抗原攻撃のための系統的な方法を提供しない。

0029

既知のT細胞抗原に対するTCRの同定のためのワークフローと同様に、健康および疾患状態における新規なT細胞抗原の新規な発見は、非常に困難なままである。多くのアプローチは、本質的にまだ生物物理学的であり、免疫化プロトコールにおいて試験し得るかまたは上で対処するように同族TCRを同定することによる候補抗原を生成することを狙いとする。T細胞抗原発見の分野において標準化は全くまたはほとんど存在せず、この分野は、学術研究にほぼ制限されている。
治療的および診断的使用の両方におけるTCRおよびそれらの同族抗原に対する興味が蓄積し、著しい数の天然TCRαβおよびγδ鎖対を捕捉する手段が出現する中で、TCR-抗原相互作用の系統的分析のための確実なハイスループットおよび標準化技術が欠如したままである。重要なことに、全長TCR ORFを天然の状況において生存細胞の表面上で提示された分析物TCRの天然の状況におけるTCR鎖対の機能解析に直接用いることができるようにこれらのORFを迅速に再構成および/または系統的に多様化するための標準化されたシステムが欠如している。このような能力は、治療的および診断的使用のための天然TCR鎖対のハイスループット分析だけでなく、TCR鎖対の親和性および/または機能成熟を達成するために重要である。

発明が解決しようとする課題

0030

ハイスループット法でのTCR診断薬インフォマテクスおよび試薬ベースで用いること、および個別化TCRベースの免疫療法の個別化を可能にするTCR鎖再構成およびそれらの系統的多様化のための迅速で系統化された方法に対する明確な必要性が存在する。

課題を解決するための手段

0031

本発明は、上記の必要性に対処する。本発明は、第一の態様において、TCR鎖についての可変(V)、連結(J)および定常(C)配列を有するベクターからなる予め組立てられたライブラリを含む二成分ベクターシステムを提供する。このようなシステムの第一成分は、VおよびC配列を含むV-Cエントリーベクターを含む。システムの第二成分は、J配列を含むJドナーベクターを含む。二成分ベクターシステムは、それぞれ全ての望ましいV-C配列組み合わせおよびJ配列を有するV-CエントリーベクターおよびJドナーベクターのライブラリに予め組立てられる。二成分ベクターシステムは、所望の配列を有する単一V-Cエントリーベクターおよび単一Jドナーベクターが、CDR3をコードする短いDNAオリゴヌクレオチド二重鎖(odeCDR3)配列と組み合わされて、制限酵素およびリガーゼ依存性かつPCR非依存性の様式で単一チューブ反応においてインビトロで全長TCR ORFを再構成できるような様式で設計されている。さらに、モジュールの二成分システムは、親和性または機能成熟ワークフローのための合成または変異全長TCR ORFの大きいライブラリを迅速に作製するために理想的に適切である。第二の態様において、TCR鎖の相互性対(すなわち、TRA/TRBまたはTRD/TRG)のための改変V-Cエントリーベクターは、5成分ベクターシステムに編纂されて、再構成されたTCR鎖対が単一ベクター内でつながれ得るシステムを提供する。この第二システムは、改変V-Cエントリーベクターおよび第一システムと同じJドナーベクターの両方と、二方向ターミネータドナーベクター(BiTドナー)とを用いて、最終構築物において逆平行センス方向でコードされるつながれたTCR鎖対であって、各TCR鎖が「二方向ターミネータ」エレメントを間に挟むTCR鎖対を達成する。

0032

TCR ORF再構成およびエンジニアリングシステム(TORES)
本発明は、まず、上記の使用に適したユニークな特徴を有する二成分ベクターシステムを提供する。このTCR ORF再構成およびエンジニアリングシステム(TORES)は、第三成分、CDR3をコードするオリゴヌクレオチド二重鎖(odeCDR3)と一緒に用いて、規定されたベクターの状況内で全長TCR ORFを新規に組立て、かつ/または所定のTCRORF内公式的な配列多様性を作製する。
本発明を、図1Aにまとめる。標的全長TCR ORFのために必要なVおよびCTCR遺伝子セグメントを含む選択されたV-Cエントリーベクターを、必要なJ TCR遺伝子セグメントを含むJドナーベクターと組み合わせる。全長TCR ORFは、V(D)J組換え中に生じる非固定化生殖系列配列の原因となるCDR3をコードするオリゴヌクレオチド二重鎖(odeCDR3)の付加により完成し、V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターによりそれぞれコードされる固定化生殖系列をコードするVおよびJ配列が間に挿入されている。二成分ベクターシステムおよび第三odeCDR3成分は、制限酵素およびリガーゼサイクル反応に組み合わされた場合に、完全V-CDR3-J-C TCR ORFが再構成されるように設計されている。このことは、標準化された様式で遺伝子エレメントの「傷のない」組立てを行うために用いられるIIS型制限酵素により達成される。

0033

二成分ベクターシステムは、標的全長TCR ORFの再構成のための必要なV、CおよびJ遺伝子セグメントを全て含むライブラリに組立てられる(図1B)。例えば、ライブラリは、実施例1および2に記載するようなヒトTRAレパートリおよび実施例3に記載するようなヒトTRBレパートリの天然タンパク質配列をコードする全ての遺伝子セグメントを含むように構築できる。
固定化VおよびJセグメントが間に挿入されている非固定化CDR3配列とともにV、JおよびC遺伝子セグメント使用を定義するのに十分な配列情報から全長TCR ORFを再構成するために、標的TCR ORFのV/CおよびJ使用に相当するV-CエントリーベクターおよびJドナーベクターをまず選択する。全長TCR ORFを完成するために必要な非固定化CDR3配列に相当するodeCDR3も作製する。これらの3つの成分を、IIS型制限酵素およびDNAリガーゼ酵素とサイクル反応において組み合わせて、図4および実施例7に記載するように標的全長TCR ORFを作製する。得られる再構成された全長TCRは、V-Cエントリーベクター主鎖に含まれ、よってこの親の構築物に含まれる全てのベクターの特徴を含む。

0034

制限酵素/リガーゼサイクル反応内の3つの組み合わせた構成成分(図4a、b、c)のIIS型制限酵素の作用により、2つの反応副産物および2つの反応中間体が得られる。V-Cエントリーベクター由来の反応副産物は、切り取られた天然選択マーカーおよびIIS型結合部位である(図4d)。Jセグメント部がそこから切り取られたJドナーベクター主鎖は、第二反応副産物である(図4e)。Jドナーベクターから切り取られたJセグメント部は、反応中間体であり、Jセグメント部、Cセグメントからの小さいC部およびライゲーションのために必要な一本鎖突出を両方含む(図4f)。第二反応中間体は、VおよびCセグメントならびにライゲーションのために必要な一本鎖突出を含む親のV-Cエントリー主鎖である(図4g)。反応の最終生成物は、親のV-Cエントリーベクター主鎖内で再構築され、odeCDR3(図4c)、切り取られたJセグメント部(図4f)ならびにVおよびC遺伝子セグメントを有するV-Cエントリー主鎖(図4g)のライゲーションで構成される全長TCR ORFである。

0035

V-CエントリーベクターおよびJドナーベクター成分
本発明の状況において、組み合わせた二成分システムは、
a.複製起点
b.第一ポジティブ選択マーカー、
c.1つ以上の5'遺伝子エレメント、
d.コザック配列
e.TCR可変遺伝子セグメント、
f.IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第一IIS型配列
g.ネガティブ選択マーカー、
h.第二IIS型配列、
i.TCR定常遺伝子セグメント、ならびに
j.1つ以上の3'遺伝子エレメント
を含む1つ以上のV-Cエントリーベクターを含み、ここで、a)およびb)は、細菌宿主内での親のV-Cエントリーベクターおよび再構成されたTCR含有ベクターの両方の増幅および選択のために用いられ、c)およびj)は、再構成された全長TCR ORFの下流の用途を規定するために用いられ、d)は、真核細胞での効率的な翻訳開始を確実にし、これは、代わりに、原核生物および古細菌における移行制御のためのShine-Dalgarno配列であり得、e)は、開始コドンから、所定の二成分ベクターシステムにおける全てのVセグメントにわたって保存されるCDR3領域の5'端でのモチーフまでの可変(V)遺伝子セグメントであり、f)は、IIS型制限酵素を駆動して、5'方向に切断してV遺伝子セグメントの3'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するIIS型認識配列であり、g)は、システムの運転中に親のV-Cエントリーベクターを排除して全長TCR ORFを再構成するネガティブ選択マーカーであり、h)は、IIS型制限酵素を駆動して、3'方向に切断してC遺伝子セグメントの5'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するIIS型認識配列であり、i)は、所定の二成分ベクターシステムにおける全てのCセグメントにわたって保存されるC遺伝子セグメントの5'末端でのモチーフからの定常(C)遺伝子セグメントであり、これは、Jセグメントとの境界を定める(図2および4を参照されたい)。

0036

下流の生物学的用途を必要としない、例えば分子生物学ワークフローのために用いられる全長TCR ORFの遺伝的再構成のために用いられるV-Cエントリーベクター、すなわち最小限V-Cエントリーベクターは、制御エレメントを欠くエレメントa)、b)、e)、f)、h)およびi)を含むであろう。
V-Cエントリーベクターは、下流の用途のために適切なさらなるORF、例えば哺乳動物抗生物質耐性遺伝子またはレポーター構築物の発現のための1つ以上の転写ユニットも含むことができる。

0037

組み合わせた二成分システムは、
a.複製起点、
b.第二ポジティブ選択マーカー、
c.第三IIS型配列、
d.TCR連結遺伝子セグメント、
e.定常遺伝子セグメントの小さい5'部分に相当するC部、および
f.第四IIS型配列
を含む1つ以上のJドナーベクターを含み、ここで、a)およびb)は、Jドナーベクターの増殖および選択のために用いられ、c)は、IIS型制限酵素を駆動して、3'方向に切断してJ遺伝子セグメントの5'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するIIS型認識配列であり、d)は、所定の二成分ベクターシステムにおける全てのJセグメントにわたって保存されるCDR3領域の3'端を定義するモチーフからの5'側から始まって、二成分システムに含まれるV-CエントリーベクターによりコードされるCセグメントの5'部分である、C部を組み込む3'配列までの連結(J)遺伝子セグメントであり、は、IIS型制限酵素が5'方向に切断して、J遺伝子セグメントの3'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するようにし、配列のC部部分に含まれるIIS型認識配列である(図3および4を参照されたい)。

0038

Jドナーベクターは、C遺伝子セグメントの小さい5'部分をコードするC部配列を厳密に有する必要はない。このC部は、TORESの運転中に再構成反応のために突出を最適化して標準化するために用いられる。これは、J遺伝子セグメントの3'末端で見いだされる配列の変動がより高く、よって、C部を含むことにより、多様性がより低いC遺伝子セグメント内の突出を作製することにより標準化が可能になるからである。3'Jセグメント多様性を有さない他の生物からのTCR遺伝子座についてTORESを構築する場合、または合成J遺伝子セグメントを用いる場合、前記Jセグメント内の突出の標準化のために、このC部は省略してもよい。このことにより、Jドナーライブラリ構築の複雑さが低くなる。
第一、第二、第三および第四IIS型配列のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、これらは同じである。このことにより、二成分ベクターシステム内の制限部位のそれぞれが、同じIIS型酵素に適合し、システムを用いる全長TCR ORFの再構成中の制限酵素/リガーゼサイクル反応のために単一の酵素だけが必要となる。IIS型酵素は、それらの認識配列内で切断しないので、認識配列に対して外来の一本鎖突出が作製される。よって、IIS型制限酵素の作用により作製される突出の性質は、認識配列の向きと、実際の隣接配列との両方に依存する(実施例1〜4を参照されたい)。
代わりに、IIS型制限配列のそれぞれは、互いに異なっていてよい。しかし、ユニークな認識配列を加えるたびに、制限酵素/リガーゼサイクル反応にさらなるIIS型酵素を組み込まなければならない。このことにより、全長TCR ORFを組立てるための再構成反応の複雑さおよび費用が増加する。

0039

V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターそれぞれに含まれる第一および第二ポジティブ選択マーカーは、通常は異なる。このことにより、最終全長TCR ORF生成物の主鎖を提供するV-CエントリーベクターがJドナーベクターから独立して選択され、よって、再構成反応に対するバックグラウンドに寄与する未消化または再環形成したJドナーベクターを有する形質転換体を排除できる(図2および3ならびに実施例7を参照されたい)。
ポジティブ選択マーカーは:
a.抗生物質耐性遺伝子、
b.栄養要求性補完遺伝子、
c.レポーター遺伝子
から選択でき、ここで、このようなポジティブ選択マーカーの選択、フォーマッティングおよび使用は、当業者に公知である。

0040

V-Cエントリーベクターに組み込まれる5'遺伝子エレメントは:
a.遺伝子シスエレメント
b.リコンビナーゼ酵素のための異種特異的認識部位
c.興味対象のゲノム部位についての5'相同組換えアーム
d.mRNAスプライスアクセプター部位
e.配列内リボソーム進入部位、および
f.エピジェネティックインスレータ配列
から選択される1つ以上のエレメントを含み、ここで、a)は、V-Cエントリーベクター主鎖内で再構成された全長TCR ORF生成物によりコードされる転写産物の発現を駆動し、b)は、リコンビナーゼ酵素の存在下で部位特異的組換えを駆動して、V-Cエントリーベクター主鎖内で特異的な遺伝子状況に全長TCR ORF生成物再構築物を挿入する配列であり、c)は、部位特異的相同組換えを駆動して、V-Cエントリーベクター主鎖内で再構築された全長TCR ORF生成物を特異的な遺伝子状況に挿入する配列であり、d)は、エンジニアリングされたドメイン融合アプローチを可能にして、V-Cエントリーベクター主鎖内で再構成された全長TCR ORFから発現されるタンパク質の形を操作し、e)は、V-Cエントリーベクター主鎖内で再構成された全長TCR ORF から発現されるmRNAのキャップ非依存性の翻訳開始を許容し、f)は、V-Cエントリーベクター主鎖内で再構成された全長TCR ORFを挿入し得るゲノムの状況においてエンハンサエレメントにより影響される転写活性遮蔽を許容する。

0041

シスエレメントは、実施例1および3に示すV-Cエントリーベクター主鎖に再構成されたTCRの一過性発現を、再構成されたTCR ORFを含む前記ベクターが哺乳動物細胞にトランスフェクションされる場合に、駆動するために用いることができる。
リコンビナーゼ酵素の異種特異的認識部位は、実施例4に示すV-Cエントリーベクター主鎖に再構成されたTCRのリコンビナーゼ媒介カセット交換を、再構成されたTCR ORFを含む前記ベクターを適切なリコンビナーゼ酵素の存在下で哺乳動物にトランスフェクションする場合に、許容するために用いることができる。

0042

V-Cエントリーベクターに含まれる第一IIS型認識配列は、前記認識配列の5'側をTCR可変遺伝子セグメント(図4a)内で切断して、合成されたodeCDR3(図4c)の5'末端でのものに相補的一本鎖DNA突出を可変遺伝子セグメント(図4g)の3'末端にて生成する向きである。この第一IIS型認識配列をどのように設計するかについての詳細は、実施例1、3、5および6を参照されたい。
V-Cエントリーベクターは、第一IIS型認識配列と第二IIS型認識配列との間にネガティブ選択マーカーを含む(下記参照、図2)。このネガティブ選択マーカーは:
a.第一成分の他の場所にもはTCR連結遺伝子セグメント内にも含まれない制限酵素認識部位
b.細菌性自殺遺伝子および
c.レポーターエレメント
から選択され、ここで、ネガティブ選択マーカーは、親のV-Cエントリーベクターで形質転換された宿主細胞を排除して、第一ポジティブ選択マーカーを用いてV-Cエントリーベクター主鎖内に標的TCR ORFを含む形質転換体を選択する場合に、再構成反応のバックグラウンドを低減するために用いられる(実施例7を参照されたい)。
ネガティブ選択マーカー自体を除いて、二部分システム内の全てのその他の配列は、システムの他の場所にこの配列を含むことに基づく不当なネガティブ選択を与えないために、前記配列を含んではならない。
この関係において、V-Cエントリーベクターに含まれる第二IIS型認識配列は、前記認識配列の3'をTCR定常遺伝子セグメント(図4a)内で切断して、Jドナー断片反応中間体(図4f)の3'末端でのものに相補的な一本鎖DNA突出を定常遺伝子セグメント(図4g)の5'末端で生成する向きである。この第二IIS型認識配列をどのように設計するかについての詳細は、実施例1、2、3および5を参照されたい。

0043

V-Cエントリーベクターに組み込まれる3'遺伝子エレメントは:
a.ターミネータエレメント、
b.リコンビナーゼ酵素のための異種特異的認識部位、
c.興味対象のゲノム部位についての3'相同組換えアーム、
d.mRNAスプライスドナー部位
e.配列内リボソーム進入部位、および
f.エピジェネティックインスレータ配列
から選択される1つ以上のエレメントを含み、ここで、a)は、インサイチュでのTCR ORFの効率的なmRNA生成のための転写終結を駆動し、ポリAシグナルをコードしていてもよい配列であり、b)は、部位特異相同組換えを駆動して、V-Cエントリーベクター主鎖内で再構成された全長TCR ORF生成物を特異的な遺伝子状況に挿入する配列であり、c)は、下流のmRNAスプライスアクセプター部位をコードするゲノム遺伝子座への組込みの後に転写ユニットへのTCR ORFの融合を許容して、TCR発現レベルの強度またはV-Cエントリーベクター主鎖内で再構成された全長TCR ORFから発現されるタンパク質の形を操作し、e)は、V-Cエントリーベクター主鎖内で再構成された全長TCR ORFから発現されるmRNAのキャップ非依存性の翻訳開始を許容し、f)は、隣接クロマチンドメイン間の不適切な相互作用を妨げて、V-Cエントリーベクター主鎖内の再構成されたTCR ORFが挿入され得るゲノムの状況において、隣接転写調節またはヘテロクロマチン広がりから全長TCR ORFを遮蔽する。

0044

ターミネータエレメントは、実施例1および3に示すV-Cエントリーベクター主鎖に再構成されたTCRの発現中の転写終結を、再構成されたTCR ORFを含む前記ベクターを哺乳動物細胞にトランスフェクションする場合に、確実にするために用いられる。
リコンビナーゼ酵素のための異種特異的認識部位は、実施例4に示すV-Cエントリーベクター主鎖に再構成されたTCRのリコンビナーゼ媒介カセット交換を、再構成されたTCR ORFを含む前記ベクターを適切なリコンビナーゼ酵素の存在下で哺乳動物細胞にトランスフェクションする場合に、許容するために用いられる。
Jドナーベクターは、J遺伝子セグメントの3'側に、C遺伝子セグメントの5'側の断片であるC部配列を有するJ遺伝子セグメントを含む(図3)。
C部配列は、Jドナーベクター由来J断片反応中間体(図4f)の3'末端にての中に、そしてIIS型消化開環V-Cエントリーベクター反応中間体(図4g)の中のC遺伝子セグメントの5'末端にて、IIS型酵素の作用により作製される一本鎖突出を標準化するように設計される。

0045

Jドナーベクターに含まれる第三IIS型認識配列は、前記認識配列の3'側をTCR連結遺伝子セグメント内(図4b)で切断して、合成されたodeCDR3(図4c)の5'末端のものに相補的な一本鎖DNA突出を連結遺伝子セグメント(図4f)の5'末端にて生成する向きである。この第三IIS型認識配列をどのように設計するかについての詳細は、実施例2、3、5および6を参照されたい。
Jドナーベクターに含まれる第四IIS型認識配列は、前記認識配列の5'側をTCR C部(図4b)内で切断して、5'IIS型消化開環V-Cエントリーベクター反応中間体(図4g)のものに相補的な一本鎖DNA突出をC部(図4f)の3'末端にて生成するような向きである。この第三IIS型認識配列をどのように設計するかについての詳細は、実施例1、2、3、5および6を参照されたい。

0046

二部分ベクターシステム内で、全てのコードされるTCR遺伝子セグメントおよび部分は、V-CエントリーベクターまたはJドナーベクターの操作または組立てに用いられるIIS型認識配列を含まない。このような配列を含むことは、コードされる遺伝子セグメントまたは部分内でのIIS型制限酵素の作用をもたらし、TCR再構成プロセス混乱をもたらす。同様に、IIS型認識配列は、ベクター主鎖またはこれらのベクター内の5'および3'遺伝子エレメントのいずれにも、あるいは二部分ベクターシステムを組立てるために用いるクローニング断片にも、あるいは第三システム成分であるodeCDR3にも含まれない(下記参照)。
TORESの二成分ベクターシステムは、TCR鎖の任意の収集物についても構築できる。以下の実施例1〜4では、二成分ベクターシステムを、ヒトTCRアルファおよびベータ鎖をそれぞれコードするヒトTRAおよびTRB遺伝子座について構築する。このようなTORESの構築は、TCRデルタおよびガンマ鎖対をそれぞれコードするTRDおよびTRG遺伝子座、または実際に、有顎脊椎動物で見いだされる任意のTRA/TRB、TRD/TRGもしくはバリアントTCR鎖対システムの状況において等しく当てはめることができる。

0047

第三odeCDR3成分
任意の所定のTORESを用いて全長TCR ORFを再構成するために、二成分V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターシステムによりコードされない小さいORF断片が第三成分として必要である。この第三成分は、CDR3をコードするオリゴヌクレオチド二重鎖(odeCDR3)の形をとる。
このような第三成分odeCDR3は:
a.認識配列の5'側でV-CエントリーベクターのTCR可変遺伝子セグメント内を切断する向きの、第一IIS型制限酵素認識および切断部位に相補的な第一一本鎖突出配列、
b.TCR CDR3領域をコードし、ネガティブ選択エレメントを含まず(ネガティブ選択エレメントは、項目10で規定されるとおりである)、第一および第二部分のいずれのIIS型制限配列も含まない二本鎖セグメント、ならびに
c.認識配列の3'側でJドナーベクターのTCR連結遺伝子セグメント内を切断する向きの、第三IIS型制限酵素認識および切断部位に相補的な第二一本鎖突出配列
を含む。
あるいは、odeCDR3は、第一(V-Cエントリーベクター)または第二(Jドナーベクター)成分と矛盾しない2つのIIS型酵素に挟まれ、消化した場合に前記のa、bおよびcを含む生成物と、IIS型部位に挟まれた短いdsDNA断片をコードする2つの副産物とを生じるような向きである、CDR3をコードするdsDNA分子および/またはプラスミドDNAで構成され得る。この代替のdsDNA odeCDR3は、予めの消化または処理を必ずしも必要とすることなく、制限酵素/リガーゼ反応に適合する。
TORESにおけるV-CエントリーベクターおよびJドナーベクターの構成を使用する代わりに、同じ概念のフレームワークを用いることにより、J-CエントリーベクターおよびVドナーベクターの構成を用いてもよい。

0048

全長TCR ORFを再構成するためにTORESを用いる方法
TORESは、ヒト TRA/TRB鎖対について実施例7において示すように、遺伝子ベクターの状況において、配列情報から全長TCR ORFを再構成するために用いることができる。
配列情報から全長TCR ORFを再構成するためにTORESを運転するために、所定のTCR鎖について二成分ベクターシステムのリソースに鑑みて、方法は:
a.V-Cエントリーベクターを選択する工程と、
b.Jドナーベクターを選択する工程と、
c.odeCDR3を選択する工程と、
d.i)V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターに存在する全てのIIS型制限酵素認識および切断部位を切断するIIS型制限酵素ならびにii)DNAリガーゼ酵素と反応させるためにa、bおよびcを組み合わせて、iii)組み合わせたミックスを熱サイクル反応に供する工程と、
e.工程dから得られる反応生成物で、DNAベクター増殖能力を持つ選択可能な宿主生物を形質転換する工程と、
f.宿主生物の選択を行って、V-Cエントリーベクター主鎖内の全長の再構成されたTCRオープンリーディングフレームを得る工程と
を含み、a)およびb)は、標的全長TCRORF内のV、JおよびC遺伝子セグメントをコードする選択されたベクターに基づいて選択され、c)は、a)およびbにおいて選択されるV-CエントリーまたはJドナーベクターによりコードされず、その中にコードされる可変および連結セグメントと結合する全長TCR ORF配列を完成することに基づいて選択され、d)3つの選択された成分を、反応混合物に、V-CエントリーおよびJドナーベクター内の第一、第二、第三および第四IIS型制限酵素認識配列を切断する制限酵素とともに組み合わせること、e)は、通常、形質転換能力を持つ細菌であり、f)宿主の選択は、V-Cエントリーベクター主鎖によりもたらされる第一ポジティブ選択マーカーに基づく。

0049

通常、再構成のための全長TCR ORFの遺伝子エレメントを選択および定義するためのワークフローは、標的生物組織からのTCR鎖のデノボシーケンシングを必然的に伴う。以下の実施例8は、HLA-B*07:02拘束の状況においてHCMV抗原に特異的なTRA/TRB鎖対のセットのデノボ同定を示す。図13に示すワークフローは、選別した単細胞からのTCR鎖対の逆転写およびPCRベースの増幅と、その後のサンガーシーケンシングを組み込む。TCR ORFのV、CDR3、JおよびCセグメントにわたる高品質の配列情報が必要とされ、このことにより、特定のシーケンシングアプローチをとることが要求される。

0050

よって、TCRオープンリーディングフレームを選択および再構成する方法は:
a.TCRオープンリーディングフレーム配列を得る工程であって、前記配列情報が、i)可変遺伝子セグメント使用、ii)定常遺伝子セグメント使用、iii)連結遺伝子セグメント使用、iv)可変遺伝子セグメント境界から連結遺伝子セグメント境界にわたる全長CDR3配列を同定するために十分である工程と、
b.工程a.i)およびa.ii)でそれぞれ同定される可変および定常遺伝子セグメントに対応するV-Cエントリーベクターを選択する工程と、
c.工程a.iii)で同定される連結遺伝子セグメントに対応するJドナーベクターを選択する工程と、
d.工程a.iv)で同定されるCDR3配列に対応するodeCDR3を作製する工程と、
e.i)V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターに存在する全てのIIS型制限酵素認識および切断部位を切断するIIS型制限酵素ならびにii)DNAリガーゼ酵素と反応させるためにb、cおよびdを組み合わせて、iii)組み合わせたミックスを熱サイクル反応に供する工程と、
f.工程e.で得られる反応生成物で、プラスミド複製能力を持つ選択可能な宿主生物を形質転換する工程と、
g.宿主生物の選択を行って、V-Cエントリーベクター主鎖内の全長の再構成されたTCRオープンリーディングフレームを得る工程と
を含み、a)は、当業者に公知のシーケンシング方法により行われ、4つ全ての必要な遺伝子エレメントを同定するために十分な配列の長さおよび質を得ることができ、b)およびc)は、必要なベクターを含むTORESライブラリから選択され、d)は、新規に合成されるか、またはodeCDR3ライブラリから選択され、e)は、単一反応槽で行われる。

0051

適切なV-Cエントリーベクター、JドナーベクターおよびodeCDR3を選択するために、標的TCR配列を、対応するTCR鎖についてのV、CおよびJ遺伝子セグメントのライブラリに対して整列させて、標的鎖のV、CおよびJセグメント使用を決定した。この配列アラインメントおよび解析工程は、CDR3コーディング配列の規定、よって、odeCDR3配列の定義も許容する。よって、全体として、このような配列解析は、TCR鎖再構成のためのV-CエントリーベクターおよびJドナーベクターの選択を許容する。この解析は、各鎖再構成反応のためのodeCDR3の合成も許容する。このプロセスは、実施例8に詳細に記載し、図13の一部にまとめる。
IIS型消化およびDNAリガーゼ依存性ライゲーション(工程e)を単一サイクル反応で行うことが望ましい。このことは、処理工程を最小限にし、いくつかのユニーク突出が単一酵素を用いて作製され、よってJドナーベクター反応中間体およびodeCDR3の、V-Cエントリーベクター主鎖への効率的な定方向クローニングを維持するような認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素を用いる、システムの設計により可能になる。
あるいは、IIS型制限消化およびDNAライゲーションは、逐次的な手順で行ってよい。

0052

実施例8に、ヒト末梢血液からの抗原特異的CD8 T細胞の単細胞蛍光標示細胞選択(FACS)の状況において、逆転写およびTRA/TRB TCR鎖対のPCRベースの増幅と、その後のサンガーシーケンシングのためのTORESの使用を例示する。これは、一般的に適用可能なワークフローであり、ここで、任意の組織を任意の有顎脊椎動物からのT細胞の供給源とすることができ、細胞を表現型の特徴に基づいて選別できる。重要なことに、単一選別された細胞は、HLA多量体試薬を用いて抗原特異性について染色される必要がない。
用いられるTCRシーケンシングアプローチは、TCR ORFの上記のように規定する遺伝子特徴が配列情報に基づいて規定できるように十分に高品質の配列情報が得られる限り、いずれの特定の方法または技術にも限定されない。

0053

天然TCR鎖対をシーケンシングおよび同定できるように単細胞を分けるためのFACSの使用は、多重特異性抗体パネルを用いて収集できる正確で豊富な表現型情報のために、強力な方法である。しかし、エマルジョンPCR、微小流体細胞カプセル化を用いるデジタルPCRアプローチ、物理分配基板を用いるデジタルPCRを含む他の方法が、細胞を分配するために存在する。
供給源材料から天然TCR対を得ることが一般的に望ましい。なぜなら、TCR対の両方の鎖が、HLA-抗原結合および認識に寄与するからである。しかし、設定された特異性に対する単一鎖のハイスループットスクリーニングのように、単一の鎖だけの回収が望まれる場合がある。このような場合、TCRは、非分配細胞から増幅および/またはシーケンシングしてよい。

0054

多様化配列を有する全長TCR ORFを作製するためにTORESを使用する方法
TORESシステムは、いくつかの系統的な形態で多様化された全長TCR ORFを作製するために理想的に適する。このような系統的多様化は、TCR鎖についての親和性および/または機能成熟ワークフローに適用できる。標的TCR鎖配列のこのような多様化は、実施例9および10に詳しく記載する。
このようなTCR ORF配列多様化方法は、再構成反応と同じ全般的なスキームに従う。多様化は、単一のバリアントTCR ORFが反応当たり作製される多重並列再構成反応で行うことができる。しかし、ほとんどのシナリオでは、単一反応でバリアントTCR ORFのプールを作製することが望ましい。これらのアプローチのそれぞれは、各遺伝子成分(V-Cエントリーベクター、Jドナーベクター、odeCDR3)の1つ以上の多重バリアントを再構成反応に提供することにより達成される。
実施例9に記載するように、TCR ORFは、規定された位置的配列多様性を有するodeCDR3のプールを加えることにより、CDR3領域にて系統的に多様化できる。

0055

よって、CDR3領域におけるTCR ORF多様性を達成するためにTCRオープンリーディングフレームを選択および再構成する方法は:
a.TCRオープンリーディングフレーム配列を得る工程であって、前記配列情報が、i)可変遺伝子セグメント使用、ii)定常遺伝子セグメント使用、iii)連結遺伝子セグメント使用、iv)可変遺伝子セグメント境界から連結遺伝子セグメント境界にわたる全長CDR3配列を同定するために十分である工程と、
b.工程a.i)およびa.ii)でそれぞれ同定される可変および定常遺伝子セグメントに対応するV-Cエントリーベクターを選択する工程と、
c.工程a.iii)で同定される連結遺伝子セグメントに対応するJドナーベクターを選択する工程と、
d.バリアント配列組成を有する工程a.iv)で同定されるCDR3配列に対応する2つ以上のodeCDR3を作製する工程と、
e.i)V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターに存在する全てのIIS型制限酵素認識および切断部位を切断するIIS型制限酵素ならびにii)DNAリガーゼ酵素と反応させるためにb、cおよびdを組み合わせて、iii)組み合わせたミックスを熱サイクル反応に供する工程と、
f.工程e.で得られる反応生成物で、プラスミド複製能力を持つ選択可能な宿主生物を形質転換する工程と、
g.宿主生物の選択を行って、V-Cエントリーベクター主鎖内の全長の再構成されたTCRオープンリーディングフレームを得る工程と
を含み、a)は、当業者に公知のシーケンシング方法により行われ、4つ全ての必要な遺伝子エレメントを同定するために十分な配列の長さおよび質を得ることができ、b)およびc)は、必要なベクターを含むTORESライブラリから選択され、d)は、新規に合成されるか、またはodeCDR3ライブラリから選択され、e)は、単一反応槽で行われる。

0056

このような方法は、全てのodeCDR3バリアントを単一反応にプールして、配列多様化プールを作製することにより達成できるが、各odeCDR3バリアントを並行反応に供することによっても等しく達成され得る。
バリアントodeCDR3は、当業者に公知の様々な方法により作製できる。odeCDR3縮重/多様性の位置および程度の選択は、単一の位置での単一残基の変化から、odeCDR3の長さでの完全縮重配列までの範囲であり得る。
実施例10に記載するように、TCR ORFは、odeCDR3の提供によりCDR3領域を維持するが、2つ以上のV-Cエントリーベクターおよび/またはJドナーベクターを再構成反応に提供することによりV、CおよびJセグメント使用を多様化することにより、系統的に多様化できる。

0057

よって、多様化V、Cおよび/またはJセグメント使用を有するTCRオープンリーディングフレームを選択および再構成する方法は:
a.TCRオープンリーディングフレーム配列を得る工程であって、前記配列情報が、i)可変遺伝子セグメント使用、ii)定常遺伝子セグメント使用、iii)連結遺伝子セグメント使用、iv)可変遺伝子セグメント境界から連結遺伝子セグメント境界にわたる全長CDR3配列を同定するために十分である工程と、
b.工程a.i)およびa.ii)でそれぞれ同定される可変および定常遺伝子セグメントに対応しない2つ以上のV-Cエントリーベクターを選択する工程と、
c.工程a.iii)で同定される連結遺伝子セグメントに対応しない2つ以上のJドナーベクターを選択する工程と、
d.工程a. iv)で同定されるCDR3配列に対応するodeCDR3を作製する工程と、
e.i)V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターに存在する全てのIIS型制限酵素認識および切断部位を切断するIIS型制限酵素ならびにii)DNAリガーゼ酵素と反応させるためにb、cおよびdを組み合わせて、iii)組み合わせたミックスを熱サイクル反応に供する工程と、
f.工程e.で得られる反応生成物で、プラスミド複製能力を持つ選択可能な宿主生物を形質転換する工程と、
g.宿主生物の選択を行って、V-Cエントリーベクター主鎖内の全長の再構成されたTCRオープンリーディングフレームを得る工程と
を含み、a)は、当業者に公知のシーケンシング方法により行われ、4つ全ての必要な遺伝子エレメントを同定するために十分な配列の長さおよび質を得ることができ、b)およびc)は、必要なベクターを含むTORESライブラリから選択され、d)は、新規に合成されるか、またはodeCDR3ライブラリから選択され、e)は、単一反応槽で行われる。

0058

このような方法は、全てのV-Cエントリーベクターおよび/またはJドナーベクターバリアントを単一反応にプールして、配列多様化プールを作製することにより達成できるが、各ベクターバリアントを並行反応に供することによっても等しく達成され得る。
所定のライブラリからの各V-CエントリーおよびJドナーベクターを選択して、V、CおよびJ遺伝子セグメントを完全にカバーできる。
上記のCDR3ならびにV、CおよびJ多様化のいずれの組み合わせを用いても、多様化TCR ORFのプールまたはライブラリを作製できる。
このシステムを用いて、天然V、CおよびJ遺伝子セグメント使用を完全にカバーし、規定されたCDR3特徴を有するTCR ORFの完全合成ライブラリを作製できる。

0059

再構成/多様化方法に関するTORESの特徴
上記のように、単一IIS型制限酵素を用いる組立てサイクル反応を行うことが望ましい。このことは、制限酵素の使用を節約し、IIS型作用の性質、ならびに二成分ベクターシステムにおけるユニーク一本鎖突出およびodeCDR3の設計により可能になる。
あるいは、4つまでのIIS型制限酵素認識配列が、V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターの4つのIIS型認識部位にわたる。
TCR ORF生成物の効率的なクローニングのために:
a.反応生成物の制限酵素消化を行って、親のV-Cエントリーベクターを消去すること、
b.自殺遺伝子選択を行って、親のV-Cエントリーベクターで形質転換されたコンピテントな宿主を排除すること、および/または
c.レポーター同定により、親のV-Cエントリーベクターで形質転換された宿主細胞の選択を行うこと
から選択される少なくとも一工程のネガティブ選択を、TORESを用いる全長TCR ORFの組立て中に行い、ここで、ネガティブ選択を用いて、IIS型酵素により未消化のまま残ったかまたは消化の後に親の形に再びライゲーションされた親のV-Cエントリーベクターを排除する。
V-Cエントリーベクター主鎖、よってこの主鎖が有するポジティブ選択マーカーを、全長TCR ORF反応生成物を含むベクターのポジティブ選択に用いることを考えると、親のV-Cエントリーベクターの排除は重要である。

0060

この関係において、ネガティブ選択を、V-Cエントリーベクターから切り取られた反応副産物内で設計された制限酵素部位を用いて行う(図4d)。このネガティブ選択手順は、実施例7および8に記載する。
上記のネガティブ選択方法のいずれか1つまたは組み合わせを用いて、最終のクローニングされた生成物から親のV-Cエントリーベクターを排除できる。クローニングされた反応生成物の効率的な回収のためにクローニング効率が十分に高いとみられるならば、このようなネガティブ選択手順は省略してよい。
形質転換宿主生物におけるクローニングされた全長TCR ORF含有ベクターの選択が、最終のクローニングされた生成物を得るために必要である。このような選択は、当業者に公知である。

0061

宿主生物は、形質転換能力を持つ細菌であり、V-Cエントリーベクター主鎖内に含まれる全長TCR ORFを含む形質転換体の選択は、抗生物質選択を含む。このことは、形質転換された細胞が存在する培養系に抗生物質を加えることを必然的に伴い、この抗生物質に対する耐性は、V-Cエントリーベクター主鎖内の第一ポジティブ選択マーカーである遺伝子によりコードされる。
あるいは、形質転換体が存在する培養系の栄養要求性因子の除去がポジティブ選択の形であってよく、ここで、栄養要求性補完は、V-Cエントリーベクター主鎖内でコードされる遺伝子生成物により与えられる。上記のポジティブ選択の組み合わせを用いてよい。

0062

TORESを含むV-CエントリーベクターおよびJドナーベクターライブラリ
選択されたTCR ORFの再構成または多様化を行うためのTORESの効率的な運転のために、V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターライブラリの予備構築が必要である。各TCR鎖の形について特異的なこのライブラリから、odeCDR3配列を補完した場合に、標的TCR ORF配列のV/J/C使用を満足する選択が行われるのである。
V-CエントリーおよびJドナーベクターライブラリは、TCRを有する生物の全ての生殖系列TCR可変、定常および連結遺伝子セグメントを含むように構築してよい。このようなライブラリは、実施例3に示すTRB遺伝子座特異的TORESのように、V-Cエントリーベクター内に全てのV-C組み合わせを含んでもよく、このライブラリは、各可変セグメントに対する両方の定常遺伝子セグメントを有して複製される。

0063

V-CエントリーおよびJドナーベクターのライブラリは、コードされるタンパク質の翻訳されたアミノ酸配列が、生殖系列遺伝子セグメントによりコードされるタンパク質配列に対して改変されないように、V/J/C遺伝子セグメントを含んでよい。
このようなライブラリは、望ましくないIIS型認識配列、またはポジティブおよびネガティブ選択エレメントを有さないライブラリを作製するような、基礎の核酸配列における変化を許容する。基礎の核酸配列における変化は、異なる宿主生物からの細胞における再構成されたTCR鎖の発現のためのコドン最適化のために用いることもできる。
あるいは、V-CエントリーおよびJドナーベクターのライブラリは、コードされるタンパク質の翻訳されたアミノ酸配列が、生殖系列遺伝子セグメントによりコードされるタンパク質配列に対して改変されるように、V/J/C遺伝子セグメントを含んでよい。
このようなライブラリは、異なる診断または治療のための使用について最適化された特徴を有するTCRを構築するために用いることができる。V/J/C遺伝子セグメント内のフレームワーク残基または領域における変化は、可溶性試薬としてのTCRの発現のような様々なシナリオにおける発現または安定性を増すために用いることができる。同様に、直接のHLA-抗原接触に関与しないフレームワーク領域における変更は、TORESにより生成される再構成されたTCRのシグナル伝達能力を変更するために用いることができる。親和性タグまたは免疫原性配列も、下流の用途における再構成されたTCRの精製および/または検出を助けるように、フレームワーク領域内にコードされることができる。

0064

V-CエントリーおよびJドナーベクターライブラリは:
a.可変および定常遺伝子セグメントの組み合わせをコードする1つ以上のV-Cエントリーベクターと、
b.J遺伝子セグメントをコードする1つ以上のJドナーベクターと、
所望により、
c.陽性対照odeCDR3として、V-CエントリーベクターおよびJドナーベクター一本鎖突出とマッチする一本鎖突出を有する1つ以上の標準化odeCDR3と、
所望により、
d. 参照としての予め組立てられた全長TCR ORFと
の組み合わせを含むキットに組立てることができ、ここで、a)およびb)は、意図する用途のために適切な未改変または改変アミノ酸配列を有して、標的生物からの遺伝子セグメントの要求される遺伝的多様性をカバーし、c)は、再構成反応における陽性対照として用いられ、d)は、該キットで提供されるV-CエントリーベクターおよびJドナーベクターライブラリを用いて再構成された全長TCR ORFの下流の用途において陽性対照として用いられる。

0065

V-Cエントリーベクターを構築する方法
V-CエントリーおよびJドナーベクターライブラリの組立ては、必要なベクターの直接DNA合成を含む当業者に公知の様々な分子生物学の方法により達成できる。しかし、小遺伝子セグメント含有断片を用いる迅速で費用効果的な組み合わせアプローチが望ましい。このような方法により、TCRエンジニアリングワークフローのために重要なV-CエントリーおよびJドナーベクター形の迅速サイクリングが可能になる。同様に、同種間治療の状況においてTCR配列の免疫原性に対して機能的重要性または影響を有し得る、一ヌクレオチド多型および所定の集団の個体間のTCR遺伝子セグメントの他のアレルの差の原因となるように、所定のV-Cエントリーベクターおよび/またはJドナーベクターライブラリの迅速拡大を用いることができる。V-CエントリーベクターおよびJドナーベクターライブラリを組立てるための系統的な方法は、実施例1、2および3に詳しく記載する。

0066

V-Cエントリーを構築する方法は:
a.可変遺伝子セグメントクローニング断片、
b.定常遺伝子セグメントクローニング断片、
c.V-Cエントリーベクター主鎖
から選択される3つのDNA成分を組み合わせることを含み、ここで、a)は、可変遺伝子セグメントを含み、b)は、定常遺伝子セグメントを含み、c)は、可変および定常遺伝子断片がその中に組立てられるV-Cエントリーベクター主鎖である。
この状況において、可変遺伝子セグメントクローニング断片は:
a.断片のポリメラーゼ連鎖反応依存性増幅のための5'プライマーバインド配列、
b.3'方向に切断する向きの第五IIS型配列、
c.b.における第五IIS型配列に対するIIS型酵素反応の際の規定された一本鎖突出をコードする第一突出配列、
d.コザック配列、
e.TCR可変遺伝子セグメント、
f.第一IIS型配列、
g.ネガティブ選択マーカーの5'配列セグメント
h.g.におけるネガティブ選択マーカーの5'配列セグメント内で一本鎖突出が生じるように5'方向に切断する向きの第六IIS型配列、
i.断片のポリメラーゼ連鎖反応依存性増幅のための3'プライマーバインド配列
を含み、b)およびh)は、V-Cエントリーベクターの組立てに用いられたIIS型配列をコードし、f)は、再構成反応の運転に用いられたIIS型配列をコードし、g)は、定常遺伝子セグメントクローニング断片で提供される相補断片により完成されるネガティブ選択マーカー配列の断片である。

0067

可変遺伝子セグメントクローニング断片の模式図を、図5に示す。実施例1および3は、それぞれヒトTRAおよびTRB遺伝子座についてのV-Cエントリーベクターを組立てるためのこれらのクローニング断片のフォーマットおよび使用について記載する。
これらの実施例は、ヒトTRA可変遺伝子セグメントクローニング断片をSEQ0001〜SEQ0046、およびヒトTRB可変遺伝子セグメントクローニング断片をSEQ0435〜SEQ0481と規定する。
V-Cエントリーベクターを組立てるために、可変遺伝子セグメントクローニング断片を定常遺伝子セグメントクローニング断片と組み合わせなければならない。
定常遺伝子セグメントクローニング断片は:
a.断片のポリメラーゼ連鎖反応依存性増幅のための5'プライマーバインド配列、
b.c.におけるネガティブ選択マーカーの3'配列セグメント内で一本鎖突出が生じるように3'方向に切断する向きの第七IIS型配列、
c.ネガティブ選択マーカーの3'配列セグメント、
d.第二IIS型配列
e.TCR定常遺伝子セグメント
f.g.における第八IIS型配列に対するIIS型酵素作用の際に規定された一本鎖突出をコードする第二突出配列、
g.f.の突出配列内で一本鎖突出が生じるように5'方向に切断する向きの第八IIS型配列、
h.断片のポリメラーゼ連鎖反応依存性増幅のための3'プライマーバインド配列
を含み、b)およびg)は、V-Cエントリーベクターの組立てに用いられたIIS型配列をコードし、g)は、再構成反応の運転に用いられたIIS型配列をコードし、c)は、可変遺伝子セグメントクローニング断片で提供される相補断片により完成されるネガティブ選択マーカー配列の断片である。

0068

可変遺伝子セグメントクローニング断片の模式図を、図6に示す。実施例1および3は、それぞれヒトTRAおよびTRB遺伝子座についてのV-Cエントリーベクターを組立てるためのこれらのクローニング断片のフォーマットおよび使用について記載する。
これらの実施例は、ヒトTRB定常遺伝子セグメントクローニング断片をSEQ0047として、およびヒトTRB定常遺伝子セグメントクローニング断片をSEQ0482およびSEQ0483と規定する。
V-Cエントリーベクターを組立てるために、可変および定常遺伝子セグメントクローニング断片を、V-Cエントリーベクター主鎖に組み合わせる。
V-Cエントリーベクター主鎖は:
a.複製起点、
b.第一ポジティブ選択マーカー、
c.5'遺伝子エレメント、
d.主鎖の消化を許容して、組立て反応中にIIS型作用により可変遺伝子セグメントクローニング断片内で創出される突出に相補的な一本鎖突出を創出する第一制限酵素認識配列
e.主鎖の消化を許容して、組立て反応中にIIS型作用により定常遺伝子セグメントクローニング断片を創出する第二制限酵素認識配列 、
f.3'遺伝子エレメント
を含み、c)およびf)は、上記のように生物学的システムの区別における再構成されたTCR ORFの用途のために用いるための遺伝子エレメントである。

0069

V-Cエントリーベクター主鎖の模式図を、図7に示す。実施例1、3および4は、それぞれTRAおよびTRB遺伝子座のためのV-Cエントリーベクターを組立てるための異なるV-Cエントリーベクター主鎖の形のフォーマットおよび使用について記載する。
哺乳動物細胞において再構成されたTCR ORFの下流の一過性発現のために用いるV-Cエントリーベクター主鎖を、SEQ0048と規定し、再構成されたTCR ORFのリコンビナーゼ媒介カセット交換のために用いるV-Cエントリーベクター主鎖の対を、SEQ0688およびSEQ0689と規定する。

0070

異なるV-Cエントリーベクター主鎖への可変および定常遺伝子クローニング断片の迅速サイクリングは、与えられたV/J/C組み合わせから再構成されたTCR ORFのベクターの状況の特徴を変更するために費用効果的なアプローチである。このことにより、天然または合成TCR遺伝子セグメントライブラリを異なる生物学的用途に再割り当てすることの迅速な繰り返しが可能になる。
本明細書に記載する可変および定常遺伝子セグメントクローニング断片ならびにV-Cエントリーベクター主鎖の例のうちで、ベクター組立てのために用いるIIS型酵素は、BbsIであり、TCR ORF再構成のために用いるIIS型酵素は、BsaIである。V-Cエントリーベクター主鎖は、Acc65IおよびXbaIのための制限酵素認識部位を含んで、BbsI作用によりそれぞれ可変および定常遺伝子クローニング断片に作製される5'突出および3'突出に適合する突出を創出する。
制限酵素の任意の他の組み合わせは、上記の基準を満たす限り、組立ておよび再構成反応に用いることができる。

0071

好ましくは、上で第五、第六、第七および第八IIS型配列と示したV-Cエントリーベクターの組立てのために用いるIIS型配列は、同じである。
あるいは、4つまでの異なるIIS型認識配列をこの手順のために用いることができる。
上で第五、第六、第七および第八IIS型配列と示したV-Cエントリーベクターの組立てのために用いるIIS型配列は、上で第一、第二、第三および第四IIS型配列と示した再構成反応のために用いるものとは異ならなければならない。

0072

可変および定常遺伝子セグメントクローニング断片をV-Cエントリーベクター主鎖と組み合わせてV-Cエントリーベクターを組立てる方法は、実施例1および3に詳しく記載する。
V-Cエントリーベクターを組立てる方法は、
a.V-Cエントリーベクター主鎖内に含まれる認識配列に特異的な2つの制限酵素でのV-Cエントリーベクター主鎖の消化と、
b.消化したV-Cエントリーベクター主鎖を、DNAリガーゼ酵素ならびに第五、第六、第七および第八IIS型配列を認識する1つ以上のIIS型制限酵素とともに、Vクローニング断片およびCクローニング断片と組み合わせ、組み合わせたミックスを熱サイクル反応に供することと、
c.得られた反応生成物でのコンピテント宿主生物の形質転換および前記第一ポジティブ選択マーカーを用いるポジティブ選択により、完全V-Cエントリーベクターを得ることと
を含み、a)は、b)におけるIIS型酵素作用により可変および定常クローニング断片中に生じたものに相補的な一本鎖突出を創出し、b)は、a)において生じる突出とライゲーションされる突出を生じるための可変および定常断片の消化であり、可変および定常断片をライゲーションするためのネガティブ選択マーカー断片内で生じた相補性突出のライゲーションを許容し、c)は、V-Cエントリーベクター生成物の選択および増幅である。

0073

V-Cエントリーベクターおよび構築エレメントの一般的な特徴
上記の記載は、実施例1〜4にも概説するように、ヒトHLATRAおよびTRB遺伝子座をTORESシステムの規定のための鋳型として用いる。しかし、任意のTCR遺伝子座からの遺伝子セグメントファミリーをTORESに組立てることができる。上記の記載では、ヒトTRA/TRB遺伝子座の両方についてTORESシステムの設計のどこに自由度があるかについての手引きを与えるが、任意の生物からの任意の他の遺伝子座にも用いることができることについての手引きも与える。このセクションでは、システムの一般的な特徴を、実施例1〜4に鋳型として示すTRA/TRB設計を用いて記載する。
任意の所定のTCR遺伝子座についてTORESを達成するために、前記TCR遺伝子座によりコードされるTCR鎖に特異的な4つの配列エレメントが必要である:
X -可変(V)遺伝子セグメント断片
Y -定常(C)遺伝子セグメント断片
Y' - 定常(C)遺伝子セグメント部
Z - 連結(J)遺伝子セグメント断片。

0074

上記の記載および以下の実施例によると、これらの4つの形のTCR配列エレメントは、様々なベクターの状況に組立てて、任意の所定のTCR鎖についての任意の所定のV-J-C組み合わせについてTORESを構築および展開できる。例えば、天然ヒトTRGおよびTRD遺伝子座、バリアントおよび/または合成TCR鎖形あるいはヒト以外の生物の天然TCR鎖形についてのシステム。
VおよびC遺伝子セグメント断片は、それぞれVクローニング断片およびCクローニング断片によりV-Cエントリーベクターに組立てられるものである。このプロセスは、実施例1および3に詳しく記載する。
第一IIS型配列が酵素BsaIのための認識をコードし、第五および第六IIS型配列が酵素BbsIのための認識をコードし、可変遺伝子セグメントクローニング断片が、よって、配列SEQ0690により表される、一般的な可変遺伝子セグメントクローニング断片。コードされる可変遺伝子セグメント断片は、XNnで表され、ここで、Xは、可変遺伝子セグメントのことであり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、前記配列内のヌクレオチドの数を表す。

0075

第一IIS型配列が酵素BsaIのための認識をコードし、第七および第八IIS型配列が、酵素BbsIのための認識をコードし、定常遺伝子セグメントクローニング断片が、よって、配列SEQ0691により表される、一般的な定常遺伝子セグメントクローニング断片。コードされる定常遺伝子セグメント断片は、YNnで表され、Yは、定常遺伝子セグメントのことあり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、前記配列内のヌクレオチドの数を表す。
配列SEQ0048により表されるV-Cエントリーベクター主鎖は、哺乳動物宿主細胞における一過性発現または再構成された全長TCRオープンリーディングフレームのために適切なV-Cエントリーベクターを構築するために用いられ、ここで、第一および第二突出は、それぞれ主鎖のAcc65IおよびXbaI酵素作用により作製され、5'および3'遺伝子エレメントは、それぞれ構成性プロモータおよびポリアデニル化シグナルにより表される。
配列SEQ0688により表されるV-Cエントリーベクター主鎖は、適切な異種特異的リコンビナーゼ配列を有するマッチする遺伝子標的とのリコンビナーゼ媒介カセット交換のために適切なV-Cエントリーベクターを構築するために用いられ、ここで、第一および第二突出は、それぞれ主鎖のAcc65IおよびXbaI酵素作用により作製され、5'および3'遺伝子エレメントは、それぞれフリッパーゼ活性を駆動するF14およびF15異種特異的リコンビナーゼ配列により表される。
配列SEQ0689により表されるV-Cエントリーベクター主鎖は、マッチする異種特異的リコンビナーゼ配列を有する遺伝子標的とのリコンビナーゼ媒介カセット交換のために適切なV-Cエントリーベクターを構築するために用いられ、ここで、第一および第二突出は、それぞれ主鎖のAcc65IおよびXbaI酵素作用により作製され、5'および3'遺伝子エレメントは、それぞれフリッパーゼ活性を駆動するFRTおよびF3異種特異的リコンビナーゼ配列により表される。
上記の一般的なVクローニング断片、Cクローニング断片を選択されたV-Cエントリーベクター主鎖と組み合わせることにより、バリアントV-Cエントリーベクターを、これらの変動するベクターの状況内で再構成されるTCR ORFの異なる下流の用途のために構築できる。

0076

配列SEQ0048を有するV-Cエントリーベクター主鎖を用いて構築される一般的なV-Cエントリーベクターを、配列SEQ0692により表す。この得られるV-Cエントリーベクターは、哺乳動物宿主細胞における一過性発現または再構成された全長TCRオープンリーディングフレームのために適切であり、ここで、第一および第二IIS型配列は、酵素BsaIのための認識をコードし、可変遺伝子セグメント断片は、XNnで表され、定常遺伝子セグメント断片は、YNnで表され、XおよびYは、前記配列のことであり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、各配列内のヌクレオチドの数を表す。
配列SEQ0688を有するV-Cエントリーベクター主鎖を用いて構築される一般的なV-Cエントリーベクターは、マッチする異種特異的リコンビナーゼ配列を有する遺伝子標的とのリコンビナーゼ媒介カセット交換のために適切なF14およびF15配列を含む配列SEQ0693により表され、ここで、第一および第二IIS型配列は、酵素BsaIのための認識をコードし、可変遺伝子セグメント断片は、XNnで表され、定常遺伝子セグメント断片は、YNnで表され、XおよびYは、前記配列のことであり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、各配列内のヌクレオチドの数を表す。
配列SEQ0689を有するV-Cエントリーベクター主鎖を用いて構築される一般的なV-Cエントリーベクターは、マッチする異種特異的リコンビナーゼ配列を有する遺伝子標的とのリコンビナーゼ媒介カセット交換のために適切なFRTおよびF3配列を含む配列SEQ0694により表され、ここで、第一および第二IIS型配列は、酵素BsaIのための認識をコードし、可変遺伝子セグメント断片は、XNnで表され、定常遺伝子セグメント断片は、YNnで表され、XおよびYは、前記配列のことであり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、各配列内のヌクレオチドの数を表す。

0077

異なる異種特異的リコンビナーゼ部位を有するV-Cエントリーベクターの対の使用は、ヒトTRAおよびTRB鎖対について実施例4に示すように、TCR鎖対の各鎖について用いてよい。このことは、この対形成したTORESシステムにおいて再構成されるTCR鎖の下流の用途において、二重の異種特異的リコンビナーゼレシーバ部位を用いて遺伝子の状況においてこれを送達できることを意味する。例えば、TCR鎖対のゲノム組込みのためのこのような二重の異種特異的リコンビナーゼレシーバ部位を含む株化細胞。
V-Cエントリーベクターおよびそれを組立てる成分についての上の記載は、それぞれ構築および運転のためのIIS型酵素BbsIおよびBsaIの使用に基づく。上に示す手引きに基づいて、1つ以上の代わりのIIS型酵素を、これらの任務のそれぞれのために用いてよい。

0078

Jドナーベクターを構築する方法
V-Cエントリーベクターの構築のための上記の組み合わせ方法について、組み合わせ方法は、Jドナーベクターを構築するために用いてよい。本方法において、Jドナーベクターは、第一工程において中間J受入カセットベクターを構築し、第二工程においてそこにJセグメント部を挿入してJドナーベクターを形成することを含む二工程プロセスで構築される。この状況において、Jドナーベクターがそこから導かれるJ受入カセットベクターは、C部と呼ばれる定常遺伝子セグメントの小さい断片を含む。よって、迅速な組み合わせ方法または構築は、定常遺伝子セグメントの異なる仕様を必要とする異なるJドナーベクター形を繰り返すために望ましい。この方法は、実質的に実施例2および3に詳しく記載する。

0079

Jドナーベクターを構築する方法は:
a.J受入カセット断片
b.Jドナーベクター主鎖
c.J受入カセットベクター
d.Jセグメント部
から選択される4つのDNA成分を組み合わせることを含み、a)は、ベクター組立ておよび再構成反応運転のための上記のC部および4つの異なるIIS型クローニング部位を含み、b)は、1つが挿入されてc)を創出するベクター主鎖であり、d)は、c)と組み合わされてJドナーベクターを創出するJ遺伝子セグメント部である。
J受入カセット断片は:
a.Jドナーベクター主鎖に作製される突出配列に相補的な5'末端での第一一本鎖突出、
b.c.で述べる第九IIS型配列により駆動される酵素が作用した場合に一本鎖突出を形成する配列と連結される、3'方向に切断する向きの第三IIS型配列、
c.5'方向に切断する向きであり、b.に述べる一本鎖突出を創出する第九IIS型配列、
d.ネガティブ選択マーカー、
e.3'方向に切断する向きであり、f.に記載する配列の5'側にて一本鎖突出を創出する第十IIS型配列、
f.第十IIS型配列により駆動される酵素作用により作製される5'末端での突出配列と、g.で述べる第四IIS型配列により駆動される酵素作用により作製される3'末端での突出配列とを有する、定常遺伝子断片の5'部分を表すC部、
g.gで述べるC部を含む5'配列内で一本鎖突出が作製されるように5'方向に切断する向きの第四IIS型配列、
h.Jドナーベクター主鎖内に作製される突出配列に相補的(commentary)である3'末端の第二一本鎖突出
を含み、a)およびh)は、Jドナーベクター主鎖への定方向クローニングのために用いられ、b)およびg)は、再構成反応の運転において用いられるIIS型配列をコードし、c)およびe)は、Jドナーベクターの組立てに用いるIIS型配列をコードし、d)は、Jドナーベクターの組立て中に親のJ受入カセットベクターの排除のためのネガティブ選択マーカーであり、f)は、Jドナーベクターが有する定常遺伝子セグメントの断片である。

0080

J受入カセット断片の模式図を、図8に示す。実施例2および3は、それぞれヒトTRAおよびTRB遺伝子座についてのJ受入カセットベクターを組立てるためのJ受入カセット断片のフォーマットおよび使用について記載する。
この状況において、J受入カセット断片は、両末端に一本鎖突出を有するDNA二重鎖をもたらす部分相補的一本鎖オリゴヌクレオチドアニールすることにより形成される。
TRA遺伝子座についてのJ受入カセット断片を、SEQ0098およびSEQ0099として記載する。
TRB遺伝子座についてのJ受入カセット断片を、SEQ0578およびSEQ0581として記載し、ここで、2つの形は、ヒトTRB遺伝子座にて利用される2つの定常遺伝子セグメントの原因となるように存在する。
示す例では、J受入カセット断片、Jドナーベクター組立てのために用いるIIS型酵素は、BbsIであるが、TCR ORF再構成のために用いるIIS型酵素は、BsaIである。

0081

Jドナーベクター主鎖は:
a.複製起点、
b.第二ポジティブ選択マーカー、
c.主鎖の消化を許容して、J受入カセット断片内の突出に相補的な一本鎖突出を創出する第一制限酵素認識配列、
d.主鎖の消化を許容して、J受入カセット断片内の突出に相補的な一本鎖突出を創出する第二制限酵素認識配列
を含み、c)およびd)は、ユニーク相補的突出配列の使用により、J受入カセット断片の定方向クローニングを許容する。
Jドナーベクター主鎖は、図9に模式的に示し、実施例2および3に詳細に記載する。Jドナーベクター主鎖配列は、SEQ0097として表す。

0082

Jドナーベクター主鎖は、EcoRIおよびXhoIについての制限酵素認識部位を含んで、J受入カセット遺伝子クローニング断片で提供される5'突出および3'突出に適合する突出を創出する。
制限酵素の任意の他の組み合わせは、上記の基準を満たす限り、組立ておよび再構成反応に用いることができる。
J受入カセット断片とJドナーベクター主鎖とを組み合わせることによりJ受入カセットベクターを作製する方法は、実施例2および3に詳しく記載する。
J受入カセットベクターは、TRAJ受入カセット断片とTRAJ Jドナーベクター主鎖とを組み合わせることにより構築し、方法は:
a.Jドナーベクター主鎖内に含まれる認識配列に特異的な2つの制限酵素でのJドナーベクター主鎖の消化と、
b.消化したJドナーベクター主鎖を、DNAリガーゼ酵素を用いて、J受入カセット断片と組み合わせることと、
c.得られた反応生成物でのコンピテント宿主生物の形質転換および前記第二ポジティブ選択マーカーを用いるポジティブ選択により、完全J受入カセットベクターを得ることと、
を含み、a)は、J受入カセット断片内に含まれるものに相補的な一本鎖突出を創出し、b)は、J受入カセットベクターを形成するための相補的突出のライゲーションであり、c)は、J受入カセットベクター生成物の選択および増幅である。

0083

J受入カセットベクターの模式図を、図10に示す。実施例2および3は、それぞれヒトTRAおよびTRB遺伝子座についてのJ受入カセットベクターの構築を記載する。
TRA遺伝子座についてのJ受入カセットベクターは、SEQ0098として記載するが、TRB遺伝子座についてのものは、SEQ0582およびSEQ0583として記載する。TRB遺伝子座は、2つの定常遺伝子セグメントを用い、よって、レプリカTRB J受入カセットベクターは、各定常遺伝子セグメントに特異的なC部配列を含む。
J受入カセットベクターは、Jセグメント部と組み合わせて、Jドナーベクターを創出する。Jセグメント部は、J遺伝子セグメントのまとまりをコードする。

0084

前記Jセグメント部は:
a.第九IIS型配列により駆動される酵素が作用した場合にJ受入カセットベクターに作製される突出に相補的である、5'末端での第一一本鎖突出配列、
b.連結遺伝子セグメント部、
c.第十IIS型配列により駆動される酵素が作用した場合にJ受入カセットベクターに作製される突出に相補的である、3'末端での第二一本鎖突出配列、
を含み、a)およびc)は、組立て反応において提供されるIIS型酵素により消化されるJ受入カセットベクターへのJセグメント部の定方向クローニングを駆動し、b)は、Jドナーベクター生成物が有することとなる連結遺伝子セグメントをコードする。
Jセグメント部の模式図を、図11に示す。実施例2および3は、それぞれヒトTRAおよびTRB遺伝子座についてのJドナーベクターを構築するために用いるJセグメント部を記載する。

0085

ヒトTRA遺伝子座のJ遺伝子セグメント使用にわたる短いJセグメント部は、SEQ0099〜SEQ0210として記載し、ここで、Jセグメント部は、両末端に一本鎖突出を有するDNA二重鎖をもたらす部分相補的一本鎖オリゴヌクレオチドをアニールすることにより作製される。
短いJセグメント部は、実施例2および3に示すように、最小限の長さの標準化Jセグメント部を有するJドナーベクターを作製するために用いることができる。

0086

長いJセグメント部は、J遺伝子セグメントの拡張されたカバー範囲を有するJドナーベクターを作製して、TCR再構成反応において用いるodeCDR3のサイズを最小限にするために用いることができる。odeCDR3エレメントを短くすることは、該エレメントの合成費用を節約し、これらのオリゴヌクレオチド二重鎖内の変異負荷も最小限にする。
ヒトTRA遺伝子座のJ遺伝子セグメント使用にわたる長いJセグメント部は、SEQ0211〜SEQ0322として記載し、ここで、Jセグメント部は、両末端に一本鎖突出を有するDNA二重鎖をもたらす部分相補的一本鎖オリゴヌクレオチドをアニールすることにより作製される。
ヒトTRB遺伝子座のJ遺伝子セグメント使用にわたる短いJセグメント部は、SEQ0584〜SEQ0609として記載し、ここで、Jセグメント部は、両末端に一本鎖突出を有するDNA二重鎖をもたらす部分相補的一本鎖オリゴヌクレオチドをアニールすることにより作製される。
ヒトTRB遺伝子座のJ遺伝子セグメント使用にわたる長いJセグメント部は、SEQ0610〜SEQ0635として記載し、ここで、Jセグメント部は、両末端に一本鎖突出を有するDNA二重鎖をもたらす部分相補的一本鎖オリゴヌクレオチドをアニールすることにより作製される。

0087

この状況において、上で第九および第十IIS型配列と示したJドナーベクターの組立てのために用いるIIS型配列は、同じである。
あるいは、2つの異なるIIS型認識配列をこの手順のために用いることができる。
上で第九および第十IIS型配列と示したJドナーベクターの組立てのために用いるIIS型配列は、上で第一、第二、第三および第四IIS型配列と示した再構成反応のために用いるものとは異ならなければならない。
上で第九および第十IIS型配列と示したJドナーベクターの組立てのために用いるIIS型配列は、上で第五、第六、第七および第八IIS型配列と示したV-Cエントリーベクターを組立てるために用いるものと同じである。
V-CエントリーおよびJドナーベクターを組立てるために用いるこれらのIIS型配列は、同じまたは異なる必要はない。なぜなら、これらは、独立して処理されるからである。

0088

Jセグメント部は、マッチするC部を含むJ受入カセットベクターと組み合わせて、Jドナーベクターを生じる。
Jドナーベクターは、Jドナーベクター主鎖をJセグメント部と組み合わせることにより構築され、方法は:
a.DNAリガーゼ酵素ならびに第九および第十IIS型配列を認識する1つ以上のIIS型制限酵素とともに、J受入カセットベクターをJセグメント部と組み合わせ、組み合わせたミックスを熱サイクル反応に供することと、
b.得られた反応生成物でのコンピテント宿主生物の形質転換および前記第二ポジティブ選択マーカーを用いるポジティブ選択により、完全Jドナーベクターを得ることと
を含み、工程a)における第九および第十IIS型配列に対するIIS型酵素作用は、ネガティブ選択マーカー配列の切り出しにより、J受入カセットベクター内に一本鎖突出を創出する。
得られるJドナーベクターの模式図を、図3に示す。実施例2および3は、それぞれヒトTRAおよびTRB遺伝子座についてのJドナーベクターを構築するためのJセグメント部およびJ受入カセットベクターについて記載する。

0089

ヒトTRA遺伝子座についての短いJセグメントを含むJドナーベクターは、SEQ0323〜SEQ0378として記載し、ヒトTRA遺伝子座についての長いJセグメントを含むJドナーベクターは、SEQ0379〜SEQ0434として記載する。
C1定常遺伝子セグメントと対形成したヒトTRB遺伝子座についての短いJセグメントを含むJドナーベクターは、SEQ0636〜SEQ0648として記載し、ヒトTRA遺伝子座についての長いJセグメントを含むJドナーベクターは、SEQ0662〜SEQ0674として記載する。
C2定常遺伝子セグメントと対形成したヒトTRB遺伝子座についての短いJセグメントを含むJドナーベクターは、SEQ0649〜SEQ0661として記載し、ヒトTRA遺伝子座についての長いJセグメントを含むJドナーベクターは、SEQ0675〜SEQ0687として記載する。

0090

提供する例において、Jドナーベクターを組立てるために用いるIIS型酵素は、BbsIであり、TCRの再構成において用いるIIS型酵素は、BsaIである。ネガティブ選択マーカーは、NotI制限酵素配列である。
Jドナーベクターを構築する方法も、形質転換および選択の前に親のJ受入カセットベクターを排除するネガティブ選択工程を必然的に伴う。
提供する例において、このネガティブ選択は、形質転換および選択の前に親のJ受入カセットベクターを排除するNotI消化を必然的に伴う。

0091

Jドナーベクターおよび構築エレメントの包括的な特徴
上および以下の実施例5で記載するように、V-CエントリーおよびJドナーベクターライブラリのいくつかの特徴は、TCR遺伝子セグメントエレメントを一般的な状況において構築してTORESシステムを達成する程度に、一般的であり得る。
任意の所定のTCR遺伝子座についてTORESを達成するために、前記TCR遺伝子座によりコードされるTCR鎖に特異的な4つの配列エレメントが必要である:
X -可変(V)遺伝子セグメント断片
Y -定常(C)遺伝子セグメント断片
Y' - 定常(C)遺伝子セグメント部
Z - 連結(J)遺伝子セグメント断片。

0092

上記の記載および以下の実施例によると、これらの4つの形のTCR配列エレメントは、様々なベクターの状況に組立てて、任意の所定のTCR鎖についての任意の所定のV-J-C組み合わせについてTORESを構築および展開できる。例えば、天然ヒトTRGおよびTRD遺伝子座、バリアントおよび/または合成TCR鎖形あるいはヒト以外の生物の天然TCR鎖形についてのシステム。
C遺伝子セグメント部およびJ遺伝子セグメント断片は、それぞれJ受入カセット断片およびJクローニング断片によりJドナーベクターに組立てられるものである。このプロセスは、実施例2および3に詳しく記載する。
第三および第四IIS型配列が、酵素BsaIのための認識をコードし、第九および第十IIS型配列が、酵素BbsIのための認識をコードし、ネガティブ選択マーカーが、NotI制限酵素認識配列である、配列SEQ0695およびSEQ0696で表される包括的なJ受入カセット断片。この配列内で、コードされるC部は、Y'Nnで表され、ここで、Y'は、C部のことであり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、前記配列内のヌクレオチドの数を表す。

0093

J受入カセット断片は、部分相補的配列と配列の対で表される一本鎖オリゴヌクレオチドをアニールすることにより作製される。
上記の包括的J受入カセット断片を有するJ受入カセットベクターを構築するためのJドナーベクター主鎖は、SEQ0097で表され、ここで、制限酵素EcoRIおよびXhoIを用いて、J受入カセット断片配列の挿入のために必要な一本鎖DNA突出を作製する。
配列SEQ0695およびSEQ0696で表されるJ受入カセット断片から作製されるJ受入カセット断片と、配列SEQ0097で表されるJドナーベクター主鎖との組み合わせにより構築されるJ受入カセットベクターは、よって、SEQ0697で表される。この得られるJ受入カセットベクター内で、第三および第四IIS型配列は、酵素BsaIのための認識をコードし、第九および第十IIS型配列は、酵素BbsIのための認識をコードし、ネガティブ選択マーカーは、NotI制限酵素認識配列である。J受入カセット断片から導かれるように、コードされるC部は、Y'Nnで表され、ここで、Y'は、C部のことであり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、前記配列内のヌクレオチドの数を表す。

0094

J受入カセットベクターは、挿入されてJドナーベクターを与えるJセグメント部を有する。
SEQ0697で表される包括的なJ受入カセットベクターに挿入されて用いられる包括的なJセグメント部は、よって、相補配列SEQ0698およびSEQ0699により表され、ここで、J遺伝子セグメント部は、ZNnで表され、Zは、J遺伝子セグメントのことであり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、前記配列内のヌクレオチドの数を表す。
Jセグメント部は、SEQ0698およびSEQ0699で表される2つの一本鎖オリゴヌクレオチドをアニールすることにより作製される。
SEQ0697により表されるJ受入カセットベクターと、相補配列SEQ0698およびSEQ0699により表されるJセグメント部との組み合わせから組立てられる包括的なJドナーベクターは、よって、配列SEQ0700で表される。この得られるJドナーベクターは、よって、ZNnおよびY'Nnの2つのアノテート配列挿入断片を含み、ここで、Zは、J遺伝子セグメントのことであり、Y'は、Cセグメント部の名称であり、Nは、任意のヌクレオチドを表し、nは、前記配列内のヌクレオチドの数を表す。
V-Cエントリーベクターおよびそれらを組立てるための成分についての上の記載は、それぞれ構築および運転のためのIIS型酵素BbsIおよびBsaIの使用に基づく。上に示す手引きに基づいて、1つ以上の代わりのIIS型酵素を、これらの任務のそれぞれのために用いてよい。

0095

診断および治療のための規定されたベクターの状況における全長TCR ORFの使用
疾患の処置のためのT細胞免疫の活用における重要な課題は、TCRレパートリの膨大な個体内での内容とともに、HLAおよびTCRシステムの個体間多様性である。このことは、TCRの評価および/または提供に依拠する医薬品および治療方策が、真の生物学的状況におけるTCRの確固とした評価を必要とする。
天然TCR鎖対の正確な評価を達成するために、把握したTCR ORFを規定されたベクターの状況で与えるための信頼できる費用効果的なハイスループット方法が必要である。任意の所定の鎖対のためのTORESは、そのようなTCR ORFを送達する手段である。
TCR ORFのための規定されたベクターの状況は、例えば、実施例8に記載するように、例えばヒト細胞表面上でそれによりTCRを迅速に特徴決定できる一過性発現ベクターであり得る。この例では、TCRを配列決定し、再発現させて、期待される特異性を確認できる。このことにより、確認されたTCR配列を用いて、個別化ベースでの免疫治療介入中に診断手順のために配列または増幅もしくはプローブベースアッセイによりTCRクローン形質の量を追跡できる。同様に、TCR鎖対の迅速な把握および確認は、医薬化合物としての可溶性TCR構築物の送達または細胞治療薬としてのエフェクター細胞内のTCRの提供のような個別化医薬品において前記TCR対を提供できることを意味する。

0096

同様のアプローチにおいて、TORESシステムは、実施例9および10に概説するように、特異性および/または機能を変更するためのTCR ORFのエンジニアリングに理想的に適切である。このエンジニアリングを用いて、シグナル伝達強度を増進もしくは低減し、かつ/または特異的疾患抗原に向かってTCR鎖対の特異性を変更もしくは再指向できる。このようなエンジニアリングされたTCR配列は、天然TCR鎖対の代わりに個別化した免疫療法方策で用いることができる。

0097

二方向TCR ORF再構成およびエンジニアリングシステム(TORES2)
上記のTORESシステムは、独立した二部分ベクターライブラリシステム内の各TCR鎖を処理する。よって、TORES運転の生成物は、再構成されたTCR ORFをコードする別個のベクターである。別の態様では、本発明は、二工程方法を用いて相互性TCR鎖対を単一生成物ベクターに接続する代替のシステムを提供する。このことは、改変V-CエントリーベクターをTORESシステムのJドナーベクターおよびodeCDR3と組み合わせて、別個の反応においてTCR鎖対の再構成を達成する五成分ベクターライブラリシステムで達成される。改変V-Cエントリーベクターにより、次いで、第五ベクター成分である二方向ターミネータドナーベクター(BiTドナー)を加えることにより再構成TCR ORFが第二工程においてつながって、逆平行コーディングセンスにおいて2つのTCR OFR対をコードするベクターが達成できる。

0098

この二方向TORES(TORES2)は、相互性鎖対のエレメントをコードするV-Cエントリーベクターに対する改変が非対称であるので、組み合わせた五成分ベクターシステムである。V-Cエントリーベクターが別々の手はずを含むことを意味する。つまり、1つの鎖の再構成されたORFは、第一工程の生成物ベクターから切り出され、第一工程の相互性生成物ベクター中にアンチセンスの向きでライゲーションされる。よって、V-Cエントリーベクターの対形成が重要である。なぜなら、TORES2システムの元のV-Cエントリーベクターの1つが、最終生成物主鎖であり、よって、再構成され、つながれたTCR対の下流の用途のための所望の3'および5'遺伝子エレメントをコードするからである。明確さのために、以下の記載および例は、TRA鎖を最終生成物主鎖(例えばV-Cαエントリーベクター)およびTRBをこの最終生成物主鎖に組み込まれる鎖(例えばV-Cβエントリーベクター)と固定する。相互性配置は、相互性TCR鎖対の任意の他の組み合わせのように等しくあてはまる。

0099

TORES2のV-Cエントリーベクター成分
上記のように、TORES2を含む五成分ベクターライブラリシステムは、改変V-Cエントリーベクターの状況の提供においてTORESシステムとは異なる。これらの改変は、第一工程においてTCR ORF再構成に利用されたものから別々のIIS型部位(IIS型#2とラベルを付す)およびネガティブ選択エレメント(-ve選択#2とラベルを付す)を組み込んで、第二工程において再構成されたORFを単一ベクターに接続することを駆動する。実際上、TORES2システムは、TORESシステムを新しいV-Cエントリーベクターの状況内に組み込む。以下の記載は、TRA鎖を最終生成物の主鎖として、そしてTRB鎖を再構築されたTRA鎖主鎖にアンチセンスの向きでライゲーションされるものとして取り扱う。同じフレームワークを、TCR鎖の任意の対に当てはめることができ、TCR鎖のいずれかがなぜ記載するベクターの配置の一方又は他方になければならないかについて、特定の理由はない。

0100

V-Cαエントリーベクターは:
a.複製起点、
b.第一ポジティブ選択マーカー、
c.1つ以上の5'遺伝子エレメント、
d.コザック配列、
e.TCRアルファ可変遺伝子セグメント、
f.IIS型制限酵素による部位特異的認識および切断のための第一IIS型配列(IIS型酵素#1について)、
g.第一ネガティブ選択マーカー、
h.第二IIS型配列(IIS型酵素#1について)、
i.TCR定常遺伝子セグメント、
j.第三IIS型配列(IIS型制限酵素#2について)、
k.第二ネガティブ選択マーカー、
l.第四 IIS型配列(IIS型制限酵素#2について)、ならびに
m.1つ以上の3'遺伝子エレメント
を含み、ここで、a)およびb)は、細菌宿主内での親のV-Cエントリーベクターおよび再構成されたTCR含有ベクターの両方の増幅および選択のために用いられ、c)およびm)は、再構成され、つながれた全長TCR ORFの下流の用途を規定するために用いられ、TORESについて上で記載したエレメントを含んでよく、d)は、真核細胞での効率的な翻訳開始を確実にし、これは、原核生物および古細菌における移行制御のためのShine-Dalgarno配列の代わりであり得、e)は、開始コドンから、所定の二成分ベクターシステムにおける全てのVセグメントにわたって保存されるCDR3領域の5'端でのモチーフまでの可変(V)アルファ遺伝子セグメントであり、f)は、IIS型制限酵素を駆動して、5'方向に切断してV遺伝子セグメントの3'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するIIS型#1認識配列であり、g)は、システムの運転中に親のV-Cエントリーベクターを排除して全長TCR ORFを再構成するネガティブ選択マーカー#1であり、h)は、IIS型制限酵素を駆動して、3'方向に切断してC遺伝子セグメントの5'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するIIS型認識配列#1であり、i)は、所定の二成分ベクターシステムにおける全てのCセグメントにわたって保存されるC遺伝子セグメントの5'末端でのモチーフからの定常(C)遺伝子セグメントであり、これは、Jセグメントとの境界を定め(図2および4を参照されたい)、j)は、IIS型制限酵素を駆動して、5'方向に切断してC遺伝子セグメントの後に3'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するIIS型#2認識配列であり、このIIS型酵素は、第一および第二IIS型#1酵素とは異なり、k)は、二方向ベクター構築物を創出する運転中に親のTRA ORFベクターを消去するネガティブ選択マーカー#2であり、これは、第一ネガティブ選択マーカーとは別であり、l)は、IIS型制限酵素を駆動して、3'方向に切断して3'遺伝子エレメントの前に標準化された一本鎖突出を創出するIIS型#2認識配列であり、このIIS型酵素は、第一および第二IIS型#1酵素とは異なり、m)は、1つ以上の3'遺伝子エレメントである。
上記のV-Cαエントリーベクターの配置を、図20aに示す。

0101

通常、第一および第二IIS型酵素(IIS型#1と称する)は、同じであるが、異なっていてもよい。同様に、第三および第四IIS型酵素(IIS型#2と称する)は、一般的に同じであるが、異なっていてもよい。重要なことには、第一および第二IIS型(IIS型#1)部位に用いられるIIS型酵素は、第三および第四IIS型(IIS型#2)部位に用いられる酵素と異ならなければならない。
V-Cαエントリーベクター主鎖は、実施例11に示すようにSEQ0756で表される。
以下の実施例11は、ヒトTRA遺伝子座についてのTORES2のV-Cαエントリーベクター(SEQ0756)を表し、ここで、V/C配列のいくつかは、第三および第四部位において用いられるIIS型酵素がない点でTORESシステムに組み込まれるものと比較して改変されている(SEQ0757〜SEQ0763)。

0102

V-Cβエントリーベクターは:
a.複製起点、
b.第一ポジティブ選択マーカー、
c.1つ以上の5'遺伝子エレメント、
d.IIS型#2制限酵素による部位特異的認識および切断のための第一IIS型配列
e.コザック配列、
f.TCRベータ可変遺伝子セグメント、
g.IIS型制限酵素(IIS型#1)による部位特異的認識および切断のための第二IIS型配列、
h.第一ネガティブ選択マーカー、
i.第三IIS型配列(IIS型#1)、
j.TCR定常遺伝子セグメント、
k.第四IIS型配列(IIS型#2)、
l.第二ネガティブ選択マーカー、および
m.1つ以上の3'遺伝子エレメント
を含み、ここで、a)およびb)は、細菌宿主内での親のV-Cエントリーベクターおよび再構成されたTCR含有ベクターの両方の増幅および選択のために用いられ、c)およびm)は、TORESシステムについて上記したような再構成された全長TCR ORFの下流の用途を場合によって規定し、d)は、IIS型制限酵素を駆動して、3'方向に切断して5'遺伝子エレメントの後およびコザック配列の前に標準化された一本鎖突出を創出するIIS型#2認識配列であり、このIIS型酵素は、第二および第三IIS型#1酵素とは異なり、e)は、真核細胞での効率的な翻訳開始を確実にし、これは、原核生物および古細菌における移行制御のためのShine-Dalgarno配列の代わりであり得、f)は、開始コドンから、所定の二成分ベクターシステムにおける全てのVセグメントにわたって保存されるCDR3領域の5'端でのモチーフまでの可変(V)遺伝子セグメントであり、g)は、IIS型制限酵素を駆動して、5'方向に切断してV遺伝子セグメントの3'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するIIS型#1認識配列であり、h)は、システムの運転中に親のV-Cエントリーベクターを排除して全長TCR ORFを再構成するネガティブ選択マーカーであり、i)は、IIS型制限酵素を駆動して、3'方向に切断してC遺伝子セグメントの5'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するIIS型#1 認識配列であり、j)は、所定の二成分ベクターシステムにおける全てのCセグメントにわたって保存されるC遺伝子セグメントの5'末端でのモチーフからの定常(C)遺伝子セグメントであり、これは、Jセグメントとの境界を定め(図2および4を参照されたい)、k)は、IIS型制限酵素を駆動して、5'方向に切断してCセグメントの後であるが3'遺伝子エレメントの前に標準化された一本鎖突出を創出するIIS型#2認識配列であり、このIIS型酵素は、第二および第三IIS型#1酵素とは異なり、m)は、第二ネガティブ選択マーカーであり、これは、第一ネガティブ選択マーカーとは異なり、l)は、1つ以上の3'遺伝子エレメントである。
上記のV-Cβエントリーベクターの配置を図20bに示す。

0103

3'および5'遺伝子エレメントは、V-Cβエントリーベクターの状況において、任意選択である。なぜなら、このベクター内で再構成されたORFは、後で切り出され、V-Cαエントリーベクター主鎖の状況にライゲーションされるからである。これは、V-Cαエントリーベクター主鎖である。
通常、第二および第三IIS型酵素(IIS型#1と称する)は、同じであるが、異なっていてもよい。同様に、第一および第四IIS型酵素(IIS型#2と称する)は、一般的に同じであるが、異なっていてもよい。重要なことには、第二および第三IIS型部位(IIS型#1)に用いられるIIS型酵素は、第一および第四IIS型部位(IIS型#2)に用いられる酵素と異ならなければならない。

0104

通常、V-Cαエントリーベクターの第一および第二IIS型部位(IIS型#1)は、V-Cβエントリーベクターの第二および第三と同じであるが、その必要はない。なぜなら、これらの反応は、独立して行うことができるからである。V-Cαエントリーベクターの第一および第二IIS型部位が、V-Cβエントリーベクターの第二および第三IIS型部位のものから異なるならば、記載するシステムにおけるTRA鎖およびTRB鎖の再構成は、単一反応で行うことができる。
通常、V-Cαエントリーベクターの第三および第四IIS型部位(IIS型#2)は、第二反応の接続反応に単一のIIS型酵素(IIS型#2)の添加だけを必要とするために、V-Cβエントリーベクターの第一および第四と同じである。
通常、V-CαおよびV-Cβエントリーベクターのそれぞれの第二ネガティブ選択マーカー(-ve選択#2)は、TORES2運転の接続工程において親のベクターの効率的なネガティブ選択を容易にするために、同じであるが、異なっていてもよい。
V-Cβエントリーベクター主鎖は、実施例11に示すように、SEQ0764により表される。
以下の実施例11は、ヒトTRB遺伝子座についてのTORES2のV-Cβエントリーベクター(SEQ0764)を表す、ここで、V/C配列のいくつかは、第一および第四部位において用いられるIIS型酵素がない点で、TORESシステムに組み込まれるものと比較して改変されている(SEQ0765〜SEQ0776)。

0105

TORES2のJドナーおよびodeCDR3成分
JドナーベクターおよびCDR3をコードするオリゴヌクレオチド二重鎖は、従来のTORESについて既に上で記載したものと同じである。これらはともに、第一工程反応において用いて、TORESについて上で記載したものと同一の手順において、指定したV-Cエントリーベクター主鎖の状況内で相互性TCR鎖対を再構成する。

0106

TORES2の二方向ターミネータドナーベクター(BiTドナー)
TORES2の最初の四つのベクターライブラリ成分は、TRA/TRBに焦点を当てた記載においてTRAおよびTRB鎖のそれぞれについてのJドナーベクターとともにV-CαおよびV-Cβエントリーベクターである。ここでもまた、記載する設計原理に従ってこのシステムに任意のTCR鎖を組み込むことができ、特定のTRAおよびTRB構成に明確性のために固定することに注意されたい。
第五成分は、二方向ターミネータドナーベクター(BiTドナー)であり、これは、第一工程反応において再構成され、第二工程反応においてこの二方向ターミネータエレメントによりつながれる逆平行センスTRAおよびTRB鎖が間に入った二方向ターミネータエレメントを提供する。
二方向ターミネータは、通常、ベクターとして提供され、これもまた2つのIIS型制限酵素(IIS型#2)に包囲されている。二方向ターミネータエレメントを、これらのIIS型部位を有するか、またはIIS型部位なしで標的一本鎖DNA突出を有する直鎖状dsDNA構築物として提供することは、等しく適当である。

0107

二方向ターミネータを含むベクターは:
a.複製起点、
b.第二ポジティブ選択マーカー、
c.第一IIS型配列(IIS型#2)、
d.二方向ターミネータ、および
e.第二IIS型配列(IIS型#2)
を含み、ここで、a)およびb)は、細菌宿主内での二方向ターミネータを有するベクターの増幅および選択のために用いられ、c)は、IIS型制限酵素(IIS型#2)を駆動して、3'方向に切断して標準化された一本鎖突出を創出するIIS型認識配列であり、d)は、再構成されたTCR ORFを含む前記ベクターが、哺乳動物細胞にトランスフェクションされる場合に、TRA主鎖に再構成されるTCRの発現中にセンスおよびアンチセンスの両方のDNA鎖上での転写終結を確実にするために用いられる二方向ターミネータであり、e)は、IIS型制限酵素を駆動して、5'方向に切断して標準化された一本鎖突出を創出するIIS型認識配列(IIS型#2)である。
上記のBiTドナーベクターの配置を、図21に示す。

0108

通常、BiTドナー内に含まれるポジティブ選択マーカーは、第二工程の接続反応において親のBiTドナーの持越しを最小限にするために、V-CαおよびV-Cβエントリーベクターが有するポジティブ選択マーカーとは異なる。
通常、BiTドナーにおける第一および第二IIS型部位(IIS型#2)は、第二の接続反応に単一のIIS型酵素(IIS型#2)の添加だけを必要とするので、V-Cαエントリーベクターの第三および第四IIS型部位、ならびにV-Cβエントリーベクターの第一および第四の両方と同じである。
二方向ターミネータエレメント配列は、SEQ0777により表される。

0109

全長TCR ORF対を再構成して接続するためのTORES2の運転
TORES2の運転は、第一TCR ORF再構成反応と、第二TCR ORF接続反応とを組み込む二工程プロセスである。TCR ORFの再構成の方法は、TORESについて上で記載したものと同一である(図1および4を参照されたい)。第一工程の生成物は、よって、TORESの生成物と同じであり、V-CDR3-J-Cエレメント配置を含む全長TCR ORFをコードするベクターを含む。しかし、TORES2システムは、TORESシステムとは異なる主鎖の状況においてこれらのTCR ORFを提供し、ここで、TORES2主鎖は、第二接続工程反応を容易にするために、さらなるクローニング部位を含む。この第二工程制限酵素およびリガーゼサイクル反応は、第一工程からの再構成されたTCR ORFを、逆平行センスにて接続してBiTドナーにより提供される二方向ターミネータを挿入することを必然的に伴う。全体的なプロセスを図22に示し、これは、上記のTRA/TRB TORES2配置を示す。

0110

再構成されたTRAコーディングベクター(図22a)、TRBコーディングベクター(図22b)およびBiTドナー(図22c)は、単一チューブ内でIIS型酵素(IIS型#2)およびリガーゼと反応させ、制限酵素およびリガーゼサイクル反応に供する。IIS型制限酵素は、3つの提供されたベクターを3つの反応副産物と、反応生成物への定方向ライゲーションのための設計された突出を有する3つの中間体とに消化する。
3つの反応副産物は、TRAベクターからの切り出された-ve選択エレメント#2およびIIS型#2部位(図22d)、再構成されたTRB ORFがそこから切り出される開環TRBコーディングベクター主鎖(図22e)、およびそこから二方向ターミネータエレメントが切り出される開環BiTドナー主鎖(図22f)である。

0111

第一の反応中間体は、開環TRAベクターであり、V-Cαエントリーベクター主鎖の状況において再構成されたTRA ORFをコードする(図22g)。上記の元のV-Cαエントリーベクター中の第三IIS型#2部位は、酵素を駆動して、5'方向に切断してC遺伝子セグメントの後に3'末端にて標準化された一本鎖突出を創出するが(図22g、突出≠1-5')、第四IIS型#2部位は、3'方向における酵素切断を駆動して、3'遺伝子エレメントの前に標準化された一本鎖突出を創出する(図22e突出≠3-3')。
第二反応中間体は、V-Cβエントリーベクターの状況から切り出されたTRB ORFをコードする断片である。上記のV-Cβエントリーベクター中の第一IIS型#2部位は、酵素を駆動して、3'方向に切断してコザック配列の前に突出を創出する(図22h突出≠3-5')。第四IIS型#2部位は、酵素を駆動して、5'方向に切断してCセグメントの後に突出を創出する(図22h突出≠2-3')。図22hは、この中間体をアンチセンスの向きに示し、ここで、これは、生成物ベクターの状況にライゲーションされることに注意すべきである。
第三反応中間体は、BiTドナーから切り出される二方向ターミネータエレメントであり、ここで、第一IIS型#2部位は、酵素を駆動して、5'方向に切断して標準化された一本鎖突出を生じる(図22i突出≠1-3')。第二IIS型#2部位は、酵素を駆動して、3'方向に切断して標準化された一本鎖突出を創出する(図22i突出≠2-5')。
制限酵素およびリガーゼサイクル反応内で、一本鎖突出は、生成物ベクターへのリガーゼ媒介定方向ライゲーションを駆動し、元のV-Cαエントリーベクター主鎖の状況内でTRAおよびTRB鎖の両方を接続する(図22j)。

0112

TORES2は、TCR鎖の任意の収集物について構築できる。明確性のために、説明のためのケーススタディとしてTRAおよびTRB遺伝子座を用いる。このようなTORES2の構築は、それぞれTCRデルタおよびガンマ鎖対をコードするTRDおよびTRG遺伝子座、または実際に有顎脊椎動物で見いだされる任意のTRA/TRB、TRD/TRGもしくはバリアントTCR鎖対システムの状況において等しく適用可能である。
以下の実施例において、ヒトTRA/TRB遺伝子座についてのTORES2システムが提供され、モデルヒトTCR ORFの再構成のために適用され、その後、元のV-Cαエントリーベクター主鎖の状況の5'および3'遺伝子エレメントとマッチする、RMCE部位を有するマッチするエンジニアリング株化細胞に組み込まれる。このことは、TORES2が、出願WO2018/083318 A1に記載されるものと類似の二部分装置の構成において、再構成されたTCR ORFの組込みおよび提示のために最適化されたマッチするエンジニアリング株化細胞と組み合わせて直ちに用いられることを示す。
以下に、本明細書で言及する配列を示す表を示す。

0113

0114

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