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技術 可変ドメインと定常ドメインとの間のエルボー領域に機能的ドメインを有する抗体

出願人 インスティテュート・フォー・リサーチ・イン・バイオメディシン
発明者 アントニオ・ランツァヴェッキアルカ・ピッコリ
出願日 2018年7月30日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2020-505231
公開日 2020年10月1日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-528758
状態 未査定
技術分野 ペプチド又は蛋白質 生物学的材料の調査,分析 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 微生物、その培養処理 化合物または医薬の治療活性 酵素・酵素の調製 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 動物,微生物物質含有医薬 微生物による化合物の製造 医薬品製剤 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 分子球 利用物 構造グループ 中央ヒンジ ツーインワン ホタルイカ 参照文 インホール
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図面 (11)

課題・解決手段

本発明は、抗体又は抗原結合断片エルボー領域に追加の機能的ドメインが挿入された、エンジニアード抗体及び抗原結合断片を提供する。本発明はまた、係る抗体及び抗原結合断片をコードするベクターなどの核酸分子、係る抗体、抗原結合断片、又は核酸分子を含む宿主細胞及び組成物、並びにそれらの使用を提供する。例えば、抗体又は抗原結合断片のエルボー領域に追加の結合部位特異性)が挿入された多重特異性抗体フォーマットが提供される。

概要

背景

近年、1つの抗原タイプに特異的に結合するIgGなどの古典的な天然抗体の分子エンジニアリングに基づいて、様々な多重特異性抗体フォーマットが登場した。IgGなどの古典的な天然抗体とは対照的に、多重特異性抗体は2つ以上の異なるターゲットに結合することができ、それにより広範な用途を提供する。

古典的な天然抗体は、4つのポリペプチド鎖、即ち、2つの重鎖と2つの軽鎖を含むY字型分子である(図1A)。各軽鎖は2つのドメインからなり、N末端ドメインは可変ドメイン又はVLドメイン、C末端ドメインは定常ドメイン又はCLとして知られる。各重鎖は、抗体のクラスに応じて4つ又は5つのドメインからなる。重鎖のN末端ドメインは、可変ドメイン又はVHドメインとして知られる。N−C末端方向の次のドメインは、最初の定常ドメイン又はCH1ドメインとして知られる。重鎖の次の部分はヒンジ領域として知られ、通常、その後に、2番目、3番目、場合により、4番目の定常ドメイン、即ち、それぞれCH2、CH3、及びCH4ドメインが続く。定常ドメインを含む定常領域は、同じアイソタイプの全ての抗体で同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、δには、3つのタンデム(一列に)Igドメインから構成される定常領域と、柔軟性を高めるためのヒンジ領域がある。重鎖μ及びεには、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域がある。

ヒンジ領域に加えて、エルボー領域も抗原結合ための柔軟性を提供することが知られている。エルボー領域は、抗体の重鎖と軽鎖の可変ドメインと定常ドメインとの間の接合部である。通常、可変ドメイン(VH又はVL)のC末端は、最もN末端側の定常ドメイン(通常、CH1又はCL)のN末端に直接結合し、可変ドメイン(VH又はVL)のC末端と、最もN末端側の定常ドメイン(通常、CH1又はCL)のN末端との間の接合部は、「エルボー」又は「エルボー領域」と呼ばれる。エルボー領域は、定常ドメインに対する可変ドメインの屈曲と回転を可能にする。エルボー領域は、エルボー領域によって提供される可動域に基づいて「分子球関節(molecular ball−and−socket joint)」とも呼ばれる(非特許文献1)。

組み立てられた抗体において、VL及びVHドメインは互いに会合して抗原結合部位を形成する。また、CLドメインとCH1ドメインが互いに会合して、1つの重鎖と1つの軽鎖との会合状態を維持する。各重鎖ヒンジ領域は、少なくとも1つ、多くの場合複数のシステイン残基を含む。組み立てられた抗体において、2つの重鎖ヘテロダイマーを互いに共有結合させるヒンジ領域のシステイン残基間にジスルフィド結合が形成できるように、重鎖のシステイン残基が整列する。したがって、完全に組み立てられた抗体は、1つの抗原タイプに結合するという点で単一特異性であり、2つの独立した抗原結合部位を有するという点で二価である。

このような単一特異性で二価の古典的天然抗体の構造に基づいて、様々な多重特異性抗体フォーマットが設計された(参考として、非特許文献2及び非特許文献3を参照)。一般に、先行技術の多重特異性抗体フォーマットは、5つの異なる構造グループ分類できる:(i)多重特異性IgG、(ii)付加(appended)IgG、(iii)多重特異性抗体断片、(iv)多重特異性融合タンパク質、及び(v)多重特異性抗体コンジュゲート(非特許文献2)。

多重特異性IgG抗体フォーマットは、通常、各特異性(抗原)に対して一価である。治療目的で異なる標的抗原に対する2つの完全な抗体の結合特異性を組み合わせる最初の試みは、化学的に融合したヘテロコンジュゲート分子を利用した(非特許文献4)。二重特異性抗体が、ヘテロハイブリドーマ技術によりハイブリッドハイブリドーマから産生された(非特許文献5)。多重特異性IgG抗体フォーマットとしては、例えば、非特許文献2に記載されるCrossMab、DAFツーインワン)、DAF(フォインワン)、DutaMab、DT−IgG、ノブインホールコモンLC(Knobs−in−holes common LC)、ノブインホールアセンブリ(Knobs−in−holes assembly)、チャージペア(Charge pair)、Fabアーム交換(Fab−arm exchange)、SEEDディ(SEEDbody,)、Triomab、LUZ−Y、Fcab、κλ−ボディ、及び直交Fab(orthogonal Fab)が挙げられる。

付加IgG抗体フォーマットにおいては、古典的な単一特異性IgGが、重鎖及び/又は軽鎖のN及び/又はC末端に更なる抗原結合部分を付加することによりエンジニアードされている。そのような更なる抗原結合部分の例としては、単一ドメイン抗体不対VH又はVL)、Fv又はscFvなどの対形成抗体可変ドメイン、又はエンジニアードタンパク質足場が挙げられる。付加IgG抗体フォーマットは、例えば、非特許文献2に記載されるDVD−IgG、IgG(H)−scFv、scFv−(H)IgG、IgG(L)−scFv、scFv−(L)IgG、IgG(L,H)−Fv、IgG(H)−V、V(H)−IgG、IgG(L)−V、V(L)−IgG、KIH IgG−scFab、2scFv−IgG、IgG−2scFv、scFv4−Ig、及びZybodyが挙げられる。DVI−IgG(フォーインワン)は、前述のように、多重特異性IgG抗体フォーマットと組み合わされた添付IgG抗体フォーマットである。付加多重特異性IgGフォーマットの1つの潜在的な利点は、全ての可変ドメインに抗原を同時に結合できるため、より高い特異的結合能を提供できることである。

多重特異性抗体断片は、通常、天然の抗体と比較して1つ以上の定常ドメインを欠いている。多重特異性抗体断片としては、例えば、非特許文献2に記載される、ナノボディ;ナノボディ−HAS;BiTE;ダイアボディ;DART;TandAb;scダイアボディ;sc−ダイアボディ−CH3;ダイアボディ−CH3;トリプルボディ;ミニ抗体ミニボディ;TriBiミニボディ;scFv−CH3KIH;Fab−scFv;scFv−CH−CL−scFv;F(ab’)2;F(ab’)2−scFv2;scFv−KIH;Fab−scFv−Fc;四価HCAb;scダイアボディ−Fc;ダイアボディ−Fc;タンデムscFv−Fc;及びイントラボディが挙げられる。多重特異性融合タンパク質としては、例えば、非特許文献2、特に、図1と対応する記載(95〜101ページ)に記載される、Dock and Lock;ImmTAC;HSAボディ;scダイアボディ−HAS;及びタンデムscFv−毒素が挙げられる。多重特異性抗体コンジュゲートとしては、非特許文献2、特に、図1と対応する記載(95〜101ページ)に記載される、IgG−IgG;Cov−X−ボディ;及びscFv1−PEG−scFv2が挙げられる。

通常、抗体のフォーマットは、想定される用途に応じて選択される。例えば、多くの用途では長い薬理学的半減期が望ましい。一般的にはFc領域を含有させることで達成されるが、他の用途では、半減期が短い(したがってFc領域を有しない)が有利な場合がある。更に、特に、単一の宿主細胞における2つの異なる軽鎖と重鎖の共発現による多重特異性IgG抗体フォーマットの生産は非常に困難であることが知られており、除去困難であり得る誤対合抗体をもたらす可能性があるため、生産収率役割を果たし得る。加えて、付加IgG抗体フォーマットなどの多くの抗体フォーマットは、通常、異なる抗原の同時結合に十分な柔軟性を提供するためにリンカーを必要とするが、リンカーの柔軟性により、タンパク質分解による切断を受け易くなり得、抗体の安定性凝集、及び免疫原性の増加が低下する。注目すべきは、特定の用途では、用途に応じて、抗体の安定性が結合能力よりも重要である場合があり、その逆も同様である。更に、特異性に応じて抗体フォーマットを選択することができる。即ち、特定の抗原結合部位が、特定のフォーマットでより良好な生産収率、安定性、及び/又は結合値を達成し、一方で、他の仕様が、他の抗体フォーマットにおける良好な特性(例えば、標的抗原のサイズ/構造/性質)を達成する。

概要

本発明は、抗体又は抗原結合断片のエルボー領域に追加の機能的ドメインが挿入された、エンジニアード抗体及び抗原結合断片を提供する。本発明はまた、係る抗体及び抗原結合断片をコードするベクターなどの核酸分子、係る抗体、抗原結合断片、又は核酸分子を含む宿主細胞及び組成物、並びにそれらの使用を提供する。例えば、抗体又は抗原結合断片のエルボー領域に追加の結合部位(特異性)が挿入された多重特異性抗体フォーマットが提供される。

目的

IgGなどの古典的な天然抗体とは対照的に、多重特異性抗体は2つ以上の異なるターゲットに結合することができ、それにより広範な用途を提供する

効果

実績

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請求項1

第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを含む抗体又はその抗原結合断片であって、前記第1のポリペプチド鎖が、NからC末端方向に、(i)1つ以上の可変ドメイン;(ii)機能的ドメイン;及び(iii)1つ以上の定常ドメインを含み、前記第2のポリペプチド鎖が、NからC末端方向に、(iv)前記第1のポリペプチド鎖の前記1つ以上の可変ドメインと抗原結合部位を形成する1つ以上の可変ドメイン;(v)任意に、機能的ドメイン;及び(vi)1つ以上の定常ドメインを含み、前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)が前記第2のポリペプチド鎖の断片を含まず、前記第2のポリペプチド鎖の前記任意の機能的ドメイン(v)が前記第1のポリペプチド鎖の断片を含まないことを特徴とする抗体又はその抗原結合断片。

請求項2

前記第2のポリペプチド鎖が機能的ドメイン(v)を含まず、前記第2のポリペプチド鎖の最もC末端側の可変ドメインのC末端が前記第2のポリペプチド鎖の最もN末端側の定常ドメインのN末端に直接結合している請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項3

第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを含む抗体又はその抗原結合断片であって、前記第1のポリペプチド鎖が、NからC末端方向に、(i)1つ以上の可変ドメイン;(ii)機能的ドメイン;及び(iii)1つ以上の定常ドメインを含み、前記第2のポリペプチド鎖が、NからC末端方向に、(iv)前記第1のポリペプチド鎖の前記1つ以上の可変ドメインと抗原結合部位を形成する1つ以上の可変ドメイン;及び(v)1つ以上の定常ドメインを含み、前記第2のポリペプチド鎖の最もC末端側の可変ドメインのC末端が前記第2のポリペプチド鎖の最もN末端側の定常ドメインのN末端に直接結合していることを特徴とする抗体又はその抗原結合断片。

請求項4

(a)前記第1のポリペプチド鎖の前記1つ以上の定常ドメインが少なくともCH1定常ドメインを含む重鎖定常ドメインであり、前記第1のポリペプチド鎖の前記1つ以上の可変ドメインが重鎖可変ドメインVHであり、前記第2のポリペプチド鎖の前記定常ドメインが軽鎖定常ドメインCLであり、前記第2のポリペプチド鎖の前記1つ以上の可変ドメインが軽鎖可変ドメインVLである、又は(b)前記第1のポリペプチド鎖の前記定常ドメインが軽鎖定常ドメインCLであり、前記第1のポリペプチド鎖の前記1つ以上の可変ドメインが軽鎖可変ドメインVLであり、前記第2のポリペプチド鎖の前記1つ以上の定常ドメインが少なくともCH1定常ドメインを含む重鎖定常ドメインであり、前記第2のポリペプチド鎖の前記1つ以上の可変ドメインが重鎖可変ドメインVHである請求項1から3のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項5

前記CH1ドメイン、及び任意に更なる重鎖定常ドメインが、以下のクラス:γ、α、μ、ε、及びδから選択され、好ましくはγであり、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4から選択される請求項4に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項6

前記CLドメインが、以下のクラス:κ及びλから選択される請求項4から5のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項7

前記抗体又はその抗原結合断片が、組換え抗体又は抗原結合断片である請求項1から6のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項8

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、リンカーではない、特にGSリンカーではない請求項1から7のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項9

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、Ig様ドメインを含む又はからなる請求項1から8のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項10

前記Ig様ドメインが、PD1、SLAM、CD2、CD3、CD4、CD8、CD19、CD22、CD33、CD80、又はCD86、好ましくはCD4のIg様ドメインから選択される請求項9に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項11

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、キャリアドメインレポータードメイン、タグ、局在化ドメイン、(独立した)結合部位酵素若しくは酵素ドメイン受容体若しくはその機能的断片、又はリガンド若しくはその機能的断片を含む又はからなる請求項1から10のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項12

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、キャリアドメインを含む又はからなる請求項11に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項13

前記キャリアドメインが、前記抗体又はその抗原結合断片の、薬剤又は造影剤へのコンジュゲーションを提供する請求項12に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項14

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、レポータードメインを含む又はからなる請求項11に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項15

前記レポータードメインが、GFP、YFP、RFP、CFP、ルシフェラーゼベータガラクトシダーゼ、又はペルオキシダーゼをコードするアミノ酸配列を含む又はからなる請求項14に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項16

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、局在化ドメインを含む又はからなる請求項11に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項17

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、酵素又は酵素ドメイン、例えば触媒ドメインを含む又はからなる請求項11に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項18

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、タグを含む又はからなる請求項11に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項19

前記タグが、親和性タグ可溶化タグクロマトグラフィータグ、エピトープタグ、又は蛍光タグである請求項18に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項20

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、受容体又はその機能的断片、例えば、受容体のIg様ドメインを含む又はからなる請求項11に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項21

前記機能的ドメインが、(i)PD1、SLAM、LAIR1、CTLA4、BTLA、TIM−3、TIGIT、CD200R1、2B4(CD244)、TLT2、LILRB4、KIR2DL2、ICOS、又はCD28からなる群から選択される受容体、又は(ii)受容体の機能的断片、例えば、以下の受容体:PD1、SLAM、LAIR1、CTLA4、BTLA、TIM−3、TIGIT、CD200R1、2B4(CD244)、TLT2、LILRB4、KIR2DL2、ICOS、又はCD28のいずれかのIg様ドメインを含む又はからなる請求項20に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項22

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、リガンド又はその機能的断片を含む又はからなる請求項11に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項23

前記リガンドが、サイトカイン及び/又はPD1、SLAM、LAIR1、CTLA4、BTLA、TIM−3、TIGIT、CD200R1、2B4(CD244)、TLT2、LILRB4、KIR2DL2、ICOS、又はCD28のリガンドである請求項22に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項24

前記リガンドが、PD−L1、PD−L2、B7−1、B7−2、B7−H4(B7ホモログ)、ガレクチン−9、ポリオウイルス受容体(PVR)、OX−2膜糖タンパク質、CD48、B7−H3(B7ホモログ)、MHCI、ICOS−Lからなる群から選択される請求項22に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項25

前記リガンドが、サイトカインのSISファミリー、サイトカインのSIGファミリー、サイトカインのSCYファミリー、血小板因子スーパーファミリーインタークリン、CCケモカインリガンド(CCL)−1〜−28、CXCL1〜CXCL17、XCL1(リンホタクチン−α)及びXCL2(リンホタクチン−β)、フラクタルカイン(又はCX3CL1);インターフェロン、例えば、I型FNII型IFN、及びIII型IFN、特にIFN−α、IFN−β、IFN−γ、IFN−ε、IFN−κ、IFN−ω、IL10R2(CRF2−4とも呼ばれる)、及びIFNLR1(CRF2−12とも呼ばれる);インターロイキン、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、IL−34、IL−35、及びIL−36;リンホカイン、例えば、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、GMCSF、及びインターフェロン−ガンマ腫瘍壊死因子、例えば、CD40LG(TNFSF5);CD70(TNFSF7);EDA;FASLG(TNFSF6);LTA(TNFSF1);LTB(TNFSF3);TNF、TNFα、TNFSF4(OX40L);TNFSF8(CD153);TNFSF9;TNFSF10(TRAIL);TNFSF11(RANKL);TNFSF12(TWEAK);TNFSF13;TNFSF13B;TNFSF14;TNFSF15;及びTNFSF18;コロニー刺激因子、例えば、CSF1(マクロファージコロニー刺激因子)、CSF2(GM−CSF)、CSF3(G−CSF)、及び合成CSF、例えば、プロメガエチンからなる群から選択される請求項22に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項26

前記第1のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(ii)及び/又は前記第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメイン(v)が、(独立した)結合部位を含む又はからなる請求項11に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項27

前記(独立した)結合部位が、受容体又は結合部位を含むその機能的断片、リガンド又は結合部位を含むその機能的断片、CD分子又はその機能的断片、単鎖抗体又はその抗原結合断片、抗原又はその機能的断片、又は結合部位を含むタグを含む又はからなる請求項26に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項28

前記(独立した)結合部位が、単鎖抗体(例えば、scFv又はVHH)若しくはその抗原結合断片、又は抗原若しくはその機能的断片を含む又はからなる請求項27に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項29

前記機能的ドメインが、Ig様ドメイン、scFv、VHH、又はStrepタグを含む又はからなる請求項1から28のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項30

前記機能的ドメインが、配列番号13〜20のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその機能的配列変異体を含む又はからなる請求項29に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項31

前記第1のポリペプチド鎖が、前記機能的ドメイン(ii)のN末端に1つの単一の可変ドメイン(i)を含み、前記第2のポリペプチド鎖が、前記任意の機能的ドメイン(v)のN末端又は前記1つ以上の定常ドメイン(vi)のN末端に1つの単一の可変ドメイン(iv)を含み、前記第2のポリペプチド鎖の前記1つの単一の可変ドメイン(iv)が前記第1のポリペプチド鎖の前記可変ドメイン(i)と抗原結合部位を形成する請求項1から30のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項32

前記第1のポリペプチド鎖が、前記機能的ドメイン(ii)のN末端に2つ以上の可変ドメイン(i)を含み、前記第2のポリペプチド鎖が、前記任意の機能的ドメイン(v)のN末端又は前記1つ以上の定常ドメイン(vi)のN末端に2つ以上の可変ドメイン(iv)を含み、前記第2のポリペプチド鎖の前記2つ以上の可変ドメイン(iv)が前記第1のポリペプチド鎖の前記2つ以上の可変ドメイン(i)と抗原結合部位を形成する請求項1から30のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項33

前記第1のポリペプチド鎖が、単鎖抗体、例えばscFv、又は単一ドメイン抗体、例えばVHHを、最もN末端側の可変ドメイン(i)のN末端及び/又は最もC末端側の定常ドメイン(iii)のC末端に含む請求項1から32のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項34

前記第2のポリペプチド鎖が、単鎖抗体、例えばscFv、又は単一ドメイン抗体、例えばVHHを、最もN末端側の可変ドメイン(i)のN末端及び/又は最もC末端側の定常ドメイン(vi)のC末端に含む請求項1から33のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項35

前記第1のポリペプチド鎖及び前記第2のポリペプチド鎖のそれぞれが、1つの単一の定常ドメイン、特にCLドメイン及びCH1ドメインをそれぞれ含む請求項1から34のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項36

前記第1のポリペプチド鎖又は前記第2のポリペプチド鎖が、1つの単一の定常ドメイン、特にCLドメインを含み、前記第1のポリペプチド鎖又は前記第2のポリペプチド鎖の他方が、CH1ドメインと、1つ以上の更なる定常ドメイン、例えばCH2及び/又はCH3ドメインとを含む請求項1から35のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項37

前記抗体又はその抗原結合断片が、Fc部分又はFc領域を含む請求項1から36のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項38

前記第1のポリペプチド鎖及び/又は前記第2のポリペプチド鎖が、1つ以上のリンカーを含む請求項1から37のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項39

前記第1のポリペプチド鎖及び/又は前記第2のポリペプチド鎖が、リンカーを含まない請求項1から38のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項40

前記第1のポリペプチド鎖が、V−D−CH1を含む又はからなり、式中、Vは、可変ドメイン(i)であり、Dは、機能的ドメイン(ii)であり、CH1は、CH1定常ドメイン(iii)である請求項1から39のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項41

前記第1のポリペプチド鎖が、V−D−CH1−CH2−CH3を含む又はからなり、式中、CH2とCH3はそれぞれ、CH2定常ドメインとCH3定常ドメインである請求項40に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項42

前記第1のポリペプチド鎖が、(V)A−D−CH1を含む又はからなり、式中、Aは、1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、更により好ましくは1又は2の整数であり、前記可変ドメインVは、直接又はリンカーを介して互いに結合されてもよい請求項39から41のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項43

前記第2のポリペプチド鎖が、V−CLを含む又はからなり、式中、Vは、可変ドメイン(iv)であり、CLは、定常ドメイン(vi)である請求項1から41のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項44

前記第2のポリペプチド鎖が、(V)A−CLを含む又はからなり、式中、Aは、1〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3、更により好ましくは1又は2の整数であり、前記可変ドメインVは、直接又はリンカーを介して互いに結合されてもよい請求項43に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項45

前記第1のポリペプチド鎖の前記可変ドメイン(i)が、配列番号1、5、8、又は10のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその機能的配列変異体を含む又はからなる請求項1から44のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項46

前記第2のポリペプチド鎖の前記可変ドメイン(iv)が、配列番号2、6、9、又は11のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその機能的配列変異体を含む又はからなる請求項1から45のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項47

前記抗体又はその抗原結合断片が、1つの単一の又は2つの第1のポリペプチド鎖と、1つの単一の又は2つの第2のポリペプチド鎖とを含む請求項1から46のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項48

前記第1のポリペプチド鎖と前記第2のポリペプチド鎖とがジスルフィド結合により連結され、それにより対を形成する請求項1から47のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項49

前記抗体又はその抗原結合断片が、2つの第1のポリペプチド鎖と2つの第2のポリペプチド鎖とを含み、前記2つの第1のポリペプチド鎖及び/又は前記2つ第2のポリペプチド鎖が、1つ以上の、例えば2つのジスルフィド結合によって連結される請求項47から48のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項50

前記抗体又はその抗原結合断片が、各特異性/抗原に対して二価である請求項1から49のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項51

前記抗体又はその抗原結合断片が、各特異性(抗原)に対して一価である請求項1から49のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項52

前記第1及び第2のポリペプチド鎖の第1の対の前記1つ以上の可変ドメインによって形成される抗原結合部位と、前記第1及び第2のポリペプチド鎖の第2の対の前記1つ以上の可変ドメインによって形成される抗原結合部位は、同一又は異なる請求項50から51のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項53

前記抗体又はその抗原結合断片が、同一又は異なっていてもよい少なくとも2つの機能的ドメインを含む請求項1から52のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項54

前記抗体又はその抗原結合断片が、第1及び第2のポリペプチド鎖の第1及び第2の対を形成する2つの第1のポリペプチド鎖及び2つの第2のポリペプチド鎖を含み、第1及び第2のポリペプチド鎖の前記第1の対が、少なくとも1つの機能的ドメインを含む、及び/又は第1及び第2のポリペプチド鎖の前記第2の対が、少なくとも1つの機能的ドメインを含む請求項1から53のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項55

前記抗体又はその抗原結合断片が、IgG様抗体、Fab、又はF(ab)2に由来する請求項1から54のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項56

前記抗体又はその抗原結合断片の2つ以上の可変ドメイン(i)及び(iv)が、モノクローナル抗体に由来する請求項1から55のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項57

前記抗体又はその抗原結合断片の前記可変ドメイン及び/又は前記定常ドメインが、ヒト又はヒト化されている請求項1から56のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項58

前記抗体又はその抗原結合断片の前記(追加の)機能的ドメインが、ヒト又はヒト化されたアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から57のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項59

前記第1のポリペプチド鎖が、配列番号53、55、56、58、59、60、61、62、64、65、66、68、69、又は70のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその機能的配列変異体を含む又はからなる、及び/又は前記第2のポリペプチド鎖が、配列番号54、57、63、又は67のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、更により好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその機能的配列変異体を含む又はからなる請求項1から58のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項60

前記第1及び/又は第2のポリペプチド鎖が、配列番号75〜92又は96〜112のいずれかに示されるアミノ酸配列を含まない又はからならない、好ましくは、前記第1及び/又は第2のポリペプチド鎖が、配列番号75〜95のいずれかに示されるアミノ酸配列を含まない又はからならない、より好ましくは、前記第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメインが、配列番号113〜130のいずれかに示されるアミノ酸配列を含まない又はからならない、更により好ましくは、前記第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の前記機能的ドメインが、配列番号113〜133のいずれかに示されるアミノ酸配列を含まない又はからならない、最もより好ましくは、前記第1及び/又は第2のポリペプチド鎖が、配列番号75〜133のいずれかに示されるアミノ酸配列を含まない又はからならない請求項1から59のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項61

請求項1から60のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖をコードする第1のポリヌクレオチド及び/又は請求項1から60のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片の第2のポリペプチド鎖をコードする第2のポリペプチドを含むことを特徴とする核酸分子

請求項62

請求項1から60のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドを含むことを特徴とする核酸分子。

請求項63

前記核酸分子が、DNA分子又はRNA分子である請求項61から62のいずれかに記載の核酸分子。

請求項64

請求項61から63のいずれかに記載の核酸分子を含むことを特徴とするベクター

請求項65

請求項61から63のいずれかに記載の核酸分子又は請求項64に記載のベクターを含むことを特徴とする宿主細胞

請求項66

請求項1から60のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片、請求項61から63のいずれかに記載の核酸分子、請求項64に記載のベクター、又は請求項65に記載の宿主細胞を含むことを特徴とする組成物

請求項67

請求項1から60のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片を製造するためのプロセスであって、a)第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖をコードする請求項61から63のいずれかに記載の1つ以上の核酸分子を組み込むことにより真核宿主細胞形質転換すること;b)前記核酸分子が発現されるように適切な条件下で前記宿主細胞を培養すること;c)前記第1及び第2のポリペプチド鎖を組み合わせて、前記抗体又はその抗原結合断片を形成すること;及びd)任意に、培養培地から前記抗体又はその抗原結合断片を精製することを含むことを特徴とするプロセス。

請求項68

医学における使用のための、請求項1から60のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片、請求項61から63のいずれかに記載の核酸分子、請求項64に記載のベクター、請求項65に記載の宿主細胞、又は請求項66に記載の組成物。

請求項69

被験体における疾患又は障害を予防又は治療する方法であって、請求項1から60のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片、請求項61から63のいずれかに記載の核酸分子、請求項64に記載のベクター、請求項65に記載の宿主細胞、又は請求項66に記載の組成物を前記被験体に投与するステップを含むことを特徴とする方法。

請求項70

抗原を検出するための又は抗原結合の定量化のためのアッセイであって、a)抗原の多価抗体への結合を可能にする条件下で、請求項1から60のいずれかに記載の抗体又はその抗原結合断片と共に前記抗原をインキュベートすること;及びb)抗原抗体結合を検出することを含むことを特徴とするアッセイ。

技術分野

0001

本発明は、多重特異性抗体フォーマットなど、更なる機能的ドメインを有するエンジニアード抗体の分野に関する。特に、本発明は、抗体のエルボー領域に更なる機能的ドメインが挿入されているエンジニアード抗体に関する。したがって、例えば、抗体のエルボー領域に更なる結合部位(特異性)が挿入されている多重特異性抗体フォーマットが提供される。

背景技術

0002

近年、1つの抗原タイプに特異的に結合するIgGなどの古典的な天然抗体の分子エンジニアリングに基づいて、様々な多重特異性抗体フォーマットが登場した。IgGなどの古典的な天然抗体とは対照的に、多重特異性抗体は2つ以上の異なるターゲットに結合することができ、それにより広範な用途を提供する。

0003

古典的な天然抗体は、4つのポリペプチド鎖、即ち、2つの重鎖と2つの軽鎖を含むY字型分子である(図1A)。各軽鎖は2つのドメインからなり、N末端ドメインは可変ドメイン又はVLドメイン、C末端ドメインは定常ドメイン又はCLとして知られる。各重鎖は、抗体のクラスに応じて4つ又は5つのドメインからなる。重鎖のN末端ドメインは、可変ドメイン又はVHドメインとして知られる。N−C末端方向の次のドメインは、最初の定常ドメイン又はCH1ドメインとして知られる。重鎖の次の部分はヒンジ領域として知られ、通常、その後に、2番目、3番目、場合により、4番目の定常ドメイン、即ち、それぞれCH2、CH3、及びCH4ドメインが続く。定常ドメインを含む定常領域は、同じアイソタイプの全ての抗体で同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、δには、3つのタンデム(一列に)Igドメインから構成される定常領域と、柔軟性を高めるためのヒンジ領域がある。重鎖μ及びεには、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域がある。

0004

ヒンジ領域に加えて、エルボー領域も抗原結合ための柔軟性を提供することが知られている。エルボー領域は、抗体の重鎖と軽鎖の可変ドメインと定常ドメインとの間の接合部である。通常、可変ドメイン(VH又はVL)のC末端は、最もN末端側の定常ドメイン(通常、CH1又はCL)のN末端に直接結合し、可変ドメイン(VH又はVL)のC末端と、最もN末端側の定常ドメイン(通常、CH1又はCL)のN末端との間の接合部は、「エルボー」又は「エルボー領域」と呼ばれる。エルボー領域は、定常ドメインに対する可変ドメインの屈曲と回転を可能にする。エルボー領域は、エルボー領域によって提供される可動域に基づいて「分子球関節(molecular ball−and−socket joint)」とも呼ばれる(非特許文献1)。

0005

組み立てられた抗体において、VL及びVHドメインは互いに会合して抗原結合部位を形成する。また、CLドメインとCH1ドメインが互いに会合して、1つの重鎖と1つの軽鎖との会合状態を維持する。各重鎖ヒンジ領域は、少なくとも1つ、多くの場合複数のシステイン残基を含む。組み立てられた抗体において、2つの重鎖ヘテロダイマーを互いに共有結合させるヒンジ領域のシステイン残基間にジスルフィド結合が形成できるように、重鎖のシステイン残基が整列する。したがって、完全に組み立てられた抗体は、1つの抗原タイプに結合するという点で単一特異性であり、2つの独立した抗原結合部位を有するという点で二価である。

0006

このような単一特異性で二価の古典的天然抗体の構造に基づいて、様々な多重特異性抗体フォーマットが設計された(参考として、非特許文献2及び非特許文献3を参照)。一般に、先行技術の多重特異性抗体フォーマットは、5つの異なる構造グループ分類できる:(i)多重特異性IgG、(ii)付加(appended)IgG、(iii)多重特異性抗体断片、(iv)多重特異性融合タンパク質、及び(v)多重特異性抗体コンジュゲート(非特許文献2)。

0007

多重特異性IgG抗体フォーマットは、通常、各特異性(抗原)に対して一価である。治療目的で異なる標的抗原に対する2つの完全な抗体の結合特異性を組み合わせる最初の試みは、化学的に融合したヘテロコンジュゲート分子を利用した(非特許文献4)。二重特異性抗体が、ヘテロハイブリドーマ技術によりハイブリッドハイブリドーマから産生された(非特許文献5)。多重特異性IgG抗体フォーマットとしては、例えば、非特許文献2に記載されるCrossMab、DAFツーインワン)、DAF(フォインワン)、DutaMab、DT−IgG、ノブインホールコモンLC(Knobs−in−holes common LC)、ノブインホールアセンブリ(Knobs−in−holes assembly)、チャージペア(Charge pair)、Fabアーム交換(Fab−arm exchange)、SEEDディ(SEEDbody,)、Triomab、LUZ−Y、Fcab、κλ−ボディ、及び直交Fab(orthogonal Fab)が挙げられる。

0008

付加IgG抗体フォーマットにおいては、古典的な単一特異性IgGが、重鎖及び/又は軽鎖のN及び/又はC末端に更なる抗原結合部分を付加することによりエンジニアードされている。そのような更なる抗原結合部分の例としては、単一ドメイン抗体不対VH又はVL)、Fv又はscFvなどの対形成抗体可変ドメイン、又はエンジニアードタンパク質足場が挙げられる。付加IgG抗体フォーマットは、例えば、非特許文献2に記載されるDVD−IgG、IgG(H)−scFv、scFv−(H)IgG、IgG(L)−scFv、scFv−(L)IgG、IgG(L,H)−Fv、IgG(H)−V、V(H)−IgG、IgG(L)−V、V(L)−IgG、KIH IgG−scFab、2scFv−IgG、IgG−2scFv、scFv4−Ig、及びZybodyが挙げられる。DVI−IgG(フォーインワン)は、前述のように、多重特異性IgG抗体フォーマットと組み合わされた添付IgG抗体フォーマットである。付加多重特異性IgGフォーマットの1つの潜在的な利点は、全ての可変ドメインに抗原を同時に結合できるため、より高い特異的結合能を提供できることである。

0009

多重特異性抗体断片は、通常、天然の抗体と比較して1つ以上の定常ドメインを欠いている。多重特異性抗体断片としては、例えば、非特許文献2に記載される、ナノボディ;ナノボディ−HAS;BiTE;ダイアボディ;DART;TandAb;scダイアボディ;sc−ダイアボディ−CH3;ダイアボディ−CH3;トリプルボディ;ミニ抗体ミニボディ;TriBiミニボディ;scFv−CH3KIH;Fab−scFv;scFv−CH−CL−scFv;F(ab’)2;F(ab’)2−scFv2;scFv−KIH;Fab−scFv−Fc;四価HCAb;scダイアボディ−Fc;ダイアボディ−Fc;タンデムscFv−Fc;及びイントラボディが挙げられる。多重特異性融合タンパク質としては、例えば、非特許文献2、特に、図1と対応する記載(95〜101ページ)に記載される、Dock and Lock;ImmTAC;HSAボディ;scダイアボディ−HAS;及びタンデムscFv−毒素が挙げられる。多重特異性抗体コンジュゲートとしては、非特許文献2、特に、図1と対応する記載(95〜101ページ)に記載される、IgG−IgG;Cov−X−ボディ;及びscFv1−PEG−scFv2が挙げられる。

0010

通常、抗体のフォーマットは、想定される用途に応じて選択される。例えば、多くの用途では長い薬理学的半減期が望ましい。一般的にはFc領域を含有させることで達成されるが、他の用途では、半減期が短い(したがってFc領域を有しない)が有利な場合がある。更に、特に、単一の宿主細胞における2つの異なる軽鎖と重鎖の共発現による多重特異性IgG抗体フォーマットの生産は非常に困難であることが知られており、除去困難であり得る誤対合抗体をもたらす可能性があるため、生産収率役割を果たし得る。加えて、付加IgG抗体フォーマットなどの多くの抗体フォーマットは、通常、異なる抗原の同時結合に十分な柔軟性を提供するためにリンカーを必要とするが、リンカーの柔軟性により、タンパク質分解による切断を受け易くなり得、抗体の安定性凝集、及び免疫原性の増加が低下する。注目すべきは、特定の用途では、用途に応じて、抗体の安定性が結合能力よりも重要である場合があり、その逆も同様である。更に、特異性に応じて抗体フォーマットを選択することができる。即ち、特定の抗原結合部位が、特定のフォーマットでより良好な生産収率、安定性、及び/又は結合値を達成し、一方で、他の仕様が、他の抗体フォーマットにおける良好な特性(例えば、標的抗原のサイズ/構造/性質)を達成する。

先行技術

0011

Lesk AM, Chothia C. Elbow motion in the immunoglobulins involves a molecular ball−and−socket joint. Nature. 1988 Sep 8;335(6186):188−90
Spiess C, Zhai Q, Carter PJ. Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies. Mol Immunol. 2015 Oct;67(2 Pt A):95−106
Weidle UH, Tiefenthaler G, Weiss EH, Georges G, Brinkmann U. The intriguing options of multispecific antibody formats for treatment of cancer. Cancer Genomics Proteomics. 2013 Jan−Feb;10(1):1−18
Staerz et al.(1985), Nature 314: 628−631
Milstein & Cuello (1983) Nature 305:537−540

発明が解決しようとする課題

0012

したがって、明確な特徴を提供する更なる抗体フォーマットが必要である。それに鑑みて、本発明の目的は、更なる機能性を有する新規抗体フォーマット、例えば、レポーター機能、転座機能、又はキャリア機能などの更なる機能性を提供するようにエンジニアードされた抗体を提供することである。新規抗体フォーマットは、例えば、複数の結合部位を有する抗体又は更なる機能性を有する二重特異性抗体を得るために、知られたの抗体フォーマットと任意に組み合わせることができる。これらの目的は、以下及び添付の特許請求の範囲に示す主題によって達成される。

0013

以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル、及び試薬に、これらは変わる可能性があるので、限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。特段の断りがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。

0014

以下に、本発明の要素について説明する。これら要素は、具体的な実施形態と共に列挙されるが、これらを任意の方式で任意の数組み合わせて更なる実施形態を生み出すことができることを理解すべきである。様々に記載される実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に記載される実施形態に限定することを意図するものではない。この記載は、明示的に記載された実施形態を任意の数の開示された及び/又は好ましい要素と組み合わせる実施形態をサポート及び包含すると理解すべきである。更に、特に指定しない限り、本願における全ての記載された要素の任意の入れ換え及び組合せが本願の記載によって開示されるとみなすべきである。

0015

本明細書及びその後に続く特許請求の範囲全体を通して、特に必要としない限り、用語「含む」並びに「含み」及び「含んでいる」等の変形は、指定されている部材、整数、又は工程を含むが、任意の他の指定されていない部材、整数、又は工程を除外するものではないことを意味すると理解される。用語「からなる」は、任意の他の指定されていない部材、整数、又は工程が除外される、用語「含む」の具体的な実施形態である。本発明において、用語「含む」は、用語「からなる」を包含する。したがって、用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」及び「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、Xのみからなっていてもよく、追加の何かを含んでいてもよい(例えば、X+Y)。

0016

用語「a」及び「an」及び「the」、並びに本発明の説明(特に、特許請求の範囲)において使用される同様の参照は、本明細書に指定されているか又は文脈上明示的に否定されていない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲内の各別個の値を個別に参照する簡易的な方法として機能することを意図する。本明細書において特に指定しない限り、各個別の値は、本明細書に個々に列挙されているかのように明細書に組み込まれる。明細書中のいずれの言語も、本発明の実施に必須の任意の請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。

0017

用語「実質的に」は、「完全に」を除外するものではなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含んでいなくてもよい。必要な場合、用語「実質的に」は、本発明の定義から省略されることもある。

0018

数値xに関連する用語「約」は、x±10%を意味する。

0019

本明細書で使用するとき、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」は、それぞれ、好ましくは通常のペプチド結合、又は修飾されたペプチド結合(例えば、等価(isosteric)ペプチドの場合など)によって互いに結合された少なくとも2つのアミノ酸を含む融合タンパク質を含むペプチド、オリゴペプチド、又はタンパク質を意味する。特に、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」は、非ペプチド構造要素を含むペプチドアナログとして定義される「ペプチド模倣物」も含まれ、このペプチドは、天然の親ペプチド生物学的作用を模倣する又は拮抗することができる。ペプチド模倣物は、酵素的に切断可能なペプチド結合などの古典的なペプチド特性を欠く。ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、遺伝暗号で定義される20種のアミノ酸のいずれかで構成され得る。更に、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、これらのアミノ酸に加えて、遺伝暗号によって定義される20個のアミノ酸以外のアミノ酸も含んでもよく、又は遺伝暗号によって定義される20個のアミノ酸以外のアミノ酸から構成されてもよい。特に、本発明の文脈におけるペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、翻訳後成熟プロセスなどの天然プロセス又は化学プロセスによって修飾されたアミノ酸から等しく構成することができ、これは当業者によく知られている。そのような修飾は、文献に十分に記載されている。これらの修飾は、ポリペプチドの任意に箇所、即ち、ペプチド骨格、アミノ酸鎖、又はカルボキシ又はアミノ末端においても現れる可能性がある。特に、ペプチド又はポリペプチドは、ユビキチン化に続いて分岐するか、分岐の有無にかかわらず環状であり得る。このタイプの修飾は、当業者によく知られた天然又は合成の翻訳後プロセスの結果であり得る。本発明の文脈における用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」には、特に、修飾されたペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質も含まれる。例えば、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の修飾には、アセチル化アシル化ADPリボシル化アミド化ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合固定、脂質又は脂質誘導体の共有結合固定、ホスファチジルイノシトールの共有結合固定、共有結合又は非共有結合架橋環化ジスルフィド結合形成脱メチル化ペグ化を含むグリコシル化ヒドロキシル化ヨード化メチル化ミリストイル化酸化、タンパク質分解プロセス、リン酸化プレニル化ラセミ化、セネロイル化、硫酸化アルギニル化などのアミノ酸付加、又はユビキチン化が含まれる。このような修飾は、文献に十分に記載されている(Proteins Structure and Molecular Properties (1993) 2nd Ed., T. E. Creighton, New York ; Post−translational Covalent Modifications of Proteins (1983) B. C. Johnson, Ed., Academic Press, New York ; Seifter et al. (1990) Analysis for protein modifications and nonprotein cofactors, Meth. Enzymol. 182: 626−646 and Rattan et al., (1992) Protein Synthesis: Post−translational Modifications and Aging, Ann NY Acad Sci, 663: 48−62)。したがって、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」には、好ましくは、例えば、リポペプチドリポタンパク質糖ペプチド糖タンパク質などが含まれる。

0020

しかしながら、好ましくは、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドは、「古典的な」ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質であり、「古典的な」ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、通常、遺伝コードによって定義される20種のアミノ酸から選択され、通常のペプチド結合によって互いに結合されるアミノ酸で構成される。

0021

本明細書で使用される「第1のポリペプチド鎖」という用語は、第2のポリペプチド(「第2のポリペプチド鎖」)と会合されるポリペプチドを意味する。特に、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ジスルフィド結合を介して会合する。第1のポリペプチド鎖は、1つ、2つ、3つの抗体重定常ドメインを含むことができる。好ましい実施形態では、それは、3つの抗体重定常ドメイン、即ち、CH1、CH2、及びCH3、並びにCH1とCH2の間のヒンジ領域を含む。前記重鎖定常ドメインは、マウスキメラ、合成、ヒト化、又はヒト、及びモノクローナル又はポリクローナルである抗体に由来することができる。第1のポリペプチド鎖は、1つ以上の可変ドメイン、好ましくは抗体重鎖の可変ドメインを含むことができる。

0022

本明細書で使用される「第2のポリペプチド鎖」という用語は、第1のポリペプチド(「第1のポリペプチド鎖」)と会合されるポリペプチドを意味する。特に、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ジスルフィド結合を介して会合する。第2のポリペプチド鎖は、抗体軽鎖定常領域CLを含むことができる。前記軽鎖定常ドメインは、マウス、キメラ、合成、ヒト化、又はヒト、及びモノクローナル又はポリクローナルである抗体に由来することができる。第2のポリペプチド鎖は、1つ以上の可変ドメイン、好ましくは抗体軽鎖の可変ドメインを含むことができる。

0023

一般に、「抗体」は、抗原に特異的に結合するタンパク質である。通常、抗体は、その対応する抗原との特異的結合を可能とするユニークな構造を有するが、一般に、抗体は類似した構造を有し、特に免疫グロブリン(Ig)としても知られる。本明細書で使用される「抗体」という用語は、本発明に係る特徴的な性質が維持される限り、限定するものではないが、抗体全体、抗体断片、特に抗原結合断片ヒト抗体キメラ抗体ヒト化抗体組換え抗体、及び遺伝子操作された抗体(変異体又は突然変異抗体)を含む各種形態の抗体を含む。特許請求の範囲を含む明細書は、一部の箇所で、抗体の抗原結合断片、抗体断片、変異体、及び/又は誘導体に明示的に言及する場合があるが、用語「抗体」は、抗体の全てのカテゴリー、即ち、抗体の抗原結合断片、抗体断片、変異体、及び誘導体を含む。

0024

本明細書で使用される「抗原結合断片」、「断片」、及び「抗体断片」という用語は、相互変換可能に用いられ、(i)抗体の抗原結合活性と、(ii)(追加の)機能的ドメインによって提供される追加機能性、例えば、(独立した)結合部位によって提供される結合活性とを保持する本発明の抗体の任意の断片を意味する。本発明に係る抗原結合断片では、本発明に係る特徴的な性質が保持される。一般に、抗体断片の例としては、限定するものではないが、単鎖抗体、Fab、Fab’、又はF(ab’)2が挙げられる。抗体の断片は、ペプシン又はパパインなどの酵素による消化を含む方法によって、及び/又は化学還元によるジスルフィド結合の切断によって抗体から得ることができる。或いは、抗体の断片は、重鎖又は軽鎖の配列の一部のクローニング及び発現によって得ることができる。更に、本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗体及びその抗原結合断片の両方を含む。

0025

本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体は、現在の技術水準でよく知られている(van Dijk, M. A., and van de Winkel, J. G., Curr. Opin. Chem. Biol. 5 (2001) 368−374)。また、ヒト抗体は、免疫感作時に内因性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体の完全なレパートリー又は一揃いを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)で産生することができる。そのような生殖細胞系突然変異マウスにおけるヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイ移入は、抗原接種時にヒト抗体の産生をもたらす(例えば、Jakobovits, A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 2551−2555; Jakobovits, A., et al., Nature 362 (1993) 255−258; Bruggemann, M., et al., Year Immunol. 7 (1993) 3340参照)。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーでも作製できる(Hoogenboom, H. R., and Winter, G., J. Mol. Biol. 227 (1992) 381−388; Marks, J. D., et al., J. Mol. Biol. 222 (1991) 581−597)。Coleら及びBoernerらの技術は、また、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985);及びBoerner, P., et al., J. Immunol. 147 (1991) 86−95)。好ましくは、ヒトモノクローナル抗体は、Traggiai E, Becker S, Subbarao K, Kolesnikova L, Uematsu Y, GismondoMR, Murphy BR, Rappuoli R, Lanzavecchia A. (2004): An efficient method to make human monoclonal antibodies from memory B cells: potent neutralization ofSARS coronavirus. Nat Med. 10(8):871−5に記載されるように、改善されたEBVB細胞不死化を使用して調製される。本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、本明細書に記載の本発明に係る性質を生成するように修飾された抗体も含む。

0026

本発明に係る抗体は、精製された形態で提供され得る。したがって、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片は、精製された抗体又は抗原結合断片であることができる。典型的には、抗体は、他のポリペプチドを実質的に含まない組成物(例えば、組成物の90%(重量)未満、通常60%未満、より通常50%未満が他のポリペプチドで構成される場合)に存在する。

0027

本明細書で使用される「可変ドメイン」(「可変領域」とも呼ばれる;軽鎖の可変ドメイン(VL)、重鎖の可変ドメイン(VH))という用語は、古典的な天然抗体におけるN末端ドメイン、典型的には古典的な天然抗体における最大の可変性を提供するドメインであり、且つ抗原への抗体の結合に直接関与する抗体のドメイン又はその抗原結合断片を意味する。通常、可変ヒト軽鎖及び重鎖のドメインは同一の一般的構造を有し、各ドメインは、その配列が広く保存されているフレームワーク(FR)領域(特に、4つのフレームワーク(FR)領域)及び3つの「超可変領域」又は相補性決定領域、CDR(特に、3つの「超可変領域」/CDR)を含む。フレームワーク領域は、通常、βシート構造を採用し、CDRは、βシート構造をつなぐループを形成することができる。各鎖のCDRは、通常、フレームワーク領域によってその3次元構造に保持され、他の鎖のCDRと共に抗原結合部位を形成する。

0028

本明細書で使用される「超可変領域」という用語は、抗原結合を司る抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」を含む。「フレームワーク」又は「FR」領域は、本明細書で定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン領域である。CDR及びFR領域は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)の標準的な定義にしたがって決定することができる。通常、特にネイティブな単一特異性IgG抗体では、3つのCDR(CDR1、CDR2、及びCDR3)が可変ドメインに非連続的に配置される。換言すれが、重鎖及び/又は軽鎖上のCDRは、例えば、フレームワーク領域によって分離されることができ、フレームワーク領域(FR)は、CDRより「可変」ではない可変ドメイン内の領域である。例えば、抗体において、可変ドメイン(又はそれぞれの各可変ドメイン)は、好ましくは、3つのCDRにより分離された4つのフレームワーク領域を含み得る。特に、抗体の可変ドメイン(軽鎖又は重鎖可変ドメインVH又はVL)は、N末端からC末端にかけて、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。各鎖のCDRは、そのようなフレームワークアミノ酸によって分離される。通常、重鎖の3つのCDRと、連結された軽鎖の3つのCDRとが共に、抗原結合部位(パラトープ)を形成する。換言すれば、特にネイティブな単一特異性IgG抗体では、抗原結合部位が、通常、2つの可変ドメインで構成されるので、各抗原結合部位に6つのCDRが存在する(重鎖:CDRH1、CDRH2、及びCDRH3;軽鎖:CDRL1、CDRL2、及びCDRL3)。単一抗体、特に単一のネイティブな単一特異性IgG抗体は、通常、2つの(同一の)抗原結合部位を有するので、12個のCDR(即ち、2×6個のCDR)を含む。

0029

その「多重特異性」、即ち異なる抗原結合部位のため、多重特異性抗体の重鎖及び/又は軽鎖、又はその抗原結合断片は、(それぞれ)3超のCDR、特に3超の異なるCDRを含み得る。例えば、多重特異性抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含むことができ、前記少なくとも2つの異なる可変ドメインは、それぞれ、異なる単一特異性抗体、例えばIgG型の抗体に由来する。そのような単一特異性抗体は通常、抗原結合部位を形成する重鎖に3つのCDR及び軽鎖に3つのCDRを含むため、本発明に係る多重特異性抗体は、特に、第1の抗体の重鎖の3つのCDR及び第1の抗体の軽鎖の3つのCDR、第2の抗体の重鎖の3つのCDR及び第2の抗体の軽鎖の3つのCDR、任意に、第3の抗体の重鎖の3つのCDR及び第3の抗体の軽鎖の3つのCDRなどを含むことができる。したがって、多重特異性抗体の重鎖及び/又は軽鎖に含まれるCDRの数は、好ましくは3の倍数、例えば3、6、9、12などである。それにより、多重特異性抗体の重鎖及び軽鎖の両方に含まれるCDRの合計が6の倍数、例えば6、12、18などであることが好ましい。「抗原結合部位」は通常、CDR、即ちCDRH1、CDRH2、及びCDRH3並びにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3により特徴付けられるので、本発明に係る多重特異性抗体においては、CDRは、その順序(例えば、同一の単一特異性抗体に由来するCDRH1、CDRH2、及びCDRH3及び/又はCDRL1、CDRL2、及びCDRL3)が、抗原結合部位を保持するように、即ち、抗原の特定部位に特異的に結合する能力を保持するように維持される。これは、例えば、一続きのアミノ酸における第1の単一特異性抗体に由来するCDRH1、CDRH2、及びCDRH3の順序が、好ましくは第2の単一特異性抗体に由来するCDRによって中断されないことを意味する。重要なことには、多重特異性抗体が少なくとも2つの異なる単一特異性抗体に由来する抗原結合部位を含む場合、これらの単一特異性抗体のCDR又は可変ドメインは、CDR(又は可変領域)が由来する各単一特異性抗体の「抗原受容体」が保持される、即ち、抗原の特定部位に特異的に結合する能力が保持されるように、本発明に係る多重特異性抗体に配置される。

0030

本発明の文脈において、可変ドメインは、天然の抗体の任意の可変ドメイン(特に、VH及び/又はVL)であり得るか、又は可変ドメインは、改変/エンジニアードされた可変ドメインであり得る。改変/エンジニアードされた可変ドメインは、当技術分野で知られている。通常、可変ドメインは、1つ以上の機能を削除又は追加するように、例えば、体細胞突然変異を「生殖系列化(germlining)」(体細胞突然変異を「除去」)する又はヒト化することによって改変/エンジニアードされる。

0031

本明細書で使用される「定常ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、様々なエフェクタ機能を示す抗体のドメインを意味する。典型的に、重鎖は、免疫グロブリンのクラスに応じて、3つ又は4つの定常ドメイン、即ち、CH1、CH2、CH3、及び任意にCH4を(NC末端方向に)含む。したがって、重鎖の定常領域は通常、(NからC末端方向に)CH1−ヒンジ(重鎖の第1の定常ドメインと第2の定常ドメインとの間にアミノ酸を含む柔軟なポリペプチド)−CH2−CH3(−CH4)によって形成される。軽鎖は通常、CLと呼ばれる単一定常ドメインを1つだけ含み、これは通常、軽鎖の定常領域も形成する。本発明の文脈において、定常ドメインは、天然の抗体の任意の定常ドメイン(特に、CL、CH1、CH2、CH3、及び/又はCH4)であり得る、又は定常ドメインは、改変/エンジニアードされた定常ドメインであり得る。改変/エンジニアードされた定常領域は、当技術分野で知られている。通常、定常ドメインは、例えばFc領域の機能性の文脈において、1つ以上の関数を削除又は追加するように改変/エンジニアードされる。重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、抗体又は免疫グロブリンは、IgAIgDIgE、IgG、及びIgMのクラスに分けられ、これらのいくつかは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、IgA1及びIgA2のサブクラスに更に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域はそれぞれ、α、ε、γ、及びμと呼ばれる。本発明に係る抗体は、好ましくはIgG型のものである。

0032

一般に、抗体は任意のアイソタイプ(例えば、IgA、IgG、IgM、即ち、α、γ、又はμ重鎖)のものであり得るが、好ましくはIgGである。IgGアイソタイプ内で、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブクラスであることができ、IgG1が好ましい。抗体は、κ又はλ軽鎖を有することができる。

0033

本明細書で使用される「組換え抗体」という用語は、天然には存在しない全ての抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされる組換え発現ベクター(例えば、1つ以上の定常ドメインを提供する)を使用して発現される抗体を含むことが意図される。

0034

本明細書で使用するとき、抗体又はその抗原結合断片の文脈における「多重特異性」という用語は、抗体又は抗原結合断片が、例えば異なる抗原上又は同一抗原上の少なくとも2つの異なるエピトープに結合する能力を意味する。したがって、「二重特異性」、「三重特異性」、「四特異性」などの用語は、抗体が結合できる異なるエピトープの数を意味する。例えば、従来の単一特異性IgG型抗体は、2つの同一の抗原結合部位(パラトープ)を有し、したがって、同一のエピトープにのみ結合できる(異なるエピトープには結合できない)。対照的に、多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるタイプのパラトープ/結合部位を有し、したがって、少なくとも2つの異なるエピトープに結合できる。本明細書で使用する「パラトープ」とは、抗体の抗原結合部位を意味する。更に、単一の「特異性」とは、単一の抗体における1、2、3、又はそれ以上の同一のパラトープを意味し得る(1つの単一の抗体分子におけるパラトープ/結合部位の実際の数は、「価(valency)」と呼ばれる)。例えば、単一のネイティブなIgG抗体は、2つの同一のパラトープを有するの、単一特異性で二価である。したがって、多重特異性抗体は、少なくとも2つの(異なる)パラトープ/結合部位を含む。したがって、「多重特異性抗体」という用語は、1超のパラトープと2つ以上の異なるエピトープに結合する能力を有する抗体を意味する。「多重特異性抗体」という用語は、特に上に定義された二重特異性抗体を含むが、典型的にはタンパク質、例えば、特に3つ以上の異なるエピトープに結合する抗体、足場、即ち、3つ以上のパラトープ/結合部位を有する抗体も含む。

0035

特に、多重特異性抗体又はその抗原結合断片は、2つ以上のパラトープ/結合部位を含むことができ、抗体の全てのパラトープ/結合部位が少なくとも2つの異なるタイプのパラトープ/結合部位に属し、したがって、抗体が少なくとも2つの特異性を有するように、いくつかのパラトープ/結合部位が同一であることができる。例えば、多重特異性抗体又はその抗原結合断片は、4つのパラトープ/結合部位を含むことができ、各2つのパラトープ/結合部位が同一であり(即ち、同一の特異性を有し)、したがって、抗体又はその断片は二重特異性で四価(2つの特異性のそれぞれに対して2つの同一のパラトープ/結合部位)である。したがって、「1つの特異性」は、特に同一の特異性を示す1つ以上のパラトープ/結合部位(通常、そのような1つ以上のパラトープ/結合部位が同一であることを意味する)を意味し、したがって、「2つの特異性」は、2つだけの特異性に言及している限り、2、3、4、5、6、又はそれ以上のパラトープ/結合部位によって実現され得る。或いは、多重特異性抗体は、(少なくとも2つの)特異性ごとに1つの単一のパラトープ/結合部位を含むことができ、即ち、多重特異性抗体は、合計で少なくとも2つのパラトープ/結合部位を含む。例えば、二重特異性抗体は、2つの特異性のそれぞれに対して1つの単一のパラトープ/結合部位を含む、即ち、抗体は合計2つのパラトープ/結合部位を含む。また、抗体は、2つの特異性のそれぞれについて2つの(同一の)パラトープ/結合部位を含む、即ち、抗体は合計4つのパラトープ/結合部位を含むことも好ましい。好ましくは、抗体は、2つの特異性のそれぞれについて3つの(同一の)パラトープ/結合部位を含む、即ち、抗体は合計6つのパラトープ/結合部位を含む。

0036

本明細書で使用される「抗原」という用語は、適応免疫応答の受容体の標的、特に抗体、T細胞受容体、及び/又はB細胞受容体の標的として機能する任意の構造物質を意味する。「抗原決定基」としても知られる「エピトープ」は、免疫系、特に抗体、T細胞受容体、及び/又はB細胞受容体によって認識される抗原の一部(又は断片)である。したがって、1つの抗原は少なくとも1つのエピトープを有する、即ち、単一の抗原は1つ以上のエピトープを有する。抗原は、(i)ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質、(ii)多糖、(iii)脂質、(iv)リポタンパク質又はリポペプチド、(v)糖脂質、(vi)核酸、又は(vii)低分子薬又は毒素であり得る。したがって、抗原は、ペプチド、タンパク質、多糖類、脂質、リポタンパク質及び糖脂質を含むそれらの組合せ、核酸(例えば、DNA、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドデコイDNA、プラスミド)、又は低分子薬(例えば、シクロスポリンAパクリタキセルドキソルビシンメトトレキサート、5−アミノレブリン酸)、又はそれらの任意の組合せであり得る。好ましくは、抗原は、(i)ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質、(ii)多糖、(iii)脂質、(iv)リポタンパク質又はリポペプチド、及び(v)糖脂質から選択され、より好ましくは、抗原は、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質である。

0037

本明細書で使用される「抗原結合部位」という用語は、抗原の一部又は全部に特異的に結合し、相補的である領域を含む抗体の一部を意味する。抗原が大きい場合、抗体は抗原の特定の部分のみに結合することがあり、その部分を「エピトープ」と呼ぶ。典型的には、2つの可変ドメイン、特に重鎖可変ドメインVH及び軽鎖可変ドメインVLが会合して、抗原結合部位を形成する。特に、抗原結合部位は、重鎖可変ドメインの3つのCDRと軽鎖可変ドメインの3つのCDRとが一緒になって、即ち前記したように6つのCDRによって形成される。

0038

「特異的に結合する」という用語及び同様の記載は、非特異的な付着(non−specific sticking)は含まない。

0039

本明細書で使用される用語「リンカー」(「スペーサー」とも呼ばれる)は、抗体又はその抗原結合断片などの、ポリペプチド又はタンパク質の異なるドメインを接続するように適合されたペプチドを意味する。リンカーは当技術分野で知られており、Reddy Chichili VP, Kumar V, Sivaraman J. Linkers in the structural biology of protein−protein interactions. Protein Science: A Publication of the Protein Society. 2013;22(2):153−167)に詳細に記載される。通常、リンカーは、機能性に影響を与えないように設計される。特に、リンカーは、標的に特異的に結合しない。リンカーは任意のアミノ酸を含むことができ、アミノ酸は、グリシン(G)及びセリン(S)が好ましいことがある。好ましくは、リンカーは、アミノ酸グリシン(G)及びセリン(S)から構成される(「GSリンカー」)。1つのポリペプチド又はタンパク質中に2つ以上のリンカーが存在する場合、リンカーは、互いに等しくても異なっていてもよい。更に、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸の長さを有する。

0040

本明細書で使用される「核酸又は核酸分子」という用語は、DNA分子及びRNA分子を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖でも二本鎖でもよい。

0041

本明細書で使用されるとき、「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養」という用語は相互変換可能にに使用され、その記載はいずれも子孫を含む。したがって、「形質転換体」及び「形質転換細胞」という用語は、一次対象細胞、及び継代(transfers)の数に関わらず、それに由来する培養物を含む。また、故意又は偶発的な変異のために、全ての子孫のDNA含量が正確に同一ではないことがあることも理解される。最初に形質転換された細胞でスクリーニングされたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体子孫が含まれる。異なる記載が意図される場合には、文脈から明確となろう。

0042

本明細書で使用するとき、「配列変異体」(「変異体」とも称する)は、レファレンス配列における任意の変化を指し、レファレンス配列は、「配列の表及び配列番号」(配列表)に列挙されている配列、即ち、配列番号1〜配列番号133のいずれかである。したがって、用語「配列変異体」は、ヌクレオチド配列変異体及びアミノ酸配列変異体を含む。注目すべきことに、本明細書で言及される配列変異体は、特に機能的配列変異体、即ち、例えば、抗体の生物学的機能を維持する配列変異体である。本発明の文脈において好ましい維持された生物学的機能は、(i)抗体のその抗原への結合、及び(ii)(追加の)機能的ドメインによって提供される機能、例えば、(独立した)結合部位のその標的への結合を含む。したがって、好ましい配列変異体は、レファレンス配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する機能的配列変異体である。本明細書に使用される表現「少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する機能的配列変異体」という表現は、(i)配列変異体が本明細書に記載されるように機能的であり、且つ(ii)%配列同一性が高いほど、より好ましい配列変異体であることを意味する。換言すれば、表現「少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する機能的配列変異体」は、特に、機能的配列改変体がそれぞれのレファレンス配列に対して少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも88%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも90%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも92%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも95%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも96%の配列同一性、特に好ましくは少なくとも97%の配列同一性、特に好ましくは少なくとも98%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有することを意味する。

0043

「配列変異体」という用語は、特に、レファレンス配列と比較して突然変異及び/又は置換を含む変異体を含む。Fc部分配列の例示的な変異体は、限定するものではないが、CH2 4、CH2 5、又はその両方の位置にLからAへの置換を有するものを含む。

0044

配列同一性は、通常、レファレンス配列(即ち、本願に列挙される配列)の完全長に対して計算される。本明細書において言及するとき、同一性パーセントは、例えば、NCBI(the National Center for Biotechnology Information;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって指定されたデフォルトパラメータ[Blosum62マトリクスギャップオープンペナルティ=11、及びギャップエクステンションペナルティ=1]を用いるBLASTを使用して決定することができる。

0045

本明細書で使用するとき、「ヌクレオチド配列変異体」は、レファレンス配列におけるヌクレオチドのうちの1つ以上が欠失若しくは置換されているか、又は1つ以上のヌクレオチドがレファレンスヌクレオチド配列の配列に挿入されている、変化した配列を有する。ヌクレオチドは、標準的な一文字表記(A、C、G、又はT)によって本明細書に言及される。遺伝子コード縮重に起因して、「ヌクレオチド配列変異体」は、それぞれのレファレンスアミノ酸配列に変化をもたらす、即ち、「アミノ酸配列変異体」を生じさせる場合もあり、そうではない場合もある。好ましい配列変異体は、アミノ酸配列変異体を生じさせない(サイレント突然変異)ヌクレオチド配列変異体である。しかし、他の非サイレント突然変異も範囲内であり、具体的には、レファレンス配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%同一のアミノ酸配列を生じさせる、突然変異ヌクレオチド配列も範囲内である。

0046

「アミノ酸配列変異体」は、レファレンスアミノ酸におけるアミノ酸のうちの1つ以上が欠失、置換、又は1つ以上のアミノ酸がレファレンスアミノ酸配列の配列に挿入されている、変化した配列を有する。変化の結果、アミノ酸配列変異体は、レファレンス配列と少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも90%同一、より好ましくは少なくとも95%同一、最も好ましくは少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有する。少なくとも90%同一の変異体配列は、レファレンス配列の100アミノ酸当たり10以下の変化、即ち、欠失、挿入、又は置換の任意の組合せを有する。

0047

保存的アミノ酸置換を有することが可能であるが、置換は、置換されたアミノ酸が、レファレンス配列における対応するアミノ酸と類似の構造的又は化学的性質を有する保存的アミノ酸置換であることが好ましい。一例として、保存的アミノ酸置換は、ある脂肪族又は疎水性のアミノ酸(例えば、アラニンバリン、及びイソロイシン)の別の脂肪族又は疎水性のアミノ酸による置換;あるヒドロキシル含有アミノ酸(例えば、セリン及びトレオニン)の別のヒドロキシル含有アミノ酸による置換;ある酸性残基(例えば、グルタミン酸又はアスパラギン酸)の別の酸性残基による置換;あるアミド含有残基(例えば、アスパラギン及びグルタミン)の別のアミド含有残基による置換;ある芳香族残基(例えば、フェニルアラニン及びチロシン)の別の芳香族残基による置換;ある塩基性残基(例えば、リジンアルギニン、及びヒスチジン)の別の塩基性残基による置換;並びにある小アミノ酸(例えば、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、及びグリシン)の別の小アミノ酸による置換を含む。

0048

アミノ酸配列の挿入は、1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドに及ぶ長さの範囲のアミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例としては、アミノ酸配列のN又はC末端のレポーター分子又は酵素への融合が挙げられる。

0049

重要なことに、配列変異体における変化は、本件におけるそれぞれのレファレンス配列の機能、例えば、その抗原に結合するための抗体又はその抗原結合断片の配列の機能性、及び/又は機能的ドメインによって提供される追加の機能性、例えば、(独立した)結合部位の標的に結合するための機能性を消失させるものではない。かかる機能を消失させることなしにそれぞれどのヌクレオチド及びアミノ酸残基を置換、挿入、又は欠失させることができるかを決定するための指針は、当技術分野において周知のコンピュータプログラムを使用することによって見出される。

0050

本明細書で使用するとき、指定の核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に「由来する」核酸配列又はアミノ酸配列は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の起源を指す。好ましくは、特定の配列に由来する核酸配列又はアミノ酸配列は、これらが由来する配列又はその一部と本質的に同一のアミノ酸配列を有し、「本質的に同一」とは、上に定義した配列変異体を含む。好ましくは、特定のペプチド又はタンパク質に由来する核酸配列又はアミノ酸配列は、特定のペプチド又はタンパク質における対応するドメインに由来する。それに関して、「対応する」とは、特に、同じ機能に言及する。例えば、「細胞外ドメイン」は、(別のタンパク質の)別の「細胞外ドメイン」に対応する、又は「膜貫通ドメイン」は、(別のタンパク質の)別の「膜貫通ドメイン」に対応する。したがって、ペプチド、タンパク質、及び核酸の「対応する」部分は、当業者によって容易に同定可能である。同様に、他の配列に「由来する」配列は、通常、前記配列中にその起源を有することが当業者によって容易に同定可能である。

0051

好ましくは、別の核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に由来する核酸配列又はアミノ酸配列は、(それが由来する)出発核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質と同一であり得る。しかし、別の核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に由来する核酸配列又はアミノ酸配列は、(それが由来する)出発核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に対して1つ以上の突然変異を有していてもよく、具体的には、別の核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に由来する核酸配列又はアミノ酸配列は、(それが由来する)出発核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の上記機能性配列変異体であってよい。例えば、ペプチド/タンパク質において、1つ以上のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基で置換してもよく、1つ以上のアミノ酸残基が挿入又は欠失してもよい。

0052

本明細書で使用するとき、用語「突然変異」は、レファレンス配列、例えば、対応するゲノム配列と比較した、核酸配列及び/又はアミノ酸配列の変化に関する。例えばゲノム配列と比較した突然変異は、(自然界に存在する)体細胞突然変異、自然突然変異、例えば、酵素、化学物質、若しくは放射線によって誘導される誘導突然変異、又は部位特異的突然変異誘発(核酸配列及び/又はアミノ酸配列を特異的且つ故意に変化させるための分子生物学的方法)によって得られる突然変異であってよい。したがって、用語「突然変異」又は「突然変異する」とは、例えば、核酸配列及び/又はアミノ酸配列において突然変異を物理的に作製することも含むと理解されるものとする。突然変異は、1つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸の置換、欠失、及び挿入に加えて、幾つか(2つ以上)の連続するヌクレオチド又はアミノ酸の逆位も含む。アミノ酸配列に突然変異を生じさせるために、好ましくは、(組み換え突然変異型ポリペプチドを発現させるために、前記アミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列に突然変異を導入してよい。突然変異は、例えば、あるアミノ酸をコードしている核酸分子のコドンを、例えば部位特異的突然変異誘発によって、変化させて異なるアミノ酸をコードしているコドンを生じさせることにより、又は核酸分子の1つ以上のヌクレオチドを突然変異させる必要無しに、ポリペプチドをコードしている核酸分子のヌクレオチド配列を理解し、ポリペプチドの変異体をコードしているヌクレオチド配列を含む核酸分子の合成を設計することによって、配列変異体を合成することにより行ってよい。

0053

本発明の文脈において使用される用語「疾患」は、ヒト若しくは動物の身体又は正常な機能が損なわれているその部分のうちの1つの異常な状態を全て反映し、典型的には、識別可能徴候及び症状によって顕在化し、且つヒト又は動物の寿命及び/又は生活の質を低減するという点で、用語「疾病」及び(健康状態のような)「状態」と略同義であることを意図し、互換的に使用される。

0054

本明細書の本文中には幾つかの文献が引用されている。本明細書中に引用した各文献(全ての特許、特許出願、科学刊行物製造者の明細書、指示書などを含む)は、上記又は下記のいずれかにかかわらず、参照によりその全体を本明細書に援用する。本明細書中のいかなるものも、本発明が、先行する発明によってそのような開示よりも先行する資格がないと認めるものとして解釈されるものではない。

0055

本発明は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル、及び試薬に、これらは変わる可能性があるので、限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ用いられるのであって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。特段の断りがない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。

0056

エルボーに機能的ドメインを有する抗体及び抗原結合断片
第1の態様において、本発明は、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖とを含む抗体又はその抗原結合断片であって、
前記第1のポリペプチド鎖は、NからC末端方向に、
(i)1つ以上の可変ドメイン;
(ii)(追加の)機能的ドメイン;及び
(iii)1つ以上の定常ドメインを含み、
前記第2のポリペプチド鎖は、NからC末端方向に、
(iv)前記第1のポリペプチド鎖の前記1つ以上の可変ドメイン(i)と抗原結合部位を形成する1つ以上の可変ドメイン;
(v)任意に、(追加の)機能的ドメイン;及び
(vi)1つ以上の定常ドメインを含み、
前記第1のポリペプチド鎖の前記(追加の)機能的ドメイン(ii)が前記第2のポリペプチド鎖の断片を含まず、前記第2のポリペプチド鎖の前記任意の(追加の)機能的ドメイン(v)が前記第1のポリペプチド鎖の断片を含まない抗体又はその抗原結合断片を提供する。

0057

本発明は、(追加の)機能的ドメインが抗体のエルボー領域、即ち、可変ドメインと最もN末端側の定常ドメイン、特にCH1又はCLとの間に挿入することができるという驚くべき知見に基づく。図1Aは、矢印で示されたエルボー領域を有する古典的な天然抗体を示す。本発明者らは、驚くべきことに、そのような更なる機能的ドメインを含むようにエルボー領域においてエンジニアードされた抗体が、本明細書に記載される実施例に示されるように、例えば、(1)その可変ドメインによって標的化される抗原と、(2)抗体のエルボー領域に導入された結合部位によって標的化される更なる標的とに同時に結合できることを見出した。更なる結合部位が重鎖/軽鎖対を異なる特異性を有する別の重鎖/軽鎖対で置換することによって(各特異性に対して多くの場合一価である、前記した多重特異性IgG抗体フォーマットのように)又は更なる結合部位を重鎖又は軽鎖のN又はC末端に付加することによって(前記した付加IgG抗体フォーマットのように)得られる先行技術の多重特異性抗体フォーマットとは異なり、本発明の抗体においては、更なる機能的ドメイン、例えば、更なる結合部位(特異性)が、重鎖及び/又は軽鎖、即ち、エルボー領域に挿入される。驚くべきことに、結合部位などの、挿入された機能的ドメインの可変ドメイン(例えば、VH)のN末端は、他のポリペプチド鎖(例えば、VL)の対応する可変ドメインと共に、他のポリペプチド鎖がエルボーにおいて改変されていない場合であっても、十分に機能的な抗原結合部位を形成する。同じことが、多重特異性抗体にも当てはまる。即ち、挿入された機能的ドメインにかかわらず、挿入された機能的ドメインの可変ドメインのN末端は、他のポリペプチド鎖の対応する可変ドメインと会合して機能的抗原結合部位を形成する(例えば、一方のポリペプチド鎖のVL1−VL2と他方のポリペプチド鎖のVL1−VL2)。

0058

したがって、本発明に係る抗体及びその抗原結合断片は、「In−Elbow−Insert」Ig分子(「IEI−Ig」)と呼ばれる。本発明者らの知見の重要性は、図1に例示されるように、それが様々な新しい抗体フォーマットを生じるという事実によって反映される。本発明に係るIEI−Ig抗体及びその抗原結合断片は、図1Bに例示されるように、古典的な天然抗体に基づくか、又は他の(多重特異性)抗体フォーマットと組み合わせて、図1Cに例示されるように、更により多くの特異性を有する新しい抗体フォーマットを得ることができる。

0059

例えば、本発明に係る抗体を得るために、古典的な単一特異性抗体、好ましくはヒトモノクローナル抗体が「足場」抗体として機能することができ、結合部位などの更なる機能的ドメインが、足場抗体の重鎖及び/又は軽鎖のエルボー領域に挿入される(即ち、可変と最もN末端側の定常ドメインとの間、特に、可変ドメインのC末端と、CH1及び/又はCLのN末端との間)。他の例では、(i)重鎖及び軽鎖などの少なくとも2つのポリペプチド鎖と、(ii)各ポリペプチド鎖に、少なくとも可変ドメイン及び定常ドメインを含む古典的な単一特異性抗体の断片、好ましくはヒトモノクローナル抗体の断片が「足場抗体」として機能することができ、結合部位などの機能的ドメインは、足場抗体断片の第1及び/又は第2のポリペプチド鎖のエルボー領域に挿入される。結合部位などの機能的ドメインをエルボー領域に挿入することによって本発明に係る抗体を得るために足場として使用することができるそのような抗体断片の好ましい例としては、Fab、Fab’、及びF(ab’)2が挙げられる。更に、(i)重鎖及び軽鎖などの少なくとも2つのポリペプチド鎖と、(ii)各ポリペプチド鎖に、少なくとも可変ドメイン及び定常ドメインを含む多特異性(特に、二特異性)抗体又はその断片などの組換え抗体又はその断片が「足場」抗体として機能することができ、結合部位などの機能的ドメインは、組換え足場抗体(断片)の第1及び/又は第2のポリペプチド鎖のエルボー領域に挿入される。

0060

足場抗体として機能することができる抗体の好ましい例としては、抗体GCE536(VH:配列番号1、VL:配列番号2、重鎖定常領域:配列番号3、軽鎖定常領域:配列番号4;Piccoli, L., et al. Neutralization and clearance ofGMCSFby autoantibodies in pulmonary alveolar proteinosis. Nature communications 6, 7375 (2015));「C1」(実施例1参照;VH:配列番号5、VL:配列番号6、重鎖定常領域:配列番号3、軽鎖定常領域:配列番号7);「C1b」(VH:配列番号8、VL:配列番号9、重鎖定常領域:配列番号3、軽鎖定常領域:配列番号4)、及びFI174(VH:配列番号10、VL:配列番号11、重鎖定常領域:配列番号3、軽鎖定常領域:配列番号4;Pappas, L., et al. Rapid development of broadly influenza neutralizing antibodies through redundant mutations. Nature 516, 418−422 (2014))が挙げられる。

0061

本発明に係る抗体又はその抗原結合断片は、例えば、重鎖及び/又は軽鎖などの定常ドメイン/領域を含む市販のIgGベクター又はベクターセットなどによるクローニング技術によっても得ることができる。例えば、第1の抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメインVH及びVLなどの対応する可変ドメインは、ベクターにより提供されるそれぞれのポリペプチド鎖にクローニングすることができ、更に、更なる機能的ドメインを、(最もC末端側の)可変ドメインと(最もN末端側の)定常ドメインとの間、即ち、エルボー領域に位置するように、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖にクローニングすることができる。

0062

本発明に係る抗体又はその抗原結合断片の第1及び/又は第2のポリペプチド鎖は、(追加の)機能的ドメインを含む。特に、「機能的ドメイン」は、(通常の)ペプチド結合によって抗体又は抗原結合断片のポリペプチド鎖の隣接ドメインに連結されるペプチド又はポリペプチドである。特に、(追加の)機能的ドメインのN末端は、(最もC末端側の)可変ドメインのC末端に結合され、(追加の)機能的ドメインのC末端は、(最もN末端側の)定常ドメインのN末端にペプチド結合によって結合される。

0063

一般に、「機能的ドメイン」という用語は、例えば、抗体又は抗原結合断片の機能的単位を意味する。典型的には、機能的ドメインは、タンパク質(例えば、抗体又は抗原結合断片)に(追加の)機能を提供する。したがって、(追加の)機能的ドメインは通常、(追加の)機能を提供するために必要な全てのアミノ酸/配列を含む。特に、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメイン(ii)は、第2のポリペプチド鎖の断片を含まず、第2のポリペプチド鎖の任意の(追加の)機能的ドメイン(v)は、第1のポリペプチド鎖の断片を含まない。換言すれば、第2のポリペプチド鎖(特に、その任意の断片(アミノ酸1個の場合も含む))は、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメイン(の機能性)に必要ではなく、関与もしない。更に、第2のポリペプチド鎖も(追加の)機能的ドメインを含む場合、第1のポリペプチド鎖(特に、その任意の断片(アミノ酸1個の場合も含む))は、第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメイン(の機能性)に必要ではなく、関与もしない。むしろ、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインの機能性に必要な又はそれに関与する全てのアミノ酸(アミノ酸配列)が、そのポリペプチド鎖自体の(追加の)機能的ドメインに含まれ、他のポリペプチド鎖の断片もアミノ酸も必要ではなく/関与もない。したがって、(追加の)機能的ドメインは、例えば、第1のポリペプチド鎖の可変ドメインと第2のポリペプチド鎖の可変ドメインとによって形成される抗原結合部位とは異なる。換言すれば、(追加の)機能的ドメインは、例えば、2つの異なるポリペプチド鎖の可変ドメインによって形成される抗原結合部位とは異なる(ただし、以下に詳細に記載するように、関連する可変ドメインが単一のポリペプチド鎖上に位置する場合、(追加の)機能的ドメインは、抗原結合部位を含むことがある)。

0064

特に好ましくは、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、Ig様ドメイン、例えば、以下に例示するようなタンパク質又は(ポリ)ペプチドのIg様ドメインを含む又はからなる。免疫グロブリン(Ig)分子の基本構造は、ジスルフィド結合で結合された2つの軽鎖と2つの重鎖の四量体である。軽鎖には、カッパラムダの2種類があり、それぞれ定常ドメイン(CL)と可変ドメイン(VL)で構成される。重鎖には、アルファデルタイプシロンガンマ、及びミューの5種類があり、いずれも可変ドメイン(VH)及び3種(アルファ、デルタ、及びガンマ)又は4種(イプシロン及びミュー)の定常ドメイン(CH1〜CH4)からなる。Ig分子は高度にモジュール化されたタンパク質であり、可変ドメインと定常ドメインは、明確な保存された配列パターンを有する。Ig及びIg様分子におけるドメインは、Vセット(可変)、C1セット(定常1)、C2セット(定常2)、及びIセット(中間)の4種に分類される。構造研究により、これらのドメインが、ベータシートにおけるストランドの数とその配列パターンが異なるタイプと、共通のコアグリークキーベータサンドイッチ構造共有することが示された。配列と構造の両方に関連する免疫グロブリン様ドメインは、いくつかの多様なタンパク質ファミリーに見られる。Ig様ドメインは、細胞間認識細胞表面受容体筋肉構造、免疫系など、さまざまな機能に関与する。

0065

Ig様ドメインの好ましい例としては、以下のタンパク質又は(ポリ)ペプチドのいずれかのIg様ドメインが挙げられる:A1BG(アルファ−1−β糖タンパク質)、ACAM、ADAMTSL1(ADAMTS様1)、ADAMTSL3(ADAMTS様3)、AGER終末糖化産物特異的受容体)、ALCAM(活性化白血球細胞接着分子)、ALPK3(アルファキナーゼ3)、AMIGO1(Ig様ドメイン1を有する接着分子)、AMIGO2(Ig様ドメイン2を有する接着分子)、AMIGO3(Ig様ドメイン3を有する接着分子)、AXL(AXL受容体チロシンキナーゼ)、BCAM(基底細胞接着分子(ルーテル血液型))、BOC(BOC細胞接着関連、癌遺伝子調節)、BSG(バシジン(Ok血液型)))、BTLA(B及びTリンパ球関連)、C10orf72、C20orf102、CADM1(細胞接着分子1)、CADM3(細胞接着分子3)、CADM4(細胞接着分子4)、CCDC141(コイルドコイルドメイン含有141)、CD2、CD3、CD4、CD8、CD19、CD22、CD33、CD47、CD48、CD80、CD84、CD86、CD96、CD101、CD160、CD200、CD244、CD276、CDON(細胞接着関連、癌遺伝子調節)、CEACAM1(癌胎児性抗原関連細胞接着分子1)、CEACAM5(癌胎児性抗原関連細胞接着分子5)、CEACAM6(癌胎児性抗原関連細胞接着分子6)、CEACAM7(癌胎児性抗原関連細胞接着分子7)、CEACAM8(癌胎児性抗原関連細胞接着分子8)、CEACAM16(癌胎児性抗原関連細胞接着分子16)、CEACAM18(癌胎児性抗原関連細胞接着分子18)、CEACAM20(癌胎児性抗原関連細胞接着分子20)、CEACAM21(癌胎児性抗原関連細胞接着分子21)、CHL1(細胞接着分子L1様)、CILP(軟骨中間層タンパク質)、CILP2(軟骨中間層タンパク質2)、CLMP(CXADR様膜タンパク質)、CNTFR(繊毛神経栄養因子受容体)、CNTN1(コンクチン1)、CNTN2(コンタクチン2)、CNTN3(コンタクチン3、CNTN4(コンタクチン4)、CNTN5(コンタクチン5)、CNTN6(コンタクチン6)、CSF1R(コロニー刺激因子1受容体)、CXADR(CXADR、Ig様細胞接着分子)、DSCAM(DS細胞接着分子)、DSCAML1(DS細胞接着分子様1)、EMB(エンビジン)、ESAM(内皮細胞接着分子)、F11R(F11受容体)、FAIM3、FCMR(IgM受容体のFc断片)、HMCN1(ヘミセンチン1)、HMCN2(ヘミセンチン2)、FCAR(IgA受容体のFc断片)、FCER1A(IgE受容体IaのFc断片)、FCGR1A(IgG受容体IaのFc断片)、FCGR1B(IgG受容体IbのFc断片)、FCGR1CP(IgG受容体IcのFc断片、偽遺伝子)、FCGR2A(IgG受容体IIaのFc断片)、FCGR2B(IgG受容体IIbのFc断片)、FCGR2C(IgG受容体IIcのFc断片)、FCGR3A(IgG受容体IIIaのFc断片)、FCGR3B(IgG受容体IIIbのFc断片)、FCRH1、FCRH3、FCRH4、FCRL1(Fc受容体様1)、FCRL2(Fc受容体様2)、FCRL3(Fc受容体様3)、FCRL4(Fc受容体様4)、FCRL5(Fc受容体様5)、FCRL6(Fc受容体様6)、FCRLA(Fc受容体様A)、FCRLB(Fc受容体様B)、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFRL1、FLT1(fms関連チロシンキナーゼ1)、FLT3(fms関連チロシンキナーゼ3)、FLT4(fms関連チロシンキナーゼ4)、FSTL4(フォリスタチン様4)、FSTL5(フォリスタチン様5)、GP6(糖タンパク質VI血小板)、GPA33(糖タンパク質A33、GPR116、GPR125、ADGRF5(接着Gタンパク質結合受容体F5)、ADGRA2(接着Gタンパク質結合受容体A2)、hEMMPRINHEPACAM(肝細胞及びグリア細胞接着分子)、HEPACAM2(HEPACAMファミリーメンバー2)、HLADMA、HLA−DMB、HLA−DQB、HLA−DQB1、HNT、HSPG2(ヘパラン硫酸プロテオグリカン2)、HYST2477、ICAM1(細胞間接着分子1)、ICAM2(細胞間接着分子2)、ICAM3(細胞間接着分子3)、ICAM4(細胞間接着分子4(Landsteiner−Wiener血液型))、ICAM5(細胞間接着分子5)、DCC(DCCネトリン1受容体)、NEO1(ネオゲニン1)、IGHA1、IGHD、IGHE、IGDCC4(免疫グロブリンスーパーファミリーDCCサブクラスメンバー4)、IGLON5(IgLONファミリーメンバー5)、IGSF1(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー1)、IGSF2(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2)、IGSF3(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー3)、IGSF5(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー5)、IGSF9(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー9)、IGSF9B(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー9B)、IGSF10(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー10)、IGSF11(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー11)、IGSF21(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー21)、IGSF23(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー23)、IL1R1(インターロイキン1受容体1型)、IL1R2(インターロイキン1受容体2型)、IL1RAP(インターロイキン1受容体アクセサリータンパク質)、IL1RAPL1(インターロイキン1受容体アクセサリータンパク質様1)、IL1RAPL2(インターロイキン1受容体アクセサリータンパク質様2)、IL1RL1(インターロイキン1受容体様1)、IL1RL2(インターロイキン1受容体様2)、IL6R(インターロイキン6受容体)、IL11RA(インターロイキン11受容体サブユニットアルファ)、IL12B(インターロイキン12B)、IL18BP(インターロイキン18結合タンパク質)、IL18R1(インターロイキン18受容体1)、IL18RAP(インターロイキン18受容体アクセサリータンパク質)、ISLR2(ロイシンリッチリピート2を含む免疫グロブリンスーパーファミリー)、JAM2(接合部接着分子2)、JAM3(接合部接着分子3)、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、KIR−123FM、KIR2DL1(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと長い細胞質テール1)、KIR2DL2(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと長い細胞質テール2)、KIR2DL3(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと長い細胞質テール3)、KIR2DL4(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと長い細胞質テール4)、KIR2DL5A(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと長い細胞質テール5A)、KIR2DL5B(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと長い細胞質テール5B)、KIR2DLX、KIR2DS1(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと短い細胞質テール1)、KIR2DS2(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと短い細胞質テール2)、KIR2DS3(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと短い細胞質テール3)、KIR2DS4(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと短い細胞質テール4)、KIR2DS5(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメインと短い細胞質テール5)、kir3d、KIR3DL1(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメインと長い細胞質テール1)、KIR3DL2(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメインと長い細胞質テール2)、KIR3DL3(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメインと長い細胞質テール3)、KIR3DP1(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン偽遺伝子1、KIR3DS1(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメインと短い細胞質テール1)、KIR3DX1(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメインX1)、KIRREL1(kirre様ネフリンファミリー接着分子1)、KIRREL2(kirre様ネフリンファミリー接着分子2)、KIRREL3(kirre様ネフリンファミリー接着分子3)、KIT(KIT癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ)、L1CAM、LAG3(リンパ球活性化3)、LAIR1(白血球関連免疫グロブリン様受容体1)、LAIR2(白血球関連免疫グロブリン様受容体2)、LEPR(レプチン受容体)、LILRA1(白血球免疫グロブリン様受容体A1)、LILRA2(白血球免疫グロブリン様受容体A2)、LIRLA3(白血球免疫グロブリン様受容体A3、LIRLA4(白血球免疫グロブリン様受容体A4)、LILRA5(白血球免疫グロブリン様受容体A5)、LILRA6(白血球免疫グロブリン様受容体A6)、LILRB1(白血球免疫グロブリン様受容体B1)、LILRB2(白血球免疫グロブリン様受容体B2)、ILRRB3(白血球免疫グロブリン様受容体B3)、LILRB4(白血球免疫グロブリン様受容体B4)、LIRLB5(白血球免疫グロブリン様受容体B5)、LILRP2、LRIG1、LRIG2、LRIG3、LRIT1、LRRC4、LSAMP、LSR(脂肪分解刺激リポタンパク質受容体)、LY9(リンパ球抗原9)、MADCAM1(粘膜血管アドレッシン細胞接着分子1)、MAG(ミエリン関連糖タンパク質)、MALT1(MALT1パラカスパーゼ)、MCAM(ミエローマ細胞接着分子)、MDGA1(グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー1を含むMAMドメイン)、MDGA2(グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー2を含むMAMドメイン)、MERTK(MER癌原遺伝子、チロシンキナーゼ)、MFAP3、MIR、MILR1(マスト細胞免疫グロブリン様受容体1)、MMP23A(マトリクスメタロペプチダーゼ23A(偽遺伝子))、MMP23B(マトリクスメタロペプチダーゼ23B)、MUSK筋肉関連受容体チロシンキナーゼ)、MXRA5(マトリクスリモデリング関連5)、MYBPC3、MYOM1(ミオメシン1)、MYOM2(ミオメシン2)、MYOM3(ミオメシン3)、NCA、NCAM1、NCAM2、NCR1(自然細胞傷害性トリガー受容体1)、NEGR1、NEO1、NFASC、NOPE、NPHS1(NPHS1、ネフリン)、NPTN(ニューロラスチン)、NRCAM(神経細胞接着分子)、NTRK1(神経栄養性受容体チロシンキナーゼ1)、NRG1、NT、NTRK3、OBSCN、OBSL1(オブスキリン様1)、OPCML、OSCAR(破骨細胞関連、免疫グロブリン様受容体)、PAPLN、PDCD1LG2(プログラム細胞死リガンド2)、PDGFRA(血小板由来成長因子受容体アルファ)、PDGFRB(血小板由来成長因子受容体ベータ)、PDGFRL(血小板由来成長因子受容体様)、PECAM1(血小板及び内皮細胞接着分子1)、PRODH2、PSG1(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質1)、PSG2(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質2)、PSG3(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質3)、PSG4(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質4)、PSG5(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質5)、PSG6(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質6)、PSG7(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質7(遺伝子/偽遺伝子))、PSG8(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質8)、PSG9(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質9)、PSG10(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質10)、PSG11(妊娠特異的ベー
タ1糖タンパク質11)、PSG11s’(妊娠特異的ベータ1糖タンパク質11s’)、PTGFRN(プロスタグランジンF受容体阻害剤)、PTK7(タンパク質チロシンキナーゼ7(不活性))、PTPRD(タンパク質チロシンホスファターゼ、受容体タイプD)、PTPRK(タンパク質チロシンホスファターゼ、受容体タイプK)、PTPRM(タンパク質チロシンホスファターゼ、受容体タイプM)、PTPRSタンパク質チロシンホスファターゼ、受容体タイプS)、PTPRT(タンパク質チロシンホスファターゼ、受容体タイプT)、PTPシグマ、PUNC、PVR(ポリオウイルス受容体)、PVRL1、PVRL2、PVRL4、NECTIN1(ネクチン細胞接着分子1)、NECTIN2(ネクチン細胞接着分子2)、NECTIN3(ネクチン細胞接着分子3)、RAGE、ROBO3(ラウンドアバウト誘導受容体3)、SCN1B(ナトリウム電圧ゲートチャネルベータサブユニット1)、SDK1(サイドキック細胞接着分子1)、SDK2(サイドキック細胞接着分子2)、SEMA3A(セマフォリン3A)、SEMA3B(セマフォリン3B)、SEMA3E(セマフォリン3E)、SEMA3F(セマフォリン3F)、SEMA3G(セマフォリン3G)、SEMA4C(セマフォリン4C)、SEMA4D(セマフォリン4D)、SEMA4G(セマフォリン4G)、SEMA7A 8セマフォリン7A(ジョンミルトンハーゲン血液型))、SIGIRR(単一IgとTIRドメイン含有)、SIGLEC1(シアル酸結合Ig様レクチン1)、SIGLEC5(シアル酸結合Ig様レクチン5)、SIGLEC6(シアル酸結合Ig様レクチン6)、SIGLEC7(シアル酸結合Ig様レクチン7)、SIGLEC8(シアル酸結合Ig様レクチン8)、SIGLEC9(シアル酸結合Ig様レクチン9)、SIGLEC10(シアル酸結合Ig様レクチン10)、SIGLEC11(シアル酸結合Ig様レクチン11)、SIGLEC12(シアル酸結合Ig様レクチン12)(遺伝子/偽遺伝子))、SIGLEC14(シアル酸結合Ig様レクチン14)、SIGLEC15(シアル酸結合Ig様レクチン15)、SLAMF1(シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリーメンバー1)、SLAMF6(SLAMファミリーメンバー6)、SLAMF8(SLAMファミリーメンバー8)、SIRPG;TARM1(T細胞相互作用骨髄細胞活性化受容体1)、TEK(TEK受容体チロシンキナーゼ)、THY1 Thy−1細胞表面抗原)、TIE1(免疫グロブリン様及びEGF様ドメイン1を有するチロシンキナーゼ)、TMEM81(膜貫通タンパク質81)、TMIGD1(膜貫通及び免疫グロブリンドメイン含有1)、TMIGD2(膜貫通及び免疫グロブリンドメイン含有2)、TTN(チチン)、TYRO3(TYRO3タンパク質チロシンキナーゼ)、UNC5D、VCAM1(血管細胞接着分子1)、VSIG1(Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有1)、VSIG2(Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有2)、VSIG4(Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有4)、VSIG10(Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有10)、VSIG10L(Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有10様)、VSTM1(Vセット及び膜貫通ドメイン含有1)、VTCN1(Vセットドメイン含有T細胞活性阻害剤1)、ZPBP(透明帯結合タンパク質)、又はZPBP2(透明帯結合タンパク質2)。

0066

より好ましくは、Ig様ドメインは、以下のタンパク質:CD2、CD3、CD4、CD8、CD19、CD22、CD33、CD80、CD86のいずれか、特にCD4のIg様ドメインである。

0067

Ig様ドメインの更に好ましい例について、本明細書中、以下に記載する。

0068

また、好ましくは、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、(知られた)タンパク質の細胞外及び/又は細胞内ドメインを含む又はからなる。更に、好ましくは、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、(知られた)可溶性球状タンパク質のドメインを含む又はからなることができる。より好ましくは、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、(知られた)タンパク質の細胞外ドメイン又は(知られた)可溶性球状タンパク質のドメインを含む又はからなる。

0069

好ましくは、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、最大1000個のアミノ酸、より好ましくは最大750個のアミノ酸、更により好ましくは最大500個のアミノ酸、更により好ましくは最大400個のアミノ酸、特に好ましくは最大300個のアミノ酸、最も好ましくは最大275個又は250個のアミノ酸の長さを有する。更に、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、5〜1000個のアミノ酸、より好ましくは10〜750個のアミノ酸、更により好ましくは20〜500個のアミノ酸、更により好ましくは50〜400個のアミノ酸、特に好ましくは70〜300個のアミノ酸、最も好ましくは75〜275個又は100〜250個のアミノ酸の長さを有することが好ましい。

0070

また、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、最大150kDa、より好ましくは最大100kDa、更により好ましくは最大80kDa、更により好ましくは最大70kDa、特に好ましくは最大50kDa、最も好ましくは最大30又は25kDaのサイズを有することが好ましい。更に、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、0.5kDa〜150kDa、より好ましくは1kDa〜100kDa、更により好ましくは2.5kDa〜80kDa、更により好ましくは5kDa〜70kDa、特に好ましくは7.5kDa〜50kDa、最も好ましくは10kDa〜30又は25kDaのサイズを有することが好ましい。

0071

第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、単量体ドメイン又は多量体ドメインを含み得る。単量体ドメインは、更なる(追加の)ドメインの関与なしに機能を媒介するドメインである。多量体ドメイン、例えば二量体を形成する2つのドメイン又は三量体を形成する3つのドメインは、特に多量体、例えば二量体又は三量体としてそれらの機能を一緒に媒介する。多量体ドメインの場合、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、多量体を形成するのに十分な柔軟性を提供するために本明細書に記載のリンカーを含むことができ、特にリンカーは、1つ以上の多量体ドメインに(直接)隣接して配置され得る、例えば、2つの多量体ドメイン間又は全ての多量体ドメインの各側に配置され得る。好ましくは、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、1つ以上の単量体ドメインを含む又はからなる。

0072

一般に、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、1つの単一タンパク質ドメイン又は1超のタンパク質ドメインを含む又はからなることができる。「1超のタンパク質ドメイン」は、前記の多量体ドメイン及び/又は前記の1つ以上の単量体ドメインであることができる。例えば、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、同一又は異なる機能を媒介し得る及び/又は任意にリンカーによって接続され得る2つ又は3つの単量体ドメインを含む又はからなることができる。例えば、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の(異なる)タンパク質ドメインを含むことができる。

0073

好ましくは、(追加の)機能的ドメインは、ヒトタンパク質、ペプチド、若しくはポリペプチド、又はその断片(特に、ドメイン)若しくは誘導体である。

0074

特に、(追加の)機能的ドメインは、GSリンカーなどのリンカー(ペプチド)ではない。(追加の)機能的ドメインがGSリンカーなどのリンカー(ペプチド)を任意に含むことがあるとしても、GSリンカーなどのリンカー(ペプチド)からならないことが好ましい。換言すれば、(追加の)機能的ドメインがGSリンカーなどのリンカー(ペプチド)を含む場合でも、2つのペプチドを互いに(純粋に)結合するのとは異なる機能を媒介する追加のアミノ酸配列を含むことが好ましい。したがって、(追加の)機能的ドメインは、GSリンカーなどのリンカー(ペプチド)とは異なることが好ましい。特に、(追加の)機能的ドメインは、GSリンカーなどのリンカー(ペプチド)を含まなくてもよい。一般に、(追加の)機能的ドメインによって提供される機能は、2つの(ポリ)ペプチドの単なる結合ではないことが好ましい。(追加の)機能的ドメインが、隣接する可変ドメインや定常ドメインなどの2つの(ポリ)ペプチドを「結合」し、任意に柔軟性を提供する場合でも、(追加の)機能的ドメインは、(ポリ)ペプチド結合と柔軟性とは異なる(追加の)機能を提供することが好ましい。

0075

好ましくは、第2のポリペプチド鎖は、(追加の)機能的ドメイン(v)を含む。この場合、第1及び第2のポリペプチド鎖はいずれも(追加の)機能的ドメインを含み、それにより2つの異なる(別個の)(追加の)機能的ドメインを有する抗体又はその抗原結合断片をもたらす。第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、同一又は異なる、即ち、同一又は異なる機能的ドメインであり得る。換言すれば、第1及び第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインが同一のアミノ酸配列を有していても、それらの(追加の)機能的ドメインは「独立」している、即ち、それらは互いに独立して機能を媒介する。例えば、第1及び第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、別々の標的(例えば、別々の抗原又は同一抗原の別々のエピトープ;同一抗原の別々の分子又は別々の部分)に結合し、独立した結合部位のいずれも、その標的に結合するために、他を必要とすることも関与することもない。

0076

しかし、より好ましくは、第2のポリペプチド鎖が(追加の)機能的ドメイン(v)を含まず、第2のポリペプチド鎖の最もC末端側の可変ドメインのC末端が第2のポリペプチド鎖の最もN末端側の定常ドメインのN末端に直接結合することが好ましい。例えば、第2のポリペプチド鎖が軽鎖である場合、最もC末端側のVLドメイン(又は唯一のVLドメイン)のC末端が、CLドメインのN末端に直接結合されることが好ましい。例えば、第2のポリペプチド鎖が重鎖である場合、最もC末端側のVHドメイン(又は唯一のVHドメイン)のC末端が、CH1ドメインのN末端に直接結合することが好ましい。

0077

したがって、本発明はまた、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含む抗体又はその抗原結合断片であって、
前記第1のポリペプチド鎖が、NからC末端方向に、
(i)1つ以上の可変ドメイン;
(ii)(追加の)機能的ドメイン;及び
(iii)1つ以上の定常ドメインを含み、
前記第2のポリペプチド鎖が、NからC末端方向に、
(iv)第1のポリペプチド鎖の1つ以上の可変ドメインと抗原結合部位を形成する1つ以上の可変ドメイン;及び
(v)1つ以上の定常ドメインを含み、
前記第2のポリペプチド鎖の最もC末端側の可変ドメインのC末端が、第2のポリペプチド鎖の最もN末端側の定常ドメインのN末端に直接結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。

0078

繰り返しになるが、「機能的ドメイン」という用語は、例えば、前記した抗体又は抗原結合断片の機能的単位を意味する。簡単に言えば、機能的ドメインは、典型的にはタンパク質、例えば、抗体又は抗原結合断片に前記した(追加の)機能を提供する。したがって、(追加の)機能的ドメインは通常、(追加の)機能を提供するために必要な全てのアミノ酸/配列を含む。特に、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメイン(ii)は、より詳細に前述したように、第2のポリペプチド鎖の断片を含まない。

0079

特に好ましくは、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、前記のIg様ドメインを含む又はからなる。Ig様ドメインの好ましい例は、前記したもの及び本明細書中の以下に記載するものを含む。

0080

また、好ましくは、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、(知られた)タンパク質の細胞外及び/又は細胞内ドメインを含む又はからなる。更に、好ましくは、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、(知られた)可溶性球状タンパク質のドメインを含む又はからなることができる。より好ましくは、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、(知られた)タンパク質の細胞外ドメイン又は(知られた)可溶性球状タンパク質のドメインを含む又はからなる。

0081

好ましくは、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、最大1000個のアミノ酸、より好ましくは最大750個のアミノ酸、更により好ましくは最大500個のアミノ酸、更により好ましくは最大400個のアミノ酸、特に好ましくは最大300個のアミノ酸、最も好ましくは最大275個又は250個のアミノ酸の長さを有する。更に、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、5〜1000個のアミノ酸、より好ましくは10〜750個のアミノ酸、更により好ましくは20〜500個のアミノ酸、更により好ましくは50〜400個のアミノ酸、特に好ましくは70〜300個のアミノ酸、最も好ましくは75〜275個又は100〜250個のアミノ酸の長さを有することが好ましい。

0082

また、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、最大150kDa、より好ましくは最大100kDa、更により好ましくは最大80kDa、更により好ましくは最大70kDa、特に好ましくは最大50kDa、最も好ましくは最大30又は25kDaのサイズを有することが好ましい。更に、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、0.5kDa〜150kDa、より好ましくは1kDa〜100kDa、更により好ましくは2.5kDa〜80kDa、更により好ましくは5kDa〜70kDa、特に好ましくは7.5kDa〜50kDa、最も好ましくは10kDa〜30又は25kDaのサイズを有することが好ましい。

0083

第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、前記した単量体ドメイン又は多量体ドメインを含むことができる。更に、第1のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、前記したように、1つの単一のタンパク質ドメイン又は1超のタンパク質ドメインを含む又はからなることができる。

0084

好ましくは、(追加の)機能的ドメインは、ヒトタンパク質、ペプチド、若しくはポリペプチド、又はその断片(特に、ドメイン)若しくは誘導体である。

0085

特に、(追加の)機能的ドメインは、前記したように、GSリンカーなどのリンカー(ペプチド)ではない。(追加の)機能的ドメインがGSリンカーなどのリンカー(ペプチド)を任意に含むことがあるとしても、GSリンカーなどのリンカー(ペプチド)からならないことが好ましい。換言すれば、(追加の)機能的ドメインがGSリンカーなどのリンカー(ペプチド)を含む場合でも、2つのペプチドを互いに(純粋に)結合するのとは異なる機能を媒介する追加のアミノ酸配列を含むことが好ましい。したがって、(追加の)機能的ドメインは、GSリンカーなどのリンカー(ペプチド)とは異なることが好ましい。特に、(追加の)機能的ドメインは、GSリンカーなどのリンカー(ペプチド)を含まなくてもよい。一般に、(追加の)機能的ドメインによって提供される機能は、2つの(ポリ)ペプチドの単なる結合ではないことが好ましい。(追加の)機能的ドメインが、隣接する可変ドメインや定常ドメインなどの2つの(ポリ)ペプチドを「結合」し、任意に柔軟性を提供する場合でも、(追加の)機能的ドメインは、(ポリ)ペプチド結合と柔軟性とは異なる(追加の)機能を提供することが好ましい。

0086

更に、第2のポリペプチド鎖の最もC末端側の可変ドメインのC末端が第2のポリペプチド鎖の最もN末端側の定常ドメインのN末端に直接結合することが好ましい。例えば、第2のポリペプチド鎖が軽鎖である場合、最もC末端側のVLドメイン(又は唯一のVLドメイン)のC末端が、CLドメインのN末端に直接結合されることが好ましい。例えば、第2のポリペプチド鎖が重鎖である場合、最もC末端側のVHドメイン(又は唯一のVHドメイン)のC末端が、CH1ドメインのN末端に直接結合することが好ましい。

0087

一般に、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片では、第1のポリペプチド鎖の1つ以上の定常ドメインが、少なくともCH1定常ドメインを好ましくは含む重鎖定常ドメインであり、第2のポリペプチド鎖の定常ドメインが軽鎖定常ドメインCLであることが好ましい。より好ましくは、第1のポリペプチド鎖の1つ以上の定常ドメインが、少なくともCH1定常ドメインを好ましくは含む重鎖定常ドメインであり、第1のポリペプチド鎖の1つ以上の可変ドメインが重鎖可変ドメインVHであり、第2のポリペプチド鎖の定常ドメインが軽鎖定常ドメインCLであり、第2のポリペプチド鎖の1つ以上の可変ドメインが軽鎖可変ドメインVLである。換言すれば、第1のポリペプチド鎖が重鎖である又は重鎖に由来し、第2のポリペプチド鎖が軽鎖である又は軽鎖に由来することが好ましい。特に好ましくは、第1のポリペプチド鎖の定常領域は、3つの定常ドメイン、即ち、CH1、CH2、及びCH3(特に、NからC末端方向にCH1−CH2−CH3)を含み、最も好ましくは、CH1とCH2との間にヒンジ領域を含む。

0088

或いは、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片において、第1のポリペプチド鎖の定常ドメインが軽鎖定常ドメインCLであり、第2のポリペプチド鎖の1つ以上の定常ドメインが、少なくともCH1定常ドメインを好ましくは含む重鎖定常ドメインであることも好ましい。より好ましくは、第1のポリペプチド鎖の定常ドメインが軽鎖定常ドメインCLであり、第1のポリペプチド鎖の1つ以上の可変ドメインが軽鎖可変ドメインVLであり、第2のポリペプチド鎖の1つ以上の定常ドメインが、少なくともCH1定常ドメインを好ましくは含む重鎖定常ドメインであり、第2のポリペプチド鎖の1つ以上の可変ドメインが重鎖可変ドメインVHである。換言すれば、第2のポリペプチド鎖が重鎖である又は重鎖に由来し、第1のポリペプチド鎖が軽鎖である又は軽鎖に由来することが好ましい。特に好ましくは、第2のポリペプチド鎖の定常領域は、3つの定常ドメイン、即ち、CH1、CH2、及びCH3(特に、NからC末端方向にCH1−CH2−CH3)を含み、最も好ましくは、CH1とCH2との間にヒンジ領域を含む。

0089

更に、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖において、(追加の)機能的ドメイン(及び/又は第2のポリペプチドが(追加の)機能的ドメインを含まない場合は可変領域)に直接隣接する定常ドメインがFc領域に寄与しないことが好ましい。ネイティブな抗体では、可変ドメインに隣接する定常領域、CH1及びCLは、通常、Fc領域に寄与しない。したがって、1つのポリペプチド鎖(第1又は第2)がCH1定常ドメインを含み、一方、他のポリペプチド鎖(第1又は第2の他方)がCL定常ドメインを含むことが好ましい。

0090

好ましくは、重鎖定常ドメイン、特にCH1、又は任意の他の重鎖定常ドメインは、以下のクラスから選択される:γ、α、μ、ε、及びδ;好ましくはγであり、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である。

0091

更に、軽鎖定常ドメイン、特にCLは、以下のクラス:κ及びλから選択されることが好ましい。

0092

好ましくは、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片は、組換え抗体又は抗原結合断片である。本明細書で使用するとき、「組換え」という用語は、組換え抗体又は抗体断片が天然には存在しないことを意味する。

0093

好ましくは、本発明に係る抗体又は抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、キャリアドメインレポータードメイン、タグ、局在化ドメイン、(独立した)結合部位、酵素又は酵素ドメイン、受容体又はその機能的断片、又はリガンド又はその機能的断片を含む又はからなる。

0094

好ましくは、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、酵素又はその酵素ドメインを含む又はからなる。「酵素」は、ポリペプチド又はタンパク質の触媒であり、即ち、酵素は典型的には化学反応加速させる。酵素が作用し得る分子は基質と呼ばれ、酵素は基質を生成物として知られる異なる分子に変換する。細胞内のほぼ全ての代謝プロセスは、生命を維持するのに十分に早い速度で行われるために酵素を必要とする。好ましい酵素としては、酸化還元酵素転移酵素加水分解酵素溶解酵素イソメラーゼ、及びリガーゼが挙げられる。二量体を形成する酵素の場合、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメインは、リンカーによって接続された2つの同一のドメインを含むことができる。例えば、酵素は、特定部位、例えば腫瘍プロドラッグを活性化させるのに有用であることができる。好ましい酵素の例及びそのような酵素を含む抗体の使用は、Andrady C, SharmaSK, Chester KA; Antibody−enzyme fusion proteins for cancer therapy; Immunotherapy. 2011 Feb;3(2):193−211 and in Boado RJ1, Zhang Y, Zhang Y, Xia CF, Wang Y, Pardridge WM; Genetic engineering of a lysosomal enzyme fusion protein for targeted delivery across the human blood−brain barrier; Biotechnol Bioeng. 2008 Feb 1;99(2):475−84に記載される。

0095

好ましい酵素は、デヒドロゲナーゼルシフェラーゼ、DMSOレダクターゼアルコールデヒドロゲナーゼNAD)、アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP)、ホモセリンデヒドロゲナーゼ、アミノプロパノールオキシドレダクターゼジアセチルレダクターゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼプロパンジオールリン酸デヒドロゲナーゼグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(NAD+)、D−キシルロースレダクターゼ、L−キシルロースレダクターゼ、乳酸デヒドロゲナーゼリンゴ酸デヒドロゲナーゼイソクエン酸デヒドロゲナーゼ、HMG−CoAレダクターゼグルコースオキシダーゼL−グロノラクトンオキシダーゼチアミンオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼオキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ、ビリベルジンレダクターゼ、モノアミンオキシダーゼジヒドロ葉酸レダクターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ、サルコシンオキシダーゼジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼ、NADHデヒドロゲナーゼ尿酸オキシダーゼ亜硫酸レダクターゼ、亜硫酸レダクターゼ、グルタチオンレダクターゼチオレドキシンレダクターゼ亜硫酸酸化酵素シトクロムcオキシダーゼコエンザイムQシトクロムcレダクターゼ、カテコールオキシダーゼラッカーゼ、シトクロムcペルオキシダーゼカタラーゼミエロペルオキシダーゼ甲状腺ペルオキシダーゼグルタチオンペルオキシダーゼ、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ、レニラルシフェリン−2−モノオキシゲナーゼウミホタルルシフェリン−2−モノオキシゲナーゼ、ホタルルシフェラーゼホタルイカルシフェリン−2−モノオキシゲナーゼ、発光エビルシフェリン−2−モノオキシゲナーゼ、アロマターゼ、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4、シトクロムP450オキシダーゼ、一酸化窒素ジオキシゲナーゼ、一酸化窒素シンターゼ、アロマターゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼチロシナーゼスーパーオキシドジスムターゼセルロプラスミンニトロゲナーゼ、デヨージナーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼカテコール−O−メチルトランスフェラーゼDNAメチルトランスフェラーゼヒストンメチルトランスフェラーゼATCase、オルニチントランスカルバモイラーゼ、アミノレブリン酸シンターゼ、コリンアセチルトランスフェラーゼ、第XIII因子ガンマグルタミルトランスペプチダーゼトランスグルタミナーゼヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼチアミナーゼアラニントランスアミナーゼアスパラギン酸トランスアミナーゼ酪酸キナーゼ、ヌクレアーゼエンドヌクレアーゼエキソヌクレアーゼ、酸ヒドロラーゼホスホリパーゼAホスホリパーゼCアセチルコリンエステラーゼコリンエステラーゼリポプロテインリパーゼユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1、ホスファターゼアルカリホスファターゼフルクトースビスホスファターゼCGMP特異的ホスホジエステラーゼタイプ5、ホスホリパーゼD制限酵素タイプ1、制限酵素タイプ2、制限酵素タイプ3、制限酵素タイプ4、デオキシリボヌクレアーゼIRNaseH、リボヌクレアーゼアミラーゼスクラーゼキチナーゼリゾチームマルターゼラクターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼヒアルロニダーゼアデノシルメチオニンヒドロラーゼ、S−アデノシル−L−ホモシステインヒドロラーゼ、アルケニルグリセロホスホコリンヒドロラーゼ、アルケニルグリセロホスホエタノールアミンヒドロラーゼ、コレステロール−5,6−オキシドヒドロラーゼ、ヘポキシリン−エポキシドヒドロラーゼイソコリスマターゼ、ロイコトリエン−A4ヒドロラーゼ、リモネン−1,2−エポキシドヒドロラーゼ、ミクロソームエポキシドヒドロラーゼ、トランスエポキシコハク酸ヒドロラーゼ、アラニンアミノペプチダーゼアンギオテンシン変換酵素セリンプロテアーゼキモトリプシントリプシントロンビン、第X因子プラスミンアクロシン、第VII因子、第IX因子プロリルオリゴペプチダーゼ、第XI因子エラスターゼ、第XII因子プロテイナーゼK、組織プラスミノーゲン活性化因子プロテインCセパラーゼ、ペプシン、レンネットレニントリプシノーゲン、プラスメプシン、マトリクスメタロプロテイナーゼメタロエンドペプチダーゼウレアーゼベータラクタマーゼアルギナーゼアデノシンデアミナーゼGTPシクロヒドロラーゼI、ニトリラーゼヘリカーゼ、DnaBヘリカーゼ、RecQヘリカーゼ、ATPアーゼ、NaKATPアーゼ、ATPシンターゼキヌレニナーゼハロ酢酸デハロゲナーゼリアーゼオルニチンデカルボキシラーゼウリジン一リン酸シンテターゼ芳香族−L−アミノ酸デカルボキシラーゼルビスコ炭酸脱水酵素トリプトファンシンターゼフェニルアラニンアンモニアリアーゼシスタチオニンガンマリアーゼ、シスタチオニンベータリアーゼ、ロイコトリエンC4シンターゼ、ジクロロメタンデヒロゲナーゼ、ハロヒドリンデハロゲナーゼアデニル酸シクラーゼグアニル酸シクラーゼ、アミノ酸ラセマーゼフェニルラニンラセマーゼ、セリンラセマーゼマンデル酸ラセマーゼ、UDPグルコース4−エピメラーゼメチルマロニルCoAエピメラーゼ、FKBP:FKBP1A、FKBP1B、FKBP2、FKBP3、FKBP5、FKBP6、FKBP8、FKBP9、FKBP10、FKBP52、FKBPLシクロフィリンパルブリン、プロリルイソメラーゼ、2−クロロ−4−カルボキシメチレンブト−2−エン−1,4−オリドイソメラーゼ、ベータカロテンイソメラーゼ、ファルネソール2−イソメラーゼ、フリルフラミドイソメラーゼ、リノール酸イソメラーゼ、マレイン酸イソメラーゼ、マレイルアセト酢酸イソメラーゼ、マレイルピルビン酸イソメラーゼ、パルブリン、フォトイソメラーゼ、プロリコペンイソメラーゼ、プロリルイソメラーゼ、レチナールイソメラーゼ、レチノールイソメラーゼ、ゼータカロテンイソメラーゼ、エノイルCoAイソメラーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼホスホグルコムターゼムコン酸シクロイソメラーゼ、3−カルボキシ−シス,シス−ムコン酸シクロイソメラーゼ、テトラヒドロキシプテリジンシクロイソメラーゼ、イノシトール−3−リン酸シンターゼ、カルボキシ−シス,シス−ムコン酸シクラーゼカルコンイソメラーゼ、クロロムコン酸シクロイソメラーゼ、(+)−ボルニル二リン酸シンターゼ、シクロユーカレノルシクロイソメラーゼ、アルファピネンオキシドデシクラーゼ、ジクロロムコン酸シクロイソメラーゼ、コパリル二リン酸シンターゼ、Ent−コパリル二リン酸シンターゼ、Syn−コパリル二リン酸シンターゼ、テルペンジエニル二リン酸シンターゼ、ハリマジエニル二リン酸シンターゼ(Halimadienyl−diphosphate synthase)、(S)−ベータ−マクロカルペンシンターゼ、リコペンイプシロン−シクラーゼ、リコペンベータ−シクラーゼ、プロソラナピロン−IIIシクロイソメラーゼ、D−リボースピラナーゼ、ステロイドデルタイソメラーゼ、トポイソメラーゼ、6−カルボキシテトラヒドロプテリンシンターゼ、FARSB、グルタミンシンテターゼ、CTPシンターゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼアセチルCoAカルボキシラーゼ、及びDNAリガーゼからなる群から選択される。

0096

より好ましい酵素は、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼシトシンデアミナーゼβ−グルクロニダーゼプリンヌクレオシドホスホリラーゼグランザイムB、カスパーゼ、及びRNase、例えばHPR(ヒト膵臓RNase、バルナーゼウシ精液RNase、オンコナーゼ、RapLR1、アンギオゲニンダイサー、DIS3様エキソヌクレアーゼ2、ホスホジエステラーゼELAC 2、RNase HIII、RNase T2、及びtRNAスプライシングリボヌクレアーゼからなる群から選択することができる。

0097

酵素の機能的断片は、機能を媒介する能力を有する酵素の任意の断片であることができる。通常、このような断片は「ドメイン」と呼ばれる。したがって、酵素の機能的断片は、酵素の任意のドメインであることができる。好ましい例としては、前記の(例示された)酵素の機能的断片(例えば、ドメイン)が挙げられる。好ましくは、(追加の)機能的ドメインに含まれる酵素の機能的断片が酵素の触媒ドメインである。酵素の触媒ドメインは、その基質と相互作用して酵素反応を引き起こす酵素の領域である。例えば、第1のポリペプチド鎖及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、以下の酵素のいずれかの触媒ドメインであることができる:カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、シトシンデアミナーゼ、β−グルクロニダーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、グランザイムB、カスパーゼ、及びHPR(ヒト膵臓RNase、バルナーゼ、ウシ精液RNase、オンコナーゼ、RapLR1、アンギオゲニン、ダイサー、DIS3様エキソヌクレアーゼ2、ホスホジエステラーゼELAC 2、RNase HIII、RNase T2、及びtRNAスプライシングリボヌクレアーゼ。

0098

好ましくは、本発明に係る抗体又は抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、キャリアドメインを含む又はからなる。本明細書で使用するとき、「キャリアドメイン」は、抗体の別分子へのコンジュゲーションを提供するアミノ酸配列を意味する。好ましい例において、キャリアドメインは、抗体又はその抗原結合断片の、例えば薬剤造影剤、又はナノ粒子へのコンジュゲーションを提供する。一般に、本発明の文脈において有用であり得るコンジュゲートの好ましい例は、Wu, A. M., and Senter, P. D. (2005) Arming antibodies: Prospects and challenges for immunoconjugates. Nat. Biotechnol. 23, 1137−1146に記載される。

0099

例えば、抗体にコンジュゲートすることができる薬剤としては、Thomas A, Teicher BA, Hassan R; Antibody−drug conjugates for cancer therapy; Lancet Oncol. 2016 Jun;17(6):e254−62. doi: 10.1016/S1470−2045(16)30030−4に記載されるものなどの抗癌剤が挙げられる。例えば、抗体にコンジュゲートすることができる造影剤は、Steve Knutson, Erum Raja, Ryan Bomgarden, Marie Nlend, Aoshuang Chen, Ramaswamy Kalyanasundaram, and Surbhi Desai; Development and Evaluation of a Fluorescent Antibody−Drug Conjugate for Molecular Imaging and Targeted Therapy of Pancreatic Cancer;PLoS One 2016; 11(6): e0157762に記載される。そのような薬剤は、好ましくは細胞毒性剤である。本発明の抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートすることができる薬剤の好ましい例としては、ドキソルビシン、トランケートされたシュードモナス外毒素A、マイタンシノイドDM1が挙げられる。

0100

本発明の抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートすることができる造影剤の例としては、Schubert M, Bergmann R, Foerster C, Sihver W, Vonhoff S, Klussmann S, Bethge L, Walther M, Schlesinger J, Pietzsch J, Steinbach J, Pietzsch HJ; Novel Tumor Pretargeting System Based on Complementary l−Configured Oligonucleotides; Bioconjug Chem. 2017 Apr 19;28(4):1176−1188 and in Bhusari P, Vatsa R, Singh G, Parmar M, Bal A, Dhawan DK, Mittal BR, Shukla J; Development of Lu−177−trastuzumab for radioimmunotherapy ofHER2 expressing breast cancer and its feasibility assessment in breast cancer patients; Int J Cancer. 2017 Feb 15;140(4):938−947に記載されるものなどの放射性同位体が挙げられる。放射性同位体の好ましい例としては、90Y、131I、及び177Luが挙げられる。

0101

本発明の抗体又は抗原結合断片にコンジュゲートすることができる造影剤の更なる例としては、蛍光色素量子ドット、及び酸化鉄が挙げられる。蛍光色素の例としては、レポータードメインとして以下に記載されるものが挙げられる。酸化鉄ナノ粒子の例は、Hengyi Xu, Zoraida P. Aguilar, Lily Yang, Min Kuang, Hongwei Duan, Yonghua Xiong, Hua Wei, and Andrew Wang: Antibody Conjugated Magnetic Iron Oxide Nanoparticles for Cancer Cell Separation in Fresh Whole Blood. Biomaterials. 2011 Dec; 32(36): 9758−9765に記載される。

0102

抗体コンジュゲート(即ち、他の分子にコンジュゲートされた抗体)は、当技術分野で知られている。特に、抗体にコンジュゲートされた分子は、切断可能又は非切断可能なリンカーによって抗体に連結することができる(例えば、Thomas H. Pillow. Novel linkers and connections for antibody−drug conjugates to treat cancer and infectious disease. Pharmaceutical Patent Analyst Vol. 6, No. 1, February 3rd, 2017, https://doi.org/10.4155/ppa−2016−0032; or in: Beck A, Goetsch L, Dumontet C, Corvaia N. Strategies and challenges for the next generation of antibody−drug conjugates. Nat Rev Drug Discov. 2017 May;16(5):315−337に記載)。分子を抗体又は抗原結合断片に連結するために使用することができるそのようなリンカーの例は、例えば、EP2927227、及びThomas H. Pillow. Novel linkers and connections for antibody−drug conjugates to treat cancer and infectious disease. Pharmaceutical Patent Analyst Vol. 6, No. 1, February 3rd, 2017, https://doi.org/10.4155/ppa−2016−0032に記載される。しかし、先行技術では、リンカーは、抗体のIgドメイン(即ち、抗体の可変及び/又は定常ドメイン)に直接結合し、これは抗体のIgドメインの機能を妨害する可能性がある。それを考慮して、本発明に係る抗体又は抗原結合断片の(追加の)機能的ドメインは、リンカーの抗体への付着に使用することができる。好ましいリンカーは、追加のシステイン又はリジンを含むようにエンジニアードされているという点で、「古典的な」リンカーとは異なる。好ましくは、キャリアドメインは、例えば、Link AJ, Mock ML, Tirrell DA. Non−canonical amino acidsin protein engineering. Curr Opin Biotechnol. 2003 Dec;14(6):603−9に記載されているように、部位特異的コンジュゲーションに有用な1つ以上の非標準アミノ酸(non−canonical amino acids)を含む。更に、キャリアドメインは、Dennler P., Fischer E., Schibli R. Antibody conjugates: From heterogeneous populations to defined reagents. Antibodies. 2015;4:197−224のセクション6に記載されるように、後にコンジュゲーションに使用され得る特定のアミノ酸を修飾する特定の酵素(例えば、ホルミルグリシン生成酵素ソルターゼ、及び/又はトランスグルタミナーゼ)によって認識されるように設計することができる。

0103

更なる好ましいキャリアドメインは、例えば、Pichichero ME: Protein carriers of conjugate vaccines: characteristics, development, and clinical trials, Hum Vaccin Immunother. 2013 Dec;9(12):2505−23に記載されるような、ジフテリア毒素破傷風トキソイド(T)、髄膜炎菌外膜タンパク質複合体(OMPC)、ジフテリアトキソイド(D)、及びインフルエンザタンパク質D(HiD)の遺伝子組換え交差反応物質(CRM)などの、コンジュゲーション用ドメインである。

0104

好ましくは、本発明に係る抗体又は抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、レポータードメインを含む又はからなる。レポータードメインは通常、レポーター遺伝子によってコードされる。レポータードメインは、(例えば、細胞、生物内において)その存在が容易に観察できるドメインである。レポータードメインは、例えば、GFP/EGFP(緑色蛍光タンパク質強化緑色蛍光タンパク質)、YFP(黄色蛍光タンパク質)、RFP(赤色蛍光タンパク質)、及びCFP(シアン蛍光タンパク質)、ルシフェラーゼなどの蛍光タンパク質、並びにベータガラクトシダーゼ及びペルオキシダーゼなどの酵素を含む。レポータードメインは、インビボ及びエクスビボアプローチに有用であり得る。例えば、蛍光タンパク質は、特定の波長の光で励起されると細胞に蛍光を発せさせ、ルシフェラーゼは、細胞に発光反応を触媒させ、ベータ−ガラクトシダーゼなどの酵素は、基質を着色産物に変換する。特定のレポーター及び望まれる特性データに応じて、レポーターを測定又は定量するいくつかの異なる方法がある。一般に、顕微鏡検査は、特に単一細胞ベルでのレポーター活性に関する空間的及び時間的情報の取得に有用である。フローサイトメーターは、大規模細胞集団に亘るレポーター活性の分布を測定するのに最適である。プレートリーダーは、一般に、多くの異なるサンプルの経時的な集団平均測定に最適である。所定の基質と反応することができるベータガラクトシダーゼ及びペルオキシダーゼなどの酵素は、例えば腫瘍診断における、ヒトサンプルのエクスビボ染色に有用であり得る。

0105

好ましくは、レポータードメインは、GFP/EGFP、YFP、RFP、CFP、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、又はペルオキシダーゼをコードするアミノ酸配列を含む又はからなる。更に、以下に記載する蛍光タグは、レポータードメインとしても有用である。

0106

好ましくは、本発明に係る抗体又は抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、局在化ドメインを含む又はからなる。一般に、局在化ドメインは、例えば生物又は細胞のレベルで、タンパク質を特定の標的に向ける。局在化ドメインは、本発明に係る抗体又は抗原結合断片を、細胞の特定の物理的位置、例えば核、膜、ペリプラズム、細胞外への分泌、身体の特定の部分又は他の箇所に向けることができる。

0107

例えば、本発明に係る抗体又は抗原結合断片を細胞内に向けるために、(追加の)機能的ドメインは、細胞透過性ペプチドを含む又はからなることができる。「細胞透過性ペプチド」(「CPP」、「タンパク質形質導入ドメイン」/「PTD」とも呼ばれる)という用語は、一般に、原形質膜を介して異なるタイプのカーゴ分子輸送し、さまざまな分子カーゴナノサイズの粒子から小さな化学分子及びDNAの大きな断片まで)の細胞取り込みを促進することができる短いペプチドを示すために使用される。細胞透過性ペプチドは、通常、リジン又はアルギニンなどの正に帯電したアミノ酸を高い相対存在量で有する、又は極性/帯電アミノ酸と非極性疎水性アミノ酸の交互パターンを含む配列を有するアミノ酸組成を有する。これら2つのタイプの構造は、それぞれポリカチオン性又は両親媒性と呼ばれる。通常、細胞透過性ペプチド(CPP)は、細胞膜を通過して大部分の細胞種侵入する能力を有する8〜50残基のペプチドである。或いは、それらは、天然タンパク質に存在するものとしてその起源を反映するタンパク質導入ドメイン(PTD)とも呼ばれる。FrankelとPaboは、GreenとLowensteinと同時に、ヒト免疫不全ウイルス1(HIVTAT)に由来するトランス活性化転写活性化因子の細胞への形質導入能について記述した(Frankel, A.D. and C.O. Pabo, Cellular uptake of the tat protein from human immunodeficiency virus. Cell, 1988. 55(6): p. 1189−93)。1991年に、キイロショウジョウバエに由来するアンテナペディアホメオドメインDNA結合ドメイン)の神経細胞への形質導入が記述された(Joliot, A., et al., Antennapedia homeobox peptide regulates neural morphogenesis. Proc Natl Acad Sci U S A, 1991. 88(5): p. 1864−8)。1994年に、ペネトラチンと呼ばれる最初の16マーペプチドCPPが、アンテナペディアのホメオドメインの3番目のヘリックスから特徴付けられ(Derossi, D., et al., The third helix of the Antennapedia homeodomain translocates through biological membranes. J Biol Chem, 1994. 269(14): p. 10444−50)、その後、1998年に、タンパク質形質導入に必要なTATの最小ドメインが同定された(Vives, E., P. Brodin, and B. Lebleu, A truncated HIV−1 Tat proteinbasicdomain rapidly translocates through the plasma membrane and accumulates in the cell nucleus. J Biol Chem, 1997. 272(25): p. 16010−7)。過去20年に亘って、ウイルスタンパク質(例えば、VP22)(Elliott, G. and P. O’Hare, Intercellular trafficking and protein delivery by a herpesvirus structural protein. Cell, 1997. 88(2): p. 223−33)を含む各種起源、又は毒液、例えばメリチン(Dempsey, C.E., The actions of melittin on membranes. Biochim Biophys Acta, 1990. 1031(2): p. 143−61)、マストパラン(mastoporan)(Konno, K., et al., Structure and biological activities of eumenine mastoparan−AF(EMP−AF)、孤立スズメバチ(オオフタオビドロバチ)の毒液中の新たなマスト細胞脱顆粒ペプチド(Toxicon, 2000. 38(11): p. 1505−15)、マウロカルシン(Esteve, E., et al., Transduction of the scorpion toxin maurocalcine into cells. Evidence that the toxin crosses the plasma membrane. J Biol Chem, 2005. 280(13): p. 12833−9)、クロタミン(Nascimento, F.D., et al., Crotamine mediates gene delivery into cells through the binding to heparan sulfate proteoglycans. J Biol Chem, 2007. 282(29): p. 21349−60)又はブフォリン(Kobayashi, S., et al., Membrane translocation mechanism of the antimicrobial peptide buforin 2. Biochemistry, 2004. 43(49): p. 15610−6)に由来する数十のペプチドが報告された。ポリアルギニン(R8、R9、R10、及びR12)(Futaki, S., et al., Arginine−rich peptides. An abundant source of membrane−permeable peptides having potential as carriers for intracellular protein delivery. J Biol Chem, 2001. 276(8): p. 5836−40)又はトランスポータン(Pooga, M., et al., Cell penetration by transportan.FASEB J, 1998. 12(1): p. 67−77)を含む合成CPPも設計された。前記したCPPはいずれも、本発明に係る抗体又は抗原結合断片における細胞透過性ペプチドとして使用することができる。本発明に係る抗体又は抗原結合断片中の細胞透過性ペプチドとして使用することができる各種CPPが、レビュー:Milletti, F., Cell−penetrating peptides: classes, origin, and current landscape. Drug Discov Today 17 (15−16): 850−60, 2012にも開示されている。

0108

本発明に係る抗体又は抗原結合断片において使用することができる局在化ドメインの他の例は、例えば、Farrington GK, Caram−Salas N, Haqqani AS, Brunette E, Eldredge J, Pepinsky B, Antognetti G, Baumann E, Ding W, Garber E, Jiang S, Delaney C, Boileau E, Sisk WP, Stanimirovic DB. A novel platform for engineering blood−brain barrier−crossing bispecific biologics.FASEB J. 2014 Nov;28(11):4764−78に記載される血液脳関門を通過するためのドメインである。

0109

局在化ドメインの更なる例は、核局在化ドメインである。核局在化ドメインは、タンパク質、特に本発明に係る抗体又は抗原結合断片を、細胞核に向ける。核局在化ドメインは、抗体又は抗原結合断片が転写因子の活性を遮断し、遺伝子発現を調節するのに有用であり得る。核局在化ドメインの好ましい例は、Kalderon D, RobertsBL, Richardson WD, SmithAE(1984) “A short amino acid sequence able to specify nuclear location” Cell 39 (3 Pt 2): 499−509 and in Lusk CP, Blobel G, King MC (May 2007) “Highway to the inner nuclear membrane: rules for the road” Nature Reviews Molecular Cell Biology 8 (5): 414−20に記載される。

0110

好ましくは、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、タグを含む又はからなる。より好ましくは、タグは、親和性タグ可溶化タグクロマトグラフィータグ、エピトープタグ、又は蛍光タグである。

0111

タグは、組換えタンパク質グラフトされたペプチド配列である。タグの例としては、アフィニティータグ、可溶化タグ、クロマトグラフィータグ、エピトープタグ、蛍光タグ、タンパク質タグが挙げられる。親和性タグを使用して、親和性技法を用いて粗生物源からタンパク質を精製することができる。親和性タグの例としては、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、及びグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)が挙げられる。更なる例は、金属マトリックスに結合するポリ(His)タグである。特に大腸菌などのシャペロン欠乏種で発現する組換えタンパク質の場合には、タンパク質の適切なフォールディングを助け、沈殿を防ぐために、可溶化タグを使用することができる。可溶化タグの例としては、チオレドキシン(TRX)及びポリ(NANP)が挙げられる。クロマトグラフィータグを使用してタンパク質のクロマトグラフィー特性を変更し、特定の分離技法で異なる分解能を提供できる。クロマトグラフィータグは、多くの場合、FLAGタグなどのポリアニオン性アミノ酸からなる。エピトープタグは、高親和性抗体を多くの異なる種で確実に産生できるので、選択される短いペプチド配列である。これらは通常、ウイルス遺伝子に由来し、高い免疫反応性を示す。エピトープタグとしては、V5タグ、Mycタグ、HAタグ、及びNEタグが挙げられる。これらのタグは、ウエスタンブロット免疫蛍光免疫沈降実験に特に有用であるが、抗体精製にも使用できる。蛍光タグを使用して、タンパク質を視覚的に読み取ることができる。GFPとその変異体は、最も一般的に使用される蛍光タグである。GFPは、フォールディングレポーターとして使用できる(フォールディングされている場合は蛍光、そうでない場合は無色)。タンパク質タグは、特定の酵素修飾(例えば、ビオチンリガーゼによるビオチン化)又は化学修飾(例えば、蛍光イメージングのためのFlAsH−EDT2との反応)を可能にする。例えば、タンパク質を複数の他のコンポーネントに結合させるために、タグを組み合わせることができる。タグは、化学物質又はタンパク質分解若しくはインテインスプライシングなどの酵素的手段によって除去可能であり得る。

0112

タグの好ましい例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる::twin−Strep−Tag(SAWSHPQFEKGGGSGGGSGGSAWSHPQFEK;配列番号20);AviTag、酵素BirAによるビオチン化を可能にするペプチドであり、ストレプトアビジンによってタンパク質を単離できる(GLNDIFEAQKIEWHE;配列番号21);カルモジュリンタグ、タンパク質カルモジュリンが結合したペプチド(KRRWKKNFIAVSAANRFKKISSSGAL;配列番号22);ポリグルタミン酸タグ、Mono−Qなどのアニオン交換樹脂に効率的に結合するペプチド(EEEEEE;配列番号23);Eタグ、抗体によって認識されるペプチド(GAPVPYPDPLEPR;配列番号24);FLAGタグ、抗体によって認識されるペプチド(DYKDDDDK;配列番号25);HAタグ、抗体によって認識されるヘマトグルチニン由来のペプチド(YPYDVPDYA;配列番号26);Hisタグ、ニッケル又はコバルトキレートが結合した5〜10個のヒスチジン(HHHHHH;配列番号27);Mycタグ、抗体によって認識されるc−myc由来のペプチド(EQKLISEEDL;配列番号28);NEタグ、モノクローナルIgG1抗体によって認識される18アミノ酸合成ペプチド(TKENPRSNQEESYDDNES;配列番号29)、ウエスタンブロット法ELISAフローサイトメトリー免疫細胞化学、免疫沈降、及び組換えタンパク質のアフィニティ精製を含む幅広い用途に有用である;Sタグ、リボヌクレアーゼA由来のペプチド(KETAAAKFERQHMDS;配列番号30);SBPタグ、ストレプトアビジンに結合するペプチド(MDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREP;配列番号31);Softag 1、哺乳類発現用(SLAELLNAGLGGS;配列番号32);Softag 3、原核生物発現用(TQDPSRVG;配列番号33);Strep−tag、ストレプトアビジン又はストレプトアクチンと呼ばれる修飾ストレプトアビジンに結合するペプチド(Strep−tag II:WSHPQFEK;配列番号34);TCタグ、FlAsH及びReAsH二ヒ素化合物によって認識されるテトラシステインタグ(CCPGCC;配列番号35);V5タグ、抗体によって認識されるペプチド(GKPIPNPLLGLDST;配列番号36);VSVタグ、抗体によって認識されるペプチド(YTDIEMNRLGK;配列番号37);Xpressタグ(DLYDDDDK;配列番号38);イソペプタグ、ピリンCタンパク質に共有結合するペプチド(TDKDMTITFTNKKDAE;配列番号39);SpyTag、SpyCatcherタンパク質に共有結合するペプチド(AHIVMVDAYKPTK;配列番号40);SnoopTag、SnoopCatcherタンパク質に共有結合するペプチド(KLGDIEFIKVNK;配列番号41);Ty1タグ(EVHTNQDPLD;配列番号42);BCCP(ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質)、ストレプトアビジンによる認識を可能にするBirAによってビオチン化されるタンパク質ドメイン;グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)タグ、固定化グルタチオンに結合するタンパク質;緑色蛍光タンパク質タグ、自然に蛍光を発し、ナノボディが結合できるタンパク質;HaloTag、反応性ハロアルカン基質に共有結合する変異細菌ハロアルカンデハロゲナーゼであり、広範囲の基質への結合が可能;マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、アミロースアガロースに結合するタンパク質;Nus(N−利用物質)タグ;チオレドキシン(Trx)タグ;肝蛭8kDa抗原(Fh8)タグ;小ユビキチン修飾(SUMO)タグ;溶解度向上ペプチド配列(SET)タグ;プロテインGのIgGドメインB1(GB1)タグ;プロテインAZZ)のIgGリピートドメインZZタグ;溶解度向上ユビキタスタグ(SNUT)タグ;17キロダルトンタンパク質(Skp)タグ;ファージT7プロテインキナーゼ(T7PK)タグ;大腸菌分泌プロテインA(EspA)タグ;単量体バクテリオファージT7 0.3タンパク質(Orcタンパク質)/Mocrタグ;大腸菌トリプシン阻害剤(Ecotin)タグ;カルシウム結合タンパク質(CaBP)タグ;ストレス応答ヒ酸レダクターゼ(ArsC)タグ;翻訳開始因子IF2のN末端断片(IF2ドメインI)タグ;発現度タグ(翻訳開始因子IF2のN末端断片);ストレス応答性タンパク質RpoA、SlyD、Tsf、RpoS、PotD、Crrタグ;大腸菌酸性タンパク質msyB、yjgD、rpoDタグ(例えば、Costa S, Almeida A, Castro A, Domingues L. Fusion tags for protein solubility, purification and immunogenicity in Escherichia coli: the novel Fh8 system. Frontiers in Microbiology. 2014;5:63, in particular Table 1 in Costa et al., 2014参照)。

0113

したがって、タグは、配列番号20〜42のいずれかに係るアミノ酸配列又はその配列変異体を含む又はからなることが好ましい。最も好ましくは、タグは、特に配列番号20又は34に係るStrepタグである。

0114

好ましくは、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、受容体又はその機能的断片を含む又はからなる。「受容体」は、特定の(シグナル)分子、そのリガンドに結合し、例えば細胞内において、応答を開始することができるポリペプチド又はタンパク質である。天然には、受容体は、特に細胞膜上又は細胞膜内(細胞表面受容体)又は細胞内(細胞内受容体)に位置する。好ましい受容体は、イオンチャネル結合(イオンチャネル型)受容体、Gタンパク質結合(代謝型ホルモン受容体酵素結合ホルモン受容体、細胞質受容体、及び核受容体を含む。二量体を形成する受容体の場合、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメインは、リンカーによって接続された2つの同一のドメインを含むことができる。

0115

好ましい受容体は、Ig様ドメインを含む受容体である。特に、受容体は、Ig様ドメインを含む阻害剤受容体又はIg様ドメインを含む活性化受容体であり得る。Ig様ドメインを含む阻害性受容体の好ましい例としては、プログラム細胞死タンパク質1(PD−1又はPD1)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)、B及びTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM−3;A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2)としても知られる)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、細胞表面糖タンパク質CD200受容体1(CD200R1)、2B4(CD244;SLAMF4)、Trem(ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体)様転写物2(TLT2)、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーBメンバー4(LILRB4)、及びキラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン及び長い細胞質テール2(KIR2DL2)が挙げられる。Ig様ドメインを含む活性化受容体の好ましい例としては、誘導性T細胞COS刺激因子(ICOS)及びCD28が挙げられる。特に好ましくは、受容体は、プログラム細胞死タンパク質1(PD−1又はPD1)又はシグナリングリンパ球活性化分子(SLAM)である。

0116

更なる好ましい受容体は、例えばHeaney ML, GoldeDW. Soluble receptors in human disease. J Leukoc Biol. 1998 Aug;64(2):135−46に開示される可溶性受容体である。その例としては、TNFR(腫瘍壊死因子受容体)、p55、p75、Fas(CD95)、神経成長因子受容体、CD27、CD30、成長ホルモン受容体、GM−CSF受容体エリスロポエチン受容体(EpoR)、トロンボポエチン受容体、G−CSF受容体、IL−1RI(インターロイキン1受容体I)、IL−1RII(インターロイキン1受容体II)、IL−2Rα(インターロイキン2受容体α、Tac、CD25)、IL−4R(インターロイキン4受容体)、IL−5Rα(インターロイキン5受容体α)、IL−7R(インターロイキン7受容体)、IL−6Rα(インターロイキン6受容体α)、gp130、CNTFR(繊毛神経栄養因子受容体)、LIFR(白血病阻止因子受容体)、レプチン受容体、IL−11R(インターロイキン11受容体)、IL−12 p40(インターロイキン12受容体p40)、幹細胞因子受容体(c−kit)、インターフェロン受容体リポ多糖受容体(CD14)、補体受容体I型(CD35)、ヒアルロン酸受容体(CD44)、CD58、IgE受容体(FcεRII、CD23)、IgG受容体(FcγRII)、ICAM−1(CD54)、ICAM−3(CD50)、トランスフォーミング成長因子β受容体III、表皮成長因子受容体(c−erb B)、血管内皮成長因子受容体、血小板由来成長因子受容体、線維芽細胞成長因子、コロニー刺激因子−1受容体(MCFR、c−fms)、ARK(アドレナリン受容体キナーゼ)、Tie(アンジオポエチン受容体)、インスリン受容体インスリン様成長因子−II受容体、及びマンノース6−リン酸受容体が挙げられる。

0117

より好ましくは、可溶性受容体は、可溶性サイトカイン受容体であり、例えば、クラスIサイトカイン受容体スーパーファミリー受容体、クラスIIサイトカイン受容体スーパーファミリー受容体、IL−1/TLRファミリー受容体、TGF−β受容体ファミリー受容体、TNFRスーパーファミリー受容体、又はIL−17Rなどである。クラスIサイトカイン受容体スーパーファミリーの好ましい受容体は、IL−4Rα、IL−5Rα、IL−6Rα、IL−7Rα、IL−9Rα、EpoR、G−CSFR、GM−CSFRα、gp130、及びLIFRαを含む。クラスIIサイトカイン受容体スーパーファミリーの好ましい受容体は、IFNAR1及びIFNAR2αなどのI型IFNRを含む。IL−1/TLRファミリーの好ましい受容体は、IL−1RII及びIL−1RacPを含む。TGF−β受容体ファミリーの好ましい受容体は、TβR−1及びアクチビン受容体様キナーゼ7を含む。TNFRスーパーファミリーの好ましい受容体は、TNFRSF6/Fas/CD95及びTNFRSF9/4−1BB/CD137を含む。したがって、サイトカイン受容体の好ましい例としては、IL−4Rα、IL−5Rα、IL−6Rα、IL−7Rα、IL−9Rα、EpoR、G−CSFR、GM−CSFRα、gp130、LIFRα、IFNAR1、IFNAR2α、IL−1RII、IL−1RacP、TβR−I、アクチビン受容体様キナーゼ7、TNFRSF6/Fas/CD95、TNFRSF9/4−1BB/CD137、及びIL−17Rが挙げられる。そのような受容体又はその機能的断片を含む機能的ドメインを含む抗体又は抗原結合断片は、抗体がその標的に到達する間に炎症応答を調節することができる。例えば、主にさまざまな刺激に応答するタンパク質分解切断によって生成される可溶性II型IL−1受容体(sIL−1RII)は、IL−1βを優先的に結合することにより、過剰なIL−1生物活性を減らすことができる。例えば、可溶性IL−1RAcPは、外部ドメインの切断ではなく、選択的スプライシングによって生成されます。例えば、可溶性IL−6受容体は、膜IL−6Rと同様の親和性でIL−6に結合し、それによりIL−6の半減期を延長する。

0118

受容体の機能的断片は、機能を媒介する能力を有する受容体の任意の断片であり得る。通常、このような断片は「ドメイン」と呼ばれる。したがって、受容体の機能的断片は、受容体の任意のドメインであり得る。好ましい例としては、前記の(例示した)受容体の機能的断片(例えば、ドメイン)が挙げられる。好ましくは、(追加の)機能的ドメインに含まれる受容体の機能的断片は、受容体の細胞外ドメインである。例えば、第1のポリペプチド鎖及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、以下の受容体のいずれかの細胞外ドメインであり得る:IL−4Rα、IL−5Rα、IL−6Rα、IL−7Rα、IL−9Rα、EpoR、G−CSFR、GM−CSFRα、gp130、LIFRα、IFNAR1、IFNAR2α、IL−1RII、IL−1RacP、TβR−I、アクチビン受容体様キナーゼ7、TNFRSF6/Fas/CD95、TNFRSF9/4−1BB/CD137、IL−17R、p55、p75、神経成長因子受容体、CD27、CD30、成長ホルモン受容体、トロンボポエチン受容体、IL−1RI(インターロイキン1受容体I)、IL−2Rα(インターロイキン2受容体α、Tac、CD25)、CNTFR(繊毛神経栄養因子受容体)、レプチン受容体、IL−11R(インターロイキン11受容体)、IL−12 p40(インターロイキン12受容体p40)、幹細胞因子受容体(c−kit)、インターフェロン受容体、リポ多糖受容体(CD14)、補体受容体I型(CD35)、ヒアルロン酸受容体(CD44)、CD58、IgE受容体(FcεRII、CD23)、IgG受容体(FcγRII)、ICAM−1(CD54)、ICAM−3(CD50)、トランスフォーミング成長因子β受容体III、上皮成長因子受容体(c−erb B)、血管内皮成長因子受容体、血小板由来成長因子受容体、線維芽細胞成長因子、コロニー刺激因子−1受容体(MCFR、c−fms)、ARK(アドレナリン受容体キナーゼ)、Tie(アンジオポエチン受容体)、インスリン受容体、インスリン様成長因子−II受容体、及びマンノース6−リン酸受容体。

0119

好ましくは、(追加の)機能的ドメインに含まれる受容体の機能的断片は、Ig様ドメインである。例えば、第1のポリペプチド鎖及び/又は第2のポリペプチド鎖の(追加の)機能的ドメインは、以下の受容体のいずれかのIg様ドメインであり得る:PD1、SLAM、LAIR1、CTLA4、BTLA、TIM−3、TIGIT、CD200R1、2B4(CD244)、TLT2、LILRB4、KIR2DL2、ICOS、又はCD28。好ましくは、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、膜貫通ドメインを含まない。最も好ましくは、受容体は、配列番号13〜15のいずれかに記載のアミノ酸配列又はその機能的配列変異体を含む又はからなる。

0120

更に、国際公開第2016/207402A1号に記載されるように、第1のポリペプチド鎖及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメインは、変異白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)断片を含む又はからなることが特に好ましい。配列番号13に示される変異LAIR1断片、又は少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは90%、特に好ましくは95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその配列変異体が最も好ましい。

0121

特に好ましくは、第1のポリペプチド鎖及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメインは、配列番号14又は配列番号15に示されるアミノ酸配列などのPD1又はSLAMのIg様断片、又は少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するその配列変異体を含む又はからなる。

0122

好ましくは、本発明に係る抗体又はその抗原結合断片の第1のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(ii)及び/又は第2のポリペプチド鎖の機能的ドメイン(v)は、リガンド又はその機能的断片を含む又はからなる。「リガンド」とは、タンパク質又は他の分子の特定部位に特異的に結合する分子である。本発明の文脈においては、リガンドはポリペプチド鎖に含まれるため、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質である。リガンドの結合は、特にイオン結合水素結合ファンデルワールス力などの分子間力によって生じる。リガンドの好ましい例としては、前記した受容体のいずれか、特に受容体PD1、SLAM、LAIR1、CTLA4、BTLA、TIM−3、TIGIT、CD200R1、2B4(CD244)、TLT2、LIRB4、KIR2DL2、ICOS、又はCD28、例えば、PD−L1、PD−L2、B7−1、B7−2、B7−H4(B7ホモログ)、ガレクチン−9、ポリオウイルス受容体(PVR)、OX−2膜糖タンパク質、CD48、B7−H3(B7ホモログ)、MHCI、及びICOS−Lなどのいずれかのサイトカイン及びリガンドである。

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