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技術 合金コーティング鋼板およびその製造方法

出願人 ポスコリサーチインスティチュートオブインダストリアルサイエンスアンドテクノロジー
発明者 ヤン、ジフンチョン、ジェインチョン、ヨンファキム、テヨプ
出願日 2018年5月18日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2019-572056
公開日 2020年8月27日 (1年4ヶ月経過) 公開番号 2020-525645
状態 特許登録済
技術分野 溶融金属による被覆 その他の表面処理 物理蒸着
主要キーワード アルミニウムメッキ層 電子ビーム蒸発装置 コーティング鋼板 耐食特性 耐食性コーティング 各合金相 化粧品ケース 腐食防止用
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

合金コーティング鋼板およびその製造方法に関し、鋼板;および前記鋼板上に位置するAl−Mg−Si合金層;を含み、前記Al−Mg−Si合金層は、Al−Mg合金相からなる合金層内に、Mg−Si合金粒が含まれている形態である、合金コーティング鋼板およびその製造方法を提供することができる。

概要

背景

鉄は豊富資源と優れた特性および割安な価格によって産業的に最も幅広く用いられる金属である。鉄はこのような利点にもかかわらず、大気中で腐食が発生するという欠点がある。鉄の腐食は、鉄と酸素または水とが電気化学的な反応を起こして鉄イオン溶出する現象で、このような反応が進むと、溶出した部分に鉄の酸化物(FeOOH)が生成されるが、これをサビと呼ぶ。鉄のサビは多様な化学量論の酸化物および水酸化物からなり、時間の経過とともに持続的に酸化が起こることが鉄の特徴の一つである。鉄は様々な形態に加工して使用されるが、自動車建築材料および家電製品の場合、冷間圧延された鋼板つまり、冷延鋼板が主に用いられている。

鋼板の腐食を防止するための方法として代表的なものが鋼板の表面に他の金属をメッキすることである。メッキ被膜の種類は、犠牲防食被膜遮断防食型被膜とに分けられる。犠牲防食型被膜は、亜鉛マグネシウムアルミニウムなどのように鉄より酸化が容易であり、サビが発生しやすい金属を被覆することで被覆した金属が優先して腐食して鋼板を保護する。遮断防食型被膜は、鉛やスズなどの鋼板より腐食しにくい金属で被覆して水と酸素が鉄に到達しないように遮断することである。

今のところ、鋼板の腐食を防止するために最も幅広く行われていることが、亜鉛メッキである。亜鉛メッキ鋼板が開発されて以降、耐食性向上のための多様な努力が進められてきたが、その一つが亜鉛合金を被覆することである。合金を用いた高耐食性物質系としては、Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe、Zn−Al−Mgなどがある。このような亜鉛または亜鉛合金メッキ鋼板は、自動車をはじめとして建築材料および家電製品に幅広く用いられている。

アルミニウムも鋼板の腐食防止用に使用されているが、アルミニウムは、亜鉛とは異なってその応用分野がさらに多様である。アルミニウム被膜は、色が美しくて耐食性および耐熱性に優れ、化粧品ケースアクセサリーなどの装飾用被膜はもちろん、半導体導電膜磁性材料や鋼板の保護被膜温熱系統の家電製品、自動車用マフラなどのコーティングに用いられている。

アルミニウムの被膜は、真空コーティング電気メッキまたは溶融メッキ方法を利用して製造する。しかし、電気メッキの場合は、その効率が低くて生産性に劣るため、大部分溶融メッキ法真空コーティング方法を利用している。

アルミニウムメッキ鋼板は、耐食性に優れているのに対し、被膜に欠陥が発生するとその部位で集中的に腐食が発生するという欠点があるが、これは、アルミニウムが亜鉛に比べて犠牲防食性に劣るからである。したがって、溶融アルミニウムメッキ鋼板の場合、メッキ層の厚さを15ミクロン(μm)以上に厚くすることでこれを克服している。溶融アルミニウムメッキ鋼板はまた、高温で工程が行われるので、界面にAl−Fe−Si合金が作られ、加工性が低下するという欠点がある。

真空コーティングを利用したアルミニウム被膜は、大部分の用途では厚さを薄くして応用されており、耐食性コーティングにおいても数ミクロン程度の厚さにコーティングすることが一般的である。アルミニウム被膜の場合、厚さが数ミクロン以下になると、塩水噴霧試験で72時間程度で赤錆が発生する。したがって、アルミニウムを耐食性コーティングで鋼板に適用するためには、特性の向上が必要である。また、亜鉛に比べて犠牲防食特性が弱いため、一度赤錆が発生すると、短時間に全体に拡散していくという欠点がある。

そこで、上記の問題を解決するための研究が急務である。

概要

合金コーティング鋼板およびその製造方法に関し、鋼板;および前記鋼板上に位置するAl−Mg−Si合金層;を含み、前記Al−Mg−Si合金層は、Al−Mg合金相からなる合金層内に、Mg−Si合金粒が含まれている形態である、合金コーティング鋼板およびその製造方法を提供することができる。

目的

鋼板の腐食を防止するための方法として代表的なものが鋼板の表面に他の金属をメッキすることである

効果

実績

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請求項1

鋼板;および前記鋼板上に位置するAl−Mg−Si合金層;を含み、前記Al−Mg−Si合金層は、Al−Mg合金相からなる合金層内に、Mg−Si合金粒が含まれている形態である合金コーティング鋼板。

請求項2

前記鋼板と前記Al−Mg−Si合金層との間に位置するAl−Si合金層;をさらに含む、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項3

前記Al−Mg−Si合金層は、合金層内のMg含有量勾配(gradient)が存在する、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項4

前記Al−Mg−Si合金層内のMg含有量は、前記Al−Mg−Si合金層の総量100重量%に対して、15重量%以上、90重量%以下である、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項5

前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2、Al12Mg17を含む、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項6

前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2、Al12Mg17以外のAlおよび前記Alに固溶したMgを含む、請求項5に記載の合金コーティング鋼板。

請求項7

前記Mg−Si合金粒は、Mg2Siを含む、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項8

前記Mg−Si合金粒は、不定形である、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項9

前記Al−Mg−Si合金層内のMg−Si合金粒の含有量は、前記Al−Mg−Si合金層の総量100重量%に対して、1重量%以上、および70重量%以下である、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項10

前記鋼板、および前記Al−Mg−Si合金層の間に位置するAl−Fe−Si合金層;をさらに含む、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項11

前記Al−Mg−Si合金層上に位置するMg層;またはAl−Mg合金層;をさらに含む、請求項1に記載の合金コーティング鋼板。

請求項12

Al、およびSiが含まれているメッキ層を含むアルミニウムメッキ鋼板を準備する段階;前記アルミニウムメッキ鋼板上にMgをコーティングしてMgコーティング層を形成する段階;およびAl−Mg−Si合金層が形成されるように、前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階;を含み、前記Al−Mg−Si合金層は、Al−Mg合金相からなる合金層内に、Mg−Si合金粒が含まれている形態である合金コーティング鋼板の製造方法。

請求項13

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、300℃〜450℃の温度で熱処理する、請求項12に記載の合金コーティング鋼板の製造方法。

請求項14

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、5秒〜600秒間熱処理する、請求項13に記載の合金コーティング鋼板の製造方法。

請求項15

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、前記Al−Mg−Si合金層で前記Al−Mg合金相が生成され、前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2、Al12Mg17を含む、請求項14に記載の合金コーティング鋼板の製造方法。

請求項16

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、前記Al−Mg−Si合金層で前記Mg−Si合金粒が生成され、前記Mg−Si合金粒は、Mg2Siを含む、請求項14に記載の合金コーティング鋼板の製造方法。

請求項17

前記アルミニウムメッキ鋼板上にMgをコーティングしてMgコーティング層を形成する段階では、物理気相蒸着PVD)で行われる、請求項12に記載の合金コーティング鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、合金コーティング鋼板およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

鉄は豊富資源と優れた特性および割安な価格によって産業的に最も幅広く用いられる金属である。鉄はこのような利点にもかかわらず、大気中で腐食が発生するという欠点がある。鉄の腐食は、鉄と酸素または水とが電気化学的な反応を起こして鉄イオン溶出する現象で、このような反応が進むと、溶出した部分に鉄の酸化物(FeOOH)が生成されるが、これをサビと呼ぶ。鉄のサビは多様な化学量論の酸化物および水酸化物からなり、時間の経過とともに持続的に酸化が起こることが鉄の特徴の一つである。鉄は様々な形態に加工して使用されるが、自動車建築材料および家電製品の場合、冷間圧延された鋼板つまり、冷延鋼板が主に用いられている。

0003

鋼板の腐食を防止するための方法として代表的なものが鋼板の表面に他の金属をメッキすることである。メッキ被膜の種類は、犠牲防食被膜遮断防食型被膜とに分けられる。犠牲防食型被膜は、亜鉛マグネシウムアルミニウムなどのように鉄より酸化が容易であり、サビが発生しやすい金属を被覆することで被覆した金属が優先して腐食して鋼板を保護する。遮断防食型被膜は、鉛やスズなどの鋼板より腐食しにくい金属で被覆して水と酸素が鉄に到達しないように遮断することである。

0004

今のところ、鋼板の腐食を防止するために最も幅広く行われていることが、亜鉛メッキである。亜鉛メッキ鋼板が開発されて以降、耐食性向上のための多様な努力が進められてきたが、その一つが亜鉛合金を被覆することである。合金を用いた高耐食性物質系としては、Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe、Zn−Al−Mgなどがある。このような亜鉛または亜鉛合金メッキ鋼板は、自動車をはじめとして建築材料および家電製品に幅広く用いられている。

0005

アルミニウムも鋼板の腐食防止用に使用されているが、アルミニウムは、亜鉛とは異なってその応用分野がさらに多様である。アルミニウム被膜は、色が美しくて耐食性および耐熱性に優れ、化粧品ケースアクセサリーなどの装飾用被膜はもちろん、半導体導電膜磁性材料や鋼板の保護被膜温熱系統の家電製品、自動車用マフラなどのコーティングに用いられている。

0006

アルミニウムの被膜は、真空コーティング電気メッキまたは溶融メッキ方法を利用して製造する。しかし、電気メッキの場合は、その効率が低くて生産性に劣るため、大部分溶融メッキ法真空コーティング方法を利用している。

0007

アルミニウムメッキ鋼板は、耐食性に優れているのに対し、被膜に欠陥が発生するとその部位で集中的に腐食が発生するという欠点があるが、これは、アルミニウムが亜鉛に比べて犠牲防食性に劣るからである。したがって、溶融アルミニウムメッキ鋼板の場合、メッキ層の厚さを15ミクロン(μm)以上に厚くすることでこれを克服している。溶融アルミニウムメッキ鋼板はまた、高温で工程が行われるので、界面にAl−Fe−Si合金が作られ、加工性が低下するという欠点がある。

0008

真空コーティングを利用したアルミニウム被膜は、大部分の用途では厚さを薄くして応用されており、耐食性コーティングにおいても数ミクロン程度の厚さにコーティングすることが一般的である。アルミニウム被膜の場合、厚さが数ミクロン以下になると、塩水噴霧試験で72時間程度で赤錆が発生する。したがって、アルミニウムを耐食性コーティングで鋼板に適用するためには、特性の向上が必要である。また、亜鉛に比べて犠牲防食特性が弱いため、一度赤錆が発生すると、短時間に全体に拡散していくという欠点がある。

0009

そこで、上記の問題を解決するための研究が急務である。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の一実施形態は、鋼板上に犠牲防食型合金被膜を形成して、薄い厚さでも高耐食性特性を有する合金コーティング鋼板およびその製造方法を提供しようとする。

課題を解決するための手段

0011

本発明による合金コーティング鋼板は、鋼板;および前記鋼板上に位置するAl−Mg−Si合金層;を含み、前記Al−Mg−Si合金層は、Al−Mg合金相からなる合金層内に、Mg−Si合金粒が含まれている形態である。

0012

前記鋼板と前記Al−Mg−Si合金層との間に位置するAl−Si合金層;をさらに含むものであってもよい。

0013

前記Al−Mg−Si合金層は、合金層内のMg含有量勾配(gradient)が存在し得る。

0014

前記Al−Mg−Si合金層内のMg含有量は、前記Al−Mg−Si合金層の総量100重量%に対して、15重量%以上、90重量%以下であってもよい。

0015

前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2、Al12Mg17を含むものであってもよい。

0016

前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2、Al12Mg17以外のAlおよび前記Alに固溶したMgを含むものであってもよい。

0017

前記Mg−Si合金粒は、Mg2Siを含むものであってもよい。

0018

前記Mg−Si合金粒は、不定形であってもよい。

0019

前記Al−Mg−Si合金層内のMg−Si合金粒の含有量は、前記Al−Mg−Si合金層の総量100重量%に対して、1重量%以上、および70重量%以下であってもよい。

0020

前記鋼板、および前記Al−Mg−Si合金層の間に位置するAl−Fe−Si合金層をさらに含むものであってもよい。

0021

前記Al−Mg−Si合金層上に位置するMg層またはAl−Mg合金層をさらに含むものであってもよい。

0022

本発明による合金コーティング鋼板の製造方法は、Al、およびSiが含まれているメッキ層を含むアルミニウムメッキ鋼板を準備する段階;前記アルミニウムメッキ鋼板上にMgをコーティングしてMgコーティング層を形成する段階;およびAl−Mg−Si合金層が形成されるように、前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階;を含み、前記Al−Mg−Si合金層は、Al−Mg合金相からなる合金層内に、Mg−Si合金粒が含まれている形態である。

0023

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、300℃〜450℃の温度で熱処理するものであってもよい。

0024

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、5秒〜600秒間熱処理するものであってもよい。

0025

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、前記Al−Mg−Si合金層で前記Al−Mg合金相が生成され、前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2、Al12Mg17を含むものであってもよい。

0026

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、前記Al−Mg−Si合金層で前記Mg−Si合金粒が生成され、前記Mg−Si合金粒は、Mg2Siを含むものであってもよい。

0027

前記アルミニウムメッキ鋼板上にMgをコーティングしてMgコーティング層を形成する段階では、物理気相蒸着PVD)で行われるものであってもよい。

図面の簡単な説明

0028

合金コーティング鋼板の製造に使用可能な連続コーティング装置の概略的な模式図である。
本発明の第1実施形態による合金コーティング鋼板の模式図である。
本発明の第2実施形態による合金コーティング鋼板の模式図である。
実施例2のMgをコーティングした溶融アルミニウムメッキ鋼板の熱処理前と熱処理後の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM写真である。
実施例4の合金コーティング鋼板に対する走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
実施例5の合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器(Glow Discharge Spectrometer)分析結果である。
実施例6の合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器(Glow Discharge Spectrometer)分析結果である。
熱処理前のコーティング層、400℃で120、300、600秒間熱処理したコーティング層の断面に対する走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
コーティング層の表面における熱処理時間によるAl、Mg、Siの3つの元素の拡散を観察した走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
実施例7の合金コーティング鋼板に対する透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)写真である。
実施例8の合金コーティング鋼板に対する透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)写真である。
実施例9の合金コーティング鋼板に対する透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)写真である。
比較例4の合金コーティング鋼板に対する透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)写真である。
約400℃の温度での熱処理時間による合金コーティング鋼板の各相に対するVolume Fractionを示す結果である。
実施例7、実施例8、実施例9、および比較例4の合金コーティング鋼板に対するX−Ray回折分析結果である。
実施例7の合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器(Glow Discharge Spectrometer)分析結果である。
実施例8の合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器(Glow Discharge Spectrometer)分析結果である。
実施例9の合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器(Glow Discharge Spectrometer)分析結果である。
比較例4の合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器(Glow Discharge Spectrometer)分析結果である。
実施例7(Type−1)、実施例8(Type−2)、実施例9(Type−3)、および比較例4(NHT)の初期赤錆発生時間を基準として表面耐食性を評価した結果である。

0029

以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する請求範囲範疇によって定義される。

0030

別の定義がなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解できる意味で使用されるであろう。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。また、単数形は、文章で特に言及しない限り、複数形も含む。

0031

また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のところに限定されない。

0032

明細書全体において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上部」にあるとするか、「〜上」にあるとする時、これは、他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。

0033

明細書全体において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上部」にあるとするか、「〜上」にあるとする時、これは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準として上側に位置することを意味するものではない。

0034

明細書全体において、特別な定義がない限り、「A層」は、当該層がAのみからなる場合だけでなく、Aを含む場合も含む。

0035

明細書全体において、特別な定義がない限り、「A−B合金層」は、当該層がA−B合金のみからなる場合だけでなく、A−B合金を含む場合も含む。

0036

明細書全体において、特別な定義がない限り、「A−B−C合金層」は、当該層がA−B−C合金のみからなる場合だけでなく、A−B−C合金を含む場合も含む。

0037

最近、上記の背景技術で述べた溶融アルミニウムメッキ鋼板が有する問題点を解決するために、シリコンが含まれている溶融アルミニウムメッキ鋼板にマグネシウムを添加して、耐食性と共に犠牲防食性を向上させようとする研究が進められている。

0038

一例として、溶融メッキでAl−Mg−Siメッキ鋼板を製造して耐食性に優れたコーティング鋼板を製造しようとする研究がある。しかし、溶融メッキ方式で製造する場合、Mg含有量の制御に限界があり、20g/m2以下の薄メッキの場合、耐食性が急激に低下するという欠点がある。また、Mg2Si合金相が耐食性向上の役割を果たすことが知られているが、この場合、Mgが6%前後の狭い範囲でのみ特性が向上する問題がある。Al−Mg−Siメッキ鋼板は、Mg2Si相がメッキ層に形成されて優れた耐食性を有することが知られている。Mg2Si相は、メッキ層内に面積比で0.5%以上、および30%以下、Mg2Si相の長径は10μm以下の時、Al−Mg−Siメッキ鋼板の耐食性が向上すると報告されている。

0039

しかし、溶融メッキ方法で製作されるAl−Mg−Siメッキ鋼板は、製作工程上、Mg含有量の調節に限界があるため、一定含有量以上のMg含有量(約15%以上)を有するAl−Mg−Siメッキ鋼板を製作することが容易でない。Al−Mg−Siメッキ鋼板のMg含有量の限界と高い工程温度金属間化合物であるMg2Si相以外のAl3Mg2相またはAl12Mg17相は、Al−Mg−Si合金層内で形成されにくい。

0040

他の例として、アルミニウムがコーティングされた基板真空中で350℃以上、および500℃以下に加熱した状態でMgを蒸着してAl−Mg合金層を形成する方法と、溶融アルミニウムメッキ鋼板に物理気相蒸着でMgをコーティングした後に熱処理する方法に関する研究がある。しかし、これらの方法は、真空中で高温に加熱された基板にMgを蒸着するので、蒸気損失が発生することがあり、Al−Mg−Si層に対しては金属間化合物の生成または金属間化合物による特性変化資料を提示していない。

0041

本発明は、上述した溶融アルミニウムメッキ鋼板が有する問題点および、Al−Mg合金鋼板の問題点を解決するためになされたものであり、本発明は、Mgを溶融アルミニウムメッキ鋼板上に物理気相蒸着方法でコーティングするため、Al−Mg−Siコーティング層のMg含有量の制御に限界がなく、多様なコーティング層の構造を製作することが可能である。

0042

具体的には、シリコンが含まれている溶融アルミニウムメッキ鋼板にマグネシウムを蒸着して熱処理により多層型合金被膜を形成して、犠牲防食性を付与すると同時に、薄い厚さでも高耐食性特性を有する合金コーティング鋼板を提供することができる。

0043

以下、本発明の一実施形態による合金コーティング鋼板の製造方法および、製造された合金コーティング鋼板について説明する。

0044

本発明の一実施形態は、鋼板上に位置するAl、およびSiを含むメッキ層を含むアルミニウムメッキ鋼板を準備する段階;前記アルミニウムメッキ鋼板上にMgをコーティングしてMgコーティング層を形成する段階;および前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階;を含む合金コーティング鋼板の製造方法を提供する。

0045

前記鋼板は、冷延鋼板であってもよい。ただし、これに限定するものではない。

0046

前記アルミニウムメッキ鋼板は、溶融アルミニウムメッキ鋼板であってもよいし、具体的には、メッキ層の総量100重量%に対して、Si:8重量%以上、および10重量%以下;Al:88重量%以上、90重量%以下;および残部のFeからなるものであってもよい。

0047

また、前記アルミニウムメッキ鋼板のメッキ層は、アルミニウムメッキ時に形成されたAl−Fe−Si合金層、およびAl−Si合金層を含むことができ、前記合金層は、鋼板上にAl−Fe−Si合金層、およびAl−Si合金層の順に形成される。前記Al−Fe−Si合金層は、Alメッキ鋼板の製造時、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。

0048

前記アルミニウムメッキ鋼板上にMgをコーティングする段階のコーティングは、物理気相蒸着(PVD)で行われるものであってもよい。より具体的には、電磁気浮上物理気相蒸着(EML−PVD)で行われるものであってもよい。ただし、これに限定するものではなく、電子ビーム蒸発装置、熱蒸発装置スパッタリングソース陰極アークソースなどの物理的な方法でMg蒸着が可能であれば、多様な方法を採用してMgをコーティングすることができる。

0049

前記熱処理段階での熱処理方法は、誘導加熱装置によってもよいが、これに限定するものではなく、適切な他の熱処理手段を採用可能である。また、誘導加熱方式以外の方式で熱処理を実施すれば、熱処理方法によって熱処理温度が異なる。本発明において、熱処理温度は300〜450℃、熱処理時間は5〜600秒の範囲であってもよい。具体的には、熱処理温度は320〜430℃、340〜410℃、360〜390℃であってもよい。具体的には、熱処理時間は40〜550秒、100〜500秒、150〜450秒、200〜400秒、250〜350秒であってもよい。

0050

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、300℃〜450℃の温度で熱処理することができる。

0051

熱処理温度が300℃未満の場合、熱処理工程に多くの時間がかかって製造効率が低くなり、熱処理によるAl−MgおよびMg−Si合金相が十分に生成されず、耐食性向上効果が低くなることがあり、450℃を超える場合、メッキ層に空隙が生成され、メッキ層の表面の粗さが増加して耐食性が低下し、メッキ層の色が暗くなって商品性が低下することがある。また、Mg−Si合金相がAl−Mg合金相より多くなって犠牲防食性が増加して、全体的な耐食性減少の可能性がある。したがって、熱処理温度は300℃〜450℃に制御することが妥当である。

0052

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階では、5秒〜600秒間熱処理することができる。

0053

熱処理時間が5秒未満の場合、Al−MgおよびMg−Si合金相が十分に生成されず、耐食性向上効果が低くなることがあり、熱処理時間が600秒を超える場合、メッキ層に空隙および表面粗さが増加し、Mg−Si合金相の増加で犠牲防食性が高すぎて耐食性が低下することがある。したがって、熱処理時間は5秒〜600秒に制御することが妥当である。

0054

前記Mgがコーティングされたアルミニウムメッキ鋼板を熱処理してMgを前記メッキ層に拡散させる段階において、熱処理時間が60秒以上経過するにつれ、前記Al−Mg−Si合金層で前記Al−Mg合金相が生成され、前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2、Al12Mg17を含むことができる。

0055

一方、熱処理時間が200秒以上経過するにつれ、前記Al−Mg−Si合金層で前記Mg−Si合金粒が生成され、前記Mg−Si合金粒は、Mg2Siを含むことができる。

0056

熱処理時間が200秒以上になるにつれ、Mg2Siを含むMg−Si合金相が生成され、これによってAl−Mg合金相とMg−Si合金相がすべて形成されるため、合金コーティング鋼板の耐食性が向上できる。

0057

熱処理時間による合金コーティング鋼板の耐食性に及ぼす影響は、下記の実施例および比較例を通じて確認することとする。

0058

図1の装置は、合金コーティング鋼板の製造に使用可能な連続コーティング装置の模式図である。ただし、これは、製造方法の一例に過ぎず、これに限定するものではない。

0059

前記装置は、大気中で溶融アルミニウムメッキ鋼板17を供給する鋼板供給装置11と、真空中で鋼板を前処理可能な逆マグネトロンスパッタリングソース(Inverse Magnetron Sputtering Source)12と、前処理後にMgをコーティングする物理気相蒸着(physical vapor deposition:PVD)装置13と、大気中に排出された鋼板を熱処理可能な誘導加熱装置14と、熱処理されたコーティング鋼板を再び巻き戻す鋼板排出装置15とから構成されている。物理気相蒸着装置13は、電磁気浮上(electromagnetic levitation;EML)ソースであってもよい。逆マグネトロンスパッタリングソース12と物理気相蒸着装置13は、真空容器16内に設けられて運用される。

0060

前記装置を用いる例示的な合金コーティング鋼板の製造方法は次の通りである。まず、溶融アルミニウムメッキ鋼板17を準備し、前記鋼板の表面上に付いている防錆油のような残留オイルを除去するためにアルカリ脱脂を実施できる。

0061

この後、前記鋼板を鋼板供給装置11を介して移送させながら真空容器16に供給する。その後、真空容器16内に設けられた逆マグネトロンスパッタリングソース12に電力印加して鋼板表面の清浄を実施できる。

0062

清浄を完了した後、続いて鋼板を移送させながら、真空容器16内に設けられた電磁気浮上ソース13を通してAlメッキ層上にMgを真空コーティングすることができる。

0063

コーティングが完了した後、続いて鋼板を移送させて大気中に排出した後、大気中で誘導加熱装置14を用いて一定の温度および時間で熱処理することができる。

0064

熱処理が完了した後、続いて鋼板を移送させて、製造された合金コーティング鋼板を得ることができる。

0065

以下、上述した製造方法により製造された鋼板について説明する。本発明により明らかになったコーティング鋼板の特徴は大きく4つに分かれ、本明細書において、これらを本発明の第1実施形態〜第4実施形態という。以下、本発明の第1〜第4実施形態について詳しく説明する。

0066

第1実施形態
図2は、本発明の第1実施形態による合金コーティング鋼板の模式図である。これを参照して説明すれば、前記製造方法により製造された本発明の第1実施形態による合金コーティング鋼板は、鋼板21;および前記鋼板21上に位置するAl−Mg−Si合金層23;を含み、前記Al−Mg−Si合金層23は、Al−Mg合金相24からなる合金層内に、Mg−Si合金粒25が含まれている形態であってもよい。

0067

前記Al−Mg−Si合金層23は、前記Mg−Si合金粒25が前記Al−Mg合金相24で囲まれた混合組織が含まれている形態であってもよい。

0068

前記合金コーティング鋼板は、溶融アルミニウムメッキ鋼板上に物理気相蒸着方法でマグネシウムをコーティングして製造されるため、既存の溶融メッキ方法より高いマグネシウム含有量のAl−Mg−Siコーティング層の製作が可能である。溶融メッキ方法でAl−Mg−Siメッキ鋼板を製造する場合、工程上、マグネシウム含有量の調節に限界があって、一定含有量以上のマグネシウム(約15%以上)を有するAl−Mg−Siメッキ鋼板の製作が難しい。このため、メッキ層の構造がアルミニウムメッキ層の内部にMg−Si合金相が粒形態で存在する。よって、粒形態のMg−Si合金相は、アルミニウムメッキ層の内部に均一に分散分布しにくいため、メッキ層の耐食性の向上に限界がある。また、溶融メッキ工程はMg含有量が制限的であるため、Al−Mg合金相の生成が十分に発生せず、Mg−Si合金相の生成位置を制御しにくい問題がある。

0069

これに対し、前記本発明の第1実施形態による合金コーティング鋼板は、溶融メッキ方法で製作されたメッキ層とは異なってAl−Mg合金相で形成されたコーティング層内にMg−Si合金粒が存在するAl−Mg−Siコーティング層の製作が可能で、後述する実施例に裏付けられるように犠牲防食性および高耐食特性が実現できる。

0070

より具体的には、前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2を含むものであり、前記Mg−Si合金粒は、Mg2Siを含むものであってもよい。前記Al−Mg合金相は、Al12Mg17相をさらに含むことができる。

0071

前記のようにAl3Mg2相を含む合金層内にMg2Si相の合金粒を含むAl−Mg−Si合金層が形成されることによって、後述する実施例から裏付けられるように犠牲防食性が増加して、メッキ鋼板の耐食性が向上できる。よって、薄い厚さ範囲でも、高い耐食性を示すことができる。

0072

前記Al−Mg合金相は、Al3Mg2、Al12Mg17以外のAlおよび前記Alに固溶したMgを含むことができる。これにより、Al−MgおよびMg−Si合金相と共に純粋な金属も耐食性の向上に寄与して、溶融アルミニウムメッキ鋼板の不足する耐食性と犠牲防食性を向上させる効果を期待することができる。

0073

前記Mg−Si合金粒は、不定形であってもよい。不定形のMg−Si合金粒は、表面積が広いため、コーティング層内部の密着力向上効果がある。

0074

また、前記Al−Mg−Si合金層内のMg−Si合金粒の含有量は、前記Al−Mg−Si合金層の総量100重量%に対して、1重量%以上、および70重量%以下であってもよい。Al−Mg−Si単一層が形成される場合、Mgの十分な拡散によって合金層内のMg−Si合金粒の含有量が高くなる。Mg−Si合金粒の含有量が少なすぎる場合、耐食性の向上がわずかでありうる。Mg−Si合金粒の含有量が多すぎる場合、犠牲防食性が増加して、早い時間にコーティング層が消耗して耐食性が減少する問題が発生することがある。

0075

前記合金コーティング鋼板は、前記鋼板21、および前記Al−Mg−Si合金層23の間に位置するAl−Fe−Si合金層22をさらに含むものであってもよいし、これは、前述のように、Alメッキ鋼板の製造時、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。あるいは、Mgコーティング後の熱処理時に、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。

0076

Al−Fe−Si合金層、およびAl−Mg−Si合金層が順次方式で腐食を防ぐことができる。その結果、物理的な遮断防食、または犠牲防食性などの単一の方式で腐食を防止する一般的なアルミニウムまたは亜鉛メッキ層より優れた耐腐食特性を示す。

0077

また、前記合金コーティング鋼板は、前記Al−Mg−Si合金層上に位置するMg層またはMgの拡散により形成されたAl−Mg合金層をさらに含むものであってもよい。よって、順次方式の腐食が強化されて、優れた耐腐食特性を示すことができる。

0078

第2実施形態
図3は、本発明の第2実施形態による合金コーティング鋼板の模式図である。これを参照して説明すれば、前記製造方法により製造された本発明の第2実施形態による合金コーティング鋼板は、鋼板21;前記鋼板上に位置するAl−Si合金層26;および前記Al−Si合金層26上に位置するAl−Mg−Si合金層23;を含み、前記Al−Mg−Si合金層23は、Al−Mg合金相24からなる合金層内に、Mg−Si合金粒25が含まれている形態であってもよい。

0079

前記Al−Mg−Si合金層23は、前記Mg−Si合金粒25が前記Al−Mg合金相24で囲まれた混合組織が含まれている形態であってもよい。

0080

前記Al−Mg−Si合金層に関する説明は、前記第1実施形態で説明した通りであるので、省略する。

0081

前記Al−Si合金層は、前記鋼板と前記Al−Mg−Si合金層との間に位置し得る。前記Al−Si合金層は、Al溶融メッキ鋼板に存在していたものでもよく、または前記製造方法における熱処理時にAlおよびSiが鋼板の表面方向に拡散して新たに形成されたものでもよい。

0082

よって、Al−Si合金層、およびAl−Mg−Si合金層が順次方式で腐食を防ぐことができる。

0083

さらに、前記合金コーティング鋼板は、前記鋼板21、および前記Al−Mg−Si合金層23の間に位置するAl−Fe−Si合金層22をさらに含むものであってもよいし、これは、前述のように、Alメッキ鋼板の製造時、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。あるいは、Mgコーティング後の熱処理時、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。

0084

よって、Al−Fe−Si合金層、Al−Si合金層、およびAl−Mg−Si合金層が順次方式で腐食を防ぐことができる。その結果、物理的な遮断防食、または犠牲防食性などの単一の方式で腐食を防止する一般的なアルミニウムまたは亜鉛メッキ層より優れた耐腐食特性を示す。

0085

また、前記合金コーティング鋼板は、前記Al−Mg−Si合金層上に位置するMg層またはMgの拡散により形成されたAl−Mg合金層をさらに含むものであってもよい。よって、順次方式で耐食性が強化されて、優れた耐腐食特性を示すことができる。

0086

さらに、前記Al−Mg−Si合金層内のMg−Si合金粒の含有量は、前記Al−Mg−Si合金層の総量100重量%に対して、1重量%以上、および50重量%以下であってもよい。Mg−Si合金粒の含有量が少なすぎる場合、耐食性の向上がわずかでありうる。Mg−Si合金粒の含有量が多すぎる場合、犠牲防食性が増加して、早い時間にコーティング層が消耗して耐食性が減少する問題が発生することがある。

0087

第3実施形態
図2を参照して第3実施形態を説明すれば、前記製造方法により製造された本発明の第3実施形態による合金コーティング鋼板は、鋼板21;および前記鋼板上に位置するAl−Mg−Si合金層23;を含み、前記Al−Mg−Si合金層23は、合金層内のMg含有量の勾配(gradient)が存在するものであってもよい。

0088

前記合金コーティング鋼板は、溶融アルミニウムメッキ鋼板上に物理気相蒸着方法でマグネシウムをコーティングして製造されるため、従来の技術とは異なってAl−Mg−Si合金層のマグネシウム含有量の制御に限界がなく、マグネシウム分布を拡散熱処理などで制御できるため、多様なAl−Mg−Si合金層の構造を製作することが可能である。

0089

Al−Mg−Si層内のMg含有量の勾配が存在することによって、Mgの濃度に応じた多様な合金相が存在して耐食性向上効果を期待することができる。多様な合金相の例としてAl12Mg17、Al3Mg2、Mg2Siなどであってもよい。このような合金相がMgの濃度勾配に応じて存在すれば、各合金相層状構造を形成するため、コーティング鋼板の腐食が遅くなる効果があり得る。

0090

具体的には、前記Al−Mg−Si合金層内のMg含有量の勾配(gradient)は、前記Al−Mg−Si合金層の表面から内部方向に減少する形態であってもよい。あるいは、前記Al−Mg−Si合金層内のMg含有量の勾配(gradient)は、前記Al−Mg−Si合金層の表面から内部方向に増加する形態であってもよい。

0091

あるいは、前記Al−Mg−Si合金層内のMg含有量が最大になる地点を含み、前記Al−Mg−Si合金層内のMg含有量の勾配(gradient)は、前記Al−Mg−Si合金層の表面から内部方向に増加し、前記Mg含有量が最大になる地点から減少する形態であってもよい。

0092

あるいは、前記Al−Mg−Si合金層内の合金層の表面から内部方向にMg含有量が一定含有量の一定部を含み、前記Mg含有量は、含有量の一定部が終わる地点から増加する形態であってもよい。

0093

あるいは、前記Al−Mg−Si合金層内の合金層の表面から内部方向にMg含有量が一定含有量の一定部を含み、前記Mg含有量は、含有量の一定部が終わる地点から減少する形態であってもよい。

0094

前述のように、本発明の合金コーティング鋼板の製造方法によりAl−Mg−Si合金層のマグネシウム含有量の制御に限界がなく、マグネシウム分布を拡散熱処理などで制御できるため、多様なAl−Mg−Si合金層の構造を製作することが可能であり、これにより、Mgの濃度が均一な溶融メッキ鋼板とは異なって層状構造の合金層の製造が可能で、犠牲防食性と遮断防食性を適切に組み合わせて耐食性を最大化する効果を期待することができる。

0095

また、後述する実施例から裏付けられるように、高耐食性特性を示す。

0096

前記合金コーティング鋼板は、前記鋼板、および前記Al−Mg−Si合金層の間に位置するAl−Si合金層をさらに含むことができる。

0097

前記Al−Si合金層は、Al溶融メッキ鋼板に存在していたものでもよく、または前記製造方法における熱処理時にAlおよびSiが鋼板の表面方向に拡散して新たに形成されたものでもよい。

0098

よって、Al−Si合金層、およびAl−Mg−Si合金層が順次方式で腐食を防ぐことができる。

0099

さらに、前記合金コーティング鋼板は、前記鋼板21、および前記Al−Mg−Si合金層23の間に位置するAl−Fe−Si合金層22をさらに含むものであってもよいし、これは、前述のように、Alメッキ鋼板の製造時、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。あるいは、Mgコーティング後の熱処理時、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。

0100

よって、Al−Fe−Si合金層、Al−Si合金層、およびAl−Mg−Si合金層が順次方式で腐食を防ぐことができる。その結果、物理的な遮断防食、または犠牲防食性などの単一の方式で腐食を防止する一般的なアルミニウムまたは亜鉛メッキ層より優れた耐腐食特性を示す。

0101

また、前記合金コーティング鋼板は、前記Al−Mg−Si合金層上に位置するMg層またはMgの拡散により形成されたAl−Mg合金層をさらに含むものであってもよい。よって、順次方式で耐食性が強化されて、優れた耐腐食特性を示すことができる。

0102

さらに、前記合金コーティング鋼板のAl−Mg−Si合金層は、Al−Mg合金相からなる合金層内に、Mg−Si合金粒が含まれている形態であってもよい。

0103

このような形態も耐腐食性の向上に寄与し、具体的な内容は前述した通りである。

0104

第4実施形態
図2を参照して第4実施形態を説明すれば、前記製造方法により製造された本発明の第4実施形態による合金コーティング鋼板は、鋼板21;および前記鋼板上に位置するAl−Mg−Si合金層23;を含み、前記Al−Mg−Si合金層23内のMg含有量は、前記Al−Mg−Si合金層の総量100重量%に対して、15重量%以上であってもよい。より具体的には、15重量%以上、および90重量%以下であってもよい。

0105

前記合金コーティング鋼板は、溶融アルミニウムメッキ鋼板上に物理気相蒸着方法でマグネシウムをコーティングして製造されるため、既存の溶融メッキ方法より高いマグネシウム含有量のAl−Mg−Siコーティング層の製作が可能である。溶融メッキ方法でAl−Mg−Siメッキ鋼板を製造する場合、工程上、マグネシウム含有量の調節に限界があって、一定含有量以上のマグネシウム(約15%以上)を有するAl−Mg−Siメッキ鋼板の製造が難しい。

0106

これに対し、前記本発明の第4実施形態による合金コーティング鋼板は、溶融メッキ方法で製作されたメッキ層とは異なってMg含有量の制御に限界がなく、高含有量のMgを有するAl−Mg−Siメッキ鋼板の製造が可能である。よって、後述する実施例に裏付けられるように犠牲防食性および高耐食特性が実現できる。

0107

前記合金コーティング鋼板は、前記鋼板、および前記Al−Mg−Si合金層の間に位置するAl−Si合金層をさらに含むことができる。

0108

前記Al−Si合金層は、Al溶融メッキ鋼板に存在していたものでもよく、または前記製造方法における熱処理時にAlおよびSiが鋼板の表面方向に拡散して新たに形成されたものでもよい。

0109

よって、Al−Si合金層、およびAl−Mg−Si合金層が順次方式で腐食を防ぐことができる。

0110

さらに、前記合金コーティング鋼板は、前記鋼板21、および前記Al−Mg−Si合金層23の間に位置するAl−Si−Fe合金層22をさらに含むものであってもよいし、これは、前述のように、Alメッキ鋼板の製造時、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。あるいは、Mgコーティング後の熱処理時、鋼板内のFeがAl−Siメッキ層内に拡散して形成されたものであってもよい。

0111

よって、Al−Fe−Si合金層、Al−Si合金層、およびAl−Mg−Si合金層が順次方式で腐食を防ぐことができる。その結果、物理的な遮断防食、または犠牲防食性などの単一の方式で腐食を防止する一般的なアルミニウムまたは亜鉛メッキ層より優れた耐腐食特性を示す。

0112

また、前記合金コーティング鋼板は、前記Al−Mg−Si合金層上に位置するMg層またはMgの拡散により形成されたAl−Mg合金層をさらに含むものであってもよい。よって、順次方式で耐食性が強化されて、優れた耐腐食特性を示すことができる。

0113

さらに、前記合金コーティング鋼板のAl−Mg−Si合金層は、Al−Mg合金相からなる合金層内に、Mg−Si合金粒が含まれている形態であってもよい。

0114

このような形態も耐腐食性の向上に寄与し、具体的な内容は前述した通りである。

0115

以下、本発明の望ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は、本発明の望ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。

0116

実施例:合金コーティング鋼板の製造
実施例1
冷延鋼板上にSi9重量%、Al88重量%、および残部としてFeを含むAlメッキ層が片面メッキ量15g/m2形成された溶融アルミニウムメッキ鋼板を準備した。Alメッキ層の厚さは約5μmであった。

0117

前記鋼板の表面上に付いている防錆油のような残留オイルを除去するためにアルカリ脱脂を実施した。

0118

この後、前記鋼板を鋼板供給装置を介して真空容器に供給しながら、真空容器内に設けられた逆マグネトロンスパッタリングソースで鋼板表面の清浄を実施した。

0119

清浄を完了した後、続いて鋼板を移動させながら、真空容器内に設けられた電磁気浮上ソースを通してAlメッキ層上にMgを0.5μmの厚さに真空コーティングした。

0120

コーティングが完了した後、続いて鋼板を移動させて大気中に排出した後、大気中で誘導加熱装置を用いて熱処理した。熱処理温度は400℃、時間は120秒であり、熱処理が完了した後、続いて鋼板を移送させて製造された合金コーティング鋼板を得た。

0121

実施例2
前記実施例1と同様の方法で製造するが、300秒間熱処理された合金コーティング鋼板を製造した。

0122

実施例3
前記実施例1と同様の方法で製造するが、600秒間熱処理された合金コーティング鋼板を製造した。

0123

実施例4
前記実施例1と同様の方法で製造するが、Mgコーティング層の厚さを1.5μmにコーティングし、120秒間熱処理された合金コーティング鋼板を製造した。

0124

実施例5
前記実施例1と同様の方法で製造するが、Mgコーティング層の厚さを1.5μmにコーティングし、300秒間熱処理された合金コーティング鋼板を製造した。

0125

実施例6
前記実施例1と同様の方法で製造するが、Mgコーティング層の厚さを1.5μmにコーティングし、600秒間熱処理された合金コーティング鋼板を製造した。

0126

比較例1
鋼板上にSi9重量%、Al88重量%、および残部としてFeを含むAlメッキ層が片面メッキ量15g/m2形成された溶融アルミニウムメッキ鋼板を準備した。

0127

比較例2
片面メッキ量40g/m2の電気亜鉛メッキ鋼板を準備した。

0128

比較例3
片面メッキ量137.5g/m2の溶融亜鉛メッキ鋼板を準備した。

0129

実験

0130

実験例1:走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真の観察
図4は、実施例2のMgをコーティングした溶融アルミニウムメッキ鋼板の熱処理前と熱処理後の走査電子顕微鏡写真である。

0131

図4(a)は、溶融アルミニウムメッキ鋼板上にMgをコーティングし、熱処理を実施しなかった鋼板の走査電子顕微鏡写真であり、冷延鋼板51、Al−Fe−Si合金層52、Al−Si合金層53、そしてMgコーティング層54を区分することができる。

0132

図4(b)は、熱処理を実施した実施例2の走査電子顕微鏡写真であり、MgがAl−Si合金層に拡散してAl−Mg−Si合金層55を形成したことを確認できる。

0133

図5は、前記実施例4で製造された合金コーティング鋼板の走査電子顕微鏡写真である。コーティング層内の各成分の含有量をそれぞれ異なる線(line)で表した。図5から分かるように、Al−Mg−Si合金層の表面から一定深さまでMgの含有量が高く維持し、以降、鋼板との界面方向に減少することを確認できる。また、Al−Siメッキ層が存在することも確認できる。

0134

実験例2:グロー放電分光器(Glow Discharge Spectrometer)分析
前記実施例5で製造された合金コーティング鋼板に対して、グロー放電分光器(装置名:GDS 850A、製造会社:LECO)を用いて鋼板上に形成されたコーティング層の成分を分析した。

0135

その結果を図6に示した。図6に示されるように、熱処理によりMgが溶融アルミニウムメッキ層に拡散したことを確認できる。また、Al−Mg−Si合金層の表面ではMgの含有量が高く、鋼板との界面方向に線形的に減少することを確認できる。さらに、Al−Mg−Si合金層内のMgの含有量が15重量%以上であることを確認できる。

0136

図7は、前記実施例6で製造された合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器分析結果である。図7に示されるように、熱処理によりMgが溶融アルミニウムメッキ層に拡散したことを確認できる。また、Al−Mg−Si合金層の表面から一定深さまでMgの含有量が増加し、以降、鋼板との界面方向に減少することを確認できる。さらに、Al−Mg−Si合金層内のMgの含有量が15重量%以上であることを確認できる。

0137

実験例3:耐食性評価
前記実施例1〜6、および比較例1〜3の鋼板試験片に対して、塩水噴霧試験(ASTMB−117)方法を利用して初期赤錆発生時間を基準として表面耐食性を評価した。その結果を下記表1に示した。

0138

0139

前記表1から分かるように、比較例1〜3は、300時間足らずで赤錆が発生した。これに対し、実施例1〜6は、比較例に比べて最小3倍以上から、最大約8倍以上の耐食性を有することを確認できた。

0140

よって、本発明のAl−Mg−Si合金層を有する合金コーティング鋼板は、従来の合金コーティング鋼板に比べて非常に向上した耐食性を有し、高耐食性が要求される製品表面処理に有用に適用できると期待される。

0141

実施例:熱処理条件による変化の比較

0142

実施例7
前記実施例1と同様の方法で製造するが、Mgコーティング層の厚さを1.0μmにコーティングし、120秒間熱処理された合金コーティング鋼板を製造した。

0143

実施例8
前記実施例1と同様の方法で製造するが、Mgコーティング層の厚さを1.0μmにコーティングし、300秒間熱処理された合金コーティング鋼板を製造した。

0144

実施例9
前記実施例1と同様の方法で製造するが、Mgコーティング層の厚さを1.0μmにコーティングし、600秒間熱処理された合金コーティング鋼板を製造した。

0145

比較例4
前記実施例1と同様の方法で合金コーティング鋼板を製造するが、Mgコーティング層の厚さを1.0μmにコーティングし、熱処理を別途に実施しなかった。

0146

実験例

0147

実験例4:走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真の観察
図8は、熱処理前のコーティング層、400℃で120、300、600秒間熱処理したコーティング層の断面に対する走査電子顕微鏡写真である。

0148

図8に示されるように、熱処理前には、Mgコーティング層と溶融アルミニウムメッキ層とが鮮明に区分される。熱処理を開始すると、Mgが溶融アルミニウムメッキ層に拡散することを確認できるが、時間が増加すると、Mgの拡散深さも増加することを確認できる。

0149

熱処理時間約120秒まではMgの拡散深さが低くてAl−Mg合金相のみを形成し、Mg−Si合金相は形成されていないと見なされる。約300秒間熱処理を実施すれば、Al−Mg合金相とMg−Si合金相がすべて形成されることを確認でき、Mgの拡散が溶融アルミニウムメッキ層全体に拡散しないことが確認される。約600秒間熱処理を実施すれば、メッキ層全体にMgが拡散して合金化が起こることを確認できる。

0150

前述した熱処理時間の変化による合金相の生成は、コーティング層の表面からも確認できるが、図9は、走査電子顕微鏡を用いてコーティング層の表面における熱処理時間によるAl、Mg、Siの3つの元素の拡散を観察した写真を示す。図9から明らかなように、熱処理を実施しなかったコーティング層の表面はAlとSiとが分離されており、Mgがコーティングされて表面に均等に分布していることを確認できる。

0151

約120秒間熱処理を実施すれば、Mgが拡散し始めてAl分布と類似していることを観察できるが、これは、Al−Mg合金相を形成することによって現れた現象である。約300秒間熱処理を実施すれば、MgがSiと結合してMgとSiの分布が類似していることを確認できる。

0152

実験例5:透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)写真の観察
図10は、実施例7で製造された合金コーティング鋼板に対するTEM写真である。約120秒間の熱処理によってMgの拡散があった。これにより、Al−Mg合金層が形成された。Mg−Si合金相は形成されていない。

0153

図11は、実施例8で製造された合金コーティング鋼板に対するTEM写真である。約300秒間の熱処理によってMgがAl−Siメッキ層の上部まで拡散した。Al−Mg−Si合金層とAl−Siメッキ層との区分が可能である。Al−Mg−Si合金層においてAl−Mg合金相とMg−Si合金相との混合組織を観察できる。

0154

具体的には、Mg2Siを含むMg−Si合金粒がAl−Mg−Si合金層でAl3Mg2を含むAl−Mg合金相に囲まれた形態で存在することを確認できる。また、Mg2Siを含むMg−Si合金粒がAl−Siメッキ層まで浸透した形態を観察できる。

0155

図12は、実施例9で製造された合金コーティング鋼板に対するTEM写真である。約600秒間の熱処理によってMgがAl−Siメッキ層の下部まで拡散した。これにより、Al−Mg−Si合金層とAl−Siメッキ層とは区分がつかない。Al−Mg−Si合金層の全領域においてAl−Mg合金相とMg−Si合金相との混合組織を観察できる。

0156

図13は、比較例4で製造された合金コーティング鋼板に対するTEM写真である。別途の熱処理をせず、Mgの拡散が起こらなかった。これにより、Al−Mg−Si合金層も形成されておらず、Al−Mg合金相とMg−Si合金相との混合組織を観察できなかった。

0157

実験例6:XRD分析
前記実施例7、実施例8、実施例9、および比較例4で製造された合金コーティング鋼板に対して、X−Ray回折装置(装置名:D/MAX−2500V−PC、製造会社:Rigaku)を用いてXRD分析を行った。

0158

図14は、熱処理時間を60〜480秒まで20秒単位で変化させ、600、900、3,600秒で熱処理した試験片X線回折結果から、コーティング層内に存在する金属と合金相の含有量を百分率で表したグラフである。

0159

図14から確認できるように、約400℃の温度で熱処理を行う場合、熱処理時間が60秒を超えてから180秒までAl−Mg合金相が生成され、熱処理時間の増加に伴ってAl−Mg合金相の分率が増加する。

0160

熱処理時間200秒を超えてから540秒までMg−Si合金相が生成され、熱処理時間の増加に伴ってMg−Si合金相の分率が増加する。熱処理時間が増加すれば、相対的に純金属の分率が減少することを確認できる。600秒以上で熱処理されたコーティング層は、純金属が反応して大部分合金相に変化することを確認でき、Al−Mg合金相とMg−Si合金相の比率の変化が起こらないことを確認できる。

0161

図15は、実施例7、実施例8、実施例9、および比較例4の合金コーティング鋼板のAl−Mg−Si合金層に対するX−Ray回折分析結果である。

0162

約120秒程度熱処理が行われた実施例7は、Al−Mg合金相(Al3Mg2)が観察されるが、Mg−Si合金相(Mg2Si)は観察されなかった。約300秒程度熱処理が行われた実施例8と約600秒程度熱処理が行われた実施例9の場合、Al−Mg合金相(Al3Mg2)とMg−Si合金相(Mg2Si)が現れる。

0163

熱処理が行われていない比較例4は、Al、Mg、Si単一相は存在するが、Al−Mg合金相とMg−Si合金相は現れなかった。

0164

実験例7:グロー放電分光器(Glow Discharge Spectrometer)分析
前記実施例7、実施例8、実施例9、および比較例4で製造された合金コーティング鋼板に対して、グロー放電分光器(装置名:GDS 850A、製造会社:LECO)を用いて鋼板上に形成されたコーティング層の成分を分析した。

0165

図16は、実施例7で製造された合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器分析結果である。約120秒間の熱処理によってMgが合金コーティング鋼板の表面から約2.5μm程度拡散したことを確認できる。

0166

図17は、実施例8で製造された合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器分析結果である。約300秒間の熱処理によってMgが合金コーティング鋼板の表面から約6μm以上拡散したことを確認できる。

0167

図18は、実施例9で製造された合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器分析結果である。約600秒間の熱処理によってMgが合金コーティング鋼板の表面から約7μm以上拡散したことを確認できる。

0168

これに対し、図19は、比較例4で製造された合金コーティング鋼板に対するグロー放電分光器分析結果である。熱処理を行わなかったため、Mgの拡散が行われず、合金コーティング鋼板の表面に存在するだけである。

0169

実験例8:耐食性評価
前記実施例7、実施例8、実施例9、および比較例4で製造された合金コーティング鋼板に対して、塩水噴霧試験(ASTMB−117)方法を利用して初期赤錆発生時間を基準として表面耐食性を評価した。その結果を図20から確認できる。NHTの場合、別途の熱処理を実施しなかった合金コーティング鋼板であって比較例4に相当し、Type−1、Type−2およびType−3はそれぞれ実施例7、実施例8および実施例9に相当する。

0170

実施例7は、約1440時間経過後に赤錆が発生した。実施例6は、約2064時間経過後にようやく赤錆が発生した。実施例7は、約1920時間経過後に赤錆が発生した。

0171

これに対し、比較例4は、約936時間経過後に赤錆が発生した。

実施例

0172

本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。そのため、以上に述べた実施例はあらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。

0173

11:鋼板供給装置
12:逆マグネトロンスパッタリングソース
13:物理気相蒸着装置
14:誘導加熱装置
15:鋼板排出装置
16:真空容器
17:溶融アルミニウムメッキ鋼板
21:鋼板
22:Al−Si−Fe合金層
23:Al−Mg−Si合金層
24:Al−Mg合金相
25:Mg−Si合金相
26:Al−Si合金層
41:アルミニウム(Al)
42:マグネシウム(Mg)
43:シリコン(Si)
44:鉄(Fe)
51:冷延鋼板
52:Al−Fe−Si合金層
53:Al−Si合金層
54:Mg層
55:Al−Mg−Si合金層

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