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課題・解決手段

本発明は、古典的Wntシグナル伝達阻害され、非古典的Wnt/PCPシグナル伝達が増強される培養条件を使用する胆管細胞オルガノイド(CO)の形での初代胆管細胞の増殖に関する。初代胆管細胞を増殖させる方法、増殖された胆管細胞の集団及び増殖された胆管細胞の医療用途が提供される。

概要

背景

肝外胆管障害は、かなりの罹患率及び死亡率をもたらす。実際、小児移植の70%は胆管閉鎖症を治療するために行われる(非特許文献1)。原発性硬化性胆管炎(PSC)単独で米国の肝移植の5%を占め(非特許文献2)、そして胆管合併症は死肝移植後移植不全の主な原因である(非特許文献3、非特許文献4)。しかしながら、肝外胆管上皮の研究は、長期培養と初代胆管細胞の大規模な増殖とにおける技術的課題より限定される。これらの課題により、これまでPSC及びその他の胆管症を標的とする薬物スクリーニング及び細胞療法のための大規模な実験は不可能となっていた。さらに、罹患した胆管及び/又は胆嚢再建及び置換するために使用され得る健康なドナー組織不足しているため、治療の選択肢は限られたままである(非特許文献5、非特許文献6)。

天然の胆管細胞のin vitroでの増殖は、この課題に対処することができ、胆管再建等の組織エンジニアリング用途に適した細胞を提供することができる。しかしながら、初代胆管上皮の培養には、問題が残されたままである(非特許文献7)。オルガノイド培養システムを使用する初代肝幹細胞の取得は以前に報告されている(非特許文献8)。しかしながら、得られた細胞が機能的胆管細胞へと分化し、in vivoで胆管系定着する能力は、まだ実証されていない。さらに、そのようなプラットフォームのin vivoでの適用は、移植後に不適切に増殖する能力及び/又は非胆管の細胞型へと分化する能力を有する幹細胞コンタミネーションにより限定される。ヒト組織入手の制限は、初代細胞に基づくシステムにとって大きな障害となる。

概要

本発明は、古典的Wntシグナル伝達阻害され、非古典的Wnt/PCPシグナル伝達が増強される培養条件を使用する胆管細胞オルガノイド(CO)の形での初代胆管細胞の増殖に関する。初代胆管細胞を増殖させる方法、増殖された胆管細胞の集団及び増殖された胆管細胞の医療用途が提供される。なし

目的

天然の胆管細胞のin vitroでの増殖は、この課題に対処することができ、胆管再建等の組織エンジニアリング用途に適した細胞を提供する

効果

実績

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請求項1

初代胆管細胞をinvitroで増殖させる方法であって、(i)分離された初代胆管細胞の集団を準備することと、(ii)前記集団を、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wntシグナル伝達増強剤とを含む増殖培地中で培養することで、増殖された胆管細胞の集団を生成することと、を含む、方法。

請求項2

前記胆管細胞は、増殖培地中でオルガノイドを形成する、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記初代胆管細胞は、肝外胆管細胞である、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

前記初代胆管細胞は、肝内胆管細胞である、請求項1又は2に記載の方法。

請求項5

前記増殖培地は、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wntシグナル伝達増強剤とを含む栄養培地である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

前記非古典的Wntシグナル伝達増強剤は、Wntアゴニストである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

前記Wntアゴニストは、R−スポンジンである、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記古典的Wntシグナル伝達阻害剤は、Dickkopf関連タンパク質1(DKK−1)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

前記初代胆管細胞は、ドナー個体由来の初代胆組織から取得又は分離することができる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

集団は、前記増殖培地中で3D培養において培養される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

前記増殖培地は、足場マトリックスを更に含む、請求項10に記載の方法。

請求項12

増殖培地は、足場マトリックスと、(i)EGF、(ii)前記古典的Wnt阻害剤及び(iii)前記非古典的Wnt増強剤が補充された栄養培地とを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

増殖培地は、足場マトリックスと、(i)EGF、(ii)前記古典的Wnt阻害剤及び(iii)前記非古典的Wnt増強剤が補充された栄養培地とからなる、請求項12に記載の方法。

請求項14

前記栄養培地は、化学的に定義されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

前記化学的に定義された栄養培地は、任意にニコチンアミド重炭酸ナトリウム、2−ホスホL−アスコルビン酸三ナトリウム塩ピルビン酸ナトリウムグルコースHEES、ITS+プレミックスデキサメタゾングルタマクスペニシリン及びストレプトマイシンのうちの1つ以上が補充されたウィリアム培地である、請求項14に記載の方法。

請求項16

初代胆管細胞はヒトである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。

請求項17

前記初代胆管細胞の集団には、幹細胞は含まれない、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。

請求項18

前記増殖された集団における前記胆管細胞は、CK7、CK18、CK19、HNF1B、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、Jagged1(JAG1)、NOTCH2、CFTR、SCRSSTR2、頂端側胆汁輸送体(ASBT)、アクアポリン1及び陰イオン交換体2型発現する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。

請求項19

前記増殖された集団における前記胆管細胞は、ALP活性GGT活性、MDR1媒介性分泌セクレチン及びソマトスタチンへの生理学的応答胆汁酸移出、CFTR媒介性塩化物輸送ATP及びアセチルコリンへの生理学的応答並びにVEGFに応答する増殖の増加を示す、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。

請求項20

前記増殖された集団における前記胆管細胞は、MHC抗原を発現しない、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。

請求項21

前記胆管細胞は、前記増殖培地中で20代以上の継代にわたり培養される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。

請求項22

前記増殖された集団が個別の細胞を含むように胆管細胞オルガノイドを破壊することを含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。

請求項23

前記増殖された胆管細胞の集団を生体適合性の足場中へと播種することを含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。

請求項24

前記生体適合性の足場を、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wntシグナル伝達増強剤とを含む増殖培地中で、前記胆管細胞が前記足場に定着するように培養することを含む、請求項23に記載の方法。

請求項25

前記胆管細胞は、前記足場中で胆管上皮を形成する、請求項24に記載の方法。

請求項26

前記増殖された胆管細胞の集団又は足場を貯蔵することを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。

請求項27

前記増殖された集団又は足場を治療的に許容可能な賦形剤と混合することを含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。

請求項28

請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法により生成される分離された胆管細胞の集団。

請求項29

前記胆管細胞は、オルガノイド、オルガノイドに満たないクラスター又は個別の細胞の形である、請求項28に記載の集団。

請求項30

前記胆管細胞は、生体適合性の足場内にある、請求項28又は29に記載の集団。

請求項31

前記胆管細胞は、CK7、CK18、CK19、HNF1B、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、Jagged1(JAG1)、NOTCH2、CFTR、SCR、SSTR2、頂端側塩胆汁輸送体(ASBT)、アクアポリン1及び陰イオン交換体2型を発現する、請求項28〜30のいずれか一項に記載の集団。

請求項32

前記増殖された集団における前記胆管細胞は、MHC抗原を発現しない、請求項28〜331のいずれか一項に記載の集団。

請求項33

前記胆管細胞は、ALP活性、GGT活性、MDR1媒介性分泌、セクレチン及びソマトスタチンへの生理学的応答、胆汁酸の移出、CFTR媒介性塩化物輸送、ATP及びアセチルコリンへの生理学的応答並びにVEGFに応答する増殖の増加を示す、請求項28〜32のいずれか一項に記載の集団。

請求項34

請求項28〜33のいずれか一項に記載の分離された集団を含む、生体適合性の足場。

請求項35

胆管障害の治療において使用するための、請求項28〜33のいずれか一項に記載の分離された胆管細胞の集団又は請求項34に記載の足場。

請求項36

胆管障害を伴う患者を治療する方法であって、請求項28〜33のいずれか一項に記載の分離された胆管細胞の集団又は請求項34に記載の足場を、それを必要とする個体に投与することを含む、方法。

請求項37

化合物スクリーニングする方法であって、請求項28〜33のいずれか一項に記載の分離された胆管細胞の集団又は請求項34に記載の足場を試験化合物と接触させることと、前記胆管細胞若しくは前記足場に対する前記試験化合物の効果及び/又は前記試験化合物に対する前記胆管細胞若しくは足場の効果を測定することと、を含む、方法。

請求項38

増殖、ALP活性、GGT活性、MDR1媒介性分泌、セクレチン及び/又はソマトスタチン応答性、胆汁酸移出、CFTR媒介性塩化物輸送、並びにATP応答性、アセチルコリン応答性及びVEGF応答性のうちの1つ以上に対する前記試験化合物の効果を測定する、請求項37に記載の方法。

請求項39

治療化合物への患者の感受性を決定する方法であって、(i)疾患状態を伴う個体由来の疾患表現型を有する分離された初代胆管細胞の集団を準備することと、(ii)前記集団を、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wntシグナル伝達増強剤とを含む増殖培地中で培養することで、疾患表現型を示す増殖された胆管細胞の集団を生成することと、(iii)特許請求の範囲に記載される方法により生成される増殖された胆管細胞の集団を治療化合物と接触させることと、(iv)前記胆管細胞に対する前記治療化合物の効果を測定することと、を含み、前記胆管細胞の疾患表現型の改善は、前記個体が前記治療化合物による治療に感受性があることの指標である、方法。

請求項40

上皮成長因子(EGF)と、非古典的Wnt/PCPシグナル伝達増強剤と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤とを含む増殖培地を含む、胆管細胞オルガノイドの生成のためのキット

請求項41

胆管細胞オルガノイドのinvitroでの生成のための培養培地の使用であって、前記培養培地は、上皮成長因子(EGF)と、非古典的Wnt/PCPシグナル伝達増強剤と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤とを含む、使用。

技術分野

0001

資金提供
本発明につながる研究は、欧州連合の第7フレームワークプログラム(European Union's Seventh Framework Programme)(FP7/2007−2013)のER助成契約番号281335に基づく欧州研究評議会と、MRC−Sparks臨床研究トレーニングフェローシップ(MRC-Sparks Clinical Research Training Fellowship)(MR/L016761/1)とから資金提供を受けた。

0002

本発明は、例えば疾患モデリング、薬物スクリーニング及び再生医療において使用するための成人又は小児のヒト初代胆管細胞の分離及び成長に関する。

背景技術

0003

肝外胆管の障害は、かなりの罹患率及び死亡率をもたらす。実際、小児肝移植の70%は胆管閉鎖症を治療するために行われる(非特許文献1)。原発性硬化性胆管炎(PSC)単独で米国の肝移植の5%を占め(非特許文献2)、そして胆管合併症は死肝移植後移植不全の主な原因である(非特許文献3、非特許文献4)。しかしながら、肝外胆管上皮の研究は、長期培養と初代胆管細胞の大規模な増殖とにおける技術的課題より限定される。これらの課題により、これまでPSC及びその他の胆管症を標的とする薬物スクリーニング及び細胞療法のための大規模な実験は不可能となっていた。さらに、罹患した胆管及び/又は胆嚢再建及び置換するために使用され得る健康なドナー組織不足しているため、治療の選択肢は限られたままである(非特許文献5、非特許文献6)。

0004

天然の胆管細胞のin vitroでの増殖は、この課題に対処することができ、胆管再建等の組織エンジニアリング用途に適した細胞を提供することができる。しかしながら、初代胆管上皮の培養には、問題が残されたままである(非特許文献7)。オルガノイド培養システムを使用する初代肝幹細胞の取得は以前に報告されている(非特許文献8)。しかしながら、得られた細胞が機能的胆管細胞へと分化し、in vivoで胆管系定着する能力は、まだ実証されていない。さらに、そのようなプラットフォームのin vivoでの適用は、移植後に不適切に増殖する能力及び/又は非胆管の細胞型へと分化する能力を有する幹細胞コンタミネーションにより限定される。ヒト組織入手の制限は、初代細胞に基づくシステムにとって大きな障害となる。

先行技術

0005

Murray K.F. & Carithers R.L., Hepatology 2005, 41:1407-1432
Perkins J.D., Liver Transplant 2007, 13, 465-466
Skaro A.I. et al., Surgery 2009, 146:543-553
Enestvedt C.K. et al., Liver Transpl. 2013, 19:965-72
Gallo A. & Esquivel C.O, Pediatr. Transplant. 2013, 17:95-98
Felder S.I. et al., JAMA Surg 2013, 148:253-7-8
Sampaziotis, F et al., Hepaology 2015, 62:303-311
Huch M et al.; Cell 2014 160:299-312

0006

本発明者らは、古典的Wntシグナル伝達阻害され、非古典的Wnt/PCPシグナル伝達が増強される培養条件により、予想外にも胆管細胞オルガノイド(CO)の形で初代胆管細胞の効率的な増殖が可能となることを認識した。本明細書に記載されるように増殖された初代胆管細胞の集団は、例えば再生医療において有用であり得る。

0007

本発明の態様は、初代胆管細胞をin vitroで増殖させる方法であって、
(i)分離された初代胆管細胞の集団を準備することと、
(ii)前記集団を、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wntシグナル伝達増強剤とを含む増殖培地中で培養することで、増殖された集団を生成することと、
を含む、方法を提供する。

0008

前記胆管細胞は、増殖培地中でオルガノイドを形成することができる。

0009

非古典的Wntシグナル伝達増強剤は、古典的及び非古典的Wntシグナル伝達の増強剤、好ましくはR−スポンジンであり得る。

0010

前記古典的Wntシグナル伝達阻害剤は、Dickkopf関連タンパク質1(DKK−1)であり得る。

0011

好ましくは、初代胆管細胞は、増殖培地中で3次元培養において培養される。

0012

幾つかの実施の形態では、上記方法は、オルガノイドを破壊して、分離された胆管細胞の集団を生成させることを更に含み得る。分離された胆管細胞を、増殖培地中で更に培養することで、上記集団を増殖又は成長させることができる。

0013

本発明の別の態様は、本明細書に記載される方法により生成された分離された胆管細胞の集団を提供する。胆管細胞は、オルガノイド、オルガノイドに満たない(sub-organoid)集成体又は個別の細胞の形であり得る。

0014

前記初代胆管細胞は、肝外胆管細胞であることが好ましい。

0015

本発明の別の態様は、本明細書に記載される方法により生成された胆管細胞を含む足場を提供する。

0016

本発明の別の態様は、本明細書に記載されるように生成された分離された胆管細胞の集団を胆管障害の治療を必要とする個体に投与することを含む、胆管障害の治療方法を提供する。

0017

本発明の別の態様は、化合物をスクリーニングする方法であって、
本明細書に記載されるように生成された胆管細胞の集団を試験化合物と接触させることと、
前記胆管細胞に対する前記試験化合物の効果及び/又は前記試験化合物に対する前記胆管細胞の効果を測定することと、
を含む、方法を提供する。

0018

好ましくは、胆管細胞は、オルガノイド(CO)の形で試験化合物と接触される。

0019

本発明の別の態様は、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wnt/PCPシグナル伝達増強剤とを含む増殖培地を含む、胆管細胞の生成のためのキットを提供する。

0020

本発明の別の態様は、胆管障害のin vitroモデリングをする方法であって、
(i)胆管障害を伴う個体由来の分離された初代胆管細胞の集団を準備することと、
(ii)上記集団を、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wntシグナル伝達増強剤とを含む増殖培地中で培養することで、胆管障害の遺伝子型又は表現型を示す増殖された胆管細胞の集団を生成することと、
を含む、方法を提供する。

0021

本発明の別の態様は、個体を胆管障害について試験する方法であって、
上記個体由来の分離された初代胆管細胞の集団を準備することと、
上記胆管細胞の集団を、上記の本発明の一態様の方法を使用して増殖させることと、
上記胆管細胞の表現型を決定することと、
を含む、方法を提供する。

0022

本発明の態様及び実施形態を、以下でより詳細に説明する。

図面の簡単な説明

0023

種々の方法による初代胆管細胞の分離後の平均生存率を示す図である。C+D:コラゲナーゼディスパーゼエラーバーは、標準偏差を示す;n=3。アスタリスクは、機械解離とその他の分離法との間の生存率における統計的有意差を表す;***P<0.001、****P<0.0001(多重比較のためのダネット補正を伴う一元配置分散分析)。
ECOの取得のための機械的「スクレイピング」法の概略図を示す。
様々な成長因子との7日間の培養後に得られる細胞の平均数を示す図である。EGF:上皮成長因子、R:R−スポンジン、D:DKK−1、IL6:インターロイキン−6、HGF肝細胞成長因子VEGF:血管内皮成長因子、FBSウシ胎児血清、F2:線維芽細胞成長因子(FGF)2、F7:FGF−7、F10:FGF−10、A:アクチビン−A、SB:アクチビン阻害剤SB−431542。エラーバーは、標準偏差を示す;n=3。アスタリスクは、E+R+Dとその他の培養条件との間での、得られる細胞の数における統計的有意差を表す(****P<0.0001;多重比較のためのダネットの補正を伴う一元配置分散分析)。
種々の培養条件下で7日間にわたり成長させた分離したての初代胆管細胞の代表的なライブイメージを示す図である。EGF:上皮成長因子。スケールバー:500μm。
ポジティブコントロールとして使用されるR−スポンジン単独又はRスポンジン及びGSK−3阻害剤CHIR 99021(CHIR)と比較した、R−スポンジン及びDKKで処理されたECOにおけるリン酸化β−カテニンのレベルの増加を示す定量的ウェスタンブロット分析を示す図である。
Rhoキナーゼ阻害剤Y−27632、R−スポンジン単独、R−スポンジン及びGSK−3阻害剤CHIR 99021、又はR−スポンジン及びDKKで処理されたECOにおけるRhoキナーゼ活性アッセイを示す図である。精製されたRhoKは、参照のために含まれる。これは、R−スポンジン及びDKKで処理されたECOが、非古典的Wntシグナル伝達/PCP経路の活性化と一致するRhoキナーゼ活性の増加を示すことを裏付けている。エラーバーは、標準偏差を示す;****P<0.0001;多重比較のためのダネットの補正を伴う一元配置分散分析;n=3。
胆嚢及び総胆管ブラッシングからのECOの取得方法の概略図を示す。
ネガティブコントロールとして使用される分離したての初代胆管細胞(PC)及び胚性ES)細胞と比較した、1代継代(P1)、10代継代(P10)及び20代継代(P20)のECOにおける胆管マーカーの定量的リアルタイムPCR(QPCR)の結果を示す図である(n=4つのECO系統)。中心線中央値ボックス、四分位範囲(IQR);ひげ、範囲(最小から最大まで)。値はハウスキーピング遺伝子ヒドロキシメチルビラ合成酵素(HMBS)を基準とする。
初代胆管細胞(Primary)、20代継代ECO(ECO)、hIPSC由来肝内胆管細胞様細胞(iChoLC)、ES細胞(ES)及び肝細胞HEP)のトランスクリプトームを比較するユークリッド階層的クラスター分析を示す図である。各プローブについて、標準スコア(z−スコア)は、全ての試料にわたる平均レベルからの標準偏差の数で測定された発現差異を示している。ECO、初代胆管細胞又は両方の細胞型において発現された遺伝子のクラスターが示されている。
MDR1阻害剤のベラパミルによって阻害される、ECOの内腔におけるMDR1蛍光性基質のローダミン123の分泌を示す図である。スケールバー、100μm。
播種したての初代胆管細胞(Rho PC)、20代継代ECO(Rho P20)及びベラパミルで処理されたP20のECO(Ver)における、バックグラウンドに対して正規化された平均腔内ローダミン123蛍光強度を示す図である。エラーバーは、標準偏差を示す;n=全体で1565の測定。****P<0.001、多重比較のためのダンの補正を伴うクラスカルウォリス検定
フルオレセインイソチオシアネートFITC)が負荷されたコントロールと比較した、胆汁酸の移動が確認される蛍光性胆汁酸コリルリジルフルオレセイン(CLF)の内腔排出を示す図である。スケールバー、100μm。
FITCが負荷された播種したての初代胆管細胞(FITC)、CLFで負荷された播種したての初代胆管細胞(CLF PC)及びCLFが負荷された20代継代ECO(CLF PC20)における、バックグラウンドに対して正規化された平均腔内蛍光強度を示す図である。n=全体で1947の測定。エラーバーは、標準偏差を示す;****P<0.001;多重比較のためのダンの補正を伴うクラスカル・ウォリス検定。
P20 ECO及び播種したてのPCの平均γ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)活性を示す図である;エラーバーは、標準偏差を示す;n=3;****P<0.001;多重比較のためのダネットの補正を伴う一元配置分散分析。
セクレチン又はセクレチン及びソマトスタチンで処理されたECOの平均直径測定を示す図である(n=8)。エラーバーは、標準偏差を示す;***P<0.001;#P>0.05(多重比較のためのダンの補正を伴うクラスカル・ウォリス検定)。
ECOとして成長した初代胆管細胞(ECO)と比較した、単層として播種された初代胆管細胞(2D)の成長曲線を示す図であり、こうして2Dの胆管細胞は数代の継代後に増殖を止めることが裏付けられる。同じ数の細胞(5×105)から出発して、2Dの胆管細胞は、PGA足場に播種するのに必要とされる細胞数(107個の細胞)を提供することができない。
2Dの胆管細胞が増殖してPGA足場に定着することができず、注入部位に限定されたままであることを裏付ける明視野画像を示す。単一細胞に解離されたECOが定着した足場(ECO−SC)の明視野画像は、ポジティブコントロールとして提供される。その足場には、2Dの胆管細胞足場と同じ数の細胞が播種され、それと同じ時間にわたり培養された。スケールバー:100μm。
ECOを使用する肝外胆管損傷(EHBI)マウスモデルにおける胆管再建のために使用される方法の概略図を示す。
ECOを使用するEHBIマウスモデルにおける胆管再建後のカプラン・マイヤー生存分析を示す図であり、こうして、無細胞足場(足場のみ)ではなくECOが定着した足場(被移植)により胆管再建した後のEHBIマウスのレスキューが裏付けられる。**P<0.01(ログランク検定)。
無細胞PGA足場(足場のみ)、ECOが定着したPGA足場(被移植)により再建された胆嚢及び天然の未再建胆嚢コントロール(移植なし)を示す図であり、こうしてECOが定着した足場による完全再建が裏付けられる。CD:胆嚢管、CBD:総胆管、CHD:総肝管、F:底部、A:前面、P:後面。スケールバー、500μm。
被移植のECOが定着した足場の無作為に選択された断面で定量化されたCK19陽性/CK7陽性、CK19陽性/GFP陽性、及びVIM/GFP陽性の細胞の比を示す図である(n=18)。エラーバーは、標準偏差を表す。
ECO集団のための高密度化コラーゲン管状足場の作製に使用される方法の概略図を示す。
GFP陽性ECOが定着した管のその作製後の最大強度投影画像(左)と、ECOが定着したコラーゲン管の内腔開通性を示す共焦点顕微鏡写真(右)とを示す。スケールバー、30μm。
ECOが定着した高密度化コラーゲン管を使用する胆管置換の方法の概略図を示す。
ECOが定着した高密度化コラーゲン管及び線維芽細胞が定着した高密度化コラーゲン管のヘマトキシリン及びエオシン染色並びに免疫蛍光分析を示す図であり、こうしてECO管においてGFP陽性/CK19陽性の上皮により裏打ちされた胆管上皮及び開存内腔が存在するが、内腔が閉塞した線維芽細胞構築物には存在しないことが裏付けられる。
ECOが定着した高密度化コラーゲン管及び線維芽細胞が定着した高密度化コラーゲン管を使用する胆管置換のFITC胆管造影図を示し、こうして線維構造物における内腔閉塞と比較したECO管における内腔開通性が裏付けられる。スケールバー、100μm(ECO)及び500μm(線維芽細胞)。
本明細書に記載される肝外胆管細胞オルガノイドを作製する方法を使用することで、肝臓全体、生検組織又はEPCAソーティングされた肝内胆管細胞からも肝内胆管細胞オルガノイド(ICO)を取得し得ることを裏付ける明視野画像を示す。P0、P20:0代継代、20代継代。
ICOによる肝系譜マーカーの不存在下での重要な胆管マーカーの発現を実証することにより、この集団が均質であることが確認されるQPCR分析を示す図である。ハウスキーピング遺伝子発現の倍率変化は、マーカーCK19、CK7、SOX9、CFTR、EPCAM、GGT、ALB、A1AT及びHNF4Aについて示されている。
ICOがアルカリホスファターゼ(ALP)活性を示すためICOが機能的であることを示す図である。
ICOがγ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)活性を示すためICOが機能的であることを示す図である。
ベラパミルの存在下で阻害される(左下)ICOによるローダミン123の内腔蓄積(左上)及び蛍光性胆汁酸のCLFの内腔排泄(右下)によって示されるように、ICOが薬物を輸送し得るためICOが機能的であることを裏付ける図である。
COの単一細胞RNAシーケンシングの特性を示す図であり、これは、胆管細胞オルガノイド(ECO及びICO)が、それらの元の組織とは免疫遺伝子を含む特定の因子の発現について異なることを示している。胆管系の種々の領域からの胆管細胞オルガノイドを初代胆管細胞と比較するPCAプロットが示されている。左のパネルは、細胞型に基づくアノテーション(オルガノイド対初代)を示す。右のパネルは、元の領域に基づくアノテーションを示す(CBD:総胆管、GB:胆嚢、及びIHD:肝内)。
胆管細胞オルガノイド(CO)と初代胆管細胞との間での遺伝子発現の差異を裏付けるヒートマップを示す。表示遺伝子は、右側に示されている。

実施例

0024

本発明は、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wntシグナル伝達増強剤とを含む細胞培養培地(「増殖培地」と呼称する)を使用する初代胆管細胞のin vitroでの増殖に関する。本明細書に記載されるように増殖された胆管細胞は、例えば再生医療及びスクリーニングにおいて有用であり得る。

0025

胆管細胞は、胆管系の内腔表面を覆う単層である胆管組織上皮由来の細胞である。胆管細胞は、in vivoで胆汁分泌及び電解質輸送に重要な役割を担う。

0026

初代胆管細胞は、胆管又は胆嚢等の肝内又は肝外胆管組織の上皮から直接分離され、連続(人工的に不死化された)胆管細胞系統とは異なる。初代胆管細胞は、肝内又は肝外胆管細胞であり得る。

0027

本明細書に記載される使用のための初代胆管細胞は、哺乳動物、好ましくはヒトである。初代胆管細胞は、成人又は小児のドナーから取得され得る。

0028

初代胆管細胞の集団は、幹細胞又はその他の多能性細胞若しくは複能性細胞を含まない。上記集団における初代胆管細胞の分化能力は、その起源の系譜に限定されており、肝細胞又は膵臓細胞等のその他の系譜の細胞へと分化することはできない(すなわち、上記集団は、胆管細胞及び胆管細胞前駆体からなる)。

0029

幾つかの実施形態では、初代胆管細胞は、癌性細胞であり得て、該細胞は、例えば薬物スクリーニングにおいて有用であり得る。

0030

初代胆管細胞は、本明細書に記載される方法において初代胆組織から取得若しくは分離されてもよく、又は初代胆組織から以前に取得されたものであってもよい。適切な胆組織は、胆嚢、並びに総胆管(CBD)、胆嚢管、総肝管、右肝管左肝管、肝内管及び膵管を含む、肝膵胆管(HPB)、膵胆管(PB)又は胆管系の任意の部分からの胆管を含み得る。初代胆組織は、例えば、肝外植片、肝組織、肝生検材料、胆管切除物、胆嚢摘出物又は膵臓切除物から取得され得る。

0031

幾つかの好ましい実施形態では、胆管細胞は、肝外胆管細胞である。肝外胆管細胞は、肝外胆管系の胆管上皮に由来し、胆嚢、胆嚢管、総胆管又は総肝管等の肝外胆組織から取得され得る。

0032

他の実施形態では、胆管細胞は、肝内胆管細胞である。肝内胆管細胞は、肝内胆管系の胆管上皮に由来する。

0033

胆管細胞が得られる元の初代胆組織は、ドナー個体においてin situであっても、又は例えば胆管切除、肝切除若しくは移植、膵臓切除、胆道鏡検査若しくは胆嚢摘出等の手術若しくは解剖後にドナー個体から以前に取得された組織試料であってもよい。適切な組織は、使用前に保存液中に貯蔵され得る。

0034

胆管細胞の集団は、任意の適切な技術によって初代胆組織から取得され得る。幾つかの実施形態では、初代胆細胞の集団を取り外すために、例えばブラッシング又はスクレイピングによる初代胆組織の機械的解離等の周術期技術が使用され得る。他の実施形態では、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)ブラッシング等の侵襲が最小限の技術が使用され得る。

0035

幾つかの実施形態では、胆管細胞の集団は、肝生検材料又は外植組織の機械的解離により、例えば、本明細書に記載される培養条件での組織の小(例えば、ミリメートル未満切片をHGF及びフォルスコリン等の因子を添加して又はそれらの因子を添加せずに播種することにより取得され得る。あるいは肝組織、胆嚢及び胆管外植片は、機械的解離(スクレイピング/ダイシング)とリベラーゼ、コラゲナーゼ又はヒアルロニダーゼ等のマトリックス消化酵素を使用する酵素的消化との組み合わせを使用して、単一の初代細胞又は小塊へと解離され得る。引き続き、単一の初代細胞は、EPCAM等の胆管マーカーに対する抗体で標識され、磁気関連細胞ソーティング又は蛍光関連細胞ソーティング(MACS又はFACS)等の免疫単離法で分離され得る。

0036

分離された単一細胞は、本明細書に記載される3D培養条件を使用して播種され得るか、又は単一細胞RNAシーケンシングのために処理され得る。本明細書におけるデータは、本明細書に記載される3D培養条件で、胆管細胞オルガノイドが選択的に増殖することを示している。肝細胞等のその他の肝細胞型はこれらの条件で成長しない。これは、例えば、肝マーカーの下方調節により示され得る(図28)。

0037

初代胆組織は、健康な個体又は疾患モデリングを可能にすることが知られる病理を有する患者に由来し得る。

0038

胆管障害を伴う個体に由来する胆管細胞を使用することで、胆管障害に関連する遺伝子型又は表現型を示す増殖された集団を作製することができる。胆管障害に関連する遺伝子型又は表現型を有する胆管細胞を生成する方法は、
胆管障害を伴う個体由来の初代胆管細胞の集団を準備することと、
本明細書に記載されるように初代胆管細胞を増殖させることと、
それにより胆管障害に関連する遺伝子型又は表現型を有する胆管細胞の集団を生成することと、
を含み得る。

0039

胆管障害に関連する表現型を有する増殖された集団は、胆管障害の1つ以上の特徴を示し得る。幾つかの実施形態では、胆管障害の1つ以上の特徴は、特定の条件又は処理に応答して示され得る。例えば、胆管細胞を1種以上のその他の細胞型と共培養することで、胆管障害に関連する表現型を誘発することができる。例えば、胆管細胞をT細胞等の免疫細胞と共培養することで、原発性胆汁性肝硬変(PBC)等の自己免疫性胆管障害に関連する表現型を誘発することができる。

0040

生成されたら、胆管障害に関連する表現型を有する胆管細胞は、例えばスクリーニングで使用するために培養、増殖及び維持され得る。

0041

胆管障害に関連する表現型を有する胆管細胞は、胆管障害の1つ以上の特性、特徴又は病理を示し得る。

0042

増殖培地は、オルガノイド(胆管細胞オルガノイド)の形の肝外胆管細胞の増殖に対応する細胞培養培地である。

0043

増殖培地は、EGFと、古典的Wnt阻害剤と、非古典的Wnt増強剤とを含む栄養培地である。

0044

非古典的Wntシグナル伝達増強剤は、非古典的Wntシグナル伝達経路の活性を刺激、促進又は増加させる化合物である。

0045

非古典的Wntシグナル伝達経路は、脊椎動物における組織極性及び形態発生過程関与するβ−カテニン非依存性経路である(Komiya, Y. & Habas, R. Organogenesis 4, 68-75 (2008);Patel, V. et al.. Hum. Mol. Genet. 17, 1578-1590 (2008);Strazzabosco, M. & Somlo, S. Gastroenterology 140, (2011))。

0046

非古典的Wntシグナル伝達経路の構成要素としては、Wnt4、Wnt5a、Wnt11、LRP5/6、Dsh、Fz、Daam1、Rho、Rac、Prickle及びStrabismusが挙げられる。非古典的Wnt/PCPシグナル伝達経路の活性を測定するために適した方法は、当該技術分野でよく知られており、ATF−2に基づくレポーターアッセイ(Ohkawara et al (2011) Dev Dyn 240 (1) 188-194)及びRho関連プロテインキナーゼ(ROCK)に基づくアッセイが挙げられる。

0047

非古典的Wntシグナル伝達増強剤は、非古典的Wntシグナル伝達を選択的に増強し得るか、又はより好ましくは、非古典的Wntシグナル伝達及び古典的Wntシグナル伝達の経路の両方を増強し得る(すなわち、Wntシグナル伝達アゴニスト)。

0048

好ましい非古典的Wntシグナル伝達増強剤としては、Wntシグナル伝達アゴニストのR−スポンジンが挙げられる。

0049

R−スポンジンは、Wntシグナル伝達経路を正に制御する2つのシステインリッチフリン様ドメインと1つのトロンボスポンジン1型ドメインとを有する分泌性活性化タンパク質である。好ましくは、R−スポンジンは、ヒトR−スポンジンである。

0050

R−スポンジンとしては、RSPO1(遺伝子ID284654核酸配列リファレンスNM_001038633.3、アミノ酸配列リファレンスNP_001033722.1)、RSPO2(遺伝子ID340419 核酸配列リファレンスNM_001282863.1、アミノ酸配列リファレンスNP_001269792.1)、RSPO3(遺伝子ID84870、核酸配列リファレンスNM_032784.4、アミノ酸配列リファレンスNP_116173.2)又はRSPO4(遺伝子ID343637、核酸配列リファレンスNM_001029871.3、アミノ酸配列リファレンスNP_001025042.2)が挙げられ得る。

0051

R−スポンジンは、商業的供給業者(例えば、R&D Systems社、ミネソタ州、ミネアポリス)から容易に入手可能である。本明細書に記載される胆管細胞を増殖させるために適したR−スポンジンの濃度は、標準的な技術を使用して容易に決定することができる。例えば、増殖培地は、50ng/ml〜5μg/ml、好ましくは約500ng/mlのR−スポンジンを含み得る。

0052

古典的Wntシグナル伝達阻害剤は、古典的Wntシグナル伝達経路の活性を阻害、遮断又は減少させる化合物である。

0053

古典的Wntシグナル伝達経路は、遺伝子発現の調節に関与するβ−カテニン依存性経路である(Klaus et al Nat. Rev. Cancer (2008) 8 387-398、Moon et al (2004) Nat. Rev. Genet. 5 691-701、Niehrs et al Nat Rev Mol. Cell Biol. (2012) 13 763-779)。古典的Wntシグナル伝達経路の活性を測定するために適した方法は、当該技術分野でよく知られており、TOP−flashアッセイ(Molenaar et al Cell. 1996 Aug 9; 86(3):391-9)及びβ−カテニンのためのアッセイが挙げられる。

0054

適切な古典的Wntシグナル伝達阻害剤としては、Dickkopf関連タンパク質1〜4(DKK1〜4)、Soggy−1/Dkkl1、分泌性Frizzled関連タンパク質1〜5(sFRP1〜5)、Wnt阻害因子−1(WIF−1)、ドラシンSOST/スクレロスチン、IGFBP−4、USAG1及びNotumが挙げられる。

0055

好ましくは、古典的Wntシグナル伝達阻害剤は、DKK−1である。DKK−1(遺伝子ID22943核酸配列リファレンスNM_012242.2、アミノ酸配列リファレンスNP_036374.1)は、胚形成に役割を果たす2つのシステインリッチ領域を有する分泌性タンパク質である。DKK−1は、商業的供給業者(例えば、R&D Systems社、ミネソタ州、ミネアポリス)から容易に入手可能である。本明細書に記載される胆管細胞オルガノイドを増殖させるために適したDKK−1の濃度は、標準的な技術を使用して容易に決定することができる。例えば、増殖培地は、10ng/ml〜1μg/ml、例えば約100ng/mlのDKK−1を含み得る。

0056

上皮成長因子(EGF;NCBI 遺伝子ID:1950、核酸配列NM_001178130.1GI:296011012;アミノ酸配列NP_001171601.1 GI:296011013)は、上皮成長因子受容体(EGFR)に結合することにより、細胞の成長、増殖及び細胞分化を刺激するタンパク質因子である。EGFは、通常の組み換え技術を使用して製造することができるか、又は商業的供給業者(例えば、R&D Systems社、ミネソタ州、ミネアポリス;Stemgent Inc社、米国)から得ることができる。本明細書に記載される胆管細胞オルガノイドを増殖させるために適したEGFの濃度は、標準的な技術を使用して容易に決定することができる。例えば、増殖培地は、2ng/ml〜500ng/ml、好ましくは約20ng/mlのEGFを含み得る。

0057

好ましくは、初代胆管細胞は、増殖培地中で3次元培養において培養される。3次元培養の場合に、増殖培地は3次元での細胞の成長及び増殖を支持し、胆管細胞がオルガノイドに集成することを可能にする足場マトリックスを更に含む。

0058

適切な足場マトリックスは、当該技術分野においてよく知られており、ハイドロゲル、例えばコラーゲン、コラーゲン/ラミニン圧縮コラーゲン(例えば、RAFT(商標)、TAPBiosystems社)、アルギン酸塩アガロース複合タンパク質ハイドロゲル、例えば基底膜抽出物、及び合成ポリマーハイドロゲル(Gjorevski et al Nature(2016)539 560-564)、例えばポリグリコール酸(PGA)ハイドロゲル及び架橋デキストラン及びPVAハイドロゲル(例えば、Cellendes Gmbh社、ドイツ、ロイトリンゲン)、不活性マトリックス、例えば多孔質ポリスチレン、並びに単離された天然ECM足場(Engitix Ltd社、英国、ロンドン)が挙げられる。

0059

足場マトリックスは、化学的に定義されたもの、例えばコラーゲン若しくは高密度化コラーゲンハイドロゲル、又は化学的に定義されていないもの、例えば複合タンパク質ハイドロゲルであり得る。好ましくは、増殖培地中の足場マトリックスは、複合タンパク質ハイドロゲルである。適切な複合タンパク質ハイドロゲルは、ラミニン、コラーゲンIV、エナクチン及びヘパリン硫酸プロテオグリカン等の細胞外マトリックス成分を含み得る。複合タンパク質ハイドロゲルとしては、Engelbreth−Holm−Swarm(EHS)マウス肉腫細胞由来細胞外マトリックスタンパク質のハイドロゲルも挙げられ得る。適切な複合タンパク質ハイドロゲルは、商業的供給業者から入手可能であり、Matrigel(商標)(Corning Life Sciences社)又はCultrex(商標)BME 2 RGF(Amsbio(商標)Inc社)が挙げられる。例えば、増殖培地は、66%のMatrigel(商標)を含み得る。

0060

増殖培地は、足場マトリックスと、(i)EGF、(ii)DKK−1等の古典的Wnt阻害剤、及び(iii)R−スポンジン等の非古典的Wnt増強剤が補充された栄養培地とを含むか又はそれらからなり得る。

0061

栄養培地は、基礎培地を含み得る。適切な基礎培地としては、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、ハムF12、アドバンスト・ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)又はDMEM/F12(Price et al Focus (2003), 25 3-6)、ウィリアムE(Williams, G.M. et al Exp. Cell Research, 89, 139-142 (1974))及びRPMI−1640(Moore, G.E. and WoodsL.K., (1976) Tissue Culture Association Manual. 3, 503-508)が挙げられる。幾つかの実施形態においては、ウィリアムE培地、例えば33%のウィリアムE培地が好ましい場合がある。

0062

基礎培地には、培地添加物及び/又は1つ以上の追加成分、例えばトランスフェリン、1−チオグリセロール、脂質、L−グルタミン若しくはL−アラニル−L−グルタミン(例えば、Glutamax(商標))等の代用物ニコチンアミドリノール酸及び亜セレン酸(例えば、ITS+プレミックス)、デキサメタゾンセレンピルビン酸塩、HEPES等のバッファー重炭酸ナトリウムホスホL−アスコルビン酸三ナトリウム塩グルコース並びにペニシリン及びストレプトマイシン等の抗生物質、そして任意にポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール及びインスリン血清アルブミン、又は血清アルブミン及びインスリンが補充され得る。

0063

例えば、基礎培地には、10mMのニコチンアミド、17mMの重炭酸ナトリウム、0.2mMの2−ホスホ−L−アスコルビン酸三ナトリウム塩、6.3mMのピルビン酸ナトリウム、14mMのグルコース、20mMのHEPES、6μg/mlのインスリン、6μg/mlのヒトトランスフェリン、6ng/mlの亜セレン酸、5μg/mlのリノール酸、0.1μMのデキサメタゾン、2mMのL−アラニル−L−グルタミン、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンが補充され得る。

0064

栄養培地は、化学的に定義された基礎栄養培地であり得る。化学的に定義された培地は、規定の成分、好ましくは化学構造既知の成分のみを含有する細胞培養のための栄養液である。化学的に定義された培地には、未定義の成分、又は未定義の成分を含む構成成分、例えばフィーダー細胞間質細胞血清、血清アルブミン及びMatrigel(商標)等の複雑な細胞外マトリックスは含まれない。化学的に定義された培地は、ヒト化されていてよい。化学的に定義されたヒト化培地には、非ヒト動物に由来する又は非ヒト動物から単離された成分又は添加物、例えばウシ胎児血清(FBS)及びウシ血清アルブミン(BSA)及びマウスフィーダー細胞は含まれない。コンディショニングされた培地は、培養される細胞からの未定義の成分を含み、化学的に定義されていない。

0065

適切な化学的に定義された栄養培地は、当該技術分野でよく知られており、ニコチンアミド、重炭酸ナトリウム、2−ホスホ−L−アスコルビン酸三ナトリウム塩、ピルビン酸ナトリウム、グルコース、HEPES、ITS+プレミックス(インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸及びリノール酸)、デキサメタゾン、グルタマクス、ペニシリン及びストレプトマイシンが補充されたウィリアムE培地が挙げられる。

0066

胆管細胞は、増殖培地中で多重継代にわたり培養され得る。例えば、胆管細胞は、10代以上、20代以上、30代以上、40代以上又は50代以上の継代にわたり培養され得る。1代継代には、2日間〜8日間、好ましくは約5日間かかり得る。

0067

胆管細胞は、足場マトリックスを消化し、遠心分離により胆管細胞オルガノイドを採取し、該オルガノイドを個別の胆管細胞に破壊することにより継代され得る。胆管細胞は、増殖培地中で上記のように再懸濁及び培養され、そこで胆管細胞はオルガノイドへと再編する。

0068

細胞培養のために適した技術は、当該技術分野においてよく知られている(例えば、Basic Cell Culture Protocols, C. Helgason, Humana Press Inc. U.S. (15 Oct 2004) ISBN: 1588295451、Human Cell Culture Protocols (Methodsin Molecular Medicine S.) Humana Press Inc., U.S. (9 Dec 2004) ISBN: 1588292223、Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, R. Freshney, John Wiley & Sons Inc (2 Aug 2005) ISBN: 0471453293、Ho WY et al J Immunol Methods. (2006) 310:40-52, Handbook of Stem Cells (ed. R. Lanza) ISBN: 0124366430、Basic Cell Culture Protocols' by J. Pollard and J. M. Walker (1997)、'Mammalian Cell Culture: Essential Techniques' by A. Doyle and J. B. Griffiths (1997)、'Human Embryonic Stem Cells' by A. Chiu and M. Rao (2003), Stem Cells: From Bench to Bedside' by A. Bongso (2005)、Peterson & Loring (2012)Human Stem Cell Manual: A Laboratory Guide Academic Press and 'Human Embryonic Stem Cell Protocols' by K. Turksen (2006)を参照)。その培地及び成分は、商業的供給業者(例えば、Gibco社、Roche社、Sigma社、Europa bioproducts社、R&D Systems社)から取得され得る。標準的な哺乳動物細胞培養条件、例えば37℃、21%酸素、5%二酸化炭素が上記培養工程のために使用され得る。培地を、好ましくは2日毎に交換し、細胞は重力により沈降させた。

0069

胆管細胞の集団は、本明細書に記載される増殖培地中でオルガノイドとして105倍以上、1010倍以上、1015倍以上、1020倍、又は1030倍以上に増殖され得る。

0070

初代胆管細胞の集団は、増殖培地中で増殖し、オルガノイド(CO)へと集成する。胆管細胞オルガノイドは、内腔を取り囲み、それを外部環境から隔離する、密着結合により連結された胆管細胞の層を含む3次元多細胞集成体又は嚢胞である。胆管細胞は、CFTR等のマーカーの極性発現を示し得る。

0071

増殖培地中で胆管細胞により形成されるオルガノイドは、胆管細胞、例えばCBD胆管細胞等の肝外胆管細胞の形態又は物理的特性を示し得る。オルガノイドは、例えば繊毛、密着結合、微絨毛エキソソーム及び/又は管状構造を含み得る。オルガノイドの形態及び物理的特性は、標準的な顕微鏡法によって測定され得る。

0072

オルガノイドの形でも又は個別の細胞の形でも、増殖された胆管細胞の集団はその他の細胞型を含み得ないか又は実質的に含み得ない。すなわち、胆管細胞の集団は均質又は実質的に均質であり得る。例えば、該集団は培地中での培養後に80%以上、90%以上、95%以上、98%以上又は99%以上の胆管細胞を含み得る。好ましくは、胆管細胞の集団は、精製が必要とされないほど十分にその他の細胞型を含まない。

0073

胆管細胞は1つ以上の胆管マーカーを発現し得る。例えば、胆管細胞は、サイトケラチン7(KRT7又はCK7)、サイトケラチン19(KRT19又はCK19)、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、肝細胞核因子ベータ(HNF1B)、セクレチン受容体SCTR)、ナトリウム依存性胆汁酸輸送体1(ASBT/SLC10A2)、SRY−box 9(SOX9)、Jagged 1(JAG1)、NOTCH2、SCRSSTR2、頂端側胆汁輸送体(Apical Salt and Bile Transporter)(ASBT)、アクアポリン1及び陰イオン交換体及び嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子(CFTR)を発現し得る。典型的には、集団中の胆管細胞の少なくとも98%は、本明細書に記載されるように増殖培地中で20代継代した後にCK7及びCK19を共発現し得る。

0074

好ましくは、胆管細胞は、初代総胆管(CBD)胆管細胞に相当するレベルで成熟胆管マーカーを発現する。胆管細胞は成熟胆管細胞であり得て、胎児の特徴を欠如し得る。

0075

初代胆管細胞とは対照的に、増殖された集団における胆管細胞は、MHCクラス1又はクラス2のタンパク質、例えばHLA−E又はHLA−DRB1等のHLAタンパク質の発現を欠如し得る。さらに、胆管細胞は、初代胆管細胞の領域特異性特有の遺伝子、例えば炎症又は胆汁酸の勾配により誘導される遺伝子の発現を欠如し得る。それらの胆管細胞は増殖性であり、免疫プロファイルマーカーが少ないか又は免疫プロファイルマーカーが存在しないので、本明細書に記載されるように生成される胆管細胞は、増殖せず免疫プロファイルマーカーが高い初代胆管細胞とは異なる。

0076

胆管細胞の集団には、幹細胞又はその他の多能性細胞若しくは複能性細胞は含まれない。胆管細胞は、コントロール細胞に対して、幹細胞マーカー、例えばPOU5F1、OCT4、NANOG、プロミニン1(PROM1)、LGR−4、5若しくは6等のロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体(LGR)、Sox2、SSEA−3、SSEA−4、Tra−1−60、KLF−4及びc−mycの発現を示さないか又はそれらの発現が低い。幾つかの好ましい実施形態では、胆管細胞は、高レベルの胆管マーカー、低レベルのLGR5及びPROM1等の幹細胞マーカーを発現し、Oct4、NANOG及びSox2等の多能性マーカーは発現しない。

0077

胆管細胞の集団には、肝細胞又は膵臓細胞等の非胆管細胞は含まれない。胆管細胞は、肝細胞マーカー又はマーカー等の非胆管系譜のマーカーを発現しない。例えば、胆管細胞は、アルブミン(ALB)、α1−アンチトリプシン(SERPINA1又は6 A1AT)、膵臓及び十二指腸ホメオボックス1(PDX1)、インスリン(INS)、グルカゴンGCG)及びAFP等の胎児肝芽細胞マーカーの発現を欠如し得る。

0078

胆管細胞の集団は、上皮間葉転換(EMT)マーカーを発現しない。例えば、胆管細胞は、ビメンチン(VIM)、snailファミリー転写リプレッサー1(SNAI1)及び/又はS100カルシウム結合タンパク質9A4(S100A4)の発現を欠如し得る。

0079

1つ以上の胆管マーカーの発現及び1つ以上の非胆管マーカーの発現の不存在は、増殖された胆管細胞の集団において観察及び/又は検出され得る。例えば、増殖された胆管細胞の集団における上記の成熟胆管マーカーの1つ以上の発現又は生成が測定され得る。これにより、増殖された胆管細胞の集団の均質性を測定及び/又は観察することが可能となる。

0080

本明細書に記載されるように生成された増殖された胆管細胞の集団は、in vitroで初代胆管細胞、例えば初代総胆管(CBD)胆管細胞等の肝外胆管細胞の1つ以上の機能的特性を示し得る。例えば、胆管細胞は、以下に記載される特性の1つ以上、好ましくは全てを示すオルガノイドへと集成し得る。

0081

胆管細胞オルガノイドは、胆汁酸の移動、アルカリホスファターゼ(ALP)活性及び/又はγ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)活性を示し得る。ALP及びGGT活性の量は、初代総胆管(CBD)胆管細胞によって示されるALP活性及びGGT活性の量に相当し得る。ALP活性及びGGT活性は、例えば本明細書に記載されるように測定され得る。

0082

胆管細胞オルガノイドは、能動分泌、例えば多剤耐性タンパク質−1(MDR1)によって媒介される分泌を示し得る。この分泌は、本明細書に記載されるように、MDR1阻害剤のベラパミルの存在下及び不存在下で、胆管細胞オルガノイドの内腔におけるローダミン123等の蛍光性MDR1基質の蓄積を計測することにより測定され得る。

0083

胆管細胞オルガノイドは、セクレチン及びソマトスタチンに対する応答を示し得る。例えば、胆管細胞オルガノイドは、セクレチンに応答して分泌活性の増加を示し、ソマトスタチンに応答して活性の減少を示し得る。これは、オルガノイドのサイズの変化を計測することにより測定され得る。例えば、セクレチンは胆管細胞オルガノイドのサイズを増大させ得て、ソマトスタチンはそのサイズを減少させ得る。

0084

胆管細胞オルガノイドは、胆汁酸の能動的移動、例えば頂端側塩胆汁輸送体(ASBT)により媒介される移動を示し得る。胆汁酸移動活性は、例えば、本明細書に記載されるように、FITC等の別の蛍光性化合物に対するCLF等の蛍光性胆汁酸塩の能動的移動を計測することにより測定され得る。

0085

胆管細胞オルガノイドは、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子(CFTR)活性を示し得る。CTFR活性は、本明細書に記載されるように、様々な塩化物濃度、例えば、蛍光性の塩化物指示薬のN−(6−メトキシキノリルアセトエチルエステル(MQAE)を有する培地に応答する細胞内及び腔内の塩化物濃度を計測することにより測定され得る。

0086

胆管細胞オルガノイドは、ATP及びアセチルコリンに対する応答を示し得る。例えば、細胞内Ca2+レベルは、胆管細胞オルガノイドにおいて、ATP又はアセチルコリンに応答して増大し得る。細胞内Ca2+レベルは、標準的な技術を使用して測定され得る。

0087

胆管細胞オルガノイドは、血管内皮成長因子(VEGF)、IL6等のマイトジェン及びエストロゲンに対する応答を示し得る。例えば、胆管細胞オルガノイドは、VEGFに応答して増殖の増加を示し得る。

0088

胆管細胞オルガノイドは、ルマカフトール(VX809)等の薬物に対する応答を示し得る。例えば、サイズ、CFTR活性及び/又は腔内液分泌は、嚢胞性線維症を伴うドナー個体から得られた初代胆管細胞から増殖された胆管細胞オルガノイドにおいてルマカフトールに応答して増加し得る。ルマカフトールに対する応答を測定するために適した方法は、以下に記載される。

0089

特許請求の範囲に記載される方法により生成される胆管細胞オルガノイドの応答及び/又は活性の量は、初代胆管細胞、好ましくは初代肝内胆管細胞又は初代肝外胆管細胞、例えば総胆管(CBD)胆管細胞によって示される応答及び/又は活性の量に相当し得る。

0090

上記のような増殖培地中での増殖後に、胆管細胞オルガノイドを解離又は破壊することで、個別の胆管細胞が生成され得る。

0091

オルガノイドを個別の構成細胞へと解離する適切な方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、胆管細胞オルガノイドを、ディスパーゼ又は非酵素的回収溶液、例えばCell Recovery Solution(商標)(Corning社)を使用して増殖培地から採取し、トリプシン等のプロテアーゼを使用して解離させることができる。適切な試薬は市販されており、TrypLE(商標)Express(ThermoFisher Scientific社)が挙げられる。

0092

本明細書に記載されるように増殖された胆管細胞が1つ以上の胆管細胞機能を発揮する能力が観察及び/又は測定され得る。例えば、細胞がオルガノイドへと集成する能力、及び/又はMDR1機能、胆汁酸の移動、VEGF応答、アセチルコリン応答若しくはATP応答、CFTR媒介性塩化物輸送、若しくはセクレチン応答若しくはソマトスタチン応答の1つ以上を発揮する能力が観察及び/又は測定され得る。

0093

本明細書に記載されるように生成される胆管細胞は、本明細書に記載されるように増殖されるか、又は標準的な哺乳動物細胞培養技術を使用して培養若しくは維持されるか、又は更なる操作若しくは処理に供され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるように生成された胆管細胞集団は、例えば凍結乾燥及び/又は凍結保存により貯蔵され得る。胆管細胞は、オルガノイド、オルガノイドに満たない集成体又は個別の細胞として貯蔵され得る。適切な貯蔵方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、胆管細胞は、凍結保存培地(例えば、Cellbanker(商標)(AMSBiotechnology Ltd社、英国))中に懸濁され、例えば−70℃以下で凍結され得る。

0094

胆管細胞の集団は、バッファー、担体希釈剤保存剤及び/又は薬学的に許容可能な賦形剤等のその他の試薬と混合され得る。適切な試薬は、以下でより詳細に記載される。本明細書に記載される方法は、胆管細胞の集団を治療的に許容可能な賦形剤と混合して、治療組成物を生成することを含み得る。混合される胆管細胞は、オルガノイド、オルガノイドに満たない集成体又は個別の細胞の形であり得る。

0095

幾つかの実施形態では、胆管細胞は、治療において有用であり得る。治療用途のために、胆管細胞は、好ましくは臨床グレードの細胞である。治療に使用するための胆管細胞の集団は、好ましくは本明細書に記載される初代胆管細胞から、化学的に定義された増殖培地を使用して生成される。胆管細胞は、特定の用途に応じて、オルガノイド、オルガノイドに満たない集成体又は個別の細胞の形であり得る。

0096

増殖された胆管細胞の集団は、個体へと移植、注入又はその他の方法で投与され得る。適切な技術は、当該技術分野においてよく知られている。

0097

増殖された胆管細胞の集団は自系であり得る。すなわち、胆管細胞は、後に投与されるのと同じ個体から当初得られた初代胆管細胞から増殖されたものである(すなわち、ドナー個体とレシピエント個体とは同じである)。レシピエント個体に投与するのに適した増殖された胆管細胞の集団は、個体から得られた初代胆管細胞の初期集団を準備することと、上記の胆管細胞の集団を増殖させて、投与のための増殖された胆管細胞の集団を生成することとを含む方法によって生成され得る。

0098

増殖された胆管細胞の集団は同種異系であり得る。すなわち、初代胆管細胞は、胆管細胞が後に投与される個体と異なる個体から当初得られたものである(すなわち、ドナー個体とレシピエント個体とは異なる)。ドナー個体及びレシピエント個体は、拒絶反応及びその他の望ましくない免疫効果を避けるためにHLA適合され得る。レシピエント個体に投与するのに適した増殖された胆管細胞の集団は、ドナー個体から得られた初代胆管細胞の初期集団を準備することと、上記の胆管細胞の集団を増殖させて、投与のための増殖された胆管細胞の集団を生成することとを含む方法によって生成され得る。幾つかの実施形態では、増殖された集団は、HLA等の免疫原性抗原の発現を低減又は不活性化させるように操作され得る。

0099

幾つかの好ましい実施形態では、増殖された胆管細胞の集団は、生体適合性の足場と混合され得る。

0100

生体適合性の足場に、上記のように増殖された胆管細胞が播種され得る。例えば、個別の胆管細胞又は胆管細胞のオルガノイドに満たない集成体が、足場上若しくは足場中に注入され得るか、又は製造過程の間に足場中に混合され得る。次いで、胆管細胞を含む足場は、胆管細胞が足場に定着するように増殖培地中で培養され得る。胆管細胞は足場内で増殖し、オルガノイドへと集成し、その後に多層上皮へと集成し得る。

0101

適切な生体適合性の足場としては、ハイドロゲル、例えばフィブリンキトサングリコサミノグリカン類、フィブリン、フィブロネクチンエラスチン、コラーゲン、フィブロネクチン等の糖タンパク質、又はキチン等の多糖、又はセルロースコラーゲン、コラーゲン/ラミニン、高密度化コラーゲン、アルギン酸塩、アガロース、複合タンパク質ハイドロゲル、例えば基底膜抽出物、生物有機ゲル(bio-organic gels)及び合成ポリマーハイドロゲル、例えばポリ乳酸PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)ハイドロゲル、架橋デキストラン及びPVAハイドロゲル(例えば、Cellendes Gmbh社、ドイツ、ロイトリンゲン)、不活性マトリックス、例えば多孔質ポリスチレン、ポリエステル可溶性ガラス繊維、多孔質ポリスチレン及び単離された天然ECM足場、例えば脱細胞化された胆嚢及び胆管の足場(Engitix Ltd社、英国、ロンドン)が挙げられ得る。足場は生分解性であり得る。

0102

足場のサイズ又は形状は、意図される用途に依存する。適切な足場形状としては、例えば、パッチシート並びに最大で例えば10mm〜12mmの直径を有する直管及び分岐管を含む管が挙げられ得る。

0103

生体適合性の足場内で培養される本明細書に記載されるように生成された胆管細胞は、機能的胆管上皮へと組織化する。定着された足場は、胆管上皮の1つ以上の特性を示し得る。例えば、定着された足場は、胆汁耐性であり得て、上記の機能的特性の1つ以上を示し得る。胆管細胞が定着した足場は、例えば治療又はスクリーニングで使用するための人工胆管上皮組織として有用であり得る。

0104

本発明の別の態様は、本明細書に記載される方法により生成された分離された胆管細胞の集団を提供する。該集団は、オルガノイド、オルガノイドに満たない集成体若しくはクラスター又は個別の細胞の形であり得る。

0105

本明細書に記載されるように作製された胆管細胞の集団は、その他の細胞型を実質的に有し得ない。例えば、該集団は、増殖培地中での培養後に70%以上、80%以上、85%以上、90%以上又は95%以上の胆管細胞を含み得る。集団における胆管細胞の存在又は割合は、上記のように胆管マーカーの発現によって測定され得る。

0106

好ましくは、胆管細胞の集団は、精製が必要とされないほど十分にその他の細胞型を含まない。必要に応じて、胆管細胞の集団又は胆管細胞オルガノイドは、FACSを含む任意の適切な技術によって精製され得る。

0107

幾つかの実施形態では、胆管細胞は、異種タンパク質、例えばGFP等のマーカータンパク質若しくは酵素を発現し、及び/又は1つ以上の内因性タンパク質、例えば免疫原性に関連するタンパク質の発現を低減する若しくは妨げるように操作され得る。例えば、胆管細胞は、異種タンパク質、内因性タンパク質の発現を抑制するサプッレサーRNA、又は内因性タンパク質を不活性化させる部位特異的ヌクレアーゼをコードする核酸を含むベクタートランスフェクションされ得る。幾つかの実施形態では、胆管細胞は、遺伝子欠陥修正するように操作され得る。例えば、CFTR遺伝子中の欠陥は、嚢胞性線維症を伴う個体に由来する胆管細胞において修正され得る。他の実施形態では、胆管細胞は、ヒト白血球抗原(HLA)等の免疫原性抗原を除去するように操作され得る。これは、同種異系の使用のための低免疫原性細胞又は非免疫原性細胞を作製するのに有用であり得る。

0108

本発明の別の態様は、本明細書に記載される方法による胆管細胞を含む足場を提供する。適切な足場は、先に記載されている。

0109

本発明の別の態様は、例えば治療に使用するための、本明細書に記載の方法により生成される胆管細胞が定着した足場を含む人工胆管上皮組織を提供する。胆管細胞に加えて、人工組織は、間質細胞及び/又は内皮細胞等のその他の細胞を含み得る。

0110

本発明の態様はまた、溶液又は生体適合性の足場において本明細書に記載されるように生成される胆管細胞を含む医薬組成物医薬、薬物又はその他の組成物並びにそのような胆管細胞を薬学的に許容可能な賦形剤、ビヒクル、担体又は生分解性の足場と、任意に1種以上のその他の成分とを混合することを含む医薬組成物の作製方法にも及ぶ。

0111

本発明により増殖される胆管細胞を含む医薬組成物は、1種以上の追加成分を含み得る。医薬組成物は、胆管細胞に加えて、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、バッファー、保存剤、安定化剤酸化防止剤又は当業者によく知られるその他の材料を含み得る。そのような材料は、非毒性であるべきであり、胆管細胞の活性を妨害すべきではない。担体又はその他の材料の厳密な性質は、投与経路に依存することとなる。

0112

液体医薬組成物は、一般的に水、鉱油(petroleum)、動物油若しくは植物油鉱物油又は合成油等の液体担体を含む。生理食塩溶液組織培地若しくは細胞培養培地、デキストロース若しくはその他の糖類溶液、又はエチレングリコールプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール等のグリコール類が含まれ得る。

0113

組成物は、パイロジェンフリーでありかつ適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容可能な水溶液の形で存在し得る。当業者は、例えば塩化ナトリウムリンゲル注射液又は乳酸加リンゲル注射液等の等張性ビヒクルを使用して、適切な溶液を十分に調製することが可能である。組成物は、人工脳脊髄液を使用して調製され得る。

0114

本発明の別の態様は、本明細書に記載されるように生成された胆管細胞の集団をそれを必要とする個体に投与することを含む、胆管障害又は肝疾患の治療方法を提供する。

0115

本発明の別の態様は、個体へと本明細書に記載されるように生成される胆管細胞の集団を投与することを含む胆管障害又は肝疾患の治療方法においてそれを必要とする個体に使用するための上記集団を提供する。

0116

本発明の別の態様は、胆管障害又は肝疾患の治療において使用するための医薬の製造における、本明細書に記載されるように生成される胆管細胞の集団の使用を提供する。

0117

胆管細胞は、オルガノイド、オルガノイドに満たない集成体若しくはクラスター又は個別の細胞の形であり得る。

0118

胆管障害は、個体における胆管組織が損傷、欠陥又はその他には機能不全に陥っている状態、例えば胆管への損傷若しくは胆管の破壊、胆管の異常又は胆管の欠如を特徴とする障害である。胆管障害としては、胆管組織損傷、虚血性狭窄外傷性胆管損傷及び胆管症、例えば遺伝性発達性、自己免疫性及び環境誘発性の胆管症、例えば嚢胞性線維症関連胆管症、薬物誘発性胆管症、アラジール症候群多発性嚢胞性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、AIDS関連胆管症、胆管消失症候群、胆管癌突発性成人胆管減少症等の胆管減少症、術後胆管合併症、胆管閉鎖症、並びに肝外胆管又は肝内胆管のその他の障害が挙げられ得る。

0119

幾つかの実施形態では、増殖された胆管細胞の集団は、溶液において個体に投与され得る。胆管細胞の集団の溶液での投与は、例えば肝疾患、胆管減少症、例えば虚血性胆管減少症、先天性胆管減少症、例えばアラジール症候群、代謝性胆管減少症、複合病、例えば肝内PSC及びPBC、薬物誘発性胆管減少症、胆管消失症候群、並びに肝内胆管系を冒す状態の治療において有用であり得る。

0120

他の実施形態では、胆管細胞の集団は、生体適合性の足場内で個体に投与され得る。例えば、胆管細胞が定着した足場が個体に投与され得る。足場における胆管細胞の集団の投与は、例えば胆管閉鎖症、胆管狭窄、外傷性又は医原性の胆管損傷及び肝外胆管系を冒す状態の治療において有用であり得る。

0121

溶液中又は足場中の胆管細胞は、当該技術分野において知られる任意の技術により患者へと移植され得る(例えば、Lindvall, O. (1998) Mov. Disord. 13, Suppl. 1:83-7、Freed, C.R., et al., (1997) Cell Transplant, 6, 201-202、Kordower, et al., (1995) New England Journal of Medicine, 332, 1118-1124、Freed, C.R.,(1992) New England Journal of Medicine, 327, 1549-1555、Le Blanc et al, Lancet 2004 May 1;363(9419):1439-41)。特に、細胞懸濁液は、患者の胆管、胆嚢、門脈肝実質腹腔又は脾臓に注射又は注入され得る。胆管細胞の懸濁液は、静脈内、腹腔内、又は内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)若しくは経皮的胆管造影(PTC)を介して投与され得る。胆管細胞が定着した足場は、外科移植により個体に投与され得る。

0122

本発明による組成物の投与は、好ましくは「予防的有効量」又は「治療的有効量」(場合に応じて、予防が治療とみなされる場合がある)でなされ、その際、この量は個体に有益性を示すのに十分である。投与される実際の量並びに投与の速度及び時間的経過は、治療対象の性質及び重症度に依存することとなる。治療の処方、例えば投与量の決定等は、一般開業医及び他の医師責任の範囲内である。

0123

胆管細胞を含む組成物は、単独で又は他の治療と組み合わせて、治療される状態に応じて同時に又は逐次に投与され得る。

0124

本発明の他の態様は、患者の薬物への感受性を決定するための、本明細書に記載されるように増殖される胆管細胞の使用に関する。方法は、
(i)疾患状態、例えば胆管障害又は肝疾患を伴う個体由来の分離された初代胆管細胞の集団を準備することと、
(ii)前記集団を、上皮成長因子(EGF)と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤と、非古典的Wnt/PCPシグナル伝達増強剤とを含む増殖培地中で培養することで、疾患表現型を示す増殖された胆管細胞の集団を生成することと、
(iii)本明細書に記載される方法により生成される増殖された胆管細胞の集団を治療化合物と接触させることと、
(iv)前記胆管細胞に対する前記治療化合物の効果を測定することと、
を含み得て、前記胆管細胞の疾患表現型の改善は、前記個体が前記治療化合物に感受性があることの指標である。

0125

胆管細胞の増殖、成長、生存率若しくは胆汁酸耐性、胆管細胞が以下に記載される1つ以上の細胞機能若しくはオルガノイド機能を発揮する能力、又は胆管細胞が(i)移植後の非ヒト動物モデルへの生着、(ii)非ヒト動物モデルにおけるin vivoでの胆管の形成、(iii)非ヒト動物モデルにおけるin vivoでの疾患表現型のレスキュー、(iv)移植後の非ヒト動物モデルの生存延長、(v)非ヒト動物モデルにおけるin vivoでの細胞機能の維持、(vi)in vivoでの胆管減少症の回復、及び(vii)非ヒト動物モデルにおける移植後の血清肝機能マーカーの改善の1つ以上を発揮する能力は、治療化合物の不存在下と比較してその存在下において測定され得る。

0126

疾患表現型を有する増殖された胆管細胞が、治療化合物の不存在下と比較してその存在下でこれらの機能の1つ以上を発揮する能力の増加は、その化合物が個体における疾患に対して改善効果を有することの指標である。

0127

上記のように生成される分離された胆管細胞の集団は、試験化合物と胆管細胞の相互作用のモデリング、例えば毒性スクリーニング、胆管障害のモデリング、又は潜在的な治療効果を有する化合物のスクリーニングにおいて有用であり得る。

0128

幾つかの実施形態では、胆管細胞は、健康な一次組織から取得され得る。他の実施形態では、胆管細胞は、胆管疾患を伴うドナー由来の一次組織から取得され得て、疾患表現型を示し得る。

0129

本発明の別の態様は、疾患モデリング及び胆管障害の病因の研究のための、正常な患者又は胆管障害を伴う患者に由来する胆管細胞の集団の使用を提供する。

0130

モデリング及びスクリーニングに使用するための胆管細胞は、オルガノイド(胆管細胞オルガノイド)、オルガノイドに満たないクラスター又は例えば胆管細胞オルガノイドの破壊により生成された個別の細胞(胆管細胞)の形であり得る。

0131

化合物のスクリーニング方法は、
本明細書に記載される方法により生成される胆管細胞の集団を試験化合物と接触させることと、
上記胆管細胞に対する試験化合物の効果及び/又は試験化合物に対する上記胆管細胞の効果を測定することと、
を含み得る。

0132

胆管細胞の増殖、成長、生存率若しくは胆汁酸耐性、又は胆管細胞が1つ以上の細胞機能若しくはオルガノイド機能を発揮する能力は、試験化合物の不存在下と比較してその存在下において測定され得る。

0133

増殖、成長、生存率又は1つ以上の細胞機能若しくはオルガノイド機能を発揮する能力の減少は、化合物が毒性効果を有することの指標であり、成長、生存率又は1つ以上の細胞機能若しくはオルガノイド機能を発揮する能力の増加は、化合物が胆管細胞に対して改善効果を有することの指標である。

0134

幾つかの実施形態では、胆管細胞は、胆管腫瘍に由来し得て、腫瘍由来細胞の増殖、成長、生存率又は1つ以上の細胞機能若しくはオルガノイド機能を発揮する能力に対する試験化合物の効果が測定され得る。

0135

遺伝子発現は、試験化合物の不存在下と比較してその存在下において測定され得る。例えば、1つ以上の胆管マーカー遺伝子の発現が測定され得る。発現の複合的な減少は、化合物が毒性効果を有するか、又は胆管細胞の機能的状態を変更し得ることの指標である。遺伝子発現は、例えばRT−PCRにより核酸レベルで測定され得るか、又は例えばELISA等の免疫学的技術により、若しくは活性アッセイによりタンパク質レベルで測定され得る。シトクロムp450アッセイ、例えば発光、蛍光又は発色アッセイは、当該技術分野においてよく知られており、商業的供給業者から入手可能である。

0136

幾つかの実施形態では、胆管疾患のためのリスク遺伝子座又は胆管疾患、例えば上記の疾患に関連する遺伝子の発現が測定され得る。

0137

胆管細胞による試験化合物の代謝、分解又は破壊が測定され得る。幾つかの実施形態では、試験化合物及び/又は上記試験化合物の代謝産物の量又は濃度の変化が、連続的に又は1つ以上の時点で経時的に測定又は計測され得る。例えば、試験化合物の量若しくは濃度の減少、及び/又は上記試験化合物の代謝産物の量若しくは濃度の増加が測定又は計測され得る。幾つかの実施形態では、試験化合物及び/又は代謝産物の量又は濃度の変化速度が測定され得る。試験化合物又は代謝産物の量を計測するための適切な技術としては、質量分析法が挙げられる。

0138

これは、試験化合物のin vivoでの半減期、毒性、有効性又はその他のin vivoでの特性の測定において有用であり得る。

0139

胆管細胞の1つ以上の機能は、試験化合物の不存在下と比較してその存在下において測定及び/又は計測され得る。例えば、胆管細胞がMDR1機能、胆汁酸の移動、VEGF応答、アセチルコリン応答又はATP応答、CFTR媒介性塩化物輸送、GGT活性、ALP活性又はセクレチン応答若しくはソマトスタチン応答、フォルスコリン誘発腫脹(Dekkers et al Nat Med 2013; 19:939-45)、胆汁抵抗性重炭酸塩分泌、内腔の保全性(すなわち、該化合物は、密着結合を破壊し、オルガノイドの内腔を崩壊させる)、オルガノイドの腔内外への化合物の移動、及び腔内の細菌の存在又は生存率の1つ以上を発揮する能力が測定及び/又は計測され得る。胆管細胞が胆管細胞オルガノイドへと集成する能力も測定され得る。

0140

胆管細胞が、試験化合物の不存在下と比較してその存在下でこれらの機能の1つ以上を発揮する能力の減少は、その化合物が胆管上皮に対して毒性効果を有することの指標である。胆管細胞が、試験化合物の不存在下と比較してその存在下でこれらの機能の1つ以上を発揮する能力の増加は、その化合物が胆管誘発効果を有する(例えば、その化合物は胆管上皮の活性を促進する)ことの指標である。

0141

本発明の別の態様は、上皮成長因子(EGF)と、非古典的Wnt/PCPシグナル伝達増強剤と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤とを含む増殖培地を含む、胆管細胞オルガノイドの生成のためのキットを提供する。

0142

適切な増殖培地は、先により詳細に記載されている。

0143

キットは、Matrigel(商標)等の足場マトリックスを更に含み得る。足場マトリックスは、増殖培地の一部として提供され得るか又は別個に提供され得る。

0144

増殖培地は、脱イオンされ蒸留された水中で配合され得る。増殖培地は、典型的には、コンタミネーションを防ぐために、例えば紫外光、加熱、照射又は濾過によって使用前に滅菌される。1種以上の培地は、貯蔵又は輸送のために凍結(例えば、約−20℃又は−80℃で)され得る。1種以上の培地は、コンタミネーションを防ぐために1種以上の抗生物質を含有し得る。

0145

キットは、初代胆組織から初代胆管細胞を分離するためのブラシ又はスクレイパー等の試料採取器を更に有し得る。キットは、組織試料から胆管細胞を機械的に分離するためのプレート又は容器と、組織破片から細胞を分離するための遠心分離管とを更に有し得る。

0146

キットは、細胞の抽出前に組織を保存するための保存培地を更に有し得る。適切な培地としては、UW溶液(例えば、Vivaspin(商標))並びに生存促進性サイトカイン及び/又はRock阻害剤が補充されたウィリアムE培地が挙げられる。

0147

キットは、洗浄培地を更に有し得る。適切な洗浄培地としては、EGF及びRock阻害剤が補充されたウィリアムE培地が挙げられ得る。

0148

キットは、ROCK阻害剤等の生存促進性サイトカインを更に有し得る。

0149

キットは、プレートヒーターを更に有し得る。

0150

キットは、冷凍保存溶液を更に有し得る。適切な冷凍保存培地は、先に記載されている。

0151

1つ以上の培地は、1倍配合物又はそれより濃縮された配合物、例えば2倍〜250倍濃縮された培地配合物であり得る。1倍配合物では、培地中の各成分は、細胞培養を目的とする濃度、例えば上記の濃度である。濃縮された配合物では、1つ以上の成分が、細胞培養を目的とする濃度よりも高い濃度で存在する。濃縮された培養培地は、当該技術分野においてよく知られている。培養培地は、既知の方法、例えば塩沈殿又は選択的濾過を使用して濃縮され得る。濃縮された培地は、使用のために水(好ましくは、脱イオンされ蒸留された)又は任意の適切な溶液、例えば生理食塩水溶液水性緩衝液若しくは培養培地で希釈され得る。

0152

キット中の1つ以上の培地は、気密封止された容器中に収容され得る。気密封止された容器は、培養培地の輸送又は貯蔵につき、コンタミネーションを防ぐために好ましい場合がある。容器は、フラスコ、プレート、ボトルジャーバイアル又はバッグ等の任意の適切な容器であり得る。

0153

本発明の別の態様は、初代胆管細胞のin vitro増殖のための、上皮成長因子(EGF)と、非古典的Wntシグナル伝達増強剤と、古典的Wntシグナル伝達阻害剤とを含む増殖培地の使用を提供する。

0154

本発明の他の態様及び実施形態は、「からなる(consisting of)」の用語によって置き換えられる「含む、有する(comprising)」の用語を伴う上に記載される態様及び実施形態、並びに「本質的にからなる(consisting essentially of)」の用語によって置き換えられる「含む、有する(comprising)」の用語を伴う上に記載される態様及び実施形態を提供する。

0155

本出願は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、あらゆる上の態様及び上に記載される実施形態の互いとの全ての組み合わせを開示することが理解される。同様に、本出願は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、好ましい及び/又は任意の特徴の単独の又はあらゆる他の態様との全ての組み合わせを開示する。

0156

上の実施形態の変形形態、更なる実施形態及びそれらの変形形態は、本開示を読むことによって当業者に明らかとなり、それら自体が本発明の範囲に含まれる。

0157

本明細書で言及される全ての文書及び配列データベースエントリは、全ての目的に対してそれらの全体が引用することにより本明細書の一部をなす。

0158

本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、2つの明示される特徴又は成分の各々の他方を含む又は他方を含まない具体的な開示として理解される。例えば、「A及び/又はB」は、(i)A、(ii)B、並びに(iii)A及びBの各々の具体的な開示として、それぞれが本明細書において個別に述べられているかのように理解される。

0159

ここで、本発明の或る特定の態様及び実施形態を例として、また上に記載される図面を参照して解説する。

0160

実験
1.方法
1.1 初代胆管組織
初代胆組織(胆管又は胆嚢)を、移植のために臓器摘出される死亡した臓器ドナーから取得した。ドナーの家族からインフォームドコンセントを得た後に、臓器摘出手術の間に胆嚢又は胆管の一部を切除した(REC受付番号:12/EE/0253、NRESCommittee East of England−Cambridge Central及び15/EE/0152 NRES Committee East of England−Cambridge South)。

0161

1.2 初代胆管細胞の分離
切除した胆管セグメントを10cmのプレートに置き、ウィリアムE培地(Gibco社、Life Technologies社)で1回洗浄した。切除した胆管セグメントの壁に沿って縦方向切開を行い、内腔を露出させ、10ml〜15mlのウィリアムE培地を加えて、組織を覆った。培地中に浸しながら、外科用ブレードを使用して内腔上皮をスクレイピングした。上清収集し、組織及びプレートをウィリアムE培地で2回〜3回洗浄して、全ての残りの細胞を採取した。上清及び洗浄液を、444gで4分間遠心分離した。ペレットをウィリアムEで洗浄し、再遠心分離し、上清を廃棄した。

0162

切除した胆嚢を15cmのプレートに置き、切除した胆嚢の壁に沿って縦方向の切開を行い、内腔をウィリアムE培地(Gibco社、Life Technologies社)で1回洗浄した。上記の方法に従って、胆管細胞を分離及び採取した。

0163

ブラッシングによる分離のために、切除された胆管セグメントを10cmのプレートに置き、ERCPブラシを使用して挿管した。内腔を10回〜20回ブラッシングし、40ml〜50mlのウィリアムE培地が入ったファルコンチューブ中で数回ブラシを洗浄することにより細胞を採取した。

0164

1.3 ECOの作製及び培養
分離された初代胆管細胞を444gで4分間遠心分離し、66%のmatrigel(BD Biosciences社、カタログ番号:356237)と、33%のウィリアムE培地(Gibco社、Life Technologies社)に10mMのニコチンアミド(Sigma-Aldrich社)、17mMの重炭酸ナトリウム(Sigma Aldrich社)、0.2mMの2−ホスホ−L−アスコルビン酸三ナトリウム塩(Sigma-Aldrich社)、6.3mMのピルビン酸ナトリウム(Invitrogen社)、14mMのグルコース(Sigma-Aldrich社)、20mMのHEPES(Invitrogen社)、ITS+プレミックス(BD Biosciences社)、0.1μMのデキサメタゾン(R&D Systems社)、2mMのグルタマックス(Invitrogen社)、100μg/mlのストレプトマイシン当たりに100U/mlのペニシリン、20ng/mlのEGF(R&D Systems社)、500ng/mlのR−スポンジン(R&D Systems社)及び100ng/mlのDKK−1(R&D Systems社)が補充されたものとの混合物に再懸濁した。細胞懸濁液を、24ウェルプレートフォーマットにおいて、matrigelの小さなドームが各ウェルの中心に形成されるように50μl/ウェルで播種し、その後にそれが固化するまで10分〜30分にわたり37℃でインキュベートした。添加物を含むウィリアムE培地1mlを加えた。培養培地は48時間毎に交換した。

0165

細胞を分離させるために、matrigelを、Cell Recovery Solution(Corning社)を加えることにより4℃で30分間消化した。得られた細胞懸濁液を採取し、444gで4分間遠心分離し、ウィリアムE培地で1回洗浄し、上記のように66%のmatrigel及び添加物を含む33%のウィリアムE培地中で再懸濁した。

0166

全ての実験は、別段の定めがない限り20代継代のECOを使用して実施した。

0167

1.4細胞系統識別
各ECO系統に対応するドナーのデモグラフィックデータを以下の表に示す。取得後に、ECO系統を、その核型を元のドナーの性別整合させることにより確認した。それらの系統を定期的に試験して、マイコプラズマのコンタミネーションについて陰性であることを確かめた。

0168

0169

1.5免疫蛍光、RNA抽出、及び定量的リアルタイムPCR
IF、RNA抽出及びQPCRを、Sampaziotis F.ら(Biotechnol. 2015 1-11, doi: 10.1038/nbt.3275)に記載されるように実施した。

0170

全てのQPCRデータは、別段の定めがない限り、4つの独立したECO系統の中央値、四分位範囲(IQR)及び範囲(最小から最大まで)として表される。値はハウスキーピング遺伝子のヒドロキシメチルビラン合成酵素(HMBS)を基準とする。

0171

全てのIF画像は、Zeiss社のAxiovert 200M倒立顕微鏡又はZeiss社のLSM700共焦点顕微鏡を使用して取得した。Imagej 1.48kソフトウェア(Wayne Rasband、NIHR、米国、http://imagej.nih.gov/ij)を画像処理のために使用した。

0172

1.6マイクロアレイ
マイクロアレイ分析用のRNAを、3つの異なるECO系統(n=3)から収集した。SpectroStar(BMG Labtech社、英国、アリスバーリー)及びBioanalyser(Agilent Technologies社、英国、チードル)を使用して、RNAを濃度及び品質について評価した。マイクロアレイ実験を、ケンブリッジ大学のCambridge Genomic Servicesで、HumanHT−12 v4 Expression BeadChip(Illumina社、英国、チェスターフォード)を使用して製造業者使用説明書に従って実施した。簡潔には、200ngの総RNAを、Illumina TotalPrep RNA Amplification Kit(Life Technologies社、英国、ペイズリー)を使用して製造業者の使用説明書に従って線形増幅させた。得られたcRNAの濃度、純度及び完全性を、SpectroStar及びBioanalyzerによって計測した。最後に、cRNAをHumanHT−12 v4 BeadChipに一晩ハイブリダイズさせた後に、洗浄し、染色し、そしてBead Array Reader(Illumina社)を使用してスキャンした。生データを、Bioconductorのlumiパッケージ(Du P et al.; Bioinformatics 2008 24:1547-8)を使用してRにロードし、比較される群に応じてサブセットに分割した。所与の比較に関係する試料のみが使用される。次いで、サブセットをIllumina社からの検出p値を使用してフィルタリングして、非発現プローブを除去した。全ての試料にわたって、強度値がネガティブコントロールと統計的に有意に異ならない(P>0.01)プローブを、分析から除去した。フィルタリング後に、データをlumiからの分散安定化変換(Lin et al., Nucliec AcidsRes. 2008, 36)を使用して変換した後に、quantile正規化を使用して正規化することで、アレイ間の技術的変動を除去した。limmaパッケージ(Smyth GK, Stat Appl Genet Mol Biol 2004 3)を使用して、多重検定のために発見率(FDR)補正を使用して補正された結果との比較を行った。最後にデータの品質を、群内の試料間での相関一緒に評価した。

0173

ECOの総合的な転写「シグネチャ」に相当するHEPとECOとの間で発現が異なるプローブを、Perseusソフトウェア(MaxQuant)を使用してユークリッド階層クラスタリングのために選択した。種々の条件にわたるlog2正規化プローブ発現値の標準スコア(z−スコア)を計算し、この分析のために使用した。ヒートマップ及び主成分分析(PCA)プロットは、MaxQuant Perseusソフトウェア(Tyanova S et al., Nat. Methods2016 13:731-40)を使用して作成した。NIAID/NIHのDatabase for Annotation,Visualization and Integrated Discovery(DAVID) v6.8(Huang D.W. et al., Nat. Protoc. 2008, 4:44-57)を使用して、機能的アノテーション及び遺伝子オントロジー解析をPCとECOとの間で発現が異なる遺伝子に対して行った(図1d)。

0174

1.7ウェスタン分析
総タンパク質を、溶解バッファー(50mMのTris(pH8)、150mMのNaCl、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、1%のTrition X−100並びにプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤)を用いて抽出した。タンパク質濃度を、BCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific社)によって製造業者の使用説明書に従って測定した。1%のβ−メルカプトエタノールを含む1×NuPAGE LDSサンプルバッファーを添加することによりウェスタンブロットのために試料を調製し、95℃で5分間インキュベートした。タンパク質(25μg)を、4%〜12%のNuPAGE Bis−Trisタンパク質ゲル(Invitrogen社)により分離し、PVDFメンブレン(Bio-Rad社)に転写した。タンパク質を、ホスホ−β−カテニン(Ser33/37/Thr41)(Cell Signalling Technology社)、活性β−カテニン(Millipore社)、総β−カテニン(R&D社)、α−チューブリン(Sigma社)に特異的な抗体でプロービングした後に、西ワサビペルオキシダーゼ抗マウス抗ヤギ又は抗ウサギ二次抗体と一緒にインキュベートすることによって検出した。メンブレンを、PierceECLウェスタンブロッティング基質(Thermo Scientific社)を使用して製造業者の使用説明書に従って現像した。

0175

1.8Rhoキナーゼ活性分析
Rhoキナーゼ活性を、市販のキット(Cell Biolabs社、STA−416)を使用して製造業者の使用説明書に従って計測した。

0176

1.9フローサイトメトリー分析
ECOオルガノイドを、Cell Recovery Solution(Corning社)を4℃で30分間使用して採取し、444gで4分間遠心分離し、TrypLE(商標)Express(Gibco社)を使用して単一細胞に解離させた。細胞を4%のPFAを使用して4℃で20分間にわたり固定した。細胞染色及びフローサイトメトリー分析は、Sampaziotis F.ら(Biotechnol. 2015 1-11, doi: 10.1038/nbt.3275)及びBertero A.ら(Genes Dev. 2015 29:702-17)に記載されるように実施した。

0177

1.10核型分析
ECOオルガノイドを、Cell Recovery Solution(Corning社)を使用して採取し、上記のように単一細胞に解離させ、ゼラチン被覆プレートに播種し、添加物を含むウィリアムE培地を使用して培養した。細胞がサブコンフルエントになったときに、通常は72時間後に、培養物を、0.1μg/mlのコルセミド(Karyomax(商標)、Gibco社)を含有する添加物を含むウィリアムE培地と一緒に3時間〜4時間にわたりインキュベートした。次いで、トリプシン−EDTA(0.05%)(Gibco社)を37℃で4分間〜5分間使用して細胞を採取し、344gで5分間遠心分離し、5mlのKCl低張液(0.055M)中で再懸濁した。懸濁液を344gで5分間再遠心分離し、3:1の100%メタノール氷酢酸溶液2mlを加え、記載されるように(Campos P.B. et al., J. Vis. Exp 2009 4-7)スライドを調製した。

0178

1.11比較ゲノムハイブリダイゼーション分析
ゲノムDNAを、BioPrime DNA Labeling Kit(Invitrogen社)を使用して製造業者の使用説明書に従って標識し、試料をAgilent社のSureprint G3 unrestrictedCGH ISCA8x60Kヒトゲノムアレイに製造業者のプロトコルに従ってハイブリダイズさせた。データを、Agilent CytoGenomicsソフトウェアを使用して分析した。

0179

1.12ローダミン123輸送アッセイ
ローダミン123輸送アッセイは、Sampaziotis F.ら(Nat. Biotechnol. 2015, 1-11)に記載されるように実施し、画像をZeiss社のLSM700共焦点顕微鏡を使用して取得した。蛍光強度をオルガノイド内部と外部との間で計測し、内腔の蛍光を腔外空間のバックグラウンドに対して正規化した。各実験は3連で繰り返した。エラーバーは、標準偏差を表す。

0180

1.13コリル−リジル−フルオレセイン輸送アッセイ
コリル−リジル−フルオレセイン(CLF、Corning Incorporated社)による負荷を実現するために、ECOオルガノイドを5μMのCLF中で分割し、37℃で30分間インキュベートした。Zeiss社のLSM700共焦点顕微鏡を使用して画像を取得し、ローダミン123輸送アッセイについて説明したように、オルガノイド内部と外部との間で蛍光強度を計測した。観察されたCLF蛍光強度の変化がオルガノイド内腔からのCLFの能動的排出に続発することを裏付けるために、5μMの非共役フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Sigma-Aldrich社)をコントロールとして用いて実験を繰り返した。蛍光強度測定は、ローダミン123輸送アッセイについて記載したように実施した。

0181

1.14GGT活性
GGT活性を、MaxDiscovery(商標)γ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)酵素アッセイキット(Bioo Scientific社)を使用して製造業者の使用説明書に基づいて3連で計測した。エラーバーは、標準偏差を表す。

0182

1.15アルカリホスファターゼ染色
アルカリホスファターゼを、BCIP/NBT発色基質(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェートニトロブルーテトラゾリウム)(Promega社)を使用して製造業者の使用説明書に従って実施した。

0183

1.16セクレチン及びソマトスタチンへの応答
セクレチン及びソマトスタチンへの応答は、Sapazoits Fら(Biotechnol. 2015 1-11)に記載されるように評価した。

0184

1.17緑色蛍光タンパク質を発現するECOの作製
EGFPを発現するVSV−G偽型の組み換えHIV−1レンチウイルス粒子を、3つのプラスミドをHEK 293T細胞(ATCCCRL−11268)に一過性同時トランスフェクションすることにより、最適化された第2世代パッケージングシステムを用いて作製した。EGFP発現は、コアEF1αプロモーターの制御下にある。全てのプラスミドは、Didier Tronoからの寄贈であり、addgene社から取得した(pWPT−GFP番号12255、psPAX2番号12260、pMD2.G番号12259)。オルガノイドのウイルス感染は、Koo, B-Kら(Curr. Protoc. Stem Cell Biol. 2013, 27 Unit 5A.6)に記載したように実施した。感染したECOを2代継代にわたり増殖させ、フローサイトメトリー分析について上記したように採取し、GFP陽性細胞のためのフローサイトメトリーによるセルソーティングを実施した。GFPを発現する単一細胞を、本発明者らの標準的な播種法を使用して播種し、添加物を含むウィリアムE培地中で、完全に成長したECOオルガノイドに発達するまで1週間〜2週間にわたり培養した。

0185

1.18 ECOが定着したPGA足場の作製
密度50mg/ccを有する1mmの厚さのポリグリコール酸(PGA)足場を全ての実験のために使用した。細胞を播種する前に、PGA足場を1MのNaOHで10秒間〜30秒間前処理して3回洗浄し、70%のエタノール溶液で30分間デコンタミネーションさせた後に、全てのエタノールが完全に蒸発するまで更に30分間風乾させた。全ての足場は、Biomedical Structures社(Biofelt)から得た。

0186

フローサイトメトリー分析について上記したように、ECOを採取して単一細胞へと解離させた。5〜10×106個の細胞を、添加物を含むウィリアムE培地100μl中に再懸濁し、1cm2の足場表面積上に播種し、37℃で30分間〜60分間インキュベートして、細胞を足場に付着させた。それらの足場を、24ウェルプレートのウェル中に入れて、培地が蒸発しないことを保証するためにこの期間の間に規則的な間隔で確認した。必要に応じて、添加物を含むウィリアムE培地10μl〜20μlを加えた。1時間後に、添加物を含むウィリアムE培地2ml〜3mlをウェルに加え、培地を週に2回交換した。

0187

1.19高密度化コラーゲン管の作製
高密度化コラーゲン管は、新規アプローチを使用して製造した。漏斗状部品底板とからなる3D印刷されたチャンバーを作製した。250μmの太さの金属ワイヤを、漏斗の中心を通して送り底板中に取り付けた。2つの3D印刷された部品の間に吸収性のペーパータオルを詰め込んだ後に、それらを共に螺合させた。細胞を負荷したコラーゲンゲル溶液5mg/mLを漏斗中に注ぎ込み、37℃で30分間にわたりゲル化させた。その後にネジを緩め、3D印刷されたチャンバーを37℃で2時間〜4時間置くことにより、コラーゲンゲルから水を抜き取った。こうして、乾燥段階持続時間によって決定される250μmの内腔及び30μm〜100μmの壁厚を有する細胞負荷された高密度化コラーゲン管が形成された。チャンバーから取り出したら、管の余分なコラーゲンを切り落とし、必要な長さに切断した。

0188

1.20ヒト乳腺上皮細胞(HMEC)の培養
HMEC及び必要な組織培養消耗品は、Lonza社からキットとして購入し(カタログ番号CC−2551B)、細胞を供給業者の使用説明書に従って培養した。

0189

1.21動物実験
全ての動物実験は、英国内務省規制(英国内務省プロジェクトライセンス番号PPL80/2638及びPPL 70/8702)に従って実施した。Bリンパ球Tリンパ球及びNKリンパ球を欠如する免疫不全OD.Cg−Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウス(Shultz L.D. et al., J. Immunol. 2005 174:6477-6489)を、手順前後に食餌及び水の自由飲食にてインハウス飼育した。約6週齢〜8週齢の雄と雌とが混ざった動物を使用した。使用された全てのECO構築物に、総胆管由来のECOを定着させた。

0190

1.22肝外胆管損傷(EHBI)マウスモデルの作製
肝外胆管損傷のモデルを作製するために、正中線開腹術を実施し、イソフルラン全身麻酔下でその基底部前腹壁に連結する靭帯付着部を分割することにより、胆嚢をまずは授動させた。次いで、胆嚢の長さの2/3に沿って基底部からハルマン(胆嚢頸部)に向かって縦切開を行った。

0191

1.23 EHBIマウスにおける胆管再建
胆嚢を再建するために、約1×1mmの寸法の足場セクション(ECOが播種される又はコントロールではECOは播種されない)を「パッチ」として縫合し、欠損部を40倍率下で4箇所〜6箇所の10’0の非吸収性ナイロン結節縫合糸を使用して閉じた。開腹は、2層で5’0の吸収性Vicryl連続縫合糸により閉じた。動物にブプレノルフィン(temgesic 0.1mg/kg)鎮痛薬ボーラスとして投与し、完全に回復するまで個々のケージで15分毎に観察した。

0192

1.24胆管置換
天然の総胆管を分割して、短いセグメントを切除した。定着された高密度化コラーゲン管を、分割された近位総胆管と遠位総胆管との間で10’0のナイロン結節縫合糸を使用して端々吻合した。長さ5’0のナイロン縫合材料(直径100μm)をコラーゲン管に挿入し、近位総胆管及び遠位総胆管へと送ることで、吻合の間の内腔の開通性を確保した。吻合が完了した後に、遠位胆管を通じて5’0の縫合糸を十二指腸に押し込み、十二指腸の切開部から取り出した後に、10’0のナイロン結節縫合糸で閉じた。内腔の開通性は、移植の時点で光学顕微鏡検査及び5’0の非吸収性縫合糸による内腔の挿管によって評価した。細胞浸潤により管が完全に閉塞された場合に、移植は無益であるので断念された。これらの事象は、外科合併症ではなく構築物/管の障害とみなされるため、生存分析において打ち切らなかった。

0193

1.25胆管結紮
C57BL/6マウスを、Jackson Laboratory社(メイン州、バーハーバー)から購入した。マウスを、オスロのリクシスピタレットにあるオスロ大学病院動物施設の最小病棟に収容して飼育した。全ての実験は、8週齢から12週齢の間の雄のマウスに対して行った。正中線開腹術を行い、総胆管を露出させ、肝胆管の接合部近くで結紮した。偽手術マウスには、結紮せずに同じ手順を行った。血清を5日後に採取した。アラニントランスアミナーゼALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼAST)及びアルカリホスファターゼ(ALP)を、血清中でADVIA 1800(Siemens社)を使用してノルウェー獣医学校の中央研究所で計測した。全ての動物実験はノルウェー食品安全局(プロジェクトライセンス番号FOTS 8210/15)によって承認され、全ての動物は「実験動物の管理と使用に関する指針」(アメリカ国立衛生研究所出版、第8版、2011年)に沿って人道的管理を受けた。

0194

1.26血液試料収集及び処理
動物を選択し屠殺する時点で終末麻酔下にて下大静脈から直接的に23gの針を使用して採血し、更なる処理のために1.5ml容エッペンドルフチューブに移した。

0195

血液試料を、ケンブリッジ大学のコアバイオケミカルアッセイ研究所(Core biochemical assay laboratory)(CBAL)によって通常通りに処理した。試料分析の全ては、Siemens社のDimension EXLアナライザーにおいてSiemens社により供給される試薬及びアッセイプロトコルを使用して実施した。

0196

1.27光学顕微鏡イメージング
切除された再建された胆嚢の光学顕微鏡画像は、Leica社のMZFLIII蛍光解剖顕微鏡を使用して取得した。画像は5匹の動物の代表的なものである。

0197

1.28凍結切片及び組織学
切除した胆嚢を4%のPFA中で固定し、スクロース溶液に一晩浸し、最適切断温度(OCT)化合物中に包埋し、切片化するまで−80℃で貯蔵した。クライオスタットミクロトームを使用して切片を10μmの厚さに切断し、更なる分析のために顕微鏡スライド上で封入した。

0198

1.29ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色
H&E染色は、Sigma-Aldrich社の試薬を使用して製造業者の使用説明書に従って実施した。簡潔には、組織切片水和し、マイヤーのヘマトキシリン液で5分間処理し(Sigma-Aldrich社)、温かい水道水で15分間洗浄し、蒸留水中に30秒間〜60秒間置いて、エオシン溶液(Sigma-Aldrich社)で30秒間〜60秒間処理した。切片を脱水し、Eukitt(商標)速硬性封入剤(Sigma-Aldrich社)を使用して封入した。組織学切片は、肝胆管組織学に特に関心を持つ独立した組織病理学者によって再調査された。

0199

1.30 TUNELアッセイ
TUNELアッセイは、市販のキット(abcam社、ab66110)を使用して製造業者の使用説明書に従って実施した。

0200

1.31フルオレセインイソチオシアネート(FITC)胆管造影
in situでのFITC胆管造影は、屠殺された動物において、付着肝葉を有しない胆嚢を解剖した後であるが肝外胆管系の外科的切離の前に行われた。遠位胆管に23と1/2ゲージの針を挿管し、FITCを胆嚢に逆行的に注入し、蛍光顕微鏡下で撮像した。

0201

1.32磁気共鳴胆管膵臓造影(MRCP)
磁気共鳴胆管膵臓造影は、動物の屠殺後に実施した。MRCPは、Bruker BioSpec 47/40システムを使用して4.7Tで実施した。緩和促進を伴う高速取得のシーケンスを、9.5ms間隔で40エコーエコートレイン長、1000msの繰り返し時間、5.84×4.18×4.18cm3の撮像視野と共に256×180×180のマトリックスにより使用することで、230μmの等方性解像度が得られた。Bruker社により提供されるアクティブデカップリングされた4チャンネルマウス心臓アレイ(actively-decoupled four-channel mouse cardiac array)を撮像に使用した。

0202

撮像された2番目のマウスについては、信号対雑音比をより高くして胆管の視覚化を改善するために、2次元シーケンスを、僅かに変更したパラメーター(11ms間隔で24の離れたエコーにより、110msの有効エコー時間が得られる;繰り返し時間5741ms;マトリックスサイズ256×256;撮像視野4.33×5.35cm2により、平面解像度170×200μm2が得られる)で使用した。15枚のスライスを、厚さ0.6mmで肝臓及び胆嚢を通して状に取得した。この取得のために、ボリュームコイルを使用して、無線周波数不均一性の影響を減らした。

0203

胆管及び胆嚢を検査するために、最大値投影法により画像を作成した。腫瘍成長を除外する構造イメージングを、25°のフリップ角、14msの繰り返し時間及び7msのエコー時間でT1加重3DFLASH(高速低角度励起)シーケンスを使用して実施した。マトリックスは512×256×256であり、撮像視野は5.12×2.56×2.56cm3であり、最終的な等方性解像度は100μmであった。MRCP画像は、肝胆管放射線学に特に関心を持つ2人の独立した放射線学者によって再調査された。

0204

1.33統計分析
全ての統計分析は、GraphPad Prism 6を使用して行った。記述統計が適切でない小さなサンプルサイズの場合には、個々のデータ点をプロットした。2つの平均値を比較するために、両側スチューデントt検定を使用して、統計的有意性を計算した。本発明者らの値の正規分布は、適宜、ダゴスティーノ・ピアソン総括的な正規性検定を使用して確認した。サンプル間の分散は、ブラウンフォーサイス検定を使用して検定された。多群と参照群との比較のために、分散が等しい群間で多重比較のためにダネット補正を伴う一元配置分散分析を使用し、その一方で、分散が等しくない群には、多重比較のためにダンの補正を伴うクラスカル・ワリス検定を適用した。生存率は、ログ・ランク(マンテルコックス)検定を使用して比較した。反復数(n)が与えられている場合に、これは、別段の定めがない限りECO系統又は異なる動物の数を指す。

0205

2.結果
2.1ヒト肝外胆管細胞はオルガノイドとして成長し得る
本発明者らはまず、胆管系の内腔表面を覆う単層を形成する胆管上皮から初代胆管細胞を分離するための最適条件の特定に焦点を絞った(Kanno N. et al., Hepatology 2000 31:555-61)。本発明者らは、これらの細胞を回収するために、機械的スクレイピング並びにトリプシン又はコラゲナーゼ及び/又はディスパーゼによる酵素的消化を含む幾つかのアプローチを試験した(図1)。胆管内腔をブラッシング又はスクレイピングすることによる機械的解離は、酵素的消化と比較して生存率の改善を伴った(図1及び図2)。さらに、得られた細胞の大部分は、胆管マーカーCK7及びCK19を共発現したが(94.6%±2.4%、標準偏差;n=3)、間葉系細胞型からのコンタミネーションは検出されなかった。したがって、機械的解離は、肝外胆管細胞を採取するための最適な方法とみなされる。

0206

これらの細胞の維持及び成長のために適切な条件を見分けるために、ヒト人工多能性幹細胞由来の肝内胆管細胞の3D培養用に確立されたシステムを最適化した(Sampaziotis F. et al., Biotechnol. 2015 -11、Sampaziotis F. et al., Nat. Protoc. 12:814-827)。胆管細胞及び上皮オルガノイドの増殖に対応することが知られている多数の成長因子のスクリーニング(LeSage, G et al., Liver 2001 21:73-80、Huch M et al., Cell 2014 160:299-312)により、上皮成長因子(EGF)、R−スポンジン及びDickkopf関連タンパク質1(DKK−1)の組み合わせが、初代胆管細胞のオルガノイドへの成長を促進するのに十分であると特定された(図4)。

0207

Wnt増強剤(R−スポンジン)及び阻害剤(DKK−1)の両方について矛盾するとみられる要求のため、本発明者らは、ECOにおける古典的及び非古典的/PCP Wnt経路の活性の特性評価を行った。本発明者らの結果は、R−スポンジンで処理されたがDKK−1で処理されていない細胞と比較して、ECOにおけるβ−カテニンのリン酸化が高いことを裏付けており(図5)、これらの細胞において古典的WNT経路の活性がより低いことを意味する。さらに、ECOは、R−スポンジンで処理されたがDKK−1で処理されていない細胞と比較して、より高いRhoキナーゼ活性を示し(図6)、それはECOにおける非古典的/PCPシグナル伝達の増強と一致している。したがって、非古典的Wntシグナル伝達はECO増殖を制御し、以前のオルガノイド培養条件(Huch M et al.; Cell 2014 160:299-312)との顕著な違いが示される。

0208

これらの条件下で、本発明者らは、33から77歳までの様々な死亡したドナーから8種類のECO系統を得た。特に、胆嚢から分離された胆管細胞を使用するか、又は内腔をスクレイピングするのではなく内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)ブラシを使用して総胆管の胆管細胞を採取することにより、同様の結果が得られた(図7)。重要なことには、本発明者らのシステムは、生検組織又はソーティングされた胆管細胞からの肝内CO(ICO)を得るためにも使用された(図27)。したがって、COは、胆管系(肝内、肝外又は胆嚢)のどの領域からも得られ、周術期(解剖、スクレイピング又はコラゲナーゼ及びリベラーゼ等の酵素を使用する酵素的解離)アプローチ又は低侵襲性(ERCPブラッシング、肝生検)アプローチを使用して採取され得る。

0209

2.2 ECOは、培養において主要な胆管マーカー及び機能を維持する
得られた細胞は、in vitroでそれらの遺伝的安定性を維持しながら長期間(20代継代)にわたり増殖された。電子顕微鏡検査により、繊毛、微絨毛及び密着結合を含む特徴的な微細構造的特徴の存在が明らかになり、一方で、QPCR及び免疫蛍光(IF)分析により、図8及び図28に示されるように、サイトケラチン7(KRT7又はCK7)、サイトケラチン19(KRT19又はCK19)、肝細胞核因子1ベータ(HNF1B)、GGT、セクレチン受容体(SCTR)、ナトリウム依存性胆汁酸輸送体(ASBT/SLC10A2)、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子(CFTR)及びSRY−box 9(SOX9)(Sampaziotis F. et al., Biotechnol. 2015 1-11)等の主要な胆管マーカーの発現が確立された。重要なことには、本発明者らの培養システムは、胆管細胞オルガノイドの増殖のみを可能にする。肝細胞等の他の肝細胞型は、肝マーカーの下方調節によって示されるように、成長しない(例えば、図28を参照)。

0210

注目すべきことに、POU5F1又はOCT4、NANOG、プロミニン1(PROM1)、ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役受容体(LGR)LGR−4/5/6等の幹細胞マーカー、アルブミン(ALB)、α1−アンチトリプシン(SERPINA1又はA1AT)、ケラチン18(KRT18)、膵臓及び十二指腸ホメオボックス1(PDX1)、インスリン(INS)及びグルカゴン(GCG)を含む非胆管系譜のマーカー、並びにEMTマーカー(ビメンチン(VIM)、snailファミリー転写リプレッサー1(SNAI1)及びS100カルシウム結合タンパク質A4(S100A4))は検出されなかった。他方で、20代継代した後に細胞の98.1%±0.9%(標準偏差;n=3)は、CK7及びCK19を共発現し、それにより胆管細胞のほぼ均質な集団の存在が確認された。

0211

トランスクリプトーム解析図9)により、ECOが、多重継代にわたり安定した遺伝子発現プロファイルを維持し(1代継代(P1)対20代継代(P20)についてのピアソン相関係数r=0.99)、主要な胆管マーカーを発現し、分離したての胆管細胞の近くでクラスター形成する(初代胆管細胞(PC)対20代継代(P20)についてのピアソン相関係数r=0.92)が明らかになった。遺伝子オントロジー分析により、胆管上皮に特徴的な経路の濃縮が確認された。これは、肝外胆管系に由来する初代胆管細胞が、本来の特性を失うことなくin vitroで増殖し得ることを裏付けている。胆管細胞オルガノイド(CO)由来の細胞の単一細胞RNAシーケンシングにより、COが、特に主要組織適合性複合体分子等のマーカー及び細胞周期遺伝子の発現に関して、初代胆管細胞とは異なるトランスクリプトームシグネチャを示す(図32及び図33)ことが分かった。

0212

次いで、本発明者らは更に、長期培養(20代継代)後のそれらの機能に焦点を絞ることによりECOの特性決定を行った。胆管上皮は、イオン、水及び胆汁酸の輸送を通じて胆汁の恒常性を調節する。ECOの分泌能力を、胆管細胞表面糖タンパク質多剤耐性タンパク質−1(MDR1)のための蛍光性基質であるローダミン123を使用して調べた(図10及び図11)。ローダミン−123は、MDR−1アンタゴニストのベラパミルの不存在下でのみECO内腔に蓄積し、それによりMDR−1による能動的な分泌が確認された。胆汁酸の腔内排出は、蛍光性胆汁酸のコリン−リジル−フルオレセイン(CLF)がECOから能動的に移出されたことを示すことによっても裏付けられた(図12図13及び図31)。さらに、ECOのALP活性及びGGT活性は、播種したての初代胆管細胞に匹敵した(図14図29及び図30)。ECOのセクレチン及びソマトスタチンへの応答も評価した。セクレチンは、水分泌を促進し、胆管内腔を拡張させるが、ソマトスタチンはセクレチンの効果を打ち消す。したがって、セクレチンに曝されたオルガノイドは、未処理のコントロールと比較してその直径を増大させたが、ソマトスタチンは、セクレチンの効果を阻害した(図15)。

0213

したがって、本発明者らのデータは、ECOがそれらの機能的特性を長期培養後でさえも維持することを裏付けている。

0214

2.3 ECOが定着した足場は、胆嚢壁を再建する
ECOの組織エンジニアリングのための可能性を評価するために、本発明者らは、組織再建に必要とされる構造的かつ機械的な支持物を提供するために通常使用されるポリグリコール酸(PGA)の生分解性足場にそれらが定着する能力を調べた。実際、PGAは最も広く使用される合成ポリマーの1つである。それというのも、PGAは、周辺組織において炎症応答を誘発せず、生分解性であり、かつコラーゲン等の天然ポリマーと比較して、より柔軟で加工が容易であるからである。細胞のトラッキングを容易にするために、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するECOを、ウイルス形質導入により作製した。得られた細胞をPGA足場に播種し、24時間〜48時間後にPGA繊維に付着させ、足場がコンフルエントになるまで4週間成長させ続けた。注目すべきことに、2D条件で成長させた初代胆管細胞は、限られた増殖能力しか示さず(図16)、足場に播種した場合にコンフルエンシーに達しなかった(図17)ことから、ECOの増殖能力が、足場へのコロニー形成成功に極めて重要であることを示唆している。定着されたPGA足場は、ピンセットで簡単に取り扱われ、手術用ブレードでより小さい部片へと分割された。足場に定着する細胞は、CK7及びCK19等の胆管マーカーの発現を保持し、上皮間葉転換(EMT)マーカーのCK19及びVIMの形跡を示さず、ALP活性及びGGT活性を含むそれらの機能的特性を維持した。したがって、ECOは、それらの機能性及びマーカー発現を維持しつつPGA足場に定着し、それにより胆管上皮に似た生体工学による組織を得ることができる。

0215

次いで、本発明者らは、肝外胆管損傷(EHBI)のマウスモデルにおいてECOが胆管上皮を修復する能力を定義することを決定した。胆管再建を必要とする胆管系壁の欠陥をシミュレートするために、健康なNSGマウスの胆管系を、胆嚢壁における縦方向の切開によって損傷させた(図18)。続いて、GFP−ECOが定着したPGA足場を、損傷した動物へと移植することにより胆嚢壁の手術による欠損を修復した。無細胞PGA足場及びGFPを発現する線維芽細胞が定着した足場をネガティブコントロールとして使用した。無細胞足場を受容した動物は手術の24時間以内に死亡し(図19)、死後検査により、胆汁漏出と一致する腹膜腔及び精嚢の黄色の色素沈着が明らかとなったが、一方で、線維芽細胞足場の群における全ての動物は、それらの胆嚢の再建に失敗し、胆嚢は胆汁の輸送又は貯蔵に不適合線維化組織に置き換わった。対照的に、ECOを含む足場が移植された動物は、合併症なしで最大104日間生存し、選択して屠殺した。とりわけ、ECO群において再建された胆嚢は、それらの天然の相当物の形態とそっくりに完全にリモデリングされた(図20)。ECO再建された胆嚢の組織学、IF及びQPCR分析により、KRT19、KRT7、HNF1B、SOX9、CFTR、及びKu80に対するヒト特異的エピトープ等の胆管マーカーを発現するGFP陽性ECOの組み込みが明らかになった。注目すべきことに、これらのIF分析により、ビメンチンを発現するマウス間葉系細胞及びCD31を発現する内皮細胞が、再建された胆管上皮に存在することも判明し、こうして移植後に内因性細胞が足場にコロニー形成することが示される。

0216

さらに、本発明者らは、GFP陽性/ビメンチン陽性/CK19陰性の細胞の集団も特定し、こうしてECOがin vivoで、おそらくEMTを通じて足場間質に寄与することも示唆される(図21)。

0217

再建された胆嚢内腔の完全性及び胆管系との連続性を通じた胆汁へのその曝露を、臓器の摘出前に磁気共鳴胆管膵臓造影(MRCP)イメージングを使用して裏付け、FITC胆管造影により更に確認した。死後の外科的検査及び移植104日後の全身磁気共鳴イメージングでは、腫瘍形成の形跡は認められず、IF分析では、隣接する肝組織におけるGFP陽性細胞が認められなかった。対照的に、線維芽細胞コントロールで再建された胆嚢は、胆嚢内腔の閉塞と、線維芽細胞特異的抗原S100A4を発現する線維芽細胞による内腔及び胆管上皮の置換とを示した。総合的に考えると、これにより、ECOがその生理適所にコロニー形成して、合併症を起こすことなく胆管系の一部を再生する能力が裏付けられた。

0218

2.4生体工学による胆管は、天然のマウス胆管を置換する
胆嚢壁の再建は、ECOが損傷後の胆管上皮を修復する能力の原理証明を提供した。しかしながら、肝外胆管障害の大部分は、総胆管(CBD)を冒す。したがって、本発明者らは、胆管置換手術に使用され得るECOが定着した管状の足場の作製に焦点を絞った。マウスCBDの内径は約100μmであり、壁厚は50μm未満であり、このため、機械的特性のためPGA足場を使用することができなかった。代わりに、本発明者らは、GFPを発現するECOが定着した(図23)高密度化コラーゲン管状足場(図22)を作製した。高密度化コラーゲンの使用により、外径が250μmから600μmまでの範囲にあり、開存内腔を維持するのに十分な強度を有する構築物の作製が可能となった。とりわけ、コラーゲン足場に定着している細胞は、KRT19、KRT7、HNF1B、SOX9及びCFTR等の胆管マーカーの発現を維持し、GGT酵素活性及びALP酵素活性を示した。異なる起源の初代上皮細胞(ヒト乳腺上皮細胞;HMEC)は、同じ条件下で生存して高密度化コラーゲン管に十分に定着することができなかった。さらに、播種されたHMECは、10%(容量/容量)の胆汁溶液中で生存することができず、こうして胆汁耐性の生体工学による胆管を作製するためのECOの特有の能力が更に確認された。まとめると、これらの結果は、当初の特性を失うことなく、ECOが管状の高密度化コラーゲン足場に定着する能力を裏付けている。

0219

次いで、本発明者らは、NGSマウスの天然のCBDを、上記のようなECOが定着した高密度化コラーゲン管からなる生体工学による管で置換することを決定した。天然のCBDの中央部分を除去し、ECOが定着したコラーゲン管を近位胆管及び遠位胆管の残部に端々吻合した(図24)。線維芽細胞が定着した管をネガティブコントロールとして使用した。胆管再建は、ECOが定着した管が移植された全ての動物で達成され、それらを移植後1ヶ月までの間追跡した。組織学及びIF及びQPCR分析により、開存内腔と共に、移植されたGFP陽性細胞による胆管上皮の形成が明らかとなり(図25)、生着細胞によるKRT19、KRT7、HNF1B、CFTR、SOX9等の胆管マーカーの発現が確認されたが、マウス間質細胞及び内皮細胞の存在も示された。さらに、移植された管において移植1ヶ月後に最小限のアポトーシス及び増殖しか観察されなかったことから、再建された胆管上皮の安定性及び完全性が確認される。内腔開通性を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)胆管造影、MRCP及び血清胆汁鬱滞マーカーの計測によって更に確認した(図26)。したがって、ECOが定着した管を受容した動物は、血清胆汁鬱滞マーカー(ビリルビン、ALP)の上昇を示さず、イメージングにおいて開存内腔を示した。一方で、生体人工総胆管は、in vivoでそのALP活性を保持していた。対照的に、線維芽細胞が定着した全てのコラーゲン管は、内腔閉塞のために機能しなくなり、その結果、高い胆管圧及び吻合部位を通じた胆汁漏出が生じた。

0220

結論として、本発明者らの結果は、ECOが定着したコラーゲン管がin vivoで天然のCBDを置換する能力を裏付けている。

0221

さらに、本発明者らは、4、4'−メチレンジアニリン(MDA)を投与することにより、NOD−SCIDマウスに胆管減少症を引き起こした。MDA投与後の胆管損傷の存在を、H&E染色によって確認した。次いで、RFPを発現するように操作されたヒトECOをマウスに注入し、生着及びRFPを発現するECOによる新生胆管の形成を、免疫蛍光分析によって評価した。マウスにおける種々のサイズの新生胆管の形成及び胆管マーカー発現(例えば、KRT19)の保持が観察された。これらの実験は、本明細書に記載される増殖された胆管細胞の集団が、肝外胆管症に加えて、肝内胆管症等の肝臓を冒す疾患に対する細胞ベースの治療において有用であり得ることを裏付けている。

0222

本明細書では、再生医療用途に適合する肝外胆管系及び肝内胆管系由来の初代ヒト胆管細胞の分離及び成長のための方法が開示されている。得られるECO及びICOは、KRT7、KRT19、GGT及びCFTR等の主要な胆管マーカーを発現し、ALP活性、GGT活性、並びにセクレチン及びソマトスタチンへの応答を含むそれらのin vitroでの機能的特性を維持する。ECO及びICOの組織エンジニアリング及び臨床応用への適性は、それらが生分解性足場に定着し、機能的胆管上皮へと組織化し、肝外胆管損傷のマウスモデルをレスキューする能力によって更に示される。

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