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課題・解決手段

本発明は、疾患を治療する方法、及びT細胞活性治療剤投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法に関する。本発明はさらに、疾患を治療する併用治療法及びそのような方法における使用のための抗体に関する。

概要

背景

B細胞増殖性疾患は、白血病リンパ腫の両方を含む悪性腫瘍の異種グループ記述する。リンパ腫はリンパ細胞から発生し、主に2つのカテゴリーホジキンリンパ腫(HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)が含まれる。米国においては、B細胞由来のリンパ腫はすべての非ホジキンリンパ腫症例の約80−85%を占めており、起源のB細胞における遺伝子型及び表現型発現パターンに基づいて、B細胞サブセット内にはかなりの異質性がある。例えば、B細胞リンパ腫サブセットには、濾胞性リンパ腫FL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)などの進行の遅い緩徐進行型で不治の疾患、並びにより攻撃的サブタイプマントル細胞リンパ腫(MCL)及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が含まれる。

B細胞増殖性疾患の治療のためのさまざまな薬剤利用可能性にもかかわらず、患者寛解延長し、治癒率を向上させるための安全で効果的な治療法の開発のための継続的な必要性がある。

現在調査されている戦略は、悪性B細胞に対するT細胞関与である。悪性B細胞に対してT細胞を効果的に関与させるために、最近2つの手法が開発された。これらの2つの手法は次のとおりである:1)生体外腫瘍細胞を認識するように操作されたT細胞の投与キメラ抗原受容体改変細胞療法[CAR−T細胞]としても知られる)(Maude et al., N Engl J Med (2014) 371,1507-1517);及び、2)二重特異性抗体など、内因性T細胞を活性化する薬剤の投与(Oak and Bartlett, Expert Opin Investig Drugs (2015) 24, 715-724)。

第1の手法の例は、Maudeらによる研究で報告されており、そこでは30人の成人及び小児患者が、CD19指向性キメラ抗原受容体レンチウイルスベクター形質導入された自己T細胞(CTL019 CAR−T細胞)で治療された。その結果、6か月のイベントフリー生存率67%及び全生存率78%に基づく持続的な寛解が得られた。しかしながら、すべての患者がサイトカイン放出症候群(CRS)(腫瘍負荷に関連する)を患っており、患者の27%が重度のCRSを患っていた。原因不明中枢神経系毒性も高頻度で認められた。

対照的に、腫瘍標的を認識するために内因性T細胞を活性化することを含む第2の手法は、このスケーラビリティハードルを回避し、競合的有効性、安全性データ、及び潜在的に長期の応答期間も提供することができる。異なるCD20+血液悪性腫瘍において、この手法は、微小残存病変陽性急性リンパ性白血病(ALL)を有する患者のために最近承認された、CD19 CD3標的指向性T細胞二重特異性分子であるブリツモマブによって最もよく実証されている(Bargou et al., Science (2008) 321, 974-977)。2つの単鎖Fv断片(いわゆるBiTE(登録商標フォーマット)からなるこの化合物は、細胞溶解性T細胞によるCD19+細胞の溶解を指示する。ブリナツモマブの主な制約は、その短い半減期(約2時間)であり、4−8週間にわたってポンプを介して継続的に注入する必要がある。それにもかかわらず、ブリナツモマブは、再発難治性の非ホジキンリンパ腫(r/r NHL)とALLの両方を有する患者において、重度のサイトカイン放出症候群及びCNS毒性を緩和するために必要なステップアップ投薬(SUD)により、強力な有効性を有している(Nagorsen and Baeuerle, Exp Cell Res (2011) 317, 1255-1260)。

CD20 CD3標的指向性T細胞二重特異性分子、CD20XCD3 bsABは、次世代のB細胞標的指向性抗体の別の例である。CD20XCD3 bsABは、B細胞に発現するCD20及びT細胞に存在するCD3イプシロン鎖(CD3e)を標的とするT細胞二重特異性(TCB)抗体である。

CD20XCD3 bsABの作用機序は、CD20+B細胞及びCD3+ T細胞への同時結合を含み、T細胞活性化及びB細胞のT細胞媒介性死滅をもたらす。CD20+ B細胞の存在下では、循環又は組織常在性であるかにかかわらず、薬理学的に活性な用量は、T細胞の活性化及び関連するサイトカイン放出を誘発する。CD20XCD3 bsABは、非臨床モデルにおいて競合的T細胞結合剤よりも高い効力を示しており、IgGベースのフォーマットであるため、ブリナツモマブよりも大幅に改善された半減期を有する。

サイトカイン放出は、T細胞の活性化の結果である。TeGeneroにより実施された第1相試験において(Suntharalingam et al., N Engl J Med (2006) 355,1018-1028)、6人の健常ボランティア全員が、不適切に投与されたT細胞刺激スーパーアゴニスト抗CD28モノクローナル抗体の注入後直ちに、ほぼ致命的な重度のサイトカイン放出症候群(CRS)を経験した。より最近では、再発性ALLを有する患者のCD19標的指向性、キメラ抗原受容体T細胞(CAR−T細胞)治療に関するMaudeらによる上記の研究では、30人の患者全員がサイトカイン放出を有し、これは患者の27%において重度として分類された。CRSは、CAR−T細胞療法の一般的であるが重度の合併症である(Xu and Tang, Cancer Letters (2014) 343, 172-178に総説される)。

CD19−CD3 T細胞二重特異性薬剤、ブリナツモマブにより、重度のCRS及びCNS毒性も頻繁に観察されている(Klinger et al., Blood. 2012;119(26):6226-6233)。すべての臨床試験においてブリナツモマブを投与された患者では、患者の約50%において神経毒性が発生しており、観察された毒性の種類は添付文書において明確に定義されている。

CNS毒性がサイトカインの早期放出又はT細胞活性化に関連するかどうか、又はどのように関連するかはよく理解されていない。ブリナツモマブと同様に、CD19標的指向性CAR−T細胞で治療されたr/r ALL患者の43%(13/30)について、CNSAEせん妄からグローバル脳症まで)が報告された(Maude et al., N Engl J Med (2014) 371,1507-1517; Ghorashian et al., Br J Haematol (2015) 169, 463-478)。神経毒性作用は、典型的には、CRSの症状がピークに達し、消散し始めた後に発生した;しかしながら、重度のCRSとの直接的で明確な関連性は見いだされなかった。著者らは、神経毒性のメカニズムが、直接的なCAR−T細胞媒介性毒性を引き起こし得るか、又はそれがサイトカイン媒介性であり得ることを提案した。対照的に、CD19標的指向性CAR−T細胞療法の別の研究においては、重度のCRSと神経毒性(脳症など)の間の関連が示唆されており(Davila et al., Sci Transl Med (2014) 6, 224ra25)、直接的なCAR−T誘導性障害と対比して、一般的なT細胞の活性化に起因するものと推測されている。

サイトカイン放出及び/又はCNS関連毒性は、CD3+細胞を組織特異的(すなわち、非循環)標的細胞に連結する他のT細胞二重特異性抗体と比較して、CD3+細胞をB細胞に連結するT細胞二重特異性抗体において特に明白である。

したがって、NHL及びCLLなどのB細胞増殖性疾患を有する患者の治療に対して有意に寄与する可能性を有するこれらの有望な薬剤のそのような副作用を低減又は防止する方法が必要とされている。

概要

本発明は、疾患を治療する方法、及びT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法に関する。本発明はさらに、疾患を治療する併用治療法及びそのような方法における使用のための抗体に関する。なし

目的

対照的に、腫瘍標的を認識するために内因性T細胞を活性化することを含む第2の手法は、このスケーラビリティのハードルを回避し、競合的有効性、安全性データ、及び潜在的に長期の応答期間も提供する

効果

実績

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請求項1

個体のがん治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体であって、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて使用される、II型抗CD20抗体。

請求項2

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体が、単一の組成物一緒投与されるか、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与される、請求項1に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項3

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体が、異なる時点で投与される2つ以上の異なる組成物で投与される、、請求項1又は2に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項4

II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;並びに配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項5

II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項6

II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG1抗体であり、かつ、抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項7

II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項8

II型抗CD20抗体が、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項9

抗PD−L1抗体、好ましくはアテゾリズマブがさらに投与される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項10

抗PD−L1抗体が、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも一方と別々に、又は組み合わせて投与される、請求項9に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項11

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項12

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含む、請求項11に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項13

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、配列番号97のCDR−H1配列、配列番号98のCDR−H2配列、及び配列番号99のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR−L1配列、配列番号101のCDR−L2配列、及び配列番号102のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む、請求項11又は12に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項14

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む、請求項11又は12に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項15

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項11から14のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項16

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項11から14のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項17

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含む、請求項11から16のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項18

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項17に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項19

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項17又は18に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項20

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインがクロスFab分子であり、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメイン交換されており、かつ、第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合は、従来のFab分子である、請求項11から19のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項21

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体がIgG1Fcドメインを含む、請求項20に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項22

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1Fcドメインが、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、請求項21に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項23

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1Fcドメインが、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(KabatEUインデックスによる番号付け)を含む、請求項21又は22に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項24

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、第3の抗原結合ドメインを含み、ここで、(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合しており、又は(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している、請求項21から23のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項25

組み合わせが、約1週間から3週間の間隔で投与される、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項26

併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療が実施され、ここで、前治療と併用治療との間の期間が、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分である、請求項1から25のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項27

II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を投与することを含む、個体における増殖性疾患、特にがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法であって、ここで、II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、単一の組成物又は2つ以上の組成物で投与される、方法。

請求項28

併用治療における使用のためのII型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体と、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、抗PD−L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含む薬学的組成物

請求項29

II型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第1の医薬と、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、抗PD−L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含むキット

請求項30

キットが、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための第1の医薬及び第2の医薬及び任意で第3の医薬の使用説明書を含む、請求項29に記載のキット。

請求項31

好ましくは、個体における増殖性疾患、特にがんを治療する又はその進行を遅延させるための、治療用途のための医薬の製造における、II型抗CD20抗体と抗CD20/抗CD3二重特異性抗体との組み合わせの使用。

請求項32

個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための医薬の製造におけるII型抗CD20抗体の使用であって、ここで、医薬がII型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含み、かつ、治療が抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む組成物と組み合わせた医薬の投与を含む、使用。

請求項33

個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための医薬の製造における抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の使用であって、ここで、医薬が抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含み、かつ、治療が抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む組成物と組み合わせた医薬の投与を含む、使用。

請求項36

II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3抗体を個体に投与することを含む、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法。

請求項37

抗PD−L1抗体が個体にさらに投与される、請求項36に記載の方法。

請求項38

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体がII型抗CD20抗体と組み合わせて使用される、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項39

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体が、単一の組成物で一緒に投与されるか、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与される、請求項38に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項40

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体が、異なる時点で投与される2つ以上の異なる組成物で投与される、請求項38又は39に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項41

II型抗CD20抗体が、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;並びに配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む、請求項38から40のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項42

II型抗CD20抗体が、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む、請求項38から41のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項43

II型抗CD20抗体が、IgG抗体、特にIgG1抗体であり、ここで、抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている、請求項38から41のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項44

II型抗CD20抗体がオビヌツズマブである、請求項38から43のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項45

II型抗CD20抗体が、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与される、請求項38から44のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項46

抗PD−L1抗体、好ましくはアテゾリズマブがさらに投与される、請求項38から45のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項47

抗PD−L1抗体が、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも一方と別々に、又は組み合わせて投与される、請求項46に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項48

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、請求項38から47のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項49

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含む、請求項48に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項50

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、配列番号97のCDR−H1配列、配列番号98のCDR−H2配列、及び配列番号99のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR−L1配列、配列番号101のCDR−L2配列、及び配列番号102のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む、請求項47から49のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項51

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む、請求項47から50のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項52

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項47から51のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項53

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項47から51のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項54

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含む、請求項47から53のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項55

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項54に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項56

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む、請求項54又は55に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項57

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインがクロスFab分子であり、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換されており、かつ、第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子である、請求項47から56のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項58

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体がIgG1Fcドメインを含む、請求項57に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項59

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1Fcドメインが、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、請求項58に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項60

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1Fcドメインが、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(KabatEUインデックスによる番号付け)を含む、請求項58又は59に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項61

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体が、第3の抗原結合ドメインを含み、ここで、(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合しており、又は(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインが、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している、請求項58から60のいずれか1項に記載の方法における使用のためのII型抗CD20抗体。

請求項62

組み合わせが、約1週間から3週間の間隔で投与される、請求項38から61に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項63

併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療が実施され、ここで、前治療と併用治療との間の期間が、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分である、請求項38から62のいずれか1項に記載の方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体。

請求項64

併用治療における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体と、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、II型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、抗PD−L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含む薬学的組成物。

請求項65

本明細書に記載される発明。

技術分野

0001

本発明は、疾患、特にB細胞増殖性疾患治療する方法、及びT細胞活性治療剤投与応答した有害作用を低減するための方法に関する。本発明はさらに、疾患を治療する併用治療法及びそのような方法における使用のための抗体に関する。

背景技術

0002

B細胞増殖性疾患は、白血病リンパ腫の両方を含む悪性腫瘍の異種グループ記述する。リンパ腫はリンパ細胞から発生し、主に2つのカテゴリーホジキンリンパ腫(HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)が含まれる。米国においては、B細胞由来のリンパ腫はすべての非ホジキンリンパ腫症例の約80−85%を占めており、起源のB細胞における遺伝子型及び表現型発現パターンに基づいて、B細胞サブセット内にはかなりの異質性がある。例えば、B細胞リンパ腫サブセットには、濾胞性リンパ腫FL)又は慢性リンパ性白血病(CLL)などの進行の遅い緩徐進行型で不治の疾患、並びにより攻撃的サブタイプマントル細胞リンパ腫(MCL)及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が含まれる。

0003

B細胞増殖性疾患の治療のためのさまざまな薬剤利用可能性にもかかわらず、患者寛解延長し、治癒率を向上させるための安全で効果的な治療法の開発のための継続的な必要性がある。

0004

現在調査されている戦略は、悪性B細胞に対するT細胞関与である。悪性B細胞に対してT細胞を効果的に関与させるために、最近2つの手法が開発された。これらの2つの手法は次のとおりである:1)生体外腫瘍細胞を認識するように操作されたT細胞の投与(キメラ抗原受容体改変細胞療法[CAR−T細胞]としても知られる)(Maude et al., N Engl J Med (2014) 371,1507-1517);及び、2)二重特異性抗体など、内因性T細胞を活性化する薬剤の投与(Oak and Bartlett, Expert Opin Investig Drugs (2015) 24, 715-724)。

0005

第1の手法の例は、Maudeらによる研究で報告されており、そこでは30人の成人及び小児患者が、CD19指向性キメラ抗原受容体レンチウイルスベクター形質導入された自己T細胞(CTL019 CAR−T細胞)で治療された。その結果、6か月のイベントフリー生存率67%及び全生存率78%に基づく持続的な寛解が得られた。しかしながら、すべての患者がサイトカイン放出症候群(CRS)(腫瘍負荷に関連する)を患っており、患者の27%が重度のCRSを患っていた。原因不明中枢神経系毒性も高頻度で認められた。

0006

対照的に、腫瘍標的を認識するために内因性T細胞を活性化することを含む第2の手法は、このスケーラビリティハードルを回避し、競合的有効性、安全性データ、及び潜在的に長期の応答期間も提供することができる。異なるCD20+血液悪性腫瘍において、この手法は、微小残存病変陽性急性リンパ性白血病(ALL)を有する患者のために最近承認された、CD19 CD3標的指向性T細胞二重特異性分子であるブリツモマブによって最もよく実証されている(Bargou et al., Science (2008) 321, 974-977)。2つの単鎖Fv断片(いわゆるBiTE(登録商標フォーマット)からなるこの化合物は、細胞溶解性T細胞によるCD19+細胞の溶解を指示する。ブリナツモマブの主な制約は、その短い半減期(約2時間)であり、4−8週間にわたってポンプを介して継続的に注入する必要がある。それにもかかわらず、ブリナツモマブは、再発難治性の非ホジキンリンパ腫(r/r NHL)とALLの両方を有する患者において、重度のサイトカイン放出症候群及びCNS毒性を緩和するために必要なステップアップ投薬(SUD)により、強力な有効性を有している(Nagorsen and Baeuerle, Exp Cell Res (2011) 317, 1255-1260)。

0007

CD20 CD3標的指向性T細胞二重特異性分子、CD20XCD3 bsABは、次世代のB細胞標的指向性抗体の別の例である。CD20XCD3 bsABは、B細胞に発現するCD20及びT細胞に存在するCD3イプシロン鎖(CD3e)を標的とするT細胞二重特異性(TCB)抗体である。

0008

CD20XCD3 bsABの作用機序は、CD20+B細胞及びCD3+ T細胞への同時結合を含み、T細胞活性化及びB細胞のT細胞媒介性死滅をもたらす。CD20+ B細胞の存在下では、循環又は組織常在性であるかにかかわらず、薬理学的に活性な用量は、T細胞の活性化及び関連するサイトカイン放出を誘発する。CD20XCD3 bsABは、非臨床モデルにおいて競合的T細胞結合剤よりも高い効力を示しており、IgGベースのフォーマットであるため、ブリナツモマブよりも大幅に改善された半減期を有する。

0009

サイトカイン放出は、T細胞の活性化の結果である。TeGeneroにより実施された第1相試験において(Suntharalingam et al., N Engl J Med (2006) 355,1018-1028)、6人の健常ボランティア全員が、不適切に投与されたT細胞刺激スーパーアゴニスト抗CD28モノクローナル抗体の注入後直ちに、ほぼ致命的な重度のサイトカイン放出症候群(CRS)を経験した。より最近では、再発性ALLを有する患者のCD19標的指向性、キメラ抗原受容体T細胞(CAR−T細胞)治療に関するMaudeらによる上記の研究では、30人の患者全員がサイトカイン放出を有し、これは患者の27%において重度として分類された。CRSは、CAR−T細胞療法の一般的であるが重度の合併症である(Xu and Tang, Cancer Letters (2014) 343, 172-178に総説される)。

0010

CD19−CD3 T細胞二重特異性薬剤、ブリナツモマブにより、重度のCRS及びCNS毒性も頻繁に観察されている(Klinger et al., Blood. 2012;119(26):6226-6233)。すべての臨床試験においてブリナツモマブを投与された患者では、患者の約50%において神経毒性が発生しており、観察された毒性の種類は添付文書において明確に定義されている。

0011

CNS毒性がサイトカインの早期放出又はT細胞活性化に関連するかどうか、又はどのように関連するかはよく理解されていない。ブリナツモマブと同様に、CD19標的指向性CAR−T細胞で治療されたr/r ALL患者の43%(13/30)について、CNSAEせん妄からグローバル脳症まで)が報告された(Maude et al., N Engl J Med (2014) 371,1507-1517; Ghorashian et al., Br J Haematol (2015) 169, 463-478)。神経毒性作用は、典型的には、CRSの症状がピークに達し、消散し始めた後に発生した;しかしながら、重度のCRSとの直接的で明確な関連性は見いだされなかった。著者らは、神経毒性のメカニズムが、直接的なCAR−T細胞媒介性毒性を引き起こし得るか、又はそれがサイトカイン媒介性であり得ることを提案した。対照的に、CD19標的指向性CAR−T細胞療法の別の研究においては、重度のCRSと神経毒性(脳症など)の間の関連が示唆されており(Davila et al., Sci Transl Med (2014) 6, 224ra25)、直接的なCAR−T誘導性障害と対比して、一般的なT細胞の活性化に起因するものと推測されている。

0012

サイトカイン放出及び/又はCNS関連毒性は、CD3+細胞を組織特異的(すなわち、非循環)標的細胞に連結する他のT細胞二重特異性抗体と比較して、CD3+細胞をB細胞に連結するT細胞二重特異性抗体において特に明白である。

0013

したがって、NHL及びCLLなどのB細胞増殖性疾患を有する患者の治療に対して有意に寄与する可能性を有するこれらの有望な薬剤のそのような副作用を低減又は防止する方法が必要とされている。

0014

本発明は、CD20XCD3 bsABなどのT細胞活性化治療剤の対象への投与に関連するサイトカイン放出が、オビヌツズマブなどのII型抗CD20抗体による前記対象の前治療によって有意に減少させることができるという驚くべき発見に基づいている。

0015

オビヌツズマブは、CD20抗原高親和性で結合する、抗体依存性細胞傷害ADCC)及び抗体依存性細胞貪食ADCP)、低い補体依存性細胞傷害(CDC)活性、及び高い直接細胞死誘導誘導する、ヒト化糖鎖操作II型抗CD20 mAbである。

0016

理論に縛られることを望まないが、GAZYVA(登録商標)前治療(Gpt)の使用は、腫瘍細胞の消失を媒介するために、投薬の開始から十分高いT細胞活性化治療剤の曝露レベルサポートしつつ、T細胞活性化治療剤による強力な全身性T細胞活性化からの関連性の高い有害事象(AE)(例えば、CRS)のリスクが低減されるように、末梢血及び二次リンパ器官の両方においてB細胞の急速な枯渇を助けるはずである。現在まで、オビヌツズマブの安全性プロファイル(サイトカイン放出を含む)は、現在進行中のオビヌツズマブ臨床試験の何百人もの患者において評価及び管理されている。最後に、CD20XCD3 bsABなどのT細胞活性化治療剤の安全性プロファイルをサポートすることに加えて、Gptはこれらの固有分子に対する抗薬物抗体(ADA)の形成の防止にも役立つはずである。

0017

患者のために、Gptは安全性プロファイルが強化され、より良好な薬物曝露につながるはずである。

0018

Gptは、ステップアップ投薬(SUD)など、T細胞二重特異性薬剤により使用される他の方法と比較して、上記の目標を達成するのにより効果的である。オビヌツズマブの単一用量により、再発/難治性の患者は、ステップアップ投薬からの時間遅延なしに、一度決定されたCD20XCD3 bsABなどのT細胞活性化治療剤の全治療用量を受けることができるはずである。例えば、最近、進行中の第2相試験におけるr/r DLBCLの患者に対するブリナツモマブ投与レジメンは、ダブルステップアップ手法(すなわち、9→28→112μg/m2/日)を組み込んでおり、したがって、最大用量112μg/m2/日に達するために14日間を必要とすると報告されている(Viardot el at., Hematol Oncol (2015) 33, 242(Abstract 285)。

0019

実施例に示すように、オビヌツズマブによる前治療後、カニクイザルへのCD20XCD3 bsABの投与は、Gptなしで許容されるレベルよりも10倍高いレベルまで許容された。

0020

第1のCD20XCD3 bsAB注射に関連する末梢血中のサイトカイン放出の大幅な減少と共に、効率的な末梢血B細胞の枯渇と抗腫瘍活性がGptによって観察された。

0021

したがって、第1の態様では、本発明は、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法であって、治療剤の投与前の対象へのII型抗CD20抗体の投与を含む方法を提供する。一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。

0022

さらなる態様では、本発明は、対象における疾患を治療する方法を提供し、該方法は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。

0023

一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象における治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。

0024

さらなる態様では、本発明は、治療剤の投与前の対象へのII型抗CD20抗体の投与を含む、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を減少させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体を提供する。
一実施態様では、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。

0025

さらなる態様では、本発明は、対象における疾患を治療する方法における使用のためのII型抗CD20抗体を提供し、該方法は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象における治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。

0026

さらなる態様では、本発明は、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出の減少のための医薬の製造におけるII型抗CD20抗体の使用を提供し、
ここで該医薬は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンにおいて使用されるべきであり、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。

0027

なおさらなる態様では、本発明は、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出の減少のためのキットを提供し、該キットは、II型抗CD20抗体組成物と、
(i)II型抗CD20抗体組成物の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンにおいてII型抗CD20抗体組成物を使用するための説明書とを含むパッケージを含み、
ここで、II型抗CD20抗体組成物の投与と治療剤の投与との間の期間は、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体組成物の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。一実施態様では、キットは治療剤組成物をさらに含む。

0028

さらなる態様では、本発明は、対象における疾患を治療する方法における使用のためのT細胞活性化治療剤を提供し、該方法は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。

0029

本発明は、なおさらなる態様では、対象における疾患の治療のための医薬の製造におけるT細胞活性化治療剤の使用を提供し、ここで治療は、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤の対象への投与
を含む治療レジメンを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤の投与との間の期間は、II型抗CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。
一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。

0030

本発明は、さらなる態様では、対象における疾患の治療のためのキットを提供し、該キットは、T細胞活性化治療剤組成物と、
(i)II型抗CD20抗体の対象への投与、
及び連続して一定期間後に
(ii)T細胞活性化治療剤組成物の対象への投与
を含む治療レジメンにおいて治療剤組成物を使用するための説明書とを含むパッケージを含み、
ここで、II型抗CD20抗体の投与と治療剤組成物の投与との間の期間は、CD20抗体の投与に応答した、対象におけるB細胞の数の減少のために十分である。

0031

一実施態様では、治療レジメンは、II型抗CD20抗体組成物の投与なしの対応する治療レジメンと比較して、対象におけるT細胞活性化治療剤の投与に関連するサイトカイン放出を効果的に減少させる。一実施態様では、キットはII型抗CD20抗体組成物をさらに含む。

0032

本発明の方法、使用、II型抗CD20抗体、治療剤及びキットは、以下に記載される特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて組み込むことができる。

0033

一実施態様では、II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。

0034

より具体的な実施態様では、II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む。

0035

一実施態様では、II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体である。

0036

一実施態様では、II型抗CD20抗体は、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される。一実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている。

0037

特定の実施態様では、II型抗CD20抗体はオビヌツズマブである。

0038

一実施態様では、T細胞活性化治療剤は、抗体、特に多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を含む。

0039

一実施態様では、抗体は、活性化T細胞抗原に特異的に結合する。

0040

一実施態様では、抗体は、CD3、CD28、CD137(4−1BBとしても知られる)、CD40、CD226、OX40、GITR、CD27、HVEM、及びCD127の群から選択される抗原に特異的に結合する。

0041

一実施態様では、抗体は、CD3、特にCD3εに特異的に結合する。

0042

一実施態様では、抗体は、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。

0043

一実施態様では、抗体は、配列番号18の重鎖可変領域配列及び配列番号19の軽鎖可変領域配列を含む。

0044

一実施態様では、抗体は、B細胞抗原、特に悪性B細胞抗原に特異的に結合する。

0045

一実施態様では、抗体は、CD20、CD19、CD22、ROR−1、CD37及びCD5からなる群から選択される抗原、特にCD20又はCD19に特異的に結合する。

0046

一実施態様では、抗体はCD20に特異的に結合する。

0047

一実施態様では、抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。

0048

一実施態様では、抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む。

0049

一実施態様では、抗体は多重特異性抗体、特に二重特異性抗体である。

0050

一実施態様では、多重特異性抗体は、(i)活性化T細胞抗原及び(ii)B細胞抗原に特異的に結合する。

0051

一実施態様では、多重特異性抗体は、(i)CD3並びに(ii)CD20及びCD19から選択される抗原に特異的に結合する。

0052

一実施態様では、多重特異性抗体は、CD3及びCD20に特異的に結合する。

0053

一実施態様では、治療剤は、
(i)CD3に特異的に結合し、かつ、配列番号12の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号13のHCDR2、及び配列番号14のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号15の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号16のLCDR2、及び配列番号17のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合部分;並びに
(ii)CD20に特異的に結合し、かつ、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む抗原結合部分
を含む二重特異性抗体を含む。

0054

特定の実施態様では、治療剤はCD20XCD3 bsABを含む。

0055

一実施態様では、治療剤は、キメラ抗原受容体(CAR)、又はCARを発現するT細胞、特にB細胞抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞、より具体的にはCD20、CD19、CD22、ROR−1、CD37及びCD5の群から選択される抗原に特異的に結合するCARを発現するT細胞を含む。

0056

一実施態様では、疾患はB細胞増殖性疾患、特にCD20陽性B細胞疾患である。

0057

一実施態様では、疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、多発性骨髄腫(MM)、及びホジキンリンパ腫(HL)からなる群から選択される。

0058

さらなる態様では、本発明は、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のためのII型抗CD20抗体を提供する。II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて使用される。

0059

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、単一の組成物一緒に投与されても、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与されてもよい。

0060

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、2つ以上の異なる組成物で投与されてもよい。2つ以上の異なる組成物は、異なる時点で投与されてもよい。

0061

II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域を含み得る。II型抗CD20抗体は、配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域をさらに含み得る。

0062

II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含み得る。

0063

II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体であり得る。抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約40%は、非フコシル化されていてもよい。

0064

特に、II型抗CD20抗体はオビヌツズマブである。

0065

II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与され得る。

0066

さらに、抗PD−L1抗体、好ましくはアテゾリズマブが投与され得る。

0067

抗PD−L1抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも1つと別々に、又は組み合わせて投与され得る。ここで、「の少なくとも1つと組み合わせて(in combination with at least one of)」とは、抗PD−L1抗体が抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と一緒に、又はII型抗CD20抗体と一緒に、又は両方と一緒に投与されることを意味する。

0068

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含み得る。

0069

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含み得る。

0070

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号97のCDR−H1配列、配列番号98のCDR−H2配列、及び配列番号99のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR−L1配列、配列番号101のCDR−L2配列、及び配列番号102のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。

0071

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。

0072

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0073

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0074

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含み得る。

0075

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含む。

0076

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0077

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、クロスFab分子であってもよく、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメイン交換され、かつ第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子であり得る。

0078

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、IgG1Fcドメインを含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み得る。

0079

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、第3の抗原結合ドメインを含んでもよく、ここで、(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。あるいは、(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。

0080

II型CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の組み合わせは、約1週間から3週間の間隔で投与され得る。

0081

さらに、併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療を実施してもよい。前治療と併用治療との間の期間は、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分であり得る。前治療において使用されるII型抗CD20抗体は、上記及び下記のII型抗CD20抗体の1つ又は複数の特徴を有し得る。

0082

本発明のさらなる態様は、個体における増殖性疾患、特にがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法に関する。本方法は、II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を投与することを含み、ここで、II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、単一の組成物又は2つ以上の組成物で投与される。

0083

本発明のさらなる態様は、併用治療における使用のためのII型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体と、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、抗PD−L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物の要素は、併用治療において連続的に又は同時に使用され得る。

0084

本発明のさらなる態様は、II型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第1の医薬、並びに疾患、特にがんの併用治療における使用のための、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬を含むキットに関する。任意で、キットは、疾患、特にがんの前述の併用治療における使用のための、抗PD−L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬を含む。キットの要素は、併用治療において連続的に又は同時に使用され得る

0085

キットはさらに、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための第1の医薬及び第2の医薬及び任意で第3の医薬の使用説明書を含み得る。使用説明書は添付文書であり得る。

0086

本発明のさらなる態様は、好ましくは、個体における増殖性疾患、特にがんを治療する又はその進行を遅延させるための、治療応用のための医薬の製造における、II型抗CD20抗体と抗CD20/抗CD3二重特異性抗体との組み合わせの使用に関する。

0087

本発明のさらなる態様は、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための医薬の製造におけるII型抗CD20抗体の使用に関し、ここで、医薬はII型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含み、かつ治療は抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む組成物と組み合わせた医薬の投与を含む。

0088

本発明のさらなる態様は、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための医薬の製造における抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の使用に関し、ここで、医薬は抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含み、かつ治療は抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む組成物と組み合わせた医薬の投与を含む。

0089

本発明のさらなる態様は、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のための抗CD20抗体の製造に関し、ここで、II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて使用される。

0090

本発明のさらなる態様は、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の製造に関し、ここで、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、II型抗CD20抗体と組み合わせて使用される。

0091

本発明のさらなる態様は、個体に、II型抗CD20抗体を投与すること、及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体を投与することを含む、個体におけるがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法に関する。II型抗CD20抗体及び抗CD20/抗CD30二重特異性抗体は、両方の組み合わせが有効量を表すように投与される。逆に、II型抗CD20抗体自体は有効量で投与されず、かつ抗CD20/抗CD30二重特異性抗体自体は有効量で投与されない。しかし、両方の組み合わせは有効量につながる。

0092

加えて、抗PD−L1抗体が個体に投与され得る。PD−L1抗体を含む組み合わせは、有効量を表す。

0093

本発明のさらなる態様は、個体のがんを治療する又はその進行を遅延させるための方法における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体に関する。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、II型抗CD20抗体と組み合わせて使用される。

0094

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、単一の組成物で一緒に投与されても、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与されてもよい。

0095

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、2つ以上の異なる組成物で投与されてもよい。2つ以上の異なる組成物は、異なる時点で投与されてもよい。

0096

II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域を含み得る。II型抗CD20抗体は、配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域をさらに含み得る。

0097

II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含み得る。

0098

II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体であり得る。抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約40%は、非フコシル化されていてもよい。

0099

特に、II型抗CD20抗体はオビヌツズマブである。

0100

II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与され得る。

0101

さらに、抗PD−L1抗体、好ましくはアテゾリズマブが投与され得る。

0102

抗PD−L1抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも1つと別々に、又は組み合わせて投与され得る。ここで、「の少なくとも1つと組み合わせて(in combination with at least one of)」とは、抗PD−L1抗体が抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と一緒に、又はII型抗CD20抗体と一緒に、又は両方と一緒に投与されることを意味する。

0103

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含み得る。

0104

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含み得る。

0105

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号97のCDR−H1配列、配列番号98のCDR−H2配列、及び配列番号99のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR−L1配列、配列番号101のCDR−L2配列、及び配列番号102のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。

0106

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。

0107

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0108

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0109

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含み得る。

0110

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0111

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0112

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、クロスFab分子であってもよく、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換され、かつ第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子であり得る。

0113

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、IgG1Fcドメインを含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み得る。

0114

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、第3の抗原結合ドメインを含んでもよく、ここで、(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。あるいは、(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合しており、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合しており、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合している。

0115

II型CD20抗体及び抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の組み合わせは、約1週間から3週間の間隔で投与され得る。

0116

さらに、併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療が実施される。前治療と併用治療との間の期間は、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分であり得る。前治療において使用されるII型抗CD20抗体は、上記及び下記のII型抗CD20抗体の1つ又は複数の特徴を有し得る。

0117

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、単一の組成物で一緒に投与されても、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与されてもよい。

0118

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体は、2つ以上の異なる組成物で投与されてもよく、ここで、2つ以上の異なる組成物は、異なる時点で投与される。

0119

II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含み得る。

0120

II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含み得る。

0121

II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体であり得、ここで抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約40%が非フコシル化されている。II型抗CD20抗体はオビヌツズマブであり得る。

0122

II型抗CD20抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体と同時に、その前に、又はその後に投与され得る。

0123

さらに、抗PD−L1抗体、好ましくはアテゾリズマブが投与され得る。

0124

抗PD−L1抗体は、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型抗CD20抗体の少なくとも1つと別々に、又は組み合わせて投与され得る。

0125

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD3に結合する第1の抗原結合ドメイン、及びCD20に結合する第2の抗原結合ドメインを含み得る。

0126

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメイン、並びに重鎖可変領域(VHCD20)及び軽鎖可変領域(VLCD20)を含む第2の抗原結合ドメインを含み得る。

0127

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号97のCDR−H1配列、配列番号98のCDR−H2配列、及び配列番号99のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3);並びに/又は配列番号100のCDR−L1配列、配列番号101のCDR−L2配列、及び配列番号102のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。

0128

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号104のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含み得る。

0129

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0130

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0131

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、CD20に結合する第3の抗原結合ドメインを含み得る。

0132

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号4のCDR−H1配列、配列番号5のCDR−H2配列、及び配列番号6のCDR−H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD20);並びに/又は配列番号7のCDR−L1配列、配列番号8のCDR−L2配列、及び配列番号9のCDR−L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0133

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD20)、及び/又は配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD20)を含み得る。

0134

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、クロスFab分子であってもよく、ここで、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換され、かつ第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子であり得る。

0135

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、IgG1Fcドメインを含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、Fc受容体への結合及び/又はエフェクター機能を低減させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。抗CD20/抗CD3二重特異性抗体のIgG1 Fcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み得る。

0136

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体は、第3の抗原結合ドメインを含む。(i)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されてもよく、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されてもよく、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されてもよい。あるいは、(ii)抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されてもよく、抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されてもよく、かつ抗CD20/抗CD3二重特異性抗体の第3の抗原結合ドメインは、Fab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されてもよい。

0137

抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及びII型CD20抗体の組み合わせは、約1週間から3週間の間隔で投与され得る。

0138

併用治療の前に、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブによる前治療を実施してもよい。前治療と併用治療との間の期間は、II型抗CD20抗体、好ましくはオビヌツズマブに応答した、個体におけるB細胞の減少のために十分であり得る。前治療において使用されるII型抗CD20抗体は、上記及び下記のII型抗CD20抗体の1つ又は複数の特徴を有し得る。

0139

本発明のさらなる態様は、併用治療における使用のための抗CD20/抗CD3二重特異性抗体及び任意の薬学的に許容される担体と、疾患、特にがんの併用治療における使用のための、II型抗CD20抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬と、任意で、抗PD−L1抗体及び任意の薬学的に許容される担体を含む第3の医薬とを含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物の要素は、併用治療において連続的に又は同時に使用され得る。

0140

本発明のさらなる態様は、前述の本発明に関する。

図面の簡単な説明

0141

本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子(TCB)の例示的立体配置。(A、D)「1+1 CrossMab」分子の図。(B、E)別の順序でCrossfab及びFab成分を有する(「反転型」)「2+1IgGCrossfab」分子の図。(C、F)「2+1 IgG Crossfab」分子の図。黒い点:ヘテロ二量体化を促進するFcドメインにおける任意の修飾。++、−−:CH1及びCLドメインに任意に導入された反対電荷アミノ酸。CrossFab分子は、VH及びVL領域の交換を含むものとして示されているが、−CH1及びCLドメインに電荷修飾が導入されていない実施態様においては−代替的にCH1及びCLドメインの交換を含む場合がある。
本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子(TCB)の例示的立体配置。(G、K)別の順序でCrossfab及びFab成分を有する(「反転型」)「1+1 IgG Crossfab」分子の図。(H、L)「1+1 IgG Crossfab」分子の図。(I、M)2つのCrossFabを有する「2+1 IgG Crossfab」分子の図。(J、N)2つのCrossFabを有し、かつ別の順序でCrossfab及びFab成分を有する(「反転型」)「2+1 IgG Crossfab」分子の図。黒い点:ヘテロ二量体化を促進するFcドメインにおける任意の修飾。++、−−:CH1及びCLドメインに任意に導入された反対電荷のアミノ酸。CrossFab分子は、VH及びVL領域の交換を含むものとして示されているが、−CH1及びCLドメインに電荷修飾が導入されていない実施態様においては−代替的にCH1及びCLドメインの交換を含む場合がある。
本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子(TCB)の例示的立体配置。(O、S)「Fab−Crossfab」分子の図。(P、T)「Crossfab−Fab」分子の図。(Q、U)「(Fab)2−Crossfab」分子の図。(R、V)「Crossfab−(Fab)2」分子の図。黒い点:ヘテロ二量体化を促進するFcドメインにおける任意の修飾。++、−−:CH1及びCLドメインに任意に導入された反対電荷のアミノ酸。CrossFab分子は、VH及びVL領域の交換を含むものとして示されているが、−CH1及びCLドメインに電荷修飾が導入されていない実施態様においては−代替的にCH1及びCLドメインの交換を含む場合がある。
本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子(TCB)の例示的立体配置。(W、Y)「Fab−(Crossfab)2」分子の図。(X、Z)「(Crossfab)2−Fab」分子の図。黒い点:ヘテロ二量体化を促進するFcドメインにおける任意の修飾。++、−−:CH1及びCLドメインに任意に導入された反対電荷のアミノ酸。CrossFab分子は、VH及びVL領域の交換を含むものとして示されているが、−CH1及びCLドメインに電荷修飾が導入されていない実施態様においては−代替的にCH1及びCLドメインの交換を含む場合がある。
異なる治療群における末梢血中のB細胞及びT細胞の数。第1及び第2のCD20XCD3 bsAB投与の24時間後と72時間後の、ビヒクル及びCD20XCD3 bsABで治療した完全ヒト化NOGマウスの末梢血中のCD19+ B細胞(A)及びCD3+ T細胞(B)のフローサイトメトリー分析。黒い矢印は、CD20XCD3 bsAB投与の日を示している。
異なる治療群の間で末梢血中に放出されるサイトカイン。CD20XCD3 bsABの第1及び第2の投与から24時間後及び72時間後の、ビヒクル及び治療マウスの血液中のサイトカインの多重分析。ヒストグラムバーは5匹の動物の平均を表し、エラーバー標準偏差を示す。IFNγ、TNFα及びIL−6の代表的なグラフが示されている。CD20XCD3 bsABの第1の注射のサイトカイン放出を、オビヌツズマブ前治療ありとなしで比較する(比較されるべきバーは、接続線で示される)。
CD20XCD3 bsAB、オビヌツズマブ、及びGpt+CD20XCD3 bsABの抗腫瘍活性。完全ヒト化NOGマウスにおける、単独療法としてのCD20XCD3 bsAB及びオビヌツズマブ、又はGpt+CD20XCD3 bsABの抗腫瘍活性。黒い矢印は治療の開始を示す。(8<n<10)。腫瘍モデル:WSU−DLCL2。
CD20XCD3 bsAB及びGpt+CD20XCD3 bsAB治療による投薬後のカニクイザルの末梢血中に放出されるサイトカイン。
(A−B)中悪性度リンパ腫モード(WSU−DLCL2腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC−NSGマウス)における、抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ又はアテゾリズマブとの併用治療における抗腫瘍活性の分析。(A)ビヒクルの有効性、(B)抗CD20−抗CD3 T細胞二重特異性抗体の治療の有効性。
(C−D)中悪性度リンパ腫モード(WSU−DLCL2腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC−NSGマウス)における、抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ又はアテゾリズマブとの併用治療における抗腫瘍活性の分析。(C)オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))の治療の有効性、(D)抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標))の併用治療の有効性。
(E−F)中悪性度リンパ腫モード(WSU−DLCL2腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC−NSGマウス)における、抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブ又はアテゾリズマブとの併用治療における抗腫瘍活性の分析。(E)抗CD20/CD3二重特異性抗体とアテゾリズマブの併用治療の有効性、(F)抗PD−L1抗体の治療の有効性。
(A−B)中悪性度リンパ腫モデル(OCI−Ly18腫瘍)を保有するヒト造血幹細胞ヒト化マウス(HSC−NSGマウス)における、抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの併用治療における抗腫瘍活性の分析。(A)ビヒクル、抗CD20/CD3二重特異性抗体、オビヌツズマブ、及び抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの組み合わせの有効性。(B)抗CD20/CD3二重特異性抗体、オビヌツズマブ、及び抗CD20/CD3二重特異性抗体とオビヌツズマブの組み合わせの個々のマウスの有効性。

0142

定義
本明細書の用語は、以下で特に定義されない限り、当該技術分野で一般的に使われるように使用される。

0143

CD20(Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu−16、Bp35、BM5、及びLF5としても知られ;ヒトタンパク質は、UniProtデータベースエントリP11836において特徴づけられる)は、プレBリンパ球及び成熟Bリンパ球上に発現する分子量約35kDの疎水性膜貫通タンパク質である(Valentine, M.A. et al., J. Biol. Chem. 264 (1989) 11282-11287; Tedder, T.F., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85 (1988) 208-212; Stamenkovic, I., et al., J. Exp. Med. 167 (1988) 1975-1980; Einfeld, D.A., et al.,EMBO J. 7 (1988) 711-717; Tedder, T.F., et al., J. Immunol. 142 (1989) 2560-2568)。対応するヒト遺伝子は、MS4A1としても知られている、膜貫通4ドメイン、サブファミリーA、メンバー1である。この遺伝子は膜貫通4A遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。この新生タンパク質ファミリーのメンバーは、共通の構造的特徴及び類似のイントロンエクソンスプライス境界により特徴づけられ、造血細胞及び非リンパ系組織間で固有の発現パターンを示す。この遺伝子はB細胞の形質細胞への発生及び分化において役割を果たしているBリンパ球表面分子をコードする。このファミリーメンバーは、ファミリーメンバーのクラスターの中で11q12に局在している。この遺伝子の選択的スプライシングは、同じタンパク質をコードする2つの転写変異体をもたらす。

0144

特に断らない限り、本明細書で使用する用語「CD20」は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然のCD20を指す。その用語は、「完全長」で未処理のCD20、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のCD20を含む。その用語はまた、CD20の天然に生じる変異体、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子変異体を含む。一実施態様では、CD20はヒトCD20である。例示的なヒトCD20のアミノ酸配列は、配列番号1に示される。

0145

用語「抗CD20抗体」及び「CD20に結合する抗体」は、抗体がCD20を標的とする診断薬及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でCD20に結合することができる抗体を指す。一実施態様では、抗CD20抗体の、無関係な、非CD20タンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイRIA)によって測定される場合、抗体のCD20への結合の約10%未満である。特定の実施態様では、CD20に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば10−8M以下、例えば10−8Mから10−13M、例えば10−9Mから10−13M)の解離定数(Kd)を有する。特定の実施態様では、抗CD20抗体は、異なる種由来のCD20間で保存されているCD20のエピトープに結合する。

0146

「II型抗CD20抗体」とは、Cragg et al., Blood 103 (2004) 2738-2743; Cragg et al., Blood 101 (2003) 1045-1052, Klein et al., mAbs 5 (2013), 22-33に記載され、以下の表1に要約されるように、II型抗CD20抗体の結合特性及び生物学的活性を有する抗CD20抗体を意味する。
表1.I型及びII型抗CD20抗体の特性

0147

II型抗CD20抗体の例は、例えば、オビヌツズマブ(GA101)、トシツムマブ(B1)、ヒト化B−Ly1抗体IgG1(国際公開第2005/044859号に開示されるキメラヒト化IgG1抗体)、11B8 IgG1(国際公開第2004/035607号に開示)及びAT80 IgG1を含む。

0148

I型抗CD20抗体の例は、例えば、リツキシマブオファツムマブベルツズマブオカラツズマブ、オクレリズマブ、PRO131921、ウブリツキシマブ、HI47IgG3(ECACCハイブリドーマ)、2C6 IgG1(国際公開第2005/103081号に開示)、2F2 IgG1(国際公開第2004/035607号及び国際公開第2005/103081号に開示)及び2H7 IgG1(国際公開第2004/056312号に開示)を含む。

0149

用語「ヒト化B−Ly1抗体」は、IgG1由来のヒト定常ドメインとのキメラ化及びその後のヒト化によって、マウスモノクローナル抗CD20抗体B−Ly1(マウス重鎖の可変領域(VH):配列番号2;マウス軽鎖の可変領域(VL):配列番号3)(Poppema, S. and Visser, L., Biotest Bulletin 3(1987)131-139を参照)から得られた、国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号に開示されているヒト化B−Ly1抗体を指す(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号を参照)。これらの「ヒト化B−Ly1抗体」は、国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号に詳細に開示されている。

0150

本明細書で使用される用語「サイトカインの放出」又は「サイトカイン放出」は、「サイトカインストーム」又は「サイトカイン放出症候群」(「CRS」と略される)と同義であり、治療剤の投与中又は投与直後(例えば、1日以内)の対象の血液中のサイトカイン、特に腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)、インターフェロンガンマ(IFN−γ)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−2(IL−2)及び/又はインターロイキン−8(IL−8)のレベルの増加を指し、有害な症状をもたらす。サイトカイン放出は注入関連反応(IRR)の一種であり、治療剤に対する一般的な薬物有害反応であり、治療剤の投与にタイムリーに関連している。IRRは、典型的には、治療剤の投与中又はその直後に、すなわち、典型的には注入後24時間以内に、主に第1の注入時に発生する。場合によっては、例えばCAR−T細胞の投与後、CRSは後でのみ、例えばCAR−T細胞の増殖時に投与後数日で、発生する可能性がある。通常、発生率及び重症度は、典型的にはその後の注入により低下する。症状は、症候性不快感から致命的な事象まで及び、発熱悪寒めまい高血圧低血圧呼吸困難落ち着きのなさ、発汗潮紅皮膚発疹頻脈頻呼吸頭痛、腫瘍痛、吐き気嘔吐及び/又は臓器不全を含み得る。

0151

本明細書で使用される用語「アミノ酸変異」は、アミノ酸の置換欠失、挿入、及び修飾を包含することを意図している。最終構築物が所望の特性、例えば、Fc受容体への結合の低減を有することを条件として、置換、欠失、挿入、及び修飾の任意の組み合わせを行って、最終構築物に到達させることができる。アミノ酸配列の欠失及び挿入には、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端の欠失、並びにアミノ酸の挿入が含まれる。特定のアミノ酸変異はアミノ酸の置換である。例えばFc領域の結合特性を変更する目的で、非保存的アミノ酸置換、すなわち、1つのアミノ酸を異なる構造的及び/又は化学的性質を有する別のアミノ酸で置換することが特に好ましい。アミノ酸置換には、20種類の標準アミノ酸の、天然に存在しないアミノ酸又は天然に存在するアミノ酸誘導体(例えば、4−ヒドロキシプロリン、3−メチルヒスチジンオルニチンホモセリン、5−ヒドロキシリジン)による置換が含まれる。アミノ酸変異は、当該技術分野で良く知られた遺伝学的方法又は化学的方法を用いて生成することができる。遺伝学的方法には、部位特異的突然変異誘発PCR遺伝子合成などが含まれ得る。化学修飾などの遺伝子工学以外の方法によって、アミノ酸の側鎖基を変更する方法も有用であり得ると考えられる。本明細書では、同じアミノ酸変異を示すためにさまざまな命名が使用され得る。例えば、Fc領域の329位のプロリンからグリシンへの置換は、329G、G329、G329、P329G、又はPro329Glyとして示される。

0152

「親和性」は、分子(例えば、受容体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、リガンド)との間の共有結合性相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用される場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、受容体とリガンド)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する本質的な結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、通常、解離定数(KD)によって表され、この解離定数(KD)は、解離速度定数会合速度定数(それぞれ、koff及びkon)の比である。したがって、等価な親和性は、速度定数の比が同じままである限り、異なる速度定数を含み得る。親和性は、当該技術分野で知られた十分に確立された方法によって測定することができる。親和性を測定するための特定の方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)である。

0153

「減少(reduction)」(及び「減少する(reduce)」又は「減少する(reducing)」などの文法的変形)、例えば、B細胞の数又はサイトカイン放出の減少は、当該技術分野で知られた適切な方法によって測定される、それぞれの量の減少を指す。明確に示すために、用語はゼロ(又は分析方法検出限界を下回る値)への減少、すなわち完全な消失(abolishment)及び除去(elimination)も含む。逆に、「増加(increased)」は、それぞれの量の増加を指す。

0154

本明細書で使用される場合、用語「抗原結合部分」は、抗原決定基に特異的に結合するポリペプチド分子を指す。一実施態様では、抗原結合部分は、それが結合する実体(例えば、サイトカイン又は第2の抗原結合部分)を標的部位へ、例えば特定の型の腫瘍細胞又は抗原決定基を保有する腫瘍間質へと指向させることができる。抗原結合部分には、本明細書でさらに定義される抗体及びその断片が含まれる。好ましい抗原結合部分には、抗体重鎖可変領域及び抗体軽鎖可変領域を含む、抗体の抗原結合ドメインが含まれる。特定の実施態様では、抗原結合部分は、本明細書でさらに定義され、かつ当技術分野において既知であるように、抗体定常領域を含むことができる。有用な重鎖定常領域は、5つのアイソタイプ:α、δ、ε、γ、又はμのいずれかを含む。有用な軽鎖定常領域は、2つのアイソタイプ:κ及びλのいずれかを含む。

0155

「特異的に結合する」とは、結合が、抗原について選択的であり、望ましくない相互作用又は非特異的相互作用とは区別可能であることを意味する。抗原結合部分の、特定の抗原決定基への結合能は、酵素結合免疫吸着法ELISA)又は当業者によく知られた他の技術、例えば表面プラズモン共鳴技術(BIAcore装置における解析)(Liljeblad et al., Glyco J 17, 323-329 (2000))、及び古典的結合アッセイ(Heeley, Endocr Res 28, 217-229 (2002))により測定することができる。一実施態様では、抗原結合部分の無関係なタンパク質への結合の程度は、例えばSPRによって測定される場合、抗原結合部分の抗原への結合の約10%未満である。特定の実施態様では、抗原に結合する抗原結合部分、又は抗原結合部分を含む抗原結合分子は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(KD)を有する。

0156

「結合の減少」、例えばFc受容体への結合の減少とは、例えばSPRによって測定されるように、各相互作用に対する親和性の減少を指す。明確に示すために、用語はゼロ(又は分析方法の検出限界を下回る値)への親和性の減少、すなわち相互作用の完全な消失も含む。逆に、「結合の増加」は、各相互作用に対する親和性の増加を指す。

0157

本明細書において使用される用語「抗原結合分子」は、その最も広い意味において、抗原決定基に特異的に結合する分子を指す。抗原結合分子の例は、免疫グロブリン及び誘導体、例えば、その断片である。

0158

本明細書において使用される用語「抗原決定基」は、「抗原」及び「エピトープ」と同義であり、抗原結合部分が結合し、抗原結合部分−抗原複合体を形成するポリペプチド巨大分子上の部位(例えば、アミノ酸の連続的区間又は非連続的アミノ酸の異なる領域から形成される立体構造配置)を指す。有用な抗原決定基は、例えば、腫瘍細胞の表面に、ウイルス感染細胞の表面に、他の疾患細胞の表面に、血清中遊離した状態で、及び/又は細胞外マトリックス(ECM)に見いだすことができる。特に断らない限り、本明細書において抗原と呼ばれるタンパク質(例えばCD3)は、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来のタンパク質の任意の天然形態を指す。特定の実施態様では、抗原はヒトタンパク質である。本明細書において特定のタンパク質が言及される場合、その用語は「完全長」の未処理のタンパク質と、細胞内でのプロセシングにより得られる任意の形態のタンパク質とを包含する。その用語はまた、天然に存在するタンパク質の変異体、例えば、スプライス変異体又は対立遺伝子変異体を包含する。抗原として有用な例示的なヒトタンパク質は、CD3、特にCD3のイプシロンサブユニットである(ヒト配列についてUniProt no.P07766(バージョン130)、NCBI RefSeq no.NP_000724.1、配列番号105を;カニクイザル[Macaca fascicularis]配列についてはUniProt no.Q95LI5(バージョン49)、NCBIGenBankno.BAB71849.1、配列番号106を参照)。特定の実施態様では、本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子は、異なる種由来のCD3又は標的細胞抗原間で保存されている、CD3又は標的細胞抗原のエピトープに結合する。

0159

本明細書において使用される用語「ポリペプチド」は、アミノ結合(ペプチド結合としても知られる)により線形に結合したモノマー(アミノ酸)からなる分子を指す。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖を指し、特定の長さの生成物を指すものではない。したがって、ペプチドジペプチドトリペプチドオリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、又は2つ以上のアミノ酸の鎖を指す他のいずれの用語も「ポリペプチド」の定義に含まれ、用語「ポリペプチド」は、これら用語のいずれかの代わりに、又はいずれかと交換可能に、使用することができる。用語「ポリペプチド」は、ポリペプチドの発現後修飾の生成物を指すことも意図しており、このような生成物には、限定されないが、グリコシル化アセチル化リン酸化アミド化、既知の保護基ブロッキング基による誘導体化タンパク質分解切断、又は天然に存在しないアミノ酸による修飾が含まれる。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源に由来する場合もあれば、組換え技術によって産生される場合もあるが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されるわけではない。ポリペプチドは化学合成によるものを含め、どのような方法で生成されてもよい。本発明のポリペプチドは、約3以上、5以上、10以上、20以上、25以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、1000以上、又は2000以上の大きさのアミノ酸からなってよい。ポリペプチドは、定義された三次元構造を有し得るが、必ずしもそのような構造を有するものではない。定義された三次元構造を有するポリペプチドは、折り畳まれていると言われ、定義された三次元構造を有しないが、多数の異なる立体構造をとることができるポリペプチドは折り畳まれていないと言われる。

0160

「単離された」ポリペプチド若しくは変異体、又はその誘導体とは、その自然の環境にないポリペプチドを意味する。特定のレベルの精製は必要でない。例えば、単離されたポリペプチドは、その天然又は自然の環境から除去することができる。宿主細胞に発現される、組換えにより産生されたポリペプチド及びタンパク質を、任意の適切な技術により分離、分画、又は部分的若しくは実質的に精製された天然又は組換えポリペプチドのように、本発明のために単離することが考慮される。

0161

参照ポリペプチド配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、最大の配列同一性パーセントを得るように配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後の、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とみなさない、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当該技術分野の範囲内にあるさまざまな方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較される配列の完全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、ジェネンテック社によって著作され、ソースコードは米国著作権ワシトンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN−2プログラムは、ジェネンテック社(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)のV4.0Dを含む、UNIX(登録商標)オペレーティングシステムで使用するためにコンパイルする必要がある。すべての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、所与のアミノ酸配列Bと、又はそれに対して特定の%アミノ酸配列同一性を有する又は含む所与のアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
100×分率X/Y
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN−2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一の一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN−2コンピュータプログラムを使用して、前段落で説明したように得られる。

0162

本明細書における用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、さまざまな抗体構造を包含し、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。

0163

用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」は、本明細書中互換的に使用され、天然の抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。

0164

「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部分を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えばscFv)、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。本明細書で使用される用語「抗体断片」は、単一ドメイン抗体も包含する。

0165

用語「免疫グロブリン分子」は、天然に存在する抗体の構造を有するタンパク質を指す。例えば、IgGクラスの免疫グロブリンは、ジスルフィド結合している2つの軽鎖と2つの重鎖からなる約150000ダルトンヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に、各重鎖は可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)が続いている。同様に、N末端からC末端に、各軽鎖は可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、その後に軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインが続いている。免疫グロブリンの重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)、又はμ(IgM)と呼ばれる5つのクラスのうちの1つに割り当てることができ、それらのいくつかはさらにサブタイプ、例えばγ1(IgG1)、γ2(IgG2)、γ3(IgG3)、γ4(IgG4)、α1(IgA1)及びα2(IgA2)に分けられる。免疫グロブリンの軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる、2つの種類のうちの1つに割り当てることができる。免疫グロブリンは、本質的に、免疫グロブリンのヒンジ領域を介して連結された2つのFab分子とFcドメインからなる。

0166

用語「抗原結合ドメイン」は、抗原の一部又は全部に特異的に結合し、かつ相補的である領域を含む抗体の部分を指す。抗原結合ドメインは、例えば、1つ又は複数の抗体可変ドメイン抗体可変領域とも呼ばれる)により提供され得る。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含む。

0167

用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。通常、天然の抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、各々が4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)とを含む類似構造を有する。例えば、Kindt et al., Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照。抗原結合特異性を付与するには、単一のVH又はVLドメインで十分であり得る。

0168

ヒト抗体」とは、ヒト若しくはヒト細胞により産生される抗体、又はヒト抗体レパートリー若しくは他のヒト抗体をコードする配列を利用する非ヒト起源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。

0169

「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、HVR(例えば、CDR)のすべて又は実質的にすべてが非ヒト抗体のものに対応し、FRのすべて又は実質的にすべてが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を遂げた抗体を指す。

0170

本明細書で用いられる用語「超可変領域」又は「HVR」は、配列が超可変である抗体可変ドメインの領域(「相補性決定領域」すなわち「CDR」)及び/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの領域及び/又は抗原に接触する残基(「抗原コンタクト(antigen contact)」を含有する抗体可変ドメインの領域のそれぞれを指す。一般的に、抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)の計6つのHVRを含む。本明細書において、例示的なHVRは、
(a)アミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)、及び96−101(H3)に生じる超可変ループ(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b)アミノ酸残基24−34(L1)、50−56(L2)、89−97(L3)、31−35b(H1)、50−65(H2)、及び95−102(H3)に生じるCDR(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c)アミノ酸残基27c−36(L1)、46−55(L2)、89−96(L3)、30−35b(H1)、47−58(H2)、及び93−101(H3)に生じる抗原コンタクト(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));及び
(d)HVRアミノ酸残基46−56(L2)、47−56(L2)、48−56(L2)、49−56(L2)、26−35(H1)、26−35b(H1)、49−65(H2)、93−102(H3)、及び94−102(H3)を含む、(a)、(b)、及び/又は(c)の組み合わせ
を含む。

0171

特に断らない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上掲のKabatらに従って番号付けされる。

0172

「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR配列及びFR配列は、一般にVH(又はVL)の以下の配列に現れる:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4。

0173

抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IGA1、及びIgA2に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。

0174

本明細書の用語「Fcドメイン」又は「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域と変異型Fc領域を含む。IgG重鎖のFc領域の境界はわずかに異なる可能性があるが、通常、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端まで伸びると定義される。しかし、宿主細胞によって産生される抗体は、重鎖のC末端から1つ又は複数の、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後切断を受ける可能性がある。したがって、完全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現によって宿主細胞によって産生される抗体には、完全長重鎖が含まれ得るか、完全長重鎖の切断された変異体(本明細書では「切断された変異型重鎖」とも呼ばれる)が含まれ得る。これは、重鎖の最後の2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)とリジン(K447、Kabat EUインデックスによる番号付け)である場合に当てはまる。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)とリジン(K447)は、存在してもしなくてもよい。本明細書に別途指定のない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991(上記も参照)。本明細書において使用されるFcドメインの「サブユニット」は、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドの一方、すなわち、免疫グロブリン重鎖のC末端定常領域を含み、安定な自己会合能を有するポリペプチドを指す。例えば、IgG Fcドメインのサブユニットは、IgG CH2及びIgG CH3定常ドメインを含む。

0175

「Fcドメインの第1及び第2のサブユニットの会合を促進する修飾」とは、Fcドメインのサブユニットを含むポリペプチドの、同一のポリペプチドとの会合によるホモ二量体の形成を低減又は抑制する、ペプチド骨格の操作又はFcドメインサブユニットの翻訳後修飾である。本明細書において使用される会合を促進する修飾には、特に、会合することが望ましい2つのFcドメインサブユニット(すなわち、Fcドメインの第1及び第2のサブユニット)の各々に対して行われる別々の修飾が含まれ、これらの修飾は、2つのFcドメインサブユニットの会合を促進するために互いに相補的である。例えば、会合を促進する修飾は、Fcドメインサブユニットの一方又は両方の構造又は電荷を変化させることにより、それらの会合を、それぞれ立体的に又は静電的に好ましいものにすることができる。このように、(ヘテロ二量体化は、第1のFcドメインサブユニットを含むポリペプチドと、第2のFcドメインサブユニットを含むポリペプチドとの間で起こり、これらのポリペプチドは、サブユニットの各々に融合したさらなる成分(例えば、抗原結合部分)が同じでないという意味で非同一であり得る。いくつかの実施態様では、会合を促進する修飾は、Fcドメイン内におけるアミノ酸変異、特にアミノ酸置換を含む。特定の実施態様では、会合を促進する修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットの各々における別々のアミノ酸変異、具体的にはアミノ酸置換を含む。

0176

「活性化Fc受容体」は、抗体のFc領域の結合に続いて、エフェクター機能を実行するように受容体保有細胞を刺激するシグナル伝達現象を生じさせるFc受容体である。活性化Fc受容体には、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)、及びFcαRI(CD89)が含まれる。

0177

用語「エフェクター機能」は、抗体に関連して使用される場合、抗体のFc領域に起因する生物学的活性を指し、これは抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例には:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、サイトカイン分泌抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込み、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、及びB細胞活性化が含まれる。

0178

本明細書で使用される用語「エフェクター細胞」は、エフェクター部分受容体、例えばサイトカイン受容体、及び/又はエフェクター部分、例えばサイトカイン、及び/又は抗体のFc領域と結合する表面上のFc受容体を提示し、標的細胞、例えば腫瘍細胞の破壊に寄与するリンパ球集団を指す。エフェクター細胞は、例えば、細胞傷害作用又は食細胞作用を媒介し得る。エフェクター細胞には、限定されないが、エフェクターT細胞、例えば、CD8+細胞傷害性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞、γδT細胞、NK細胞リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞及びマクロファージ単球などが含まれる。

0179

本明細書において使用される場合、用語「操作する(engineer)、操作された(engineered)、操作(engineering)」は、ペプチド骨格の任意の操作、又は天然に存在するポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはその断片の翻訳後修飾を含むと考慮される。操作には、アミノ酸配列、グリコシル化パターン、又は個々のアミノ酸の側鎖基の修飾、及びこれらの手法の組み合わせが含まれる。「操作」、特に接頭辞「糖鎖」を伴うもの、及び用語「グリコシル化操作」には、細胞内で発現される糖タンパク質の改変されたグリコシル化を達成するためのオリゴ糖合成経路遺伝子操作を含む、細胞のグリコシル化機構の代謝操作が含まれる。さらに、グリコシル化操作は、グリコシル化における突然変異及び細胞環境の影響を含む。一実施態様では、グリコシル化操作は、グリコシルトランスフェラーゼ活性の改変である。特定の実施態様では、操作は、グルコサミニルトランスフェラーゼ活性及び/又はフコシルトランスフェラーゼ活性の改変をもたらす。グリコシル化操作を使用して、「GnTIII活性が増加した宿主細胞」(例えば、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するように操作された宿主細胞)、「ManII活性が増加した宿主細胞」(例えば、α−マンノシダーゼII(ManII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するように操作された宿主細胞)、又は「α(1,6)フコシルトランスフェラーゼ活性が低下した宿主細胞」(例えば、α(1,6)フコシルトランスフェラーゼの減少したレベルを発現するように操作された宿主細胞)を得ることができる。

0180

用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」は、互換的に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、それには初代形質転換細胞及び、継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は親細胞と核酸含量が完全に同一でなくてもよく、突然変異を含んでいてもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する変異型子孫が本明細書において含まれる。宿主細胞は、本発明のために使用されるタンパク質を生成するために使用され得る任意の種類の細胞系である。一実施態様では、宿主細胞は、修飾されたオリゴ糖を有する抗体の産生を可能にするように操作される。特定の実施態様では、宿主細胞は、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するように操作されている。特定の実施態様では、宿主細胞は、α−マンノシダーゼII(ManII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するようにさらに操作されている。宿主細胞は、培養細胞、例えばいくつか例を挙げると、CHO細胞BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞、又はハイブリドーマ細胞といった哺乳動物の培養細胞、酵母細胞昆虫細胞、及び植物細胞を含み、さらには、トランスジェニック動物トランスジェニック植物、又は培養された植物若しくは動物組織内部に含まれる細胞も含む。

0181

本明細書で使用される場合、用語「GnTIII活性を有するポリペプチド」は、N−結合型オリゴ糖のトリマンノシルコアのβ−結合マンノシドへのβ−1,4結合におけるN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基の付加を触媒することができるポリペプチドを指す。これには、特定の生物学的アッセイで測定される場合、用量依存性の有無にかかわらず、国際生化学分子生物学連合(NC−IUBMB)の命名委員会による、β−1,4−マンノシル糖タンパク質の4−β−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.144)としても知られるβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIの活性に類似しているが必ずしも同一ではない酵素活性を示す融合ポリペプチドが含まれる。用量依存性が存在する場合、GnTIIIのそれと同一である必要はなく、GnTIIIと比較して、所定の活性における用量依存性とかなり実質的に類似している必要がある(すなわち、候補ポリペプチドは、GnTIIIと比較して、より高い活性、又は約25倍以下、好ましくは約10倍以下の活性、最も好ましくは約3倍以下の活性を示す)。特定の実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドは、GnTIIIの触媒ドメインと異種ゴルジ常在性ポリペプチドのゴルジ局在化ドメインとを含む融合ポリペプチドである。特に、ゴルジ局在化ドメインは、マンノシダーゼII又はGnTIの局在化ドメイン、最も具体的にはマンノシダーゼIIの局在化ドメインである。あるいは、ゴルジ局在化ドメインは、マンノシダーゼIの局在化ドメイン、GnTIIの局在化ドメイン、及びα1,6コアフコシルトランスフェラーゼの局在化ドメインからなる群から選択される。そのような融合ポリペプチドを生成し、それらを使用してエフェクター機能が増加した抗体を産生する方法は、国際公開第2004/065540号、米国仮特許出願第60/495142号及び米国特許出願公開第2004/0241817号に開示されており、その内容全体が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。

0182

本明細書で使用される場合、用語「ゴルジ局在化ドメイン」は、ポリペプチドをゴルジ複合体内の位置に固定することに関与するゴルジ常在性ポリペプチドのアミノ酸配列を指す。一般的に、局在化ドメインは、酵素のアミノ末端「テール」を含む。

0183

本明細書で使用される場合、用語「ManII活性を有するポリペプチド」は、N−結合型オリゴ糖の分岐GlcNAcMan5GlcNAc2マンノース中間体における末端1,3−及び1,6−結合α−D−マンノース残基加水分解を触媒できるポリペプチドを指す。これには、国際生化学分子生物学連合(NC−IUBMB)の命名委員会による、マンノシルオリゴ糖1,3−1,6−α−マンノシダーゼII(EC 3.2.1.114)としても知られるゴルジα−マンノシダーゼIIの活性に類似しているが必ずしも同一ではない酵素活性を示すポリペプチドが含まれる。

0184

抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)は、免疫エフェクター細胞による抗体被覆標的細胞の溶解を引き起こす免疫機構である。標的細胞は、Fc領域を含む抗体又はその断片が、一般にFc領域のN末端にあるタンパク質部分を介して、特異的に結合する細胞である。本明細書で使用される場合、用語「増加した/減少したADCC」は、標的細胞を取り囲む媒質中の所定の抗体濃度において、上記で定義されたADCCの機構による、所定の時間内に溶解される標的細胞の数の増加/減少、及び/又は、ADCCの機構により、所定の時間内に所定の数の標的細胞の溶解を達成するために必要な、標的細胞を囲む媒質中の抗体濃度の減少/増加のいずれかとして定義される。ADCCの増加/減少は、同じ標準的な産生方法精製方法、製剤化法、及び貯蔵方法(当業者に知られている)を使用して、ただし操作されていない、同じ型の宿主細胞によって産生される同じ抗体によって媒介されるADCCに対して相対的なものである。例えば、本明細書に記載の方法により、グリコシル化の改変したパターンを有するように(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、GnTIII、又は他のグリコシルトランスフェラーゼを発現するように)操作された宿主細胞により産生される抗体により媒介されるADCCの増加は、同じ型の非操作宿主細胞により産生される同じ抗体により媒介されるADCCに対して相対的なものである。

0185

「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)が増加/減少した抗体」とは、当業者に知られた任意の適切な方法により決定されるようにADCCが増加/減少した抗体を意味する。1つの受け入れられているin vitro ADCCアッセイは、以下の通りである:
1)アッセイは、抗体の抗原結合領域によって認識される標的抗原を発現することが知られている標的細胞を使用する;
2)アッセイは、エフェクター細胞として、無作為に選択された健常なドナーの血液から単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用する;
3)アッセイは、以下のプロトコールに従って実行される:
i)PBMCは、標準的な密度遠心分離手順を使用して単離され、RPMI細胞培養培地に5×106細胞/mlで懸濁される。
ii)標的細胞を標準的な組織培養法により増殖させ、90%を超える生存率の指数増殖期から回収し、RPMI細胞培養培地で洗浄し、100マイクロキュリーの51Crで標識し、細胞培養培地で2回洗浄し、105個の細胞/mlの密度で細胞培養培地に再懸濁させる;
iii)100マイクロリットルの上記の最終標的細胞懸濁物を96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移す;
iv)抗体を細胞培養培地で4000ng/mから0.04ng/mlに段階希釈し、50マイクロリットルの得られた抗体溶液を96ウェルマイクロタイタープレート中の標的細胞に添加し、上記の濃度範囲全体をカバーするさまざまな抗体濃度で3重試験する。
v)最大放出(MRコントロールのために、標識された標的細胞を含むプレート中の3つの追加のウェルに、抗体溶液(上記のiv項)の代わりに非イオン性界面活性剤(Nonidet,Sigma,St.Louis)の2%(V/V)水溶液50マイクロリットルを入れる;
vi)自然放出(SP)コントロールのために、標識された標的細胞を含むプレート中の3つの追加のウェルに、抗体溶液(上記のiv項)の代わりにRPMI細胞培地50マイクロリットルを入れる;
vii)次いで、96ウェルマイクロタイタープレートを50xgで1分間遠心分離し、4℃で1時間インキュベートする。
viii)50マイクロリットルのPBMC懸濁液(上記のi項)を各ウェルに加えて、エフェクター:標的細胞比を25:1にし、プレートを37℃で4時間、5%CO2雰囲気下のインキュベーターに入れる;
ix)各ウェルから無細胞上清を回収し、ガンマカウンターを使用して実験的に放出された放射活性(ER)を定量する;
x)特異的溶解百分率を、各抗体濃度について、式(ER−MR)/(MR−SR)×100[式中、ERはその抗体濃度について定量された平均放射活性(上記ix項参照)であり、MRはMRコントロール(上記v項参照)について定量された平均放射活性(上記ix項参照)であり、SRはSRコントロール(上記vi項参照)について定量された平均放射活性(上記ix項参照)である]に従って計算する。
4)「増加した/減少したADCC」は、上記の試験された抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大百分率の増加/減少、及び/又は上記の試験された抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大百分率の半分を達成するのに必要な抗体濃度の減少/増加のいずれかとして定義される。ADCCの増加/減少は、上記のアッセイで測定され、当業者に知られている、同じ標準的な産生方法、精製方法、製剤化法、及び貯蔵方法を使用して、ただし操作されていない、同じ型の宿主細胞によって産生される同じ抗体によって媒介されるADCCに対して相対的なものである。

0186

本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、例えば、天然に生じる突然変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の製造時に発生し、一般的に少量で存在している可能性のある変異体抗体を除いて、集団を構成する個々の抗体は同一であり、かつ/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されるものではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むさまざまな技術によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は本明細書に記載されている。

0187

本明細書で使用される場合、抗原結合部分などに関する用語「第1」、「第2」、「第3」などは、各型の部分が複数存在するとき、区別する便宜のために使用される。これらの用語の使用は、特に明記されていない限り、特定の順序又は配向を付与することを意図しているのではない。

0188

用語「多重特異性」及び「二重特異性」は、抗原結合分子が少なくとも2つの異なる抗原決定基に特異的に結合することができることを意味する。典型的には、二重特異性抗原結合分子は2つの抗原結合部位を含み、その各々は異なる抗原決定基に対して特異的である。特定の実施態様では、二重特異性抗原結合分子は、2つの抗原決定基、特に2つの別個の細胞上に発現した2つの抗原決定基に同時に結合することができる。

0189

本明細書において使用される用語「価」は、抗原結合分子内における特定数の抗原結合部位の存在を意味する。このように、用語「抗原に対する一価の結合」は、抗原結合分子における抗原に特異的な1つの(かつ1つを超えない)抗原結合部位の存在を意味する。

0190

「抗原結合部位」は、抗原との相互作用を提供する抗原結合分子の部位、すなわち1つ又は複数のアミノ酸残基を指す。例えば、抗体の抗原結合部位は、相補性決定領域(CDR)からのアミノ酸残基を含む。天然の免疫グロブリン分子は通常2つの抗原結合部位を有し、Fab分子は通常1つの抗原結合部位を有する。

0191

本明細書で使用される「T細胞活性化治療剤」は、対象においてT細胞活性化を誘導することができる治療剤、特に対象においてT細胞活性化を誘導するために設計された治療剤を指す。T細胞活性化治療剤の例には、CD3などの活性化T細胞抗原、及びCD20又はCD19などの標的細胞抗原に特異的に結合する二重特異性抗体が含まれる。さらなる例には、T細胞活性化ドメイン及びCD20又はCD19などの標的細胞抗原に特異的に結合する抗原結合部分を含むキメラ抗原受容体(CAR)が含まれる。

0192

本明細書で使用される「活性化T細胞抗原」は、抗原結合分子との相互作用の際にT細胞活性化を誘導又は増強することができる、Tリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球によって発現される抗原決定基を指す。具体的には、抗原結合分子と活性化T細胞抗原との相互作用は、T細胞受容体複合体のシグナル伝達カスケードトリガーすることにより、T細胞活性化を誘導することができる。例示的な活性化T細胞抗原はCD3である。特定の実施態様では、活性化T細胞抗原はCD3、特にCD3のイプシロンサブユニットである(ヒト配列についてUniProt no.P07766(バージョン130)、NCBI RefSeq no.NP_000724.1、配列番号105を;カニクイザル[Macaca fascicularis]配列についてはUniProt no.Q95LI5(バージョン49)、NCBIGenBankno.BAB71849.1、配列番号106を参照)。

0193

本明細書で使用される「T細胞活性化」は、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害性活性、及び活性化マーカーの発現から選択される、Tリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球の1つ又は複数の細胞応答を指す。本発明で使用されるT細胞活性化治療剤は、T細胞活性化を誘導することができる。T細胞活性化を測定するための適切なアッセイは、本明細書に記載の当該技術分野で知られている。

0194

本明細書において使用される「標的細胞抗原」は、標的細胞、例えばがん細胞又は腫瘍間質の細胞などの腫瘍内細胞の表面に提示される抗原決定基を指す。特定の実施態様では、標的細胞抗原はCD20、特にヒトCD20である(UniProt no.P11836を参照)。

0195

本明細書で使用される「B細胞抗原」は、Bリンパ球、特に悪性Bリンパ球の表面に提示される抗原決定基を指す(その場合、抗原は「悪性B細胞抗原」とも呼ばれる)。

0196

本明細書で使用される「T細胞抗原」は、Tリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球の表面に提示される抗原決定基を指す。

0197

「Fab分子」とは、免疫グロブリンの重鎖のVH及びCH1ドメイン(「Fab重鎖」)並びに軽鎖のVL及びCLドメイン(「Fab軽鎖」)からなるタンパク質を指す。

0198

「キメラ抗原受容体」又は「CAR」とは、抗原結合部分、例えば、標的抗体の単鎖可変断片(scFv)、膜貫通ドメイン、細胞内T細胞活性化シグナル伝達ドメイン(T細胞受容体のCD3ゼータ鎖など)、及び任意で1つ又は複数の細胞内共刺激ドメイン(例えば、CD28、CD27、CD137(4−1BB)、Ox40)を含む遺伝子操作された受容体タンパク質を意味する。CARは、抗原認識、T細胞の活性化、及び−第二世代CARの場合−T細胞の機能性と持続性を増強するための共刺激を媒介する。総説としては、Jackson et al., Nat Rev Clin Oncol (2016) 13, 370-383を参照。

0199

「B細胞増殖性疾患」とは、患者におけるB細胞の数が健常な対象におけるB細胞の数と比較して増加し、特にB細胞の数の増加が疾患の原因又は特徴である疾患を意味する。「CD20陽性B細胞増殖性疾患」は、B細胞、特に悪性B細胞(正常B細胞に加えて)が、CD20を発現するB細胞増殖性疾患である。

0200

例示的なB細胞増殖疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、並びに一部の型の多発性骨髄腫(MM)及びホジキンリンパ腫(HL)が挙げられる。

0201

「融合された」とは、成分(例えば、Fab分子及びFcドメインサブユニット)が、直接又は1つ若しくは複数のペプチドリンカーを介してペプチド結合によって連結されることを意味する。

0202

薬剤の「有効量」とは、それが投与される細胞又は組織中に生理学的変化をもたらすのに必要な量を指す。

0203

薬剤、例えば、薬学的組成物の「治療的有効量」とは、所望の治療的又は予防的結果を達成するために必要な投与量及び期間において有効な量を指す。治療的有効量の薬剤は、疾患の有害作用を、例えば、排除する、減少させる、遅延させる、最小化する、又は防止する。

0204

「治療剤」とは、例えば、治療されている対象における疾患の自然経過を変えようとして対象に投与され、予防のため又は臨床病理学過程において実施され得る薬学的組成物の有効成分を意味する。「免疫療法剤」は、例えば、腫瘍に対する対象の免疫応答回復又は増強する試みにおいて対象に投与される、治療剤を指す。

0205

「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物は、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシヒツジネコイヌウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれる。好ましくは、個体又は対象はヒトである。

0206

用語「薬学的組成物」は、その中に含まれる活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であって、組成物が投与されるであろう対象にとって許容できないほど毒性である付加的成分を含まない調製物を指す。

0207

「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、有効成分以外の薬学的組成物の成分を指す。薬学的に許容される担体は、限定されないが、緩衝剤賦形剤、安定剤又は保存剤を含む。

0208

本明細書で用いられる場合、「治療(treatment)」(及び「治療する(treat)」又は「治療する(treating)」など、その文法的変形)は、治療されている個体における疾患の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のため、又は臨床病理の過程において実施され得る。治療の望ましい効果は、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学帰結縮小転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施態様では、本発明の方法は、疾患の発症を遅延させるか、又は疾患の進行を遅らせるために使用される。

0209

用語「添付文書」又は「使用説明書」は、治療製品商品包装に通例含まれる説明書を指すのに用いられ、そのような治療製品の適応症、用法、用量、投与、併用治療、使用に関する禁忌及び/又は注意事項についての情報を含む。

0210

本明細書で言及される用語「併用治療」は、併用投与(ここでは2つ以上の治療剤が同一又は別々の製剤に含まれる)、及び本明細書で報告される抗体の投与が、さらなる治療剤(複数可)、好ましくは抗体(複数可)の投与の前、投与と同時、及び/又は投与の後に起こり得る個別投与を包含する。

0211

「CD3」は、特に断らない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然のCD3を指す。その用語は、「完全長」で未処理のCD3、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のCD3を含む。その用語はまた、CD3の天然に生じる変異体、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子変異体を含む。一実施態様では、CD3は、ヒトCD3、特にヒトCD3のイプシロンサブユニット(CD3ε)である。ヒトCD3のアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)の受入番号P07766(バージョン144)、又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)RefSeq NP_000724.1に示されている。配列番号91も参照。カニクイザル[Macaca fascicularis]CD3εのアミノ酸配列が、NCBIGenBankno.BAB71849.1に示されている。配列番号92も参照。

0212

特に断りのない限り、「CD19」は、Bリンパ球表面抗原B4又はT細胞表面抗原Leu−12としても知られているBリンパ球抗原CD19を指し、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳類を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然のCD19を含む。その用語は、「完全長」で未処理のCD19、並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のCD19を含む。その用語はまた、CD19の天然に生じる変異体、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子変異体を含む。一実施態様では、CD19はヒトCD19である。例示的なヒトCD19のアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)受入番号P15391(バージョン174)、又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)RefSeq NP_001770.5、及び配列番号93に示される。

0213

クロスオーバー」Fab分子(「Crossfab」とも呼ばれる)とは、Fab重鎖及び軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換されている(すなわち、互いに置換されている)Fab分子を意味し、すなわち、クロスオーバーFab分子は、軽鎖可変ドメインVL及び重鎖定常ドメイン1 CH1(VL−CH1、NからC末端方向)からなるペプチド鎖と、重鎖可変ドメインVH及び軽鎖定常ドメインCL(VH−CL、NからC末端方向)からなるペプチド鎖を含む。明確にするために、Fab軽鎖とFab重鎖の可変ドメインが交換されたクロスオーバーFab分子では、重鎖定常ドメイン1 CH1を含むペプチド鎖は、本明細書では(クロスオーバー)Fab分子の「重鎖」と呼ばれる。逆に、Fab軽鎖とFab重鎖の定常ドメインが交換されたクロスオーバーFab分子では、重鎖可変ドメインVHを含むペプチド鎖は、本明細書では(クロスオーバー)Fab分子の「重鎖」と呼ばれる。

0214

それとは対照的に、「従来の」Fab分子とは、その天然フォーマットのFab分子、すなわち、重鎖可変及び定常ドメインからなる重鎖(VH−CH1、NからC末端方向)と、軽鎖可変及び定常ドメインからなる軽鎖(VL−CL、NからC末端方向)を含むFab分子を意味する。

0215

用語「ポリヌクレオチド」は、単離された核酸分子又は構築物、例えば、メッセンジャーRNAmRNA)、ウイルス由来RNA、又はプラスミドDNA(pDNA)を指す。ポリヌクレオチドは、一般的なホスホジエステル結合又は非一般的な結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見られるようなアミド結合)を含み得る。用語「核酸分子」は、ポリヌクレオチド中に存在する、任意の1つ又は複数の核酸セグメント、例えばDNA又はRNA断片を指す。

0216

「単離された」核酸分子又はポリヌクレオチドとは、その天然環境から取り出された核酸分子、DNA又はRNAを意味する。例えば、ベクターに含まれるポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドを、本発明の目的のために単離することが考慮される。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例には、異種宿主細胞内に維持される組換えポリヌクレオチド、又は溶液中の(部分的に又は実質的に)精製されたポリヌクレオチドが含まれる。単離されたポリヌクレオチドは、通常そのポリヌクレオチド分子を含む細胞に含まれるポリヌクレオチド分子を含むが、そのポリヌクレオチド分子は染色体外に又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。単離されたRNA分子は、in vivo又はin vitroの本発明のRNA転写物、並びにプラス鎖形式及びマイナス鎖形式、及び二重鎖形式を含む。本発明の単離されたポリヌクレオチド又は核酸は、合成により生成されたそのような分子をさらに含む。加えて、ポリヌクレオチド又は核酸は、プロモーターリボソーム結合部位、又は転写ターミネーターなどの調節エレメントであり得るか又はそれらを含み得る。

0217

本発明の参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一」であるヌクレオチド配列を有する核酸又はポリヌクレオチドにより、ポリヌクレオチド配列がその参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチドごとに5個までの点突然変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列がその参照配列と同一であることが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中最大5%のヌクレオチドが削除され又は別のヌクレオチドで置換されてもよく、又は参照配列に含まれるすべてのヌクレオチドの最大5%までの複数のヌクレオチドが参照配列に挿入されてもよい。参照配列のこのような改変は、参照ヌクレオチド配列の5’又は3’末端の位置で、又はそれらの末端位置の間の任意の場所で、参照配列中の残基の間に個別に散在して、又は参照配列内部の1つ又は複数の連続する群において散在して生じ得る。特定の事項として、任意の特定のポリヌクレオチド配列が、本発明のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるかどうかは、ポリペプチドについて上述したもの(例えばALIGN−2)などの既知のコンピュータープログラムを使用して常套的に決定することができる。

0218

用語「発現カセット」は、標的細胞中の特定の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸エレメントを用いて、組換え的又は合成的に生成されたポリヌクレオチドを指す。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体ミトコンドリアDNAプラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片中に取り込むことができる。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分には、他の配列の中でも、転写される核酸配列及びプロモーターが含まれる。特定の実施態様では、本発明の発現カセットは、本発明の二重特異性抗原結合分子をコードするポリヌクレオチド配列又はその断片を含む。

0219

用語「ベクター」又は「発現ベクター」は、「発現構築物」と同義であり、標的細胞内においてそれが作動可能に結合する特定の遺伝子の発現を導入及び誘導するために使用されるDNA分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、並びにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。本発明の発現ベクターは、発現カセットを含む。発現ベクターは、大量の安定なmRNAの転写を可能にする。発現ベクターが標的細胞内部に入ると、遺伝子によってコードされるリボ核酸分子又はタンパク質が、細胞の転写及び/又は翻訳機構により産生される。一実施態様では、本発明の発現ベクターは、本発明の二重特異性抗原結合分子をコードするポリヌクレオチド配列又はその断片を含む発現カセットを含む。

0220

II型抗CD20抗体
CD20分子(ヒトBリンパ球限定分化抗原又はBp35とも呼ばれる)は、悪性及び非悪性プレB及び成熟Bリンパ球の表面に発現される疎水性膜貫通タンパク質であり、広く記載されている(Valentine, M.A., et al., J. Biol. Chem. 264 (1989) 11282-11287;及びEinfeld, D.A., et al.,EMBO J. 7 (1988) 711-717;Tedder, T.F., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85 (1988) 208-212; Stamenkovic, I., et al., J. Exp. Med. 167 (1988) 1975-1980; Tedder, T.F., et al., J. Immunol. 142 (1989) 2560-2568)。

0221

CD20は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の90%以上で高度に発現しているが(Anderson, K.C., et al., Blood 63 (1984) 1424-1433)、しかし、造血幹細胞、プロB細胞、正常な形質細胞、又は他の正常な組織には見られない(Tedder, T.F., et al., J, Immunol. 135 (1985) 973- 979)。

0222

CD20結合の様式及び生物活性が著しく異なる2つの異なる型の抗CD20抗体が存在する(Cragg, M.S., et al., Blood 103 (2004) 2738-2743;及びCragg, M.S., et al., Blood 101 (2003) 1045-1052)。I型抗CD20抗体は主に補体を利用して標的細胞を死滅させるが、II型抗体は主に細胞死直接誘導を介して機能する。

0223

I型及びII型抗CD20抗体とそれらの特性が、例えば、Klein et al., mAbs 5 (2013), 22-33に総説されている。II型抗CD20抗体は、CD20を脂質ラフト局在化せず、低いCDC活性を示し、I型抗CD20抗体と比較して、B細胞への結合能力は約半分しか示さず、同型凝集及び直接細胞死を誘導する。それとは対照的に、I型抗体はCD20を脂質ラフトに局在化させ、高いCDC活性、B細胞への完全な結合能力を示し、同型凝集及び直接細胞死の弱い誘導のみを示す。

0224

オビヌツズマブ及びトシツムマブ(CAS番号192391−48)は、II型抗CD20抗体の例であり、一方リツキシマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、PRO131921、及びウブリツキシマブは、I型抗CD20抗体の例である。

0225

本発明によれば、抗CD20抗体はII型抗CD20抗体である。本発明による一実施態様では、II型抗CD20抗体は、対象におけるB細胞の数を減少させることができる。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体である。一実施態様では、II型抗CD20抗体は完全長抗体である。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、Fc領域、特にIgG Fc領域、又はより具体的にはIgG1 Fc領域を含む。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、ヒト化B−Ly1抗体である。特に、II型抗CD20抗体は、マウスB−Ly1抗体の結合特異性を有するヒト化IgGクラスII型抗CD20抗体である(Poppema and Visser, Biotest Bulletin 3, 131-139 (1987);配列番号2及び3)。

0226

一実施態様では、II型抗CD20抗体は、配列番号4の重鎖CDR(HCDR)1、配列番号5のHCDR2、及び配列番号6のHCDR3を含む重鎖可変領域;及び配列番号7の軽鎖CDR(LCDR)1、配列番号8のLCDR2、及び配列番号9のLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。特に、前記II型抗CD20抗体の重鎖可変領域フレームワーク領域(FR)FR1、FR2、及びFR3は、VH1_10ヒト生殖系列配列によってコードされるヒトFR配列であり、前記II型抗CD20抗体の重鎖可変領域FR4は、JH4ヒト生殖系列配列によってコードされるヒトFR配列であり、前記II型抗CD20抗体の軽鎖可変領域FR、FR1、FR2、及びFR3は、VK_2_40ヒト生殖系列配列によってコードされるヒトFR配列であり、前記II型抗CD20抗体の軽鎖可変領域FR4は、JK4ヒト生殖系列配列によってコードされるヒトFR配列である。一実施態様では、II型抗CD20抗体は、配列番号10の重鎖可変領域配列及び配列番号11の軽鎖可変領域配列を含む。

0227

特定の実施態様では、II型抗CD20抗体はオビヌツズマブ(推奨NN、WHO Drug Information, Vol. 26, No. 4, 2012, p. 453)である。本明細書で使用される場合、オビヌツズマブは、GA101の同義語である。商品名は、GAZYVA(登録商標)又はGAZYVARO(登録商標)である。これは以前のすべてのバージョン(例えば、Vol. 25, No. 1, 2011, p.75-76)を置き換え、以前はアフツズマブ(推奨INN、WHO Drug Information, Vol. 23, No. 2, 2009, p. 176; Vol. 22, No. 2, 2008, p. 124)として知られている。一実施態様では、II型抗CD20抗体はトシツモマブである。

0228

本発明において有用なII型抗CD20抗体は、対応する非操作抗体と比較して、エフェクター機能が増加するように操作され得る。一実施態様では、エフェクター機能が増加するように操作された抗体は、対応する非操作抗体と比較して、少なくとも2倍、少なくとも10倍、又は少なくとも100倍増加したエフェクター機能を有する。エフェクター機能の増加は、限定されないが、Fc受容体結合の増加、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)の増加、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の増加、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の増加、サイトカイン分泌の増加、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込みの増加、NK細胞への結合の増加、マクロファージへの結合の増加、単球への結合の増加、多形核細胞への結合の増加、アポトーシスを誘導する直接シグナル伝達の増加、標的結合抗体架橋の増加、樹状細胞成熟の増加、又はT細胞プライミングの増加のうちの1つ又は複数を挙げることができる。

0229

一実施態様では、エフェクター機能の増加は、Fc受容体結合の増加、CDCの増加、ADCCの増加、ADCPの増加、及びサイトカイン分泌の増加から選択される1つ又は複数である。一実施態様では、エフェクター機能の増加は、活性化Fc受容体への結合の増加である。そのような一実施態様では、活性化Fc受容体への結合親和性は、対応する非操作抗体の結合親和性と比較して、少なくとも2倍、特に少なくとも10倍増加する。特定の実施態様では、活性化Fc受容体は、FcγRIIIa、FcγRI、及びFcγRIIaからなる群から選択される。一実施態様では、活性化Fc受容体は、FcγRIIIa、特にヒトFcγRIIIaである。別の実施態様では、エフェクター機能の増加はADCCの増加である。そのような一実施態様では、ADCCは、対応する非操作抗体によって媒介されるADCCと比較して、少なくとも10倍、特に少なくとも100倍増加する。さらに別の実施態様では、エフェクター機能の増加は、活性化Fc受容体への結合の増加及びADCCの増加である。

0230

エフェクター機能の増加は、当該技術分野で知られた方法により測定され得る。ADCCを測定するための適切なアッセイは本明細書に記載される。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの他の例が、米国特許第5500362号;Hellstrom et al. Proc Natl Acad Sci USA 83, 7059-7063 (1986) 及びHellstrom et al., Proc Natl Acad Sci USA 82, 1499-1502 (1985);米国特許第5821337号; Bruggemann et al., J Exp Med 166, 1351-1361 (1987)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えばフローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又はさらに、目的の分子のADCC活性は、Clynes et al., PNAS USA 95:652-656 (1998)に開示されるように、例えば動物モデルにおいてin vivoで評価することができる。Fc受容体への結合は、例えばELISAによって、又はBIAcore装置(GE Healthcare)などの標準的な機器を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって、及び組換え発現によって得ることができるFc受容体を使用して、容易に決定することができる。特定の実施態様によれば、活性化Fc受容体への結合親和性は、25℃でBIACORE(登録商標)T100装置(GE Healthcare)を使用した表面プラズモン共鳴によって測定される。あるいは、FcγIIIa受容体を発現するNK細胞などの特定のFc受容体を発現することが知られている細胞株を使用して、Fc受容体に対する抗体の結合親和性を評価してもよい。抗体がC1qに結合できるかどうか、したがってCDC活性があるかどうかを判断するために、C1q結合アッセイも実施することができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行うことができる(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods202:163 (1996); Cragg, et al., Blood 101:1045-1052 (2003);及びCragg, and Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004)を参照)。

0231

エフェクター機能の増加は、例えば、抗体のFc領域の糖鎖操作又は抗体のFc領域におけるアミノ酸変異の導入に起因し得る。一実施態様では、抗CD20抗体は、Fc領域に1つ又は複数のアミノ酸変異を導入することにより操作される。特定の実施態様では、アミノ酸変異はアミノ酸置換である。さらにより具体的な実施態様では、アミノ酸置換は、Fc領域の位置298、333、及び/又は334にある(残基はEU番号付け)。さらに適切なアミノ酸変異は、例えば、Shieldset al., J Biol Chem 9(2), 6591-6604 (2001);米国特許第6737056号;国際公開第2004/063351号及び国際公開第2004/099249号に記載されている。変異体Fc領域は、当該技術分野で良く知られた遺伝学的方法又は化学的方法を使用して、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は修飾により調製することができる。遺伝学的方法は、コード化DNA配列部位特異的突然変異、PCR、遺伝子合成などを含み得る。正確なヌクレオチドの変化は、例えば配列決定により検証することができる。

0232

別の実施態様では、II型抗CD20抗体は、Fc領域におけるグリコシル化の修飾により操作される。特定の実施態様では、II型抗CD20抗体は、非操作抗体と比較して、Fc領域における非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される。抗体のFc領域における非フコシル化オリゴ糖の割合の増加は、エフェクター機能が増加した抗体、特にADCCが増加した抗体をもたらす。

0233

より具体的な実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、好ましくは少なくとも約40%が非フコシル化されている。一実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の約40%から約80%が非フコシル化されている。一実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の約40%から約60%が非フコシル化されている。非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッド型又は複合型であり得る。

0234

別の特定の実施態様では、II型抗CD20抗体は、非操作抗体と比較して、Fc領域における二分されたオリゴ糖の割合が増加するように操作される。より具体的な実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、好ましくは少なくとも約40%が二分されている。一実施態様では、抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の約40%から約80%が二分されている。一実施態様では、抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の約40%から約60%が二分されている。二分されたオリゴ糖は、ハイブリッド型又は複合型であり得る。

0235

さらに別の特定の実施態様では、II型抗CD20抗体は、非操作抗体と比較して、Fc領域において、二分された非フコシル化オリゴ糖の増加した割合を有するように操作される。より具体的な実施態様では、II型抗CD20抗体のFc領域におけるN−結合型オリゴ糖の少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約25%が、二分され、非フコシル化されている。二分された非フコシル化オリゴ糖は、ハイブリッド型又は複合型であり得る。

0236

抗体Fc領域におけるオリゴ糖構造は、当該技術分野で良く知られた方法、例えば、Umana et al., Nat Biotechnol 17, 176-180 (1999)又はFerrara et al., Biotechn Bioeng 93, 851-861 (2006)に記載されるように、MALDI TOF質量分析により分析することができる。非フコシル化オリゴ糖の割合は、Asn297に結合したすべてのオリゴ糖(例えば、複合型、ハイブリッド及び高マンノース構造)に対する、フコース残基欠くオリゴ糖の量であり、N−グリコシダーゼFで処理した試料においてMALDI TOF MSにより同定された。Asn297は、Fc領域中のおよそ297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、しかし、Asn297は、抗体のわずかな配列変異に起因して、297位のおよそ±3アミノ酸上流又は下流に、すなわち294位から300位に位置する場合もある。二分された、又は二分された非フコシル化オリゴ糖の割合も同様に決定される。

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