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図面 (13)

課題・解決手段

水素貯蔵生成物は、ホウ素種で官能化され、アルカリ金属またはアルカリ土類金属で修飾された1個または複数の還元酸グラフェン層を含む。本構造の各層は、ホウ素原子に結合された酸素原子を含むホウ素−酸素官能基をさらに含む。水素貯蔵生成物は、水素分子物理吸着に適した組成を有し、低圧および周囲温度運転条件下で水素を可逆的に貯蔵するよう機能する。

概要

背景

水素は、従来の化石燃料と比べて、より環境に優しく生成、貯蔵および消費することができる比較的クリーンで効率的なエネルギーキャリアである。しかし、貯蔵用途および輸送用途において水素がより広く採用されるには課題となる技術的障害が存在する。例えば、自動車用燃料電池用途では、車両の大きさおよび質量の制約水素貯蔵にとって課題となる。典型的な自動車は、400km走行するために水素を約4kg消費する。しかし、4kgの水素は、周囲温度および圧力で約45m3の体積を占める。様々な水素貯蔵技術貯蔵体積を減少させるために開発されてきた。既知貯蔵法にはガス圧縮および低温液化が含まれる。しかし、これらの方法にはいずれも著しく不利な点がある。圧縮水素ガス貯蔵タンクは通常、700bar程度の高圧を維持するよう設計され、そのようなタンクは製造に費用がかかり、比較的かさばる傾向があり、さらに、高い圧力が加えられたタンクを損傷すると、例えば衝突して損傷すると、悲惨な結果を招く恐れがある。低温液化によって水素を貯蔵する液体水素貯蔵タンク内では、水素を−252℃まで冷却しなければならず、このプロセスの間に消費されるエネルギーは、水素によって貯蔵されるエネルギーの1/3に匹敵し得る。さらに、液体水素貯蔵タンクは通常、系内の過大な圧力を避けるために開放系の設計がなされているが、そのような設計は、1日あたり0.6〜3%の量の蒸発減につながることがある。

従来の水素貯蔵法が直面する問題に対する有望な解決策として、室温中圧(例えば50bar未満)下の固体水素貯蔵が提案されている。固体水素貯蔵材料内に貯蔵された水素分子物理吸着または化学結合のいずれかにより引き付けられ、これにより液体状態さえも超える極めて高密度充填が可能になる。
カーボンナノ材料が、その高い比表面積、軽量および柔軟性のために、可能性のある水素貯蔵媒体として提案されている。炭素材料によって吸着される水素は吸着材の比表面積に比例し、一般に、より大きい表面積は、より高い水素貯蔵容量を意味する。グラフェンおよび類似の材料、例えば還元酸化グラフェンはカーボンナノ材料の一種であり、2600m2/gの理論比表面積を持つため、水素貯蔵用途に有望である。他のカーボンナノ材料と比べて、グラフェンは、その原子の大部分を表面原子として有し、これによりグラフェンは有力な吸着材候補となっている。さらに、グラフェンの原子構造堅牢であり、激しい機械的変形および化学修飾に耐えることができる。そのsp2 C−C結合はまた、グラフェン構造内へのヘテロ原子ドーピングおよび修飾を可能にする。グラフェンは水素貯蔵用途に有望であるものの、元の状態のグラフェンが77K(−196℃)程度の極めて低い温度でのみ高い水素貯蔵容量を与えることができる。そのような低温の維持にはエネルギーの大量消費が必要になるためエネルギー効率が低下する。
周囲温度および中圧で水素を貯蔵するために、グラフェンと水素との間の親和性を向上させる必要がある。水素に対するグラフェンの高親和性を実現する方法が、金属系触媒によるグラフェンの修飾を含め、提案されている。一般に使用される金属系触媒には、遷移金属、例えばPd、PtおよびRuが含まれる。しかし、これらの金属系触媒は高価であり、米国エネルギー省DOE)が水素貯蔵材料に対して指定した容量の目標を達成することができない。

概要

水素貯蔵生成物は、ホウ素種で官能化され、アルカリ金属またはアルカリ土類金属で修飾された1個または複数の還元酸化グラフェン層を含む。本構造の各層は、ホウ素原子に結合された酸素原子を含むホウ素−酸素官能基をさらに含む。水素貯蔵生成物は、水素分子の物理吸着に適した組成を有し、低圧および周囲温度の運転条件下で水素を可逆的に貯蔵するよう機能する。

目的

したがって、先行技術の欠点の少なくとも一部に対する解決策を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

ホウ素種で官能化され、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属で修飾された還元酸グラフェンを含む単層構造または多層構造を含む水素貯蔵生成物であって、構造の各層が、ホウ素原子に結合された酸素原子のホウ素−酸素官能基をさらに含む、水素貯蔵生成物。

請求項2

構造の各層が、ホウ素原子で官能化された炭素原子六方格子を含む、請求項1に記載の水素貯蔵生成物。

請求項3

アルカリ金属またはアルカリ土類金属が、ホウ素原子に近接する結合位置、または六方格子の空洞に近接する結合位置、または炭素−ホウ素結合に近接する結合位置、またはホウ素−酸素官能基に近接する結合位置に位置している、請求項2に記載の水素貯蔵生成物。

請求項4

アルカリ金属またはアルカリ土類金属が、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、SrおよびBaからなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の水素貯蔵生成物。

請求項5

水素分子が通過して構造上の吸着サイトに接近するのに十分に大きい細孔を伴う欠陥を構造が含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の水素貯蔵材料

請求項6

細孔が5nm〜20nmの平均径を有する、請求項5に記載の水素貯蔵材料。

請求項7

構造が1個〜10個の間の層を含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の水素貯蔵材料。

請求項8

層間距離が0.33nm〜1.0nmの間である、請求項7に記載の水素貯蔵材料。

請求項9

原子%〜10原子%の間の原子濃度のホウ素を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の水素貯蔵材料。

請求項10

1原子%〜15原子%の間の原子濃度のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の水素貯蔵材料。

請求項11

1原子%〜10原子%の間の原子濃度の酸素を含む、請求項3から10までのいずれか1項に記載の水素貯蔵材料。

請求項12

水素貯蔵材料を製造するための方法であって、(a)酸化グラフェン前駆体を調製するステップと、(b)ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンを生成するために、酸化グラフェン前駆体内にホウ素を官能化するステップと、(c)アルカリ金属またはアルカリ土類金属で修飾されたホウ素で官能化された還元酸化グラフェン構造を生成するために、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェン内にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を修飾するステップとを含む、方法。

請求項13

グラフェン前駆体を調製するステップが、前処理された黒鉛生成物を生成するために、五酸化リン過硫酸カリウムおよび硫酸により黒鉛を前処理するステップと、酸化グラフェン生成物を生成するために、撹拌および加熱しながら硫酸とリン酸と過マンガン酸カリウムとの混合物に前処理された黒鉛生成物を溶解させるステップと、酸化グラフェン生成物を水および過酸化水素と混合するステップと、酸化グラフェン生成物を洗浄および剥離するステップとを含む、請求項12に記載の方法。

請求項14

酸化グラフェン前駆体内にホウ素を官能化するステップが、酸化ホウ素ホウ酸またはメタホウ酸および酸化グラフェン溶液の乾燥した前駆体混合物を形成するステップと、乾燥した前駆体混合物を焼成するステップとを含む、請求項12または13に記載の方法。

請求項15

焼成するステップが600〜1300℃の間の温度で少なくとも0.5時間実施される、請求項14に記載の方法。

請求項16

ホウ素で官能化された還元酸化グラフェン内にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を修飾するステップが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンとの乾燥した前駆体混合物を形成するステップと、乾燥した前駆体混合物の熱分解を実施するステップとを含む、請求項12から15までのいずれか1項に記載の方法。

請求項17

アルカリ金属またはアルカリ土類金属がカリウムであり、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンとの乾燥した前駆体混合物を形成するステップが、撹拌および粉砕により水酸化カリウムホウ素ドープグラフェンと混合するステップを含む、請求項16に記載の方法。

請求項18

熱分解が700〜900℃の間の温度で実施される、請求項16または17に記載の方法。

技術分野

0001

本開示は概して、水素貯蔵生成物およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

水素は、従来の化石燃料と比べて、より環境に優しく生成、貯蔵および消費することができる比較的クリーンで効率的なエネルギーキャリアである。しかし、貯蔵用途および輸送用途において水素がより広く採用されるには課題となる技術的障害が存在する。例えば、自動車用燃料電池用途では、車両の大きさおよび質量の制約が水素貯蔵にとって課題となる。典型的な自動車は、400km走行するために水素を約4kg消費する。しかし、4kgの水素は、周囲温度および圧力で約45m3の体積を占める。様々な水素貯蔵技術貯蔵体積を減少させるために開発されてきた。既知貯蔵法にはガス圧縮および低温液化が含まれる。しかし、これらの方法にはいずれも著しく不利な点がある。圧縮水素ガス貯蔵タンクは通常、700bar程度の高圧を維持するよう設計され、そのようなタンクは製造に費用がかかり、比較的かさばる傾向があり、さらに、高い圧力が加えられたタンクを損傷すると、例えば衝突して損傷すると、悲惨な結果を招く恐れがある。低温液化によって水素を貯蔵する液体水素貯蔵タンク内では、水素を−252℃まで冷却しなければならず、このプロセスの間に消費されるエネルギーは、水素によって貯蔵されるエネルギーの1/3に匹敵し得る。さらに、液体水素貯蔵タンクは通常、系内の過大な圧力を避けるために開放系の設計がなされているが、そのような設計は、1日あたり0.6〜3%の量の蒸発減につながることがある。

0003

従来の水素貯蔵法が直面する問題に対する有望な解決策として、室温中圧(例えば50bar未満)下の固体水素貯蔵が提案されている。固体水素貯蔵材料内に貯蔵された水素分子物理吸着または化学結合のいずれかにより引き付けられ、これにより液体状態さえも超える極めて高密度充填が可能になる。
カーボンナノ材料が、その高い比表面積、軽量および柔軟性のために、可能性のある水素貯蔵媒体として提案されている。炭素材料によって吸着される水素は吸着材の比表面積に比例し、一般に、より大きい表面積は、より高い水素貯蔵容量を意味する。グラフェンおよび類似の材料、例えば還元酸化グラフェンはカーボンナノ材料の一種であり、2600m2/gの理論比表面積を持つため、水素貯蔵用途に有望である。他のカーボンナノ材料と比べて、グラフェンは、その原子の大部分を表面原子として有し、これによりグラフェンは有力な吸着材候補となっている。さらに、グラフェンの原子構造堅牢であり、激しい機械的変形および化学修飾に耐えることができる。そのsp2 C−C結合はまた、グラフェン構造内へのヘテロ原子ドーピングおよび修飾を可能にする。グラフェンは水素貯蔵用途に有望であるものの、元の状態のグラフェンが77K(−196℃)程度の極めて低い温度でのみ高い水素貯蔵容量を与えることができる。そのような低温の維持にはエネルギーの大量消費が必要になるためエネルギー効率が低下する。
周囲温度および中圧で水素を貯蔵するために、グラフェンと水素との間の親和性を向上させる必要がある。水素に対するグラフェンの高親和性を実現する方法が、金属系触媒によるグラフェンの修飾を含め、提案されている。一般に使用される金属系触媒には、遷移金属、例えばPd、PtおよびRuが含まれる。しかし、これらの金属系触媒は高価であり、米国エネルギー省DOE)が水素貯蔵材料に対して指定した容量の目標を達成することができない。

発明が解決しようとする課題

0004

したがって、先行技術の欠点の少なくとも一部に対する解決策を提供する水素貯蔵材料およびその製造方法を提供することが望ましい。

課題を解決するための手段

0005

本発明の1つの態様によれば、ホウ素種で官能化され、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属で修飾された還元酸化グラフェンを含む単層構造または多層構造を含む水素貯蔵生成物が提供される。本構造の各層は、ホウ素原子に結合された酸素原子を含むホウ素−酸素官能基をさらに含む。本構造の各層は、ホウ素原子で官能化された炭素原子六方格子を含むことができる。酸素、ホウ素、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の組合せを加えると、名目上不活性な還元酸化グラフェンが水素を貯蔵することが可能となる。本構造は、水素分子が通過して構造上の吸着サイトに接近するのに十分に大きい細孔を伴う欠陥を含むことができる。細孔は5nm〜20nmの平均径を有することができる。本構造は1個〜10個の間の層を含むことができる。層間距離は0.33nm〜1.0nmの間にすることができる。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属は、ホウ素原子に近接する(adjacent)結合位置、または六方格子の空洞(hollows)に近接する結合位置、または炭素−ホウ素結合に近接する結合位置、またはホウ素−酸素官能基に近接する結合位置に位置することができる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、SrおよびBaからなる群から選択することができる。
水素貯蔵材料は、1原子%〜10原子%の間にあるホウ素の原子濃度、1原子%〜15原子%の間にあるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の原子濃度、および1原子%〜10原子%の間にある酸素の原子濃度を有することができる。

0006

本発明の別の態様によれば、水素貯蔵材料を製造するための方法であって、酸化グラフェン前駆体を調製するステップと、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンを生成するために、酸化グラフェン前駆体内にホウ素を官能化するステップと、アルカリ金属またはアルカリ土類金属で修飾されたホウ素で官能化された還元酸化グラフェン構造を生成するために、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェン内にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を修飾するステップとを含む、方法が提供される。水素貯蔵生成物の製造方法の1つは、酸化グラフェンを酸化ホウ素化学種と組み合わせ、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンを生成するために焼成し、次いで、熱分解によりアルカリ金属またはアルカリ土類金属で修飾するものである。
グラフェン前駆体を調製するステップは、前処理された黒鉛生成物を生成するために、五酸化リン過硫酸カリウムおよび硫酸により黒鉛を前処理するステップと、酸化グラフェン生成物を生成するために、撹拌および加熱しながら硫酸とリン酸と過マンガン酸カリウムとの混合物に前処理された黒鉛生成物を溶解させるステップと、酸化グラフェン生成物を水および過酸化水素と混合するステップと、酸化グラフェン生成物を洗浄および剥離するステップとを含むことができる。酸化グラフェン前駆体内にホウ素を官能化するステップは、酸化ホウ素、ホウ酸またはメタホウ酸および酸化グラフェン溶液の乾燥した前駆体混合物を形成するステップと、乾燥した前駆体混合物を焼成するステップとを含むことができる。焼成するステップは600〜1300℃の間の温度で少なくとも0.5時間実施することができる。ホウ素で官能化された還元酸化グラフェン内にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を修飾するステップは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンとの乾燥した前駆体混合物を形成するステップと、乾燥した前駆体混合物の熱分解を実施するステップとを含むことができる。熱分解は700〜900℃の間の温度で実施することができる。

0007

アルカリ金属またはアルカリ土類金属はカリウムにすることができて、この場合、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンとの乾燥した前駆体混合物を形成するステップは、撹拌および粉砕により水酸化カリウムホウ素ドープグラフェンと混合するステップを含む。

図面の簡単な説明

0008

本発明の実施形態による水素貯蔵材料の製造方法のフローチャートである。
図1に示した方法により製造された水素貯蔵材料の単層部分概略構造の側面斜視図である。
図1に示した方法により製造された水素貯蔵材料の二層部分の斜視図である。
以下のパラメータにより製造された水素貯蔵材料のサンプルの透過型電子顕微鏡TEM)像を示す写真である。B2O3:GO=1:2、1200℃および4時間の焼成、KOH:BC=1:2、750℃および2時間の熱分解。丸で囲った部分は材料内の細孔を示す。
図2に示した水素貯蔵材料のサンプルのX線回折(XRD)スペクトルを示す図である。
図2に示した水素貯蔵材料のサンプルのC 1s、O 1s、K 2sおよびB 1sのそれぞれのXPSファインスキャン(fine scans)を示す図である。
以下のパラメータにより合成された水素貯蔵材料の水素吸着PCI線を示すグラフである:B2O3:GO=1:2、1200℃および4時間の焼成、KOH:BC=1:2、750℃および2時間の熱分解。
以下のパラメータにより合成された水素貯蔵材料の水素放出PCI線を示すグラフである:B2O3:GO=1:2、1200℃および4時間の焼成、KOH:BC=1:2、750℃および2時間の熱分解。
以下のパラメータにより合成された水素貯蔵材料におけるサイクル数に対する容量の変化を示すグラフである:B2O3:GO=1:2、1200℃および4時間の焼成、KOH:BC=1:2、750℃および2時間の熱分解。

0009

概要
本発明の実施形態は、ホウ素種で官能化され、アルカリ金属触媒またはアルカリ土類金属触媒で修飾された1個または複数の還元酸化グラフェン層を含む水素貯蔵材料に関する。適したアルカリ金属およびアルカリ土類金属の例には、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、SrおよびBaが含まれる。水素貯蔵材料は、酸化グラフェンを還元することにより生成された1層または多層の還元酸化グラフェンを含む構造を有し、各層は、ホウ素原子で官能化された炭素原子の六方格子を含む。いくつかの実施形態において、酸化グラフェン内の酸素分子のすべてではないが一部は酸化グラフェン還元プロセスにより除去されており、その結果、水素貯蔵材料は、ホウ素−酸素官能基を生成するホウ素と結合された酸素原子をさらに含む構造を有することができる。

0010

酸化グラフェンを還元するプロセスは、水素貯蔵材料の構造の表面に欠陥を導入し、この欠陥により構造が屈曲および座屈して構造内に細孔が生成される。水素貯蔵材料の構造内の点欠陥または炭素空孔は、炭素のダングリングボンドによりアルカリ金属およびアルカリ土類金属を引き付け、結合することが予想される。アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子は、ホウ素原子に近接する結合位置、または六角形炭素環の空洞に近接する位置、炭素−ホウ素結合に近接する位置、またはホウ素−酸素官能基に近接する位置に存在することができる。量子化学計算は、ホウ素および酸素の官能基が存在することで、ベース材料に対するアルカリ金属およびアルカリ土類金属の結合エネルギー元素凝集エネルギーを超えて増加し、これが金属を均一に分布させ、金属がナノ粒子クラスター化しないようにするのに役立ち得ることを示唆する。
水素貯蔵材料構造内の細孔は、水素分子が材料上の吸着サイトに接近するのを可能にする。水素分子は、分散相互作用(ファンデルワールス)またはKubas力または化学吸着によりアルカリ金属およびアルカリ土類金属に引き付けられる/結合される。水素は、カーボン構造、欠陥構造、官能化されたホウ素種、ならびに修飾されたアルカリ金属およびアルカリ土類金属化学種の機能性によって貯蔵することができる。

0011

定義
本明細書において使用される特定の用語は以下の意味を有する。
酸化グラフェン:酸素官能基を有する炭素原子の六方格子の1個または複数の層を含む構造体であり、層は分散相互作用またはファンデルワールス相互作用によって結合されていない。
還元酸化グラフェン:酸化グラフェンを還元することにより作られた構造体であり、構造体の一部においてこの格子を乱す欠陥および細孔を有する炭素原子の六方格子の1個または複数の層を含む。還元酸化グラフェンは微量の酸素を含むことがあり、1層〜10層を含む薄片として具体化することができる。
官能化された、官能基化:格子の既存の構造への原子または原子団の付加。層状材料に関して、これは面内および面外の原子を含む。官能基は官能基化による生成物である。
修飾された、修飾:官能基、ドープされた原子もしくは格子に結合する面外の原子または原子団の付加。
欠陥:結晶格子規則配列乱れ、層内の曲がりであり、欠損原子、正しい場所にない原子、直線転位および平面転位を含む。
細孔:層構造内の裂け割れ、穴または曲がりによって作り出された材料内の空隙。通常、細孔は欠陥より大きい。
熱分解、熱分解する、焼成、焼成する;熱分解および化学反応が起こるように高温に加熱すること。

0012

製造
ここで図1を参照して、水素貯蔵材料の実施形態は以下のプロセスにより製造される:(a)酸化グラフェンを調製するステップ(ステップ1)、(b)還元酸化グラフェン内にホウ素を官能化するステップ(ステップ2)、および(c)ホウ素で官能化された還元酸化グラフェン内にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を修飾するステップ(ステップ3)。プロセスは、ホウ素および触媒を含む酸化グラフェン前駆体の焼成、熱分解または水熱反応により実施することができる。

0013

1.酸化グラフェンを調製する
酸化グラフェンの調製は、改良Hummers法に基づいて実施される。いくつかの実施形態において、酸化グラフェンの調製は、五酸化リン、過硫酸カリウムおよび濃硫酸により天然黒鉛を前処理するものである。これらの反応物の混合物は、選択された温度で選択された期間、例えば、60〜90℃および4.5時間撹拌される。
前処理された黒鉛は、酸化グラフェン合成のために洗浄および乾燥される。酸化グラフェンの合成は改良Hummers法にしたがう。いくつかの実施形態において、前処理された黒鉛は、撹拌しながら濃硫酸とリン酸との混合物に溶解され、過マンガン酸カリウムが加えられる。この混合物は選択された温度で選択された期間撹拌され、例えば、選択される温度は40℃〜55℃の間にすることができて、選択される撹拌期間は12時間〜16時間の間にすることができる。次いで、得られた酸化グラフェン生成物は氷水と過酸化水素との混合物に注がれる。次いで、酸化グラフェン生成物は、この生成物を清浄化するために塩酸の助けを借りて洗浄される。その後、酸化グラフェン生成物をさらに剥離するために後処理ステップが使用される。後処理ステップの1つの実施形態は、酸化グラフェン生成物をイソプロパノール(IPA)中で1時間超音波処理するステップを含む。

0014

2.還元酸化グラフェン内にホウ素を官能化する;
グラフェン内へのホウ素のドーピングは、ホウ素を含む酸化グラフェン前駆体の調製で始まる。前駆体調製ステップのいくつかの実施形態において、調製された酸化グラフェン溶液に酸化ホウ素が一定の比で加えられ、乾燥した前駆体を生成するために、この混合物が20℃〜95℃の範囲内の高温で、例えば65℃で撹拌される。いくつかの実施形態において、酸化ホウ素と酸化グラフェンとの間の質量比は0.25から1まで様々である。乾燥した前駆体はアルミナボートに充填され、次いで、焼成用管状炉装填される。管状炉はポンピングされ、アルゴンガスパージされ、次いで、選択された焼成温度まで選択された期間加熱される。いくつかの実施形態において、焼成温度は600℃〜1,300℃の間であり、選択された期間は少なくとも0.5時間、好ましくは2時間〜4時間の間であり、加熱速度は約5℃/分である。得られる生成物は灰色の粉末の形態であり、次いでこれは脱イオン水で洗浄され、20℃〜120℃の範囲内の温度で、例えば65℃で乾燥される。

0015

3.ホウ素で官能化された還元酸化グラフェン内に金属を修飾する。
ホウ素で官能化された還元酸化グラフェン内へのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の修飾は、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンと共に金属化合物を熱分解することにより実現される。いくつかの実施形態において、金属はカリウムであり、修飾プロセスは、カリウム源として水酸化カリウムを利用するものである。水酸化カリウムは粉末状であり、前駆体混合物を生成するために、ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンと選択された比で乾燥した形態で撹拌および粉砕により混合される。いくつかの実施形態において、水酸化カリウムとホウ素で官能化された還元酸化グラフェンとの間の選択された比は0.25〜1.25の間である。
前駆体混合物はニッケルボートに充填され、熱分解用管状炉に装填される。管状炉はポンピングされ、窒素ガスでパージされ、次いで、不活性ガスの保護下、選択された高温に、選択された加熱速度で加熱される。いくつかの実施形態において、前駆体の熱分解のために選択される温度は700℃〜900℃の間であり、選択される加熱速度は5℃/分である。適した不活性ガスの一例は窒素である。得られた灰色がかった粉末は、PH値が指定のレベルに近くなるまでDI水で洗浄され、このレベルは7から9であり得る。次いで、洗浄された生成物は乾燥され、例えば真空乾燥により乾燥される。あるいは、洗浄された生成物は、凍結乾燥を伴う乾燥プロセスにより乾燥することができる。

0016

構造
ここで図2〜図5を参照して、上述のプロセスにより製造された水素貯蔵材料10の実施形態は概して二次元の層構造を有し、各層は、酸化グラフェンを還元することにより生成され、ホウ素原子14により官能化され、アルカリまたはアルカリ金属原子16により修飾されたグラフェン平面12を含む。図2(a)および図2(b)に示すいくつかの実施形態において、水素貯蔵材料の構造は、ホウ素−酸素官能基を生成するホウ素原子14に結合された酸素原子18を含み、原子16はカリウム原子である。カリウム原子16は、ホウ素原子14の上方、または還元酸化グラフェン平面12の6員炭素環の空洞の上方、または炭素−ホウ素結合の上方、またはホウ素官能基14−18の上方の結合位置内に位置することができる。
層間距離は0.33nmから1.0nmまで様々であり得、水素貯蔵材料10の一片層数は1層から10層まで様々であり得る。
水素貯蔵材料10は欠陥のある変形した層構造を有し、これは、酸化グラフェンを還元することにより各還元酸化グラフェン平面12が生成された結果である。言い換えれば、水素貯蔵材料12は、この生成プロセス特有な構造を有する。作り出された欠陥は水素貯蔵材料10の比表面積を大きくし、これは、欠陥の近くにポテンシャル井戸を形成することにより水素分子20に対する引力も大きくすることが予想される。図3は、上述のプロセスおよび以下のパラメータにより合成された水素貯蔵材料サンプルの透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す:B2O3:GO=1:2、1200℃および4時間の焼成、KOH:BC=1:2、750℃および2時間の熱分解。この図を見て分かる通り、層は著しく屈曲しており、5nm〜20nmの間の平均径を有する(図3中、丸で囲った)細孔を特徴とする。

0017

水素貯蔵材料10の構造は、X線回折(XRD)試験によっても見ることができる。図4は、水素貯蔵材料サンプルのXRDスペクトルを示す。このXRDスペクトルは、水素貯蔵材料サンプルがおよそ26度の回折ピークを有することを示し、これは0.34nmの層間隔に対応する。ホウ素およびカリウムはそれぞれ官能化され、原子的に還元酸化グラフェン内に修飾されるため、水素貯蔵材料のXRDスペクトルにおいてホウ素化合物またはカリウム化合物に対応する識別可能ピークは存在せず、26度のブロードなピークは、水素貯蔵材料サンプルの層構造が著しく変形しており、非晶質であることを示す。
いくつかの実施形態において、水素貯蔵材料10内のホウ素原子の含有量は1原子%から10原子%まで様々であり得、カリウム原子の含有量は1原子%から15原子%まで様々であり得、酸素原子の含有量は1原子%から10原子%まで様々であり得る。炭素原子がホウ素原子、カリウム原子または酸素原子に結合することもある。原子構造の配置は、ホウ素、カリウムおよび酸素の含有量に応じてサンプル間で様々であり得る。図5(a)および図5(b)を参照して、図3に示したサンプル材料X線光電子分光法(XPS)試験は、典型的なC 1s成分結合エネルギー282.58eV、283.51eV、284.19eV、284.42eVおよび285.30eV(図5(a))を有するエポキシならびにO 1s成分結合エネルギー530.27eV、532eVおよび535.66eV(図5(b))を有するヒドロキシルの形態で炭素が酸素に結合していることを示す。図4(c)および図4(d)を参照して、水素貯蔵材料サンプル中のカリウム原子は、ホウ素および炭素の基材と相互作用し、さらに378.96eVおよび382.87eVのK 2s成分結合エネルギー(図5(c))ならびに191.6eVおよび192.45eVの成分のB 1s成分結合エネルギー(図5(d))で酸素種に結合している。

0018

水素貯蔵材料製造
硫酸(H2SO4)40mLをビーカーに注ぎ、磁気撹拌しながら室温で片状黒鉛4g、過硫酸カリウム(K2S2O8)2gおよび五酸化リン(P2O5)2gを硫酸に加えた。すべての化学物質が溶解して混合物が生成するまで撹拌を数分間実施した。その温度が80℃で安定した油浴を準備した。混合物を80℃の油浴中に移動し、そこで4.5時間撹拌した。撹拌が完了した後、混合物を室温まで冷却した。次いで、混合物を脱イオン水1Lに加え、次いで、熱を加えずにさらに15分間撹拌した。溶液を沈降させ、次いでデカントした。得られたスラリーを、そのPH値が7に達するまでDI水で濾過することにより洗浄した。得られた生成物を回収し、それを温度60℃の対流式オーブン内で乾燥して黒色の粉末を生成した。黒色の粉末は前酸化された黒鉛であり、次いでこれを酸化グラフェン合成の次のステップに使用した。

0019

酸化グラフェン合成のために、H2SO4 90mlおよびH3PO3 10mLをビーカー内で混合し、混合物を氷浴中で撹拌した。KMnO4 18gをゆっくり加え、混合物を撹拌した。溶液が緑色に変わるのが観察された。前酸化された黒鉛4gを混合物にゆっくり加え、混合物を氷浴中で1時間撹拌した。氷浴を50℃の油浴と交換し、混合物をさらに15時間撹拌した。油浴を移動し、混合物を室温まで冷却してスラリーを生成した。その中の10% H2O2を含む氷水400ml中にスラリーを移した。溶液を沈降させ、次いでデカントした。濃塩酸(HCl)を水に加え、10% HCl溶液を調製した。溶液を15分間撹拌した。固形分を溶液から濾過して取り出し、遠心分離法を使用することによりPH値が7に近くなるまで洗浄した。この時点の生成物が酸化グラフェンであり、次いでこれをさらに剥離して薄層酸化グラフェンを生成した。

0020

後処理ステップにおいてIPA超音波処理を実施して酸化グラフェンをさらに剥離した。酸化グラフェンとIPAとの間の体積比が4:5になるまで、一定量のIPAを酸化グラフェン溶液に加えた。次いで、混合物を1時間超音波処理した。
還元酸化グラフェン内にホウ素を官能化するため、酸化ホウ素、ホウ酸またはメタホウ酸を合成された酸化グラフェン溶液に加えることによって前駆体を調製した。酸化ホウ素とGO(乾燥粉末)との間の質量比は0.5であった。前駆体が乾燥するまで混合物をおよそ65℃の温度で撹拌した。乾燥した前駆体をアルミナボートに充填した。ボートを管状炉の温度安定ゾーンに装填した。管状炉を機械式ポンプでポンピングし、系をアルゴンガスで3回パージした。炉温度を1200℃まで5℃/分の速度で徐々に上げ、温度を1200℃で一定に4時間保持し、次いで、5℃/分で下げて20℃まで戻した。ホウ素で官能化された還元酸化グラフェンの灰色の粉末が得られ、次いでこれを濾過し、室温のDI水1Lで洗浄した。生成物を60℃の対流式オーブン内で乾燥した。
カリウム修飾を実施するため、合成されたホウ素で官能化された還元酸化グラフェンを水酸化カリウムとBC:KOH=2:1の比で混合した。混合物を乳鉢および乳棒で撹拌および粉砕した。均一に混合された粉末をニッケルボートに充填し、これを管状炉内に移した。炉を機械式ポンプによりポンピングし、炉を窒素ガスで3回パージした。炉温度を750℃まで5℃/分の速度で上げ、温度を750℃で一定に2時間保持し、次いで、5℃/分で下げて20℃まで戻した。次いで、ホウ素で官能化され、カリウムで修飾された得られた灰色がかった還元酸化グラフェン粉末を濾過し、PH値が8に達するまで室温のDI水で洗浄し、次いで、対流式オーブン内60℃で乾燥して最終生成物を生成した。

0021

水素貯蔵材料による水素貯蔵の試験
ジーベルツ容量測定装置のような水素測定装置100を使用して水素貯蔵材料の水素貯蔵特性の測定を実施した。水素測定装置100は、既知の容積チャンバ内のガスモル密度(すなわち、分子数/体積)を連続的に監視および操作して、水素貯蔵材料10に出入りする水素を測定する。
いくつかの方法を使用して、水素貯蔵材料100の水素貯蔵特性を特徴づけることができる。一例は、圧力−組成等温(PCI)線測定である。このPCI測定では、水素貯蔵材料100のサンプルを真空から5Mpaまで加圧し、次いで、真空に達するまで徐々に減圧曝露させる。圧力に対する容量をPCI線としてプロットして、容量および可逆性のような水素貯蔵特性を示す。PCI測定を一定回数繰り返して、吸着および放出のサイクルの全過程を示す。
実施例に記載の方法により合成された水素貯蔵材料100の水素貯蔵性能を、吸着については図6(a)に、放出については図6(b)にそれぞれ示した。「ジグザグの」挙動がこれらの図においてはっきり見られ、これは、加圧過程および減圧過程の両方の間の容量増加によって特徴づけられる。7.5回のPCIサイクルの後、容量は室温および5MPaで最大4.78質量%に達する。サンプルをさらにサイクル処理すると放出が起こる。水素は減圧過程の間に主に放出され、吸着された水素の約70%が5.5回の放出サイクルの後に放出される。放出過程全体を通じて熱は加えられない。サイクル処理に伴う容量変化も図6(c)に示す。

実施例

0022

本明細書に記載の任意の態様もしくは実施形態の任意の部分を実施できること、または本明細書に記載のその他の任意の態様もしくは実施形態の任意の部分と組み合わせることができることが意図される。
前述では特定の実施形態を説明してきたが、他の実施形態も可能であり、本明細書に含まれるものと理解されるべきである。前述の実施形態の示されていない変更および修正も可能であることが当業者には明らかになるであろう。

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