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課題・解決手段

本開示は、急性骨髄性白血病(AML)のような血液がん治療のために、2,3−ジヒドロイソインドール−1−オンという化合物、あるいはその製薬学的許容可能な塩、エステル溶媒和物及び/またはプロドラッグ投与する方法を含む。本開示はさらに、野生型または変異型フムス様チロシンキナーゼ−3受容体FLT3)によって活性化する細胞増殖を低減または阻害することに関するものである。本開示はさらに、異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現を阻害または低減することを、それを必要とする対象において行う方法に関するものである。

概要

背景

いくつかのチロシンキナーゼは、多くのタイプのがん細胞生存を促す調節経路の一部であることが示されている。フムス様チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子は、造血に影響を及ぼして血液の障害悪性腫瘍を引き起こす膜結合型受容体型チロシンキナーゼをコードする上記のような一例である。

受容体型チロシンキナーゼFLT3は、膜近傍領域の活性遺伝子内縦列重複(ITD)と、活性化ループ残基D835におけるようなチロシンキナーゼドメイン点変異を含め、一連の変異を起こすことがある。FLT3は、急性骨髄性白血病(AML)療法の標的である。それは、FLT3−ITD変異が、約24%のAML患者に存在し、きわめて不良な予後と関連付けられているからである。C.Thiede et al.,Blood 2002,99,4326、P.D.Kottaridis et al.,Leukemia & lymphoma 2003,44,905を参照されたい。しかしながら、FLT3阻害剤であるソラフェニブまたはキザルニブに対して耐性再発を示した臨床患者で同定されているD835または「ゲートキーパー」F691の変異を含め、FLT3のさらなる後天的変異によって、大半のFLT3阻害剤が無効になることがある。C.H.Man et al.,Blood 2012,119,5133、C.C.Smith et al.,Nature 2012,485,260を参照されたい。さらに、他の平行した生存促進性シグナル伝達経路の異常なアップレギュレーションによって、AMLがFLT3標的療法に対して耐性を獲得し得ることが報告されている。W.Zhang et al.,Clin.Cancer Res.2014,20,2363を参照されたい。

したがって、FLT3の変異をきたした血液悪性腫瘍患者の変異FLT3を阻害する治療に対するニーズが存在する。

別のチロシンキナーゼであるブルトンチロシンキナーゼBTK)も、血液がんにおいて細胞増殖を調節する際に機能的に重要であることがわかっている。BTKは、一部のT細胞、ナチュラルキラー細胞形質細胞などではなく、B細胞造血細胞で見られる。様々な炎症性応答またはがんによって生じるB細胞膜受容体(BCR)シグナルによって、BTKが刺激されると、BTKは、ホスホリパーゼCγ2(PLCγ)のような下流シグナル伝達を開始することによって、TNF−αIL−6などのようなサイトカインと、NF−ΚBの産生の際に重要な役割を果たす。

がん治療では、BTKは、抗自殺シグナルを生成するBCRとB細胞表面タンパク質を修飾することが知られている。したがって、BTKを阻害すると、リンパ腫のように、BCRのシグナル伝達と関連するがんに対する抗がん作用が得られ得る。BTK阻害剤の抗炎症剤及び抗がん剤としての作用機序は、Nature Chemical Biology 2011,7,4に詳しく記載されている。

これらのシグナル伝達経路は、正確に調節しなければならない。BTKをコードする遺伝子の変異は、ヒトにおいて、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)として知られている遺伝性B細胞特異的免疫不全疾患の原因となる(Conley et al.,Annu.Rev.Immunol.27:199−227,2009)。BCRを介する異常なシグナル伝達によって、B細胞活性化の異常調節が起こり、いくつかの自己免疫疾患炎症性疾患を引き起こし得る。前臨床試験によって、BTK欠損マウスには、コラーゲン関節炎発症に対する耐性があることが示されている。さらに、成熟B細胞を枯渇するCD20抗体であるリツキサン臨床試験によって、関節リウマチ全身性ループスエリテマトーデス及び多発性硬化症のようないくつかの炎症性疾患におけるB細胞の重要な役割が明らかにされている(Gurcan et al.,Int.Immunopharmacol.9:10−25,2009)。したがって、BTK阻害剤を用いて、自己免疫疾患及び/または炎症性疾患を治療できる。

加えて、BTKの異常な活性化または過剰発現は、B細胞リンパ腫の病因において重要な役割を果たし、BTKの阻害が、血液悪性腫瘍の治療において有用であることが示されている(Davis et al.,Nature 463:88−92,2010)。予備的臨床試験の結果から、BTK阻害剤のイブルチニブ(PCI−32765)が、いくつかのタイプのB細胞リンパ腫の治療に有効であることが示された(例えば、54th American Society of Hematology(ASH)annual meeting abstract,Dec.2012:686 The Bruton’s Tyrosine Kinase(BTK)Inhibitor,ibrutinib(PCI−32765),Has Preferential Activity in the ABC Subtype of Relapsed/Refractory De Novo Diffuse Large B−Cell Lymphoma(DLBCL):Interim Results of a Multicenter,Open−Label,Phase 1 Study)。BTKは、複数のシグナル伝達経路において、メディエーターとして中心的役割を果たすので、BTKの阻害剤には、抗炎症剤及び/または抗がん剤として大きな関心が寄せられている(Mohamed et al.,Immunol.Rev.228:58−73,2009、Pan,Drug News perspect 21:357−362,2008、Rokosz et al.,Expert Opin.Ther.Targets 12:883−903,2008、Uckun et al.,Anti−cancer Agents Med.Chem.7:624−632,2007、Lou et al,J.Med.Chem.55(10):4539−4550,2012)。

イブルチニブは、BTKの活性部位における481位の残基のシステイン化学的相互作用し、BTK酵素不活化する。しかしながら、481位の残基のシステインが、セリン残基に変異すると(BTK−C481S)、イブルチニブに対する耐性が生じ、このBTK−C481Sは、臨床的に観察されている。この特定の点変異は、イブルチニブの標的を効果的に排除することによって、有効な薬物としてのイブルチニブを無効にする。イブルチニブで治療するCLL患者のうち、51%が、様々な理由により、その使用を始めてから4年になるまでに中止する。例えば、24%が、過敏症有害事象、感染または死により、イブルチニブの使用を中止する。患者の27%は、疾患の進行(例えば、リヒター症候群、BTK−C481S変異、PLCγ2変異)により、その使用を中止し、イブルチニブの使用を中止する患者の約1/3が、C481S変異を有する。したがって、難治性過敏性または耐性の患者(変異型のBTKを有する患者を含む)を治療するための新たな治療剤、特には、イブルチニブと異なる機序によって作用する治療剤を特定するニーズが存在する。
既存の治療剤は典型的には、様々な耐性表現型を示す標的に対して無効である。その結果、そのようながんの生存予後は不良である。したがって、複数のキナーゼ標的に対する親和性を示す新規医薬剤、具体的には、BTKとFLT3を二重に阻害できる医薬剤を開発することが重要である。

概要

本開示は、急性骨髄性白血病(AML)のような血液がんの治療のために、2,3−ジヒドロイソインドール−1−オンという化合物、あるいはその製薬学的許容可能な塩、エステル溶媒和物及び/またはプロドラッグ投与する方法を含む。本開示はさらに、野生型または変異型フムス様チロシンキナーゼ−3受容体(FLT3)によって活性化する細胞増殖を低減または阻害することに関するものである。本開示はさらに、異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現を阻害または低減することを、それを必要とする対象において行う方法に関するものである。

目的

一実施形態では、本開示は、対象の野生型フムス関連キナーゼ3(FLT3)の活性または発現の阻害または低減方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をその対象に投与することを含む方法を提供する

効果

実績

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請求項1

野生型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現阻害または低減することを、それを必要とする対象において行う方法であって、下記の化合物7、またはその製薬学的許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。

請求項2

対象の変異FLT3の活性または発現の阻害または低減方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。

請求項3

前記変異FLT3が、少なくとも1つの点変異を含む、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記少なくとも1つの点変異が、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をD835に含む、請求項3に記載の方法。

請求項4

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をF691に含む、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をK663に含む、請求項3に記載の方法。

請求項6

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をN841に含む、請求項3に記載の方法。

請求項7

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3のチロシンキナーゼドメインにある、請求項3に記載の方法。

請求項8

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3の活性化ループにある、請求項3に記載の方法。

請求項9

前記少なくとも1つの点変異が、686位、687位、688位、689位、690位、691位、692位、693位、694位、695位及び696位からなる群から選択される1つ以上の位置のアミノ酸残基の変異である、請求項3に記載の方法。

請求項10

前記変異FLT3が、追加のITD変異を有する、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

前記変異FLT3が、FLT3−D835H、FLT3−D835V、FLT3−D835Y、FLT3−ITD−D835V、FLT3−ITD−D835Y、FLT3−ITD−D835H、FLT3−F691L、FLT3−ITD−F691L、FLT3−K663Q、FLT3−ITD−K663Q、FLT3−N841I、FLT3−ITD−N841I、FLT3−R834Q、FLT3−ITD−834Q、FLT3−D835G、FLT3−ITD−D835G、FLT3−Y842C及びFLT3−ITD−Y842Cからなる群から選択される1つ以上の変異を有する、請求項2に記載の方法。

請求項12

前記少なくとも1つの点変異が、同じ対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である、請求項3〜11に記載の方法。

請求項13

前記少なくとも1つの点変異が、異なる対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である、請求項3〜11に記載の方法。

請求項14

前記対象が、哺乳動物である、請求項2に記載の方法。

請求項15

前記対象が、ヒトである、請求項14に記載の方法。

請求項16

ヒト細胞における野生型の活性または発現の阻害または低減方法であって、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を前記ヒト細胞と接触させることを含む、前記方法。

請求項17

ヒト細胞における変異FLT3の活性または発現の阻害または低減方法であって、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を前記ヒト細胞と接触させることを含む、前記方法。

請求項18

前記変異FLT3が、少なくとも1つの点変異を含む、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記少なくとも1つの点変異が、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をD835に含む、請求項17に記載の方法。

請求項21

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をF691に含む、請求項17に記載の方法。

請求項22

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をK663に含む、請求項17に記載の方法。

請求項23

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をN841に含む、請求項17に記載の方法。

請求項24

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3のチロシンキナーゼドメインにある、請求項18に記載の方法。

請求項25

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3の活性化ループにある、請求項18に記載の方法。

請求項26

前記少なくとも1つの点変異が、686位、687位、688位、689位、690位、691位、692位、693位、694位、695位及び696位からなる群から選択される1つ以上の位置のアミノ酸残基の変異である、請求項18に記載の方法。

請求項27

前記変異FLT3が、追加のITD変異を有する、請求項17〜26のいずれか1項に記載の方法。

請求項28

前記変異FLT3が、FLT3−D835H、FLT3−D835V、FLT3−D835Y、FLT3−ITD−D835V、FLT3−ITD−D835Y、FLT3−ITD−D835H、FLT3−F691L、FLT3−ITD−F691L、FLT3−K663Q、FLT3−ITD−K663Q、FLT3−N841I、FLT3−ITD−N841I、FLT3−R834Q、FLT3−ITD−834Q、FLT3−D835G、FLT3−ITD−D835G、FLT3−Y842C及びFLT3−ITD−Y842Cからなる群から選択される1つ以上の変異を有する、請求項17に記載の方法。

請求項29

前記少なくとも1つの点変異が、同じ対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である、請求項18〜28に記載の方法。

請求項30

前記少なくとも1つの点変異が、異なる対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である、請求項18〜28に記載の方法。

請求項31

前記ヒト細胞が、ヒト白血病細胞株である、請求項16または17に記載の方法。

請求項32

前記ヒト白血病細胞株が、急性リンパ性白血病細胞株急性骨髄性白血病細胞株、急性前骨髄球性白血病細胞株、慢性リンパ性白血病細胞株、慢性骨髄性白血病細胞株、慢性好中球性白血病細胞株、急性未分化白血病細胞株、未分化大細胞型リンパ腫細胞株、前リンパ球性白血病細胞株、若年性骨髄単球性白血病細胞株、成人細胞急性リンパ性白血病細胞株、3血球異形成を伴う急性骨髄性白血病細胞株、混合系統白血病細胞株、好酸球性白血病細胞株またはマントル細胞リンパ腫細胞株である、請求項31に記載の方法。

請求項33

前記ヒト白血病細胞株が、好酸球性白血病細胞株である、請求項31に記載の方法。

請求項34

前記ヒト白血病細胞株が、急性骨髄性白血病細胞株である、請求項31に記載の方法。

請求項35

野生型FLT3発現細胞アポトーシス誘導することを、それを必要とする対象において行う方法であって、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。

請求項36

変異FLT3発現細胞のアポトーシスを誘導することを、それを必要とする対象において行う方法であって、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。

請求項37

前記変異FLT3が、少なくとも1つの点変異を含む、請求項36に記載の方法。

請求項38

前記少なくとも1つの点変異が、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である、請求項37に記載の方法。

請求項39

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をD835に含む、請求項37に記載の方法。

請求項40

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をF691に含む、請求項37に記載の方法。

請求項41

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をK663に含む、請求項37に記載の方法。

請求項42

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をN841に含む、請求項37に記載の方法。

請求項43

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3のチロシンキナーゼドメインにある、請求項37に記載の方法。

請求項44

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3の活性化ループにある、請求項37に記載の方法。

請求項45

前記少なくとも1つの点変異が、686位、687位、688位、689位、690位、691位、692位、693位、694位、695位及び696位からなる群から選択される1つ以上の位置のアミノ酸残基の変異である、請求項37に記載の方法。

請求項46

前記変異FLT3が、追加のITD変異を有する、請求項36〜45のいずれか1項に記載の方法。

請求項47

前記変異FLT3が、FLT3−D835H、FLT3−D835V、FLT3−D835Y、FLT3−ITD−D835V、FLT3−ITD−D835Y、FLT3−ITD−D835H、FLT3−F691L、FLT3−ITD−F691L、FLT3−K663Q、FLT3−ITD−K663Q、FLT3−N841I、FLT3−ITD−N841I、FLT3−R834Q、FLT3−ITD−834Q、FLT3−D835G、FLT3−ITD−D835G、FLT3−Y842C及びFLT3−ITD−Y842Cからなる群から選択される1つ以上の変異を有する、請求項36に記載の方法。

請求項48

前記少なくとも1つの点変異が、同じ対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である、請求項37〜47に記載の方法。

請求項49

前記少なくとも1つの点変異が、異なる対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である、請求項37〜47に記載の方法。

請求項50

野生型FLT3と関連する血液悪性腫瘍治療方法であって、それを必要とする対象に、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。

請求項51

野生型FLT3の活性または発現を阻害または低減する、請求項50に記載の方法。

請求項52

変異FLT3と関連する血液悪性腫瘍の治療方法であって、それを必要とする対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。

請求項53

変異FLT3の活性または発現を阻害または低減する、請求項52に記載の方法。

請求項54

前記変異が、少なくとも1つの点変異を含む、請求項53に記載の方法。

請求項55

前記少なくとも1つの点変異が、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である、請求項53に記載の方法。

請求項56

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をD835に含む、請求項53に記載の方法。

請求項57

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をF691に含む、請求項53に記載の方法。

請求項58

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をK663に含む、請求項53に記載の方法。

請求項59

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をN841に含む、請求項53に記載の方法。

請求項60

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3のチロシンキナーゼドメインにある、請求項53に記載の方法。

請求項61

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3の活性化ループにある、請求項53に記載の方法。

請求項62

前記少なくとも1つの点変異が、686位、687位、688位、689位、690位、691位、692位、693位、694位、695位及び696位からなる群から選択される1つ以上の位置のアミノ酸残基の変異である、請求項53に記載の方法。

請求項63

前記変異FLT3が、追加のITD変異を有する、請求項52〜62のいずれか1項に記載の方法。

請求項64

前記変異FLT3が、FLT3−D835H、FLT3−D835V、FLT3−D835Y、FLT3−ITD−D835V、FLT3−ITD−D835Y、FLT3−ITD−D835H、FLT3−F691L、FLT3−ITD−F691L、FLT3−K663Q、FLT3−ITD−K663Q、FLT3−N841I、FLT3−ITD−N841I、FLT3−R834Q、FLT3−ITD−834Q、FLT3−D835G、FLT3−ITD−D835G、FLT3−Y842C及びFLT3−ITD−Y842Cからなる群から選択される1つ以上の変異を有する、請求項52に記載の方法。

請求項65

前記1つ以上の変異が、同じ対立遺伝子に存在する、請求項53〜64に記載の方法。

請求項66

前記1つ以上の変異が、異なる対立遺伝子に存在する、請求項53〜64に記載の方法。

請求項67

前記血液悪性腫瘍が、白血病である、請求項50または52に記載の方法。

請求項68

前記白血病が、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病またはマントル細胞リンパ腫である、請求項67に記載の方法。

請求項69

前記白血病が、好酸球性白血病である、請求項68に記載の方法。

請求項70

前記白血病が、急性骨髄性白血病である、請求項68に記載の方法。

請求項71

血液悪性腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、前記対象が、FLT3の活性または発現の阻害剤に対して、耐性または再発を示す、前記方法。

請求項72

前記阻害剤が、キザルニブギルテリチニブ、スニチニブソラフェニブミドスタウリンレスタウルチニブクレラニブ、PLX3397、PLX3623、クレノラニブ、ポナチニブまたはパクリチニブである、請求項71に記載の方法。

請求項73

前記阻害剤が、キザルチニブまたはギルテリチニブである、請求項71に記載の方法。

請求項74

前記血液悪性腫瘍が、白血病である、請求項71に記載の方法。

請求項75

前記白血病が、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病またはマントル細胞リンパ腫である、請求項74に記載の方法。

請求項76

前記白血病が、好酸球性白血病である、請求項74に記載の方法。

請求項77

前記白血病が、急性骨髄性白血病である、請求項74に記載の方法。

請求項78

異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現を阻害または低減することを、それを必要とする対象において行う方法であって、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。

請求項79

前記変異BTKが、少なくとも1つの点変異を含む、請求項78に記載の方法。

請求項80

前記少なくとも1つの点変異が、システイン残基の変異である、請求項79に記載の方法。

請求項81

前記システイン残基が、BTKのキナーゼドメインにある、請求項80に記載の方法。

請求項82

前記少なくとも1つの点変異が、E41残基、P190残基及びC481残基からなる群から選択される1つ以上である、請求項79に記載の方法。

請求項83

前記少なくとも1つの点変異が、C481残基の変異である、請求項80に記載の方法。

請求項84

C481残基の前記点変異が、C481S、C481R、C481T及び/またはC481Yから選択される、請求項83に記載の方法。

請求項85

前記少なくとも1つの点変異が、E41K、P190K及びC481Sからなる群から選択される1つ以上である、請求項80に記載の方法。

請求項86

前記BTK変異体が、共有結合性BTK阻害剤による阻害に対して耐性を持つ、請求項78に記載の方法。

請求項87

共有結合性不可逆性BTK阻害剤によって野生型BTKの活性を阻害した場合よりも、共有結合性不可逆性BTK阻害剤によって変異BTKの活性が阻害される程度が低い、請求項78に記載の方法。

請求項88

前記共有結合性不可逆性BTK阻害剤の前記変異BTKに対するIC50が、前記野生型BTKに対するよりも少なくとも50%高い、請求項87に記載の方法。

請求項89

前記不可逆性共有結合性BTK阻害剤が、イブルチニブ及び/またはアカラブルチニブである、請求項86に記載の方法。

請求項90

前記不可逆性共有結合性BTK阻害剤が、イブルチニブである、請求項89に記載の方法。

請求項91

前記システイン上の前記点変異が、BTKの1つの対立遺伝子のみにある、請求項83に記載の方法。

請求項92

前記システイン上の前記点変異が、BTKの2つの対立遺伝子にある、請求項83に記載の方法。

請求項93

前記対象が、哺乳動物である、請求項78に記載の方法。

請求項94

前記対象が、ヒトである、請求項93に記載の方法。

請求項95

がんの治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、それを必要とする対象に、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、前記対象が、BTKの変異型を有する、前記方法。

請求項96

B細胞悪性腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、前記対象に、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。

請求項97

前記対象が、BTKの変異型を有する、請求項96に記載の方法。

請求項98

前記治療するB細胞悪性腫瘍が、マントル細胞リンパ腫(MCL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)及びびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)からなる群の1つ以上から選択される、請求項96または97に記載の方法。

請求項99

前記治療するB細胞悪性腫瘍が、マントル細胞リンパ腫(MCL)である、請求項98に記載の方法。

請求項100

前記治療するB細胞悪性腫瘍が、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)である、請求項98に記載の方法。

請求項101

前記治療するB細胞悪性腫瘍が、バーキットリンパ腫である、請求項98に記載の方法。

請求項102

前記治療するB細胞悪性腫瘍が、慢性リンパ性白血病(CLL)である、請求項98に記載の方法。

請求項103

前記治療するB細胞悪性腫瘍が、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)である、請求項98に記載の方法。

請求項104

化合物7が、オーロラキナーゼの活性を阻害及び/または低減する、請求項95〜103のいずれか1項に記載の方法。

請求項105

前記オーロラキナーゼが、変異オーロラキナーゼである、請求項104に記載の方法。

請求項106

化合物7の投与によって、アポトーシスを誘導する、請求項95〜105のいずれか1項に記載の方法。

請求項107

化合物7の投与によって、多倍体化を誘導する、請求項95〜105のいずれか1項に記載の方法。

請求項108

化合物7が、野生型BTKの活性または発現を阻害及び/または低減する、請求項95〜107のいずれか1項に記載の方法。

請求項109

化合物7が、変異BTKの活性または発現を阻害及び/または低減する、請求項95〜107のいずれか1項に記載の方法。

請求項110

前記変異BTKが、少なくとも1つの点変異を含む、請求項109に記載の方法。

請求項111

前記少なくとも1つの点変異が、システイン残基の変異である、請求項110に記載の方法。

請求項112

前記少なくとも1つの点変異が、C481残基の変異である、請求項111に記載の方法。

請求項113

化合物7が、対象の野生型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現を阻害及び/または低減する、請求項95〜112のいずれか1項に記載の方法。

請求項114

化合物7が、前記対象の変異型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現を阻害及び/または低減する、請求項95〜112のいずれか1項に記載の方法。

請求項115

前記変異FLT3が、少なくとも1つの点変異を含む、請求項114に記載の方法。

請求項116

前記少なくとも1つの点変異が、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である、請求項115に記載の方法。

請求項117

前記変異FLT3が、FLT3−ITDである、請求項116に記載の方法。

請求項118

前記変異FLT3が、追加のITD変異を有する、請求項116に記載の方法。

請求項119

ヒト細胞の異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現の阻害または低減方法であって、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を前記ヒト細胞と接触させることを含む、前記方法。

請求項120

前記変異BTKが、少なくとも1つの点変異を含む、請求項119に記載の方法。

請求項121

前記少なくとも1つの点変異が、システイン残基の変異である、請求項120に記載の方法。

請求項122

前記システイン残基が、BTKのキナーゼドメインにある、請求項121に記載の方法。

請求項123

前記少なくとも1つの点変異が、E41残基、P190残基及びC481残基からなる群から選択される1つ以上である、請求項121に記載の方法。

請求項124

前記少なくとも1つの点変異が、システイン481残基の変異である、請求項123に記載の方法。

請求項125

システイン481残基の前記点変異が、C481S、C481R、C481T及び/またはC481Yから選択されている、請求項124に記載の方法。

請求項126

システイン481残基の前記点変異が、C481R、C481T及び/またはC481Yから選択される、請求項128に記載の方法。

請求項127

さらに、血液悪性腫瘍を治療する、請求項96または97に記載の方法。

請求項128

前記血液悪性腫瘍が、白血病である、請求項127に記載の方法。

請求項129

前記白血病が、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病及び/またはマントル細胞リンパ腫である、請求項128に記載の方法。

請求項130

前記白血病が、急性骨髄性白血病である、請求項129に記載の方法。

請求項131

がんの治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、それが必要な対象に、下記の化合物7、またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、前記対象が、変異型のFLT3を有する、前記方法。

請求項132

前記変異FLT3が、少なくとも1つの点変異を含む、請求項131に記載の方法。

請求項133

前記少なくとも1つの点変異が、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である、請求項132に記載の方法。

請求項134

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をD835に含む、請求項133に記載の方法。

請求項135

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をF691に含む、請求項133に記載の方法。

請求項136

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をK663に含む、請求項133に記載の方法。

請求項137

前記変異FLT3が、少なくとも1つの変異をN841に含む、請求項133に記載の方法。

請求項138

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3のチロシンキナーゼドメインにある、請求項133に記載の方法。

請求項139

前記少なくとも1つの点変異が、FLT3の活性化ループにある、請求項133に記載の方法。

請求項140

前記少なくとも1つの点変異が、686位、687位、688位、689位、690位、691位、692位、693位、694位、695位及び696位からなる群から選択される1つ以上の位置のアミノ酸残基の変異である、請求項133に記載の方法。

請求項141

前記変異FLT3が、追加のITD変異を有する、請求項132〜140のいずれか1項に記載の方法。

請求項142

前記変異FLT3が、FLT3−D835H、FLT3−D835V、FLT3−D835Y、FLT3−ITD−D835V、FLT3−ITD−D835Y、FLT3−ITD−D835H、FLT3−F691L、FLT3−ITD−F691L、FLT3−K663Q、FLT3−ITD−K663Q、FLT3−N841I、FLT3−ITD−N841I、FLT3−R834Q、FLT3−ITD−834Q、FLT3−D835G、FLT3−ITD−D835G、FLT3−Y842C及びFLT3−ITD−Y842Cからなる群から選択される1つ以上の変異を有する、請求項131に記載の方法。

請求項143

前記少なくとも1つの点変異が、同じ対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である、請求項132〜142のいずれか1項に記載の方法。

請求項144

前記少なくとも1つの点変異が、異なる対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である、請求項132〜142のいずれか1項に記載の方法。

請求項145

前記がんが、白血病である、請求項131〜144のいずれか1項に記載の方法。

請求項146

前記白血病が、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病及び/またはマントル細胞リンパ腫である、請求項145に記載の方法。

請求項147

前記白血病が、急性骨髄性白血病である、請求項146に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本願は、2017年2月21日に出願した米国特許仮出願第62/461,584号と、2017年10月30日に出願した米国特許仮出願第62/578,948号に基づく優先権を主張するものであり、これらの仮出願の開示内容は、すべての目的のために、参照により、その全体が本明細書に援用される。

0002

発明の分野
本発明は、血液がんなどの、がん治療のための2,3−ジヒドロイソインドール−1−オンという化合物、またはその製薬学的許容可能な塩、エステルプロドラッグ水和物、溶媒和物及び異性体に関するものであり、患者は、FLT3の変異、またはBTKの野生型もしくは変異型を呈する。

背景技術

0003

いくつかのチロシンキナーゼは、多くのタイプのがんで細胞生存を促す調節経路の一部であることが示されている。フムス様チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子は、造血に影響を及ぼして血液の障害悪性腫瘍を引き起こす膜結合型受容体型チロシンキナーゼをコードする上記のような一例である。

0004

受容体型チロシンキナーゼFLT3は、膜近傍領域の活性遺伝子内縦列重複(ITD)と、活性化ループ残基D835におけるようなチロシンキナーゼドメイン点変異を含め、一連の変異を起こすことがある。FLT3は、急性骨髄性白血病(AML)療法の標的である。それは、FLT3−ITD変異が、約24%のAML患者に存在し、きわめて不良な予後と関連付けられているからである。C.Thiede et al.,Blood 2002,99,4326、P.D.Kottaridis et al.,Leukemia & lymphoma 2003,44,905を参照されたい。しかしながら、FLT3阻害剤であるソラフェニブまたはキザルニブに対して耐性再発を示した臨床患者で同定されているD835または「ゲートキーパー」F691の変異を含め、FLT3のさらなる後天的変異によって、大半のFLT3阻害剤が無効になることがある。C.H.Man et al.,Blood 2012,119,5133、C.C.Smith et al.,Nature 2012,485,260を参照されたい。さらに、他の平行した生存促進性シグナル伝達経路の異常なアップレギュレーションによって、AMLがFLT3標的療法に対して耐性を獲得し得ることが報告されている。W.Zhang et al.,Clin.Cancer Res.2014,20,2363を参照されたい。

0005

したがって、FLT3の変異をきたした血液悪性腫瘍患者の変異FLT3を阻害する治療に対するニーズが存在する。

0006

別のチロシンキナーゼであるブルトンチロシンキナーゼ(BTK)も、血液がんにおいて細胞増殖を調節する際に機能的に重要であることがわかっている。BTKは、一部のT細胞、ナチュラルキラー細胞形質細胞などではなく、B細胞造血細胞で見られる。様々な炎症性応答またはがんによって生じるB細胞膜受容体(BCR)シグナルによって、BTKが刺激されると、BTKは、ホスホリパーゼCγ2(PLCγ)のような下流シグナル伝達を開始することによって、TNF−αIL−6などのようなサイトカインと、NF−ΚBの産生の際に重要な役割を果たす。

0007

がん治療では、BTKは、抗自殺シグナルを生成するBCRとB細胞表面タンパク質を修飾することが知られている。したがって、BTKを阻害すると、リンパ腫のように、BCRのシグナル伝達と関連するがんに対する抗がん作用が得られ得る。BTK阻害剤の抗炎症剤及び抗がん剤としての作用機序は、Nature Chemical Biology 2011,7,4に詳しく記載されている。

0008

これらのシグナル伝達経路は、正確に調節しなければならない。BTKをコードする遺伝子の変異は、ヒトにおいて、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)として知られている遺伝性B細胞特異的免疫不全疾患の原因となる(Conley et al.,Annu.Rev.Immunol.27:199−227,2009)。BCRを介する異常なシグナル伝達によって、B細胞活性化の異常調節が起こり、いくつかの自己免疫疾患炎症性疾患を引き起こし得る。前臨床試験によって、BTK欠損マウスには、コラーゲン関節炎発症に対する耐性があることが示されている。さらに、成熟B細胞を枯渇するCD20抗体であるリツキサン臨床試験によって、関節リウマチ全身性ループスエリテマトーデス及び多発性硬化症のようないくつかの炎症性疾患におけるB細胞の重要な役割が明らかにされている(Gurcan et al.,Int.Immunopharmacol.9:10−25,2009)。したがって、BTK阻害剤を用いて、自己免疫疾患及び/または炎症性疾患を治療できる。

0009

加えて、BTKの異常な活性化または過剰発現は、B細胞リンパ腫の病因において重要な役割を果たし、BTKの阻害が、血液悪性腫瘍の治療において有用であることが示されている(Davis et al.,Nature 463:88−92,2010)。予備的臨床試験の結果から、BTK阻害剤のイブルチニブ(PCI−32765)が、いくつかのタイプのB細胞リンパ腫の治療に有効であることが示された(例えば、54th American Society of Hematology(ASH)annual meeting abstract,Dec.2012:686 The Bruton’s Tyrosine Kinase(BTK)Inhibitor,ibrutinib(PCI−32765),Has Preferential Activity in the ABC Subtype of Relapsed/Refractory De Novo Diffuse Large B−Cell Lymphoma(DLBCL):Interim Results of a Multicenter,Open−Label,Phase 1 Study)。BTKは、複数のシグナル伝達経路において、メディエーターとして中心的役割を果たすので、BTKの阻害剤には、抗炎症剤及び/または抗がん剤として大きな関心が寄せられている(Mohamed et al.,Immunol.Rev.228:58−73,2009、Pan,Drug News perspect 21:357−362,2008、Rokosz et al.,Expert Opin.Ther.Targets 12:883−903,2008、Uckun et al.,Anti−cancer Agents Med.Chem.7:624−632,2007、Lou et al,J.Med.Chem.55(10):4539−4550,2012)。

0010

イブルチニブは、BTKの活性部位における481位の残基のシステイン化学的相互作用し、BTK酵素不活化する。しかしながら、481位の残基のシステインが、セリン残基に変異すると(BTK−C481S)、イブルチニブに対する耐性が生じ、このBTK−C481Sは、臨床的に観察されている。この特定の点変異は、イブルチニブの標的を効果的に排除することによって、有効な薬物としてのイブルチニブを無効にする。イブルチニブで治療するCLL患者のうち、51%が、様々な理由により、その使用を始めてから4年になるまでに中止する。例えば、24%が、過敏症有害事象、感染または死により、イブルチニブの使用を中止する。患者の27%は、疾患の進行(例えば、リヒター症候群、BTK−C481S変異、PLCγ2変異)により、その使用を中止し、イブルチニブの使用を中止する患者の約1/3が、C481S変異を有する。したがって、難治性過敏性または耐性の患者(変異型のBTKを有する患者を含む)を治療するための新たな治療剤、特には、イブルチニブと異なる機序によって作用する治療剤を特定するニーズが存在する。
既存の治療剤は典型的には、様々な耐性表現型を示す標的に対して無効である。その結果、そのようながんの生存予後は不良である。したがって、複数のキナーゼ標的に対する親和性を示す新規医薬剤、具体的には、BTKとFLT3を二重に阻害できる医薬剤を開発することが重要である。

先行技術

0011

C.Thiede et al.,Blood 2002,99,4326、P.D.Kottaridis et al.,Leukemia & lymphoma 2003,44,905
C.H.Man et al.,Blood 2012,119,5133、C.C.Smith et al.,Nature 2012,485,260
W.Zhang et al.,Clin.Cancer Res.2014,20,2363
Nature Chemical Biology 2011,7,4
Conley et al.,Annu.Rev.Immunol.27:199−227,2009
Gurcan et al.,Int.Immunopharmacol.9:10−25,2009
Davis et al.,Nature 463:88−92,2010
54th American Society of Hematology(ASH)annual meeting abstract,Dec.2012:686 The Bruton’s Tyrosine Kinase(BTK)Inhibitor,ibrutinib(PCI−32765),Has Preferential Activity in the ABC Subtype of Relapsed/Refractory De Novo Diffuse Large B−Cell Lymphoma(DLBCL):Interim Results of a Multicenter,Open−Label,Phase 1 Study
Mohamed et al.,Immunol.Rev.228:58−73,2009
Pan,Drug News perspect 21:357−362,2008
Rokosz et al.,Expert Opin.Ther.Targets 12:883−903,2008
Uckun et al.,Anti−cancer Agents Med.Chem.7:624−632,2007
Lou et al,J.Med.Chem.55(10):4539−4550,2012

課題を解決するための手段

0012

本開示は、化合物7、その製薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、水和物、溶媒和物及び異性体に関するものである。

0013

一実施形態では、本開示は、対象の野生型フムス関連キナーゼ3(FLT3)の活性または発現の阻害または低減方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をその対象に投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示は、対象の変異FLT3の活性または発現の阻害または低減方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をその対象に投与することを含む方法を提供する。

0014

一実施形態では、本開示は、ヒト細胞における野生型FLT3の活性または発現の阻害または低減方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をそのヒト細胞と接触させることを含む方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、ヒト細胞における変異FLT3の活性または発現の阻害または低減方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をそのヒト細胞と接触させることを含む方法を提供する。

0015

別の実施形態では、本開示は、野生型FLT3発現細胞アポトーシス誘導することを、それを必要とする対象において行う方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、本開示は、変異FLT3発現細胞のアポトーシスを誘導することを、それを必要とする対象において行う方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。

0016

一実施形態では、本開示は、野生型FLT3と関連する血液悪性腫瘍の治療方法であって、それを必要とする対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、当該方法は、野生型FLT3の活性または発現を阻害または低減する。別の実施形態では、本開示は、変異FLT3と関連する血液悪性腫瘍の治療方法であって、それを必要とする対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、当該方法は、変異FLT3の活性または発現を阻害または低減する。

0017

本明細書に開示されている方法のいずれか1つの一実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの点変異を含む。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、D835、F691、K663、R834、N841及びY842からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をD835に含む。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をF691に含む。一実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をK663に含む。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をN841に含む。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をR834に含む。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をY842に含む。

0018

本明細書に開示されている方法のいずれか1つの一態様では、少なくとも1つの点変異は、FLT3のチロシンキナーゼドメインにある。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、FLT3の活性化ループにある。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、686位、687位、688位、689位、690位、691位、692位、693位、694位、695位及び696位からなる群から選択される1つ以上の位置のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、変異FLT3は、追加のITD変異を有する。一実施形態では、当該変異FLT3は、FLT3−D835H、FLT3−D835V、FLT3−D835Y、FLT3−ITD−D835V、FLT3−ITD−D835Y、FLT3−ITD−D835H、FLT3−F691L、FLT3−ITD−F691L、FLT3−K663Q、FLT3−ITD−K663Q、FLT3−N841I、FLT3−ITD−N841I、FLT3−R834Q、FLT3−ITD−834Q、FLT3−D835G、FLT3−ITD−D835G、FLT3−Y842C及びFLT3−ITD−Y842Cからなる群から選択される1つ以上の変異を有する。

0019

本明細書に開示されている方法のいずれか1つの一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、同じ対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、異なる対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である。

0020

本明細書に開示されている方法のいずれか1つの一実施形態では、対象は、哺乳動物である。別の実施形態では、対象は、ヒトである。

0021

ヒト細胞において野生型FLT3または変異FLT3の活性または発現の阻害または軽減する、本明細書に開示されているいずれかの方法の一実施形態では、ヒト細胞はヒト白血病細胞株である。一態様では、ヒト白血病細胞株は、急性リンパ性白血病細胞株急性骨髄性白血病細胞株、急性前骨髄球性白血病細胞株、慢性リンパ性白血病細胞株、慢性骨髄性白血病細胞株、慢性好中球性白血病細胞株、急性未分化白血病細胞株、未分化大細胞型リンパ腫細胞株、前リンパ球性白血病細胞株、若年性骨髄単球性白血病細胞株、成人T細胞急性リンパ性白血病細胞株、3血球異形成を伴う急性骨髄性白血病細胞株、混合系統白血病細胞株、好酸球性白血病細胞株またはマントル細胞リンパ腫細胞株である。一態様では、ヒト白血病細胞株は、好酸球性白血病細胞株である。一実施形態では、ヒト白血病細胞株は、急性骨髄性白血病細胞株である。

0022

野生型FLT3または変異FLT3の活性または発現と関連する血液悪性腫瘍の治療を治療する、本明細書に開示されているいずれかの方法の一実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病である。別の実施形態では、白血病は、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病またはマントル細胞リンパ腫である。別の実施形態では、白血病は、好酸球性白血病である。別の実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病である。

0023

一実施形態では、本開示は、血液悪性腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、対象が、FLT3の活性または発現の阻害剤に対して、耐性または再発を示す方法を提供する。一実施形態では、阻害剤は、キザルチニブ、ギルテリチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、ミドスタウリンレスタウルチニブクレラニブ、PLX3397、PLX3623、クレノラニブ、ポナチニブまたはパクリチニブである。別の実施形態では、阻害剤は、キザルチニブまたはギルテリチニブである。

0024

一実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病である。別の実施形態では、白血病は、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病またはマントル細胞リンパ腫である。特定の実施形態では、白血病は、好酸球性白血病である。別の特定の実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病である。

0025

一実施形態では、本開示は、異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現を阻害または低減することを、それを必要とする対象において行う方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、当該変異BTKは、少なくとも1つの点変異を含む。例えば、当該少なくとも1つの点変異は、システイン残基にあってよい(例えば、システイン残基は、BTKのキナーゼドメインにある)。対象は、哺乳動物、例えばヒトであってよい。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、E41残基、P190残基及びC481残基からなる群から選択される1つ以上の残基である。例えば、点変異は、E41K、P190K及びC481Sからなる群から選択される1つ以上であってよい。一実施形態では、C481残基の点変異は、C481S、C481R、C481T及び/またはC481Yから選択される。

0026

ある特定の実施形態では、BTK変異体には、共有結合性BTK阻害剤(例えば、イブルチニブ及び/またはアカラブルチニブ、あるいは他の共有結合性BTK阻害剤)による阻害に対する耐性がある。一実施形態では、変異BTKの活性は、共有結合性不可逆BTK阻害剤によって野生型BTKの活性を阻害した場合よりも、共有結合性不可逆BTK阻害剤によって阻害される程度が低い。例えば、共有結合性不可逆BTK阻害剤は、変異BTKに対するIC50が、野生型BTKに対するよりも少なくとも50%高い。ある特定の実施形態では、BTK変異体には、非共有結合性BTK阻害剤による阻害に対する耐性がある。ある特定の実施形態では、BTK変異体には、非共有結合性BTK阻害剤による阻害に対する耐性がある。

0027

一実施形態では、システイン上の点変異は、BTKの1つの対立遺伝子のみにある。別の実施形態では、システイン上の点変異は、BTKの2つの対立遺伝子にある。

0028

一実施形態では、本開示は、がんの治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、それを必要とする対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、その患者は、BTKの野生型(例えば、過剰発現した野生型)または変異型を有する方法を提供する。

0029

一実施形態では、本開示は、B細胞悪性腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、その対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、化合物7は、BTK、ERK、FLT3、AURKまたはAKTの経路の活性化を阻害する。一実施形態では、対象は、BTKの変異型を有する。例えば、B細胞悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫(MCL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)及びびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)からなる群の1つ以上から選択される。ある特定の実施形態では、化合物7は、オーロラキナーゼのいずれかの型(野生型または変異型)の活性を阻害及び/または低減する。一実施形態では、オーロラキナーゼは、変異オーロラキナーゼである。一実施形態では、化合物7の投与によって、アポトーシスのような機構による細胞死を誘導する。別の実施形態では、化合物7の投与によって、多倍体化、オートファジー細胞周期の停止またはアポトーシス以外の他の細胞死形態を誘導する。一実施形態では、化合物7は、野生型BTK及び/または変異BTKの活性または発現を阻害及び/または低減する。変異BTKは、少なくとも1つの点変異を、例えばシステイン残基(例えばC481残基)に含む。

0030

いくつかの実施形態では、化合物7は、対象の野生型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現を阻害及び/または低減する。別の実施形態では、化合物7は、対象の変異型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現を阻害及び/または低減する。変異FLT3は、少なくとも1つの点変異を含み得る。例えば、少なくとも1つの点変異は、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である。変異FLT3は、1つまたは2つの対立遺伝子に追加のITD変異を有し得る。

0031

一実施形態では、本開示は、ヒト細胞における異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現の阻害または低減方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をそのヒト細胞と接触させることを含む方法を提供する。変異BTKは、少なくとも1つの点変異を含み得る。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、システイン残基の変異である。一実施形態では、システイン残基は、BTKのキナーゼドメインにある。少なくとも1つの点変異は、E41残基、P190残基及びC481残基からなる群から選択される1つ以上の点変異である。一実施形態では、システイン481残基の点変異は、C481S、C481R、C481T及び/またはC481Yから選択される。

0032

当然のことながら、上記の概念と、下記でさらに詳細に論じられている追加の概念(ただし、それらの概念は、相互に矛盾しないものとする)を組み合わせたものはいずれも、本明細書に開示されている本発明の主題の一部として企図されている。特に、本開示の最後に示されている、請求対象の主題を組み合わせたものはいずれも、本明細書に開示されている本発明の主題の一部として企図されている。また、当然のことながら、本明細書で明示的に用いられている用語であって、参照により援用されているいずれかの開示でも見られ得る用語には、本明細書に開示されている特定的な概念と最も整合する意味を付与するものとする。

図面の簡単な説明

0033

化合物7が、キザルチニブと類似した様式で、かつイブルチニブとは対照的な様式で、MV4−11細胞においてFLT3経路を阻害することを示すウエスタンブロット像である。
化合物7が、MV4−11細胞において、0.5nM、5.0nM及び50nMの処理量でBTK経路を阻害し、その結果が、イブルチニブで処理した場合の観察結果と一致していることを示すウエスタンブロット像である。
化合物7が、EOL−1細胞において、0.5nM、5.0nM及び50nMの処理量でBTK経路を阻害し、その結果が、イブルチニブで処理した場合の観察結果と一致していることを示すウエスタンブロット像である。
用量応答曲線と、対応するIC50値の形で、FLT3−ITD細胞(MV411及びMOLM−13)とFLT3−WT細胞(NOMO−1及びKG−1)に対する化合物7、イブルチニブ及びキザルチニブの細胞毒性作用の比較を示す。
同上。
様々な用量で、複数の投与経路によって(IV、経口用懸濁剤または経口用カプセル剤のいずれかによって)与えた、ラットでの化合物7の平均血漿中濃度薬物動態データを示す。
いくつかの異なる用量で、22日の期間にわたって投与した化合物7の効力を、同じ期間にわたって単一投与量で与えた対照及びイブルチニブと比較したマウス異種移植モデル試験を表す。対照またはイブルチニブによる処置と比べて、化合物7が、用量の多いほど、腫瘍体積縮小させることを示す。
化合物7、イブルチニブ及びキザルチニブによって0.5nM、5.0nM及び50nMで処理した場合の初期アポトーシス細胞、全アポトーシス細胞及び生細胞を示す。
同上。
イブルチニブ及びキザルチニブで処理した場合と比べて、化合物7が、MV4−11細胞においてアポトーシスを誘導することを示しているウエスタンブロット像(上)とアネキシンアッセイ図(下)である。
HEK293Tトランスフェクション細胞において、化合物7によって、様々な酵素のリン酸化形態が低減したことを示すウエスタンブロット像である。BTKの野生型とC481S変異型がいずれも、0.5μMと1.0μMの両方の濃度の化合物7によって阻害される。
化合物7がBTKを阻害することを示すウエスタンブロット像を示す。1時間時点と24時間時点を示す。
様々な細胞株に対する化合物7とイブルチニブの用量応答曲線を示す。
同上。
化合物7が、B細胞悪性腫瘍細胞株のMinoとRamosにおいて、細胞アポトーシスを誘導することを示す。
化合物7が、非常に強力なオーロラキナーゼ阻害剤であることを示す。細胞株は、上から下に向かって、Mino、Ramos、SU−DHL6である。
化合物7が、B細胞悪性腫瘍細胞株のMinoとRamosにおいて、多倍体化を誘導することを示す。縦の線によって、正常なDNA量の細胞と多倍体を分けている。縦の線の左側では、細胞は、正常なDNA量(≦4N)を含み、G0/G1期、S期またはG2/M期の細胞周期にある。縦の線の右側では、細胞は、M期を経ずに、より多いDNA量(>4N)を蓄積したことから、多倍体化が示唆される。
同上。
様々な造血細胞株における化合物7の細胞毒性の用量応答曲線を示す。
様々なFLT3変異体(示されている)をトランスフェクションしたアイソジェニックなBa/F3細胞に対する化合物7、キザルチニブ、ギルテリチニブ及びクレノラニブの用量応答曲線を示している。
同上。
同上。
化合物7が、時間依存的に、MV4−11細胞においてアポトーシスを誘導することを示す。Aは、MV4−11細胞のみのアネキシンVアッセイを表す。Bは、Bは、ビヒクルで処理した1時間時点のMV4−11細胞のアネキシンVアッセイを表す。Cは、ビヒクルで処理した3時間時点のMV4−11細胞のアネキシンVアッセイを表す。Dは、ビヒクルで処理したMV4−11細胞の6時間時点のアネキシンVアッセイを表す。Dは、ビヒクルで処理したMV4−11細胞の24時間時点のアネキシンVアッセイを表す。Fは、化合物7で処理したMV4−11細胞の1時間時点のアネキシンVアッセイを表す。Gは、化合物7で処理したMV4−11細胞の3時間時点のアネキシンVアッセイを表す。Hは、化合物7で処理したMV4−11細胞の6時間時点のアネキシンVアッセイを表す。Iは、化合物7で処理したMV4−11細胞の24時間時点のアネキシンVアッセイを表す。Jは、後期アポトーシス、初期アポトーシスまたは生存状態の細胞の割合(%)のプロットを表す(CG=化合物7)。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
化合物7が、MV411細胞において、用量依存的に、G0/G1細胞周期の停止を誘導することを示す。Aは、様々な濃度におけるG0/G1状態、S状態またはG2/M状態のいずれかのMV4−11細胞の割合(%)のグラフ図である。Bは、フローサイトグラムを示しており、y軸は、5−エチニル−2’−デオキシウリジン(EdU)の蛍光を表し、x軸は、プロピジウムアイオダイド染色細胞を表す。
同上。
化合物7が、MOLM−13細胞において、用量依存的に、G0/G1細胞周期の停止を誘導することを示す。縦の線によって、正常なDNA量の細胞と、多倍体が分けられている。縦の線の左側では、細胞は、正常なDNA量(≦4N)を含み、細胞周期のG0/G1相、S相またはG2/M相にある。縦の線の右側では、細胞は、M期を経ずに、より多いDNA量(>4N)を蓄積したことから、多倍体化が示唆される。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
Aは、フローサイトグラムを示し、y軸は、5−エチニル−2’−デオキシウリジン(EdU)の蛍光を表し、x軸は、プロピジウムアイオダイド染色細胞を表す。Bは、化合物7が、様々な造血細胞株において、多倍体化を誘導することを示す(図20)。縦の線によって、正常なDNA量の細胞と、多倍体が分けられている。縦の線の左側では、細胞は、正常なDNA量(≦4N)を含み、細胞周期のG0/G1相、S相またはG2/M相にある。縦の線の右側では、細胞は、M期を経ずに、より多いDNA量(>4N)を蓄積したことから、多倍体化が示唆される。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
化合物7が、KG−1細胞において、用量依存的に細胞周期調節異常を誘導することが見いだされたことを示す。縦の線によって、正常なDNA量の細胞と、多倍体が分けられている。縦の線の左側では、細胞は、正常なDNA量(≦4N)を含み、細胞周期のG0/G1相、S相またはG2/M相にある。縦の線の右側では、細胞は、M期を経ずに、より多いDNA量(>4N)を蓄積したことから、多倍体化が示唆される。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
化合物7が、NOMO−1細胞において、用量依存的に細胞周期調節異常を誘導することが見いだされたことを示す。縦の線によって、正常なDNA量の細胞と、多倍体が分けられている。縦の線の左側では、細胞は、正常なDNA量(≦4N)を含み、細胞周期のG0/G1相、S相またはG2/M相にある。縦の線の右側では、細胞は、M期を経ずに、より多いDNA量(>4N)を蓄積したことから、多倍体化が示唆される。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
化合物7が、FLT3の様々な変異(示されている変異)を有するアイソジェニックなBA/F3細胞において、用量依存的に細胞周期調節異常を誘導することが見いだされたことを示す。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
同上。
ウエスタンブロット図に示されているように、化合物7が、オーロラキナーゼ阻害剤AT928と比べて、MV4−11細胞において、オーロラキナーゼの活性とシグナル伝達を阻害することを示す。
示されているウエスタンブロット図を通じて、化合物7が、イブルチニブ及びキザルチニブと比べて、FLT−3WT細胞(KG−1)において、オーロラキナーゼの活性(A)、及びシグナル伝達(B)を阻害することを示す。
化合物7が、EOL−1細胞において、PDGFRAとFLT3(WT)のシグナル伝達を阻害することを示す。
化合物7が、RAMOS細胞において、細胞周期の進行を妨げることを示す。縦の線によって、正常なDNA量の細胞と、多倍体が分けられている。縦の線の左側では、細胞は、正常なDNA量(≦4N)を含み、細胞周期のG0/G1相、S相またはG2/M相にある。縦の線の右側では、細胞は、M期を経ずに、より多いDNA量(>4N)を蓄積したことから、多倍体化が示唆される。
化合物7が、Mino細胞、RAMOS細胞、GRANTA−519細胞及びSU−DHL−6細胞において、細胞周期の進行を妨げることを示す。縦の線によって、正常なDNA量の細胞と、多倍体が分けられている。縦の線の左側では、細胞は、正常なDNA量(≦4N)を含み、細胞周期のG0/G1相、S相またはG2/M相にある。縦の線の右側では、細胞は、M期を経ずに、より多いDNA量(>4N)を蓄積したことから、多倍体化が示唆される。
同上。
同上。
同上。
化合物7が、イブルチニブと比べて、Ramos細胞において、BTKとオーロラキナーゼの活性を阻害することを示す。
化合物7が、イブルチニブと比べて、Ramos細胞において、BCRのシグナル伝達に影響を及ぼすことを示す。
同上。
化合物7が、高血清濃度で高い活性を保持することを示す。

0034

本開示は、一実施形態では、フムス関連チロシンキナーゼ(FLT3)の異常な活性化によって起こる血液がんのようながんの治療のために、2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オンという化合物、またはその製薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、水和物、溶媒和物及び異性体によって、このキナーゼの野生型または変異型を阻害または低減する方法を提供する。さらに、BTK、特に変異BTK(例えば、C481S BTK)と関連するB細胞悪性腫瘍の治療に関する上記の課題に鑑み、化合物7が、驚くべきことに、B細胞悪性腫瘍細胞株(その多くは、従来の治療剤(例えばイブルチニブ)では、ほとんどまたはまったく効果が得られない)に対する細胞毒性を有することを発見した。化合物7の作用機序は、他の従来の治療剤(例えばイブルチニブ)とは異なり、BTKとの非共有結合性相互作用によるものと考えられ、この相互作用は、BTKタンパク質に対する耐性を阻止するのに関与する手段となる。したがって、本開示は、一実施形態では、異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現を阻害または低減することを、それを必要とする対象において行う方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。さらに、化合物7は、イブルチニブが作用しないB細胞悪性腫瘍で働く追加のキナーゼ(AURK、c−Src及びその他のキナーゼ)を阻害する。

0035

定義
本明細書で用いられている用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定するようには意図されていないことを理解されたい。

0036

別段の定義のない限り、本明細書で用いられているすべての技術的用語と科学的用語は、本願が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等のいずれの方法及び材料も、本願の実施又は試験の際に使用できるが、本明細書には、代表的な方法及び材料が記載されている。

0037

本明細書を通じて、「一実施形態」または「実施形態」という場合には、その実施形態との関連で記載されている特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて、様々な位置に、「一実施形態では」または「実施形態では」という表現が見られるのは、必ずしもすべて同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態において、いずれかの好適な形で組み合わせることができる。また、本明細書と添付の請求項で使用する場合、「a」、「an」及び「the」という単数形には、文脈上明らかに別段に解される場合を除き、複数の言及物が含まれる。「または」という用語は概して、文脈上明らかに別段に解される場合を除き、「及び/または」を含め、「または」の意味で用いられていることにも留意されたい。

0038

別段に示されていない限り、本明細書及び請求項で用いられている、成分の量、反応条件などを表す数値はすべて、いずれの場合も、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されたい。したがって、特に反対の記載がない限り、本明細書と添付の請求項に示されている数値パラメーターは、本願によって得ようとしている所望の特性に応じて変動し得る近似値である。

0039

本明細書を通じて、ある特定の量に関して、数値範囲が示されている。これらの範囲には、その範囲内のすべての小範囲が含まれることを理解されたい。したがって、「50〜80」という範囲には、その範囲内のすべての考え得る範囲(例えば、51〜79、52〜78、53〜77、54〜76、55〜75、60〜70など)が含まれる。さらに、所定の範囲内のすべての値は、その範囲に含まれる範囲の始点値または終点値となり得る(例えば、50〜80という範囲には、55〜80、50〜75などのような始点値または終点値の範囲が含まれる)。

0040

化合物7は、1−{3−フルオロ−4−[7−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−フェニル}−3−(2,4,6−トリフルオロフェニル尿素を指し、下記の構造を有する。

0041

本発明は、化合物7の製薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、水和物、溶媒和物及び異性体も含む。

0042

「製薬学的に許容可能な塩」には、酸付加塩塩基付加塩の両方が含まれる。

0043

化合物7の製薬学的に許容可能な塩は、無機酸または有機酸から誘導した「製薬学的に許容可能な酸付加塩」であってよく、そのような塩は、アニオンを含む製薬学的に許容可能な非毒性の酸付加塩であり得る。例えば、塩としては、塩酸硫酸硝酸リン酸臭化水素酸ヨウ化水素酸などのような無機酸と、酒石酸ギ酸クエン酸酢酸トリクロロ酢酸トリフルオロ酢酸グルコン酸安息香酸乳酸フマル酸マレイン酸などのような有機カルボン酸と、メタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸p−トルエンスルホン酸ナフタレンスルホン酸などのようなスルホン酸によって形成される酸付加塩を挙げることができる。

0044

化合物7の製薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野において周知の従来の方法によって調製してよい。具体的には、本発明による「製薬学的に許容可能な塩」は、例えば、アセトンメタノールエタノールまたはアセトニトリルなどのような水混和性有機溶媒に化合物7を溶解し、その溶解液に過剰な量の有機酸または無機酸の水溶液を加え、そのようにして得た混合物沈殿または結晶化することによって調製してよい。さらに、「製薬学的に許容可能な塩」は、その生成物からその溶媒または過剰な酸をさらに蒸発させてから、その混合物を乾燥するか、または例えば吸引フィルターを用いることによって、その抽出物をろ過することによって調製してよい。

0045

「エステル」という用語は、本明細書で使用する場合、−(R)n−COOR’という化学構造を有する化学構造部分を指し、別段に示されていない限り、その式中、RとR’はそれぞれ独立して、アルキルシクロアルキルアリールヘテロアリール芳香族環によって酸素原子に連結されている)及びヘテロ脂環(芳香族環によって連結されている)からなる群から選択されており、nは、0または1である。

0046

「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用する場合、インビボ代謝活性化して、親薬物を生成させる前駆体化合物を指す。プロドラッグは有用である場合が多い。それは、場合によっては、その親薬物よりも容易に投与できるからである。例えば、いくつかのプロドラッグは、バイオアベイラビリティが低いことの多いその親薬物とは異なり、経口投与によって生体内利用可能となる。さらに、プロドラッグは、その親薬物よりも、医薬組成物における溶解性が改善していることがある。例えば、化合物7は、薬物送達効率を向上させるために、エステルプロドラッグの形態で投与してよい。それは、薬物の溶解性は、細胞膜透過性に悪影響を及ぼし得るからである。そして、エステルプロドラッグ形態の化合物は、標的細胞内に入ると、カルボン酸活性体に代謝的に加水分解し得る。

0047

化合物7の水和物または溶媒和物は、本発明の範囲に含まれる。本明細書で使用する場合、「溶媒和物」とは、溶媒和溶媒分子と、本発明の活性剤分子もしくはイオンとの組み合わせ)によって形成される複合体、または1つ以上の溶媒分子とともに、溶質イオンもしくは分子(本発明の活性剤)からなる凝集体を意味する。その溶媒は、水であることができ、この場合には、溶媒和物は、水和物であることができる。水和物の例としては、半水和物一水和物二水和物三水和物六水和物などが挙げられるが、これらに限らない。本開示の化合物の製薬学的に許容可能な塩は、溶媒和物形態でも存在し得ることを当業者は理解するはずである。溶媒和物は典型的には、水和によって形成され、水和は、本開示の化合物の調製の一部であるか、または本発明の無水化合物に自然に水分が吸収されることによる。水和物を含む溶媒和物は、化学量論比で、例えば、溶媒和物分子または水和物分子1つ当たりに2つ、3つ、4つの塩分子で存在し得る。別の可能性としては、例えば、3つ、5つ、7つの溶媒分子または水和物分子に対して、2つの塩分子が化学量論的である。アルコール(特にメタノール及びエタノール)、アルデヒドケトン(特にアセトン)、エステル(例えばエチルアセテート)のような、結晶化で用いる溶媒、特に製薬学的に許容可能な溶媒を、結晶格子に組み込むことができる。

0048

本開示の化合物またはその製薬学的に許容可能な塩は、アトロプ異性体化が可能なように、1つ以上のキラリティー軸を含むことができる。アトロプ異性体は、単結合回転障害に起因する立体異性体であり、立体ひずみまたは他の寄与因子によるエネルギー差によって、個々の配座異性体を単離可能にするほど充分に高い回転障壁が生じる。本開示には、本明細書に具体的に示されているか否かにかかわらず、このような考え得るすべての異性体と、それらのラセミ体及び光学的に純粋な形態が含まれるように意図されている。光活性異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製するか、または従来の技法、例えば、クロマトグラフィー及び分別結晶化を用いて分割することができる。個々のアトロプ異性体を調製/単離するための従来の技法としては、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、あるいは例えばキラル高速液体クロマトグラフィーHPLC)を用いた、ラセミ化合物(または塩もしくは誘導体のラセミ化合物)の分割が挙げられる。

0049

「立体異性体」とは、同じ結合によって結合されている同じ原子で構成されているが、互換性のない異なる3次元構造を有する化合物を指す。本発明では、アトロプ異性に関連する場合、その様々な立体異性体と、その混合物が企図されている。

0050

本明細書で使用する場合、タンパク質キナーゼの異常な活性化には、疾患、障害または状態を引き起こす通常から逸脱したキナーゼ挙動、異常なキナーゼ挙動、非定型的なキナーゼ挙動、変則的なキナーゼ挙動または不均整なキナーゼ挙動が含まれるように意図されている。前記疾患、障害及び状態としては、がん、関節リウマチ及び変形性関節症と関連する炎症、ぜんそく、アレルギーアトピー性皮膚炎または乾癬を挙げられ得るが、これらに限らない。がんの場合には、疾患、障害及び状態は、無制御の細胞増殖によって特徴付けることができる。

0051

タンパク質キナーゼの異常な活性化を原因とするがんの具体例としては、ABLアベルソンチロシンキナーゼ)、ACK(活性化cdc42関連キナーゼ)、AXL、オーロラ、BLK(Bリンパ腫チロシンキナーゼ)、RMX(骨髄X連鎖キナーゼ)、BTK(ブルトンチロシンキナーゼ)、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)、CSK(C−Srcキナーゼ)、DDR(ジスコイジンドメイン受容体)、EPHA(A型エフリン受容体キナーゼ)、FER(Fer(fps/fes関連)チロシンキナーゼ)、FES肉腫がん遺伝子)、FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)、FGR、FLT(フムス様チロシンキナーゼ)、FRK(Fyn関連キナーゼ)、FYN、HCK(造血細胞キナーゼ)、IRRインスリン受容体関連受容体)、ITK(インターロイキン誘導性T細胞キナーゼ)、JAK(ヤヌスキナーゼ)、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、KIT、LCK(リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ)、LYN、MAPK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ)、MER(c−Merがん原遺伝子チロシンキナーゼ)、MET、MINK(Misshapen様キナーゼ)、MNK(MAPK相互作用キナーゼ)、MST(Mammalian sterile 20様キナーゼ)、MUSK(筋特異的キナーゼ)、PDGFR(血小板由来成長因子受容体)、PLK(Polo様キナーゼ)、RET(トランスフェクション中の再構成)、RON、SRC(ステロイド受容体コアクチベーター)、SRM(スペルミジン合成酵素)、TIE免疫グロブリン及びEGFリピートを有するチロシンキナーゼ)、SYK(脾臓チロシンキナーゼ)、TNKl(非受容体型チロシンキナーゼ1)、TRK(トロポミオシン受容体キナーゼ)、TNIK(TRAF2及びNCK相互作用キナーゼ)などが挙げられるが、これらに限らない。

0052

特定の疾患または障害に関する、「治療する」、「治療すること」または「治療」という用語には、疾患もしくは障害の予防、及び/または疾患もしくは障害の症状及び/または病状の抑制、改良、改善または阻止が含まれる。概して、これらの用語は、本明細書で使用する場合、疾患または状態の症状の改善、緩和、抑制及び除去を指す。本発明の化合物7は、製剤または医薬中に、治療有効量で含まれてよく、その量は、特定の細胞(例えば、がん細胞)のアポトーシスのような生体作用、特定の細胞の増殖の低下をもたらすか、または例えば、疾患もしくは状態の症状の改善、緩和、抑制もしくは除去をもたらすことができる量である。これらの用語は、細胞増殖速度の低下もしくは停止(例えば、腫瘍増殖減速もしくは停止)、または増殖がん細胞の数の減少(例えば、腫瘍の一部もしくは全部の除去)も指すことができる。

0053

上記のような治療が、疾患、障害または状態の予防を指すときには、前記治療は、予防的治療という。前記予防剤の投与は、増殖性障害に特徴的な症状の発現前に行って、疾患または障害を予防するか、あるいは、その進行を遅延するようにできる。

0054

本明細書で使用する場合、細胞増殖の「阻害」または「低下」という用語は、当業者に知られている方法を用いて測定した場合に、本願の方法、組成物及びこれらを組み合わせたものに供していない増殖細胞と比べて、細胞増殖量を、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%遅延、減少または例えば停止することを意味する。

0055

本明細書で使用する場合、「アポトーシス」という用語は、内因性の細胞自壊または自滅プログラムを指す。誘導刺激応答して、細胞は、細胞収縮細胞膜ブレビング、ならびにクロマチン凝縮及び断片化を含む一連のイベントを起こす。これらのイベントの結果、膜結合性粒子の塊(アポトーシス小体)への細胞転換が起こり、これらの塊は、その後、マクロファージによって取り込まれる。

0056

本明細書で使用する場合、「多倍体化」または「多倍体」とは、細胞が、基本数(「n」)の数倍であって、通常の2倍数よりも多い(「2n」)多くの染色体を有する状態を指す。「多倍体細胞」または「多倍体化細胞」という用語は、多倍体化状態の細胞を指す。換言すると、多倍体細胞または多倍体生物は、3倍以上の半数染色体数を有する。ヒトでは、通常の半数染色体数は23であり、通常の染色体の二倍体での数は46である。

0057

「哺乳動物」には、ヒトと、実験動物及び家庭ペット(例えば、ネコイヌブタウシヒツジヤギウマウサギ)のような家畜と、野生動物のような家畜以外の動物などが含まれる。「患者」または「対象」という用語には、本明細書で使用する場合、ヒトと動物が含まれる。

0058

「哺乳動物以外の動物」には、哺乳動物以外の無脊椎動物と、トリ(例えば、ニワトリもしくはカモ)またはのような哺乳動物以外の脊椎動物が含まれる。

0059

「医薬組成物」とは、本開示の化合物と、当該技術分野において一般に認められている媒体との製剤であって、生物活性化合物を哺乳動物、例えばヒトに送達するための製剤を指す。このような媒体には、その製剤用のあらゆる製薬学的に許容可能な担体希釈剤または賦形剤が含まれる。

0060

「有効量」とは、治療有効量または予防有効量を指す。「治療有効量」とは、腫瘍サイズの縮小、寿命延長または平均余命の延長のような所望の治療成果を得るために、必要な投与量及び期間で有効である量を指す。化合物の治療有効量は、対象の疾患の状態、年齢性別及び体重、ならびに、化合物が対象において所望の応答を誘導する能力のような要因に従って変動し得る。投与レジメンを調節して、最適な治療応答をもたらすことができる。治療有効量は、化合物のいずれの毒性作用または有害作用よりも、治療上有益な作用が上回る量でもある。「予防有効量」とは、腫瘍の縮小または細胞増殖の減速のような所望の予防成果を得るために、必要な投与量かつ期間での有効な量を指す。典型的には、予防的用量は、対象において、疾患の発症前または疾患の初期に使用するものであり、その結果、予防有効量は、治療有効量よりも少なくなり得る。

0061

「ブルトンチロシンキナーゼ」またはBTKという用語は、本明細書で使用する場合、例えば米国特許第6,326,469号(GenBankAccession No.NP000052)に開示されているように、ホモサピエンス由来のブルトンチロシンキナーゼを指す。

0062

「共有結合性BTK阻害剤」という用語は、本明細書で使用する場合、BTKと反応して、共有結合複合体を形成する阻害剤を指す。いくつかの実施形態では、共有結合性BTK阻害剤は、不可逆性BTK阻害剤である。

0063

「非共有結合性BTK阻害剤」という用語は、本明細書で使用する場合、BTKと反応して、非共有結合複合体または相互作用を形成する阻害剤を指す。いくつかの実施形態では、非共有結合性BTK阻害剤は、可逆性BTK阻害剤である。

0064

方法
いくつかの実施形態では、本開示は、対象の野生型または変異型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現の阻害または低減方法であって、それを必要とする対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、方法は、化合物7の投与によって、FLT3の活性または発現を阻害または低減することを、それを必要とする対象において行う。

0065

フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)とは、FLT3遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。野生型FLT3とは、非変異型のタンパク質を指す。FLT3は、膜近傍領域における活性化遺伝子内縦列重複(ITD)と、FLT3のチロシンキナーゼドメインまたは活性化ループにおける点変異を含む一連の変異を起こすことがある。点変異は、DNA配列内の1つの塩基対が修飾されると起こる。例えば、F691Lとは、691位のアミノ酸フェニルアラニンからロイシンへの変化を定義するように意図されている。

0066

一実施形態では、変異FLT3は、追加のITD変異を有する。一実施形態では、ITD変異は、AMLのようなFTD誘導性血液がんのきわめて不良な予後と関連している。

0067

本明細書に開示されているいずれかの方法の別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの点変異を含む。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、686位、687位、688位、689位、690位、691位、692位、693位、694位、695位及び696位からなる群から選択される1つ以上の位置のアミノ酸残基の変異である。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−D835H、FLT3−D835V、FLT3−D835Y、FLT3−ITD−D835V、FLT3−ITD−D835Y、FLT3−ITD−D835H、FLT3−ITD−F691L、FLT3−K663Q、FLT3−N841I、FLT3−D835G、FLT3−Y842C及びFLT3−ITD−Y842Cからなる群から選択される1つ以上の変異を有する。別の実施形態では、当該少なくとも1つの点変異は、同じ対立遺伝子または異なる対立遺伝子にある2つ以上の点変異である。

0068

本明細書に開示されているいずれかの方法の一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、686位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、687位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、688位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、689位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、690位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、691位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、692位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、693位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、694位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、695位のアミノ酸残基の変異である。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、696位のアミノ酸残基の変異である。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、686〜696位のいずれかの残基に対応するアミノ残基の変異である。

0069

別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−D835Hである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−D835Vである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−D835Yである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−ITD−D835Vである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−ITD−D835Yである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−ITD−D835Hである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−ITD−F691Lである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−K663Qである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−N841Iである。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−D835G、FLT3−Y842C及び/またはFLT3−ITD−Y842Cである。

0070

FLT3は、がん療法の標的の1つである。FLT3の異常な活性化と関係のある疾患、障害及び状態の例としては、FLT3の変異による、FLT3の過剰刺激に起因するもの、または異常に高いFLT3変異量による異常に高いFLT3活性量に起因する障害が挙げられる。いずれの理論に拘束されるものではないが、FLT3の過剰活性は、がんを含む多くの疾患の病因に関係があるとされている。FLT3の過剰活性と関連するがんとしては、血小板減少症本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄化生骨髄線維症MF)、骨髄化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性特発性骨髄線維症(UIMF)及び真性多血症PV)、血液減少症、ならびに前がん状態骨髄異形成症候群のような骨髄増殖性障害と、グリオーマ癌、肺癌乳癌結腸直腸癌前立腺癌胃癌食道癌大腸癌膵臓癌卵巣癌、ならびに骨髄異形成症多発性骨髄腫、白血病及びリンパ腫を含む血液悪性腫瘍のようながんが挙げられるが、これらに限らない。

0071

一実施形態では、本開示は、野生型FLT3と関連する血液悪性腫瘍の治療方法であって、それを必要とする対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、変異FLT3と関連する血液悪性腫瘍の治療方法であって、それを必要とする対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。

0072

本明細書に開示されている方法のいずれか1つの一実施形態では、血液悪性腫瘍の例としては、白血病、リンパ腫、ホジキン病及び骨髄腫が挙げられるが、これらに限らない。また、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、急性未分化白血病(AUL)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、前リンパ球性白血病(PML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、成人T細胞ALL、3血球系異形成を伴うAML(AMLITMDS)、混合系統白血病(MLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(MPD)及び多発性骨髄腫(MM)である。

0073

一実施形態では、本開示は、野生型FLT3または変異FLT3と関連する白血病の治療方法であって、それを必要とする対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、白血病は、AMLである。

0074

一実施形態では、本開示は、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩によって、ヒト細胞の野生型FLT3または変異FLT3の活性または発現を阻害または低減する方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、ヒト細胞の変異FLT3の活性または発現を、化合物7をヒト細胞と接触させることによって阻害または低減する方法を提供する。

0075

一実施形態では、ヒト細胞は、ヒト白血病細胞株である。別の実施形態では、そのヒト白血病細胞株は、急性リンパ性白血病細胞株、急性骨髄性白血病細胞株、急性前骨髄球性白血病細胞株、慢性リンパ性白血病細胞株、慢性骨髄性白血病細胞株、慢性好中球性白血病細胞株、急性未分化白血病細胞株、未分化大細胞型リンパ腫細胞株、前リンパ球性白血病細胞株、若年性骨髄単球性白血病細胞株、成人T細胞急性リンパ性白血病細胞株、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病細胞株、混合系統白血病細胞株、好酸球性白血病細胞株またはマントル細胞リンパ腫細胞株である。

0076

特定の実施形態では、ヒト白血病細胞株は、好酸球性白血病である。別の実施形態では、ヒト白血病細胞株は、急性骨髄性白血病である。これらの血液がんのいずれも、FLT3誘導性であることが知られている。一実施形態では、MV4−11、MUTZ−11、MOLM−13及びPL−21が、FLT3−ITD変異を有する急性骨髄性白血病細胞株である。

0077

治療方法によって、FLT3の異常なキナーゼ活性によって誘導される細胞増殖性障害を発症するリスクがあるかまたは発症しやすい対象を治療するための予防的方法と療法的方法の両方を提供する。一例では、本発明は、FLT3に関連する細胞増殖性障害の予防方法であって、それを必要とする対象に、化合物7もしくはその製薬学的に許容可能な塩、または化合物7を含む医薬組成物を予防有効量投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、予防的治療は、FLT3誘導性細胞増殖性障害に特徴的な症状の発現前に行って、疾患または障害を予防するか、あるいは、その進行を遅らせるようにすることができる。

0078

一実施形態では、本開示は、血液悪性腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、対象は、FLT3の活性または発現の阻害剤に対して、耐性または再発を示す方法を提供する。一実施形態では、阻害剤は、キザルチニブ、ギルテリチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、ミドスタウリン、レスタウルチニブ、クレノラニブ、PLX3397、PLX3623、クレノラニブ、ポナチニブまたはパクリチニブである。別の実施形態では、阻害剤は、キザルチニブまたはギルテリチニブである。

0079

一実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病である。別の実施形態では、白血病は、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病またはマントル細胞リンパ腫である。特定の実施形態では、白血病は、好酸球性白血病である。別の特定の実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病である。

0080

一実施形態では、本発明の方法は、野生型FLT3発現細胞のアポトーシスを誘導することを、それを必要とする対象において行い、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を対象に投与することを含む。一実施形態では、本開示は、変異FLT3発現細胞のアポトーシスを誘導することを、それを必要とする対象において行う方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法を提供する。

0081

別の実施形態では、本発明の方法は、がんの治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、対象は、FLT3の変異型を有する。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの点変異を含む。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基の変異である。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をD835に含む。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をF691に含む。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をK663に含む。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの変異をN841に含む。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、FLT3のチロシンキナーゼドメインにある。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、FLT3の活性化ループにある。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、686位、687位、688位、689位、690位、691位、692位、693位、694位、695位及び696位からなる群から選択される1つ以上の位置のアミノ酸残基の変異である。別の実施形態では、変異FLT3は、ITD変異である。別の実施形態では、変異FLT3は、少なくとも1つの点変異とITD変異を含む。別の実施形態では、変異FLT3は、FLT3−D835H、FLT3−D835V、FLT3−D835Y、FLT3−ITD−D835V、FLT3−ITD−D835Y、FLT3−ITD−D835H、FLT3−F691L、FLT3−ITD−F691L、FLT3−K663Q、FLT3−ITD−K663Q、FLT3−N841I、FLT3−ITD−N841I、FLT3−R834Q、FLT3−ITD−834Q、FLT3−D835G、FLT3−ITD−D835G、FLT3−Y842C及びFLT3−ITD−Y842Cからなる群から選択される1つ以上の変異を有する。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、同じ対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である。別の実施形態では、少なくとも1つの点変異は、異なる対立遺伝子に存在する2つ以上の点変異である。別の実施形態では、対象は、哺乳動物である。別の実施形態では、対象は、ヒトである。別の実施形態では、がんは、白血病である。別の実施形態では、白血病は、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病及び/またはマントル細胞リンパ腫である。別の具体的な実施形態では、その白血病は、急性骨髄性白血病である。

0082

一実施形態では、本発明は、キナーゼの活性または発現を二重に阻害または低減することを、それを必要とする対象において行うことを、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をその対象に投与することによって行う方法を提供する。別の実施形態では、活性または発現を二重に阻害または低減する方法は、対象の変異フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)活性と、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の活性または発現の阻害または低減を組み合わせたものに対するものであり、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。一実施形態では、化合物7は、FLT3(野生型FLT3と変異FLT3を含む)とBTKの両方の活性を阻害または低減する。複数のキナーゼ経路を標的にするのは、予後不良のがんの転帰を改善できる方法である。

0083

いくつかの実施形態では、本開示は、異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現を阻害または低減することを、それを必要とする対象において行う方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をその対象に投与することを含む方法を提供する。

0084

ある特定の実施形態では、そのBTKは、野生型である。一実施形態では、野生型BTKは、対象において異常な状態である(例えば、過剰発現している)。別の実施形態では、野生型BTKは、対象において過活性または超活性状態である。

0085

ある特定の実施形態では、そのBTKは、変異BTKである。BTK変異は、挿入変異欠失変異及び置換変異(例えば点変異)のように、当業者には容易に明白である様々な要因を原因とし得る。一実施形態では、変異BTKは、少なくとも1つの点変異を含む。

0086

様々な点変異が、本開示の範囲内に企図されている。例えば、少なくとも1つの点変異は、BTKいずれかの残基に対するものであってよい。いくつかの実施形態では、BTK遺伝子内の変異としては、L11位、K12位、S14位、K19位、F25位、K27位、R28位、R33位、Y39位、Y40位、E41位、I61位、V64位、R82位、Q103位、V113位、S115位、T117位、Q127位、C154位、C155位、T184位、P189位、P190位、Y223位、W251位、R288位、L295位、G302位、R307位、D308位、V319位、Y334位、L358位、Y361位、H362位、H364位、N365位、S366位、L369位、I370M位、R372位、L408位、G414位、Y418位、I429位、K430位、E445位、G462位、Y476位、M477位、C481位、C502位、C506位、A508位、M509位、L512位、L518位、R520位、D521位、A523位、R525位、N526位、V535位、L542位、R544位、Y551位、F559位、R562位、W563位、E567位、5578位、W581位、A582位、F583位、M587位、E589位、S592位、G594位、Y598位、A607位、G613位、Y617位、P619位、A622位、V626位、M630位、C633位、R641位、F644位、L647位、L652位、V1065位及び/またはA1185位のアミノ酸の変異が挙げられる。いくつかの実施形態では、BTK遺伝子内の変異は、L11P、K12R、S14F、K19E、F25S、K27R、R28H、R28C、R28P、T33P、Y3S9、Y40C、Y40N、E41K、I61N、V64F、V64D、R82K、Q103Q5FSSVR、V113D、S115F、T117P、Q127H、C1545、C155G、T184P、P189A、Y223F、W251L、R288W、R288Q、L295P、G302E、R307K、R307G、R307T、D308E、V319A、Y334S、L358F、Y361C、H362Q、H364P、N365Y、S366F、L369F、I370M、R372G、L408P、G414R、Y418H、I429N、K430E、E445D、G462D、G462V、Y476D、M477R、C481S、C502F、C502W、C506Y、C506R、A508D、M5091、M509V、L512P、L512Q、L518R、R520Q、D521G、D521H、D521N、A523E、R525G、R525P、R525Q、N526K、V535F、L542P、R544G、R544K、Y551F、F559S、R562W、R562P、W563L、E567K、S578Y、W581R、A582V、F583S、M587L、E589D、E589K、E589G、S592P、G594E、Y598C、A607D、G613D、Y617E、P619A、P619S、A622P、V626G、M630I、M630K、M630T、C633Y、R641C、F644L、F644S、L647P、L652P、V10651及びA1185Vから選択されている。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、システイン残基の変異である。一実施形態では、システイン残基は、BTKのキナーゼドメインにある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの点変異は、E41残基、P190残基及びC481残基からなる群から選択される1つ以上の変異である。いくつかの実施形態では、BTKの変異は、481位のアミノ酸(すなわちC481)の変異である。C481点変異は、いずれかのアミノ酸部分で置換され得る。いくつかの実施形態では、BTKの変異は、C481Sである。一実施形態では、C481残基の点変異は、C481S、C481R、C481T及び/またはC481Yから選択される。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、E41K、P190K及びC481Sからなる群から選択される1つ以上である。

0087

いくつかの実施形態では、B細胞リンパ腫は、変異BTKポリペプチドを有する複数の細胞によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、共有結合性及び/または不可逆性BTK阻害剤による阻害に対する耐性を引き起こす1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、その変異BTKポリペプチドは、野生型BTKの481位のアミノ酸のシステインに共有結合する共有結合性及び/または不可逆性BTK阻害剤による阻害に対する耐性を引き起こす1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、PCI−32765(イブルチニブ)、PCI−45292、PCI−45466、AVL−101/CC−101(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−263/CC−263(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−292/CC−292(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、AVL−291/CC−291(Avila Therapeutics/Celgene Corporation)、CNX774(Avila Therapeutics)、BMS−488516(Bristol−Myers Squibb)、BMS−509744(Bristol−Myers Squibb)、CGI−1746(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CGI−560(CGI Pharma/Gilead Sciences)、CTA−056、GDC−0834(Genentech)、HY−11066(また、CTK4I7891、HMS3265G21、HMS3265G22、HMS3265H21、HMS3265H22、439574−61−5、AG−F−54930)、ONO−4059(Ono Pharmaceutical Co.,Ltd.)、ONO−WG37(Ono Pharmaceutical Co.,Ltd.)、PLS−123(Peking University)、RN486(Hoffmann−La Roche)、HM71224(Hanmi Pharmaceutical Company Limited)、LFM−A13、BGB−3111(Beigene)、KBP−7536(KBP BioSciences)、ACP−196(Acerta Pharma)またはJTE−051(Japan Tobacco Inc)から選択した共有結合性及び/または不可逆性BTK阻害剤による阻害に対する耐性を引き起こす1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異BTKポリペプチドは、イブルチニブによる阻害に対する耐性を引き起こす1つ以上のアミノ酸置換を含む。場合によっては、複数の細胞は、少なくとも2つの細胞を含む。ある特定の実施形態では、BTK変異体は、非共有結合性BTK阻害剤による阻害に対する耐性を引き起こす1つ以上のアミノ酸置換を含む。ある特定の実施形態では、そのBTK変異体は、可逆性BTK阻害剤による阻害に対する耐性を引き起こす1つ以上のアミノ酸置換を含む。

0088

上記のように、いくつかの実施形態では、修飾は、野生型BTKと比べて、481位のアミノ酸位のアミノ酸の置換または欠失を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、野生型BTKと比べて、481位のアミノ酸の置換を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドの481位のアミノ酸位における、システインの、ロイシン、イソロイシンバリンアラニングリシンメチオニンセリントレオニン、フェニルアラニン、トリプトファンリシンアルギニンヒスチジンプロリンチロシンアスパラギングルタミンアスパラギン酸及びグルタミン酸から選択したアミノ酸への置換である。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドの481位のアミノ酸位における、システインの、セリン、メチオニンまたはトレオニンから選択したアミノ酸への置換である。いくつかの実施形態では、修飾は、BTKポリペプチドの481位のアミノ酸位における、システインのセリンへの置換である(「C481S」)。

0089

いくつかの実施形態では、BTKの変異は、TEC阻害剤(例えば、ITK阻害剤、イブルチニブのようなBTK阻害剤)に対するB細胞増殖性障害の耐性を引き起こす。いくつかの実施形態では、BTKのC481S変異は、TEC阻害剤(例えば、ITK阻害剤、イブルチニブのようなBTK阻害剤)に対するB細胞増殖性障害の耐性を引き起こす。いくつかの実施形態では、BTKの変異は、共有結合性BTK阻害剤に対するB細胞増殖性障害の耐性を引き起こす。いくつかの実施形態では、BTKの変異は、イブルチニブとアカラブルチニブに対するB細胞増殖性障害の耐性を引き起こす。

0090

一実施形態では、変異BTKの活性は、共有結合性不可逆性BTK阻害剤によって野生型BTKの活性を阻害した場合よりも、共有結合性不可逆性BTK阻害剤によって阻害される程度が低い。共有結合性不可逆性BTK阻害剤の変異BTKに対するIC50は、野生型BTKに対するよりも、少なくとも約1%〜少なくとも約1000%高くあり得る。例えば、共有結合性不可逆性BTK阻害剤の変異BTKに対するIC50は、野生型BTKに対するよりも、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%、310%、320%、330%、340%、350%、360%、370%、380%、390%、400%、410%、420%、430%、440%、450%、460%、470%、480%、490%、500%、510%、520%、530%、540%、550%、560%、570%、580%、590%、600%、610%、620%、630%、640%、650%、660%、670%、680%、690%、700%、710%、720%、730%、740%、750%、760%、770%、780%、790%、800%、810%、820%、830%、840%、850%、860%、870%、880%、890%、900%、910%、920%、930%、940%、950%、960%、970%、980%、990%、少なくとも約1000%まで高くあり得る。一実施形態では、共有結合性不可逆性BTK阻害剤の変異BTKに対するIC50は、野生型BTKに対するよりも、少なくとも50%高くあり得る。一実施形態では、不可逆性共有結合性BTK阻害剤は、イブルチニブ及び/またはアカラブルチニブである。例えば、その不可逆性共有結合性BTK阻害剤は、イブルチニブである。

0091

一実施形態では、点変異は、BTKの1つの対立遺伝子のみにある。別の実施形態では、点変異は、BTKの2つの対立遺伝子にある。一実施形態では、システイン上の点変異は、BTKの1つの対立遺伝子のみにある。別の実施形態では、システイン上の点変異は、BTKの2つの対立遺伝子にある。一実施形態では、C481上の点変異は、BTKの1つの対立遺伝子のみにある。別の実施形態では、C481上の点変異は、BTKの2つの対立遺伝子にある。一実施形態では、C481S点変異は、BTKの1つの対立遺伝子のみにある。別の実施形態では、C481S点変異は、BTKの2つの対立遺伝子にある。

0092

一実施形態では、対象は、哺乳動物である。一実施形態では、対象は、ヒトである。

0093

本開示の別の態様は、がんの治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、それを必要とする対象に化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、その対象はBTKの変異型を有する方法に対するものである。

0094

本開示の別の態様は、B細胞悪性腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、その対象に化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法に対するものである。一実施形態では、その対象は、BTKの変異型を有する。

0095

いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、高リスクCLLまたは非CLL/SLLリンパ腫である。いくつかの実施形態では、B細胞増殖性障害は、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキット高悪性度B細胞リンパ腫または節外性辺縁帯B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、急性または慢性骨髄性(myelogenous)(または骨髄性(myeloid))白血病、骨髄異形成症候群または急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、再発性または難治性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、再発性または難治性マントル細胞リンパ腫、再発性または難治性濾胞性リンパ腫、再発性または難治性CLL、再発性または難治性SLL、再発性または難治性多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、高リスクとして分類されるB細胞増殖性障害である。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、高リスクCLLまたは高リスクSLLである。

0096

したがって、一実施形態では、治療するB細胞悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫(MCL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)及びびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)からなる群の1つ以上から選択される。一実施形態では、治療するB細胞悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫(MCL)である。別の実施形態では、治療するB細胞悪性腫瘍は、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)である。一実施形態では、治療するB細胞悪性腫瘍は、バーキットリンパ腫である。一実施形態では、治療するB細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病(CLL)である。一実施形態では、治療するB細胞悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫(MCL)である。一実施形態では、治療するB細胞悪性腫瘍は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)である。

0097

B細胞悪性腫瘍は、血液の新生物であり、B細胞悪性腫瘍には、とりわけ、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫及び白血病が含まれる。B細胞悪性腫瘍は、リンパ組織(リンパ腫の場合)または骨髄(白血病及び骨髄腫の場合)のいずれかに由来し得、いずれも、全てリンパ球または白血球の無制御な増殖と関連する。B細胞増殖性障害には、多くのサブタイプが存在する。B細胞増殖性障害の疾患経過と治療は、B細胞増殖性障害のサブタイプに左右されるが、各サブタイプ内でさえも、臨床提示形態学外観及び療法に対する応答は異なっている。

0098

別の実施形態では、本発明の方法は、血液悪性腫瘍の治療を、それを必要とする患者に、化合物7またはその製薬学的塩を投与することによって行うことを含み得る。別の実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病である。別の実施形態では、白血病は、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性未分化白血病、未分化大細胞型リンパ腫、前リンパ球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、成人T細胞急性リンパ性白血病、3血球系異形成を伴う急性骨髄性白血病、混合系統白血病、好酸球性白血病及び/またはマントル細胞リンパ腫である。具体的な実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病である。

0099

悪性リンパ腫は、主としてリンパ組織内にある細胞の腫瘍性転換である。悪性リンパ腫の2つの群は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いずれのタイプのリンパ腫も、細網内皮系組織浸潤する。しかしながら、これらは、由来の腫瘍性細胞疾患部位全身症状の存在及び治療に対する応答が異なる。

0100

一実施形態では、化合物7は、オーロラキナーゼの活性を阻害及び/または低減する。オーロラキナーゼ(オーロラ−A、オーロラ−B、オーロラ−C)は、細胞増殖に不可欠であるセリン/トレオニンタンパク質キナーゼであり、有糸分裂減数分裂のさまざまなステップ紡錘体の形成から細胞質分裂までに及ぶ)の重要な制御因子として特定されている。オーロラファミリーキナーゼは、細胞分裂に欠かせないものであり、腫瘍形成及びがん感受性と密接に関連付けられている。様々なヒトがんで、オーロラ−A、オーロラ−B及び/またはオーロラCの過剰発現及び/またはキナーゼ活性のアップレギュレーションが観察されている。オーロラキナーゼの過剰発現は、がんの進行と生存予後不良と臨床的に相関している。オーロラキナーゼは、細胞周期を調節するリン酸化イベント(例えば、ヒストンH3のリン酸化)に関与する。細胞周期の誤調節によって、細胞の増殖と、その他の異常が生じ得る。

0101

いずれかの特定の理論に拘束されるものではないが、BTK及び/またはオーロラキナーゼの阻害により、細胞質分裂異常と、有糸分裂の異常停止を起こすことができ、その結果、多倍体細胞が生じ、細胞周期が停止し、最終的にアポトーシスが起こり得る。

0102

したがって、一実施形態では、化合物7の投与によって、多倍体化を誘導する。別の実施形態では、化合物7の投与によって、アポトーシスを誘導する。例えば、一実施形態では、細胞を有効量の化合物7と接触させることによって、細胞の多倍体化及び/または細胞周期の停止及び/またはアポトーシスを引き起こす。その細胞は、がん細胞または腫瘍細胞であってよい。したがって、一実施形態では、化合物7の投与によって、がん細胞及び/または腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する。さらに別の実施形態では、化合物7の投与によって、変異BTK(例えばC481S)を発現するがん細胞及び/または腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する。

0103

本開示の実施形態のいずれかでは、化合物7は、野生型BTK及び/または変異BTKの活性または発現を阻害及び/または低減し得る。したがって、いくつかの実施形態では、化合物7は、野生型BTKの活性または発現を阻害及び/または低減する。別の実施形態では、化合物7は、変異BTKの活性または発現を阻害及び/または低減する。変異BTKは、少なくとも1つの点変異を含み得る。一実施形態では、変異BTKは、少なくとも1つの点変異をシステイン残基に含む。一実施形態では、変異BTKは、少なくとも1つの点変異をC481残基に含む。一実施形態では、変異BTKは、少なくともC481S変異を含む。

0104

フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)とは、FLT3遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。野生型FLT3とは、非変異型のタンパク質を指す。FLT3は、膜近傍領域における活性化遺伝子内縦列重複(ITD)と、FLT3のチロシンキナーゼドメインまたは活性化ループにおける点変異を含む一連の変異を起こし得る。本開示の実施形態のいずれかでは、化合物7は、対象の野生型及び/または変異型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現を阻害及び/または低減する。一実施形態では、化合物7は、対象の野生型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現を阻害及び/または低減する。別の実施形態では、化合物7は、対象の変異型フムス関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の活性または発現を阻害及び/または低減する。変異型FLT3は、少なくとも1つの点変異を含み得る。一実施形態では、変異FLT3は、D835、F691、K663、Y842及びN841からなる群から選択される1つ以上の残基に、少なくとも1つの点変異を含む。変異FLT3は、FLT3−ITDであり得る。当該変異FLT3はさらに、追加のITD変異を含み得る。

0105

本開示の別の態様は、ヒト細胞の異常な(例えば、過剰発現した)野生型BTKまたは変異BTKの活性または発現の阻害または低減方法であって、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩をそのヒト細胞と接触させることを含む方法に対するものである。

0106

一実施形態では、変異BTKは、少なくとも1つの点変異を含む。様々な点変異が本開示の範囲内で企図されており、上に記載されている。例えば、少なくとも1つの点変異は、BTKのいずれかの残基に対するものであってよい。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、システイン残基の変異である。一実施形態では、システイン残基は、BTKのキナーゼドメインにある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの点変異は、E41残基、P190残基及びC481残基からなる群から選択される1つ以上の変異である。いくつかの実施形態では、BTKの変異は、481位のアミノ酸位の変異である。C481点変異は、いずれかのアミノ酸部分で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、BTKの変異は、C481Sである。一実施形態では、C481残基の点変異は、C481S、C481R、C481T及び/またはC481Yから選択されている。一実施形態では、少なくとも1つの点変異は、E41K、P190K及びC481Sからなる群から選択される1つ以上である。

0107

製剤
化合物7、その製薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、水和物、溶媒和物及び異性体、または化合物7もしくはその製薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の有効量は、既知の方法に基づき、当業者が定めてよい。

0108

一実施形態では、本開示の医薬組成物または医薬製剤は、化合物7またはその製薬学的に許容可能な塩と、製薬学的に許容可能な担体を含む。製薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤としては、ヒトまたは家畜での使用を許容できるものとして、米国食品医薬品局により認可されている任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動化剤甘味剤、希釈剤、保存剤色素着色剤呈味増強剤界面活性剤湿潤剤分散剤懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶媒または乳化剤が挙げられるが、これらに限らない。

0109

一実施形態では、好適な製薬学的に許容可能な担体としては、不活性固体充填剤または希釈剤と、滅菌水溶液または有機溶液が挙げられるが、これらに限らない。製薬学的に許容可能な担体は、当業者に周知であり、そのような担体としては、約0.01〜約0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液または0.8%生理食塩水が挙げられるが、これらに限らない。そのような製薬学的に許容可能な担体は、水溶液、非水溶液、懸濁液及び乳液であることができる。本願での使用に適する非水性溶媒の例としては、プロピレングリコールポリエチレングリコールオリーブ油のような植物油、及びエチルオレエートのような注射可能な有機エステルが挙げられるが、これらに限らない。

0110

本願での使用に適する水性担体としては、水、エタノール、アルコール溶液/水溶液、グリセロール、乳液、または生理食塩水及び緩衝化媒体を含む懸濁液が挙げられるが、これらに限らない。経口用担体は、エリキシル剤シロップ剤カプセル剤錠剤などであることができる。

0111

本願での使用に適する液体担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤及び加圧配合物を調製する際に用いることができる。活性成分は、水、有機溶媒、製薬学的に許容可能な油と脂肪の両方またはそれらの混合物のような製薬学的に許容可能な液体担体に溶解または懸濁できる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、矯味矯臭剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定剤または浸透圧調整剤のような他の好適な医薬品添加物を含むことができる。

0112

本願での使用に適する液体担体としては、水(部分的に、上記のような添加剤、例えば、セルロース誘導体、好ましくはナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液を含む)、アルコール(一価アルコール多価アルコール、例えばグリコールを含む)及びそれらの誘導体、ならびに油(例えば、精製ヤシ油及びラッカセイ油)が挙げられるが、これらに限らない。非経口投与用では、担体として、エチルオレエート及びイソプロピルミリステートのような油性エステルも挙げることができる。滅菌液体担体は、非経口投与用の化合物を含む滅菌液体形態で有用である。本明細書に開示されている加圧配合物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素またはその他の製薬学的に許容可能な噴射剤であることができる。

0113

本願での使用に適する固体担体としては、ラクトースデンプングルコースメチルセルロースステアリン酸マグネシウム、リン酸二ジカルシウムマンニトールなどのような不活性物質が挙げられるが、これらに限らない。固体担体としてはさらに、矯味矯臭剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、流動化剤、圧縮補助剤結合剤または錠剤崩壊剤として作用する1つ以上の物質を挙げることができ、担体は、封入材であることもできる。散剤では、担体は、微粉化活性化合物との添加混合体中の微粉化固体であることができる。錠剤では、活性化合物が、好適な比率で、必要な圧縮特性を有する担体と混合されており、所望の形とサイズで圧密されている。散剤と錠剤は好ましくは、活性化合物を最大で99%含む。好適な固体担体としては例えば、カルシウムホスフェート、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチンセルロースポリビニルピロリドン低融点ワックス及びイオン交換樹脂が挙げられる。錠剤は、任意に1つ以上の補助成分とともに圧縮または成形することによって作製してよい。圧縮錠は、粉末または顆粒のようにさらさらした形態の活性成分を、任意に結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、ナトリウムデンプングリコレート架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤と混合したものを好適な機械で圧縮することによって調製してよい。成形錠は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製してよい。錠剤は任意に、コーティングしたり、または割線を入れたりしてよいとともに、例えば、所望の放出プロファイルが得られるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で用いて、その錠剤中の活性成分を徐放または制御放出させるように調合してよい。以外の消化管部分で放出させるために、錠剤には任意に腸溶性コーティングを施してもよい。

0114

本願での使用に適する非経口用担体としては、塩化ナトリウム溶液リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液及び固定油が挙げられるが、これらに限らない。静脈内用担体としては、体液及び栄養補給液、リンゲルデキストロースをベースとするような電解質補液などが挙げられる。例えば、抗微生物剤抗酸化剤キレート剤不活性ガスなどのような保存剤及びその他の添加剤も存在することができる。

0115

本願での使用に適する担体は、必要に応じて、当該技術分野において知られている従来の技法を用いて、崩壊剤、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤などと混合できる。その担体は、当該技術分野において概ね知られているように、本発明の化合物と有害に反応しない方法を用いて、滅菌することもできる。

0116

本発明の製剤には、希釈剤を加えてよい。希釈剤は、固体の医薬組成物及び/または組み合わせの嵩を増大させて、その組成物及び/または組み合わせを含む医薬剤形を、患者と介護者にとってさらに扱いやすいものにできる。固体の組成物及び/または組み合わせ用の希釈剤としては、例えば、微結晶性セルロース(例えばAVICEL)、超微粒セルロース、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン炭酸カルシウム硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、二塩基性リン酸カルシウムホスフェート二水和物、三塩基性リン酸カルシウムカオリン炭酸マグネシウム酸化マグネシウムマルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えばEUDRAGIT(登録商標))、塩化カリウム粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及びタルクが挙げられる。

0117

本開示の目的のために、製薬学的に許容可能な担体、アジュバント及びビヒクルを含む製剤で、経口、非経口、吸入噴霧局所または直腸内を含む様々な手段によって投与するために、本開示の医薬組成物を調合することができる。非経口という用語には、本明細書で使用する場合、様々な注入技法による皮下注射静脈内注射筋肉内注射及び動脈内注射が含まれる。動脈内注射と静脈内注射には、本明細書で使用する場合、カテーテルによる投与が含まれる。

0118

本発明の医薬組成物は、当該技術分野において周知の従来の方法のいずれかを用いることによって、任意の種類の製剤及び薬物送達系に調製してよい。本発明の医薬組成物は、注射可能な製剤に調合してよく、その製剤は、髄腔内、脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内、筋肉内、皮下または骨内を含む経路によって投与してよい。また、経口投与、または直腸、小腸大腸もしくは鼻腔内の粘膜を介した非経口投与を行ってもよい(Gennaro,A.R.,ed.(1995)Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい)。好ましくは、本発明の組成物は、経腸投与ではなく、局所投与する。例えば、本発明の組成物は、注射するか、またはリザーバー製剤もしくは持続放出製剤のような標的薬物送達ステムを介して送達してよい。

0119

本発明の医薬製剤は、混合プロセス溶解プロセス造粒プロセス糖衣剤作製プロセス、研和プロセス、乳化プロセス、カプセル化プロセス、封入プロセスまたは凍結乾燥プロセスなど、当該技術分野におけるいずれかの周知の方法によって調製してよい。上述のように、本発明の組成物は、活性分子医薬用途調製物への加工を容易にする賦形剤及びアジュバントのような1つ以上の生理学的に許容可能な担体を含んでよい。

0120

適切な製剤は、選択した投与経路によって決まる。例えば、注射用では、本発明の組成物を水溶液、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液または生理食塩水緩衝剤のように、生理学的に適合する緩衝剤中に調合してよい。経粘膜投与または経鼻投与では、浸透させるバリアに適する浸透剤を製剤で用いてよい。このような浸透剤は、当該技術分野において概ね知られている。本発明の一実施形態では、本発明の化合物は、経口製剤で調製してよい。経口投与用では、本発明の化合物は、その活性化合物を、当該技術分野において知られている製薬学的に許容可能な担体と組み合わせることによって、容易に調合できる。そのような担体は、対象に経口摂取させるために、開示化合物を錠剤、丸剤糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして調合可能にする。本発明の化合物は、例えば、ココアバターまたはその他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を含む座剤または保持型浣腸剤のような直腸用組成物で調合してもよい。

0121

経口用の医薬調製物は、固体賦形剤として得てよく、任意に、得られた混合物を粉砕し、所望に応じて、好適なアジュバントを加えた後、顆粒混合物を加工して、錠剤または糖衣錠中心錠を得てよい。好適な賦形剤は、特には、ラクトース、スクロース、マンニトールもしくはソルビトールを含む糖のような充填剤、トウモロコシデンプンコムギデンプン、コメデンプンバレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロース調合物、及び/またはポリビニルピロリドン(PVP)調合物であってよい。また、架橋ポリビニルピロリドン寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムのようなその塩などの崩壊剤を用いてもよい。また、ドデシル硫酸ナトリウムなどのような湿潤剤を加えてもよい。

0122

糖衣錠中心錠には、好適なコーティングが施されている。この目的においては、濃縮糖溶液を用いてよく、この溶液は任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール及び/または二酸化チタンラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物を含んでよい。識別のため、または異なる組み合わせの活性化合物用量を特徴付けるために、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに加えてもよい。

0123

経口投与用の医薬製剤としては、ゼラチンで作られているプッシュフィットカプセル剤と、ゼラチンと、グリセロールまたはソルビトールのような可塑剤で作られている密閉軟カプセル剤が挙げられ得る。プッシュフィットカプセル剤は、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、及び/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、ならびに任意に安定剤との混合体中に活性成分を含むことができる。軟カプセル剤では、活性化合物は、脂肪油液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールのような好適な液体に溶解または懸濁していてよい。加えて、安定剤を加えてもよい。経口投与用のいずれの製剤も、経口投与に適する投与量である必要がある。

0124

一実施形態では、本発明の化合物は、皮膚パッチなどによる経皮投与または局所投与を行ってよい。一態様では、本発明の経皮または局所用製剤は、加えて、1つまたは複数の透過促進剤またはその他の作用剤(送達する化合物の移動を促す作用剤を含む)を含むことができる。好ましくは、例えば、位置特異的な送達が望ましい状況で、経皮または局所投与を用いてよい。

0125

吸入による投与用では、本発明の化合物は利便的に、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタントリクロロフルオロメタンジクロロテトラフルオロエタン二酸化炭素またはいずれかの他の好適な気体の使用によって、圧縮パックまたはネブライザーから出るエアゾールスプレー調製物の形態で送達してよい。加圧エアゾールの場合には、適切な投与単位は、定量した量を送達するためのバルブを設けることによって定めてよい。吸入器または注入器で使用するために、カプセル剤と、例えばゼラチンのカートリッジを調合してよい。これらは典型的には、本発明の化合物と、ラクトースまたはデンプンのような好適な粉末基剤との粉ミックスを含む。注射、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に調合した組成物は、例えば、保存剤を加えたアンプルまたは多投与量容器内で、単位剤形で供給できる。この組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤のような形態をとってよく、懸濁化剤、安定剤及び/または分散剤のような製剤化剤を含んでよい。非経口投与用の製剤としては、水溶液または水溶性形態中のその他の組成物が挙げられる。

0126

本発明の活性化合物の懸濁剤は、適切な油性注射用懸濁液として調製してもよい。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油のような脂肪油と、エチルオレエートもしくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられ得る。水性注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランのような、懸濁剤の粘度を向上させる物質を含んでよい。任意に、懸濁剤は、好適な安定剤、または高濃縮溶液の調製を可能にするために、化合物の溶解性を向上させる作用剤も含んでよい。あるいは、その活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態であってよい。

0127

上述のように、本発明の組成物は、リザーバー製剤として調合してもよい。そのような長期作用型製剤は、埋入(例えば、皮下もしくは筋肉内埋入)、または筋肉内注射によって投与してよい。したがって、例えば、本発明の化合物は、好適なポリマー材疎水性材(例えば、許容可能な油中の乳剤)もしくはイオン交換樹脂とともに、または難溶性誘導体、例えば難溶性塩として調合してよい。

0128

本発明の治療方法で用いるいずれの組成物でも、治療有効用量は、当該技術分野において周知の様々な技法を用いて、最初に推定できる。例えば、細胞培養アッセイから得た情報に基づき、動物モデルにおいて、ある用量を調合して、IC50を含む循環濃度範囲を得る。同様に、例えば、細胞培養アッセイとその他の動物実験から得たデータを用いて、ヒト対象に適する投与量範囲を定めることができる。

0129

薬剤の治療有効用量とは、対象の症状を改善、または生存期間を延長する薬剤量を指す。細胞培養または実験動物において、標準的な製剤手順によって、例えば、LD50(集団の50%致死量)とED50(集団の50%治療有効量)を求めることによって、そのような分子の毒性と治療効力を求めることができる。毒性作用と治療作用との用量比治療指数であり、この指数は、LD50/ED50の比として表すことができる。治療指数の高い薬剤が探求される。

0130

投与量は好ましくは、毒性がほとんど見られないかまたは見られないED50を含む循環濃度の範囲内に収まる。投与量は、用いる剤形と、用いる投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。的確な製剤、投与経路及び投与量は、当該技術分野において周知の方法に従って、対象の状態の特質に鑑み選択しなければならない。

0131

加えて、薬剤または組成物の投与量は、治療する対象の年齢、体重、性別、健康状態、疾患の程度、苦痛重症度投与方式及び処方医の判断を含む様々な要因に依存することになる。

0132

本開示の化合物または医薬組成物は、単回または複数回単位用量形態で製造及び/または投与してよい。

0133

本発明について一般的に記載したが、下記の実施例(例示として提供されており、本発明を限定するようには意図されていない)を参照することを通じて、本発明がさらに容易に理解されるであろう。別段の明示的な記載のない限り、条件と手順は、当該技術分野において広く知られているようにして行った。

0134

合成:材料と方法
各種出発物質は、当該技術分野において周知の従来の合成方法に従って調製してよい。出発物質のいくつかは、Aldrich、Sigma、TCI、Wako、Kanto、Fluorchem、Acros、Abocado、Alfa、Flukaなど(これらに限らない)のような試薬メーカー及び試薬供給業者から市販されている。

0135

本開示の化合物は、容易に入手可能な出発物質から、従来の方法及び下記のプロセスによって調製できる。典型的または最適なプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応基質モル比、溶媒、圧力など)として別段の定めのない限り、本発明の化合物の製造には、異なる方法も用いてよい。最適な反応条件は、用いる特定の反応物質または溶媒に応じて変動し得る。しかしながら、そのような条件は、当業者が従来の最適化プロセスによって定めることができる。

0136

加えて、当業者は、特定の反応を行う前に、様々な保護基を用いて、いくつかの官能基を保護/脱保護できることを認識する。特定の官能基を保護及び/または脱保護する好適な条件と、保護基の使用は、当該技術分野において周知である。

0137

例えば、T.W.Greene and G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second edition,Wiley,New York,1991と、上で引用した他の参照文献に、様々な種類の保護基が記載されている。

0138

本発明の一実施形態では、本発明の化合物7は、下に示されているようなスキーム1に従って、中間体の化合物Dを合成してから、化合物Dに反応スキーム2の手順を行うことによって調製してよい。しかしながら、上記の化合物Dの合成方法は、反応スキーム1に限らない。
スキーム1

0139

反応スキーム1の出発物質、すなわち化合物Aの調製方法は、国際公開第2012/014017号に記載されており、化合物Dの調製は、米国特許出願公開第2015/0336934号に記載されている。

0140

実施例1:l−{3−フルオロ−4−[7−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル]−フェニル}−3−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−尿素(化合物7)の合成

0141

2,4,6−トリフルオロ安息香酸(0.08g、0.45mmol)をジエチルエーテル(5.7mL)に分散させて、五塩化リン(PCl5、0.11g、0.52mmol)をゆっくり加えてから、1時間攪拌した。反応が終了したら、有機溶媒を減圧下、室温未満で濃縮してから、アセトン(3.8mL)を加えることによって、反応溶液希釈した。その後、水(0.28mL)に溶解したアジ化ナトリウム(NaN3、0.035g、0.545mmol)を反応溶液にゆっくり0℃で滴下した。2時間、室温で攪拌後、その結果形成された2,4,6−トリフルオロベンゾイルアジド酢酸エチルで希釈してから、水で洗浄した。有機層無水硫酸マグネシウムで乾燥し、THF(2mL)に分散させ、4−(4−アミノ−2−フルオロフェニル)−7−(5−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)イソインドリン−1−オン(化合物D、0.073g、0.23mmol)を含むTHF(7.5mL)を加えてから、3時間、90℃で攪拌した。反応が終了したら、その溶媒を減圧下で濃縮してから、シリカゲルカラムクロマトグラフィー溶離剤塩化メチレン:メタノール=20:1)によって精製して、化合物7を得た(0.026g、収率:23%)。1H−NMR(300MHz,DMSO−d): 14.46−14.37 (m 1H), 9.47−9.45 (br m, 1H), 9.37 (s, 1H), 8.45 (d, J=l.8Hz, 1H), 8.30−8.27 (br m, 1H), 7.63−7.46 (m, 3H), 7.31−7.26 (m, 3H), 7.09−6.84 (m, 1H), 4.42 (s, 2H), 2.31−2.21 (m, 3H).LCMS [M+1]: 496.3.

0142

実施例2:野生型FLT3キナーゼ及び変異FLT3キナーゼに対する化合物7の結合定数
前記キナーゼ活性の測定値は、結合定数またはKd値として表す。これらの値を得るためのプロトコールを本項で説明する。大半のアッセイでは、BL21株由来のE.coli宿主において、キナーゼタグ付きT7ファージ株を調製した。E.coliを対数増殖期まで増殖させて、T7ファージに感染させ、溶解するまで、振とうしながら32℃でインキュベートした。溶解液を遠心分離し、ろ過して細胞破片を除去した。残存キナーゼをHEK−293細胞で産生させてから、qPCRによる検出のために、DNAタグを付加した。ストレプトアビジンでコートした磁気ビーズビオチン化小分子リガンドで30分、室温で処理して、キナーゼアッセイ用の親和性樹脂を作製した。リガンドが結合したビーズを過剰なビオチンブロックし、ブロッキング緩衝液(SeaBlock(Pierce)、1%BSA、0.05%Tween20、1mM DTT)で洗浄して、未結合のリガンドを除去し、非特異的結合を低減させた。キナーゼと、リガンドが結合した親和性ビーズと、試験化合物を1×結合緩衝液(20%SeaBlock、0.17×PBS、0.05%Tween20、6mM DTT)中で合わせることによって、結合反応物を作製した。試験化合物は、100%DMSO中の111倍ストックとして調製した。11点の3倍化合物希釈系列とともに、3つのDMSO対照ポイントを用いて、Kdを求めた。Kd測定用の化合物はすべて、音響転送非接触式分注)によって、100%DMSO中に分配した。続いて、化合物を直接希釈してアッセイ液にして、DMSOの終濃度が0.9%となるようにした。いずれの反応も、ポリプロピレン製の384ウェルプレートで行った。それぞれ、最終量は0.02mlであった。アッセイプレートを振とうしながら室温で1時間インキュベートし、親和性ビーズを洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%Tween20)で洗浄した。続いて、ビーズを溶出用緩衝液(1×PBS、0.05%Tween20、0.5μM非ビオチン化親和性リガンド)に再懸濁し、振とうしながら室温で30分インキュベートした。その溶出液中のキナーゼ濃度をqPCRによって測定した。

0143

化合物7とキザルチニブについて測定した結合定数を、下記の表1に示す。

0144

実施例3:MV4−11細胞での化合物7のウエスタンブロット解析
図1は、ウエスタンブロット解析結果を示す。いずれの理論に拘束されるものではないが、この結果によって、化合物7がMV4−11細胞においてFLT3経路を阻害することが示されている。

0145

実施例4:化合物7によるFLT3変異体の阻害

0146

実施例5:造血細胞株に対する化合物7の細胞毒性

0147

表3には、様々な造血細胞株における化合物7の細胞毒性が示されており、対応する用量応答曲線が図15に示されている。加えて、図4には、FLT3−ITD(MV411及びMOLM−13)細胞とFLT3−WT(NOMO−1及びKG−1)細胞に対する化合物7、キザルチニブ及びイブルチニブの細胞毒性作用が示されている。さらに、図16には、FLT3変異体をトランスフェクションしたアイソジェニックなBa/F3細胞に対する化合物7、キザルチニブ、ギルテリチニブ及びクレノラニブの用量応答曲線が示されており、その結果が、表4にまとめられている。

0148

実施例6:MV4−11細胞のアポトーシス
一試験では、MV411細胞を独立して、様々な濃度の化合物7、イブルチニブもしくはキザルチニブとともに、またはこれらを含めずに、24時間処理して、アポトーシス細胞と生細胞の数を測定した。いずれの理論に拘束されるものではないが、図7及び8の結果から、化合物7が、MV4−11細胞においてアポトーシスを誘導することが示されている。

0149

別の試験では、MV4−11細胞のアポトーシスにおける化合物7の時間依存性を調べたところ、図17から見てとれるように、化合物7は、時間依存的にアポトーシスを誘導する。図7、8及び17に示されているデータは、アポトーシスを測定するための周知のプロトコールを用いて得たものであり、そのプロトコールは、当業者には容易にわかる。いずれの理論に拘束されるものではないが、手順の概要は、例えば、Rieger et al.,Modified Annexin V/Propidium Iodide Apoptosis Assay For Accurate Assessment of Cell Death,J VI.Exp.2011;(50):2597に見ることができる。

0150

実施例7:ラットでの薬物動態試験
図5は、化合物7を経口投与すると、AUCが用量依存的に改善することを示す。100mg/kgの経口用懸濁液で、最も良い結果が得られる。2mg/kgという低用量を静脈内投与しても、適正な暴露を得られた。

0151

実施例8:異種移植
図6には、対照またはイブルチニブによる処置と比べて、化合物7が、用量の多いほど腫瘍体積を低下させることが示されている。

0152

実施例9:化合物7によるBTKの阻害

0153

表5は、化合物7が、一連のBTKを阻害することを示す。

0154

実施例10:MV4−11細胞及びEOL−1細胞での化合物7のウエスタンブロット解析
図2及び3は、ウエスタンブロット解析結果を示す。いずれの理論に拘束されるものではないが、この結果によって、化合物7が、MV4−11細胞及びEOL−1細胞においてBTK経路を阻害することが示されている。

0155

実施例11:FLT3 WTとFLT変異体の抗増殖活性の比較

0156

実施例12:化合物7に対する患者の感受性に関するエキソビボアッセイ
急性骨髄性白血病(AML)と診断された患者85人と、骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)の患者15人と、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者18人と、慢性リンパ性白血病(CLL)の患者56人において、エキソビボアッセイを用いて、マルチキナーゼ阻害剤である化合物7に対する感受性を評価した。化合物7に対する感受性は、10nM〜10μMの濃度範囲にわたって評価した。3日の培養期間後、テトラゾリウムベースの比色MTSアッセイを用いて、細胞生存能を評価し、薬物感受性の測定値として、IC50値を算出した。

0157

データセットにおける血液悪性腫瘍の4つの一般的サブタイプにわたり、化合物7に対して幅広い感受性が見られる。AMLのケースの大半で、化合物7に対する感受性が見られ、51/85(60%)のケースで、IC50が0.1μM未満であった。他のサブタイプ(MDS/MPN、ALL、CLL)の感受性は、同程度または若干低いレベルであった(40〜60%、表7参照)。データセットにおいては、FLT3の変異状態が、38個のAML患者サンプルでわかっており、30サンプルはWT、8サンプルはITD+であり、点変異のあるサンプルは0である。このサブセットにおいて、化合物7に対する感受性を解析したことによって、FLT3−ITD+のサンプルで感受性が高い傾向が明らかであるが、充分な検出力のある統計解析を得るには、もっと大きいサンプルサイズが必要となる。

0158

化合物7は、AML、ならびに他のサブタイプの血液悪性腫瘍に対して、広範かつ強力な活性を示す。予備的解析では、FLT3の変異したAMLケースの方が、FLT3野生型のケースよりも、化合物7に対する感受性が高い傾向が示されているが、化合物7に対する感受性と、FLT3の変異した状態との充分に検出力のある統計的関連性を得るには、追加の患者サンプルを継続して増やすことが必要となり得る。要するに、いずれの理論に拘束されるものではないが、原発性血液悪性腫瘍患者サンプルに対する化合物7の前臨床解析によって、AMLとその他のサブタイプの疾患における広範な薬物活性のエビデンスが示されているとともに、血液悪性腫瘍に対するこの薬剤のさらなる開発が支持される。

0159

実施例13:細胞周期調節異常に対する化合物7の作用
細胞周期の様々な局面に対する化合物7の作用を調べた。

0160

実験では、化合物7が、MV411細胞において、G0/G1細胞周期の停止を用量依存的に誘導することがわかった(図18A及び18B)。別の実験では、化合物7が、MOLM−13細胞において、G0/G1細胞周期の停止を用量依存的に誘導することがわかった(図19)。

0161

別の実験では、化合物7が、様々な造血細胞株において、多倍体化を誘導することがわかった(図20)。MV4−11細胞、NOMO−1細胞及びKG−1細胞を漸増濃度の化合物7で24時間処理し、EdU及びPI染色を用いたあとに、BD Accuri C6フローを用いたFACS解析によって、DNA量の増加または多倍体表現型を評価した。

0162

別の実験では、化合物7が、KG−1細胞(図21)、NOMO−1細胞(図22)及びFLT3の変異を有するアイソジェニックなBA/F3細胞(図23)において、細胞周期調節異常を用量依存的に誘導することがわかった。

0163

実施例14:造血細胞における細胞シグナル伝達に対する化合物7の阻害作用
図24には、化合物7が、MV4−11細胞において、オーロラキナーゼ活性とシグナル伝達を阻害することが、図25には、化合物7が、FLT3 WT細胞(KG−1)において、オーロラキナーゼ活性とシグナル伝達を阻害することが示されている。このことは、オーロラキナーゼ阻害剤のAT9283(図24)、ならびにキナーゼ阻害剤のイブルチニブ及びキザルチニブ(図25)と比較されている。図26には、化合物7が、EOL−1細胞において、PDGFRA及びFLT3(WT)のシグナル伝達を阻害することが示されている。いずれの理論に拘束されるものではないが、これらの図には、化合物7が、造血細胞株における様々な細胞シグナル伝達経路の強力な阻害剤として作用することが示されている。

0164

実施例15:BTKに対する化合物7の相対的効能
表8に示されているように、野生型BTKに対する化合物7の効能に加えて、化合物7は、BTK−C481S変異体に対するnM単位の効能も示す。野生型BTKに対する化合物7の効能は、5.0nMであり、これは、アカラブルチニブの効能と同等である。さらに驚くべきことに、化合物7は、イブルチニブとアカラブルチニブに対して耐性を持つBTK−C481Sに対する有効性が最も高い。化合物7は、イブルチニブの効力に寄与すると考えられている重要な標的であるITKに対しても非常に強力である。さらに、化合物7は、EGFRの阻害をせず、これにより、発疹及び下痢のような合併症の可能性が低いことが示唆されている。

0165

実施例16:化合物7は、BTKの野生型とC481S変異型を阻害する
HEK293T細胞に、野生型BTKまたはC481S BTKで一過的にトランスフェクションした。このトランスフェクション細胞を化合物7(0.5μMと1.0μM)で、または化合物7を含めずに、6時間処理した。この処理は、三重で行い、結果をウエスタンブロット解析によって解析した。

0166

図9において、リン酸化形態の酵素が低減していることによって明らかにされたように、化合物7は、0.5μMと1.0μMの両方の濃度で、BTKの野生型とC481S変異型の両方を阻害する。しかしながら、イブルチニブと比べると、化合物7は、BTKを阻害する程度がイブルチニブよりも低いことが観察されており、機序経路が異なることが示唆されている(図10)。

0167

実施例17:B細胞悪性腫瘍細胞株に対する化合物7の細胞毒性
細胞を96ウェルプレートに播種し、ビヒクル(DMSO)または10の異なる濃度の化合物7のいずれかで、3日間、37℃、5%CO2で処理した。CellTiter96 AQueous One Solution(MTSPromega Cat#G3581)を用いて細胞生存能を評価し、GraphPad Prism 7というソフトウェアを用いて、IC50値を算出した。

0168

表9に、様々なB細胞悪性腫瘍細胞株における化合物7の細胞毒性を示す。加えて、図11は、表9の細胞株における化合物7及びイブルチニブの用量応答曲線を示す。

0169

実施例18:化合物7は、B細胞悪性腫瘍においてアポトーシスを誘導する
機序試験を行って、化合物7の作用機序を割り出した。アネキシンVとプロピジウムアイオダイド(PI)で染色してから、BD Accuri C6フローサイトメーターで解析することによって、処理細胞のアポトーシス状態を割り出した(生細胞は、アネキシンV/PI陰性であり、初期アポトーシス細胞は、アネキシンV陽性であり、後期アポトーシス細胞は、アネキシンV陽性かつPI陽性である)。加えて、特異的抗体を用いたウエスタンブロットによって、典型的なアポトーシスマーカーである切断PARPの産生をアッセイした。

0170

図12に示されているように、化合物7は、B細胞悪性腫瘍において細胞アポトーシスを誘導する。Mino細胞株とRamos細胞株の両方を漸増濃度の化合物7及びイブルチニブで処理した。化合物7は、試験したすべての濃度で、イブルチニブよりも効果的にアポトーシスを誘導した。それぞれのウエスタンブロット像におけるリン酸化パターンによって、このアポトーシス増加が確認される。

0171

実施例19:化合物7は、B細胞悪性腫瘍においてオーロラキナーゼとBTKを阻害する
オーロラキナーゼまたは及び下流標的のリン酸化レベルに関するウエスタンブロットと、細胞周期及びDNA量解析によって、オーロラキナーゼ活性の阻害を測定した。化合物7で処理した細胞の全細胞抽出物ゲル電気泳動によって分離し、ニトロセルロース膜に移し、特異的抗体を用いて、オーロラキナーゼA/B及びH3S10のリン酸化の阻害を検出した。化合物7またはビヒクルで処理した細胞を5−エチニル−2’デオキシウリジン(Edu)のAlexa Fluor 488及びPIで染色することによって、DNA合成細胞周期相を評価した。

0172

化合物7は、イブルチニブよりも、B細胞がん細胞に対する細胞毒性が高い一方で、イブルチニブよりも、BTK阻害剤活性は低い(図10)。化合物7の高い効能をさらに理解するために、オーロラキナーゼに対するその阻害作用を調べたところ、漸増濃度の化合物7でのウエスタンブロットでのリン酸化パターンによって確認されたように、オーロラキナーゼ阻害剤として有効であることがわかった(図13)。いずれの特定の理論に拘束されるものではないが、B細胞がん細胞における化合物7の高い細胞毒性は、そのマルチキナーゼ経路阻害プロファイルに部分的に起因すると考えられる。

0173

実施例20:化合物7は、B細胞悪性腫瘍において、多倍体化を誘導した後、アポトーシスを誘導する
化合物7の強力な細胞毒性を充分に解明するために、さらなる機序試験を行った。B細胞株をビヒクルまたは化合物7で24〜72時間処理し、Edu及びPI染色の後に、BD Accuri C6フローサイトメーターを用いたFACS解析を用いて、DNA量の増加または多倍体表現型を評価した。

0174

Mino細胞株とRamos細胞株を漸増濃度の化合物7またはイブルチニブで処理して、化合物7が、イブルチニブと比べて、B細胞悪性腫瘍細胞株における多倍体化の誘導に対して及ぼす相対的作用を測定した。図14に示されるように、化合物7は、細胞死の特徴を示すウエスタンブロットで示されているように、Mino細胞に対しては0.1nM及び1.0nMの濃度で、Ramos細胞に対しては、5nMの濃度で、多倍体化(>4n)を効果的に誘導した後、アポトーシスを誘導した。

0175

実施例21:化合物7は、B細胞悪性腫瘍において、細胞周期の進行を妨げる
図27及び28は、化合物7が細胞周期の進行を妨げることを示す。いずれの理論に拘束されるものではないが、これらの図は、化合物7が、B細胞悪性腫瘍細胞株において細胞シグナル伝達経路を妨げることを示す。図27及び28に示されているデータは、細胞周期の進行を測定するための周知のプロトコール(例えば、EdU及び/またはPI染色後、BD Accuri C6フローを用いたFACS解析を行うもの)を用いて得たものであり、そのプロトコールは、当業者には容易にわかるものである。

0176

実施例22.B細胞悪性腫瘍細胞株における細胞シグナル伝達に対する化合物7の阻害作用
図29は、イブルチニブに対して、化合物7が、Ramos細胞において、BTK及びオーロラキナーゼの活性を阻害することを示す。

0177

図30は、化合物7が、Ramos細胞において、BCRシグナル伝達に影響を及ぼすことを示す。この実験では、Ramos細胞を、示されている濃度の化合物7もしくはイブルチニブとともに、またはこれらを含めずに、1時間(6回反復)または6時間(3回反復)処理してから、12μg/mLのIgMで3分刺激した。

0178

いずれの理論に拘束されるものではないが、これらの図は、化合物7が、B細胞悪性腫瘍細胞株において、様々な細胞シグナル伝達経路の強力な阻害剤として作用することを示す。

0179

実施例23.化合物7は、高血清条件において細胞毒性を発揮する
化合物7を用量依存的に、異なる血清濃度で試験した。図31は、化合物7が、高血清濃度で高い活性を保持することを示す。この実験では、MV4−11細胞(n=6)とEOL−1細胞(n=3〜6)を正常(10%)または高血清(30%、50%、80%)FBSを含む培地中で、化合物7とともに、またはこれを含めずに、72時間処理し、MTSアッセイをエンドポイントとした。

0180

実施例24.一般的な実験手順
IC50及びEC50:本明細書に記載されている、ある特定の細胞生存能試験では、トリプタン青色色素排除法またはMTSアッセイを用いて評価した。本明細書に記載されている特定のアポトーシス試験及び関連試験では、アネキシンV陽性性によるFACSを介して測定した。細胞増殖の阻害に関する50%阻害濃度(IC50)と、アポトーシスの誘導に関する50%効果濃度(EC50)は、CalcuSyn(BioSoft,Cambridge,UK)を用いて算出した。

0181

イムノブロットアッセイ:細胞を様々な濃度の化合物7で処理し、細胞溶解物のために回収した。示されているタンパク質の総レベルとリン酸化レベルをウエスタンブロットによって求めた。

0182

動物試験:Balb/cマウスにヒト細胞(例えば、FLT−ITD変異白血病細胞MV4−11)を注射し(皮下)、示されている用量の化合物7で14日間、経口処置した(1日1回)。腫瘍量を測定することによって、作用(例えば、抗白血病作用)を評価した。例えば、体重を測定することによって、経口毒性を評価した。初日の投与後、示されている時点に、血漿中の化合物7の濃度を測定した。

0183

抗増殖アッセイベースのMTSアッセイ:MTSアッセイを行って、抗増殖性細胞外シグナル関連キナーゼを評価した(Barltrop,J.A.et al.,(1991)5−(3−carboxymethoxyphenyl)−2−(4,5−dimethylthiazoly)−3−(4−sulfophenyl)tetrazolium,inner salt(MTS)and related analog of 3−(4,5−dimethylthiazolyl)−2,5,−diphenyltetrazolium bromide (MTT)reducing to purple water soluble activities of the inventive compoundsvia inhibition on formazans as cell−viability indicators.Bioorg.Med.Chem.Lett.l,611−4、Cory,A.H.et al.,(1991);Use of an aqueous soluble tertrazolium/formazan assay for cell growth assays in culture.Cancer Comm.3,207−12)。下に示されている手順による試験には、ヒトリンパ腫細胞株、例えば、Jeko−1(ATCC)、Mino(ATCC)、H9(Korean Cell Line Bank)及びSR(ATCC)、ならびにヒト白血病細胞株、例えば、MV4−11(ATCC)、Molm−13(DSMZ)及びKu812(ATCC)を用いた。10%FBSを添加したRPMI1640培地(GIBCO,Invitrogen)の入った96ウェルプレートに、各細胞(例えば、Jeko−1細胞、Mino細胞、H9細胞、SR細胞、MV4−11細胞、Molm−13細胞及びKu812細胞)を10,000細胞/ウェル密度で移してから、24時間、37℃及び5% 20 CO2の条件でインキュベートした。ウェルを0.2μM、1μM、5μM、25μM及び100μMのそれぞれの試験化合物で処理した。ウェルを0.08重量%の量(試験化合物と同量)のDMSOで処理して、対照として用いた。得られた細胞を48時間インキュベートした。MTSアッセイは市販されており、そのアッセイとしては、Promega CellTiter96(登録商標)Aqueous Non−Radioactive Cell Proliferation Assayが挙げられる。MTSアッセイは、試験化合物の細胞生存能を評価する目的で行った。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム分子内塩(「MTS」)とフェナジンメトサルフェートPMS)との混合溶液20μLを各ウェルに加えてから、2時間、37℃でインキュベートした。続いて、サンプルの吸光度を490nmにおいて測定した。未処理されていない対照群にと比較した試験化合物の吸光度に基づき、抗増殖活性レベルを算出した。試験化合物が、がん細胞の増殖を50%低下させるEC50(μM)値を算出した。本発明の化合物の抗炎症剤、ならびに抗がん剤としての有効性を評価するために、例えば、Jeko−1リンパ腫細胞、Minoリンパ腫細胞、H9リンパ腫細胞及びSRリンパ腫細胞を用いることによって、抗増殖活性に関するアッセイを行った。

0184

RBCHotSpotキナーゼアッセイプロトコール:
用いた試薬基礎反応緩衝液:20mM Hepes(pH7.5)、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.02%Brij35、0.02mg/mlBSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTT、1%DMSO。必要とする補因子を各キナーゼ反応液に個々に加える。

0185

化合物7を100%のDMSOに所定の濃度まで溶解した。DMS中のepMotion5070によって、段階希釈を行った。基質を反応緩衝液中で新たに調製し、基質溶液に対するいずれの必要な補因子も加えた。溶液にキナーゼを加え、ゆっくり混合した。Acoustic技術(Echo550、ナノリットル範囲)によって、化合物7を100%のDMSO中でキナーゼ反応混合物に加え、20分、室温でインキュベートした。33P−ATP比活性10μCi/μl)を反応混合物に加えて、反応を開始させ、2時間インキュベートしてから、フィルター結合法によって、キナーゼ活性を検出した。

0186

シグナル伝達アッセイ:細胞(例えば、MV4−11)を指定用量(例えば500pM)の化合物7、または比較薬(例えばキザルチニブ)もしくはビヒクル(例えばDMSO)で処理してから、FLT3とその下流シグナルに関するウエスタンブロットに供した。

0187

細胞毒性手順:細胞を96ウェルプレートに播種し、ビヒクルのDMSO、または指定の濃度の化合物7で処理し、72時間インキュベートした。72時間のインキュベート期間の終わりに、MTSベースのアッセイを行い、GraphPad Prism7.0によってIC50を求めた。

0188

細胞周期解析:細胞をビヒクルのDMSOまたは化合物7で処理し、PI及びEdUで染色してから、フローサイトメトリーによって解析して、細胞周期相を割り出した。

0189

本明細書に論じられる刊行物は、本願の出願日前のそれらの開示内容について示されているに過ぎない。本明細書中のいかなるものも、本発明が、先行発明によるそのような刊行内容先行する権利を与えられないことを認めるものとして解釈すべきではない。

0190

すべての刊行物、特許及び特許出願は、そのあらゆる図面及び付属書類を含め、個々の刊行物、特許もしくは特許出願、または図面もしくは付属書類がそれぞれ、参照により、あらゆる目的で、その全体が援用されることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、参照により、あらゆる目的で、その全体が援用される。

実施例

0191

本発明について、提示されているその具体的な実施形態との関連で記載したが、それは、さらなる修正を行うことができ、本願は、本発明の関係する技術分野において既知な形でまたは通常に実施する範囲内にあり、本明細書で上述した本質的特徴に適用することができ、添付の請求項の範囲に従うような本明細書からの逸脱形態を含め、本発明の原理に概ね従っている、本発明のあらゆる変形形態、用途または適合形態を網羅するように意図されていることが理解されるであろう。

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