図面 (/)

技術 物理特性評価方法及びその装置

出願人 マツダ株式会社
発明者 浅田照朗江崎達哉重永勉高見明秀
出願日 2019年6月7日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-107155
公開日 2020年12月17日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-201085
状態 未査定
技術分野 電気的手段による材料の調査、分析 耐候試験、機械的方法による材料調査
主要キーワード 絶縁電圧 シリコンラバーヒータ 腐食過程 測定対象物中 ゴムマット 塗装金属材 サーモモジュール 決定係数
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年12月17日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

電気化学的手法を用いた評価工程の迅速化を図ることができる物理特性評価方法及びその装置を提供する。

解決手段

電気化学的手法を用いて膜状の測定対象物である電着塗膜5の耐食性を評価する方法であって、電着塗膜5の表面に電解液8を接触させる工程を備え、電着塗膜5の表面側の温度を、電着塗膜5中の水蒸気凝縮し始める温度よりも高くするとともに、電着塗膜5の裏面側の温度を、電着塗膜5中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くすることを特徴とする。

概要

背景

従来より、電気化学的手法を用いて塗膜耐食性等の物理特性を評価することが行われている(例えば特許文献1参照)。

概要

電気化学的手法を用いた評価工程の迅速化をることができる物理特性評価方法及びその装置を提供する。電気化学的手法を用いて膜状の測定対象物である電着塗膜5の耐食性を評価する方法であって、電着塗膜5の表面に電解液8を接触させる工程を備え、電着塗膜5の表面側の温度を、電着塗膜5中の水蒸気凝縮し始める温度よりも高くするとともに、電着塗膜5の裏面側の温度を、電着塗膜5中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くすることを特徴とする。

目的

特開2016−050915号公報






ところで、材料開発、塗装工場工程管理、車両防錆品質育成の場において、電気化学的手法を用いた種々の評価工程の迅速化が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

電気化学的手法を用いて膜状の測定対象物物理特性を評価する方法であって、前記測定対象物の表面に電解液を接触させる工程を備え、前記測定対象物の表面側の温度を、該測定対象物中水蒸気凝縮し始める温度よりも高くするとともに、前記測定対象物の裏面側の温度を、該測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くすることを特徴とする物理特性評価方法

請求項2

請求項1において、前記測定対象物の表面側に、該表面側の温度を調整するための第1温度調整手段を配置する工程と、前記測定対象物の裏面側に、該裏面側の温度を調整するための第2温度調整手段を配置する工程と、前記第1温度調整手段の設定温度を前記測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高くするとともに、該第2温度調整手段の設定温度を前記測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くする工程と、を備えたことを特徴とする物理特性評価方法。

請求項3

請求項2において、前記第1温度調整手段は、前記電解液の温度を調整することを特徴とする物理特性評価方法。

請求項4

請求項2又は請求項3において、前記測定対象物は、基材上に塗膜を備えた塗装金属材の該塗膜であり、前記電解液は、前記塗膜の表面に接触するように配置され、前記第2温度調整手段は、前記塗膜の裏面側に前記基材を介して配置されることを特徴とする物理特性評価方法。

請求項5

請求項4において、前記物理特性は、前記塗膜の耐食性であり、前記塗膜の表面側と前記塗膜の裏面側との間に電圧を増大させながら印加し、前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、前記塗膜の耐食性を評価することを特徴とする物理特性評価方法。

請求項6

請求項4又は請求項5において、前記塗装金属材の基材は自動車部材用鋼板であることを特徴とする物理特性評価方法。

請求項7

請求項4〜6のいずれか1つにおいて、前記塗膜は電着塗膜であることを特徴とする物理特性評価方法。

請求項8

請求項4〜7のいずれか1つにおいて、前記第1温度調整手段はラバーヒータであり、前記第2温度調整手段はペルチェ素子であることを特徴とする物理特性評価方法。

請求項9

電気化学的手法を用いて膜状の測定対象物の物理特性を評価する装置であって、前記測定対象物の表面に接触するように配置された電解液と、前記電解液に接触するように配置された電極と、前記電極と前記測定対象物の裏面側とに電気的に接続され、該電極と該測定対象物の裏面側との間に電圧を印加する電源と、前記測定対象物の表面側に配置され、該表面側の温度を調整する第1温度調整手段と、前記測定対象物の裏面側に配置され、該裏面側の温度を調整する第2温度調整手段と、を備え、前記第1温度調整手段の設定温度は、前記測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高く、前記第2温度調整手段の設定温度は、前記測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低いことを特徴とする物理特性評価装置

請求項10

請求項9において、前記電解液を保持する容器を備え、前記第1温度調整手段は、前記容器の外側に配置され、該容器を介して前記電解液の温度を調整するラバーヒータであり、前記第2温度調整手段は、前記測定対象物の裏面側に配置されたペルチェ素子であることを特徴とする物理特性評価装置。

請求項11

請求項9又は請求項10において、前記測定対象物は、基材上に塗膜を備えた塗装金属材の該塗膜であり、前記電解液は、前記塗膜の表面に接触するように配置され、前記第2温度調整手段は、前記塗膜の裏面側に前記基材を介して配置されることを特徴とする物理特性評価装置。

請求項12

請求項11において、前記塗装金属材の基材は自動車部材用鋼板であることを特徴とする物理特性評価装置。

請求項13

請求項11又は請求項12において、前記塗膜は電着塗膜であることを特徴とする物理特性評価装置。

請求項14

請求項11〜13のいずれか1つにおいて、前記物理特性は、前記塗膜の耐食性であり、前記電源は、前記電極と前記基材とに電気的に接続されており、前記電極と前記基材との間に電圧を増大させながら印加し、前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、前記塗膜の耐食性を評価することを特徴とする物理特性評価装置。

技術分野

0001

本開示は、物理特性評価方法及びその装置に関するものである。

背景技術

0002

従来より、電気化学的手法を用いて塗膜耐食性等の物理特性を評価することが行われている(例えば特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2016−050915号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、材料開発、塗装工場工程管理、車両防錆品質育成の場において、電気化学的手法を用いた種々の評価工程の迅速化が望まれている。

0005

本開示では、電気化学的手法を用いた評価工程の迅速化を図ることができる物理特性評価方法及びその装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

上記の課題を解決するために、ここに開示する第1の技術に係る物理特性評価方法は、電気化学的手法を用いて膜状の測定対象物の物理特性を評価する方法であって、前記測定対象物の表面に電解液を接触させる工程を備え、前記測定対象物の表面側の温度を、該測定対象物中水蒸気凝縮し始める温度よりも高くするとともに、前記測定対象物の裏面側の温度を、該測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くすることを特徴とする。

0007

流体高エネルギーである高温の場所から低エネルギーである低温の場所に向かって移動する。本構成によれば、測定対象物の表面側の温度を、該測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高くするとともに、測定対象物の裏面側の温度を、測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くすることにより、電解液の測定対象物への浸透速度加速させることができる。そうして、電気化学的測定工程の測定速度を向上させることができ、延いては電気化学的手法を用いた評価工程の迅速化を図ることができる。

0008

第2の技術は、第1の技術において、前記測定対象物の表面側に、該表面側の温度を調整するための第1温度調整手段を配置する工程と、前記測定対象物の裏面側に、該裏面側の温度を調整するための第2温度調整手段を配置する工程と、前記第1温度調整手段の設定温度を前記測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高くするとともに、該第2温度調整手段の設定温度を前記測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くする工程と、を備えたことを特徴とする。

0009

本構成によれば、第1温度調整手段及び第2温度調整手段を用いて表面側及び裏面側の温度をより精度よく調整することができる。これにより、表面側及び裏面側の温度差をより精度よく調整することができるから、電解液の浸透速度をより効果的に加速させることができ、電気化学的手法を用いた評価工程の迅速化を図ることができる。

0010

第3の技術は、第2の技術において、前記第1温度調整手段は、前記電解液の温度を調整することを特徴とする。

0011

本構成によれば、第1温度調整手段として電解液自体の温度を調整する手段を採用することにより、表面側の温度の調整を容易に行うことができる。

0012

第4の技術は、第2又は第3の技術において、前記測定対象物は、基材上に塗膜を備えた塗装金属材の該塗膜であり、前記電解液は、前記塗膜の表面に接触するように配置され、前記第2温度調整手段は、前記塗膜の裏面側に前記基材を介して配置されることを特徴とする。

0013

本構成によれば、塗装金属材の塗膜に関する電気化学的測定工程の測定速度を向上させることができる。そうして、塗膜の電気化学的な評価工程の迅速化を図ることができる。

0014

第5の技術は、第4の技術において、前記物理特性は、前記塗膜の耐食性であり、前記塗膜の表面側と前記塗膜の裏面側との間に電圧を増大させながら印加し、前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、前記塗膜の耐食性を評価することを特徴とする。

0015

塗膜が絶縁破壊するときの電圧値、すなわち絶縁電圧は塗膜の耐食性に係る絶縁性良否を表すため、これを測定することにより塗装金属材の耐食性を評価することができる。そして、基材と塗膜表面との間に電圧を増大させながら印加することにより、絶縁電圧をより精度良く検出することができる。本構成によれば、そのような塗装金属材の耐食性の評価工程において、測定速度を向上させ、延いては評価工程の迅速化を図ることができる。

0016

第6の技術は、第4又は第5の技術において、前記塗装金属材の基材は自動車部材用鋼板であることを特徴とする。

0017

本構成によれば、自動車用途の塗装金属材の耐食性の評価工程において迅速化を図ることができる。

0018

第7の技術は、第4〜6の技術のいずれか1つにおいて、前記塗膜は電着塗膜であることを特徴とする。

0019

本構成によれば、電着塗膜の耐食性に関する測定において測定速度を向上させ、評価工程の迅速化を図ることができる。

0020

第8の技術は、第4〜7の技術のいずれか1つにおいて、前記第1温度調整手段はラバーヒータであり、前記第2温度調整手段はペルチェ素子であることを特徴とする。

0021

本構成によれば、第1温度調整手段及び第2温度調整手段として、それぞれラバーヒータ及びペルチェ素子を採用することにより、測定対象物の表面側及び裏面側の温度調整をより精度よく行うことができる。

0022

ここに開示する第9の技術に係る物理特性評価装置は、電気化学的手法を用いて膜状の測定対象物の物理特性を評価する装置であって、前記測定対象物の表面に接触するように配置された電解液と、前記電解液に接触するように配置された電極と、前記電極と前記測定対象物の裏面側とに電気的に接続され、該電極と該測定対象物の裏面側との間に電圧を印加する電源と、前記測定対象物の表面側に配置され、該表面側の温度を調整する第1温度調整手段と、前記測定対象物の裏面側に配置され、該裏面側の温度を調整する第2温度調整手段と、を備え、前記第1温度調整手段の設定温度は、前記測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高く、前記第2温度調整手段の設定温度は、前記測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低いことを特徴とする。

0023

本構成によれば、測定対象物の表面側の温度を、該測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高くするとともに、測定対象物の裏面側の温度を、測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くすることにより、電解液の測定対象物への浸透速度を加速させることができる。そうして、電気化学的測定工程の測定速度を向上させることができ、延いては電気化学的手法を用いた評価工程の迅速化を図ることができる。

0024

第10の技術は、第9の技術において、前記電解液を保持する容器を備え、前記第1温度調整手段は、前記容器の外側に配置され、該容器を介して前記電解液の温度を調整するラバーヒータであり、前記第2温度調整手段は、前記塗膜の裏面側に配置されたペルチェ素子であることを特徴とする。

0025

本構成によれば、第1温度調整手段として電解液自体の温度を調整する手段を採用することにより、表面側の温度の調整を容易に行うことができる。また、第1温度調整手段及び第2温度調整手段として、それぞれラバーヒータ及びペルチェ素子を採用することにより、測定対象物の表面側及び裏面側の温度調整をより精度よく行うことができる。

0026

第11の技術は、第9又は第10の技術において、前記測定対象物は、基材上に塗膜を備えた塗装金属材の該塗膜であり、前記電解液は、前記塗膜の表面に接触するように配置され、前記第2温度調整手段は、前記塗膜の裏面側に前記基材を介して配置されることを特徴とする。

0027

本構成によれば、塗装金属材の塗膜に関する電気化学的測定工程の測定速度を向上させることができる。そうして、塗膜の電気化学的な評価工程の迅速化を図ることができる。

0028

第12の技術は、第11の技術において、前記塗装金属材の基材は自動車部材用鋼板であることを特徴とする。

0029

本構成によれば、自動車用途の塗装金属材の耐食性の評価工程において迅速化を図ることができる。

0030

第13の技術は、第11又は第12の技術において、前記塗膜は電着塗膜であることを特徴とする。

0031

本構成によれば、電着塗膜の耐食性に関する測定において測定速度を向上させ、評価工程の迅速化を図ることができる。

0032

第14の技術は、第11〜13の技術のいずれか1つにおいて、前記物理特性は、前記塗膜の耐食性であり、前記電源は、前記電極と前記基材とに電気的に接続されており、前記電極と前記基材との間に電圧を増大させながら印加し、前記塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、前記塗膜の耐食性を評価することを特徴とする。

0033

本構成によれば、そのような塗装金属材の耐食性の評価工程において、測定速度を向上させ、延いては評価工程の迅速化を図ることができる。

発明の効果

0034

以上述べたように、本開示によると、測定対象物の表面側の温度を、該測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高くするとともに、測定対象物の裏面側の温度を、測定対象物中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くすることにより、電解液の測定対象物への浸透速度を加速させることができる。そうして、電気化学的測定工程の測定速度を向上させることができ、延いては電気化学的手法を用いた評価工程の迅速化を図ることができる。

図面の簡単な説明

0035

実施形態1に係る耐食性評価装置及び耐食性評価方法を説明するための図である。
電極と鋼板との間に印加される電圧の変化(一点鎖線)、及び該電圧の印加に伴い前記電極と前記鋼板との間に流れる電流の変化(実線)を示す図である。
絶縁電圧と塗膜膨れ発生サイクル数との相関関係の一例を示すグラフである。
実施形態1に係る耐食性評価方法の原理を説明するための図である。
温度と飽和水蒸気量との関係を示すグラフである。
実施形態2に係る耐食性評価方法の原理を説明するための図である。
実施例における絶縁電圧と温度差との関係を示すグラフである。

0036

以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。

0037

(実施形態1)
<耐食性評価装置>
本実施形態に係る耐食性評価装置1(物理特性評価装置)は、電気化学的手法を用いて、塗装鋼板2(塗装金属材)の電着塗膜5(膜状の測定対象物、塗膜)の耐食性(物理特性)を評価する装置である。

0038

図1に示すように、耐食性評価装置1は、電極6と、容器7と、電解液8と、ゴムマット9と、電源装置10(電源)と、情報処理端末11と、ラバーヒータ21(第1温度調整手段)と、ペルチェ素子31(第2温度調整手段)と、を備える。

0039

−電極−
電極6は、測定対象物である電着塗膜5の表面側と裏面側との間に電圧を印加するためのものである。電極6としては、具体的には例えば、炭素電極白金電極等を使用することができる。電極6の形状は特に限定されるものではないが、例えば棒状、ブロック状、板状、有孔状等の形状のものを用いることができる。電極6は、電着塗膜5の表面側に、当該表面から僅かに離間して配置されている。

0040

−電解液−
電解液8は、電着塗膜5の表面と電極6との間に両者に接触するように配置されている。電解液8は、塗装鋼板2と電極6との間の導電性を増加させるとともに、塗装鋼板2に対する腐食因子としての役割を有する。電解液8は、支持電解質を含む水溶液等の電解質溶液であればいずれのものも使用することができる。支持電解質は、具体的には例えば、塩化ナトリウム塩化カリウム硫酸マグネシウム硝酸カリウムリン酸カルシウム酒石酸水素カリウム等である。

0041

−容器及びゴムマット−
塗装鋼板2の電着塗膜5の表面には、液漏れ防止用のゴムマット9を介して容器7が配置されている。電解液8は、当該容器7内に収容されている。電極6は、その電解液8の中に浸漬された状態で配置されている。また、上述のごとく、電極6は、電着塗膜5の表面から僅かに離間して配置されているから、両者の間には電解液8が満たされている。

0042

−電源装置−
電源装置10は、電極6と、塗装鋼板2の基材である鋼板3とに電気的に接続されている。電源装置10は、電極6と鋼板3との間に電圧を印加する電源部としての役割を担うとともに、両者間に流れる電流を検出する電流検出部としての役割も担う。電源装置10としては、具体的には例えば、市販の高圧電源電流計とを組み合わせて用いてもよい。また、電圧/電流の印加法として制御可能なポテンショガルバノスタット等を使用してもよい。

0043

−情報処理端末−
情報処理端末11は、電源装置10と通信可能に接続されている。情報処理端末11は、電源装置10により電極6と鋼板3との間に印加される電圧を制御する制御部としての役割を有する。また、電源装置10は、電源装置10による電圧の印加に伴い電着塗膜5が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて、塗装鋼板2の耐食性を評価する判定部としての役割を有する。情報処理端末11として、具体的には例えば、ディスプレイキーボード等を備えた汎用コンピュータ等を使用することができる。

0044

−ラバーヒータ−
ラバーヒータ21は、容器7の外周に配置され、容器7内に収容された電解液8の温度を調整するための温度調整手段である。ラバーヒータ21としては、特に限定されるものではなく、市販のものを採用することができる。第1温度調整手段としてラバーヒータ21を採用することにより、電解液8の温度を精度よく容易に調整することができ、延いては電着塗膜5の表面側の温度の調整を精度よく容易に行うことができる。ラバーヒータ21は、例えば両面テープ留め具等を用いて容器7の外周面に接触するように固定される。ラバーヒータ21には、図示しない温度センサ及び温度コントローラが電気的に接続されている。温度センサは容器7内の電解液8に浸漬される。そして、温度コントローラにより、ラバーヒータ21の温度を制御して、電解液8の温度調整を行う。

0045

−ペルチェ素子−
ペルチェ素子31は、電着塗膜5の裏面側に鋼板3及び化成皮膜4を介して配置されている。具体的には、ペルチェ素子31は、鋼板3の裏面に接触するように配置され、鋼板3の温度を調整することにより電着塗膜5の裏面側の温度を調整する。ペルチェ素子31としては、特に限定されるものではなく、市販のものを採用することができる。ペルチェ素子31を採用することにより、鋼板3の温度を精度よく容易に調整することができ、延いては電着塗膜5の裏面側の温度の調整を精度よく容易に行うことができる。ペルチェ素子31には、図示しない温度コントローラが電気的に接続されている。温度コントローラにより、ペルチェ素子31の温度を制御して、鋼板3の温度調整を行う。

0046

<耐食性評価方法>
本実施形態に係る耐食性評価方法(物理特性評価方法)は、電気化学的手法を用いて電着塗膜5の耐食性を評価する方法であり、例えば上述の耐食性評価装置1を用いて行うことができる。本実施形態に係る耐食性評価方法は、準備工程と、温度調整工程と、測定工程と、評価工程とを備える。以下、図1図4を参照して詳述する。

0047

≪準備工程≫
試験片の準備−
まず、評価対象としての塗装鋼板2(塗装金属材)の試験片を準備する。本実施形態において、塗装鋼板2は、基材としての鋼板3及びこの鋼板3の表面上に形成された化成皮膜4と、さらにその上に形成された塗膜としての電着塗膜5(測定対象物)とにより構成されている。すなわち、鋼板3は、電着塗膜5の裏面側に配置されている。

0048

鋼板3は、家電製品建材又は自動車部品等を製造するための鋼板であり、より好ましくは自動車部材用鋼板である。具体的には例えば、冷間圧延鋼板(SPC)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、高張力鋼板又はホットスタンプ材等を使用することができ、より好ましくはSPC又はGAである。

0049

化成皮膜4は、腐食因子が直接鋼板3に触れるのを抑制するとともに、化成皮膜4自身が反応することにより鋼板3表面をアルカリ性環境にして錆を抑制する役割を有する。また、電着塗膜5と鋼板3との密着性を向上させる役割も有する。具体的には例えば、クロメート化成皮膜やリン酸亜鉛皮膜等である。

0050

測定対象物である電着塗膜5は、高いつきまわり性均一性を有し、焼付工程後には高い耐食性を示すことにより、鋼板3を保護する役割を有する。具体的には例えば、エポキシ樹脂系塗料アクリル樹脂系塗料等を使用することができる。

0051

−測定の準備−
塗装鋼板2の試験片を準備した後、耐食性評価装置1の測定準備を行う。

0052

具体的には例えば、まず、塗装鋼板2の電着塗膜5表面上に、ゴムマット9を介して容器7を設置する。なお、容器7の周囲にはラバーヒータ21を配置しておく。また、塗装鋼板2の鋼板3の裏面に接触するようにペルチェ素子31を配置する。さらに、電源装置10の電極6が接続されていない方の配線を、塗装鋼板2の鋼板3に接続させる。

0053

次に、容器7内に電解液8を充填する。これにより、電着塗膜5の表面に電解液8を接触させる。そして、この電解液8内に、電源装置10に接続された電極6を浸漬させ、電着塗膜5表面上方非接触状態で保持する。また、電解液8には、ラバーヒータ21に接続された温度センサも浸漬させる。

0054

≪温度調整工程≫
この状態において、ラバーヒータ21の設定温度とペルチェ素子31の設定温度との差を調整する。そうして、電着塗膜5の表面側の温度と裏面側の温度との差を調整する。当該温度調整の詳細については、後に説明する。

0055

≪測定工程≫
情報処理端末11の制御のもとで、電源装置10により電極6と鋼板3との間に電圧を印加する。このとき、電源装置10により印加される電圧は、図2の一点鎖線に示すように、時間に対して徐々に増大、すなわち漸増させながら印加する。これにより、絶縁電圧をより精度良く検出することができる。印加電圧掃引速度は、具体的には例えば、0.1〜10V/sの範囲であり、より好ましくは0.5〜2V/sである。

0056

そして、電源装置10は、電圧を印加したときに電極6と鋼板3との間に流れる電流を検出する。図2において、電流の変化を実線で示す。図2に示すように、両者間の電流は、印加電圧を上昇させても、時間t1に電圧値V1となるまではほとんど流れない。しかし、電圧値V1を超えると電流量が急激に増加し、電圧値V2(時間t2)において電流量は閾値A1に到達する。

0057

これは、以下のように考えることができる。すなわち、電圧値V1に至るまでは電着塗膜5における腐食因子、すなわち電解液8の遮断性能が維持されており、電流量が抑えられている。一方、印加電圧の上昇により、電着塗膜5への電解液8の電着塗膜5内部への浸透が促進される。そして、図1の符号12で示すように、電解液8の浸透により電着塗膜5が徐々に破壊され、やがて電解液8が鋼板3の表面に到達する。そうして、電極6と鋼板3と間の導電性が急激に増加し、電流量の急激な増加が見られたと考えられる。すなわち、電解液8が鋼板3の表面に到達したところで、電着塗膜5は絶縁破壊され、その遮断性能は失われたと考えることができる。

0058

≪評価工程≫
電流量が閾値A1に達したときの電圧値V2を絶縁電圧とすると、絶縁電圧V2となる時間t2は、腐食因子が鋼板3に到達するまでの期間に対応すると考えられる。

0059

一般に、塗装金属材では、例えば塩水などの腐食因子が塗膜に浸透し、基材に到達することで錆の発生、すなわち腐食が開始する。従って、塗装金属材の腐食過程は、錆が発生するまでの過程と発生した錆が進展する過程とに分けられ、それぞれ腐食が開始するまでの期間(腐食抑制期間)と腐食が進展する速度(腐食速度)とを求めることにより評価することができる。絶縁電圧V2となる時間t2は、腐食因子が鋼板3に到達するまでの期間に対応するから、絶縁電圧V2は、塗膜の耐食性に係る絶縁性の良否を示しており、上記腐食抑制期間と相関関係がある。

0060

上記腐食抑制期間は、複合サイクル試験塩水噴霧試験等の腐食促進試験により別途実験的に測定することができる。従って、腐食抑制期間と絶縁電圧との相関関係を予め実験的に求めておき、この相関関係に基づいて、試験片の絶縁電圧の実測値から当該試験片の腐食抑制期間を求めることにより、塗膜の耐食性を評価することができる。

0061

具体的に、腐食促進試験である複合サイクル試験により得られた、腐食抑制期間を示す塗膜膨れ発生サイクル数と、前記絶縁電圧V2との相関関係の一例を図3に示す。なお、評価対象は、鋼板3としてのSPCの表面上に、化成皮膜4としてのリン酸亜鉛皮膜を形成し、さらにその表面上に電着塗膜5としてのエポキシ樹脂系塗料による電着塗膜を形成した塗装鋼板2である。複合サイクル試験は、試験片に対し、塩水噴霧(8時間)、乾燥(8時間)、湿潤(8時間)の各工程を24時間1サイクルとして施し、当該試験片表面の20%に塗膜膨れ(錆)が形成されたサイクル数、すなわち塗膜膨れ発生サイクル数を腐食抑制期間として求めることにより行われた。また、絶縁電圧は、外気温度23℃、外気湿度30%の環境下で、ラバーヒータ21及びペルチェ素子31の設定温度をいずれも23℃として、上述の方法により測定された。

0062

図3において、S1〜S4に示す4点は、それぞれ電着塗膜5の膜厚が5μm、7μm、10μm、及び15μmの塗装鋼板2において、焼付条件150℃・20分のものを示す。また、S5,S6,S3の3点は、電着塗膜5の膜厚10μmの塗装鋼板2において、焼付条件をそれぞれ、140℃・15分、140℃・20分、及び150℃・20分としたものを示す。図3に示すように、上記の点は電着塗膜5の膜厚及び焼付条件が変化しても回帰直線に沿ったものであり、その決定係数R2は0.83であることから、腐食抑制期間としての塗膜膨れ発生サイクル数と絶縁電圧V2との間には高い相関関係があると言える。

0063

このように、電着塗膜5の耐食性として、上記相関関係に基づいて、試験片の絶縁電圧V2の実測値から当該試験片の腐食抑制期間を求めて、電着塗膜5の耐食性を評価できる。

0064

なお、電流量の閾値A1は、急激な電流量の増加を検出できる程度に設定されていればよく、具体的には例えば0.5mA以上であることが好ましい。また、より好ましくは、1〜50mA、特に好ましくは、5〜15mAである。

0065

<特徴>
本実施形態に係る耐食性評価方法は、ラバーヒータ21の設定温度とペルチェ素子31の設定温度との高低及び差を調整することにより、電着塗膜5の表面側の温度と裏面側の温度との高低及び差を調整することに特徴がある。以下、温度調整工程について詳述する。

0066

上述したように、電着塗膜5の表面に接触するように配置された電解液8は、表面側から電着塗膜5内部に浸透していく。

0067

このとき、例えば、ラバーヒータ21の設定温度をペルチェ素子31の設定温度よりも高くすると、電解液8の温度は鋼板3の温度よりも高くなる。そうすると、電解液8に接触した電着塗膜5の表面側の温度は、鋼板3に接触する電着塗膜5の裏面側の温度よりも高くなる。そうして、電着塗膜5内で表面側から裏面側にかけて温度が低下するような温度勾配が生じる。

0068

ここに、流体は高エネルギーである高温の場所から低エネルギーである低温の場所に向かって移動する。従って、上述のごとく電着塗膜5内部に上記温度勾配が生じていると、温度勾配が生じていない場合に比べて、図4の矢印で示すように、電解液8の電着塗膜5内部への浸透速度は加速される。そうして、図2に示す絶縁電圧V2に至るまでの時間t2が短縮化されるから、絶縁電圧V2の測定速度が向上し、耐食性の評価工程の迅速化を図ることができる。

0069

また、逆に、ラバーヒータ21の設定温度をペルチェ素子31の設定温度よりも低くすると、電解液8の温度は鋼板3の温度よりも低くなる。そうすると、電着塗膜5内部で表面側から裏面側にかけて温度が増加するような温度勾配が生じる。これにより、温度勾配が生じていない場合に比べて、電着塗膜5内部の電解液8の浸透速度を低下させることができる。例えば、複数の電着塗膜5の耐食性を比較する場合に、電着塗膜5の膜質により、そもそも電解液8の浸透速度が速すぎて、これら測定対象物間で差異観測が困難な場合がある。このような場合には、電解液8の電着塗膜5内部への浸透速度を低下させることが効果的であり得る。

0070

そして、ラバーヒータ21の設定温度及びペルチェ素子31の設定温度のいずれが高い場合であっても、両者の差を増加させることにより、浸透速度の加速又は低下の度合いを大きくすることができる。

0071

このように、電着塗膜5の表面側の温度と裏面側の温度との高低及び差を調整することにより、電解液の電着塗膜5内部への浸透速度を調整することができる。そうして、絶縁電圧V2に到達するまでの時間t2を短縮化することができる。そして、耐食性評価方法における測定工程の測定速度を適宜調整することができる。

0072

(実施形態2)
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

0073

本実施形態に係る耐食性評価方法及び評価装置は、上述の温度調整工程において、特に、ラバーヒータ21の設定温度を電着塗膜5中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高くするとともに、ペルチェ素子31の設定温度を電着塗膜5中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くすることを特徴とする。

0074

一般に、大気中に含まれる飽和水蒸気量a(T)[g/m3]は、単位体積(1m3)当たりの空間に存在できる水蒸気の質量(g)であり、下記式(1)により算出される。

0075

a(T)=(217×e(T))/(T+273.15) ・・・(1)
但し、Tは温度[℃]、e(T)は飽和水蒸気圧[hPa]である。e(T)は、近似的に下記式(2)により求めることができる。

0076

e(T)=6.1078×10^[7.5T/(T+237.3)] ・・・(2)
上記式(1)により算出される飽和水蒸気量と温度との関係を図5に示す。例えば、外気温度25℃、外気湿度30%の環境を考える。このとき、外気に含まれる飽和水蒸気量は約23gである。そうすると、外気湿度は30%であるから、約7g(=23g×0.3)の水蒸気が外気に含まれていることになる。そして、外気温度を例えば0℃まで低下させると、図5から、温度0℃の飽和水蒸気量は約5gであるから、約2g(=7−5)の水蒸気が凝縮して液体の水となる。

0077

ラバーヒータ21の設定温度、すなわち電解液8の温度を電着塗膜5中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも高くするとともに、ペルチェ素子31の設定温度、すなわち鋼板3の温度を、外気の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くする。そうすると、電着塗膜5の表面側に存在する空気に含まれる水蒸気が電着塗膜5の裏面側において凝縮して液化される。そして、電着塗膜5内に、温度勾配に加え、図6の矢印で示すような水蒸気及び液体の水の流れが形成される。そうして、電解液8の浸透が大きく促進される。

0078

特に、ラバーヒータ21の設定温度を外気温度よりも高くすると、電着塗膜5の表面側に存在する空気に含まれる水蒸気量を増加させることができるから、電着塗膜5内の表面側から裏面側に向かう水蒸気及び液体の水の流れを増加させることができる。そうして、電解液8の電着塗膜5内への浸透をさらに促進させることができる。

0079

なお、ペルチェ素子31の設定温度、すなわち鋼板3の温度を、例えば0℃以下にまで低下させた場合であっても、液化された水が実際に凝固し始める温度よりも高い温度では、液化された水は過冷却状態となり凝固しない。そして、液化された水が凝固し始める温度以下にまでペルチェ素子31の設定温度を低下させると、液化された水の凝固が始まる。液化された水が凝固すると、電解液8の電着塗膜5内への浸透を促進させることは難しくなると考えられる。従って、ペルチェ素子31の設定温度、すなわち鋼板3の温度は、液化された水が凝固し始める温度よりも高い温度とすることができる。なお、液化された水が凝固し始める温度は、測定条件等の種々の条件により変化し得る。

0080

このように、本実施形態に係る耐食性評価方法及び評価装置によれば、電解液8の電着塗膜5への浸透速度を大幅に加速させることができる。そうして、電気化学的測定工程の測定速度を向上させることができ、延いては電気化学的手法を用いた評価工程の迅速化を図ることができる。

0081

(その他の実施形態)
上記実施形態において、第1温度調整手段はラバーヒータ、第2温度調整手段はペルチェ素子であったが、電着塗膜5の表面側と裏面側との温度差を調整する手段は、当該構成に限られない。例えば第1温度調整手段及び第2温度調整手段のいずれか一方を備え、電着塗膜5の表面側と裏面側のいずれか一方の温度を上昇又は低下させるようにしてもよい。また、第1温度調整手段及び第2温度調整手段のいずれもラバーヒータ又はペルチェ素子としてもよい。また第1温度調整手段をペルチェ素子、第2温度調整手段をラバーヒータとしてもよい。加温装置としては、ラバーヒータの代わりに、ホットプレート等を用いてもよい。また、第1温度調整手段は電解液8の代わりに、容器7の外側の電着塗膜5の表面にラバーヒータやペルチェ素子を配置して、電着塗膜5の表面側自体を加温又は冷却するようにしてもよい。

0082

上記実施形態において、測定工程では、電圧を時間に対して漸増させながら印加し、検出された絶縁電圧V2に構成であったが、測定方法は当該構成に限られるものではない。具体的には例えば、定電圧を印加した状態で電流量の変化を観測し、測定開始から電流量が閾値A1に到達するまでの時間t2に基づいて電着塗膜5の耐食性を評価する方法等を採用してもよい。

0083

上記実施形態において、評価対象である塗装鋼板2は、塗膜として二層以上の多層膜を備えた構成とすることができる。具体的には例えば、電着塗膜5に加え、該電着塗膜5表面上に中塗り塗膜を備えた構成、若しくは該中塗り塗膜上にさらに上塗り塗膜等を備えた構成の多層膜とすることができる。中塗り塗膜は、塗装鋼板2の仕上り性耐チッピング性を確保するとともに、下塗り塗膜と上塗り塗膜との密着性を向上させる役割を有する。また、上塗り塗膜は、塗装鋼板2の色、仕上り性及び耐候性を確保するものである。これらの塗膜は、具体的には例えば、ポリエステル樹脂アクリル樹脂アルキド樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂尿素樹脂ポリイソシアネート化合物ブロック体も含む)等の架橋剤とからなる塗料等により形成される。本構成とすることにより、例えば自動車部材の製造工程等において、塗装工程毎に製造ラインから部品を取り出し、塗膜の品質等を確認することができる。

0084

上記実施形態において、容器7及びゴムマット9に代えて、電解液8を含有する導電性固形物を使用してもよい。導電性固形物は、電解液8を含有しながら、評価対象の形状に合わせて任意形状を取り得る固形物であって、導電性を有するものであればよい。具体的には例えば、グリアジングルテニン及びデンプン等からなる固形物原料粉に対し、塩化ナトリウム、酒石酸水素カリウム、蒸留水及びオレイン酸リノール酸等の油分を含む固形物が好ましい。このとき、それぞれの成分の配合比は、体積比において、固形物原料粉30〜50%、塩化ナトリウム10〜30%、酒石酸水素カリウム10〜30%、蒸留水10〜45%、油分3〜15%であることが好ましい。本構成とすることにより、平坦面を有さない試験片、具体的には例えば塗装鋼板2のエッジ部や、曲面等において、試験片の形状が制約されることなく、測定を行うことができる。なお、導電性固形物を用いる場合は、上述のごとく、電着塗膜5の表面にラバーヒータ、ペルチェ素子等の第1温度調整手段を配置して、電着塗膜5の表面側自体を加温又は冷却することが効果的である。

0085

上記実施形態は、本開示に係る物理特性評価方法及び物理特性評価装置として、塗装鋼板2の電着塗膜5の耐食性評価方法及び耐食性評価方法を例に挙げて説明したが、これに限られない。すなわち、本開示に係る物理特性評価方法及び物理特性評価装置は、電気化学的手法を用いた膜状の測定対象物であれば広くその物理特性評価に用いることができる。具体的には例えば、膜状の測定対象物のサイクリックボルタンメトリー測定による酸化還元特性の評価等に用いることができる。

0086

以下に、具体的に実施した実施例について説明する。

0087

<試験片>
実施例1〜5において、試験片の構成は同一とした。

0088

具体的には、鋼板3としてSPCを使用し、その表面上に化成皮膜4、電着塗膜5を形成した塗装鋼板2の試験片(約50mm角)を準備した。化成皮膜4は、リン酸亜鉛皮膜であり、リン酸亜鉛による化成処理時間は120秒であった。電着塗膜5は、エポキシ樹脂系塗料を用いて形成した。電着塗装の焼付条件は150℃×20分であった。鋼板3の厚さは2mm、電着塗膜5の厚さは10μmであった。

0089

耐食性評価試験
上記試験片を用い、図1の耐食性評価装置1を用いて、電着塗膜5の耐食性を評価した。

0090

具体的には、容器7として内径20mm、外径22mm、高さ60mmのアクリル樹脂製円筒を用いた。容器7の外周面の全周及び全高に亘って、ラバーヒータ21としてのシリコンラバーヒータ(八光電機株式会社製、標準タイプ、両面テープ付Aタイプ)を貼り付けた。ラバーヒータ21には、温度センサ(株式会社スリハイ製、熱電対(Kタイプ)モールドタイプ)が接続されており、温度センサの先端のセンサ部分は電解液8中に浸漬した。ゴムマット9として、市販のシリコンゴム製シート(厚さ約0.5mm、30mm×30mm)に直径18mmの孔を形成したものを用いた。ゴムマット9を電着塗膜5の表面に載置し、ゴムマット9の上記孔を覆うように、ラバーヒータ21を貼り付けた容器7を配置した。電解液8として5質量%の塩化ナトリウム水溶液を容器7内に充填した。電極6として市販の棒状の炭素電極(直径約5mm、長さ約30mm)を電解液8に浸漬した。鋼板3の裏面側に、ペルチェ素子31としてサーモモジュール(株式会社ビックス製、LVPU−70)を配置した。電極6と鋼板3には、電源装置10として高圧電源(トレクジパン株式会社製、Model 2220)及び電流計(電子工業株式会社、DME1600)を接続した。ラバーヒータ21には、温度コントローラ(株式会社八光電気製、ダブルサーモ100)を接続し、温度管理を行った。また、ペルチェ素子31には、温度コントローラ(株式会社ビックス製、VTH−1000)を接続し、温度管理を行った。ラバーヒータ21及びペルチェ素子31の設定温度は表1に示す通りである。

0091

0092

実施例1〜5の試験片について、外気温度25℃、外気湿度30%の環境下、上記高圧電源を用いて鋼板3に対する電極6の電圧値を0Vから1V/sの掃引速度で上昇させ、絶縁電圧V2を測定した。結果を図7に示す。

0093

上述のごとく、絶縁電圧V2となる時間t2は、腐食因子が鋼板3に到達するまでの時間に対応する。そうすると、同一の測定対象物であっても、電解液8の浸透速度が速くなると、時間t2は短くなるとともに、絶縁電圧V2は小さくなる。逆に、電解液8の浸透速度が遅くなると、時間t2は長くなるとともに、絶縁電圧V2は大きくなる。すなわち、同一の測定対象物であれば、電解液8の浸透速度が上昇するにつれて絶縁電圧V2は低下する。

0094

実施例1〜4の結果から、図7の回帰直線L1で示すように、ラバーヒータ21の設定温度をペルチェ素子31の設定温度よりも高くした状態で、ラバーヒータ21及びペルチェ素子31の温度差が大きくなると、絶縁電圧V2が低下すること、すなわち、電解液8の浸透速度が上昇することが判った。

実施例

0095

また、実施例5の結果から、ペルチェ素子31の温度を、大気中の水蒸気が凝縮し始める温度(この試験環境下では約7℃)よりも低い−0.5℃まで低下させると、図7の矢印P1で示すように、絶縁電圧は、実施例1〜4の結果の回帰直線L1から外れて大きく低下することが判った。ペルチェ素子31の温度を−0.5℃まで低下させると、鋼板3と電着塗膜5との界面近傍に大気中の水蒸気が凝縮し、電解液8の電着塗膜5内への浸透が大きく促進されたと考えられる。ペルチェ素子31の温度を、大気中の水蒸気が凝縮し始める温度よりも低くした状態で、ラバーヒータ21との温度差を大きくすることにより、図7の直線L2に示すような、絶縁電圧の低下、すなわち電解液8の浸透速度の上昇が観測されると考えられる。

0096

本開示は、物理特性評価方法及びその装置の分野において有用である。

0097

1耐食性評価装置
2塗装鋼板(塗装金属材)
3鋼板(基材)
4化成皮膜(基材)
5電着塗膜(測定対象物)
6電極
8電解液
10電源装置(電源)
21ラバーヒータ(第1温度調整手段)
31ペルチェ素子(第2温度調整手段)
V2絶縁電圧(塗膜が絶縁破壊するときの電圧値)

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ